以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン60が設けられている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、及び図5に基づき説明する。
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図10参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車90が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、役物91が配設されており、この役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
役物91は全体として額縁状の装飾体から構成されており、その上縁部または左右側縁部には、ワープ入口とともにワープ通路が形成されており、遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口に入り込むと、後述のワープ通路を通じて役物91の裏側に取り込まれた後に、役物91の途中または下縁部から再び遊技盤面に放出されるようになっている。
この役物91は、その上縁部近傍に、その内部に遊技球を取り込むことの可能な役物用入賞口92が開閉可能に備えられている。そして、この役物91の内部には、役物用入賞口92から取り込まれた遊技球が入賞可能な大当り入賞口93と、ハズレ入賞口94とが備えられており、これら大当り入賞口93およびハズレ入賞口94と、役物用入賞口92との間には、役物用入賞口92から取り込まれた遊技球を、所定の通路上を転動させながらその動きを様々に変化させて遊技者に注目させた後に、大当り入賞口93またはハズレ入賞口94の何れかに放出する第一転動演出装置95が更に備えられている。
この役物91は、第一転動演出装置95の一方の放出側(図3中左側)には遊技球を押打可能な第二転動演出装置100が、また、第一転動演出装置95の他方の放出側(図3中右側)には回転することで遊技球を大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに導く第三転動演出装置101が更に備えられている。また、第一転動演出装置95の下側に配置され第二転動演出装置100により押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内する第四転動演出装置102が更に備えられている。
また、遊技領域37には、役物91の下方位置に、左右に夫々配置された一対の第一始動入賞口96と、一対の第一始動入賞口96の間に配置された第二始動入賞口97とが設けられており、これら始動入賞口96,97に遊技球が入球すると、役物91の役物用入賞口92が開閉するようになっている。詳しくは、第一始動入賞口96に遊技球が入球すると役物用入賞口92が所定間隔で一回だけ開閉動作し、第二始動入賞口97に遊技球が入球すると役物用入賞口92が所定間隔で二回だけ開閉動作をするようになっている。
その他、遊技領域37には一般入賞口98が配設されている。また、役物91の内側には演出表示装置115が配設されており、この演出表示装置115では、例えば動画や映像等の画像、或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。なお、演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等の表示装置を例示することができる。演出表示装置115の表示面は役物91の後側においてその開口窓に臨んで装着されており、役物91は、遊技盤5の中央部に貫設された組付孔に嵌込まれ、役物91の後部及び演出表示装置115の表示装置制御基板116を有する表示装置制御基板ボックス117は遊技盤5の後側に突出して配設されている。ここで、演出表示装置115が本発明の表示手段に相当する。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間に役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図10参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図10参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として複数種類の態様の「大当り遊技」が用意されている。ここで、「大当り遊技」は、例えば役物用入賞口92を一定パターンで開閉させるラウンド動作を最大で16回、繰り返すものである。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を役物用入賞口92に入球させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、ラウンド動作ついては、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入球に応じて行われる役物用入賞口92の1回または2回の開閉動作を初回の1ランウド目のラウンド動作とし、2ラウンド目以降のラウンド動作では、役物用入賞口92を所定間隔で18回開閉させるか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。
また、大当り遊技にて繰り返し行われるラウンド動作の回数については、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入球タイミング(より具体的には、第一始動口センサ318aまたは第二始動口センサ318bによる遊技球の検出タイミング)、役物用入賞口92への遊技球の入球タイミング(より具体的には、カウントセンサ319による遊技球の検出タイミング)、大当り入賞口93への入球タイミング(より具体的には、大当り入賞センサ330による遊技球の検出タイミング)等の適宜タイミングや、役物91内での遊技球の振り分け先等によって行われた抽選の結果に応じて決定される。ここで、上記抽選は、大当りの態様を決定するための抽選であり、この抽選を行う手段を、「大当り態様抽選手段」として捉えることができる。
なお、以上の具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図11に基づき説明する。
図11は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、ゲートセンサ317、第一始動口センサ318a、第二始動口センサ318b、カウントセンサ319、大当り入賞センサ330、ハズレ入賞センサ329、回動検出センサ494、回転位置検出センサ321等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、ソレノイド331、モータ332、押打用ソレノイド325、回転体用モータ326等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主にサイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が装飾ランプ353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。また、サブ統合基板336には、遊技球センサ361からの検出信号が入力される一方、役物用ソレノイド362へ駆動信号を出力する。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間の通信処理について、詳細に説明する。なお、信号名の先頭に「♯」が付されているものは、負理論であることを意味している。「ハイレベル」は2値信号の2つのレベルのうち「1」レベルを意味し、「ローレベル」は「0」レベルを意味している。
[主制御基板と払出制御基板との通信について]
主制御基板131と払出制御基板197との間では、種々のコマンドがシリアル転送によって送信される。コマンドを正常に受信した基板は、コマンドを送信した基板に対して、正常にコマンドを受け取ったことを伝えるACK(Acknowledge)信号を送信する。主制御基板131から払出制御基板197に対する主なコマンドとしては、遊技球の払い出しに関するコマンドや、払出制御基板197に動作状態の報告を指示するコマンドがある。遊技球の払い出しに関するコマンドとしては、例えば、遊技球の払い出し個数を指定するコマンドの他、遊技球の払い出しの開始を指示するコマンドや、遊技球の払い出しの停止を指示するコマンドなどが考えられる。払出制御基板197から主制御基板131に対する主なコマンドとしては、払出制御基板197の動作状態を伝えるコマンドがある。
図12は、主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。主制御基板131は、主制御基板131における種々の演算処理を行うCPUとして、外部とのシリアル通信機能およびパラレル通信機能を有するCPU314(主CPU)を備える。CPU314には、演算処理を行う演算処理部390と、外部とのシリアル通信を行うシリアル通信ユニットとしてのシリアルIF部391と、外部とのパラレル通信を行うパラレルIF部392とが回路構成されている。払出制御基板197とのコマンドのやり取りは、シリアルIF部391を介して行われ、払出制御基板197とのACK信号のやり取りは、パラレルIF部392を介して行われる。
シリアルIF部391は、演算処理部390からパラレルデータTDaを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ393と、送信バッファレジスタ393に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDabに変換して払出制御基板197にシリアル転送する送信シフトレジスタ394と、払出制御基板197からシリアルデータDbaを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ395と、受信シフトレジスタ395に記憶されたデータを受け取り、該データを演算処理部390によってパラレルデータRDaとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ396と、シリアルIF部391における各部の動作状態を管理するシリアル管理部397とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ393および送信シフトレジスタ394,受信シフトレジスタ395,受信バッファレジスタ396は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部397は、送信シフトレジスタ394および送信バッファレジスタ393に関して、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ393から送信シフトレジスタ394へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ393から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部397は、受信シフトレジスタ395および受信バッファレジスタ396に関して、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ395から受信バッファレジスタ396へのデータの受け渡しを許可し、演算処理部390が受信バッファレジスタ396からパラレルデータRDaを読み出した後に、受信バッファレジスタ396からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIF部391によるシリアル転送の転送レートは、CPU314を動作させるためのクロック信号を分周した信号に基づいて決定される。この転送レートを決定するクロック信号の分周比は、シリアルIF部391が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
演算処理部390は、送信バッファレジスタ393に対して書き込み信号♯WRaを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ393へりパラレルデータTDaの書き込みを行い、受信バッファレジスタ396に対して読み出し信号♯REaを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ396からのパラレルデータRDaの読み出しを行う。
演算処理部390は、シリアルIF部391における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部397から受ける。演算処理部390がシリアル管理部397から受ける信号としては、送信バッファレジスタ393がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEaと、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCaと、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データあり信号DFaとがある。
図12に示すように、払出制御基板197は、払出制御基板197における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信を行う回路が形成されたシリアルIFチップ398と、外部とのパラレル通信を行う回路が形成されたパラレルIFチップ399とを備える。主制御基板131とのコマンドのやり取りは、シリアルIFチップ398を介して行われ、主制御基板131とのACK信号のやり取りは、パラレルIFチップ399を介して行われる。
