しかし、従来の振分装置では、一定の速度で回転する回転体によって、特定領域か否かが振分けられるため、遊技者は、可動役物における経路構成を認識することによって、打出しタイミングを把握することが可能になっていた。つまり、遊技者は、回転体の周期を見ながら、打出しタイミングを把握し、流入口に特定領域が合致する直前に遊技球を到達させるように狙い打つことが可能であった。このため、所定の確率で特定領域に入球するように振分けられていても、遊技者の技量によって、有利となる場合もあれば不利となる場合もあり、入球する確率にバラツキが生じていた。また、特定領域に入球可能となるタイミングで間欠的に遊技球が打出された場合には、遊技機の稼働率が低下し、遊技場に損失を与えるという問題も生じていた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、遊技者の技量によって振分確率にバラツキが生じることを防止するとともに、遊技機の稼働の低下を抑制することが可能な遊技機の提供を課題とするものである。
手段1:「遊技領域に配設され遊技媒体が入賞可能な入賞口と、
径方向に開口した凹状の特定領域及び普通領域を有し、回転可能に支持された回転体、
該回転体を回転させる回転駆動手段、
前記回転体の周囲を囲う外周壁、
該外周壁に区画して形成され、前記回転体の回転に伴って前記特定領域または前記普通領域に対して一時的に連通される複数の流入口、
及び、該複数の流入口に対して夫々別々に遊技媒体を案内する複数の案内通路
を備える第一振分装置と、
前記複数の案内通路の上流側に配設され、前記入賞口に入賞した遊技媒体を前記複数の案内通路に振分ける第二振分装置と、
前記第一振分装置における前記回転体の前記特定領域に連通し、該特定領域に入球した遊技媒体を流出させる第一流出路と、
前記回転体の前記普通領域に連通し、該普通領域に入球した遊技媒体を流出させる第二流出路と、
前記第一流出路に前記遊技媒体が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
ここで、「第一振分装置」及び「第二振分装置」は、可動役物の一部として組み込まれるもの、すなわち可動役物内での入賞状態を切り替えるために設けられるものであってもよい。また、「回転体」に設けられる「特定領域」及び「普通領域」の、個数及び割合は特に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。また、「流入口」の個数は、「特定領域」及び「普通領域」の合計個数と同一であってもよく、異なっていても良い。さらに、「回転体」は、平面(上面)視が略円形となるように配置してもよく、正面視が略円形となるように配置してもよい。つまり、回転軸の軸線方向は特に限定されるものではない。
また、「有利遊技状態」とは、通常の遊技状態よりも遊技者に有利となる状態を意味するものであり、以下のように種々の状態を例示できる。
(1)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される一つまたは複数の入賞口や可動片を開放させて、遊技球を入賞可能とした状態。
(2)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される入賞口や可動片を、所定回数開閉させたり、所定時間、あるいは遊技球が所定個数入賞するまで継続して開放させて、遊技球が多量に入賞口に入賞し易くした状態(所謂「大当り状態」)。
(3)パチンコ等の遊技機において、大当り状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
(4)パチンコ機等の遊技機において、遊技球の入賞や通過により大当り状態を発生させるか否かの抽選を行う抽選用の入球装置を、通常よりも遊技球が入球し易い状態とし、大当りの抽選が通常よりも頻繁に行われるようにした状態、所謂「時間短縮状態」。
(5)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲームの間、遊技媒体であるメダルの払出しを行う絵柄にてドラムが停止され易くした状態、所謂「ボーナスゲーム状態」。
(6)パチスロ機等の遊技機において、次回以降のゲーム状態をボーナスゲーム状態にさせるための条件であるボーナス絵柄にてドラムを停止可能とした状態、所謂「ボーナス成立状態」。
(7)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲーム数の間、役を成立させるためのドラムの停止順序や図柄を案内する等して、役の成立を手助けする状態、所謂「アシストゲーム状態」。
(8)パチスロ機等の遊技機において、ボーナスゲーム状態、ボーナス成立状態、アシストゲーム状態等の特典状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
手段1の構成によれば、入賞口に入賞した遊技媒体は、まず、第二振分装置によって複数の案内通路に振分けられる。振分けられた遊技媒体は、案内通路に案内されて夫々別々の流入口に達する。ここで、流入口は外周壁に区画して形成されているため、いずれかの流入口に到達した遊技媒体は、他の流入口に転動することはなく、回転体の特定領域または普通領域に向かって流入可能な状態となる。つまり、遊技媒体が流入口に達しても、その流入口が回転体における特定領域または普通領域に連通するまではその場所で待機し、回転体の回転に伴って一時的に連通すると、その特定領域または普通領域に入球し、回転体とともに軸心周りに回転する。そして、特定領域に入球した遊技媒体は、第一流出路を介して流出し、一方、普通領域に入球した遊技媒体は、第二流出路を介して流出する。そして、特定領域から遊技媒体が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態が発生する。なお、この場合、第一流出路に、特定領域から流出した遊技媒体を検出する特定入賞検出手段を配設し、その特定入賞検出手段によって遊技媒体が検出されたことに基づいて有利遊技状態を発生させるようにしてもよいが、第一流出路から流出する遊技媒体の重さを物理的に利用して開閉部材を開放させることにより、有利遊技状態を発生させるようにしてもよい。
