JP2007185867A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録ヘッドの吐出安定性と、普通紙印刷においても高画質が得られるインクジェット記録方法の提供。
【解決手段】水性インクが水溶性有機溶剤の総量が全インクの50質量%以上90質量%未満であり、水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上90質量%未満含有し、かつ印字中に、該インクジェット記録ヘッドのインクを吐出しない休止ノズルのメニスカスに、インク吐出電圧の0.3〜0.9倍の電圧で微振動を与え、その後、該休止ノズルからインク滴の吐出を開始する時、吐出を開始する0.5〜2.0AL(1AL:Acoustic Length 音響的共振周期の1/2)時間以前に該休止ノズルの微振動を停止して、該水性インクを吐出するインクジェット記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関し、詳しくはインクジェット記録ヘッドの吐出安定性と、普通紙印刷においても高画質が得られるインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御するインクジェット記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェット画像記録システムでは、用いることのできる記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップ等が問題となる。
一方、オフィスにおいては、記録媒体(例えば、普通紙、コート紙、アート紙)の制約を受けずに高速でフルカラー印字が行えるシステムのニーズが益々高まりつつある。
特に安価であり、また入手が容易である普通紙(例えば、PPC用紙、印刷用非塗工紙など)に対して高画質な印刷を高速に行うことが望まれているが、普通紙印刷では水性インクを使用した場合には文字画質、画像にじみ、低い反射濃度、印刷後のカール、コックリング等の課題がある。油性インクを使用した場合にはカール、コックリングについては問題ないが、水性インクよりも劣る文字画質、激しいにじみ、低い反射濃度等の課題がある。また、両面印刷行う場合には裏抜け(プリントスルー)も大きな課題である。このような普通紙印刷の課題を解決するためにインクの組成を始めとして種々の検討が行われてきた。
水性インクに対する改良方法の一つとして、分子量8万から25万相当のビニルピロリドンとアクリル酸共重合ポリマーを含有するインクにより普通紙印刷時の画像にじみやインクの裏抜けを改善する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法ではノズルプレートに着いたインクをワイピング操作で拭き取る際に、(添加されている超高分子量のポリマーがノズルプレートにこびり付き易いため)拭き残りが発生し易く、これを原因とした液滴着弾位置のずれによる画像劣化が生じ易いという問題があった。
また別の方法として、アルギン酸またはアルギン酸塩を含有するインクにより普通紙印刷時のフェザリング、ブリーディング、裏抜けを軽減させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法ではインクに含有するアルギン酸またはアルギン酸塩と普通紙に含有するカルシウムやアルミニウム等の多価金属カチオンが反応してゲル化増粘することによりフェザリング、ブリーディング、裏抜けが改良される。しかしながら、普通紙中のカルシウムやアルミニウム等の多価金属イオンは必須成分ではなく、不純物として含有するものであり、紙の銘柄によって含有量が異なり、中には極度に含有量の小さい普通紙も存在する。したがって、印刷する紙の銘柄によりこれらの効果の大きさが依存し、紙の銘柄に拠っては十分な効果が得られないという問題があった。
こうした普通紙適性のある印刷分野では、高速印刷適性が求められるが、インクの出射安定性等の出射性が重要となる。インクの出射性を改良する他の方法として、インク液滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させて、出射安定性を実現させる方法が提案されている。
例えば、記録ヘッドを搭載したキャリッジが移動する間に、ノズルのメニスカスを微振動させる方法(例えば、特許文献3を参照)、印字休止時に、完結的にノズルのメニスカスを微振動させる方法(例えば、特許文献4を参照)、顔料インクを用いて、インク液滴を出射しない程度にインクメニスカスを振動させる方法(例えば、特許文献3を参照)が、更に、印字の際に、非印字領域でメニスカス部に微振動信号を与えた後、残留信号を減衰するインターバル時間を置いた後に印字する方法(例えば、特許文献4を参照)が提案されている。
しかしながら、上記いずれの方法においても、ある程度の出射安定性を得ることはできるが、形成した画像の文字品質や裏抜け性、カール特性および連続出射性、間欠出射特性を同時に満足する方法は知られていないのが現状である。
特開平10−1629号公報 特開2003−176432号公報 特開2000−255056号公報 特開平10−119271号公報
