特許文献1の従来技術では、入賞口に入賞した遊技媒体は流路を流下し、回転式振分装置の回転体に形成された特定領域又は普通領域にそのまま入球して振分結果が決定するため、遊技媒体の転動過程には変化が乏しかった。つまり、入賞口に入賞した遊技媒体が特定領域又は普通領域に入球することが遊技者には「当たり」「外れ」と認識されるため、入球するまでの様子に変化が乏しいと、淡々と「当たり」「外れ」が決定されることになる。ひいては遊技自体が単調で味気ないものとなり、飽きられやすいという虞があった。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、入賞口に入賞した遊技媒体が振分装置において「当たり」「外れ」を決定されるまでの遊技媒体の転動過程を多様化し、興趣を高めることが可能な遊技機の提供を課題とするものである。
手段1:「遊技領域に配設され遊技媒体が入賞可能な入賞口と、
揺動片回転軸にて回転可能に支持され、上面に遊技媒体を載置可能であり、周縁部に流出部が形成されている揺動片、
及び、前記揺動片回転軸を中心として前記揺動片を回動させる揺動片可動手段
を備える揺動装置と、
前記入賞口に入賞した遊技媒体を前記揺動装置に案内する第一案内通路と、
前記揺動片の前記流出部から流出した遊技媒体を流下させる第二案内通路と、
回転可能に支持され、外周に沿って開口した凹形状を呈する特定領域、普通領域、及びリターン領域が形成された回転体、
該回転体を回転させる回転駆動手段、
前記回転体の周囲を囲う外周壁、
前記第二案内通路の下流側端部に接合し、前記外周壁に形成され、前記回転体の回転に伴って前記特定領域、前記普通領域または前記リターン領域に対して一時的に連通される流入口
及び、前記外周壁の奥側の前記流入口より高い位置に形成され、前記回転体の回転に伴って前記リターン領域に対して一時的に連通され、前記流入口から前記リターン領域に入球した遊技媒体を流出させて前記第一案内通路に戻すリターン口
を備える回転式振分装置と、
前記回転式振分装置における前記回転体の前記特定領域に連通し、該特定領域に入球した遊技媒体を流出させる第一流出路と、
前記回転体の前記普通領域に連通し、該普通領域に入球した遊技媒体を流出させる第二流出路と、
前記第一流出路に前記遊技媒体が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
ここで、「回転式振分装置」及び「揺動装置」は、可動役物の一部として組み込まれるもの、すなわち可動役物内での入賞状態を切り替えるために設けられるものであってもよい。また、「回転体」に設けられる「特定領域」及び「普通領域」の、個数及び割合は特に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。また、「揺動片を回動させる揺動片可動手段」には、揺動片を揺動させるもの、及び揺動片を回転させるものが含まれる。
また、「有利遊技状態」とは、通常の遊技状態よりも遊技者に有利となる状態を意味するものであり、以下のように種々の状態を例示できる。
(1)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される一つまたは複数の入賞口や可動片を開放させて、遊技球を入賞可能とした状態。
(2)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される入賞口や可動片を、所定回数開閉させたり、所定時間、あるいは遊技球が所定個数入賞するまで継続して開放させて、遊技球が多量に入賞口に入賞し易くした状態(所謂「大当り状態」)。
(3)パチンコ等の遊技機において、大当り状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
(4)パチンコ機等の遊技機において、遊技球の入賞や通過により大当り状態を発生させるか否かの抽選を行う抽選用の入球装置を、通常よりも遊技球が入球し易い状態とし、大当りの抽選が通常よりも頻繁に行われるようにした状態、所謂「時間短縮状態」。
(5)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲームの間、遊技媒体であるメダルの払出しを行う絵柄にてドラムが停止され易くした状態、所謂「ボーナスゲーム状態」。
(6)パチスロ機等の遊技機において、次回以降のゲーム状態をボーナスゲーム状態にさせるための条件であるボーナス絵柄にてドラムを停止可能とした状態、所謂「ボーナス成立状態」。
(7)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲーム数の間、役を成立させるためのドラムの停止順序や図柄を案内する等して、役の成立を手助けする状態、所謂「アシストゲーム状態」。
(8)パチスロ機等の遊技機において、ボーナスゲーム状態、ボーナス成立状態、アシストゲーム状態等の特典状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
手段1の構成によれば、入賞口に入球した遊技媒体は、第一案内通路に案内されて揺動装置に到達し、揺動片の上に流入する。遊技媒体は、揺動片に形成された流出口から流出し、第二案内通路を流下して流入口へと到達する。流入口に到達した遊技媒体は、回転体の特定領域、普通領域、及びリターン領域に向かって流入可能な状態となる。つまり、遊技媒体が流入口に達しても、回転体における特定領域、普通領域、またはリターン領域に連通するまではその場所で待機し、回転体の回転に伴って一時的に連通すると、その特定領域、普通領域、またはリターン領域に入球し、回転体とともに軸心周りに回転する。そして、特定領域に入球した遊技媒体は、第一流出路を介して流出する。そして、特定領域から遊技媒体が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態が発生する。なお、第一流出路に、特定領域から流出した遊技媒体を検出する特定入賞検出手段を配設し、その特定入賞検出手段によって遊技媒体が検出されたことに基づいて有利遊技状態を発生させるようにしてもよいが、第一流出路から流出する遊技媒体の重さを物理的に利用して開閉部材を開放させることにより、有利遊技状態を発生させるようにしてもよい。一方、普通領域に入球した遊技媒体は、第二流出路を介して流出する。また、リターン領域に入球した遊技媒体は、回転体の回転に伴って軸心周りに旋回し、リターン口とリターン領域とが連通した時にリターン口を通って第一案内通路へと流出し、揺動装置へと再度流下する。
つまり、回転体には特定領域及び普通領域に加えて、リターン領域が設けられており、遊技媒体が特定領域に入球しなかった場合にも、リターン領域に入球した場合には第一案内通路に遊技球が戻されるので、再度特定領域への入球の可能性が生じるようになっている。このため、特定領域に対して遊技媒体が入球しないと遊技者に予測されたとしても、リターン領域に入球すれば、特定領域への入球の可能性がまだあると認識される。つまり、回転体の周期を見て特定領域への入球の可能性を予測し、特定領域を外れると予測された時にも、リターン領域への入球の期待感が残される。また、遊技者は振分結果として、「当たり」「外れ」という二つの結果を予期して特定領域及び普通領域への入球状態に注目しているのに対し、手段1の構成によれば、リターン領域に入球した遊技媒体を第一案内通路に送り戻すため、遊技者には「当たり」「外れ」以外の結果が生じる意外さを感じさせ、遊技に新鮮味を与えることができる。さらに、リターン領域に入球した場合には、遊技媒体が案内通路へと送り戻されることによって振分装置内での滞在時間が長くなり、遊技者の回転体周辺における遊技媒体に対する注意を持続させることが可能となる。
ところで、仮に揺動装置が停止していて、揺動装置に流入した遊技媒体が常に第二案内通路を経て流入口へと到達する状態であったとしたら、リターン口から流出した遊技媒体が再度流入口に到達するタイミングはほぼ一定となるため、常に何れか一箇所の特定の領域に入球する可能性が高い。従って、リターン領域に入球した時点で、リターン動作後に入球する領域が特定領域であるのか、それとも普通領域であるのか予測できてしまうため遊技が単調となり、リターン動作の発生による興趣を損なう虞がある。