このように、手段1の構成によれば、回転体の周囲に流入口が複数個設けられており、入賞口に入賞した遊技媒体が第二振分装置によって振分けられるようになっている。このため、特定領域または普通領域に対して遊技媒体が入球することとなる位置、すなわち流入口の位置を特定することができなくなり、遊技者は、役物における経路構成を認識しても、打出しタイミングを把握することが困難となる。つまり、回転体の周期を見ながら打つようにしても、適切なタイミングで遊技媒体を狙い打つことができなくなるため、均等な確率で有利遊技状態を発生させることが可能になる。また、所定のタイミングで間欠的に打ち出されるような打ち方がなくなることから、遊技機の稼働率を高めることが可能となる。
手段2:「遊技球が打ち込まれる遊技領域と、
該遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、
操作ハンドルの操作に応じて前記遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、
前記遊技領域内に配置され前記遊技球の転動方向を変化させる障害部材と、
径方向に開口した凹状の特定領域及び普通領域を有し、回転可能に支持された回転体、
該回転体を回転させる回転駆動手段、
前記回転体の周囲を囲う外周壁、
該外周壁に区画して形成され、前記回転体の回転に伴って前記特定領域または前記普通領域に対して一時的に連通される複数の流入口、
及び、該複数の流入口に対して夫々別々に遊技球を案内する複数の案内通路
を備える第一振分装置と、
前記複数の案内通路の上流側に配設され、前記入賞口に入賞した遊技球を前記複数の案内通路に振分ける第二振分装置と、
前記第一振分装置における前記回転体の前記特定領域に連通し、該特定領域に入球した遊技球を流出させる第一流出路と、
前記回転体の前記普通領域に連通し、該普通領域に入球した遊技球を流出させる第二流出路と、
前記第一流出路に前記遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段2の構成によれば、操作ハンドルの操作に対応して発射装置から遊技球が発射されると、遊技球は、多数の障害部材、始動口、及び入賞装置等が組み込まれた遊技領域に導かれる。そして、入賞口に入賞した遊技球は、第二振分装置によって複数の案内通路に振分けられ、夫々別々の流入口に達する。夫々の流入口に達した遊技球は、その流入口が回転体における特定領域または普通領域に連通するまではその場所で待機し、回転体の回転に伴って一時的に特定領域または普通領域に連通すると、その領域に入球して回転体とともに軸心周りに回転する。特定領域に入球した遊技球は、第一流出路を介して回転体から流出することとなるが、これを契機として、遊技者に有利となる有利遊技状態が発生する。
したがって、球技球の打出しタイミングを把握することが困難になり、特定領域に入球する確率が遊技者の技量によってばらつくことを抑制することが可能となる。また、遊技球が間欠的に打ち出されるような打ち方がなくなり、遊技機の稼働率を高めることが可能になる。
手段3:手段1または手段2の構成において、「前記外周壁は、前記回転体を収容する回転体ケースに形成され、前記複数の案内通路は、前記回転体ケースに一体的に形成されている」ことを特徴とする。
手段3の構成によれば、夫々の流入口に遊技媒体を案内するための複数の案内通路が、回転体ケースに形成されているため、夫々の案内通路の出口が流入口として作用する。したがって、案内通路を別部材で構成するものに比べ、比較的簡単な構造で実現できるとともに、小型化を図ることが可能になる。
手段4:手段1〜手段3のいずれか一つの構成において、「前記複数の案内通路は、遊技者に視認可能な状態で設けられている」ことを特徴とする。
手段4の構成によれば、案内通路及びその案内通路によって案内される遊技媒体の転動が視認可能となる。このため、入賞した遊技媒体が、夫々の入賞口に達するまでの過程を把握させることが可能になり、遊技者は、特定領域の位置(回転体の周期)と、流入口の位置と、夫々の案内通路での状況とを、互いに関連付けながら、遊技媒体が特定領域に入球するか否かを予測することが可能になる。特に、従来の振分装置では、流入口が一つであることから、回転体が一回転する間に、流入口と特定領域とが一度しか連通しなかったが、本発明によれば、回転体が一回転する間に、一つの特定領域を複数の流入口に連通させることが可能になるため、期待感を大幅に高め、ひいては第一振分装置に対する興趣を向上させることが可能になる。
手段5:手段1〜手段4のいずれか一つの構成において、「前記複数の流入口は、前記回転体の周方向に対して等間隔で配設されている」ことを特徴とする。
ところで、例えば隣合う流入口同士の間隔に広い部分と狭い部分とが存在する場合、すなわち、複数の流入口が密の状態で配置されている領域(密領域という)と疎の状態で配置されている領域(疎領域という)とがある場合には、夫々の流入口における有利性が互いに異なることとなる。すなわち、回転体の特定領域または普通領域は、回転に伴っていずれかの流入口に連通するが、この際、密領域に位置していれば、疎領域に位置している場合よりも、単時間の間に多くの流入口と連通することとなる。このため、特定領域が密領域に差しかかったときに、流入口に遊技媒体が達するように打ち込めば、疎領域に差しかかったときに打ち込むよりも、特定領域に入球する確率が高くなる。したがって、遊技者の技量によって振分け確率にバラツキが生じてしまう虞がある。
これに対し、手段5の構成によれば、複数の流入口が等間隔で配置されているため、夫々の流入口における有利性が均等になり、振分確率のバラツキを確実に防止することが可能となる。
