JP2007188769A - 固体高分子電解質 - Google Patents
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Abstract
Description
プロトン導電性を有するアゾール系ポリマーとして例えばスルホン化されたアゾール系ポリマーが報告されている(特許文献8)。しかしながら、上述のとおりポリマーを原料として芳香環上に導入されたスルホン酸基は酸または熱により脱スルホン酸反応が起こりやすく、燃料電池用電解質膜として使用するには耐久性が十分であるとは言えない。
しかしながら、これらのいずれにおいても水酸基をイオン伝導させる官能基として着目しているものはなく、いずれも燃料電池と使用する条件において十分耐久性を例示するものではなかった。
その中でフラーレン類は(非特許文献5)にあるように、たとえばC60(OH)12のような表面に水酸基を有するフラーレンの成型体は高いプロトン伝導性を示すことが報告されている。しかしながらフラーレンの構造上、成形性、薄膜化等が困難である。
本発明の高分子電解質膜は 下記式(A)および(B)
上記の如き剛直系複素環高分子は、Polymer, 39 , (1998) 5981に報告されるような従来公知の技術によって良好な生産性で工業的に製造することができる。
で表わされる芳香族ジカルボン酸類よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを反応させる方法が好ましく挙げられる。
Rの芳香族基における水素原子のうち1つまたは複数が各々独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基等で置換されていてもよい。
0.8≦(c)/(d) ≦1.2 (1)
[上記式中cは上記式(C)で表される芳香族アミン誘導体、dは上記式(D)で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の各仕込みモル数である。]
を同時に満たすことが好ましい(c)/(d)が0.8より小さい場合や1.2より大きい場合には、重合度の十分なポリマーを得ることが困難である場合がある。(c)/(d)の下限としては、0.9以上が適当であり、より好ましくは0.93以上、さらに好ましくは0.95以上である。また、(c)/(d)の上限としては、1.1以下が適当であり、より好ましくは1.07以下、さらに好ましくは1.05以下である。従って、本発明における(c)/(d)の最適範囲は0.95≦(c)/(d)≦1.05ということができる。
このようにして製造される剛直系複素環高分子の還元粘度は、0.5g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した値が0.05〜200dl/gの範囲のものである。剛直系複素環高分子の還元粘度の好ましい範囲は1.0〜100dl/g、さらに好ましくは10〜80dl/g以下である。
本発明に用いられるフラーレン類としては、フラーレン、フラーレン誘導体、およびフラーレンならびにフラーレン誘導体の混合物を挙げることができる。フラーレンとは球殻状または楕円状の炭素分子であり、本発明の目的を満たす限り限定されないが、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体等を挙げることができる。
表面にスルホン酸基を有するフラーレン類を得る方法としては例えばJ. Org.Chem. 1994,59,3960記載の方法などが挙げられる。
なお、本発明においては、これらフラーレン誘導体の複数種類を併用しても構わないし、他のフラーレン誘導体を併用しても構わない。
本発明で用いられる高分子電解質を燃料電池用として使用する際には、通常膜の状態で使用される。剛直系複素環高分子とフラーレン類の組成物を膜へ転化する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)が好ましく利用できる。具体的に溶液キャスト法については、例えば組成物溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する。製膜に用いる溶媒は、高分子を溶解し、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなくN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなど非プロトン極性溶媒や、ポリリン酸、メタンスルホン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸などの強酸を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
また上記記載のポリマーは溶媒中でリオトロピック液晶を形成する事がありこの液晶性を示すポリマードープを成型に使用することも好ましく利用できる。
ここでの触媒電極は、触媒金属の微粒子を導電材に担持することで作成できる。触媒電極に使用される触媒金属としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、あるいはそれらの合金が挙げられる。特に白金が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は10〜300オングストロームである。これらの触媒はカーボン等の担体に付着させた方が触媒の使用量が少なくコスト的に有利である。触媒の担持量は電極が成形された状態で0.01〜10mg/cm2 が好ましい。
