JP2007196135A - 排ガス浄化触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガスの温度と同程度の低温域で、sootを含めた粒子状物質を燃焼させることが可能な排ガス浄化触媒、及び、その製造方法を提供すること。
【解決手段】内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質を浄化する排ガス浄化触媒であって、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒は、粒子状物質のうち、難燃性物質であるsootの燃焼活性を向上させ、sootの燃焼温度を低温化させることにより、排ガスの温度領域とほぼ同じである有機成分物質の燃焼温度領域においてsootの燃焼を可能とする。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質を浄化する排ガス浄化触媒であって、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒は、粒子状物質のうち、難燃性物質であるsootの燃焼活性を向上させ、sootの燃焼温度を低温化させることにより、排ガスの温度領域とほぼ同じである有機成分物質の燃焼温度領域においてsootの燃焼を可能とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、排ガス浄化触媒及びその製造方法に関し、特に、ディーゼル等の内燃機関から排出される粒子状物質、その中でも難燃性物質であるsootを排ガスと同程度の低温域で浄化する排ガス浄化触媒及びその製造方法に関する。
ディーゼル等の内燃機関から排出される排ガス中には、粒子状物質(パティキュレート、以下PMともいう)が含まれている。このPMは、人体に対する悪影響が懸念されており、大気中に放出されることは好ましくないため、ディーゼル車の排気系には、PMを捕集するためのフィルタとしてパティキュレートフィルタ(DPF: diesel particulate filter)等を備えた排ガス浄化装置が設けられている。例えば、特許文献1では、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれるPMを捕集するDPFが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されたDPF内には、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるPMが、時間の経過とともに堆積する。このため、DPFを連続使用した場合、堆積したPMによって排ガスの圧損を招く。これに対して、例えば、特許文献2には、圧損の低減を目的とした触媒担持フィルタが開示されている。しかし、このような触媒担持フィルタを導入したとしても、堆積したPMを除去してDPFを再生させなければならないことにかわりなく、根本的な解決とはならない。
ここで、PMについて詳細に言及する。PMは、主として燃料に由来するものであり、易燃性物質である有機成分物質、難燃性物質であるsoot等を含んでいる。このPMのうち、有機成分物質は、触媒を使用しない場合の燃焼温度が約200℃〜550℃である。従って、Pt(白金)などの貴金属を担持した酸化触媒(貴金属系触媒)をDPFに担持させた場合、約200℃〜400℃の排ガスの熱を利用することによって、有機成分物質を燃焼させることが可能である。
一方、PMのうち、sootの燃焼温度は約550℃〜700℃であり、有機成分物質の燃焼温度と比べて非常に高い。このため、低温域である排ガスの熱を利用することによってsootを燃焼させることは困難である。従って、DPFに燃料を噴射して、燃料を燃焼させたときの燃焼熱により、又は、外部の熱源や添加剤等の付加技術を用いて、sootを含めたPMを強制的に燃焼し、DPFの再生を行っているのが現状である。
しかし、強制的にDPFの再生を行うと、燃費をロスするばかりでなく、高温域での燃焼熱によって、DPFが溶損し、さらにはDPFに担持された触媒が劣化する。この対策として、DPFの再生頻度を低下させることが望ましいが、上記したように排ガスの圧損を招くことになる。その他の対策としては、従来以上の高効率な付加技術を導入してPMを燃焼させる方法、または、DPFを設けずに触媒のみでPMを連続燃焼させることなどが考えられるが、実用性に乏しい。そこで、sootを含めたPMを低温で燃焼させることで、DPFやDPFに担持された触媒の劣化の防止を図り、その結果として自動車自体への負担の軽減を図ることが望まれている。
PMを低温で燃焼させる燃焼触媒としては、上述したように、有機成分物質の燃焼性向上に効果がある貴金属系触媒の他に、sootの燃焼性向上に効果がある遷移金属系複合酸化物触媒が提案されている。遷移金属系複合酸化物触媒をDPFに担持させて使用することによりsootの燃焼温度は約400℃〜600℃となり、遷移金属系複合酸化物触媒を使用しない場合よりも約100℃近く低温でPMを燃焼させることが可能となる。
特開平2002−58924号公報
国際公開WO2002/026351号パンフレット
しかしながら、上記遷移金属系複合酸化物触媒をDPFに担持させて使用したとしても、sootが燃焼可能な温度は、排ガスの温度である200℃〜400℃よりも高く、従来と同様に再生処理を行わずして連続燃焼することは難しい。従って、排ガスの温度と同程度の低温域で、sootを含めたPMを燃焼させることが可能な排ガス浄化触媒が求められている。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排ガスの温度と同程度の低温域で、sootを含めたPMを燃焼させることが可能な排ガス浄化触媒、及び、この排ガス浄化触媒の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質を浄化する排ガス浄化触媒であって、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒。
