以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は微細転写装置1と、その微細転写装置1における制御装置300の機能ブロック図である。微細転写装置1は、基板上の成形材料に対し原盤金型を所定位置まで相対的に対向接近させて前記基板上の成形材料に前記原盤金型の微細形状面に形成されている微細形状を反映させ、しかる後、前記原盤金型の微細形状面を前記成形材料から離すように、前記原盤金型もしくは前記成形材料を動作せしめるサーボモータ駆動手段(サーボモータ群)を含む制御対象100を備える。また、微細転写装置1は、制御対象100に含まれる後述の複数の各制御対象に対応して設けられたセンサ群を有する検出部110を備える。
制御装置300は、微細転写装置1の動作を制御する。例えば、微細転写装置1の一対の基板と金型原盤とを相対的に接近および離間させる動作に対し、プレス動作と引き抜き動作を首尾よく行わせるために、介在するいろいろなパラメータ、例えば、プレス力、プレス力の切換位置、時間、基板側および原盤側の金型温度、不活性ガス流量、成形室の真空度等などを制御する。
制御装置300は、微細転写装置1内の制御対象100に対応して設けられたドライブユニット301と、微細転写装置1内の検出部110の各センサからの検出信号を直接またはA/D変換して受け取るインターフェイス(i/F)ユニット302と、前記各制御対象に対する指令値を設定表示するヒューマンインターフェイス(HMI)ユニット303とを備える。
また、制御装置300は、全データ画面用の第1データエリア304−1と簡易画面用の第2データエリア304−2ならびに、実稼動用設定値をストアする第3データエリア304−3を有するデータメモリ(DM)部304を備える。
また、制御装置300は、第3データエリア304−3の設定データに対応させて前記各制御対象100へのドライブ指令を生成するシーケンスプログラムおよび前記HMIユニット303における画面操作を支援する成形条件設定支援プログラムをストアするメモリエリアを有するプログラムメモリ(PGM)305を備える。
また、制御装置300は、プログラムメモリ305にストアされた各プログラムの指令に基づいて所定の演算を行うCPU306を備える。また、制御装置300は、インターフェイス(i/F)ユニット302、ヒューマンインターフェイス(HMI)ユニット303、データメモリ部304およびプログラムメモリ部305と主CPU306との間を接続するバスライン307を備える。この制御装置300の詳細については後述する。
図2は微細転写装置1の制御対象100を詳細に示した図である。制御対象100としては、まず、サーボモータ群(X;Y;Z)101がある。このサーボモータ群101は、基板上の成形材料に対し原盤金型を所定位置まで相対的に対向接近させて前記基板上の成形材料に前記原盤金型の微細形状面に形成されている微細形状を反映させ、しかる後、前記原盤金型の微細形状面を前記成形材料から離すように、前記原盤金型もしくは前記成形材料を動作せしめる。ここで、軸X,Yは基板用テーブル、またZは原盤金型のプレス方向を示す。この基板用テーブルは後述の図4の可動テーブル11と同一である。
また、制御対象100としては、ヒータ群(金型 上;下)102、ピエゾハンマー群103、ピエゾアクチュエータ群104、真空度調整装置105、UV光強度調整装置106、N2ガス等の流量調整弁群(窒素ガスなどの流量調整弁群)107がある。これら、制御対象については図3〜図8を用いて具体例を説明する。
さらに、検出部110は、制御対象100であるサーボモータ群101、ヒータ群102、ピエゾハンマー群103、ピエゾアクチュエータ群104、真空度調整装置105、UV光強度調整装置106、N2ガスなどの流量調整装弁群用のセンサ群107に対応して設けられたセンサ群である、ロードセル、エンコーダ等の各種検出器を備えている。
図3〜図5は、微細転写装置1の全体構成を示す図である。図3は微細転写装置の左側面図であり、図4は正面図であり、図5は平面図である。図3、図4において符号1は微細転写装置、3は本体フレームである。本体フレーム3は、側面視した場合の形状は概ねL字型をしており、下部側にベースフレームとしての四角形状の下部フレーム7が一体的に取り付けられている。下部フレーム7の4隅には、それぞれタイバ9が本体フレーム3の垂直部と平行に立設され、タイバ9の上端には、駆動手段を支持するための支持フレームとしての四角形状の上部フレーム5が取り付けられている。タイバ9には、前記上部フレーム5と下部フレーム7との間において、四角形状の可動体19がタイバ9に沿う方向すなわち上下に移動自在に遊嵌されている。
本体フレーム3の上部は、上部フレーム5及び可動体19の左右両側面における前後方向のほぼ半分(中間)の位置に達するように前方に突出し、その先端には上下に伸びるリニアガイド(案内手段)21が取り付けられている。上部フレーム5と可動体19の左右両側面には、リニアガイド21に係合して、例えば零クリアランスの状態で上下に精密に案内移動されるスライダ23,24が取り付けられている。
