JP2007188689A - 大気圧プラズマ処理方法及び装置 - Google Patents

大気圧プラズマ処理方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大気圧プラズマにて被処理物を間欠的に処理する場合に、ガスの使用量を必要最小限に抑制しながら安定して処理を行えるようにする。
【解決手段】所定の空間にガスを供給し、前記所定の空間に高周波電圧を印加して大気圧近傍でプラズマを発生させ、プラズマ11にて被処理物2を処理する大気圧プラズマ処理において、処理開始認識手段5からの信号にて処理開始を決定し、ガスの流量を増加させて被処理物2に対してプラズマ処理し、処理終了認識手段6からの信号にて被処理物2に対する処理終了を決定し、ガスの流量を減少させ、かつ減少させたガスの流量においてもプラズマ11を点灯維持するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、大気圧近傍でプラズマを発生させ、そのプラズマにて被処理物を処理する大気圧プラズマ処理方法及び装置に関するものである。
大気圧プラズマ発生装置は、所定の空間に不活性ガスやそれと反応性ガスとの混合ガスなどのガスを流しながらその空間に高周波電圧を印加して放電を生じさせることで、大気圧近傍でプラズマを発生させるようにしたものであり、こうして発生させたプラズマにて、被処理物の表面のクリーニング、レジストの除去、表面改質、金属酸化物の還元、製膜等の処理をすることは知られている。
大気圧プラズマ発生装置の具体的な構成としては、図16に示すような種々のものが知られている。図16(a)は、所定空間111を挟んでその両側に誘電体112を介して一対の電極113a、113bを配設し、電極113a、113b間に高周波電源114から高周波電圧を印加し、空間111の一端からガスを供給することで空間111の他端からプラズマジェット115を吹き出すように構成されている。図16(b)は、所定の空間121を挟んでその上下に誘電体122を介して一対の電極123a、123bを配設し、電極123a、123b間に高周波電源124から高周波電圧を印加し、空間121内にガスを供給することで空間121内にプラズマ125を発生するように構成されている。図16(c)は、誘電体から成る反応管131の外周にコイル133を巻回して配設し、コイル133に高周波電源134から高周波電圧を印加し、反応管131の一端132からガスを供給することで反応管131の他端からプラズマジェット135を吹き出すように構成されている。図16(d)は、誘電体から成る反応管141の内側に内側電極142を、外周に外側電極143を配設し、電極142、143間に高周波電源から高周波電圧を印加し、反応管141内にガスを供給することで反応管141内でプラズマ145を発生して吹き出し口144から吹き出すように構成されている。図16(e)は、誘電体から成る反応管151の外周に間隔をあけて一対の電極153a、153bを配設し、電極153a、153b間に高周波電源154から高周波電圧を印加し、反応管151の一端152からガスを供給することで反応管151の他端からプラズマジェットを吹き出すように構成されている。図16(f)は、断面形状が細長い長方形状の誘電体から成る反応管161の外周に間隔をあけて一対の電極163a、163bを配設し、電極163a、163b間に高周波電源164から高周波電圧を印加し、反応管161の一端162からガスを供給することで反応管161の他端からプラズマジェットを吹き出すように構成されている。
また、ガス供給路内に放電を生じさせてプラズマを発生させ、処理容器内でそのプラズマに被処理物を暴露させて処理を行い、処理容器から処理後のガスを回収し、回収したガスから不純物を除去して再生し、再生したガスをガス供給路内に返送するようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、図17に示すように、反応管171にガスを導入するとともに内側電極172と外側電極173の間に交流電界を印加することで大気圧下で反応管171内にグロー放電を発生させ、反応管171からプラズマジェットを吹き出すプラズマ発生装置と、プラズマジェットの吹き出し位置に被処理物を搬送する搬送装置とを備えたブラズマ処理装置において、ガスの供給を停止してプラズマ処理を行っていない時に、反応管171の吹き出し口174を蓋体175にて閉鎖する流入防止手段176を設け、外部の空気が反応管171内に流入するのを防止したものや、他の方法として、プラズマを消灯する場合は、ガス供給を停止し、反応管171に乾燥空気を供給して吹き出し口174から出すように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−179191号公報 特許第3180092号明細書(図17)
