JP2007189132A - 光起電力素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属線を構成要素とするシート状電極体を光起電力体上に接合してなるタイプの光起電力素子の性能と耐久性を飛躍的に改良し、非常に低価格、高速生産可能であり、かつ高性能、高耐久性を有する光起電力素子を提供する。
【解決手段】金属線10を透光性シート22の面上に縫着したシート状電極体11と、光起電力体1と、を接合してなる光起電力素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、光起電力素子、光起電力素子集合体、光起電力素子モジュール、及びそれらの製造方法に関するものである。その中でも特に、光によって発電することを目的とする太陽電池、太陽電池集合体、太陽電池モジュール、及びそれらの製造方法に関するものである。
太陽電池の格子電極やバスバー兼インターコネクタとして、金属線を利用することが、太陽電池の性能向上に繋がることが、良く知られているが、金属線を高速で配線することの困難さから十分なコストメリットが出せず、普及に至っていない。
太陽電池への金属線の高速配線が困難な理由の一つは、既存の高速配線技術として半導体分野で普及しているワイヤボンディング技術が使えないことが挙げられる。ワイヤボンディングはリードフレームとチップの電極パッドとの間といった近距離間を配線するのに適した技術である。したがって、太陽電池の格子電極のように長距離を配線する必要がある部分への応用は困難である。また、ワイヤボンディング可能な金属線は一般に高価であり、その様な金属線を長距離に渡って太陽電池表面に配線した場合、コストメリットは出し難い。
このため、特許文献1乃至4では、金属線に接着被覆層を形成し、その金属線を平行に複数本並べて、光起電力体上に張り、それらを光起電力体上に加熱圧着するといった遅い配線方法が採られているのである。
ところが、金属線の高速配線を実現し、安価な金属線を格子電極やバスバー兼インターコネクタに使用しても十分なコストメリットを出せる可能性のあるアイデアが特許文献5に開示されている。このアイデアは図19に示す様に、金属線10を織ってなるシート状電極体を形成し、それを光起電力体1上に接合するといったものである。金属線の織物からなる網状体は、例えばスクリーン印刷版、ガスの高温処理用フィルタ、電磁波吸収シート等の様々な分野で利用されている。これらは織物業界の自動織機を応用した装置で形成される。したがって、非常に高速かつ、大面積で形成することが可能である。大面積で高速形成した網状体を、裁断し光起電力体上に接合すれば図19の太陽電池が完成する。これは特許文献1乃至4の配線方法と比較して、非常に高速な配線方法と言える。
特開2004−134656号公報 特開2004−140024号公報 特開平3−6867号公報 特開平8−46226号公報 特開平6−151915号公報
しかし、特許文献5の太陽電池は実現には至っていない。その理由として、金属線10と光起電力体1との接合が不十分となり易いことが挙げられる。
特許文献5のシート状電極体は、図20a)に示す様な織物であり、基本的に縦繊維12t及び横繊維12yから構成され、両者が交差してなるものである。この縦繊維12tと横繊維12yが交差する部分の摩擦力によって、織物の形状は保持されている。この摩擦力を十分に得るためには、各繊維に強いテンションを加え、縦繊維12tと横繊維12yが交差する部分において、縦繊維12tと横繊維12yが互いに押しつけられ合う様にしなければならない。そうでなければ、摩擦力が低下し、交差点が簡単にずれてしまうため、織物の形状を保持することが不可能である。各繊維に強いテンションを加えるためには、縦繊維12tと横繊維12yを密に織り込む必要がある。縦繊維12tと横繊維12yを密に織り込めば、次の様に織る工程において、各繊維に強いテンションが加わる。
図20b)に織機を横から見た図を示す。まず、ワープビームと呼ばれる円筒形の部品に、縦繊維12tを複数本、規則的に、密に巻きつける。次にこのワープビームから、先の複数の縦繊維12tを引き出し、ドロッパ、ヘルドを通して巻取りロールに巻いて、空中に張る。この時、複数の縦繊維12tは平行に並んで張られる。そして、張られた複数の縦繊維12tを、並んだ順で、ヘルドで規則的に上下に振り分ける。上下に振り分けることによって出来た上の縦繊維12tと下の縦繊維12tとの隙間に横繊維12yを通し、筬を使って図の左方の隙間が狭くなる方へと嵌め込む。この時、横繊維12yは、ほぼ直線状である。次の横繊維12yを嵌め込むために、先に、上下に振り分けた縦繊維12tの上下を、ヘルドを使って逆転させると、先に嵌め込んだ横繊維12yと、縦繊維12tが図20a)の断面図の様に、直線状から波線状に折れ曲がる。そのため、折れ曲がった分だけ各繊維の長さが伸び、この伸びによって各繊維のテンションが上昇する。縦繊維12tと横繊維12yを密に織り込んだ方が、各繊維が直線状から波線状になった時の伸びが大きくなるため、より強いテンションが各繊維に加わる。以上より、換言すると、特許文献5に開示されたシート状電極体11は金属線からなる織物であり、その形状を保持するために、織物を形成する各繊維は、必然的に密に織り込まれ、波線状に折れ曲がっている必要があることになる。
しかも、特許文献5のシート状電極体は図20a)に示す様に、織物の中で最も単純な平織りの織物である。これは、前述の織物を織る工程において、空中に並べて張った縦繊維12tを並んだ順に規則的に上下に振り分ける際に、隣接する縦繊維12tが必ず上下に振り分けられる様に、並んだ順に交互に、上下に振り分けて織られるものである。したがって、図20a)の断面図の様に、縦繊維12tは横繊維12yの間を縫う様に折れ曲がり、正弦波の様に連続した波線状になっている。同様に、横繊維12yも横繊維12yの間を縫う様に折れ曲がり、正弦波の様に連続した波線状になっている。
この結果、この様な網状体を光起電力体に接合すると、図19のAA’断面図に示した様に金属線10と光起電力体1との接合面は図のBの部分のみとなる。これは、ほぼ点接触に近いものであり、接合面積が小さい。したがって、電気的接合、機械的接合ともに不十分となり易い。電気的接合が不十分であれば、太陽電池の直列抵抗成分が上昇し、性能が低下する。また、機械的接合が不十分であれば、耐久性が低下し、長期に渡って安定した性能を保持出来なくなる。AA’断面は横線10bに沿った断面であるが、縦線10aに沿った断面で見ても、この状況は同じであり、横線10bと同様に縦線10aと光起電力体との接合面も点接触に近く、電気的接合、機械的接合ともに不十分となり易い。
ところで、図21の様に縦線10a間の間隔と、横線10b間の間隔を広げて、網状体の開口率を上げることによって接合面Bにおける横線10bと光起電力体1との接合面積を大きくすることも考えられる。しかし、この場合、縦線10aと横線10bのテンションが容易に緩むため、交差点が簡単にずれるようになる。そして網状体が容易に型崩れしてしまう。
網状体が型崩れを起こせば、一つには生産性が著しく低下する。また、金属線10の間隔が不均一になり、太陽電池の性能が低下するという問題も発生する。なぜなら、金属線10の間隔が不均一になれば、間隔が狭まった部分での集電効率の上昇に対し、間隔が広がった部分での集電効率の低下が大きいため、全体の集電効率が低下し、ひいては太陽電池の性能が低下するからである。ここで言う集電効率とは、光起電力体で発生した電流が光起電力体の表面を、格子電極に向かって流れる際に引き起こすジュール損失の少なさのことである。
結局、図21の様に十分な面積を有する接合面Bを得るまで、縦線10a間の間隔と、横線10b間の間隔を広げることは出来ないことになる。
以上の様に特許文献5の太陽電池は、金属線10と光起電力体1との電気的接合不足による直列抵抗成分の上昇と、性能低下が発生し易い状況にあった。また、金属線10と光起電力体との機械的接合不足によって、長期に渡って安定した性能を発揮することが困難となり易い状況にもあった。
そこで本発明は、金属線を構成要素とするシート状電極体を光起電力体上に接合してなるタイプの光起電力素子の性能と耐久性を飛躍的に改良し、非常に低価格、高速生産可能であり、かつ高性能、高耐久性を有する光起電力素子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の光起電力素子は、金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体と、光起電力体と、を接合してなることを特徴とする。
また、本発明の光起電力素子集合体は、金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体によって、複数の光起電力体を並列接続してなることを特徴とする。
また、本発明の他の光起電力素子集合体は、金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体によって、複数の光起電力体、または光起電力素子集合体を直列接続してなることを特徴とする。
また、本発明の光起電力素子の製造方法は、金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体と、光起電力体と、を接合する工程を有することを特徴とする。
また、本発明の光起電力素子モジュールの製造方法は、金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体と光起電力体とを接合する工程と、前記光起電力体を透明樹脂で封止する工程と、を同一工程で行うことを特徴とする。
本発明によれば、金属線よりなるシート状電極体を光起電力体上に接合してなるタイプの光起電力素子の性能、及び耐久性が飛躍的に改善される。また、これによって、非常に低価格、かつ高速生産可能であり、さらに高性能、高耐久性を有する光起電力素子を提供することが可能である。
以下に図を用いて、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
<実施形態例1>