しかし、揺動装置が作動し、リターン口と流入口との間において遊技媒体の転動方向と転動速度とに変化を与えれば、リターン動作後の遊技媒体の再流下の際に遊技媒体が流入口に到達するタイミングが変化するため、遊技媒体が入球する領域が一定とはならない。従って、リターン領域への入球が遊技者にとって刺激的なものとなり、遊技の単調化の問題を抑制することができる。
また、手段1の構成において、当初は揺動装置を停止した状態で遊技媒体を流入口へと流下させるが、リターン口に遊技媒体が入球しリターン動作が発生した時に揺動装置を作動させ、リターン動作時にのみ揺動装置上で遊技媒体の転動方向と転動速度とを変化させるようにすることもできる。リターン動作時にのみ揺動装置が作動し、遊技媒体の転動方向と転動速度とに変化を与えるとすれば、通常時とリターン動作時との間で抑揚をはっきりさせ、さらに遊技の興趣を高める効果が期待できる。
さらに、手段1の構成によれば、揺動片の揺動動作と回転体の回転動作とは視覚的に対比的であり、近接した位置関係に配設された回転式振分装置と揺動装置との動きの対比は、視覚的な面白みを演出する効果も期待できる。
手段2:「遊技球が打ち込まれる遊技領域と、
該遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、
操作ハンドルの操作に応じて前記遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、
前記遊技領域内に配置され前記遊技球の転動方向を変化させる障害部材と、
揺動片回転軸にて回転可能に支持され、上面に遊技球を載置可能であり、周縁部に流出部が形成されている揺動片、
及び、前記揺動片回転軸を中心として前記揺動片を回動させる揺動片可動手段
を備える揺動装置と、
前記入賞口に入賞した遊技球を前記揺動装置に案内する第一案内通路と、
前記揺動片の前記流出部から流出した遊技球を流下させる第二案内通路と、
回転可能に支持され、外周に沿って開口した凹形状を呈する特定領域、普通領域、及びリターン領域が形成された回転体、
該回転体を回転させる回転駆動手段、
前記回転体の周囲を囲う外周壁、
前記第二案内通路の下流側端部に接合し、前記外周壁に形成され、前記回転体の回転に伴って前記特定領域、前記普通領域または前記リターン領域に対して一時的に連通される流入口
及び、前記外周壁の奥側の前記流入口より高い位置に形成され、前記回転体の回転に伴って前記リターン領域に対して一時的に連通され、前記流入口から前記リターン領域に入球した遊技媒体を流出させて前記第一案内通路に戻すリターン口
を備える回転式振分装置と、
前記回転式振分装置における前記回転体の前記特定領域に連通し、該特定領域に入球した遊技球を流出させる第一流出路と、
前記回転体の前記普通領域に連通し、該普通領域に入球した遊技球を流出させる第二流出路と、
前記第一流出路に前記遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段2の構成によれば、操作ハンドルの操作に対応して発射装置から遊技球が発射されると、遊技球は、多数の障害部材、始動口、及び入賞装置等が組み込まれた遊技領域に導かれる。そして、入賞口に入賞した遊技球は、第一案内通路を流下し揺動装置に到達する。遊技球は揺動片上に流入し、揺動片の周縁部に形成された流出部を通過して第二案内通路へと流入し、更に第二案内通路を転動し流入口に達する。流入口に達した遊技球は、流入口が回転体の回転に伴って特定領域、普通領域またはリターン領域に連通するまではその場所で待機し、一時的に特定領域、普通領域またはリターン領域に連通すると、その領域に入球して回転体とともに軸心周りに回転する。特定領域に入球した遊技球は、第一流出路を介して回転体から流出することとなるが、これを契機として、遊技者に有利となる有利遊技状態が発生する。一方、普通領域に入球した遊技球は、第二流出路を介して回転体から流出する。また、リターン領域に入球した遊技球は、回転体の回転に伴って軸心周りに旋回し、リターン口とリターン領域とが連通した時にリターン口を通って第一案内通路へと流出し、揺動装置へと再度流下する。
つまり、手段2の構成によれば、リターン領域に入球すると、リターン動作の発生によって、特定領域に入球したわけではないが特定領域に入球する可能性がまだあると遊技者に認識させ、遊技者の期待感を持続させることが可能である。また、リターン領域に入球すれば、流入口に到達した遊技球が特定領域と普通領域とに振分けられてそのまま終了とはならないため、遊技の展開が多様化し、遊技の興趣を高めることができる。
手段3:手段1または手段2の構成において、「前記第一案内通路の揺動装置側の端部に形成された上流側開放端と、
前記第二案内通路の揺動装置側の端部に形成された下流側開放端と、
前記揺動片の周縁部に形成された揺動片外周壁と、
該揺動片外周壁における上流側開放端と接する箇所に切欠かれた揺動片流入口と
を更に具備し、
前記揺動片流入口が、前記上流側開放端に対して同じ高さ又は若干低い高さであり、且つ、前記揺動片が回動して傾斜し、前記流出部が下がった状態の時に、前記流出部の底部の高さが前記下流側開放端の底部の高さと同じ又は若干高い高さとなる位置に、前記揺動片、前記上流側開放端、及び、前記下流側開放端が配設されている」ことを特徴とする。
手段3の構成によれば、第一案内通路及び第二案内通路の揺動片に接する端部と、揺動片とが配設される高さの差が小さいため、遊技媒体が揺動片上に流入する時と、揺動片上から流出する時の転動が滑らかとなる。高低差が大きいと、揺動片の揺動と遊技媒体のバウンドとによって、揺動片に流入する時、及び揺動片から流出する時に遊技媒体が流路から逸脱する虞があるが、高低差が小さいので遊技媒体が流路から逸脱する虞を低減させることができる。また、遊技媒体の転動が滑らかとなるため、遊技媒体の動きの視覚的な煩雑さを抑制し、更に騒音の発生を防止する効果もある。
手段4:手段1〜手段3の何れか一つの構成において、「前記揺動装置近傍に配設され、遊技媒体を第二案内通路に送出せずに揺動装置の外部へと流出させる賞外流出路と、
該賞外流出路の上流側端部に形成された賞外流出路開放端とを具備し、
前記流出部が、前記揺動片における前記賞外流出路開放端と接する箇所に形成された賞外流出路側出口及び案内通路側出口により構成される」ことを特徴とする。
手段4の構成によれば、第一案内通路を流下してきた遊技媒体は、上流側開放端を通過して第一案内通路から揺動片の上に流入する。揺動片は揺動片駆動手段によって駆動され、揺動片回転軸を中心に揺動し、揺動片の上面の傾斜角を周期的に変化させる。揺動片上に滞留した遊技媒体は、揺動片の揺動により、下流側開放端と賞外流出口との何れかへと振り分けられる。
このように、手段4の構成によれば、入賞口に入賞し流下する遊技媒体を、揺動片の揺動によって賞外流出路、または流入口へと通ずる案内通路へと振り分けることができる。また、振分動作が揺動片全体の傾斜の変化で行われるため、揺動の振幅が小さくても動作の様子が明瞭であり、振分動作の視認性を高めることができる。
手段5:手段4の構成において、「前記第一案内通路の揺動装置側の端部に形成された上流側開放端と、
前記第二案内通路の揺動装置側の端部に形成された下流側開放端と、
前記賞外流出路の揺動装置側の端部に形成された賞外流出路開放端と、
前記揺動片の周縁部に遊技球の直径よりも低い高さで立設された揺動片外周壁と、
該揺動片外周壁における上流側開放端と接する箇所に切欠かれた揺動片流入口と
を更に具備し、
前記揺動片が傾斜し、前記案内通路側出口が下がった状態の時に、前記案内通路側出口の底部の高さが前記下流側開放端の底部の高さと同じ又は若干高い位置であり、且つ、前記揺動片が傾斜し、前記賞外流出路側出口が下がった状態の時に、前記賞外流出路側出口の底部の高さが前記賞外流出路開放端の底部の高さと同じ又は若干高い位置に前記揺動片、前記下流側開放端、及び、前記賞外流出路開放端が配設されている」ことを特徴とする。
手段5の構成によれば、第一案内通路、第二案内通路及び賞外流出路の揺動片に接する端部と、揺動片とが配設される高さの差が若干であるため、遊技媒体が揺動片上に流入する時、及び、揺動片上から流出する時の転動が滑らかとなる。揺動片と通路との高低差が大きいと、揺動片の揺動と遊技媒体のバウンドとによって遊技媒体が流路から逸脱する虞があるが、高低差が小さいので遊技媒体が流路から逸脱する虞を低減させることができる。また、遊技媒体の転動が滑らかとなるため、遊技媒体の動きの視覚的な煩雑さを抑制し、更に、遊技媒体の弾発によって発生する騒音を防止する効果もある。また、揺動片の周縁部に立設された外周壁によっても、遊技媒体の流路からの逸脱を防止する効果が得られる。