(2) 前記ベーマイトを500℃以上800℃以下で焼成してなる(1)記載の排ガス浄化触媒。
(3) さらに、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が担持された(1)又は(2)記載の排ガス浄化触媒。
(4) 前記排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は、1質量%以上70質量%以下である(1)から(3)いずれか記載の排ガス浄化触媒。
本発明によれば、難燃性物質であるsootの燃焼性を向上させ、sootの燃焼温度を低温化させることにより、排ガスの温度領域とほぼ同じである有機成分物質の燃焼温度領域でsootの燃焼を可能とする排ガス浄化触媒、及び、排ガス浄化触媒の製造方法を提供することが可能である。従って、排ガス温度領域内でsootの連続燃焼が可能となり、強制再生を行わずに済むため、強制再生による燃費のロスを防止することができる。さらには、排ガス浄化触媒自体の劣化を抑制でき、その結果として、自動車自体の負担を軽減することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[排ガス浄化触媒]
本発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒について説明する。発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒は、ディーゼル等の内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質(パティキュレート、以下PMともいう)を浄化する排ガス浄化触媒であって、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒である。
本発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒について説明する。発明の一実施形態に係る排ガス浄化触媒は、ディーゼル等の内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質(パティキュレート、以下PMともいう)を浄化する排ガス浄化触媒であって、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒である。
ここで、PMとは、主として燃料に由来するものであり、易燃性物質である有機成分物質、難燃性物質であるsoot等を含んでいる。このPMのうち、有機成分物質の燃焼温度は約200℃〜550℃であり、sootの燃焼温度は約550℃〜700℃である。
本実施形態において、ベーマイトに担持させる銀には、銀元素(Ag)及び/又は銀化合物が含まれる。銀化合物としては、例えば、酸化銀(Ag2O)等が挙げられる。
銀が担持されたベーマイト(正式名称:水酸化酸化アルミニウム、分子式:AlOOH)は、アルミナ(Al2O3)の前駆体である。
本実施形態に係る排ガス浄化触媒は、銀が担持されたベーマイトを焼成してなるものである。銀が担持されたベーマイトを焼成することにより、ベーマイトを、銀元素及び/又は銀化合物が高分散担持される担体(例えば、γ−アルミナ)に変化させることが可能であると考えられる。銀元素、銀化合物のいずれかには、sootの燃焼性を向上させることが可能であると考えられ、銀が担持されたベーマイトを焼成することにより、sootの燃焼性を向上させることが可能な排ガス浄化触媒を提供することができる。
本実施形態に係る排ガス浄化触媒は、銀が担持されたベーマイトを500℃以上800℃以下で焼成してなるものであることが好ましい。500℃未満で焼成させると、sootの燃焼性を得ることができない。800℃を超えて焼成させても、それ以上sootの燃焼温度を低温化させることを望めず、経済的に不利である。銀が担持されたベーマイトを600℃以上800℃以下で焼成することがより好ましい。
<銀以外の金属元素>
また、本実施形態に係る排ガス燃焼触媒は、銀とともに、さらに、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が担持されたベーマイトを焼成してなるものであってもよい。
また、本実施形態に係る排ガス燃焼触媒は、銀とともに、さらに、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が担持されたベーマイトを焼成してなるものであってもよい。
アルカリ金属元素としては特に限定されるものではないが、Na、Li、K、Cs等の各元素が好ましく、Na元素がより好ましい。アルカリ土類金属元素としては特に限定されるものではないが、Mg、Ca、Sr、Ba等の各元素が好ましく、Sr、Baがより好ましい。希土類金属元素としては特に限定されるものではないが、La、Ca、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の各元素が好ましい。貴金属元素としては特に限定されるものではないが、Ru、Ph、Pd、Ag、Ir、Pt、Au等の各元素が好ましく、Pd、Pt、Rhがより好ましい。遷移金属元素としては特に限定されるものではないが、Mn、Fe、Co、Ni、V、Cu、Mo、W等の各元素が好ましい。
<排ガス燃焼触媒中の銀元素の含有量>
