以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては、遊技盤5の前面に形成された遊技領域37において、種々の装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
さらに、前面枠4の下部における上皿51の側方(操作ハンドル32側とは反対側)には、操作スイッチランプ21が内蔵された操作スイッチ20が設けられている。この操作スイッチ20は、遊技媒体である遊技球を遊技領域37に打ち込んで行われる遊技の実体に関する状態や、遊技に伴って行われる演出に関する状態等、遊技機の適宜の状態を変更したり、上記演出に遊技者が参加したり、遊技機から種々の情報を享受するため等、適宜目的のために遊技者によって操作されるものであり、遊技者による意図的な手動操作によって操作される操作手段や操作部等を構成するものである。
なお、操作スイッチ20としては、押動操作される押しボタン式のスイッチ、傾動操作されるシーソ式のスイッチ、回動操作されるチャンネル式のスイッチ等を代表的に例示することができる。また、本例では、操作スイッチ20が操作ハンドル32とは反対側に設けられていることから、遊技者は、操作ハンドル32を一方の手で操作しつつ、他方の手で操作スイッチ20を操作することができる。
そして、操作スイッチ20に内蔵された操作スイッチランプ21は、遊技機の状態が、操作スイッチ20による操作を許容する状態であるか、または許容しない状態であるかを遊技者に案内するものであり、点灯することで許容する状態であり、消灯することで許容しない状態であること、或いは、逆に、点灯することで許容しない状態であり、消灯することで許容する状態であることを報知する。なお、このように機能する操作スイッチランプ21は、操作スイッチ20に内蔵されたものに限らず、操作スイッチ20とは別途に設けてもよい。この場合には、操作スイッチ20の近傍に設けるのが好適である。何故ならば、遊技者にとって、操作スイッチランプ21の作動状態を確認し易くすることができるからである。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図4、図5、及び図11に基づき説明する。
図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図11は各種の制御基板ボックスが装着された遊技盤を右下後方から示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、図11に示すように、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている。
遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。発射レール19から発射された遊技球は、案内レール78を通じて遊技領域37に打ち出され、遊技領域37に設けられた各種入賞装置に入賞した遊技球は、入賞装置を通じて、入賞装置に入賞しなかった遊技球は、遊技領域37の最下部に設けられたアウト穴を通じて、夫々、遊技領域37外へと排出される。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えばセンター役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図11参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[遊技領域の構成について] 図3に基づき説明する。
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図である。
図3に示すように、遊技領域37内には、多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車90が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、役物91が配設されており、この役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
役物91は、その上縁部近傍に役物用入賞口92を備えており、この役物用入賞口92を通じて、内部に遊技球を取り込むことが可能に構成されている。ここで、役物用入賞口92は、開閉駆動される可動片456(羽根部材)を有するものとして構成されており、通常では、可動片456が閉動作しており、役物91内に遊技球が進入しない状態となっているのであるが、可動片456は、後述する第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入球に基づいて開動作するものであり、可動片456が開動作することで、役物91内に遊技球が進入可能な状態が形成される。なお、役物用入賞口92は、本発明における「受入口」を構成するものである。また、図においては、可動片92aが開動作している状態を示している。
また、役物91の内部には、役物用入賞口92から取り込まれた遊技球が入賞可能な大当り入賞口93と、ハズレ入賞口94とが設けられている。そして、役物用入賞口92と、大当り入賞口93およびハズレ入賞口94との間には、役物用入賞口92から取り込まれた遊技球を、所定の通路上を転動させながらその動きを様々に変化させて遊技者に注目させた後に、大当り入賞口93またはハズレ入賞口94の何れかに到達させる適宜の転動演出装置が設けられている。この役物91は、本発明における「機械的抽選手段」を構成するものであり、役物用入賞口92から役物91内に進入した遊技球は、転動演出装置によってその移動先が振り分けられて、大当たり入賞口93またはハズレ入賞口94に到達し、遊技球が大当たり入賞口93に到達すれば、抽選結果を当選とし、遊技球がハズレ入賞口94に到達すれば、抽選結果を落選とする。そして、抽選結果が当選であれば「大当り」とし、遊技者に有利な遊技状態である有利遊技状態として、役物入賞口92を所定の態様で開閉作動させて遊技者が多量の遊技球を獲得可能な状態、所謂「大当り状態」を発生させる。一方、落選であれば「ハズレ」とし、大当り状態を発生させずに、通常の遊技状態を継続させる。
役物91の下方の部位には、左右に夫々配置された一対の第一始動入賞口96と、一対の第一始動入賞口96の間に配置された第二始動入賞口97とが設けられている。これら第一始動入賞口96及び第二始動入賞口97は、夫々、本発明における「始動口」を構成するものであり、また、後述するコンピュータと共に「電気的抽選手段」を構成するものでもある。遊技球が第一始動入賞口96または第二始動入賞口97に進入、すなわち入賞すると、コンピュータでの処理により、例えばその入賞タイミング等に応じて取得された乱数値を用いる等して抽選を行い、抽選の結果が当選であると「大当り」とし、遊技者に有利な遊技状態である有利遊技状態として、役物入賞口92を所定の態様で開閉作動させて遊技者が多量の遊技球を獲得可能な状態、所謂「大当り状態」を発生させる。
なお、本例では、この電気的抽選手段での当選によって発生する大当り状態を、上述の機械的抽選手段での当選によって発生する大当り状態と、全く同一の態様としているが、これに限らず、異なる態様としてもよい。ここで、異なる態様とする場合には、電気的抽選手段での当選によって発生する大当り状態を、機械的抽選手段での当選によって発生する大当り状態に比して、獲得可能な遊技球が少なくなる態様で役物用入賞口92を開閉作動させる等して価値の低い大当り状態としてもよく、或いは、逆に、獲得可能な遊技球が多くなる態様で役物用入賞口92を開閉作動させる等して価値の高い大当り状態としてもよい。
電気的抽選手段での当選によって発生する大当り状態の価値を、機械的抽選手段での当選によって発生する大当り状態に比して低くすることで、遊技に際して、電気的抽選手段による抽選が重要視されることを防止することができ、従前の一般的なハネモノタイプのパチンコ機と同様に、機械的抽選手段の抽選を遊技性の主体とすることができる。
一方、電気的抽選手段での当選によって発生する大当り状態の価値を、機械的抽選手段での当選によって発生する大当り状態に比して高くすることで、機械的抽選手段での抽選によって生じる不平等さを的確に払拭させることができる。また、電気的抽選手段での当選によって発生する大当りを、プレミア的な大当りとすることができ、遊技の興趣を高めることができる。なお、この場合には、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞を契機として夫々行われる機械的抽選手段の抽選及び電気的抽選手段の抽選の各当選確率(詳細は後述する)について、電気的抽選手段の当選確率を機械的抽選手段の当選確率よりも低く設定すると、機械的抽選手段による大当りに比して電気的抽選手段による大当りの発生頻度が少なくなり、電気的抽選手段による大当りのプレミア的な価値を高めることができることから好適である。
本例のパチンコ機1においては、電気的抽選手段の抽選結果が落選であると、役物入賞口92を開動作させて、役物91による機械的抽選を実行可能な状態を形成する遊技態様を有している。ここで、本例では、落選の種類として、第一種落選及び第二種落選の2種類が用意されており、第一種落選であると、入賞した第一始動入賞口96または第二始動入賞口97に応じた態様で役物用入賞口92が開動作する。例えば、入賞したのが第一始動入賞口96であれば、役物用入賞口92が0.5秒の開動作を1回だけ行い、入賞したのが第二始動入賞口97であれば、役物用入賞口92が0.5秒の開動作を2回だけ行う。そして、この役物用入賞口97の開動作の最中に、遊技球が役物用入賞口92を通じて役物91内へと進入すると、役物91内での遊技球の挙動により上述の通りの機械的抽選が行われる。
一方、第二種落選であると、役物入賞口92を開動作させずに、役物91による抽選の機会を全く与えないこととし、また、遊技状態としては、通常の遊技状態を継続させることとする。
ところで、本例のパチンコ機1は、遊技状態が、通常の遊技状態と、上述の「大当り状態」等のように遊技者に有利な有利遊技状態との他に、特別遊技状態となることが可能に構成されている。次に、この特別遊技状態を説明する。
第二始動入賞口97は、遊技球が入賞し易い状態である開放状態に変動可能に構成されている。具体的には、第二始動入賞口97は、ソレノイド等の電気的駆動装置によって開閉駆動される可動部材97aを具備するものとして構成されており、所謂「電気作動式チューリップタイプ(電チュータイプ)」の入賞装置となっている。この可動部材97aは、通常では閉動作しており、この状態では、遊技球が第二始動口97に入球し難い状態となっているのであるが、開動作すると、遊技球が第二始動口97に入球し易い状態となる。
第二始動入賞口97の上方には、遊技球が通過可能な始動ゲート口113が設けられている。この始動口ゲート113は、後述するコンピュータと共に「始動口開放抽選手段」を構成するものであり、始動口ゲート113に遊技球が進入すると、コンピュータの処理によって、例えばその進入タイミング等に応じて取得された乱数値を用いる等して抽選を行い、抽選の結果が当選であると「当り」として、第二始動入賞口97の可動部材97aを所定の態様で開動作させて、第二始動入賞口97に遊技媒体が入賞し易い状態を形成する。
ここで、通常の遊技状態では、始動口開放抽選手段にて当選となった場合に、始動口開放抽選手段による抽選が行われてから例えば30秒といった長時間が経過した後に、第二始動入賞口97が開放状態となり、この開放状態では、可動部材97aが0.5秒の開動作を1回だけ行う。これに対して、遊技状態が特別遊技状態となると、始動口開放抽選手段にて当選となった場合に、始動口開放抽選手段による抽選が行われてから例えば3秒といった短時間が経過した後に、第二始動入賞口97が開放状態となり、この開放状態では、可動部材97aが例えば1秒の開動作を3回だけ行うといったように、第二始動入賞口97が、通常の遊技状態における開放態様とは異なり、遊技球が入賞し易い開放態様で作動する。
なお、この特別遊技状態は、始動口開放抽選手段の当選によって第二始動入賞口97が例えば10回等、予め設定された所定回数の開放作動(可動部材97aの開動作の回数ではなく、特別遊技遊技状態に応じた開放態様の動作を行った回数を1回として計上する)を行うと終了し、遊技状態が通常の遊技状態に戻るように構成されている。また、本例では、上述の「大当り状態」が終了した後には、遊技状態が必ず特別遊技状態となるように構成されている。
ところで、上述の有利遊技状態と特別遊技状態との夫々は、何れも、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な特典が与えられた状態である。そして、有利遊技状態は、速やかに遊技媒体である遊技球を多量に獲得できる状態であり、遊技者にとって最も価値の高い特典が与えられた状態であるのに対して、特別遊技状態は、有利遊技状態を獲得し易い状態であり、有利遊技状態よりも遊技者にとって価値の低い特典が与えられた状態である。よって、有利遊技状態及び特別遊技状態の夫々を、遊技者に特典を与えた状態である特典付与状態として捉えた場合、有利遊技状態と特別遊技状態とを明確に区別するために、有利遊技状態を高価値特典付与状態と捉え、特別遊技状態を低価値特典付与状態と捉えることができる。
遊技領域37の側方(本例では正面視左側)には、四つのランプ110(例えば、単色で発光するLED等によって構成されたランプ)を有し、各ランプ110の点灯態様によって、電気的抽選手段の抽選結果の表示として特別図柄を表現する特別図柄表示器332が設けられている。ここで、この特別図柄表示装器332は、電気的抽選手段の抽選結果を表示するものであり、本発明における「電気的抽選結果表示手段」の一つを構成するものである。具体的には、本発明における「第一表示手段」を構成するものである。なお、本例において特別図柄表示装器332は、電気的抽選手段の抽選結果として、当選または落選といった情報を、その表示態様によって一義的に遊技者に明示するものであり、当選として複数種類の当選があったり、落選として複数種類の落選がある場合には、その当選の種類や落選の種類の情報についても、表示態様によって一義的に遊技者に明示するものである。
特別図柄表示器332の詳細な構成については、以下の通りである。本実施形態では、4つのランプ110が配列されており、これらランプ110の配列が特別図柄表示器332として機能している。本実施形態において、特別図柄表示器332の機能はランプ110の点灯・消灯によって実現することができる。例えば、第一始動入賞口96や第二始動入賞口97といった始動口への入賞を契機として4つのランプ110をいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表現する。そして、所定の変動時間が終了すると、4つのランプ110の点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止状態を表現する。これにより、抽選が行われると、その結果情報がランプ110の点灯・消灯によって明示される。なお、ランプ110の点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、詳細は後述する主基板310(図12参照)により行われる。
具体的には、個々のランプ110は1色(例えば赤色)の発光タイプであり、各ランプ110は「消灯」、及び「点灯」の2通りに表示パターンを切り替えることができる。したがって、4つのランプ110を配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で16通り(24=16)のものを用意することができる。なお、ここでは説明の便宜のために1色だけとしているが、ランプ110の点灯色は2色以上であってもよい。また、ランプ110の配置は1箇所にまとまっている必要はなく、単一の特別図柄表示器332において、或いは、複数の特別図柄表示器332を用いて、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは、特別図柄を5つ以上のランプによって表示してもよいし、7セグメントLED等の表示器を用いて表示してもよい。また、一つのランプの点灯・消灯によって、抽選の結果を報知することとしてもよい。さらに、特別図柄表示器332としては、ランプといった点灯器を用いたものに限らず、静止画や動画等の画像や映像を表示する液晶表示装置等の表示器や、動作する可動体を用いたものであってもよい。
また、この特別図柄表示器332は、上記四つのランプ110の他に、電気的抽選手段の抽選結果の表示についての保留状態を示す四つの特別保留球ランプ111(例えば、単色で発光するLED等によって構成されたランプ)をも有するものとなっている。四つの特別保留球ランプ111は、電気的抽選手段の抽選結果の表示において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。
遊技領域37の側方(本例では正面視右側)には、複数の発光態様を実現できる一つのランプ112a(例えば、赤色及び緑色等の二色で発光するLED等によって構成されたランプ)を有し、このランプ112aの発光態様(例えば発光色)によって始動口開放抽選手段の抽選結果である普通図柄を表現する普通図柄表示器112が設けられている。また、この普通図柄表示器112は、上記ランプ112aの他に、始動口開放抽選手段の抽選結果の表示についての保留状態を示す四つの普通保留球ランプ112b(例えば、単色で発光するLED等によって構成されたランプ)をも有するものとなっている。四つの普通保留球ランプ112bは、始動口開放抽選手段の抽選結果の表示において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。