手段6:手段5の構成において、「前記流入口の個数は、前記回転体に設けられた前記特定領域及び前記普通領域の合計個数に一致している」ことを特徴とする。
手段6の構成によれば、複数の流入口は等間隔で配設され、しかも流入口の個数と、特定領域及び普通領域の合計個数とが一致しているため、全ての特定領域及び普通領域が各流入口に対して同時に連通することになる。このため、複数の流入口に遊技媒体が到達した場合には、それらの遊技媒体は夫々対向する領域に対して同時に入球する。したがって、流入口が複数設けられているにも拘わらず、待機状態と入球可能状態とを明確に区別することができ、振分動作にメリハリをつけることが可能となる。
手段7:手段1〜手段6のいずれか一つの構成において、「前記回転体は、軸線方向を鉛直方向とする軸心回りに回転可能に支持され、
前記複数の案内通路は、前後方向に延びるとともに、前方に向かって僅かに傾斜した略水平面上に形成され、
前記第二振分装置は、前記複数の案内通路の上流側に対して遊技媒体を略垂直方向に落下させる垂直通路と、該垂直通路に配設され落下する遊技媒体の転動方向を変化させる複数の障害片とを有する」ことを特徴とする。
手段7の構成によれば、回転体は鉛直方向に延びる軸線を中心として略水平面上で回転することから、複数の流入口を回転体の周方向に対して等間隔に配置することが可能になる。つまり、仮に回転体の軸線を前後方向とし、垂直面上で回転させた場合には、凹状の特定領域または普通領域が下部に位置すると下方に開口した状態となり、流入口から各領域に遊技媒体を入球させることが極めて困難となるが、手段7の構成によれば、特定領域及び普通領域が下方に向かって開口することがないため、比較的簡単な構成で遊技媒体を入球させることができる。具体的には、前後方向に延びるとともに、前方に向かって僅かに傾斜した略水平面上で、複数の案内通路を並行して形成することが可能になる。
また、第二振分装置は、複数の案内通路の上流側に設けられ、遊技媒体を略垂直方向に落下させ得る垂直通路と、その垂直通路の中に配置され落下する遊技媒体の転動方向を変化させる障害片とを備えて構成されている。これにより、入賞した遊技媒体を、一つまたは複数の障害片に衝突させながら落下させ、複数の案内通路に振り分けることが可能になる。また、垂直通路内では、落下する遊技媒体の転動方向を変化させることから、比較的大きな跳ね返りと、激しい衝突を視認させることができ、一方、案内通路は略水平面上に形成されていることから、比較的静的な動きを視認させることができる。したがって、 第一振分装置による静的な変動と、第二振分装置による動的な変動との組合せによって、視覚的な面白みを高めることができる。
手段8:手段7の構成において、「前記第二振分装置は、前記複数の障害片を可動させる障害片可動手段をさらに備える」ことを特徴とする。
手段8の構成によれば、複数の障害片が可動するため、遊技媒体の転動方向が一層複雑になり、複数の案内通路に対する遊技媒体の振分を均等にすることが可能になる。また、障害片の状態によって遊技媒体の落下速度が変化するため、夫々の流入口に到達するまでの時間を予測することが一層困難となる。したがって、特定の流入口への適切なタイミングでの狙い打ちが極めて困難となる。
手段9:手段8の構成において、「前記複数の障害片は板状の形状を呈し、前記障害片可動手段は、前記複数の障害片をシーソー状に往復運動させる」ことを特徴とする。
手段9の構成によれば、板状の障害片がシーソー状に運動するため、入賞した遊技媒体の跳返り方向が常に変化し、遊技媒体の転動が一層複雑になる。なお、複数の障害片を一定方向に回転させるものに比べ、遊技媒体を左右に均等に振分けることが可能になる。また、一回転しないため、隣接する障害片同士を近づけて配置した場合であっても、それらの障害片同士が干渉したり、遊技媒体が挟み込まれたりすることを抑制できる。
手段10:手段7〜手段9のいずれか一つの構成において、「前記複数の案内通路は、所定高さの仕切壁によって互いに区画され、該仕切壁は、前記第二振分装置の下方に位置する部分が他の部分よりも上方に延出されている」ことを特徴とする。
手段10の構成によれば、夫々の案内通路は、所定高さの仕切壁によって区画されているため、仕切壁に沿って遊技媒体を案内することが可能となる。したがって、夫々の流入口に向かって滑らかに転動させることができる。
ところで、仕切壁の高さが高くなり過ぎると、回転体が埋もれた状態となり意匠性を損ねたり回転体の視認性を低下させたりする虞がある。一方、仕切壁の高さが低い場合には、第二振分装置によって振分けられた遊技媒体が、跳ね返って案内通路から逸脱する可能性がある。
これに対し手段10の構成によれば、一連の仕切壁のうち第二振分装置の下方に位置する部分のみを、他の部分よりも上方に延出させ、その他の部分すなわち回転体の周囲における仕切壁の高さを、転動する遊技媒体が逸脱しない最小限の高さとする。つまり、落下した遊技媒体が、案内通路から逸脱する虞のある部分のみを上方に延出させることにより、案内通路からの逸脱を確実に防止し、しかも意匠性及び視認性を高めることができる。
手段11:「遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、
軸線方向を鉛直方向とする軸心周りに回転可能に支持され、径方向に開口した凹形状を呈する一つの特定領域及び三つの普通領域を、周方向を四等分した位置に形成した回転体、
該回転体を一定の速度で回転させる駆動モータ、
前記回転体の周囲を囲う外周壁を有し、前記回転体を収容する回転体ケース、
前記外周壁に区画して形成されるとともに、前記回転体の周方向に対して等間隔で配設され、前記回転体の回転に伴って前記特定領域または前記普通領域に対して一時的に連通される四つの流入口、
及び、前記回転ケースに一体的に形成され、前記四つの流入口に対して夫々別々に遊技球を案内する四つの案内通路
