JP2013240933A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013240933A
JP2013240933A JP2012115874A JP2012115874A JP2013240933A JP 2013240933 A JP2013240933 A JP 2013240933A JP 2012115874 A JP2012115874 A JP 2012115874A JP 2012115874 A JP2012115874 A JP 2012115874A JP 2013240933 A JP2013240933 A JP 2013240933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pixel
drive
waveform
drive waveform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012115874A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5820769B2 (ja
Inventor
Tokuaki Furukawa
徳昭 古川
Takashi Somete
隆志 染手
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2012115874A priority Critical patent/JP5820769B2/ja
Publication of JP2013240933A publication Critical patent/JP2013240933A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5820769B2 publication Critical patent/JP5820769B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】非吐出画素が連続した後の先頭吐出画素におけるノズルからのインク吐出を安定して行うことができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】セレクター30は、ラインバッファー29に格納されたNライン分の画像の駆動波形選択データ(ii)の階調値が全て0であり、ラインバッファー29に送信されてくるN+1ライン目の画像の駆動波形選択データ(ii)の階調値が0でない場合は、ラインバッファー29に格納されたNライン分の画像の駆動波形として、インク吐出は行わずにメニスカス揺動のみを行う第3駆動波形(3)を選択する。また、11ライン目の画像の駆動波形として、各画素の階調に対応した先頭吐出画素用駆動波形である第4駆動波形(4)または第5駆動波形(5)を選択する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ファクシミリ、複写機、プリンター等の記録装置において、用紙等の記録媒体にインクを吐出することによって記録を行うインクジェット記録装置に関するものであり、特にインクを吐出する記録ヘッドの回復に関するものである。
ファクシミリ、複写機、プリンター等の記録装置は、紙、布、OHP用シート等の記録媒体に画像を記録するように構成されているが、記録を行う方式により、インクジェット式、ワイヤードット式、サーマル式等に分類することができる。また、インクジェット記録方式はさらに、記録ヘッドが記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型と、装置本体に固定された記録ヘッドにより記録を行うラインヘッド型に分類することができる。
このようなインクジェット記録装置では、印字待機時や連続印字中の紙間における各吐出ノズル、或いは、印字中に使用されない吐出ノズル等の、ノズル面にキャップが装着されておらず、且つ非吐出の状態の吐出ノズルにおいて、ノズル内のインクから水分が蒸発してインクの増粘が発生する。その結果、その後にインクを吐出しようとした時に、印字が乱れたり不吐出が発生したりするという問題点があった。
特に、記録ヘッドが固定されたラインヘッド型の記録方式においては、記録ヘッドの各ノズルは画像1ライン中の特定の画素(ドット)に対応しているため、左右の余白部分の画素に対応するノズル等、1枚の画像を印字する中で一度もインクを吐出しないノズルが必ず存在する。このようなノズルも、その後に画像データが切り替わってドット形成を行う場合があり、その場合には安定してインクを吐出できるようにしなければならない。
一般に、記録ヘッドのインク吐出面に開口が設けられた吐出ノズル内のインクの乾燥やノズルの目詰まりを防止するために、ノズルからインクを強制吐出した後、インク吐出面に付着したインクの拭き取りを行って記録ヘッドの回復処理を行う構成になっている。しかし、上記の手順では、印字に用いられずに廃棄されるインクが多くなり、インクが無駄に消費されてしまう。また、インクを吐出しなかったノズルのみでなく、インクを吐出した直後のノズルにおいてもインクの強制吐出が行われるため効率的ではなかった。
一方、インクジェット記録装置の記録ヘッドとして、圧電インクジェットヘッドが広く用いられている。圧電インクジェットヘッドは、圧電素子が発生する力を加圧室内のインクに圧力として伝達し、この圧力によるノズル内のインクメニスカスの揺動を利用してインク滴を発生させるものである。
そこで、ノズルからインクを吐出しない程度にノズル内のインクメニスカスを振動させてノズルの目詰まりを防止する方法が提案されており、例えば特許文献1には、インク滴を吐出しないドット形成部において、圧電素子の駆動電圧を放電することで加圧室の容積を増加させてノズル内のインクメニスカスを加圧室の側へ引き込んだ後、インクの体積速度(ヘッド)の固有振動周期とほぼ一致するタイミングで再び駆動電圧を印加して加圧室の容積を減少させることで、ノズルからインク滴を吐出することなくインクメニスカスを揺動させてノズル内のインクを攪拌するインクジェットヘッドの駆動方法が開示されている。
また、特許文献2には、液滴を吐出する駆動波形よりもパルス幅が狭く、高い周波数を有する連続した複数のパルスを用いてインクメニスカスを揺動させるインクジェットプリンターが開示されている。
また、特許文献3には、或る用紙内(ページ内)で印字が予定されている画素データの印字に使用される各ノズルのメニスカスのみを揺動させ、印字に使用されない各ノズルのメニスカスを静止状態に保持する画像形成装置が開示されている。
さらに、特許文献4には、同一のノズルにおける2以上の所定数以上連続する描画しない画素のうち、描画すべき画素の直前の画素を除く少なくとも1の画素についてはメニスカス揺動を行い、描画すべき画素の直前の画素においてメニスカス揺動を行わない画像形成装置が開示されている。また、メニスカスを揺動させる駆動パルスとして、ヘッド流路の固有振動周期に近い駆動パルスを用いることも記載されている。
特開2006−150845号公報 特開2009−286131号公報 特開2010−184363号公報 特開2006−238644号公報
しかしながら、特許文献1のように、ヘッドの固有振動周期に近いパルス幅の駆動波形を用いると、メニスカスを大きく揺動させることができ、ノズル内のインクの攪拌効果も高くなるが、メニスカスの揺動によって飛翔速度の遅い微小な液滴が形成され、用紙上に付着すると画像上でチリとして認識されることがある。特許文献1では、メニスカス揺動によって発生した微小なインク滴は飛翔速度が遅いため、用紙面に着弾する前に、直後に吐出されたドット形成のためのインク滴に追いつかれて取り込まれてしまうため、画像上でチリとして認識されなくなるとされているが、メニスカス揺動によるインク滴の吐出特性が安定しないことや、用紙の搬送による空気流等の影響により次のインク滴に確実に取り込まれないことにより安定して用紙に着弾させることができず、画像不良となるおそれがある。
そこで、特許文献2のように液滴を吐出する駆動波形よりもパルス幅が狭く、且つ高い周波数を有する連続した複数のパルスを用いることが好ましい。しかし、この場合はメニスカスを大きく揺動させることができないため、パルス数を多くしなければメニスカス揺動によるインクの攪拌効果が発現されない。そのため、従来は、印字のインターバル(紙間)にメニスカス揺動の駆動波形を印加していた。例えば、用紙1枚分の画像データを印字する前のインターバル(紙間)で数百〜数千ライン分のメニスカス揺動を行うか、或いは、印字する画像データ中の階調0の画素に対応する全てのノズルでメニスカス揺動を行っていた。そのため、印加するパルス数が飛躍的に多くなり、ヘッドでの消費電力が大きくなってしまうという問題点があった。
さらに、液滴を吐出する駆動波形よりもパルス幅が狭い場合、圧電素子の固有振動周期に近くなるため、圧電素子が発熱してヘッド内のインク温度が上昇し、インクの特性が変化するため、安定した液滴形成が行えない場合があった。
また、紙間において全てのノズルに対してメニスカス揺動波形を印加する場合も、階調0の画素に対応するノズルの圧電素子に印加するパルスを揺動波形に置き換える場合も、例えば用紙1枚分の画像データにおいて一度もドット形成を行わないか、或いは数回しかインクを吐出しないノズルに対してもメニスカス揺動が行われることになる。その結果、ノズル内のインクが攪拌され、水分の蒸発によりメニスカス近傍で増粘したインクがノズルの奥に拡散されてしまい、増粘していないインクがメニスカス近傍に移動してくる。ここで、増粘していないインクは水分量が低下している増粘インクに比べて水分の蒸発速度が速いため、メニスカス近傍におけるインクの増粘が進行し易くなる。