本発明の目的は、インクジェット記録ヘッドの吐出安定性と、普通紙印刷においても高画質が得られるインクジェット記録方法(以下、単に記録方法ともいう)を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも水と水溶性有機溶媒と顔料を含有する水性インクを、インクジェット記録ヘッドより吐出するインクジェット記録方法において、該水性インクが水溶性有機溶剤の総量が全インクの50質量%以上90質量%未満であり、水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上90質量%未満含有し、かつ印字中に、該インクジェット記録ヘッドのインクを吐出しない休止ノズルのメニスカスに、インク吐出電圧の0.3〜0.9倍の電圧で微振動を与え、その後、該休止ノズルからインク滴の吐出を開始する時、吐出を開始する0.5〜2.0AL(1AL:Acoustic Length 音響的共振周期の1/2)時間以前に該休止ノズルの微振動を停止して、該水性インクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
2.微振動を停止してから0.7〜1.5AL時間経過してから、前記水性インクの吐出を開始することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録方法。
3.前記インク吐出電圧に対する微振動電圧の比が、0.4〜0.6であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録方法。
4.前記インクジェット記録ヘッドの駆動周波数が、15kHz以上であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
本発明によるインクジェット記録方法はインクジェット記録ヘッドの吐出安定性と、普通紙印刷においても高画質が得られ、優れた効果を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の記録方法で用いるインクは水性インクであるが、こうしたインクを用いる場合はしばしばヘッドからの出射安定性などが不安定となる。以下に説明する記録ヘッドの駆動方法では、間欠出射安定については改善されていたが、連続出射性の課題については十分とは言えなかった。本発明は、こうした問題を低減するため、インク組成に対する工夫と同時に記録ヘッドの駆動方法についても検討した結果、この問題の解消が可能となった。これは、連続出射性がヘッドノズル周辺のインクの濡れ性とインク液物性と関係があり、インク組成起因と吐出時と非吐出時(休止時)を含めたヘッドの駆動条件に関連する課題であり、それらをインク組成とヘッド駆動条件の最適化により達成された。
また本発明では、インクの吐出安定性(吐出するしない)だけでなく、吐出後のインク液滴がキチンと形成し、インク飛び散りなどの発生がなく着弾後の文字品質等の向上するという効果も得られた。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット画像形成装置について説明する。
本発明のインクジェット記録方法においては、印字中、休止ノズルのメニスカスを、インク吐出電圧の0.3〜0.9倍の電圧で振動させ、休止ノズルから吐出を開始する時、0.5〜2AL(Acoustic Length 音響的共振周期の1/2)時間以前に振動を停止して、残留振動が完全に静止してから、インクを吐出することが特徴である。この最適時間は、インク粘度の変化やヘッドのバラツキがあるので、実際に時間を変えて、吐出して、その画像から決定するのがよいが、好ましくは0.7〜1.5ALである。
本発明のインクジェット記録方法で、水性インク(以下、単にインクともいう)を吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドあるいはヘッドともいう)はオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。
また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(シングルキャビティ型、ダブルキャビティ型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等何れの吐出方式を用いても構わないが、好ましくは、ピエゾ方式を用いたヘッドが好ましい。
以下、図を用いて、本発明のインクジェット記録方法の詳細について述べるが、本発明は例示する図に記載の構成のみに限定されるものではない。
図1は、インクジェット記録装置の主要構成の一例を示す概略図である。
インクジェット記録装置1は、記録媒体2にインクを吐出し印字を行うものであり、その印字を行う部分の主要構成として、図1に示すように、記録媒体2を印字時に前方へ搬送させる搬送手段(図示省略)と、記録媒体2にインクを吐出する記録ヘッド(ヘッド)3と、複数色毎の記録ヘッド3を収納するキャリッジ4と、記録ヘッド3のメンテナンスを行う吸引キャップ5A及びブレード5Bを有するメンテナンスユニット5と、印字時或いはメンテナンス時等にキャリッジ4を主走査方向(矢印A)に沿って案内するガイドレール6と、前記キャリッジ4の待機所となる保湿キャップ8を有するホームポジション7と、これら各部の制御を行う制御部(図示省略)とを備えている。Cはインクカートリッジ、インクカートリッジCから送られた各インクは一旦サブタンクTに蓄えられたうえ、供給弁Vを通して、インク供給路Pを通って記録ヘッドに送られる構成となっている。
