JP2007196593A

JP2007196593A - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置

Info

Publication number: JP2007196593A
Application number: JP2006019854A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Okuda; 聡奥田; Shigemi Koga; 成美古賀; Kazuma Goto; 数摩後藤; Atsushi Ito; 敦伊藤; Koichiro Hara; 光一郎原; Masaharu Ito; 正春伊藤
Original assignee: Brother Industries Ltd
Current assignee: Brother Industries Ltd
Priority date: 2006-01-27
Filing date: 2006-01-27
Publication date: 2007-08-09
Also published as: US20070176969A1; US7562970B2

Abstract

【課題】ピエゾ方式のインクジェットヘッドのノズル径を、高解像度画像の形成に対応できるように微少化した場合にも、吐出不良を生じず、安定してインクを噴射できるようにする。
【解決手段】
インク室（共通インク室）７、該インク室７と接続流路４０で連通している圧力室３６、該圧力室３６に連通し、インクを噴射するためのノズル４、及び該圧力室３６中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータ２を有し、該インク室７の先から該ノズル４の先端までの間でインク流路を構成しているインクジェットヘッドにおいて、該ノズル４の先端の開口径を１５〜２５μｍとし、該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように構成する。好ましくは、接続流路４０の少なくとも１部に絞り部を設ける。
【選択図】図４

Description

本発明は、インクジェットヘッド及びそのヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。

インクジェット記録装置で使用されるインクジェットヘッドのインク吐出方式の一つとして、圧電素子の電気−機械変換作用を利用したピエゾ方式が広く利用されている。ピエゾ方式の代表的なインクジェットヘッドにおいては、その中に設けられたインク室中のインクが、接続流路を介して圧力室へ移動し、更に圧力室に連通しているノズルへと移動し、最終的にノズルの先端の開口部から被記録媒体上に噴射されるように構成されている（特許文献１）。ここで、インクの移動並びに噴射は、圧力室を被うように設けられている圧電アクチュエータに所定の電圧を印加することにより生ずる圧電アクチュエータの変形に伴って、圧力室中のインクに印加される吐出圧力を駆動力としている。

このようなインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に対しては、より高解像度の印字を達成することが求められており、そのためにインクをより小さい液滴、例えば数ｐｌの液滴としてノズルから噴射する必要がある。このため、ノズルの先端の開口径（即ち、ノズル径）を従来の３０〜５０μｍ程度（得られる液滴は１０〜５０ｐｌ）から小さくすることが試みられている。

特願２００５−１２８１０７号公報

しかしながら、ノズル径を小さくすると、ノズル先端の吐出孔に存在するインクや、吐出孔の周囲に付着したインク滴が乾燥しやすくなり、その結果、吐出不良が生じやすくなるという問題がある。このようなインクの吐出不良を改善するために、溶媒量を増加させること等によりインクの粘度を下げることが考えられるが、インクの粘度を下げるとメニスカスの振動が収まりにくいために、安定した噴射が困難になるという問題があった。

本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、ピエゾ方式のインクジェットヘッドのノズル径を高解像度画像の形成に対応できるように微少化した場合にも、吐出不良を生じず、安定してインクを噴射できるインクジェットヘッド及びそのヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。

本発明者等は、ピエゾ方式のインクジェットヘッドのノズル径を高解像度画像の形成に対応できるように微少化した場合に、吐出不良や噴射の非安定性が、インクジェットヘッドのインク流路の流路抵抗に密接に相関していることを見出し、本発明を完成させるに至った。

即ち、本発明は、インク室、該インク室と接続流路で連通している圧力室、該圧力室に連通し、インクを噴射するためのノズル、及び該圧力室中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータを有し、該インク室から該ノズルの先端までの間でインク流路を構成しているインクジェットヘッドにおいて、該ノズルの先端の開口径が１５〜２５μｍであり、該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように構成されていることを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。

また、本発明は、インク室、該インク室と接続流路で連通している圧力室、該圧力室に連通し、インクを噴射するためのノズル、及び該圧力室中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータを有し、該インク室の先から該ノズルの先端までの間でインク流路を構成しているインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、該ノズルの先端の開口径が１５〜２５μｍであり、該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。

