以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、図5、図11、及び図12に基づき説明する。
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図11及び図12は遊技領域37の構成を示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3、図11、及び図12に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車(図示しない)が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、センター役物91が配設されており、このセンター役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。なお、センター役物91の詳細については後述する。
また、センター役物91の後方には、抽選結果を演出表示する演出表示装置115が設けられている。演出表示装置115は、装飾図柄画像情報、背景画像情報、キャラクタ画像情報等を合成した画像情報を表示可能な適宜の表示装置が用いられる。本実施の形態では、演出表示装置115として液晶表示装置が用いられている。
一方、遊技領域37におけるセンター役物91の下方には、普通図柄始動口96が配置されており、この普通図柄始動口96に遊技球が入球すると、普通抽選を行うとともに、普通図柄を変動表示させるようになっている。また、センター役物91の左側には、普通抽選で当りとなった場合に短時間開放する普通電動役物81を有し、この開放によって遊技球の入賞が可能になる特別図柄始動口82が配設されている。そして、特別図柄始動口82に遊技球が入賞すると、大当り抽選が行われるとともに、特別図柄を変動させるようになっている。ここで、普通図柄始動口96が本発明の始動口に相当する。
また、遊技領域37には、上記の普通図柄始動口96のさらに下方位置にアタッカ装置98が配設されており、このアタッカ装置98は、開閉部材99の下端部分を軸として開閉部材99を前後方向に開閉動作させることにより下部側大入賞口83を開閉させる。なお、普通図柄始動口96、普通電動役物81、特別図柄始動口82、及びアタッカ装置98等の詳細については後述する。ここで、アタッカ装置98が本発明の大入賞装置に相当する。
また、センター役物91の斜め左下には、普通図柄表示器333(詳細は後述する)として機能する三つのLED84と、普通抽選の保留状態を示す四つのLED85(保留球ランプ)とが設けられている。四つの保留球ランプは、普通抽選において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。また、これらの下方には、大当り抽選における抽選結果を表示する特別図柄表示器332(詳細は後述する)として機能する四つのLED86が設けられている。例えば、始動入賞を契機として4つのLED86をいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示する。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLED86の点灯・消灯表示パターンによって、確定した特別図柄を停止状態で表示する。つまり、抽選結果情報がLED86の点灯・消灯によって報知される。なおLED86の点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、主制御基板131(図44参照)により行われる。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えばセンター役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図11参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213Cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[センター役物の具体的な構成について] 図11乃至図16に基づき説明する。
図11は遊技領域37を斜め右上前方から示す斜視図であり、図12は遊技領域37を斜め左上前方から示す斜視図であり、図13はセンター役物91を示す正面図であり、図14はセンター役物91の前側ユニット120と後側ユニット121とを分離した状態を示す分解斜視図であり、図15は前側ユニット120を機能単位で分離した状態を示す分解斜視図であり、図16は後側ユニット121を機能単位で分離した状態を示す分解斜視図である。
図11及び図12に示すように、センター役物91は、額縁状の外観を呈しており、遊技領域37の中央に配設されるとともに、上側から右側に亘る外周部分が、遊技領域37の右側周縁まで延出されている。つまり、センター役物91の右側には、実質的な遊技領域37が形成されておらず、遊技球が通過しないようになっている。なお、センター役物91の大きさは特に限定されるものではないが、本例では、遊技領域37全体の約2/3を占める極めて大きな役物として構築されている。
図13乃至図16に示すように、センター役物91は、前側に配置される前側ユニット120と、その後側に配置される後側ユニット121とに大別されている。前側ユニット120は、遊技領域37から前方に突出した状態で配設されており、遊技領域37と内部空間とを区画する装飾フレーム125を備えている。なお、装飾フレーム125の外周面のうち特に左側の部分には、遊技球を誘導するための誘導壁123が形成され、また、装飾フレーム125の中央には表示窓として機能する開口部124が設けられている。
装飾フレーム125は、表面に装飾が施されており、その左上部には、演出に応じて光を放射する上側電飾体127が配設され、装飾フレーム125の右下部には、上側電飾体127とは別の形態の下側電飾体128が配設されている。さらに、装飾フレーム125の右側には、周面に沿って円弧状に配設された複数の発光手段からなる枠電飾体129が設けられている。
また、装飾フレーム125の上部側は、右上部分が左上部分よりも上方に突出しており、その内側に拡張開口部140が形成されている。この拡張開口部140は、後述する装飾物246や横断誘導部材247を収容する空間として機能しており、開口部124と連通した状態で形成されている。拡張開口部140の左側壁の誘導壁123には、遊技球が入賞可能な大入賞口141が装飾フレーム125の周面を貫通して設けられており、可動片142によって開閉可能となっている。なお、図面では、可動片142によって大入賞口141が閉鎖された状態を示しており、この状態では、大入賞口141に遊技球を入賞させることができないようになっている。可動片142が開放し、大入賞口141に入賞した遊技球は、横断誘導部材247等から構成された誘導通路143によって誘導され、後述する回転式振分装置294に送られる。
また、装飾フレーム125の左側面には、遊技球が入球可能な流入口144(図12参照)が設けられており、流入口144から入球した遊技球を装飾フレーム125の内部に取り入れることが可能になっている。装飾フレーム125の内側底面には、後述するステージ461から流出する遊技球を、普通図柄始動口96に向かって案内する入賞案内部145が設けられている。
以下、装飾フレーム125に組みつけられた上記の各構成についてさらに詳細に説明する。
[上側電飾体127について]
上側電飾体127は、図15に示すように、オートバイのライトを模したものであり、発光可能な比較的大型のヘッドランプ部148と、その両側に配置された小型のサイドランプ部149と、ヘッドランプ部148及びサイドランプ部149を支持するランプ支持部160とを有して構成されている。また、これらの下方を覆うように底面から後方に延出された装飾カバー(図示しない)が設けられている。
[下側電飾体128について]
下側電飾体128は、図15に示すように、所定の文字(例えば「爆」)の形状が切り抜かれた文字盤164と、その後方に配置された反射板(図示しない)、及び発光手段(図示しない)とを有して構成されている。つまり、発光手段の光を、反射板によって乱反射させるとともに、その光を文字盤164に形成された文字窓を通して放射させることにより、文字盤164の文字を光らせることを可能にしている。
[可動片142及びその駆動機構について]
大入賞口141を開閉する可動片142は、上側電飾体127の後方に配設された開閉部材駆動機構184によって回動するように支持されている。つまり、可動片142は、前後方向に延出された支持軸185を中心として回動可能に軸支され、開閉部材駆動機構184によって支持軸185を回動させることにより、起立状態(閉鎖状態)から傾斜状態(開放状態)、または傾斜状態から起立状態に変位させることが可能になっている。開閉部材駆動機構184の詳細について、図17乃至図19に基づいて説明する。図17は可動片142及び開閉部材駆動機構184を斜め左上後方から示す斜視図であり、図18は可動片142及び開閉部材駆動機構184の構成を示す背面図であり、図19は開閉部材駆動機構184の各構成を分離した状態を示す分解斜視図である。
開閉部材駆動機構184は、プランジャー186(図19参照)の先端が下方を向くように配設されたソレノイド187と、プランジャー186の先端に取付けられ上下方向に往復運動するブロック状の往復動部材188と、往復動部材188の上面後端部分から上方(すなわちソレノイド186の後側)に向かって延出され往復動部材188と一体成形された延出部189と、延出部189の往復運動を可動片142の支持軸185に伝達し支持軸185を回転させるリンク機構204とを有して構成されている。なお、往復動部材188の左右両側面には、左右外方向へ突出する一対のフランジ225が形成されており、延出部189の上部側には、前後方向に貫通し左右方向に長い長孔205が穿設されている。
リンク機構204は、長手方向が延出部189の往復運動方向に対して略垂直になるように配設され、右側端部が回動軸200を介して回動可能に軸支されたアーム部201と、延出部189の上端近傍とアーム部201とを連結し、延出部189の直線往復運動をアーム部201の回動運動に変換する運動変換部材202と、アーム部201の先端側(左側端部)と可動片142の支持軸185とを連結し、アーム部201の回動運動を支持軸185に伝達する双眼鏡形状の回動伝達部材203とから構成されている。なお、運動変換部材202は、アーム部201の軸支部分(すなわち回動軸200が接続された部分)と回動伝達部材203が連結された部分との間に連結されている。また、回動伝達部材203は、連結ピン206を介してアーム部201に連結されるとともに、アーム部201の先端から内側(右方向)に向かって延設されている。また、運動変換部材202は、延出部189の上部に形成された長孔205に挿入されており、延出部189が往復直線運動する際、アーム部201の角度に合わせて左右方向に摺動するようになっている。つまり、アーム部201に対する接続点の位置を変えることなく、延出部189の往復直線運動をアーム部201の回動運動に変換させることを可能にしている。なお、延出部189及びソレノイド187は、アーム部201の回動軸200と可動片142の支持軸185との間に配置されており、開閉部材駆動機構184における上下方向の長さが短くなるように構成されている。
ところで、開閉部材駆動機構184には、ソレノイド187が取付けられた基板183(図15参照)と、ソレノイド187及び往復動部材188を挿通させる透孔208を有し基板183全体を後側から覆う透明の第一ケース209と、その第一ケース209の外面から突出して形成され回動軸200の一端側が挿入される筒状の第一軸受部220と、第一ケース209を貫通するとともに第一ケース209の外面から突出して形成され、支持軸185が挿通される第二軸受部221とが備えられている。つまり、第一ケース209に形成された第一軸受部220によって回動軸200が支持され、第二軸受部221によって可動片142の支持軸185が支持されている。また、第一ケース209の前面側の周縁には、第一ケース209を装飾フレーム125の背面に固定するための複数の取付部222が突出して形成されている。
また、図19に示すように、第一ケース209における透孔208の左右周縁には、第一ケース209の外面から後方に突出して形成されたガイド部223が設けられている。このガイド部223における左右方向の内寸は、往復動部材188の両側面に形成された一対のフランジ225間の外寸と略一致する大きさ(厳密に言えば外寸よりも僅かに広い大きさ)に形成されており、ガイド部223の内面がフランジ225の側面に当接するようになっている。つまり、左右一対のガイド部223によって往復動部材188における左右方向への動きが規制され、上下方向へのみ摺動するようになっている。
また、第一ケース209の外面には、開閉部材駆動機構184全体を覆う透明な第二ケース224(図19参照)が組付けられており、ガイド部223の前面側から透孔208内に突出した支え部223aと第二ケース224の先端面とによって、フランジ225を前後方向に挟持している。つまり、第一ケース209及び第二ケース224を利用して往復動部材188における前後方向の動きも規制されている。なお、第二ケース224の背面には、基板に接続された複数のハーネス(図示しない)を結束するためのハーネス掛止片226が配設されている。
[誘導通路143について]
装飾フレーム125内に配設された誘導通路143について、図14、及び図20〜図23に基づき説明する。図20は誘導通路143の構成を示す拡大斜視図であり、図21は誘導通路143及び装飾物246の構成を示す平面図であり、図22は図21におけるA−A断面及びB−B断面を示す断面図であり、図23は誘導通路143の排出口付近の構成を示す断面図である。
図14及び図20に示すように、誘導通路143は、装飾フレーム125と略同一の突出量となるように配設された透明の管状部材からなり、大入賞口141に入賞した遊技球を装飾物246の前方で横断させる横断誘導部材247と、その横断誘導部材247の下流端に連通し横断誘導部材247によって誘導された遊技球を装飾フレーム125の内周面に沿って誘導する周面誘導部280と、周面誘導部280の下流端に連通し、周面誘導部280によって誘導された遊技球を装飾フレーム125の中心側に向かって略水平方向に誘導する内方向誘導部281と、内方向誘導部281に連通し内方向誘導部281によって誘導された遊技球を装飾フレーム125の奥側に向かって誘導する奥方向誘導部284とを具備して一体的に形成されている。
横断誘導部材247は、装飾フレーム125の拡張開口部140内を横断しており、右側が下方となるように僅かに傾斜して配置されている。また、横断誘導部材247は、略直線状に延出されており、その内部には遊技球が通過する大きさの通路が形成されている。なお、横断誘導部材247は、透明の部材で形成されており、内部を通過する遊技球、及び横断誘導部材247の後方に配設された装飾物246を、横断誘導部材247を通して視認させることが可能になっている。
