JP6432229B2 - 画像形成装置及びヘッド駆動制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置及びヘッド駆動制御方法に関する。
液滴を吐出する液体吐出ヘッドを使用して画像を形成するとき、滴吐出後の残留振動によって次の滴吐出時に滴曲がりやマージ不良、滴速度の変動など、画像不具合の原因となる現象が引き起こされることがある。特に、高周波駆動を行うためには、残留振動が減衰しきる前に次の滴を吐出しなければならない。
しかし、メニスカスに残留振動が残った状態で液滴を吐出するときと、メニスカスが静止した状態から液滴を吐出するときとでは、吐出滴の挙動が異なり、結果として、低周波駆動と高周波駆動で吐出滴の滴量が異なることになる。
そこで、低周波駆動時のミスト抑制と高周波駆動時の残留振動抑制を両立するため、低周波駆動用の駆動波形と高周波駆動用の駆動波形をあらかじめ用意しておいて、次の周期が吐出か非吐出かに応じて使い分ける構成が知られている(特許文献1)。
特開2014−004706号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている構成にあっては、次の周期が吐出か非吐出かという画像情報に応じて駆動波形を選択しなければならず、信号線の増加や制御の複雑化を招くという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、高周波駆動と低周波駆動の滴量のバラツキを低減することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルと、前記ノズルが通じる個別液室と、前記個別液室内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドと、
1駆動周期内で複数の駆動パルスを時系列で含む共通駆動波形を生成し、前記共通駆動波形から1又は2以上の前記駆動パルスの全部又は一部を選択して前記圧力発生手段に与えるヘッド駆動制御手段と、を備え、
前記共通駆動波形は、少なくとも、時系列で、先頭に滴量調整波形が配置され、最後に液滴を吐出させる吐出パルスが配置され、
前記滴量調整波形は、前回の駆動周期の前記吐出パルスで前記ノズルから液滴を吐出させるときの液柱の後端部を引きちぎる波形であり、
前記1駆動周期において、前記吐出パルスを選択する周期では前記滴量調整波形が選択され、
前記1駆動周期において、前記吐出パルスを選択しない周期では前記滴量調整波形が選択されない
構成とした。
本発明によれば、簡単な構成で、高周波駆動と低周波駆動の滴量のバラツキを低減することができる。
本発明に係る画像形成装置の側面説明図である。 同じく要部平面説明図である。 同じく記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向の断面説明図である。 同じく滴吐出動作の説明に供する断面説明図である。 同じく制御部の概要を示すブロック説明図である。 同制御部の印刷制御部及びヘッドドライバの一例を示すブロック説明図である。 本発明の第1実施形態における共通駆動信号の説明に供する説明図である。 同実施形態における画像命令と選択信号との関係を説明する説明図である。 吐出パルスP3単独での吐出滴の滴量−周波数特性の一例の説明図である。 実際の画像形成時のヘッドの駆動周波数と滴量の関係の説明図である。 同実施形態の作用説明に供する共通駆動信号Vcomを選択信号で選択した駆動信号の異なる例を示す説明図である。 滴量調整パルス及び吐出パルスでの吐出滴の滴量−周波数特性を説明する説明図である。 本発明の第2実施形態における共通駆動信号の説明に供する説明図である。 同実施形態における画像命令と選択信号との関係を説明する説明図である。 同実施形態の作用説明に供する共通駆動信号Vcomを選択信号で選択した駆動信号の異なる例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置である。装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持している。そして、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。他の部材も同様)が搭載されている。各記録ヘッド34は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有している。そして、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。また、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、記録ヘッド34としては、1つのノズル面に複数のノズルを並べた各色のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部としてのヘッドタンク35a、35bを搭載している。一方、カートリッジ装填部4には各色のインクカートリッジ(メインタンク)10y、10m、10c、10kが着脱自在に装着される。そして、インクカートリッジ10から供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して各ヘッドタンク35に各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向する分離パッド44を備えている。この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備える。そして、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度、カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。