本実施形態に係る排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は、1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。1質量%未満であると、sootの燃焼性を向上させることができない。70質量%を超えても、それ以上sootの燃焼温度の低温化を望めず、経済的に不利となる。排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は、1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。1質量%未満であると、sootの燃焼性を向上させることができない。70質量%を超えても、それ以上sootの燃焼温度の低温化を望めず、経済的に不利となる。排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
[排ガス浄化触媒の製造方法]
次に、本実施形態に係る排ガス浄化触媒の製造方法について説明する。本実施形態に係る排ガス浄化触媒の製造方法は、銀化合物と、ベーマイトとを含む水溶液を蒸発、乾固させる工程と、蒸発、乾固させたものを所定温度で加熱する工程と、加熱したものを所定の平均粒径の粉末とする工程と、前記粉末を所定温度で焼成する工程と、を備える。
次に、本実施形態に係る排ガス浄化触媒の製造方法について説明する。本実施形態に係る排ガス浄化触媒の製造方法は、銀化合物と、ベーマイトとを含む水溶液を蒸発、乾固させる工程と、蒸発、乾固させたものを所定温度で加熱する工程と、加熱したものを所定の平均粒径の粉末とする工程と、前記粉末を所定温度で焼成する工程と、を備える。
出発原料となる銀化合物としては、硝酸銀(AgNO3)、塩素酸銀(AgClO3)、過塩素酸銀(AgClO4)、酢酸銀(Ag(CH3COO))、4−シクロへキシルブタン酸銀(C6H11(CH2)3COOAg)等のように水に可溶であるものが挙げられるが、硝酸銀がより好ましい。また、酸化銀(Ag2O)、銀粉、硫酸銀(Ag2SO4)等を硫酸、硝酸等の強酸で溶解させたものを銀化合物として使用してもよい。
<蒸発・乾固工程>
銀化合物と、ベーマイトとを含む水溶液を蒸発、乾固させる方法としては、エバポレータ等を使用した減圧乾燥による方法、スターラーにて攪拌混合しながら加熱乾燥させる方法等があるが、減圧乾燥による方法が好ましい。
銀化合物と、ベーマイトとを含む水溶液を蒸発、乾固させる方法としては、エバポレータ等を使用した減圧乾燥による方法、スターラーにて攪拌混合しながら加熱乾燥させる方法等があるが、減圧乾燥による方法が好ましい。
<加熱工程>
銀化合物と、ベーマイトとを含む水溶液を蒸発、乾固させた後、蒸発、乾固させたものを200℃以上400℃以下で加熱することが好ましい。200℃未満とすると、水分を完全に蒸発させることは困難であり、400℃を超えると、試料中の水分が一気に蒸発する危険があるので、好ましくない。また、蒸発、乾固させたものを2時間以上5時間以下の範囲内で加熱することが好ましい。2時間未満では、水分を完全に蒸発させることは困難であり、5時間を超えると、試料中水分は蒸発しており、経済的に不利であるので好ましくない。蒸発、乾固させたものを300℃以上400℃以下、3時間以上4時間以下の範囲内で加熱することがより好ましい。
銀化合物と、ベーマイトとを含む水溶液を蒸発、乾固させた後、蒸発、乾固させたものを200℃以上400℃以下で加熱することが好ましい。200℃未満とすると、水分を完全に蒸発させることは困難であり、400℃を超えると、試料中の水分が一気に蒸発する危険があるので、好ましくない。また、蒸発、乾固させたものを2時間以上5時間以下の範囲内で加熱することが好ましい。2時間未満では、水分を完全に蒸発させることは困難であり、5時間を超えると、試料中水分は蒸発しており、経済的に不利であるので好ましくない。蒸発、乾固させたものを300℃以上400℃以下、3時間以上4時間以下の範囲内で加熱することがより好ましい。
<焼成工程>
次に、加熱させたものを粉末にして、この粉末を焼成させる。焼成させる温度は、上述したように、500℃以上800℃以下が好ましい。また、焼成させたものを整粉してもよい。
次に、加熱させたものを粉末にして、この粉末を焼成させる。焼成させる温度は、上述したように、500℃以上800℃以下が好ましい。また、焼成させたものを整粉してもよい。
[排ガス浄化触媒の使用形態]
本実施形態の排ガス浄化触媒は、ディーゼル等の内燃機関の排気経路に配置されるパティキュレートフィルタ等に担持され、使用されることが好ましい。
本実施形態の排ガス浄化触媒は、ディーゼル等の内燃機関の排気経路に配置されるパティキュレートフィルタ等に担持され、使用されることが好ましい。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
表1に示すように、市販の特級試薬の硝酸銀11.02g、ベーマイト(サソール社製(南アフリカ))3.92g、及び、水40gを出発原料として混合させた水溶液をエバポレータにて水を蒸発させ、乾固させた。この乾固物を200℃で加熱(乾燥)した後、2μm以下の粉末となるように整粒した。次に、整粒した粉末を600℃で、2時間焼成させた後、再度2μm以下の粉末となるように整粒して、触媒Aを得た。この触媒Aと、ディーゼル発電機より採集したPM(SV(燃料の空間速度)=60000(単位:1/時間)、有機成分物質:15.8質量%、soot:84.2質量%)とを20:1(質量比)の割合で乳鉢を用いて粉砕混合させ、2μm以下の粉末となるように整粒することにより、触媒中の銀元素の含有量が70質量%である試料(70質量%Ag/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、市販の特級試薬の硝酸銀11.02g、ベーマイト(サソール社製(南アフリカ))3.92g、及び、水40gを出発原料として混合させた水溶液をエバポレータにて水を蒸発させ、乾固させた。この乾固物を200℃で加熱(乾燥)した後、2μm以下の粉末となるように整粒した。次に、整粒した粉末を600℃で、2時間焼成させた後、再度2μm以下の粉末となるように整粒して、触媒Aを得た。この触媒Aと、ディーゼル発電機より採集したPM(SV(燃料の空間速度)=60000(単位:1/時間)、有機成分物質:15.8質量%、soot:84.2質量%)とを20:1(質量比)の割合で乳鉢を用いて粉砕混合させ、2μm以下の粉末となるように整粒することにより、触媒中の銀元素の含有量が70質量%である試料(70質量%Ag/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
