JP2014129756A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動スクロールの背面側に圧力の異なる背圧室が複数設けられるスクロール圧縮機であって、常に可動スクロールが固定スクロールに密着した状態で安定して運転可能なスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】スクロール圧縮機は、可動側鏡板32aを有する可動スクロール32と、可動側鏡板の背面32abと対向するハウジング33と、背面32abとハウジングとの間に配される第1および第2シールリング100,110と、を備える。第2シールリングは、第1シールリングを囲むように外側に配される。定常運転時には、第1シールリングの内側に第1内側背圧室が、外側に第1外側背圧室が形成され、第1シールリングは、内側から外側への流体の流れをシールする。非定常運転時には、第2シールリングの内側に第2内側背圧室Sbi2が、外側に第2外側背圧室Sbo2が形成され、第2シールリングは、外側から内側への流体の流れをシールする。
【選択図】図6

Description

本発明は、可動スクロールの背面側に、圧力の異なる背圧室を複数設けたスクロール圧縮機に関する。
従来、可動スクロールを固定スクロールに好適な力で密着させるため、圧力の異なる複数の背圧室が可動スクロールの背面に形成されたスクロール圧縮機が知られている。例えば特許文献1(特開2012−67712号公報)には、可動スクロールの背面に吐出圧力となる空間(軸受内側空間)を設け、可動スクロールの背面周縁側(軸受内部空間の外側)に吐出圧力より低い、吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力となる背圧室を設けた構成が開示されている。更に、特許文献1には、軸受内側空間と背圧室との間の圧力関係を維持するために、軸受内部空間と背圧室との間に背圧仕切帯が配置された構成が開示されている。
ところで、特許文献1(特開2012−67712号公報)でいうところの背圧仕切帯には、一般にシールリングが使用される。シールリングは、流体の流れを遮り、シールリングによって隔てられる2つの空間の圧力関係を維持するためのシール部材である。シールリングは、その特性上、シールリングの外側から内側への流体の流れか、シールリングの内側から外側への流体の流れの、いずれか一方向の流体の流れしか遮ることができない。そのため、特許文献1(特開2012−67712号公報)のように、軸受内側空間の圧力よりも背圧室の圧力が低い場合には、軸受内側空間から背圧室への流体の流れを遮断できるような向きに、シールリングが配置される。
ところが、本願発明者は、特許文献1(特開2012−67712号公報)のように、軸受内側空間と、背圧室とを設けた構成では、軸受内側空間と背圧室との圧力の大小関係は常に一定ではなく、圧縮機の起動時や吐出圧力と吸入圧力の差圧が少ない低差圧運転等の圧縮機運転条件においては、軸受内部空間と背圧室との圧力関係が逆転する可能性があることを見い出した。つまり、特許文献1(特開2012−67712号公報)の構成であれば、軸受内側空間の圧力よりも、背圧室の圧力の方が大きくなりうることを見い出した。
このような場合には、シールリングは前述のように一方向にしか流体の流れを遮ることができないため、軸受内側空間と背圧室との気密性は保たれず、流体の逆流(特許文献1(特開2012−67712号公報)では背圧室から軸受内部空間への流体の流入)が起こりうる。そして、この状態では、軸受内側空間の圧力と背圧室の圧力とが均一化してしまい、所望の圧力状態が実現されない可能性がある。その結果、可動スクロールを固定スクロールに好適な力で密着させることができない事態が発生しうる。
本発明の課題は、可動スクロールの背面側に圧力の異なる背圧室が複数設けられるスクロール圧縮機であって、常に可動スクロールが固定スクロールに密着された状態で安定して運転可能なスクロール圧縮機を提供することにある。