図1は、本発明の光起電力素子の一例を模式的に示す概略図である。
図1a)はシート状電極体を示す図であり、左図は下面図、右図は上面図である。本例のシート状電極体11は、金属線10を透光性シート22の下面に縫い付けたものである。
図1b)は、光起電力素子を示す図である。本例の光起電力素子は、光起電力体1の上面にシート状電極体11の下面が合わさる様に、両者が接合されて完成する。そして、光起電力体1に入射した光によって発生した電力は、シート状電極体11の金属線10を伝わって光起電力素子の外部に取り出される。
図1c)は図1b)のAA’線分に沿った断面図である。本例によれば、金属線10と光起電力体1との接合距離Bを長くすることが可能である。このため接合は線での接合となり、特許文献5では金属線と光起電力体との接合部が点での接合であったのに対し、格段に接合面積を大きくすることが可能である。
本例では、金属線10と光起電力体1との接合面積が大きくなれば、シート状電極体22と光起電力体1との間の接合抵抗が小さくなり、光起電力素子の性能が向上する。また、接合強度が大きくなり、信頼性も向上する。即ち、特許文献5に開示された光起電力素子の場合に発生する、性能と信頼性の問題が解決される。
尚、極端に接合距離Bが長い場合、金属線10の透光性シート22との固定が緩くなるため、シート状電極体11と光起電力体1とを接合する際に、金属線10が曲がり易くなる。金属線10が曲がれば、格子状電極(金属線10)の集電効率が下がり、光起電力素子の性能が低下するため好ましくない。太さが10μm乃至1mm程度の金属線に対しては、ピッチ(接合距離)Bは数mm乃至数十mmが好適である。
本例の透光性シート22と金属線10との縫着方法は、JIS L0120において、手縫いに分類される方法であり、公知のミシンによって縫製することは困難な方法である。しかし、例えば、図2の様な方法を機械化することにより高速に形成することも可能である。即ち、図2a)に示した様に、縫い針に通した金属線10を複数本並べて張り、透光性シート22を折りたたんで、折目の端を、縫い針で掬う様に縫う。次に図2b)に示す様に、折りたたんだ透光性シートを広げれば図1のシート状電極体が完成する。
図3は、図1において縫い方を変えた例である。図3は光起電力素子の断面図であり、図1c)に相当する図である。図3の様に、金属線10が透光性シート22の上面に出ない様に掬い縫いにすることが、金属線10と光起電力体1との接合面積を大きくできる点において好ましい。図1c)と図3を比較すると、一つの縫い目Gの大きさが図3の方が小さい。このことに起因して、図3の場合、図1の場合よりも接合距離Bが増加していることが分かる。さらに、透光性シート22が光起電力素子の封止層としての機能を果たす場合は、図3の様な縫い方が好ましい。なぜならば図1の場合、透光性シート22の上面に金属線10が露出しているため、さらに上部に封止層が必要となるからである。
<実施形態例2>
図4は、本発明の光起電力素子の、別の例を模式的に示す概略図である。本例は、金属線10を透光性シート22に縫着糸14によって縫着したことが、実施形態例1と異なる。
図4a)はシート状電極体を示す図であり、左図は下面図、右図は上面図である。本例のシート状電極体11は、金属線10を透光性シート22の下面に、縫着糸14によって、本縫いで縫い付けたものである。
図4b)は、光起電力素子を示す図である。本例の光起電力素子は、光起電力体1の上面にシート状電極体11の下面が合わさる様に、両者が接合されて完成する。
図4c)は、それぞれ図4a)のBB’線分、図4b)のAA’線分に沿った断面図である。本例も実施形態例1と同様に、金属線10と光起電力体1との接合距離Bを長くすることが可能である。特に公知の本縫いミシンを利用すれば、容易に数十mm程度まで長くすることが可能である。このため接合は線での接合となり、格段に接合面積を大きくなる。
さらに、本例は、実施形態例1と比較して、より金属線10と光起電力体1との接合面積を大きくすることが可能である点において優れている。
実施形態例1は、金属線10が透光性シート22の中を貫通して縫い目を形成している。したがって、縫い目Gの部分において、金属線10が光起電力体1の表面から浮いている。この縫い目Gを図3に示す様に小さくしていくことも可能であるが、縫い目Gを小さくするに従って、縫い目を形成する作業が困難になり、生産性も低下してしまう。しかし、本例の様に、縫着糸14で金属線10を縫着した場合、金属線10が光起電力体1の表面から浮く長さは図4c)にGで示した様に、縫着糸の太さ程度に抑えることが容易に可能である。したがって、縫着糸14によって金属線10を縫着する本例の方が、金属線10と光起電力体1との接合面積を大きくする効果を有する。
さらに、本例は、実施形態例1と比較して、より高い生産性が得られる点においても優れている。
実施形態例1の様に金属線10のみで透光性シート22と金属線10との縫着を行えば、必ず金属線10は透光性シート22の中を貫通しなければならない。金属線10を透光性シート22の中を貫通させる際には、貫通穴内面から受ける摩擦力があるために、金属線10に大きな張力を加える必要がある。さらに透光性シート22の変形による貫通穴の変形により、貫通穴内面から金属線10に大きな曲げ応力が加わる。金属線10は金属よりなるため、応力に対して弾性を示す領域が狭く、塑性変形が発生し易い。金属線10に大きな塑性変形が発生し、金属線の極端な伸びや、キンク、破断等が発生すれば、格子電極の集電効率が低下し、光起電力素子の性能低下にも繋がる。したがって、実施形態例1の様なシート状電極体を高速に形成しようとすれば、様々な制約が加わる。
しかし、本例の場合は、透光性シート22を貫通するのは縫着糸14である。このため、縫着糸14に塑性変形し難く、適度な弾性を有した公知の糸を使用すれば、上記の問題を回避出来る。したがって、シート状電極体の高速成形が実施形態例1と比較して容易であり、金属線10を高速に透光性シート22に縫い付けることが可能であり、より高い生産性が得られる。
図5は公知の本縫いミシンの一針を縫う過程を図示したものである。図5はミシンの一部(ミシン針23と釜24)のみを示してある。釜24にはボビン糸26を巻いたボビンが収納されている。図5a)においてミシン針23は最下点にある。この状態で、ミシン針23の針先に空けられた針穴に通された針糸25は生地27の下に引き込まれている。図5b)にかけて若干、ミシン針23が上昇すると、生地27の下に引き込まれた針糸25に弛みが発生する。その針糸25の弛みを、回転する釜24の剣先28が引っ掛ける。図5c)乃至g)にかけて、さらに釜24が回転することによって、剣先28が針糸25をさらに生地27の下に引き込み大きなループを形成する。それと同時に、ボビン糸26を巻いたボビンを収納した釜24は、そのループを潜る。最後に図5h)において、不図示の天秤が針糸25を引き上げることによって、生地の下に出ていた針糸25が上に引き戻される。
本例のシート状電極体11はこの様な公知の本縫いミシンによって、実施形態例1よりも容易に高速に形成することが可能である。例えば、縫い目のピッチを20mmとし、縫い付け速度を毎分2,500回とすれば、金属線を毎分50m配線することが可能である。
縫着糸14は透明なものを使用することが好ましい。透明なものを使用すれば、光起電力素子に入射する光を遮らないため、不透明なものを使用した場合に比べて、光起電力素子の性能が向上する。
本例の場合、図4c)にCで示した部分において、金属線10が透光性シート22内部に侵入する量を制御することが好ましい。図5d)において、上糸(針糸)25は生地27の厚み方向の半ばまで引き上げられている。それに伴い、下糸(ボビン糸)26が、生地27の厚み方向の半ばまで侵入してしまっている。本例の場合は、図4c)のBB’断面図に示した様に、下糸に相当する金属線10の引き上げ量は、縫着糸14の太さの数倍程度に制御されている。この様に金属線10の引き上げ量は、縫着糸14の太さの数倍程度に制御しておくことが好ましい。なぜなら、この様にしておくことで、金属線10を光起電力素子の電力が伝達される距離が長くなることを防ぎ、格子電極の集電効率が向上するためである。また、金属線10を透光性シート22に引き込む量を抑え、光起電力素子の光入射面から、金属線10の上面までの高さを低くすれば、格子電極が光起電力素子上に形成する影を小さくすることが可能である。この意味においても、金属線10を引き込む量を抑えておくことが好ましい。さらに、金属線10を引き込む量を抑えれば、金属線10を引き込んだ部分にキンクが発生することを防止し、金属線10の破断が発生し難くなる。したがって、信頼性上も好ましい。ただし、金属線10の引き込み量が極端に小さいと、シート状電極体11の下面において、図4c)BB’断面図にCで示した部分の縫着糸14が下に突き出た形になる。そのため、シート状電極体11を光起電力体1に接合する際の障害に成り、金属線10と光起電力体1との接着距離Bが短くなる可能性がある。そこで、図4c)の様に透明糸14が突き出ない程度に金属線10を引き込むことが好ましい。
尚、図5d)に示した縫い目ピッチPは、不図示の生地27の送り機構を調整することによって長くすることが可能である。本例の場合、図4c)のBが、このピッチPに相当する。ピッチPを長くすることによって、Bが長くなり、より金属線10と光起電力体1との接合面積が増大させることが可能である。
<実施形態例3>
図6は金属線10を透光性シート22に縫着糸14によって縫着した別の例である。
図6a)はシート状電極体を示す図であり、左図は下面図、右図は上面図である。本例のシート状電極体11は、透光性シート22の表面に複数並べて載置した金属線10に対し、交差する方向に縫着糸14を縫い付けることによって、金属線10を飾り糸として透光性シート22に縫着している。そして、金属線10は透光性シート22の下面に、針糸、ボビン糸、共に縫着糸14を使った本縫いで縫い付けられている。
図6b)は、光起電力素子を示す図である。本例の光起電力素子は、光起電力体1の上面にシート状電極体11の下面が合わさる様に、両者が接合されて完成する。図6c)は図6b)のAA’線分に沿った断面図である。本例も実施形態例2と同様に、金属線10と光起電力体1との接合距離Bを長くすることが可能である。
