JP2004098382A - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Katsuki Suzuki
鈴木 勝喜
Masanobu Takashima
高島 正伸
Takashi Kobayashi
小林 孝史
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Abstract

【課題】ハジキ故障の発生がなく、良質な外観(面状)を具えたインクジェット記録用シートを安定的に提供する。
【解決手段】支持体上に色材受容層を有してなり、前記色材受容層が二種以上の界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤の少なくとも一種が下記一般式(I)で表される化合物〔R:脂肪族基〕であることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【化1】
Figure 2004098382

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用シートに関し、詳しくは、外観(面状状態)の良好なインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および装置も開発され、各々実用化されている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になり、更なるハード(装置)面の発展に伴ってインクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
インクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好であること(カールが充分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること、等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
インクジェット記録に用いられる記録用シートとしては、シリカ等の顔料と水溶性バインダーとを紙、プラスチックフィルム等の支持体上に塗布したものが知られている(例えば、特許文献1〜13参照)。しかしながら、これら提案の記録シートにおいてはいずれも光沢性が非常に低く、フォト光沢紙の用途としては不充分であった。
【0005】
また、擬ベーマイトゾルと水溶性バインダーとを用いた記録用シートもある(例えば、特許文献14〜17参照)。これら記録用シートは、光沢性の点ではある程度の要求特性を満たすものの、擬ベーマイト粒子の製造コストが高い点や、塗布液の調製が困難な点などにおいて課題がある。
【0006】
また更に、硼砂または硼酸を0.1g/m以上塗工してなる基紙に、5〜20g/mの合成シリカ及びポリビニルアルコール(PVA)からなる記録層を設けたインクジェット記録用紙が記載されているものもある(例えば、特許文献18参照)。これは、単にバインダ含有量が少ない記録層の塗膜強度を向上することを目的とするものであり、光沢の点では劣りフォト光沢紙の用途としては不充分であった。
【0007】
更に、光沢性を得るために各種水溶性ポリマーを用いた記録材料も提案されており、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等が紙、プラスチックフィルム等の支持体上に塗布されたものが知られている(例えば、特許文献19〜27参照)。これらは光沢性の点では優れるが、インク速乾性の点で劣り、フォト光沢紙の用途としては不充分であった。
【0008】
他方、特許文献には、上述のインクジェット記録用シートの要求特性、製造コストを満足し得るインクジェット記録用シートが開示されたものもある(例えば、特許文献28〜29参照)。上記の特許文献28においては、無機顔料微粒子および水溶性樹脂からなり、空隙率の高い三次元構造を有する色材受容層が支持体上に設けられた記録用シートが提案されている。そして、この構成によれば、インク吸収性が向上し、印画時の混色ニジミが充分に抑制される結果、高解像度の画像が得られるとされている。しかし、一般に小粒径の粒子を多量に含有させて色材受容層を形成する場合、層形成に用いるバインダー量は空隙を形成し得る範囲まで減らす必要があり、そのために塗布層を急激に乾燥させたときにはひび割れが発生し易く、透明性や外観を損なうといった欠点があった。
【0009】
ひび割れを防止する方法としては、塗布液のバインダーの粘度を比較的高くする方法が開示されている(例えば、特許文献30参照)。しかし、この方法では作業性の低下や塗布ムラが発生する等のおそれがあった。また、無機粒子、ポリビニルアルコール(PVA)、および硼酸若しくは硼酸塩よりなる塗布液を用いたひび割れ防止法もある(例えば、特許文献31〜32参照)。しかし、この方法では塗布液の粘度が上昇し作業性の低下が大きく、液の経時安定性にも問題があった。
【0010】
また更に、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、空隙率の高い色材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートも提案されている(例えば、特許文献33〜34参照)。しかし、その構成からインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し、かつ高光沢をも示すものの、印画後に高温高湿環境下で長時間保存されたときには、色材受容層中でインクの溶媒が染料と共に拡散して、経時で画像が滲み(いわゆる「経時ニジミ」)を生ずる問題があった。
【0011】
また近年では、印画後の画像褪色、すなわち空気中のオゾンに対する画像安定性や、折り曲げ等による色材受容層の剥れなど取扱い性の点でも問題があった。
【0012】
上記に鑑み、無機顔料微粒子と水溶性樹脂とを含む色材受容層塗布液を塗布し、該塗布と同時に又は塗布された塗布層の乾燥途中に、塗布層中の水溶性樹脂を架橋させる架橋剤と媒染剤とを含む溶液を付与し、該塗布層を架橋硬化させて色材受容層を形成する方法(Wet On Wet法;以下、「WOW法」と称する。)が提案されている(例えば、特許文献35参照)。このWOW法によれば、ひび割れがなく外観に優れるなど良好な層を形成し得るほか、前記溶液に媒染剤、退色防止剤、紙面pH調整剤など任意の添加剤を導入できるという利点があるが、塗布液が塗布された塗布層に溶液を付与する際に該溶液が層上ではじかれる、いわゆるハジキ故障を生ずる問題があった。
【0013】
【特許文献1】特開昭55−51583号公報
【特許文献2】特開昭55−144172号公報
【特許文献3】特開昭55−150395号公報
【特許文献4】特開昭56−148582号公報
【特許文献5】特開昭56−148583号公報
【特許文献6】特開昭56−148584号公報
【特許文献7】特開昭56−148585号公報
【特許文献8】特開昭57−14091号公報
【特許文献9】特開昭57−38185号公報
【特許文献10】特開昭57−129778号公報
【特許文献11】特開昭57−129979号公報
【特許文献12】特開昭60−219084号公報
【特許文献13】特開昭60−245588号公報
【特許文献14】特開平2−276670号公報
【特許文献15】特開平3−215082号公報
