JP2007187153A - 流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動シャフトと動力回収シャフトを連結部で連結した場合にも十分な量の潤滑油を摺動部に給油することができる、信頼性の高い流体機械を提供する。
【解決手段】膨張機一体型圧縮機は、動力回収シャフト212の一端に配置された膨張機部213と、駆動シャフト214の一端に配置された圧縮機部216と、動力回収シャフト212および駆動シャフト214の端部同士の突き合せ箇所にシール手段を設けた連結部217とを備えている。駆動シャフト214の先端部239の外周面が凸状六角形、動力回収シャフト212の先端部240の内周面が凹状六角形であり、駆動シャフト214と動力回収シャフト212が嵌め合わされている。カバー枠体236の内側には、Oリングの第1シール材237、第2シール材238が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体機械に関するものであり、特に、流体を膨張させる膨張機部と流体を圧縮する圧縮機部とを連結する連結部を備えた流体機械に関するものである。
膨張機部と圧縮機部とを連結した流体機械としては、膨張機一体型圧縮機が知られている。膨張機一体型圧縮機は、密閉容器の中で膨張機部によって作動流体の膨張エネルギーを回収し、その回収したエネルギーを、例えば圧縮機部で利用している。そして、このような膨張機一体型圧縮機は、膨張機部と圧縮機部とを一本のシャフトの周りに配置した構成が知られている。
しかしながら、上記構成の膨張機一体型圧縮機では、製作時に以下のような問題が生じていた。すなわち、膨張機部と圧縮機部とを一本のシャフトの周りに配置した膨張機一体型圧縮機では、例えばシャフトと圧縮機部の組み立てを先に行なった場合、膨張機部の組み立て時に、圧縮機部を備えたシャフトに対するクリアランス調整が困難となり、作業性が悪くなっていた。
このような問題に対して、動力回収シャフトと駆動シャフトとを別個に製作し、それらを連結部で連結させる構成の膨張機一体型圧縮機が提案されている。この膨張機一体型圧縮機は、膨張機部と動力回収シャフトとの組み立てを行うとともに、圧縮機部と駆動シャフトとの組み立てを行い、連結部で動力回収シャフトと、駆動シャフトとを連結させ、組み立て作業性の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。
図10は、特許文献1の膨張機一体型圧縮機である流体機械の断面図であり、上述したように、動力回収シャフトと駆動シャフトとを連結部を設けて連結する構成である。流体機械1は、密閉ケース7の中に膨張機部9と、圧縮機部11とが配置されている。そして、膨張機部9を貫通する動力回収シャフトである第1の回転シャフト19と、圧縮機部11を貫通する駆動シャフトである第2の回転シャフト63とが連結部である継手65を介して、同一軸心上に連結されている。また、膨張機部9と圧縮機部11には摺動部があり、それらの摺動部を潤滑する潤滑油を供給する経路として、潤滑給油路139,141が設けられている。ここで潤滑給油路141は、継手65を挟んで第1の回転シャフト19と、第2の回転シャフト63のシャフト中に設けられている。
特開平9−126171号公報(第10図)
図10に示す流体機械1では、膨張機部9および圧縮機部11のメカニカル部の溶接時の位置決め誤差、熱変形があり、これらの誤差、熱変形を吸収するため継手65にクリアランスを設けている。しかし、連結部である継手65にクリアランスを設けると、潤滑給油路141が継手65の位置で微妙にずれ、クリアランスから潤滑油が漏れてしまうという課題があった。
そこで本発明は上記課題を解決するもので、駆動シャフトと動力回収シャフトとの連結部からの潤滑油の漏れが防止ないし十分抑制された、信頼性の高い流体機械を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
潤滑油が流れる第1給油路が長手方向に延びて端部に開口するように内部に形成され、膨張する作動流体から得られる動力で回転する動力回収シャフトと、作動流体から動力を回収して動力回収シャフトに与える膨張機構と、を含む膨張機部と、
潤滑油が流れる第2給油路が長手方向に延びて端部に開口するように内部に形成され、動力回収シャフトの端部に第2給油路が開口する端部を突き合わせる形で動力回収シャフトに連結された駆動シャフトと、駆動シャフトから与えられる動力で作動流体を圧縮する圧縮機構と、を含む圧縮機部と、
第1給油路と第2給油路とを流れる潤滑油の油漏れを抑制するシール手段が動力回収シャフトと駆動シャフトとの突き合せ箇所に設けられた、動力回収シャフトと駆動シャフトとの連結部と、
を含み、
シール手段が、突き合わせ箇所を被覆するとともに動力回収シャフトおよび駆動シャフトとともに回転するカバー枠体と、カバー枠体と動力回収シャフトとの間およびカバー枠体と駆動シャフトとの間から選ばれる少なくとも一方に設けられたシール材と含む、流体機械を提供する。