記録媒体の搬送手段は、印字時において、キャリッジ4の動作にタイミングを合わせて、記録媒体2を印字領域9上で搬送し、印字の終了に応じて、記録媒体2は印字領域から下方(矢印B)に向かって搬送される。
ホームポジション7には、記録ヘッドのノズル面を保湿する保湿キャップ8が、記録ヘッド3と同数設けられており、キャリッジ4の待機中においては、記録ヘッド3のノズル面を覆って密閉している。
図2は、本発明に用いられるインクジェット記録装置のインクジェットヘッド部の一部破断面を有する分解斜視図であり、図3は、図2に記載のA−A′に沿ったインクジェットヘッドの概略断面図である。
図中、11は圧電素子、12は溝、13は電極膜、14は隔壁、15は共通インク室、17はリード配線部、18は蓋、19はインク室、20はノズルプレート、21はノズル開口、22はインク供給孔、24は上板、25はインク供給口、26はヒータ、27はヒータ電源、28は伝熱部材である。
圧電材であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)による下部基板11bと上部基板11aを積層して圧電素子1が形成されており、下部基板11bと上部基板11aは逆方向に分極している。上部基板と下部基板にまたがって複数の細長い溝12を形成する。これにより複数の平行な隔壁14と溝12が形成される。
複数の溝の内面には蒸着により電極膜13が設けられており、電極膜13の表面には絶縁膜16がコーティングされている。隔壁14の上部には蓋18が接着され、基板11の端部には一部を段加工して段部36が形成され、隔壁14の端部に封溝片35が取りつけられ、その末端には電極膜13に接続したリード部17が露出している。
溝12の開口するもう一方の端面にはノズル開口21を有するノズルプレート20が設けられ、ノズル開口は各インク室に対応して設けられている。蓋18の上部には共通インク室15を有し、各インク室に連通するためのインク供給孔22が設けられている。溝12は1つおきにノズル開口21とインク供給孔22を有し、蓋18の上部にはインク供給口25を有する上板24が共通インク室15を覆っている。
また、蓋18の上部には伝熱部材28を介してヒータ26が設けられ、ヒータ電源27が接続されている。伝熱部材28はノズル面にまわり込んで設けられており、伝熱部材28はヒータ26からの熱を効率良くインク流路に伝え、かつ、ヒータ26からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としている。従って、伝熱部材28は熱伝導率のよい材料が用いられ、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅等の金属、あるいは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
本発明においては、微小滴を印字速度を低下することなく印字するため、インクジェット記録ヘッドの駆動周波数として、15kHz以上であることが好ましく、より好ましくは30kHz以上、特に好ましくは35〜100kHzである。
次いで、休止ノズルのメニスカスに、微振動を掛ける理由を説明する。
近年のインクジェット記録装置では、高画質、高鮮鋭画像を得る観点から、吐出するインク滴を微粒子化したり、後述のインクで詳述するように、インクに顔料やポリマーを加えるケースが多くなってきたが、このようなインクを用いた場合には、インクを吐出しない時に、ノズル開口面から水分や有機溶剤が蒸発することにより、メニスカス先端部のインクが局所的に増粘し易くなり、極めて短い時間インクの吐出を中断しても、吐出再開時には初発の速度が低下したり、最初の数滴のインク液滴の質量、速度や方向が変化して、画質が著しく低下する。
一般に、ノズル径は20〜40μm程度で、ノズルの開口面積は極めて小さいため、極く少量の水分や有機溶媒の揮発により、ノズル開口面にあるインクの粘度が局所的に急上昇する。
印字中に、休止ノズルからのインク吐出を中断している時、ノズル開口面からインク中の水分や溶剤が蒸発すると、局所的にインクの粘度が増大し、吐出再開時、最初から正常に吐出せず、画質が大きく損なわれることがある。特に、ラテックスやポリマーを含むインクは、粘度が上昇し易く、吐出を極く短時間、例えば、秒のオーダーで中断しただけでも、ノズルの開口面から、極微量の水分や溶剤が蒸発すると、ノズル表面にあるインクの粘度が局所的に急上昇し、吐出再開時、最初の数滴の、吐出方向、吐出量や吐出速度等が低下して、画像が乱れことがある。
特に、ポリマーを含むインクは、極微量の水分が蒸発しても、ノズルの開口面に薄い皮膜を形成し、この薄膜に妨げられて、吐出量が大幅に低下したり、次の吐出ができなくなる場合も起こる。
また、顔料粒子を含む顔料インクは、ノズル開口から極微量の水分や溶剤が蒸発すると、局所的に顔料の凝集が起こることもある。
更に、高解像度の画像を得るため、吐出滴の大きさが、従来に比べて1/5〜1/10と微小化したので、ノズル開口で局所的に増粘したインクが、吐出により、持ち去られる速度が遅くなり、粘度の低いバルクのインクで置換されにくく、吐出中断により生じた吐出不良が、簡単には解消しなくなった。特に、低湿度環境では、水や溶剤等が揮発し易く、吐出不良を起こしやすい。
インク滴を微粒子化し、また、インクに顔料やポリマーを添加したことにより、高画質で高耐久性の画像が得られる様になったが、反面、インク中の固形物の濃度が、従来に比べて、増大したため、極く短時間吐出を中断しても、吐出再開時、最初から、正常に吐出しなくなり、対策が必要となった。