本発明のインクジェットヘッドによれば、ノズルの先端の開口径を１５〜２５μｍと非常に小さく設定しているにも関わらず、インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの当該インク流路の流路抵抗値を５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるようにインク流路を構成しているので、高解像度のインクジェット画像を形成可能な数ｐｌのインク液滴を、吐出不良を生じることなく良好な噴射安定性で、被記録媒体に噴射することができる。

以下に本発明のインクジェットヘッドの実施態様の一例を図面を参照しながら説明するが、本発明のインクジェットヘッドはこの実施態様に限定されるものではない。

図１のインクジェットヘッド１００は、金属板製の複数枚のプレートからなるキャビティユニット１にプレート型の圧電アクチュエータ２が接合され、このプレート型の圧電アクチュエータ２の上面（背面）に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル３が重ね接合された構造を有する。そして、キャビティユニット１の下面（前面）側に開口されたノズル４からは、下向きにインクが吐出される。

このキャビティユニット１は、図２に示すように、ノズルプレート１１、スペーサプレート１２、ダンパープレート１３、２枚のマニホールドプレート１４ａ、１４ｂ、サプライプレート１５、ベースプレート１６及びキャビティプレート１７の合計８枚の薄い板が、それぞれ接着剤にて重ね接合された構造を有する。

各プレート１１〜１７は、通常、５０〜１５０μｍ程度の厚さを有し、ノズルプレート１１はポリイミド等の合成樹脂から形成される。その他のプレート１２〜１７は、通常、４２％ニッケル合金鋼板から形成される。ノズルプレート１１には、微小径のインク吐出用のノズル４が微小間隔で多数個穿設されている。このノズル４は、ノズルプレート１１における長辺方向（Ｘ方向）と平行な５列に配列されている。

また、キャビティプレート１７には、図３に示すように、複数の圧力室３６がキャビティプレート１７の長辺（前記Ｘ方向）と平行な５列に配列されている。圧力室３６は、平面視細長形状に形成され、その長手方向がキャビティプレート１７の短辺方向（Ｙ方向）に沿うようにして穿設され、長手方向の一端部３６ａがノズル４と連通し、他端部３６ｂが後述する共通インク室７と連通している。

各圧力室３６における先端部３６ａは、サプライプレート１５、ベースプレート１６と２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂ、ダンパープレート１３及びスペーサプレート１２に穿設されている微小径の連通孔３７を介して、ノズルプレート１１における前記各ノズル４に連通している。

キャビティプレート１７の下面に隣接するベースプレート１６には、各圧力室３６の他端部３６ｂに接続する貫通孔３８が穿設されている。

ベースプレート１６の下面に隣接するサプライプレート１５には、後述する共通インク室７から各圧力室３６へインクを供給するための接続流路４０が設けられている。

２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂには、その長辺方向（Ｘ方向）に沿って長い５つの共通インク室７が前記ノズル４の各列に沿って延びるように板厚さを貫通して形成されている。すなわち、図２及び図４に示すように、２枚のマニホールドプレート１４ａ，１４ｂを積層し、更にその上面をサプライプレート１５にて覆い、下面をダンパープレート１３にて覆うことにより、合計５つの共通インク室（マニホールド室）７が密閉状に形成される。各共通インク室７は、各プレートの積層方向から平面視したときに、圧力室３６の一部と重なって圧力室３６の列方向（ノズル４の列方向）に沿って長く延びている。

図３及び図４に示すように、マニホールドプレート１４ａの下面に隣接するダンパープレート１３の下面側には、共通インク室７と隔絶されたダンパ室４５が凹み形成されている。この各ダンパ室４５の位置及び形状は、図２に示すように前記各共通インク室７と一致している。このダンパープレート１３が適宜弾性変形し得る金属素材から形成されているため、ダンパ室４５上部の薄い板状の天井部は、共通インク室７側にも、ダンパ室４５側にも自由に振動することができる。インク吐出時に、圧力室３６で発生した圧力変動が共通インク室７に伝播しても、前記天井部が弾性変形して振動することにより、前記圧力変動を吸収減衰させるというダンパ効果を奏する。これは、圧力変動が他の圧力室３６へ伝播する所謂クロストークの低減を図ったものである。