周面誘導部280は、装飾フレーム125における前後方向の厚みと略同等の奥行を有しており、その内部には、流下する遊技球を前後方向にジグザグ状に方向転換する複数の方向変換部282が形成されている。つまり、周面誘導部280に案内された遊技球を、前後方向にジグザグ状に流下させることにより、周面誘導部280における上下方向の長さが比較的短い場合でも、通路の長さを比較的長く形成し、遊技球の挙動を十分に楽しませることを可能にしている。なお、方向変換部282の形状及び配列は特に限定されるものではないが、本例では、内方向に向かって尖った断面略三角形状の外観を呈する複数の方向変換部282を、高さ方向に対し千鳥状となるように、互いに対向する前内面及び後内面から交互に突出させている。また、各方向変換部282の上流側根元部分には、前内面または後内面から僅かに突出した半円柱形状の突起283が設けられており、これにより、遊技球の流下速度を抑制している。
内方向誘導部281は、装飾フレーム125の中心側に向かって略水平方向に延出されており、横断誘導部材247と同様に、装飾フレーム125と略同一の突出量となるように装飾フレーム125の前側にのみ配置されている。つまり、略直線状に形成されており、その内部には遊技球が通過する大きさの通路が形成されている。なお、内方向誘導部281の前側内面及び後側内面においても、周面誘導部280と同様に、半円柱状の突起283が一定の間隔で配設されており、遊技球の流下速度を抑制するようにしている。ただし、内方向誘導部281には、方向変換部282に相当するものは設けられていない。
奥方向誘導部284は、装飾フレーム125の前側から奥側に向かって延出された直線状の部材であり、奥方向誘導部284の背面には、遊技球を排出する排出口285が設けられている。すなわち、奥方向誘導部284に到達するまでの間、装飾フレーム125の前面付近で誘導されてきた遊技球が、奥方向誘導部284によって後方に向かって誘導されることになる。このように構成することにより、前方から見る遊技者にとっては、遊技球が一瞬止まっているかのように見えるようになる。特に、奥方向誘導部284の底面が内方向誘導部281の底面よりも垂下されているため、内方向誘導部281及び奥方向誘導部284を前方から見た場合、正面視が、水道の蛇口のように鉤状となる。このため、内方向誘導部281によって誘導された遊技球が、奥方向誘導部284の底面から流出するように見せつつ、遊技球を奥方向に向かって誘導させることが可能となる。したがって、遊技球が止まっているかのような感覚を一層強く喚起させることが可能になる。
また、図23に示すように、奥方向誘導部284の内側底面には、後方に向かって下り勾配の突起部286が形成されており、奥方向誘導部284内で遊技球の勢いが弱くなりすぎた場合でも、突起部286によって遊技球を後方に誘導させることを可能にしている。
なお、図23に示すように、奥方向誘導部284の下流側には、奥方向誘導部284から排出された遊技球を受取り、所定の振分装置321(詳細は後述する)へ案内する案内通路369が配設されている。ここで、奥方向誘導部284の排出口285は、案内通路369の入球口よりも高い位置に配置されており、排出口285と入球口との間に段差部288が形成されている。つまり、段差を設けることにより、案内通路369から奥方向誘導部284内に遊技球が逆流することを防止している。
ところで、本例では、大入賞口141に遊技球が勢いよく入賞した場合でも、横断誘導部材247内で遊技球をゆっくりと転動させることができるように、横断誘導部材247と大入賞口141との間には、大入賞口141に入賞した遊技球の勢いを抑制する速度低減部材248が介装されている。図22に示すように、速度低減部材248は、大入賞口141に入賞した遊技球を後方に向かって案内する後方ガイド部260と、後方ガイド部260に連通し遊技球を僅かに斜め前方へ落下させる降下ガイド部261と、降下ガイド部261に連通し遊技球を前方に向かって案内する前方ガイド部262とから構成されている。なお、後方ガイド部260及び降下ガイド部261は、誘導通路143とは別のガイド通路形成部材によって形成され、前方ガイド部262は誘導通路143の先端において横断誘導部材247と一体に形成されている。
また、降下ガイド部261には、大入賞口141に入賞した遊技球を検出するための入賞状態検出手段263が配設されており、入賞状態検出手段263での検出信号を出力する信号線が、降下ガイド部261の背面側に設けられたコネクタ(図示しない)に接続されている。
また、本例では速度低減部材248を前方から遮蔽するための遮蔽カバー264(図14参照)が装飾フレーム125の前面に取付けられており、大入賞口141に入賞した遊技球を、一旦遮蔽することにより、横断誘導部材247に遊技球が出現する際のワクワク感を高めている。また、遮蔽カバー264によって入賞状態検出手段263を遮蔽し、見栄えの低下を防止している。なお、遮蔽カバー264は、装飾フレーム125の一部として機能しており、その後方に配設された発光手段(図示しない)によって遮蔽カバー264全体が光るように構成されている。
[後側ユニット121の概略構成]
一方、後側ユニット121は、図14及び図16に示すように、演出表示装置115を視認可能な開口部291を有する枠状の後側フレーム292と、その後側フレーム292の右上に配置されオートバイを模した形状の装飾物246と、後側フレーム292の右側に配置され、誘導通路143によって誘導された遊技球を振分けて誘導する複合誘導装置293と、複合誘導装置293によって誘導された遊技球を回転体によって振分ける回転式振分装置294と、後側フレーム292の下側に配置され遊技球を左右方向に転動させることが可能な転動装置295と、流入口144に流入した遊技球を転動装置295に誘導する誘導装置296と、転動装置295の後方に配設され、演出としてオートバイのスピードメータを視認させるメータ表示装置297とを具備して構成されている。また、後側フレーム292の開口部291には、開口部291を閉鎖する透明の仕切板298が設けられており、転動装置295とメータ表示装置297とが仕切板298によって仕切られている。以下、後側ユニット121における各構成について詳細に説明する。
[後側フレーム292について]
後側フレーム292は、前面が開放された略四角形の枠状部材であり、開口部291が形成された板状の背面板300と、背面板300の周縁から前方に延出された側面板301とから構成されている。つまり、上記した各構成が後側フレーム292の内部に収容されるように箱状に形成されている。なお、図示していないが、後側フレーム292の周囲、特に左側方及び右下方には、入賞した遊技球または排出される遊技球を所定の部位に案内するための案内通路構成部材が組付けられるようになっている。
[装飾物246について]
装飾物246は、装飾フレーム125における拡張開口部140に対応する位置、すなわち横断誘導部材247の後方の空間に配設されている。装飾物246は、オートバイの模型である装飾物本体302と、装飾物本体302における前輪が持ち上がるように装飾物本体302を回動可能に支持する支持軸部(図示しない)と、回転力を発生するモータ303と、モータ303の回転を支持軸部に伝達し支持軸部を回動させるリンク機構(図示しない)とから構成されている。つまり、装飾物本体302は、遊技状態に基づいて変動する可動役物であり、例えば、抽選への期待値が高くなると、モータ303を駆動して通常の走行状態から前輪を持ち上げた走行状態へと切替えるようになっている。なお、装飾物本体302の後方には、装飾物本体302の背景となる背景装飾板304(図13参照)が設けられており、背景装飾板304の表面には装飾性を有する凹凸模様が形成されている。
[複合誘導装置293について]
複合誘導装置293の具体的な構成について、図24乃至図29に基づき説明する。図24は複合誘導装置293及び回転式振分装置294を示す斜視図であり、図25は複合誘導装置293及び回転式振分装置294を示す正面図であり、図26は図25におけるC−C断面を示す断面図であり、図27は主に振分装置321付近の構成を示す断面図であり、図28は図25におけるD−D断面を示す断面図であり、図29は図25におけるE−E断面を示す断面図である。
図24〜図26に示すように、複合誘導装置293は、軸心方向が略垂直方向となるように配設された円筒状の円筒部材306と、その円筒部材306内で螺旋状に形成され遊技球を所定の第一領域307まで誘導する内側誘導通路308と、円筒部材306の外周面に沿って螺旋状に形成され遊技球を所定の第二領域309まで誘導する外側誘導通路320と、誘導通路143によって誘導された遊技球、すなわち大入賞口141に入賞した遊技球を、内側誘導通路308と外側誘導通路320とに振分ける振分装置321とを具備して構成されている。つまり、誘導通路143によって誘導された遊技球が、振分装置321によって内側誘導通路308及び外側誘導通路320に振分けられ、夫々螺旋状に形成された通路に沿って旋回しながら、互いに異なる第一領域307及び第二領域309に誘導されるようになっている。特に、互いに区画された二つの誘導通路308,320が内外二重に構成され、しかも螺旋状に形成されているため、互いに区画された比較的長い二つの経路を、装置を大型化させることなく構築することが可能になる。
また、円筒部材306、内側誘導通路308、及び外側誘導通路320は、いずれも透明の樹脂部材で形成されており、内側誘導通路308及び外側誘導通路320を通過する遊技球の挙動、すなわち旋回している様子を視認させることが可能となっている。
また、内側誘導通路308における螺旋の方向と、外側誘導通路320における螺旋の方向とは、互いに逆周りに形成されている。つまり、内側誘導通路308における遊技球の転動方向と、外側誘導通路320における遊技球の転動方向とが、互いに逆向きになるように構成されている。このため、どちらの通路を通過中であるのかを容易に把握させることが可能になるとともに、互いに反対方向に転動する遊技球によって演出の面白みを高めることができる。
なお、詳細は後述するが、第二領域309は第一領域307よりも、遊技者にとって有利性の高い領域となっており、遊技球が外側誘導通路320を通過するか否かを特に注目させるようにしている。つまり、遊技球の存在を明瞭に認識させることが可能となる外側誘導通路320を、遊技者が注目すべき通路とすることにより、外側誘導通路320への関心を高めるようにしている。また、有利な第二領域309に向かって誘導する外側誘導通路320の方が長い経路となるため、期待感を次第に高め、その後の展開に対してワクワクさせることが可能となる。
また、外側誘導通路320の内面には、遊技球の流下速度を抑制する複数の突起325が所定の間隔で形成されている。このため、有利性の高い外側誘導通路320を通過する際、遊技球は、複数の突起325と衝突することとなり、遊技球の勢いが抑制され、ゆっくりと転動するようになる。したがって、遊技球の挙動を十分に視認させることができ、第二領域309で行われる処理と第二領域309に送られるタイミングとの関係に対して、ハラハラドキドキさせることができる。
ところで、外側誘導通路320の流出口327は、外側誘導通路320の下部前側に配置されている。このため、外側誘導通路320から第二領域309に流出する際の挙動や排出のタイミングを明確に視認させることができる。特に、外側誘導通路320の流出口327近傍にはクルーン326が設けられており、漏斗状の斜面に沿って旋回させながら排出するように構成されている。したがって、排出されるタイミングが最後まで分かり難くなり、排出されるタイミングに対して一層ハラハラさせることが可能になる。
これに対し内側誘導通路308の流出側には、図29に示すように、流出口340までの通路を後方に向かって延出させた延出流出路329が設けられており、流出口340が外側誘導通路320よりも後方に位置するように構成されている。このように、延出流出路329を備えることにより、内側誘導通路308及び外側誘導通路320における螺旋の径が比較的小さい場合でも、内側誘導通路308の流出口340と外側誘導通路320の流出口328とを離間させることが可能となり、第一領域307及び第二領域309において、比較的大型の役物等を配設することが可能となる。
一方、図27及び図28に示すように、内側誘導通路308の流入口341aは、振分装置321の左側に延出された流入通路341の先端に形成され、外側誘導通路320の流入口342aは、振分装置321の右側に延出された流入通路342の先端に形成されている。
振分装置321は、揺動可能に軸支された揺動片363と、プランジャーを往復直線運動させるソレノイド365と、プランジャーの往復直線運動を揺動片363の揺動運動に変換するクランク機構366とを有して構成されている。また、振分装置321に遊技球を案内する案内通路369は、樋状に形成されており、奥方向誘導部284の後端から排出された遊技球を受取って後方に誘導するとともに、その後、Uターンさせ揺動片363の左側真上に案内するようにU字形に形成されている。つまり、ソレノイド365の左側から前方の揺動片363上に向かって流出するように構成されている。そして、揺動片363は、後側から揺動片363上に向かって流出された遊技球を、揺動片363の上面勾配によって、左側に配置された内側誘導通路308の流入口341aと、右側に配置された外側誘導通路320の流入口342aとに振分けるように構成されている。したがって、振分状況を明瞭に視認させることが可能になるとともに、後方から前方に向かって排出された遊技球を左右に振分けるため、揺動片363での跳ね返りがなく滑らかに振分けることができる。
なお、揺動片363とソレノイド365との間には、表面が鏡面加工された装飾仕切板380が設けられ、ソレノイド365及びクランク機構366等を装飾仕切板380によって遮蔽している。また、図24及び図25に示すように、振分装置321の前面側は透明なケース382によって覆われ、案内通路369の上方は透明なカバー(図示しない)によって覆われている。つまり、ケース382やカバーを設けることにより、遊技球の逸脱及び外部からの進入を防止している。
さらに、揺動片363の前方下側には、交互に点滅する二つの発光部を有する電飾部381が設けられており、これにより意匠性を高めるとともに、遊技球が二つの経路に振分けられることを喚起させるようにしている。
[回転式振分装置294について]
続いて、回転式振分装置294について、図24、図26、及び図30〜図33に基づき説明する。図30は回転式振分装置294の構成を示す平面図であり、図31は回転体347を取外した状態を示す平面図であり、図32は図30におけるF−F断面を示す断面図であり、図33は図30におけるG−G断面を示す断面図である。
図26及び図30に示すように、回転式振分装置294は、複合誘導装置293の内側誘導通路308または外側誘導通路320によって誘導された遊技球を、回転体347を用いて、有利な状態と不利な状態とに振分けるものである。回転式振分装置294は、凹状の特定領域344、普通領域345、及びリターン領域346を有し、回転可能に支持された円盤状の回転体347と、回転体347を回転させる回転駆動手段343と、回転体347の周囲を囲う外周壁385を有する回転体ケース384とを具備して構成されている。