ノズル開口からのインク成分の蒸発を防ぐため、インクに高沸点有機溶剤等が添加されているが、ポリマーや顔料を高濃度で含む高性能インクは、ノズル開口における水分や有機溶媒の揮発によりインク粘度が上昇し易く成っており、高沸点有機溶媒を添加しただけでは、ノズル表面に於けるインク粘度の上昇を十分に防止できない。
上記課題に対し、インクのメニスカスを微振動させて、ノズル開口で局所的に増粘したインクの粘度を下げる方法が有効である。
図4は、ノズル開口近傍を拡大して示す概略図であって、微振動を行ったときの一連の様子を示す図である。
図4の(a)に示すように、通常、ノズル開口21に形成されたメニスカス部51では、インク休止時にインク表面からの有機溶媒、水等の伴い、前述のようにインク粘度変動、顔料濃度変動、皮膜形成等により、相分離を起こす。この結果、出射不良や画像濃度変動を引き起こす結果となる。
本発明は、印字中、インクを吐出しない休止ノズル開口21のメニスカス部をインクが吐出しない程度で振動させ、休止ノズルから吐出を開始する時、メニスカスの振動が十分静止してから、吐出開始する。もし、メニスカスの振動が収ままらない内に、吐出すると、吐出滴の体積が一定せず、画像が著しく劣化する恐れがある。
すなわち、インク非吐出の休止ノズルで、図4の(b)及び(c)で示すように、インク液滴が吐出しない程度の駆動パルスで圧電素子を駆動させて、メニスカス部51に微振動を与えて、休止時の乾燥等によるインク増粘を防止するものである。図4の(d)は、微振動によりインクのメニスカス部51が他の領域と同一特性になった状態を示すものである。
微振動を付与する方法としては、圧電素子にインクを吐出しない程度の電圧を掛けて、インク室の収縮(膨張)→膨張(収縮)→収縮(膨張)を繰り返し、インクメニスカスを振動させればよい。インクメニスカスが振動すれば、メニスカス表面で増粘したインクが、増粘していないバルクのインクと混合され、増粘の問題は解決する。
インク室を圧縮(膨張)すると、インク室内に発生した正(負)の圧力が、ノズル端とマニホールド端から、インクを押し出す(引き込む)。これと入れ替わりに、ノズル端とマニホールド端に負(正)の圧力波が発生し、それぞれ、他端に向かって、音速で伝搬する。
圧力室の長さをL、音速をcとすると、この圧力波がインク室の端から端まで伝搬するのに要する時間(L/c)を、そのインク室のAL(Acoustic Length 音響的共振周期の1/2)と呼ぶ。例えば、インク室の長さを1mm、インク中の音速を1km/sとすると、1AL=1μsecとなる。1AL経過すると、それぞれの波がインク室の他端に到達して、インク室全体が均一な負(正)圧になる。引き続き、マニホールド端とノズル端に達した圧力波が、それぞれ反射されて、反転して、正(負)の圧力波となり、音速で他端に向かって伝搬する。1AL後、それぞれの波が他端に達し、インク室全体が均一な正(負)圧になる。
この様に、インク室を圧縮して、インク室内に発生した圧力は、1AL毎に反転を繰り返しながら減衰してゆくので、インク室を圧縮(膨張)して、そのまま保持し、2AL後に圧力波が元の正(負)の圧力に戻った時、インク室の収縮(膨張)を元に戻せば、インク室内に、負(正)の圧力が発生するので、インク室内に残留する正(負)の圧力をキャンセルできる。
本発明に係るメニスカスの微振動は、印字中の休止ノズルのメニスカスの微振動であり、吐出信号から非吐出ノズルを検出して、選択的に揺動を掛ける必要がある。
次いで、印字中に、休止ノズルに微振動を与える方法を説明する。
シェアーモードヘッドの吐出原理は、インク室の側壁の両側に設けた、電極に掛かる電圧が相違する時、この差電圧に応じて壁が変形するので、吐出しない時は、全チャンネルの電極に同じタイミングで同じ信号、例えば、2AL幅の電圧を掛けておくと、差電圧が発生しないので、壁が変形することはない。
吐出する時は、吐出したいチャンネルの電極に掛ける電圧のタイミングと長さをずらせて差電圧を発生して、壁を変形させる。
また、インクチャンネルの壁を隣のチャンネルと共有しているので、あるチャンネルから吐出する時、その両隣のチャンネルから同時に吐出することができない。クロストークを防ぐため同時に吐出できるチャンネルは、2チャンネル以上離す必要があり、全チャンネルをa、b、cの3群に分けて、順次吐出する3サイクル吐出が行われる。
図5は、印字中に、休止ノズルに微振動を付与する方法の一例を示す模式図である。
印字中に、休止ノズルのメニスカスを微振動させる方法は、吐出信号から休止ノズルを検出して、選択的に揺動信号を掛ける。
シェアーモードヘッドは、壁を隣りのインク室と共用しているので、一つの溝から吐出すると、その両隣の溝も影響を受けてメニスカスが振動するので、一つの溝からインクを吐出すると、その両隣は休止していても、微振動が自動的に掛かるので、微振動を掛ける必要がない。連続する3チャンネル全てが休止している時、その中央のチャンネルに微振動を掛ければ良い。
例えば、a、b、cの3チャンネルが全て非吐出状態の時、2AL幅のパルスが同じタイミングで掛かっているので、bチャンネルのパルスを接地すれば、a−b間、b−c間に差電圧が発生して、壁が撓み、a、b、cの3チャンネルに微振動が掛かる。この様に、印字内微振動は、吐出パルスと類似した方法で作るので、印字中に微振動を行っても、印字速度が低下することはない。