ところで、従来の大気圧プラズマ処理装置においては、被処理物の処理を連続的に行うのではなく、間欠的に処理する場合においても、一旦プラズマを発生させると、そのガスの流量を保持するとともに高周波電圧を継続して印加してプラズマを保持し続けているため、真空圧プラズマ処理装置の場合には数百ml/分程度のガス消費量であるのに比して、数l/分〜数百l/分のガス消費量となり、ガスの消費量が格段に大きくなるとともに大気圧プラズマに使用するガスは純度が低いとプラズマが不安定になるためコストの高い高純度のものが必要であるため、プラズマ処理のランニングコストが非常に高くなるという問題があった。
この問題に対して、特許文献1に記載されているようにガスを回収・再生することが考えられるが、大掛かりな設備構成となって大きな設置スペースが必要となりかつ設備コストが高くなるため、一般の工場ラインで実施することは極めて困難であり、また高純度のガスを回収するために装置の維持管理が難しいという問題があり、さらに回収できるガスの種類が限定され、ガスの種類によって回収・再利用が難しいという問題がある。
また、特許文献2に記載されているように被処理物に対する処理が終わる度に、ガス供給及び高周波電圧の印加を停止し、処理開始時にプラズマを再点火するという動作を繰り返す方法では、被処理物にプラズマを照射するときに瞬時にプラズマを点灯する必要があり、プラズマが点灯しない可能性があるため、製造ラインの中で使用するには大きな問題がある。特に、ガスを大気圧近傍でプラズマ化するには、ガスの純度を99.9%以上に維持管理する必要があるため、再度点火する方法は設備稼動の安定化に大きなリスクを抱えることになるという問題がある。また、ガスの純度を維持するため、反応管内に異物が侵入しないようにプラズマの吹き出し口を閉じる機械的な流入防止手段を設ける場合は、機構的に複雑になるとともに、外部の空気が流入しない程度に密閉するため強く当接させるようにすると、ガラスなどの破損し易い誘電体材料からなる反応管を損傷させる恐れがあるという問題がある。また、反応管にガスの代わりに乾燥空気を供給する場合には、再点火時に乾燥空気が反応管内に少しでも残っていると、プラズマが点火しないという問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、大気圧プラズマにて被処理物を間欠的に処理する場合にもガスの使用量を必要最小限に抑制しながら安定して処理を行うことができる大気圧プラズマ処理方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の大気圧プラズマ処理方法は、所定の空間にガスを供給し、前記所定の空間に高周波電圧を印加して大気圧近傍でプラズマを発生させ、プラズマにて被処理物を処理する大気圧プラズマ処理方法において、被処理物に対する処理開始決定によりガスの流量を増加させて被処理物をプラズマ処理し、被処理物に対する処理終了決定によりガスの流量を減少させるものである。
この構成によると、被処理物に対する処理の開始と終了を決定してその間のみガス流量を増加してプラズマ処理を行い、それ以外の間はガス流量を低減することで、安定して処理を行いながらガスの使用量を低減することができる。
また、減少させたガスの流量においてもプラズマが点灯維持するようにすることで、プラズマ処理の開始時に再点灯する必要がないため、処理開始決定後ガス流量を増加することで速やかにプラズマ処理を行うことができ、効率的にかつ安定してプラズマ処理を行うことができる。
また、ガスの流量を減少させた状態で、印加する高周波電圧の電力を低下させると、プラズマ処理を行わない間の電力消費も低減できて省エネルギーを図ることができる。
また、供給するガスが、アルゴン、ネオン、キセノン、ヘリウム、窒素から選択された単独ガス又は複数の混合ガスからなる不活性ガスを含んでいると、プラズマを容易かつ安定して発生させることができる。
また、供給するガスに、反応性ガスを含むと、被処理物に対して種々の処理を行うことができる。
