JP2007196396A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録画像の耐オゾン性を向上させる。
【解決手段】2価の水溶性金属塩の含有量が0.01〜2g/m2であるインク受容層に、水溶性フタロシアニン染料を含有する水溶性インクのインク滴を吐出して記録する。
【選択図】なし

Description

本発明は、写真ライクで長期保存が可能な画像の記録に好適なインクジェット記録方法及びインクジェット記録物に関する。
近年、情報産業の急速な発展に伴ない、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法及び装置も開発されて、各々実用化されている。例えば、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から広く用いられるに至っている。
そして近年では、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることが可能になってきており、求められる重要な特性として、(1)速乾性のあること、(2)インクドット径が適正で均一なこと(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好なこと、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)記録部の耐光性や耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色や画像滲みが生じないこと)、(10)寸法安定性が良好(低カール)なこと、(11)ハードの走行性が良好なこと、等が挙げられる。
ところが、上記のような諸特性を満たしていても、記録画像が例えば光やオゾンに対する耐候性に劣っていると、画像品質を高いまま保持できず、ひいては記録材料としての商品価値が大きく損なわれる。そのため、写真画質が得られるだけでなく、記録された写真画像を長期間にわたって維持できる性能を具えていることが記録材料として重要である。
インクジェット記録用の媒体の例としては、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体上に塗布して得られる記録材料が一般に知られている。
また、画像の滲み、耐光性、又は色再現性の向上、あるいはビーディング防止の観点から、金属や金属イオン、金属塩を用いることが行なわれており、例えば、2価以上の金属イオンや金属塩、あるいは多価金属カチオン、水溶性多価金属を用いる技術に関する開示がある(例えば、特許文献1〜4参照)。
一方、染料は一般に、着色剤として多く用いられている顔料に比べて、オゾン等のガスや光で褪色しやすく、染料を用いた画像は長期保存が難しいことが知られている。
特開平10−100531号公報 特開平11−321094号公報 特開2002−96547号公報 特開2002−264485号公報
上記のように、多価の金属や金属塩等を用いた画像の高画質化についての検討は種々なされてきているものの、単に多価の金属や金属塩等を含有するだけでは、求められる上記の諸性能を満たして画像のある程度の高品質化が可能であっても、着色剤として染料、特にフタロシアニン系染料を用いたときの画像のオゾン耐性まで高度に保持することはできない。
本発明は、前記に鑑みなされたものであり、記録画像の耐オゾン性に優れたインクジェット記録方法及びインクジェット記録物を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 2価の水溶性金属塩の含有量が0.01〜2g/m2であるインク受容層を支持体上に有するインクジェット記録媒体の前記インク受容層に、水溶性フタロシアニン染料を含有する水溶性インクのインク滴を吐出し、前記インク受容層に画像を記録するインクジェット記録方法である。
<2> 前記2価の水溶性金属塩が、水溶性マグネシウム塩及び水溶性カルシウム塩の少なくとも一方であることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録方法である。
<3> 前記水溶性フタロシアニン染料が、濃度0.1mmol/lの染料水溶液としたときの光路長1cmのセルを用いて測定した分光吸収曲線の極大波長に対する吸光度から求めたモル吸光係数ε1と、濃度0.2mol/lの染料水溶液としたときの光路長5μmのセルを用いて測定した分光吸収曲線の極大波長に対する吸光度から求めたモル吸光係数ε2とが、ε1/ε2>1.2の関係を満たす染料であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法である。
<4> 前記水溶性フタロシアニン染料の少なくとも一種が、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
Figure 2007196396
前記一般式(1)において、X11、X12、X13及びX14は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1112、スルホ基、−CONR1112、又は−CO211を表す。Zは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、及びY18は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。a11、a12、a13、及びa14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、それぞれ独立に1又は2の整数を表す。Mは、水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
<5> 前記水溶性フタロシアニン染料の少なくとも一種が、少なくとも1つの無置換スルファモイル基とイオン性親水性基を有する少なくとも1つの置換スルファモイル基とを有する、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物の混合物であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
Figure 2007196396
前記一般式(2)において、Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表し、R17及びR18はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、又は置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、Aは架橋基を表し、隣接するR17、R18、及びAが互いに連結して環を形成してもよい。Y及びZは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、又は置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、Y及びZのうち少なくとも1つは、スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基を表す。m及びnはそれぞれ独立に1〜3を表し、m及びnの和は2〜4である。〕
<6> 前記2価の水溶性金属塩が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、及び塩化カルシウムの少なくとも一つであることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<7> 前記インク受容層が水溶性バインダーを更に含み、前記水溶性バインダーの少なくとも一種がポリビニルアルコールであることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<8> 前記インク受容層が架橋剤を更に含み、前記架橋剤の少なくとも一種がホウ酸であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<9> 前記インクジェット記録媒体は、支持体上に、水溶性バインダー及び該水溶性バインダーを架橋する架橋剤を含む第1液を塗布して塗布層を形成し、塗布形成された塗布層に、(1)前記第1液を塗布すると同時、又は(2)前記塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第2液を付与して前記塗布層を架橋硬化することにより、インク受容層が形成された前記<1>〜<8>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<10> 前記第2液が、前記水溶性金属塩を含む前記<1>〜<9>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法である。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれか一つに記載のインクジェット記録方法で記録されたインクジェット記録物である。
本発明によれば、記録画像の耐オゾン性に優れたインクジェット記録方法及びインクジェット記録物を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法及び得られたインクジェット記録物について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、支持体上に0.01〜2g/m2の量の2価の水溶性金属塩を含むインク受容層を有するインクジェット記録媒体を用い、そのインク受容層に、水溶性フタロシアニン染料を含有する水溶性インクのインク滴を吐出してインク受容層に画像を記録する構成としたものである。水溶性インクとして水溶性フタロシアニン染料を含有するインクを、2価の水溶性金属塩を特定量(0.01〜2g/m2)含むインク受容層に用いて記録を行なうようにすることで、インク吸収性を損なわずに、耐オゾン性に優れた画像を得ることができる。
−インクジェット記録媒体−
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録媒体は、支持体と、該支持体上に設けられた少なくとも一層のインク受容層とを有してなり、必要に応じて更に他の層が設けられていてもよい。
(インク受容層)
本発明に係るインク受容層は、含有量が0.01〜2g/m2となる範囲の2価の水溶性金属塩を少なくとも含んでなり、好ましくは水溶性バインダー、微粒子を含んでなり、必要に応じて更に水溶性バインダーを架橋する架橋剤、媒染剤などの他の成分を用いて構成することができる。
〜水溶性金属塩〜
インク受容層は、2価の水溶性金属塩の少なくとも一種を含有する。2価の水溶性金属塩を含有するので、主にアニオン系インクであって水溶性フタロシアニン染料を含有する後述の水溶性インクを用いて形成される画像の耐オゾン性を効果的に防止して、長期間安定的に画像を保持することができる。
2価の水溶性金属塩のインク受容層中における含有量は、0.01〜2g/m2の範囲とする。2価の水溶性金属塩の含有量が、0.01g/m2未満であると耐オゾン性の向上効果が乏しく、2g/m2を超えるとインク吸収性が悪くなると共に、記録画像の経時での滲み耐性が悪化する。中でも、0.01〜1g/m2の範囲がより好ましく、0.01〜0.5g/m2の範囲が最も好ましい。
水溶性とは、20℃の水で金属塩の飽和水溶液を調製した場合に、飽和溶液100g中に含まれる金属塩が1g以上になるものをいう。
2価の水溶性金属塩としては、例えば、水溶性マグネシウム塩、水溶性カルシウム塩、水溶性バリウム塩、水溶性亜鉛塩、水溶性ストロンチウム塩、水溶性チタン塩、水溶性ジルコニウム塩などが挙げられ、中でも水溶性マグネシウム塩、水溶性カルシウム塩が好ましい。
水溶性金属塩は、一種単独で用いる以外に、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性マグネシウム塩としては、特に限定はなく、公知のものを選択することができる。例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩素酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、しゅう酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムが好ましく、塩化マグネシウムが特に好ましい。
前記水溶性カルシウム塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、しゅう酸カルシウム等が挙げられ、中でも塩化カルシウム、硝酸カルシウムが好ましく、塩化カルシウムが特に好ましい。
上記の水溶性金属塩のうち、水溶性フタロシアニン染料を含有する後述の水溶性インクによる画像の耐オゾン性の向上の点で、特に塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化カルシウムが好ましい。
本発明において、2価の水溶性金属塩を後述の水溶性フタロシアニン染料と併用するのが好ましい理由は、詳細は不明な点もあるが、例えば後述するように外部より付与されたインク中のフタロシアニン染料の会合性を促進し、耐オゾン性を向上させるものと推定される。
〜微粒子〜
本発明に係るインクジェット記録媒体を構成するインク受容層は、微粒子の少なくとも一種を用いて好適に構成することができる。微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録媒体が得られるので好ましい。
ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水や各種溶剤、溶媒以外の成分に基づいて算出される含有量である。
微粒子としては、無機微粒子及び有機微粒子のいずれであってもよく、好ましくは無機微粒子である。
無機微粒子としては、無機顔料微粒子が好適であり、該無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができ、インク吸収性、高い発色性の観点から、特にシリカ微粒子が好ましい。
前記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。このように受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