さらに、本例のパチンコ機1では、始動口開放抽選手段の当選により作動する第二始動入賞口97の作動態様の状態等、適宜の遊技状態が変化するものであり、現状の遊技状態を表示する状態表示器112cを有するものであるが、本例では、この状態表示器112cが、上記普通図柄表示器112に設けられている。状態表示器112cは、具体的に、普通図柄表示器112に設けられて複数の発光態様を実現できるランプ(例えば、赤色及び緑色等の二色で発光するLED等を用いて構成されたランプ)を用いて構成されており、ランプが赤色で発光していれば通常の遊技状態であり、緑色で発光していれば特別遊技状態である等、このランプの発光態様(例えば発光色)によって遊技状態を表現するものである。
その他、遊技領域37には、一般入賞口98等、種々の部材が配設されている。なお、上述の役物91、第一始動入賞口96、第二始動入賞口97及び一般入賞口98は、遊技球の入賞装置を構成するものであり、これら役物91、第一始動入賞口96、第二始動入賞口97及び一般入賞口98に入賞した遊技球は、入賞した入賞装置を通じて、遊技領域37外である遊技領域37の裏側に排出される。一方、遊技領域37の最下部には、アウト穴が設けられており、何れの入賞装置にも入賞を果たせなかった遊技球は、このアウト穴を通じて、遊技領域37外である遊技領域37の裏側に排出される。
次に、役物91について説明する。役物91は全体として額縁状の装飾体から構成されており、その上縁部または左右側縁部には、ワープ入口511が形成されている。遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口511に入り込むと、役物91内部に設けられたワープ通路510(詳細は後述する)を通じて遊技盤5の盤面上を迂回して、役物91の途中に設けられたワープ出口513から再び遊技盤5の盤面上に放出されるようになっている。
また、本例においては、役物91が演出表示装置115を具備するものとして構成されており、この演出表示装置115では、例えば動画や映像等の画像、或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。なお、演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等の表示装置を代表的に例示することができる。ここで、演出表示装置115は、上述の特別図柄表示器332の単純な表示内容よりも多様な表示内容を表現できるものであり、本例においては、特別図柄表示器332よりも多彩な変動表示、換言すれば多彩な演出表示、を行って電気的抽選結果を表示するものであり、本発明における「電気的抽選結果表示手段」の一つを構成するものである。より具体的には、本発明における「第二表示手段」を構成するものである。また、演出表示装置115の制御は、詳細は後述する周辺基板311(図12参照)により行われる。
演出表示装置115は、役物91中央の開口窓に臨むようにして役物91の後側に装着されている。そして、役物91は、遊技盤5の中央部に貫設された組付孔に嵌込まれている(図10参照)。これにより、役物91の後部、及び、演出表示装置115の表示装置制御基板116を有する表示装置制御基板ボックス117の夫々は、遊技盤5の後側に突出して配設されたものとなっている(図11参照)。
ところで、本例のパチンコ機1では、電気的抽選手段の抽選結果を、特別図柄表示器332を用いて構成された第一表示手段と、演出表示装置115を用いて構成された第二表示手段とで、夫々個別に表示するのであるが、第一表示手段は、簡素な演出表示しか行うことができない表示手段であるのに対して、第二表示手段は、第一表示手段に比して多彩な演出表示を行うことのできる表示手段である。よって、この第二表示手段により、電気的抽選手段の抽選結果を表示するに際して、多彩な表示演出を実行することとしている。なお、第一表示手段は、当選であるか落選であるかや、当選の種類や落選の種類等といった抽選結果を遊技者に一義的に確実に明示するものであり、電気的抽選手段を具備するパチンコ機1にとって是非とも装備して置くことが要求される抽選結果明示手段として捉えることができるものであるのに対して、第二表示手段は、第一表示手段を装備したパチンコ機1においては任意に装備すればよいものであり、また、抽選結果を一義的に明示する必要もなく、抽選結果を表示するに際して多彩な演出を行って遊技の興趣を高めるものであることから、遊技に関する演出用の抽選結果演出表示手段として捉えることができる。
次に、演出表示装置115での表示について説明する。本例では、演出表示装置115が、図柄を変動させた後に確定して表示するものとして構成されている。具体的に、図24に示すように、演出表示装置は、第一図柄列115a、第二図柄列115b及び第三図柄列115cといったように複数の図柄列にて、夫々、0〜9の数字といった複数種類の図柄を上下方向にスクロールさせる等して変動させた後、個々に順次、図柄を停止させて、停止して表示された全ての図柄列の図柄の組合せによって表示内容を確定させ、この確定した表示内容によって抽選結果を遊技者に案内するものとして構成されている。
次に、演出表示装置115での表示態様について説明する。第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞に応じて電気的抽選手段による抽選が行われ、この抽選結果を表示するに際しては、まず、図24(a)に示すように、適宜の図柄が停止して表示されていた全ての図柄列115a,115b,115cにて、図柄の変動を開始する。次に、図24(b)に示すように、第一図柄列115aにおいて変動中の図柄を停止させ、第一図柄列115aに図柄を停止表示する。次に、図24(c)及び(e)に示すように、第二図柄列115bにおいて変動中の図柄を停止させ、第二図柄列115bに図柄を停止表示する。そして、最後に、図24(d),(f)及び(g)に示すように、第三図柄列115cにおいて変動中図柄を停止させ、第三図柄列115cに図柄を停止表示する。このように、本例では、複数の図柄列において図柄を順次停止させて表示内容を確定させ、最終的に確定して表示された全ての図柄の組合せによって、抽選の結果が当選であるか落選であるかを示す。
なお、本例では、演出表示装置115に表示された表示内容が特定表示内容となっていれば、抽選結果が当選であることを示し、特定表示内容となっていなければ、換言すれば、非特定表示内容となっていれば、抽選結果が落選であることを示す表示態様となっている。具体的には、各図柄列115a,115b,115cに停止表示された図柄が全て同一の図柄の組合せになっていると、抽選結果が当選であることを示し、少なくとも一つの図柄列115a,115b,115cの図柄が他の図柄列115a,115b,115cの図柄と異なる組合せになっていると、抽選結果が落選であることを示す表示態様となっている。また、落選については、第一種落選及び第二種落選といったように、複数種類の落選があるため、演出表示装置115に表示された表示内容によって、落選の種類をも示す表示態様となっている。例えば、非特定表示内容として第一種非特定内容及び第二種特定低内容といったように複数種類の非特定表示内容を用意して、第一種非特定表示内容であれば第一種落選であり、第二種非特定表示内容であれば第二種落選であることを示すようにする。
具体的に、例えば図24(d)に示すように、第一図柄列115aの図柄と第二図柄列115bの図柄とが少なくとも異なる図柄である表示内容を第一種非特定表示内容とし、この第一種非特定表示内容の表示により第一種落選を示す。また、例えば図24(f)に示すように、第一図柄列115aの図柄と第二図柄列115bの図柄とが同じであり、第三図柄列115cの図柄のみ異なる表示内容を第二種非特定表示内容とし、この第二種非特定表示内容の表示により第二種落選を示す。そして、例えば図24(g)に示すように、第一図柄列115aの図柄、第二図柄列115bの図柄及び第三図柄列115cの図柄が全て同一の図柄である表示内容を特定表示内容とし、この特定表示内容の表示により当選を示す。
なお、図24(c)に示すように、第一図柄列115aに図柄が停止表示された後に第二図柄列115bに停止表示された図柄が第一図柄列115aの図柄と異なっていれば、さらにその後に、第三図柄列115cにどのような図柄が停止表示されたとしても特定表示内容となることがないため、換言すれば、第二図柄列115bに停止表示された図柄によって特定表示内容を充足しないことが明確となるため、第三図柄列115cの図柄を無用に長時間、変動させずに速やかに停止表示させ、演出表示装置115での表示内容を確定させる。換言すれば、第一種落選を示す表示を行う場合には、演出表示装置115での図柄の変動開始から終了までの時間を、例えば1〜3秒程度といったように短時間として、抽選結果の表示を速やかに行い、その後、所定のインターバル時間の経過後に役物91の役物用入賞口92を開動作させる。これにより、役物用入賞口92の開動作態様が、始動口への遊技球の入賞に応じて速やかに役物用入賞口92が開動作する従来既存の一般的なハネモノタイプのパチンコ機1と同様な態様となり、電気的抽選手段の抽選結果を表示する演出表示装置115を具備するパチンコ機1であっても、遊技者に違和感を生じさせ難く、従前と同様な遊技性を持たせることができる。
一方、図24(e)に示すように、第一図柄列115aに図柄が停止表示された後に第二図柄列115bに停止表示された図柄が第一図柄列115aの図柄と同一となっていれば、その後、第三図柄列115cにて停止表示される図柄によっては特定表示内容となる可能性があることになるため、換言すれば、第二図柄列115bに停止表示された図柄によって、表示内容の変動中において特定表示内容を充足する表示である所謂「リーチ表示」が形成されることになるため、第三図柄列115cの図柄を停止表示させるまでに、第三図柄列115cにおける図柄の変動時間を長くしたり、演出表示装置115の画面に種々のキャラクターを登場させて活躍する描写を行う等、適宜のリーチ演出を行って遊技者に楽しみを与えた後に、第三図柄列115cに図柄を停止表示させて演出表示装置115での表示内容を確定させる。換言すれば、第二種落選や当選を示す表示を行う場合には、演出表示装置115での図柄の変動開始から終了までの時間を、例えば5〜10秒程度といったように、第一種落選を表示する際の変動表示の時間よりも長時間とする。これにより、遊技者に、電気的抽選手段の抽選結果が当選であり、役物91での機械的抽選手段による抽選を受けずして「大当り」を獲得できることに対する期待感を高めることができ、新規な遊技性を持たせてパチンコ機1としての興趣を向上させることができる。
[役物の構成について]
次に本実施形態における役物91の具体的な構成について、図3、図25〜27に基づき説明する。図25は本実施形態における役物の一例を示す正面図であり、図26は役物を右上前方から示す斜視図である。また、図27(A)は役物用入賞口を拡大して示す正面図であり、(B)は役物用入賞口の可動片をその動きと共に示す説明図である。
本実施形態の役物91は、その内部に遊技球が進入可能な役物用入賞口92と、役物用入賞口92から進入した遊技球を、その移動先を一定とせずに変化させて移動させる移動先変化領域とを備えている。ここで、移動先変化領域は、遊技球が転動してその挙動により多様な演出が行われる転動演出装置を用いて構成されている。具体的に、本例の役物91においては、遊技球の流通経路の最も上流の部位に、所定の通路上を転動演出させた後に二方のうちの何れか一方に放出することの可能な第一転動演出装置95が設けられている。そして、第一転動演出装置95の一方の放出側(図示左側)に配置され遊技球を押打可能な第二転動演出装置100と、第一転動演出装置95の他方の放出側(図示右側)に配置され回転することで遊技球を大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに導く第三転動演出装置101と、第一転動演出装置95の下側に配置され第二転動演出装置100により押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内する第四転動演出装置102とが設けられている。また、この役物91には、第一転動演出装置95の左右に配置され放出された遊技球の流れを夫々整流する第一整流手段500a及び第二整流手段500bと、遊技球を受入可能なワープ入口511及びこのワープ入口511から受入れた遊技球を放出するワープ出口513を有し、役物91の上方から流下する遊技球を第一転動演出装置95及び第四転動演出装置102と干渉しないように役物91の下流に導くワープ通路510とが設けられている。
この役物91は、図3にも示すように、遊技領域の比較的広い範囲内を占めるような大きさとされており、一目で認識できるものとなっている。これにより、本例のパチンコ機1を容易に識別することができると共に、遊技者の関心を引き付け易いようになっている。
(役物用入賞口について)
役物用入賞口92は、役物91の中央かつ上縁部近傍に配置され大きく口を開けたキャラクタ体455の口とされており、これにより、遊技球がキャラクタ体455に飲み込まれるような雰囲気を醸し出すことが可能となり、遊技の面白味を高める効果が期待できるようになっている。
この役物用入賞口92は、キャラクタ体455の口の左右両側に配置された左右一対の可動片456(羽根部材)と、一対の可動片456の間に配置され遊技球を役物内部へと導くための球入口457と、球入口457を通過した遊技球を検出する遊技球検出センサとしてのカウントセンサ319と、カウントセンサ319を通過した遊技球を第一転動演出装置95に受け渡す受渡口458とを備えている。
なお、本例の役物91は、遊技球の入賞に応じて所定個数の遊技球の払い出しを行う入賞装置の一種を構成するものであり、役物用入賞口92から役物91内に遊技球が進入すると、役物用入賞口92の近傍に設けられ、上述の各種転動演出装置95,100,101,102よりも上流の部位に位置するカウントセンサ319が遊技球を検知し、この検出に応じて遊技球の払い出しが行われる。よって、本例のパチンコ機1では、役物1内に進入した遊技球が、役物91内において大当り入賞口93又はハズレ入賞口94にまだ到達しておらず、各種転動演出装置95,100,101,102上を転動している状態であっても、役物91に入賞した遊技球の個数に応じた遊技球の払い出しが速やかに行われる。
一対の可動片456は、役物91の裏面に配置されたソレノイド331が駆動されることで、そのプランジャ(図示しない)が直線運動し、その直線運動がリンク機構470を介して駆動軸471を回動運動させることで可動片456が回動するようになっている(図26参照)。この一対の可動片456は、その先端を互いに離反する方向に回動させることで、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球可能となり、また、その先端を互いに接近する方向に回動させることで、キャラクタ体455の口の中に遊技球が入球不能となるようになっている(図27(A)参照)。つまり、一対の可動片456を回動させることで、役物用入賞口92が開閉可能とされている。なお、本例では、一対の可動片456は、夫々別々のソレノイド331により駆動されるようになっている。
この可動片456について図27を基に更に詳しく説明する。図27(A)は本実施形態の役物用入賞口を示す正面図であり、(B)は可動片の動作を示す説明図である。同図(B)に示すように、この可動片456は、ソレノイド331の駆動により回動駆動される駆動軸471を有し駆動軸471を回転中心として回動する主可動片472と、主可動片472の駆動軸471とは異なる位置に回動軸473を有すると共に主可動片472の回動に伴って回動軸473を回転中心として回動する副可動片474とを備えている。つまり、この可動片456は、主可動片472が駆動軸471を、副可動片474が回動軸473を夫々中心として回動可能とされている。
主可動片472は、駆動軸471と共に回動し所定方向に延出する回動延出部475と、回動延出部475の先端に備えられ遊技球を誘導する誘導部476と、回動延出部475の所定位置に設けられ副可動片474のガイド部477に係合する被ガイド部478とを備えている。
一方、副可動片474は、回動軸473の他に、主可動片472の被ガイド部478と係合すると共に被ガイド部478を回動軸473の半径方向にガイド可能なガイド部477と、ガイド部477のガイド方向と略平行とされ遊技球を誘導するための誘導面479とを更に備えている。
なお、この可動片456では、回動軸473、ガイド部477および被ガイド部478が夫々駆動軸471よりも上方に配置されると共に、駆動軸471を中心とした主可動片472の回転半径が、回動軸を中心とした副可動片474の回転半径よりも大とされている。
続いて、可動片456の動作について詳細に説明する。この可動片456は、同図(B)において鎖線(一点および二点鎖線)で示すように、役物用入賞口92を閉鎖する位置(第一姿勢)にある場合、主可動片472の被ガイド部478は副可動片474のガイド部477の回動軸473に接近する端部に位置している。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に大きく重なるように位置している。また、図示は省略するが、この状態では、ソレノイド331のプランジャが没入端に位置した状態となっている。