また、図31に示すように、回転体ケース384の上面には、回転体347の回転に伴って特定領域344、普通領域345、及びリターン領域346に一時的に連通される流入口367と、内側誘導通路308によって誘導された遊技球を流入口367に案内する案内通路349と、リターン領域346に入球した遊技球をリターン領域346から流出させるリターン流出口389と、リターン流出口389から流出した遊技球を再び流入口367に戻すリターン通路400とが形成されている。さらに、回転体ケース384において回転体347を収容する回転体収容部384aの底面には、特定領域344に入球した遊技球を特定領域344から流出させる第一流出口387と、普通領域345に入球した遊技球を普通領域345から流出させる第二流出口388とが形成されている。また、第一流出口387には、遊技球が第一流出口387から流出されたことを検出する遊技球検出手段(V入賞センサ331)が設けられており、この遊技球検出手段によって遊技球が検出された場合には、遊技者にとって有利となる有利遊技状態が発生するようになっている。
なお、本例では、遊技者に利益が付与される態様として大当り態様が用意されている。具体的には、最大30秒間にわたってアタッカ装置98を一定パターンで開閉させるラウンド動作を15ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を下部側大入賞口83に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。
以下、回転式振分装置294における各構成について詳細に説明する。
回転体347は、中央部分が最も高く周縁に向かって緩やかに低くなる笠形状を呈しており、その周縁には、夫々径方向に開口した、一つの特定領域344と、回転体347の回転軸405を中心として特定領域344と対向する位置に形成された一つのリターン領域346と、回転体347及びリターン領域346の間に等間隔で形成された六個の普通領域345とが設けられている。つまり、特定領域344とリターン領域346との位相差が180°となり、それらの領域344,346を繋ぐ線を境界線として、三個の普通領域345が線対象に配設されている。各領域344,345,346の底面には、夫々遊技球が排出可能な貫通孔が形成されており、その貫通孔と回転体収容部384aの底面との組合せによって遊技球が流出される状態と流出されない状態とが切替えられるようになっている。具体的に説明すると、特定領域344における貫通孔は、回転体収容部384aの底面に形成された第一流出口387と合致し、第二流出口388とは合致しない位置に形成され、一方、普通領域345における貫通孔は、回転体収容部384aの底面に形成された第二流出口388と合致し、第一流出口387とは合致しない位置に形成されている。ここで、「合致する」とは、少なくとも遊技球を排出させることができる程度に連通する状態を示しており、「合致しない」とは、譬え重ね合っても連通部分が遊技球の直径よりも小さく遊技球を通過させることのない状態を示している。したがって、特定領域344に遊技球が入球した場合には、その遊技球は回転体347とともに回転し、特定領域344が第一流出口387と合致した際、第一流出口387から流出される。また、普通領域345に遊技球が入球した場合には、その遊技球は回転体347とともに回転し、普通領域345が第二流出口388と合致した際、第二流出口388から流出される。なお、第一流出口387には、V入賞センサ331(図44参照)が配設されており、特定領域344から遊技球が流出したことをV入賞センサ331によって検出するようになっている。また、第二流出口388には、排出センサ313(図44参照)が配設されており、普通領域345から遊技球が流出したことを排出センサ313によって検出するようになっている。
また、特定領域344及び普通領域345の外周縁には、遊技球が各領域344,345から径方向に流出することを防止する円弧状の流出防止壁408が形成されている。つまり、特定領域344及び普通領域345が、回転体ケース384に形成されたリターン流出口389と一致しても、そのリターン流出口389に流出しないように堤が形成されている。換言すれば、リターン領域346における貫通孔は、第一流出口387及び第二流出口388のいずれも合致することはないが、外周縁には流出防止壁408が設けられていないため、リターン流出口389と一致した場合には、リターン流出口389から流出するようになっている。
なお、図33に示すように、リターン流出口389の底面は、流出防止壁408の上面よりも低い位置に形成されリターン通路400に向かって下り勾配となっているため、特定領域344及び普通領域345がリターン流出口389に合致した場合には、流出防止壁408が有効となり、特定領域344及び普通領域345から遊技球が流出することを確実に防止することができる。これに対し、図32に示すように、流入口367の底面は、流出防止壁408の上面よりも高い位置に形成されている。このため、流入口367では流出防止壁408が無効となり、流出防止壁408の有無に拘らず、全ての領域に対し周面開放部分から遊技球を入球させることが可能となる。
このように、流入口367に到達した遊技球は、回転体347の特定領域344、普通領域345、またはリターン領域346に向かって流入可能な状態となる。つまり、遊技球が流入口367に達しても、その流入口367が回転体347における特定領域344、普通領域345、またはリターン領域346に連通するまではその場所で待機し、回転体347の回転に伴って一時的に連通すると、その特定領域344、普通領域345、またはリターン領域346に入球し、回転体347とともに軸心周りに回転する。そして、特定領域344に入球した遊技球は第一流出口387から流出し、普通領域345に入球した遊技媒体は第二流出口388から流出する。また、特定領域344から遊技球が流出したことに基づいて、遊技者に有利となる有利遊技状態が発生する。
一方、リターン領域346に入球した遊技球はリターン流出口389から流出し、その後、リターン通路400を通って再び流入口367に戻される。つまり、特定領域344に入球させることができない場合であっても、リターン領域346に入球した場合には、特定領域344に入球させる機会を再び付与することから、遊技者に得した気分を与え、遊技意欲を高めることが可能になる。
特に、遊技球を流入口367に戻すためのリターン通路400は、案内通路349とは別の通路で構成されている。このため、最初に流入口367に到達するまでの遊技球の挙動と、再び流入口367に到達する際の遊技球の挙動とを互いに異ならせることができ、異なる挙動によって振分けの単調さを軽減することができる。特に、リターン通路400は、回転体347の外周に沿って形成され、案内通路349は、リターン通路400の外側に配設され、リターン通路400と略並行に形成されている。このため、リターン通路400は、リターン流出口389及び流入口367を最短距離で連通することができ、回転体347付近での遊技球の挙動が必要以上に長くなることによるイライラ感を抑制することができる。また、二つの遊技球を並んで転動させることができるようになり、力動的な挙動を醸し出すことができる。
また、案内通路349には、保留装置360が介装されており、案内通路349を通過する遊技球を一旦停留させ、その後、所定のタイミングで放出させることができるようになっている。保留装置360は、停留可能な遊技球の保留数を一つのみに制限する球収容部406と、球収容部406を、案内通路349に対して垂直とし遊技球を保留可能とする保留位置、及び案内通路349に対して並行とし保留した遊技球を流出可能とする開放位置との間で回動させる保留駆動機構338(図44参照)とを具備して構成されている。なお、球収容部406が保留位置のときに球収容部406から溢れる遊技球を案内通路349から排出する排出路407が、案内通路349から分岐して形成されている。このように、案内通路349に保留装置360を介在させたことにより、流入口367に到達する遊技球のタイミングが予測し難くなり、特定領域344を狙った特殊な打ち方を抑制することが可能になる。また、リターン通路400には保留装置360が設けられていないため、リターン通路400の傾斜が比較的緩やかであっても、遊技球を円滑に転動させることができる。また、保留装置360に球収容部406が設けられているため、大入賞口141に入賞する遊技球の個数を増やしても、回転体347の特定領域344に入球可能となる遊技球の数を制限することができる。したがって、入賞による遊技者の期待感を高めながらも、遊技店における負担の増大を抑制することが可能となる。
ところで、図24に示すように、回転体347の各領域に遊技球を入球させる経路として、内側誘導通路308を経由して流入口367から入球させる場合と、外側誘導通路320を経由して回転体347の上面に直接供給する場合とがある。そして、回転体347の上面には、遊技球が入球可能となる普通領域345の個数を制限する入球規制壁421が設けられている。具体的には、図30に示すように、六個の普通領域345のうち、四個の普通領域345の周囲を囲むようにU字形の入球規制壁421が四つ設けられており、二つの普通領域345と、特定領域344及びリターン領域346とにのみ入球させることを可能にしている。すなわち、外側誘導通路320によって第二領域309である回転体347の上面に誘導された場合には、内側誘導通路308によって流入口367に誘導された場合よりも、入球可能となる普通領域345の数が少なくなり、特定領域344またはリターン領域346に入球する確率が高くなる。換言すれば、有利遊技状態が発生する期待値が高くなる。
ところで、リターン流出口389は、流入口367よりも後方で且つ上方の外周壁385に形成されている。そして、リターン流出口389を流入口367よりも高い位置に形成することにより、リターン通路400を、下流側に向かって下り勾配に形成することが可能となり、リターン流出口389から流出された遊技球を、自重を利用して自然に戻すことが可能になる。ところが、リターン流出口389を流入口367よりも高い位置に形成する場合には、リターン領域346に入球した遊技球を高い位置に持ち上げる必要があり、回転体347の機構が複雑になったり大型化したりする虞がある。そこで、本例では、図26に示すように、回転体347の回転軸405を、回転体347に対して垂設するとともに、上端が下端よりも前側に位置するように前方に傾斜した状態で支持している。つまり、回転体347の上面を前側に傾斜させることにより、回転体347の後側の高さを前側の高さよりも高くし、流入口367からリターン領域346に入球した遊技球を、回転体347の回転力を利用して流入口367よりも高いリターン流出口389まで持ち上げるようにしている。また、これによれば、回転体347の上面を前側に傾斜しているため、流入口367から各領域に遊技媒体が入球する様子や、リターン流出口389からリターン通路400に流出する様子を、明瞭に視認させることが可能となり、回転体347を用いた効果的な演出を容易に行うことができるようになる。
回転軸405を回転させる回転体駆動手段343は、回転力を発生するモータ422、モータ422の回転を回転体347の回転軸405に伝達し、回転体347を一定方向(本例では平面視時計回転方向)に回転させる伝達機構423、モータ422及び回転体ケース384を支持するとともに回転体347の回転軸405を回転可能に支持する支持部材424、及び、回転体347を常時回転させるとともに、回転軸405の回転速度を定期的に異なる速度に切替える速度切替手段409(図44参照)を備えている。
ところで、回転体347の速度が常に一定の場合には、リターン流出口389から流出した遊技球が流入口367に戻る際に、常に同じ領域に入球する可能性があり、これによれば、流入口367に戻る前から、さらにはリターン領域346に入球した時点から、どの領域に戻るのかを把握することが可能となり、リターン領域346を設けたことによる面白みが半減する虞がある。これに対し、本例では、速度切替手段409が備えられ、回転体347の回転速度を定期的に変化させるように構成されている。このため、リターン通路400を通って再び流入口367に戻った遊技球が入球可能となる領域を、随時変化させることが可能になり、ひいてはリターン領域346に入球した際に、その後の遊技球の挙動に注目させることができる。
特に、速度切替手段409は、リターン領域346がリターン流出口389に合致した後、リターン領域346から流出された遊技球がリターン通路400を通って流入口367に達するのに要する時間が経過するまでの間における回転体347の回転速度を、定期的に、通常とは異なる速度に変化させている。具体的に説明すると、速度切替手段409は、回転体347を回転させる際、リターン領域346がリターン流出口389に合致する位置を基準点とし、回転体347が半回転のn倍(nは整数:本例では「4」)回転するまでを高速回転させる高速回転モードと、その後、回転体347が半回転のm倍(mは整数:本例では「1」)回転するまでを低速回転させる低速回転モードとを有し、高速回転モード及び低速回転モードを交互に繰り返すようにしている。
これにより、リターン領域346から流出された遊技球が再び流入口367に到達するまでの間において回転する、回転体347の角速度を確実に変化させることが可能になり、再び入球可能となる領域を定期的に切替えることが可能になる。また、回転速度が一度切り替わると、少なくとも180°回転するまではその速度が継続されるため、回転体347の速度が変化するタイミングを把握させることが可能となり、回転体347の速度と特定領域344に入球する可能性とを関連付けて、遊技球の行方を予測させることが可能となる。換言すれば、回転体347の回転速度にも注目させることが可能となり、振分における興趣を一層高めることが可能になる。なお、この場合、リターン領域346から流出された遊技球が特定領域344に入球する確率は、高速回転モードと低速回転モードとの比率によって決まることとなり、例えば、本例のように、高速回転モードと低速回転モードとの比率を4:1とし、低速回転モード時に特定領域344に入球するように設定した場合は、リターン領域346から流出された遊技球が特定領域344に入球する確率は、1/5となる。つまり、大入賞口141に入賞した遊技球が全て案内通路349を通って流入口367に到達すると仮定した場合、流入口367に到達した遊技球がリターン領域346に入球する確率は1/8となり、その1/5(全体の1/40)が特定領域344に入球することとなる。
[転動装置295及び誘導装置296について]
図14に示すように、後側フレーム292の下部前側には、遊技球を左右方向に揺動させながら落下させるステージ461が設けられている。ステージ461は、奥側の転動面と手前側の転動面とを有しており、手前側の転動面の中央部分には、球導出口461aが設けられている。なお、この球導出口461aは、装飾フレーム125に形成された入賞案内部145と連通しており、ステージ461で転動した遊技球が球導出口461aの中央から放出されると、入賞案内部145を通ることとなり、普通図柄始動口96に入球する可能性が高くなる。なお、ステージ461は半透明の部材から構成されており、ステージ461の下方に配設された発光手段(図示しない)の光をステージ461から放射させる構成となっている。
一方、誘導装置296は、装飾フレーム125の周面に形成された流入口144(図12参照)から入球した遊技球をステージ461に誘導するものであり、本例ではコイル状の形成された通路形成部材296aを縦方向に配置し、流入口144とステージ461とを連通している。つまり、通路形成部材296aは、螺旋状の形状を呈しており、遊技球を螺旋状に回転させながらステージ461に誘導する。また、通路形成部材296aは、後側フレーム292における内側の左側面を塞ぐ閉塞部材424に取付けられ、立設状態で保持されている。なお、閉塞部材424の表面には、細かな凹凸模様が形成されており、遮蔽板としても機能している。
