以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置である。装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持している。そして、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。他の部材も同様)が搭載されている。各記録ヘッド34は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有している。そして、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。また、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、記録ヘッド34としては、1つのノズル面に複数のノズルを並べた各色のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部としてのヘッドタンク35a、35bを搭載している。一方、カートリッジ装填部4には各色のインクカートリッジ(メインタンク)10y、10m、10c、10kが着脱自在に装着される。そして、インクカートリッジ10から供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して各ヘッドタンク35に各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向する分離パッド44を備えている。この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備える。そして、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度、カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするためのキャップ82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83を備えている。また、維持回復機構81は、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87を備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク99が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置している。この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送される。更に、用紙42の先端は搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56によって搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターンで帯電されている。この帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
次に、記録ヘッド34を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4は同ヘッドの液室長手方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、流路板101と、振動板部材102と、ノズル板103とを接合している。これにより、液滴を吐出するノズル104が貫通孔105を介して通じる個別液室106、個別液室106に液体を供給する流体抵抗部107、液体導入部108がそれぞれ形成される。そして、フレーム部材117に形成した共通液室110から振動板部材102に形成されたフィルタ部109を介してインクが液体導入部108に導入され、液体導入部108から流体抵抗部107を介して個別液室106にインクが供給される。なお、「個別液室」は、加圧室、加圧液室、圧力室、個別流路、圧力発生室などと称されるものを含む意味である。
流路板101は、SUSなどの金属板を積層して、貫通孔105、個別液室106、流体抵抗部107、液体導入部108などの開口部や溝部をそれぞれ形成している。振動板部材102は各液室106、流体抵抗部107、液体導入部108などの壁面を形成する壁面部材であるとともに、フィルタ部109を形成する部材である。なお、流路板101は、SUSなどの金属板に限らず、シリコン基板を異方性エッチングして形成することもできる。
そして、振動板部材102の液室106と反対側の面に個別液室106のインクを加圧してノズル104から液滴を吐出させるエネルギーを発生するアクチュエータ手段(圧力発生手段)としての柱状の積層型の圧電部材112が接合されている。この圧電部材112の一端部はベース部材113に接合され、また、圧電部材112には駆動波形を伝達するFPC115が接続されている。これらによって、圧電アクチュエータ111を構成している。
なお、この例では、圧電部材112は積層方向に伸縮させるd33モードで使用しているが、積層方向と直交する方向に伸縮させるd31モードでもよい。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図3に示すように、圧電部材112に印加する電圧を基準電位Veから下げることによって圧電部材112が収縮し、振動板部材102が変形して個別液室106の容積が膨張する。これにより、個別液室106内にインクが流入する。
その後、図4に示すように、圧電部材112に印加する電圧を上げて圧電部材112を積層方向に伸長させ、振動板部材102をノズル104方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させる。これにより、個別液室106内のインクが加圧され、ノズル104から液滴301が吐出される。