この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするためのキャップ82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83を備えている。
また、維持回復機構81は、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87を備えている。
また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置している。この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙されて搬送ベルト51上に送られ、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
次に、記録ヘッド34を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4は同ヘッドの液室長手方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、流路板101と、振動板部材102と、ノズル板103とを接合している。これにより、液滴を吐出するノズル104が貫通孔105を介して通じる個別液室106、個別液室106に液体を供給する流体抵抗部107、液体導入部108がそれぞれ形成される。そして、フレーム部材117に形成した共通液室110から振動板部材102に形成されたフィルタ部109を介してインクが液体導入部108に導入され、液体導入部108から流体抵抗部107を介して個別液室106にインクが供給される。なお、「個別液室」は、加圧室、加圧液室、圧力室、個別流路、圧力発生室などと称されるものを含む意味である。
流路板101は、SUSなどの金属板を積層して、貫通孔105、個別液室106、流体抵抗部107、液体導入部108などの開口部や溝部をそれぞれ形成している。振動板部材102は各液室106、流体抵抗部107、液体導入部108などの壁面を形成する壁面部材であるとともに、フィルタ部109を形成する部材である。なお、流路板101は、SUSなどの金属板に限らず、シリコン基板を異方性エッチングして形成することもできる。
そして、振動板部材102の液室106と反対側の面に個別液室106のインクを加圧してノズル104から液滴を吐出させるエネルギーを発生するアクチュエータ手段(圧力発生手段)としての柱状の積層型の圧電部材112が接合されている。この圧電部材112の一端部はベース部材113に接合され、また、圧電部材112には駆動波形を伝達するFPC115が接続されている。これらによって、圧電アクチュエータ111を構成している。
なお、この例では、圧電部材112は積層方向に伸縮させるd33モードで使用しているが、積層方向と直交する方向に伸縮させるd31モードでもよい。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図3に示すように、圧電部材112に印加する電圧を中間電位Voから下げることによって圧電部材112が収縮し、振動板部材102が変形して個別液室106の容積が膨張する。これにより、個別液室106内にインクが流入する。
その後、図4に示すように、圧電部材112に印加する電圧を上げて圧電部材112を積層方向に伸長させ、振動板部材102をノズル104方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させる。これにより、個別液室106内のインクが加圧され、ノズル104から液滴301が吐出される。
そして、圧電部材112に印加する電圧を中間電位Voに戻すことによって振動板部材102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室110から液室106内にインクが充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。図5は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを備えている。また、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509とを備えている。また、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81のキャップ82やワイパ部材83の移動、吸引ポンプ812などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510とを備えている。また、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像を出力するためドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行なうことも、制御部500で行なうこともできる。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。また、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含む。そして、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択して記録ヘッド34の圧力発生手段としての圧電部材112に対して与える。これにより、記録ヘッド34を駆動する。