前記無機顔料微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性バインダーを介した粒子同士の付着効果のため、上記のように平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、前記気相法シリカとは、気相法によって得られた無水シリカ微粒子をさす。
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2と少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
本発明においては、気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシリカ微粒子が好ましい。
前記有機微粒子としては、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合等により得られるポリマー微粒子が好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子を挙げることができる。
〜水溶性バインダー〜
本発明に係るインクジェット記録媒体を構成するインク受容層は、水溶性バインダーの少なくとも一種を用いて好適に構成することができる。水溶性バインダーを添加することにより、ひび割れを防止することができ、前記微粒子等と空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し、インク受容能を向上することができる。
水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類が好ましく用いられる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、適宜公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等のポリビニルアルコール誘導体等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂のインク受容層中における総含有量としては、0.1〜3.0g/m2が好ましく、0.5〜1.0g/m2がより好ましい。
前記セルロース系樹脂としては、適宜公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等が挙げられ、画像の経時滲みの観点から、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が好ましく、更にはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が好ましい。
前記セルロース系樹脂の、複数層からなるインク受容層中における総含有量としては、0.1〜3.0g/m2が好ましく、0.2〜1.0g/m2がより好ましい。該総含有量が、0.1g/m2未満であるとインクジェット記録媒体の耐水性、特に高湿度下などにおける画像の耐経時滲みが不充分となることがあり、3.0g/m2を越えると、ビーディングの原因となることがある。
前記エーテル結合を有する樹脂としては、適宜公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等が挙げられる。
前記カルバモイル基を有する樹脂としては、親水性基のアミド基又はアミド結合を有する樹脂も含まれるものとし、適宜公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する樹脂は、解離性基としてカルボキシル基を有するものを適宜公知のものの中から適宜選択することができるが、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。更に、キチン類、キトサン類、デンプンを挙げることができる。
水溶性バインダーの総含有量としては、含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
なお、インク受容層を主に構成する上記の微粒子と水溶性バインダーとは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
前記水溶性バインダーのうち、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類等から選択される少なくとも2種以上を併用する場合は、それらの全体としての含有量が前記インク受容層の2〜8g/m2内に含まれることが好ましい。
ポリビニルアルコール(PVA)は、ひび割れ防止の観点から、数平均重合度が1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。また、シリカ微粒子と組合わせる場合には、透明性の観点から水溶性バインダーの種類が重要となる。特に無水シリカを用いる場合、水溶性バインダーの1つとしてPVAを含有することが好ましく、ケン化度99%以下が好ましく、三次元網目構造の形成の観点から、中でもケン化度60〜99%が好ましく、特にケン化度70〜99%のPVA樹脂が好ましい。
前記ポリビニルアルコールは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記PVAは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。このような三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。
前記セルロース系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。このような三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。また、色材の経時滲みを調整する機能を有する。
前記水溶性バインダーの中でも、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、セルロース系樹脂が好ましく、それぞれ単独でも併用して用いることも好ましいが、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂とセルロース系樹脂を併用することがより好ましい。
インクジェット記録媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
〜微粒子と水溶性バインダーとの含有比〜
微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性バインダー(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性バインダー1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。このような観点より、前記PB比(x/y)としては5/1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2/1以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性バインダーとをPB比(x/y)が2/1〜5/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
〜架橋剤〜
本発明に係るインク受容層は、2価の水溶性金属塩と共に水溶性バインダー及び場合により微粒子などを含む層が、更に水溶性バインダーを架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性バインダーとの架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
上記の架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性バインダーとの関係で好適なものを適宜選択すればよい。中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼酸、硼砂、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましく、これを水溶性バインダーであるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
架橋剤の含有量は、前記水溶性バインダー1.0質量部に対して、0.05〜0.50質量部が好ましく、0.08〜0.30質量部がより好ましい。架橋剤の含有量が前記範囲であると、水溶性バインダーを効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
前記水溶性バインダーとしてゼラチンを用いる場合などには、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤は、インク受容層を形成する際にインク受容層用塗布液中及び/又はインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、インク受容層用塗布液を塗布する、又は架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布し乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の観点から、インク受容層用塗布液又はこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。特に、画像の印画濃度及び光沢感の向上の観点より、インク受容層用塗布液に含有するのが好ましい。
また、インク受容層用塗布液中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
例えば、以下のようにして好適に架橋剤(ここではホウ素化合物)を付与することができる。すなわち、
インク受容層がインク受容層用塗布液(第1液)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)前記第1液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記第1液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pHが7.1以上の塩基性溶液(第2液)を前記塗布層に付与するようにし、このときの第1液及び第2液の少なくとも一方に架橋剤であるホウ素化合物を含有させる。第1液及び第2液の両方に含有させてもよい。
〜媒染剤〜
記録画像の耐水性及び耐経時滲みの向上を図るために、インク受容層に媒染剤を含有することができる。媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。
ここでの媒染剤は、既述の水溶性金属塩及びカチオン性ポリウレタン樹脂以外のものを意味し、中でも有機媒染剤が好ましく、特にカチオン性媒染剤が好ましい。
少なくともインク受容層の上層部に媒染剤を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有するインクジェット用の液状インクとの間で相互作用が働き、該色材を安定化させて耐水性や耐経時滲みを更に改善することができる。
この場合、上記のインク受容層用塗布液(第1液)及び塩基性溶液(第2液)のいずれに含有させてもよいが、無機微粒子(特に気相法シリカ)を含む液とは別液となる第2液に含有させて用いることが好ましい。即ち、媒染剤を直接インク受容層用塗布液に添加すると、アニオン電荷を有する気相法シリカとの共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤を含む液とインク受容層用塗布液とをそれぞれ独立に調製し、別々に塗布する方法を採用すれば、無機微粒子の凝集を懸念する必要がなく、媒染剤種の選択範囲が広がる。
中でも特に、塩基性媒染剤(例えば、ポリアリルアミン)を用いることが好ましい。塩基性媒染剤を用いると、媒染剤としての役割を果たすと同時に、塩基性物質としての機能も果たし、塩基性物質を用いることなく塩基性溶液を調製することが可能となる。
カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」ともいう。)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤ポリマー」ともいう。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としては、アリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、若しくは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。上記非媒染剤モノマーも、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミン及びその変性体、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、又は特開平10−264511、特開2000−43409、特開2000−343811、特開2002−120452に記載のアクリルシリコンラテックスのカチオン性アクリルエマルジョン(ダイセル化学工業(株)製の商品名「アクアブリッドシリーズ ASi−781、ASi−784、ASi−578、ASi−903」)、等も好ましいものとして挙げることができ、ポリアリルアミン及びポリアリルアミン変性体が特に好ましい。
ポリアリルアミン変性体は、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン、TEMPO、エポキシヘキサン、ソルビン酸等をポリアリルアミンに2〜50mol%付加したものであり、好ましくは、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン、TEMPOの5〜10mol%付加物であり、特にポリアリルアミンの5〜10mol%TEMPO付加物が、オゾン褪色性防止効果を発揮する観点から好ましい。
媒染剤の分子量としては、質量平均分子量で2000〜300000が好ましい。分子量がこの範囲にあると、耐水性及び耐経時滲み性を一層向上させることができる。
〜他の成分〜