上記本発明によれば、動力回収シャフトと駆動シャフトとの突き合わせ箇所にシール手段が設けられる。シール手段は、動力回収シャフトと駆動シャフトとの突き合わせ箇所を被覆するカバー枠体と、シール材と含む。連結部のクリアランスから漏れようとする潤滑油は、シール材によってカバー枠体の内側に封じ込められる。また、カバー枠体が動力回収シャフトおよび駆動シャフトとともに回転するようになっているので、シール材に対し、カバー枠体と各シャフトとの相対回転を許容し、尚かつ油漏れも防止するというような厳しい要求は課されない。すなわち、シール材を用いたシール構造が比較的単純なものであっても、漏れ防止効果を十分に得ることができる。このように、本発明によれば、連結部のクリアランスからの油漏れが、シール手段によって防止ないし十分抑制され、膨張機部と圧縮機部の摺動部に十分給油でき、信頼性の高い流体機械を提供することができる。
また、シール材は、カバー枠体と動力回収シャフトとの間に設けられた第1シール材と、カバー枠体と駆動シャフトとの間に設けられた第2シール材とを含んでいてもよい。このようにすれば、カバー枠体と動力回収シャフトとのクリアランスからの油漏れ、およびカバー枠体と駆動シャフトとのクリアランスからの油漏れを防止ないし抑制することができる。
一方、シール材は、カバー枠体と動力回収シャフトとの間およびカバー枠体と駆動シャフトとの間から選ばれる一方にのみ設けられていてもよい。このようにすれば、シール材を一方のシャフトにのみ設ければ済むので、部品点数減および連結構造の簡略化を図ることが可能である。さらにこの場合、シール材が設けられていない側のシャフトとカバー枠体とのクリアランスを、シール材が設けられている側のシャフトとカバー枠体とのクリアランスよりも小さくするべきである。そうすれば、シール材を設けなくとも、油漏れ防止効果を十分に得ることができる。また、一方のシャフトとカバー枠体とのクリアランスが十分に確保されているならば、他方とカバー枠体とのクリアランスが小さくても組立時の作業性は良好であり、軸心のズレも吸収できる。
好ましくは、シール材が設けられていない側のシャフトがカバー枠体に圧入されていることである。圧入によれば、カバー枠体とシャフトとを比較的容易に嵌め合わせることが可能であるとともに、両者のクリアランスを実質的にゼロにでき、クリアランスからの油漏れを確実に防止することが可能である。
また、シール材としてOリングを用いてもよい。このように、Oリングを用いると、連結部のクリアランスからの油漏れを確実に防止できる。また、Oリングがゴム弾性を有するものである場合には、その弾性特性を利用して、連結部クリアランスにおける動力回収シャフトと駆動シャフトとの回転変動によるガタを吸収し、低振動を実現できる。
また、動力回収シャフトのトルクが駆動シャフトに伝達されるように、駆動シャフトの端部と動力回収シャフトの端部とを嵌め合わることができる。このような構成とすれば、動力回収シャフトのトルクが確実に駆動シャフトに伝達される。
また、動力回収シャフトの端部と駆動シャフトの端部とを、オルダム継手によって連結してもよい。このようにすれば、連結部を簡単に構成できるとともに、動力回収シャフトと駆動シャフト間の軸方向クリアランスと径方向クリアランスをオルダム継手の介在により適正に小さく調整でき、シャフトの回転変動によるガタを少なく抑えることができる。
また、動力回収シャフトの端部および駆動シャフトの端部は、それぞれ、多角形状の凸部と凹部としてもよい。このように多角形状の凸部と凹部とすると、角部で確実に嵌め合せられるので、動力回収シャフトのトルクが確実に駆動シャフトに伝達される。
また、動力回収シャフトの端部および駆動シャフトの端部は、スプライン継手にしてもよい。このように両シャフトの端部をスプライン継手にすれば、容易に機械加工できるとともに、シャフト間のトルク伝達も確実に行われる。
また、動力回収シャフトのトルクがカバー枠体を介して駆動シャフトに伝達されるようにしてもよい。カバー枠体は、動力回収シャフトと駆動シャフトとの突き合わせ箇所を覆う部品であるから、各シャフトの端部よりも外径が大きい。したがって、カバー枠体を介して間接的にトルクを伝達する構造とすれば、トルク伝達径を大きくでき、シャフトとカバー枠体とのトルク作用面において摩耗が生じにくくなる。ひいては、経年変化によるクリアランス増大の問題を起こりにくくすることができる。
動力回収シャフトのトルクが駆動シャフトにカバー枠体を介して伝達されるように、カバー枠体の内周面には、動力回収シャフトの端部の外周面および駆動シャフトの端部の外周面に嵌め合せ可能な形状を付与することができる。そして、カバー枠体の内側部分に、動力回収シャフトの端部および駆動シャフトの端部をトルク伝達可能に嵌合させることができる。