以下、本発明のインクについて詳細に説明する。
本発明の溶剤組成としては、少なくとも水を含有し、且つ水溶性有機溶剤の総量が全インクの50質量%以上90質量%未満であり、水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有する。さらには、SP値が16.5以上22.5未満の水溶性有機溶剤の総量をインクの30質量%以上とすることが好ましい。この範囲のインク組成であると上記カールや裏抜け性だけでなく、ヘッド駆動における液物性やヘッド周辺の濡れ性が良好となって連続出射性を向上させると推定している。
また、このような組成の範囲のインクと前記駆動条件の場合、吐出したインク液滴が非常に安定しかつ飛び散りも低減することで、文字品質が非常に向上したと考えている。
本発明でいう溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を用いる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載のないものについては、沸点から蒸発熱を求めて算出することができる。
以下、SP値が16.5以上24.6未満に該当する水溶性有機溶剤の例をSP値と共に示す。いうまでもなく本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のインクはSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上含有する。50質量%以上含有するのが更に好ましい。この添加量が30質量%未満であると、普通紙記録時のカール、コックリングが極めて大きくなる。
また、この有機溶剤のSP値も16.5未満では、水との相溶性が悪くなり分離が生じる。逆にSP値が24.6以上の有機溶剤ではカール抑制効果が不十分である。
この有機溶剤のSP値の範囲は20.0以上22.5未満であることが更に好ましい。
本発明でいう溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors, Polymer Engineering Science, 14, p147(1974)に記載の方法で計算することができる。単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。
以下、SP値が16.5以上24.6未満に該当する水溶性有機溶剤の例をSP値と共に示す。いうまでもなく本発明はこれに限定されるものではない。
エチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:24.5)
エチレングリコールモノエチルエーテル(23.5)
エチレングリコールモノブチルエーテル(22.1)
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(22.3)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(23.0)
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
ジエチレングリコールジエチルエーテル(16.8)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(22.1)
トリエチレングリコールモノエチルエーテル(21.7)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
プロピレングリコールモノメチルエーテル(23.0)
プロピレングリコールモノフェニルエーテル(24.2)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(20.4)
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(21.8)
本発明ではSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤に加えて各種水溶性有機溶剤を併用して水溶性有機溶剤の総量としてインク全量の50質量%以上90質量%未満とすることができる。以下に水溶性有機溶剤の例を示す。
好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
また、水は、全インク中の10〜45質量%であることが好ましい。水が10質量%以上存在することで、裏抜け性に対して好ましく、水が45質量%以下存在することでカール抑制の観点から好ましくなる。
本発明のインク中のアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)の総量は500ppm未満が好ましい。500ppm以上では保存中に顔料、あるいは金属酸化物コロイドの凝集やインク粘度の上昇が起こるなど、インク保存性が劣化する。
インク中のアルカリ金属は界面活性剤や顔料分散剤の塩として、持ち込まれることが多い。したがって、アルカリ金属を制御するため、インク製造時に、イオン交換水を使用することはもちろんであるが、これ以外に界面活性剤を使用する場合にはノニオンの界面活性剤を使用する。顔料の分散で使用する分散剤としては有機塩基で中和された分散剤を使用する。
この顔料の含有量はインク全質量に対して0.1質量%以上12質量%未満である。