本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機は、固定スクロールと、可動スクロールと、ハウジングと、第1シール部材と、第2シール部材と、を備える。固定スクロールと可動スクロールとの間には圧縮室が形成される。可動スクロールは、可動側鏡板を有する。ハウジングは、可動側鏡板の背面と対向する。第1および第2シール部材は、環状に形成され、内側から外側又は外側から内側へのいずれかの流体の流れのみをシールする。第1および第2シール部材は、可動側鏡板の背面とハウジングとの間に配される。第2シール部材は、第1シール部材の内側に、又は、第1シール部材を囲むように外側に配される。定常運転時には、可動側鏡板の背面側であって、第1シール部材の内側に第1内側背圧室が、第1シール部材の外側に第1外側背圧室が、形成される。定常運転時には、第1シール部材は、第1内側背圧室から第1外側背圧室への流体の流れをシールする。非定常運転時には、可動側鏡板の背面側であって、第2シール部材の内側に第2内側背圧室が、第2シール部材の外側に第2外側背圧室が、形成される。非定常運転時には、第2シール部材は、第2外側背圧室から第2内側背圧室への流体の流れをシールする。
ここでは、定常運転時には、可動スクロールの背面側であって、第1シール部材の内側に第1内側背圧室が、第1シール部材の外側に第1外側背圧室が、それぞれ形成される。そして、第1シール部材は、第1内側背圧室から第1外側背圧室への流体の流れのみをシールする。なお、定常運転時には、内側の(第1内側背圧室の)圧力が、外側の(第1外側背圧室の)圧力より高い。一方、非定常運転時には、可動スクロールの背面側であって、第2シール部材の内側に第2内側背圧室が、第2シール部材の外側に第2外側背圧室が、それぞれ形成される。第2シール部材は、第2外側背圧室から第2内側背圧室への流体の流れのみをシールする。非定常運転時には、定常運転時とは逆に、外側の(第2外側背圧室の)圧力が、内側の(第2内側背圧室の)圧力より高い。
第2シール部材を備えることで、非定常運転時に第2シール部材の内側の空間(第2内側背圧室)と第2シール部材の外側の空間(第2外側背圧室)とが連通することが無く、両空間の圧力が均一化することがない。そのため、容易に定常運転に復帰できる。つまり、スクロール圧縮機を常に安定して運転することができる。
本発明の第2観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機であって、第1シール部材は、第2シール部材の内側に配置される。
ここでは、内側から外側への流体の流れを防止する第1シール部材を、第2シール部材よりも内側に配置することで、第1シール部材を第2シール部材よりも外側に配置した場合に比べ、高圧の第1内側背圧室の面積を小さくできる。その結果、定常運転時に可動スクロールを固定スクロールに押し付ける力が大きくなりすぎることを防止できる。
本発明の第3観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点又は第2観点に係るスクロール圧縮機であって、第1外側背圧室は、圧縮途中の圧縮室と連通する。
ここでは、第1外側背圧室と圧縮途中の圧縮室とが連通するため、定常運転状態から非定常運転状態へと運転状態が変化しうる。しかし、第1シール部材とは逆方向への流体の流れをシールする第2シール部材を備えるため、容易に非定常運転から定常運転に復帰することができ、スクロール圧縮機を安定して運転できる。
本発明の第4観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれかに係るスクロール圧縮機であって、ハウジングは可動側鏡板の背面と対向する第1面を有する。第1面には、第1および第2シール部材の少なくとも一方が嵌まるハウジング側凹部が形成される。
ここでは、ハウジングに第1および/又は第2シール部材を収容するハウジング側凹部が形成され、ハウジング側凹部に収容されたシール部材が流体の流れをシールする。その結果、スクロール圧縮機が安定して運転される。
本発明の第5観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点から第4観点のいずれかに係るスクロール圧縮機であって、可動側鏡板の背面に、第1および第2シール部材の少なくとも一方が嵌まる可動スクロール側凹部が形成される、
ここでは、可動側鏡板の背面に第1および/又は第2シール部材を収容する可動スクロール側凹部が形成され、可動スクロール側凹部に収容されたシール部材が流体の流れをシールする。その結果、スクロール圧縮機が安定して運転される。