0.5g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した値である。
[イオン伝導度測定]
本発明の電解質膜を、電気化学インピーダンス測定装置(ソーラトロン製、SI1287)を用いて周波数0.1Hz〜65kHzの領域で4端子インピーダンス測定をし、イオン伝導度を測定した。なお、上記測定で電解質膜は水蒸気雰囲気下、75℃にて保存された。
[耐酸化性試験]
本発明の電解質膜を、30%過酸化水素水20mlに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えることからなる60℃に加熱したフェントン試薬(鉄40ppmを含む)に浸漬させ、電解質膜がフェントン試薬に溶解するに至る時間を求めた。
2,3,5,6−テトラアミノピリジン三塩酸塩1水和物17.772重量部を、窒素で脱気した水100重量部に溶解した。2,5−ジヒドロキシテレフタル酸13.208重量部を、1M水酸化ナトリウム水溶液137重量部に溶解し窒素で脱気した。2,3,5,6−テトラアミノピリジン三塩酸塩1水和物溶液を、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸二ナトリウム塩水溶液に10分間かけて滴下し、24.3重量部のポリりん酸と35重量部の窒素で脱気した水を加え1重量部の酢酸を加え得られた塩を、ろ過し、窒素で脱気した水3000重量部に分散混合し、再度ろ過を行った。この分散混合、ろ過操作を3回繰り返し行い2,3,5,6−テトラアミノピリジン/2,5−ジヒドロキシテレフタル酸塩を得た。
参考例1にて得られた2,3,5,6−テトラアミノピリジン/2,5−ジヒドロキシテレフタル酸塩22.88重量部にポリりん酸62.54重量部、5酸化りん14.76重量部を加え100℃にて1時間攪拌混合した。その後2時間かけ140℃に昇温し140℃にて1時間攪拌を行った。その後1時間かけて180℃に昇温し180℃にて5時間反応を行い、ポリマードープを得た。偏光顕微鏡による測定の結果このポリマードープは液晶性を示した。このドープを水にて再沈殿し洗浄する事によってポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は15dl/gであった。
この合成は、先述した文献J.Org.Chem.1994,59,3960、特開2002−63917を参考にしておこなった。アルドリッチ社製フラーレンC60の粉末2重量部を発煙硫酸15重量部中に加えて、窒素雰囲気下60℃で3日間攪拌した。得られた反応物を、氷浴内で冷やした無水ジエチルエーテル中に少しずつ投下し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエーテルで3回、およびジエチルエーテルとアセトニトリルの2:1混合液で2回洗浄したあと、40℃にて減圧中で乾燥させた。さらに、この乾燥物を60mlのイオン交換水中に入れ、85℃で窒素によるバブリングを行いながら10時間攪拌した。反応生成物は遠心分離によって沈殿物を分離し、この沈殿物をさらに純水で数回洗浄し、遠心分離を繰り返した後に、40℃で減圧乾燥し水酸化フラーレンを得た。
これも同様に、前記の文献を参考にして合成した。参考例3にて得られた水酸化フラーレンの粉末1重量部を30重量部の発煙硫酸中に投下し、室温にて窒素雰囲気下で3日間攪拌した。得られた反応物を、氷浴内で冷やした無水ジエチルエーテル中に少しずつ投下し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエーテルで3回、およびジエチルエーテルとアセトニトリルの2:1混合液で2回洗浄した後、40℃にて減圧下で乾燥させた目的の化合物を得た。
参考例2にて再沈殿して得られたポリマー1重量部とフラーレン(アルドリッチ社製C60)0.03重量部をメタンスルホン酸100重量部に溶解させポリマードープを得た。得られたポリマードープをドクターナイフにて流延し膜厚18μmのキャストフィルムを得た。このフィルムのイオン伝導度測定、及び耐酸化性試験の結果を表1に示す。
参考例2にて再沈殿して得られたポリマー1重量部と参考例3にて得られた水酸基を有するフラーレン0.03重量部をメタンスルホン酸100重量部に溶解させポリマードープを得た。得られたポリマードープをドクターナイフにて流延し膜厚15μmのキャストフィルムを得た。このフィルムのイオン伝導度測定、及び耐酸化性試験の結果を表1に示す。
参考例2にて再沈殿して得られたポリマー1重量部と参考例4にて得られたスルホン酸基を有するフラーレン0.03重量部をメタンスルホン酸100重量部に溶解させポリマードープを得た。得られたポリマードープをドクターナイフにて流延し膜厚18μmのキャストフィルムを得た。このフィルムのイオン伝導度測定、及び耐酸化性試験の結果を表1に示す。
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