ところで、実施形態例2の場合、金属線10はそれ自体が縫い目を維持するための縫糸として機能しており、金属線10が無ければ、縫い目が形成されず、縫着糸14は透光性シートから、離れてしまう。一方、本例の場合、金属線10が無くても縫着糸14の縫い目は維持される。この様に、縫い目の維持に直接寄与せずに、縫い目に飾りとして挿入される糸を飾り糸と言う。JIS L0120によるとクラス600のステッチ形式にはこの様な飾り糸が挿入されている。縫い目を維持するための縫糸には、縫糸全体に縫い目を維持するための張力が加える必要があり、この張力のため縫糸が交差する部分には大きな摩擦や応力が加わり易い。一方、飾りのために挿入する飾り糸は緩んでいても縫い目は保持されるため、縫糸ほどの張力は加える必要が無い。このため、金属線10を縫着糸14で透光性シートに縫着する場合は、金属線10を飾り糸として縫着することが、金属線10の塑性変形による、伸び、曲がり、キンク、破断の発生を防止することが可能であり、光起電力素子の性能向上や、信頼性の面で好ましい。
また、金属線10を本例の様に、金属線10と交差する方向に縫着糸14を縫い付けることによって、金属線10と透光性シート22を縫着することが、生産性を高める上で非常に好ましい。これは、実施形態例2の様に、金属線10と同じ方向に金属線の縫着糸14を縫い付ける場合と比較して、縫着糸14を縫い付ける距離が短くなり、使用材料や縫い付け時間が少なくて済むからである。
図7,8に縫着糸14を金属線10と交差する方向に縫いつけた他の例を示す。図7,8は、シート状電極体の下面図及び上面図のみを示したものである。
図7a)の様に一部、縫着糸14を金属線10と平行に縫い付ける部分があっても良い。この場合、図6の様に縫い付けを途中で中断し、糸切りを行う必要がないため、連続的に縫着糸14を縫い付けることが可能である。
図7b)の様に一部、縫着糸14を金属線10と斜めに交差する様に縫い付ける部分があっても良い。周期的に図の左右方向に往復運動するミシンヘッドの下を、金属線10を載置した透光性シート22を図の上方向、または下方向に動かしながら、縫着糸14を縫い付けることが可能である。拡大図に示した様に、一度、縫着糸14を縫い付けた部分に、スイッチバックして縫着糸14の縫い付けを行い、縫着強度を補強しても良い。
図7c)は透光性シート22上に、太い金属線10aからなる格子と、細い金属線10bからなる格子とを、この順に直交する様に載置した後に、縫着糸14によって、これら格子の要所を透光性シート22に縫着したものである。必要に応じて、この様にシート状電極体11に二種以上の金属線10を縫着して良い。そうすることで、集電効率の高いシート状電極体を容易に形成可能となる。図7c)の例では、細い金属線10bが格子電極として、太い金属線10aがバスバーとして機能する。したがって、光起電力体で発生した電力は、まず、細い金属線10bからなる格子電極を伝わって、太い金属線10aからなるバスバーに集まり、バスバーを伝って外に取り出される構造となる。そこで、光起電力体の性能に合わせて、細い金属線10bと、太い金属線10aの太さ、間隔を調節すれば、集電効率の高い電極となる。ここで、二種以上の金属線としては、このように太さの異なる金属線を用いても良いし、材質の異なる金属線を用いても良い。太さ及び種類の異なる金属線を用いても構わない。
図8は複数のミシンヘッドを使用して縫着した例である。これらは例えば図9に示した装置を使用して非常に高速に形成可能である。図9の装置の左部分には金属線10を巻きつけたボビンをセットする。そこから、図の右方向に金属線10を複数本並べて水平方向に引き出す。別途、金属線10と同様に透光性シート22をロール状に巻いたものから透光性シート22を右方向に引き出す。この引き出した透光性シート22の上に、前述の複数本並べて引き出した金属線10を載置した後に、搬送ロールに挿入する。さらに、搬送ロールの右側の縫製装置によって、不図示の縫着糸を前記金属線10の上から、透光性シート22に縫い付けて、金属線10と透光性シート22の縫着を行う。こうして一体化された金属線10と、透光性シート22を分割プレス機によって分割し、シート状電極体11を得る。
縫着箇所は図6乃至図8に記載の箇所に限らない。透光性シート11と光起電力体1とを接合する際に金属線10が曲がらない様に要所を縫着すれば良い。
<実施形態例4>
図10a)はシート状電極体を示す図であり、左図は下面図、右図は上面図である。本例のシート状電極体11は、JIS L0120に記載のステッチ形式101、ルーピングと呼ばれる構成要素からなる単環縫いによって縫着糸14を縫い付けた点が、実施形態例3と異なる。
図10b)は、光起電力素子を示す図である。本例の光起電力素子は、光起電力体1の上面にシート状電極体11の下面が合わさる様に、両者が接合されて完成する。図10c)は図10b)のAA’線分に沿った断面図である。本例も実施形態例3と同様に、金属線10と光起電力体1との接合距離Bを長くすることが可能である。
ステッチ形式101、単環縫いは、図11に示した公知の単環縫いミシンによって形成される。図11は公知の単環縫いミシンの一針を縫う過程を図示したものである。図11はミシンの一部(ミシン針23とルーパー)のみを示してある。図5の本縫いミシンと異なり、使用する糸はミシン糸(針糸)25のみであり、ボビン糸が無い。図11a)においてミシン針23は下降途中にある。さらに、生地27も左方に縫い目ピッチ一つ分移動途中にある。また、ルーパーは第一のループの中を通った状態である。図11a)からb)において、縫い目ピッチ一つ分移動した生地27は停止し、ミシン針23は、針穴を通った針糸25を生地27の下に引き込みながら、生地27を貫通する。図11b)において、ミシン針23は最下点から若干上昇した状態にあり、生地27の下に余った針糸25によって第二のループが形成されている。この第二のループに回転して来たルーパーの先端が通る。図11b)からc)にかけて第二のループが第一のループにルーパーによって通される。図11c)乃至d)にかけて、針23が上昇するとともに、ルーパーがさらに回転し、第二のループが大きくなる。これにより、第一のループが小さく引き締まり一つの縫い目が完成する。なお、縫着強度をより高めるために、単環縫いに代えて二重環縫いを用いることも可能である。
図12に縫い目を構成する基本的構成要素を示す。図12a)は他糸レーシングと呼ばれる構成要素である。これは針糸25が、他糸が形成するループの中を通り抜けるか、もしくは針糸25が形成するルプの中を他糸が通り抜け、針糸25と他糸が交差してなる構成要素である。他糸レーシングは実施形態例3で示した本縫いの基本的な構成要素であり、例えば、図5で示した様に形成される。図5では針糸25が形成するループの中をボビン糸(他糸)を巻いたボビン全体が通り抜けることで形成された。この様に他糸レーシングを形成するためには、一方の糸の形成するループの中を他方の糸の全体(ボビン)が通り抜ける必要がある。
一方、図12b)はルーピングと呼ばれる構成要素である。これはループの中をループが通り抜けてなる構成要素である。左図は自糸ルーピングと呼ばれ、針糸25が形成するループの中を、針糸25(自糸)が形成する他のループが通り抜けてなる。また、右図は他糸ルーピングと呼ばれ、針糸25が形成するループの中を、他糸が形成するループが通り抜けるか、もしくは針糸25が形成するループが、他糸が形成するループの中を通り抜けてなる。自糸ルーピングは本例の単環縫いの基本的な構成要素であり、例えば、図11で示した様に形成される。図11では針糸25が形成する第一のループの中をルーパーによって形成される第二のループが通り抜けることで形成された。この様に一般にルーピングを形成するためには、ループの中を糸のループのみが通り抜けるために、レーシングの様に糸の全体(ボビン)が通り抜ける必要が無い。
JIS L0120で手縫いと分類される縫い方を除いて、公知のミシンの縫い目は基本的にこれらレーシング、もしくはルーピングによって形成される。JIS L0120のステッチ形式101乃至108は自糸ルーピングからなる。同じく301乃至327は他糸レーシングを含む形式である。401乃至417、501乃至521、601乃至609は他糸ルーピングによるものである。
金属線10と透光性シート22との縫着方法は、これらステッチ形式の中でもルーピングによって形成される形式が好ましい。なぜなら、ルーピングによる縫着方法であれば、レーシングによる縫着方法よりも、シート状電極体11の生産性が格段に向上するためである。先に述べた様にルーピングを行うためには、基本的にループの中を、糸全体を巻いたボビンを通す必要が無い。このため糸を巻くボビンの大きさに制限が無い。このためボビンの交換頻度を極端に減らすことが可能であり、生産性が高まる。一方、ループの中を、ボビンが通るレーシングの場合、ボビンが小さければ、高速に縫着可能な装置が形成可能であるが、ボビンの交換頻度が高まる。一方、ボビンが大きければ、図5の釜24を高速に回転させることが困難であるため、縫着速度が低下する。よって、ボビンの大きさに制限があるのである。
以上の理由から、特に図9で示した様なロール状の透光性シート22に連続的に金属線10を縫着する方法においては、ルーピングによる縫着が好適である。図9の様な装置の生産性を高めるためには、さらに複数本の針を使用した環縫いが好適である。例えば、工業的には30本程度の針を並べて、平行にJIS L0120のステッチ形式401を連続的に行う装置もある。この様な装置を利用することで、高度な生産性を得ることが可能である。