本発明に係るスクロール圧縮機では、定常運転時には、可動スクロールの背面側であって、第1シール部材の内側に第1内側背圧室が、第1シール部材の外側に第1外側背圧室が、それぞれ形成される。そして、第1シール部材は、第1内側背圧室から第1外側背圧室への流体の流れのみをシールする。なお、定常運転時には、内側の(第1内側背圧室の)圧力が、外側の(第1外側背圧室の)圧力より高い。一方、非定常運転時には、可動スクロールの背面側であって、第2シール部材の内側に第2内側背圧室が、第2シール部材の外側に第2外側背圧室が、それぞれ形成される。第2シール部材は、第2外側背圧室から第2内側背圧室への流体の流れのみをシールする。非定常運転時には、定常運転時とは逆に、外側の(第2外側背圧室の)圧力が、内側の(第2内側背圧室の)圧力より高い。
第2シール部材を備えることで、非定常運転時に第2シール部材の内側の空間(第2内側背圧室)と第2シール部材の外側の空間(第2外側背圧室)とが連通することが無く、両空間の圧力が均一化することがない。そのため、容易に定常運転に復帰できる。つまり、スクロール圧縮機を常に安定して運転することができる。
本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機の概略断面図(縦断面)である。 固定スクロールを下方から見た概略平面図である。 第1シールリングの概略斜視図である。 第2シールリングの概略斜視図である。 図1のスクロール圧縮機のA部分の拡大図である。ここでは、定常運転時の第1および第2シールリングの状態を示している。第1および第2シールリングが、それぞれ、図3のB断面、図4のC断面で切断された状態を示している。 図1のスクロール圧縮機のA部分の拡大図である。ここでは、非定常運転時の第1および第2シールリングの状態を示している。第1および第2シールリングが、それぞれ、図3のB断面、図4のC断面で切断された状態を示している。 シールリングが流体の流れを一方向にしかシールできない理由を説明するための第1説明図である。第1シールリングが、図3のB断面で切断された状態を示している。第1シールリングの内側の圧力が、第1シールリングの外側の圧力よりも大きい場合を示している。 シールリングが流体の流れを一方向にしかシールできない理由を説明するための第2説明図である。図7のVIII方向から第1シールリングの第1凸部付近を見た図である。 シールリングが流体の流れを一方向にしかシールできない理由を説明するための第3説明図である。第1シールリングが、図3のB断面で切断された状態を示している。第1シールリングの外側の圧力が、第1シールリングの内側の圧力よりも大きい場合を示している。 シールリングが流体の流れを一方向にしかシールできない理由を説明するための第4説明図である。図9のX方向から第1シールリングの第1凸部付近を見た図である。 固定スクロールに形成された連通部と、可動スクロールに形成された中間穴とが連通する動作を説明する図である。 変形例Cに係るスクロール圧縮機の図1のA部分の拡大図である。ここでは、非定常運転時の第1および第3シールリングの状態を示している。 変形例Fに係るスクロール圧縮機の図1のA部分の拡大図である。ここでは、定常運転時の第1および第2シールリングの状態を示している。
本発明のスクロール圧縮機の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、下記の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(1)全体概要
図1に示されるスクロール圧縮機10は、蒸発器、凝縮器、および膨張機構などと共に冷媒回路を構成し、その冷媒回路中の冷媒を圧縮する役割を担うものである。
スクロール圧縮機10は、図1、図5および図6に示すように、主に、ケーシング20、スクロール圧縮機構30、第1および第2シールリング100,110、駆動モータ50、クランク軸60、下部軸受部70を有する。以下、このスクロール圧縮機10の構成部品について詳述する。
なお、以下の説明では、図1の矢印Uの方向を上、矢印Uと逆方向を下と呼ぶ。
(2)詳細説明
(2−1)ケーシング