この状態から可動片456を、ソレノイド331の駆動によって駆動軸471を回動(図中反時計回り)させ、図中実線で示すように、役物用入賞口92を開放する位置(第二姿勢)に回動させた場合、駆動軸471の回動により主可動片475が回動すると、被ガイド部478がガイド部477を介して副可動片474を回転方向に押し、これによって副可動片474が主可動片472と同じ方向に回動する。
その際に、主可動片472の被ガイド部478は、副可動片474のガイド部477内を回動軸473から遠ざかる方向に移動する。そして、これら主可動片472及び副可動片477が共に同図において実線で示す位置まで回動すると、ソレノイド331のプランジャの伸長端に達し、回動駆動が停止され、可動片456の回動動作が停止する。この状態では、図示するように、主可動片472の誘導部476が副可動片474の誘導面479上に重なる部分が少なくなり、誘導部476が誘導面479よりも外側に飛出した位置となる。
このように、この可動片456は、開閉作動させることで、主可動片472の誘導部476が副可動片474のガイド部477に沿って相対移動し、可動片456を開くと、誘導部476が副可動片474の誘導面479の先端よりも外側に突出した位置に移動するので、可動片456自体が長くなったように見える。しかしながら、可動片456の回転中心である駆動軸471を中心として最も外側端部までの長さ、換言すれば、主可動片472自体の長さは、変化しないので、現実には可動片456の長さは変化していない。つまり、回動させることで誘導部476と誘導面479との位置が変化するようにすることで、あたかも可動片456の長さが変化したような錯覚を遊技者に与えることができるようになっている。
これにより、可動片456が開動作した時に、可動片456が長くなったように錯覚させることができるので、遊技球が役物用入賞口92に入賞し易いものと思わせることが可能となり、数ある遊技機の中から取り分け本実施形態のパチンコ機1で遊技したいと思わせることができると共に、入賞への期待感が高められ興趣を高めることができる。なお、実際には、開放された一対の可動片456の開口幅は変化しないので、見た目よりは入賞する割合は増加せず必要以上に興趣が高くなるのを抑制すると共に、ホール側の負担が増加するのを抑制することができるようになっている。
なお、上記の可動片456では、ソレノイド331におけるプランジャの没入端と伸長端とによって、駆動軸471の回動端つまり可動片456の回動端が規制されたものを示したが、被ガイド部478は、ガイド部477の両端部に当接することで可動片456の回動端が規制されるものとしても良いし、プランジャ及びガイド部477の両方により回動端が規制されるものであっても良い。
(第一転動演出装置について)
次に、第一転動演出装置95について、図28乃至図31に基づいて詳細に説明する。図28は、第一転動演出装置を概略構成で示す正面図である。図29は、第一転動演出装置の動作を示す説明図である。図30は、第一転動演出装置における遊技媒体の動きを示す説明図である。図31は、第一転動演出装置におけるモータの動作を示すタイムチャートである。
この第一転動演出装置95は、図25、図26及び図28に示すように、左右方向に延び上面に遊技球が転動可能な転動面490を有した長尺状のガイド部材491と、ガイド部材491を回動可能に支持する回動支持軸492と、ガイド部材491を回動駆動させる回動駆動手段493と、ガイド部材491の回動状況を検出する回動検出センサ494とを備えている。
ガイド部材491は、転動面490から遊技球が前側(遊技機に対して遊技者側)に落下するのを防止する堰部495が転動面490の略全長に亘って設けられている。また、転動面490はその前側が低くなるように前後方向において傾斜しており、これにより、転動面490上に投入された遊技球Bが堰部495に沿って転動すると共に、ガイド部材491の後側に配置された受渡口458などに遊技球Bが当接するのを防止するようになっている。
回動駆動手段493は、モータ332と、モータ332の回転により作動するクランク部496と、クランク部496の動きをガイド部材491の一端に設けられたピン497に伝達させるリンク部498とから構成されている。図29に示すように、モータ332を所定方向に回転させることで、ガイド部材491は、クランク部496、リンク部498を介して、回動支持軸492周りをシーソー状に揺動するようになっている。なお、図示は省略するが、モータ332とクランク部496との間にはギアを介在しており、本例では、モータ332を一回転させると、ガイド部材491が、二往復シーソーのように揺動するようになっている。
ガイド部材491のピン497とは回動支持軸492を挟んで反対側の端部には、回動検出センサ494により検出可能な回動検出部499が設けられている。図29に示すように、この回動検出センサ494は、ガイド部材491が略水平位置となると回動検出部499を検出するような位置に配置されている。
続いて、第一転動演出装置95における、遊技球Bの動作について図30を基に詳細に説明する。なお、便宜上、反時計回りの回転を正とし、時計回りの回転を負として説明する。ガイド部材491は、モータ332の回転により、所定周期でシーソーのように揺動を繰り返しており、その状態で、ガイド部材491の転動面上に遊技球Bが供給される。この時、例えばガイド部材491が同図(ア)に示すように、図中右側が低くなるように傾斜している場合、ガイド部材491上に供給された遊技球Bは、重力によりガイド部材491の右側端部の方向に転動する。その後、ガイド部材491が正の方向に揺動してその右側端部が回動支持軸492よりも高くなると、遊技球Bはその転動する方向を折り返して、回動支持軸492の方向に転動する(同図(イ)参照)。なお、遊技球Bには、その転動する方向に慣性力が働くので、ガイド部材491の傾斜方向が変わっても、その遊技球Bの転動方向は、すぐには変わらない。
そして、遊技球Bが回動支持軸492に到達する前に、ガイド部材491が負の方向に揺動して右側端部が回動支持軸492よりも低くなると、遊技球Bは再び転動する方向を折り返して、ガイド部材491の右側端部の方向へ転動する(同図(ウ)参照)。その後、ガイド部材491が正の方向に揺動してその右側端部が回動支持軸492よりも高くなると、再度転動する方向を折り返して、遊技球Bが再び回動支持軸492の方向へ転動する(同図(エ)参照)。この時、遊技球Bの転動の折り返し位置は、前回の折り返し位置よりも、ガイド部材491の右側端部に近い位置となる。これは、遊技球Bがガイド部材491の揺動と共に回動支持軸492を中心として回動するので、遊技球Bには、回動支持軸492から遠ざかる方向に遠心力が作用しており、これによって、遊技球Bが回動支持軸492の方向へ移動する距離よりも、ガイド部材491の端部の方向へ移動する距離の方が長くなるためである。
上記のように、ガイド部材491がシーソー状に揺動することで、ガイド部材491上の遊技球Bが往復動すると共に、徐々にガイド部材491の端部へと移動し、やがてガイド部材491の端部から放出される(同図(キ)参照)。なお、遊技球Bが放出される過程において、同図(オ)及び(カ)に示すように、ガイド部材491の右側端部の近傍まで転動した遊技球Bが、回動支持軸492の方向へ折り返すような場合もあり、この遊技球Bが放出されそうでされないような動きにより、遊技者に、ハラハラ、ドキドキさせて抑揚に富んだ演出が可能となっている。なお、上記では、ガイド部材491の回動支持軸492よりも右側における遊技球Bの動きを示したが、回動支持軸492よりも左側においても遊技球Bは同様の動きをするものである。
ところで、本例では、モータ332の回転が、図31に示すように、所定の周期で停止するようになっている。具体的には、回動検出センサ494により回動検出部499を所定回数(ここでは4回)検出する毎に、その検出から所定時間後に、モータ332を所定時間停止させることで、ガイド部材491が、右側端部が高くなった位置で所定時間停止するようになっている(図29(A)参照)。これにより、図30(カ)に示すように、回動支持軸492の右側で往復動する遊技球Bを、回動支持軸492の左側へ移動させ、その左側において遊技球Bを往復動させて、ガイド部材491の左側端部から遊技球Bを放出させることができる。
なお、この第一転動演出装置95では、ガイド部材491の長さ、回動角度、回動速度は、ガイド部材491上に供給される遊技球Bの移動速度、移動方向、等が所定の条件を満たす時に、ガイド部材491上を遊技球Bが往復動するようにしており、その条件以外で遊技球Bが供給されると、ガイド部材491上を往復動することなく、何れかから放出される。
また、上記のモータ332の駆動については、詳細は後述する主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで制御される。
(第二転動演出装置について)
次に、第二転動演出装置100について、図32及び図33に基づいて詳細に説明する。図32(A)は第二転動演出装置の構成を示す斜視図であり、(B)は、第二転動演出装置における押打部駆動手段の構成を示す背面図である。図33は、第二転動演出装置における可動演出の状況を示す正面図である。
この第二転動演出装置100は、図示するように、役物91において、ガイド部材491の左側に配置されている。つまり、遊技球が打ち込まれる遊技領域において、その左右方向の中心に対して左側に配置されている。この第二転動演出装置100は、遊技球と当接することで遊技球を左右方向へ押打可能な押打部531と、押打部531が遊技球を押打するように押打部531を移動させる押打部駆動手段532とを備えている。また、第二転動演出装置100には、上記のキャラクタ体455とは異なる態様のキャラクタ体533を更に備えており、このキャラクタ体533の足534が押打部531とされている。
押打部駆動手段532は、押打部531を回動可能に支持すると共に回動駆動させるための回動軸535と、回動軸535に固定された第一ギア536と、第一ギア536と噛合する扇状の第二ギア537と、第二ギア537の回転中心から所定距離離れた位置に配置されたクランクピン538と、クランクピン538を摺動可能に保持するクランクピンホルダ539と、クランクピンホルダ539をプランジャ540の出没により所定方向に移動させる押打用ソレノイド325とを備えている。この押打部駆動手段532は、押打用ソレノイド325によりプランジャ540を出没させることで、回動軸535を回動させて、キャラクタ体533の足534と共に押打部531を回動させて移動させるものである。なお、本例では、プランジャ540が押打用ソレノイド325に没入すると足534が上がり、プランジャ540を進出させると足534が下がるようになっている。
続いて、第二転動演出手段100の動作について説明する。この第二転動演出装置100は、役物用入賞口92のカウントセンサ319により遊技球が検出されると、押打用ソレノイド325により、押打部531を、図25中二点鎖線で示す位置まで回動させて、遊技球を押打することが可能となる。具体的には、カウントセンサ319により遊技球が検出されてから所定時間後(例えば、0.5〜2.5秒後)に押打部531を回動させる。これにより、役物用入賞口92に進入した遊技球が、ガイド部材491上を揺動した上で第二転動演出手段100により押打可能な押打領域に到達する頃に、押打部531が回動するので、押打部531により遊技球を押打することができる。なお、実際には、遊技球が第二転動演出装置100に到達する到達時間が区々となるので、押打部531が作動するタイミングと、遊技球が到達するタイミングとが一致し難く、ガイド部材491上を揺動する遊技球の動きに、一層、ハラハラ、ドキドキさせて興趣を高めることができる。
なお、この第二転動演出装置100は、押打部531により押打した遊技球を、第四転動演出装置102に送ると共に、押打されずに押打領域を通過した遊技球を、第二転動演出装置100の下側に配置されたハズレ入賞口94から、遊技領域外へ排出するようになっている。
また、上記の押打用ソレノイド325の駆動については、詳細は後述する主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで制御される。
(第三転動演出装置について)
次に、第三転動演出装置101について、図34乃至図37に基づいて詳細に説明する。図34(A)は第三転動演出装置の断面図であり、(B)は第三転動演出装置の分解斜視図である。図35は、役物における第三転動演出装置近傍を拡大して示す正面図である。図36は、第三転動演出装置の動作を示す説明図である。図37は、第三演出装置の図36とは異なる動作を示す説明図である。この第三転動演出装置101は、第一転動演出装置95又は第二転動演出装置100から送られた遊技球を、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに振り分けて導くものである。
この第三転動演出装置101は、遊技球を収容可能な複数の収容部550と、それら収容部550を周方向に複数配置した回転体552と、回転体552を回転させることで収容部550を移動させる移動手段551とを備えている。この移動手段551は、回転体552を回転駆動させるための回転軸553と、回転軸553に固定され回転体552の回転位置を検出するための回転検出部554と、回転軸553を回転駆動する回転体用モータ326とを備えている。なお、本例では、回転体用モータ326から回転軸553への回転伝達は、一組のギア555を介して伝達されるようになっている。また、本例では、収容部550が基本的に、その前方側と、回転体552の半径方向外側が開放された形態とされている。
この第三転動演出装置101には、回転体552の後方側(遊技者が位置する側とは反対側)に配置され、大当り入賞口93を有し、大当り入賞口93に入球した遊技球を大当り入賞センサ330へ導く大当り誘導部556と、回転体552の外周を覆うと共にその周方向の所定位置にハズレ入賞口94を有し、ハズレ入賞口94に入球した遊技球をハズレ入賞センサ329へ導くハズレ誘導部557とを更に備えている。なお、本例では、ハズレ誘導部557は、ハズレ入賞口94を有し回転体552の外周を覆ってその半径方向外側が開放された収容部550から遊技球がその半径方向外側へ移動するのを阻止する筒状部558と、ハズレ入賞センサ329へ遊技球を導く誘導部559とが、夫々別部材により構成されている(図36及び図37参照)。
収容部550は、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの短い第一収容部550aと、第一収容部550aよりも、少なくとも遊技球の長さ分、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの長い第二収容部550bとからなっており、本例では、第一収容部550aと第二収容部550bとが、夫々四つずつ回転体552の周方向に交互に配置されている。なお、収容部550では、第二収容部550bの一つが、遊技球を大当り入賞口93へと導く特定収容部550cとされており、この特定収容部550cは、回転体552の前後方向に開放されると共に、半径方向には開放されていない形態とされている。また、特定収容部550c以外の収容部550は、全て遊技球をハズレ入賞口94へと導くものとされている。
回転体552は、第一収容部550aよりも中心側の位置において、前方側に所定量突出した突出部560が形成されており、この突出部560においても、その半径方向の外側から連続するように第二収容部550bが設けられている。つまり、回転体552の突出部560には、第二収容部550bが備えられている。なお、本例では、図34(B)に示すように、回転体552の突出部560は、特定収容部550cと共に、回転体552の本体とは別部材により構成されている。また、回転体552は、その軸の延出方向が、遊技盤5に対して略直角方向とされている。
この第三転動演出装置101には、全ての収容部550、つまり、第一収容部550a及び特定収容部550cを含む第二収容部550bで遊技球の収容が許容される第一収容領域と、特定収容部550cを含む第二収容部550bのみが遊技球の収容を許容される第二収容領域とを仕切る仕切り部561を更に備えている。この仕切り部561は、図35に示すように、回転体552の突出部560を挿通可能な挿通孔562と、挿通孔562の下側に配置され回転体552における第一収容部550aに望むように扇状に開口する開口部563とを有し、回転体552の前面に配置される板状の仕切り板564から構成されている。また、仕切り部561には、挿通孔562の略外周に沿うように前方に延びだし挿通孔562に挿通された回転体552の突出部560の外周を所定範囲覆う被覆部565が更に備えられている。この仕切り部561は、図35に示すように、挿通孔562の図中左側に、仕切り板564から前方に延び、ガイド部材491からの遊技球を挿通孔562へ導くL字形状の壁部566を更に備えている。なお、本例では、仕切り板564が略透明な素材により形成されており、仕切り板564を介して回転体552が見えるようになっている。
この第三転動演出装置101は、仕切り部561により挿通孔562に回転体552の突出部560を挿通させることで第一収容領域が形成される共に、その下側の開口部563により第二収容領域が形成されるようになっている。つまり、ガイド部材491からの遊技球が回転体552の突出部560に備えられた四つの第二収容部550bの何れかに収容されるようになっていると共に、押打部531により押打された遊技球が回転体552の8つの収容部550(第一収容部550a及び特定収容部550cを含む第二収容部550b)の何れかに収容されるようになっている。