また、図２に示すように、キャビティプレート１７、ベースプレート１６及びサプライプレート１５の一方の短辺側の端部には、上下の位置を対応させて、それぞれ４つのインク供給口４７が穿設されている。インク供給源から供給されるインクが、これらインク供給口４７から共通インク室７の一端部に連通するようになっている。４つのインク供給口４７を、図２の左側から順に個別に４７ａ、４７ｂ、４７ｃ及び４７ｄと付す。

インクは、インク供給口４７からインク供給チャンネルとしての共通インク室７に供給された後、図３に示すように、サプライプレート１５の接続流路４０及びベースプレート１６の貫通孔３８を経由して各圧力室３６に分配供給される。そして、後述するように、圧電アクチュエータ２の駆動により、インクは各圧力室３６内から前記連通孔３７を通って、その圧力室３６に対応するノズル４に至るという構成になっている。そして、後述する圧電アクチュエータ２の駆動により、圧力室３６に吐出圧力が加えられると、圧力波が圧力室３６内から、連通孔３７を通ってノズル４に伝達し、インクを吐出する。

この実施形態では、図２に示すように、インク供給口４７が４つ設けられているのに対して、共通インク室７が５つ設けられており、インク供給口４７ａだけが、２つの共通インク室７，７に接続されている。インク供給口４７ａには、ブラックインクが供給されるように設定されており、ブラックインクがその他のカラーインクに比べて使用頻度が高いことを考慮したものである。他のインク供給口４７ｂ、４７ｃ、４７ｄには、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクがそれぞれ単独に供給される。インク供給口４７ａ，４７ｂ，４７ｃ，４７ｄには、それぞれの開口に対応する濾過部２０ａを有するフィルタ体２０が接着剤等で貼着されている。

一方、前記圧電アクチュエータ２は、特開平４−３４１８５３号公報等に開示された公知のものと同様に、図５に示すように１枚の厚さが３０μｍ程度の複数枚の圧電シート４１〜４３を積層した構造を有し、各圧電シートのうち下から所定数の偶数段目の圧電シート４２の上面（広幅面）には、前記キャビティユニット１における各圧力室３６に対応した箇所ごとに細幅の個別電極４４が長辺方向（Ｘ方向）に沿って列状に形成されている。下から所定数の奇数段目の圧電シート４１の上面（広幅面）には、複数個の圧力室３６に対して共通のコモン電極４６が形成されており、最上段のシートの上面には、積層方向に対応する前記個別電極の各々に対して電気的に接続される表面電極４８と、前記コモン電極に対して電気的に接続される表面電極とが設けられている。

公知のように個別電極４４とコモン電極４６との間に高電圧を印加することで、両電極間に位置する圧電シートの部分が分極され、活性部として形成される。

そして、このプレート型の圧電アクチュエータ２における下面（圧力室３６と対向する広幅面）全体に、接着剤としてのインク非浸透性の合成樹脂からなる接着剤シート（図示せず）を予め貼着し、次いで、前記キャビティユニット１に対して、圧電アクチュエータ２が、その各個別電極４４を前記キャビティユニット１における各圧力室３６の各々に対向配置させて接着・固定される。また、この圧電アクチュエータ２における上側の表面には、前記フレキシブルフラットケーブル３が重ねられて押圧されることにより、このフレキシブルフラットケーブル３における各種の配線パターン（図示せず）が、前記各表面電極に電気的に接合される。

以上説明したように、本発明のインクジェットヘッドは、インク室（共通インク室７）、該インク室と接続流路４０で連通している圧力室３６、該圧力室３６に連通し、インクを噴射するためのノズル４及び該圧力室３６中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータ２を有し、そしてインク室の先からノズル４の先端までの間で構成されているインク流路を有するものである。