スクロール圧縮機10は、縦長円筒状のケーシング20を有する。ケーシング20は、上下が開口した略円筒状の円筒部材21と、円筒部材21の上端および下端にそれぞれ設けられた上蓋22aおよび下蓋22bとを有する。円筒部材21と、上蓋22aおよび下蓋22bとは、気密を保つように溶接により固定される。
ケーシング20には、スクロール圧縮機構30、第1および第2シールリング100,110、駆動モータ50、クランク軸60および下部軸受部70を含むスクロール圧縮機10の構成機器および構成部品が収容される。また、ケーシング20の下部には、油溜まり空間26が形成される。油溜まり空間26には、スクロール圧縮機構30等を潤滑するための油Lが溜められる。
ケーシング20の上部には、スクロール圧縮機構30が圧縮するガス冷媒を吸入する吸入管23が、上蓋22aを貫通して設けられる。吸入管23の下端は、後述するスクロール圧縮機構30の固定スクロール31に接続される。吸入管23は、後述するスクロール圧縮機構30の圧縮室35と連通する。
ケーシング20の円筒部材21の中間部には、ケーシング20から吐出される冷媒が通過する吐出管24が設けられる。より具体的には、吐出管24は、吐出管24のケーシング20内の端部が、後述するスクロール圧縮機構30のハウジング33の下方に形成される高圧空間Shに突き出すように配置される。
(2−2)スクロール圧縮機構
スクロール圧縮機構30は、図1に示されるように、主に、ハウジング33と、ハウジング33の上方に密着して配置される固定スクロール31と、固定スクロール31と組み合わされて圧縮室35を形成する可動スクロール32と、を有する。
定常運転時には、図5のように、可動スクロール32の背面側(図1では下側)において、可動スクロール32の中心側に位置する第1内側背圧室Sbi1が形成される。また、可動スクロール32の背面側において、第1内側背圧室Sbi1に対し可動スクロール32の周縁側に位置する第1外側背圧室Sbo1が形成される。第1外側背圧室Sbo1は、後述する第1シールリング100により、第1内側背圧室Sbi1とシールされる。
一方、非定常運転時には、図6のように、可動スクロール32の背面側において、可動スクロール32の中心側に位置する第2内側背圧室Sbi2が形成される。また、可動スクロール32の背面側において、第2内側背圧室Sbi2に対し可動スクロール32の周縁側に位置する第2外側背圧室Sbo2が形成される。第2外側背圧室Sbo2は、後述する第2シールリング110により、第2内側背圧室Sbi2とシールされる。
なお、定常運転時とは、スクロール圧縮機10が、可動スクロール32の背面の中心側の圧力が、可動スクロール32の背面の周縁側の圧力よりも高い状態で運転されている時をいう。スクロール圧縮機10は、通常は、定常運転されている。
一方、非定常運転時は、定常運転時ではないことを意味し、可動スクロール32の背面の周縁側の圧力が、中心側の圧力よりも高い状態でスクロール圧縮機10が運転されている時をいう。つまり、非定常運転時とは、可動スクロール32の背面側の圧力関係が、定常運転時と逆転した状態で運転されている時をいう。非定常運転は、スクロール圧縮機10の起動時や、吐出圧力と吸入圧力の差圧が少ない低差圧運転等の運転条件において起こりうる。
(2−2−1)固定スクロール
固定スクロール31は、図1および図2に示されるように、平板状の固定側鏡板31aと、固定側鏡板31aの前面31aa(図1における下面)から突出する渦巻状の固定側ラップ31bと、固定側ラップ31bを囲む外縁部31cとを有する。
固定側鏡板31aの略中央には、後述する圧縮室35に連通する非円形形状の吐出口31eが、固定側鏡板31aを厚さ方向に貫通して形成される。圧縮室35で圧縮された冷媒は、吐出口31eから吐出され、固定スクロール31に形成された冷媒通路31fおよび後述するハウジング33に形成された冷媒通路33dを通過して、高圧空間Shへ流入する。
外縁部31cは、後述する可動スクロール32の可動側鏡板32aの前面32aaと対向する下面31caを有する。後述するように、可動スクロール32は、定常運転時には、第1内側背圧室Sbi1および第1外側背圧室Sbo1で生じる力により、非定常運転時には、第2内側背圧室Sbi2および第2外側背圧室Sbo2で生じる力により、固定スクロール31に押し付けられる。そのため、外縁部31cの下面31caと可動側鏡板32aの前面32aaとは密着する。その結果、可動側鏡板32aの前面32aaの、外縁部31cの下面31caと対向する位置に形成された後述する貫通穴32acは、下面31caにより塞がれた状態になる。