このような構成とすれば、動力回収シャフトのトルクがカバー枠体を介して駆動シャフトに効率よく伝達されうる。また、カバー枠体を介して全トルクが伝達されるようにする場合、すなわち、動力回収シャフトの端部と駆動シャフトの端部とによってトルク伝達可能な嵌合構造を形成しない場合には、動力回収シャフトおよび駆動シャフトのどちらも、端部を凹形状に切削して加工する必要がないので、座繰も不要となり、量産性も向上する。
また、動力回収シャフトの端部および駆動シャフトの端部の外周面の形状は、多角形としてもよい。このように両シャフトの端部の形状を多角形にすれば、両シャフトとカバー枠体間のトルク伝達を確実に行える。
また、動力回収シャフトの端部および駆動シャフトの端部の外周面の形状は、スプライン形状としてもよい。このように両シャフトの端部の形状をスプライン形状にすれば、容易に機械加工できるとともに、シャフト間の互いのトルク伝達を確実に行える。
本発明の流体機械によれば、連結部のシール手段により駆動シャフトと動力回収シャフトとの連結部からの油漏れを防止できる。その結果、膨張機部と圧縮機部へ十分な給油量を確保し、それぞれの摺動部に給油できるため、信頼性の高い流体機械を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の流体機械の膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機200は、密閉容器211と、密閉容器211内の下部に配置された膨張機部213と、密閉容器211内の上部に配置された圧縮機部216と、膨張機部213と圧縮機部216との間に配置された電動機部215と、膨張機部213と圧縮機部216とを連結する連結部217とを備えている。
密閉容器211の底部は、膨張機部213および圧縮機部216の摺動部を潤滑するための潤滑油242を貯留する油貯留部として利用されている。油貯留部に貯留された潤滑油242は、膨張機部213の下部に配置された給油ポンプ241の働きにより、上方の膨張機部213および圧縮機部216へ送られる。
膨張機部213は、膨張する作動流体(例えば冷媒)から得られる動力で回転する動力回収シャフト212と、動力回収シャフト212の一端に配置され、作動流体から動力を回収して動力回収シャフト212に与える膨張機構280とを含む。圧縮機部216は、膨張機部213の動力回収シャフト212に連結された駆動シャフト214と、駆動シャフト214の一端に配置され、駆動シャフト214から与えられる動力で作動流体を圧縮する圧縮機構282とを含む。
膨張機部213は、ロータリ式であり、シリンダ218、ピストン219、上軸受部材220、下軸受部材221、およびベーン222などから構成され、上軸受部材220を密閉容器211に溶接することにより、密閉容器211に固定されている。また、膨張機部213は、シリンダ218へ高圧の作動流体を供給する流入管223、膨張して低圧となった作動流体を流出させる流出管224が設けられている。そして、動力回収シャフト212は、膨張機部213で作動流体が膨張する際に得られる動力で回転する。
圧縮機部216は、スクロール式であり、固定スクロール225、旋回スクロール226、旋回スクロール226の自転運動を防止するオルダムリング227、およびフレーム228などから構成され、フレーム228を密閉容器211に溶接することにより、密閉容器211に固定されている。また、圧縮機部216は、旋回スクロール226へ低圧の作動流体を供給する吸入管229と、圧縮されて高圧となった作動流体を吐出する吐出管230が設けられている。
電動機部215は、密閉容器211に固着された固定子231と駆動シャフト214に固定されたロータ232で構成され、密閉容器211に取り付けられた電源端子233から電源供給される。そして電動機部215は、駆動シャフト214を介して圧縮機部216を駆動する。
また、動力回収シャフト212の軸心部には、潤滑油が流れる第1給油路234が形成されている。第1給油路は、動力回収シャフト212の長手方向に延び、動力回収シャフト212の一端部から他端部へと貫通し、それら両端部において開口している。同様に、駆動シャフト214の軸心部には、潤滑油が流れる第2給油路235が形成されている。第2給油路は、駆動シャフト214の長手方向に延び、駆動シャフト214の一端部から他端部へと貫通し、それら両端部において開口している。動力回収シャフト212と駆動シャフト214とは、第1給油路234が開口する端部と、第2給油路235が開口する端部とを突き合わせる形で互いに連結されている。