上記説明より理解されるように、前記本体フレーム3は、前記下部フレーム(ベースフレーム)7を支持するフレーム支持部3Aを一端側(下端側)に備えることにより、側面視したときに、概ねL字形を呈するものである。そして、前記本体フレームリニアガイド21を備えたガイドフレーム3Bを前方に突出して備えることにより、上端側(他端側)に凹部を形成した構成である。
そして、前記上部フレーム5及び前記可動体19は、図5に示すように、本体フレーム3における左右の前記ガイドフレーム3Bの間に配置してあり、前記上部フレーム5,可動体19に備えた前記スライダ23,24は、上部フレーム5,可動体19の前後方向(図3,図5において左右)及び左右方向(図3において紙面に垂直な方向、図5において上下方向)の中心を中心として対称的な位置において前記リニアガイド21に移動可能に係合してある。なお、図3には、前記リニアガイド21は、前記スライダ23,24にそれぞれ対応したリニアガイドを別個に設けることも可能である。しかし、加工の容易性、互いに平行度の加工精度を考慮すると、スライダ23,24に対してリニアガイド21を共通に設けることが望ましいものである。
ここで、上部フレーム5は、タイバ9を介して下部フレーム7及び本体フレーム3に固定されているが、後述する型の押し付け力や温度変化等によりタイバ9が縮小したとき、上部フレーム5の上下動を許すと共に、タイバ9の曲がりや伸縮によって生じるタイバ9と垂直な面内における上部フレーム5の位置ずれ(横ずれ)を防止するために、上記リニアガイド21とスライダ23が設けられている。これは、上部フレーム5の位置ずれ(横ずれ)をより確実に防止するためのものであり、上部フレーム5は、本体フレーム3から切り離し、タイバ9により下部フレーム7に連結固定するのみでもよい。
可動体19は、上記のようにタイバ9には遊嵌されているため、リニアガイド21とスライダ24により上下方向への移動を精密に案内される。
上記リニアガイド21及びスライダ23,24は、上部フレーム5及び可動体19自体の温度変化による位置ずれ(横ずれ)を防止するため、上部フレーム5及び可動体19の前後左右の中心に対して対称の位置に配置することが好ましい。
下部フレーム7の上面中央には、上に向かって垂直に伸びる固定台10が取り付けられている。固定台10の上には、図4に示すように、X,Yテーブル等のX,Y方向(前後左右方向)への移動可能かつ微調整して位置決め可能な可動テーブル11が設けられ、この可動テーブル11の上には、被成形品13を支持する支持台15が設けられている。なお、可動テーブル11は、リニアガイドとスライダにより案内され、図1及び図2に示した制御対象100に含まれるサーボモータ群101により可動されるもので、公知の構成であるため、詳述を避ける。
被成形品13は、例えば、シリコン、ガラス、セラミック等の適宜な材料よりなる基板の上面に紫外線硬化樹脂等からなる被成形層(図示せず)を数10nm乃至数μmの厚さに塗布した薄膜を備えた構成である。なお、この上記被成形層は、熱可塑性樹脂よりなるレジストを用いる場合もあるため、支持台15には、上記被成形層を加熱軟化させて成形を容易にするための、図1などに示した制御対象100に含まれるヒータ群102のような加熱手段(図示せず)を内蔵させてもよい。
図4に示すように、可動体19の下面中央(前記ベースフレームに対向した対向面の中央)には、検出部110の各センサー群を構成するロードセル46を介して旋回台47が可動体19の下面中央を中心として旋回可能かつ所定の角度位置に固定可能に取り付けられている。この旋回台47には、ジンバル機構45を介して型支持プレート43が取り付けられ、この型支持プレート43に型41が着脱可能に装着される。
ジンバル機構45は、型41の型表面(図4において下面)中央を中心とする球面を有し、詳細な図示は省略するが、この球面を空気軸受で支持し、型41を上記型表面の中央を中心として自在に傾動可能にすると共に、空気軸受を負圧にして型41の姿勢を不動状態に固定可能な構成となっている。
型41は、型表面(図4において下面)にリソグラフィ技術を用いて微細な凹凸のパターンが形成されており、この実施形態においては紫外線を透過し易い透明の石英ガラスからなっている。
上記型支持プレート43、ジンバル機構45、旋回台47及びロードセル46は、いずれも中央に貫通穴43A等を有し、可動体19には、紫外線光源42から光ファイバ42A及び反射ミラー42Bを介して紫外線を上記貫通穴から型41の背面へ導く貫通穴42Cが設けられている。すなわち導光路が備えられている。紫外線光源42が発生した紫外線は、図1などに示した制御対象100に含まれるUV光強度調整装置106によって強度が調整される。