【特許文献16】特開平3−281383号公報
【特許文献17】特開平6−199035号公報
【特許文献18】特開平4−223190号公報
【特許文献19】特開昭58−89391号公報
【特許文献20】特開昭58−134784号公報
【特許文献21】特開昭58−134786号公報
【特許文献22】特開昭60−44386号公報
【特許文献23】特開昭60−132785号公報
【特許文献24】特開昭60−145879号公報
【特許文献25】特開昭60−168651号公報
【特許文献26】特開昭60−171143号公報
【特許文献27】特開昭60−171143号公報
【特許文献28】特開平7−276789号公報
【特許文献29】特開平8−174992号公報
【特許文献30】特開平9−109545号公報
【特許文献31】特開平7−76161号公報
【特許文献32】特開平10−119423号公報
【特許文献33】特開平10−119423号公報
【特許文献34】特開平10−217601号公報
【特許文献35】特開2002−127591公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑みて成されたものであり、WOW法による場合などにおいても、ハジキ故障の発生がなく、良質な外観(面状)を具えたインクジェット記録用シートを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に色材受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、前記色材受容層が少なくとも二種の界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤の少なくとも一種が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とするインクジェット記録用シートである。下記一般式(I)中、Rは脂肪族基を表す。
【0016】
【化2】
Figure 2004098382
【0017】
<2> 前記色材受容層が、少なくとも微粒子及び水溶性樹脂を含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより行われる前記<1>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0018】
<3> 前記塩基性溶液が少なくとも二種の界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤の少なくとも一種が一般式(I)で表される化合物である前記<2>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートは、色材受容層に脂肪酸ジエタノールアミド化合物を含む少なくとも二種の界面活性剤を含有させて構成したものである。以下、本発明のインクジェット記録用シートについて詳細に説明する。
【0020】
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を少なくとも一層有して構成され、該色材受容層は二種以上の界面活性剤を含有する。また、一般に色材受容層は微粒子と水溶性樹脂とを含んで構成することができ、好ましくは架橋剤、媒染剤を含み、更に必要に応じて他の成分が含有される。支持体上には更に他の層が設けられていてもよい。
また、色材受容層は、後述のように、WOW法により支持体上に形成される態様が好ましい。
【0021】
−界面活性剤−
本発明に係る色材受容層は、少なくとも二種の界面活性剤を含有し、その少なくとも一種として下記一般式(I)で表される脂肪酸ジエタノールアミド化合物を含有する。下記一般式(I)において、Rは脂肪族基を表す。
【0022】
【化3】
Figure 2004098382
【0023】
前記一般式(I)で表される化合物を含有することにより、例えばWOW法などのように、第一塗液である色材受容層用塗布液が塗布された上に更に第二塗液である架橋剤含有の溶液等を付与する場合に溶液がはじかれる現象を回避でき、最終的に形成された色材受容層表面に現れるハジキ故障を防止することができる。これにより、記録面の面状、ひいてはインクジェット記録用シートの外観を損なう故障の発生を効果的に防止でき、製品品質の高いインクジェット記録用シートを提供することができる。なお、ハジキ故障の防止機能については定かではないが、第二塗液が塗布されたときに架橋速度と界面の濡れ性とを界面活性剤が適度に調節するためと推測される。
【0024】
前記Rで表される脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基等が挙げられ、これらの基は更に置換基を有していてもよい。この中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基が好ましく、特にアルキル基と置換アルキル基が好ましい。また、該脂肪族基は、鎖状脂肪族基でも環状脂肪族基でもよく、前記鎖状脂肪族基は更に分岐を有していてもよい。
【0025】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0026】
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル基、オクチルスルホニルアミノカルボニル基)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、トルエンスルホニルアミノカルボニル基)、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基、アセチルアミノスルホニル基、ピバロイルアミノスルホニル基)、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアリールチオ基、アルキルチオ基(例えば、フェニルチオ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ドデシルチオ基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、ステアリルオキシカルボニルオキシ基、フェノキシエトキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、クロロフェノキシカルボニルオキシ基)、
【0027】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、トルフルオロメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ドデシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、ナフタレンスルホニル基、ピリジンスルホニル基、キノリンスルホニル基)、炭素数30以下のアリール基(例えばフェニル基、ジクロロフェニル基、トルイル基、メトキシフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、t−オクチルフェニル基、ナフチル基)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、
【0028】