連結部217には、第1給油路234と第2給油路235を流れる潤滑油の油漏れを抑制するシール手段236,237,238が設けられている。シール手段236,237,238は、動力回収シャフト212と駆動シャフト214との突き合せ箇所を被覆する、例えばベアリング鋼を加工したカバー枠体236と、カバー枠体236と動力回収シャフト212との間に設けられた第1シール材237と、カバー枠体236と駆動シャフト214との間に設けられた第2シール材238とで構成されている。第1シール材237および第2シール材238として、Oリングが用いられている。カバー枠体236には、第1シール材237および第2シール材238を収納するための複数の環状溝が、シャフト212,214と向かい合う内周面に形成されている。
図2(a)は、本発明の実施の形態1の膨張機一体型圧縮機の連結部断面図、図2(b)は同連結部の組み立て斜視図である。本実施の形態1では、駆動シャフト214の先端部239の形状が凸状六角形、動力回収シャフト212の先端部240の形状が凹状六角形とされ、それらの先端部239,240を利用して駆動シャフト214と動力回収シャフト212とが直接嵌合されている。そして、カバー枠体236の内側には、Oリングの第1シール材237と第2シール材238が設けられている。第1シール材237および第2シール材238は、カバー枠体236とシャフト212,214との間に働く圧力を受けて変形し、カバー枠体236とシャフト212,214との隙間から潤滑油が漏れないようにシールしている。図2は、カバー枠体236の内周面にOリングの形状に適合する溝を切削などの方法により形成した場合を示したが、動力回収シャフト212および駆動シャフト214の端部の外周面にOリングを嵌め込む溝を形成してもよい。
また、図2(b)に示すように、本発明の実施の形態1の膨張機一体型圧縮機は、以下に示すように組み立てられる。まず、動力回収シャフト212が、第1シール材237および第2シール材238が取り付けられたカバー枠体236に挿入される。そして、駆動シャフト214の凸状六角形の先端部239を動力回収シャフト212の凹状六角形の先端部240に突き合わせる形で、駆動シャフト214がカバー枠体236に挿入され、動力回収シャフト212と駆動シャフト214とが連結部217で連結される。ここで、動力回収シャフト212と駆動シャフト214とは、それぞれ弾性体の第1シール材237と第2シール材238とをそれぞれ押し広げながら挿入されている。また、カバー枠体236は、動力回収シャフト212と駆動シャフト214との先端部の形状に合わせて形状および寸法が調整されている。
次に、膨張機一体型圧縮機200の動作について説明する。電動機部215のロータ232で駆動シャフト214を回転させることにより、密閉容器211の吸入管229から圧縮機部216に吸入された作動流体が低圧から高圧へと圧縮される。圧縮された作動流体は、密閉容器211の内部空間を経由して、吐出管230から外部の冷凍サイクルへ吐出される。この作動流体は、図示しない放熱器で冷却され、再び密閉容器211の流入管223から膨張機部213に流入し、高圧から低圧へと膨張する。作動流体の膨張エネルギーが膨張機部213によって回収され、動力回収シャフト212のトルクに変換される。そして、このトルクは、動力回収シャフト212から連結部217を介して駆動シャフト214に伝えられる。このように、膨張機部213での回収エネルギーは、圧縮機部216の駆動力として利用されている。
動力回収シャフト212の下部に取り付けられた給油ポンプ241は、動力回収シャフト212の回転に応じて作動し、密閉容器211の底部に貯留した潤滑油242を汲み上げる。給油ポンプ241の働きにより、潤滑油242は、動力回収シャフト212の内部に貫通形成された第1給油路234を介して膨張機部213のピストン219、および駆動シャフト214の内部に貫通形成された第2給油路235を介して圧縮機部216のオルダムリング227などの摺動部に供給される。
図2に示すように、動力回収シャフト212と駆動シャフト214との間やカバー枠体236とシャフト212,214との間にはクリアランス243がある。ただし、クリアランス243から潤滑油が漏出しようとしても、第1シール材237、第2シール材238およびカバー枠体236により、カバー枠体236の外部への経路が遮断されているため、カバー枠体236の外部への潤滑油の漏出が阻止される。したがって、第1給油路234から第2給油路235へと移動する潤滑油は、連結部217においてその量を減少させることなく、第2給油路235を通って圧縮機部216に供給される。このようにして圧縮機部216への給油量が十分確保できるので、圧縮機部216において潤滑不足が生ずることを防止できる。
また、第1シール材237、第2シール材238およびカバー枠体236により封じられる潤滑油は、動力回収シャフト212と駆動シャフト214の嵌合部を潤滑保護するため、嵌合部の信頼性の高い流体機械となる。また、第1シール材237および第2シール材238として、Oリングなどの弾性体を用いているので、連結部217のクリアランス243における動力回収シャフト212と駆動シャフト214との回転変動によるガタを吸収し、低振動を実現できる。