なお、本例では、第二収容部550bの一つが大当り入賞口93へ遊技球を導く特定収容部550cとされているので、その特定収容部550cに遊技球が収容される確率は、ガイド部材491から流出したものが1/4、押打部531により押打されたものが1/8の確率となっている。
続いて、第三転動演出装置101の動作について説明する。この第三転動演出装置101は、遊技球の収容部550を有した回転体552が、回転体用モータ326により、時計回りに所定速度で回転させられている。そして、回転体552を回転させた状態で、遊技球が供給されると、何れかの収容部550に収容される。例えば、ガイド部材491の右側端部から流出した遊技球の場合は、仕切り部561により回転体552の突出部560に配置された四つの第二収容部550bの何れかに収容された後に、回転体552の回転に伴って遊技球が移動し、その第二収容部550bが回転体552の中心よりも下側に位置すると、遊技球は、第二収容部550bにおいて回転体552の半径方向外側の位置に移動する。一方、押打部531により押打された遊技球の場合は、第四転動演出装置102及び仕切り部561の開口部563を介して、回転体552における全ての収容部550の何れかに収容された後に、回転体552の回転と共に、回転体552の半径方向外側の位置に保ったまま移動する。
そして、遊技球が特定収容部550cに収容された場合は、図36に示すように、回転体552の回転に伴って時計回りに移動し、大当り入賞口93が開口する位置に達すると、特定収容部550cはその後方側が開放されているので、そこから遊技球が大当り入賞口93に入球し、大当り誘導部556を通って大当り入賞センサ330に検出された後に遊技領域外へ排出される。なお、特定収容部550cは、半径方向外側には開放されていないので、ハズレ入賞口94に到達しても入球することはない。
一方、遊技球が特定収容部550c以外の収容部550に収容された場合は、図37に示すように、回転体552の回転に伴って時計回りに移動し、ハズレ誘導部557の筒状部558に開口するハズレ入賞口94に達すると、これらの収容部550は、半径方向に開放されているので、そこから遊技球がハズレ入賞口94へと入球し、ハズレ誘導部557を通ってハズレ入賞センサ329に検出された後に遊技領域外へと排出される。なお、特定収容部550c以外の収容部550は、その後方側が開放されていないので、その収容部550が大当り入賞口93に到達しても入球することはない。
このように、第三転動演出装置101は、回転体552に複数の収容部550を備えて、供給された遊技球を特定収容部550c又はそれ以外の収容部550の何れかに収容させることで、遊技球を大当り入賞口93又はハズレ入賞口94に誘導して振り分けることができる。これにより、特定収容部550cに収容されることで大当りが得られるので、供給された遊技球が、特定収容部550cに収容される否かに重大な関心を寄せ、遊技球の動きと回転体552の回転により遊技球が収容されるまでの間、ハラハラ、ドキドキさせて、興趣を高められるものとなっている。
また、上記の回転体用モータ326は、通常では高速回転しており、回転体552の特定収容部550cに遊技球が確実に収容されるように狙って遊技を行うことが困難となっているが、役物91への遊技球の入賞がカウントセンサ319によって検知されると、回転速度が低速回転に変更するように構成されている。回転体552を低速で回転させることで、遊技球を特定収容部550c又はそれ以外の収容部550の何れかに確実に収容させることができると共に、遊技球が特定収容部550cに収容されるか否かを遊技者に確実に視認できるようにして、遊技球の挙動を見て楽しませることができる。なお、回転体用モータ326の駆動については、詳細は後述する主基板310における主制御基板131のCPU314において、所定のプログラムを実行することで制御される。
(第四転動演出装置について)
次に、第四転動演出装置102について詳細に説明する。この第四転動演出装置102は、図25及び図26に示すように、第二転動演出装置100における押打部531により押打された遊技球を、第三転動演出装置101へと案内するものである。
この第四転動演出装置102は、図示するように、ガイド部材491の下方に配置され、第二転動演出装置100側から第三転動演出装置101側へ緩く傾斜するように延びる案内面571を有している。この案内面571は、ガイド部材491と略同じ長さとされていると共に、その下流側先端には、第三転動演出装置101の開口部563の下縁形状と一部が略一致するような円弧状の揺動面572が設けられている。
この第四転動演出装置102では、第二転動演出装置100からの遊技球を、所定長さの案内面571上を転動させることで、遊技球の動きを認識できるようにしており、これにより、遊技球が第三転動演出装置101に到達するタイミングが、第三転動演出装置101における回転体552の回転による特定収容部550cに収容されるタイミングとなるか否かを楽しませるようになっている。また、案内面571の先端に揺動面572が設けられているので、遊技球はその揺動面を揺動した後に回転体552に備えられた収容部550に収容されるので、その遊技球の揺動具合によって、収容部550に収容されるタイミングが区々となるので、遊技者をハラハラ、ドキドキさせて楽しませることができるようになっている。
なお、本例では、案内面571を滑らかな面としたものを示したが、案内面571に複数の凹凸を設けて、案内される遊技球の動きに変化を付けて、その動きを楽しませるようにしても良い。
(整流手段について)
次に、整流手段について詳細に説明する。本例の整流手段は、図25及び図26に示すように、ガイド部材491の左側端部の左斜め下には、ガイド部材491の左側端部から放出された遊技球を受けて、その動きを整流させる第一整流手段500aが備えられている。この第一整流手段500aは、その左側に上下方向に延びる仕切り部501と、仕切り部501の下端に遊技球を受けると共に役物91の奥へと導く受部502と、受部502の下側に配置され受部502により受けられた遊技球を遊技領域へと流出させる流出口503とを備えている。この第一整流手段500aにより受けられた遊技球は、仕切り部501及び受部502により整流され、流出口503からその下方に配置された第二転動演出装置100に送られるようになっている。
また、ガイド部材491の右側端部の右斜め下には、ガイド部材491の右側端部から放出された遊技球を受けて、その動きを整流させる第二整流手段500bが備えられている。この第二整流手段500bは、上部が開放されたカップ形状とされており、この第二整流手段500bに受けられた遊技球は、渦巻状に回転しながら整流され、第三転動演出装置101に送られるようになっている。なお、第二整流手段500bは、図示するように、第三転動演出装置101の上方に配置されたキャラクタ体504のどんぶりとされており、そのどんぶり内で遊技球を旋回させることで、面白味を増させている。
これら第一整流手段500a及び第二整流手段500bにより、ガイド部材491により振り分けられた遊技球が整流されて、スムーズに下流の第二転動演出装置100や第三転動演出装置101へ受け渡しできるようになっている。
なお、本例の第二整流手段500bは、第三転動演出装置101の仕切り部561の一部が備えられており、第二収容領域へ遊技球を確実に誘導できるようになっている。
(ワープ通路について)
次に、ワープ通路について詳細に説明する。図25及び図26に示すように、ワープ通路510は、役物用入賞口92の左右に配置され、遊技盤5を流下する遊技球を受けるワープ入口511と、ワープ入口511から入った遊技球をガイド部材491と当接することなく、ガイド部材491の下方に導く誘導路512と、誘導路512により導かれた遊技球を第四転動演出装置102と当接することなく遊技盤5に放出させるワープ出口513とを備えている。なお、ワープ入口511は、役物用入賞口92の可動片456が開いた状態では、その上方が略覆われるような位置及び大きさとされている。
このワープ通路510は、ガイド部材491の上方において、役物用入賞口92に入賞しなかった遊技球をワープ入口511によって受け取るようになっており、受渡口458以外からガイド部材491に遊技球が供給されないようになっている。これにより、ガイド部材491及び第四転動演出装置102上を揺動及び転動する遊技球に、無用に他の遊技球が当接して、遊技球の揺動や転動を阻害しないようになっている。
上述のように構成された役物91では、役物91に入賞した遊技球が、概ね、次のような振分確率でその移動先が振分けられるように設定されている。まず、第一転動演出装置95によって、第二転動演出装置100側に4/5の確率で振分けられ、第三転動演出装置101側に1/5の確率で振分けられる。そして、第二転動演出装置100に到達した遊技球は、第二転動演出装置100のハズレ入賞口94に3/4の確率で振分けられ、第三転動演出装置101に1/4の確率で振分けられる。そして、第三転動演出装置101によって、第一転動演出装置95から直接到達した遊技球については、第三転動演出装置101の大当り入賞口93に1/4の確率で振分けられ、第三転動演出装置101のハズレ入賞口94に3/4の確率で振分けられる。一方、第二転動演出装置100を経由して到達した遊技球については、第三転動演出装置101の大当り入賞口93に1/8の確率で振分けられ、第三転動演出装置101のハズレ入賞口94に7/8の確率で振分けられる。よって、この役物91では、役物91に入賞した遊技球が、第二転動演出装置100を経由して大当り入賞口93に到達する確率は、
「(4/5)×(1/4)×(1/8)=1/40」
となり、第二転動演出装置100を経由せずに大当り入賞口93に到達する確率は、
「(1/5)×(1/4)=1/20」
となり、トータルでは、
「(1/40)+(1/20)=3/40」
となる。すなわち、役物91内にて振分抽選が行われて、大当り入賞口93に遊技球が到達して当選となる確率は、3/40に設定されている。
ところで、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞によって行われる電気的抽選手段では、当選となる確率が1/200、第一種落選となる確率が198/200、第二種落選となる確率が1/200と夫々設定されている。
なお、役物91を用いて構成された機械的抽選手段の当選確率と、電気的抽選手段の当選確率とを対比する場合、上述の役物91の振分抽選の当選確率と電気的抽選手段の当選確率とを単純に対比することはできない。何故ならば、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞によって1つの遊技球が役物91に確実に入賞するとは限らず、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞に基づいて役物用入賞口92が開動作する確率と、役物用入賞口92が開動作した際に遊技球が役物91に入賞する確率とを加味しなければならないからである。
ここで、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞に基づいて役物用入賞口92が開動作する確率は、電気的抽選手段の抽選結果が第一種落選となる確率であり、上述の通り198/200である。また、役物入賞口92周辺の障害釘の調整によって設定値を変更することはできるが、工場出荷時点、すなわち、障害釘が全て遊技盤5の盤面に対して垂直に立設された状態にて、本例では、1回の役物用入賞口92の開動作にて1/4の確率で遊技球が役物91に入賞するように設定されている。よって、これらを考慮すると、第一始動入賞口96への遊技球の入賞を契機として行われる機械的抽選手段の当選確率は、役物用入賞口92の開動作が1回であることから、
「(198/200)×(1/4)×(1)×(3/40)=594/32000」(概ね1/54)
となり、第一始動入賞口96への遊技球の入賞を契機として行われる機械的抽選手段の当選確率は、役物用入賞口92の開動作が2回であることから、
「(198/200)×(1/4)×(2)×(3/40)=594/32000」(概ね1/27)
となる。
このように、本例のパチンコ機1では、第一始動入賞口96及び第二始動入賞口97といった始動口への遊技球の進入を契機として行われる機械的抽選手段の抽選及び電気的抽選手段の抽選において、当選となる確率が機械的抽選手段の抽選の方が高く設定されているため、遊技中において「大当り」が生じる現象は、機械的抽選手段での抽選により生じる頻度が高くなる。よって、電気的抽選手段での抽選によって「大当り」が無用に頻繁に発生することがなく、ハネモノタイプのパチンコ機特有の遊技性が大きく損なわれることがない。なお、上述の具体的な数値は、本発明の実施における一例であり、これら数値については、適宜設定することができる。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図12に基づき説明する。
図12は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出、各種抽選の判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾、音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、始動ゲート口113への遊技球の進入を検知するゲートセンサ317、第一始動入賞口96への遊技球の進入を検知する第一始動口センサ318a、第二始動入賞口97への遊技球の進入を検知する第二始動口センサ318b、役物91への遊技球の進入を検知するカウントセンサ319、大当り入賞口93への遊技球の進入を検知する大当り入賞センサ330、ハズレ入賞口94への遊技球の進入を検知するハズレ入賞センサ329等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、第二始動入賞口97を駆動させる第二始動口駆動装置318c、役物用入賞口92や第一転動演出装置95や第二転動演出装置100や第三転動演出装置101等の役物91の種々の機器を駆動させる役物の各種機器駆動装置91a、特別図柄表示器332、普通図柄表示器112等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353が接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して、装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が各種の装飾ランプ353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。また、図示省略するが、例えば動作するキャラクタ体等の演出用の可動体を具備する態様では、可動体を駆動させるためのモータやソレノイド等の適宜の駆動装置が電飾制御基板337,338等の適宜基板に接続され、駆動が制御される。なお、遊技球の入賞口等に設けられる等して、動作することで遊技の実態(遊技者が遊技媒体を獲得することについての状態)に直接的に影響を与える可動体を具備する態様では、この可動体の駆動装置は、主制御基板131等の主基板310を構成する基板に接続され、駆動が制御される。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
また、周辺基板311(より具体的にはサブ統合基板336)には、操作スイッチ20と、LED等の適宜のランプを用いて構成され、操作スイッチ20に内蔵された操作スイッチランプ21とが接続されている。そして、周辺基板311は、操作スイッチ20の操作状態を監視すると共に、操作状態に応じて、演出表示装置115等の適宜の装置の駆動を制御するものとなっている。また、周辺基板311は、操作スイッチランプ20の作動を制御して、操作スイッチランプ20を点灯させることで、操作スイッチ20による操作を受け付ける状態であることを遊技者に報知し、消灯させることで、操作スイッチ20による操作を受け付けない状態であることを遊技者に報知するものとなっている。なお、操作スイッチランプ21を例えば赤色及び緑色等、複数の色で発光するものとし、操作スイッチ20による操作を、例えば、緑色で発光すれば受け付ける状態であり、赤色で発光すれば受け付けない状態である等、発光色の態様によって状態を報知するものとしてもよい。このような操作スイッチランプ21であれば、何れの状態であっても点灯するため、ランプの球切れ等の故障が生じた場合に、これを直ちに発見することができる。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間の通信処理について、詳細に説明する。なお、信号名の先頭に「♯」が付されているものは、負理論であることを意味している。「ハイレベル」は2値信号の2つのレベルのうち「1」レベルを意味し、「ローレベル」は「0」レベルを意味している。
[主制御基板と払出制御基板との通信について]
主制御基板131と払出制御基板197との間では、種々のコマンドがシリアル転送によって送信される。コマンドを正常に受信した基板は、コマンドを送信した基板に対して、正常にコマンドを受け取ったことを伝えるACK(Acknowledge)信号を送信する。主制御基板131から払出制御基板197に対する主なコマンドとしては、遊技球の払い出しに関するコマンドや、払出制御基板197に動作状態の報告を指示するコマンドがある。遊技球の払い出しに関するコマンドとしては、例えば、遊技球の払い出し個数を指定するコマンドの他、遊技球の払い出しの開始を指示するコマンドや、遊技球の払い出しの停止を指示するコマンドなどが考えられる。払出制御基板197から主制御基板131に対する主なコマンドとしては、払出制御基板197の動作状態を伝えるコマンドがある。