図13は、等間隔で並んだ10本の針でステッチ形式101(単環縫い)を同時に行う方法を示したものである。図13には針糸25のみを示し、生地、針、ルーパー等は不図示である。図13は斜視図であり、図13a)は仮想的に一本の針の針糸25のみを抜き出して示したものであり、本来は、図13b)に示した様に、互いに隣接する針の、二本の針糸は、所々、互いにリンクしている。この縫い方は基本的に図13a)の拡大図に示した単環縫いからなる。ただし、通常の単環縫いと異なり、二針縫う毎に、矢印Dで示した基本的な縫い付け方向と直角方向に針刺し位置を一定距離(図にdで示した距離)移動させながら縫ったものである。図13a)は縫い始めから、矢印Dで示した基本的な縫い付け方向に縫い付けつつ、所々、tで示した部分で斜めに縫い付け方向を変化させて、17針縫い進んだ状態を示している。図13a)の縫い方を平行に並んだ10本の針で同時に行い、互いの針糸をリンクさせれば、図13b)の縫い方が可能である。この様な方法で図9の透光性シート22のロール巻き出し方向と、図13に矢印Dで示した方向を一致させて縫い進めば、ロールを常時回転させながら縫いつづけることが可能であるため、生産性が高いものとなる。
<変形例>
本発明は、シート状電極体を接合する光起電力体の表面に限定されない。シート状電極体を接合する表面は、光起電力体の光入射面、非光入射面、もしくはその両方で有っても良い。どの場合であっても、発明の効果は得られる。ただし、光入射面、非光入射面、それぞれの場合に適した金属線の縫着方法を選択する必要が有る。
非光入射面に接合する場合は、シート状電極体11に電流が流れることによって発生するジュールロスと、生産コスト、材料コストとをバランス良く小さくすることが可能な縫着方法が望ましい。
一方、光入射面に接合する場合は、シート状電極体を構成する金属線の太さ、間隔等を調節することで、シート状電極体を流れる電流によるジュールロスと、シート状電極体が光を遮ることによるシャドウロスとのバランスをとる必要がある。つまり、光起電力体の発電能力に合わせて、シート状電極体を構成する金属線の太さ、間隔等を最適な値に調節する必要がある。
また、本発明のシート状電極体に共通して、その一部において、その他の部分とは縫着方法が異なる部分を有しても良いし、必要に応じて、ポリカーボネイト繊維の様な補強材を縫い込んでも良い。さらに、シート状電極体に金属箔などを縫着するか、接合する等を行っても構わない。
さらに、光起電力体の直列化のために、透光性シートの面上から金属線が突き出た直列部を有するシート状電極体を形成し、このシート状電極体を一方の光起電力体の面に接合し、直列部を他方の光起電力体に接合しても良い。
以下に用語の意味を説明する。
<金属線10>
本発明は金属線の種類によって限定されないが、金属線として次のものが挙げられる。
金属線は、線材として工業的に安定に供給されている。その製法としては、母材から、伸線工程を経て得る方法が一般的である。伸線工程は母材に熱を加えて行っても良いし、ダイスを通して引き伸ばす方法でも良い。伸線工程の他にアニール工程を設けても良い。また、圧延や、電解によって形成した箔材にスリットを入れて線材にする方法もある。この場合、その断面は矩形となる。
金属線の材質としては、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの材料が、比抵抗が小さいため好適である。中でも、銅が、電気抵抗が低いうえに安価であることから最も使用される。また、金属線はこれらの金属の合金であってもよい。
金属線の表面には、光起電力体と金属線との接着、金属線表面の腐食防止、酸化防止、電気的導通の改良などの目的で、薄い金属層や樹脂層が形成されることもある。また、防錆処理が施されていても良い。表面に形成される金属層としては、例えば、銀、パラジューム、銀とパラジュームの合金、金などの腐食されにくい貴金属や、ニッケル、錫、半田などの耐食性のよい金属が用いられる。その中でも、金、銀、錫、半田が湿度などの影響を受けにくいため、好適である。金属層の形成方法としては、例えば、メッキ法、クラッド法が一般に用いられる。金属線を被覆する導電性樹脂の厚みは、所望に応じて決定されるものであるが、例えば断面が円形の金属線であれば、直径の1%から10%の厚みが好適である。電気的導通、耐食性の効果、金属層厚みを考慮して金属層、樹脂層の比抵抗は、10Ωcm以下が好適である。具体的には、銀粒子とガラスフリット、有機ビヒクル等を混ぜた焼結系の銀ペースト、熱可塑性や熱硬化性樹脂に銀粒子や防錆処理済み銅粒子を分散した樹脂系導電性ペースト、銀の変わりにグラファイトを分散させたカーボンペースト、あるいは、主に溶剤と酸化銀からなる低温焼成型銀ペースト等が挙げられる。
金属線の断面形状は円形が好ましいが、矩形や三角形等であってもよく所望に応じて適宜選択される。金属線の直径は、ジュールロスとシャドウロス等のロス全体が最小となるように設定して選択されるものであるが、例えば直径25μmから1mmまでの銅線が多く用いられる。より好ましくは、25μmから200μmとすることで効率のよい光起電力素子が得られる。25μmより細い場合は金属線が切れやすく製造が困難となり、また電気ロスも大きくなる。また、200μm以上であるとシャドウロスが増大する場合や、光起電力素子表面の凹凸が大きくなって、素子表面を樹脂封止する際にEVAなどの充填材を厚くしなければならなくなる場合がある。
<透光性シート22>
透光性シートは金属線が縫着されるシート状の部材であり、透明なものである。透光性シートに望まれる条件としては、第一に、光起電力素子を樹脂封止した際に透明になることが挙げられる。これは、一般に光起電力素子は樹脂によって封止された状態で使用するためである。その透明度としては、透光性シートを光起電力体と接合し、かつ樹脂封止した状態で、全光線透過率90%以上が必要であり、さらには95%以上であることが望ましい。これは、光起電力体の発電性能を有効に利用するためである。
全光線透過率を90%以上とするためには、透光性シートと封止樹脂との屈折率がほぼ等しいことが効果的である。一般に封止樹脂は屈折率が1.4乃至1.6程度であるため、透光性シートを構成する材料の屈折率も同様に1.4乃至1.6であることが望ましい。さらに、全光線透過率を90%以上とするためには、封止樹脂と透光性シートの界面は、光の入射方向に対して垂直ではなく、傾斜していることが好ましい。これは、封止樹脂と透光性シートの界面において反射した光を、封止樹脂と空気との界面において全反射させ、再び光起電力素子に入射させることが可能となるためである。そのための封止樹脂と透光性シートの界面の平均傾斜角は20度以上であることが必要であり、さらには40度以上であることが好ましい。この平均傾斜角を大きくするために、透光性シート表面にスクライブ、押し当て成形等のプロセスで溝を形成することや、蒸着、スパッタ、メッキ等のプロセスで不均一膜を形成する方法が効果的である。
また、全光線透過率を90%以上とするためには、樹脂封止の際に、封止樹脂と透光性シート界面に空気層が残留し、入射光の反射率が高まることを防止する必要がある。このために、透光性シートの表面は細部まで封止樹脂が浸透し易い特性を有することが望まれる。言い換えれば、封止過程において、液体となる樹脂の透光性シート表面に対する濡れ性が高いことと、透光性シート表面に樹脂が浸透不能な微細構造を有しないことが望まれる。具体的には樹脂と透光性シートの接触角は90°以下が望ましく、透光性シート中に数μmオーダーの微細な隙間を有しないことが好ましい。
さらに、透光性シートに望まれる第二の条件として、ミシン針を容易に貫通させることが挙げられる。これは、透光性シートが極端な硬度や、弾性を有する場合、ミシン針を貫通させることが困難となり光起電力素子の生産性が低下するからである。さらには、ミシン針と透光性シートとの摩擦熱によって、針糸が切れることもある。
前述の望まれる条件を満たす透光性シートとして、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、ブチラール樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる樹脂シートが挙げられる。特に太陽電池モジュールの封止樹脂として一般的なEVA、EMAAは透明性の面で好適である。これらの樹脂を公知のロール成形機や、押し出し成形機を利用してシート状に形成し、透光性シートとして使用することが好ましい。シートの厚みは金属線、縫着糸、ミシン針の太さ、強度等によって適宜選択可能であるが、0.01乃至1mm程度のものが好適である。さらに、ミシン針が貫通し易い様に、シートに多数の細孔を空けるなどして、シートを網状体とすることも効果的である。
さらに、縫着が容易な透光性シートとして、繊維からなる布地が挙げられる。布地はミシン針が貫通する隙間を無数に有するために、ミシン針の貫通に対する抵抗が極めて小さいからである。この様な布地としては、複数の繊維が撚り合わさってなる糸で構成される織布、編地等も挙げられるが、透明単繊維からなる不織布が好適である。その理由の一つは、不織布の繊維密度が織布や編地と比較して小さく、ミシン針貫通時の抵抗が極めて小さいからである。また、複数の繊維が撚り合わさった糸からなり、繊維間にμmオーダーの微細な隙間を有する織布、編地と異なり、不織布は単繊維からなり、繊維間の隙間が大きく、封止樹脂が含浸し易く、前述の透明性が確保し易いからでもある。特にガラス繊維からなるガラス不織布は耐熱温度が高く、前述した焼結系の導電性ペーストを使用する場合でも使用可能な他、耐候性、強度も十分有しており最も好適である。これら布地を構成する繊維の断面は円形のものが多いが、樹脂の含浸性を高めるために三角、矩形、多角形のものを使用しても良い。
<縫着糸>
透光性シートに縫い付けることによって、金属線を透光性シートに縫着するための糸である。前述の様に塑性変形し難く、適度な弾性を有したものが好ましい。特に公知のミシンの針糸として使用する場合は、優れた弾性が要求される。これは、ミシン針を生地に通す際や、針糸にループを形成する際、天秤で針糸を引き上げる際等において、針糸に強い張力、曲げ応力が加わるためである。この張力や、曲げ応力によって針糸が塑性変形し、針糸に伸びや、キンクが発生することを防止するためには、針糸に優れた弾性が要求される。この様な弾性を有するものとして、公知のミシン糸が挙げられる。中でも樹脂繊維としてはナイロン系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系等が好適である。また、ガラス長繊維も適度な弾性を有し好適である。