また、本発明の大気圧プラズマ処理装置は、所定の空間にガスを供給し、前記所定の空間に高周波電圧を印加して大気圧近傍でプラズマを発生させる大気圧プラズマ発生部と、高周波電圧を発生させる高周波発生部と、ガスを供給するガス供給部と、所定の空間に流すガス流量を制御する流量制御部と、プラズマにて処理する被処理物を大気圧プラズマ発生部に対して相対的に移動させる移動手段と、被処理物に対するプラズマ処理開始のタイミングを認識する処理開始認識手段と、被処理物に対するプラズマ処理終了のタイミングを認識する処理終了認識手段と、処理開始認識手段と処理終了認識手段からの信号を入力とし、流量制御部による流量制御を指令する制御部とを備えたものである。
この構成によると、制御部にて処理開始認識手段と処理終了認識手段からの信号に基づいて被処理物に対するプラズマ処理の開始と終了を決定し、処理を行う間とそれ以外の間の大気圧プラズマ発生部に対するガス供給量を流量制御部にて制御し、上記大気圧プラズマ処理方法を実施することで、安定して処理を行いながらガスの使用量を低減することができる。
また、流量制御部が、ガス流量をプラズマ処理中は処理に要する流量に制御し、プラズマ処理終了後はプラズマが点灯維持される流量に減少させると、プラズマ処理の開始時に再点灯する必要がないため、処理開始決定後ガス流量を増加することで速やかにプラズマ処理を行うことができ、効率的にかつ安定してプラズマ処理を行うことができる。
また、流量制御部を流量コントローラにて構成すると、ガス流量を直接精度良く制御することができて好適である。また、流量制御部は圧力調整手段にて構成することもできる。
また、大気圧プラズマ発生部にガスを供給するガス供給系統が複数設けられ、各ガス供給系統毎にガス供給部と流量制御部が設けられていると、不活性ガスと反応性ガスなど、種々のガスを高い精度で適切に組み合わせて供給することができて、種々のプラズマ処理を効率良く行うことができる。
また、複数のガス系統のうち、少なくとも一つは前記空間内に供給されてプラズマを発生させ、残りのガス系統は発生したプラズマにガスを混合させるように配設されていると、プラズマを効率良く発生させた状態で、そのプラズマに反応性ガスを供給することでエッチングや成膜や表面改質等の種々のプラズマ処理を効率的に行うことができる。
本発明の大気圧プラズマ処理方法及び装置によれば、被処理物に対する処理の開始と終了を決定してその間のみガス流量を増加してプラズマ処理を行い、それ以外の間はガス流量を低減することで、安定して処理を行いながらガスの使用量を低減することができ、特に非処理時にもプラズマを点灯維持することで、処理開始時に再点灯する必要がないため、効率的にかつ安定してプラズマ処理を行うことができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の大気圧プラズマ処理装置の第1の実施形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。
図1において、1は大気圧プラズマ処理装置であり、被処理物2を一定搬送経路上を移動させる移動手段としての搬送コンベア3と、搬送コンベア3上にその搬送経路上を横断するように配置された大気圧プラズマ発生部4と、大気圧プラズマ発生部4の搬送コンベア移動方向の上手側と下手側にそれぞれ配置された処理開始認識手段5と処理終了認識手段6とを備えている。大気圧プラズマ発生部4としては、従来例として説明した図16(a)〜(f)に記載の任意の構成のものを適用できる。なお、その適用に当たっては必要に応じて実施態様に適応した形態に適宜に変更される。また、処理開始認識手段5と処理終了認識手段6は、搬送コンベア3で搬送されてくる被処理物2を検出するセンサからなり、その検出信号の立ち上がりと立ち下がりにより被処理物2の始端と終端をそれぞれ認識するように構成されている。
大気圧プラズマ発生部4には、図2に示すように、ガス供給部7から流量制御部8を介してガスが供給され、高周波発生部9から高周波電圧が供給されている。流量制御部8と高周波発生部9は制御部10にて動作制御されている。制御部10は、処理開始認識手段5と処理終了認識手段6から入力された信号に基づいて、被処理物2に対する処理開始と終了の決定を行い、被処理物2に対する処理中は流量制御部8を制御して大気圧プラズマ発生部4に供給するガスの流量を増加させて被処理物2をプラズマ処理し、被処理物2に対する処理終了後は大気圧プラズマ発生部4でのプラズマ点灯状態を維持する程度にガスの流量を減少させるように構成されている。