支持フレームとしての前記上部フレーム5には、前記可動体19を移動するための駆動手段の一例としてのサーボモータ33が装着支持されている。このサーボモータ33はサーボモータ群101に含まれる。サーボモータ33の出力軸35は、軸受29により上部フレーム5に回転のみ自在に取り付けられた中空軸31に連結され、中空軸31の下端には、ボールネジ機構25を構成するボールネジナット26が取り付けられている。このボールネジネット26には、可動体19の前後左右の中央部(中心)に垂直に取り付け固定されたボールネジ軸27が係合し、可動体19を所定の速度及びトルクで上下に移動させるようになっている。なお、参照符号33Aはサーボモータ33の回転位置を検出するロータリーエンコーダである。
上部フレーム5には、バランス取り手段の一例としてのバランスシリンダ50が、図5に示すように、可動体19の中心を中心として対称な位置に複数設けられている。これらのバランスシリンダ50のビストンロッド52は、それぞれ可動体19に連結され、重力による可動体19の下向きの荷重を相殺するようになっている。
可動体19の下面には、型支持プレート43等を囲むリング状の上カバー54が取り付けられている。他方、下部フレーム7側には、下端を固定台10の周面に移動可能に係合され、上端を上記上カバー54の下端に当接可能に形成されて可動テーブル11等を囲む同じくリング状の下カバー56が取り付けられている。この下カバー56は、下部フレーム7に取り付けられた上下動用アクチュエータの一例としての複数のシリンダ58により上下に移動され、上カバー54とにより、型支持プレート43及び可動テーブル11の周囲に開閉可能な成形室60を形成するようになっている。
次いでこの転写装置の作用について説明する。上下動用アクチュエータとしてのシリンダ58により下カバー56を下降させて成形室60を開き、型41を型支持プレート43に取り付け、型41の中央を中心とする水平な回転方向の取付角度(型の方向性)を旋回台47により微調整する。なお、この型41の取付角度調整は、型取付時のみでなく、マークを用いた公知の位置合わせ手段により、支持台15上にセットされた被成形品13に合わせてその都度、自動的に微調整するようにしてもよい。
上記のように型41をセットした後、上面に紫外線硬化樹脂からなる被成形層を塗布した被成形品13を支持台15上にセットする。
次いでシリンダ58により下カバー56を上昇させて成形室60を閉じ、サーボモータ33のトルクを比較的小さな値に設定した状態で可動体19を下降させて型41を被成形品13に接近移動し、型41を被成形品13の上面に比較的小さな押し付け力で押圧する。
このとき、可動体19は、左右両側方に配置されたリニアガイド21及びスライダ24により、移動方向に対して直交する方向への位置ずれ(横ずれ)をより小さく抑えられて下降し、被成形品13の所定位置に向けて押し付けられる。また、このとき、可動体19は、バランスシリンダ50により重力による下向きの荷重を相殺されているため、サーボモータ33はより小さなトルクで作動可能であり、トルク及び速度をより正確に制御されて下降する。
型41が被成形品13に押し付けられる際、両者の当接面(接触面)の平行度にずれがあると、型41はジンバル機構45により傾動自在に支持されているため、被成形品13の上面に倣って型41の全面が均一な面圧で押し付けられる。このとき、ジンバル機構45は、型41の型表面(図2において下面)中央を中心とする球面により、型表面の中央を中心として傾動するため、横方向(水平方向)の位置ずれを生じない。
上記押し付け力は、ロードセル46により検出され、サーボモータ33にフイードバックされて所定の値に保たれる。このときにも、可動体19の荷重は、バランスシリンダ50により相殺され、サーボモータ33のトルクはより小さな値であるため、トルク制御がより正確に行われる。
こうして比較的小さな押し付け力による押し付けが完了したところで、ジンバル機構45の空気軸受を負圧にして型41の姿勢を不動状態に固定した後、サーボモータ33のトルクを増加させる。このトルク増加により型41は、被成形品13の上面に塗布された紫外線硬化樹脂からなる被成形層に強く押し付けられ、型41の表面に形成された微細な凹凸のパターンを被成形品13の被成形層に転写する。
この型41の強い押し付け力により、タイバ9は極くわずかではあるが伸び、上部フレーム5を上方向へ変位させる。この上部フレーム5の変位はリニアガイド21とスライダ23により吸収され、本体フレーム3の上部を図1において左方へ反らせるような不具合は生じない。そこで、型41の押し付けに伴う型41の移動方向に対して直交する方向の位置ずれ(横ずれ)が抑えられる。
また、上部フレーム5は、上記リニアガイド21とスライダ23により支持されているため、複数のタイバ9の伸びに差が生じるような場合にも、上部フレーム5の位置ずれ(横ずれ)は小さく抑えられ、型41の位置ずれ(横ずれ)を小さく抑える。