そして、圧電部材112に印加する電圧を基準電位Veに戻すことによって振動板部材102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室110から液室106内にインクが充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。図5は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを備えている。また、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509とを備えている。また、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81のキャップ82やワイパ部材83の移動、吸引ポンプ812などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510とを備えている。また、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像を出力するためドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行なうことも、制御部500で行なうこともできる。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。また、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含む。そして、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択して記録ヘッド34の圧力発生手段としての圧電部材112に対して与える。これにより、記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形用要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがある。I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、ヘッド駆動制御手段を構成している印刷制御部508及びヘッドドライバ509の一例について図6のブロック説明図を参照して説明する。
印刷制御部508は、駆動波形生成部701と、データ転送部702とを備えている。駆動波形生成部701は、画像形成時に1印刷周期(1駆動周期)内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)Vcomを生成して出力する。データ転送部702は、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、選択信号である滴制御信号M0〜M3を出力する。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ509の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号である。そして、滴制御信号は、共通駆動波形Vcomの印刷周期に合わせて選択すべきパルス又は波形要素でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ509は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力するシフトレジスタ711を備えている。また、ヘッドドライバ509は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路712と、階調データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ713とを備えている。また、ヘッドドライバ509は、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ714と、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ715を備えている。
このアナログスイッチ715は、各圧電部材112の選択電極(個別電極)に接続され、駆動波形生成部701からの共通駆動波形Vcomが入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と滴制御信号M0〜M3をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチ715がオンにする。これにより、共通駆動波形Vcomを構成する所要の駆動パルス(あるいは波形要素)が通過して(選択されて)圧電部材112に与えられる。
なお、駆動パルスとは共通駆動波形を構成する要素としてのパルスを示す用語として、吐出パルスとは圧力発生手段に印加されることで液滴を吐出させる駆動パルスを示す用語として使用する。また、吐出駆動波形は、吐出パルスで構成される一連の波形を意味する用語して使用する。さらに、非吐出パルス(微駆動パルス)とは圧力発生手段に印加されるが滴を吐出させない(ノズル内のインクを流動させる)パルスを示す用語として使用する。また、以下で説明するパルスは一例であって、これに限るものではない。
次に、本発明の第1実施形態における共通駆動波形及び滴制御信号(選択信号)について図7を参照して説明する。図7は同共通駆動波形及び滴制御信号を説明する説明図である。
本実施形態は、3種類のサイズの液滴(大滴、中滴、小滴)を吐出させる共通駆動波形の例である。駆動波形生成部701からは図7(a)に示すような駆動波形(共通駆動波形)Vcomが出力される。
この共通駆動波形Vcomは、1印刷周期(1駆動周期)内で、液滴を吐出させないでメニスカスを振動させるだけの微駆動パルスP1と、液滴を吐出させる吐出パルスP2〜P5を時系列で生成した波形である。なお、複数の滴は飛翔中にマージして1滴となって被記録媒体に着弾するようにしている。
具体的には、共通駆動波形Vcomは、時系列で、時刻T0〜T1の区間に微駆動パルスP1を、時刻T1〜T2の区間に2つの吐出パルスP2、P3を、時刻T2〜T4の区間に1つの吐出パルスP4を、時刻T4〜印刷周期終了の区間に残留振動抑制波形を含む1つの吐出パルスP5を配置している。