置換ホスホノ基(例えば、ホスホノ基、ジエチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基)、複素環式基(例えばピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフルフリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イソキノリル基、チアジアゾリル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、インドリル基、イソインドリル基、チオモルホリノ基)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、ジメチルウレイド基、フェニルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、ジプロピルスルファモイルアミノ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、シリル基(例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基等)等が挙げられる。
【0029】
なお、上記のカルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩を形成していてもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特許2791143号公報に記載の化合物等)または金属カチオン(例えば、Na、K、Li、Ag、Fe2+、Fe3+、Cu、Cu2+、Zn2+、Al3+、1/2Ca2+等)が好ましい。
前記有機カチオン性化合物としては、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級ピリジニウムカチオン、4級キノリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、色素カチオン等が挙げられる。
【0030】
前記4級アンモニウムカチオンの具体例としては、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン)、テトラアリールアンモニウムカチオン(例えば、テトラフェニルアンモニウムカチオン)等が挙げられる。前記4級ピリジニウムカチオンとしては、N−アルキルピリジニウムカチオン(例えば、N−メチルピリジニウムカチオン)、N−アリールピリジニウムカチオン(例えば、N−フェニルピリジニウムカチオン)、N−アルコキシピリジニウムカチオン(例えば、4−フェニル−N−メトキシ−ピリジニウムカチオン)、N−ベンゾイルピリジニウムカチオン等が挙げられる。前記4級キノリニウムカチオンとしては、N−アルキルキノリニウムカチオン(例えば、N−メチルキノリニウムカチオン)、N−アリールキノリニウムカチオン(例えば、N−フェニルキノリニウムカチオン)等が挙げられる。前記ホスホニウムカチオンとしては、テトラアリールホスホニウムカチオン(例えば、テトラフェニルホスホニウムカチオン)等が挙げられる。前記ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオン(例えば、ジフェニルヨードニウムカチオン)等が挙げられる。前記スルホニウムカチオンとしては、トリアリールスルホニウムカチオン(例えば、トリフェニルスルホニウムカチオン)等が挙げられる。
【0031】
更に、塩を形成するカチオンとして、特開平9−188686号公報の段落[0020]〜[0038]に記載の化合物等も挙げることができる。
【0032】
前記脂肪族基であるアルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
該アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル等が挙げられる。また、置換アルケニル基の置換基の具体例としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0033】
前記脂肪族基であるアルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
該アルキニル基の具体例としては、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。また、置換アルキニル基の置換基の具体例としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0034】
前記脂肪族基であるアラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数についても、上記の範囲が好ましい。
該アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、オクチルベンジル基、ドデシルベンジル基、ヘキサデシルベンジル基、ジメチルベンジル基、オクチルオキシベンジル基、オクタデシルアミノカルボニルベンジル基、クロロベンジル基等が挙げられる。また、置換アラルキル基の置換基の具体例としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0035】
以下、前記一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げる。但し、本発明においてはこれらに制限されるものではない。
【0036】
【化4】
Figure 2004098382
【0037】
前記一般式(I)で表される化合物は、少なくとも一種含有すればよいが、複数種を併用することもできる。
前記一般式(I)で表される化合物の色材受容層中における含有量としては、色材受容層用塗布液に対して0.005〜3%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。該含有量が、0.005%未満であると、色材受容層形成の際に生ずるハジキ故障を効果的に回避することができないことがあり、3%を超えると、液中の泡の発生頻度が増加し、別の故障を招来することがある。
【0038】
前記一般式(I)で表される界面活性剤と併用する他の界面活性剤としては、特に制限はなく、公知のカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系の各種界面活性剤の中から適宜少なくとも一種選択して併用することができる。前記一般式(I)で表される化合物と共に少なくとも一種の他の界面活性剤を併用することにより、水系の液中における一般式(I)で表される化合物の溶解性を確保することができ、安定した液を調製することができる。
【0039】
前記ノニオン系界面活性剤としては、直鎖アルキル型のポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。
【0040】
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。前記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
【0042】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0043】
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0044】