を備える第一振分装置と、
前記四つの案内通路の上流側に対して略垂直方向に遊技球を落下させる垂直通路、
該垂直通路に配設され、落下する遊技球の転動方向を変化させる三つの障害片、
及び、前記三つの障害片をシーソー状に往復運動動させる障害片可動手段
を備える第二振分装置と、
前記第一振分装置における前記回転体の前記特定領域に連通し、該特定領域に入球した遊技球を流出させる第一流出路と、
前記回転体の前記普通領域に連通し、該普通領域に入球した遊技球を流出させる第二流出路と、
前記第一流出路に前記遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段11の構成によれば、回転体には、一つの特定領域及び三つの普通領域が、周方向を四等分した位置に形成されており、軸線方向を鉛直方向とする軸心周りに回転可能に支持されている。駆動モータによって一定速度で回転させられると、径方向に開口した特定領域及び普通領域が、外周壁に区画して形成された四つの流入口に夫々連通し、流入口から特定領域または普通領域に遊技球を入球させることが可能になる。ここで、流入口が回転体の周方向に対して等間隔で設けられているため、夫々の流入口における有利性を均等にすることができ、振分確率のバラツキを確実に防止することができる。しかも流入口の個数と、特定領域及び普通領域の合計個数とが一致しているため、全ての特定領域及び普通領域を各流入口に対して同時に連通させることが可能となり、振分動作にメリハリをつけることができる。
一方、回転体ケースには、夫々の流入口に遊技球を別々に案内する四つの案内通路が設けられており、案内通路の上流側には、遊技球を複数の案内通路に振分ける第二振分装置が設けられている。特に、第二振分装置には、落下する遊技球の転動方向を変化させる三つの障害片が設けられ、シーソー状に往復運動するようになっている。したがって、効率よく、しかも略均等に振分けることが可能になる。なお、三つの障害片は、中央上部側に一つ配置され、左右の下部側に夫々一つずつ配置されることが好ましい。これによれば、入賞した遊技球をまず中央上部側に配置された障害片によって左右に大別し、さらに左右に大別された遊技球を、左右の下部側に夫々配置された障害片によって二分させることにより、四つの案内通路に対して略均等に振分けることが可能になる。
手段12:手段1〜手段11のいずれか一つの構成において、「前記遊技機は、パチンコ機である」ことを特徴とする。パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、センター役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを具備するもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(すなわち遊技状態検出手段)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の装飾図柄からなる装飾図柄列を変動表示させるとともに、所定のタイミングでキャラクタ等を出現させる演出表示手段を更に具備するもの」、一般に「ハネモノ」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
手段12によると、パチンコ機において、手段1〜手段11までのいずれかの作用効果を奏することができる。
手段13:手段1〜手段11のいずれか一つの構成において、「前記遊技機は、パチスロ機である」ことを特徴とする。パチスロ機とは、遊技媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させる、といった実質的な遊技を行うものであり、停止操作機能付きのスロットマシーンである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
手段13によると、パチスロ機において、手段1〜手段11までのいずれかの作用効果を奏することができる。
手段14:手段1〜手段11のいずれか一つの構成において、「前記遊技機は、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機である」ことを特徴とする。ここで、「パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機」とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
手段14によると、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機において、手段1〜手段11までのいずれかの作用効果を奏することができる。
なお、上記に例示したパチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等のように、投入する媒体によっては実質的な遊技が行われない遊技機では、一見、遊技媒体が存在しないかのように思われるが、このような遊技機であっても、遊技内容の全体において、遊技球やその他の適宜の物品を用いて行われる遊技を含ませることが想定できる。よって、このような遊技機であっても、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機の対象とすることができる。
このように、本発明によれば、特定領域または普通領域に対して遊技媒体を入球させる位置が特定されなくなり、ひいては、特定領域に入球する確率が遊技者の技量によってばらつくことを抑制できる。したがって、均等な確率で有利遊技状態を発生させることが可能になり、安心して遊技を行わせることができる。また、特定領域を狙った間欠的な遊技が低減されることから、遊技機の稼働率を高め、遊技場の損失を抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン60が設けられている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、図5及び図12に基づき説明する。