なお、シール材は、カバー枠体236と動力回収シャフト212との間およびカバー枠体236と駆動シャフト214との間から選ばれる一方にのみ設けられていてもよい。例えば、図8の変形例に示すように、連結部290におけるシール手段が、カバー枠体236と、カバー枠体236と駆動シャフト214との間に設けられたシール材238とによって構成されていてもよい。もちろん、カバー枠体236と動力回収シャフト212との間にシール材が設けられていてもよい。
ただし、シール材を省略することにより、油漏れを防ぐ効果が十分に得られない可能性が生ずる。そこで、図8の変形例では、シール材が設けられていない側のシャフト212とカバー枠体236との径方向のクリアランスが殆どゼロとなるように各部品の寸法調整を行っている。具体的には、図9(a)に示すごとく、シール材238が設けられている側のシャフト214(駆動シャフト)とカバー枠体236との径方向のクリアランスd1は、組立時の作業性を考慮して適度に確保されている。これに対し、図9(b)に示すごとく、シール材が設けられていない側のシャフト212(動力回収シャフト)とカバー枠体236との径方向のクリアランスd2は、d1>d2を満足する、好ましくはd2≒0である。このようにすれば、組立時の作業性を低下させることなく、部品点数減および連結構造の簡略化を図ることが可能である。さらに、クリアランスをなるべく小さくして油漏れを防ぐという観点において、図8に示す変形例は、シール材を2箇所に設ける態様よりも優れている。
シール材が設けられていない側のシャフト212は、例えば、焼き嵌めや冷やし嵌めなどの公知の圧入方法により、カバー枠体236に圧入されているとよい。このようにすれば、カバー枠体236とシャフト212とを比較的容易に嵌め合わせることが可能であるとともに、両者の径方向のクリアランスを実質的にゼロにでき、該クリアランスからの油漏れを確実に防止することが可能である。
また、密閉容器211内の上部に位置する側の駆動シャフト214とカバー枠体236との間にシール材238が設けられていることが好ましい。この場合、下部の動力回収シャフト212とカバー枠体236とのクリアランスをほぼゼロに設定することができる。そして、万一シール材238が劣化し油漏れが発生したとしても、動力回収シャフト212とカバー枠体236の組み合わせが潤滑油を貯める役割を果たすので、駆動シャフト214とカバー枠体236とのクリアランスから潤滑油が漏れ出る場合でも、連結部290内は常に潤滑油で充満されていることになる。この結果、油漏れ防止効果はもとより、給油路234、235への冷媒の入り込みを防ぐ効果も一層確実に得ることが可能となる。
なお、シール材を一方のシャフトにのみ設ける構成は、以下に説明する他の実施形態に適用してもよい。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2の流体機械の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面斜視図である。図3は、連結部244のカバー枠体245を切り開き、動力回収シャフト246と駆動シャフト247との接続部分の外観を示している。本発明の実施の形態2と実施の形態1との異なる点は、動力回収シャフト246と駆動シャフト247との接続部分である。
図3に示すように、本実施の形態2では、動力回収シャフト246と駆動シャフト247とは、オルダム継手248によって連結されている。動力回収シャフト246の先端部には、オルダム継手248の一方のキーが嵌合するキー溝248aが形成されている。駆動シャフト247の先端部には、同じくオルダム継手248の他方のキーが嵌合するキー溝248bが形成されている。そして、動力回収シャフト246と駆動シャフト247とは、ともにシャフトの軸方向と径方向に適度にクリアランス249を持ってオルダム継手248と嵌合されている。
また、連結部244のシール手段は、カバー枠体245と、動力回収シャフト246側に設けられた第1シール材251と、駆動シャフト247側に設けられた第2シール材252から構成されている。Oリングである第1シール材251と、第2シール材252とは、それぞれカバー枠体245の溝に嵌め込まれている。
以上の構成によれば、動力回収シャフト246と、駆動シャフト247とをオルダム継手248で連結した場合にも、シール手段によりシャフトの軸方向、および径方向クリアランス249からの油漏れを防止ないし抑制できる。そのため、給油ポンプから送られてくる潤滑油が連結部で失われず、膨張機部および圧縮機部の各摺動部に十分な量の潤滑油を供給できる。また、動力回収シャフト246と駆動シャフト247間の軸方向クリアランスと、径方向クリアランスをオルダム継手248によって適正に小さく調整でき、シャフトの回転変動によるガタを抑えることができる。
(実施の形態3)