吐出パルスP2ないしP5の波形要素は、次のとおりである。
吐出パルスP2、P3、P4は、いずれも、図8に示すように、波形要素a、b、cで構成される波形である。
ここで、吐出パルスP2、P3、P4の波形要素aは、基準電位Veから所定のホールド電位まで立ち下がって個別液室106を膨張させる膨張波形要素(引き込み波形要素)である。波形要素bは、立ち下がった電位(ホールド電位)を保持する保持波形要素である。波形要素cは、ホールド電位から立ち上がって個別液室106を収縮させる収縮波形要素(押し込み波形要素)である。ただし、ホールド電位は、吐出パルスP2ないしP4で異なっている。また、ホールド電位とは、当該吐出パルスの波形要素のうちで最も個別液室106を膨張させた状態の電位を意味するものとする。
吐出パルスP5は、図9に示すように、波形要素a、b、d、e1、f、e2、gで構成される波形である。
ここで、吐出パルスP5の波形要素aは、基準電位Veからホールド電位まで立ち下がって個別液室106を膨張させる膨張波形要素である。波形要素bは、ホールド電位を保持する保持波形要素である。波形要素dは、ホールド電位から基準電位Veを超えて電位Vaまで立ち上がって個別液室106を収縮させる収縮波形要素である。これらの波形要素a、b、dは、液滴を吐出させる吐出パルス波形Paを構成している。
また、波形要素e1は、波形要素dの立ち上がり電位Vaを保持する保持波形要素である。波形要素fは、保持波形要素e1で保持された電位Vaから更に電位Vbまで立ち上がって個別液室106を収縮させる収縮波形要素である。波形要素e2は、収縮波形要素fの立ち上がり電位Vbを保持する保持波形要素である。波形要素gは、保持波形要素e2の保持電位Vbから基準電位Veまで立ち下がる立下り波形要素である。これらの波形要素e1、f、e2、gは、波形要素d(吐出パルス波形Pa)による滴吐出後の残留振動を抑制する残留振動抑制波形Pbを構成している。
そして、図7(b)に示すように、データ転送部702から出力する選択信号としての滴制御信号M0〜M2によって共通駆動波形Vcomの吐出パルスP2〜P5や吐出パルスP4の波形部分を選択して吐出駆動波形として圧力発生手段に与える。また、滴制御信号M3によって共通駆動波形Vcomの微駆動パルスP1を選択して非吐出駆動波形として圧力発生手段に与える。
そこで、大滴用吐出駆動波形及び中滴用吐出駆動波形及びメニスカス変位について図10ないし図13も参照して説明する。図10は大滴用吐出駆動波形の説明図、図11は中滴用吐出駆動波形の説明図、図12は大滴用吐出駆動波形を与えたときのノズルのメニスカス変位の説明図、図13は中滴用吐出駆動波形を与えたときのノズルのメニスカス変位の説明図である。
本実施形態では、大滴を本発明における「第1滴」とし、中滴を同じく「第2滴」とする。
そして、大滴を形成する大滴用吐出駆動波形を同じく「第1滴用吐出駆動波形」とし、第1滴(大滴)用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数よりも少ない数の吐出パルスで構成される中滴を形成する中滴用吐出駆動波形を同じく「第2滴用吐出駆動波形」とする。し、
また、大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスを選択する滴制御信号M0を同じく「第1選択信号」とし、中滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルス及び中滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの一部を選択する滴制御信号M1を同じく「第2選択信号」とする。
ここで、第1選択信号である滴制御信号M0は、時刻T1でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T5でON状態からOFF状態に遷移する。これにより、図10に示すように、吐出パルスP2ないしP4及び残留振動抑制波形を含む吐出パルスP5で構成される大滴用吐出駆動波形が得られる。
一方、第2選択信号である滴制御信号M1は、時刻T1でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T2でON状態からOFF状態に遷移し、吐出パルスP4の途中である時刻T3でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T4でON状態からOFF状態に遷移する。これにより、図9に示すように、中滴用吐出駆動波形には、吐出パルスP2、P3とともに、吐出パルスP4の一部(この吐出パルスの一部が「微振動波形」となる。)が含まれることになる。
つまり、第2選択信号である滴制御信号M1には、中滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP4の一部を選択する信号が含まれている。
本実施形態では第2滴用吐出駆動波形である中滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数は2個であり、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数である4個よりも少ない。
また、第2滴用吐出駆動波形である中滴用吐出駆動波形には、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP4,P5が含まれない。言い換えれば、吐出パルスP4、P5は、中滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスである。
ここで、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP4は、それより前の吐出パルスP3によって吐出された滴によるメニスカス振動と同位相のタイミングで与えられる。