このように、用紙1枚分の画像データ中で一度もドット形成を行わないか、或いは数回しかインクを吐出しないノズルに対してメニスカス揺動を行うと、逆にノズル内でのインクの増粘が促進され、インクの吐出性が徐々に悪化してしまう。そのため、次の用紙に印字する画像データに切り替わった後に、前の用紙でドット形成を行わなかったノズルを用いてドット形成を行う場合、インク滴の吐出不良が発生するおそれがあった。そこで、特許文献3のように、次の用紙内で印字(インク吐出)が予定されているノズルのみを紙間においてメニスカス揺動させることが好ましい。
しかし、特許文献3の方法は、水性染料インクを使用する場合は良好なインク吐出性を得ることができるが、水性顔料インクを使用する場合は、インク中に顔料を分散させるための分散剤等が含まれているため、インク乾燥時の粘度が水性染料インクよりも格段に高いという特性がある。そのため、メニスカスの増粘性も高くなり、メニスカス揺動の回数を多くしなければならず、ヘッドでの消費電力が大きくなってしまうという問題点があった。
また、メニスカス揺動が行われてから実際のインク吐出までの時間が長くなると、ノズル内のインクが攪拌され続けるために、攪拌によって増粘していないインクがメニスカス近傍に移動し、インクの増粘が進行し易くなる。そこで、特許文献4では、インク吐出前のノズルにメニスカス揺動を行うとともに、描画すべき画素の直前の画素においてメニスカス揺動を行わないようにすることで、メニスカス揺動によるインクの増粘と吐出不良とを抑制している。
即ち、多種多様な画像データに対応する印字を連続して行うためには、紙間と吐出直前の両方においてメニスカス揺動を行い、その総回数が少ないほど好ましい。しかし、実際には水性顔料インクではメニスカス表面から水分が蒸発することにより、ノズルの先端部と内部とでインク中の成分が不均一となる。この成分の不均一化によって内部流動が生じ、顔料粒子が先端部から内部へと移動するという現象が発生する。この状態で吐出直前に数回のメニスカス揺動を行ってインクを吐出すると、不吐出が続いた後の先頭画素において顔料の少ない透明なインク滴が吐出されてしまい、画素として認識できなくなる。
本発明は、上記問題点に鑑み、非吐出画素が連続した後の先頭吐出画素におけるノズルからのインク吐出を安定して行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、記録媒体上にインクを吐出する複数のノズルと、該複数のノズルに連通し、内部にインクを収容可能な複数の加圧室と、該複数の加圧室に対応して配置され、前記各加圧室内のインクに圧力をかけて前記各ノズルからインクを吐出させる複数の圧電素子と、を有する記録ヘッドと、前記圧電素子の駆動電圧の駆動波形として、前記ノズルからのインク吐出回数に応じて設定された2以上のインク吐出用駆動波形と、インク吐出は行わずに前記ノズル内のメニスカスを揺動させるメニスカス揺動用駆動波形とを含む複数の駆動波形を発生させる駆動パルス発生部と、該駆動パルス発生部で発生させたいずれの駆動波形を前記圧電素子に印加するか、或いは何れの駆動波形も前記圧電素子に印加しないかを前記各ノズルについて選択するセレクターと、を備え、印字対象となる画像データを構成する1つの画素につき、当該画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を前記各ノズルに対して実行させるヘッド駆動部と、印字対象となる画像データを構成する各画素を多値階調で示した印字データを生成する画像処理部と、該画像処理部で生成された印字データを構成する各画素について、当該各画素の階調に対応した前記各ノズルのインク吐出回数を表す駆動波形選択データを生成するデータ加工部と、を有する制御部と、を備えたインクジェット記録装置において、前記駆動パルス発生部は、前記記録ヘッドの固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅の1つ以上の予備パルスの後に、画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を行わせる1つ以上のインク吐出用パルスをリレーさせた先頭吐出画素用駆動波形を発生可能であり、前記先頭吐出画素用駆動波形は、前記予備パルスの終端から1つ目の前記インク吐出用パルスの開始までの待機時間をb、前記インク吐出用パルスのパルス幅をc、前記記録ヘッドの固有振動周期をTとするとき、以下の式(I)を満たすとともに、前記ヘッド駆動部は、前記データ加工
部から送信された次回以降の印字Nライン分(Nは10以上の整数)の駆動波形選択データを格納するラインバッファーを備え、前記セレクターは、前記ラインバッファーに格納されている同一の前記ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形選択データが全て0であり、且つ、次に前記データ加工部から送信された印字N+1ライン目の駆動波形選択データが0でない場合は、当該ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形として前記メニスカス揺動用駆動波形を選択するとともに、印字N+1ライン目の駆動波形として各画素の階調に対応した前記先頭吐出画素用駆動波形を選択し、上記以外の場合は、印字N+1ライン分の各駆動波形選択データが0でなければ各画素の階調に対応した前記インク吐出用駆動波形を選択し、駆動波形選択データが0であれば何れの駆動波形も選択しないことを特徴としている。
1.8×T/2≦b+c≦3.2×T/2 ・・・(I)
また本発明は、記録媒体上にインクを吐出する複数のノズルと、該複数のノズルに連通し、内部にインクを収容可能な複数の加圧室と、該複数の加圧室に対応して配置され、前記各加圧室内のインクに圧力をかけて前記各ノズルからインクを吐出させる複数の圧電素子と、を有する記録ヘッドと、前記圧電素子の駆動電圧の駆動波形として、前記ノズルからのインク吐出回数に応じて設定された2以上のインク吐出用駆動波形と、インク吐出は行わずに前記ノズル内のメニスカスを揺動させるメニスカス揺動用駆動波形とを含む複数の駆動波形を発生させる駆動パルス発生部と、該駆動パルス発生部で発生させたいずれの駆動波形を前記圧電素子に印加するか、或いは何れの駆動波形も前記圧電素子に印加しないかを前記各ノズルについて選択するセレクターと、を備え、印字対象となる画像データを構成する1つの画素につき、当該画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を前記各ノズルに対して実行させるヘッド駆動部と、印字対象となる画像データを構成する各画素を多値階調で示した印字データを生成する画像処理部と、該画像処理部で生成された印字データを構成する各画素について、当該各画素の階調に対応した前記各ノズルのインク吐出回数を表す次回以降の印字Nライン分(Nは10以上の整数)の駆動波形選択データを生成するデータ加工部と、を有する制御部と、を備えたインクジェット記録装置において、前記駆動パルス発生部は、前記記録ヘッドの固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅の1つ以上の予備パルスの後に、画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を行わせる1つ以上のインク吐出用パルスをリレーさせた先頭吐出画素用駆動波形を発生可能であり、前記先頭吐出画素用駆動波形は、前記予備パルスの終端から1つ目の前記インク吐出用パルスの開始までの待機時間をb、前記インク吐出用パルスのパルス幅をc、前記記録ヘッドの固有振動周期をTとするとき、以下の式(I)を満たすとともに、前記セレクターは、前記データ加工部から送信された同一の前記ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形選択データが全て0であり、且つ、次に前記データ加工部から送信された印字N+1ライン目の駆動波形選択データが0でない場合は、当該ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形として前記メニスカス揺動用駆動波形を選択するとともに、印字N+1ライン目の駆動波形として各画素の階調に対応した前記先頭吐出画素用駆動波形を選択し、上記以外の場合は、印字N+1ライン分の各駆動波形選択データが0でなければ各画素の階調に対応した前記インク吐出用駆動波形を選択し、駆動波形選択データが0であれば何れの駆動波形も選択しないことを特徴としている。
1.8×T/2≦b+c≦3.2×T/2 ・・・(I)
また本発明は、上記構成のインクジェット記録装置において、前記先頭吐出画素用駆動波形は、前記予備パルス数をn、パルス幅をa1、前記予備パルス間の待機時間をa2、前記記録ヘッドの駆動周波数をHとするとき、以下の式(II)を満たすことを特徴としている。
a1×n+a2×(n−1)+b≦1/H×1/3 ・・・(II)
また本発明は、上記構成のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの駆動周波数Hが異なる複数の印字モードを選択可能であり、前記駆動パルス発生部は、前記記録ヘッドの駆動周波数Hから算出された前記予備パルス数nに基づいて、選択された前記印字モードに応じた前記先頭吐出画素用駆動波形を生成することを特徴としている。