図4(a)は、本発明の実施の形態3の流体機械の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面斜視図で、連結部253のカバー枠体254を切り開き、動力回収シャフト255と駆動シャフト256との接続部分の外観を示している。また、図4(b)は、図4(a)のA−A線断面図である。
図4(a)に示すように、動力回収シャフト255の端部の外周面と駆動シャフト256の端部の外周面の形状は、それぞれ多角形とされている。図4(a)の例では六角形としている。すなわち、動力回収シャフト255の六角形状の先端部である動力回収シャフト先端部255aと、駆動シャフト256の六角形状の先端部である駆動シャフト先端部256aとが突き合されている。そして、図4(b)に示すようにカバー枠体254の内周面は、これらの六角形状の先端部255a,256aに嵌め合せ可能な形状を有している。
動力シャフト先端部255aは、駆動シャフト先端部256aに接することによりトルクを伝達するトルク伝達面を有していない。また、駆動シャフト先端部256aも動力シャフト先端部255aに直接接してトルクを受けるトルク受け面を有していない。したがって、動力回収シャフト255と駆動シャフト256とは、互いに回転を拘束しないように突き合わされている。
また、連結部253のシール手段は、カバー枠体254と、動力回収シャフト255側に設けられた第1シール材257と、駆動シャフト256側に設けられた第2シール材258から構成されている。Oリングである第1シール材257と、第2シール材258とは、それぞれカバー枠体254の溝に嵌め込まれている。
以上の構成によれば、動力回収シャフト先端部255aとカバー枠体254とが嵌合され、駆動シャフト先端部256aとカバー枠体254とが嵌合されるので、動力回収シャフト255のトルクはカバー枠体254を介して駆動シャフト256に伝達される。
また、シール手段により駆動シャフト先端部256aと動力回収シャフト先端部255a間のクリアランス259からの油漏れを防止できる。その結果、給油ポンプから送られてくる潤滑油が連結部で失われず、膨張機部および圧縮機部の各摺動部に十分な量の潤滑油を供給できる。そして、全トルクがカバー枠体254を介して伝達されるようにする場合には、動力回収シャフト255および駆動シャフト256のどちらも、凹形状に切削して加工する必要がなくなるため、座繰も不要となり、量産性も向上する。
また、Oリングの第1シール材257、第2シール材258およびカバー枠体254により封じられる潤滑油は、シャフト255,256とカバー枠体254との嵌合部を潤滑保護するため、嵌合部の信頼性の高い流体機械となる。
また、それぞれの先端部の外周面が六角形状の動力回収シャフト255および駆動シャフト256と、内周面が六角形状のカバー枠体254とを嵌合させるので、シャフト径に対して六角形状を十分に大きく設計することができる。この場合、2本のシャフトを直接嵌合させる場合に比べてトルク伝達径を大きくできるので、トルク伝達が容易となり、信頼性の高い流体機械となる。
なお、本発明の実施の形態3では、動力回収シャフト先端部255aおよび駆動シャフト先端部256aの外周面の形状が六角形の場合を示したが、カバー枠体254に嵌合しうる形状であれば多角形に限定する必要はなく、図5のようにスプライン形状としてもよい。図5(a)は断面斜視図、図5(b)は図5(a)のB−B線断面図である。カバー枠体270の内周面は、動力回収シャフト271および駆動シャフト272の外周面のスプライン形状に嵌め合わせ可能な形状を有している。
また、多角形の場合、角数が大きい円に近いものより、角数の小さい方が、確実に嵌め合わせを行える。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4の流体機械の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面斜視図である。図6は、連結部260のカバー枠体261を切り開き、動力回収シャフト262と駆動シャフト263との接続部分の外観を示している。
図6に示すように、本実施の形態4では、動力回収シャフト262と駆動シャフト263の接続部分が、スプライン継手構造264を形成している。すなわち、動力回収シャフト262の先端部にスプライン凹凸部264aが形成され、駆動シャフト263の先端部にスプライン凸凹部264bが形成されている。そして、動力回収シャフト262のスプライン凹凸部264aと、駆動シャフト263のスプライン凸凹部264bとが、シャフトの軸方向と径方向に適度にクリアランスを持って嵌合されている。
連結部260のシール手段は、カバー枠体261と、動力回収シャフト262側に設けられた第1シール材265と、駆動シャフト263側に設けられた第2シール材266から構成されている。Oリングである第1シール材265と、第2シール材266とは、それぞれカバー枠体261の溝に嵌め込まれている。