シリアルIFチップ398は、CPU333からパラレルデータTDbを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ400と、送信バッファレジスタ400に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDbaに変換して主制御基板131にシリアル転送する送信シフトレジスタ401と、主制御基板131からシリアルデータDabを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ402と、受信シフトレジスタ402に記憶されたデータを受け取り、該データをCPU333によってパラレルデータRDbとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ403と、シリアルIFチップ398における各部の動作状態を管理するシリアル管理部404とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ400および送信シフトレジスタ401,受信シフトレジスタ402,受信バッファレジスタ403は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部404は、送信シフトレジスタ401および送信バッファレジスタ400に関して、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ400から送信シフトレジスタ401へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ400から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部404は、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403に関して、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へのデータの受け渡しを許可し、CPU333が受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbを読み出した後に、受信バッファレジスタ403からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIFチップ398がシリアル転送されたコマンドをサンプリングするタイミングは、主制御基板131のCPU314を動作させるためのクロック信号を分周したサンプリングクロックに基づいて決定される。このサンプリングクロックを決定刈るクロック信号の分周比は、シリアルIFチップ398が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
CPU333は、送信バッファレジスタ400に対して書き込み信号♯WRbを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ400へのパラレルデータTDbの書き込みを行い、受信バッファレジスタ403に対して読み出し信号♯RDbを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ403からのパラレルデータRDbの読み出しを行う。
CPU333は、シリアルIFチップ398における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部404から受ける。CPU333がシリアル管理部404から受ける信号としては、送信バッファレジスタ400がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEbと、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCbと、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データ有り信号DFbとがある。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間におけるコマンド転送の際の動作について説明する。本実施形態のパチンコ機1は、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送と、払出制御基板197から主制御基板131へのコマンド転送を行うことが可能である。
(主制御基板のコマンド送信について)
払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作について説明する。図13は、主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理を実現するために所定の間隔(本実施形態では、4ミリセカンド(以下、msと表記))で定時割り込み処理を繰り返し実行し、この繰り返し実行される定時割り込み処理の一環として、払出制御基板197に対してコマンドを送信する場合に、図13に示したコマンド送信処理を実行する。
演算処理部390は、図13に示したコマンド送信処理を開始すると、払出制御基板197に対するコマンドを生成する(ステップS1001)。本実施形態では、払出制御基板197に対するコマンドは、シリアルIF部391の各レジスタの記憶容量である1バイトよりも大きな2バイトのコマンドである。
コマンドを生成した後(ステップS1001)、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1002)。
「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1002)には、生成したコマンドの2バイトのうち上位1バイトである1バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込む(ステップS1003)。その後、予め設定された書込待機期間Lwaの待機を行った後(ステップS1004)、生成したコマンドの残りの下位1バイトである2バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込み(ステップS1005)、コマンド送信処理を終了する。
ここで、書込待機期間Lwaは、送信バッファレジスタ393へのコマンドの1バイト目の書き込みから、この1バイト目が送信シフトレジスタ394へと受け渡しされるまでの期間である送信レジスタ引渡期間Lbsよりも長い期間であり、その定時割り込み処理の終了までに2バイト目の書き込み処理(図13のステップS1005)を実行可能な時間を残す期間であり、次の定時割り込み処理の開始まで長引くような期間ではない。また、書込待機期間Lwaは、コマンドの1バイト目のシリアル転送が完了するまでの期間であるシリアル転送期間Lscよりも短い期間であり、定時割り込み処理の間隔である4msよりも短い期間である。本実施形態では、書込待機期間Lwaは、2.5マイクロセカンド(以下、μsと表記)に設定されている。なお、本実施形態のシリアルIF部391のハードウエア仕様による送信レジスタ引渡期間Lbsは、約1.25μsである。また、2バイト目の書き込み処理(図13のステップS1005)に要する演算処理部390の演算処理時間が、シリアルIF部391の送信レジスタ引渡期間Lbs異常である場合には、図13に示したコマンド待機処理のソフトウエアによる待機処理(ステップS1004)は不要である。
図14は、コマンド送信処理が実行される際の主制御基板131における各信号の様子を示すタイムチャートである。上述したコマンド送信処理にて、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」てあると判断されると(図13中のステップS1002)、パラレルデータTDaにコマンドの1バイト目の出力が開始される(タイミングta1)。その後、書き込み信号♯WRaの立ち上がりによって、送信バッファレジスタ393にコマンドの1バイト目が書き込まれる(タイミングta2,図13中のステップS1002)。
送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの1バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされる。送信シフトレジスタ394は、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの1バイト目をシリアルデータDabに出力する。シリアル転送中のシリアルデータDabには、スタートビットSTに続いて、コマンドの1ビット目D0から8ビット目D7までの各ビットが続き、最後にストップビットSPが出力される。このように、コマンドの1バイト目のシリアル転送が開始されると、シリアル転送中信号TCaはハイレベルとなる(タイミングta3)。
コマンドの1バイト目の書き込み(タイミングta2,図13中のステップS1002)から、書込待機期間Lwaの待機を経た後(図13中のステップS1004)、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393にコマンドの2バイト目が書き込まれる(タイミングta4,図13中のステップS1005)。
この際の送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目をシリアル転送中であり、コマンドの2バイト目を送信バッファレジスタ393から受け取ることができないため、送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの2バイト目を記憶して保持し、送信バッファ空き信号TEaはローレベルとなる(タイミングta4)。
その後、送信シフトレジスタ394によるコマンドの1バイト目のシリアル転送が終了すると、送信バッファレジスタ393は、記憶するコマンドの2バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされ、送信バッファ空き信号TEaはハイレベルとなる(タイミングta5)。
その後、送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの2バイト目をシリアルデータDabに出力する(タイミングta6〜ta7)。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。本実施形態の主制御基板131は、払出制御基板197に対してコマンドを送信してから所定の期間の間に、払出制御基板197からACK信号の返答がない場合には、コマンドを再送する。
なお、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
なお、本実施形態では、CPU314は、4ミリセカンドの感覚で定時割り込み処理を繰り返し実行するのに対し、シリアルIF部391は、1200bps(Bit Per Second)の転送レートでシリアル転送を実行する。したがって、本実施形態では、シリアルIF部391が2バイトのコマンドをシリアル転送する時間は約16.7msとなり、CPU314は、その間に定時割り込み処理を約4回繰り返し実行することとなる。このように、CPU314は、送信バッファレジスタ393にコマンドを書き込んでしまえば、そのコマンドの払出制御基板197へのシリアル転送をシリアルIF部391に任せることができる。なお、シリアル転送における1200bpsの転送レートは、電気的ノイズに対するコマンド転送の信頼性を確保可能な転送レートであり、また、比較的安価なフォトカプラを用いたアイソレーションによってシリアル転送することが可能な転送レートである。
なお、主制御基板131は、シリアル転送中(送信バッファレジスタ393にコマンドが有る状態)に、制御処理を中断することなく、入賞があれば入賞情報を記憶するなど他の制御処理を実行する。パチンコ機の場合、遊技板13へと打ち出される遊技球は、1分間に最大100個までと規制されているため、遊技球の打ち出し間隔は約600msである。したがって、遊技球が入賞口61に連続して入賞したとしても、主制御基板131は、遊技球の検出情報を滞りなく処理し、賞球コマンドを払出制御基板197にシリアル転送することができる。
(払出制御基板のコマンド受信について)
主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作について説明する。図15は、払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図15に示したコマンド受信処理を実行する。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1101)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1101)には、主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1101)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1102)。その後、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目を読み出し(ステップS1103)、コマンド受信処理を終了する。
図16は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。前述した主制御基板131におけるコマンド送信処理によって、シリアルデータDabにコマンドの1バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの1バイト目が記憶された後、受信バッファレジスタ403にコマンドの1バイト目が受け渡され、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる。
コマンドの1バイト目に続いた、シリアルデータDabにコマンドの2バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの2バイト目が記憶される。この際には、受信バッファレジスタ403からコマンドの1バイト目が読み出されておらず、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされていないため、受信シフトレジスタ402はコマンドの2バイト目の記憶を保持する。