[メータ表示装置297について]
次に、メータ表示装置297について、図14、図34及び図35に基づき説明する。ここで、図34はメータ表示装置297を右上後方から示す斜視図であり、図35はメータ表示装置297を右上前方から示す斜視図である。メータ表示装置297は、後側フレーム292の下部に収容されるとともに昇降可能に支持され、上昇させることにより開口部291内に出現する表示枠部429と、その表示枠部429を昇降させる昇降機構440とを具備して構成されている。
さらに詳しく説明すると、表示枠部429は、左右方向に並んだ一対の円環状の窓枠448を有し、オートバイのスピードメータのケーシングを模した形状を呈している。一対の窓枠448の間には、演出表示装置115とは関係なく発光する第一電飾部449が設けられ、各窓枠448の周囲には、円環状の第二電飾部460が設けられている。第一電飾部449は、上下方向に分離された複数の表示窓を有し、遊技状態に基づいて、発光する表示窓の数が切り替わるようになっている。なお、第一電飾部449及び第二電飾部460は、表示枠部429が出現する場合にのみ点灯し、没入した場合には消灯する。
昇降機構440は、後側フレーム292に固定状態で取付けられたベース部材466と、ベース部材466において横長で前後方向に穿設された左右一対の下側長孔部467と、表示枠部429の底面近傍において横長で前後方向に穿設された左右一対の上側長孔部468と、交差部503が軸支されたX字形のリンク機構469と、そのリンク機構469の下端から前後方向に突出し、夫々の下側長孔部467に対して左右方向に摺動可能な状態で挿入された一対の下側支持ピン480と、リンク機構469の上端から前後方向に突出し、夫々の上側長孔部468に対して左右方向に摺動可能な状態で挿入された一対の上側支持ピン481と、リンク機構469の交差部503を上下動させることにより、表示枠部429を昇降させる昇降駆動手段482とから構成されている。
特に、ベース部材466は、下側長孔部467が設けられた底面部486と、その底面部486の左右両端から立設された一対の側壁部487とを有し、内部に表示枠部429を収容可能とする収容室が形成されている。また、側壁部487の内側面には、表示枠部429の可動方向を上下方向に案内するガイド部488が設けられている。また、昇降駆動手段482は、回転力を発生するモータ489、及びモータ489の回転を直線運動に変換するピニオン500及びラック501等の運動変換機構によって構成されている。
したがって、昇降駆動手段482によってリンク機構469の交差部503が上昇すると、X字形のリンク機構469は、一対の下側支持ピン480及び一対の上側支持ピン481における夫々間隔(左右方向の間隔)が狭くなり、下側支持ピン480と上側支持ピン481との間隔(リンク機構469における高さ方向の長さ)が長くなるように変形する。すなわち、高さ方向に延びるように変形し、これにより表示枠部429を上昇させる。この際、交差部503の変位を増幅して表示枠部429を変位させることが可能となる。具体的には、本例ではリンク機構469における交差部503の位置が上端と下端との中間部位にあるため、上側支持ピン481の変位量は交差部503の変位量の約二倍となる。換言すれば、昇降駆動手段482におけるラック501のストロークが比較的短い場合でも、表示枠部429をストロークの2倍の長さだけ変位させることが可能になる。また、表示枠部429をX字形のリンク機構469によって支えることから、表示枠部429を安定して昇降させることが可能になる。また、ベース部材466における側壁部487の内側面には、表示枠部429の可動方向を上下方向に案内するガイド部488が設けられているため、表示枠部429を滑らかに昇降させることが可能となる。
このように、後側フレーム292の下部には昇降可能に支持された表示枠部429が収容されており、表示枠部429を昇降機構440によって上昇させると、表示枠部429は開口部291内に出現する。表示枠部429には、一対の円環状の窓枠448が設けられているため、後側フレーム292の開口部291内に出現すると、窓枠448の内側を通して演出表示装置115の表示画面を視認させることが可能になる。特に、演出表示制御手段443(図53参照)が設けられており、表示枠部429が開口部291内に出現した際、演出表示装置115の表示画面を、窓枠448の内側を通して視認される第一表示領域(図示しない)と、表示枠部429の外側において視認される第二表示領域(図示しない)とに区分けし、第一表示領域及び第二表示領域に対して互いに異なる演出画像を表示させる。特に、本例では,第一表示領域を、右側の窓枠448を通して視認可能となる領域と、左側の窓枠448を通して視認可能となる領域とに区分けし、互いに異なる演出画像を表示させる。例えば、一方の第一表示領域にはスピード(速度)を表示させ、他方の第一表示領域にはエンジンの回転数を表示させるようにしている。
また、領域変位制御手段444(図53参照)を備えており、表示枠部429の上昇途中及び下降途中においては、第一表示領域と第二表示領域との相対位置を、表示枠部429の昇降に追随させて変位させるようにしている。つまり、表示枠部429の内側を通して視認される演出画像を、表示枠部429の可動位置に追随させて変位させることにより、その演出画像が表示枠部429からはみ出さないように制御している。
このように、表示枠部429の内側と外側とで互いに異なる演出画像を表示させることにより、恰も二つの表示手段があるかのように見せることができ、演出の興趣を高めることが可能になる。特に、表示枠部429の昇降に合わせて第一表示領域が変位するため、表示枠部429の可動中も常に表示枠部429を通して特定の演出を視認させることができ、表示枠部429と演出表示装置115が別々のものであるという印象を喚起させない。また、表示枠部429が出没可能であるため、出現により遊技者に驚きを与えることができる。
なお、図14及び図16に示すように、後側フレーム292の開口部291を閉塞する透明の仕切板298が設けられており、これにより、ステージ461とメータ表示装置297とが仕切られている。このため、ステージ461を転動する遊技球がメータ表示装置297側に流下すること、すなわち表示枠部429が障害物となることを防止できる。また、仕切板298の右下隅部には、平板状の仕切板298から前方に突出し複合誘導装置293及び回転式振分装置294を覆う透明カバー504が一体的に形成されており、これにより、ステージ461を転動する遊技球が、複合誘導装置293及び回転式振分装置294が配置された領域に進入することを防止している。
次に、普通図柄始動口96及びアタッカ装置98を有する入賞口ユニットと、普通電動役物81及び特別図柄始動口82を有する特別始動口ユニット530とについて説明する。
[入賞口ユニット499について]
入賞口ユニット499について図36〜図38に基づき説明する。図36は入賞口ユニット499を示す正面図であり、図37は入賞口ユニット499を右上前方から見た斜視図であり、図38は図36図におけるH−H断面図(但し開閉部材99を開放した状態)である。入賞口ユニット499は、遊技盤5(図3参照)の盤面よりも遊技者側に突出して配設された普通図柄始動口96と、普通図柄始動口96の下方に配設された普通入賞装置502と、普通入賞装置502の下部またはすぐ下方から遊技者側に突出して配設された振分用突起部507と、振分用突起部507の下方に配設されたアタッカ装置98とを具備して構成されている。
ここで、普通図柄始動口96は、遊技領域37(図3参照)を流下する遊技球が通過可能なゲート形の始動口であって、その内部には、普通図柄始動口96に遊技球が通過したことを検出する第一始動口センサ317が設けられている。そして、第一始動口センサ317による遊技球の検出に基づいて普通抽選が行われるようになっている。また、普通図柄始動口96の左右両側には、上面が円弧状の進入阻止部材512が斜め下方に向って延出されており、普通図柄始動口96の外側を通過する遊技球が、振分用突起部507に向って転動することを阻止している。つまり、普通図柄始動口96を通過した遊技球のみを振分用突起部507に到達させることを可能としている。ここで、第一始動口センサ317が本発明の通過状態検出手段に相当する。
普通入賞装置502は、遊技盤5の盤面に対して受入口を設けた普通入賞口500と、普通入賞口500に連通し遊技盤5の奥側に延出された入賞通路501とを有しており、普通入賞口500から入賞通路501内に遊技球を入賞させることが可能になっている。なお、普通入賞口500に遊技球が入賞すると、入賞センサ503(図44参照)によって検出され、これに基づいて所定数の遊技球が払出される。ここで、普通入賞口500が本発明の入賞口に相当し、普通入賞装置502が本発明の入賞装置に相当し、入賞センサ503が入賞状態検出手段に相当する。
振分用突起部507は、遊技盤5側(普通入賞口500側)に向って僅かに下り勾配に形成された上面傾斜部506を有しており、上面傾斜部506の左右方向略中央部分に落下した遊技球を上面傾斜部506に沿って普通入賞口500内へ誘導可能とし、上面傾斜部506の左側端部付近または右側端部付近に落下した遊技球を、上面傾斜部506の側方から排出可能としている。また、振分用突起部507は、普通図柄始動口96の真下に配設され、振分用突起部507の最大横幅が遊技球の外径と略同等で、先端側ほど横幅が狭くなるように平面視先細形状(全体としてホームベース形)に形成されている。
アタッカ装置98は、振分用突起部507の下方に配設されており、多量の遊技球を入賞可能とする横長の下部側大入賞口83と、下部側大入賞口83を閉鎖するとともに下端部分を回転軸として前後方向に回動可能に支持された開閉部材99と、開閉部材99を駆動し下部側大入賞口83を閉鎖する閉鎖位置、及び下部側大入賞口83を開放する開放位置の間で回動させるアタッカ駆動機構339(図44参照)とを備えている。なお、図38に示すように、開閉部材99の上面と対向する振分用突起部507の下面513は、遊技盤5側に向って上り勾配に形成されている。これにより、開閉部材99の上端と振分用突起部507の下面513との間隔を、開閉部材99の回動位置に拘らず略一定とすることが可能になり、ひいては開閉部材99の上端と振分用突起部507の下面513との間で遊技球が挟持されること、所謂「球噛み」が発生することを抑制することが可能になる。ここで、下部側大入賞口83が本発明の大入賞口に相当し、開閉部材99が本発明の開閉蓋に相当し、アタッカ駆動機構339が本発明の開閉駆動源に相当する。
なお、振分用突起部507は可動機構を備えていないため、アタッカ駆動機構339を有するアタッカ装置98を振分用突起部507の下方に設けた場合でも、互いに接近して配置することができ、下部側大入賞口83から普通図柄始動口96までの長さを比較的短くすることができる。
ところで、これらの普通図柄始動口96、普通入賞装置502、振分用突起部507、及びアタッカ装置98は、共通のベース板510に取付けられ、一つのユニットとして一体的に構成されている。また、ベース板510における普通図柄始動口96と普通入賞口500との間には、遊技盤5に設けられた障害釘508を挿通させるための釘貫通孔511が穿設されている。つまり、普通図柄始動口96及び普通入賞装置502等を一つのユニットとして一体的に構成するにもかかわらず、遊技盤5に設けられた障害釘508がユニットの内部に配置されることを可能にしている。
図36に示すように、障害釘508は、普通図柄始動口96と普通入賞装置502との間に配設され、普通図柄始動口96を通過した遊技球の転動方向を変化させることにより振分用突起部507への落下地点を分散させるものである。特に、本例では、障害釘508は、左右方向に並設される右側障害釘508a及び左側障害釘508bからなり、普通図柄始動口96の中心と普通入賞口500の中心とを結ぶ鉛直線を基準線とした場合、その基準線から右側障害釘及508aび左側障害釘508bまでの距離が互いに異なるように、右側障害釘508a及び左側障害釘508bが一方に偏って配置されている。このため、それらの障害釘508の間に遊技球を通過させることにより、遊技球の転動方向が大幅に変更されることを抑制できる。つまり、普通図柄始動口96を通過した遊技球の殆ど全てを振分用突起部507の上面に落下させることが可能になる。また、普通図柄始動口96を通過した遊技球を、夫々の障害釘508に順に衝突させることが可能となり、転動方向を確実に変化させることができる。
なお、ベース板510は左右方向に延出されており、左右両側には、外方に向って開口した一対の入賞口514が形成されている。また、ベース板510の背面にはケース部材516が取付けられており、このケース部材516の内部に、アタッカ駆動機構339が収容されるとともに、下部側大入賞口83に入賞した遊技球を流出口(図示しない)に誘導する誘導通路(図示しない)が形成されている。また、ケース部材516の上面には、普通入賞装置502の入賞通路501に入賞した遊技球を、ケース部材516内の通路(誘導通路とは別の通路)に送るための送通路517が設けられている。
このように、入賞口ユニット499では、遊技領域37を流下する遊技球が普通図柄始動口96を通過すると、第一始動口センサ317によって検出され、普通図柄始動口96に遊技球が通過したことに基づき普通抽選が実行される。普通図柄始動口96を通過した遊技球は、普通図柄始動口96の下方に配設された障害釘508によって転動方向が変化させられる。また、障害釘508の下方には、普通入賞装置502が設けられており、遊技球が普通入賞装置502に入賞すると、入賞センサ503によって検出され、所定数の遊技球が払出される。
普通入賞装置502の下方には、振分用突起部507が遊技者側に突出して配設されており、振分用突起部507は、遊技盤5側(普通入賞口500側)に向って僅かに下り勾配に形成された上面傾斜部506を備えているため、上面傾斜部506上に落下した遊技球を上面傾斜部506に沿って普通入賞口500内へ誘導することが可能となる。特に、振分用突起部507の横幅は遊技球の直径と略同等であるため、上面傾斜部506に沿って普通入賞口500内へ誘導する場合と、上面傾斜部506の側方から排出(逸脱)させる場合とに振分けることが可能になる。すなわち、上面傾斜部506の左右方向略中央部分に落下した遊技球は上面傾斜部506に沿って普通入賞口500内へ誘導され、一方、上面傾斜部506の左側端部付近または右側端部付近(すなわち角部付近)に落下した遊技球は、上面傾斜部506の側方から排出するようになる。
[特別始動口ユニット530について]
特別始動口ユニット530について図39〜図43に基づき説明する。図39は特別始動口ユニット530を示す正面図であり、図40は特別始動口ユニット530を右上前方から見た斜視図であり、図41は特別始動口ユニット530の内部機構を左上前方から見た斜視図であり、図42は特別始動口ユニット530を縦方向に切断した状態を示す切断斜視図であり、図43は特別始動口ユニット530を右上後方から見た斜視図である。特別始動口ユニット530は、遊技盤5(図3参照)の盤面に対して開口した特別図柄始動口82、及び特別図柄始動口82に連通し遊技盤5の奥側に延出された入賞通路531(図42参照)を有する特別入賞装置532と、入賞通路531内に位置する没入位置と特別図柄始動口82から遊技者側に突出する突出位置との間で摺動可能に支持された受止誘導部材535と、受止誘導部材535を前後方向に摺動させる普通役物駆動機構334とを具備して構成されている。