図3、図4を参照して被処理物2の処理過程を説明すると、まず被処理物2が大気圧プラズマ発生部4から離れて位置している状態では、図3(a)(図4中では、領域(a)が対応。以下、同様である。)に示すように、処理開始認識手段5により被処理物2が検出されていない状態で、ガス流量はL2と少なく設定されてプラズマ11は点灯しているだけの状態(以下、点灯状態と称す)を維持している。次に、図3(b)に示すように、被処理物2の始端が処理開始認識手段5にてt0時点で検出されると、制御部10にて流量制御部8が制御されて直後のt1時点でガス流量がプラズマ処理に必要な流量L1に増加され、処理に必要なプラズマが大気圧プラズマ発生部4から吹き出される。その直後から、図3(c)に示すように、被処理物2に対するプラズマ11による処理が行われる。次に、図3(d)に示すように、被処理物2の終端が処理終了認識手段6にてt2時点で検出されると、制御部10にて流量制御部8が制御されて直後のt3時点でガス流量が流量L2に減少され、図3(e)に示すように、プラズマが点灯状態になる。その後、次の被処理物2の始端が処理開始認識手段5にてt4時点で検出されるまで、プラズマはその点灯状態が維持され、以降、上記動作が繰り返される。
このように、被処理物2に対する処理の開始と終了を決定し、開始から終了の間のみガス流量を増加してプラズマ処理を行い、それ以外の間はガス流量を低減することにより、被処理物2に対するプラズマ処理を安定して処理を行いながらガスの使用量を低減することができる。また、減少させたガスの流量においてもプラズマ11を点灯状態に維持するようにしているので、プラズマ処理の開始時に再点灯する必要がなく、そのため処理開始決定後ガス流量を増加するだけで瞬時に安定したプラズマが発生して速やかにプラズマ処理を行うことができ、効率的にかつ安定してプラズマ処理を行うことができる。
以上の説明では、プラズマ11を点灯状態にする際に、ガス流量のみをL1からL2に減少させるようにしたが、図5に示すように、ガス流量をL1からL2に減少させると同時に高周波発生部9による大気圧プラズマ発生部4に対する印加電圧も低減させるようにしても良い。このようにガスの流量を減少させた状態で、印加する高周波電圧の電力を低下させると、プラズマ処理を行わない間の電力消費も低減できて省エネルギーを図ることができる。
ところで、大気圧プラズマ発生部4に高周波電圧を供給する高周波発生部9としては、その出力周波数帯が、数KHz〜数100KHz、又は13.56MHzに代表されるRF周波数帯、又は100MHzに代表されるVHF周波数帯、さらに電子レンジに使用される2.45GHzに代表されるマイクロ波周波数帯のものを使用することができる。なお、RF周波数帯やVHF周波数帯やマイクロ波周波数帯を使用する場合には、高周波発生部11と大気圧プラズマ発生部4との間に、大気圧プラズマ発生部4で発生する反射波を抑制する整合器(マッチング回路)を介装する必要がある。
また、大気圧プラズマ発生部4に供給するガスの流量を制御する流量制御部8としては、図6(a)に示すように、マスフローコントローラなどの流量コントローラ12を用いると、流量を直接高精度に制御できるので好適である。しかし、図6(b)に示すように、圧力調整弁などの圧力調整手段13を用いることもできる。
また、ガス供給部7から供給されるガスは、アルゴン、ネオン、キセノン、ヘリウム、窒素から選択された単独ガス又は複数の混合ガスからなる不活性ガスを含んでおり、それによってプラズマを容易かつ安定して発生させることができる。また、プラズマ処理の種類に応じて、各種の反応性ガスを混合したガスが供給される。このように、不活性ガスと反応性ガスの混合ガスを供給する場合には、図7に示すように、ガス供給部7に不活性ガス供給部14とその流量を制御する圧力調整弁などの流量制御部15と、反応性ガス供給部16とその流量を制御する圧力調整弁などの流量制御部17とを設け、不活性ガスと反応性ガスを所定の混合比率で混合して流量コントローラ12などの流量制御部8を介して大気圧プラズマ発生部4に対してガス供給するようにするのが好適である。
次に、大気圧プラズマ発生部4に供給するガス流量を、プラズマ処理時のガス流量L1と点灯状態のガス流量L2に切り換える際のそれぞの流量決定する方法について、図8、図9を参照して具体実験例に基づいて説明する。
この実験例においては、図8に示すように、D1=1mm、D2=50mm、D3=50mmの所定の空間21に上方からヘリウムガス22を供給するように構成するとともに、空間21の対向面を誘電体23にて構成してその背面に一対の電極24a、24bを配置し、これら電極24a、24bに対して高周波発生部25から高周波電圧を印加するように構成されている。