インク受容層は、必要に応じて下記成分を用いて構成することができる。すなわち、インク色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報、等に記載のものが挙げられる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。酸化防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。酸化防止剤の添加量としては、インク受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
また、インク受容層には、カール防止用に高沸点有機溶剤を含有することが好ましい。高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
高沸点有機溶剤のインク受容層用塗布液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。
また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
(支持体)
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
また、CD−ROM,DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク更には書き換え型光ディスクを支持体として用いレーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法にしたがって求められる値である。具体的には、下記のような支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;あるいは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取扱い易さの点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
次に、レジンコート紙など紙支持体に用いられる原紙について述べる。
原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。更にポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体には、バックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。また、バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
−−インクジェット記録媒体の製造方法−−
次に、インクジェット記録媒体の製造方法について詳述する。
本発明に係るインクジェット記録媒体は、水溶性バインダー及び該水溶性バインダーを架橋する架橋剤を含む第1液(インク受容層用塗布液)を支持体上に塗布して塗布層を形成する工程と、塗布形成された塗布層に、(1)前記第1液を塗布すると同時、又は(2)前記塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第2液(pHが7.1以上の塩基性溶液)を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程とを行なって、架橋硬化されたインク受容層を支持体上に形成することにより好適に作製することができる。このとき、前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方(好ましくは前記第2液)が水溶性金属塩を含み、水溶性金属塩の付与量が0.01〜2g/m2となるように、前記第2液を付与する。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法においては、インク受容層用塗布液と水溶性金属塩を含む塩基性溶液とを用いて、既述のように前記(1)又は(2)のいずれかのときに水溶性金属塩を含む第2液を付与するようにすると、水溶性金属塩をインク受容層の表層付近に多く存在させることができるので、オゾン耐性に優れた画像を記録することができるインクジェット記録媒体を得ることができる。
水溶性バインダーを架橋する架橋剤は、第1液のみならず、第2液に含有するようにしてもよく、架橋硬化させたインク受容層は、インク吸収性や膜のひび割れ防止等の利点を有するほか、ハジキ故障等の外観を向上させる点でも好ましい。
インク受容層に含有する水溶性金属塩は、前記第1液及び第2液の少なくとも一方に含有させればよいが、画像のオゾン耐性を効果的に向上させる観点から、水溶性金属塩は第2液に含有させる態様が好ましい。必ずしも水溶性金属塩の全てを第1液に含有させる必要はなく、水溶性金属塩の一部を第1液に含有させるようにしてもよい。
媒染剤は、インク受容層表面から媒染剤が存在する部分の厚みがインク受容層の全厚みに対して10〜60%であるように存在させるのが好ましい。例えば、(1)微粒子と水溶性バインダーと架橋剤とを含有する塗布層を形成し、媒染剤を含む塩基性溶液(第2液)をその上に塗布する方法、(2)微粒子と水溶性バインダーを含む塗布液と媒染剤を含む塩基性溶液(第2液)を重層塗布する方法、等の任意の方法で形成できる。また、媒染剤を含む塩基性溶液(第2液)中に微粒子、水溶性バインダー、架橋剤等が含有されていてもよい。このように構成することで、媒染剤がインク受容層の所要の部分に多く存在するので、インクジェットインクの色材が媒染されて、色濃度や経時滲み、印画部光沢、印字後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性が更に向上するので好ましい。媒染剤の一部は、支持体に設ける層に含有させてもよく、その場合に後に付与される媒染剤は同一のものでも異なっていてもよい。
第1液として、無機顔料微粒子とPVAとホウ素化合物(架橋剤)とを含むインク受容層用塗布液は、例えば以下のようにして調製できる。
平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加して(例えば10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば、回転数10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは、10〜30分間)かけて分散させた後、ホウ素化合物(例えばシリカの0.5〜20質量%)を加え、上記と同じ条件で分散を行ない、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)とを加え、更に上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記の塗布方法で支持体上に塗布し形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質構造のインク受容層を得ることができる。第1液には、必要に応じて、更にpH調整剤、分散剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加することができる。
分散に用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、発生するダマ状微粒子の分散を効率的に行なうためには、媒体撹拌型分散機やコロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
また、各塗布液の調製に用いる溶媒としては、水や有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布液に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、第2液(塩基性溶液)は、例えば以下のようにして調製できる。
イオン交換水に媒染剤(例えば0.1〜5.0質量%)と界面活性剤類(例えば総量として0.01〜1.0質量%)と水溶性金属塩(例えば0.07〜13.3質量%)と必要に応じて架橋剤(例えば0〜5.0質量%)とを加えて充分に攪拌する。第2液のpHとしては、7.1以上が好ましく、pH調整はアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アミノ基含有化合物(エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン等)等を用いて行なうことができる。さらに、第2液には、pH調整用として酸を添加することもでき、酸としては、有機酸、無機酸のいずれを用いてもよく、例えば、パラトルエンスルホン酸、蟻酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、フタル酸、塩化アンモニウム等が挙げられるが、好ましくはパラトルエンスルホン酸、塩化アンモニウムである。
第1液(インク受容層用塗布液)の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行なうことができる。
第1液(インク受容層用塗布液)の塗布と同時又は塗布した後に、塗布形成された塗布層に第2液(塩基性溶液)が付与するときには、第2液は塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。すなわち、インク受容層用塗布液の塗布後、塗設された塗布層が恒率乾燥を示す間に塩基性溶液を導入することで好適に製造される。この第2液には、媒染剤を含有してもよい。
ここで、「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程をさし、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、「化学工学便覧」(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上記の通り、第1液の塗布後、塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に温度50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は前記範囲が適当である。
減率乾燥を示すようになる前に第2液を付与する方法としては、(1)第2液を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)第2液中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
前記方法(1)において、第2液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第1塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
第2液の塗布量としては、5〜50g/m2が一般的であり、10〜30g/m2が好ましい。
第2液の付与後は、一般に温度40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。中でも、温度40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。例えば、第1液中に含有する架橋剤を硼砂や硼酸とする場合には、温度60〜100℃での加熱を5〜20分間行なうことが好ましい。
また、塩基性溶液(第2液)を、インク受容層塗布液(第1液)を塗布すると同時に付与する場合、第1液及び第2液を、第1液が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を温度40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、温度40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行なった場合、同時に吐出される2種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、すなわち支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された2層の塗布液は、支持体に移る際、既に2液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される2液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、第1液及び第2液と共に、バリアー層液(中間層液)を前記2液間に介在させて同時3重層塗布することが好ましい。
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性バインダーを微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性バインダーは、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。ここで、該バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性や光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
インク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量を持つ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、(株)島津製作所製の水銀ポロシメーター「ボアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。該ヘイズ値は、スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP」を用いて測定することができる。
−水溶性インク−
本発明のインクジェット記録方法に用いる水溶性インクは、水溶性フタロシアニン染料を少なくとも含んでなり、場合に応じて適宜選択された溶剤、界面活性剤、防腐剤、防錆剤などを用いて構成することができる。
水溶性インクとして水溶性フタロシアニン染料を含有するインクを既述の本発明に係るインクジェット記録媒体のインク受容層に吐出して記録するので、良好なインク吸収性を保持しながら、耐オゾン性に優れた画像を記録することができる。
−水溶性フタロシアニン染料−
以下、水溶性フタロシアニン染料について詳細に説明する。