図13は、主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。主制御基板131は、主制御基板131における種々の演算処理を行うCPUとして、外部とのシリアル通信機能およびパラレル通信機能を有するCPU314(主CPU)を備える。CPU314には、演算処理を行う演算処理部390と、外部とのシリアル通信を行うシリアル通信ユニットとしてのシリアルIF部391と、外部とのパラレル通信を行うパラレルIF部392とが回路構成されている。払出制御基板197とのコマンドのやり取りは、シリアルIF部391を介して行われ、払出制御基板197とのACK信号のやり取りは、パラレルIF部392を介して行われる。
シリアルIF部391は、演算処理部390からパラレルデータTDaを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ393と、送信バッファレジスタ393に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDabに変換して払出制御基板197にシリアル転送する送信シフトレジスタ394と、払出制御基板197からシリアルデータDbaを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ395と、受信シフトレジスタ395に記憶されたデータを受け取り、該データを演算処理部390によってパラレルデータRDaとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ396と、シリアルIF部391における各部の動作状態を管理するシリアル管理部397とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ393および送信シフトレジスタ394,受信シフトレジスタ395,受信バッファレジスタ396は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部397は、送信シフトレジスタ394および送信バッファレジスタ393に関して、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ393から送信シフトレジスタ394へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ393から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部397は、受信シフトレジスタ395および受信バッファレジスタ396に関して、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ395から受信バッファレジスタ396へのデータの受け渡しを許可し、演算処理部390が受信バッファレジスタ396からパラレルデータRDaを読み出した後に、受信バッファレジスタ396からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIF部391によるシリアル転送の転送レートは、CPU314を動作させるためのクロック信号を分周した信号に基づいて決定される。この転送レートを決定するクロック信号の分周比は、シリアルIF部391が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
演算処理部390は、送信バッファレジスタ393に対して書き込み信号♯WRaを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ393へのパラレルデータTDaの書き込みを行い、受信バッファレジスタ396に対して読み出し信号♯REaを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ396からのパラレルデータRDaの読み出しを行う。
演算処理部390は、シリアルIF部391における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部397から受ける。演算処理部390がシリアル管理部397から受ける信号としては、送信バッファレジスタ393がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEaと、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCaと、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データあり信号DFaとがある。
図13に示すように、払出制御基板197は、払出制御基板197における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信を行う回路が形成されたシリアルIFチップ398と、外部とのパラレル通信を行う回路が形成されたパラレルIFチップ399とを備える。主制御基板131とのコマンドのやり取りは、シリアルIFチップ398を介して行われ、主制御基板131とのACK信号のやり取りは、パラレルIFチップ399を介して行われる。
シリアルIFチップ398は、CPU333からパラレルデータTDbを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ400と、送信バッファレジスタ400に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDbaに変換して主制御基板131にシリアル転送する送信シフトレジスタ401と、主制御基板131からシリアルデータDabを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ402と、受信シフトレジスタ402に記憶されたデータを受け取り、該データをCPU333によってパラレルデータRDbとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ403と、シリアルIFチップ398における各部の動作状態を管理するシリアル管理部404とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ400および送信シフトレジスタ401,受信シフトレジスタ402,受信バッファレジスタ403は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部404は、送信シフトレジスタ401および送信バッファレジスタ400に関して、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ400から送信シフトレジスタ401へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ400から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部404は、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403に関して、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へのデータの受け渡しを許可し、CPU333が受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbを読み出した後に、受信バッファレジスタ403からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIFチップ398がシリアル転送されたコマンドをサンプリングするタイミングは、主制御基板131のCPU314を動作させるためのクロック信号を分周したサンプリングクロックに基づいて決定される。このサンプリングクロックを決定刈るクロック信号の分周比は、シリアルIFチップ398が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
CPU333は、送信バッファレジスタ400に対して書き込み信号♯WRbを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ400へのパラレルデータTDbの書き込みを行い、受信バッファレジスタ403に対して読み出し信号♯RDbを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ403からのパラレルデータRDbの読み出しを行う。
CPU333は、シリアルIFチップ398における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部404から受ける。CPU333がシリアル管理部404から受ける信号としては、送信バッファレジスタ400がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEbと、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCbと、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データ有り信号DFbとがある。
次に、主制御基板131と払出制御基板197との間におけるコマンド転送の際の動作について説明する。本実施形態のパチンコ機1は、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送と、払出制御基板197から主制御基板131へのコマンド転送を行うことが可能である。
[主制御基板のコマンド送信について]
払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作について説明する。図14は、主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理を実現するために所定の間隔(本実施形態では、4ミリセカンド(以下、msと表記))で定時割り込み処理を繰り返し実行し、この繰り返し実行される定時割り込み処理の一環として、払出制御基板197に対してコマンドを送信する場合に、図14に示したコマンド送信処理を実行する。
演算処理部390は、図14に示したコマンド送信処理を開始すると、払出制御基板197に対するコマンドを生成する(ステップS1001)。本実施形態では、払出制御基板197に対するコマンドは、シリアルIF部391の各レジスタの記憶容量である1バイトよりも大きな2バイトのコマンドである。
コマンドを生成した後(ステップS1001)、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1002)。
「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1002)には、生成したコマンドの2バイトのうち上位1バイトである1バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込む(ステップS1003)。その後、予め設定された書込待機期間Lwaの待機を行った後(ステップS1004)、生成したコマンドの残りの下位1バイトである2バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込み(ステップS1005)、コマンド送信処理を終了する。
ここで、書込待機期間Lwaは、送信バッファレジスタ393へのコマンドの1バイト目の書き込みから、この1バイト目が送信シフトレジスタ394へと受け渡しされるまでの期間である送信レジスタ引渡期間Lbsよりも長い期間であり、その定時割り込み処理の終了までに2バイト目の書き込み処理(図14のステップS1005)を実行可能な時間を残す期間であり、次の定時割り込み処理の開始まで長引くような期間ではない。また、書込待機期間Lwaは、コマンドの1バイト目のシリアル転送が完了するまでの期間であるシリアル転送期間Lscよりも短い期間であり、定時割り込み処理の間隔である4msよりも短い期間である。本実施形態では、書込待機期間Lwaは、2.5マイクロセカンド(以下、μsと表記)に設定されている。なお、本実施形態のシリアルIF部391のハードウエア仕様による送信レジスタ引渡期間Lbsは、約1.25μsである。また、2バイト目の書き込み処理(図14のステップS1005)に要する演算処理部390の演算処理時間が、シリアルIF部391の送信レジスタ引渡期間Lbs以上である場合には、図14に示したコマンド待機処理のソフトウエアによる待機処理(ステップS1004)は不要である。
図15は、コマンド送信処理が実行される際の主制御基板131における各信号の様子を示すタイムチャートである。上述したコマンド送信処理にて、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であると判断されると(図14中のステップS1002)、演算処理部390から送信バッファレジスタ393に、パラレルデータTDaとして、コマンドの1バイト目の出力が開始される(タイミングta1)。その後、書き込み信号♯WRaの立ち上がりによって、送信バッファレジスタ393にコマンドの1バイト目が書き込まれる(タイミングta2,図14中のステップS1003)。
送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの1バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされる。送信シフトレジスタ394は、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの1バイト目をシリアルデータDabとして出力する。シリアル転送中のシリアルデータDabには、スタートビットSTに続いて、コマンドの1ビット目D0から8ビット目D7までの各ビットが続き、最後にストップビットSPが出力される。このように、コマンドの1バイト目のシリアル転送が開始されると、シリアル転送中信号TCaはハイレベルとなる(タイミングta3)。
コマンドの1バイト目の書き込み(タイミングta2,図14中のステップS1003)から、書込待機期間Lwaの待機を経た後(図14中のステップS1004)、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393にコマンドの2バイト目が書き込まれる(タイミングta4,図14中のステップS1005)。
この際の送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目をシリアル転送中であり、コマンドの2バイト目を送信バッファレジスタ393から受け取ることができないため、送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの2バイト目を記憶して保持し、送信バッファ空き信号TEaはローレベルとなる(タイミングta4)。
その後、送信シフトレジスタ394によるコマンドの1バイト目のシリアル転送が終了すると、送信バッファレジスタ393は、記憶するコマンドの2バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされ、送信バッファ空き信号TEaはハイレベルとなる(タイミングta5)。
その後、送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの2バイト目をシリアルデータDabとして出力する(タイミングta6〜ta7)。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。本実施形態の主制御基板131は、払出制御基板197に対してコマンドを送信してから所定の期間の間に、払出制御基板197からACK信号の返答がない場合には、コマンドを再送する。
なお、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
なお、本実施形態では、CPU314は、4ミリセカンドの感覚で定時割り込み処理を繰り返し実行するのに対し、シリアルIF部391は、1200bps(Bit Per Second)の転送レートでシリアル転送を実行する。したがって、本実施形態では、シリアルIF部391が2バイトのコマンドをシリアル転送する時間は約16.7msとなり、CPU314は、その間に定時割り込み処理を約4回繰り返し実行することとなる。このように、CPU314は、送信バッファレジスタ393にコマンドを書き込んでしまえば、そのコマンドの払出制御基板197へのシリアル転送をシリアルIF部391に任せることができる。なお、シリアル転送における1200bpsの転送レートは、電気的ノイズに対するコマンド転送の信頼性を確保可能な転送レートであり、また、比較的安価なフォトカプラを用いたアイソレーションによってシリアル転送することが可能な転送レートである。
なお、主制御基板131は、シリアル転送中(送信バッファレジスタ393にコマンドが有る状態)に、制御処理を中断することなく、入賞があれば入賞情報を記憶するなど他の制御処理を実行する。パチンコ機の場合、遊技盤5へと打ち出される遊技球は、1分間に最大100個までと規制されているため、遊技球の打ち出し間隔は約600msである。したがって、遊技球が入賞口に連続して入賞したとしても、主制御基板131は、遊技球の検出情報を滞りなく処理し、賞球コマンドを払出制御基板197にシリアル転送することができる。
[払出制御基板のコマンド受信について]