ここで、入賞通路531は、入賞装置ケーシング538内に形成されており、その前面開口部分が特別図柄始動口82となっている。なお、特別図柄始動口82は、下部側が上部側よりも横幅が広くなるように凸状に形成されている。
受止誘導部材535は、遊技盤5の奥側(入賞通路531の奥側)に向って下り勾配に形成された傾斜面534を有する舌片状の部材であり、遊技領域37(図3参照)を通過する遊技球を突出位置において受け止めるとともに受け止めた遊技球を特別図柄始動口82に誘導するように構成されている。
このように、特別始動口ユニット530では、受止誘導部材535が没入位置になると、入賞通路531内に収容され、遊技領域37を流下する遊技球を受け止めることができなくなる。つまり、特別図柄始動口82に遊技球を入賞させることができない状態となる。一方、普通抽選で当選すると、普通役物駆動機構334が制御され、受止誘導部材535が没入位置から突出位置に変位する。この状態では、舌片状の受止誘導部材535が特別図柄始動口82から遊技者側に突出した状態となり、遊技領域37を流下する遊技球を受け止めることが可能になる。そして、受止誘導部材535の傾斜面534で受け止められた遊技球は、傾斜面534に従って特別図柄始動口82へと案内される。すなわち、遊技球を特別図柄始動口82に入賞させることが可能となる。
ところで、受止誘導部材535は舌片状であるため、遊技球を受け止めた場合であっても、受け止められた遊技球が特別図柄始動口82に到達する前に、受止誘導部材535が没入位置に復帰すると、遊技球は特別図柄始動口82に入賞することなく遊技領域37へ排出される。つまり、受止誘導部材535を没入位置に変位させる際、受止誘導部材535上の遊技球は慣性力によってその場に留まろうとすることから、受止誘導部材535の先端から落下することとなる。このように、遊技球を受止誘導部材535上に載せることができても、その遊技球は特別図柄始動口82に入賞するとは限らないことから、遊技球が入賞するまで遊技者をハラハラさせることが可能になる。
特に、受止誘導部材535を突出位置に維持させる時間を極めて短く設定した場合、具体的には、受止誘導部材535上の遊技球が特別図柄始動口82に到達するのに要する時間よりも短い時間に設定した場合には、受止誘導部材535が突出位置に変位したのと同時に遊技球を受け止めたときでも、その遊技球を入賞させることができなくなる。すなわち、受止誘導部材535を頻繁に動作させるようにしても、突出位置における停止時間を短時間に設定することにより、特別図柄始動口82に入賞させないようにすることが可能になる。換言すれば、遊技球の払出しを抑制しつつ、受止誘導部材535の頻繁な動作によって入賞への期待感を大幅に高めることが可能になる。
また、受止誘導部材535の傾斜面534は、遊技盤5の奥側に向って僅かに下り勾配に形成されているため、受止誘導部材535が突出位置の場合には、没入位置のときよりも特別図柄始動口82の実質的な開口面積が広くなる。つまり、受止誘導部材535が没入位置のときは、受止誘導部材535の中で最も高い位置である受止誘導部材535の先端が特別図柄始動口82付近に位置しており、その先端よりも上方の空間(比較的狭い間口)が特別図柄始動口82の実質的な開口部分となる。これに対し、受止誘導部材535が突出位置のときは、受止誘導部材535の先端よりも低い受止誘導部材535の中央部位または根元部位が特別図柄始動口82付近に位置しており、その部位よりも上方の空間(比較的広い間口)が特別図柄始動口82の実質的な開口部分となる。したがって、受止誘導部材535が突出位置のときは開口面積が大きくなり遊技球の入賞を確実なものとし、一方、受止誘導部材535が没入位置のときは開口面積が小さくなり遊技領域37(図3参照)での跳ね返りによる遊技球の飛び込みを抑制することができる。
ところで、受止誘導部材535は、球噛みする箇所が極めて少なくなるように、遊技者側に向って先端の尖った尖形形状を呈している。このため、受止誘導部材535の先端が遊技球の中心に当接した場合には、球噛みする可能性が残されているものの、受止誘導部材535の先端が遊技球の中心から僅かでもずれている場合には、受止誘導部材535の先端から離れる方向の力が遊技球に加わり、遊技球は挟持されないようになる。
また、受止誘導部材535の左右縁部から壁部539が立設されており、これらの壁部539は入賞通路531の奥側に向って延出されている。これによれば、受止誘導部材535で受け止められた遊技球を、受止誘導部材535の左右側方から排出(落下)させることなく、特別図柄始動口82側に向って誘導することができる。また、受止誘導部材535を平板状に形成することが可能となり、その結果、特別図柄始動口82及び入賞通路531の高さが比較的低くても、受止誘導部材535を入賞通路531の内部に収容すること、及び受止誘導部材535の上方に遊技球を入賞させるための空間を設けることが可能となる。なお、受止誘導部材535の先端部分は、左右縁部に壁部539を備えない平板状の形状に形成されているため、遊技者が受止誘導部材535を左右斜め前方から見た場合でも、受止誘導部材535上を転動する遊技球の挙動を明瞭に視認させることができる。また、先端部分の壁部を省くことにより、先端側における左右方向の間口が広くなり、受止誘導部材535が没入位置に復帰する際に、受止誘導部材535上の載置された遊技球を受止誘導部材535の先端部分から容易に排出させることが可能になる。
また、図42に示すように入賞装置ケーシング538の底面中央部分には、特別入賞装置532に入賞した遊技球を入賞通路531から流出させる流出口541が穿設されており、受止誘導部材535の後方における一対の壁部539の間には、受止誘導部材535の位置に拘らず常に流出口541と連通する開口部542が形成されている。このため、受止誘導部材535が突出位置のとき(実線で示す)は勿論、遊技球が入賞通路531から流出される前に受止誘導部材535が没入位置となった場合(二点鎖線で示す)にも、その後、開口部542及び流出口541を通して遊技球を流出させることが可能になる。特に、開口部542の後方における一対の壁部539間には、入賞した遊技球を流出口541に誘導する可動誘導壁543が設けられ、可動誘導壁543は、受止誘導部材535が突出位置の時に流出口541の後方近傍に位置するように構成されている。このため、特別図柄始動口82に入賞した遊技球が可動誘導壁543よりも後方に入り込むことを防止し、流出口541に向って自然に落下させることが可能になる。また、可動誘導壁543は一対の壁部539間に横設されているため、一対の壁部539を平行に支持するとともに、壁部539の変形を抑制することができる。
また、図43に示すように、入賞装置ケーシング538は、不透明の前側ケース部545と、光透過性部材からなる後側ケース部546とに分割されており、前側ケース部545の前面に形成されたフランジ部547が遊技盤5の盤面に固定されるようになっている。つまり、フランジ部547には、二つの取付孔557が穿設されており、ネジ等(図示しない)を取付孔557に挿通させて遊技盤5に螺着させることにより、遊技盤5の盤面に取付けられる。後側ケース部546の内部には、一対の壁部539の摺動を前後方向に規制するガイド部544が壁部539を挟むように形成されており、受止誘導部材535を滑らかに摺動させることを可能にしている。特に、ガイド部544は後側ケース部546と一体に成形されているため、入賞通路531とガイド部544との位置関係を精度よく保つことが可能になり、受止誘導部材535を一層滑らかに摺動させることができる。
また、図41に示すように、後側ケース部546の内部には、受止誘導部材535の駆動源として機能するソレノイド548が収容されている。ソレノイド548は、プランジャー549の先端が遊技者側を向くように配設されている。プランジャー549と壁部539との間には、アーム部材551が設けられており、プランジャー549の往復直線運動が反転して壁部539に伝達されるようになっている。さらに詳しく説明すると、アーム部材551は、一対の壁部539を挟むとともに下端が壁部539に対して外側から掛止され、壁部539を前後方向に付勢する一対の腕部551aと、夫々の腕部551aから外方へ突出するとともに前側ケース部545及び後側ケース部546の間で支持されることにより腕部551aを回動可能に支持する支持軸部552と、夫々の腕部551aの上端間に横設されるとともにプランジャー549の先端に当接する当接部551bと、当接部551bに対して略平行となるように一方の腕部551aの上端から延出されプランジャー549に係止された係止部551cとから構成されている。なお、プランジャー549の周囲には、ソレノイド548の非通電時にプランジャー549が突出するように付勢するコイルバネ(図示しない)が巻かれている。これによれば、プランジャー549の先端と壁部539とがアーム部材551を介して連結されており、プランジャー549の運動方向が反転して壁部539に伝達される。具体的には、ソレノイド548に通電がなされていない場合には、プランジャー549はコイルバネの付勢力によって突出した状態となり、壁部539及び受止誘導部材535は没入位置となる。一方、ソレノイド548に通電がなされると、プランジャー549はコイルバネの付勢力に抗して没入状態となる。すると、アーム部材551の当接部551b及び係止部551cを介して、腕部551aの上端部分がソレノイド548側に引張られ、腕部551aは支持軸部552を軸心として回動する。この結果、腕部551aの下端に接続された壁部539が遊技者側に摺動し、壁部539及び受止誘導部材535は突出位置となる。
また、図40及び図43に示すように、特別図柄始動口82の上方には、遊技盤5の盤面よりも遊技者側に突出して形成された制動ゲート部材554が設けられている。この制動ゲート部材554は、遊技領域37を流下する遊技球を制動させながら通過させるものであり、内径が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。これによれば、制動ゲート部材554を通過し勢いを抑えられた遊技球が受止誘導部材535の上面に載せられるため、遊技球を受止誘導部材535上に落ち着かせることが可能となる。したがって、受止誘導部材535上に落下した遊技球を特別図柄始動口82に向って確実に誘導することが可能となる。また、受止誘導部材535が受ける衝撃も弱くなり、受止誘導部材535の変形や破損を防止することが可能になる。また、制動ゲート部材554の内周面における遊技者側の側面には、通過する遊技球の転動方向を特別図柄始動口82側に変更する突起555が形成されている。このため、受止誘導部材535の突出長さが比較的短い場合でも、制動ゲート部材554を通過した遊技球を受止誘導部材535上に載せることが可能となる。また、特別図柄始動口82側に向って転動させることから、受止誘導部材535の傾斜面534における傾斜度合が比較的緩やかであっても、特別図柄始動口82に向って滑らかに誘導することができる。
また、制動ゲート部材554の左右両側には、一対の進入防止部材558が斜め下方に延出されている。進入防止部材558は、制動ゲート部材554の外側を通過する遊技球が、受止誘導部材535に向って転動することを阻止するものであり、これによれば、制動ゲート部材554を通過した遊技球のみを受止誘導部材535に載せることが可能になるとともに、受止誘導部材535で受け止められた遊技球が、制動ゲート部材554を通過しない他の遊技球、すなわち勢いの強い遊技球によって弾き出されることを防止できる。
また、図41に示すように、入賞通路531内の受止誘導部材535の上方には、入賞防止部材561が配設されている。この入賞防止部材561は、受止誘導部材535が突出位置のときに特別図柄始動口82を開放し、受止誘導部材535が没入位置のときに特別図柄始動口82を塞ぐものである。具体的には、先端側の部位で特別図柄始動口82を塞ぎ遊技球の進入を防止する進入防止位置と、入賞通路531の奥側に後退することにより特別図柄始動口82を開放し遊技球の進入を可能とする進入許可位置との間で前後方向に摺動する。このため、受止誘導部材535が没入位置の場合には、たとえ遊技領域37を流下する遊技球が特別図柄始動口82側に跳ね返っても、特別図柄始動口82から進入することを阻止できる。
なお、入賞防止部材561は、連結部材562を介してソレノイド548のプランジャー549に連結されている。つまり、プランジャー549が動作すると、その往復直線運動が、連結部材562を介して入賞防止部材561に伝達されるとともに、アーム部材551を介して受止誘導部材535に伝達されるようになっている。特に、アーム部材551では、プランジャー549の往復直線運動における運動方向を反転させて伝達することから、入賞防止部材561と受止誘導部材535とは相反方向に変位することとなる。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図44に基づき説明する。
図44は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主制御基板131のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主制御基板131のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、普通図柄表示、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、第一始動口センサ317、入賞センサ503、第二始動口センサ318、カウントセンサ319、入賞口センサ330、V入賞センサ331、及び排出センサ313等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、特別図柄表示器332、普通図柄表示器333、普通役物駆動機構334、大入賞口開閉機構335、振分装置駆動機構336、速度切替手段409、保留駆動機構338、及びアタッカ駆動機構339等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU351、読み出し専用メモリとしてのROM352、読み書き可能メモリとしてのRAM353を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。ここで、球払出装置170が本発明の払出装置に相当する。