ここで、プラズマの強さを測るためにプラズマ発光強度計を使用し、ガスの流量を1l/分、2l/分、4l/分、6l/分、10l/分でそれぞれ一定にした状態で、高周波発生部25による印加電力を変えてプラズマの発光強度を測定した。その結果を図9に示した。この大気圧プラズマ発生部によって発生させたプラズマ11にてプラズマ処理を行う場合に、例えば図9のA点(ガス流量10l/分、印加電力100W)で処理を行うものとする。すなわち、この状態ではプラズマ11が安定して発生し、被処理物がある場合は安定してプラズマ処理を行うことができる。一方、プラズマ処理を行う必要がない場合は、ガス流量を大幅に減少させ、図9のB点(ガス流量1l/分、印加電力100W)の状態にすることにより、プラズマ強度(発光強度)は小さいが、点灯状態は維持している。さらに、B点でのガス流量1l/分を維持した状態で印加電力を下げて行き、図9のC点(ガス流量1l/分、印加電力65W)のようにプラズマの点灯状態が安定して維持される範囲内の最小値まで印加電力を下げることができる。
この実験例と同様に、実際の大気圧プラズマ処理装置1においても、被処理物2の処理に必要な流量のガスをガス供給部7から流量制御部8を介して大気圧プラズマ発生部4に供給するとともに高周波発生部9から所要の電力を印加し、プラズマ処理に必要な強度のプラズマを発生させ、このときのガス流量L1及び印加電力を制御部10に記憶させる。次いで、ガス流量を減少させて行き、点灯状態が安定して得られる最小のガス流量L2を求めて制御部10に記憶させる。さらに、必要に応じて、ガス流量L2を維持した状態で、印加電力を下げて行き、プラズマが消灯する直前の印加電圧を求め、点灯状態が安定的に得られる安全率を見込んで設定した最小の印加電力を制御部10に記憶させる。かくして、実生産工程においては、制御部10がこれらのデータと処理開始信号と処理終了信号に基づいて流量制御部8及び高周波発生部9を制御することで、本発明の大気圧プラズマ処理方法を実施して、使用するガス消費量を減らすことができるとともに、印加する電力も低減して消費電力を低下させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の大気圧プラズマ処理装置の第2の実施形態について、図10を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、先行する実施形態と同一の構成要素について同一の参照符号を付して説明を省略し、主として相違点について説明する。
上記実施形態においては、図7に示すように、不活性ガス供給部14とその流量制御部15から成るガス供給系統と、反応性ガス供給部16とその流量制御部17から成るガス供給系統を有する場合にも、それらを混合して大気圧プラズマ発生部4に供給する例を示したが、本実施形態においては、図10に示すように、不活性ガス供給部14とその流量制御部15から成るガス供給系統にて供給される不活性ガスは大気圧プラズマ発生部4に供給し、反応性ガス供給部16とその流量制御部17から成るガス供給系統から供給される反応性ガスは、ガス供給通路31から大気圧プラズマ発生部4にて発生したプラズマ11に混合させるように供給している。
本実施形態の構成によれば、不活性ガスを用いて大気圧プラズマ発生部4にてプラズマ11を容易かつ効率良く安定して発生させた状態で、そのプラズマ11に反応性ガスを混合することで混合領域32で反応性ガスがプラズマ化されて、エッチングや成膜や表面改質等の種々のプラズマ処理を効率的に行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の大気圧プラズマ処理装置の第3の実施形態について、図11〜図13を参照して説明する。
上記実施形態においては、固定設置された大気圧プラズマ発生部4に対して被処理物2が一方向に搬送されて処理される例を示したが、本実施形態の大気圧プラズマ処理装置41においては、図11に示すように、XYロボット42にて水平面内の直交する2方向に移動及び位置決め可能な移動体43に昇降可能に取付けられたヘッド部44に大気圧プラズマ発生部4が設置されている。一方、被処理物2は搬入・搬出部45にて大気圧プラズマ発生部4の可動範囲の下部位置に位置決め及び搬入・搬出可能に構成されている。被処理物2は、図12に示すように、プラズマ処理を行うべき処理領域46が複数箇所に分散している。このような被処理物2としては、例えば回路基板の電子部品実装用のランド配設領域で、そのランド表面をプラズマ処理にて表面改質を行うもの等がある。
また、本実施形態の大気圧プラズマ発生部4としては、図13に示すように、誘電体から成る反応管47の外周に間隔をあけて一対の電極48a、48bを配設し、反応管47にガスを供給しつつ、電極48a、48b間に高周波発生部9から高周波電圧を印加することで、反応管47内でプラズマを発生させ、下端の吹き出し口49からプラズマを吹き出すようにしたものが好適に適用される。これは、図16(e)に対応した構成のものであるが、図16(c)や(d)等に対応した構成のものであっても良い。