なお、このタイバ9の伸びの差は、型41の押し付け力が比較的小さい場合には、極めてわずかであるため、上記リニアガイド21とスライダ23による上部フレーム5の案内手段は省略してもよい。
上記転写の後、紫外線光源42から光ファイバ42A及び反射ミラー42B等よりなる導光路を通して紫外線を型41の背面へ所定時間照射する。型41の背面へ照射された紫外線は、型41が透明の石英ガラスからなっているため、これを透過して被成形品13の上面に塗布された紫外線硬化樹脂からなる被成形層に照射され、この被成形層を硬化させる。
こうして被成形層を硬化させた後、型41の姿勢を固定したままサーボモータ33により可動体19を上昇させて型41を被成形品13から離す。次いでシリンダ58により下カバー56を下降させて成形室60を開き、被成形品13を取り出して一連の転写動作を終了する。
図6〜図8は、前記ジンバル機構45の部分の詳細を示す。
図6はジンバル機構45の垂直方向縦断面図、図7は図6におけるZ矢視図、図8は図6のB−B線矢視図である。
図6において、それぞれ中心部に貫通孔を備えて、凸球面部を有する下側ジンバル部材201と凹球面部を有する上側ジンバル部材203が対接配置されている。下側ジンバル部材201の下面には断熱材207を介して型保持体205が固定されている。同型保持体205の下面には型41が取付けられている。またその内部にはヒータ209が内蔵されている。また内部にヒータ209に加え、冷却装置(図示せず)を内蔵することも可能である。
上側ジンバル部材203には前記対接面に開口する吸引用管路211が形成され、真空引き装置(負圧発生手段)215へ真空度調整装置217(図2に示した真空度調整装置105と同一)を介して接続されている。この吸引用管路211の詳細が図8に例示されている。さらに、上側ジンバル部材203には浮上用管路213が設けられており、同管路213には圧縮エア供給源からラインL1を通り圧縮エアが下側ジンバル部材201の凸球面部に隣接して形成された張出し部の傾斜面219(浮上面)に噴射するようになっている。
より詳細には、前記傾斜面219は、図6に示すように、下側ジンバル部材201の軸心に対して上側が離反するように傾斜した傾斜面又は上部側が大径となるテーパ面に形成してある。そして、前記浮上用管路213のエア噴出孔は、前記傾斜面219に対向して上側ジンバル部材203に形成した傾斜面又はテーパ面に開口してある。
なお、参照符号218は調整ライナであって、傾斜面219と下側ジンバル部材201の対向面との間隔を調整するものである。
参照符号221はピエゾハンマー(図2に示したピエゾハンマー群に含まれる)であってそのフレーム221Fは上側ジンバル部材205の下方傾斜面Sの周囲3ケ所に均等配置して取付けられる。図示のように、ピエゾハンマー221は、エアシリンダ223のロツドに大きい慣性体227と先端部にハンマ231を取付けた小さい慣性体225を有し、両慣性体の間にはピエゾ(圧電)素子229が接続結合されている。従って、ピエゾ素子229に所定のパルス状電圧を与えることにより、両慣性体の慣性の差に基づいてハンマ231が瞬時に下側ジンバル部材201の前記傾斜面に配置してある硬質材の埋込みブロック233を打つようになっている。これにより下側ジンバル部材201の傾斜面219がハンマ231により軸方向に変位するとその分だけエアシリンダ223によりピエゾ素子229及び両慣性体が変位するようになっている。このような構成によりピエゾハンマー221は比較的少ない積層によるピエゾ素子であっても大きなストロークを移動可能である。
上側ジンバル部材203の上面には回動部材235が固定されており、同回動側部材235の内周側には回転軸受237を介して内側固定部材239が配設されている。さらに、内側固定部材239の上面にはプレート241が取り付け固定されている。前記プレート241及び内側固定部材239にはラインL2を介して圧縮エアを導入する管路243が形成されている。この圧縮エアは図示の如く回動部材235を静圧的に浮上させている。
図7に示されているように、回動部材235は一対のピエゾハンマー221A、221Bにより時計方向及び反時計方向に回動されることが可能である。なお、ピエゾハンマー221A、221Bはそのフレームがプレート241に固定されている。
なお、前記ピエゾハンマー221、221A、221Bに代えて、圧電素子を積層した所謂、ピエゾアクチュエータ(図2に示したピエゾアクチュエータ群104に含まれる)を用いることも可能である。その場合にはピエゾハンマーとは異なり、ピエゾアクチュエータの先端部位置を電気的に保存することが可能でありジンバル機構の姿勢を再現することが可能である。