また本発明は、上記構成のインクジェット記録装置において、前記メニスカス揺動用駆動波形は、前記インク吐出用駆動波形よりも狭いパルス幅を有し、且つ高い周波数を有するパルスが連続して複数回繰り返されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成のインクジェット記録装置において、連続印字中の記録媒体間で、前記メニスカス揺動用駆動波形の駆動電圧を次の記録媒体上に少なくとも1回以上インクを吐出する前記全ての圧電素子に印加することを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、非吐出画素が10画素数以上続いたノズルからインク吐出を行う場合、非吐出画素においてはメニスカス揺動用駆動波形メニスカス揺動のみを行うとともに、先頭吐出画素においては、予備パルスの後にインク吐出用パルスをリレーさせた先頭吐出画素用駆動波形を選択することにより、先頭吐出画素でのインクの吐出力を通常時よりも増加させて確実に認識できる画素を形成することができる。特に、水性顔料系のインクを使用する場合、インク成分の不均一化による透明インク滴が吐出されて画素が認識できなくなる不具合を抑制できる。また、予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)が式(I)を満たす先頭吐出画素用駆動波形とすることで
、予備パルスによる振動とインク吐出用パルスによる振動が打ち消し合うことなく、インク吐出用パルスによる振動を確実に増幅させてインク吐出力を高めることができる。
また、本発明の第2の構成によれば、前記第1の構成と同様に、先頭吐出画素でのインクの吐出力を通常時よりも増加させて確実に認識できる画素を形成することができる。特に、水性顔料系のインクを使用する場合、インク成分の不均一化による透明インク滴が吐出されて画素が認識できなくなる不具合を抑制できる。また、予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)が式(I)を満たす先頭吐出画素用駆動波形
とすることで、予備パルスによる振動とインク吐出用パルスによる振動が打ち消し合うことなく、インク吐出用パルスによる振動を確実に増幅させてインク吐出力を高めることができる。さらに、データ加工部でNライン分の駆動波形選択データを生成するため、ラインバッファーが不要となり制御が簡素化される。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成のインクジェット記録装置において、先頭吐出画素用駆動波形の予備パルス数をn、パルス幅をa1、予備パルス間の待機時間をa2、記録ヘッドの駆動周波数をHとするとき、式(II)を満たすことにより、予備パルスの印加時間が1画素の形成に割り当てられる時間の1/3以下となり、先頭吐出画素と通常の画素との間のずれを実用上問題のない程度に抑えることができる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成のインクジェット記録装置において、記録ヘッドの駆動周波数Hが異なる複数の印字モードを選択可能であり、駆動パルス発生部は、記録ヘッドの駆動周波数Hから算出された予備パルス数nに基づいて、選択された印字モードに応じた先頭吐出画素用駆動波形を生成することにより、写真モードや文字モード等の印字モードに応じた適切な先頭吐出画素用駆動波形を生成することができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成のインクジェット記録装置において、インク吐出用駆動波形よりも狭いパルス幅を有し、且つ高い周波数を有するパルスが連続して複数回繰り返されるメニスカス揺動用駆動波形を用いることにより、メニスカスが大きく揺動しないため、飛翔速度の遅い微小なインク滴が形成され、画像上でチリとして認識される不具合を防止できる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成のインクジェット記録装置において、連続印字中の記録媒体間で、メニスカス揺動用駆動波形の駆動電圧を次の記録媒体上に少なくとも1回以上インクを吐出する全ての圧電素子に印加することにより、ノズルの目詰まりやインクの吐出不良を一層効果的に防止することができる。
本発明のインクジェット記録装置100の概略構造を模式的に示す側面図 図1に示すインクジェット記録装置100の第1搬送ユニット5及び記録部9を上方からみた平面図 本発明のインクジェット記録装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図 記録ヘッド17の要部構成を示す断面拡大図 インク吐出用駆動波形である第1駆動波形(1)を示す波形図 インク吐出用駆動波形である第2駆動波形(2)を示す波形図 メニスカス用駆動波形である第3駆動波形(3)を示す波形図 第1駆動波形(1)が選択されたときの圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 第2駆動波形(2)が選択されたときの圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 第3駆動波形(3)が選択されたときの圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 先頭吐出画素用駆動波形である第4駆動波形(4)を示す波形図 先頭吐出画素用駆動波形である第5駆動波形(5)を示す波形図 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の1.6倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の1.8倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の2.0倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の2.5倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の3.0倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の3.2倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の3.4倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 図11に示した第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の4.0倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 先頭吐出画素用駆動波形である第4駆動波形(4)の他の例を示す波形図 先頭吐出画素用駆動波形である第5駆動波形(5)の他の例を示す波形図 図21に示した第4駆動波形(4)が選択されたときの圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフ 本発明のインクジェット記録装置100における記録ヘッド17のインク吐出動作のシーケンスを示すフローチャート 本発明のインクジェット記録装置100に用いられる制御経路の他の例を示すブロック図
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は本発明のインクジェット記録装置100の概略構成を模式的に示す側面図であり、図2は、図1に示すインクジェット記録装置100の第1搬送ユニット5及び記録部9を上方からみた平面図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置100の左側部には用紙P(記録媒体)を収容する給紙トレイ2が設けられており、この給紙トレイ2の一端部には収容された用紙Pを、最上位の用紙Pから順に一枚ずつ後述する第1搬送ユニット5へと搬送給紙するための給紙ローラー3と、給紙ローラー3に圧接され従動回転する従動ローラー4とが設けられている。
用紙搬送方向(矢印X方向)に対し給紙ローラー3及び従動ローラー4の下流側(図1の右側)には、第1搬送ユニット5及び記録部9が配置されている。第1搬送ユニット5は、用紙搬送方向に対し下流側に配置された第1駆動ローラー6と、上流側に配置された第1従動ローラー7と、第1駆動ローラー6及び第1従動ローラー7に掛け渡された第1搬送ベルト8とを含む構成であり、第1駆動ローラー6が時計回り方向に回転駆動されることにより、第1搬送ベルト8に保持された用紙Pが矢印X方向に搬送される。
ここで、用紙搬送方向の下流側に第1駆動ローラー6を配置したことにより、第1搬送ベルト8の搬送面(図1の上側面)は第1駆動ローラー6に引っ張られるようになるため、第1搬送ベルト8の搬送面のテンションを高めることができ、安定した用紙Pの搬送が可能となる。なお、第1搬送ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主として継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。
記録部9は、ヘッドハウジング10と、ヘッドハウジング10に保持されたラインヘッド11C、11M、11Y、及び11Kを備えている。これらのラインヘッド11C〜11Kは、第1搬送ベルト8の搬送面に対して所定の間隔(例えば1mm)が形成されるような高さに支持され、図2に示すように、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(図2の上下方向)に沿って複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a〜17cが千鳥状に配列されている。ラインヘッド11C〜11Kは、搬送される用紙Pの幅以上の記録領域を有しており、第1搬送ベルト8上を搬送される用紙Pに対して、印字位置に対応したノズル18からインクを吐出できるようになっている。また、各記録ヘッド17a〜17cは、それぞれに設けられたノズル18の一部が搬送方向に重複するように配置されている。