本実施形態においては、大気圧プラズマ処理装置41の制御部(図示せず)で全体の動作を制御している。プラズマ処理動作としては、搬入・搬出部45にて被処理物2が位置決めされると、制御部に内蔵されたプログラムによって、大気圧プラズマ発生部4が最初にプラズマ処理すべき処理領域46の始端に位置決めされ、それと同時にプラズマ処理を開始した後、継続して処理領域46に沿って大気圧プラズマ発生部4が移動し、処理領域46の終端(図示例では処理領域46が環状であるため始端と同じ位置となる)に到達するとプラズマ処理を終了し、次いで次の処理領域46の始端に向けて移動し、以降全ての処理領域46の処理が終わるまで以上の動作を繰り返し、全ての処理領域46の処理が終わると、処理の終わった被処理物2を搬出し、次の被処理物2を搬入して同様の動作を繰り返す。従って、本実施形態においては、処理開始認識手段及び処理終了認識手段は、制御部に内蔵されたプログラム中に記録されたものであり、本発明における処理開始認識手段及び処理終了認識手段はプログラム中に設定されたデータを含むものである。
(第4の実施形態)
次に、本発明の大気圧プラズマ処理装置の第4の実施形態について、図14、図15を参照して説明する。
本実施形態の大気圧プラズマ処理装置51は、図14(a)に示すように、被処理物2の移動手段3が貫通する所定の空間52を設け、その空間52の上下に対向する壁面53a、53bを、誘電体の背面に電極を配設した構成(図示せず)とし、かつその空間52内にガス供給部(図示せず)からガスを供給するとともに、壁面53a、53b内に配設された一対の電極間に高周波発生部(図示せず)から高周波電圧を印加するように構成された大気圧プラズマ発生部4を備えている。
本実施形態における被処理物2のプラズマ処理工程を説明すると、被処理物2が大気圧プラズマ発生部4から離れて位置している状態では、図14(a)に示すように、処理開始認識手段5により被処理物2が検出されていない状態で空間52内に供給するガス流量が少なく設定されており、上下壁面53a、53b間で細く弱いプラズマ11が発生している点灯状態を維持している。次に、図14(b)に示すように、被処理物2の始端が処理開始認識手段5にて検出されると、ガス流量がプラズマ処理に必要な流量に増加され、処理に必要なプラズマ11が空間52の上下壁面53a、53b間に形成される。その直後から、図14(c)に示すように、被処理物2に対するプラズマ11による処理が行われる。次に、図14(d)に示すように、被処理物2の終端が処理終了認識手段6にて検出されるとガス流量が減少され、図14(e)に示すように、プラズマ11が点灯状態になる。その後、次の被処理物2の始端が処理開始認識手段5にて検出されるまで、プラズマ11はその点灯状態が維持され、以降、上記動作が繰り返される。
また、本実施形態においても、空間52内に対するガス供給系統として、図6に示したようなガス供給部7と流量制御部8から成る単一のガス供給系統にて構成したものに限らず、図15に示すように、図7と同様に不活性ガス供給部14と流量コントローラなどの流量制御部15とから成る不活性ガスのガス供給系統と、反応性ガス供給部16と流量コントローラなどの流量制御部17とから成る反応性ガスのガス供給系統とを設け、それぞれのガス供給系統から空間52にガスを供給するように構成しても良い。
なお、図15中、54a、54bは空間52内に高周波電界を発生させる電極を模式的に示している。この電極54a、54bは、図14で説明したように空間52を画成している上下壁面53a、53b中に配置されていても、場合によっては空間52内に対向して配置されていても良い。
本発明は、以上の実施形態に限らず、請求項の記載に基づいて各実施形態に示した種々の構成要素を組み合わせた構成で実施することができる。
本発明の大気圧プラズマ処理方法及び装置によれば、被処理物に対する処理の開始と終了を決定してその間のみガス流量を増加してプラズマ処理を行い、それ以外の間はガス流量を低減することで、安定して処理を行いながらガスの使用量を低減することができ、特に非処理時にもプラズマを点灯維持することで効率的にかつ安定してプラズマ処理を行うことができるため、大気圧プラズマ処理に有効に利用できる。