ここで、主基板310の入力ポートに接続された第一始動口センサ317は、普通図柄始動口96に遊技球が入球したことを検出する入球状態検出手段であり、入賞センサ503は普通入賞口500に遊技球が入賞したことを検出する入賞状態検出手段であり、第二始動口センサ318は特別図柄始動口82に遊技球が入賞したことを検出する入賞状態検出手段である。また、カウントセンサ319は、下部側大入賞口83に入球した遊技球の数を計数するものであり、入賞口センサ330は、大入賞口141に遊技球が入賞したことを検出するものであり、V入賞センサ331は、回転体347の特定領域344に入賞したことを検出するものであり、排出センサ313は回転体347の普通領域345に入球したことを検出するものである。一方、主基板310の出力ポートに接続された特別図柄表示器332はLED86から構成され、普通図柄表示器333はLED84及びLED85から構成されている。また、普通役物駆動機構334は普通電動役物81を動作させるものであり、大入賞口開閉機構335は可動片142を開放動作させるものであり、振分装置駆動機構336は振分装置321の揺動片363を揺動させるものである。また、速度切替手段409は回転体347を常時回転させるとともに回転体347の回転速度を切替えるものであり、保留駆動機構338は保留装置360を回動させるものであり、アタッカ駆動機構339は下部側大入賞口83を開閉させるものである。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板355のほかに例えば複数の電飾制御基板356,357、波形制御基板358、昇降機構駆動基板397、及び装飾体駆動機構398等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板355との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板355へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板355もまた、CPU374をはじめROM375やRAM376等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板355とその他の電飾制御基板356,357、及び波形制御基板358との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板356には主に保留球ランプ111と、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ394とが接続されており、サブ統合基板355から電飾制御基板356に対して保留球ランプ111や装飾ランプ394の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板356が各ランプ111,394を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板357には演出表示装置115とともに演出ランプ395が接続されている。例えばサブ統合基板355から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板357に送信されると、これを受けて電飾制御基板357は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。
波形制御基板358は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板355から音響出力コマンドが波形制御基板358に送信されると、これを受けて波形制御基板358は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板358には超音波送受信装置396が接続されており、この超音波送受信装置396は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置396を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板356,357、及び波形制御基板358にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU374,377,390、読み出し専用メモリとしてのROM375,378,391、及び読み書き可能メモリとしてのRAM376,379,392を備えている。
また、昇降機構駆動基板397は、メータ表示装置297の表示枠部429を昇降させるためのモータ489を駆動するものであり、装飾体駆動機構398は、装飾物246を揺動させるためのモータ303を駆動するものである。これらの昇降機構駆動基板397及び装飾体駆動機構398は、遊技状態に基づいて各モータ489,303を正転及び逆転させる。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[普通図柄始動入賞処理について] 図45に基づき説明する。
図45は普通図柄の始動入賞処理のルーチンを示している。
この普通図柄始動入賞処理では、遊技中に普通図柄始動口96に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS1)。具体的には、上記の普通図柄始動口96に対応する第一始動口センサ317から検出信号が入力されると、普通図柄始動口96への始動入賞有りと判断され、一方、検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS1においてYES)、次に始動保留数が最大の「4」より少ないか否かが判断される(ステップS2)。このとき既に始動保留数が「4」に達していれば(NO)、そのまま普通図柄始動入賞処理を終える。一方、始動保留数が「4」より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS3)。この保留格納処理では、例えばRAM316内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて保留球ランプ(LED)85の点灯個数が1つ増加される。
また、保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、例えば普通当り判別用乱数、普通図柄用乱数、可変変動用乱数(普通図柄用の可変変動カウンタ)、及び演出表示パターン乱数等が含まれている。このうち普通当り判定用乱数は、普通当りであるか否かを決定するための乱数である。次の普通図柄用乱数は、普通当り判定用乱数によって普通当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、普通図柄表示器333によって停止表示される表示パターン(四つのLED84における点灯状態の組合わせパターン)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(普通図柄用の可変変動カウンタ)は、普通図柄表示器333による普通図柄の変動時間を可変させるための乱数である。また、演出表示パターン乱数は、演出表示装置115に表示される演出表示の変動表示パターンを特定するための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAM316に格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[遊技作動処理について] 図46に基づき説明する。
図46は普通図柄始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。
この遊技作動処理では、最初に普通図柄の始動保留が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留が有ると判断され(YES)、次に普通図柄表示器333における普通図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS102)。このとき普通図柄表示器333にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS103)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAM316の保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて普通当り判定処理が実行され(ステップS104)、普通当り判別用乱数に基づいて普通当りであるか否かが決定される。
その後、普通図柄変動設定処理が実行され(ステップS105)、ここでは普通図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。つまり、抽選の結果と、普通図柄用乱数及び可変変動用乱数とに基づいて、変動時間及び表示パターンが設定され、主制御基板131からサブ統合基板355に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板355は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板131の制御情報(始動入賞・保留の有無、普通図柄の変動・停止画像情報、当り判定結果、及び演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
その後、抽選の結果が当りである場合には(ステップS106においてYES)、普通当り処理を実行する(ステップS107)。ここでは、普通電動役物81を動作させることにより特別図柄始動口82を開放し、遊技球の入賞が容易となるように制御する。具体的には、ソレノイド548を制御し、受止誘導部材535を没入位置から突出位置に変位させ、特別図柄始動口82に対して遊技球の入賞を可能にする。なお、普通当りには、有利性の低い「第一当り」と、「第一当り」よりも有利性の高い「第二当り」とが含まれており、受止誘導部材535を突出位置に変位させた後、没入位置に復帰させるまでの時間、すなわち受止誘導部材535を突出位置に維持させる時間が、互いに異なるように設定されている。ここで、「第二当り」での設定時間は、少なくとも一つの遊技球が特別図柄始動口82に入賞するのに要する時間よりも長いに時間(例えば5.7秒)に設定されている。このため、「第二当り」となった場合には、容易に遊技球を入賞させることが可能となる。
一方、「第一当り」での設定時間は、受止誘導部材535上の遊技球が特別図柄始動口82に到達するのに要する時間よりも短い時間(例えば0.06秒)に設定されている。このため、受止誘導部材535が突出位置に変位したのと同時に遊技球が受け止められたときでも、その遊技球を入賞させることができなくなる。すなわち、「第一当り」を頻繁に発生させるようにしても、特別図柄始動口82へ入賞する遊技球の割合は増加しない。換言すれば、遊技球の払出しを増加させたり大当り抽選の頻度を増加させたりすることなく、普通抽選における当りを増加させるとともに、受止誘導部材535の頻繁な動作によって入賞への期待感を大幅に高めることが可能になる。
なお、遊技作動処理において、保留数カウンタの数値が0であり、普通図柄の始動保留がないと判断された場合(ステップS101においてNO)、または、普通図柄が変動中の場合(ステップS102においてNO)には、保留シフト処理を実行することなく、遊技作動処理を終える。また、抽選の結果が外れである場合には(ステップS106においてNO)、普通当り処理を実行することなく、遊技作動処理を終える。
[特別図柄始動入賞処理について] 図47に基づき説明する。
図47は特別図柄の始動入賞処理のルーチンを示している。
この特別図柄始動入賞処理では、遊技中に特別図柄始動口82に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、上記の特別図柄始動口82に対応する第二始動口センサ318から検出信号が入力されると、特別図柄始動口82への始動入賞有りと判断され、一方、検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
次に特別図柄表示器332における特別図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示器332にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に大当り判定処理が実行される(ステップS203)。具体的には、まず大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)、及び演出表示パターン乱数等の乱数が取得される。このうち大当り判定用乱数は、大当りであるか否かを決定するための乱数である。次の大当り図柄用乱数は、大当り判定用乱数によって大当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示器332によって停止表示される表示パターンを特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、特別図柄表示器332による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。また、演出表示パターン乱数は、演出表示装置115に表示される演出表示の変動表示パターンを特定するための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらの乱数が例えばRAM316に格納されるとともに、大当り判別用乱数に基づいて大当りであるか否かが判定される。なお、特別図柄表示器332が変動中であると判定された場合には(ステップS202においてNO)、大当り判定処理を実行することなく、特別図柄始動入賞処理を終える。
続いて、特別図柄変動設定処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。つまり、抽選の結果と、特別図柄用乱数及び可変変動用乱数とに基づいて、変動時間及び表示パターンが設定され、主制御基板131からサブ統合基板355に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板355は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板131の制御情報(始動入賞・特別図柄の変動・停止画像情報、大当り判定結果、及び演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
その後、抽選の結果が大当りである場合には(ステップS205においてYES)、大当り処理を実行する(ステップS206)。なお、大当り処理の詳細については後述する。一方、抽選の結果が大当りでない場合(詳しくは小価値当りである場合)には(ステップS205においてNO)、大入賞口開放処理を実行する(ステップS207)。ここでは、可動片142を一定時間(例えば1.68秒間)開放位置(傾斜位置)とし、大入賞口141に対して遊技球を入賞させることを可能にする。つまり、誘導通路143を通して回転式振分装置294に遊技球を誘導させることを可能にする。
[役物V入賞処理について] 図48に基づき説明する。
図48は役物V入賞処理のルーチンを示している。
この役物V入賞処理では、回転式振分装置294における回転体347の特定領域344に遊技球が入球したか否かが判断される(ステップS301)。具体的には、上記の特定領域344に対応するV入賞センサ331から検出信号が入力されると、特定領域344への入球有りと判断され、一方、検出信号の入力がなく、排出センサ131によって遊技球が検出されれば、特定領域344への入球は無いものと判断される。
そして、特定領域344に入球したものと判断された場合には(ステップS301においてYES)、ステップS206と同様の大当り処理を実行する(ステップS302)。
[大当り処理について] 図49に基づき説明する。
図49は大当り処理の内容を示している。