各ラインヘッド11C〜11Kを構成する記録ヘッド17a〜17cには、それぞれインクタンク(図示せず)に貯留されている4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のインクがラインヘッド11C〜11Kの色毎に供給される。なお、記録ヘッド17a〜17cは、圧電素子31(図3参照)の変形による圧力をノズル18内のインクに伝達してメニスカスを揺動させ、インク滴を発生させる圧電インクジェットヘッドを用いている。
各記録ヘッド17a〜17cは、外部コンピューター等から受信した画像データに応じて、第1搬送ベルト8の搬送面に吸着保持されて搬送される用紙Pに向かってノズル18からインクを吐出する。これにより、第1搬送ベルト8上の用紙Pにはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが重ね合わされたカラー画像が形成される。
また、記録ヘッド17a〜17cの乾燥や目詰まりによるインクの吐出不良を防止するために、長期間停止後の印字開始時は全ての記録ヘッド17a〜17cのノズル18から、また印字動作の合間にはインク吐出量が規定値以下の記録ヘッド17a〜17cのノズル18から、ノズル内の粘度が高くなったインクを吐出するパージを実行して、次の印字動作に備える。
用紙搬送方向に対し第1搬送ユニット5の下流側(図1の右側)には第2搬送ユニット12が配置されている。第2搬送ユニット12は、用紙搬送方向に対し下流側に配置された第2駆動ローラー13と、上流側に配置された第2従動ローラー14と、第2駆動ローラー13及び第2従動ローラー14に掛け渡された第2搬送ベルト15とを含む構成であり、第2駆動ローラー13が時計回り方向に回転駆動されることにより、第2搬送ベルト15に保持された用紙Pが矢印X方向に搬送される。
記録部9にてインク画像が記録された用紙Pは第2搬送ユニット12へと送られ、第2搬送ユニット12を通過する間に用紙P表面に吐出されたインクが乾燥される。また、第2搬送ユニット12の下方にはメンテナンスユニット19が配置されている。メンテナンスユニット19は、上述したパージを実行する際に記録部9の下方に移動し、記録ヘッド17のノズル18から吐出されたインクを拭き取り、拭き取られたインクを回収する。
また、用紙搬送方向に対し第2搬送ユニット12の下流側には、画像が記録された用紙Pを装置本体外へと排出する排出ローラー対16が設けられており、排出ローラー対16の下流側には、装置本体外へと排出された用紙Pが積載される排出トレイ(図示せず)が設けられている。
続いて、本発明のインクジェット記録装置100における記録部9の駆動制御について説明する。図3は、本発明のインクジェット記録装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図であり、図4は、記録ヘッド17の要部構成を示す断面拡大図である。なお、インクジェット記録装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、インクジェット記録装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。また、記録ヘッド17a〜17cはa〜cの符号を省略して記載している。
インクジェット記録装置100は、主に画像処理に関する制御を行う制御部20を備えている。制御部20は、印字対象となる画像データを構成する各画素を多値階調で示した印字データ(i)を生成する画像処理部21と、印字データ(i)を構成する各画素について、当該各画素に対応したインク吐出を行う各ノズル18のそれぞれの圧電素子31に対して後述する第1駆動波形(1)〜第5駆動波形(5)のいずれの駆動電圧を印加するか、或いはいずれの駆動電圧も印加しないかを示す駆動波形選択データ(ii)を生成するデータ加工部23とを備える。
記録部9は、各色のラインヘッド11C〜11K(図2参照)を構成する記録ヘッド17、及び記録ヘッド17を駆動するヘッド駆動部25を備えている。ヘッド駆動部25は、印字対象となる画像データを構成する1つの画素につき当該画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を記録ヘッド17に行わせて、用紙上に当該画素の記録を行う。
ヘッド駆動部25は、後述する第1駆動波形(1)、第2駆動波形(2)、第3駆動波形(3)、第4駆動波形(4)、及び第5駆動波形(5)を発生させる駆動パルス発生部27と、次回以降のNライン分の駆動波形選択データ(ii)を格納するラインバッファー29と、ラインバッファー29に格納されているNライン分の駆動波形選択データ(ii)と、データ加工部23から送信された(N+1)ライン目の駆動波形選択データ(ii)とに基づいて第1駆動波形(1)〜第5駆動波形(5)のいずれかを選択し、選択した駆動波形の駆動電圧を記録ヘッド17の圧電素子31に印加するか、或いはいずれの駆動波形も選択せず、記録ヘッド17の圧電素子31の駆動電圧を一定に保持する動作を行うセレクター30と、を備える。
記録ヘッド17は図2に示すようなラインヘッド型であり、図4に示すように、用紙に対向する吐出面33を有する。吐出面33には、ノズル18の開口部である微小径を有する吐出口18aが、吐出面33の長手方向(主走査方向)において少なくとも印字領域の最大幅に亘って複数設けられている。
また、図4に示すように、記録ヘッド17は、吐出面33の吐出口18a以外の部分を覆う撥水膜33aと、吐出口18aに対して1つずつ設けられた加圧室35と、インクを貯留するインクタンク(図示せず)と、インクタンクから複数の加圧室35にインクを供給する共通流路37とを備える。加圧室35と共通流路37とは供給孔39で連通されており、この供給孔39を介して共通流路37から加圧室35にインクが供給される。ノズル18は加圧室35内から吐出口18aまで連続している。加圧室35の壁のうち吐出面33と逆側の壁は振動板40で構成されている。振動板40は複数の加圧室35に亘って連続して形成されており、振動板40には同様に複数の加圧室35に亘って連続して形成された共通電極41が積層されている。共通電極41上には、加圧室35毎に別個の圧電素子31が設けられており、共通電極41と共に圧電素子31を挟むように、加圧室35毎に別個の個別電極43が設けられる。
ヘッド駆動部25の駆動パルス発生部27で生成された駆動パルスが個別電極43に印加されることで、各圧電素子31は個別に駆動される。この駆動による圧電素子31の変形が振動板40に伝達され、振動板40の変形によって加圧室35が圧縮される。その結果、加圧室35内のインクに圧力が加わり、ノズル18を通ったインクが吐出口18aからインク滴となって用紙上に吐出される。なお、インク滴が吐出されない間も、ノズル18内にはインクが入っており、ノズル18内でインクはメニスカス面Mを形成している。
図5〜図7は、駆動パルス発生部27で発生する第1駆動波形(1)〜第3駆動波形(3)を示す波形図であり、図8〜図10は、第1駆動波形(1)〜第3駆動波形(3)が選択されたときの圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフである。なお、図8〜図10では、駆動電圧(Volt)を細線で表示し、インクの流速(Vn)を太線で表示している。
第1駆動波形(1)及び第2駆動波形(2)は、印字対象となる画像データを構成する画素の階調(ノズル18のインク吐出回数)毎に予め定められた通常のインク吐出時に用いられる波形である。第1駆動波形(1)は、1画素に対してヘッド駆動部25が記録ヘッド17のノズル18によりインク吐出を1回行わせる階調値1の駆動波形選択データ(ii)に対応する駆動波形であり、図5に示すように、駆動電源の電圧値(V0)からパルス幅T1の間、駆動電源の電圧値よりも低い所定値(V1)になって駆動電源の電圧値(V0)に戻るものが用意されている。このような第1駆動波形(1)が圧電素子31に印加されると、図8に示すように、ノズル18内のインクの流速は1回10m/sを超えるため、吐出口18aからインク滴が1回吐出される。
第2駆動波形(2)は、1画素に対してヘッド駆動部25が記録ヘッド17のノズル18によりインク吐出を2回行わせる階調値2の駆動波形選択データ(ii)に対応する駆動波形であり、図6に示すように、駆動電源の電圧値(V0)からパルス幅T1の間、駆動電源の電圧値よりも低い所定値(V1)になって駆動電源の電圧値(V0)に戻る第1駆動波形(1)のパルスを2回繰り返すものが用意されている。このような第2駆動波形(2)が圧電素子31に印加されると、図9に示すように、ノズル18内のインクの流速は2回10m/sを超えるため、吐出口18aからインク滴が2回吐出される。
一方、第3駆動波形(3)は、ノズル18内のインク滴を吐出させずにメニスカスMを揺動させることが可能となるように予め定められた駆動波形であって、第1駆動波形(1)、第2駆動波形(2)とは異なる波形からなる。第3駆動波形(3)は、図7に示すように、インクを吐出する駆動波形(図5、図6参照)よりも狭いパルス幅T2を有し、インクを吐出する駆動波形よりも高い周波数を有するパルスを連続して複数回繰り返すものが用意されている。このような第3駆動波形(3)が圧電素子31に印加されると、図10に示すように、ノズル18内のインクの流速は10m/sを超えず、メニスカス面Mは揺動するもののインク滴は吐出されない。