さらに、縫着糸は透明なものが好ましい。一般に光起電力素子は樹脂によって封止された状態で使用する。縫着糸が、光起電力素子を樹脂封止する際に透明になるものであれば、縫着糸が光起電力素子の光入射面に形成するシャドウによるロスを防ぐことが可能である。つまり、封止樹脂に対して、表面濡れ性が良く、屈折率の差がほとんど無いものであれば使用可能である。樹脂の含浸性を高めるために表面処理を施したものが好適である。また、必要に応じて、経の異なる透光性部材や、種類の異なる透光性部材を縫着に使用しても良い。さらに、その断面形状は円形、三角形、矩形等であっても良い。
<光起電力体1>
入射する光のエネルギーを電力に変換する作用を有するものである。本発明は光起電力体の種類によって限定されないが、光起電力体として次のものが挙げられる。光起電力層単独体や、光起電力層と、光起電力層の形状を維持するための基板、電流を流すための電極層、光を反射させるための層等との複合体が公知である。
最も多くは光起電力層が半導体接合からなるものである。半導体は材料の面で大きくシリコン系と、ガリウム砒素や硫化カドミウムに代表される化合物半導体系とに分けられる。また接合のバンド構造の面で、単純な同種のp型半導体とn型半導体との接合であるpn接合型、禁制帯の異なる異種半導体の接合からなるヘテロ接合型、半導体と金属のショットキーバリア型に分類される。結晶構造の面での分類では結晶系、多結晶系、薄膜微結晶系、薄膜アモルファス系に分類される。層構造の面では接合一層からなるシングル、接合二層を重ねて直列化したタンデム、さらに三層を重ねたトリプル等が公知である。
薄膜系の基板としては、導電性基板、絶縁性基板のどちらでも使用可能である。導電性基板としてはステンレスやアルミ等の金属基板が好適である。絶縁基板としてはガラス、セラミック、樹脂による基板が挙げられる。
光起電力体が薄膜系の場合、光入射側表面の導電率向上を目的として、ITO、Sn23等の透明導電性酸化物層を形成することが好適である。光起電力体が半導体基板系の場合、入射光の反射防止や、表面のパッシベーションを目的として、光入射表面にはシリコンの酸化膜や、窒化膜が、形成されることが多い。半導体基板系の反光入射側表面には、銀、アルミ等の太陽光に対して反射率の高く、導電率の高い層が用いられる。
<シート状電極体と光起電力体との接合>
シート状電極体と光起電力体との接合方法は、光起電力体と金属線によって適宜選択すれば良い。例えば図14に示した接合方法が挙げられる。図14において、シート状電極体は、金属線10のみを図示しており、透光性シートは不図示となっている。
図14a)は金属線10sの表面に予め接着層10hを塗布し、それを光起電力体1の上に接合したものである。予め接着層10hを塗布した金属線10sを縫着したシート状電極体を形成し、それを光起電力体1上に接合しても良いし、先に金属線10sを縫着したシート状電極体を形成しておき、その後、接着層10hを形成して光起電力体1上に接合しても構わない。光起電力体が基板上に薄膜半導体層と透明電極層を積層してなる場合は、接着層10hとして樹脂系の銀ペーストやカーボンペースト、ITOペースト等の導電性ペーストが使用可能である。光起電力体が単結晶や多結晶の半導体基板からなる場合は、一般にその表面に窒化シリコンからなるパッシベーション層が形成されている。そのため、接着層10sとしてはパッシベーション層をファイヤースルーすることが可能な焼結系の銀ペーストを選択することが好ましい。
図14b)は光起電力体1の上に導電性ペーストを印刷した印刷電極15を形成し、印刷電極15によって金属線10を光起電力体1上に接合したものである。
図14c)は次の方法によるものである。まず、光起電力体1の上に導電性ペーストによる印刷電極15を形成した後に、低融点金属からなる被覆16を印刷電極15に形成する。さらに、同様の低融点金属からなる被覆10hを有する金属線10sを上から加熱圧着する。
図14d)は金属線10を光起電力体1の表面に圧接し、その状態で透明樹脂21によって封止したものである。
前述のパッシベーション膜をファイヤーする様な400℃を越えるような工程の場合を除いて、図14のいずれの方法であっても、シート状電極体を光起電力体1上に接合する装置としては、公知の加熱圧着装置が好適である。即ち、公知の真空ラミネータやロールラミネーター等を用いれば容易に熱圧着することが可能である。また、光起電力体1、シート状電極体、封止樹脂を順に重ねてラミネートすることで、接合工程と同時に封止を行うことも可能である。接着層10hや、印刷電極15が紫外線や、常温で硬化するものである場合は、それぞれに適した装置であっても良い。その場合も、シート状電極体を光起電力体に加圧し、圧着することが、金属線10をより光起電力体に強固に接合するためには好適である。
<光起電力素子集合体>
複数の並列された光起電力体の表面上に、一枚のシート状電極体を接合することによって、複数の光起電力体間を並列接続することで得られる光起電力素子の集合体である。または、複数の並列された光起電力体間にシート状電極体を挿入し、シート状電極体を光起電力体の表面に接合することで複数の光起電力体を直列接続することによって得られる光起電力素子の集合体である。
図15に示したのはその一例である。図15a)に示したのはシート状電極体11である。透光性シート22の下面に太い金属線10aと細い金属線10bとを不図示の縫着糸によって縫着している。このシート状電極体は、透光性シート22の表面から太い金属線10aが突き出した直列部Aを有する。図15b)は多結晶基板からなる光起電力体1を4枚並べたものである。図15c)は図15a)のシート状電極体11の下面を、図15b)の光起電力体表面合わせて接合したものである。この様に金属線を透光性シートの面に縫着した大きなシート状電極体11で、複数の光起電力体を並列接合すれば、高性能、高信頼性の光起電力素子集合体を、非常に高速に作製することが可能であり、生産性が非常に向上する。
さらに、図15c)の光起電力素子集合体を複数枚準備して並べ、個々の光起電力素子集合体の裏面を、隣接する光起電力素子集合体の直列部Aに接合することによって、複数の光起電力素子集合体を直列接続したものが図15d)である。この様にして大面積の光起電力素子集合体を効率的に作製することが可能である。
尚、図15は一例であって、光起電力体は多結晶基板に限らず、先に説明した光起電力体全てに適用可能である。
<封止、透明樹脂、光起電力素子モジュール>
一般に、光起電力素子、又は光起電力素子集合体は、透明樹脂によって封止される。ここで言う封止とは、光起電力素子、又は光起電力素子集合体の周りに、透明樹脂で保護層を形成することである。この封止によって、光起電力素子、及び光起電力素子集合体に、機械的強度、耐湿性、耐候性、電気絶縁性、意匠性を持たせ、外部環境から保護することが可能となる。また、光起電力素子、又は光起電力素子集合体を透明樹脂で封止し、電力取り出し端子、電力取り出し線、バイパスダイオード等を取りつけたものを光起電力素子モジュールと言う。
図17a)の様に透明樹脂21のシートに光起電力体1とシート状電極体11を挟んで封止し、モジュールを形成することが可能である。従来、単に金属線と光起電力体1との接合と、封止を一括して行えば、金属線が蛇行して曲がり易く生産性が悪かった。一方、特許文献5の様に金属線を織ったシート状電極体と光起電力体との接合と、封止を一括して行えば、生産性は良いものの、特性と信頼性が低いことがあった。ところが、透明樹脂21のシートに光起電力層1と金属線を面に縫着した本発明のシート状電極体11を挟んで封止すれば、非常に生産性が高い上に、特性と信頼性も高いモジュールを形成することが可能である。
封止の構成は、透明樹脂シート21の他に、図17b)に示す様に、ガラス、フッ素樹脂シート等からなる表面保護層や、ガラス繊維、樹脂繊維を透明樹脂21中に入れた強化層、金属やセラミック等からなる基板が含まれていても良い。また、図17c)に示す様に、強化ガラスやアクリル板等の透明基板、アルミフィルム、フッ素フィルム等の裏面保護層が含まれていても良い。さらに、図17d)の様に光起電力体1がガラスや樹脂の基板上に形成したものであり、その裏面にシート状電極体11があっても良い。
封止方法は液状樹脂をコートした後に硬化させる方法や、液状樹脂を型に流した後に硬化させる方法もあるが、透明樹脂21のシートをラミネートする方法等が好適である。
液状樹脂をコートする方法としてはスプレー塗布して硬化させる方法、スピンコートする方法、カーテンコートする方法が一般に公知である。また、フィルムラミネート法は真空ラミネート法と加圧ラミネート法、ロールラミネート法が挙げられる。真空ラミネート法は光起電力素子とフィルム樹脂の積層体を基板とラバーシートの間に挟み、基板とラバーシートの間のガスを排気しながら樹脂を加熱溶融させる方法である。加圧ラミネート法はラバーシートの上からガスによって加圧しながら樹脂を加熱溶融させる方法、ロールラミネート法は二つのロールでシートを挟み、加圧しながら加熱溶融させる方法である。また、真空加圧ラミネート法は基板とラバーシートの間を排気しながら、かつラバーシートの上からガスによって圧力を加えて樹脂を加熱溶融させる方法である。本発明においてはこれらどの方法であっても良い。
透明樹脂21には基本的に光起電力層に必要な光を透過すればいかなる樹脂も使用可能である。また樹脂の種類によってその効果が失われることは無い。具体的な樹脂名として、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、ブチラール樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