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料はインクの中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては、自己分散、活性剤分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散の何れでも良いが、ポリマー分散、マイクロカプセル分散が定着性の点から特に好ましい。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C
.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げ
られる。市販されているMA7、MA100、MA600なども有用である。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
以上の他にレッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には以下の顔料を単独あるいは併用して用いることが好ましく、例えば
C.I.Pigment Red;209、224、177、194、
C.I.Pigment Orange;43、
C.I.Vat Violet;3、
C.I.Pigment Violet;19、23、37、
C.I.Pigment Green;36、7、
C.I.Pigment Blue;15:6、
等が用いられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明の記録駅に使用する顔料分散体の平均粒子径は、50nm以上200nm未満であることが好ましい。顔料分散体の平均粒子径が50nm未満あるいは200nm以上では顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来るが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
本発明で用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散が100nm前後の平均粒子径を狙った分散を行った時の粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。さらに、このビーズ径としては0.1mm以上0.5mmが好ましい。
本発明の顔料を分散するポリマー分散剤としては例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいは、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
上記分散剤の中和塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無期塩基でなく、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機塩基であることが好ましい。
また、本発明において、顔料分散剤の添加量としては、顔料に対し10〜100質量%であることが好ましい。
さらには、分散時の添加剤として界面活性剤を用いることができる。本発明に用いられる界面活性剤としてはカチオン性、アニオン性、両性、ノニオン性のいずれも用いることができるが、分散安定性の点からノニオン性界面活性剤を使用することが特に好ましい。
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
本発明のインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び
同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
上記構成からなる本発明のインクは、インクの表面張力としては、25℃で25〜40mN/mであることが好ましく、より好ましくは25〜35mN/mであり、更に好ましくは30〜35mN/mである。また、インク粘度としては、25℃で1〜40mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40mPa・sであり、更に好ましくは5〜20mPa・sである。
また、本発明のインク中の溶存酸素濃度は、25℃で2ppm以下であることが好ましく、この溶存酸素濃度条件とすることにより、気泡の形成を抑制することができ、高速印字においても出射安定性に優れたインクジェット記録方法を実現することができる。インク中に溶存している溶存酸素を測定する方法としては、例えば、溶存酸素測定装置DO−14P(東亜電波(株)製)を用いて測定することができる。
本発明のインクジェット記録方法で用いる普通紙としては、特に制限はなく、その構成としては、LBKP及びNBKPに代表される化学パルプ、サイズ剤及び填料を主体とし、その他の抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙されたものである。本発明に係る普通紙に使用されるパルプ材としては、機械パルプや古紙再生パルプを併用してもよいし、又、これらを主材としても何ら問題はない。
本発明に係る普通紙に内添されるサイズ剤としては、例えば、ロジンサイズ、AKD、アルニケル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、カチオン澱粉及びアクリルアミド等が挙げられる。