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図12は遊技領域37の構成を示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図10参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3及び図12に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車(図示しない)が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、振分ユニット91が配設され、その下方に第一役物92及び第二役物93が配設されており、この振分ユニット91と第一役物92及び第二役物93のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
振分ユニット91は、遊技領域37に配設された入賞口95を備えており、遊技盤面に沿って落下する遊技球が入賞口95から入賞すると、その遊技球を、特定領域または普通領域のいずれかに振分けるものであり、二つの振分装置を有している。なお、詳細な構成については後述する。
第一役物92及び第二役物93は、いずれも左右2列で上下2段に配設された四つの入賞口96と、各入賞口96を夫々別々に開閉する四つの開閉部材97とを具備して構成されている。開閉部材97は、夫々の入賞口96の下端部分に設けられた回転軸(図示しない)周りに回動可能に支持され、振分ユニット91で遊技球が特定領域523に振分けられたことに基づいて一斉に開放するようになっている。また、開放に伴って、遊技盤上を落下する遊技球が入賞すると、遊技球の自重によって夫々の開閉部材97が個々に閉鎖するようになっている。つまり、図示しないが、第一役物92及び第二役物93には、ソレノイド等(図示しない)によって全ての開閉部材97を一斉に開放位置に変化させる開放機構と、遊技球の重さを物理的に利用して開閉部材97を閉鎖位置に変化させる閉鎖機構とが備えられている。なお、四組の入賞口96の左右両側には、下部側に配置された入賞口96に対して遊技球を案内するガイド部材98が設けられている。
第一役物92及び第二役物93の左右両側には、第一〜第四の入賞球装置101〜104が設けられている。第一入賞球装置101は、第一役物92の左側方における遊技領域37の側端位置に配置され、第二入賞球装置102は、第二役物93の左側方における近傍位置に配置されている。一方、第三入賞球装置103は、第二役物93の右側方における近傍位置に配置され、第四入賞球装置104は、第一役物92の右側方における遊技領域37の側端位置に配置されている。すなわち、第一〜第四の入賞球装置101〜104のうち左右側端に位置する第一,第四の入賞球装置101,104は、第二,第三の入賞球装置102,103に比べて若干高い位置に配置されている。
夫々の入賞球装置101〜104は、遊技領域37に取り付けるための取付基板105を有している。取付基板105の上側部分には、入賞口スイッチ106(図11参照)が内蔵された開放入賞口107が設けられ、取付基板105の下側部分には、入賞口スイッチ108が内蔵されると共に左右一対の開閉片109が設けられている。開閉片109は、遊技盤の裏面に設けられた開放機構及び閉鎖機構(遊技球の重さを物理的に利用した機構)によって傾動位置(開閉入賞口110を開放する位置)と垂直位置(開閉入賞口110を閉鎖する位置)との間で変位可能になっている。
また、開閉入賞口110の開放機構は、夫々の開放入賞口107に入った遊技球の自重によって作動して開閉片109を垂直位置から傾動位置に移行することで、開閉入賞口110を開放する。一方、開放状態にある開閉入賞口110において、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉片109が傾動位置から垂直位置に移行して開閉入賞口110を閉鎖する。すなわち、開放入賞口107に遊技球が入賞すると、その入賞特典として開閉入賞口110が開放され、開閉入賞口110に遊技球が入賞すると開閉入賞口110が閉鎖される。なお、開閉入賞口110の開放機構は、夫々に対応した第一役物92の入賞口96に連通しており、入賞口96に入賞した遊技球によっても同様に開閉片109を開放させ得るように構成されている。すなわち、開閉入賞口110は、開放入賞口107または第一役物92の入賞口96への入賞と連動して開放するようになっている。
また、遊技領域37には、上記した構成以外にも、一般入賞口115やアウト口116等が設けられている。一般入賞口115は、受け入れた遊技球を遊技盤裏面に設けられた入賞口スイッチ(図示しない)に誘導するものである。アウト口116は、遊技領域37の最下端に設けられ、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を受け入れてアウト球として回収する。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間に役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図10参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図10参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図11に基づき説明する。