すなわち、図12に示すように、吐出パルスP3による滴吐出に伴うメニスカスの残留振動がノズル外部方向に最大となった時刻Pout後、メニスカスがノズル内部方向に戻るのに合わせて、個別液室106を膨張させ、一定の保持時間の後、時刻Pinでメニスカスが外部方向に変位するのに合わせて、今度は個別液室106を収縮させる。
これにより、前の滴吐出による残留振動を利用して3滴目を吐出させるので、滴速度を速めることができ、被記録媒体に着弾する前に、先に吐出パルスP2、P3で吐出済みの1〜2滴目に追いついて合体した滴となる。
一方、第2選択信号である滴制御信号M1は、前述したように、吐出パルスP4の途中である時刻T3でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T4でON状態からOFF状態に遷移する。
これにより、中滴用吐出駆動波形は、時刻T2から時刻T3までは滴制御信号M1はOFF状態であるので、基準電位Veのまま推移し、この期間に対応する吐出パルスP4の部分は選択されない。
そして、時刻T3で滴制御信号M1がON状態に遷移することで、基準電位Veから吐出パルスP4のホールド電位まで立ち下がり、その後、吐出パルスP4の一部の波形に従って変化する波形(微振動波形)が得られる。
この微駆動波形は、基準電位Veから吐出パルスP4のホールド電位まで立ち下がりで個別液室106を膨張させ、その後すぐに吐出パルスP4の持つ立ち上げ波形要素cが入ることによって、個別液室106を元の状態まで収縮させる。
この場合、個別液室106の膨張開始から収縮終了までの時間が長すぎると、液滴が吐出してしまうため、個別気質106の固有振動周期(共振周期)Tcの1/3以下であることが好ましい。
したがって、図13に示すように、液滴が吐出しない程度にメニスカスの残留振動を強める(加振する)微振動がメニスカスに伝わり、サテライト滴の速度を速めることができる。つまり、このときの吐出パルスP4の一部で形成した微振動波形はサテライト短縮波形となる。
このように、中滴用吐出駆動波形に含ませるサテライト短縮波形を共通駆動波形の中の大滴用吐出駆動波形に含まれる吐出パルスの一部を選択して形成する。これにより、大滴用吐出駆動波形には残留振動抑制波形、中滴用吐出駆動波形にはサテライト短縮波形と、滴種(滴サイズ)に応じた制御波形を入れることができる。
そして、本実施形態によれば、共通駆動波形に中滴用のサテライト短縮波形を設ける必要がなくなり、共通駆動波形全体の波形長を長くすることなく、つまり、駆動周波数を低減することなく、サテライトを抑制することができる。
なお、本実施形態では、選択信号を用いて中滴用のサテライト短縮波形を形成したが、同様の手順で、残留振動に対して反共振波形にできる波形部分を持つ吐出パルスを含む場合には、残留振動抑制波形を形成することもできる。
次に、本発明の第2実施形態における共通駆動波形及び滴制御信号(選択信号)について図14を参照して説明する。図14は同共通駆動波形及び滴制御信号を説明する説明図である。
本実施形態は、2種類のサイズの液滴(大滴、小滴)を吐出させる共通駆動波形の例である。駆動波形生成部701からは図14(a)に示すような駆動波形(共通駆動波形)Vcomが出力される。この共通駆動波形Vcomは、1印刷周期(1駆動周期)内で、液滴を吐出させないでメニスカスを振動させるだけの微駆動パルスP11と、液滴を吐出させる吐出パルスP12〜P14を時系列で生成した波形である。なお、複数の滴は飛翔中にマージして1滴となって被記録媒体に着弾するようにしている。
具体的には、共通駆動波形Vcomは、時系列で、時刻T0〜T1の区間に微駆動パルスP11を、時刻T1〜T2の区間に吐出パルスP12を、時刻T2〜T5の区間に吐出パルスP13を、時刻T5〜印刷周期終了の区間に残留振動抑制波形を含む吐出パルスP14を配置している。
吐出パルスP12は図8で説明した波形要素を、吐出パルスP14は図9で説明した波形要素を有している。
吐出パルスP13は、波形要素a1、b1、a2、b2、cで構成される。波形要素a1は、基準電位Veと所定のホールド電位との中間電位Vhまで立ち下がって個別液室106を膨張させる第1膨張波形要素(第1引き込み波形要素)である。波形要素hは、中間電位Vhを保持する保持波形要素である。波形要素a2は、電位Vhから所定のホールド電位まで立ち下がって個別液室106を膨張させる第2膨張波形要素(第2引き込み波形要素)である。波形要素b2は、所定のホールド電位を保持する保持波形要素である。波形要素cは、ホールド電位から基準電位Veまで立ち上がって個別液室106を収縮させる収縮波形要素(押し込み波形要素)である。
そこで、大滴用吐出駆動波形及び小滴用吐出駆動波形及びメニスカス変位について図15ないし図17も参照して説明する。図15は大滴用吐出駆動波形の説明図、図16は小滴用吐出駆動波形の説明図、図17は小滴用吐出駆動波形を与えたときのノズルのメニスカス変位の説明図である。
本実施形態では、大滴を本発明における「第1滴」とし、小滴を同じく「第2滴」とする。
そして、大滴を形成する大滴用吐出駆動波形を同じく「第1滴用吐出駆動波形」とし、第1滴(大滴)用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数よりも少ない数の吐出パルスで構成される小滴を形成する小滴用吐出駆動波形を同じく「第2滴用吐出駆動波形」とする。
また、大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスを選択する滴制御信号M10を同じく「第1選択信号」とし、小滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルス及び小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの一部を選択する滴制御信号M11を同じく「第2選択信号」とする。