このように構成される本発明のインクジェットヘッドにおいては、ノズル４の先端の開口径（即ち、ノズル径４ａ：図４のキャビティユニット１の下面（前面）側に開口されたノズル４の開口部分の大きさ）を、１５〜２５μｍに設定する。これは、ノズル径を１５μｍ未満に設定した場合には、インク液滴の吐出速度が速くなるため噴射安定性が低下し、また、ノズル周辺のインク液滴が乾燥し易くなるため吐出不良が生じ易くなるからであり、逆に、２５μｍより大きな径に設定した場合には、インク液滴の吐出速度が遅くなるため、やはり噴射安定性が低下するからである。

また、本発明のインクジェットヘッドにおいては、ノズル４を黒インク用ノズルとカラーインク用ノズルとから構成することができる。この場合、黒インク用ノズルの先端の開口径を、カラーインク用ノズルの先端の開口径以上の大きさとすることが好ましい。これは、カラーインクについては、写真画質を求めて解像度の高い印字をするために、カラーインク液滴を小さくすることが好ましく、一方、黒インクについては、テキスト印字が主であるため、黒インク液滴を少なくともカラーインク液滴よりも同等以上の大きさにすることが好ましいためである。具体的には、黒インク用ノズルのノズル先端の開口径を好ましくは１８〜２５μｍ、より好ましくは１９〜２１μｍとし、カラーインク用ノズルのノズル先端の開口径を好ましくは１５〜２０μｍ、より好ましくは１６〜１８μｍとする。

また、本発明のインクジェットヘッドにおいては、前述したように、インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３なるように当該インク流路を構成する。

本発明において、流路抵抗値を特定するために２．５〜３．０ｍＰａ・ｓの粘度のインクを使用する理由は、通常、インク流路の一部である接続流路に絞り部が形成されている関係上、粘度が高すぎるとメニスカスが振動しにくいために小さなインク液滴をノズルから吐出しにくく、また、インク中の水分が少量蒸発するだけでさらにインクの粘度が高くなり吐出不良を生じやすくなるからであり、粘度が低すぎるとメニスカスの振動が収まりにくいために噴射安定性が低下するからである。また、流路抵抗値を特定する際に使用するインクとしては、前述の所定の粘度を示すものであればよく、特に限定されるものではない。換言すれば、流路抵抗値を特定する際に使用するインクとは、インク流路を移動させノズルから吐出させる所定の粘度の液状物のことであり、従って、着色材の有無は問われないものである。ここで、粘度は、回転式粘度計（例えば、ＢＲＯＯＫＦＩＥＬＤ社製の粘度計（型式：ＤＶ−II＋））を使用し、回転数６０ｒｐｍ、温度２５℃という測定条件下で測定した値である。具体的には、図４の共通インク室７の先からノズルの先端４ａまでの抵抗値をハーゲン・ポアズイユの式に従って求めたものである。実際には、インク流路の形状及び断面積によってインク流路をわけ、それぞれの抵抗値をハーゲン・ポアズイユの式に従って求め、そこで求められた全ての抵抗値を足し合わせたものが、流路抵抗値として定義される。なお、ハーゲン・ポアズイユの式は以下のように表される。

上記式中、μは粘度（Ｐａ・ｓ）、Ｌは流路長（ｍｍ）、Ｓは断面積（ｍｍ^２）、ｒは等価半径（ｍｍ）（等価半径（ｒ）＝２×流路断面積／流路断面の周長）を表している。

本発明において、このように定義される流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３、好ましくは５０〜８５ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるようにインク流路を構成する。流路抵抗が５０ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３未満であると、メニスカスの振動が収まりにくいため噴射安定性が低下し好ましくなく、流路抵抗が１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３を超えると、インク供給が追いつかなくなり吐出抜けが生じやすく、また、大きな体積のインク液滴を吐出することができないため好ましくない。