以上の構成によれば、動力回収シャフト262と駆動シャフト263とをスプライン継手264で連結した場合にも、シール手段によりシャフトの軸方向および径方向クリアランスからの油漏れを防止ないし抑制できる。したがって、給油ポンプから送られてくる潤滑油が連結部で失われず、膨張機部および圧縮機部の各摺動部に十分な量の潤滑油を供給できる。そして、動力回収シャフト262と駆動シャフト263とのトルク伝達は、スプライン継手264で確実に行われる。また、図6に示すように動力回収シャフト262と駆動シャフト263の径が違う場合にも、同様の効果を発揮することができる。
なお、本発明の実施の形態4では、動力回収シャフト262の先端にスプライン凹凸部264aと、駆動シャフト263の先端にスプライン凸凹部264bを形成したが、動力回収シャフト262と駆動シャフト263の両方にスプライン凹凸部を設けて、カバー枠体261にスプライン凸凹部を設けてもよい。このようにすれば、シャフト間のトルク伝達は、カバー枠体261を介してなされるため、確実に行われる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5の流体機械の膨張機一体型圧縮機の縦断面図である。膨張機一体型圧縮機300は、横型であり、密閉容器211、膨張機部213、連結部217、電動機部215、および圧縮機部267で構成されている。
膨張機一体型圧縮機300が、図1の縦型の膨張機一体型圧縮機200と異なる点は、圧縮機部267の構成である。圧縮機部267は、ロータリ式であり、フレーム268を密閉容器211に溶接することにより、密閉容器211に固定されている。
膨張機一体型圧縮機300は、給油ポンプ269で潤滑油242を汲み上げ、膨張機部213から連結部217を経由し、圧縮機部267に送油する。連結部217は、上述の本発明の実施の形態1から実施の形態4のいずれかの構成としている。
このような構成とすれば、横型の膨張機一体型圧縮機300であっても、連結部217からの油漏れを防止ないし十分抑制できる。したがって、給油ポンプから送られてくる潤滑油が連結部217で失われず、膨張機部213および圧縮機部267の各摺動部に十分な量の潤滑油を供給でき、ひいては信頼性の高い流体機械を実現できる。
なお、本発明の実施の形態では膨張機部をロータリ式にし、圧縮機部をスクロール式やロータリ式にしたが、本発明はこれらの方式に限定されることはない。また、膨張機部や圧縮機部の各摺動部への給油方式も給油ポンプによる汲み上げ方式を開示したが、給油路を偏心させてシャフトの遠心力によって潤滑油を汲み上げる方式でもよい。
また、駆動シャフトの端部と動力回収シャフトの端部とを嵌め合せ可能な形状とすることに加えて、駆動シャフトの端部の外周面および動力回収シャフトの端部の外周面とカバー枠体の内周面とを嵌め合せられる形状としてもよい。例えば、図2の駆動シャフト214および動力回収シャフト212の端部の外周面を凸状六角形とし、カバー枠体236の内周面を凹状六角形とする。このようにすることで、トルク伝達はより確実に行なわれる。
本発明の流体機械は、膨張機部および圧縮機部の各摺動部に確実に給油されるため、信頼性の高い装置となり、空気調和装置、給湯装置などに利用できる。
本発明の実施の形態1の流体機械の膨張機一体型圧縮機の縦断面図 (a)同実施の形態の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面図(b)同連結部の組み立て斜視図 本発明の実施の形態2の流体機械の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面斜視図 (a)本発明の実施の形態3の流体機械の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面斜視図(b)図4(a)のA−A線断面図 (a)本発明の実施の形態3の流体機械の膨張機一体型圧縮機の異なる連結部の断面斜視図(b)図5(a)のB−B線断面図 本発明の実施の形態4の流体機械の膨張機一体型圧縮機の連結部の断面斜視図 本発明の実施の形態5の流体機械の膨張機一体型圧縮機の縦断面図 連結部の変形例の断面図 (a)図8のC−C線断面図(b)図8のD−D線断面図 従来の膨張機一体型圧縮機の断面図
符号の説明
1 流体機械
7 密閉ケース
9 膨張機部
11 圧縮機部
19 第1の回転シャフト
63 第2の回転シャフト
65 継手
139,141 潤滑給油路
200,300 膨張機一体型圧縮機
211 密閉容器
212,246,255,262,271 動力回収シャフト
213 膨張機部
214,247,256,263,272 駆動シャフト
215 電動機部
216,267 圧縮機部
217,244,253,260,290 連結部
218 シリンダ
219 ピストン
220 上軸受部材