内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS401)。このラウンドカウンタは例えばRAM316内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS402)、続いて下部側大入賞口83(アタッカ装置98)が開放される(ステップS403)。そして、次のステップS404では下部側大入賞口83の開放期間が設定最大期間(例えば30秒)内であるか否かが判断される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS405)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、下部側大入賞口83に対応するカウントセンサ319の検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS406)。下部側大入賞口83への入賞によりカウントセンサ319がONになると(YES)、次のステップS407で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS404の判断が行われる。あるいは、ステップS406で下部側大入賞口83への入賞がなく、カウントセンサ319がONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS404の判断が行われる。
大当りの場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS404またはステップS405の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために下部側大入賞口83が閉止(ステップS408)される。そして、次のステップS409でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(例えば15ラウンド)に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達していなければ(ステップS409においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS410)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS402)。
上記の処理は大当り中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達したと判断されると(ステップS409においてYES)、大当り処理は終了となる。
[演出表示装置における演出表示の詳細について] 図50〜図53に基づき説明する。
図50は、サブ統合基板355における制御処理、及び電飾制御基板357における制御処理の内容を示している。また、図51〜図53は演出表示制御における機能的な構成を示している。
ところで、これまで説明してきた処理は、純粋に主制御基板131による遊技動作の制御に関するものであるが、サブ統合基板355は主制御基板131から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができるようになっている。
詳細に説明すると、前述したように主制御基板131では、保留格納処理(S3)において、普通当り判別用乱数、普通図柄用乱数、可変変動用乱数、及び演出表示パターン乱数等が取得され、これらの乱数を基に、普通当りの有無に関する情報(当否コマンド)、及び演出表示パターンの種類に関する情報、すなわち普通図柄の変動時間に関する情報(変動表示パターンコマンド)が、変動開始コマンドとして設定され、主制御基板131からサブ統合基板336に送信される。また、主制御基板131では、大当り判定処理(S203)において、大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数、及び演出表示パターン乱数等が取得され、これらの乱数を基に、大当りの有無に関する情報、及び演出表示パターンの種類に関する情報、すなわち特別図柄の変動時間に関する情報が、変動開始コマンドとして設定され、サブ統合基板336に送信される。
すなわち、図51に示すように、主制御基板131には、通常時普通当り判定用テーブル411、特殊モード時普通当り判定用テーブル412、普通図柄用テーブル413、当り時変動時間可変用テーブル414、及び外れ時変動時間可変用テーブル415が予め記憶されており、これらのテーブル411〜415を基に、普通抽選の当否、普通図柄表示器333における停止図柄、及び変動時間が決定される。詳しく説明すると、通常時普通当り判定用テーブル411及び特殊モード時普通当り判定用テーブル412は、普通当り判定用乱数値と普通当りの当否との関係を示すものである。ここで、通常時普通当り判定用テーブル411は、通常の遊技状態の際に用いられ、特殊モード時普通当り判定用テーブル412は、大当り後に発生する「チャレンジモード」や「爆走モード」等の特殊モード時に用いられるテーブルである。なお、特殊モード時普通当り判定用テーブル412では、通常時普通当り判定用テーブル411よりも普通当りとなる確率が高くなるように振分けがなされている。
普通図柄用テーブル413は、普通図柄用乱数値と普通図柄表示器333における停止図柄との関係を示すものであり、普通図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と四つのLED84の点灯状態との対応付けがなされている。また、当り時変動時間可変用テーブル414及び外れ時変動時間可変用テーブル415は、可変変動用乱数値と普通図柄表示器333における普通図柄の変動時間との関係を示すものであり、例えば6通りに振分けられている。なお、当り時変動時間可変用テーブル414及び外れ時変動時間可変用テーブル415では、当り時における変動時間が、外れ時における変動時間よりも長くなるように設定されている。換言すれば、変動時間が長いほど、普通当りとなる期待値が高くなっている。
また、主制御基板131には、第一始動口センサ317によって普通図柄始動口96への入球が検出されたとき、ランダムカウンタ(図示しない)から、普通当り判定用乱数を抽出する普通当り判定用乱数抽出手段416と、普通図柄用乱数を抽出する普通図柄用乱数抽出手段417とが設けられている。また、判定用乱数及び普通図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する変動時間用乱数抽出手段418が設けられている。また、普通当り判定用乱数抽出手段416によって普通当り判定用乱数が抽出されると、通常時普通当り判定用テーブル411または特殊モード時普通当り判定用テーブル412を用いて普通当りの当否を決定する当否決定手段419、及び普通図柄用乱数抽出手段417によって普通図柄用乱数が抽出されると、普通図柄用テーブル413を用いて普通図柄表示器333における停止図柄を決定する停止図柄決定手段430が設けられている。さらに、変動時間用乱数抽出手段418によって変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段419によって普通当りであることが決定されると、当り時変動時間可変用テーブル414を用いて普通図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段419によって外れであることが決定されると、外れ時変動時間可変用テーブル415を用いて普通図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段431が設けられている。ここで、当否決定手段419が本発明の抽選手段に相当する。
また、主制御基板131には、普通図柄表示器333において普通図柄の変動を開始するとともに、変動時間用乱数抽出手段418によって決定された変動時間の経過後、停止図柄決定手段430によって決定された停止図柄で変動停止させる普通図柄変動制御手段433と、当否決定手段419によって普通当りであることが決定されると、普通図柄の変動停止後、ソレノイド548を制御し、受止誘導部材535を没入位置から突出位置に変位させることにより特別図柄始動口82に対して遊技球の入賞を可能とする入賞制御手段432と、普通図柄の変動開始前に、当否決定手段419によって決定された普通当りの有無に関する当否コマンド、及び普通図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段438と、一定球数(4回)を上限として始動記憶数をカウントするとともに、普通図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる保留・消化手段434とが設けられている。
また、図52に示すように、主制御基板131には、大当り判定用テーブル451、大当り図柄用テーブル452、当り時変動時間可変用テーブル453、及び外れ時変動時間可変用テーブル454が予め記憶されており、これらのテーブル451〜454を基に、抽選の当否、特別図柄表示器332における停止図柄、及び変動時間が決定される。詳しく説明すると、大当り判定用テーブル451は、大当り判定用乱数値と大当りの当否との関係を示すものである。また、大当り図柄用テーブル452は、大当り図柄用乱数値と特別図柄表示器332における停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と四つのLED86の点灯状態との対応付けがなされている。当り時変動時間可変用テーブル453及び外れ時変動時間可変用テーブル454は、可変変動用乱数値と特別図柄表示器332における特別図柄の変動時間との関係を示すものである。なお、当り時変動時間可変用テーブル453及び外れ時変動時間可変用テーブル454では、大当り時における変動時間が、外れ時(正確には小価値当り時)における変動時間よりも長くなるように設定されている。
また、主制御基板131には、第二始動口センサ318によって特別図柄始動口82への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(図示しない)から、大当り判定用乱数を抽出する大当り判定用乱数抽出手段456と、大当り図柄用乱数を抽出する大当り図柄用乱数抽出手段457とが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する変動時間用乱数抽出手段458が設けられている。また、大当り判定用乱数抽出手段456によって大当り判定用乱数が抽出されると、大当り判定用テーブル451を用いて大当りか小価値当りかを決定する当否決定手段470、及び大当り図柄用乱数抽出手段457によって大当り図柄用乱数が抽出されると、大当り図柄用テーブル452を用いて特別図柄表示器332における停止図柄を決定する停止図柄決定手段471が設けられている。さらに、変動時間用乱数抽出手段458によって変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段470によって大当りであることが決定されると、当り時変動時間可変用テーブル453を用いて特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段470によって小価値当りであることが決定されると、外れ時変動時間可変用テーブル454を用いて特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段472が設けられている。
また、主制御基板131には、特別図柄表示器332において特別図柄の変動を開始するとともに、変動時間決定手段472によって決定された変動時間の経過後、停止図柄決定手段471によって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段473と、当否決定手段470によって大当りであることが決定されると、特別図柄の変動停止後、遊技者に有利な遊技状態(すなわち図49の大当り処理)を発生させる第一有利遊技状態発生手段475とが設けられている。なお、コマンド発信手段438は、特別図柄の変動開始前に、当否決定手段470によって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドも発信する。
さらに、主制御基板131には、当否決定手段470によって小価値当りであることが決定されると、特別図柄の変動停止後、大入賞口開閉機構335を制御して可動片142を動作させ、大入賞口141を一定時間開放させる大入賞口制御手段474が設けられている。
なお、可動片142の開放動作によって大入賞口141に入賞した遊技球は、誘導通路143を通って複合誘導装置293に誘導され、螺旋状に回転しながら下部に誘導される。複合誘導装置293の下流側には、回転式振分装置294が配設されており、遊技球は、特定領域344、普通領域345、またはリターン領域346のいずれかに振り分けられる。そして、特定領域344に入球した場合には、主基板310に接続されたV入賞センサ331によって検出される。主制御基板131では、第二有利遊技状態発生手段478が備えられており、V入賞センサ331によって遊技球が特定領域344に入球したことが検出されると、第二有利遊技状態を発生させる。第二有利遊技状態としては、第一有利遊技状態と異なる遊技状態、すなわち有利性の異なる遊技状態であってもよいが、本例では、第一有利遊技状態と同一の遊技状態、すなわち、大当り遊技状態が発生するようになっている。このように、当否決定手段470による抽選の結果が小価値当りであっても、大入賞口141に遊技球が入賞した場合には、大当りが発生する可能性が生じることから、遊技者は、誘導通路143によって遊技球が誘導されることを強く願うようになり、遊技球の挙動に対する興味が大きくなる。
また、主制御基板131には、遊技状態判定手段476が設けられており、これにより、特定の遊技状態か否かを判定されるようになっている。
一方、サブ統合基板355では、図50に示すように、主制御基板131から普通図柄の変動開始コマンドを受け取ると(ステップS501においてYES)、受け取ったこれらの変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における普通図柄の変動態様を設定する(ステップS502)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、当否コマンドに基づいて装飾図柄列における最終停止図柄を決定する。また、サブ統合基板355は、乱数発生手段(図示しない)を有しており、乱数を取得するとともに、取得された乱数に応じて当り予告の演出態様を付加する。さらに、サブ統合基板355では、決定されたこれらの変動態様を、電飾制御基板356,357及び波形制御基板358に対する変動開始コマンドとして設定する(ステップS503)。具体的には、変動表示パターンコマンド、最終停止図柄コマンド、及び演出パターンコマンド等を設定する。そして、設定されたこれらの変動開始コマンドを、各制御基板356,357,358に送信する(ステップS504)。これにより、これらの制御基板356,357,358では、抽選結果に応じた演出表示を行なったり、その演出表示に合せて音声等を発生させることが可能になる。