図6において、プレート241の上面にはロードセル46が設けられている。参照符号46Aは信号取出し用端子である。可動体19の内部には、図4で説明したように、紫外線発生装置42から紫外線強度調整装置255(図2に示したUV光強度調整装置106と同一)を介して光ファイバ42Aの束がレンズ系253に導かれ、ここで均一な紫外線分布に形成され反射ミラー42Bに照射されるようになっている。同ミラー42Bで反射された紫外線はシール用のガラス材251を経てジンバル機構45の中心軸axに同心状に形成された貫通孔43Aを通って下方に向かうようになっている。紫外線硬化形の樹脂を成形材料とする場合は、前記型保持体205及び型41は石英などの紫外線透過が可能な材料により形成されることは当然である。また、その場合には前記ヒータ209(図2に示したヒータ群102に含まれる)は不要である。
なお、参照符号261は下側ジンバル部材201の貫通孔内周に形成したネジ部である。貫通孔43A上方からの紫外線は完全に平行ではないためある程度広がりを有する。従って、下方へ向かう紫外線が特に下側ジンバル部材201の貫通孔内周面にて反射しながら型41を通過すると当該紫外線の分布が不均一となるのでこれを避けるため、前記ネジ部261のネジ面にて下方への反射を阻止するものである。その場合、当該ネジ面を反射率の少ない材料でコーティングしておくことが好ましい。
上述した貫通孔43A及びレンズ系253、紫外線発生装置42等は成形材料である樹脂が紫外線硬化形の場合に利用されるが、紫外線硬化形樹脂を使用しない場合にはこれら貫通孔43A及びレンズ系253、紫外線発生装置42等はなくてもよい。
上述のピエゾハンマー221及びピエゾハンマー221A、221Bはそれぞれオプションとして設けることができる。即ち、ジンバル機構45の旋回、回動をさせる必要がない場合は前記回動部材235、内側固定部材239及びピエゾハンマー221A、221Bを省略することが可能である。また、3つのピエゾハンマー221による下側ジンバル部材201の姿勢調整を行なわない場合はこのピエゾハンマー221を省略することが可能である。
以下、前記ピエゾハンマー221及び前記回動部材235、内側固定部材239及びピエゾハンマー221A、221Bを装備していない場合の動作について説明する。
この場合には、成形品は、典型的には、CD、DVDなどのように円周上に微細な凹凸を形成されたもので、中心点が一致しておればその回転方向位置の影響を受けない成形品が好適である。可動テーブル11上に配置された基板の中心をジンバル機構45の中心軸axと一致するように当該テーブル11をX,Y方向に位置決めする。可動体19を下降させる際には、ジンバル機構の吸引力を最大にして下側ジンバル部材201を上側ジンバル部材203に吸着した状態とする。
この状態で、型41が基板上の樹脂に接触する直前の所定位置まで降下したとき、下降速度を低速にすると共に真空引きの吸引力を弱め、下側ジンバル部材201をフリーな状態にして成形圧力をゆっくり与える。即ち、下側ジンバル部材201に取付け固定されている型保持体205及び型41は下側ジンバル部材201と共に前記テーブル上面に配置された基板上の樹脂を下方へ押し付けつつ最終的には基板と平行な姿勢に倣うようになっている。その場合ジンバル機構45の凸及び凹の球面中心がジンバル機構の中心軸ax上で型の下端面に一致するように配置されているのでこの押圧成形過程では水平方向のずれが生じない。
ところで、前述のように真空引きの吸引力を弱めて下側ジンバル部材201をフリーな状態にするとき、上側ジンバル部材203の凹球面部に開口したエア噴出口(図示省略)から下側ジンバル部材201に向けて少量のエアを噴出する構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、上側ジンバル部材203と下側ジンバル部材201との間の摩擦抵抗がより小さくなり、下側ジンバル部材201をより軽く円滑に動かすことができ、型41の転写面を基板に対して平行にすることが容易であって、基板上の樹脂に対する押圧がより正確に行われるようになるものである。
また、図8に示した複数の吸引用管路211を個別に、又は適宜の複数組み毎にグループ化して、上側ジンバル部材203の凹球面部に形成された複数の環状溝の適数本に選択的に吸引力を作用するようにする。例えば小さな真空度での吸引力の場合には例えば奇数番目の環状溝あるいは少数の環状溝に吸引力を作用し、大きな真空度での吸引力の場合には多数の又は全ての環状溝に吸引力を作用するようにする。
すなわち、吸引力を作用する環状溝の本数を選択する構成(各吸引用管路211を個別にあるいはグループ毎に、真空引き装置に対してバルブ等によって連通遮断自在な構成とする)とすることにより、真空引きによる吸引力の調整を行うことができるものである。
なお、前記型41が基板上の樹脂に接触する直前の所定位置の検出のためにサーボモータ33に結合されているロータリーエンコーダ33Aの信号を利用するが、たとえば、テーブル11または型保持体205上に、電気的な導通・非導通を行なわせる部材を設けて検出することも可能である。