なお、この実施例1の70質量%Ag/Al2O3(B)のように、「金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒」を、「金属(実施例1では、Ag)/Al2O3(B)」と記載することにする。一方、「金属が担持されたアルミナ(Al2O3)を焼成してなる排ガス浄化触媒」を、「金属/Al2O3」と記載することにする。この記載によって、「金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒」と、「金属が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒」とを区別することにした。
<実施例2〜6>
表1に示すように、硝酸銀、ベーマイト、及び、水をそれぞれ秤量し、混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、それぞれ触媒B〜Fとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料を得た。
表1に示すように、硝酸銀、ベーマイト、及び、水をそれぞれ秤量し、混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、それぞれ触媒B〜Fとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料を得た。
<実施例7>
市販の特級試薬である酸化銀(Ag2O)(触媒G)と、上記PMとを20:1(質量比)の割合で乳鉢を用いて粉砕混合させ、2μm以下の粉末となるように整粒することにより、試料(Ag2O−PM(5質量%))を得た。
市販の特級試薬である酸化銀(Ag2O)(触媒G)と、上記PMとを20:1(質量比)の割合で乳鉢を用いて粉砕混合させ、2μm以下の粉末となるように整粒することにより、試料(Ag2O−PM(5質量%))を得た。
<実施例8>
上記触媒Dと、上記PMとを100:1(質量比)の割合で乳鉢を用いて粉砕混合させ、2μm以下の粉末となるように整粒することにより、試料(10質量%Ag/Al2O3(B)−PM(1質量%))を得た。
上記触媒Dと、上記PMとを100:1(質量比)の割合で乳鉢を用いて粉砕混合させ、2μm以下の粉末となるように整粒することにより、試料(10質量%Ag/Al2O3(B)−PM(1質量%))を得た。
<実施例9>
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記ベーマイト9.53g、市販の特級試薬である硝酸ナトリウム(NaNO3)3.7g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Hとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Na/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記ベーマイト9.53g、市販の特級試薬である硝酸ナトリウム(NaNO3)3.7g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Hとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Na/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
<実施例10>
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記ベーマイト9.53g、市販の特級試薬である硝酸マンガン(II)六水和物(Mn(NO3)2・6H2O)5.22g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Iとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Mn/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記ベーマイト9.53g、市販の特級試薬である硝酸マンガン(II)六水和物(Mn(NO3)2・6H2O)5.22g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Iとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Mn/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
<比較例1>
上記PM(有機成分物質:15.8質量%、soot:84.2質量%)を試料とした。
上記PM(有機成分物質:15.8質量%、soot:84.2質量%)を試料とした。
<比較例2>