その後、図15に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図15中のステップS1101)、読み出し信号♯REbの立ち下がりによって、受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbにコマンドの1バイト目が出力され、コマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb5〜tb6,図15中のステップS1102)。
コマンドの1バイト目の読み出しが完了すると、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb6)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタへとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信出た有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb7)。その後、コマンドの1バイト目と同様にして、受信バッファレジスタ403からコマンドの2バイト目が読み出される(タイミングtb8〜tb9,図15中のステップS1103)。なお、説明の便宜上、図16では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されているが、実際には、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間は、CPU333の演算処理時間に比べて相当の時間を要する。したがって、図15に示したコマンド受信処理は、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。本実施形態の払出制御基板197は、主制御基板131からコマンドを受信してから所定の期間の間に、主制御基板131に対してACK信号を送信する。
なお、本実施形態では、シリアルIFチップ398のサンプリングタイミングは、転送レート(1200bps)の16倍である19.2キロヘルツ(kHz)に設定されている。本実施形態では、シリアルIFチップ398は、スタートビット,コマンドの各データビット,ストップビットのビット毎に、それぞれ3回のサンプリングを行い、この3回のサンプリングで検出された値を多数決判定することによって、コマンド受信の信頼性の向上を図っている。
なお、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、CPU333に代えて演算処理部390、受信シフトレジスタ402に代えて受信シフトレジスタ395、受信バッファレジスタ403に代えて受信バッファレジスタ396が、それぞれ上述した払出制御基板197の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
上記の構成により、主制御基板131のCPU314が1回の定時割り込み処理内を行う間に、シリアルIF部391がシリアル転送可能なコマンドを2バイト分、シリアルIF部391の送信バッファレジスタ393,送信シフトレジスタ394に格納することができ、主制御基板131のCPU314がコマンドのシリアル転送に関わる期間を短縮することができる。その結果、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。したがって、コマンドを分割してシリアル転送する場合における円滑な遊技制御を実現することができる。
ところで、上記の払出制御基板197では、CPU333,シリアルIFチップ398及びパラレルIFチップ399を備えたものを示したが、以下に示すような構成としても良い。具体的には、図17に示すような、払出制御基板197に、払出制御基板197における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信およびパラレル通信を行う回路が形成されたシリパラIFチップ405とを備えるものとすることができる。このシリパラIFチップ405には、主制御基板131のパラレルIF部392とパラレル通信をするパラレルIF部406が備えられている。なお、図17は、図12に示すものとは異なる主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。また、上記以外の構成については、図12に示したものと同様の構成であり、同一の符号を付してある。
図17に示す払出制御基板197のシリアル管理部407は、図12に示すシリアル管理部404とは異なるものとされている。このシリアル管理部407は、シリアル管理部407は、受信バッファレジスタ403のデータがCPU333からの読み出しによって消去される図13に示すシリアル管理部404とは異なり、CPU333からのバッファクリア信号#CBbに基づいて、受信バッファレジスタ403からデータを消去する。
(図17における主制御基板のコマンド送信について)
払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作について説明する。図18は、主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理の一環として、図18に示したコマンド送信処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
演算処理部390は、図18に示したコマンド送信処理を開始すると、ジョブフラグFjの値を判断する(ステップS1201)。ジョブフラグFjは、コマンド送信処理における状態を示すフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
「ジョブフラグFj=0」の場合には、払出制御基板197に対するコマンドの出力するためのコマンド出力処理を実行し(ステップS1202)、「ジョブフラグFj=1」の場合には、払出制御基板197からのACK信号を確認するためのACK待ち処理を実行する(ステップS1203)。コマンド出力処理(ステップS1202)、または、ACK待ち処理(ステップS1203)を終了した後、コマンド送信処理を終了する。なお、コマンド出力処理(ステップS1202),ACK待ち処理(ステップS1203)の詳細については後述する。
図18に示したコマンド送信処理におけるコマンド出力処理(図18中のステップS1202)の詳細について説明する。図19は、コマンド出力処理(図18中のステップS1202)を示すフローチャートである。演算処理部390は。図19に示すコマンド出力処理を開始すると、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1301)。「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1301)には、「チェックフラグFc=1」であるか否かを判断する(ステップS1302)。チェックフラグFcは、払出制御基板197からのACK信号が確認できない場合に、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するためのフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
「チェックフラグFc=1」でない場合であって(ステップS1302)、遊技球の入賞口への入賞がある場合には(ステップS1303)、払出制御基板197に所定の個数の賞品球の払い出しを指示する入賞コマンドの1バイト目を生成する(ステップS1304)。
一方、「チェックフラグFc=1」である場合には(ステップS1302)、チェックフラグFcを「0」に設定し(ステップS1305)、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するチェックコマンドの1バイト目を生成する(ステップS1306)。なお、主制御基板131は、払出制御基板197からの動作状態の報告を、払出制御基板197から主制御基板131に対するコマンドの形態で受け取る。
入賞コマンドまたはチェックコマンドの1バイト目を生成した後(ステップS1304,S1306)、生成した1バイト目の各ビットを反転して、すなわち、1バイト目のビットのうち、「0」であるビットを「1」とし、「1」であるビットを「0」として、コマンドの2バイト目を生成する(ステップS1307)。本実施形態では、コマンドの1バイト目は、コマンドとしての実質的な意味を持つデータであり、コマンドの2バイト目は、払出制御基板197側でコマンドの正誤を判断するためのデータである。
コマンドの2バイト目を生成した後(ステップS1307)、生成したコマンドを送信する(ステップS1308〜S1310)。この処理(ステップS1308〜S1310)は、図13に示したコマンド送信処理における処理(ステップS1003〜S1005)と同様である。コマンドを送信した後(ステップS1308〜S1310)、ジョブフラグFjを「1」に設定し(ステップS1311)、コマンド出力処理を終了する。
コマンド出力処理においてコマンドの送信が実行される際(ステップS1308〜S1310)の主制御基板131における各信号の様子は、図14に示した主制御基板131における各信号の様子と同様である。
図18に示したコマンド送信処理におけるACK待ち処理(図18中のステップS1203)の詳細について説明する。図20は、ACK待ち処理(図17中のステップS1203)を示すフローチャートである。演算処理部390は、図20に示すACK待ち処理を開始すると、払出制御基板197からACK信号を検出したか否かを判断する(ステップS1401)。ACK信号を検出した場合には(ステップS1401)、ジョブフラグFjを「0」に設定し(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
一方、ACK信号を検出しない場合には(ステップS1401)、コマンドの送信(図19中のステップS1308〜S1310)を終えてから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1403)。この所定の時間は、払出制御基板197からのACK信号の返答を待つ時間であり、本実施形態では、100msに設定されている。所定の時間が経過していない場合には(ステップS1403)、そのままACK待ち処理を終了し、所定の時間が経過した場合には(ステップS1403)、チェックフラグFcを「1」に設定し(ステップS1404)、ジョブフラグFjを「0」に設定した後(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。なお、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
(図17における払出制御基板のコマンド受信について)
主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作について説明する。図21は、払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図21に示したコマンド受信処理を実行する。なお、図21に示したコマンド受信処理は、図15に示したコマンド受信処理と同様に、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1501)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1501)には、主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1501)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出した後(ステップS1502)、再び受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1503)。その後、1回目に読み出したコマンドの1バイト目と、2回目に読み出したコマンドの1バイト目とを照合して(ステップS1504)、両者が一致するか否かを判断する(ステップS1505)。
読み出したコマンドの1バイト目が1回目と2回目とで一致する場合には(ステップS1505)、バッファクリア信号♯CBbを立ち下げることによって受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの1バイト目をクリアする(ステップS1506)。これによって、受信シフトレジスタ402に記憶されていたコマンドの2バイト目が、受信バッファレジスタ403に受け渡される。
受信バッファレジスタ403をクリアした後(ステップS1506)、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの2バイト目を、コマンドの1バイト目と同様に、2回の読み出しの後に照合を行い(ステップS1507,S1508,S1509)、1回目と2回目とが一致する場合には(ステップS1510)、受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目をクリアする(ステップS1511)。
その後、読み出したコマンドの1バイト目と、読み出したコマンドの2バイト日とを照合して(ステップS1512)、両者が整合するか否かを判断する(ステップS1513)。なお、前述したように、コマンドの2バイト目は、主制御基板131がコマンドの1バイト目の各ビットを反転して生成したデータである。
読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合する場合には(ステップS1513)、主制御基板131に対してACK信号を送信して(ステップS1514)、コマンド送信処理を終了する。
一方、読み出したコマンドの1バイト目が1回目と2回目とで一致しない場合や(ステップS1505)、読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合しない場合には(ステップS1513)、次回のコマンド受信に備えるために、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403をクリアして(ステップS1515)、コマンド送信処理を終了する。