主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作について説明する。図16は、払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図16に示したコマンド受信処理を実行する。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1101)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1101)には、主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1101)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1102)。その後、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目を読み出し(ステップS1103)、コマンド受信処理を終了する。
図17は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。前述した主制御基板131におけるコマンド送信処理によって、主制御基板131から払出制御基板へと、シリアルデータDabとしてコマンドの1バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの1バイト目が記憶された後、受信バッファレジスタ403にコマンドの1バイト目が受け渡され、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる。
コマンドの1バイト目に続き、シリアルデータDabとしてコマンドの2バイト目が出力されると(タイミングtb3〜tb4)、受信シフトレジスタ402にコマンドの2バイト目が記憶される。この際には、受信バッファレジスタ403からコマンドの1バイト目が読み出されておらず、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされていないため、受信シフトレジスタ402はコマンドの2バイト目の記憶を保持する。
その後、図16に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図16中のステップS1101)、読み出し信号♯REbの立ち下がりによって、パラレルデータRDbとしてコマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb5〜tb6,図16中のステップS1102)。
コマンドの1バイト目の読み出しが完了すると、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb6)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb7)。その後、コマンドの1バイト目と同様にして、受信バッファレジスタ403から、パラレルデータRDbとしてコマンドの2バイト目が読み出される(タイミングtb8〜tb9,図16中のステップS1103)。なお、説明の便宜上、図17では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されているが、実際には、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間は、CPU333の演算処理時間に比べて相当の時間を要する。したがって、図16に示したコマンド受信処理は、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。本実施形態の払出制御基板197は、主制御基板131からコマンドを受信してから所定の期間の間に、主制御基板131に対してACK信号を送信する。
なお、本実施形態では、シリアルIFチップ398のサンプリングタイミングは、転送レート(1200bps)の16倍である19.2キロヘルツ(kHz)に設定されている。本実施形態では、シリアルIFチップ398は、スタートビット,コマンドの各データビット,ストップビットのビット毎に、それぞれ3回のサンプリングを行い、この3回のサンプリングで検出された値を多数決判定することによって、コマンド受信の信頼性の向上を図っている。
なお、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、CPU333に代えて演算処理部390、受信シフトレジスタ402に代えて受信シフトレジスタ395、受信バッファレジスタ403に代えて受信バッファレジスタ396が、それぞれ上述した払出制御基板197の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
上記の構成のように、演算処理部390から出力されてシリアルIF部391からシリアル転送されるコマンドを、1バイト等、適宜設定した情報量の単位コマンドに分けて、各単位コマンドをシリアルIF部391の送信バッファレジスタ393と送信シフトレジスタ394とに分担して格納することで、主制御基板131のCPU314が1回の定時割り込み処理を行う間に、2バイト等で構成されたコマンド全体をシリアルIF部391に格納することができ、主制御基板131のCPU314がコマンドのシリアル転送に関わる期間を短縮することができる。その結果、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。したがって、コマンドを分割してシリアル転送する場合における円滑な遊技制御を実現することができる。
ところで、上記の払出制御基板197では、CPU333,シリアルIFチップ398及びパラレルIFチップ399を備えたものを示したが、以下に示すような構成としても良い。具体的には、図18に示すように、払出制御基板197を、払出制御基板197において種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信およびパラレル通信を行う回路が形成されたシリパラIFチップ405とを備えるものとしてもよい。このシリパラIFチップ405には、主制御基板131のパラレルIF部392とパラレル通信をするパラレルIF部406が備えられている。なお、図18は、図13に示すものとは異なる主制御基板131および払出制御基板197の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。また、上記以外の構成については、図13に示したものと同様の構成であり、同一の符号を付してある。
図18に示す払出制御基板197のシリアル管理部407は、図13に示したような、受信バッファレジスタ403のデータを、CPU333による読み出しによって消去するシリアル管理部404とは異なるものであり、CPU333からのバッファクリア信号#CBbに基づいて、受信バッファレジスタ403からデータを消去するものである。
[図18における主制御基板のコマンド送信について]
払出制御基板197に対してコマンドを送信する主制御基板131の動作について説明する。図19は、主制御基板131の演算処理部390が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板131の演算処理部390は、遊技の進行を制御する処理の一環として、図19に示したコマンド送信処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
演算処理部390は、図19に示したコマンド送信処理を開始すると、ジョブフラグFjの値を判断する(ステップS1201)。ジョブフラグFjは、コマンド送信処理における状態を示すフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
「ジョブフラグFj=0」の場合には、払出制御基板197に対するコマンドを出力するためのコマンド出力処理を実行し(ステップS1202)、「ジョブフラグFj=1」の場合には、払出制御基板197からのACK信号を確認するためのACK待ち処理を実行する(ステップS1203)。コマンド出力処理(ステップS1202)、または、ACK待ち処理(ステップS1203)を終了した後、コマンド送信処理を終了する。なお、コマンド出力処理(ステップS1202)、ACK待ち処理(ステップS1203)の詳細については後述する。
図19に示したコマンド送信処理におけるコマンド出力処理(図19中のステップS1202)の詳細について説明する。図20は、コマンド出力処理(図19中のステップS1202)を示すフローチャートである。演算処理部390は。図20に示すコマンド出力処理を開始すると、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1301)。「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1301)には、「チェックフラグFc=1」であるか否かを判断する(ステップS1302)。チェックフラグFcは、払出制御基板197からのACK信号が確認できない場合に、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するためのフラグであり、演算処理部390の起動時には「0」に設定されている。
「チェックフラグFc=1」でない場合であって(ステップS1302)、遊技球の入賞口への入賞がある場合には(ステップS1303)、払出制御基板197に所定の個数の賞品球の払い出しを指示する入賞コマンドの1バイト目を生成する(ステップS1304)。
一方、「チェックフラグFc=1」である場合には(ステップS1302)、チェックフラグFcを「0」に設定し(ステップS1305)、払出制御基板197に対して動作状態の報告を指示するチェックコマンドの1バイト目を生成する(ステップS1306)。なお、主制御基板131は、払出制御基板197からの動作状態の報告を、払出制御基板197から主制御基板131に対するコマンドの形態で受け取る。
入賞コマンドまたはチェックコマンドの1バイト目を生成した後(ステップS1304,S1306)、生成した1バイト目の各ビットを反転して、すなわち、1バイト目のビットのうち、「0」であるビットを「1」とし、「1」であるビットを「0」として、コマンドの2バイト目を生成する(ステップS1307)。本実施形態では、コマンドの1バイト目は、コマンドとしての実質的な意味を持つデータであり、コマンドの2バイト目は、払出制御基板197側でコマンドの正誤を判断するためのデータである。
コマンドの2バイト目を生成した後(ステップS1307)、生成したコマンドを送信する(ステップS1308〜S1310)。この処理(ステップS1308〜S1310)は、図14に示したコマンド送信処理における処理(ステップS1003〜S1005)と同様である。コマンドを送信した後(ステップS1308〜S1310)、ジョブフラグFjを「1」に設定し(ステップS1311)、コマンド出力処理を終了する。
コマンド出力処理においてコマンドの送信が実行される際(ステップS1308〜S1310)の主制御基板131における各信号の様子は、図15に示した主制御基板131における各信号の様子と同様である。
図19に示したコマンド送信処理におけるACK待ち処理(図19中のステップS1203)の詳細について説明する。図21は、ACK待ち処理(図19中のステップS1203)を示すフローチャートである。演算処理部390は、図21に示すACK待ち処理を開始すると、払出制御基板197からACK信号を検出したか否かを判断する(ステップS1401)。ACK信号を検出した場合には(ステップS1401)、ジョブフラグFjを「0」に設定し(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
一方、ACK信号を検出しない場合には(ステップS1401)、コマンドの送信(図20中のステップS1308〜S1310と同様)を終えてから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1403)。この所定の時間は、払出制御基板197からのACK信号の返答を待つ時間であり、本実施形態では、100msに設定されている。所定の時間が経過していない場合には(ステップS1403)、そのままACK待ち処理を終了し、所定の時間が経過した場合には(ステップS1403)、チェックフラグFcを「1」に設定し(ステップS1404)、ジョブフラグFjを「0」に設定した後(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
以上説明した主制御基板131の動作によって、払出制御基板197に対して2バイトのコマンドが送信される。なお、逆に、主制御基板131に対してコマンドを送信する払出制御基板197の動作は、演算処理部390に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板131の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
[図18における払出制御基板のコマンド受信について]
主制御基板131からのコマンドを受信する払出制御基板197の動作について説明する。図22は、払出制御基板197のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板197のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板131からのコマンドを受信する場合に、図22に示したコマンド受信処理を実行する。なお、図22に示したコマンド受信処理は、図16に示したコマンド受信処理と同様に、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1501)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1501)は、主制御基板131から払出制御基板197に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。なお、受信データ有り信号DFbがハイレベルとなっていなければ、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていないことになるので、以降の処理をスキップして、処理を終了する。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1501)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出した後(ステップS1502)、再び受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1503)。その後、1回目に読み出したコマンドの1バイト目と、2回目に読み出したコマンドの1バイト目とを照合して(ステップS1504)、両者が一致するか否かを判断する(ステップS1505)。
読み出したコマンドの1バイト目が1回目と2回目とで一致する場合には(ステップS1505)、バッファクリア信号♯CBbを立ち下げることによって受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの1バイト目をクリアする(ステップS1506)。これによって、受信シフトレジスタ402に記憶されていたコマンドの2バイト目が、受信バッファレジスタ403に受け渡される。
受信バッファレジスタ403をクリアした後(ステップS1506)、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの2バイト目を、コマンドの1バイト目と同様に、2回の読み出しの後に照合を行い(ステップS1507,S1508,S1509)、1回目と2回目とが一致する場合には(ステップS1510)、受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目をクリアする(ステップS1511)。
その後、読み出したコマンドの1バイト目と、読み出したコマンドの2バイト目とを照合して(ステップS1512)、両者が整合するか否かを判断する(ステップS1513)。なお、前述したように、コマンドの2バイト目は、主制御基板131がコマンドの1バイト目の各ビットを反転して生成したデータである。
読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合する場合には(ステップS1513)、主制御基板131に対してACK信号を送信して(ステップS1514)、コマンド送信処理を終了する。
一方、読み出したコマンドの1バイト目や2バイト目の照合が1回目と2回目とで一致しない場合や(ステップS1505,S1510)、読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合しない場合には(ステップS1513)、次回のコマンド受信に備えるために、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403をクリアして(ステップS1515)、コマンド送信処理を終了する。
図23は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板197における各信号の様子を示すタイムチャートである。なお、説明の便宜上、図23において、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されている。