本発明の大気圧プラズマ処理装置の第1の実施形態の全体概略構成を示す斜視図。 同実施形態の制御構成を示すブロック図。 同実施形態における処理動作の工程説明図。 同実施形態の処理工程における各要素の動作状態の説明図。 同実施形態の他の処理工程における各要素の動作状態の説明図。 同実施形態のガス供給系統における異なる構成例を示す構成図。 同実施形態のガス供給系統の他の構成図。 同実施形態の実験例における大気圧プラズマ発生部の概略構成の説明図。 同実験例における発光強度の供給電力による変化をガス流量をパラメータとして表示したグラフ。 本発明の大気圧プラズマ処理装置の第2の実施形態における大気圧プラズマ発生部の概略構成図。 本発明の大気圧プラズマ処理装置の第3の実施形態の全体概略構成を示す斜視図。 同実施形態で好適に処理できる被処理物の平面図。 同実施形態の大気圧プラズマ発生部の概略構成を示す斜視図。 本発明の大気圧プラズマ処理装置の第4の実施形態における処理動作の工程説明図。 同実施形態の他の構成例を示す全体概略構成図。 従来例の大気圧プラズマ発生装置の各種構成例の説明図。 他の従来例の大気圧プラズマ発生部の縦断面図。
符号の説明
1 大気圧プラズマ処理装置
2 被処理物
3 搬送コンベア(移動手段)
4 大気圧ブラズマ発生部
5 処理開始認識手段
6 処理終了認識手段
7 ガス供給部
8 流量制御部
9 高周波発生部
10 制御部
11 プラズマ
12 流量コントローラ
13 圧力調整手段
14 不活性ガス供給部
15 流量制御部
16 反応性ガス供給部
17 流量制御部
31 ガス供給通路
32 混合領域
41 大気圧プラズマ処理装置
51 大気圧プラズマ処理装置

Claims (11)

  1. 所定の空間にガスを供給し、前記所定の空間に高周波電圧を印加して大気圧近傍でプラズマを発生させ、プラズマにて被処理物を処理する大気圧プラズマ処理方法において、被処理物に対する処理開始決定によりガスの流量を増加させて被処理物をプラズマ処理し、被処理物に対する処理終了決定によりガスの流量を減少させることを特徴とする大気圧プラズマ処理方法。
  2. 減少させたガスの流量においてもプラズマが点灯維持することを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ処理方法。
  3. ガスの流量を減少させた状態で、印加する高周波電圧の電力を低下させることを特徴とする請求項1又は2記載の大気圧プラズマ処理方法。
  4. 供給するガスは、アルゴン、ネオン、キセノン、ヘリウム、窒素から選択された単独ガス又は複数の混合ガスからなる不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の大気圧プラズマ処理方法。
  5. 供給するガスに、反応性ガスを含むことを特徴とする請求項4記載の大気圧プラズマ処理方法。
  6. 所定の空間にガスを供給し、前記所定の空間に高周波電圧を印加して大気圧近傍でプラズマを発生させる大気圧プラズマ発生部と、高周波電圧を発生させる高周波発生部と、ガスを供給するガス供給部と、所定の空間に流すガス流量を制御する流量制御部と、プラズマにて処理する被処理物を大気圧プラズマ発生部に対して相対的に移動させる移動手段と、被処理物に対するプラズマ処理開始のタイミングを認識する処理開始認識手段と、被処理物に対するプラズマ処理終了のタイミングを認識する処理終了認識手段と、処理開始認識手段と処理終了認識手段からの信号を入力とし、流量制御部による流量制御を指令する制御部とを備えたことを特徴とする大気圧プラズマ処理装置。
  7. 流量制御部は、ガス流量をプラズマ処理中は処理に要する流量に制御し、プラズマ処理終了後はプラズマが点灯維持される流量に減少させることを特徴とする請求項6記載の大気圧プラズマ処理装置。
  8. 流量制御部は、流量コントローラから成ることを特徴とする請求項6又は7記載の大気圧プラズマ処理装置。
  9. 流量制御部は、圧力調整手段から成ることを特徴とする請求項6又は7記載の大気圧プラズマ処理装置。
  10. 大気圧プラズマ発生部にガスを供給するガス供給系統が複数設けられ、各ガス供給系統毎にガス供給部と流量制御部が設けられていることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の大気圧プラズマ処理装置。
  11. 複数のガス系統のうち、少なくとも一つは前記空間内に供給されてプラズマを発生させ、残りのガス系統は発生したプラズマにガスを混合させるように配設されていることを特徴とする請求項10記載の大気圧プラズマ処理装置。
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