手段6:手段5の構成において、「前記案内通路側出口及び前記賞外流出路側出口の何れもが、前記揺動片外周壁を略V字状に切欠した形状を呈しており、且つ、前記賞外流出路側出口が、前記案内通路側出口よりも幅広に形成されており、
更に、前記揺動片の上面中央部に、前記案内通路側出口と前記賞外流出路側出口との各々の略V字形状の谷部を結んだ浅い谷状に形成された揺動片谷部を具備する」ことを特徴とする。
手段6の構成によれば、揺動片の上面に揺動片谷部が形成されており、揺動片上で遊技媒体が転動する時に、遊技媒体が谷線上に定位しやすく、流出位置を谷線の延長上の端部に集中させることができる。また、遊技媒体の転動方向が谷線方向に定まりやすく、揺動片の揺動に従って遊技媒体を直線的に往復運動させることができる。これにより、揺動片の揺動周期によって遊技媒体の揺動片上における滞留時間の調節を容易にし、更に、第二案内通路及び賞外流出路への流出確率を高い精度でコントロールすることが可能となる。また、遊技媒体が流出する出口部はいずれもV字状に切欠された形状であるため、流出時に遊技媒体が各出口の中央付近を通過するように定位されやすく、第二案内通路及び賞外流出路へと滑らかに流下させることができる。また、切欠箇所の幅が狭い場合、揺動片が略水平な状態では遊技媒体がV字状の切欠部を通過できなくなるため、揺動片の上面が傾斜して出口部が下がった時にのみ遊技媒体が流出可能となるように制約することが可能となる。
手段7:手段1〜手段6の何れか一つの構成において、「前記揺動片の一部を凸状に突出させた形状のガイド突起と、
前記揺動片可動手段を内部に収容する揺動装置ケースと、
該揺動装置ケースに穿設された長円孔であり、前記ガイド突起が挿入される揺動片ガイド孔と
を更に具備し、
前記揺動片の前記揺動片回転軸が、前記揺動片の中心部を外れた端部側に偏心して接合されている」ことを特徴とする。
手段7の構成によれば、揺動片回転軸が端部寄りに偏心して接合されており、且つ、ガイド突起と揺動片ガイド孔によって揺動片の可動範囲が制約されている。揺動片回転軸が端部寄りに偏心しているため、揺動片回転軸と略平行な揺動片の各端部と揺動片回転軸との間の距離が不均等になっている。揺動片上に流入した遊技媒体は、揺動片の傾斜に従って転動方向と転動速度とを変化させる。揺動片は揺動するので、遊技媒体は転動方向と転動速度とを変化させるも、やがて流出部から流出していく。しかしながら、このとき、回転軸を中心として回動する揺動片の動作には周期性があるため、揺動片が水平方向に対してなす最大傾斜角が小さく、且つ、揺動周期がごく短い場合には、遊技媒体が回転軸上など、運動の振幅が比較的小さくなる部分に載ったときに、揺動片の変位による遊技媒体の転動状態が平衡状態となってしまい、揺動片上を周期的に転動するばかりで揺動片上から流出せずに滞留する虞がある。手段8の構成によれば、揺動片回転軸が偏心しているために揺動片の上面の形状は回転軸を挟んで非対称となっており、この平衡状態が発生する周期を、揺動片回転軸が中央部に位置した場合と比較して、より小さなものとすることが可能である。つまり、比較的短い周期で揺動した場合にも平衡状態が生じなくなり、確実に遊技媒体が揺動片から流出する。これにより、遊技者に揺動片の変位のタイミングを把握しづらくすることが可能である。また、ガイド突起と揺動片ガイド孔によって揺動が一定範囲に収まるように制約されているため、短い周期で揺動した場合等にも、揺動の運動精度を保つことができる。
手段8:「遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、
鉛直方向に対して前傾した軸心を回転軸として回転可能に支持され、外周に沿って開口した凹形状を呈する1箇所の特定領域及び1箇所のリターン領域が、回転軸を中心として回転対称の位置に形成され、残る部分に複数個所の普通領域が形成された回転体、
該回転体を回転させる回転駆動手段、
前記回転体の周囲を囲う外周壁、
該外周壁の前側に形成され、前記回転体の回転に伴って前記特定領域、前記普通領域又は前記リターン領域に対して一時的に連通される流入口、
下流側端部に上流側開放端が形成されており、前記入賞口に入賞した遊技球を前記上流側開放端まで案内する第一案内通路、
上流側端部に、前記上流側開放端と略水平方向において略直角方向に下流側開放端が形成されており、該下流側開放端より流入した遊技球を前記流入口に案内する第二案内通路、
及び、前記外周壁の奥側の前記流入口よりも高い位置に形成され、前記回転体の回転に伴って前記リターン領域に対して一時的に連通され、前記流入口から前記リターン領域に入球した遊技球を流出させて前記第一案内通路に戻すリターン口
を備える回転式振分装置と、
前記下流側開放端と相対する向きに賞外流出路開放端が形成されており、該賞外流出路開放端側より入球した遊技球を流出させる賞外流出路と、
遊技球を上面に載置可能な大きさの平面視略長方形で、上側に略水平面の形状を呈する揺動片上面が形成され、前記揺動片の中心部を外れた端部側に偏心して接合され略水平方向に延びた揺動片回転軸を中心に回動可能に支持され、前記揺動片上面を周期的に揺動させて、遊技球の転動方向及び転動速度を変化させる揺動片、
該揺動片を駆動する揺動片可動手段、
前記揺動片回転軸を支持し、前記揺動片可動手段を内部に収容する揺動装置ケース、
前記揺動片の一部を凸状に突出させた形状のガイド突起、
前記揺動装置ケースに穿設された長円孔であり、前記ガイド突起が挿入される揺動片ガイド孔、
前記揺動片の前記揺動装置ケースに近い側の端部の上面側に形成された揺動片流入口、
前記揺動片上面の揺動片流入口が形成された一辺を除く三辺の周縁部にあって、所定の高さで一体的に形成された揺動片外周壁、
前記下流側開放端側の前記揺動片外周壁にV字状に切り欠かれた案内通路側出口、
該案内通路側出口が形成された箇所と相対する前記揺動片外周壁に前記案内通路側出口より幅広のV字状に切り欠かれた賞外流出路側出口、
及び、前記揺動片上面に前記案内通路側出口の谷部と、賞外出口の谷部とを結んだ浅い谷状に形成された揺動片谷部
を具備し、
前記揺動片の前記揺動片流入口が前記上流側開放端に面し、前記揺動片流入口の底部が前記上流側開放端の上面と同じ高さ又は若干低い高さであり、
前記揺動片の前記案内通路側出口が前記下流側開放端に面し、且つ、前記揺動片が傾斜し前記案内通路側出口が下がった状態の時に、前記案内通路側出口の底部の高さが前記下流側開放端の底部の高さと同じ又は若干高い高さであり、
前記揺動片の前記賞外流出路側出口が前記賞外流出路開放端に面し、且つ、前記揺動片が傾斜し前記賞外流出路側出口が下がった状態の時に、前記賞外流出路側出口の底部の高さが前記賞外流出路開放端の底部の高さと同じ又は若干高い高さである位置関係で、
前記第一案内通路と前記第二案内通路との間に配設され、
前記入賞口に入賞した遊技球を、転動方向及び転動速度を変化させて前記第二案内通路又は前記賞外流出路に振分ける揺動装置と、
前記回転式振分装置における前記回転体の前記特定領域に連通し、前記特定領域に入球した遊技球を流出させる第一流出路と、
前記回転体の前記普通領域に連通し、該普通領域に入球した遊技球を流出させる第二流出路と、
前記第一流出路に遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段8の構成によれば、回転体には、外周に沿って開口した凹形状を呈する1箇所の特定領域と1箇所のリターン領域とが、互に回転対称の位置に形成され、回転体のその他の個所には複数箇所の普通領域が形成されている。回転体は鉛直方向より前傾した軸心を回転軸として回転可能に支持されており、回転手段によって一定速度で回転させられると、外周に沿って開口した特定領域、普通領域及びリターン領域が、外周壁に形成された流入口に連通し、流入口から特定領域、普通領域またはリターン領域へと入球させることが可能になる。