図22は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。なお、説明の便宜上、図22では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されている。
図21に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図21中のステップS1501)、読み出し信号#REbの立ち下がりによって、受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbにコマンドの1バイト目が出力され、コマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb11〜tb12,図21中のステップS1502)。その後、さらにコマンドの1バイト目が、1回目と同様にして読み出される(タイミングtb13〜tb14,図21中のステップS1503)。
コマンドの1バイト目の2回の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb15,図21中のステップS1506)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタヘとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb16)。
その後、コマンドの2バイト目が、コマンドの1バイト目と同様にして受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb21〜tb24,図21中のステップS1507,S1508)。コマンドの2バイト目の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb25,図21中のステップS1511)。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。なお、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、第一の実施例と同様である。
以上、図17から図22に示した構成によれば、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。更に、払出制御基板197のCPU333側の都合に応じて受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの消去を行うことができるため、2バイト単位で1バイト毎にシリアル転送されるコマンドに対して、CPU333による2バイト単位での取り扱いの容易化を図ることができる。
また、払出制御基板197は、コマンドを重複して読み取り、重複して読み取ったコマンドを照合するため(図21中のステップS1502〜S1505)、受信バッファレジスタ403からCPU333へのコマンドの受け渡しの際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、主制御基板131は、コマンドの1バイト目を反転して2バイト目を生成し(図19中のステップS1307)、払出制御基板197は、コマンドの1バイト目と2バイト目とを照合するため(図21中のステップS1512〜S1513)、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送の際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、コマンドを受け取った払出制御基板197は、主制御基板131に対してACK信号を送信するため、主制御基板131は、コマンドが正常に転送されたか否かを確認することができる。さらに、主制御基板131は、払出制御基板197からのACK信号の返答がない場合に、払出制御基板197に対してチェックコマンドを送信するため、コマンドが正常に転送されなかった理由が払出制御基板197における異常動作に基づくものであるか否かを判断することができる。
なお、上記図12から図22に示した構成は、サブ統合基板336や電飾制御基板337,338および波形制御基板339などの基板に適用可能であり、或いは、主制御基板131とサブ統合基板336との間のコマンド転送に適用しても良い。主制御基板131からサブ統合基板336に対するコマンドとしては、演出表示装置115における表示画像の演出内容を指示する演出コマンドがある。
また、送信側CPUが生成する2バイト以上のコマンドは、偶数バイトであることとしても良い。これによって、送信側CPUからシリアル通信ユニットに対する1回の定時割込処理あたり2バイト分のコマンドの格納を効率良く実行することができる。例えば、主制御基板131は、演出指示を規定した3バイトの指示コマンドと、この指示コマンドのチェックサムを算出した1バイトのチェックコマンドとから成る計4バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、4バイトの一群のコマンドを2回分に分けて、2回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
また、主制御基板131は、3バイトの指示コマンドと、1バイトのチェックコマンドとの各ビットを反転させた4バイトの反転コマンドも併せて、計8バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、8バイトの一群のコマンドを4回に分けて、4回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[役物用入賞口の始動入賞処理について] 図23に基づき説明する。
図23は役物用入賞口の始動入賞処理のルーチンを示している。
この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS1601)。具体的には、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97に遊技球が入球することで、第一始動入賞口96、第二始動入賞口97に夫々対応する第一始動口センサ318a、第二始動口センサ318bが検出信号を出力し、その検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され、一方検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS1601においてYES)、次に遊技球を検出した始動口センサ318に応じて役物用入賞口92を所定回数開閉動作させる開閉処理が行われる(ステップS1602)。具体的には、第一始動口センサ318aにおいて遊技球を検出した場合は役物用入賞口92を開閉するソレノイド331により役物用入賞口92を所定時間一回だけ開閉する。一方、第二始動口センサ318bにおいて遊技球を検出した場合はソレノイド331により役物用入賞口92を所定時間間隔で二回だけ開閉する。そして、役物用入賞口92が所定回数開閉されると、開閉処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[大当り処理について] 図24に基づき説明する。
図24は大当り処理の内容を示している。
遊技球が役物91内部の大当り入賞口93に入球して大当り入賞センサ330により検出されると、内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行される。先ず主制御基板131において乱数を発生させると共に、発生した乱数によって大当り遊技のラウンド回数である設定最大継続回数が設定される(ステップS1701)。本実施形態では、ラウンド回数が、2回、8回、16回の何れかから乱数によって設定される。具体的には、2回、8回、16回の夫々のラウンド回数が選択される割合が、例えば、2回が「1/4」、8回が「1/4」、16回が「1/2」となるように割り振られた適宜の選択テーブルを用いて、乱数に応じたラウンド回数が設定される。
ステップS1701において設定最大継続回数が設定されると、続いて所定のラウンドカウンタが初期化(例えばラウンドカウンタの数値=2)される(ステップS1702)。このラウンドカウンタは例えばRAM内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS1703)、続いて役物用入賞口92が所定時間間隔で開閉動作が開始される(ステップS1704)。そして、次のステップS1705では役物用入賞口92の開閉回数が設定最大回数(例えば18回)以内であるか否かが判断される。開閉回数が設定最大回数内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS1706)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS1707)。役物用入賞口92への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS1708で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS1604の判断が行われる。あるいは、ステップS1707で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS1705の判断が行われる。
1回のラウンド動作中において、役物用入賞口92の開閉が設定最大回数である18回に達するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS1705またはステップS1706の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために役物用入賞口92の開閉動作が停止(ステップS1709)される。そして、次のステップS1710でラウンドカウンタの値が、2ラウンド、8ラウンドまたは16ラウンドの中から選択されて設定された設定最大継続回数に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達していなければ(ステップS1710においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS1711)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS1703)。
なお、本例では、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入球に応じて行われる役物用入賞口92の1回または2回の開閉動作を第1ラウンドとしてラウンド回数を算定しているため、上記の処理は、第2ラウンド以降の1回のラウンド動作の処理に相当する内容である。そして、第2ラウンド以降においては、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達したと判断されると(ステップS1710においてYES)、そこで大当り処理は終了となる。
[役物の構成について]
次に本実施形態における役物91の具体的な構成について図25乃至図27を基に詳細に説明する。図25は本実施形態における役物の一例を示す正面図であり、図26は図25に示す役物を右上前方から示す斜視図である。また、図27(A)は役物用入賞口を拡大して示す正面図であり、(B)は役物用入賞口の可動片をその動きと共に示す説明図である。
本実施形態の役物91は、その内部に遊技球が進入可能な役物用入賞口92と、役物用入賞口92に入球した遊技球を、所定の通路上を転動演出させた後に二方のうちの何れか一方に放出することの可能な第一転動演出装置95と、第一転動演出装置95の一方の放出側(図25中左側)に配置され遊技球を押打可能な第二転動演出装置100と、第一転動演出装置95の他方の放出側(図25中右側)に配置され回転することで遊技球を大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに導く第三転動演出装置101と、第一転動演出装置95の下側に配置され第二転動演出装置100により押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内する第四転動演出装置102と、第一転動演出装置95の左右に配置され放出された遊技球の流れを夫々整流する第一整流手段500a及び第二整流手段500bと、役物91の上方から流下する遊技球を第一転動演出装置95及び第四転動演出装置102と当接しないように役物91の下流に導くワープ通路510とを備えている。
この役物91は、図3にも示すように、遊技領域の比較的広い範囲内を占めるような大きさとされており、一目で認識できるものとなっている。これにより、本例のパチンコ機1を容易に識別することができると共に、遊技者の関心を引き付け易いようになっている。
(役物用入賞口について)
役物用入賞口92は、役物91の中央かつ上縁部近傍に配置され大きく口を開けたキャラクタ体455の口とされており、これにより、遊技球がキャラクタ体455に飲み込まれるような雰囲気を醸し出すことが可能となり、遊技の面白味を高める効果が期待できるようになっている。
この役物用入賞口92は、キャラクタ体455の口の左右両側に配置された左右一対の可動片456(羽根部材)と、一対の可動片456の間に配置され遊技球を役物内部へと導くための球入口457と、球入口457を通過した遊技球を検出する遊技球検出センサとしてのカウントセンサ319と、カウントセンサ319を通過した遊技球を第一転動演出装置95に受け渡す受渡口458とを備えている。