前記「他の界面活性剤」は、少なくとも一種を一般式(I)で表される化合物と併用すればよいが、複数種を併用することもできる。
前記「他の界面活性剤」の色材受容層における含有量としては、前記一般式(I)で表される界面活性剤100部に対して、30〜2000部が好ましく、50〜1000質量%が好ましい。該含有量が、30部未満であると、色材受容層用塗布液の調製時に前記一般式(I)で表される界面活性剤の溶解性が低下することがあり、2000部を超えると、ハジキ故障の防止効果が損なわれたり、インク吸収性が低下してビーディングの原因となることがある。
【0045】
−微粒子−
本発明に係る色材受容層には一般に微粒子を含有することが好ましい。
前記微粒子は、無機顔料微粒子が好適であり、該無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。
【0046】
前記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行なえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0047】
無機顔料微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、10nm以下が特に好ましい。平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時に色材受容層表面の光沢性をも高めることができる。
【0048】
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基による水素結合により粒子同士が付着しやすいため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着のため、上記のように平均一次粒子径が20nm以下の場合に空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0049】
ここで、シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、前記「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。
【0050】
気相法シリカは、前記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmで多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。したがって、前記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであるシリカ微粒子が好ましい。
【0051】
−水溶性樹脂−
同様に、本発明に係る色材受容層は水溶性樹脂を含有することが好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げることができる。上記の中でも、特にポリビニルアルコール類が好ましい。
【0052】
前記水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や、乾燥時のひび割れを防止し、かつ該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0053】
なお、色材受容層を主に構成する、上記の微粒子と水溶性樹脂とはそれぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
【0054】
前記ポリビニルアルコール(PVA)は、ひび割れ防止の観点から、数平均重合度が1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。また、シリカ微粒子と組合わせる場合には、透明性の観点から水溶性樹脂の種類が重要となる。特に無水シリカを用いる場合、水溶性樹脂としてPVAを用いるのが好ましく、中でも鹸化度70〜99%のPVAがより好ましい。
【0055】
前記ポリビニルアルコールには、ポリビニルアルコール(PVA)に加え、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールおよびその他ポリビニルアルコールの誘導体も含まれる。ポリビニルアルコールは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
前記PVAは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成しやすくする。これは三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造の色材受容層を形成しうると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得た多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0057】
−微粒子と水溶性樹脂との含有比−
微粒子(好ましくはシリカ微粒子;i)と水溶性樹脂(p)との含有比〔PB比(i:p)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、色材受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、前記PB比(i:p)としては、該PB比が大きすぎることに起因する、膜強度の低下や、乾燥時のひび割れを防止し、かつ該PB比が小さすぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
【0058】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層には充分な膜強度を有していることが必要である。さらにシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には充分な膜強度を有していることが必要である。
この場合、前記PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2:1以上であることが好ましい。
【0059】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0060】
−架橋剤−
本発明に係る色材受容層は、無機微粒子および水溶性樹脂等を含む層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0061】
前記架橋剤としては、色材受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二硼酸塩(例えば、Mg、Co)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四硼酸塩(例えば、Na・10HO)、五硼酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)、グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、等が挙げられる。
【0062】