特に、電飾制御基板358では、サブ統合基板355から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS601においてYES)、その変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定(ステップS602)し、その後、演出表示装置115を制御する(ステップS603)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、最終停止図柄コマンドに基づいて、装飾図柄列の最終停止図柄を設定する。また、演出パターンコマンドに対応した演出を決定するとともに、より具体的な演出態様を付加する。つまり、電飾制御基板357は、乱数発生手段(ランダムカウンタ)を有しており、演出表示装置115における夫々の変動パターンに対して、より具体的な演出態様を付加することを可能にしている。このように、本例では、変動パターンの選択処理が、主制御基板131、サブ統合基板355、及び電飾制御基板357において分担されており、これにより、主制御基板131及びサブ統合基板355における処理の負担を軽減するとともに、変動パターンの複雑化、ひいては演出の興趣を向上させている。
なお、図50に示すフローチャートでは、サブ統合基板355及び電飾制御基板357におけるコマンド受信処理のうち、特に演出の制御に関する変動開始コマンドの受信処理のみを説明している。すなわち、ここでは、電源投入時のコマンドや異常時のコマンドに対する処理は省略している。
ところで、本例の演出表示装置115に表示される演出画像には、周期性をもって変動表示される装飾図柄、及び装飾図柄の変動中に複数の画像を予め定めた順序に従って段階的に発展表示させることが可能なステップ演出等が含まれている。以下、装飾図柄、及びステップ演出について詳細に説明する。
(装飾図柄について)
本例では、普通図柄に対応する装飾図柄として、例えば、左・中・右の3つの装飾図柄列が設定されており、装飾図柄列毎に変動表示されるようになっている。一連の装飾図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄と、絵図柄からなる副装飾図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄が表示されると共に各主装飾図柄の間に副装飾図柄が配されて一連の装飾図柄列が構成されている。そして、主装飾図柄と副装飾図柄とが周期性を持って上から下へと変動表示されるようになっており、左装飾図柄列→右装飾図柄列→中装飾図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に三つの装飾図柄が普通当り装飾図柄の組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)で揃えば普通当りとして「特別図柄始動口82に入賞させるように操作すること」、具体的には、「左に入れろ」が表示されるようになっている。特に、三つの装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列(中装飾図柄列)が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している二つの装飾図柄(左装飾図柄及び右装飾図柄)が互いに同じ図柄である場合には、これらの装飾図柄をリーチ形成図柄として、リーチ状態が成立する。
なお、本例では、演出表示装置115における装飾図柄列の変動は、装飾図柄変動制御手段515(図53参照)によって制御され、変動開始時期を、普通図柄の変動開始後とし、装飾図柄列の変動停止を普通図柄の変動停止前としている。これにより、普通図柄の変動表示の開始時と停止時には、演出表示装置115での演出表示を行わないことで、普通図柄の変動表示に対して演出表示装置115での紛らわしい表示を行うことを防止するとともに、演出表示装置115の演出中に普通当りか否かを認識させること、すなわち演出の効果を損なうことを防止している。
(ステップ演出)
ステップ演出では、最初のステップから最後のステップまでの間が時系列的に分割されており、各ステップに対して互いに異なる画像(動画)が定められている。そして、段階的に発展表示されるステップの数が互いに異なるように複数の演出パターンが設定されている。つまり、ステップの数が互いに異なる複数の演出パターンがステップ演出として演出パターン記憶手段494(図53参照)に記憶されており、例えばステップの数が一つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップにおける画像のみが表示され、ステップの数が四つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップ〜第四ステップにおける画像を段階的に発展表示させることが可能となる。また、このステップ演出は、普通当りの予告表示として、演出表示装置115における装飾図柄列の変動開始から、それらがリーチ状態となるまでの間の所定期間内において導出可能なものであり、段階的に発展表示されるステップの数が多いほど、普通当りの信頼度が高くなるように出現率が振り分けられている。なお、普通当りの信頼度とは、外れ時の演出として選択される確率が異なっている複数の演出がある場合、その選択率の異なりによって発生するものである。例えば、選択率が低い演出ほど普通当りに対する信頼度が高くなり、期待値が高くなる。
次に、上記演出の演出表示制御における機能的な構成、すなわち演出プログラムとして実現される機能的な構成ついて説明する。図53に示すように、電飾制御基板357には、主制御基板131からサブ統合基板355を介して送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段491によって受信されると、これを基に演出表示装置115を制御するための各種機能が備えられている。
すなわち、当り時演出態様テーブル492と、外れ時演出態様テーブル493とが予め記憶されており、これらのテーブル492,493を基に、ステップ演出における演出態様が決定されるようになっている。
当り時演出態様テーブル492は、普通当りの場合に用いられ、演出決定用乱数(後述する)と、演出態様(ここではステップ演出における演出パターン)との関係を示すものである。また、外れ時演出態様テーブル493は、外れの場合に用いられるテーブルであり、演出決定用乱数と演出パターンとの関係を示すものである。
電飾制御基板357には、ランダムカウンタ(図示しない)からステップ演出決定用乱数を抽出する演出用乱数抽出手段495と、ステップ演出の演出パターンを決定する演出態様決定手段496とが設けられている。演出態様決定手段496は、コマンド受信手段491を介して制御コマンドを受信すると、演出用乱数抽出手段495によって演出用乱数を抽出するとともに、制御コマンドに含まれる当否コマンドが普通当りを示すものである場合には、演出用乱数抽出手段495によって抽出された演出用乱数と、当り時演出態様テーブル492とから演出パターンを決定し、一方、当否コマンドが外れを示すものである場合には、演出用乱数抽出手段495によって抽出された演出用乱数と、外れ時演出態様テーブル493とから演出パターンを決定するものである。
そして、演出態様決定手段496によって決定されたステップ演出の演出パターンは、演出パターン記憶手段494から抽出されるとともに、演出表示制御手段443に送られる。演出表示制御手段443は、それらの演出の画像を演出パターン記憶手段494から読出し演出表示装置115に導出する。
また、演出表示制御手段443は、表示枠部429(図35参照)が後側フレーム292の開口部291内に出現した際、演出表示装置115の表示画面を、窓枠448の内側を通して視認される第一表示領域と、表示枠部429の外側において視認される第二表示領域とに区分けし、第一表示領域及び第二表示領域に対して互いに異なる演出画像を表示させる。特に、本例では、第一表示領域を、右側の窓枠448を通して視認可能となる領域と、左側の窓枠448を通して視認可能となる領域とに区分けし、互いに異なる演出画像を表示させる。具体的には、一方の第一表示領域にはスピード(速度)を表示させ、他方の第一表示領域にはエンジンの回転数を表示させる。
また、演出表示制御手段443には、領域変位制御手段444が備えられており、表示枠部429が上昇途中及び下降途中の際、表示枠部429の位置を昇降位置検出手段514によって検出するとともに、第一表示領域と第二表示領域との相対位置を、表示枠部429の位置に追随させて変位させるようにしている。つまり、表示枠部429の内側を通して視認される演出画像を、表示枠部429の可動位置に追随させて変位させることにより、その演出画像が表示枠部429からはみ出さないように制御している。
一方、装飾図柄列の演出に関する機能的な構成として、装飾図柄変動制御手段515、及びリーチ状態成立手段516が設けられている。装飾図柄変動制御手段515は、コマンド受信手段491によって受信された制御コマンドを基に三つの装飾図柄列を変動させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて装飾図柄列を順に停止させるものである。
リーチ状態成立手段516は、複数の装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄(停止図柄)の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合、既に停止している装飾図柄を第一リーチ形成図柄として、リーチ状態を成立させるものである。なお、リーチ状態が成立した場合には、リーチ状態であることを示す演出が表示されるとともに、発展演出の導出が可能となる。
このように、本例のパチンコ機1によれば、普通図柄始動口96を通過した遊技球の殆ど全てが振分用突起部507の上面傾斜部506上に落下することから、数多くの遊技球を普通入賞口500に入賞させ得るように見せることが可能となり、ひいては遊技球の挙動を注目させるとともに、遊技の興趣を高めることが可能となる。また、障害釘508によって振分用突起部507への落下位置が分散され、左側端部付近または右側端部付近に落下した場合には側方から排出され易くなることから、普通入賞口500に入賞する遊技球の割合を制限することが可能になる。すなわち、普通入賞口500に遊技球を入賞させ易く見せながらも、遊技球が多量に払出されることを抑制し、ひいては遊技店等の損失を軽減できる。特に、振分用突起部507の横幅が、遊技球の外径と略同等の大きさであるため、障害釘508による落下地点の分散範囲が比較的狭い場合であっても、振分用突起部507によって普通入賞口500に誘導される場合と、振分用突起部507の側方から排出される場合とに振分けることが可能になる。換言すれば、障害釘508と振分用突起部507とを近づけて配置することができ、ひいては全体を小型化することが可能になる。
また、本例のパチンコ機1によれば、振分用突起部507が平面視先細形状に形成されているため、遊技球が落下する地点での振分用突起部507の横幅を狭くしながらも、正面からみた振分用突起部の横幅を広く見せることができる。すなわち、振分用突起部507を平面視先細形状とすることにより、実際よりも入賞させやすく見せることができる。また、振分用突起部507は普通入賞口500側に向って拡がっていることから、普通入賞口500への誘導途中に左右方向に多少変位しても普通入賞口500まで誘導させることが可能となる。すなわち、普通入賞口500の手前まで誘導されたにも拘らずその地点で排出されることによる遊技者の不満を低減することができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、普通図柄始動口96と普通入賞口500との間に配設される障害釘508が、右側障害釘508aと左側障害釘508bとから構成されているため、それらの障害釘508の間に遊技球を通過させることにより、遊技球の転動方向が大幅に変更されることを抑制できる。このため、普通図柄始動口96を通過した遊技球の殆ど全てを振分用突起部507の上面に落下させることが可能になる。なお、右側障害釘508a及び左側障害釘508bは、普通図柄始動口96の中心と普通入賞口500の中心とを結ぶ中心線から左右方向に偏って配置されているため、普通図柄始動口96を通過した遊技球を、夫々の障害釘508に順に衝突させることが可能となり、転動方向を確実に変化させることができる。つまり、一対の障害釘508の間を障害釘508に接触することなく通り抜けることを回避できる。
また、本例のパチンコ機1によれば、普通図柄始動口96、普通入賞装置502、振分用突起部507、及びアタッカ装置98が共通のベース板510に取付けられているため、それらの部材を鉛直線上に精度よく配置することが可能になる。また、構成が簡素化されることから、夫々の部材を近づけて配置することができ、さらに小型化することが可能になる。また、一つのユニットとして一体的に構成されているため、組付け作業が容易となる。特に、ベース板510に釘貫通孔511が穿設されているため、普通図柄始動口96及び普通入賞装置502等を一つのユニットとして一体的に構成するにもかかわらず、遊技盤5に設けられた障害釘508をユニットの内部に配置することが可能となる。また、普通図柄始動口96の左右両側から釘貫通孔511の上部周縁に沿って進入阻止部材512が延出されているため、普通図柄始動口96の外側を通過する遊技球が障害釘508や振分用突起部507に向って転動することを阻止できる。つまり、普通図柄始動口96を通過した遊技球のみを振分用突起部507の上面傾斜部506に到達させることが可能になる。このため、普通図柄始動口96と普通入賞口500とを一連の挙動の中で関連付けることができ、一つの遊技球で、抽選が行われるか否か、遊技球が払出されるか否かという、二度の振分けを順次楽しませることができる。
また、振分用突起部507が平面視先細形状を呈しているため、振分用突起部507を下部側大入賞口83に近づけて配置した場合でも、下部側大入賞口83の間口を幅広く見せることが可能になる。つまり、下部側大入賞口83へ遊技球を入賞させるにあたって、「振分用突起部が邪魔になる」という意識を喚起させることはない。また、振分用突起部507の下面513が遊技盤5側に向って上り勾配に形成されているため、開閉部材99の上端と振分用突起部507の底面との間隔を、開閉部材99の回動位置に拘らず略一定とすることが可能になる。このため、開閉部材99の上端と振分用突起部507の下面513との間で遊技球が挟持されること、所謂球噛みが発生することを抑制できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、ベース板510に釘貫通孔511を形成し、遊技盤5に設けられた障害釘508を挿通させるものを示したが、ベース板510上に障害釘に相当する部材を突出して形成してもよい。
また、上記実施形態では、振分用突起部507を平面視ホームベース形に形成するものを示したが、振分用突起部507の形状は特に限定されるものではなく、例えば、平面視長方形状、または略三角形状に形成してもよい。
また、上記実施形態では、普通図柄始動口96、入賞通路501、及び下部側大入賞口83を一つのユニットとして一体的に構成するものを示したが、夫々別々に遊技盤5に取付けるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。