ただし、図1および図2のように、外縁部31cの下面31caには、貫通穴32acと連通可能なJ字状の溝が連通部31cbとして形成されている。後述するように、可動スクロール32が固定スクロール31に対して公転すると、定常運転時には、第1外側背圧室Sbo1と、圧縮途中の吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力の圧縮室35とが、貫通穴32acおよび連通部31cbを介して間欠的に連通される。非定常運転時には、第2外側背圧室Sbo2と、圧縮途中の吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力の圧縮室35とが、貫通穴32acおよび連通部31cbを介して間欠的に連通される。図2のように、連通部31cbは、固定側ラップ31bの最も外側の端部から約1周分内側に形成されている。なお、連通部31cbの形状は、J字状の溝である必要はなく、主に第1外側背圧室Sbo1と圧縮途中の圧縮室35とを所定のタイミングで連通するのに適した形状であれば良い。例えば、連通部31cbは、L字状の溝でもよい。
(2−2−2)可動スクロール
可動スクロール32は、図1に示されるように、平板状の可動側鏡板32aと、可動側鏡板32aの前面32aa(図1における上面)から突出する渦巻状の可動側ラップ32bと、可動側鏡板32aの背面32ab(図1における下面)から突出し、円筒状に形成されたボス部32cとを有する。
固定スクロール31の固定側ラップ31bと、可動スクロール32の可動側ラップ32bとは、固定側鏡板31aの前面31aaと可動側鏡板32aの前面32aaとが対向するように組み合わされ、固定スクロール31と可動スクロール32との間に圧縮室35が形成される。後述するように、可動スクロール32は、定常運転時には、第1内側背圧室Sbi1および第1外側背圧室Sbo1で生じる力により、非定常運転時には、第2内側背圧室Sbi2および第2外側背圧室Sbo2で生じる力により、固定スクロール31に対して押し付けられる。そして、固定側ラップ31bの可動スクロール32側の端面と、可動側鏡板32aの前面32aaとは密着する。同様に、可動側ラップ32bの固定スクロール31側の端面と、固定側鏡板31aの前面31aaとは密着する。その結果、圧縮室35の気密性が保たれる。
ボス部32cは、上端の塞がれた円筒状部分である。ボス部32cには後述するクランク軸60の偏心部61が挿入され、ボス部32cと偏心部61とが連結される。ボス部32cは、後述するハウジング33の円筒状の壁部33bの中空部に配置される。
可動スクロール32は、図示しないオルダム継手を介してハウジング33に支持される。オルダム継手は、可動スクロール32の自転を防止し、公転をさせる部材である。オルダム継手を用いることで、ボス部32cに偏心部61が連結されたクランク軸60が回転すると、可動スクロール32は固定スクロール31に対して自転することなく公転し、圧縮室35内の冷媒を圧縮する。より具体的には、圧縮室35は、可動スクロール32の公転により固定側鏡板31aおよび可動側鏡板32aの中心方向に移動するに連れ容積が減少し、それと共に圧縮室35内の圧力が上昇する。
可動スクロール32の可動側鏡板32aには、固定スクロール31の外縁部31cの下面31caと対向する位置に、貫通穴32acが可動側鏡板32aを厚さ方向に貫通して形成されている。貫通穴32acは、連通部31cbと第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2との間を、間欠的に連通することが可能な穴である。貫通穴32acは、可動スクロール32が固定スクロール31に対して公転すると、間欠的に連通部31cbと連通するように配置される。貫通穴32acと、連通部31cbとの連通については後述する。
(2−2−3)ハウジング