表1に示すように、市販の特級試薬のジニトロジアンミン白金硝酸溶液33.86g、アルミナ8.3g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Jとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Pt/Al2O3−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、市販の特級試薬のジニトロジアンミン白金硝酸溶液33.86g、アルミナ8.3g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Jとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Pt/Al2O3−PM(5質量%))を得た。
<比較例3>
表1に示すように、市販の特級試薬の硝酸ランタン17.32g、上記硝酸マンガン(II)六水和物(Mn(NO3)2・6H2O)11.48g、及び、水40gを混合させた水溶液を60℃一定で攪拌した。この水溶液と、31質量%に調製しリンゴ酸水溶液43.3gとを混合し、攪拌しながら250℃にて蒸発乾固させた。次に乾燥炉にて200℃、1時間で保持、乾燥させた後、マッフル炉にて5℃/minで加温させた後、350℃一定で3時間仮焼を行った。仮焼したものを2μm以下の粉末となるように整粒し、さらに、800℃、10時間で焼成したものを触媒Kとした。触媒Kに対し、実施例1と同じ手順で試料(LaMnO3−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、市販の特級試薬の硝酸ランタン17.32g、上記硝酸マンガン(II)六水和物(Mn(NO3)2・6H2O)11.48g、及び、水40gを混合させた水溶液を60℃一定で攪拌した。この水溶液と、31質量%に調製しリンゴ酸水溶液43.3gとを混合し、攪拌しながら250℃にて蒸発乾固させた。次に乾燥炉にて200℃、1時間で保持、乾燥させた後、マッフル炉にて5℃/minで加温させた後、350℃一定で3時間仮焼を行った。仮焼したものを2μm以下の粉末となるように整粒し、さらに、800℃、10時間で焼成したものを触媒Kとした。触媒Kに対し、実施例1と同じ手順で試料(LaMnO3−PM(5質量%))を得た。
<比較例4〜7>
表1に示すように、硝酸銀、アルミナ、及び、水をそれぞれ秤量し、混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、それぞれ触媒L〜Oとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料を得た。
表1に示すように、硝酸銀、アルミナ、及び、水をそれぞれ秤量し、混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、それぞれ触媒L〜Oとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料を得た。
<比較例8>
表1に示すように、上記ジニトロジアンミン白金硝酸溶液33.86g、上記ベーマイト10.84g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Pとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Pt/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、上記ジニトロジアンミン白金硝酸溶液33.86g、上記ベーマイト10.84g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Pとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Pt/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
<比較例9>
表1に示すように、市販の特級試薬の硝酸パラジウム4.23g、上記ベーマイト10.84g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Qとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Pd/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、市販の特級試薬の硝酸パラジウム4.23g、上記ベーマイト10.84g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Qとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Pd/Al2O3(B)−PM(5質量%))を得た。
<比較例10>
上記硝酸銀を800℃、2時間焼成して、触媒(この得られた触媒を、触媒Rとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(Ag−PM(5質量%))を得た。
上記硝酸銀を800℃、2時間焼成して、触媒(この得られた触媒を、触媒Rとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(Ag−PM(5質量%))を得た。
<比較例11>
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記硝酸ナトリウム3.7g、アルミナ7.3g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Sとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Na/Al2O3−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記硝酸ナトリウム3.7g、アルミナ7.3g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Sとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Na/Al2O3−PM(5質量%))を得た。