図11は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。詳細は後述するが、主制御基板131には、第一振分装置501の特定領域523から遊技球が流出したことを検出する特定入賞検出手段540と、第一振分装置501の普通領域524から遊技球が流出したことを検出する普通入賞検出手段541と、第一役物92及び第二役物93の入賞口96に遊技球が入賞したことを検出する役物入賞検出手段319と、前述した四組の入賞口スイッチ106,108とが接続され、これらの検出信号が入力されるようになっている。また、主制御基板131には、障害片可動ソレノイド568と、駆動モータ542とが接続されており、これらに対して駆動信号が出力されるようになっている。また、図示しないが、主制御基板131は、機能的構成として、第一振分装置501の特定領域523から遊技球が流出したことに基づいて、第一役物92及び第二役物93の開閉部材97を開放する有利遊技状態発生手段を備えている。
また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主にサイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が装飾ランプ353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出ランプ354を作動させる処理を行う。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成、送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
[振分ユニットの構成について]
次に本実施形態における振分ユニットの具体的な構成について図13乃至図17を基に詳細に説明する。図13は本実施形態における振分ユニットを示す斜視図であり、図14は振分ユニットの構成を示す分解斜視図であり、図15は第一振分装置の動作を示す説明図であり、図16は振分ユニットにおいて背面蓋を外した状態を示す背面図であり、図17は第二振分装置における遊技球の振分動作を示す説明図である。
図13及び図14に示すように、振分ユニット91は、第一振分装置501と第二振分装置502とによって構成されている。第一振分装置501は、第二振分装置502の下部に位置し、回転体ケース503の後端部が、第二振分装置ケース504の内部と接している。
第一振分装置501は、回転可能に中心で軸支され、回転駆動手段505によって回転駆動される平面視略円形状の回転体506と、回転体506を支持する回転体ケース503とを有している。回転体ケース503には仕切壁507によって四本の案内通路508が一体的に形成されており、回転体周囲部分には外周壁509が同様に一体的に形成されており、回転体506を囲っている。なお、仕切壁507は、第二振分装置502の下部に位置し遊技球を受ける後端部分が、上方に延出され、他の部分よりも高く形成されている。
回転体ケース503の回転体収容部分には、回転体軸棒520が貫通する軸孔506aと、遊技球が流出する第一流出路521及び第二流出路522が設けてある。第一流出路521と第二流出路522は、夫々軸孔506aを中心とした略同心円弧状の孔によって形成されており、第一流出路521は、第二流出路522と比較して、軸孔506aにより近い位置に形成されている。
回転体506には、一箇所の特定領域523と三箇所の普通領域524の合計四箇所の遊技球を受けることができる凹状部分が、周方向に等間隔(90度間隔)で配設されており、夫々径方向に開口している。外周壁509には、回転体506の回転に伴い、特定領域523及び普通領域524と一時的に連通する流入口525が4箇所区画して形成されている。夫々の流入口525は、各案内通路508の先端部分に形成され、等間隔に配設された特定領域523及び普通領域524と、4箇所全てが同時に連通する位置関係となっている(図15a参照)。
特定領域523は、外周側底部に落下防止片523aを備えており、普通領域524は、内周側底部に落下防止片524aを備えている。これにより、回転体506の回転に伴い遊技球が入球している特定領域523が第二流出路522の上部に差し掛かり、孔の一部が連通した時にも、開口部分は遊技球が通過するには小さすぎるために遊技球は落下しないが、第一流出路521の上部に差し掛かった時には遊技球が通過するに十分な大きさの開口部として連通するため、遊技球は下方の第一流出路521へと落下する(図15b参照)。
一方、普通領域524に入球した場合、普通領域524が第一流出路521の上部に差し掛かり、第一流出路521と普通領域524の下部の孔とが連通した時には、開口部の大きさが不足するために遊技球は落下しないが、第二流出路522と普通領域524の下部の孔とが連通した時には遊技球が通過するに十分な大きさの開口部として連通するため、遊技球は第二流出路522へと落下する(図15c参照)。
回転体ケース503は、回転体ケース支持体526の上部に固定される。回転体ケース支持体526の内部には、合流路527が形成されており、第一流出路521と上下方向に連通する。また、第二流出路522の下部には、略水平方向の遊技球の流路となる第三流出路528が形成されており、第二流出路522と上下に連通し、合流路527と略水平方向で連通している。合流路527の底面は、第三流出路528の側が低くなるように傾斜がつけられている。さらに、第一流出路521と合流路527との間には特定入賞検出手段540が、第二流出路522と第三流出路528との間には普通入賞検出手段541が夫々配設されている。
図14に示すように、回転駆動手段505は、駆動モータ542、一対の歯車543,544、回転体軸棒520、歯車ケース546、ガイド板547、及びケース留め具548によって構成される。