また、本発明に係る普通紙に内添される填料としては、例えば微粉珪酸、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、カオリン、カオリナイト、ハロイサイト、ナクライト、ディッカイト、パイロフィライト、セリサイト、二酸化チタン、ベントナイト等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクを用いた画像形成方法においては、例えば、インクジェットインクを装填したプリンター等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッドよりインクを液滴として吐出させ普通紙に付着させることでインクジェットプリントが得られる。
本発明のインクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
その中でも、本発明のインクジェット記録方法においては、本発明のインクを25μm以下のノズル径を有するピエゾ型インクジェット記録ヘッドから吐出させて、普通紙に記録を行うこと、更に、25μm以下のノズル径を有するラインヘッド方式のピエゾ型インクジェット記録ヘッドから吐出させて、普通紙に記録を行うことを特徴とする。
特に、本発明のインクジェット記録方式においては、普通紙の両面に画像印字を行うことを1つの特徴としている。
両面印字は、片面に印字した後に普通紙を裏返し、印字面を下にして搬送することが多いが、本発明のインクは前記特性を有しているため、両面に印字しても裏抜けや文字の滲みがないため、いずれの面でも高濃度で文字品質に優れ、また、搬送不良が生じたり搬送ベルトがインクで汚染されることがない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
顔料分散液A〜顔料分散液Eの調製
表1に記載の組み合わせで、着色剤、水溶性有機溶剤、分散用樹脂及び水を混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にポリプロピレン製のポリ瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散し、黒色顔料濃度が15%の顔料分散液A〜顔料分散液Eを得た。
Figure 2007185867
ジョンクリル501:高分子分散剤ジョンクリル501(ジョンソンポリマー社製)
ジョンクリル60:高分子分散剤ジョンクリル60(ジョンソンポリマー社製)
BYK190:シリコーン系分散剤BYK190(ビックケミ−ジャパン社製)
EFKA4570:高分子分散剤EFKA4570(EFKA社製)
〔インクの調製〕
下記の顔料分散液、水溶性有機溶剤、水を添加してよく攪拌を行った。続いて、この液体を#3500メッシュの金属フィルターで濾過し、中空糸膜による脱気を行いインクを調製した。
顔料分散液(表2記載の種類) 26.7%(着色剤4.0%)
水溶性有機溶剤(表2に記載の種類) 表2に記載の添加量
上記各添加剤を混合した後、水を加えて100%に仕上げた。
(水溶性有機溶媒)
DPGME:ジプロピレンプリコールモノメチルエーテル
TPGME:トリプロピレンプリコールモノメチルエーテル
TEGME:トリエチレングリコールモノメチルエーテル
EG:エチレングリコール
《インクジェット画像形成》
ノズル孔径20μm、駆動周波数30kHz、インク液滴量4.0pl、1色当たりのノズル数128、ノズル密度180dpi(dpiは2.54cmあたりのドット数を示す)で、最大記録密度720×720dpiの図1〜3の構成からなるインクジェットプリンターに、上記調製した各インクを装填し、下記の方法に従って記録ヘッドのメニスカス部に微振動を付与して、画像を作成した。
(微振動の付与方法)
印字範囲内の吐出電圧に対する休止ノズルへの微振動電圧の比と休止ノズルからインク滴の吐出を開始するまでの時間(AL)は表1のように設定した。
印字範囲内の微振動は、図5に示す方法に従って、吐出信号から、非吐出ノズルを検出して、選択的に揺動信号を掛けた。シェアーモードヘッドは、インク室の側壁を隣りのインク室と共有しているので、3サイクル吐出を行った。
(文字品質の評価)
大昭和製紙社製のしらおい紙(64g/m2)にブラックインクで4ポイントMS明朝体文字を印字し、その印字画像について文字のガサツキ及び各色1ドットの形状をルーペで拡大観察し、下記の評価基準に則り文字品質の評価を行った。
◎:ガサツキがなく、ドット形状も真円である
○:僅かにガサツキが認められるが、ドット形状は真円である
△:ガサツキが認められ、ドット形状もやや乱れているが、許容の範囲である
×:ガサツキが認められ、ドット形状も悪く、実用上問題となるレベル。
××:ガサツキ、ドット形状共に極めて悪い。
(裏抜け耐性の評価)
大昭和製紙社製のしらおい紙(64g/m2)にインク付着量が10ml/m2、画像サイズ200×280mmの条件で、ベタ画像し、温度23℃、30%RHの部屋に印刷面を上に1日間平置きして乾燥させ、画像を作成した。
前記の普通紙に印字した試料の裏面を目視観察し、下記の基準に従って裏抜け耐性の評価を行った。
◎:裏面にインクの滲み、裏抜けが全く認められない
○:裏面にインクの滲み、裏抜けが僅かに認められる程度であり許容される品質である