第3駆動波形(3)を用いたメニスカス面Mの揺動は、ドット形成直前のノズル18に加えて、連続印字の用紙間において、次の用紙で少なくとも1回以上インクを吐出する全てのノズル18に対しても行うことが好ましい。そして、用紙間に行うメニスカス面Mの揺動回数(圧電素子31に印加される第3駆動波形(3)のパルス数)は、ノズル18内のインク液成分の不均一化による吐出口18a近傍のインク液の透明化が進行しても、メニスカス揺動によってノズル18内のインク液が再攪拌されて着弾ドットが透明とならない程度の回数とする必要があり、100回以上が好ましい。
なお、ドット形成直前のノズル18のメニスカス面Mを大きく揺動させると、飛翔速度の遅い微小なインク滴が形成され、画像上でチリとして認識されることがある。そこで、第3駆動波形(3)のパルス幅T2を記録ヘッド17の固有振動周期よりも狭くすることにより、メニスカス面Mの揺動による微小なインク滴の発生を防止することができる。
次に、本発明のインクジェット記録装置100における記録ヘッド17のインク吐出制御について詳細に説明する。本発明においては、非吐出画素が所定の画素数以上続いた後の先頭吐出画素において、各画素を多値階調で示した印字データ(i)に基づいてデータ加工部23で生成された駆動波形選択データ(ii)に対応して選択されるインク吐出用駆動波形を、先頭吐出画素用駆動波形に変更する。
図11は、階調値1の先頭画素用の駆動波形である第4駆動波形(4)を示す波形図であり、図12は、階調値2の先頭画素用の駆動波形である第5駆動波形(5)を示す波形図である。
第4駆動波形(4)は、非吐出画素が所定の画素数以上続いた後の先頭吐出画素において、1画素に対してヘッド駆動部25が記録ヘッド17のノズル18によりインク吐出を1回行わせる階調値1の駆動波形選択データ(ii)である場合に使用する駆動波形であり、図11に示すように、記録ヘッドの固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅a1の予備パルスの後に、インク吐出を行わせるパルス幅c(=T1)のインク吐出用パルスを1回リレーさせた駆動波形が用意されている。
第5駆動波形(5)は、非吐出画素が所定の画素数以上続いた後の先頭吐出画素において、1画素に対してヘッド駆動部25が記録ヘッド17のノズル18によりインク吐出を2回行わせる階調値2の駆動波形選択データ(ii)である場合に使用する駆動波形であり、図12に示すように、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅a1の予備パルスの後に、インク吐出を行わせるパルス幅c(=T1)のインク吐出用パルスを2回繰り返してリレーさせた駆動波形が用意されている。
前述したように、特に水性顔料系のインクを使用する場合、非吐出画素が所定の画素数以上続いた後の先頭吐出画素では、ノズル18内のインク液成分の不均一化によって顔料の少ない透明なインク滴が吐出されてしまい、画素として認識できなくなるという不具合があった。そこで、先頭吐出画素を形成する際のインク吐出用駆動波形(第1駆動波形(1)または第2駆動波形(2))を、先頭吐出画素用駆動波形(第4駆動波形(4)または第5駆動波形(5))に変更することで、予備パルスによってインク吐出用パルスによる振幅が大きくなり、ノズル18内のインクの流速も大きくなる。その結果、通常のインク吐出用駆動波形である第1駆動波形(1)、第2駆動波形(2)に比べてインク吐出力を強めることができ、先頭吐出画素として確実に認識できる画素が形成される。
図13〜図20は、第4駆動波形(4)の予備パルスの終端からインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の1.6倍、1.8倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.2倍、3.4倍、及び4.0倍としたときの、圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフである。なお、図13〜図20では、駆動電圧(Volt)を細線で表示し、インクの流速(Vn)を太線で表示している。
b+cを記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の1.8倍よりも小さくした場合、予備パルスによるメニスカスの揺動が安定しない。また、予備パルスによる振動とインク吐出用パルスによる振動が打ち消し合う。そのため、b+cを記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の1.6倍とした図13では、ノズル18内のインクの流速が10m/sを超えず、インク吐出力を強めることができない。
また、b+cを記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の3.2倍よりも大きくした場合は、1.8倍よりも小さくした場合と同様に、予備パルスによる振動とインク吐出用パルスによる振動が打ち消し合う。また、予備パルスからインク吐出用パルスまでの待機時間bが長いため、予備パルスによる振動が減衰してしまう。そのため、b+cを記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の3.4倍及び4.0倍とした図19、図20では、ノズル18内のインクの流速が図8に示した第1駆動波形(1)よりも小さくなり、インク吐出力を強めることができない。
一方、b+cを記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の1.8倍〜3.2倍とした場合は、予備パルスによる振動がインク吐出用パルスによる振動を増幅させるため、図14〜図18に示すように、ノズル18内のインクの流速が図8に示した第1駆動波形(1)よりも大きくなり、インク吐出力を強めることができる。なお、ここでは記載を省略するが、第5駆動波形(5)の予備パルスの終端から1つ目のインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)についても同様の結果が得られる。
以上より、予備パルスの終端から1つ目のインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)が以下の式(I)を満たすような先頭吐出画素用駆動波形とする。
1.8×T/2≦b+c≦3.2×T/2 ・・・(I)
ただし、
b;予備パルスの終端からインク吐出用パルスの開始までの待機時間
c;インク吐出用パルスのパルス幅
T;記録ヘッドの固有振動周期
である。
図21及び図22は、それぞれ階調値1の先頭画素用の駆動波形である第4駆動波形(4)、階調値2の先頭画素用の駆動波形である第5駆動波形(5)の他の例を示す波形図である。図23は、図21の第4駆動波形(4)が選択されたときの圧電素子31に印加される駆動電圧とノズル18内のインクの流速とを示すグラフである。なお、図23では、予備パルスの終端から1回目のインク吐出用パルスの終端までの時間(b+c)を、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2の2.5倍としたときの駆動電圧(Volt)を細線で表示し、インクの流速(Vn)を太線で表示している。
図21では、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅a1の2回の予備パルスの後に、インク吐出を行わせるパルス幅cのインク吐出用パルスを1回リレーさせた駆動波形としている。図22では、記録ヘッド17の固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅a1の2回の予備パルスの後に、インク吐出を行わせるパルス幅cのインク吐出用パルスを2回リレーさせた駆動波形としている。
ユーザーによって文字モードや写真モード等の画質(解像度)の異なるモードが選択されると、インクジェット記録装置100の出力速度が変化することにより、用紙搬送方向の解像度を一致させるために各ノズル18からのインク滴の吐出タイミングを変更する必要がある。ここで、解像度の高いモードが選択されたときは、1ページの印字に要する時間が長くなるため、非吐出画素が連続するノズル18ではメニスカスの乾燥が促進されてしまう。そこで、図21及び図22に示したように、予備パルスを複数回繰り返す先頭吐出画素用駆動波形を用いることにより、インク吐出用パルスをより増幅させてインク吐出力をさらに高めることが好ましい。
このとき、予備パルス数を多くするほどインク吐出用パルスの増幅効果は大きくなるが、インク吐出用パルスが印加されるまでの時間も長くなる。そのため、予備パルス数を多くし過ぎると、同一ラインを形成するインク滴のうち、非吐出画素がないノズル18から通常のインク吐出用駆動波形(第1駆動波形(1)または第2駆動波形(2))の印加によって吐出されるインク滴と吐出タイミングがずれてしまう。その結果、インク滴の着弾位置が搬送方向にずれ、一定以上のずれが発生した場合は本来直線であるべきラインが直線でなくなるおそれがある。