中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、硼酸がより好ましく、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが特に好ましい。
【0063】
架橋剤は、前記水溶性樹脂1質量部に対して、0.05〜0.50質量部含有されることが好ましく、0.08〜0.30質量部含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、水溶性樹脂を架橋して効果的にひび割れ等を防止することができる。
【0064】
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合など、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0065】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0066】
架橋剤は、色材受容層形成用の塗布液(色材受容層用塗布液)を塗布する際に色材受容層用塗布液中および/または色材受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、前記色材受容層用塗布液を塗布する、架橋剤非含有の色材受容層用塗布液を塗布・乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする、等して色材受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の点から、色材受容層用塗布液またはこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、色材受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。特に、画像の印画濃度及び光沢感の向上の点で、色材受容層用塗布液に含有するのが好ましい。また、色材受容層用塗布液中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
【0067】
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。すなわち、色材受容層が色材受容層用塗布液(第一塗液)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液(第二塗液)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤であるホウ素化合物は、第一塗液又は第二塗液のいずれかに含有すればよく、第一塗液及び第二塗液の両方に含有させておいてもよい。
【0068】
−媒染剤−
本発明においては、形成画像の耐水性、耐経時ニジミの更なる向上を図るために、色材受容層に媒染剤を含有することが好ましい。媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。中でも、有機媒染剤が好ましく、特にカチオン性媒染剤が好ましい。
【0069】
少なくとも色材受容層の上層部に前記媒染剤を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き、該色材を安定化させて耐水性や耐経時ニジミを更に改善することができる。
【0070】
この場合、上記の色材受容層用塗布液(第一塗液)および塩基性溶液(第二塗液)のいずれに含有してもよいが、無機微粒子(特に気相法シリカ)を含む液とは別液となる第二塗液に含有して用いることが好ましい。すなわち、媒染剤を直接色材受容層用塗布液に添加すると、アニオン電荷を有する気相法シリカとの共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤を含む液と色材受容層用塗布液とをそれぞれを独立に調製し、個々に塗布する方法を採用すれば、無機微粒子の凝集を考慮する必要がなく、媒染剤の選択範囲が広がる。
【0071】
中でも特に、塩基性媒染剤(例えばポリアリルアミン)を用いることが好ましい。塩基性媒染剤を用いると、媒染剤としての役割を果たすと同時に、塩基性物質としての役割をも果たし、塩基性物質を用いることなく塩基性溶液を調製することが可能となる。
【0072】
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、または第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、または第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」という。)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤ポリマー」という。)との共重合体または縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、または水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0073】
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0074】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0075】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0076】
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0077】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0078】
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0079】
前記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0080】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染剤モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
【0081】
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミンおよびその変性体、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好ましいものとして挙げることができ、ポリアリルアミン及びポリアリルアミン変性体が特に好ましい。
【0082】
前記ポリアリルアミン変性体は、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン、TEMPO、エポキシヘキサン、ソルビン酸等をポリアリルアミンに2〜50mol%付加したものであり、好ましくは、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン、TEMPOの5〜10mol%付加物であり、特にポリアリルアミンの5〜10mol%TEMPO付加物が、オゾン褪色性防止効果を発揮する観点から好ましい。
【0083】
前記媒染剤の分子量としては、重量平均分子量で2000〜300000が好ましい。分子量が上記範囲にあると、耐水性および耐経時ニジミ性をより向上させることができる。
【0084】