このような流路抵抗値となるようにインク流路を構成する例としては、接続流路の断面積を小さくすること、換言すれば、接続流路の断面積が小さくなるように絞り部を設けることが挙げられる。例えば、接続流路の幅や厚み(サプライプレートの厚み方向)を調節することにより、接続流路全体の断面積を小さくすることが挙げられる。この場合には、接続流路全体が絞り部となる。また、図６に示すように、インク室（共通インク室７）と圧力室３６とを連通している接続流路４０の一部に、インク流れ方向に直交する方向において局部的に接続流路断面積を小さくした領域（即ち、絞り部）４０ａを設けてもよい。このような絞り部を設けることは、ノズル側への圧力伝達効率を向上させ、共通インク室７への圧力伝達を抑制できる点で好ましい。その他、接続流路内面に微少凹凸を形成したり、圧力室の容積を小さくしたり等することが挙げられる。

次に、以上説明した本発明のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置について説明する。即ち、このインクジェット記録装置は、前述したように、インク室、該インク室と接続流路で連通している圧力室、該圧力室に連通し、インクを噴射するためのノズル、及び該圧力室中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータを有し、該インク室の先から該ノズルの先端までの間でインク流路を構成しているインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、該ノズルの先端の開口径が１５〜２５μｍであり、該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置である。このインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドとして前述の本発明のインクジェットヘッド（図１〜図４参照）を使用することを特徴としており、従って、インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように、接続流路に絞り部を設けることが好ましい。また、該ノズルを、黒インク用ノズルとカラーインク用ノズルとから構成し、黒インク用ノズルの先端の開口径をカラーインク用ノズルの先端の開口径以上とすることが好ましい。具体的には、黒インク用ノズルの先端の開口径を１８〜２５μｍとし、カラーインク用ノズルの先端の開口径を１５〜２０μｍとすることが好ましい。その他の構成としては、従来公知のインクジェット記録装置（例えば、特開２００５−９６１７１号公報等）と同様の構成とすることができる。

本発明のインクジェット記録装置は、更に、黒インクを収容した黒インクカートリッジと、カラーインクを収容したカラーインクカートリッジとを備えることができる。黒インクタンクとカラーインクタンクとしては、従来公知のものを使用することができる（特開２００５−２３８４７３号公報参照）。この場合、黒インクの着色剤としては、テキスト印字に適した顔料を使用し、カラーインクの着色剤としては鮮明なカラー画像を形成できる染料を使用することが好ましい。こここで、顔料系の黒インクは、染料系のカラーインクに比べて少量の水分蒸発で粘度が高くなり吐出不良を起こしやすい傾向を有する。従って、黒インクの粘度を、カラーインクの粘度以下とすることが好ましい。具体的には、黒インクの粘度を好ましくは２．５〜２．７ｍＰａ・ｓとし、カラーインクの粘度を好ましくは２．７〜３．０ｍＰａ・ｓとする。粘度の調整は、後述する溶媒、分散剤、粘度調整剤等の種類や量を調節することにより行うことができる。以下に、本発明のインクジェット記録装置に適用するインクジェット記録用インクについて一般的な説明を行う。