一対の可動片456は、役物91の裏面に配置されたソレノイド331が駆動されることで、そのプランジャ(図示しない)が直線運動し、その直線運動がリンク機構470を介して駆動軸471を回動運動させることで可動片456が回動するようになっている(図26参照)。この一対の可動片456は、その先端を互いに離反する方向に回動させることで、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球可能となり、また、その先端を互いに接近する方向に回動させることで、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球不能となるようになっている(図27(A)参照)。つまり、一対の可動片456を回動させることで、役物用入賞口92が開閉可能とされている。なお、本例では、一対の可動片456は、夫々別々のソレノイド331により駆動されるようになっている。
この可動片456について図27を基に更に詳しく説明する。図27(A)は本実施形態の役物用入賞口を示す正面図であり、(B)は可動片の動作を示す説明図である。同図(B)に示すように、この可動片456は、ソレノイド331の駆動により回動駆動される駆動軸471を有し駆動軸471を回転中心として回動する主可動片472と、主可動片472の駆動軸471とは異なる位置に回動軸473を有すると共に主可動片472の回動に伴って回動軸473を回転中心として回動する副可動片474とを備えている。つまり、この可動片456は、主可動片472が駆動軸471を、副可動片474が回動軸473を夫々中心として回動可能とされている。
主可動片472は、駆動軸471と共に回動し所定方向に延出する回動延出部475と、回動延出部475の先端に備えられ遊技球を誘導する誘導部476と、回動延出部475の所定位置に設けられ副可動片474のガイド部477に係合する被ガイド部478とを備えている。
一方、副可動片474は、回動軸473の他に、主可動片472の被ガイド部478と係合すると共に被ガイド部478を回動軸473の半径方向にガイド可能なガイド部477と、ガイド部477のガイド方向と略平行とされ遊技球を誘導するための誘導面479とを更に備えている。
なお、この可動片456では、回動軸473、ガイド部477および被ガイド部478が夫々駆動軸471よりも上方に配置されると共に、駆動軸471を中心とした主可動片472の回転半径が、回動軸を中心とした副可動片474の回転半径よりも大とされている。
なお、本例の役物用入賞口92、一対の可動片456、リンク機構470、駆動軸471及びソレノイド331は、本発明の進入口に相当している。また、本例のカウントセンサ319が、本発明の進入検出手段に相当している。
続いて、可動片456の動作について詳細に説明する。この可動片456は、同図(B)において鎖線(一点および二点鎖線)で示すように、役物用入賞口92を閉鎖する位置(第一姿勢)にある場合、主可動片472の被ガイド部478は副可動片474のガイド部477の回動軸473に接近する端部に位置している。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に大きく重なるように位置している。また、図示は省略するが、この状態では、ソレノイド331のプランジャが没入端に位置した状態となっている。
この状態から可動片456を、ソレノイド331の駆動によって駆動軸471を回動(図中反時計回り)させ、図中実線で示すように、役物用入賞口92を開放する位置(第二姿勢)に回動させた場合、駆動軸471の回動により主可動片475が回動すると、被ガイド部478がガイド部477を介して副可動片474を回転方向に押し、これによって副可動片474が主可動片472と同じ方向に回動する。
その際に、主可動片472の被ガイド部478は、副可動片474のガイド部477内を回動軸473から遠ざかる方向に移動する。そして、これら主可動片472及び副可動片477が共に同図において実線で示す位置まで回動すると、ソレノイド331のプランジャの伸長端に達し、回動駆動が停止され、可動片456の回動動作が停止する。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に重なる部分が少なくなり、誘導部476が誘導面479よりも外側に飛出した位置となる。
このように、この可動片456は、開閉動作させることで、主可動片472の誘導部476が副可動片474のガイド部477に沿って相対移動し、可動片456を開くと、誘導部476が副可動片474の誘導面479の先端よりも外側に突出した位置に移動するので、可動片456自体が長くなったように見える。しかしながら、可動片456の回転中心である駆動軸471を中心として最も外側端部までの長さ、換言すれば、主可動片472自体の長さは、変化しないので、現実には可動片456の長さは変化していない。つまり、回動させることで誘導部476と誘導面479との位置が変化するようにすることで、あたかも可動片456の長さが変化したような錯覚を遊技者に与えることができるようになっている。
これにより、可動片456が開動作した時に、可動片456が長くなったように錯覚させることができるので、遊技球が役物用入賞口92に入賞し易いものと思わせることが可能となり、数ある遊技機の中から取り分け本実施形態のパチンコ機1で遊技したいと思わせることができると共に、入賞への期待感が高められ興趣を高めることができる。なお、実際には、開放された一対の可動片456の開口幅は変化しないので、見た目よりは入賞する割合は増加せず必要以上に興趣が高くなるのを抑制すると共に、ホール側の負担が増加するのを抑制することができるようになっている。
なお、上記の可動片456では、ソレノイド331におけるプランジャの没入端と伸長端とによって、駆動軸471の回動端つまり可動片456の回動端が規制されたものを示したが、被ガイド部478は、ガイド部477の両端部に当接することで可動片456の回動端が規制されるものとしても良いし、プランジャ及びガイド部477の両方により回動端が規制されるものであっても良い。
(第一転動演出装置について)
次に、第一転動演出装置95について、図28乃至図31に基づいて詳細に説明する。図28は、第一転動演出装置を概略構成で示す正面図である。図29は、第一転動演出装置の動作を示す説明図である。図30は、第一転動演出装置における遊技媒体の動きを示す説明図である。図31は、第一転動演出装置におけるモータの動作を示すタイムチャートである。
この第一転動演出装置95は、図25、図26及び図28に示すように、左右方向に延び上面に遊技球が転動可能な転動面490を有した長尺状のガイド部材491と、ガイド部材491を回動可能に支持する回動支持軸492手段と、ガイド部材491を回動駆動させる回動駆動手段493と、ガイド部材491の回動状況を検出する回動検出センサ494とを備えている。
ガイド部材491は、転動面490から遊技球が前側(遊技機に対して遊技者側)に落下するのを防止する堰部495が転動面490の略全長に亘って設けられている。また、転動面490はその前側が低くなるように前後方向において傾斜しており、これにより、転動面490上に投入された遊技球Bが堰部495に沿って転動すると共に、ガイド部材491の後側に配置された受渡口458などに遊技球Bが当接するのを防止するようになっている。
回動駆動手段493は、モータ332と、モータ332の回転により作動するクランク部496と、クランク部496の動きをガイド部材491の一端に設けられたピン497に伝達させるリンク部498とから構成されている。図29に示すように、モータ332を所定方向に回転させることで、ガイド部材491は、クランク部496、リンク部498を介して、回動支持軸492周りをシーソーのように回動するようになっている。なお、図示は省略するが、モータ332とクランク部496との間にはギアを介在しており、本例では、モータ332を一回転させると、ガイド部材491が、二往復シーソーのように回動するようになっている。
ガイド部材491のピン497とは回動支持軸492を挟んで反対側の端部には、回動検出センサ494により検出可能な回動検出部499が設けられている。図29に示すように、この回動検出センサ494は、ガイド部材491が略水平位置となると回動検出部499を検出するような位置に配置されている。なお、本例の回動検出センサ494、回動検出部499は、本発明の回動状況検出手段に相当している。
続いて、第一転動演出装置95における、遊技球Bの動作について図30を基に詳細に説明する。なお、便宜上、反時計回りの回転を正とし、時計回りの回転を負として説明する。ガイド部材491は、モータ332の回転により、所定周期でシーソーのように回動を繰り返しており、その状態で、ガイド部材491の転動面上に遊技球Bが供給される。この時、例えばガイド部材491が同図(ア)に示すように、図中右側が低くなるように傾斜している場合、ガイド部材491上に供給された遊技球Bは、重力によりガイド部材491の右側端部の方向に転動する。その後、ガイド部材491が正の方向に回動してその右側端部が回動支持軸492よりも高くなると、遊技球Bはその転動する方向を折り返して、回動支持軸492の方向に転動する(同図(イ)参照)。なお、遊技球Bには、その転動する方向に慣性力が働くので、ガイド部材491の傾斜方向が変わっても、その遊技球Bの転動方向はすぐには変わらない。
そして、遊技球Bが回動支持軸492に到達する前に、ガイド部材491が負の方向に回動して右側端部が回動支持軸492よりも低くなると、遊技球Bは再び転動する方向を折り返して、ガイド部材491の右側端部の方向へ転動する(同図(ウ)参照)。その後、ガイド部材491が正の方向に回動してその右側端部が回動支持軸492よりも高くなると、再度転動する方向を折り返して、遊技球Bが再び回動支持軸492の方向へ転動する(同図(エ)参照)。この時、遊技球Bの転動の折り返し位置は、前回の折り返し位置よりも、ガイド部材491の右側端部に近い位置となる。これは、遊技球Bがガイド部材491の回動と共に回動支持軸492を中心として回動するので、遊技球Bには、回動支持軸492から遠ざかる方向に遠心力が作用しており、これによって、遊技球Bが回動支持軸492の方向へ移動する距離よりも、ガイド部材491の端部の方向へ移動する距離の方が長くなるためである。
上記のように、ガイド部材491がシーソーのように回動することで、ガイド部材491上の遊技球Bが揺動すると共に、徐々にガイド部材491の端部へと移動し、やがてガイド部材491の端部から放出される(同図(キ)参照)。なお、遊技球Bが放出される過程において、同図(オ)及び(カ)に示すように、ガイド部材491の右側端部の近傍まで転動した遊技球Bが、回動支持軸492の方向へ折り返すような場合もあり、この遊技球Bが放出されそうでされないような動きにより、遊技者に、ハラハラ、ドキドキさせて抑揚に富んだ演出が可能となっている。なお、上記では、ガイド部材491の回動支持軸492よりも右側における遊技球Bの動きを示したが、回動支持軸492よりも左側においても遊技球Bは同様の動きをするものである。
ところで、本例では、モータ332の回転が、図31に示すように、所定の周期で停止するようになっている。具体的には、回動検出センサ494により回動検出部499を所定回数(ここでは4回)検出する毎に、その検出から所定時間後に、モータ332を所定時間停止させることで、ガイド部材491が、右側端部が高くなった位置で所定時間停止するようになっている(図29(A)参照)。これにより、図30(カ)に示すように、回動支持軸492の右側で揺動する遊技球Bを、回動支持軸492の左側へ移動させ、その左側において遊技球Bを揺動させて、ガイド部材491の左側端部から遊技球Bを放出させることができる。
なお、この第一転動演出装置95では、ガイド部材491の長さ、回動角度、回動速度は、ガイド部材491上に供給される遊技球Bの移動速度、移動方向、等が所定の条件を満たす時に、ガイド部材491上を遊技球Bが揺動するようにしており、その条件以外で遊技球Bが供給されると、ガイド部材491上を揺動することなく、何れかから放出される。
また、上記のモータ332の回転制御は、主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで機能する転動演出制御手段によって制御されている。
(第二転動演出装置について)
次に、第二転動演出装置100について、図32及び図33に基づいて詳細に説明する。図32(A)は第二転動演出装置の構成を示す斜視図であり、(B)は、第二転動演出装置における押打部駆動手段の構成を示す背面図である。図33は、第二転動演出装置における可動演出の状況を示す正面図である。
この第二転動演出装置100は、図示するように、役物91において、ガイド部材491の左側に配置されている。つまり、遊技球が打ち込まれる遊技領域において、その左右方向の中心に対して左側に配置されている。この第二転動演出装置100は、遊技球と当接することで遊技球を左右方向へ押打可能な押打部531と、押打部531が遊技球を押打するように押打部531を移動させる押打部駆動手段532とを備えている。また、第二転動演出装置100には、上記のキャラクタ体455とは異なる態様のキャラクタ体533を更に備えており、このキャラクタ体533の足534が押打部531とされている。また、第二転動演出装置100には、キャラクタ体533の腕541と顔542を可動させて所定の演出動作させる可動演出手段543を更に備えている。なお、本例の第二転動演出装置100が本発明の可動役物に相当し、また、本例の押打部531及び押打部駆動手段532が本発明の流路変更手段に相当している。更に、本例のキャラクタ体533が本発明のキャラクタ体に相当している。
押打部駆動手段532は、押打部531を回動可能に支持すると共に回動駆動させるための回動軸535と、回動軸535に固定された第一ギア536と、第一ギア536と噛合する扇状の第二ギア537と、第二ギア537の回転中心から所定距離離れた位置に配置されたクランクピン538と、クランクピン538を摺動可能に保持するクランクピンホルダ539と、クランクピンホルダ539をプランジャ540の出没により所定方向に移動させる押打用ソレノイド325とを備えている。この押打部駆動手段532は、押打用ソレノイド325によりプランジャ540を出没させることで、回動軸535を回動させて、キャラクタ体533の足534と共に押打部531を回動させて移動させるものである。なお、本例では、プランジャ540が押打用ソレノイド325に没入すると足534が上がり、プランジャ540を進出させると足534が下がるようになっている。