このとき、駆動波形を構成する1又は2以上の駆動パルスの全部又は一部(駆動パルスを形成する波形用要素の一部)を選択する。これにより、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがある。I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、ヘッド駆動制御手段を構成している印刷制御部508及びヘッドドライバ509の一例について図6のブロック説明図を参照して説明する。
印刷制御部508は、駆動波形生成部701と、データ転送部702とを備えている。駆動波形生成部701は、画像形成時に1印刷周期(1駆動周期)内に複数の駆動パルスで構成される共通駆動波形(以下、「共通駆動信号」という。)Vcomを生成して出力する。データ転送部702は、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号である選択信号0〜3を出力する。
なお、選択信号0〜3は、ヘッドドライバ509のスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号である。そして、選択信号1〜4は、後述する最終吐出パルスと残留振動抑制波形との間で切り替わり、選択時にはLレベル(「0」)に状態遷移し、非選択時にはHレベル(「1」)に状態遷移する。
ヘッドドライバ509は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力するシフトレジスタ711を備えている。また、ヘッドドライバ509は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路712と、階調データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ713とを備えている。
また、ヘッドドライバ509は、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ714と、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ715を備えている。
このアナログスイッチ715は、各圧電部材112の選択電極(個別電極)に接続され、駆動波形生成部701からの共通駆動信号Vcomが入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と選択信号1〜4をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチ715がオンにする。これにより、共通駆動信号Vcomを構成する所要の駆動パルス(あるいは波形要素)が通過して(選択されて)圧電部材112に与えられる。
なお、駆動パルスとは共通駆動波形(共通駆動信号)を構成する要素としてのパルスを示す用語として、吐出パルスとは圧力発生手段に印加されることで液滴を吐出させる駆動パルスを示す用語として使用する。また、非吐出パルス(微駆動パルス)とは圧力発生手段に印加されるが滴を吐出させない(ノズル内のインクを流動させる)パルスを示す用語として使用する。また、以下で説明するパルスは一例であって、これに限るものではない。
次に、本発明の第1実施形態について図7を参照して説明する。図7は同実施形態における共通駆動信号の説明に供する説明図である。
本実施形態の共通駆動信号Vcomは、時系列で、滴量調整波形である滴量調整パルスP1、微駆動パルスP2、吐出パルスP3を含んでいる。
滴量調整パルスP1は、時系列で、共通駆動信号Vcomの先頭に配置されている。滴量調整パルスP1は、前回の駆動周期(印刷周期)、すなわち、一つ前の周期において、吐出パルスP3でノズルから液滴を吐出させるときの液柱の後端部を引きちぎる波形である。吐出パルスP3でノズルから液滴を吐出させるときの液柱の後端部を引きちぎることで、当該吐出パルスP3によって吐出される液滴の滴量を変化(調整)することができる。
微駆動パルスP2は、液滴が吐出しない程度にメニスカスを攪拌する(振動させる)駆動パルスである。
吐出パルスP3は、液滴を吐出させる駆動パルスであり、時系列で、共通駆動信号Vcomの最後に配置されている。
ここで、滴量調整パルスP1、微駆動パルスP2、吐出パルスP3は、基本的波形要素として、基準電位Voから立ち下がって個別液室106の容積を膨張させる膨張波形要素(引き込み波形要素)aと、膨張波形要素aで膨張された状態を保持する保持波形要素bと、保持波形要素bで保持された状態から個別液室106の容積を収縮させる収縮波形要素(押し込み波形要素)cとを含んでいる。
そして、液量調整パルスP1は、一つ前の周期の吐出パルスP3によって吐出される液滴がまだノズルと液柱の状態で繋がっている途中で、膨張波形要素aによって個別液室106を膨張させることにより、液柱を引きちぎり、吐出パルスP3による吐出滴の滴量を減少させる。
次に、本実施形態における選択信号について図8を参照して説明する。図8は画像命令と選択信号との関係を説明する説明図である。
画像命令が「印字」のとき(液滴を吐出させるとき)には、選択信号は、滴量調整パルスP1と吐出パルスP3をON(選択)とし、微駆動パルスP2をOFF(非選択)とする。
すなわち、圧力発生手段に共通駆動信号Vcomのうちの滴量調整パルスP1と吐出パルスP3が与えられ、微駆動パルスP2は与えられない。