入賞口に入球した遊技球は、案内通路を流下して揺動装置に流入する。遊技球は揺動片上面に流入し、揺動片が作動している場合は揺動片上面が揺動し、遊技球を案内通路と賞外流出路との何れかに振り分ける。また、揺動片が停止している場合は、案内通路と賞外流出路の何れかの所定の流路へと流出する。案内通路に流入した遊技球は、流入口に到達し、流入口が特定領域、普通領域及びリターン領域の何れかと連通し流入可能となるまでそこで待機する。回転体の回転に伴って一時的に連通すると、その特定領域、普通領域又はリターン領域に入球し、回転体とともに軸心周りに旋回する。特定領域に入球した遊技球は、第一流出路を介して流出し、一方、普通領域に入球した遊技球は、第二流出路を介して流出する。そして、特定領域から遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態が発生する。一方、リターン領域に入球した遊技球は、リターン口から流出し、合流部を経由して案内通路へと戻され、遊技球は再び揺動装置へ向かって流下する。
このように、手段8によれば、特定領域が1箇所のみであっても、リターン領域に入球した場合には特定領域への入球の期待感を持続させることができる。また、特定領域とリターン領域の2箇所の何れかに入球すれば普通領域に入球した場合とは異なる展開が発生するため、遊技の展開を多様化することができる。
さらに、手段8の構成によれば、遊技球がリターン口から再度流入口に戻る経路上に揺動装置が配設されているため、案内通路に送り戻された遊技球が流入口に到達するタイミングが変化し、特定領域及び普通領域の何れに入球するかという予測を困難にする。これにより、リターン領域に入球した時の期待感を喚起することができる。また、遊技球が賞外流出路へと振り分けられて案内通路から流出する可能性があるため、案内通路に送り戻された遊技球が流入口に到達する割合を減少させて特定領域に入球する確率を低下させつつも、遊技球が案内通路側に振り分けられた時の興趣を高めることができる。例えば、揺動装置を周期的に間欠的に作動させるとともに、リターン領域に入球した場合には揺動装置が停止中であっても作動開始するように制御を行うことによって、通常時は揺動装置が停止している場合もある一方で、リターン動作時には常に揺動装置が作動するという具合に、回転式振分装置と揺動装置とを連携させて振り分け動作にメリハリをつけることが可能になる。
手段9:手段1〜手段8の何れか一つの構成において、「前記遊技機は、パチンコ機である」ことを特徴とする。パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、センター役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを具備するもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(すなわち遊技状態検出手段)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特定図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の装飾図柄からなる装飾図柄列を変動表示させるとともに、所定のタイミングでキャラクタ等を出現させる演出表示手段を更に具備するもの」、一般に「ハネモノ」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
手段9によると、パチンコ機において、手段1〜手段9までの何れかの作用効果を奏することができる。
手段10:手段1〜手段8の何れか一つの構成において、「前記遊技機は、パチスロ機である」ことを特徴とする。パチスロ機とは、遊技媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させる、といった実質的な遊技を行うものであり、停止操作機能付きのスロットマシーンである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
手段10によると、パチスロ機において、手段1〜手段9までの何れかの作用効果を奏することができる。
手段11:手段1〜手段8の何れか一つの構成において、「前記遊技機は、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機である」ことを特徴とする。ここで、「パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機」とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
手段11によると、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機において、手段1〜手段8までのいずれかの作用効果を奏することができる。
なお、上記に例示したパチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等のように、投入する媒体によっては実質的な遊技が行われない遊技機では、一見、遊技媒体が存在しないかのように思われるが、このような遊技機であっても、遊技内容の全体において、遊技球やその他の適宜の物品を用いて行われる遊技を含ませることが想定できる。よって、このような遊技機であっても、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機の対象とすることができる。
このように、本発明によれば、回転体に形成されたリターン領域、及びリターン口を備えリターン動作を発生させる回転式振分装置と、揺動片上に流入した遊技媒体を、転動方向及び転動速度を変化させてから回転式振分装置へ向けて流下させる揺動装置とによって、遊技媒体が特定領域と普通領域の何れに入球するかが決定するまでの過程を多様化し、遊技の興趣を高めることができる。
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン60が設けられている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、図5及び図12に基づき説明する。
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図12は遊技領域37の構成を示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図10参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3及び図12に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車(図示しない)が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、振分ユニット91が配設され、その下方に第一役物92及び第二役物93が配設されており、この振分ユニット91と第一役物92及び第二役物93のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
振分ユニット91は、遊技領域37に配設された入賞口95を備えており、遊技盤面に沿って落下する遊技球が入賞口95から入賞すると、その遊技球を、特定領域または普通領域のいずれかに振分けるものであり、二つの振分装置を有している。なお、詳細な構成については後述する。
第一役物92及び第二役物93は、いずれも左右2列で上下2段に配設された四つの入賞口96と、各入賞口96を夫々別々に開閉する四つの開閉部材97とを具備して構成されている。開閉部材97は、夫々の入賞口96の下端部分に設けられた回転軸(図示しない)周りに回動可能に支持され、振分ユニット91で遊技球が特定領域541に振分けられたことに基づいて一斉に開放するようになっている。また、開放に伴って、遊技盤上を落下する遊技球が入賞すると、遊技球の自重によって夫々の開閉部材97が個々に閉鎖するようになっている。つまり、図示しないが、第一役物92及び第二役物93には、ソレノイド等(図示しない)によって全ての開閉部材97を一斉に開放位置に変化させる開放機構と、遊技球の重さを物理的に利用して開閉部材97を閉鎖位置に変化させる閉鎖機構とが備えられている。なお、四組の入賞口96の左右両側には、下部側に配置された入賞口96に対して遊技球を案内するガイド部材98が設けられている。
第一役物92及び第二役物93の左右両側には、第一〜第四の入賞球装置101〜104が設けられている。第一入賞球装置101は、第一役物92の左側方における遊技領域37の側端位置に配置され、第二入賞球装置102は、第二役物93の左側方における近傍位置に配置されている。一方、第三入賞球装置103は、第二役物93の右側方における近傍位置に配置され、第四入賞球装置104は、第一役物92の右側方における遊技領域37の側端位置に配置されている。すなわち、第一〜第四の入賞球装置101〜104のうち左右側端に位置する第一,第四の入賞球装置101,104は、第二,第三の入賞球装置102,103に比べて若干高い位置に配置されている。