非吐出画素が連続した後の先頭吐出画素と通常の画素とのインク吐出タイミングのずれを抑制するためには、インク滴の着弾位置のずれが認識できない程度に予備パルスの印加時間を制限することが考えられる。ここで、1画素に割り当てられる時間は記録ヘッド17の駆動周波数の逆数であり、実用上問題のないずれ量は1/3ドット(画素)以内である。即ち、予備パルスの印加時間を駆動周波数の逆数の1/3以下とすれば、先頭吐出画素と通常の画素との間のずれを実用上問題のない程度に抑えることができる。
以上より、予備パルスをn回印加するときの予備パルスの開始からインク吐出用パルスの開始までの時間(a1×n+a2×(n−1)+b)が以下の式(II)を満たすような先頭吐出画素用駆動波形とする。
a1×n+a2×(n−1)+b≦1/H×1/3 ・・・(II)
ただし、
a1;予備パルスのパルス幅
a2;予備パルスの終端から次の予備パルスの開始までの待機時間
b;予備パルスの終端からインク吐出用パルスの開始までの待機時間
H;記録ヘッドの駆動周波数
である。
なお、記録ヘッド17の駆動周波数Hは、印字開始時にユーザーによって画質(解像度)や印字モードが選択されたときに、画質(解像度)や印字モードに応じた駆動周波数Hが決定される。そして、決定された駆動周波数Hに基づいて先頭吐出画素用駆動波形内の予備パルス数nが算出され、駆動パルス発生部27で第4駆動波形(4)、第5駆動波形(5)が生成される。
また、本実施形態では、ラインバッファー29に格納する画素の駆動波形選択データ(ii)を10ライン分とし、吐出直前のメニスカス揺動を先頭吐出画素の10画素手前から行うこととした。これは、非吐出画素が10画素以上続いた場合にノズル18からのインクの吐出不良が問題となるため、メニスカス揺動を行う必要があるためである。また、後続する非吐出画素の存在を認識するために駆動波形選択データ(ii)をヘッド駆動部25の近傍に置かなければならず、ラインバッファー29が必要となる。このラインバッファー29に格納可能なライン数を増やせばメニスカス揺動を10画素以上手前から行うことも可能であるが、コスト増加につながるため、ここでは10画素とした。
図24は、第1実施形態のインクジェット記録装置100における記録ヘッド17のインク吐出動作のシーケンスを示すフローチャートである。必要に応じて図1〜図4を参照しながら、図24のステップに沿って本実施形態のインクジェット記録装置100を用いて画像を記録する際のインク吐出動作について説明する。
パーソナルコンピューターのプリンタードライバー等から印字命令が入力されると、まず、制御部20内の画像処理部21において入力された画像データに基づく印字データ(i)が生成される(ステップS1)。次に、印字データ(i)がデータ加工部23に送信され、印字データ(i)を構成する各画素について、当該各画素に対応したインク吐出を行う各ノズル18のインク吐出回数を示す駆動波形選択データ(ii)を生成する(ステップS2)。
また、ユーザーによって選択された画質(解像度)や印字モードに応じて記録ヘッドの駆動周波数が決定され、決定された駆動周波数から算出された予備パルス数に基づいて先頭吐出画素用駆動波形を生成する(ステップS3)。例えば、予備パルス数が1の場合は図11及び図12に示した第4駆動波形(4)、第5駆動波形(5)が生成され、予備パルス数が2の場合は図21及び図22に示した第4駆動波形(4)、第5駆動波形(5)が生成される。
本実施形態では、記録ヘッド17は階調値0、1、2の3階調のドット形成が可能である。データ加工部23において256階調の印字データ(i)から3階調の駆動波形選択データ(ii)に変換された後、記録ヘッド17のノズル18の並びに応じて、同一のタイミングでインクを吐出する1ライン分の画素の駆動波形選択データ(ii)をセレクター30に送信し、次回以降のNライン分(ここでは10ライン分)の画素の駆動波形選択データ(ii)をヘッド駆動部25の駆動周波数に同期したタイミングでラインバッファー29に送信して格納する(ステップS4)。
次に、ラインバッファー29に送信されてくるN+1ライン目(ここでは11ライン目)の駆動波形選択データ(ii)と、ラインバッファー29に格納された10ライン分の駆動波形選択データ(ii)に対応する駆動波形を決定する。先ず、ステップS4でラインバッファー29に格納された10ライン分の画素の駆動波形選択データ(ii)の階調値が全て0(インク吐出回数が0)であるか否かが各ノズル18について判断される(ステップS5)。そして、階調値が全て0である場合は、ラインバッファー29に送信されてくる11ライン目の画像の駆動波形選択データ(ii)の階調値が0であるか否かが各ノズル18について判断される(ステップS6)。
11ライン目の画像の駆動波形選択データ(ii)の階調値が0でない場合は、11ライン目に当該ノズル18でドット形成が行われるため、ラインバッファー29に格納された10ライン分の画素の駆動波形として、インク吐出は行わずにメニスカス揺動のみを行う第3駆動波形(3)が選択される(ステップS7)。そして、11ライン目の画素の駆動波形選択データ(ii)に基づいて先頭吐出画素用駆動波形が選択される(ステップS8)。例えば、駆動波形選択データ(ii)が階調値1である場合は、階調値1に対応する第4駆動波形(4)が選択される。また、駆動波形選択データ(ii)が階調値2である場合は、階調値2に対応する第5駆動波形(5)が選択される。
一方、ステップS4においてラインバッファー29に格納された10ライン分の画素の少なくとも1つの階調値が0でない場合(ステップS5でNO)、ステップS5においてラインバッファー29に送信されてくる11ライン目の画像の駆動波形選択データ(ii)の階調値が0である場合(ステップS6でYES)は、駆動電圧が保持されるか、または各ラインの駆動波形選択データ(ii)の階調値に応じた駆動波形が選択される(ステップS9)。
例えば、ラインバッファー29に格納された10ライン分の画素のうち階調値1または2である画素には、それぞれ対応する第1駆動波形(1)または第2駆動波形(2)を選択し、階調値0である画素はドット形成が行われないため、駆動電圧(V0)を保持する。また、ラインバッファー29に送信されてくる11ライン目の画素が階調値0である場合はドット形成が行われないため、駆動電圧(V0)を保持する。
そして、1ライン分の印字が終了したか否かが判断され(ステップS10)、印字が継続している場合はラインバッファー29に格納された10ライン分の駆動波形選択データ(ii)のうち1ライン目の駆動波形選択データ(ii)をセレクター30に読み出すとともに、2ライン〜10ライン目の駆動波形選択データ(ii)を1ラインずつずらし、11ライン目の画素の駆動波形選択データ(ii)をラインバッファー29の10ライン目に格納する。そして、データ加工部23から次の1ライン(11ライン目)の駆動波形選択データ(ii)をラインバッファー29に送信する(ステップS11)。その後、ステップS5〜ステップS10の手順を繰り返す。
上記の手順で記録ヘッド17のインク吐出動作を行うことにより、非吐出画素が連続した後の先頭吐出画素においてはインク吐出力の強い先頭吐出画素用駆動波形が選択されるため、透明なインク滴が吐出されることによる画像不良を効果的に抑制できる。従って、単ページや連続ページの印字において、非吐出や低印字率の区間が長く続いた後のノズル18でドットを形成しようとしたときでもインクを安定して吐出することができる。
また、メニスカス揺動を行ったノズル18では、メニスカス近傍で増粘したインクが攪拌されることによって、ノズル18内のインク粘度が全体にやや上昇する。しかし、メニスカス揺動を行ったノズル18は先頭吐出画素の印字タイミングで必ずインク吐出が行われるため、増粘したインクが直ちにノズル18外に排出され、ノズル18内の増粘がそれ以上進むことがない。従って、増粘したインクによるノズル18の目詰まりや、これに起因するインクの吐出不良を効果的に防止することができる。
図25は、本発明のインクジェット記録装置100に用いられる制御経路の他の例を示すブロック図である。図25では、ヘッド駆動部25内にラインバッファー29が設けられておらず、制御部20内のデータ加工部23において、次回以降の印字Nライン分(Nは10以上の整数)の駆動波形選択データ(ii)を生成する。
そして、データ加工部23からセレクター30に送信された次回以降の印字Nライン分の駆動波形選択データ(ii)に基づいて、駆動パルス発生部27で発生させたいずれの駆動波形を圧電素子31に印加するか、或いは何れの駆動波形も圧電素子31に印加しないかを各ノズルについて選択する。駆動波形の選択手順は図24のステップS4〜S11と同様であるため説明を省略する。
図25の構成によれば、データ加工部23でNライン分の駆動波形選択データ(ii)を生成するため、次回以降のNライン分の駆動波形選択データ(ii)を格納するラインバッファー29が不要となり、制御が簡素化される。
その他、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、データ加工部23で生成する駆動波形選択データ(ii)を階調値0〜2の3階調としたが、これに限らず、0、1の2階調としても良いし、4階調以上としても良い。その場合、駆動パルス発生部27で発生する駆動波形の種類も駆動波形選択データ(ii)に対応して設定される。また、階調数に対応した数の先頭吐出画素用駆動波形が生成される。
また、記録ヘッド17のノズル18の個数やノズル間隔等はインクジェット記録装置100の仕様に応じて適宜設定することができる。また、各ラインヘッド11C〜11Kにつき記録ヘッド17の数量も特に限定されるものではなく、例えば各ラインヘッド11C〜11Kにつき記録ヘッド17を1つ配置することもできるし、4個以上配置することもできる。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