水溶性とは、20℃の水で水溶性フタロシアニン染料の飽和水溶液を調製した場合に、飽和溶液100g中に含まれる水溶性フタロシアニン染料が1g以上になるものである。水を主体としたインク溶剤中に溶解して用いることが好ましい。
水溶性フタロシアニン染料としては、C.I.Direct Blue87やC.I.Direct Blue199などの公知のフタロシアニン染料を用いることができる。中でも、オゾン耐性向上の観点から、会合性のフタロシアニン染料が好ましい。会合性のフタロシアニン染料は、濃厚なインク溶液において会合し、希薄溶液に比べて見かけのモル吸光係数(ε)が低下する染料である。このような性質を有する染料は、水溶液中で下記モル吸光係数の濃度依存性を示す。
すなわち、濃度0.1mmol/lの染料水溶液としたときの光路長1cmのセルを用いて測定した分光吸収曲線の極大波長(λmax)に対する吸光度から求めたモル吸光係数ε1と、濃度0.2mol/lの染料水溶液としたときの光路長5μmのセルを用いて測定した分光吸収曲線の極大波長に対する吸光度から求めたモル吸光係数ε2とが、ε1/ε2>1.2の関係を満たす水溶性フタロシアニン染料が好ましく、これは会合性を持つ染料である。本発明において、会合性を持つ染料を用いると、本発明のインクジェット記録媒体のインク受容層上に付与された際に、水溶性金属塩と作用して会合が促進され、オゾン耐性がより向上する。
すなわち、高濃度の溶液中において2分子以上の染料が会合し、希薄溶液に比べて分子吸光係数が低下したような挙動を示す。したがって、高濃度になればなるほど、溶液濃度で補正した見かけの吸光度が低下したように振る舞うという特徴を示す。希薄溶液の測定では通常のセルで吸光度が測定可能であるが、高濃度の染料溶液での吸光係数を測定するためには、光路長がごく短いセルが必要である。このため、液晶セルを用いて、長光路セルで測定した値との比較から吸光度の染料濃度依存性を好ましい色素特性の尺度とした。このモル吸光係数の比率ε1/ε2の挙動は、染料の会合度の相違によるものと考えられるが、この比が1.2以上である染料は顕著な画像堅牢性を有している。モル吸光係数の比率ε1/ε2の上限値は、濃厚液の吸光度が極度に低下しない限り、特に制限はないが、一般に3以下である。
上記のうち、好ましいモル吸光係数の比率ε1/ε2は、1.2〜2.0であり、より好ましくは1.2〜1.5である。
会合性を持つ染料(水溶性フタロシアニン染料)としては、会合性基を有するものが好ましい。会合性基とは、その基中に少なくとも分子間で水素結合が可能な結合部位(あるいは官能基)を少なくとも有する基を意味する。この結合部位は、1基中に1以上含有することができる。結合部位としては、水酸基、アミノ基、アミド結合、オキシド結合等が挙げられ、同一種もしくは異種間で水素結合が形成される。なお、会合性基は、フタロシアニン染料と任意の添加剤との間で水素結合が可能であってもよい。
求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、例えばアザフタロシアニンのようにフタロシアニン骨格の炭素原子を部分的にヘテロ原子に置換したり、電子求引性基をフタロシアニン骨格に導入したりして、酸化電位を1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも貴であることが更に好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴であることが特に好ましい。
会合性のフタロシアニン染料としては、国際出願公開2002/60994号明細書、同2003/811号明細書、同2003/62324号明細書、特開2003−213167号公報、同2004−75986号公報、同2004−323605号公報、同2004−315758号公報、同2004−315807号公報、同2005−179469号公報に記載のものが挙げられる。
また、フタロシアニン染料は、前記明細書又は公報のほか、特開2004−315729号公報、同2005−41856号公報、同2004−323511号公報の記載にしたがって合成することが可能である。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらに限定されるものでない。
会合性を持つ染料(水溶性フタロシアニン染料)としては、中でも下記一般式(1)で表される化合物及びその塩、又は以下に示す一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物の混合物が好ましい。
〜一般式(1)で表される水溶性フタロシアニン染料〜
Figure 2007196396
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、置換基の位置を分子合成の際に制御して、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位のみに特定の置換基を有するβ置換型の染料であり、α位に置換基を有しない(α位は水素原子である)β置換型フタロシアニン染料が好ましい。通常、フタロシアニン染料はフタロシアニン骨格のベンゼン環のα位及びβ位にランダムに水溶性基などの置換基を有するが、β位のみに特定の置換基を有するので、フタロシアニン染料分子の会合が起こりやすく、優れた耐候性(特に耐オゾン性)を示す。
前記一般式(1)において、X11、X12、X13及びX14は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1112、スルホ基、−CONR1112、又は−CO211を表す。
中でも、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1112、又はCONR1112が好ましく、特に−SO2−Z、又はSO2NR1112が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。ここで、複数のX11、X12、X13及びX14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に上記のいずれかの基を表す。また、X11、X12、X13及びX14は、それぞれ全く同じ置換基であってもよく、あるいは例えばX11、X12、X13及びX14が全て−SO2−Zであるが各Zは異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは例えば−SO2−Zと−SO2NR1112が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいてもよい。
一般式(1)中、Zは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。
Zは好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させる観点から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基を置換基中に有する場合が好ましい。
一般式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。
11、R12は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が最も好ましい。但し、R11、R12がいずれも水素原子であることは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させる観点から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
前記アルキル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい。)、あるいはこれらを組合せて得られる1価飽和炭化水素基を意味し、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基等を包含する概念であり、更に置換基により置換されていてもよい場合は、置換アルキル基を包含する。
前記アルケニル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい。)、あるいはこれらを組合せて得られる芳香族を除く炭素−炭素二重結合を1以上含む1価不飽和炭化水素基を意味する概念であり、更に置換基により置換されていてもよい場合は、置換アルケニル基を包含する。置換アルキル基とは、アルキル基の水素原子が他の置換基で置換されているアルキル基を意味し、該置換基は1種以上を各々1個以上置換し得る。他の置換アリール基等も前記と同様である。
11、R12、Zで表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ,R11,R12,Y11〜Y18が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
11、R12、Zで表されるアルケニル基としては、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、分岐のアルケニル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ,R11,R12,Y11〜Y18が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
11、R12、Zで表されるアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体)が特に好ましい。置換基の例としては、後述のZ,R11,R12,Y11〜Y18が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
11、R12、Zで表されるアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。置換基の例としては、後述のZ,R11,R12,Y11〜Y18が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも、染料の酸化電位を貴とし堅牢性を向上させるので電子吸引性基が特に好ましい。電子吸引性基の具体例としては、ハロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
11、R12、Zで表されるヘテロ環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環基であっても非芳香族ヘテロ環基であってもよい。芳香族ヘテロ環基とは、芳香族性をもつ6π((4n+2)π)電子系中にヘテロ原子を含む環の基を意味する(nは1以上の整数)。以下にR11、R12、Zで表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。中でも芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールである。それらは置換基を有していてもよく、置換基の例としては、後述のZ,R11,R12,Y11〜Y18が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。好ましい置換基は前記アリール基の置換基と、更に好ましい置換基は、前記アリール基の更に好ましい置換基とそれぞれ同じである。
一般式(1)中、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、及びY18は、それぞれ 独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。
11〜Y18で表される一価の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基が挙げられる。各基は、さらに置換基を有していてもよい。
11〜Y18としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
前記Z、R11、R12、Y11〜Y18がさらに置換基を有することが可能な基であるときは、以下の置換基をさらに有してもよい。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、水溶性基を有することが好ましい。
一般式(1)中、a11、a12、a13、及びa14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、それぞれ独立に1又は2の整数を表し、好ましくは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。置換基は、水溶性基と水素結合性基からなることが好ましい。
一般式(1)中、Mは、水素原子、金属元素又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
Mとして好ましくは、水素原子、金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。 また、水酸化物としては、Si(OH)2Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。中でも特に、Cu、Ni、Zn、Alが好ましく、Cuが最も好ましい。
また、2価の連結基(L)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)又は3量体を形成してもよく、その時のMはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。
Lで表される2価の連結基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、イミノ基(−NH−)、メチレン基(−CH2−)、及びこれらを組み合わせて形成される基が好ましい。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料の好ましい基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