△:裏面にインクの滲み、裏抜けがやや認められるが、裏面印刷に際し気にならない程度である
×:裏面にインクの滲み、裏抜けがかなり認められ、裏面印刷に際し許容されない品質である
××:明らかな裏面へのインクの滲み、裏抜けが認められ、裏面印刷に対しては不適の品質である
《印字後のカール特性の評価》
23℃、30%RHの環境下で、大昭和製紙社製のしらおい紙(64g/m2)にインク付着量が10ml/m2、画像サイズ200×280mmの条件で、ベタ画像し、平らな台上で印字面を上にして1週間放置し、次いで四隅の浮き上がり高さを測定した。なお、中央部が浮き上がる負カールの試料については、上下を逆にして更に1日放置した後、四隅の浮き上がり高さを測定した。以上のようにして四隅の浮き上がり高さを測定し、下記の基準に従って、カール特性を評価した。
◎:ほとんど平坦で、四隅で最も浮いている箇所でも、浮き上がり高さが5mm未満である
○:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが5mm以上、10mm未満である
△:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが10mm以上、20mm未満である
×:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが20mm以上、50mm未満である
××:四隅で最も浮いている箇所の浮き上がり高さが50mm以上、または円筒状に丸まってしまい、測定不可である
(連続吐出性の評価)
23℃、30%RHの環境下で吐出する条件で、クリーニングをせずに1時間連続して吐出を続けた後の状態を目視観察し、下記に示す基準に従って吐出安定性を評価した。
◎:全ノズルから正常に出射
○:1〜3ノズルに目詰まりが見られるが、ノズル面からの吸引クリーニングにより回復
△:4ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが1ノズル発生するが、実用上許容できる範囲にある
×:7ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが2ノズル発生
××:10ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが3ノズル以上発生
(間欠出射安定性の評価)
23℃、30%RHの環境下で吐出する条件で、10秒間連続吐出→一定時間休止→連続吐出の間欠動作を行った。この際、吐出休止後の最初で吐出方向の乱れが発生するか否かは休止時間の長さで決まるので、吐出休止時間の長さを段階的に変えることにより間欠吐出の安定性を測定し、以下の基準で評価した。
◎:31〜45秒休止しても安定に吐出した
○:21〜30秒休止しても安定に吐出した
△:11〜20秒休止しても安定に吐出した
×:6〜10秒休止しても安定に吐出した
××:5秒以下しか安定吐出しなかった
Figure 2007185867
インクジェット記録装置の主要構成の一例を示す概略図である。 本発明に用いられるインクジェット記録装置のインクジェットヘッド部の一部破断面を有する分解斜視図である。 本発明に用いられるインクジェットヘッドの概略断面図である。 ノズル開口近傍を拡大して示す概略図であって、微振動を行ったときの一連の様子を示す図である。 印字範囲内で微振動を付与する方法の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2、30 記録媒体
3 記録ヘッド
11 圧電素子
13 電極膜
14 隔壁
15 共通インク室
19 インク室
20 ノズルプレート
21 ノズル開口
25 インク供給口
31 インク液滴
51 メニスカス部

Claims (4)

  1. 少なくとも水と水溶性有機溶媒と顔料を含有する水性インクを、インクジェット記録ヘッドより吐出するインクジェット記録方法において、該水性インクが水溶性有機溶剤の総量が全インクの50質量%以上90質量%未満であり、水溶性有機溶剤のうちSP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を全インクの30質量%以上90質量%未満含有し、かつ印字中に、該インクジェット記録ヘッドのインクを吐出しない休止ノズルのメニスカスに、インク吐出電圧の0.3〜0.9倍の電圧で微振動を与え、その後、該休止ノズルからインク滴の吐出を開始する時、吐出を開始する0.5〜2.0AL(1AL:Acoustic Length 音響的共振周期の1/2)時間以前に該休止ノズルの微振動を停止して、該水性インクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 微振動を停止してから0.7〜1.5AL時間経過してから、前記水性インクの吐出を開始することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インク吐出電圧に対する微振動電圧の比が、0.4〜0.6であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記インクジェット記録ヘッドの駆動周波数が、15kHz以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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