主走査方向のノズル密度が、それぞれ解像度で300dpi、600dpi、1200dpiの3種類の記録ヘッド17をそれぞれ2つずつ用意した。同じ解像度の記録ヘッド17をノズル位置が同一直線上となるように並べ、一方の記録ヘッド17には、図5に示した階調値1のインク吐出用駆動波形である第1駆動波形(1)を選択した。もう一方の記録ヘッド17には、図21に示した階調値1の先頭吐出画素用駆動波形である第4駆動波形(4)を選択し、a1×n+a2×(n−1)+bが駆動周波数の逆数の1/2、1/3、1/4となるように予備パルス数nを変更して、両方の記録ヘッド17から、階調1での横1列のドットラインを光沢紙に印字し、目視により直線性の評価を行った。用紙の搬送速度は847.6mm/secに固定した。結果を表1に示す。
表1において、問題なく横1列のドットラインと認識できる場合を○、2つのヘッドで印字したドットラインの境界部分で少し段差が見えるが、ほぼ横1列のドットラインと認識できる場合を△、2つのヘッドで印字したドットラインの境界部分で明らかな段差が見える場合を×で示す。
Figure 2013240933
表1から明らかなように、第4駆動波形(4)を選択した記録ヘッド17において、a1×n+a2×(n−1)+bが1/3、または1/4となるように予備パルス数nを設定した場合は、ノズル密度が300dpi、600dpi、1200dpiのいずれにおいても2つのヘッドで印字したドットラインがほぼ問題なく横1列のドットラインと認識できた。
これに対し、第4駆動波形(4)を選択した記録ヘッド17において、a1×n+a2×(n−1)+bが1/2となるように予備パルス数nを設定した場合は、ノズル密度が600dpi、1200dpiにおいては2つのヘッドで印字したドットラインがほぼ問題なく横1列のドットラインと認識できたが、300dpiにおいてはドットラインの境界部分で明らかな段差が見えた。
上記の結果より、予備パルスの印加時間を駆動周波数の逆数(1画素に割り当てられる時間)の1/3以下とすれば、第4駆動波形(4)により形成される先頭吐出画素と、第1駆動波形(1)により形成される通常の画素との間のずれを実用上問題のない程度に抑制できることが確認された。
本発明は、記録ヘッドからインクを吐出することによって記録を行うインクジェット記録装置に利用可能である。本発明の利用により、非吐出画素が連続した後の先頭吐出画素においては通常のインク吐出用駆動波形に代えて予備パルスとインク吐出用パルスをリレーさせた先頭吐出画素用駆動波形を用いてインクを吐出するという簡単な制御によって印字不良を抑制可能なインクジェット記録装置となる。
9 記録部
11C〜11K ラインヘッド
17 記録ヘッド
18 ノズル
20 制御部
21 画像処理部
23 データ加工部
25 ヘッド駆動部
27 駆動パルス発生部
29 ラインバッファー
30 セレクター
31 圧電素子
35 加圧室
100 インクジェット記録装置
M メニスカス

Claims (6)

  1. 記録媒体上にインクを吐出する複数のノズルと、該複数のノズルに連通し、内部にインクを収容可能な複数の加圧室と、該複数の加圧室に対応して配置され、前記各加圧室内のインクに圧力をかけて前記各ノズルからインクを吐出させる複数の圧電素子と、を有する記録ヘッドと、
    前記圧電素子の駆動電圧の駆動波形として、前記ノズルからのインク吐出回数に応じて設定された2以上のインク吐出用駆動波形と、インク吐出は行わずに前記ノズル内のメニスカスを揺動させるメニスカス揺動用駆動波形とを含む複数の駆動波形を発生させる駆動パルス発生部と、該駆動パルス発生部で発生させたいずれの駆動波形を前記圧電素子に印加するか、或いは何れの駆動波形も前記圧電素子に印加しないかを前記各ノズルについて選択するセレクターと、を備え、印字対象となる画像データを構成する1つの画素につき、当該画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を前記各ノズルに対して実行させるヘッド駆動部と、
    印字対象となる画像データを構成する各画素を多値階調で示した印字データを生成する画像処理部と、該画像処理部で生成された印字データを構成する各画素について、当該各画素の階調に対応した前記各ノズルのインク吐出回数を表す駆動波形選択データを生成するデータ加工部と、を有する制御部と、
    を備えたインクジェット記録装置において、
    前記駆動パルス発生部は、前記記録ヘッドの固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅の1つ以上の予備パルスの後に、画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を行わせる1つ以上のインク吐出用パルスをリレーさせた先頭吐出画素用駆動波形を発生可能であり、前記先頭吐出画素用駆動波形は、前記予備パルスの終端から1つ目の前記インク吐出用パルスの開始までの待機時間をb、前記インク吐出用パルスのパルス幅をc、前記記録ヘッドの固有振動周期をTとするとき、以下の式(I)を満たすとともに、
    前記ヘッド駆動部は、前記データ加工部から送信された次回以降の印字Nライン分(Nは10以上の整数)の駆動波形選択データを格納するラインバッファーを備え、
    前記セレクターは、前記ラインバッファーに格納されている同一の前記ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形選択データが全て0であり、且つ、次に前記データ加工部から送信された印字N+1ライン目の駆動波形選択データが0でない場合は、当該ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形として前記メニスカス揺動用駆動波形を選択するとともに、印字N+1ライン目の駆動波形として各画素の階調に対応した前記先頭吐出画素用駆動波形を選択し、
    上記以外の場合は、印字N+1ライン分の各駆動波形選択データが0でなければ各画素の階調に対応した前記インク吐出用駆動波形を選択し、駆動波形選択データが0であれば何れの駆動波形も選択しないことを特徴とするインクジェット記録装置。
    1.8×T/2≦b+c≦3.2×T/2 ・・・(I)
  2. 記録媒体上にインクを吐出する複数のノズルと、該複数のノズルに連通し、内部にインクを収容可能な複数の加圧室と、該複数の加圧室に対応して配置され、前記各加圧室内のインクに圧力をかけて前記各ノズルからインクを吐出させる複数の圧電素子と、を有する記録ヘッドと、
    前記圧電素子の駆動電圧の駆動波形として、前記ノズルからのインク吐出回数に応じて設定された2以上のインク吐出用駆動波形と、インク吐出は行わずに前記ノズル内のメニスカスを揺動させるメニスカス揺動用駆動波形とを含む複数の駆動波形を発生させる駆動パルス発生部と、該駆動パルス発生部で発生させたいずれの駆動波形を前記圧電素子に印加するか、或いは何れの駆動波形も前記圧電素子に印加しないかを前記各ノズルについて選択するセレクターと、を備え、印字対象となる画像データを構成する1つの画素につき、当該画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を前記各ノズルに対して実行させるヘッド駆動部と、
    印字対象となる画像データを構成する各画素を多値階調で示した印字データを生成する画像処理部と、該画像処理部で生成された印字データを構成する各画素について、当該各画素の階調に対応した前記各ノズルのインク吐出回数を表す次回以降の印字Nライン分(Nは10以上の整数)の駆動波形選択データを生成するデータ加工部と、を有する制御部と、
    を備えたインクジェット記録装置において、
    前記駆動パルス発生部は、前記記録ヘッドの固有振動周期の1/2よりも狭いパルス幅の1つ以上の予備パルスの後に、画素の階調に応じて定まる1回以上のインク吐出を行わせる1つ以上のインク吐出用パルスをリレーさせた先頭吐出画素用駆動波形を発生可能であり、前記先頭吐出画素用駆動波形は、前記予備パルスの終端から1つ目の前記インク吐出用パルスの開始までの待機時間をb、前記インク吐出用パルスのパルス幅をc、前記記録ヘッドの固有振動周期をTとするとき、以下の式(I)を満たすとともに、
    前記セレクターは、前記データ加工部から送信された同一の前記ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形選択データが全て0であり、且つ、次に前記データ加工部から送信された印字N+1ライン目の駆動波形選択データが0でない場合は、当該ノズルに対する次回以降の印字Nライン分の駆動波形として前記メニスカス揺動用駆動波形を選択するとともに、印字N+1ライン目の駆動波形として各画素の階調に対応した前記先頭吐出画素用駆動波形を選択し、
    上記以外の場合は、印字N+1ライン分の各駆動波形選択データが0でなければ各画素の階調に対応した前記インク吐出用駆動波形を選択し、駆動波形選択データが0であれば何れの駆動波形も選択しないことを特徴とするインクジェット記録装置。
    1.8×T/2≦b+c≦3.2×T/2 ・・・(I)
  3. 前記先頭吐出画素用駆動波形は、前記予備パルス数をn、パルス幅をa1、前記予備パルス間の待機時間をa2、前記記録ヘッドの駆動周波数をHとするとき、以下の式(II)を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
    a1×n+a2×(n−1)+b≦1/H×1/3 ・・・(II)