本発明のインクジェット記録装置に適用するインクジェット記録用インク（例えば、黒インクとカラーインク）としては、一般的には、着色材、溶媒等を含有するものである。上記着色材としては、染料又は顔料のいずれであってもよい。上記染料としては特に限定されないが、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等の水溶性染料を挙げることができる。なかでも、鮮明性、水溶性、安定性及び耐光性等の性能を満たす特に好適なものとしては、具体的には、例えば、Ｃ．Ｉ．ダイレクトブラック１７、１９、３２、５１、７１、１０８、１４６、１５４及び１６８；Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー６、２２、２５、７１、８６、９０、１０６及び１９９；Ｃ．Ｉ．ダイレクトレッド１、４、１７、２８、８３及び２２７；Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー１２、２４、２６、８６、９８、１３２及び１４２；Ｃ．Ｉ．ダイレクトオレンジ３４、３９、４４、４６及び６０；Ｃ．Ｉ．ダイレクトバイオレット４７及び４８；Ｃ．Ｉ．ダイレクトブラウン１０９；Ｃ．Ｉ．ダイレクトグリーン５９；Ｃ．Ｉ．アシッドブラック２、７、２４、２６、３１、５２、６３、１１２及び１１８；Ｃ．Ｉ．アシッドブルー９、２２、４０、５９、９３、１０２、１０４、１１７、１２０、１６７、２２９及び２３４；Ｃ．Ｉ．アシッドレッド１、６、３２、３７、５１、５２、８０、８５、８７、９２、９４、１１５、１８０、２５６、２８９、３１５及び３１７；Ｃ．Ｉ．アシッドイエロー１１、１７、２３、２５、２９、４２、６１及び７１；Ｃ．Ｉ．アシッドオレンジ７及び１９；Ｃ．Ｉ．アシッドバイオレット４９；Ｃ．Ｉ．ベーシックブラック２；Ｃ．Ｉ．ベーシックブルー１、３、５、７、９、２４、２５、２６、２８及び２９；Ｃ．Ｉ．ベーシックレッド１、２、９、１２、１３、１４及び３７；Ｃ．Ｉ．ベーシックバイオレット７、１４及び２７；Ｃ．Ｉ．フードブラック１及び２等を挙げることができる。

上記染料のインクジェット記録用インクにおける配合量は、安定性を示し且つ沈澱物を生じさせないようにするため、一般にはインク全量に対して０．１〜２０重量％である。

また、着色材である顔料としては、特に限定されず、無機顔料又は有機顔料のいずれであってもよい。上記顔料のうち白黒での記録に好適なものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類；酸化チタン等の金属酸化物；オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料等を挙げることができる。また、上記顔料のうちカラーでの記録に好適なものとしては、例えば、トルイジンレッド、パーマネントカーミンＦＢ、ファーストイエローＡＡＡ、ジスアゾオレンジＰＭＰ、レーキレッドＣ、ブリリアントカーミン６Ｂ、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、ピクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、ファーストイエロー１０Ｇ、ジスアゾイエローＡＡＯＴ、ジスアゾイエローＡＡＭＸ、ジスアゾイエローＨＲ、ジスアゾイエローＡＡＯＡ、黄色酸化鉄、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストカーレット、ナフトールレッド２３、ピラゾロンレッド、バリウムレッド２Ｂ、カルシウムレッド２Ｂ、ストロンチウムレッド２Ｂ、マンガンレッド２Ｂ、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド３Ｂレーキ、レーキボルドー１０Ｂ、アンソシン３Ｂレーキ、アンソシン５Ｂレーキ、ローダミン６Ｇレーキ、エオシンレーキ、ベンガラ、ファフトールレッドＦＧＲ、ローダミンＢレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ベーシックブルー５Ｂレーキ、ベーシックブルー６Ｇレーキ、ファーストスカイブルー、アルカリブルーＲトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー２Ｇ、レフレックスブルーＲ、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンＧ、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンＹ、酸化鉄、さびこ、亜鉛華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム、ブロンズ、昼光蛍光顔料、パール顔料、ナフトールカーミンＦＢ、ナフトールレッドＭ、パーマネントカーミンＦＢ、ファーストイエローＧ、ジスアゾイエローＡＡＡ、アルカリブルーＧトナー等及び顔料の表面を特定の官能基で処理した表面改質顔料等を挙げることができる。

上記顔料のインクジェット記録用インクにおける配合量は、所望される印字濃度や色彩により異なるが、充分な着色力と高い鮮明性とを得るため、一般的にはインク全量に対して１〜２０重量％、好ましくは１〜１５重量％である。

また、インクジェット記録用インクには、上記顔料を含有している場合には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。上記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子量ポリウレタン；ポリエステル；カルボニル基及びアミノ基等の顔料に強い親和性のある官能基を含む高分子共重合体等が挙げられる。

本発明のインクジェット記録装置に使用するインクジェット記録用インクは、溶媒として、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有することが好ましい。

上記水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。上記水のインクジェット記録用インクにおける配合量は、上記水溶性有機溶媒の種類や組成、所望のインク特性に応じて広い範囲で決定されるが、インク全量に対して一般に１０〜９５重量％、好ましくは１０〜７０重量％、より好ましくは２０〜７０重量％である。