具体的には、前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、X11〜X14が−SO2−Z又はSO2NR1112(特に−SO2−Z)であって、Zが炭素原子数2〜8のアルキル基(特にプロピル基)であって、R11〜R12が炭素原子数2〜6のアルキル基、スルホンアミドで連結した炭素原子数2〜6のアルキル基(置換基としてヒドロキシル基を更に有するものが好ましい)であって、Y11〜Y18が水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、又はスルホ基(特に水素原子)であって、a11=a12=a13=a14=1であって、MがCu、Ni、Zn、又はAl(特にCu)である形態が特に好ましい。
フタロシアニン染料の化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
ハメットの置換基定数σp値について略説する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に記載されているが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、その合成法によって不可避的に置換基Xn(n=11〜14)及びYm(m=11〜18)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、したがって一般式(1)はこれら類縁体混合物を統計的に平均化して表している。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(p.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行’Phthalocyanines−Properties and Applications’(p.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、例えば下記構造式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)の混合比及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)の混合比を各々調整して下記一般式(A)で表される金属誘導体と反応させるか、あるいはそれらと下記構造式で表される4−スルホフタロニトリル誘導体(化合物R)と下記一般式(A)で表される金属誘導体の混合比を適宜調整したものを反応させて得られるスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
Figure 2007196396
前記各式中、化合物P、Qにおいて、Xpは前記一般式(1)におけるX11,X12,X13又はX14に相当するものであり、Yq,Yq’はそれぞれ前記一般式(1)におけるY11,Y12,Y13,Y14,Y15,Y16,Y17又はY18に相当する。化合物Rにおいて、M’はカチオンを表す。M’が表すカチオンとしては、Li、Na、Kなどのアルカリ金属イオン、又はトリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンなどの有機カチオンなどが挙げられる。
M−(Y)d …一般式(A)
前記一般式(A)において、Mは前記一般式(1)中のMと同義であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数である。
すなわち、上記の合成法に従えば望みの置換基を特定の数だけ導入することができるのである。特に水溶性基/水素結合性基(個数比)を得るため、酸化電位を貴とするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記の合成法は極めて優れたものである。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ位置換型となっている。R1〜R4は、各々X11〜X14に対応する。
Figure 2007196396
Figure 2007196396
Figure 2007196396
Figure 2007196396
前記合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13及びX14が全く同じ置換基をβ位に有するβ位置換型フタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組み合わせて使用すれば、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつ染料や、あるいは、互いに異なる種類の置換基をもつ染料を合成することができる。一般式(1)で表される染料の中でも特定の水溶性基/水素結合性基(個数比)を持つ染料は、染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる為、特に好ましい。
β位置換型のフタロシアニン染料は、原因は詳細には不明であるが、該Xpのα,β位混合置換型フタロシアニン染料(α位はY11〜Y18に対応する位置)よりは色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において明らかに優れている傾向にあり、特に本発明のβ位置換型フタロシアニン染料の中でも水溶性基/水素結合性基(個数比)が特定のものは、それ以外のものより前記諸特性に優れるものである。
また、一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、特開2001−226275号公報、同2001−96610号公報、同2001−47013号公報、同2001−193638号公報に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
前記一般式(1)において、X11〜X14の少なくとも1つは水溶性基であり、かつ該X11〜X14の少なくとも1つは水素結合性基であることが好ましい。
水溶性基とは、一般式(1)で表される染料(以下、染料(1)ともいう。)の水溶解性に寄与する基であって、その構造中にイオン性親水性基を少なくとも1つ有する置換基である。水溶性基は、イオン性親水性基のみからなるものでもイオン性親水性基を有する基でもよい。
イオン性親水性基には、カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基、ホスホノ基、スルホンアミド基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基、及びホスホノ基が好ましく、中でもカルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基が好ましい。特に少なくとも1つはカルボキシル基である事が最も好
ましい。また、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、もしくはスルホンアミド基は、インク中における染料の保存安定性を高める作用がある点で好ましい。
カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、ホスホノ基、スルホンアミド基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
水素結合性基とは、前記水溶性基に該当するものではなく、その基中に少なくとも染料(1)−染料(1)間で水素結合が可能な結合部位(あるいは官能基)を少なくとも有する基を意味する。該結合部位は、1基中に1以上含有することができる。結合部位としては、水酸基、アミノ基、アミド結合、オキシド結合等が挙げられ、同一種もしくは異種間で水素結合が形成される。
なお、水素結合性基は、染料(1)と後述の添加剤との間で水素結合が可能であってもよい。
染料(1)1分子において、水溶性基と水素結合性基が共存する場合、和が8個の条件で各々1〜7個が可能であるが、水溶性基(x)/水素結合性基(y)[個数比]が(0<x<3)/(1<y<4)であることが好ましく、(1<x<3)/(1<y<3)が更に好ましく、(x=2)/(y=2)が特に好ましい。この個数比の各値はそのまま染料(1)1分子中に占める個数であることが好ましい。
なお、前記個数比は、多数の染料(1)分子が統計的に平均化されたものであって、かりに個々の分子においてその個数比が下限又は上限から外れたものが存在しても、全分子を平均化したものが前記範囲であれば、本発明では許容範囲である。この個数比は後述されるように染料(1)の合成原料の配合比を制御することにより調整可能である。この個数比は、染料(1)の水溶液中の吸収スペクトル特性(λmax,ε値、吸収波形)で管理することができる。
染料(1)の水溶性基と水素結合性基との具体例を以下に示す。
特に好ましい水溶性基、水素結合性基の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる水溶性基、水素結合性基は、下記の例に限定されるものではない。
また、水溶性基については遊離の形で以下に示すが、該水溶性基は、塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
以下、水溶性基、水素結合性基の例を示す。
*水溶性基の例
Figure 2007196396
Figure 2007196396
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*水素結合性基の例
Figure 2007196396
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上記した水溶性基及び水素結合性基は、染料(1)1分子中、各々1種以上を有することができ、また、染料(1)の共通構造を有した上で、その分子間で水溶性基及び/又は水素結合性基が互いに異なるものを配合することができるので、このように当該両基を選定することにより染料(1)、ひいてはインク組成物の各種特性(耐オゾン性、溶解性、色相等)の設計に寄与することができる。
一般式(1)で表される染料は、一種単独で用いてもよいし、その他の染料、特にその他のフタロシアニン染料と併用して使用することができる。併用に際しては、本発明の染料にその他のフタロシアニン染料を混合して使用してもよいが、一般式(1)で表される染料の合成時に、フタロニトリル誘導体(化合物P),ジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)に対して置換基Xpが異なるか、あるいは有しない類縁化合物を混合してフタロシアニンを調製することで、合成時に混合体ができるように工夫して併用してもよい。
〜一般式(2)で表されるフタロシアニン染料〜
また、会合性を持つ染料(水溶性フタロシアニン染料)として、少なくとも1つの無置換スルファモイル基とイオン性親水性基を有する少なくとも1つの置換スルファモイル基とを有する、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物の混合物が好ましい。
Figure 2007196396
前記一般式(2)において、Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。
金属原子の具体例としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。金属酸化物としてはVO、GeO等が挙げられる。また、金属水酸化物としては例えば、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2、AlOH等が挙げられる。さらに、金属ハロゲン化物としては例えば、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、AlCl等が挙げられる。これらの中でもCu、Ni、Zn、Al、AlOHが好ましく、Cuが最も好ましい。
一般式(2)中、R17及びR18はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、又は置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。
置換もしくは無置換のアルキル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキル基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のシクロアルキル基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。具体例としては、シクロヘキシル基などが挙げられる。
置換もしくは無置換のアラルキル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアラルキル基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のヘテロ環基としては5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環してもよい。また芳香族へテロ環であっても、非芳香族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルケニル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニル基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい。)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。
一般式(2)中、Aは、架橋基を表し、隣接するR17、R18、及びAが互いに連結して環を形成してもよい。
前記架橋基の例としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられ、及びこれらを組み合わせて形成される基であってもよい。これらを組み合わせて形成される基の例としては、キシリレンが挙げられる。また、R17及びR18と共に架橋基を形成してもよい。また架橋基は置換基を有してもよい。置換基としては例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基が挙げられる。