  4. 前記記録ヘッドの駆動周波数Hが異なる複数の印字モードを選択可能であり、前記駆動パルス発生部は、前記記録ヘッドの駆動周波数Hから算出された前記予備パルス数nに基づいて、選択された前記印字モードに応じた前記先頭吐出画素用駆動波形を生成することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記メニスカス揺動用駆動波形は、前記インク吐出用駆動波形よりも狭いパルス幅を有し、且つ高い周波数を有するパルスが連続して複数回繰り返されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 連続印字中の記録媒体間で、前記メニスカス揺動用駆動波形の駆動電圧を次の記録媒体上に少なくとも1回以上インクを吐出する前記全ての圧電素子に印加することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
JP2012115874A 2012-05-21 2012-05-21 インクジェット記録装置 Active JP5820769B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012115874A JP5820769B2 (ja) 2012-05-21 2012-05-21 インクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012115874A JP5820769B2 (ja) 2012-05-21 2012-05-21 インクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013240933A true JP2013240933A (ja) 2013-12-05
JP5820769B2 JP5820769B2 (ja) 2015-11-24

Family

ID=49842329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012115874A Active JP5820769B2 (ja) 2012-05-21 2012-05-21 インクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5820769B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016168797A (ja) * 2015-03-13 2016-09-23 株式会社ミヤコシ インクジェット印字装置の制御方法
JP2016193553A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 ブラザー工業株式会社 液体吐出装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0516359A (ja) * 1991-07-08 1993-01-26 Ricoh Co Ltd 液体噴射記録ヘツドの駆動方法
JP2005254709A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、及びその制御方法
JP2007331117A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Fuji Xerox Co Ltd 液滴吐出ヘッド、及びこれを備えた画像形成装置
JP2009234134A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Seiko Epson Corp 液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの駆動方法
JP2010000766A (ja) * 2008-06-23 2010-01-07 Kyocera Mita Corp 画像処理装置及び画像形成装置
JP2010184363A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Kyocera Mita Corp 画像形成装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0516359A (ja) * 1991-07-08 1993-01-26 Ricoh Co Ltd 液体噴射記録ヘツドの駆動方法
JP2005254709A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、及びその制御方法
JP2007331117A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Fuji Xerox Co Ltd 液滴吐出ヘッド、及びこれを備えた画像形成装置
JP2009234134A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Seiko Epson Corp 液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの駆動方法
JP2010000766A (ja) * 2008-06-23 2010-01-07 Kyocera Mita Corp 画像処理装置及び画像形成装置
JP2010184363A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Kyocera Mita Corp 画像形成装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016168797A (ja) * 2015-03-13 2016-09-23 株式会社ミヤコシ インクジェット印字装置の制御方法
JP2016193553A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 ブラザー工業株式会社 液体吐出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5820769B2 (ja) 2015-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5594909B2 (ja) インクジェット記録装置
JP5863192B2 (ja) インクジェット記録装置
JP5471289B2 (ja) 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法
JP5927035B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2010194737A (ja) 画像形成方法、画像形成装置
JP2012192710A (ja) 画像形成装置
JP2008265057A (ja) 画像形成装置及びプログラム
JP6269084B2 (ja) 画像形成装置及びヘッド駆動制御方法
JP5651948B2 (ja) 画像形成方法、画像形成装置および画像形成プログラム
JP6035226B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2011088279A (ja) 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法
JP5584972B2 (ja) 記録データ転送装置及び記録装置
JP5820769B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2011207080A (ja) 液体噴射装置
JP2011088346A (ja) 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法
JP6432229B2 (ja) 画像形成装置及びヘッド駆動制御方法
JP6269188B2 (ja) 画像形成装置及びヘッド駆動制御方法
JP5959112B2 (ja) インクジェット記録装置
JP6828388B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム
US20110090274A1 (en) Liquid ejecting apparatus and control method of liquid ejecting apparatus
JP6558135B2 (ja) 画像形成装置及びプログラム
JP2012011635A (ja) インクジェットヘッドの駆動方法及びその装置
JP5304271B2 (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法
JP2011194857A (ja) 液体噴射装置
JP2011051275A (ja) 液体噴射装置、及び、その製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140417

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150416

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150908

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5820769

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150