ここで、第1選択信号である滴制御信号M10は、時刻T2でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T6でON状態からOFF状態に遷移する。これにより、図15に示すように、吐出パルスP13及び残留振動抑制波形を含む吐出パルスP14で構成される大滴用吐出駆動波形が得られる。
一方、第2選択信号である滴制御信号M11は、時刻T1でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T3でON状態からOFF状態に遷移し、時刻T4でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T5でON状態からOFF状態に遷移する。これにより、図16に示すように、吐出パルスP12を含む小滴用吐出駆動波形が得られる。
ここでは、第2選択信号である滴制御信号M11は、吐出パルスP12から吐出パルスP13に移行する時刻T2でもON状態を維持する。これにより、図16に示すように、小滴用吐出駆動波形には、吐出パルスP12とともに、吐出パルスP13の一部(この吐出パルスの一部が「微振動波形」となる。)が含まれることになる。
つまり、第2選択信号である滴制御信号M11には、小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP13の一部を選択する信号が含まれている。
なお、吐出パルスP13の終了段階の時刻T4でOFF状態からON状態に遷移させるのは、基準電位Veに戻すためである。
本実施形態では第2滴用吐出駆動波形である小滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数は1個であり、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数である3個よりも少ない。
また、第2滴用吐出駆動波形である小滴用吐出駆動波形には、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP13、P14が含まれない。言い換えれば、吐出パルスP13、P14は、小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスである。
そこで、小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP13の一部によって微振動波形としてのサテライト短縮波形を生成している。
具体的には、時刻T1〜T2の区間の吐出パルスP12で滴が吐出されるが、共通駆動波形Vcomは時刻T2からすぐに大滴の吐出パルスP13が始まる。そのため、大滴の最終部の吐出パルスP14のプッシュ形状の波形(残留振動抑制波形)を時刻T2から入れることはできない。
そこで、小滴用吐出駆動波形は、滴制御信号M11を利用して、図16に示すように、吐出パルスP2の終了後、時刻T2〜T3の区間は選択信号M11をON状態のままにし、大滴用の吐出パルスP3の一部を使って個別液室106を微膨張(滴吐出を行うための膨張よりも少ない膨張)させる。
そして時刻T3〜T4の区間で一旦滴制御信号M11をOFF状態にし、時刻T4〜T5で再びON状態にすることで矩形の波形が形成される。これにより、個別液室106を微収縮(微膨張状態から微膨張前の状態に収縮)させるとともに、小滴用吐出駆動波形の電位を基準電位Veに戻す。
この場合、図17に示すように、微膨張開始の時刻は、メニスカスの残留振動(変位)がノズル外部方向に極大となるタイミングないしその近傍のタイミングが好ましい。具体的には、メニスカスの振動周期(個別液室106の固有振動周期Tc)を用いて、吐出パルス終了から、{(1/4)+n}×Tc(nは0以上の整数)、後であることが好ましい。
また、収縮開始の時刻は、メニスカスの残留振動(変位)がノズル内部方向に極大となるないしその近傍のタイミングが好ましい。具体的には、微膨張開始から微収縮開始までの時間が、個別液室106の固有振動周期Tcに対して、{(1/2)+n}×Tc(nは0以上の整数)、の関係であることが好ましい。
このようにして選択信号(滴制御信号)を利用して形成された矩形状の波形により、吐出しない程度に残留振動を強める振動がメニスカスに伝わり、サテライト滴の速度を速めることができる。
このように、小滴のサテライト短縮波形を共通駆動波形の中の吐出パルスの一部から選択して形成することで、大滴には残留振動抑制波形、小滴にはサテライト短縮波形と、滴種に応じた制御波形を入れることができる。
そして、この場合、共通駆動波形に小滴用のサテライト短縮波形を設ける必要がないので、共通駆動波形の波形長を短縮でき、高周波駆動が可能となる。
次に、本発明の第3実施形態における共通駆動波形及び滴制御信号(選択信号)について図18を参照して説明する。図18は同共通駆動波形及び滴制御信号を説明する説明図である。
本実施形態は、2種類のサイズの液滴(大滴、小滴)を吐出させる共通駆動波形の例である。駆動波形生成部701からは図18(a)に示すような駆動波形(共通駆動波形)Vcomが出力される。この共通駆動波形Vcomは、1印刷周期(1駆動周期)内で、液滴を吐出させないでメニスカスを振動させるだけの微駆動パルスP21と、液滴を吐出させる吐出パルスP22〜P24を時系列で生成した波形である。なお、複数の滴は飛翔中にマージして1滴となって被記録媒体に着弾するようにしている。
具体的には、共通駆動波形Vcomは、時系列で、時刻T0〜T1の区間に微駆動パルスP21を、時刻T1〜T2の区間に吐出パルスP22を、時刻T2〜T3に区間で吐出パルスP23を、時刻T3〜印刷周期終了の区間に吐出パルスP24を配置している。
吐出パルスP23は図8で説明した波形要素を有している。
吐出パルスP22は、波形要素a3、m、a4、b、cで構成される。波形要素a3は、基準電位Veと所定のホールド電位との中間電位Vmまで立ち下がって個別液室106を膨張させる第1膨張波形要素(第1引き込み波形要素)である。波形要素mは、中間電位Vmを保持する保持波形要素である。波形要素a4は、所定のホールド電位まで立ち下がって個別液室106を膨張させる第2膨張波形要素(第2引き込み波形要素)である。波形要素bは、所定のホールド電位を保持する保持波形要素である。波形要素cは、ホールド電位から基準電位Veまで立ち上がって個別液室106を収縮させる収縮波形要素(押し込み波形要素という)である。