図22に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図22中のステップS1501)、読み出し信号#REbの立ち下がりによって、パラレルデータRDbとしてコマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb11〜tb12,図22中のステップS1502)。その後、さらにコマンドの1バイト目が、1回目と同様にして読み出される(タイミングtb13〜tb14,図22中のステップS1503)。
コマンドの1バイト目の2回の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb15,図22中のステップS1506)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403ヘとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb16)。
その後、コマンドの2バイト目が、コマンドの1バイト目と同様にして受信バッファレジスタ403から2回、読み出される(タイミングtb21〜tb24,図22中のステップS1507,S1508)。コマンドの2バイト目の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb25,図22中のステップS1511)。
以上説明した払出制御基板197の動作によって、主制御基板131から送信された2バイトのコマンドが受信される。なお、逆に、払出制御基板197からのコマンドを受信する主制御基板131の動作は、最初に説明した例と同様である。
以上、図18から図23に示した構成によれば、主制御基板131における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板131で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。更に、払出制御基板197のCPU333側の都合に応じて受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの消去を行うことができるため、1バイト等、適宜の情報量の単位でシリアル転送されるコマンドに対して、CPU333による取り扱いの容易化を図ることができる。
また、払出制御基板197は、コマンドを重複して読み取り、重複して読み取ったコマンドを照合するため(図22中のステップS1502〜S1505,S1507〜S1509)、受信バッファレジスタ403からCPU333へのコマンドの受け渡しの際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、主制御基板131は、コマンドの1バイト目を反転して2バイト目を生成し(図20中のステップS1307)、払出制御基板197は、コマンドの1バイト目と2バイト目とを照合するため(図22中のステップS1512)、主制御基板131から払出制御基板197へのコマンド転送の際に、ノイズなどの影響によって書き換えられてしまった異常なコマンドに基づいて処理が行われてしまうことを防止することができる。
また、コマンドを受け取った払出制御基板197は、主制御基板131に対してACK信号を送信するため、主制御基板131は、コマンドが正常に転送されたか否かを確認することができる。さらに、主制御基板131は、払出制御基板197からのACK信号の返答がない場合に、払出制御基板197に対してチェックコマンドを送信するため、コマンドが正常に転送されなかった理由が払出制御基板197における異常動作に基づくものであるか否かを判断することができる。
なお、上記図13から図23に示した構成は、サブ統合基板336や電飾制御基板337,338および波形制御基板339などの基板に適用可能であり、或いは、主制御基板131とサブ統合基板336との間のコマンド転送に適用しても良い。主制御基板131からサブ統合基板336に送信されるコマンドとしては、演出表示装置115における表示内容を指示する演出コマンド等、種々のものがある。
また、送信側CPUが生成する2バイト以上のコマンドは、偶数バイトであることとしても良い。これによって、送信側CPUからシリアル通信ユニットに対する1回の定時割込処理あたり2バイト分のコマンドの格納を効率良く実行することができる。例えば、主制御基板131は、表示内容の指示を規定した3バイトの指示コマンドと、この指示コマンドのチェックサムを算出した1バイトのチェックコマンドとから成る計4バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、4バイトの一群のコマンドを2回分に分けて、2回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
また、主制御基板131は、3バイトの指示コマンドと、1バイトのチェックコマンドとの各ビットを反転させた4バイトの反転コマンドも併せて、計8バイトのコマンドを一群のコマンドとして生成し、8バイトの一群のコマンドを4回に分けて、4回の定時割り込み処理にて2バイト毎にシリアル転送することとしても良い。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[始動入賞処理について] 始動入賞処理のルーチンを示す図38に基づき説明する。
この始動入賞処理では、遊技中に第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞、すなわち「始動入賞」が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の第一始動入賞口96及び第二始動入賞口97の夫々に対応する第一始動口センサ318a及び第二始動口センサ318bから検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され、一方、検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101においてYES)、電気的抽選手段の抽選結果の表示を保留している保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM316内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて特別保留球ランプ111の点灯個数が1つ増加される。
また、保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、種々の乱数値があるが、その中には抽選結果判別用乱数値が含まれている。この抽選結果判定用乱数値は、電気的抽選手段により行われた抽選の結果を、当選、第一種落選または第二種落選の何れかに判定するための乱数値である。なお、抽選結果判別用乱数値は、抽選結果に応じて一義的な表示態様で抽選結果を表示する特別図柄表示器332の表示パターン(四つのランプ110における点灯状態の組合わせパターン)を特定するための乱数値としても使用される。また、演出表示装置115にて抽選結果に対応した表示内容や演出内容の演出表示を実行させるために主制御基板131からサブ統合基板336へと出力される制御コマンドとして、複数の制御コマンドの中から適切な制御コマンドを選出するための乱数値としても使用される。そして、取得された各乱数値が例えばRAM316に格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[遊技作動処理について] 始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示す図39に基づき説明する。
この遊技作動処理では、最初に電気的抽選手段の抽選結果の表示についての保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、保留が有ると判断され(YES)、次に特別図柄表示器332における特別図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示器332にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAM316の保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて特図変動設定処理が実行される(ステップS204)。ここでは、抽選結果判別用乱数を用いて、特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。また、併せて、抽選結果判別用乱数値を用いて、演出表示装置115を制御するための制御コマンドが選出される。
特図変動設定処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板131からサブ統合基板336に対して種々の制御コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板336は、受信した制御コマンドに基づいて主制御基板131の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止表示態様、抽選結果、及び演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
そして、遊技作動処理では、最後に抽選結果処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201においてNO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示器332が変動中であったり(ステップS202においてNO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)、及び特図変動設定処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)及び当り判定処理(ステップS206)が実行される。
抽選結果処理(ステップS206)では、当選、第一種落選、第二種落選等、抽選結果に対応してセットされたフラグを参照して、抽選結果に応じた処理を行う。例えば、抽選結果が当選であれば、詳細は後述する「大当り処理」を行い、第一種落選であれば、役物用入賞口92を所定の態様で開動作させるための処理を行い、第二種落選であれば、何らの処理も行わずに処理を終了する。
なお、詳細は省略するが、特別図柄表示器332は、上述の遊技作動処理の特図変動設定処理にて設定された態様にて主制御基板131により制御され、図柄の変動及び図柄の表示を行う。また、演出表示装置115は、上述の遊技作動処理の情報出力処理にて主制御基板131から出力された制御コマンドに応じた態様でサブ統合基板336により制御され、図柄の変動及び図柄の表示を行う。ここで、特別図柄表示器332や演出表示装置115を制御するに際しては、夫々、図柄の変動中であるか否かを監視しており、変動中であれば、新たな変動を開始させずに待機させ、変動が終了していれば、新たな変動を開始して、保留された分の抽選結果の表示を行う。また、大当り状態が発生中の状態においては、演出表示装置115にて、大当りを祝福する適宜の演出表示や、大当りの進行状況を案内する適宜の演出表示が行われている。よって、この場合も、変動中と判断して、特別図柄表示器332においては前回の抽選結果を表示したままの状態を維持させ、新たな変動を開始しないこととしている。また、演出表示装置115においても、当然、新たな変動を開始しないこととしている。
[大当り処理について] 大当り処理の内容を示す図40に基づき説明する。なお、この大当り処理は、電気的抽選手段にて当選した場合及び機械的抽選手段にて当選した場合の双方において共通して行われる処理である。
また、本例のパチンコ機1では、電気的抽選手段にて当選した場合や機械的抽選手段にて当選した場合に遊技者に与えられる有利遊技である「大当り」を、役物用入賞口92が所定パターンで開閉作動するラウンド動作を行う遊技態様としている。また、「大当り」として、複数種類の態様の「大当り」が用意されており、本例のパチンコ機1では、具体的に、1回のラウンド動作を行う「1ラウンド大当り」、7回のラウンド動作を繰り返し行う「7ラウンド大当り」、及び、15回のラウンド動作を繰り返し行う「15ラウンド大当り」といったように、ラウンド数が異なる複数種類の「大当り」が設定されている。また、本例では、1回のラウンド動作中において、役物用入賞口92が所定間隔で18回開動作するか、或いは、役物91に入賞した遊技球の個数が10個に達するか、のいずれかの条件を満たした場合に、1回のラウンド動作を終了することとしている。
また、「大当り」の種類の決定については、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入球タイミング(より具体的には、第一始動口センサ318aまたは第二始動口センサ318bによる遊技球の検出タイミング)、役物用入賞口92への遊技球の入球タイミング(より具体的には、カウントセンサ319による遊技球の検出タイミング)、大当り入賞口93への入球タイミング(より具体的には、大当り入賞センサ330による遊技球の検出タイミング)等の適宜タイミングや、役物91内での遊技球の振り分け先等、適宜事象に基づいて行われた適宜手法の抽選によって決定すればよい。しかしながら、機械的抽選手段の当選による「大当り」と電気的抽選手段の当選による「大当り」とを同等の価値とする場合には、上述の第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入球タイミングを用いた抽選手法等、機械的抽選手段と電気的抽選手段とで共通して用いることができる抽選手法を採用するのが好適である。なお、複数の大当り態様の中から発生させる大当り態様を決定するための抽選を行う構成を、「大当り態様抽選手
段」として捉えることができる。
電気的抽選手段にて行われた抽選の結果が当選と判断されたり、遊技球が役物91内の大当り入賞口93に入球して大当り入賞センサ330により検出されると、内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行される。この大当り処理では、先ず、主制御基板131において、適宜取得された大当り態様決定用の乱数値を用いて大当り態様が決定され、大当り遊技のラウンド回数である設定最大継続回数が設定される(ステップS1701)。本実施形態では、ラウンド回数が、1回、7回、15回の何れかに設定される。なお、大当り態様を決定する際には、具体的に、1回、7回、15回の夫々のラウンド回数の大当り態様が選択される割合が、例えば、ラウンド数1回のものが「1/3」、ラウンド数7回のものが「1/3」、ラウンド数15回のものが「1/3」となる等、大当り態様別に適宜割合で割り振られた選択テーブルを用いて、乱数値に応じた大当り態様が設定される
。
ステップS1701において設定最大継続回数が設定されると、続いて所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS1702)。このラウンドカウンタは例えばRAM内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS1703)、続いて役物用入賞口92の所定態様の開閉作動が開始される(ステップS1704)。そして、次のステップS1705では役物用入賞口92の開閉回数が設定最大回数(例えば18回)以内であるか否かが判断される。開閉回数が設定最大回数内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS1706)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、役物91への遊技球の入賞を検知するカウントセンサ319の検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS1707)。役物91への入賞によりカウントセンサ319がONになると(YES)、次のステップS1708で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS1604の判断が行われる。あるいは、ステップS1707で役物91への入賞がなく、カウントセンサ319がONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS1705の判断が行われる。
1回のラウンド動作中において、役物用入賞口92の開閉作動が設定最大回数である18回に達するか、あるいは役物91への遊技球の入賞数が10個に達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS1705またはステップS1706の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために役物用入賞口92の開閉作動が停止(ステップS1709)される。そして、次のステップS1710でラウンドカウンタの値が、設定された設定最大継続回数に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達していなければ(ステップS1710においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS1711)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS1703)。そして、役物用入賞口92のラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数に達したと判断されると(ステップS1710においてYES)、そこで大当り処理は終了となる。