上記水溶性有機溶媒は、主としてインクジェットヘッドのノズル先端部におけるインクの乾燥防止効果を有する湿潤剤と、被記録媒体上での乾燥速度を速くする浸透剤とに分類される。上記湿潤剤としての水溶性有機溶媒は特に限定されないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ｎ−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−ブチルアルコール、ｓｅｃ−ブチルアルコール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコール等の低級アルコール；ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド；アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール；テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル；ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール；エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール；グリセリン；２−ピロリドン；Ｎ−メチル−２−ピロリドン；１，３−ジメチル−２−イミダゾリジノン等を挙げることができる。なかでも、アルキレングリコール類、グリセリン等の多価アルコールを好適に例示することができる。

上記湿潤剤としての水溶性有機溶媒のインクジェット記録用インクにおける配合量は、インク全量に対して一般には０〜９５重量％、好ましくは１０〜８０重量％、より好ましくは１０〜５０重量％である。

上記浸透剤としての水溶性有機溶媒は特に限定されないが、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル等のグリコール系エーテルを挙げることができる。

上記浸透剤としての水溶性有機溶媒のインクジェット記録用インクにおける配合量は、配合量が過剰であると、インクの被記録媒体への浸透性が高くなりすぎて滲みの原因となってしまうことがあるので、一般にはインク全量に対して０〜２０重量％、好ましくは０．１〜１５重量％、より好ましくは１〜１０重量％である。

本発明のインクジェット記録装置に使用するインクには、更に必要に応じて、ポリビニルアルコール、セルロース及び水溶性樹脂等の粘度調整剤；表面張力調整剤；防黴剤等の従来公知の添加剤を含有させてもよい。

まず、表１に示す組成の黒インク（インク１〜６）とカラーインク（インク７〜１２）を、常法により調製した。これらのインクの粘度を、ＢＲＯＯＫＦＩＥＬＤ社製の粘度計（型式：ＤＶ−II＋）を使用し、回転数６０ｒｐｍ、温度２５℃の条件下で測定した。なお、毎回粘度標準液をｎ＝５で測定し、その平均値と検定値から、実際のインクの粘度測定値を補正した。例えば、粘度標準液の検定値（ａ）が４．８０ｍＰａ・ｓである場合、粘度標準液のｎ＝５の測定値の平均（ｂ）が４．８５ｍＰａ・ｓであり、一方、粘度を求めたいインクのｎ＝５の測定値の平均（ｃ）が３．００ｍＰａ・ｓのとき、求めるインクの粘度は、（ｃ）×（ａ）／（ｂ）の式で算出し、２．９７ｍＰａ・ｓとなる。

実験例１
表１のインク１〜６（黒インク）を用い、表２に示すノズル径と流路抵抗値となるように加工した図１〜５に示すようなインクジェットヘッドを、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機（ブラザー工業（株）製；ＤＣＰ１１０Ｃ）に装着し、１億ドット（約３万枚）の連続印字評価を行い、以下の基準に従って評価した。得られた結果を表２に示す。

噴射試験評価基準
◎…連続印字中において、不吐出及び吐出曲がりが全くなし。
○…連続印字中において、不吐出もしくは吐出曲がりが僅かにあり。不吐出もしくは吐出曲がり共に５回以内のパージによって回復。
×・・・連続印字中において不吐出及び吐出曲がりが多数有り。不吐出及び吐出曲がり共に短時間で回復せず。

実験例２
表１のインク７〜１２（カラーインク）を用い、実験例１と同様に、表３に示すノズル径と流路抵抗値となるように加工した図１〜５に示すようなインクジェットヘッドを、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機（ブラザー工業（株）製；ＤＣＰ１１０Ｃ）に装着し、１億ドット（約３万枚）の連続印字評価を行い、実験例１と同様に評価した。得られた結果を表３に示す。