また、オプションとしてピエゾハンマー221を装着した場合、このピエゾハンマー221を機能させるのは、例えば、次のような場合である。即ち、基板上に樹脂を供給する前に、ジンバル機構45を前述と同様に、吸着状態で下降し、型41を基板に押し当てて接触させる。このときその接触状態が完全に平行でなく不均一である場合、吸引カを弱めた状態でその不均一な状態を修正するために3つのピエゾハンマー221に適宜の数の電圧パルスを与えて修正を行なう。このように、予め微調整を行うことにより均一状態となったときにジンバル機構を吸着状態に戻したのち、成形動作を開始する。また、成形品の成形後、型を樹脂から離形する場合にピエゾハンマー221を高い周波数で振動させながら上方へ引き上げると離形動作をスムーズに行なうことが可能である。この場合、振動の振幅は超音波等に比べ格段に小さいので離形中に成形された樹脂を損傷することもない。
一方、ジンバル機構45を旋回、回動させるための一対のピエゾハンマー221A、221Bを備える場合には、このピエゾハンマーを機能させるのは例えば次のような場合である。即ち、基板がテーブル上で、X,Y方向に一致せず回転成分を有する場合であって、且つ中心点が一致していてもその回転方向位置の影響を受けるような成形品の場合である。この場合にはその回転方向位置即ち、角度を予め測定しておけば、その値に対応する電圧パルスをピエゾハンマー221A、221Bに与えてジンバル機構45を旋回した状態で吸着させるのである。
次に、制御装置300の詳細な構成について図1、図9〜図12を参照して説明する。図9はヒューマンインターフェイスユニット303の詳細図である。図10はデータメモリの詳細図である。図11はデータメモリ内の実稼動用設定データエリアDM8と簡易画面用データエリアDM1、2及び全データ画面用データエリアDM6との関係を示す図である。図12はプログラムメモリ305の詳細図である。
制御装置300は、微細転写装置1の一対の基板と金型原盤とを相対的に接近および離間させる動作に対し、プレス動作と引き抜き動作を首尾よく行うためには、介在するいろいろなパラメータ、例えば、プレス力、プレス力の切換位置、時間、基板側および原盤側の金型温度、不活性ガス流量、成形室の真空度等などを制御する。特に、この制御装置300は、成形条件に関するパラメータを画面表示しながら設定することのできる制御装置である。
制御装置300のドライブユニット301は、サーボモータ群101を含む微細転写装置1内の制御対象100、詳細にはヒータ群(金型 上;下)102、ピエゾハンマー群103、ピエゾアクチュエータ群104、真空度調整装置105、UV光強度調整装置106、N2ガス等の流量調整弁群(窒素ガスなどの流量調整弁群)107に対応して設けられている。
インターフェイスユニット302は、微細転写装置1内の各制御対象に対応して設けられた検出部110の各センサからの検出信号を直接またはA/D変換器302−1によりA/D変換して受け取り、バスBS307を介してメインCPU306に送出する。また、バスBS307からのディジタル信号をD/A変換器302−2によりアナログ信号に変換してからドライブユニット群301の各種ドライブユニットを介して微細転写装置1の各制御対象100へ送出する。さらに、インターフェイスユニット(i/F)302は外部からの成形データを受信可能である。他の微細転写装置において好適な成形データをインターフェイスユニット302を介して入手できる。
ヒューマンインターフェイスユニット303は、図9に示すように、制御対象100の各制御対象101〜107に対する指令値を設定表示するための画面303−1を表示する表示装置303−2を有する。つまり、このヒューマンインターフェイスユニット303の画面303−1は、微細転写装置1の成形条件設定用画面303−1Aに用いられる。また、工程監視用画面303−1Bとして用いられてもよい。また、生産管理用の画面303−1Cとして用いられてもよい。
また、HMIユニット303ではデータメモリDM1の中に各種画面が用意されている。その場合、各種画面のデータは、データメモリDM側の簡易画面用設定データエリアDM1あるいはDM2(第2データエリア304−2)のデータが転送されるようになっている。したがって、後述するように簡易画面によるデータを全画面データとして利用できる。
データメモリ部304は、図10に示すように、簡易画面(NIL1)用データエリアDM1を備える。これは、各制御対象の限定された制御項目に対応する設定値をストアする簡易画面用の第2データエリア304−2に相当する。また、簡易画面(NIL2)用データエリアDM2も備える。このように簡易画面用データエリアは複数設けられている。この簡易画面のデータは、例えば微細転写装置メーカ側で予め用意することができる。もちろん、ユーザ側で、熟練者が設定してもよい。微細転写装置メータ側で予め用意した簡易画面データによって成形を行ったとき成形品が良品となるように配慮されている。