なお、本例では、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97への遊技球の入賞に基づいて行われる役物用入賞口92の1回または2回の開閉動作をラウンド回数として算入していないが、この開閉動作をラウンド回数に算入してもよい。この場合には、第1ラウンドの処理が、役物用入賞口92を1回または2回で単に開閉動作させる処理となり、上述の大当り処理は、実質的に、第2ラウンド以降での処理となる。
ところで、本例でのパチンコ機1では、「大当り」が終了すると、遊技状態が「特別遊技状態」なるものであり、詳細は省略するが、大当り処理の終了後には、遊技状態変更処理を実行して、パチンコ機1の状態を前述したような所定の態様の特別遊技状態とする。
以上は、「大当り」に関する処理であるが、本例のパチンコ機1は、電チュータイプの第二始動入賞口97を開動作させるための始動口開放抽選、すなわち「当り」に関する抽選を行うものでもある。ここで、「当り」に関する抽選は、遊技中に遊技球が始動ゲート口113を通過したタイミング、より具体的には、始動ゲート口113に設けられたゲートセンサ317での遊技球の検出タイミングに応じて、主制御基板131(特にCPU314)で乱数値を取得して抽選の当選または落選を判定する等して行われるものであり、その抽選手法は、上述の「大当り」に関する電気的抽選手段の抽選と同様に電気的に行われる抽選手法である。よって、詳細な説明は省略する。
また、「当り」の抽選に関しても、その抽選結果の表示を、例えば四つといったように、所定数を保留するものであり、保留数に応じた個数の普通保留球ランプ112bを点灯させることで、遊技者に保留数を報知する。さらに、「当り」に関する抽選の結果については、普通図柄表示器112のランプを、例えば、当選であれば緑色、落選であれば赤色といったように異なる色で発光させる等して、遊技者に報知する。
次に、図41に基づいて、本例のパチンコ機1の機能的構成について以下に説明する。
本例のパチンコ機1において、機能的構成として、主基板310は、電気的抽選手段500、機械的抽選手段510及び始動口開放抽選手段520といったような種々の抽選手段と、演出用コマンド選出手段530と、特別図柄変動制御手段540と、有利遊技状態発生手段550と、特別遊技状態発生手段560と、普通図柄変動制御手段570と、を具備しており、周辺基板311は、演出表示制御手段600を具備している。
電気的抽選手段500は、主基板310(より具体的には主制御基板131)にて所定のプラグラムを実行することで、第一始動入賞口96及び第二始動入賞口97といった始動口への遊技球の進入に基づいて抽選を行うものである。具体的に、本例では、第一始動入賞口96または第二始動入賞口97に遊技球が入賞すると、これを第一始動口センサ318aまたは第二始動口センサ318bが検出し、この検出に応じて乱数生成手段にて生成された乱数値を取得して、この取得した乱数値を用いて判定を行い、抽選結果を「当選」、「第一種落選」または「第二種落選」としている。
機械的抽選手段510は、役物91を用いて構成したものであり、主基板310(より具体的には主制御基板131)にて所定のプラグラムを実行することで、役物91の各種機器を駆動すると共に役物91に入賞した遊技球の最終的な到達先を監視して、役物91内での遊技球の挙動によって行われた抽選の結果を判定するものであり、役物91に入賞した遊技球が最終的に大当り入賞口93に到達すると「当選」とし、遊技球が最終的にハズレ入賞口94に到達すると「落選」とするものである。
特別図柄変動制御手段540は、電気的抽選手段500の抽選結果を特別図柄の表示により明示する特別図柄表示手段541を、他の制御手段を介さずに主基板310によって直接的に制御するものである。なお、特別図柄表示手段541は、電気的抽選手段500によって行われた抽選の結果を表示する電気的抽選結果表示手段の一つである第一表示手段を構成するものであり、具体的には、特別図柄表示器332を用いて構成されている。
また、本例において、特別図柄表示手段541が、演出表示装置115とは別途に「大当り」に関する抽選の結果を明示するのであることから、特別図柄表示手段541での特別図柄の変動開始時期を、演出表示装置115での表示内容の変動開始時期よりも前のタイミングとし、特別図柄表示手段541での特別図柄の変動終了時期を、演出表示装置115での表示内容の変動終了時期よりも後のタイミングとしている。これにより、特別図柄の変動表示の開始時と停止時とにおいて、演出表示装置115での演出表示が行われず、特別図柄の変動表示に対して演出表示装置115での紛らわしい表示を行うことを防止すると共に、演出表示装置115での表示演出中に特別図柄表示手段511によって大当りであるか否かを確認することができないようにし、これにより、演出表示装置115にて、遊技者にとって大いに楽しむことができる効果的な演出を行うことができるようにし
ている。
有利遊技状態発生手段550は、電気的抽選手段500の当選または機械的抽選手段510の当選に応じて役物91の適宜機器を駆動制御して、遊技者に有利な遊技状態である「大当り状態」を発生させるものである。
始動口開放抽選手段520は、主基板310(より具体的には主制御基板131)にて所定のプラグラムを実行することで、始動ゲート口113といった始動開放抽選口への遊技球の進入に基づいて抽選を行うものである。具体的に、本例では、始動ゲート口113を遊技球が通過すると、これをゲートセンサ317が検出し、この検出に応じて乱数生成手段にて生成された乱数値を取得して、この取得した乱数値を用いて判定を行い、抽選結果を「当選」または「落選」としている。そして、始動口開放抽選手段520の抽選結果が当選であれば、第二始動入賞口97を所定態様で開動作させて、遊技球が第二始動入賞口97に入賞し易い状態を形成する。
普通図柄変動制御手段570は、始動口開放抽選手段520の抽選結果を普通図柄の表示により明示する普通図柄表示手段571を、他の制御手段を介さずに主基板310によって直接的に制御するものである。なお、普通図柄表示手段571は、具体的に、普通図柄表示器112を用いて構成されている。
特別遊技状態発生手段560は、遊技状態を変更して所定の態様の特別遊技状態を発生させるものであり、本例においては、「大当り状態」が終了した後の遊技状態を特別遊技状態とするものである。特別遊技状態の下では、普通図柄変動制御手段570が通常とは異なる態様で普通図柄表示手段571を制御する。具体的に、特別遊技状態の下では、始動口開放抽選手段520の抽選結果を普通図柄表示手段571によって表示するに際して、通常の遊技状態よりも短時間で表示するように制御する。また、特別遊技状態の下では、第二始動入賞口97の開動作の態様が、通常の遊技状態よりも、開動作の時間が長く、また、回数も多くなり、遊技球が第二始動入賞口97に、より入賞し易い状態となる。なお、特別遊技状態では、このように第二始動入賞口97の開動作の態様を通常よりも遊技者にとって有利な態様とするに限らず、第一始動入賞口96や第二始動入賞口97等の始動口への遊技球の進入に基づいて開動作する役物用入賞口92の開動作の態様を、時間を長くしたり、回数を多くしたりすることで、役物91に遊技球が入賞し易くして、通常よりも遊技者に有利な状態となるようにしてもよい。また、特別遊技状態は、役物91の各種機器の作動を通常とは異なる態様で制御して、これにより、役物91に入賞した遊技球が大当り入賞口93に到達する確率を通常よりも高確率とした状態であってもよい。
演出用コマンド選出手段530は、周辺基板311の演出表示制御手段600(より具体的には電飾制御基板338)によって演出図柄表示手段601を的確に制御すべく、複数種類の中から適切な制御コマンドを選出して演出表示制御手段600に送信するものである。ここで、演出図柄表示手段601は、電気的抽選手段500の抽選結果を多彩な演出表示を伴って表示するものであり、電気的抽選手段500の抽選結果を表示する電気的抽選結果表示手段の一つである第二表示手段を構成するものである。また、演出図柄表示手段601は、具体的に、演出表示装置115を用いて構成されている。
また、演出用コマンド選出手段530は、主基板310における所定のプラグラムの実行により、上述した「始動入賞処理」にて取得された各種の乱数値等、「始動入賞処理」により得られた情報に基づいて制御コマンドを選出するものとして構成されており、これにより、演出表示装置115は、電気的抽選手段500の抽選結果に合致した演出パターンの演出や表示内容の表示を行うことができる。演出表示装置115を制御すべく主基板310から周辺基板311に送信する制御コマンドとしては、演出表示装置115にて表示させる図柄の種類を特定する情報や複数種類の中から現出させる演出パターンの種類を特定する情報を有する制御コマンドに限らず、具体的な図柄の種類や演出パターンの種類を特定せず、当選であるか、第一種落選であるか、または、第二種落選であるかといった抽選結果を特定する情報を有する制御コマンドであってもよい。また、演出表示装置115にて変動表示する変動時間を特定する情報であってもよい。演出表示装置115にて行われる表示に関して具体的な態様を特定できる情報を主基板310から出力しなくても、抽選結果に応じて演出表示装置115にて矛盾しない表示を行え得る程度の概略の情報を主基板310から周辺基板311に出力さえすれば、周辺基板311にて所定のプログラムを実行することで、主基板310からの情報に基づいて抽選結果に合致した表示を行うように演出表示装置115を制御することができる。
以上、本発明に係る遊技機の一例を示したが、本発明の遊技機は上述の例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、次のように種々の変更が可能である。
上述のパチンコ機1において、電気的抽選手段の抽選結果が落選である場合に、落選の種類を、第一種落選及び第二種落選に加えて第三種落選の3種類とし、電気的抽選手段の抽選結果が第三種落選であると、遊技状態を「特別遊技状態」に変更するようにしてもよい。ここで、第三種落選である場合には、当選の場合や第二種落選の場合と同様に、役物用入賞口92を開動作させずに、遊技状態を通常の遊技状態から特別遊技状態に変更することとし、上述の例と同様な条件を満たした場合に、特別遊技状態を終了させ、遊技状態を通常の状態に戻すこととすればよい。なお、これに限らず、機械的抽選手段または電気的抽選手段による大当りが発生するまでの間、特別遊技状態が継続されるようにしてもよい。また、第三種落選の場合には、第三種落選に対応した表示内容を特別図柄表示器332及び演出表示装置115にて表示することとすればい。
電気的抽選手段の抽選結果が当選、第二種落選または第三種落選であった場合においても、役物入賞口92に開動作を行わせることとしてもよい。この場合には、役物入賞口92に、例えば0.2秒等といったように、上述の第一種落選の時よりも短い時間で開動作を行わせることとするのが望ましい。第一種落選の時よりも役物91に遊技球が入賞し難くなるようにすることで、役物入賞口92の開動作の最中に役物91内に遊技球が入賞して、これにより機械的抽選手段による抽選が無用に行われることを防止できるからである。なお、電気的抽選手段の抽選結果が少なくとも当選である場合には、役物91内に遊技球の入賞があり、この遊技球が大当り入賞口93に到達して機械的抽選手段の抽選が当選となったとしても、大当り状態を発生させないこととするのが望ましい。換言すれば、電気的抽選手段の抽選結果が少なくとも当選である場合には、機械的抽選手段による抽選を無効として処理するのが望ましい。電気的抽選手段の当選による大当りと機械的抽選手段の当選による大当りとを重複して発生させないようにすることで、遊技者に無用に多大な利益を与えることを防止でき、射幸心を無用に高めることを抑制できるからである。
ところで、上記のように役物91による抽選を無効とした場合であっても、役物91への遊技球の入賞があった場合には、この入賞に応じた遊技球の払い出しについては、これを必ず行うこととするのがよい。役物91は入賞装置を構成するものであるため、入賞装置への遊技球の入賞があった場合に、これに応じた払い出しを行わないと、遊技機としての本質的な機能を損なわせることになり、遊技者に不利益を与えてしまうからである。
電気的抽選手段の抽選結果が第二種落選や第三種落選であった場合においても、第一種落選の時と同様に役物91の役物用入賞口92を開動作させて、機械的抽選手段による抽選を受ける権利を与えるようにしてもよい。このようにすることで、電気的抽選手段による抽選の結果が当選でなければ、機械的抽選手段による抽選を受け得ることになるので、従前のハネモノタイプのパチンコ機とより一層、近似した遊技性を有するパチンコ機1とすることができる。
以上、詳細に説明した本発明を適用したパチンコ機によれば、以下のような利点を得ることができる。
第一始動入賞口96や第二始動入賞口97といった始動口への入賞に基づいて役物91の役物用入賞口92が開動作し、この開動作した役物用入賞口92を通じて役物91に遊技球が入賞することで、役物91を用いた機械的抽選手段による抽選が行われ、抽選の結果が当選であると大当りが発生するため、主たる遊技性として、従前のハネモノタイプのパチンコ機と同様な遊技性を確保することができ、ハネモノタイプのパチンコ機を好んで遊技する遊技者にとって、大きな違和感を生じさせることなく遊技を行い得るパチンコ機1とすることができる。
機械的抽選手段の当選により大当りを発生させるのに加えて、電気的抽選手段の当選により大当りを発生させるため、機械的抽選手段による大当りをなかなか獲得できない遊技者に対して、電気的抽選手段の当選によって、大当りといった利益の享受を補填することができ、遊技者に生じる不平等さを払拭させることができる。
特に、上述のパチンコ機1では、始動口への遊技球の入賞に応じて行われた電気的抽選手段の抽選が当選となる確率は低く設定されているので、通常の遊技において、電気的抽選手段による大当りの発生頻度は少なく、主に、機械的抽選手段による抽選を楽しませることができる。また、電気的抽選手段により発生した大当りは、機械的抽選手段により発生した大当りよりも遊技者にとっての価値が高くはないので、電気的抽選手段による大当りの期待度を無用に高めることを防止でき、機械的抽選手段による抽選を楽しませるハネモノタイプのパチンコ機と同様な遊技性を良好に確保することができる。さらに、電気的抽選手段により発生した大当りは、役物91の役物用入賞口92を所定態様で開閉作動させるといたように、機械的抽選手段により発生した大当りと同様あるため、電気的抽選手段により発生した大当りが遊技者に違和感を与え難く、この点からも、ハネモノタイプのパチンコ機と同様な遊技性を良好に確保することができる。
始動口への遊技球の入賞に基づく役物用入賞口92の開動作は、特別図柄表示器332や演出表示装置115を用いた電気的抽選結果表示手段にて電気的抽選手段の抽選結果が表示された後に行われるため、大当りが発生した際には、電気的抽選手段によるものなのか、機械的抽選手段によるものなのかが明確となり、遊技者に疑念を抱かせることなく、大当りを発生させることができる。
機械的抽選手段の当選または電気的抽選手段の当選により大当り状態が発生し、この大当り状態が終了した後においては、遊技機の状態が特別遊技状態となっており、遊技者にとって、電気的抽選手段による抽選及び機械的抽選手段による抽選を受け易い状態となっているため、遊技者に対して大当りを獲得した際の喜びを増大させることができ、興趣を向上させることができる。また、大当り後に特別遊技状態を得ることができたり、或いは、上述の第三種落選を採用した場合には、この第三種落選により特別遊技状態を得ることができることから、従前のハネモノタイプのパチンコ機とは異なる新たな遊技性を持たせることができ、この点からも遊技機としての興趣を向上させることができる。
従前のハネモノタイプのパチンコ機では、始動口に遊技球が短時間で繰り返し入賞した場合に、先発の入賞に関しては、「役物用入賞口92が開動作するといった利益」が遊技者に与えられるものの、後発の入賞に関しては、上記利益が与えられず、始動口への遊技球の入賞に応じて発生させるべき利益を、無効として処理して消滅させている。これに対して、本例のパチンコ機1では、始動口への遊技球の入賞に基づき行われた電気的抽選手段による抽選の結果の表示が所定数、保留されるため、始動口に遊技球が短時間で繰り返し入賞した場合に、後発の入賞に応じて発生させるべき利益を、無用に無効として処理されることがなく、始動口への遊技球の入賞に応じて生じる利益を遊技者に的確に与えることができる。
また、大当り状態が進行中においては、電気的抽選結果表示手段での表示が保留されている抽選結果について、その保留が継続してなされており、大当り状態の終了後に、保留分の表示が順次なされるため、大当り状態の終了後には、上述の特別遊技状態による利益に加えて、大当り状態の発生前及び大当り状態進行中において始動口に遊技球が入賞したことによる得られるべき利益をも与えることができ、この点からも、始動口への遊技球の
入賞に応じて生じる利益を遊技者に的確に与えることができる。しかも、大当り状態の終了後には、保留分の抽選結果の表示に応じて役物用入賞口92が開動作するため、遊技者にとっては、大当り終了後に、速やかに役物91に遊技球を入賞させて機械的抽選手段による抽選を受けることが可能となる。よって、遊技者に、大当り終了後の遊技に期待を抱かせることができることから、従前のハネモノタイプのパチンコ機とは異なる新たな遊技性を持たせることができ、この点からも遊技機としての興趣を向上させることができる。