（評価）
実験例１及び２において、※Ａで示したように、流路抵抗が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３の範囲外であると、噴射試験評価が不良となった。また、※Ｃで示したように、ノズル径が１５〜２５μｍの範囲外であると、噴射試験評価が不良となった。なお、※Ｂで示したように、使用したインク粘度が２．５〜３．０ｍＰａ・ｓの範囲外となると、噴射試験評価が不良となることがわかった。従って、ノズル径を１５〜２５μｍとし、かつインク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａのインクを通過させたときの当該インクヘットヘッドのインク流路の流路抵抗が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるような構成したインクジェットヘッドと、粘度が２．５〜３．０ｍＰａ・ｓとなるインクジェット記録用インクとを組み合わせることで、数ｐｌの小さい液滴を安定して噴射することが可能となる。

本発明によれば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドのノズル径を、高解像度画像の形成に対応できるように微少化した場合であって、吐出不良を生じず、安定してインクを噴射できるインクジェットヘッド及びそのインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供される。

本発明のインクジェット記録装置に適用されるインクジェットヘッドの斜視図である。インクジェットヘッドの分解斜視図である。キャビティユニットの拡大分解斜視図である。図１のＩＶ−ＩＶ線矢視拡大断面図である。圧電アクチュエータの断面図である。図１のＩＶ−ＩＶ線矢視拡大断面図の変形例である。

符号の説明

１キャビティユニット
２圧電アクチュエータ
３フレキシブルフラットケーブル
４ノズル
７共通インク室
３６圧力室
４０接続流路
４０ａ絞り部
４１〜４３圧電シート
４４個別電極
４６コモン電極
４８表面電極
１００インクジェットヘッド

Claims

インク室、該インク室と接続流路で連通している圧力室、該圧力室に連通し、インクを噴射するためのノズル、及び該圧力室中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータを有し、該インク室の先から該ノズルの先端までの間でインク流路を構成しているインクジェットヘッドにおいて、該ノズルの先端の開口径が１５〜２５μｍであり、該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように、該接続流路に絞り部が設けられている請求項１記載のインクジェットヘッド。
該ノズルが黒インク用ノズルとカラーインク用ノズルとからなり、黒インク用ノズルの先端の開口径がカラーインク用ノズルの先端の開口径以上である請求項１又は２記載のインクジェットヘッド。
黒インク用ノズルの先端の開口径が１８〜２５μｍであり、カラーインク用ノズルの先端の開口径が１５〜２０μｍである請求項３記載のインクジェットヘッド。
インク室、該インク室と接続流路で連通している圧力室、該圧力室に連通し、インクを噴射するためのノズル、及び該圧力室中のインクに吐出圧力を印加するための圧電アクチュエータを有し、該インク室の先から該ノズルの先端までの間でインク流路を構成しているインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、該ノズルの先端の開口径が１５〜２５μｍであり、該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
該インク流路に粘度２．５〜３．０ｍＰａ・ｓのインクを通過させたときの該インク流路の流路抵抗値が５０〜１００ｋＰａ・ｓ／ｍｍ^３となるように、該接続流路に絞り部が設けられている請求項５記載のインクジェット記録装置。
該ノズルが黒インク用ノズルとカラーインク用ノズルとからなり、黒インク用ノズルの先端の開口径がカラーインク用ノズルの先端の開口径以上である請求項５又は６記載のインクジェット記録装置。
黒インク用ノズルの先端の開口径が１８〜２５μｍであり、カラーインク用ノズルの先端の開口径が１５〜２０μｍである請求項７記載のインクジェット記録装置。
更に、黒インクを収容した黒インクカートリッジと、カラーインクを収容したカラーインクカートリッジとを備え、黒インクの粘度がカラーインクの粘度以下である請求項５〜８のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
黒インクの粘度が２．５〜２．７ｍＰａ・ｓであり、カラーインクの粘度が２．７〜３．０ｍＰａ・ｓである請求項９記載のインクジェット記録装置。
黒インクの着色剤が顔料であり、カラーインクの着色剤が染料である請求項９又は１０記載のインクジェット記録装置。