さらに、光起電力素子を太陽電池として屋外で使用する場合、透明度は400乃至800nmの可視光波長領域において80%以上である事、40℃、90%RHでの透湿度が0.01〜20g/m2・day程度であり高い耐湿性を兼ね備えている事が望ましい。また、耐候性を向上させるために必要に応じて無機化合物を添加することも公知である。さらに、防湿性を高めるために分子を架橋し、網目構造を形成した硬化樹脂とすることが望ましい。硬化方法としては大気の湿気による湿気硬化型、イソシアネートによる硬化、ブロッキングイソシアネートによる加熱硬化がある。中でも、アクリル樹脂とオルガノシロキサンからなる無機ポリマーをブロッキングイソシアネートにより加熱架橋させる方法が好適である。ブロッキング剤の解離温度は80℃以上220℃以下が望ましい。80℃未満であると樹脂自体のポットライフが短くなる。220℃を超えると解離させる為の加熱がアクリル樹脂自体を熱劣化させ、光起電力素子に悪影響を及ぼす恐れがある。解離後のブロッキング剤は少なくとも一部は塗膜中に残存する為、塗膜組成物と着色反応しないものを選択すべきである。また、接着性を付与する為に、シラン系、チタン系、アルミ系カップリング剤を樹脂分に対して0.05乃至10%添加する事も可能である。好ましくはシラン系カップリング剤を0.05乃至8.0%添加して用いる。具体的な塗膜形成方法としては、樹脂溶液をスプレーコーター、スピンコーター、カーテンコートにより光起電力素子上にコーティングを行って、溶剤を乾燥した後に加熱硬化させる。
シート状電極体が、金属線を透明な縫着糸によって縫着したものである場合には、透明樹脂は縫着糸と同種のものを使用することが好ましい。これは縫着糸と透明樹脂の屈折率の差が小さくなり、両者の界面での光の反射が少なくなるためである。同様に透光性シートがと透明樹脂も同種のものを使用することが好ましい。これも、透光性シートと透明樹脂との屈折率の差が小さくなり、両者の界面での光の反射が少なくなるためである。
以下に本発明の光起電力素子、及び光起電力素子の製造方法の実施例を示すが、以下の実施例で本発明の内容が限定されるものではない。
<実施例1>
以下に示すように、図1に示した光起電力素子を作製した。図は模式図であって、長さや、その比、金属線の本数等は正確では無い。
[光起電力体1]
基板として表面を洗浄した厚さ0.15mmのSUS430からなるロール状ステンレス基板を用意した。次に基板の表面上にタングステン、銀、酸化亜鉛の薄膜層(厚さ1μm以下)を公知のスパッタ法によって作製した。次に公知の電析法によって厚み約2μmの酸化亜鉛の層を形成した。さらに公知のCVD法によってn層、i層、p層の3層からなる厚さ約3μmの微結晶シリコン層を2層と、n層、i層、p層の3層からなる厚さ1μm以下のアモルファスシリコン層とを重ね光起電力層を形成した。最後に公知のスパッタ法によって厚さ70nmのITO層を形成した。この基板を切断することにより、光起電力体1(239mm×356mm)を作製した。
この光起電力体1に対して、次の処理を行うことにより基板端部における光起電力層の短絡を防止した。即ち、光起電力体1の表面上に、ITO層のエッチング剤(FeCl3)含有ペーストを基板の外周に沿ってスクリーン印刷した後、純水洗浄することにより、ITO層の一部を除去した。これにより、ITO層からなる上部電極と、基板、タングステン、銀、酸化亜鉛からなる下部電極との電気的な分離を確実にした。
[金属線10]
原材料として直径4〜5mmの銅線の外周に厚み50μmの銀箔を貼り付けたものを準備した。次にそれを伸線装置により直径100μmの芯線に整形した。この芯線を連続的に作製しボビンに500g巻き取った。整形後の銀の被覆は厚み約1μmであった。
次にエナメル線用のロールコータ装置により芯線の周りに導電性フィラーを含有する樹脂からなる被覆を形成した。被覆は完全硬化した内層と、金属線10を光起電力層上に接着固定するための外層の二層構造にした。
内層の形成方法は以下の通りである。まず芯線をボビンから巻き出し内層形成処理槽を通した。内層形成処理槽は内層用のフィラーを含有した樹脂を巻き上げている回転ロールと、フェルトよりなる。内層形成処理層に通された芯線はまず、回転ロールに接触する。この際に回転ロールが巻き上げている樹脂が芯線に塗布される。さらに芯線はフェルトに接触する。この際に余分な樹脂が除去される。さらに芯線は加熱炉を通過する。この際に塗布された樹脂が完全に硬化する。樹脂の塗布量の偏芯を防ぐために、この塗布、除去、硬化の一連の工程を複数回行った。芯線の巻取り側で樹脂が塗布された芯線の外径を測定し、その値をフィードバックさせて樹脂の粘度を調整した。フィードバックの機構は、樹脂の粘度を低下させて回転ロールが巻き上げる樹脂量を下げ、塗布量を減少させる機構である。樹脂の粘度調整は溶剤のキシレンを加えることで行った。
使用した樹脂の構成は次の通りである。フィラーとして直径が30±20nmのカーボンブラックを使用した。カーボンブラックは体積密度35%に調整した。フィラーと樹脂の混合比は、混合物の重量を100として、下記成分をペイントシェーカーで混合分散して樹脂を作製した。
カーボンブラック37.1重量部
ブチラール樹脂6.4重量部
クレゾール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素系樹脂4.2重量部
硬化材としてジオールイソシアネート18重量部
溶剤としてキシレン18重量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル12重量部、シクロヘキサノン3.6重量部
カップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.7重量部
以上のようにして完成した内層の被覆の厚みは約5μm、抵抗率は約0.5Ωcmであった。
外層の形成方法は以下の通りである。内層が塗布された芯線を外層形成処理槽に通した。外層形成処理槽は外層用のフィラーを含有した樹脂を巻き上げている回転ロールと、ダイスよりなる。外層形成処理層に通された芯線はまず、回転ロールに接触する。この際に回転ロールが巻き上げている樹脂が芯線に塗布される。さらに芯線はダイスを通過する。この際に余分な樹脂が除去される。さらに芯線は加熱炉を通過する。この際に塗布された樹脂の溶剤が蒸発し樹脂が半硬化する。樹脂の塗布量の偏芯を防ぐために、この塗布、除去、硬化の一連の工程を複数回行った。回数を重ねるごとにダイスの穴径は大きくし、最終的に外層の厚みは20μmとした。
使用した樹脂の構成は次の通りである。フィラーとして直径が30±20nmのカーボンブラックを使用した。下記成分をペイントシェーカーで混合分散して樹脂を作製した。
カーボンブラック35重量部
ウレタン樹脂41重量部
フェノキシ樹脂14重量部
硬化材として水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート6重量部
溶剤として芳香族系溶剤4重量部
カップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.7重量部
以上のようにして完成した外層の被覆の抵抗率は約0.5Ωcmであった。
[シート状電極体11]
金属線10を大きさ239mm×356mmの透光性シート22の面上に縫着してシート状電極体11を形成した。使用した透光性シートは幅250mm、厚み0.5mmのEVAシートである。装置は図2の装置を使用した。本例の金属線10の太さと、光起電力体1の性能等から算出した、最も適当と考えられる金属線10のピッチは3mmであったため、金属線10のピッチは3mmになるように形成した。また、縫い目のピッチは70mmとし、縫い目の長さは2mmとした。さらに、この時、金属線10に伸び、破断等が発生しない程度の速度で装置を稼動させた。
[光起電力素子]
図16示す様に、光起電力体1上にシート状電極体11を接合した。まず図16a)に示す様に光起電力体1と、シート状電極体11を用意した。次に図16b)に示す様に光起電力体1とシート状電極体11とを重ねた。次に図16c)に示す様に真空ラミネータに、図16b)で出来たものを挿入した。この真空ラミネータはチャンバー18と、フッ素樹脂系のダイヤフラム19、加熱板20からなるものである。次に図16d)に示す様にチャンバー18を加熱板20の上に重ねた。この状態でチャンバー18の中は真空になっており、ダイヤフラム19は上方に引き付けられた状態である。さらに、図16e)に示す様に、チャンバー18の中に大気を導入して、ダイヤフラム19によって、シート状電極体11を光起電力体1に押し当てた。最後に図16f)の様に真空ラミネータから光起電力体を取り出して、熱を冷ますことによって光起電力素子が完成した。
本例の光起電力素子を分析したところ、シート状電極体11と光起電力体1との接合部は図1c)にBで示した部分であった。
[比較例1]
実施例1と同様の金属線を、従来と同様に織ったシート状電極体による光起電力素子を作製した。図18に本例の光起電力素子を示す。図18a)は本比較例の光起電力素子の平面図である。本例の光起電力素子は、金属線10と透明糸とを平織りで織ったシート状電極体11を光起電力体1の表面に接合して成っている。図18b)は図18a)において正方形Bで囲った部分のシート状電極体11の拡大図であり、左図は上面図、右図は下面図である。さらに、図18c)は上面図に示したAA’、CC’線に沿った、光起電力素子の断面図である。
本例の光起電力素子は、シート状電極体を作製する工程以外は実施例1と全く同じ方法で作成した。まず、実施例1と同じ金属線を作製した。また、透明繊維として、直径0.1mmの透明性の高いポリエステル糸を準備した。縦繊維として、金属線10とポリエステル糸とを5対1の割合で織り交ぜた。横繊維は全てポリエステル糸とした。次にそれを、公知の織機にかけて、平織りでシート状電極体11を織った。この時の縦繊維、横繊維のピッチは0.5mmとしたため、形状保持力を十分有するシート状電極体であった。その後、実施例1と同じ真空ラミネータを使用して、シート状電極体11を光起電力体上に接合した。
本例の光起電力素子を分析したところ、シート状電極体11と光起電力体1との接合面は図18b)c)にDで指し示した部分であった。その面積は図b)に白色で示した様に、点接触に近いものであり、実施例1の接合面と比較して格段に小さいものであった。
[比較例2]
他の比較例として、比較例1のシート状電極体を変更したものを作製した。本例のシート状電極体は比較例1と同様に、金属線とポリエステル糸を平織りにしたものであるが、その縦繊維は全て金属線とし、そのピッチは3mmとした。さらに横繊維(ポリエステル糸)のピッチも3mmとした。それ以外は比較例1と同様に行った。