−他の成分−
更に、色材受容層は、必要に応じて下記成分を含有して構成される。
色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位または6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0085】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
【0086】
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
【0087】
前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報、
【0088】
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報等に記載のものが挙げられる。
【0089】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0090】
これら褪色性防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色性防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色性防止剤の添加量としては、色材受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
【0091】
本発明において、色材受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。前記高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
【0092】
前記高沸点有機溶剤の色材受容層用塗布液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。
【0093】
また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0094】
−支持体−
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0095】
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0096】
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0097】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0098】
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0099】
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0100】
次に、レジンコート紙など紙支持体に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0101】
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0102】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0103】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0104】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0105】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0106】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0107】
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に色材受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0108】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0109】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0110】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0111】
−インクジェット記録用シートの作製−
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、支持体上に少なくとも微粒子と水溶性樹脂を含有する塗布液(第一塗液)を塗布して塗布層を形成し、さらに前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液(第二塗液)に架橋剤を添加し、かつ(1)前記塗布液(第一塗液)を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液(第一塗液)を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pHが8以上の塩基性溶液(第二塗液)を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法(Wet on Wet法)により形成されるのが好ましい。
【0112】
水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤は、上記の第一塗液あるいは第二塗液の少なくとも一方又は両方に含有せしめることが好ましい。上記のように、第一塗液に対して前記(1)及び(2)のいずれかに塩基性溶液(第二塗液)を付与して架橋硬化させた色材受容層を設けることは、インク吸収性や膜のひび割れ防止などの点のほか、ハジキ故障等の外観を向上させる点で好ましい。
【0113】
既述のように、色材受容層に含有される二種以上の界面活性剤は、前記塗布液(第一塗液)および塩基性溶液(第二塗液)の少なくとも一方に含有して用いられるが、前記第一塗液が塗布された塗布層に第二塗液を付与したときに該第二塗液がはじかれるのを効果的に防止する観点から、本発明に係る二種以上の界面活性剤は第二塗液である塩基性溶液に含有することが望ましい。このとき、必ずしも二種以上の界面活性剤の全てを第二塗液中に含有する必要はなく、一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種と他の少なくとも一種の界面活性剤とを第二塗液に含有することが特に有効であり、これによりハジキ故障を効果的に防止することができる。また、一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種と他の少なくとも一種の界面活性剤とを、第一塗液および第二塗液の両方に含有させる態様も好適である。
【0114】