ハウジング33は、可動スクロール32の可動側鏡板32aと対向して配置される。ハウジング33は、円筒部材21に圧入され、その外周面において周方向の全体に亘って固定されている。また、ハウジング33と固定スクロール31とは、ハウジング33の上端面が固定スクロール31の外縁部31cの下面31caと密着するように、図示しないボルト等により固定されている。
ハウジング33には、上面中央部に配置される円筒状の壁部33bと、壁部33bの下方に配置される軸受部33cと、を有する。ハウジング33は、可動側鏡板32aの背面32abと壁部33bにおいて対向する。
可動側鏡板32aの背面32abと対向する、壁部33bの上面33baには、図5および図6のように、第1および第2シールリング溝37,38が形成される。第1および第2シールリング溝37,38は、平面視において円環状の溝であり、同心円状に形成されている。第1および第2シールリング溝37,38は、ハウジング側凹部の一例である。第1シールリング溝37は、第2シールリング溝38よりも内側に位置する。第1シールリング溝37には後述する第1シールリング100が、第2シールリング溝38には後述する第2シールリング110が嵌められる。
軸受部33cには、クランク軸60の主軸62が挿入され、主軸62を回転自在に支持する。
ハウジング33には、高圧空間Shと連通する冷媒通路33dが形成されている。冷媒通路33dは、圧縮室35と連通する、固定スクロール31に形成された冷媒通路31fとも連通している。つまり、冷媒通路31fおよび冷媒通路33dを介して、圧縮室35と高圧空間Shとは連通している。
(2−2−4)内側背圧室
第1内側背圧室Sbi1は、定常運転時に、可動側鏡板32aの背面32ab側の中央部に形成される。具体的には、第1内側背圧室Sbi1は、後述する第1シールリング100の内側に形成される。第1内側背圧室Sbi1は、図5のように、壁部33bと、可動側鏡板32aと、第1シールリング100とにより、第1外側背圧室Sbo1と隔てられる。第1内側背圧室Sbi1から第1外側背圧室Sbo1への流体の流れ(内側から外側への流体の流れ)は、第1シールリング100によりシールされる。
第2内側背圧室Sbi2は、非定常運転時に、可動側鏡板32aの背面32ab側の中央部に形成される。具体的には、第2内側背圧室Sbi2は、後述する第2シールリング110の内側に形成される。第2内側背圧室Sbi2は、図6のように、壁部33bと、可動側鏡板32aと、第2シールリング110とにより、第2外側背圧室Sbo2と隔てられる。第2外側背圧室Sbo2から第2内側背圧室Sbi2への流体の流れ(外側から内側への流体の流れ)は、第2シールリング110によりシールされる。
第1および第2内側背圧室Sbi1,Sbi2は、後述するクランク軸60の給油経路63等を介して高圧空間Shと連通している。定常運転時には、第1内側背圧室Sbi1の圧力は、第1外側背圧室Sbo1の圧力よりも大きくなる。非定常運転時には、第2内側背圧室Sbi2の圧力は、第2外側背圧室Sbo2の圧力よりも小さくなる。
定常運転時および非定常運転時には、それぞれ第1および第2内側背圧室Sbi1,Sbi2内の圧力により、第1および第2内側背圧室Sbi1,Sbi2内の可動側鏡板32aの背面32abには、可動スクロール32を固定スクロール31に向かって上方に押す力が生じる。
(2−2−5)外側背圧室
第1外側背圧室Sbo1は、定常運転時に、可動側鏡板32aの背面32ab側であって、可動側鏡板32aの中央部に形成された第1内側背圧室Sbi1よりも周縁側に形成される。より具体的には、第1外側背圧室Sbo1は、後述する第1シールリング100の外側に形成され、図5のように、壁部33bと、可動側鏡板32aと、第1シールリング100とにより、第1内側背圧室Sbi1と隔てられる。
第2外側背圧室Sbo2は、非定常運転時に、可動側鏡板32aの背面32ab側であって、可動側鏡板32aの中央部に形成された第2内側背圧室Sbi2よりも周縁側に形成される。より具体的には、第2外側背圧室Sbo2は、後述する第2シールリング110の外側に形成され、図6のように、壁部33bと、可動側鏡板32aと、第2シールリング110とにより、第2内側背圧室Sbi2と隔てられる。