歯車ケース546は、上面が開いた深皿状の形状であり、下部には駆動モータ542の回転軸が貫入する軸孔が設けられている。駆動モータ542は、回転軸が軸孔を貫通して歯車ケース546の内部に突出するように歯車ケース546に固定されている。駆動モータ542の回転軸の突出部には歯車543が取付けられており、その歯車543は、回転体軸棒520の下端に取付けられたもう1枚の歯車544と噛合している。その一対の歯車543,544は、歯車ケース546の中に収容され、噛合面がずれないようにガイド板547によって押さえられて位置決めされている。ガイド板547は中心に孔を有した略平面円形状をしており、回転体軸棒520がその孔を貫通する。回転体軸棒520は回転体ケース支持体526及び回転体ケース503の軸孔を同様に貫通し、上端は回転体ケース503の上部に突出する。その回転体軸棒520の上端には回転体506が取付けられている。一対の歯車543,544と、ガイド板547とを収容した歯車ケース546は、ケース留め具548と共に回転体ケース支持体526に固定されている。
第二振分装置502は、前面内部に垂直通路561を有する第二振分装置ケース504と、三個の板状の形状の障害片562と、透明な前面蓋563と、第二振分装置ケース504の背面側内部に収容される障害片可動手段564と、第二振分装置ケース背面側を覆い、障害片可動手段564を固定する背面蓋565とによって構成されている。
第二振分装置ケース504は、前面側内部に垂直通路561を有している。第二振分装置ケース504の正面側は全面が開口しており、前面側奥の壁面には、軸孔566が、垂直通路561の内部の中央上部に1箇所、下部左右側に2箇所の計3箇所形成されており、各々の軸孔566には障害片562が回転可能に略水平方向に軸支して取付けられる。また、略三角形の上部の頂点に当たる位置の軸孔566の直下には、垂直通路561を中央で左右に二分する垂直仕切板567が形成されている。垂直仕切板567のさらに下方には、障害片可動ソレノイド568が取付けられるソレノイド収納部569が背面側に向けて略四角形凹状に形成されており、ソレノイド収納部569の裏面が第二振分装置ケース504の前面側に突出している。
第二振分装置ケース504の背面側に軸孔566を貫通して突出した障害片562の夫々の回転軸には、円盤状の伝達部品580が取付けられている。また、伝達部品580の外周部には伝達部品突起部580aが形成されている。一対の障害片562と伝達部品580とは、第二振分装置ケース504を挟み込んで回転可能に接合される。
障害片可動ソレノイド568は、ソレノイド収納部569に嵌込まれて固定されている。障害片可動ソレノイド568のプランジャには障害片可動板581が取付けられており、プランジャの運動に合せて上下方向に摺動する。障害片可動板581には、略三角形の各頂点に当たる位置関係で、三個の伝達部品突起部580aを受ける箇所に切欠部581aが三箇所形成されており、夫々の伝達部品突起部580aが、対応する箇所の切欠部581aの内側に挿入されている。
各障害片562は板状の形状をしており、障害片可動板580が障害片可動ソレノイド568に駆動されて上下方向に摺動すると、障害片可動板581の切欠部581aが伝達部品580の突起部580aに当接し、突起部580aを上下方向に押すため、伝達部品580が回動する。伝達部品580の回動に伴い、夫々の伝達部品580と接合している障害片562は、各障害片562の軸を中心として夫々シーソー状に往復運動する(図16参照)。第二振分装置ケース504の前面側の開口上部は、前面蓋563で覆われている。前面蓋563の最上部中央には、垂直通路561に遊技球を入賞させるための入賞口95が、上面を開口し前方に突出した形状で形成されている。
入賞口95に入球すると、遊技球Bは、まず、第二振分装置502に流入し、垂直通路504に入る。シーソー運動する障害片562に接触して転動方向を変えられることで左右に振分けられた遊技球Bは、さらに下流に位置する左右2個のいずれかの障害片562に接触し、再度左右に振分けられ、その振分結果に応じて、下流に位置する第一振分装置501の4本の案内通路508のいずれか1本へと流入する(図17参照)。
このとき、仕切壁507の後端部の高さが他の部分より上方に延出されて高くなっており、前面蓋563の下方の開口部から遊技球がバウンド等によって所定の案内通路508以外の箇所に流出することを防止している。
遊技球は、案内通路508内を流入口525へと転動し夫々の流入口525の位置で待機した状態となる。ここで、回転体506は、回転駆動手段505によって駆動され、所定の速度で回転しているため、回転体506の回転に伴い、夫々の流入口525と特殊領域523または普通領域524とが連通し、流入口525で待機している遊技球が、連通した特定領域523または普通領域524に入球する。
特定領域523に入球した遊技球は、回転体506の回転に伴い、特定領域523内に留まって移動する。特定領域523が第一流出路521の上部に差し掛かると、特定領域523と第一流出路521とが上下方向に連通するため、遊技球は落下し、回転体506及び回転体ケース503の下部へと第一流出路521を通って流出し、特定入賞検出手段540を通過する。これに伴い、特定入賞検出手段540が遊技球を検出し、その検出信号を受けた有利遊技状態発生手段が、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる。すなわち、第一役物92及び第二役物93における全ての開閉部材97を一斉に開放させる。特定入賞検出手段540を通過した遊技球は、合流路527を通り、第三流出路528から流出する。
一方、普通領域522に入球した遊技球は、回転体506の回転に伴い、普通領域524内に留まって移動する。普通領域524が第二流出路522の上部に差し掛かると、普通領域524と第二流出路522とが上下方向に連通するため、遊技球は落下し、第二流出路522から流出し、普通入賞検出手段541を通過する。普通入賞検出手段541を通過した遊技球は、第三流出路528から流出する。