前記アルキレン基としては、例えば、炭素原子数が1〜16のアルキレンが挙げられ、具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどが挙げられる。アルキレンの炭素原子が一部、窒素、酸素及び硫黄原子に置換されてもよい。またアルキレンとシクロアルキレンが組み合わさって形成される基であってもよい。
前記シクロアルキレン基としては、例えば、炭素原子数が1〜16のシクロアルキレンが挙げられ、具体例として、シクロへキシレンなどが挙げられる。シクロアルキレンの炭素原子が一部、窒素、酸素及び硫黄原子で置換されてもよい。シクロアルキレンとアルキレンが組み合わさって形成される基であってもよい。またシクロアルキレンは橋架け環式炭化水素であってもスピロ環炭化水素であってもよい。
前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。これらは置換基を有してもよい。置換基の例としては例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
一般式(2)中、Y及びZは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、又は置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表し、Y及びZのうち少なくとも1つは、スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基を表す。
ここで、イオン性親水基としては、陰イオン性親水基が好ましく、例えばスルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基、水酸基などが挙げられる。これらのイオン性親水性基は、フリー体であってもよいし、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミンのオニウムイオン塩又はアンモニウム塩であってもよい。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等が挙げられる。有機アミンとしては、アルキルアミンとして例えばメチルアミン、エチルアミン等の炭素数1〜4の低級アルキルアミンが挙げられ、アルカノールアミンとして例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ、ジ又はトリ(炭素数1〜4の低級アルカノール)アミンが挙げられる。好ましくは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩である。
置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアリロキシ基としては、例えばフェノキシキ基、ナフトキシ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環してもよい。また、芳香族へテロ環であっても、非芳香族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアラルキルオキシ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニルオキシ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアルキルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキルアミノ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のシクロアルキルアミノ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアリールアミノ基としては、例えばアニリノ基、ナルチルアミノ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環してもよい。また、芳香族へテロ環であっても、非芳香族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアラルキルアミノ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でもスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニルアミノ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアルキルチオ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキルチオ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアリールチオ基としては、例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基が挙げられる。置換基の例としては例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環してもよい。また、芳香族へテロ環であっても、非芳香族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
置換もしくは無置換のアラルキルチオ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアラルキルチオ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
置換もしくは無置換のアルケニルチオ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニルチオ基が挙げられる。置換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されてもよい)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でも、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
一般式(2)中、無置換スルファモイル基の数m、置換スルファモイル基の数nは、それぞれ独立に1〜3を表し、m及びnの和は2〜4である。
上記のうち、前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は、MがCu、Ni、Zn、Al、又はAlOH(特にCu)であって、R17が水素原子、メチル基、エチル基(特に水素原子)であって、R18が水素原子、メチル基、エチル基(特に水素原子)であって、Aが炭素数1〜5のアルキレン(特にエチレン)であって、Y及びZがそれぞれ独立にスルホン酸基、スルホン酸基で置換されたフェニル基であって、m及びnの和は2〜4である形態が特に好ましい。
前記一般式(2)における無置換スルファモイル基の数mの割合が高い場合は、オゾン耐性が高くなる一方、水溶性が低くなり、インク化が困難になりやすい。逆に一般式(2)における置換スルファモイル基の数nの比率が高い場合は、水溶性が高く、ブロンズ現象が起きにくくなる一方、オゾン耐性が低くなる傾向にある。したがって、置換スルファモイル基の種類に応じて、無置換スルファモイル基と置換スルファモイル基の割合を適宜調節し、バランスのよい割合を選択すればよい。
以下、前記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物の混合物における、M、置換スルファモイル基の組み合わせの具体例(例示No.1〜47)を示す。但し、本発明に使用可能なフタロシアニン化合物の混合物はこれらの例に限定されるものではない。なお、具体例中の置換スルファモイル基は遊離酸の形で記す。
Figure 2007196396
Figure 2007196396
Figure 2007196396
Figure 2007196396
Figure 2007196396
Figure 2007196396
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上記した会合性を持つ染料(水溶性フタロシアニン染料)の中でも、特に前記一般式(1)で表される化合物及びその塩より選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。
前記水溶性フタロシアニン染料の水溶性インク中における含有量としては、インクの濃度や特性等に応じて適宜選択すればよいが、特にはインク全質量に対して0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
本発明における水溶性インクには溶剤、特に水混和性有機溶剤を用いることができる。これは、乾燥防止剤、浸透促進剤、湿潤剤などの機能を有する材料であり、主に高沸点の水混和性有機溶媒が使用される。このような化合物の具体例は、特開2004−331871号公報の[0419]〜[0423]に記載されている。
本発明では、水混和性有機溶剤の中でも、アルコール系溶媒が特に好ましい。また、本発明の水溶性インクでは、沸点150℃以上の水混和性有機溶剤を含むことが好ましい。
これらの水混和性有機溶剤は、総量で水溶性インク中に5〜60質量%含有することが好ましく、特に好ましくは10〜45質量%である。
本発明における水溶性インクの吐出安定性や印字品質、画像の耐久性等を向上させる目的で、特開2004−331871号公報等に記載の界面活性剤や乾燥防止剤、浸透促進剤、尿素系添加剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、ポリマー材料、酸プレカーサー等の添加剤を適宜選択して使用する事ができる。これらの添加剤の好ましい使用量は、前記特開2004−331871号公報等に記載の通りである。
〜ブロンズ改良剤〜
黒インク組成物を含むインクセットを用いてベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、もしくは無くすために、ブロンズ改良剤を用いることができる。
本発明に用いられるブロンズ改良剤は、黒インク組成物を含むインクセットを用いてベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、もしくは無くする機能を有するものであり、例えば、ブロンズ改良剤としてはカルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩が挙げられる。
本発明で使用される「カルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩」としては、分子構造中にカルボキシル基を少なくとも1つ有する芳香族化合物又はその塩であればいかなるものでもよいが、カルボキシル基は1つであるものが好ましく、また、ナフタレン骨格を有するものが好ましい。ナフタレン骨格にカルボキシル基とともに−OR基(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基)を有するものも好ましく用いることができ、ナフタレン骨格を有する化合物又はその塩においてカルボキシル基、−OR基は1つであることが好ましい。また、2位にカルボキシル基を有し、ナフタレン骨格を持つ化合物又はその塩がより好ましく、さらに好ましいものとしては、2位にカルボキシル基を有し、ナフタレン骨格を持つ化合物のアルカリ金属塩が挙げられる。2位にカルボキシル基を有し、ナフタレン骨格を持つ化合物のアルカリ金属塩の中でもリチウム塩が、耐ブロンズ性の改善の点で特に好ましいばかりでなく、耐目詰り性の点でも好ましい。
カルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩としては、具体的には、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−エトキシ−2−ナフトエ酸、6−プロポキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等及びそれらの塩(特に、リチウム塩)が挙げられ、単独または組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基を有する芳香族化合物の塩は、塩の形で添加され、黒インク組成物中に含有されることも可能であり、また、カルボキシル基を有する芳香族化合物と塩基とが別々に添加され、黒インク組成物中に含有されることも可能である。
これらのカルボキシル基を有する芳香族化合物及び/又はその塩の含有総量は、カルボキシル基を有する芳香族化合物及び/又はその塩の種類、染料の種類、溶媒成分の種類等により決められる
また、他のブロンズ改良剤としては、1分子中に10を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物が好ましい。この水溶性平面状化合物については、特開2005−105261号公報の[0012]〜[0026]に記載の化合物を適宜選択して使用することができる。
ブロンズ改良剤は、黒インク組成物全重量に対し、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは、0.5〜5重量%の範囲である。
〜耐オゾン性向上剤〜
耐オゾン性向上剤は、染料の酸化を抑制する機能を有する化合物であり、例えば、チオール系化合物、アミジン系化合物、カルバジド系化合物、ヒドラジド系化合物、グアニジン系化合物等が挙げられる。
〈チオール系化合物〉
本発明に用いられるチオール系化合物とは、SH基を有する化合物であり、芳香族チオール、脂肪族チオールが好ましく、下記一般式(B)で表される化合物が好ましい。
一般式(B):
10−SH
(式中、R10は、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)
前記R10につき説明する。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
10で示される前記置換基は、上述のようにその水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、カルボキシル基、オキソ基、アミノ基、アミノ酸残基(好ましくは炭素数2〜8個)、アンモニウム基、ヒドロキシル基、チオール基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12個)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜12個、カルボキシル基、アミノ基等が置換されていてもよい)、カルバモイル基等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。