221 下軸受部材
222 ベーン
223 流入管
224 流出管
225 固定スクロール
226 旋回スクロール
227 オルダムリング
228,268 フレーム
229 吸入管
230 吐出管
231 固定子
232 ロータ
233 電源端子
234 第1給油路
235 第2給油路
236,245,250,254,261,270 カバー枠体
237,251,257,265 第1シール材
238,252,258,266 第2シール材
239 凸状六角形
240 凹状六角形
241,269 給油ポンプ
242 潤滑油
243,249,259 クリアランス
248 オルダム継手
248a,248b キー溝
255a 動力回収シャフト先端部
256a 駆動シャフト先端部
264 スプライン継手
264a スプライン凹凸部
264b スプライン凸凹部
280 膨張機構
282 圧縮機構

Claims (13)

  1. 潤滑油が流れる第1給油路が長手方向に延びて端部に開口するように内部に形成され、膨張する作動流体から得られる動力で回転する動力回収シャフトと、前記作動流体から動力を回収して前記動力回収シャフトに与える膨張機構と、を含む膨張機部と、
    前記潤滑油が流れる第2給油路が長手方向に延びて端部に開口するように内部に形成され、前記動力回収シャフトの端部に前記第2給油路が開口する端部を突き合わせる形で前記動力回収シャフトに連結された駆動シャフトと、前記駆動シャフトから与えられる動力で前記作動流体を圧縮する圧縮機構と、を含む圧縮機部と、
    前記第1給油路と前記第2給油路とを流れる前記潤滑油の油漏れを抑制するシール手段が前記動力回収シャフトと前記駆動シャフトとの突き合せ箇所に設けられた、前記動力回収シャフトと前記駆動シャフトとの連結部と、
    を含み、
    前記シール手段が、前記突き合わせ箇所を被覆するとともに前記動力回収シャフトおよび前記駆動シャフトとともに回転するカバー枠体と、前記カバー枠体と前記動力回収シャフトとの間および前記カバー枠体と前記駆動シャフトとの間から選ばれる少なくとも一方に設けられたシール材と含む、流体機械。
  2. 前記シール材が、前記カバー枠体と前記動力回収シャフトとの間に設けられた第1シール材と、前記カバー枠体と前記駆動シャフトとの間に設けられた第2シール材とを含む請求項1に記載の流体機械。
  3. 前記シール材が、前記カバー枠体と前記動力回収シャフトとの間および前記カバー枠体と前記駆動シャフトとの間から選ばれる一方にのみ設けられ、
    前記シール材が設けられていない側のシャフトと前記カバー枠体とのクリアランスが、前記シール材が設けられている側のシャフトと前記カバー枠体とのクリアランスよりも小さい請求項1に記載の流体機械。
  4. 前記シール材が設けられていない側の前記シャフトが前記カバー枠体に圧入されている請求項3に記載の流体機械。
  5. 前記シール材としてOリングを用いた請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の流体機械。
  6. 前記動力回収シャフトのトルクが前記駆動シャフトに伝達されるように、前記駆動シャフトの端部と前記動力回収シャフトの端部とが嵌め合わされている、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の流体機械。
  7. 前記動力回収シャフトの端部と前記駆動シャフトの端部とが、オルダム継手によって連結されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の流体機械。
  8. 前記動力回収シャフトの端部および前記駆動シャフトの端部を、それぞれ、多角形状の凸部と凹部とした請求項6に記載の流体機械。
  9. 前記動力回収シャフトの端部および前記駆動シャフトの端部を、スプライン継手にした請求項6に記載の流体機械。
  10. 前記動力回収シャフトのトルクが前記カバー枠体を介して前記駆動シャフトに伝達される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の流体機械。
  11. 前記カバー枠体の内周面は、前記動力回収シャフトの端部の外周面および前記駆動シャフトの端部の外周面に嵌め合せ可能な形状を有し、
    前記カバー枠体の内側部分に、前記動力回収シャフトの端部および前記駆動シャフトの端部の各々がトルク伝達可能に嵌合する請求項10に記載の流体機械。
  12. 前記動力回収シャフトの端部および前記駆動シャフトの端部の外周面の形状は、多角形である請求項11に記載の流体機械。
  13. 前記動力回収シャフトの端部および前記駆動シャフトの端部の外周面の形状は、スプライン形状である請求項11に記載の流体機械。
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