一方、画像命令が「非印字」のとき(液滴を吐出させないとき)には、選択信号は、微駆動パルスP2のみON(選択)とし、滴量調整パルスP1と吐出パルスP3をOFF(非選択)とする。
すなわち、圧力発生手段に共通駆動信号Vcomのうちの微駆動パルスP2のみが与えられ、滴量調整パルスP1と吐出パルスP3はいずれも与えられない。
このように、吐出パルスP3を選択する周期(駆動周期、印刷周期)では滴量調整波形(滴量調整パルスP1)が選択され、吐出パルスP3を選択しない周期(駆動周期、印刷周期)では滴量調整波形(滴量調整パルスP1)が選択されない構成としている。
なお、ここでは、画像命令は、「印字」と「非印字」の2つしかないが、「印字」は大ドット、中ドット、小ドットというように複数種類とすることもできる。
次に、吐出パルスP3単独での吐出滴の滴量と駆動周波数の関係について図9を参照して説明する。
吐出パルスP3単独で液滴を吐出させる場合、駆動周波数が高い領域、即ち、吐出周期(吐出周期)が短い領域では、一つ前の周期の吐出後の残留振動が残った状態で次の滴が吐出されるので、吐出滴の滴量が滴量Bのように大きくなる。
これに対し、一つ前の周期の残留振動が残っていない吐出周期の領域では、残留振動との重畳がないので、吐出滴の滴量は滴量A(A<B)でほぼ同じになる。
このように、一つ前の周期の残留振動が残っている駆動周波数と、一つ前の周期の残留振動が残っていない駆動周波数とでは、吐出滴の滴量が変化してしまう(ばらつく)ことになる。
次に、画像形成時のヘッド駆動周波数と吐出滴の滴量の関係について図10を参照して説明する。
実際に画像形成を行うときヘッドの駆動周波数は、印字モードの駆動周波数とその約数となるため、図10に示すように、最大周波数駆動時と間引き駆動時とでは滴量が変化し、最大周波数駆動時だけ大きくなる。
次に、本実施形態の作用について図11及び図12を参照して説明する。図11は共通駆動信号Vcomを図8に示す選択信号で選択した駆動信号の異なる例を示す説明図、図12は滴量調整パルスP1及び吐出パルスP3での吐出滴の滴量と駆動周波数の関係を説明する説明図である。
まず、図11(a)は、周期T1〜T4において、画像命令が、「非印字」(周期T1)、「印字」(周期T2)、「非印字」(周期T3)、「非印字」(周期T4)の例であり、「印字」の周期T2に続く周期T3の画像命令が「非印字」の場合の例である。
この例では、周期T2に続く周期T3で滴量調整パルスP1が選択されないので、周期T2の吐出パルスP3で吐出される液滴の液柱が引きちぎられない。したがって、周期T2では吐出パルスP3単独で吐出される液滴でドットが形成される。
一方、図11(b)は、周期T1〜T4において、画像命令がいずれも「印字」の例である。
このように、次の周期に「印字」が続く場合には、吐出パルスP3が印加された直後に次の周期の滴量調整パルスP1が印加されることになる。
ここで、滴量調整パルスP1は、吐出パルスP3によって吐出される液滴がまだノズルと液柱の状態で繋がっている最中に印加され、液柱の後半を個別液室内部に引き込むことで、滴量を小さく調整するパルスである。
これにより、図12に示すように、最大周波数駆動時の滴量Bが、滴量調整パルスP1によってほぼ滴量Aまで減少する。これにより、駆動周波数によらず、滴量をほぼ一定とすることができる。
この場合、前後の印字命令のパターンに基づいて信号を選択する制御も必要なく、選択信号の本数を増やす必要もないため、制御や構成の複雑化に伴うコストアップを招くこともない。
このようにして、簡単な構成で、高周波駆動と低周波駆動の滴量のバラツキを低減することができる。
上述したように、滴量調整パルスP1は直前の周期(1つ前の周期)の吐出パルスP3によって吐出される液滴がまだノズルと液柱の状態で繋がっている状態のときに印加して、液柱を引きちぎることによって滴量を調整する。
したがって、直前の周期の吐出パルスP3の終了時刻から滴量調整パルスP1の開始時刻までのインターバル(時間差)はヘッドの固有振動周期(共振周期)Tc以内であることが好ましい。
次に、本発明の第2実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態における共通駆動信号の説明に供する説明図である。
本実施形態の共通駆動信号Vcomは、時系列で、滴量調整波形P1a、微駆動パルスP2、吐出パルスP3を含んでいる。
滴量調整波形P1aは、基準電位Voから中間電位Veまで立ち下がって個別液室106の容積を膨張させる膨張波形要素である。
また、吐出パルスP3の膨張波形要素aは中間電位Veから立ち下がる波形とし、収縮波形要素cは基準電位Voまで立ち上がる波形としている。
次に、本実施形態における選択信号について図14を参照して説明する。図14は画像命令と選択信号との関係を説明する説明図である。
まず、選択信号は、図13における1駆動周期の期間t1〜t5のそれぞれの期間を個別に選択可能な信号を使用している。
そして、画像命令が「印字」のとき(液滴を吐出させるとき)には、選択信号は、期間t1及び期間t5をONとする(選択する)ことで、滴量調整波形P1aと吐出パルスP3をON(選択)とし、その他の期間はOFF(非選択)とする。
すなわち、圧力発生手段に共通駆動信号Vcomのうちの滴量調整波形P1aと吐出パルスP3が与えられ、微駆動パルスP2は与えられない。
一方、画像命令が「非印字」のとき(液滴を吐出させないとき)には、選択信号は、期間t3のみをONとする(選択する)ことで、微駆動パルスP2をON(選択)とし、その他の期間はOFF(非選択)とする。
すなわち、圧力発生手段に共通駆動信号Vcomのうちの微駆動パルスP2のみが与えられ、滴量調整波形P1aと吐出パルスP3はいずれも与えられない。