一般式(B)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するアリールグリニャール試薬と単体硫黄との反応によりRがアリール基であるチオールが得られ、また、該当するハロゲン化アルキルと硫化水素ナトリウム又はチオ尿素の反応によりR10がアルキル基であるチオールが得られる。
〜アミジン系化合物〜
本発明に用いられるアミジン系化合物とは、−C(=NH)−NH2基(アミジノ基)が炭素含有基の炭素原子に結合した構造を示すものを意味し、前記−C(=NH)−NH2基の水素原子の1以上は置換基により置換されてもよい。
アミジン系化合物としては、下記一般式(C)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007196396
一般式(C)中、R51、R52、R53、及びR54は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を示し、R51が窒素原子を含む場合、該窒素原子は式中に示されたCと結合することはない。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
51〜R54で示される基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、前記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基は、その水素原子が前記R51〜R54で示されるアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
アミジン系化合物は、塩酸塩などの塩の形態であってもよい。
一般式(C)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するイミノエーテルの塩酸塩にアンモニアを作用させる工程を少なくとも経ることにより得られる。
〈カルバジド系化合物〉
本発明に用いられるカルバジド系化合物とは、カルバジド及びその誘導体を意味し、好ましくは、一般式(D):R5556NCONHNR5758(R55〜R58は、それぞれ独立に、水素原子または有機基である。)で表される化合物である。
前記有機基としては、前記R51〜R54で挙げられたものが好ましい。
55〜R58で示される基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、前記R51〜R54に置換し得るものとして例示したものの他に、−HNCONHNR5960(ここで、R59、R60は、有機基であり、その好ましい例は、R51〜R54と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−HNCONHNR5960をカルバジド構造という。本発明で用いられるカルバジド系化合物としては、同一分子中にカルバジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
一般式(D)で表されるカルバジド系化合物は、具体的には、該当するイソシアネートやジイソシアネート、尿素誘導体等と、NH2NR5758(R57及びR58は、前記と同義である)で表されるヒドラジン化合物類との縮合反応等によって得られる。
〈ヒドラジド系化合物〉
本発明に用いられるヒドラジド系化合物とは、ヒドラジド及びその誘導体を意味し、好ましくは、一般式(E):R61CONHNR6263(R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドラジノ基、または有機基である。また、R61とR62またはR63と結合することにより環を形成してもよい。)で表される化合物である。
前記有機基としては、前記一般式(C)のR51〜R54で挙げられたものが好ましい。
61〜R63で示される基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、前記R51〜R54に置換し得るものとして例示したものの他に、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、−CONHNR6465(ここで、R64、R65は、有機基であり、その好ましい例は、R51〜R54と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−CONHNR1415をヒドラジド構造という。本発明で用いられるヒドラジド系化合物としては、同一分子中にヒドラジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
一般式(E)で表されるヒドラジド系化合物は、具体的には、該当するカルボン酸のエステル、酸ハロゲン化物のような酸誘導体、酸無水物等と、一般式NH2NR6263(R62及びR63は、前記と同義である)で表されるヒドラジン化合物類との縮合反応等によって得られる。
耐オゾン性向上剤の中では、グアニジン系化合物が特に好ましい。以下、グアニジン系化合物について詳述する。
〈グアニジン系化合物〉
本発明に用いられるグアニジン系化合物とは、N−C(=N)−N構造を有する化合物を意味する。グアニジン系化合物としては、下記一般式(F)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007196396
一般式(F)中、R71、R72、R73、又はR74は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基を示し、R75は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、特に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはヘテロ環基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、前記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基は、その水素原子が前記R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
71〜R74で示されるアミノ基は、その水素原子が前記R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基等で置換されていてもよい。
グアニジン系化合物は、塩または金属錯体の形態であってもよい。例えば、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、スルファミン酸塩、炭酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
一般式(F)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するイミノエーテルの塩酸塩にアンモニアを作用させる工程を少なくとも経ることにより得られる。
グアニジン系化合物は、N−C(=N)−N構造を有するポリマーであってもよい。このようなポリマーとしては、下記一般式(F−a)、一般式(F−b)、一般式(F−c)で表される繰り返し単位を含む化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、該繰り返し単位を含む化合物は、オリゴマーであってもよい。一般式(F−c)で表される繰り返し単位を含む化合物は、モノマーであってもよい。また、これら化合物は、酸との塩であることが好ましい。
Figure 2007196396
一般式(F−a)中、R75は前記と同義であり、R76は、R71、R72、R73、又はR74のいずれかを示し、n個のR75及びR76は各々同一でも異なってもよい。n7は2以上の整数であり、好ましくは2〜30であり、更に好ましくは2〜15である。一般式(F−a)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
Figure 2007196396
一般式(F−b)中、R75及びR76は前記と同義であり、l7個のR75及びR76は各々同一でも異なってもよい。l7は2以上の整数であり、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5である。m7は1以上の整数であり、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。一般式(F−b)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
Figure 2007196396
一般式(F−c)中、R75は前記と同義であり、R77はR71又はR72と同義であり、R78はR73又はR74と同義であり、p7個のR75、R77及びR78は各々同一でも異なってもよい。pは1以上の整数であり、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜5である。一般式(F−c)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
なお、インクジェット用インク組成物の調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開2004−331871号の各工法に詳細が記載されており、本発明における水溶性インクの調製にも利用できる。
インクの製造において、特開2004−331871号公報に記載のごとく、染料などの添加物の溶解工程等に超音波振動を加えることもできる。
本発明のインクを作製する際には、さらに調液した後に行なわれる、濾過により固形分であるゴミを除く工程が重要である。前記濾過工程についても、特開2004−331871号公報に記載の通りである。
本発明における水溶性インクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いることができる。中でも、圧力パルス方式とサーマルインクインクジェット方式に用いられることが好ましい。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
吐出されるインク滴の液滴サイズは、0.1〜30pl(ピコリットル;以下同様)の範囲であるのが好ましく、1〜20plの範囲であるのが好ましい。吐出されるインク滴のサイズが小さいと高画質画像の記録に好適である反面、光やガス(特にオゾンガス)の影響を受けて記録された画像の褪色性が劣化しやすくなる傾向にあるが、本発明においては液滴サイズが前記範囲内において、良好な耐オゾン性が得られる。
本発明の記録物は、既述の本発明のインクジェット記録方法によって既述の本発明のインクジェット記録媒体上にインク画像が記録されてなるものである。この記録物は、本発明のインクジェット記録媒体に着色剤として水溶性フタロシアニン染料が用いられるので、画像の経時滲みが抑止されており、オゾン耐性が高い。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例ではインクジェット記録媒体の一例としてインクジェット記録用シートを作製するものとし、また実施例中の「部」及び「%」は特に指定しない限り質量基準を表すものとする。
(実施例1)
−支持体の作製−
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
次いで、前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン性でんぷん(CAT0304L、日本NSC(株)製)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(ポリアクロンST−13、星光化学(株)製)0.15%、アルキルケテンダイマー(サイズパインK、荒川化学(株)製)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(アラフィックス100、荒川化学(株)製)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
上記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製、KL−118)を1g/m2塗布して乾燥し、カレンダー処理を行なった。なお、原紙の坪量は166g/m2で抄造し、厚さ160μmの原紙(基紙)を得た。
続いて、得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ25μmとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。引き続き、逆側の表面にコロナ処理し、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/m2のポリエチレンを24g/m2になるように溶融押出機を用いてコーティングし(以下、ポリエチレン層面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
−インクジェット記録用シートの作製−
1)シリカ分散液の調製
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン父換水と(3)「シャロールDC−902P」と(4)「ZA−30」とを混合し、ビーズミルKD−P〔(株)ジンマルエンタープライゼス製〕を用いて分散させた後、分散後の分散液を45℃に加熱して20時間保持し、シリカ分散液を得た。
<組成>
(1)気相法シリカ微粒子 …15.0部
(AEROSlL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 …82.9部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) … 1.31部
(第一工業製薬(株)製;分散剤)
(4)ZA−30(酢酸ジルコニル) … 0.8部
(第一稀元素化学工業(株)製)
2)インク受容層塗布液A(第1液)の調製