夫々の入賞球装置101〜104は、遊技領域37に取り付けるための取付基板105を有している。取付基板105の上側部分には、入賞口スイッチ106(図11参照)が内蔵された開放入賞口107が設けられ、取付基板105の下側部分には、入賞口スイッチ108が内蔵されると共に左右一対の開閉片109が設けられている。開閉片109は、遊技盤の裏面に設けられた開放機構及び閉鎖機構(遊技球の重さを物理的に利用した機構)によって傾動位置(開閉入賞口110を開放する位置)と垂直位置(開閉入賞口110を閉鎖する位置)との間で変位可能になっている。
また、開閉入賞口110の開放機構は、夫々の開放入賞口107に入った遊技球の自重によって作動して開閉片109を垂直位置から傾動位置に移行することで、開閉入賞口110を開放する。一方、開放状態にある開閉入賞口110において、遊技球が入賞するとその遊技球が遊技盤裏面の閉鎖機構を作動することで、開閉片109が傾動位置から垂直位置に移行して開閉入賞口110を閉鎖する。すなわち、開放入賞口107に遊技球が入賞すると、その入賞特典として開閉入賞口110が開放され、開閉入賞口110に遊技球が入賞すると開閉入賞口110が閉鎖される。なお、開閉入賞口110の開放機構は、夫々に対応した第一役物92の入賞口96に連通しており、入賞口96に入賞した遊技球によっても同様に開閉片109を開放させ得るように構成されている。すなわち、開閉入賞口110は、開放入賞口107または第一役物92の入賞口96への入賞と連動して開放するようになっている。
また、遊技領域37には、上記した構成以外にも、一般入賞口115やアウト口116等が設けられている。一般入賞口115は、受け入れた遊技球を遊技盤裏面に設けられた入賞口スイッチ(図示しない)に誘導するものである。アウト口116は、遊技領域37の最下端に設けられ、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を受け入れてアウト球として回収する。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間に役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図10参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図10参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図11に基づき説明する。
図11は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。詳細は後述するが、主制御基板131には、回転式振分装置501の特定領域541から遊技球が流出したことを検出する特定入賞検出手段551と、回転式振分装置501の普通領域542から遊技球が流出したことを検出する普通入賞検出手段552と、回転式振分装置501のリターン領域543に遊技球が入球したことを検出するリターン発生検出手段550と、第一役物92及び第二役物93の入賞口96に遊技球が入賞したことを検出する役物入賞検出手段319と、前述した四組の入賞口スイッチ106,108とが接続され、これらの検出信号が入力されるようになっている。また、主制御基板131には、揺動片可動ソレノイド585と、駆動モータ546とが接続されており、これらに対して駆動信号が出力されるようになっている。また、図示しないが、主制御基板131は、機能的構成として、回転式振分装置501の特定領域541から遊技球が流出したことに基づいて、第一役物92及び第二役物93の開閉部材97を開放する有利遊技状態発生手段を備えている。
また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主にサイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が装飾ランプ353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出ランプ354を作動させる処理を行う。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成、送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
[振分ユニットの構成について]
次に本実施形態における振分ユニットの具体的な構成について図13乃至図20を基に詳細に説明する。図13は本実施形態における振分ユニットの全体を示す斜視図、図14は振分ユニットの構成を示す分解斜視図、図15は回転式振分装置の構成を示す分解斜視図、図16は揺動装置の構成を示す分解斜視図、図17及び図18は回転式振分装置の振分動作を示す説明図、図19は回転式振分装置の断面を示した説明図、図20は揺動装置の背面蓋を外して振分動作機構を示した説明図である。
図13及び図14に示すように、振分ユニット91は、回転式振分装置501と揺動装置502とによって構成されている。
以下、回転式振分装置501について、図13乃至図15に基き説明する。回転式振分装置501は、平面視略円形を呈し回転可能に中心で軸支される回転体503と、回転体503を受容する回転体ケース504と、回転体503を回転駆動する回転駆動手段505から構成されている。回転体ケース504の上面には、回転体503を受容し、平面視略円形の奥側を一部切欠した形状を呈する回転体受面506と、回転体503の周囲を囲う形状の外周壁507とが、回転体ケース504と一体的に形成されている。
回転体受面506の略中心には軸孔508が穿設されており、回転軸棒509が軸孔508を貫通して回転体503を軸支している。回転体受面506には遊技球が流出する第一流出路521及び第二流出路522が穿設されており、回転体受面506の奥側の一部が切欠された部分には外周壁507に開口されたリターン口523が形成されている。第一流出路521と第二流出路522は、夫々回転軸棒509の軸心を中心とした略同心円弧状の孔によって形成されており、第一流出路521は、第二流出路522と比較して、軸孔508により近い位置に形成されている。
回転体ケース504は全体が前傾している。回転体ケース504の上面には回転体受面506及び外周壁507のさらに外側に、回転体503の周囲を廻りこんで奥側から前側へと向かう第一案内通路524及び第二案内通路530が一体的に形成されている。第一案内通路524及び第二案内通路530には上流側から下流側へと全体に緩やかな勾配がついており、第二案内通路530の下流側の端部に位置する流入口525が最も低くなっている。第一案内通路524は回転体503の周囲を廻りこむように、回転体503の後方を右から左へと横行し、通路屈曲部526にて前方へ屈曲し、回転体503の左側を前方へ向かって揺動装置502に接する所まで延び、揺動装置502側の端部には上流側開放端527が形成されている。第二案内通路530は、揺動装置502に接する側の端部に形成された下流側開放端528から回転体503の前方へと廻り込むように屈曲して延び、流入口525に接続する。通路屈曲部526の上流側の近傍には、上流側が段差状に下流側より高くなる屈曲部段差529が形成されている。
回転体503には、一箇所の特定領域541、六箇所の普通領域542及び一箇所のリターン領域543の合計八箇所の遊技球を受けることができる凹状箇所が、周方向に等間隔(45度間隔)で配設されており、夫々外周に沿って開口している。回転体503の回転に伴い、流入口525は、特定領域541、普通領域542、及びリターン領域543と一時的に連通する。
図19(a)に示すように、回転体受面506及び回転体503は前傾して配設されており、前端が低くなっているため、回転体受面506は流入口525の底部より低く、流入口525と回転体受面506との間には高低方向において段差が生じる。従って、流入口525にて待機していた遊技球は、特定領域541、普通領域542、又はリターン領域543に入球すると案内通路524へと逆流することはなく、特定領域541、普通領域542、又はリターン領域543に留まって回転体503の回転に伴って旋回する。特定領域541、普通領域542及びリターン領域543の側壁は、遊技球の半径より大きく鉛直方向に延出しており、特定領域541、普通領域542、又はリターン領域543に入った遊技球が上方から流出することはない。回転体503の外周部上端の高さは外周壁507の上端より低いため、同様に外周壁507を超えて外部に流出することもない。