媒染剤は、色材受容層表面からの媒染剤存在部分の厚みが受容層厚みに対し10〜60%であるように存在させる。例えば、▲1▼前記微粒子、水溶性樹脂、架橋剤を含む塗布層を形成し、媒染剤含有溶液をその上に塗布する方法、▲2▼微粒子、水溶性樹脂を含む塗布液と媒染剤含有溶液を重層塗布する方法等任意の方法で形成できる。また、媒染剤含有溶液中に無機微粒子、水溶性樹脂、架橋剤等が含有されていてもよい。上記のようにすると、媒染剤が色材受容層の所定の部分に多く存在するので、インクジェットの色材が十分に媒染され、色濃度、経時ニジミ、印画部光沢、印字後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は最初に支持体に設ける層に含有させてもよく、その場合は、後から付与する媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0115】
本発明において、第一塗液である無機顔料微粒子と水溶性樹脂及びホウ素化合物架橋剤を含んでなる塗布液は、例えば、以下のようにして調製できる。
即ち、平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させた後、ホウ素化合物架橋剤(例えば、シリカの0.5〜20質量%)を加え、上記と同じ条件で分散を行ない、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、更に上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。
上記第一塗液には、必要に応じて、更に、pH調整剤、分散剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
【0116】
分散に用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なう点で、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0117】
また、各液の調製に用いる溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0118】
また、界面活性剤を含む第二塗液(塩基性溶液)は、例えば、以下のようにして調製できる。すなわち、イオン交換水に、媒染剤(0.1〜5.0質量%)と前記一般式(I)で表される化合物を含む二種以上の界面活性剤(総量として0.01〜1.0質量%)と必要に応じて架橋剤(0〜5.0質量%)とを加え充分に攪拌する。第二塗液のpHとしては8.0以上が好ましく、pH調整はアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アミノ基含有化合物(エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン等)等を用いてpH8.0以上に好適に行なうことができる。
【0119】
第一塗液(色材受容層用塗布液)の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0120】
第一塗液(色材受容層用塗布液)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に第二塗液(塩基性溶液)が付与されるが、該第二塗液は、塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に塩基性溶液を導入することで好適に製造される。この第二塗液には、媒染剤を含有させてもよい。
【0121】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0122】
上記の通り、第一塗液の塗布後、該塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0123】
減率乾燥を示すようになる前に第二塗液を付与する方法としては、▲1▼第二塗液を塗布層上に更に塗布する方法、▲2▼スプレー等の方法により噴霧する方法、▲3▼第二塗液中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0124】
前記方法▲1▼において、第二塗液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0125】
第二塗液の塗布量としては、5〜50g/mが一般的であり、10〜30g/mが好ましい。
【0126】
第二塗液の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。例えば、第一塗液中に含有する架橋剤を硼砂や硼酸とする場合には、60〜100℃での加熱を5〜20分間行なうことが好ましい。
【0127】
また、前記塩基性溶液(第二塗液)を、色材受容層塗布液(第一塗液)を塗布すると同時に付与する場合、第一塗液及び第二塗液を、第一塗液が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成することができる。
【0128】
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0129】
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターによりおこなった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、第一塗液及び第二塗液の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0130】
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。前記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
【0131】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
【0132】
カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0133】
前記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mmで、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0134】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0135】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0136】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「%」は、特に断らない限り「質量%」を表す。
【0137】
(実施例1)
−支持体の作製−
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/mの原紙を抄造した。
【0138】
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whitex BB,住友化学工業(株)製)を0.04%添加し、これを絶乾重量換算で0.5g/mとなるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05に調整された基紙を得た。
【0139】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/mとなるように塗布した。
【0140】