データメモリ部304は、またGMP(ガラス成形)画面用データエリアDM5と、全データ画面(Free)用データエリアDM6とを備える。この全データ画面(Free)用データエリアDM6は、各制御対象の全ての制御項目に対応する設定値をストアする全データ画面用の第1データエリア304−1に相当する。
また、実稼動用設定データエリアDM7も備える。この実稼動用設定データエリアDM7は、実稼動用設定値をストアする第3データエリア304−3に相当する。この第3データエリア304−3に相当するDM7は第2(NIL:Nano Inprint Lisography)データを受け入れた後、画面を全画面に切り換えることにより、第1データエリア304−1として設定可能にする。簡易画面によるデータを全画面データとして利用できる。
図11はデータメモリ内の実稼動用設定データエリアDM8を示している。簡易画面用データエリアDM1、2及び全データ画面用データエリアDM6との関係が説明できる。プレス設定項目は8段からなり、フラグビットが0である1〜3段目までは簡易画面で設定表示される。フラグビットが1である4〜8段目までは設定不可とされ、また簡易画面には表示もされない。プレス設定項目のすぐ下段から始まるフラグビット0の下段4つは簡易画面で設定表示される。温度設定項目(上金型)の8段のうち、TU1〜TU3はフラグビットが0,0,1であるが簡易画面で設定表示される。フラグビットが1であるTU4〜TU8は設定不可であり、また表示もされない。温度設定項目のすぐ下段から始まるフラグビット0の下段2つは簡易画面で設定表示される。
データメモリ部304は、パラメータ群データエリアDM8、センサ群検出データエリアDM9、出力データエリアDM10も備える。また、記録・保存データエリアDM20も備える。これは、インターフェイスユニット302を介して外部装置との成形データ送受信するときに用いられる。これにより、記録保存データエリア(DM20)には、成形結果が良好であった場合の成形条件データを記録できる。また、他の微細転写装置において好適な成形データをインターフェイスユニットを介して入手できるようになっている。
さらに、データメモリ部304は、フラグデータエリア(項目限定)DM30を有している。
プログラムメモリ305は、少なくとも、前記実稼動用設定データエリアDM7に相当する第3データエリア304−3の設定データに対応させて各制御対象101〜107へのドライブ指令を生成するシーケンスプログラムおよびHMIユニット303における画面操作を支援する成形条件設定支援プログラムをストアするメモリエリアを有する。
具体的には図12に示すように、システムプログラムPG0、全体シーケンスプログラムPG1、成形条件設定操作支援プログラムPG2、その他(1)PG3、その他(2)PG2を備える。
全体シーケンスプログラムPG1には仮想ラダー回路演算部が破線で示すように接続されていてもよい。
そして、主CPU306は、プログラムメモリ305に格納された各プログラムの指令に基づいて所定の演算を実行し、バスライン307を介してインターフェイスユニット(i/F)302、ヒューマンインターフェイス(HMI)ユニット303、データメモリ部304およびプログラムメモリ部305を制御する。
以下に、オペレータが、ヒューマンインターフェイスユニット303を操作して、例えばNIL簡易画面表示により制御対象を設定したいという場合の制御装置300における処理動作について説明する。まず、制御装置300は、プログラムメモリ305のシステムプログラムPG0をCPU306にて実行しており、既にNIL簡易画面表示をオペレータに選択させる処理を行っているものとする。この状態からオペレータがNIL簡易画面表示を選択すると、CPU306は全体シーケンスプログラムPG1及び成形条件設定支援プログラムPG2を実行し、NIL簡易画面表示に遷移してから、各制御対象101〜107へのドライブ指令を、支援プログラムによってオペレータの画面操作を支援しながら生成する。シーケンスプログラムPG1は、前述したように、データメモリ304の実稼動用設定データエリアDM7(第3データエリア304−3)の設定データに対応させて各制御対象101〜107へのドライブ指令を生成する。この場合、データメモリ304の簡易画面(NIL1)用データエリアDM1、簡易画面(NIL2)用データエリアDM2に各種画面が用意されているのでこれらデータがHMIユニット303に転送されるようになっている。