吐出パルスP24は、波形要素a、b、c1、n、c2で構成される。波形要素aは、基準電位Veから所定のホールド電位まで立ち下がって個別液室106を膨張させる膨張波形要素(引き込み波形要素)である。波形要素bは、ホールド電位を保持する保持波形要素である。波形要素c1は、ホールド電位から中間電位Vnまで立ち上がって個別液室106を収縮させる第1収縮波形要素(第1押し込み波形要素)である。波形要素nは、中間電位Vnを保持する保持波形要素である。波形要素c2は、中間電位Vnから基準電位Veまで立ち上がって個別液室106を収縮させる第2収縮波形要素(第2押し込み波形要素)である。
そこで、大滴用吐出駆動波形及び小滴用吐出駆動波形及びメニスカス変位について図19ないし図21も参照して説明する。図19は大滴用吐出駆動波形の説明図、図20は小滴用吐出駆動波形の説明図、図21は小滴用吐出駆動波形を与えたときのノズルのメニスカス変位の説明図である。
本実施形態でも、大滴を本発明における「第1滴」とし、小滴を同じく「第2滴」とする。
そして、大滴を形成する大滴用吐出駆動波形を同じく「第1滴用吐出駆動波形」とし、第1滴(大滴)用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数よりも少ない数の吐出パルスで構成される小滴を形成する小滴用吐出駆動波形を同じく「第2滴用吐出駆動波形」とする。
また、大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスを選択する滴制御信号M20を同じく「第1選択信号」とし、小滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルス及び小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの一部を選択する滴制御信号M21を同じく「第2選択信号」とする。
ここで、第1選択信号である滴制御信号M20は、時刻T1でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T6でON状態からOFF状態に遷移する。これにより、図19に示すように、吐出パルスP22、P23、P24で構成される大滴用吐出駆動波形が得られる。
一方、第2選択信号である滴制御信号M21は、時刻T2でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T3でON状態からOFF状態に遷移し、時刻T4でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T5でON状態からOFF状態に遷移し、時刻T6でOFF状態からON状態に遷移し、時刻T7でON状態からOFF状態に遷移する。これにより、図20に示すように、吐出パルスP23とともに、吐出パルスP24の一部(この吐出パルスの一部が「微振動波形」となる。)が含まれることになる。
つまり、第2選択信号である滴制御信号M21には、小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP24の一部を選択する信号が含まれている。
本実施形態では第2滴用吐出駆動波形である小滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数は1個であり、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスの数である3個よりも少ない。
また、第2滴用吐出駆動波形である小滴用吐出駆動波形には、第1滴用吐出駆動波形である大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP22、P24が含まれない。言い換えれば、吐出パルスP22、P24は、小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスである。
そこで、小滴用吐出駆動波形に含まれない大滴用吐出駆動波形を構成する吐出パルスP23の一部によって微振動波形としてのサテライト短縮波形を生成している。
具体的には、時刻T2〜T3の区間の吐出パルスP23で滴が吐出されるが、共通駆動波形Vcomは時刻T3からすぐに大滴の吐出パルスP24が始まる。そのため、サテライト短縮波形(あるいは残留振動抑制波形)を入れる余裕はない。
そこで、小滴用吐出駆動波形は、滴制御信号M21を利用して、図20に示すように、吐出パルスP22の終了後、時刻T3〜T4の区間は滴制御信号M21を一旦OFF状態にし、時刻T4〜T5の区間で再びON状態にし、時刻T5で一旦OFF状態にして、時刻T6〜T7の区間で再びON状態にすることで、矩形のパルスを形成する。
この矩形パルスにより、時刻T4で個別液室106が微膨張、時刻T6で個別液室106が微収縮し、図21に示すように、吐出しない程度にメニスカス残留振動が強められ、サテライト滴の速度を速めることができる。
つまり、第1、第2実施形態では、膨張あるいは収縮のどちらかは共通駆動波形を用いたが、第3実施形態のように、膨張、収縮のどちらも矩形波にして、共通駆動波形にない波形を入れることもできる。
このように、小滴のサテライト短縮波形を共通駆動信号の中の吐出パルスの一部から選択して形成することで、大滴には残留振動抑制波形、小滴にはサテライト短縮波形と、滴種に応じた制御波形を入れることができる。
そして、この場合、共通駆動波形に小滴用のサテライト短縮波形を設ける必要がないので、共通駆動波形の波形長を短縮でき、高周波駆動が可能となる。
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味である。被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。