このピッチ3mmは、実施例1と同様の金属線、及び、比較例1と同様のポリエステル糸を織るためのピッチとしては、荒いものである。従って、金属線に十分にテンションが加わらず、本例のシート状電極体は形状が極めて不安定であった。そのため、光起電力体の上に重ねる作業中に変形し、繊維間の間隔がずれてしまっていた。
[特性]
比較例1、比較例2で作製された光起電力素子の特性を測定したところ、直列抵抗成分が大きく、変換効率が低い傾向にあることが分かった。また、比較例1の光起電力素子は、高温高湿度状態で保持すると、直列抵抗成分が大きくなる傾向も示した。実施例1で作製された光起電力素子は、比較例1、比較例2よりも、直列抵抗成分が小さく、変換効率が高かった。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の上昇は見られなかった。
さらに、金属線を透光性シートに縫着した実施例1のシート状電極体の生産性は、金属線と透明繊維を平織りにした比較例1、2の生産性と比較しても遜色ないものであった。 以上より、本発明の効果は明らかである。
<実施例2>
本例の光起電力素子を図4に示す。図4は図1と同様の形式で、本例の光起電力素子の各部分を図示したものである。本例のシート状電極体11は、実施例1と同様の透光性シート22に、実施例1と同様の金属線10を縫着糸14によって縫着したものである。金属線10のピッチは実施例1と同じ3mmとした。縫着糸14としては直径0.1mmの透明性の高いポリエステル糸を使用した。
ポリエステル糸を針糸、金属線をボビン糸として、図5の機構を有する公知の本縫いミシンを使用した本縫いによって、金属線10を透光性シート22の下面に縫着した。この時、縫い目のピッチは実施例1と同様に70mmとした。3本の針を有するミシンを使用し、回転数は1000rpmで縫い付けたため、実施例1の場合と比較して、金属線10と透光性シート22との縫着は格段に速く行うことが可能であった。
本例の光起電力素子を分析したところ、シート状電極体11と光起電力体1との接合面は図4c)にBで示した部分であった。これは実施例1の接合面よりも大きかった。
作製した光起電力素子の特性を実施例1と同様に測定したところ、本例の光起電力素子は実施例1のものよりも変換効率が高かった。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の上昇は見られなかった。
分析した結果、本例の光起電力素子は実施例1のものよりも直列抵抗成分が小さかった。ここから、縫着糸によって金属線を透光性シートに縫着することの効果は明らかである。
<実施例3>
本例の光起電力素子は、シート状電極体のみが実施例2と異なり、その他は実施例2と同様に製作した。本例のシート状電極体は、実施例2と同様に、実施例1と同様の金属線を、実施例2と同様の縫着糸によって、実施例1と同様の透光性シートに縫着したものである。しかし、図6に示す様に、透光性シート22の下面上に飾り糸として載置した金属線10の上から、金属線10と直行する方向に縫着糸14を本縫いで縫い付けた点において実施例2と異なる。
本例のシート状電極体は図9の装置を使用して作製した。まず、装置の左部分にあるボビンセット部に金属線10を巻きつけたボビンをセットした。次に、金属線10をボビンから3mmピッチで平行に並んだ状態で水平右方向に引き出した。図9のA部では金属線10は一本に見えるが、図面奥行き方向に金属線が並んだ状態である。別途、金属線10と同様に透光性シート22をロール状に巻いたものから、透光性シート22を右方向に引き出した。この引き出した透光性シート22の上に、前述の複数本並べて引き出した金属線10を載置した後に、搬送ロールに挿入した。さらに、搬送ロールの右側の縫製装置によって、不図示の縫着糸を前記金属線10の上から、透光性シート22に縫い付けて、金属線10と透光性シート22の縫着を行った。本縫製装置は図5に示したミシン針23と釜24からなる機構を有するもので、本縫いが行える装置である。縫着糸の縫い付けは針糸、ボビン糸ともに実施例2と同様のポリエステルを使用した。縫い目ピッチは3mm、ミシンの回転数は1000rpmで行った。縫着糸を縫い付ける間は、搬送ロールを停止し、縫着糸の縫い付け方向は、金属線10と直行する方向(図面奥行き方向)とした。こうして一体化された金属線10と、透光性シート22を分割プレス機によって分割し、シート状電極体11を得た。縫着糸を縫い付けた箇所は図6a)に示した箇所である。図6a)において、縫着糸14の縫い付け間隔は実施例2の縫い目間隔と同じ70mmとした。以上の様にしてシート状電極体を作製したことから、実施例2と比較してさらに、高速にシート状電極体を形成することが可能であった。
本例の光起電力素子の特性を測定したところ、実施例2と同等の変換効率が得られた。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の顕著な上昇は見られなかった。
以上より、金属線を飾り糸として、金属線と交差する方向に縫着糸を縫い付けることの効果は明らかである。
<実施例4>
本例は実施例3と、シート状電極体の縫着糸の縫い付け方のみが異なる。本例の光起電力素子を図10に示す。本例の透光性シート22への縫着糸14の縫い付け方は単環縫いである。その他は全て、実施例3と同様に行った。
本例で使用したシート状電極体を形成する装置は、実施例3と同様に図9に示す装置で行った。しかし、実施例3の装置とは縫製装置の部分が異なるものを使用した。本縫製装置は図11に示したミシン針23とルーパーからなる機構を有するもので、ルーピングによる単環縫いが行える装置である。縫着糸は実施例3と同様のポリエステルを使用した。縫い目ピッチも実施例3と同じ、3mm、ミシンの回転数も、同様に1000rpmで行った。また、実施例3と同様に縫着糸を縫い付ける間は、搬送ロールを停止し、縫着糸の縫い付け方向は、金属線10と直行する方向(図面奥行き方向)とした。こうして一体化された金属線10と、透光性シート22を分割プレス機によって分割し、シート状電極体11を得た。縫着糸を縫い付けた箇所は図10a)に示した箇所である。図10a)において、縫着糸14の縫い付け間隔は実施例3と同じ70mmとした。本例の縫製装置は単環縫い用の装置であったため、実施例3の場合に必要であったボビン糸の交換作業が不要であった。このため実施例3の場合よりも、さらに高速にシート状電極体を形成することが可能であった。
本例の光起電力素子の特性を実施例3と同様に測定したところ、実施例3と同等の変換効率が得られた。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の上昇は見られなかった。
以上よりルーピングによる縫着の効果は明らかである。
<実施例5>
本例は実施例4と、シート状電極体の縫着糸の縫い付け方のみが異なる。本例の透光性シート22への縫着糸14の縫い付け方は図13に示した様に複数針による単環縫いである。その他は全て、実施例4と同様に行った。
本例で使用したシート状電極体を形成する装置は、実施例4と同様に図9に示す装置で行った。しかし、実施例4の装置とは縫製装置の部分が異なるものを使用した。本例の縫製装置は基本的には図11に示したミシン針23とルーパーからなる機構を有するもので、ルーピングによる単環縫いが行える装置である。ただし、実施例4のものとは、図9の装置にセットした金属線10の本数と同数のミシン針を有する点で異なる。
本例の縫製装置において、ミシン針は等間隔で一列に並んで配置されており、夫々のミシン針は、図13a)の拡大図に示した単環縫いを矢印Dで示した方向に行う。図13は斜視図である。図では針糸25(縫着糸)のみを示しており、針、ルーパー、透光性シートは不図示である。各ミシン針は矢印Dの方向には動かず、透光性シートが矢印Dの反対方向に動くため、相対的に矢印Dの方向に縫着糸の縫い付けが進行する。金属線は図13a)に破線で示した位置、及び方向に来る様に配置し、縫着糸一本によって、金属線一本が透光性シートに縫着される様にした。図9に示した金属線10の巻き出し方向と、透光性シート22の巻き出し方向は、図13では矢印Dの方向に相当する。図13a)では、2針縫う毎に、矢印Dで示した方向と直角方向に針位置を距離dだけ移動させることによって、tで示した部分の様に縫い付け方向を、矢印Dの方向に対し、斜めに変化させている。しかし、本例では、この針位置の移動を17針縫う毎に一回とした。本例の縫い目ピッチは実施例4と同じ3mmとしたため、図13a)にtで示した様に縫い付け方向が、矢印Dの方向に対し斜めに変化する部分は、縫着糸を矢印Dの方向に71mm縫い付ける毎に一回現れた。また、図13b)は、等間隔dで一列に並んだ10本のミシン針によって、図13a)に示した縫い付け方を同時に行った場合の図であるが、本例では金属線と同数のミシン針で行ったため図13b)と異なる。ミシン針の間隔d、金属線のピッチは3mmとした。
また、縫着糸は実施例4と同様のポリエステルを使用した。ミシンの回転数も、実施例4と同じ1000rpmで行った。こうして一体化された金属線10と、透光性シート22を分割プレス機によって分割し、シート状電極体11を得た。本例のシート状電極体形成装置は実施例4の場合と異なり、搬送ロールを停止しなくても、縫着糸を縫い付けることが可能であった。このため実施例4の場合よりも、さらに高速にシート状電極体を形成することが可能であった。
本例の光起電力素子の特性を実施例4と同様に測定したところ、実施例4と同等の変換効率が得られた。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の上昇は見られなかった。
以上より複数針による環縫いによって、金属線の縫着を行うことの効果は明らかである。
<実施例6>
本例の光起電力素子は実施例5と透光性シートとして、単位面積辺りの重量が80g/m2のガラス繊維からなる不織布を使用した点においてのみ異なる。この不織布を使用したことにより、透光性シートにミシン針を貫通させる際の抵抗が減少し、縫製装置の回転数を1000rpmから1500rpmに上げることが可能であり、実施例5の場合よりもさらに高速にシート状電極体を形成することが可能であった。