普通領域542は、特定領域541より若干外周寄りに穿設されている。特定領域541の外周側の底部には第一落下防止片541aが形成されており、特定領域541の外周側の底部を塞いでいる。普通領域542にも同様に外周側の底部に第二落下防止片542aを備えているが、普通領域542は特定領域541より外周寄りに穿設されているため、第二落下防止片542aは第一落下防止片541aより細くなっている。一方、リターン領域543は、普通領域542よりさらに外周寄りに穿設されており、外周側底部に落下防止片を備えておらず、底部は開放されている。また、回転体受面506には、リターン口523の近傍の一部が切欠されて合流部544が形成されている。
これにより、回転体503の回転に伴い、遊技球が入球している状態で特定領域541が第二流出路522の上部に差し掛かって孔の一部が連通した時にも、連通している開口部分の大きさは遊技球が通過するには小さすぎるために遊技球は落下しない。また、リターン口523を通過する時には、第一落下防止片541aによって外周下方が塞がれているため、遊技球は流出することなく、そのまま回転体503の回転に伴って旋回する。しかし、第一流出路521の上部に差し掛かった時には遊技球が通過するに十分な大きさの開口部として連通するため、遊技球は下方の第一流出路521へと落下する(図17及び図19(b)参照)。
一方、普通領域542に入球した場合、普通領域542が第一流出路521の上部に差し掛かり、第一流出路521と普通領域542の下部の孔の一部とが連通した時には、開口部の大きさが遊技球が通過するには不足するため、遊技球は落下しない。また、リターン口523を通過する時には、第二落下防止片542aにより外周下方が塞がれているため、遊技球は流出することなく、そのまま回転体503の回転に伴って旋回する。しかし、第二流出路522の上部に差し掛かった時には遊技球が通過するに十分な大きさの開口部として連通するため、遊技球は第二流出路522へと落下する(図18(d)、(e)及び図19(b)参照)。
一方、リターン領域543に入球した場合、リターン領域543が第一流出路521又は第二流出路522の上部を通過し、第一流出路521又は第二流出路522とリターン領域543の下部の孔の一部とが連通した時にも、開口部の大きさが不足するために遊技球は落下しないで回転体503の回転に伴って旋回を続ける。このとき、リターン領域543の底部は回転体受面506によって塞がれ、側方は外周壁507によって塞がれているので遊技球がリターン領域543から逸脱することはない。しかし、リターン口523とリターン領域543とが一時的に連通した時に、リターン領域543の底部と側方が開放され、遊技球は重力と慣性とに従い、回転体503の外周側下方へと流出し、合流部544を通過して第一案内通路524に流入する(図18(f)参照)。
合流部544が接する第一案内通路524の上流側の近傍には、案内通路の他の区間より勾配が急になっている急勾配部545が形成されている。合流部544から第一案内通路524に流入した遊技球は、第一案内通路524の上流側へ逆流した場合にも、急勾配部545によってさらなる逆流を防止されて停止し、勾配に従って下流側へと流下する。また、他の遊技球が第一案内通路524を流下してきて接触し、各遊技球の転動方向と転動速度が変化しても、同様に逆流を防止して確実に下流側へと流下させることができる。
本例のパチンコ機1によれば、第一案内通路524、第二案内通路530、屈曲部段差529、外周壁507、回転体受面506、流入口525、リターン口523、合流部544、及び、急勾配部545は、回転体ケース503に一体的に形成されている。
図15に示すように、回転駆動手段505は、駆動モータ546、回転体軸棒509、回転式振分装置基部ボックス547、第一フォトセンサ548、位置検出片549、及び位置検出片受具561によって構成される。
回転式振分装置基部ボックス547は、平面視略四角形の上面が開いた深皿状の形状であり、内部には、検出手段収容部560、第一流出路521及び第二流出路522が形成されており、底部には駆動モータ546の回転軸が貫入する軸孔が穿設されている。回転式振分装置基部ボックス547は、回転体ケース504の下方に位置し、第一フォトセンサ548、位置検出片549、及び位置検出片受具561を収容し、回転体ケース504とともに固定される。駆動モータ546は、その回転軸が回転式振分装置基部ボックス547の底面の軸孔を貫通して内部に突出するように回転式振分装置基部ボックス547に固定されている。駆動モータ546の回転軸の突出部には位置検出片受具561が嵌着されており、その位置検出片受具561は、回転軸棒509の下端に嵌着された平面視略扇形の位置検出片549と当接している。そして、位置検出片549の当接面に形成された2個の突起が、位置検出片受具561に形成された2箇所の凹部に嵌合しており、駆動モータ546によって回転される位置検出片受具561の回転に伴って位置検出片549も回転する。位置検出片549と位置検出片受具561とは、検出手段収容部560に収容されており、第一フォトセンサ548が位置検出片549を上下方向で挟み、回転する位置検出片549の変位を検出する。回転軸棒509は回転体ケース504の軸孔508を貫通し、上端は回転体受面506の上側に突出する。その回転軸棒509の上部に回転体503が取付けられる。
以下、揺動装置502について、図13、図14、図16及び図20に基き説明する。揺動装置502は、揺動片562と、揺動装置ケース563と、揺動装置ケース563内に収容される揺動片可動手段564と、背面蓋565とによって構成されている。揺動装置502は、回転式振分装置501の向かって左側下方に位置し、回転体ケース504の左側底部と揺動装置ケース563の上面とが接する位置で、且つ、揺動片562が案内通路524の上流側開放端527及び下流側開放端528の間の空隙に合致するように配置されている。
揺動片562は、平面視略長方形で、上面の3方の端に揺動片外周壁566が形成された長方形皿状の形状を呈しており、下部には揺動片回動軸棒567の一端が嵌着されている。揺動片外周壁566の2辺は揺動片回動軸棒567の軸線と略平行な向きであり、残る1辺は揺動片回動軸棒567が延びる側と反対側の端部に形成されている。揺動片回動軸棒567に平行な揺動片外周壁566の2辺は各々V字状に切欠され、第二案内通路530の下流側開放端528に面する側に案内通路側出口566aが、賞外流出路581の賞外流出路開放端568(図12参照)に面する側には賞外流出路側出口566bが形成されている。なお、案内通路側出口566aと比較して賞外流出路側出口566bは幅広になっている。揺動片562の上面は浅い谷状に中央部が低くなっており、その谷線が、案内通路側出口566aと賞外流出路側出口566bの各々の略V字形状の谷部を結んで揺動片谷部569を形成している。
揺動片回動軸棒567は、上記のように一端を揺動片562に嵌着されており、揺動装置ケース563の軸孔582を貫通して回転可能に支持され、他端は揺動装置ケース563の内部にて、略長円形板状の伝達アーム583の一端に穿設されたD字型の第一軸孔583aに嵌着されている。伝達アーム583の他端には円形の第二軸孔583bが穿設されており連結棒584が回転可能に滑合されている。
揺動片可動ソレノイド585は、揺動装置ケース563の内部に略四角形凹状に形成されたソレノイド収納部586に嵌着されている。略長方形板の形状を呈する往復運動部材587は、揺動装置ケース563と背面蓋565とによって挟持され、上下方向に摺動する。往復運動部材587の下部に突出するように形成されたプランジャ受部587aに揺動片駆動ソレノイド585のプランジャ588が嵌入されており、プランジャ588の上下往復運動に合わせて往復運動部材587は上下方向に変位する。往復運動部材587の上部には長方形孔587bが穿設されており、そこに連結棒584が挿入される。連結棒584は、往復運動部材587の往復運動に伴って昇降し、第二軸孔583bに内接して滑動し、伝達アーム583を揺動片回動軸棒567の軸線を中心として回動させる。