このように、本例のパチンコ機1によれば、回転体506の周囲に流入口525が複数個設けられており、入賞した遊技球が第二振分装置502によって振分けられるため、特定領域523または普通領域524に対して遊技球が入球することとなる位置、すなわち流入口525の位置を特定することができなくなり、遊技者は、振分ユニット91における経路構成を認識しても、打出しタイミングを把握することが困難となる。つまり、回転体506の周期を見ながら打つようにしても、適切なタイミングで遊技球を狙い打つことができなくなるため、均等な確率で有利遊技状態を発生させることが可能になり、安心して遊技を行わせることができる。また、所定のタイミングで間欠的に打出されるような打ち方がなくなることから、遊技機の稼働率を高めることが可能になり、遊技場の損失を抑制することができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、夫々の流入口525に遊技球を案内するための複数の案内通路508が、回転体ケース503に形成されているため、夫々の案内通路508の出口が流入口525として機能する。したがって、案内通路を別部材で構成するものに比べ、比較的簡単な構造で実現できるとともに、小型化を図ることが可能になる。また、夫々の案内通路508及びその案内通路508によって案内される遊技球の転動が視認可能となるため、入賞した遊技球が、夫々の流入口525に達するまでの過程を把握させることが可能になり、遊技者は、特定領域523の位置(回転体の周期)と、流入口525の位置と、夫々の案内通路508での状況とを、互いに関連付けながら、遊技球が特定領域523に入球するか否かを予測することが可能になる。特に、本例によれば、回転体506が一回転する間に、一つの特定領域523が複数の流入口525に連通するため、特定領域523に入球することへの期待感を大幅に高め、ひいては第一振分装置501に対する興趣を向上させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、複数の流入口525が等間隔で配置されているため、夫々の流入口525における有利性が均等になり、振分確率のバラツキを確実に防止することが可能となる。特に、流入口525の個数と、特定領域523及び普通領域524の合計個数とが一致しているため、全ての特定領域523及び普通領域524が各流入口525に対して同時に連通することになる。このため、複数の流入口525に遊技球が到達した場合には、それらの遊技球は夫々対向する領域に対して同時に入球することとなり、ひいては、流入口525が複数設けられているにも拘わらず、待機状態と入球可能状態とを明確に区別することができ、振分動作にメリハリをつけることが可能となる。
また、本例のパチンコ機1によれば、回転体506は鉛直方向に延びる軸線を中心として略水平面上で回転することから、複数の流入口525を回転体506の周方向に対して等間隔に配置することが可能になる。また、第二振分装置502は、複数の案内通路508の上流側に設けられ、遊技球を略垂直方向に落下させ得る垂直通路561と、その垂直通路561の中に配置され落下する遊技球の転動方向を変化させる障害片562とを備えて構成されているため、入賞した遊技球を、複数の障害片562に衝突させながら落下させ、複数の案内通路508に振分けることが可能になる。特に、複数の障害片562は可動するため、遊技球の転動方向が一層複雑になり、四つの案内通路508に対する遊技球の振分を均等にすることが可能になる。また、障害片562の状態によって遊技球の落下速度が変化するため、夫々の流入口525に到達するまでの時間を予測することが一層困難となる。また、板状の障害片562がシーソー状に運動するため、入賞した遊技球の跳ね返り方向を常に変化させ、遊技球の転動を一層複雑にさせることができる。なお、複数の障害片562を一定方向に回転させるものに比べ、遊技球を左右に均等に振り分けることが可能になる。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、第二振分装置502の垂直通路561内で、落下する遊技球の転動方向を変化させることから、比較的大きな跳ね返りと、激しい衝突とを視認させることができ、一方、案内通路508は略水平面上に形成されていることから、比較的静的な動きを視認させることができる。したがって、 第一振分装置501による静的な変動と、第二振分装置502による動的な変動との組合せによって、視覚的な面白みを高めることができる。なお、夫々の案内通路508は、所定高さの仕切壁507によって区画されているため、仕切壁507に沿って遊技球を案内することが可能となり、夫々の流入口525に向かって滑らかに転動させることができる。特に、一連の仕切壁507のうち第二振分装置502の下方に位置する部分のみを、他の部分よりも上方に延出させ、その他の部分すなわち回転体506の周囲における仕切壁507の高さを、転動する遊技球が逸脱しない最小限の高さとしているため、案内通路508からの逸脱を確実に防止し、しかも意匠性及び視認性を高めることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、回転体506に一つの特定領域523と三つの普通領域524とを備えるものを示したが、特定領域及び普通領域の個数及び割合は特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、障害片562を障害片ソレノイド568によって可動させるものを示したが、駆動手段は特に限定されるものではなく、例えばモータを用いることも可能である。また、障害片562を一定の周期で往復運動させるものを示したが、不規則に変動させたり、遊技状態に基づいて運動速度を変化させるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシーンや、パチンコ機とスロットマシーンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。