第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2は、前述のように圧縮途中の圧縮室35と間欠的に連通される。その結果、外側背圧室Sboの圧力は、連通される圧縮途中の圧縮室35の圧力とほぼ等しくなる。よって、定常運転時には、高圧の高圧空間Shと連通している第1内側背圧室Sbi1の圧力は、第1外側背圧室Sbo1の圧力より大きくなる。非定常運転時、つまり圧力逆転時には、第2内側背圧室Sbi2の圧力は、第2外側背圧室Sbo2の圧力よりも小さくなる。非定常運転は、スクロール圧縮機10の起動時や、吐出圧力と吸入圧力の差圧が少ない低差圧運転等の運転条件において起こる場合がある。
定常運転時および非定常運転時には、それぞれ第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2内の圧力により、第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2内の可動側鏡板32aの背面32abには、可動スクロール32を固定スクロール31に向かって上方に押す力が生じる。
(2−3)シールリング
第1シールリング100および第2シールリング110は、流体の流れをシールする環状のシール部材の一例である。
第1シールリング100は、スクロール圧縮機10の定常運転時にシールとして機能し、図5のように、第1内側背圧室Sbi1と第1外側背圧室Sbo1との流体の流れをシールする。一方、第2シールリングは、非定常運転時にシールとして機能し、図6のように、第2外側背圧室Sbo2と第2内側背圧室Sbi2との流体の流れをシールする。
第1シールリング100および第2シールリング110は、ハウジング33の壁部33bと、可動側鏡板32aの背面32abとの間に配される。より具体的には、第1シールリング100および第2シールリング110は、壁部33bの可動側鏡板32aの背面32abと対向する上面33baに形成された、第1シールリング溝37および第2シールリング溝38にそれぞれ嵌められる。
第1シールリング100は、図3のように、第1シールリング100の外周側上方に形成された第1凸部101と、第1本体部102と、第1凹部103とを有する。第1凸部101と第1凹部103とは対応する形状をしており、第1凸部101と第1凹部103とを隙間なく合わせた状態では、第1シールリング100は正円に近い環状を示す。なお、本実施形態の第1シールリング100では、第1凸部101の断面形状は直角三角形であるが、これは一例であり、断面形状はこれに限定されるものではない。
第2シールリング110は、図4のように、第2シールリング110の内周側上方に形成された第2凸部111と、第2本体部112と、第2凹部113とを有する。第2凸部111と第2凹部113とは対応する形状をしており、第2凸部111と第2凹部113とを隙間なく合わせた状態では、第2シールリング110は正円に近い環状である。本実施形態の第2シールリング110は、第2凸部111の断面形状は直角三角形であるが、これは一例であり、断面形状はこれに限定されるものではない。
第2シールリング110は、第1シールリング100とは異なり、第2凸部111および第2凹部113が、シールリングの内側に形成されている。また、第1シールリング100と第2シールリング110とは径が異なり、第1シールリング100の内径よりも、第2シールリング110の内径が大きい。第2シールリング110は、第1シールリング100を囲むように外側に配される。言い換えれば、第1シールリング100は、第2シールリング110の内側に配される。
第1シールリング100と第2シールリング110とは、シール方向が異なる。第1シールリングは内側から外側への流体の流れのみをシールし、その逆方向の流れはシールできない。第2シールリングは外側から内側への流体の流れのみをシールし、その逆方向の流れはシールできない。そのため、常に、第1シールリング100又は第2シールリング110の一方しかシールリングとして機能しない。
ここで、シールリングが一方向にしか流体の流れをシールできない理由を、第1シールリング100を例に、図7から図10を用いて説明する。この説明では、本実施形態のスクロール圧縮機10とは異なり、図7および図9のように、壁部33bの上面33baに第1シールリング溝37だけが形成され、第1シールリング溝37に第1シールリング100が嵌められた事例を用いて説明する。その他の構造は、本実施形態のスクロール圧縮機10と同様とする。