このように、吐出パルスP3を選択する周期では滴量調整波形P1aが選択され、吐出パルスP3を選択しない周期では滴量調整波形P1aが選択されない構成としている。
なお、ここでも、画像命令は、「印字」と「非印字」の2つしかないが、「印字」は大ドット、中ドット、小ドットというように複数種類とすることもできる。
次に、本実施形態の作用について図15を参照して説明する。図15は共通駆動信号Vcomを図13に示す選択信号で選択した駆動信号の異なる例を示す説明図である。
本実施形態でも、図14(a)は、周期T1〜T4において、画像命令が、「非印字」(周期T1)、「印字」(周期T2)、「非印字」(周期T3)、「非印字」(周期T4)の例であり、「印字」の周期T2に続く周期T3の画像命令が「非印字」の場合の例である。
このとき、周期T2に続く周期T3で滴量調整波形P1aが選択されないので、周期T2の吐出パルスP3で吐出される液滴の液柱が引きちぎられない。したがって、周期T2に吐出パルスP3単独で吐出される液滴でドットが形成される。
一方、図14(b)は、周期T1〜T4において、画像命令がいずれも「印字」の例である。
このように、次の周期に「印字」が続く場合には、吐出パルスP3が印加された直後に滴量調整波形P1aが印加されることになる。
ここで、滴量調整波形P1aは、吐出パルスP3によって吐出される液滴がまだノズルと液柱の状態で繋がっている状態のときに印加され、液柱の後半を個別液室内部に引き込むことで引きちぎり、滴量を小さく調整するパルスである。
これにより、最大周波数駆動時の滴量が滴量調整波形P1aによって減少し、駆動周波数によらず、低周波駆動時と高周波駆動時との滴量をほぼ一定とすることができる。
この場合、前後の印字命令のパターンに基づいて信号を選択する制御も必要なく、選択信号の本数を増やす必要もないため、制御や構成の複雑化に伴うコストアップを招くこともない。
上述したように、滴量調整波形P1aは直前の周期の吐出パルスP3によって吐出される液滴がまだノズルと液柱の状態で繋がっている状態のときに印加することで、液柱を引きちぎることによって滴量を調整する。
したがって、直前の周期の吐出パルスP3の終了時刻から滴量調整波形P1aの開始時刻までのインターバル(時間差)はヘッドの固有振動周期(共振周期)Tc以内であることが好ましい。
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味である。被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
500 制御部
508 印刷制御部
701 駆動波形生成部
702 データ転送部

Claims (5)

  1. 液滴を吐出する複数のノズルと、前記ノズルが通じる個別液室と、前記個別液室内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドと、
    1駆動周期内で複数の駆動パルスを時系列で含む共通駆動波形を生成し、前記共通駆動波形から1又は2以上の前記駆動パルスの全部又は一部を選択して前記圧力発生手段に与えるヘッド駆動制御手段と、を備え、
    前記共通駆動波形は、少なくとも、時系列で、先頭に滴量調整波形が配置され、最後に液滴を吐出させる吐出パルスが配置され、
    前記滴量調整波形は、前回の駆動周期の前記吐出パルスで前記ノズルから液滴を吐出させるときの液柱の後端部を引きちぎる波形であり、
    前記1駆動周期において、前記吐出パルスを選択する周期では前記滴量調整波形が選択され、
    前記1駆動周期において、前記吐出パルスを選択しない周期では前記滴量調整波形が選択されない
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記滴量調整波形の開始時刻と、前回の駆動周期の前記吐出パルスの終了時刻との時間差が、前記個別液室内の固有振動周期以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記滴量調整波形は、液滴が吐出しない程度に前記個別液室を膨張させてから収縮させる波形である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記滴量調整波形は、前記個別液室を膨張させる波形である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 液滴を吐出する複数のノズルと、前記ノズルが通じる個別液室と、前記個別液室内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドを駆動制御するヘッド駆動制御方法であって、
    1駆動周期内で複数の駆動パルスを時系列で含む共通駆動波形を生成し、前記共通駆動波形から1又は2以上の前記駆動パルスの全部又は一部を選択して前記圧力発生手段に与え、
    前記共通駆動波形は、少なくとも、時系列で、先頭に滴量調整波形が配置され、最後に液滴を吐出させる吐出パルスが配置され、
    前記滴量調整波形は、前回の駆動周期の前記吐出パルスで前記ノズルから吐出される液柱の後端部を引きちぎる波形であり、
    前記1駆動周期において、前記吐出パルスを選択する周期では前記滴量調整波形が選択され、
    前記1駆動周期において、前記吐出パルスを選択しない周期では前記滴量調整波形が選択されない
    ことを特徴とするヘッド駆動制御方法。
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