可動演出手段543は、キャラクタ体533の腕(右腕)541がその肩を中心に回動可能とされていると共に、顔(上顎から上の部分)542が上下方向にスライド可能とされており、図示は省略するが、腕541及び顔542の裏側には、後方へ突出するピンが夫々設けられている。また、可動演出手段543は、キャラクタ体533の後側に配置され、プランジャ544を出没可能に駆動する役物用ソレノイド362と、役物用ソレノイド362のプランジャ544の出没量を増幅させるリンク機構545と、リンク機構545により上下方向に移動するスライド板546とを備えている(図32(A)参照)。このスライド板546は、キャラクタ体533における腕541及び顔542に夫々設けられたピンと当接可能とされており、役物用ソレノイド362によりスライド板546が上昇することで、腕541が図33中時計回りに回動すると共に顔542が上昇するようになっている。
続いて、第二転動演出手段100の動作について説明する。この第二転動演出装置100は、役物用入賞口92のカウントセンサ319により遊技球が検出されると、押打用ソレノイド325により、押打部531を、図25中二点鎖線で示す位置まで回動させて、遊技球を押打することが可能となる。具体的には、カウントセンサ319により遊技球が検出されてから所定時間後(例えば、0.5〜2.5秒後)に押打部531を回動させる。これにより、役物用入賞口92に進入した遊技球が、ガイド部材491上を揺動した上で第二転動演出手段100により押打可能な押打領域に到達する頃に、押打部531が回動するので、押打部531により遊技球を押打することができる。なお、実際には、遊技球が第二転動演出装置100に到達する到達時間が区々となるので、押打部531が作動するタイミングと、遊技球が到達するタイミングとが一致し難く、ガイド部材491上を揺動する遊技球の動きに、一層、ハラハラ、ドキドキさせて興趣を高めることができる。
なお、この第二転動演出装置100は、押打部531により押打した遊技球を、第四転動演出装置102に送ると共に、押打されずに押打領域を通過した遊技球を、第二転動演出装置100の下側に配置されたハズレ入賞口94から、遊技領域外へ排出するようになっている。なお、このハズレ入賞口94は、本発明の排出口に相当している。
また、上記の押打用ソレノイド325の駆動制御は、主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで機能する流路制御手段によって制御されている。
ところで、第二転動演出装置100は、上述した遊技球の転動演出だけでなく、キャラクタ体533を可動させることで、所定の可動演出をすることもできるものである。なお、第二転動演出手段100の上流側に配置された第一整流手段500aには、その内部を通過した遊技球を検出する遊技球センサ361が設けられており、この遊技球センサ361は、周辺基板311(サブ統合基板336)に接続されている(図11参照)。この第二転動演出装置100は、役物用入賞口92に進入した遊技球を検出するカウントセンサ319と、ガイド部材491の回動状況を検出する回動検出センサ494と、第一整流手段に設けられた遊技球センサ361との検出結果に応じて、所定の可動演出をするようになっている。
具体的には、主基板310(主制御基板131)において、カウントセンサ319により遊技球を検出したときに、回動検出センサ494によりガイド部材491の傾きが、第二転動演出装置100側が低くなるような回動状況であると、遊技球が第二転動演出装置100側に放出される可能性が高いことを示唆する制御コマンドを周辺基板311に送信する。そして、周辺基板311では、上述の制御コマンドを受信した後に、所定時間内に遊技球センサ361により遊技球が検出されると、役物用ソレノイド362を駆動して、可動演出手段543におけるキャラクタ体533の腕541を回動させると共に顔542を上昇させる。この可動演出手段543を可動させる所定時間(タイミング)は、上述した、主基板310による押打部531の回動タイミングと略一致しており、これにより、キャラクタ体533は、図33に示すような手足を曲げて大きく口を開けた独特のポーズをすることとなる。つまり、遊技球が、押打部531により押打される可能性が極めて高いと、可動演出としてキャラクタ体533が独特のポーズをして、チャンスの到来を遊技者に示唆して興趣を高められるようになっている。なお、可動演出手段543の制御を周辺基板311によって行っているので、キャラクタ体533を可動演出させても主基板310の負荷を抑制することができるようになっている。なお、周辺基板311には、上記の可動演出を制御するための可動演出制御手段が備えられている。
なお、上記の役物用ソレノイド362の駆動制御は、周辺基板311におけるサブ統合基板336のCPU350において、所定のプログラムを実行することで機能する可動演出制御手段によって制御されている。
(第三転動演出装置について)
次に、第三転動演出装置101について、図34乃至図37に基づいて詳細に説明する。図34(A)は第三転動演出装置の断面図であり、(B)は第三転動演出装置の分解斜視図である。図35は、役物における第三転動演出装置近傍を拡大して示す正面図である。図36は、第三転動演出装置の動作を示す説明図である。図37は、第三演出装置の図36とは異なる動作を示す説明図である。この第三転動演出装置101は、第一転動演出装置95又は第二転動演出装置100から送られた遊技球を、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに振り分けて導くものである。
この第三転動演出装置101は、遊技球を収容可能な複数の収容部550と、それら収容部550を周方向に複数配置した回転体552と、回転体552を回転させることで収容部550を移動させる移動手段551とを備えている。この移動手段551は、回転体552を回転駆動させるための回転軸553と、回転軸553に固定され回転体552の回転位置を検出するための回転検出部554と、回転軸553を回転駆動する回転体用モータ326とを備えている。なお、本例では、回転体用モータ326から回転軸553への回転伝達は、一組のギア555を介して伝達されるようになっている。また、本例では、収容部550が基本的に、その前方側と、回転体552の半径方向外側が開放された形態とされている。
この第三転動演出装置101には、回転体552の後方側(遊技者が位置する側とは反対側)に配置され、大当り入賞口93を有し、大当り入賞口93に入球した遊技球を大当り入賞センサ330へ導く大当り誘導部556と、回転体552の外周を覆うと共にその周方向の所定位置にハズレ入賞口94を有し、ハズレ入賞口94に入球した遊技球をハズレ入賞センサ329へ導くハズレ誘導部557とを更に備えている。なお、本例では、ハズレ誘導部557は、ハズレ入賞口94を有し回転体552の外周を覆ってその半径方向外側が開放された収容部550から遊技球がその半径方向外側へ移動するのを阻止する筒状部558と、ハズレ入賞センサ329へ遊技球を導く誘導部559とが、夫々別部材により構成されている(図36及び図37参照)。
収容部550は、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの短い第一収容部550aと、第一収容部550aよりも、少なくとも遊技球の長さ分、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの長い第二収容部550bとからなっており、本例では、第一収容部550aと第二収容部550bとが、夫々四つずつ回転体552の周方向に交互に配置されている。なお、収容部550では、第二収容部550bの一つが、遊技球を大当り入賞口93へと導く特定収容部550cとされており、この特定収容部550cは、回転体552の前後方向に開放されると共に、半径方向には開放されていない形態とされている。また、特定収容部550c以外の収容部550は、全て遊技球をハズレ入賞口94へと導くものとされている。
回転体552は、第一収容部550aよりも中心側の位置において、前方側に所定量突出した突出部560が形成されており、この突出部560においても、その半径方向の外側から連続するように第二収容部550bが設けられている。つまり、回転体552の突出部560には、第二収容部550bが備えられている。なお、本例では、図34(B)に示すように、回転体552の突出部560は、特定収容部550cと共に、回転体552の本体とは別部材により構成されている。また、回転体552は、その軸の延出方向が、遊技盤5に対して略直角方向とされている。
この第三転動演出装置101には、全ての収容部550、つまり、第一収容部550a及び特定収容部550cを含む第二収容部550bで遊技球の収容が許容される第一収容領域と、特定収容部550cを含む第二収容部550bのみが遊技球の収容を許容される第二収容領域とを仕切る仕切り部561を更に備えている。この仕切り部561は、図35に示すように、回転体552の突出部560を挿通可能な挿通孔562と、挿通孔562の下側に配置され回転体552における第一収容部550aに望むように扇状に開口する開口部563とを有し、回転体552の前面に配置される板状の仕切り板564から構成されている。また、仕切り部561には、挿通孔562の略外周に沿うように前方に延びだし挿通孔562に挿通された回転体552の突出部560の外周を所定範囲覆う被覆部565が更に備えられている。この仕切り部561は、図35に示すように、挿通孔562の図中左側に、仕切り板564から前方に延び、ガイド部材491からの遊技球を挿通孔562へ導くL字形状の壁部566を更に備えている。なお、本例では、仕切り板564が略透明な素材により形成されており、仕切り板564を介して回転体552が見えるようになっている。
この第三転動演出装置101は、仕切り部561により挿通孔562に回転体552の突出部560を挿通させることで第一収容領域が形成される共に、その下側の開口部563により第二収容領域が形成されるようになっている。つまり、ガイド部材491からの遊技球が回転体552の突出部560に備えられた四つの第二収容部550bの何れかに収容されるようになっていると共に、押打部531により押打された遊技球が回転体552の八つの収容部550(第一収容部550a及び特定収容部550cを含む第二収容部550b)の何れかに収容されるようになっている。
なお、本例では、第二収容部550bの一つが大当り入賞口93へ遊技球を導く特定収容部550cとされているので、その特定収容部550cに遊技球が収容される確率は、ガイド部材491から流出したものが1/4、押打部531により押打されたものが1/8の確率となっている。
また、本例の第三転動演出装置101が、本発明の割合可変手段に相当し、また、本例の回転位置検出センサ321が、本発明の割合検出手段に相当している。また、本例のハズレ入賞口94が本発明の第一受入口に、本発明の大当り入賞口93が本発明の第二受入口に夫々相当している。
続いて、第三転動演出装置101の動作について説明する。この第三転動演出装置101は、遊技球の収容部550を有した回転体552が、回転体用モータ326により、時計回りに所定速度で回転させられている。そして、回転体552を回転させた状態で、遊技球が供給されると、何れかの収容部550に収容される。例えば、ガイド部材491の右側端部から流出した遊技球の場合は、仕切り部561により回転体552の突出部560に配置された四つの第二収容部550bの何れかに収容された後に、回転体552の回転に伴って遊技球が移動し、その第二収容部550bが回転体552の中心よりも下側に位置すると、遊技球は、第二収容部550bにおいて回転体552の半径方向外側の位置に移動する。一方、押打部531により押打された遊技球の場合は、第四転動演出装置102及び仕切り部561の開口部563を介して、回転体552における全ての収容部550の何れかに収容された後に、回転体552の回転と共に、回転体552の半径方向外側の位置に保ったまま移動する。
そして、遊技球が特定収容部550cに収容された場合は、図36に示すように、回転体552の回転に伴って時計回りに移動し、大当り入賞口93が開口する位置に達すると、特定収容部550cはその後方側が開放されているので、そこから遊技球が大当り入賞口93に入球し、大当り誘導部556を通って大当り入賞センサ330に検出された後に遊技領域外へ排出される。なお、特定収容部550cは、半径方向外側には開放されていないので、ハズレ入賞口94に到達しても入球することはない。
一方、遊技球が特定収容部550c以外の収容部550に収容された場合は、図37に示すように、回転体552の回転に伴って時計回りに移動し、ハズレ誘導部557の筒状部558に開口するハズレ入賞口94に達すると、これらの収容部550は、半径方向に開放されているので、そこから遊技球がハズレ入賞口94へと入球し、ハズレ誘導部557を通ってハズレ入賞センサ329に検出された後に遊技領域外へと排出される。なお、特定収容部550c以外の収容部550は、その後方側が開放されていないので、その収容部550が大当り入賞口93に到達しても入球することはない。
このように、第三転動演出装置101は、回転体552に複数の収容部550を備えて、供給された遊技球を特定収容部550c又はそれ以外の収容部550の何れかに収容させることで、遊技球を大当り入賞口93又はハズレ入賞口94に誘導して振り分けることができる。これにより、特定収容部550cに収容されることで大当りが得られるので、供給された遊技球が、特定収容部550cに収容される否かに重大な関心を寄せ、遊技球の動きと回転体552の回転により遊技球が収容されるまでの間、ハラハラ、ドキドキさせて、興趣を高められるものとなっている。
(第四転動演出装置について)
次に、第四転動演出装置102について詳細に説明する。この第四転動演出装置102は、図25及び図26に示すように、第二転動演出装置100における押打部531により押打された遊技球を、第三転動演出装置101へと案内するものである。この第四転動演出装置102は、本発明の案内手段に相当している。