揺動装置ケース563の前面には、揺動片ガイド孔601が形成されており、その内部に揺動片562に一体的に形成されたガイド突起602を受容する。揺動片ガイド孔601は略長円形孔の形状を呈しており、幅方向にはガイド突起602を受け入れて若干の隙間が残る大きさであり、上下方向にはガイド突起602が上下に往復運動可能な大きさを持つ短溝状を呈している。揺動片ガイド孔601にガイド突起602が挿入されてガイド突起602の可動範囲が制約されることにより、揺動片562が揺動するときの揺れ幅が所定の範囲に制約される。
入賞口95に入球すると、遊技球Bは、入賞口95と第一案内通路524とを結ぶ下降通路(図示しない)を通って下降し、第一案内通路524に流入する。第一案内通路524の勾配に従い、遊技球は流下して揺動片562の上に流入する。遊技球は揺動片外周壁566に接触し、揺動片562の揺動に伴う上面の勾配の変化に従って転動する方向と速度を変え、案内通路側出口566a又は賞外流出路側出口566bの何れかから流出する。
案内通路側出口566aから流出した遊技球は、第二案内通路530を通り、流入口525の位置で待機した状態となる。ここで、回転体503は、回転駆動手段505によって駆動され、所定の速度で回転しているため、回転体503の回転に伴い、流入口525と特定領域541、普通領域542及びリターン領域543とが連通し、流入口525で待機している遊技球が、連通した特定領域541、普通領域542又はリターン領域543に入球する。一方、賞外流出路側出口566bから流出した遊技球は、振分ユニット91の外へと流出し、賞外流出路581を流下する。
さて、特定領域541に入球した遊技球は、回転体503の回転に伴い、特定領域541内に留まって移動する。特定領域541が第一流出路521の上部に差し掛かると、特定領域541と第一流出路521とが上下方向に連通するため、遊技球は落下し、回転体503及び回転体ケース504の下部へと第一流出路521を通って流出し、特定入賞検出手段551(図11参照)を通過する。これに伴い、特定入賞検出手段が遊技球を検出し、その検出信号を受けた有利遊技状態発生手段が、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる。すなわち、第一役物92及び第二役物93における全ての開閉部材97を一斉に開放させる。
一方、普通領域542に入球した遊技球は、回転体503の回転に伴い、普通領域542内に留まって移動する。普通領域542が第二流出路522の上部に差し掛かると、普通領域542と第二流出路522とが上下方向に連通するため、遊技球は落下し、第二流出路522から流出し、普通入賞検出手段552(図11参照)を通過する。
一方、リターン領域543に入球した遊技球は、回転体503の回転に伴い、リターン領域543内に留まって移動する。リターン領域543がリターン口523に差し掛かると、リターン領域543の外周側とリターン口523とが連通し、リターン領域543の外周側が開放されるため、遊戯球は合流部544へと転動し、さらに回転体503の回転に従って合流部544から押し出され、第一案内通路524へと流入する。
ここで、揺動片562の揺動が停止していた場合には、リターン領域543に遊技球が入球したことをリターン発生検出手段550(図11参照)が検出し、揺動片可動手段564を作動させる。第一案内通路524に戻された遊技球は、再度、第一案内通路524内を転動し、揺動片562の上面へと流入する。揺動片562は揺動しているので、遊技球は揺動片562の上面の傾斜に応じて転動方向を転じ、第二案内通路530又は賞外流出路581へと振分けられる。このとき、案内通路側出口566aよりも障害流出路側出口566bの方が幅広のため、賞外流出路581に流出する可能性が高くなっている。
このように、本例のパチンコ機1によれば、リターン領域543が設けられており、入賞口95に入球した遊技球が特定領域541に入球しなかった場合にも、リターン領域543に入球したならば、再度第一案内通路524に送り戻されて流入口525に到達し、特定領域541に入球する可能性があるため、入賞口95への入球が特定領域541に入球するタイミングでなくても遊技者に期待感を持たせ続けることができる。
さて、ここで、遊技球が特定領域541に入球する確率について説明する。本例のパチンコ機1によれば、回転体には1箇所の特定領域541、6箇所の普通領域542、1箇所のリターン領域543の計8箇所の遊技球が入球する領域が形成されている。従って、特定領域541に入球する確率は8分の1、普通領域542に入球する確率は8分の6、リターン領域543に入球する確率は8分の1である。つまり、入賞口95に入球した遊技球が、そのまま特定領域541に入球する確率は8分の1(12.5%)である。そして、リターン領域543に入球する確率も8分の1である。
遊技球がリターン領域543に入球した場合、リターン口523を経て第一案内通路524に送り戻され、再度流入口525に到達した際に、特定領域541が流入口525に連通して遊技球が特定領域541に入球する確率は、遊技球がリターン口523を通過してから流入口525に到着するまでの所要時間と回転体503の回転周期とによって決定される。従って、揺動装置502が停止した状態であれば、リターン口523から流入口525までの間には可動する障害物等の遊技球の転動方向や速度を変化させる要素はなく、比較的短い区間を遊技球が流下するだけであり、ほぼ一定のタイミングで遊技球は流入口525に到着する。そのため、高い確率で、特定領域541、普通領域542及びリターン領域543のいずれかの特定の箇所に入球する。
ここで、リターン領域543に入球する場合は考えないものとする。なぜならば、送り戻された遊技球がリターン領域543に高い確率で入球する周期で回転体503が回転していると、リターン領域543に入球を繰り返すことになる上、リターン領域543は特定領域541とは回転対称の位置に形成されており、特定領域541からは最も遠い位置関係にある。リターン領域543に入球するタイミングのときには特定領域541に入球する可能性がほとんど無くなるため、繰り返しリターン領域543に入球するようでは遊技の興趣を著しく損なう。ゆえに、回転体503は、リターン領域543に再度入球することがない周期で回転させる。
遊技球がリターン領域543に入球すると、揺動装置502が停止しているときには、特定領域541及び普通領域542のいずれかの特定の箇所に入球する。このとき、特定領域541に入球する可能性が約2分の1となる周期で回転体503を回転させると、当初に入賞口95に入球した遊技球が特定領域541に入球する確率は、そのまま特定領域541に入球する確率と、リターン動作を経て特定領域541に入球する確率とを合計し、約16分の3(約19%)となる。また、特定領域541に入球する可能性が約3分の1となる周期で回転体503を回転させると、当初に入賞口95に入球した遊技球が特定領域541に入球する確率は、同様に約24分の4(約17%)となる。
さて、リターン領域543に入球した場合に揺動装置502を作動させ、揺動片562が揺動を開始すると、揺動片562の上面において遊技球の転動速度が変化するため、流入口525に到達するタイミングが変化する。仮に、揺動片562の揺動によって遊技球が流入口525に到達するまでの所要時間が、回転体503の回転周期の2分の1の範囲で変動し、且つ、特定領域541への入球の可能性を含めると、遊技球は8箇所の領域の内、1箇所の特定領域541及び3箇所の普通領域542の計4箇所のいずれかに入球する。従って、入賞口95からそのまま特定領域541に入球する確率と、リターン動作を経て特定領域541に入球する確率とを合計すると、特定領域541への入球の確率は、約32分の5(約16%)となる。さらに、揺動装置502が作動して振分動作を行うときには遊技球は高い確率で賞外流出路581へと振分られるため、特定領域541への入球の確率はさらに低くなる。揺動装置502によって約3分の2が賞外流出路581へと振分けられて流出すると、特定領域541への入球の確率は、約96分の13(約13.5%)となる。つまり、リターン領域543を配設したことによる特定領域541への入球の確率の上昇は、8箇所の領域への入球確率が均等に8分の1であった場合の12.5%の入球確率と比較すると、1%程度にとどまる。当然ながら、当初より揺動装置502が作動していた場合には、入球確率は更に低下する。