また、HMI303では、NIL簡易画面表示のほか、GMP(ガラス成形)画面表示、全データ画面(Free)表示も選択される。これらの各種画面用データも前述したように図10のGMP(ガラス成形)画面用データエリアDM5、全データ画面(Free)データエリアDM6に格納されている。また、実際に、各画面表示から制御対象に対する設定を行うときには、実稼動用設定データエリアDM7、パラメータ群データエリアDM8、センサ群検出データエリアDM9、出力データエリアDM10、記録・保存データエリアDM20、フラグデータエリア(項目限定)DM30から各データがCPU306による制御に応じて演算されたり、あるいはHMI303に送信される。
図13は、ヒューマンインターフェイスユニット303の具体例となる画面仕様を示す図である。上部310には、位置を固定して、日時、成形条件情報、エラー情報を表示する。左部(図面上の左部であり、図面に向かって右部になる)には、位置固定で、画面表示のダイレクトキーをダイレクト選択部311として表示する。左下(図面上の左下であり、向かって右下になる)には、位置固定で、成形条件のショートカットに登録するか否かを選択する成形条件ショートカット312を設けている。また、残りの大部分には、成形条件設定エリア313がダイレクト選択により選択した画面を表示するために設けられている。
ダイレクト選択部311には、「一覧」、「プレス」、「温度」、「波形」、「記憶」、「工程監視」、「生産管理」、「オプション」、「テーブル」という選択項目がある。
このヒューマンインターフェイスユニット303の一覧画面は、成形条件で最低限必要な設定項目を表示し、予め設定した成形プロファイルを実行する。
一覧画面は、次の3種類を用意する。簡易設定画面(NIL:Nano Inprint Lisography)と、GMP設定画面と、Free設定画面である。「一覧」が選択されると、「NIL」、「GMP」、「Free」という画面切換えボタンの選択が可能となる。
各画面への切換えは、成形条件設定エリア右上の[NIL]、[GMP]、[Free]ボタンを押すことにより切り換える。各プロファイルを実行するためには、[実行]ボタンを押す。これは、成形中に誤ってボタンを押してしまった場合、成形条件が切り換わってしまうのを防ぐためである。
図14にはNIL一覧画面を示す。また、図15及び図16にはガラス成形用の「一覧画面」を示す。現在のプロセス画面を基本とし、必要な設定を表示するものである。温度、プレス力の設定は頻繁に設定変更が考えられるため、設定器を固定し、その他の設定を、画面内で表示切り換えする。
図17には全データ一覧画面を示す。成形プロファイルの任意設定が可能な一覧画面とする。温度(ヒータ)プロファイルと圧力(プレス)プロファイルの設定を基本とする。
図18及び図19にはプレス条件設定画面を示す。特に、図18はガラス成形機用型昇降設定画面であり、図19は簡易画面の型昇降設定画面を示す。
図20及び図21にはプレス条件設定画面を示す。ダイレクト選択の[プレス]を選択することにより表示する。図20のプレス条件設定画面では、型昇降設定、プレス設定、UV照射設定、ST動作設定をする。型開閉動作については、ガラス成形機とNIL装置で動作方向が異なるため画面を2種類用意する。図21は温度条件設定画面を示す。
プレス制御は、シーケンスプログラムで、プレス信号をONすることにより、設定プロファイルにしたがって、プレス動作を行う。プレス信号がOFFした場合、その場でプレス動作を停止する。プレス段数は、標準8圧とし、1圧ごとにプレス信号、プレス完了信号があり、シーケンスで制御する。
温度条件設定画面を用いた温度制御では、シーケンスプログラムにより、プレス温度制御信号をONし、設定プロファイルにしたがって、温度制御を行う。温度信号がOFFした場合、待機温度(TW)に温度制御する。待機温度制御も、待機温度制御信号がONした場合行う。
プレス条件設定、温度条件設定、波形表示、生産管理およびオプションでは、成形条件設定エリアをスプリット仕様とし、上部は様々なツールエリアとし、下部を条件設定エリアとする。
図22及び図23には、窒素ガス(N2ガス)設定画面及び波形表示画面を示す。窒素ガス設定による窒素ガスの制御タイミングは温度制御と同一とする。窒素ガスのゾーンは、U01,U02,U03,Ui,L01,L02,L03,Liの8ゾーンとする。
各窒素ガスゾーンに対して、温度と同一タイミングで窒素ガスの有無を設定する。窒素ガスの設定は、数字で行うものとし、“0”設定の場合、使用せず、“1”以上の場合、使用する出力をする。オプションで流量表示および流量制御対応を行う。流量制御使用時には、設定値が出力流量となり、流量制御装置へD/A出力する。流量制御装置と流量検出装置のゼロ/スパン調整はパラメータにより設定する。
また、窒素ガスのパージ時間を設定する。パージはT1設定を使用する。パージ時間スタート信号によりカウントを開始し、タイムアップ後パージ時間タイムアウト信号を出力する。オプションでチャンバ内圧表示を行う。チャンバ内圧センサのゼロ/スパンはパラメータにより設定する。
また、図23の波形表示画面は、ダイレクト選択の[波形]を選択することにより表示する。波形表示画面では、波形表示、波形保存条件設定をする。