<比較例12>
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記硝酸マンガン5.22g、上記アルミナ7.3g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Tとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Mn/Al2O3−PM(5質量%))を得た。
表1に示すように、上記硝酸銀2.68g、上記硝酸マンガン5.22g、上記アルミナ7.3g、及び、水40gを混合させた水溶液を出発原料とした以外は、実施例1と同じ手順で触媒(この得られた触媒を、触媒Tとする)を得るとともに、実施例1と同じ手順で試料(17質量%Ag/10質量%Mn/Al2O3−PM(5質量%))を得た。
<DTG測定>
実施例1〜10で得られた各試料、及び、比較例1〜12で得られた各試料について、DTG(熱重量測定装置)測定を実施した。装置としては、セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA装置「EXSTAR6000TG/DTA」を用い、サンプル量を10mg、流量100ml/minのDry Air雰囲気下で、昇温条件を20℃/minとしてDTG測定を実施した。測定結果(DTG曲線)を表2に示す。
実施例1〜10で得られた各試料、及び、比較例1〜12で得られた各試料について、DTG(熱重量測定装置)測定を実施した。装置としては、セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA装置「EXSTAR6000TG/DTA」を用い、サンプル量を10mg、流量100ml/minのDry Air雰囲気下で、昇温条件を20℃/minとしてDTG測定を実施した。測定結果(DTG曲線)を表2に示す。
<貴金属系材料又は遷移金属系複合酸化物>
まず、貴金属系材料(触媒)と遷移金属系複合酸化物(触媒)について説明する。
まず、貴金属系材料(触媒)と遷移金属系複合酸化物(触媒)について説明する。
図1及び表2に示すように、PMのみ(比較例1)の燃焼ピーク温度は668℃であった。これに対し、貴金属系材料であるPt/Al2O3が含有された、17質量%Pt/Al2O3−PM(5質量%)(比較例2)の燃焼ピーク温度は、1番目に出現する燃焼ピーク(以下、1stPeak)の温度が247℃、2番目に出現する燃焼ピーク(以下、2ndPeak)の温度が561℃であった。ここで、1stPeakが有機成分物質、2ndPeakがsootに由来した燃焼ピークであることが発生ガス分析から明らかとなっている。
以上の結果から、貴金属系材料は、有機成分物質の燃焼性向上に寄与するが、sootの燃焼性向上にはそれほど寄与しない。有機成分物質の燃焼性向上に貴金属系材料が寄与する理由は、以下のとおりと考えられる。すなわち、HCガスと同様に有機成分物質の酸化反応は活性種表面で行われるため、sootより熱的に不安定な有機成分物質は低温度でも活性種への解離吸着が起こる。この結果として、有機成分物質の燃焼温度が低温化すると考えられる。
また、遷移金属系複合酸化物であるLaMnO3が含有された、LaMnO3−PM(5質量%)(比較例3)は、燃焼ピークが分離していないため、有機成分物質とsootとがともに454℃周辺で燃焼していることがわかる。有機成分物質及びsootの燃焼が同時に起こる理由は、有機成分物質及びsootの燃焼が遷移金属系複合酸化物の酸素放出能に依存しているためと推定される。ここで、排ガス浄化触媒を使用しない場合のsootの燃焼温度が約550℃〜700℃であることを考慮すれば、遷移金属系複合酸化物がsootの燃焼温度の低温化に少なくとも寄与していることがわかる。
<銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒>
これに対して、表2及び図2に示すように、70質量%Ag/Al2O3(B)−PM(5質量%)(実施例1)のDTG曲線は、比較例2の有機成分物質の燃焼温度(1stPeakの温度)領域から上昇し、354℃でピークに達する。すなわち、70質量%のAg/Al2O3(B)を排ガス浄化触媒として使用することにより、有機成分物質の燃焼熱を着火剤として、比較例2の有機成分物質の燃焼温度領域と同じ温度領域からsootの燃焼を開始させることが可能となる。このため、Ag/Al2O3(B)は、遷移金属系複合酸化物触媒よりもsoot燃焼温度を大幅に低温化させることが可能である。
これに対して、表2及び図2に示すように、70質量%Ag/Al2O3(B)−PM(5質量%)(実施例1)のDTG曲線は、比較例2の有機成分物質の燃焼温度(1stPeakの温度)領域から上昇し、354℃でピークに達する。すなわち、70質量%のAg/Al2O3(B)を排ガス浄化触媒として使用することにより、有機成分物質の燃焼熱を着火剤として、比較例2の有機成分物質の燃焼温度領域と同じ温度領域からsootの燃焼を開始させることが可能となる。このため、Ag/Al2O3(B)は、遷移金属系複合酸化物触媒よりもsoot燃焼温度を大幅に低温化させることが可能である。
<銀以外の貴金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒>
次に、銀以外の貴金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒が、sootの燃焼性を向上させるかについて、表2を参考に説明する。
次に、銀以外の貴金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒が、sootの燃焼性を向上させるかについて、表2を参考に説明する。