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、および蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有する、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように溶融押し出しし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
【0141】
(実施例1)
−色材受容層用塗布液の調製−
下記組成中の▲1▼シリカ微粒子、▲2▼分散剤、及び▲3▼イオン交換水を混合し、高速回転式コロイドミル(クレアミックス、エム・テクニック(株)製)を用いて回転数10000rpmで20分間分散させた後、下記▲6▼ジエチレングリコールモノブチルエーテル、▲4▼架橋剤、▲7▼界面活性剤、及び▲5▼ポリビニルアルコール9%水溶液を加え、更に上記と同一条件で分散を行ない、色材受容層用塗布液を調製した。
【0142】
〔色材受容層用塗布液の組成〕
▲1▼シリカ微粒子(無機顔料微粒子)          … 30.0kg
(平均一次粒子径7nm;レオロシールQS−30、(株)トクヤマ社製)
▲2▼分散剤                      …  2.5kg
(PAS‐M‐1(60%)、日東紡績(株)製)
▲3▼イオン交換水                   …167.5kg
▲4▼硼酸(5.3%;架橋剤)             … 23.0kg
▲5▼水溶性樹脂(ポリビニルアルコール7%水溶液)   … 95.18kg
(PVA124、(株)クラレ製)
▲6▼ジエチレングリコールモノブチルエーテル(100%)…  1.09kg
▲7▼界面活性剤(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、) … 18.22kg
(エマルゲン109P(2%)、花王(株)製)
【0143】
−インクジェット記録用シートの作製−
上記より得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、得られた色材受容層用塗布液を、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて170ml/mの塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて40℃(風速5m/sec)で塗布層の固形分濃度が18%になるまで乾燥させた。この期間、塗布層は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の塩基性溶液(pH9.6)に30秒浸漬して該塗布層上にその20g/mを付着させ(溶液付与工程)、更に80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これより、乾燥膜厚35μmの色材受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シート(1)を得た。
【0144】
〔塩基性溶液の組成〕
・塩基性媒染剤                   …10.0kg
(PAA−10C(10%)水溶液、日東紡(株)製)
・イオン交換水                   …34.7kg
・表面pH調整剤(塩化アンモニウム、100%)   … 0.3kg
・界面活性剤
▲1▼スタホームDL(10%)            … 1.0kg
(日本油脂(株)製;一般式(I)で表される化合物)
▲2▼エマルゲン109P(2%)(花王(株)製)   … 5.0kg
【0145】
(実施例2)
実施例1において、塩基性溶液の調製に用いたスタホームDL(10%)を、スタホームF(10%)〔日本油脂(株)製;一般式(I)で表される化合物〕に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シート(2)を得た。
【0146】
(比較例1)
実施例1において、塩基性溶液の調製に用いたスタホームDL(10%)を添加しなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シート(3)を得た。
【0147】
(評価)
上記より得たインクジェット記録用シート(1)〜(3)のそれぞれについて、下記評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
(1) ハジキ故障(面状状態)
乾燥工程終了後のインクジェット記録用シートの、色材受容層表面におけるハジキ状態を目視により観察し、100m中のハジキ跡の個数(個/100m)を面状状態を評価するための指標とした。
【0148】
(2) 光沢度
記録前のインクジェット記録用シートの色材受容層表面における60°光沢度を、デジタル変角光沢度計(UGV−50DP,スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
【0149】
(3) 印画濃度
インクジェットプリンタ(PM−770C、セイコーエプソン社製)によって、インクジェット記録用シートにブラック(K)のベタ画像を印画し、3時間放置後の該印画面の反射濃度を反射濃度測定計(X−rite938、X−rite社製)で測定した。
【0150】
【表1】
Figure 2004098382
【0151】
上記表1に示すように、一般式(I)で表される脂肪酸ジエタノールアミド化合物を含めた二種の界面活性剤を含有するインクジェット記録用シート(1)及び(2)では、ハジキ故障の発生は認められず、外観上面状の良好なインクジェット記録用シートを得ることができた。一方、脂肪酸ジエタノールアミド化合物を含まず、一種の界面活性剤しか含有しないインクジェット記録用シート(3)では、ハジキ故障を回避できなかった。
【0152】
【発明の効果】
本発明によれば、WOW法による場合などにおいても、ハジキ故障の発生がなく、良質な外観(面状)を具えたインクジェット記録用シートを安定的に提供することができる。

Claims (3)

  1. 支持体上に色材受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、
    前記色材受容層が少なくとも二種の界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤の少なくとも一種が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とするインクジェット記録用シート。
    Figure 2004098382
    〔式中、Rは脂肪族基を表す。〕
  2. 前記色材受容層が、少なくとも微粒子及び水溶性樹脂を含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより行われる請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
  3. 前記塩基性溶液が少なくとも二種の界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤の少なくとも一種が一般式(I)で表される化合物である請求項2に記載のインクジェット記録用シート。
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