この第四転動演出装置102は、図示するように、ガイド部材491の下方に配置され、第二転動演出装置100側から第三転動演出装置101側へ緩く傾斜するように延びる案内面571を有している。この案内面571は、ガイド部材491と略同じ長さとされていると共に、その下流側先端には、第三転動演出装置101の開口部563の下縁形状と一部が略一致するような円弧状の揺動面572が設けられている。
この第四転動演出装置102では、第二転動演出装置100からの遊技球を、所定長さの案内面571上を転動させることで、遊技球の動きを認識できるようにしており、これにより、遊技球が第三転動演出装置101に到達するタイミングが、第三転動演出装置101における回転体552の回転による特定収容部550cに収容されるタイミングとなるか否かを楽しませるようになっている。また、案内面571の先端に揺動面572が設けられているので、遊技球はその揺動面を揺動した後に回転体552に備えられた収容部550に収容されるので、その遊技球の揺動具合によって、収容部550に収容されるタイミングが区々となるので、遊技者をハラハラ、ドキドキさせて楽しませることができるようになっている。
なお、本例では、案内面571を滑らかな面としたものを示したが、案内面571に複数の凹凸を設けて、案内される遊技球の動きに変化を付けて、その動きを楽しませるようにしても良い。
(整流手段について)
次に、整流手段について詳細に説明する。本例の整流手段は、図25及び図26に示すように、ガイド部材491の左側端部の左斜め下には、ガイド部材491の左側端部から放出された遊技球を受けて、その動きを整流させる第一整流手段500aが備えられている。この第一整流手段500aは、その左側に上下方向に延びる仕切り部501と、仕切り部501の下端に遊技球を受けると共に役物91の奥へと導く受部502と、受部502の下側に配置され受部502により受けられた遊技球を遊技領域へと流出させる流出口503とを備えている。この第一整流手段500aにより受けられた遊技球は、仕切り部501及び受部502により整流され、流出口503からその下方に配置された第二転動演出装置100に送られるようになっている。
また、ガイド部材491の右側端部の右斜め下には、ガイド部材491の右側端部から放出された遊技球を受けて、その動きを整流させる第二整流手段500bが備えられている。この第二整流手段500bは、上部が開放されたカップ形状とされており、この第二整流手段500bに受けられた遊技球は、渦巻状に回転しながら整流され、第三転動演出装置101に送られるようになっている。なお、第二整流手段500bは、図示するように、第三転動演出装置101の上方に配置されたキャラクタ体504のどんぶりとされており、そのどんぶり内で遊技球を旋回させることで、面白味を増させている。なお、このキャラクタ体504は、本例の第二キャラクタ体に相当している。
これら第一整流手段500a及び第二整流手段500bにより、ガイド部材491により振り分けられた遊技球が整流されて、スムーズに下流の第二転動演出装置100や第三転動演出装置101へ受け渡しできるようになっている。
なお、本例の第二整流手段500bは、第三転動演出装置101の仕切り部561の一部が備えられており、第二収容領域へ遊技球を確実に誘導できるようになっている。
(ワープ通路について)
次に、ワープ通路について詳細に説明する。本例のワープ通路は、図25及び図26に示すように、ワープ通路510は、役物用入賞口92の左右に配置され、遊技盤5を流下する遊技球を受ける受取口511と、受取口511により受けられた遊技球をガイド部材491と当接することなく、ガイド部材491の下方に導く誘導路512と、誘導路512により導かれた遊技球を第四転動演出装置102と当接することなく遊技盤5に流出させる流出口513とを備えている。本例のワープ通路51が本発明の遊技媒体誘導路に相当している。この受取口511は、役物用入賞口92の可動片456が開いた状態では、その上方が略覆われるような位置及び大きさとされている。
このワープ通路510は、ガイド部材491の上方において、役物用入賞口92に入賞しなかった遊技球を受取口511により受けられるようになっており、受渡口458以外からガイド部材491に遊技球が供給されないようになっている。これにより、ガイド部材491及び第四転動演出装置102上を揺動及び転動する遊技球に、無用に他の遊技球が当接して、遊技球の揺動や転動を阻害しないようになっている。
このように、本実施形態のパチンコ機1によれば、可動役物としての第二転動演出装置100を、主基板310により制御される押打部531(流路変更手段)と、周辺基板311により制御される可動演出手段543とで構成し、カウントセンサ319と回動検出センサ494との検出結果が所定の条件を満たすと、主基板310から周辺基板311へ所定の制御コマンドが送信されると共に、更に遊技球センサ361による検出結果が所定の条件を満たすと、主基板310と周辺基板311とで、押打部531と可動演出手段543とを可動させるので、これにより、主基板310の負荷が高くなるのを抑制しつつ、第二転動演出装置100に複雑な動きをさせることが可能となる。つまり、これまでにない動作をさせることができるので、その動きに遊技者を注目させることが可能となり、その動きそのものを楽しませることができる。
また、第二転動演出装置100にキャラクタ体533を備えているので、押打部531や可動演出手段543を可動させることで、キャラクタ体533が特別なポーズや動作をし、面白味のあるものとすることができる。
更に、役物91の内部に、第一転動演出装置95、第二転動演出装置100、第三転動演出装置101、及び、第四転動演出装置102を備え、遊技球が第一始動入賞口96や第二始動入賞口97等の始動口に進入すると、役物用入賞口92の可動片456が所定の開閉動作を行い、役物用入賞口92から役物91内に遊技球が進入すると、球払出装置170により所定数の遊技球が払い出されると共に、進入した遊技球がガイド部材491へと送られ、ガイド部材491上を左右方向に揺動した後に、第二転動演出装置100側に放出されると、遊技球センサ361を有した第一整流手段500aを介して第二転動演出手段100へと送られ、その遊技球の流れが、押打部531により排出口としてのハズレ入賞口94側か第四転動演出装置102側かの何れかの流路に変更される。一方、第四転動演出装置102により案内された遊技球とガイド部材491の他方の端部から放出された遊技球は、第三転動演出装置101における複数の収容部550の何れかに収容され、収容部500を備えた回転体552の回転により遊技球が大当り入賞口93に受入られると、有利遊技状態が発生するものである。その際に、主基板310では、カウントセンサ319、回動検出センサ494の検出結果に応じて第二転動演出装置100の押打部531を回動させて流路を変更すると共に所定の制御コマンドを周辺基板311に送信し、周辺基板311では、主基板310からの制御コマンドと遊技球センサ361による検出結果とにより可動演出手段543を可動させる。これにより、役物用入賞口92に進入した遊技球を、ガイド部材491上で左右方向に揺動させて、その動きを楽しませると共に、大当り入賞口93が配置された第三転動演出装置101側に放出されるか否かで、遊技者をハラハラ、ドキドキさせることができる。一方、ガイド部材491から、遊技球が、ハズレ入賞口94を配置した第二転動演出装置100側に放出されると、興趣が低下する恐れがあるが、第二転動演出装置100の押打部531により遊技球の流路が変更されることで、その遊技球が大当り入賞口93のある第三転動演出装置101段側に第四転動演出装置102を介して案内されるので、再び期待感を高めることができるので、ハラハラ、ドキドキする面白味のあるものとすることができる。また、押打部531の回動により流路が変更される際に、遊技状態が所定の条件を満たすと、第二転動演出装置100により可動演出がなされ、大当り入賞口93に受入れられる可能性が高いこと、つまり、チャンスの到来を遊技者に知らせるので、更に、興趣を高められるものとすることができる。また、主基板310による第二転動演出装置100の制御負荷を抑制しつつ、楽しめる動きを実現することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記の実施形態では、第二転動演出装置100における可動演出手段543の可動を、カウントセンサ319、回動検出センサ494、遊技球センサ361の検出結果に応じて可動演出を制御するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、上記のセンサに更に、第三転動演出手段101における回転体552の回転位置を検出する回転位置検出センサ321を加えて、回転位置検出センサ321による検出結果にも応じて可動演出するようにしても良い。例えば、回転位置検出センサ321の検出により、大当り入賞口93と対応した特定収容部550cに遊技球が収容される可能性が高い時に、可動演出をさせることもでき、これにより興趣を高めることができる。
また、上記の実施形態では、第二転動演出装置100による可動演出を、その押打部531による遊技球の押打と関連付けて可動させるものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、ガイド部材491から第三転動演出装置101における特定収容部550cに遊技球が収容される可能性が高い時に、可動演出をさせても良い。これにより、大当りとなるチャンスの到来を示唆することができ、興趣を高めることができる。
ところで、上述したパチンコ機1は、盤面上にて遊技媒体が移動する遊技盤、及び、遊技媒体を導入可能であり、導入された遊技媒体が内部にて移動する導入体、を用いて構成され、遊技媒体が打ち込まれて遊技が行われる遊技領域と、該遊技領域に設けられ、遊技媒体が進入可能な始動口と、前記導入体に設けられ、前記始動口への遊技媒体の進入に応じて作動して遊技媒体を導入体の内部に導入可能な状態となる第一導入口と、前記導入体の内部に設けられ、前記第一導入口から導入された遊技媒体がその移動先を一定とせずに変化するようにして移動する移動先変化領域と、前記導入体に設けられ、遊技媒体を導入体の内部に導入可能な第二導入口と、前記導入体の内部に設けられ、前記第二導入口から導入された遊技媒体を流通させる内部流通領域と、前記導入体に設けられ、前記内部流通領域にて流通された遊技媒体を導入体の外部前方の遊技領域に放出する放出口と、前記移動先変化領域により構成された前側領域、及び、前記内部流通領域により構成されると共に、前記前側領域の後方に、前側領域との間において遊技媒体が往来不能に設けられた後側領域、を有してなり、その前側領域を移動する遊技媒体とその後側領域を移動する遊技媒体とが相互に影響を及ぼすことなく正面視にて交差可能な第一交差可能領域と、前記放出口から放出された遊技媒体が移動する前側領域、及び、前記移動先変化領域により構成されると共に、前記前側領域の後方に、前側領域との間において遊技媒体が往来不能に設けられた後側領域、を有してなり、その前側領域を移動する遊技媒体とその後側領域を移動する遊技媒体とが相互に影響を及ぼすことなく正面視にて交差可能な第二交差可能領域とを備える遊技機の一例として捉えることができる。また、前記移動先変化領域での遊技媒体の移動先に応じて遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段を備える遊技機として捉えることもできる。
次に、上記構成の詳細を、図25、図26及び図38に基づいて説明する。
パチンコ機1は、盤面上にて遊技媒体としての遊技球Bが移動する遊技盤5を備えている。また、「遊技媒体を導入可能であり、導入された遊技媒体が内部にて移動する導入体」を構成する役物91を備えている。そして、このパチンコ機1では、遊技領域37が、遊技盤5の盤面上の空間、及び、役物91の内部の空間を用いて構成されている。なお、遊技領域37は、透明板50によって閉塞されている。また、透明板50と遊技盤5との間には、遊技球Bが円滑に移動可能で、しかも、遊技球Bが奥行き方向に無用に前後動して移動しないように、遊技球の直径の1〜2倍、より具体的には1.5倍程度の間隔が確保されている。
役物91は、上述した通り、第一転動演出装置95、第二転動演出装置100、第三転動演出装置101及び第四転動演出装置102が内部に組み込まれたものであり、これらの第一転動演出装置95、第二転動演出装置100、第三転動演出装置101及び第四転動演出装置102が組み込まれた領域は、遊技球Bの移動先を一定とせずに変化させる移動先変化領域となっている。具体的に、遊技球Bは、役物91内の移動先変化領域にて移動先に変化が与えられることで、第二転動演出装置100のハズレ入賞口94、第三転動演出装置101のハズレ入賞口94または大当り入賞口93の何れかに振り分けられる。そして、遊技球Bの移動先、すなわち振分先が大当り入賞口93であれば、これ応じて、遊技者に有利な特別有利状態である「大当り遊技状態」を発生させることは上述の通りであり、このパチンコ機1は、機能的構成として、移動先変化領域での遊技媒体の移動先に応じて遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段を具備するものである。
また、役物91は、第一始動入賞口96や第二始動入賞口97によって構成された始動口への遊技球Bの進入に応じて、遊技球Bを役物91の内部の移動先変化領域に導入可能な状態となる役物用入賞口92を備えており、この役物用入賞口92によって、第一導入口が構成されている。また、役物91は、ワープ通路510を備えている。このワープ通路510は、遊技球Bを上述の移動先変化領域とは別途の流通経路に導入して、移動先変化領域を移動する遊技球Bに影響を与えることなく、役物91内を通過させるものであり、ワープ通路510の受取口511、誘導路512及び流出口513によって、夫々、第二導入口、内部流通領域及び放出口が構成されている。
ところで、ワープ通路510内を移動する遊技球B及びワープ通路510を通過した遊技球Bの夫々は、役物91の移動先変化領域を移動する遊技球Bと、相互に往来不能で、しかも、互いに影響を及ぼすことなく正面視にて交差可能である。次に、これを説明する。