比較例8のPt/Al2O3(B)や比較例9のPd/Al2O3(B)のように、銀以外の貴金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒を使用した場合、PMの燃焼ピークは600℃以上となる。すなわち、銀以外の貴金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒では、貴金属系材料(触媒)の特性である有機成分物質の燃焼性が改善されず、さらには、sootの燃焼性も改善されない。また、17質量%Pt/Al2O3(B)−PM(5質量%)のPMの燃焼温度は、比較例2の17質量%Pt/Al2O3−PM(5質量%)のPMの燃焼温度よりも、高温である。以上の結果より、銀以外の貴金属が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒では、PMの燃焼温度の低温化を図れない。
<ベーマイトとアルミナとの比較>
次に、表2及び図3を参照して、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒と、銀が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒とを比較して、どちらが排ガス浄化触媒として好適であるか説明する。
次に、表2及び図3を参照して、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒と、銀が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒とを比較して、どちらが排ガス浄化触媒として好適であるか説明する。
図3に示すように、実施例5と、比較例4とを比較すれば、銀が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒(比較例4のAg/Al2O3)よりも、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒(実施例5のAg/Al2O3(B))の方が、PMの燃焼性、特に、sootの燃焼性を向上させることが理解できる。
具体的には、燃焼ピーク全体に対する1stPeakの割合は、実施例5で63%、比較例4で36%となっている。ここで、本実施例で用いられるPM中の有機成分物質の比率が15.8質量%、sootの比率が84.2質量%であることを考慮すると、1stPeakでのsootの燃焼率がそれぞれ56質量%、24質量%となり、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒の方が、銀が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒よりも、有機成分燃焼温度領域でのsootの燃焼量が多いと言える。以上より、銀が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒よりも、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒(実施例5のAg/Al2O3(B))の方が、PMの燃焼性、特に、sootの燃焼性を向上させることが明らかである。
<銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒が好ましい理由>
次に、表2を参照して、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる触媒が、銀が担持されたアルミナを焼成してなる触媒よりも、排ガス浄化触媒として好ましい理由を説明する。
次に、表2を参照して、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる触媒が、銀が担持されたアルミナを焼成してなる触媒よりも、排ガス浄化触媒として好ましい理由を説明する。
表2に示すように、Ag2O−PM(5質量%)(実施例7)の燃焼ピークは245℃に1つ出現していることから、245℃近辺でsootを含めたPMは100%完全に燃焼していることがわかる。実施例7の結果から、Ag2OによりPMの燃焼性が向上していることがわかる。これに対して、Ag−PM(5質量%)(比較例10)の燃焼ピークは、352℃と563℃の2つ出現していることから、AgはPMの燃焼性を向上させる点において、Ag2Oほど良好であるとはいえない。
一方、上述したように、Ag/Al2O3(B)の方がAg/Al2O3よりもPMの燃焼性、特に、sootの燃焼性を向上させる。実施例5、9、7、10、及び、比較例4、10、11、12の結果を考慮すると、Ag/Al2O3(B)の方がAg/Al2O3よりsootの燃焼性を向上させる理由として、ベーマイトを焼成してなるもの(担体)が、アルミナを焼成してなるもの(担体)よりも、sootの燃焼性を向上させるAg2Oを多量に高分散保持できるためであると考えられる。
<排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量>
次に、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量とsootの燃焼温度との関係について図4を用いて説明する。図4は、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量を変化させた場合のAg/Al2O3(B)−PM(5質量%)のsootの燃焼ピーク温度、1stPeakでのsootの燃焼率、及び、Ag/Al2O3−PM(5質量%)の1stPeakでのsootの燃焼率を示す(実施例1〜7、比較例4〜7)。