本例の光起電力素子を、公知のラミネーターと、封止樹脂(EVA)を使用して、樹脂封止した後に、特性を実施例5と同様に測定したところ、実施例5と同等の変換効率が得られた。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の上昇は見られなかった。
以上より透光性シートに透明繊維不織布を使用することの効果は明らかである。
<実施例7>
本例の光起電力素子集合体は、次の様に作製した。本例の光起電力素子集合体を図15に示す。
まず、6インチのp型多結晶基板の表面に燐を熱拡散させてn層を形成し、pn接合を作製した。次に、n層の上に、真空成膜装置を利用して窒化珪素からなる反射防止膜を形成し、エッチング液で基板側面や裏面の余分なn層を除去した。さらに、裏面に銀ペーストと、アルミペーストとを、夫々所定の形状に印刷し、公知の焼成炉を使って、焼成させることによって、裏面電極を形成した。こうして光起電力体1を完成させた。完成させた光起電力体は図15b)の様に4枚を横一列に配置した。
一方、銀粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル、溶剤等を含む銀ペーストを直径0.1mmの銅線にロールコーターによって塗布し、塗布した銀ペーストを仮焼付け炉(約200℃)で焼成させて細い金属線10bを作製した。この時、塗布したペースト層の厚みは20μmであった。さらに、直径0.15mmの銅線に、同様の銀ペーストを仮焼付けして太めの金属線10aも作製した。作製した太めの金属線10aと、細い金属線10bとを、この順で、図15a)の様に透光性シート22の上に縫着し、シート状電極体11を作製した。この時、図15a)にAで示す部分は、太めの金属線10aが透光性シートからはみ出る様にした部分である。細めの金属線のピッチは3mm、太めの金属線のピッチは20mmとした。透光性シートはガラス不織布を使用した。
次に、図15b)の光起電力体の上に図15a)のシート状電極体11を、シート状電極体11の下面と、光起電力体1の光入射面とが合わさる様にして重ねて図15c)に示す積層体を形成した。さらに、図15c)の積層体を複数枚作成し、図15a)に示した領域Aの上に、隣接する積層体が載る様に、作成した複数の積層体を順次並べて図15d)に示す大積層体を得た。ただし、最後に並べる積層体のシート状電極体だけは領域Aが無く、光起電力体の上に収まる大きさのものとした。
最後に図15d)の大積層体の両面を石英の板で挟み込んで圧力を掛けた状態で、500℃の焼成炉に投入し、金属線10の表面に形成した銀ペースト層を完全に焼結させた。この時、基板表面に形成した窒化珪素膜を銀ペーストが貫通して、金属線とn層との電気的コンタクトが形成された。また、それと同時に図15a)に示した、並列された光起電力体1間が、シート状電極体11によって電気的に並列に接続され、かつ図15d)に示した並列された複数の積層体(図15c)に示したもの)間が、シート状電極体によって電気的に直列に接続された。
以上の様に、作製したシート状電極体によって、一括して複数枚の基板(光起電力体)を直並列化可能であったため、非常に容易に大面積の光起電力素子集合体を製作可能であった。
[比較例3]
実施例7の金属線を平織りにしたシート状電極体を使って光起電力素子集合体を作製した。平織りの織物をシート状電極体として使用したこと以外は実施例7と同様に作製した。使用した織物の横繊維の間隔と、縦繊維の間隔は3mmとした。
[特性]
比較例3で作製された光起電力素子の特性を測定したところ、直列抵抗成分が大きく、変換効率が低くい傾向にあることが分かった。また、比較例3の光起電力素子は、高温高湿度状態で保持すると、直列抵抗成分が大きくなる傾向も示した。実施例7で作製された光起電力素子集合体は、比較例3よりも、直列抵抗成分が小さく、変換効率が高かった。また、高温高湿度状態で保持しても直列抵抗成分の顕著な上昇は見られなかった。
以上より、本発明の効果は明らかである。つまり、本発明によれば、高性能で、高信頼性を有し、さらに非常に生産性の高い光起電力素子集合体が得られた。
<実施例8>
本例の光起電力素子モジュールは、次の様に作製した。実施例2の光起電力素子を二枚のPMMAの板で挟み込み、真空ラミネータで加熱融着させた。使用したPMMAの板は厚さ2mmであった。シート状電極体と光起電力体との接合と同時に、樹脂封止工程も完了し非常に容易に製作することが可能であった。
<実施例9>
本例の光起電力素子モジュールは、光起電力素子のみが実施例8と異なる。本例の光起電力素子は、次の様に作製した。実施例2のポリエステル糸の代わりにPMMA糸を使用して、シート状電極体を作製し、実施例2と同様に作製した光起電力体の上に積層した。
本例の光起電力素子モジュールと実施例8の光起電力素子モジュールの短絡電流を比較したところ、本例の光起電力素子モジュールの短絡電流は、実施例8の光起電力素子モジュールの短絡電流値よりも大きかった。これは、本例では縫着糸(PMMA糸)と封止樹脂(PMMA)との界面での光の反射が無いためと考えられる。
実施形態例1の光起電力素子を示す概略図である。 図1の光起電力素子の製造方法の一例を示す概略図である。 図1の光起電力素子の変形例を説明する図である。 実施形態例2の光起電力素子を示す概略図である。 図2の光起電力素子の製造方法の一例を示す概略図である。 実施形態例3の光起電力素子を示す概略図である。 図6の光起電力素子の変形例を説明する図である。 図6の光起電力素子の変形例を説明する図である。 図6の光起電力素子の製造方法の一例を示す概略図である。 実施形態例4の光起電力素子を示す概略図である。 図10の光起電力素子の製造方法の一例を示す概略図である。 縫い目を構成する基本的構成要素を示す図である。 複数本の針で単環縫いを同時に行う方法を説明する図である。 シート状電極体と光起電力体との接合方法の一例を説明する図である。 本発明の光起電力素子集合体の一例を示す概略図である。 実施例1の光起電力素子の製法を示す概略図である。 本発明の光起電力素子モジュールの一例を示す概略図である。 比較例1の光起電力素子を示す概略図である。 従来技術を説明する図である。 従来技術を説明する図である。 従来技術を説明する図である。
符号の説明
1 光起電力体
10 金属線
11 シート状電極体
12 繊維
14 縫着糸
15 印刷電極
16 被覆(半田)
18 チャンバー
19 ダイヤフラム
20 加熱板
21 透明樹脂
22 透光性シート
23 ミシン針
24 釜
25 針糸(上糸、ミシン糸)
26 ボビン糸(下糸)
27 生地

Claims (16)

  1. 金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体と、光起電力体と、を接合してなることを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記金属線が縫着糸によって縫着されていることを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 前記縫着糸が透明であることを特徴とする請求項2に記載の光起電力素子。
  4. 前記金属線が飾り糸として縫着されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光起電力素子。
  5. 前記縫着糸が前記金属線と交差する方向に縫い付けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  6. 前記縫着がルーピングによるものであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  7. 前記縫着が複数針による環縫いによるものであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  8. 前記シート状電極体が二種以上の金属線を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  9. 前記透光性シートが透明繊維不織布であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光起電力素子。
  10. 金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体によって、複数の光起電力体を並列接続してなることを特徴とする光起電力素子集合体。
  11. 金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体によって、複数の光起電力体、または光起電力素子集合体を直列接続してなることを特徴とする光起電力素子集合体。
  12. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光起電力素子、或いは請求項10または11に記載の光起電力素子集合体を、少なくとも透明樹脂で封止した光起電力素子モジュール。
  13. 前記透明樹脂が前記縫着糸と同種の樹脂であることを特徴とする請求項12に記載の光起電力素子モジュール。
  14. 金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体と、光起電力体と、を接合する工程を有することを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  15. 前記透光性シートの面上に前記金属線を載置した後に、前記透光性シートに透明糸を縫い付けることによって前記シート状電極体を形成することを特徴とする請求項14に記載の光起電力素子の製造方法。
  16. 金属線を透光性シートの面上に縫着したシート状電極体と光起電力体とを接合する工程と、前記光起電力体を透明樹脂で封止する工程と、を同一工程で行うことを特徴とする光起電力素子モジュールの製造方法。
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