このように、本例のパチンコ機1によれば、リターン領域543に入球した場合には揺動装置502によって賞外流出路581に振分けられるか、もしくは普通領域542に入球するまでは特定領域541に対する入球の可能性が持続し、遊技者の期待感を喚起し続ける効果が得られる一方で、特定領域541への入球の可能性の向上は1%前後にとどまる。つまり、リターン領域543の配設によって遊技者の歓心を喚起して遊技機の稼働率を高めつつも、特定領域541に対する入球確率上昇に伴うコスト増加をごくわずかなものに抑制することで遊技場の収益に貢献する効果が期待できる。
また、リターン領域543に入球した場合に振分ユニット91の振分動作が変化するため、遊技の展開に多様性をもたらし、遊技者に飽きられにくくする効果が期待できる。例えば、リターン領域543が形成されておらず、1箇所の特定領域541と数箇所の普通領域542のみが回転体に形成された振分ユニットをもつ遊技機を想定すると、流入口525に遊技球が到達した後、流入口525に特定領域541が連通するか、あるいは普通領域542が特定領域541より先に連通するかという1点によって有利遊技状態の成否が決まるため、その点のみが焦点となる。つまり、遊技球が特定領域541又は普通領域542に入球する1回のチャンスでその後の遊技の展開の大勢が決まってしまうため、遊技が単調になるきらいがあった。一方、本例のパチンコ機1によれば、回転体503にリターン領域543が形成されていて、遊技球が第一案内通路524に送り戻されるリターン動作が生じる上、リターン領域543に入球した場合に揺動装置502が作動するので、遊技者には特定領域541に入球するパターンが複数通り用意されており、遊技の展開の分岐が多いものと容易に認識される。そして、リターン領域543に入球すると、特定領域541に入球する可能性が継続する一方で、揺動装置502が作動し、遊技球の転動状態を変動させるため、リターン動作が生じた場合には遊技球が流入口525に到達するタイミングに幅ができる。つまり、リターン口523と流入口525の間の区間は入賞口95から流入口525の間の区間と比較するとより短いため、リターン動作によって遊技球が再度流入口525に到達した時に入球する領域を予測することは比較的容易となるところだが、揺動装置502が作動し遊技球が流入口525に到達するタイミングを変化させるため、リターン動作時においても遊技球が何れの領域に入球するかを予測することは困難であり、遊技者に単調さを感じさせる事態を抑制することができる。このように、多様な展開を生じさせることで遊技の単調化を防止し、遊技者に高揚感をもたらすことができる。
また、リターン領域543からリターン口523を通過して流出した遊技球は、一旦、合流部544に入り、それから第一案内通路524へと流入する。リターン領域543に入球した遊技球が回転体503の回転にともなって旋回し、リターン口523とリターン領域543が連通する部分に差し掛かると、リターン領域543の底部を塞いでいた回転体受面506が切欠されているため、底部が開放されて合流部544に落下する。旋回運動の慣性により、遊技球はリターン領域543の外周側の開口部から逸脱し、リターン口523を通過して合流部544を経て第一案内通路524へと流入する。合流部544は、リターン口523が連通する部分の第一案内通路524より高い高さで平台状になっているため、第一案内通路524に流入した後に他の遊技球等に衝突して転動方向が変化しても合流部544に戻りにくくなっており、リターン領域543への逆流入が防止される。
また、本例のパチンコ機1によれば、回転体503が前傾して配設されているため、回転体503の上面の様子が遊技者によく見えるようになっている。回転体503の上面が視認しやすいため、回転体503の上面に文字や図柄などを表示することによって遊技者の注意を惹く意匠的効果が期待できる。例えば、本例のパチンコ機1のように、特定領域541の近傍にVの字をモチーフとしたマークを形成し、リターン領域543の近傍には星形のマークを形成することで普通領域542との違いを明確化して、回転体503の回転状況や各領域の位置関係を認識しやすく、且つ、意匠的な面白みがあるものとすることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、回転体503には特定領域541、普通領域542およびリターン領域543が等間隔で合計8箇所形成されているが、1箇所おきの4箇所を結ぶ略十字型の形状で回転体503の上面に溝状の凹面が形成されている。これにより、例えば、遊技球が回転体503の上側に落下する経路を配設した場合にも、回転体503の上面に落下した遊技球は、十字型の凹面部に入って転動方向が整えられ4箇所何れかの領域へと入球するため、スムーズに回転体503の振分動作を行わせることが可能である。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、揺動片562には揺動片外周壁566が形成されており、案内通路側出口566aと賞外流出路側出口566bとが切欠されていることに加え、揺動片562の上面は浅い谷状に中央部が低くなっており、その谷線が、案内通路側出口566aと賞外流出路側出口566bの各々の略V字形状の谷部を結んで揺動片谷部569を形成している。揺動片562上に入った遊技球は、揺動片外周壁566によって揺動片562からの逸脱を防止され、揺動片谷部569に寄せられる。そして、揺動片562の揺動に従って、案内通路側出口566aと賞外流出路側出口566bの何れかが低くなったときに、V字型の切欠部を通過して揺動片562から流出する。
揺動装置502は、揺動片562以外の大半の部分が回転体ケース504の下部に隠れており、さらに、揺動片562が、第一案内通路524と第二案内通路530との間を切欠した形状の空隙に配設されるため、振分ユニット91全体を小型化し、視覚的にもすっきりしたものとすることができる。小型化することにより、回転式振分装置501の回転体503と、揺動装置502の揺動片562とをより近接した位置に配設することが可能となり、回転体503の回転動作および遊技球が各領域に入球する動作と、揺動片562の揺動および遊技球の揺動片562の上での転動の変化とが対照的となり、視覚的な面白みを演出することができる。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、第一案内通路524及び第二案内通路530の通路屈曲部526の上流側の近傍には、段差状に上流側が下流側より高くなる屈曲部段差529が形成されているため、第一案内通路524及び第二案内通路530の勾配が緩やかな場合にも逆流を防止することができる。つまり、流入口525が回転体503の前側に位置し、リターン口523が回転体503の後側に位置し、第一案内通路524及び第二案内通路530は回転体503の周囲を廻り込むように形成されるので、流路の全長が長くなる上、回転体503の大きさと取り付け角度によって流入口525とリターン口523との高低差が制約されるために第一案内通路524及び第二案内通路530の斜面の勾配が緩やかになるが、屈曲部段差529の形成によって確実に遊技球を下流側に流下させることが可能となる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、回転体503に1箇所の特定領域541、6箇所の普通領域542及び1箇所のリターン領域543を備えるものを示したが、特定領域541、普通領域542及びリターン領域543の個数及び割合は特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、揺動片562を揺動片可動ソレノイド585によって可動させるものを示したが、駆動手段は特に限定されるものではなく、例えばモータを用いることも可能である。また、揺動片562を一定の周期で揺動運動させるものを示したが、不規則に変位させたり、遊技状態に基づいて運動速度や周期を変化させるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシーンや、パチンコ機とスロットマシーンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。