まず、ワープ通路510の受取口511から役物91に導入された遊技球B(図38の矢印a参照)は、第一転動演出装置95の後側に配設された誘導路512を通じて上下方向に移動する。一方、第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bは、ワープ通路510の誘導路512の前側にて左右方向に移動する。そして、第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bと、誘導路512を移動する遊技球Bとは、移動先変化領域の一部である第一転動演出装置95が組み込まれた領域を前側領域711とし、誘導路512の内部空間により構成された領域を後側領域712として、夫々、相互に交差可能に個別に移動する。ここで、前側領域711と後側領域712との間には、相互を区画する区画部713が設けられており、前側領域711を移動する遊技球Bと後側領域712を移動する遊技球Bとは、相互に往来不能で、しかも、相互に影響を及ぼすことなく、移動する。特に、本例では、区画部713が隔壁から構成されており、前側領域711と後側領域712とが確実に隔絶されている。
また、本例では、前側領域711と役物91前方の領域とを区画する区画部(より具体的には隔絶する隔壁)を構成する部材が透明となっている。加えて、区画部713は、ワープ通路510の誘導路512を略矩形の筒状に形成する前側の部材により構成されており、この区画部713を構成する部材は、透明、或いは、表面に縦方向の凹凸や梨子地模様程度の微小な凹凸が形成された半透明となっている。これにより、前側領域711にて移動する遊技球B、すなわち、是非とも注目させたい第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bの挙動を遊技者に確認させることができ、しかも、ワープ通路510の誘導路512を移動する遊技球Bも確認させることができる構成となっている。
このように、役物91の上部において、役物91の内部に設けられた前側領域711及び後側領域712の夫々を移動する遊技球Bは、相互に交差可能に移動するため、本例のパチンコ機1では、この前側領域711と後側領域712とを有する構成でもって、遊技媒体が交差可能な領域である交差可能領域が構成されている。なお、本例のパチンコ機1では、後述のように別の交差可能領域をも有しており、各交差可能領域を明確に区別するため、上述した役物91の上部の交差可能領域を第一交差可能領域710と称し、後述する役物91の下部の交差可能領域を第二交差可能領域720と称する。
誘導路512を通過した遊技球Bは、ワープ通路510の流出口513から放出される(図38の矢印c参照)。ここで、流出口513は、役物91全体の縦方向において、役物91の下端部分ではなく、役物91の中間部分に設けられており、遊技球Bは、役物91全体の前方に形成された役物前方領域における下部の領域に放出される。具体的に、流出口513は、役物91内の移動先変化領域の一部を構成する第四転動演出装置102が組み込まれた領域の上方に配設されており、流出口513から放出された遊技球Bは、役物91の下部前方の遊技領域を前側領域721として、この前側領域721にて上下方向に移動する。より具体的には、前側領域721にて自由落下する。
なお、ワープ通路510の略矩形の筒状に形成された誘導路512の内壁面には、その前側の内壁及び後側の内壁に、通過する遊技球Bの通過速度を遅くさせる緩衝部512aが設けられている。流出口513から放出される遊技球Bは、緩衝部512aによってその勢いが弱められ、前側領域721に放出される。ここで、緩衝部512aは、具体的に、前側の内壁と後側の内壁とで千鳥状に突出するように、誘導路512の巾方向に延設された突条によって構成されており、遊技球Bは、誘導路512内にて各突条に衝突しながら落下することで、その勢いが弱められる(図38の矢印b参照)。
一方、第一転動演出装置95及び第二転動演出装置100での振分けを経て、役物91内の移動先変化領域の一部を構成する第四転動演出装置102が組み込まれた領域に達した遊技球Bは、この第四転動演出装置102が組み込まれた領域を後側領域722として、この後側領域722を左右方向に移動する。
ここで、前側領域721と後側領域722との間には、相互を区画する区画部723が設けられており、前側領域721を移動する遊技球Bと後側領域722を移動する遊技球Bとは、相互に往来不能で、しかも、相互に影響を及ぼすことなく、交差可能な状態で移動する。特に、本例では、区画部723が隔壁から構成されており、前側領域721と後側領域722とが確実に隔絶されている。また、区画部722を構成する部材は、透明または半透明となっており、後側領域722を移動する遊技球Bを遊技者が確認することができるようになっている。
このように、役物91の下部において、役物91の前方下部の前側領域721、より具体的には、役物91の前面と透明板50の後面との間にて形成され、遊技球Bが流通可能となった前側領域721、及び、役物役物91の内部に設けられた後側領域722の夫々を移動する遊技球Bは、相互に交差可能に移動するため、本例のパチンコ機1では、この前側領域721と後側領域722とを有する構成でもって、遊技媒体が交差可能な領域である第二交差可能領域720が構成されている。
なお、本例では、第二交差可能領域720の後側領域722を移動する遊技球B、すなわち第四転動演出装置102を移動する遊技球Bは、第二転動演出装置100から第三転動演出装置101へと横方向に単に移動するだけであり、移動先が変化せず、第一転動演出装置95、第二転動演出装置100及び第三転動演出装置101での挙動に比して単調である。よって、この遊技球Bの挙動は、遊技者にさほど注目されない。このため、後側領域722の前方において、前側領域721を多数(後側領域722を移動する遊技球Bに比して多数)の遊技球Bが上下方向に移動し、この上下方向に移動する遊技球Bによって、後側領域722の遊技球Bの挙動が確認し難くなったとしても、大きな支障とならず、前側領域721にて上下方向に移動する遊技球Bが目障りとはならない。
このように構成されたパチンコ機1は、次のような効果を奏する。
遊技領域37の一部である役物91の上部の第一交差可能領域710及び役物91の下部の第二交差可能領域720の夫々の領域において、正面視にて、相互に干渉しない状態で互いに交差するといった今までにはない遊技球Bの挙動を実現させることができるので、遊技球Bの挙動に工夫を凝らして遊技の面白みを向上させることができる。
役物91を横方向に大型化すると、役物91の中央部分に打ち込まれた遊技球Bのうち、役物用入賞口92から役物91内に進入しなかった遊技球Bの流通経路を役物91外に形成することが困難となるため、従来のパチンコ機1では、役物91を大型化し難い。また、第一始動入賞口96や第二始動入賞口97等の始動口への遊技球Bの進入に応じて開動作する役物用入賞口92が設けられた役物91を備えたパチンコ機1では、役物用入賞口92付近に集まるように遊技球Bが打ち込まれるのが通常である。よって、遊技中においては、役物用入賞口92の下方に、役物91内への進入を果たせなかった多量の遊技球Bが集まるため、この多量の遊技球Bの流通経路を十分に確保しなければならなず、遊技球Bの流通経路を役物91外に形成することが、より一層困難となる。ここで、この流通経路を役物91内に単に設けることも考えられるが、単に設けただけでは、この流通経路を移動する遊技球Bが、役物91内への進入を果たして移動先変化領域にて多様な挙動を示す遊技球Bに影響を与える虞があり、遊技者が不快感を感じる可能性がある。
これに対して、本例のパチンコ機1では、役物用入賞口92の下方に集まる多量の遊技球Bを、第一交差可能領域710にて、第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bに影響を与えることなく交差させて役物91内を通過させるため、役物91を横方向に大型化しても、大きな問題を生じない。よって、役物91を横方向に積極的に大型化することができ、これにより、役物91内において遊技球Bを多様に挙動させて面白みを深めることができる。また、第一転動演出装置95での遊技球Bの挙動は、遊技者に是非とも注目させたい挙動であるが、本例では、第一転動演出装置95側の領域を前側領域711とし、ワープ通路510の誘導路512側の領域を後側領域712としているため、前側領域711にて移動する遊技球Bの挙動が確認し難くなることがなく、好適である。
第一交差可能領域710の後側領域712を移動する遊技球Bについては、遊技盤5の盤面上の遊技領域37に戻さなければならないのであるが、例えば役物91の下方等といったように、遊技領域37の下部に遊技球Bを戻すこととすると、その後の遊技球Bの挙動について変化が乏しくなり、不適である。特に、本例のパチンコ機1のように、役物91の下方に第一始動入賞口96や第二始動入賞口97等の始動口が設けられた態様では、遊技球Bの挙動について大きく変化可能として、遊技者に、遊技球Bが始動口に進入するか否かを十分に楽しませ得るようにするのがよく、遊技球Bを、遊技領域37のできる限り上部に戻すことが好適である。
そこで、本例のパチンコ機1では、ワープ通路510の流出口513を役物91の中央部分に設けることとし、流出口513から放出された遊技球Bが、その後に、変化に富む挙動をなし得るようにしてある。しかも、流出口513の下方の遊技領域37を、第二交差可能領域720としてあることから、役物91の下部についても、移動先変化領域の一部として十分に活用することができるようにしてある。よって、役物91を縦方向に積極的に大型化することもでき、役物91を縦方向に大型化することで、役物91内にて、遊技球Bの挙動のさらなる多様化を図り、これにより、面白みをさらに深めることができる。
パチンコ機1では、遊技球Bが遊技領域37にて、極力、隠蔽されず、視認できるようにするのが好ましい。何故ならば、遊技領域37内の一部にて遊技球Bが隠蔽されて視認できなくなると、パチンコ機1の内部にて遊技球Bに対して何らかの処理がなされているのではないか、といった疑義を遊技者が抱く可能性があるからである。これに対して、本例のパチンコ機1では、第一交差可能領域710における前側領域711及び後側領域712の夫々を移動する遊技球Bが視認可能であり、また、第二交差可能領域720における前側領域721及び後側領域722の夫々を移動する遊技球Bについても、視認可能である。よって、遊技者に無用な疑義が抱かれることがない。
第二交差可能領域720においては、前側領域720を移動する遊技球Bによって、移動先変化領域の一部である後側領域722を移動する遊技球Bを確認し難くなるが、この後側領域722を移動する遊技球Bは、第二転動演出装置100から第三転動演出装置101へと単に移動するものであるため、多少、確認し難くても大きな問題を生じない。一方、遊技者に是非とも注目して欲しい第一転動演出装置95にて移動する遊技球Bの挙動については、この遊技球Bが移動する領域が第一交差可能領域710の前側領域711となっていることから、確実に確認させることができる。
また、役物91の左右両側部に設けられた第二転動演出装置100や第三転動演出装置101等、役物91の側部に設けられ、遊技球Bの移動先を一定とせずに変化させる等、遊技球Bの挙動に様々な変化を与える転動演出装置での遊技球Bの挙動も、遊技者に是非とも注目して欲しいものである。本例のパチンコ機1では、第一転動演出装置95及び第四転動演出装置102を除いた第二転動演出装置100や第三転動演出装置101等の他の転動演出装置部分には交差可能領域が設けられておらず、他の転動演出装置にて移動する遊技球Bの挙動については、何ら問題なく確実に確認することができる。
以上、本発明に係る遊技機の一例を示したが、本発明はこれに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のように、種々の変更が可能である。
第一交差可能領域710及び第二交差可能領域720の二つの交差可能領域を備えたものに限らず、第一交差可能領域710または第二交差可能領域720の少なくとも一方を備えたものあればよい。例えば、ワープ通路510の流出口513を役物91の下部に設ければ、より具体的には、第四転動演出装置102よりも下方に設ければ、第二交差可能領域720を具備しないものとなる。また、ワープ通路510を設けず、役物用入賞口92から役物91内への進入を果たせなかった遊技球Bが役物91の前面の領域をそのまま落下する構成とすれば、第一交差可能領域710を具備しないものとなる。さらには、第一交差可能領域710及び第二交差可能領域720に加えて、他の交差可能領域を具備するものであってもよい。
ワープ通路510は、役物91における第一転動演出装置95等の転動演出装置が組み込まれたケーシング等の基体部材に対して一体的に設けたものに限らず、基体部材と完全に別体となったものや、受取口511、誘導路512や流出口513等の適宜の部位が一部、基体部材に一体で、その他の部位は基体部材と別体になったものであってもよい。ワープ通路510が基体部材と完全に別体のものでは、ワープ通路510を構成する部材と、基体部材とが、遊技盤5に個別に取付けられることになるが、このような態様であっても、役物91は、全体として、ワープ通路510を構成する部材と、基体部材とを有するものとして捉えることができる。
第一交差可能領域710の前側領域711及び後側領域712を区画する区画部713や、第二交差可能領域720の前側領域721及び後側領域722を区画する区画部723は、隔壁により構成されたものに限らず、下方から立設された柵、突条や突起、上方から垂設され柵、突条や突起、或いは、横方向に横架された柵、棒や板等によって構成されたものであってもよい。さらには、区画部713,723によって区画するに限らず、前側領域711,721と後側領域712,722とを、十分に離間させたり、一方の領域を移動する遊技球Bが、障害釘や風車等の遊技領域に配置された遊技領域配置部材によって跳ね返されても他方の領域に進入しないように、上記遊技領域配置部材の配置態様を考慮する等して、遊技領域37での遊技球Bの挙動によっては相互に往来不能となるようにしてもよい。
上記の実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。