次に、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量とsootの燃焼温度との関係について図4を用いて説明する。図4は、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量を変化させた場合のAg/Al2O3(B)−PM(5質量%)のsootの燃焼ピーク温度、1stPeakでのsootの燃焼率、及び、Ag/Al2O3−PM(5質量%)の1stPeakでのsootの燃焼率を示す(実施例1〜7、比較例4〜7)。
図4に示すように、Ag/Al2O3(B)の場合、触媒中の銀元素の含有量が多いほどsootの燃焼ピーク温度が低く、1stPeakでのsootの燃焼率が高くなっている。このため、Ag/Al2O3(B)の場合、触媒中の銀元素の含有量が多いほどsootの燃焼性が向上していると考えられる。これは、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒、すなわち、Ag/Al2O3(B)には、sootの燃焼性を向上させるAg2Oがより多く担持されているためと推定される。逆に銀が担持されたアルミナを焼成してなる排ガス浄化触媒、すなわち、Ag/Al2O3には、Ag2Oと比較してsootの燃焼性を向上させないAgが多く担持されているため、sootの燃焼性が向上しないと推定される。
また、Ag/Al2O3(B)−PM(5質量%)の場合、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量が50質量%以上で、1stPeakでのsootの燃焼率は100%となり、全てのsootが有機成分物質とともに燃焼していることがわかる。図4に示すように、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量が多いほど、sootの燃焼性を向上させるが、経済性、耐熱性を考慮して、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は70質量%以下が好ましい。
一方、Ag/Al2O3−PM(5質量%)の場合、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量に対して、Ag/Al2O3−PM(5質量%)の1stPeakでのsootの燃焼率は10%でピークとなり、その後は低下する。
従って、Ag/Al2O3(B)は、Ag/Al2O3と比して、触媒中の銀元素の含有量の全範囲内でsootの燃焼率が高いことから、銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒が、sootを含んだPMの燃焼触媒として好適であると言える。
ただし、表2に示すように、sootの燃焼ピーク温度は、排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量が10質量%より少ない場合は、Ag/Al2O3(B)よりも低温でsootを燃焼させることができる(実施例2〜4、比較例4及び6参照)。
しかし、Ag/Al2O3の1stPeakでのsootの燃焼率はPM成分中のsoot量に依存するが、Ag/Al2O3(B)の場合、有機成分物質の燃焼熱を着火剤としてsootを燃焼しているため、1stPeakでのsootの燃焼率はPM量に依存する。ここで、連続燃焼を想定した場合、触媒量に対するPM量は極少量となる。例えば、連続燃焼下において、10質量%Ag/Al2O3(B)−PM(1質量%)(実施例8)のように触媒量に対するPM量を1質量%とすると、1stPeakでのsoot燃焼率は94%となり、十分に有機成分燃焼温度領域でsoot燃焼が可能である。
<銀とともに他の金属元素が担持された場合>
次に、表2を参照して、銀とともにアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素がベーマイトに担持された排ガス浄化触媒のsootの燃焼性について説明する。
次に、表2を参照して、銀とともにアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素がベーマイトに担持された排ガス浄化触媒のsootの燃焼性について説明する。
表2に示すように、銀とともに、アルカリ金属元素であるNa、遷移金属元素であるMnが担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒により、2ndPeak温度は低温化し、1stPeakでのsootの燃焼率は向上する(実施例5、9、及び、10参照)。この結果により、銀以外にアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素(又はその化合物)とAg2Oとの相互効果により、sootの燃焼性を向上させることが可能であると考えられる。
Claims (4)
- 内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質を浄化する排ガス浄化触媒であって、
銀が担持されたベーマイトを焼成してなる排ガス浄化触媒。 - 前記ベーマイトを500℃以上800℃以下で焼成してなる請求項1記載の排ガス浄化触媒。
- さらに、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、貴金属元素、及び、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が担持された請求項1又は2記載の排ガス浄化触媒。
- 前記排ガス浄化触媒中の銀元素の含有量は、1質量%以上70質量%以下である請求項1から3いずれか記載の排ガス浄化触媒。
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