前記より得たシリカ分散液59.5部に、下記の(5)ブチセノール20Pと(6)SC−505(シ゛メチルアミン・エヒ゜クロルヒト゛リン・ホ゜リアルキレンホ゜リアミン重縮合物)と(7)ホウ酸と(8)ポリビニルアルコール溶解液と(9)合成アルコールとを30℃で加え、最後に(10)イオン交換水を加えてインク受容層用塗布液A(第1液)を調製した。
<インク受容層用塗布液Aの組成>
シリカ分散液 …59.5部
(5)ブチセノール20P … 0.6部
(協和発酵ケミカル(株)製;ジエチレングリコールモノブチルエーテル)
(6)SC−505(50%水溶液) … 0.2部
(ハイモ(株)製;ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物)
(7)ホウ酸(架橋剤) … 4.0部
(8)ポリビニルアルコール(水溶性バインダー)溶解液…26.0部
〈溶解液の組成〉
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500;(株)クラレ製)…1.8部
・エマルゲン109P…0.06部
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤);花王(株)製)
・イオン交換水…23.8部
(9)合成アルコールAP−7 … 4.1部
(日本アルコール(株)製)
(10)イオン交換水 … 5.94部
3)インクジェット記録用シートの作製
上記の支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、173ml/m2の塗布量となるように流した第1液に、5倍希釈のポリ塩化アルミ水溶液(ポリ塩化アルミは、大明化学工業(株)製のアルファイン83である。)を10.8ml/m2の速度でインラインミキシングし、塗布を行なった。その後、塗布形成された塗布層を熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。このとき、塗布層は恒率乾燥を示した。そして、減率乾燥を示す前に、下記組成の塩基性溶液B(第2液)に2秒浸漬して塗布層上にその15g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた。
以上のようにして、乾燥膜厚35μmのインク受容層が設けられたインクジェット記録用シートを作製した。
<塩基性溶液Bの組成>
(1)ホウ酸 … 0.65部
(2)炭酸ジルコニウムアンモニウム … 1.18部
(ジルコソールAC−7(28%水溶液)、第一稀元素化学工業(株)製)
(3)炭酸アンモニウム(一級:関東化学(株)製) … 5.0部
(4)イオン交換水 …86.5部
(5)塩化マグネシウム(水溶性金属塩) … 0.67部(塗布量0.1g/m2
(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル … 6.0部
(エマルゲン109P(10%水溶液)、花王(株)製;界面活性剤)
(実施例2)
実施例1において、塩基性溶液Bの組成中の塩化マグネシウムを塩化カルシウム(水溶性金属塩)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
(実施例3)
実施例1において、塩基性溶液Bの組成中の塩化マグネシウム0.67部(塗布量0.1g/m2)を硫酸マグネシウム2.0部(塗布量0.3g/m2;水溶性金属塩)に代え、残量をイオン交換水で調節したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。
(実施例4)
実施例1において、塩基性溶液Bの組成中の塩化マグネシウム0.67部(塗布量0.1g/m2)を硝酸マグネシウム2.0部(塗布量0.3g/m2;水溶性金属塩)に代え、残量をイオン交換水で調節したこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
(実施例5)
実施例1において、塩基性溶液B中に塩化マグネシウムを添加せず、インク受容層用塗布液Aの組成中に塩化マグネシウム0.29部(塗布量0.5g/m2)を加えたこと以外、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
(比較例1)
実施例1において、塩基性溶液B中に塩化マグネシウムを加えなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。
(比較例2)
実施例1において、塩基性溶液Bの組成中の塩化マグネシウムの添加量を0.67部(塗布量0.1g/m2)から16.7部(塗布量2.5g/m2)に代え、残量をイオン交換水で調節したこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製した。
−インク組成物の調製−
下記表1に示す組成の各成分を混合して常温下で30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過し、シアンインクC−1〜C−5を調製した。なお、下記表1中において、各成分の数値はインクの全質量を100%としたときの各成分の%値を示し、さらに水の量を示す「残」は水以外の成分と合わせて合計100%になる量を示す。
Figure 2007196396
前記表1中のCYAN−1、CYAN−2、CYAN−3、及びブロンズ防止剤の詳細を示す。
*CYAN−1:
Figure 2007196396
*CYAN−2:
Figure 2007196396
*CYAN−3:
Figure 2007196396
*ブロンズ防止剤:
Figure 2007196396
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られたインクジェット記録用シートについて、下記の評価を行なった。評価結果は下記表2に示す。
−1.耐オゾン性−
〈シアン及びマゼンタの耐オゾン性〉
得られたインクジェット記録用シートについて、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンタPM−A700を用い、各色の画像濃度が濃部から淡部まで段階的に変化する階段状パターンを記録した。このとき、シアンインクは、前記で得たシアンインクC−1〜C−5を用い、マゼンタインク及びブラックインクはPM-A700用純正インクを用いた。この階段状パターンの印字直後の基準点における濃度(Ci)を、ステータスAフィルターを搭載した濃度測定機X−rite 938(X−rite社製)を用いて測定した。続いて、階段状パターンが記録された各インクジェット記録用シートをオゾンガス濃度が10ppmに調節されたボックス内に入れて48時間オゾン雰囲気に曝した。その後、オゾン雰囲気から取り出した各インクジェット記録用シートの基準点における濃度(Cf)を測定し、染料残存率(%;=Cf/Ci×100)を求め、これを耐オゾン性を評価する指標とした。
なお、ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS社製のオゾンガスモニタ(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
(1)シアン
シアンの階段状パターンのうちDvis=1.0となる点を基準点として、この基準点における48時間暴露後の染料残存率(%)を下記基準A〜Eにしたがって行なった。
A:残存率70%以上
B:残存率65%以上70%未満
C:残存率60%以上65%未満
D:残存率55%以上60%未満
E:残存率55%未満
(2)マゼンタ
マゼンタの階段状パターンのうちDvis=1.0となる点を基準点として、この基準点における48時間暴露後の染料残存率(%)を下記基準A〜Dにしたがって行なった。
A:残存率80%以上
B:残存率75%以上80%未満
C:残存率70%以上75%未満
D:残存率70%未満
〈ブラックの耐オゾン性〉
ブラックの耐オゾン性は、ブラックのベタ画像(Adobe Systems Incorporated社製の画像ソフトPhotoshopを使用してR:0、G:0、B:0となる画像)を記録し、96時間暴露後の染料残存率(%)を下記基準A〜Cにしたがって行なった。
A:残存率85%以上
B:残存率80%以上85%未満
C:残存率80%未満
−2.インク吸収性−
各インクジェット記録用シートに、インクジェットプリンタPM−G800(セイコーエプソン(株)製)により、Y(黄)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)、及びR(赤)のインクでベタ印字し、その直後(約10秒後)に印字面に紙を接触押圧し、インクの紙への転写の有無を下記の評価基準にしたがって判定し、インク吸収性を評価した。
[評価基準]
○:紙にインクが全く転写されなかった。
△:紙にインクの転写が認められた。
×:紙に多くのインクが転写された。
Figure 2007196396
前記表2に示すように、実施例では、インクの吸収性が良好であると共に、耐オゾン性を効果的に向上させることができた。これに対し、比較例では、耐オゾン性を満足しつつ、良好なインク吸収性を保持したインクジェット記録用シートを得ることはできなかった。

Claims (11)

  1. 2価の水溶性金属塩の含有量が0.01〜2g/m2であるインク受容層を支持体上に有するインクジェット記録媒体の前記インク受容層に、水溶性フタロシアニン染料を含有する水溶性インクのインク滴を吐出し、前記インク受容層に画像を記録するインクジェット記録方法。
  2. 前記2価の水溶性金属塩が、水溶性マグネシウム塩及び水溶性カルシウム塩の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記水溶性フタロシアニン染料が、濃度0.1mmol/lの染料水溶液としたときの光路長1cmのセルを用いて測定した分光吸収曲線の極大波長に対する吸光度から求めたモル吸光係数ε1と、濃度0.2mol/lの染料水溶液としたときの光路長5μmのセルを用いて測定した分光吸収曲線の極大波長に対する吸光度から求めたモル吸光係数ε2とが、ε1/ε2>1.2の関係を満たす染料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水溶性フタロシアニン染料の少なくとも一種が、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
    Figure 2007196396
    〔一般式(1)中、X11、X12、X13及びX14は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1112、スルホ基、−CONR1112、又は−CO211を表す。Zは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、及びY18は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。a11、a12、a13、及びa14は、それぞれX11〜X14の置換基数を表し、それぞれ独立に1又は2の整数を表す。Mは、水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。〕
  5. 前記水溶性フタロシアニン染料の少なくとも一種が、少なくとも1つの無置換スルファモイル基とイオン性親水性基を有する少なくとも1つの置換スルファモイル基とを有する、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
    Figure 2007196396
    〔一般式(2)中、Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表し、R17及びR18はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、又は置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、Aは架橋基を表し、隣接するR17、R18、及びAが互いに連結して環を形成してもよい。Y及びZは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、又は置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、Y及びZのうち少なくとも1つは、スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基を表す。m及びnはそれぞれ独立に1〜3を表し、m及びnの和は2〜4である。〕
  6. 前記2価の水溶性金属塩が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、及び塩化カルシウムの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記インク受容層が水溶性バインダーを更に含み、前記水溶性バインダーの少なくとも一種がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記インク受容層が架橋剤を更に含み、前記架橋剤の少なくとも一種がホウ酸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記インクジェット記録媒体は、支持体上に、水溶性バインダー及び該水溶性バインダーを架橋する架橋剤を含む第1液を塗布して塗布層を形成し、塗布形成された塗布層に、(1)前記第1液を塗布すると同時、又は(2)前記塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第2液を付与して前記塗布層を架橋硬化することにより、インク受容層が形成された請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記第2液が、前記水溶性金属塩を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法で記録されたインクジェット記録物。
JP2006014345A 2006-01-23 2006-01-23 インクジェット記録方法及びインクジェット記録物 Pending JP2007196396A (ja)

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