第1シールリング100は、図7および図9のように、第1シールリング溝37内に配される。なお、第1シールリング100は、第1シールリング溝37内において、第1凸部101と第1凹部103とが完全に合わさった状態にあるのではなく、図3のように、円周方向にやや開いた状態で収容される。
まず、第1シールリング100の内側の圧力が外側の圧力よりも大きい場合について、第1シールリング100の状態を説明する。この場合には、内側の流体は圧力の小さな外側に向かって流れようとするので、第1シールリング100は、図7のように、第1シールリング溝37の外側の側面と、可動側鏡板32aの背面32abとに押し付けられる。このとき、外側から第1シールリング100見ると、図8のように、内側から外側への流体の流れは第1シールリング100によりシール(遮断)されている。より具体的には、内側から外側への流体の流れは、第1凸部101の側面101a、第1凹部103と第1凸部101とを合わせた時に第1凸部101に接触する第1凹部103の接触面103a、および第1本体部102の側面102aによってシールされている。その結果、第1シールリング100の内側と外側とは連通せず、内側が高圧状態に保たれる。
次に、第1シールリングの外側の方が内側よりも高圧の場合について説明する。この場合には、第1シールリングの外側の流体は、圧力の小さな内側に向かって流れようとするので、第1シールリング100がシールとして機能するとすれば、第1シールリング100は、図9のように、第1シールリング溝37の内側の側面と、可動側鏡板32aの背面32abとに押し付けられるはずである。しかし、図9の状態において、内側から第1シールリング100見ると、図10のように、内側の空間と外側の空間とは連通している。より具体的には、第1凸部101の内側には、流体をシールする第1シールリング100が存在しないので、この部分において内側の空間と外側の空間とは連通する。この結果、図9中の矢印Fのような経路で外側から内側に流体が流入してしまう。つまり、外側の圧力が内側の圧力よりも大きい場合、第1シールリング100はシールとして機能しない。
なお、第1シールリング100のみしか使用されない場合には、一旦、第1シールリング100の外側の圧力が内側の圧力よりも高い状態になると、第1シールリング100は機能しなくなり、第1シールリング100の内側も外側も同じ圧力となってしまう。第1シールリング100は、上記のように、第1シールリング100の内側の圧力が、外側の圧力よりも高くならないとシールとして機能しないため、第1シールリング100がいつまでもシールとして機能しない可能性がある。
第2シールリング110は、上記と同様の理由により、第1シールリング100と逆の方向にのみシール機能を有する。つまり、第2シールリング110は、第2シールリング110の外側の圧力が内側の圧力よりも大きい場合にはシールとして機能するが、その逆の場合にはシールとして機能しない。つまり、第2シールリング110は、外側から内側への流体の流れについてはシールするが、内側から外側への流体の流れについてはシールしない。
(2−4)駆動モータ
駆動モータ50は、円筒部材21の内壁面に固定された環状のステータ51と、ステータ51の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)を空けて回転自在に収容されたロータ52とを有する。
ロータ52は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置されたクランク軸60を介して可動スクロール32と連結される。ロータ52が回転することで、可動スクロール32は、固定スクロール31に対して公転する。
(2−5)クランク軸
クランク軸60は、駆動モータ50の駆動力を可動スクロール32に伝達する。クランク軸60は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置され、駆動モータ50のロータ52と、スクロール圧縮機構30の可動スクロール32とを連結する。
クランク軸60は、円筒部材21の軸心と中心軸が一致する主軸62と、円筒部材21の軸心に対して偏心した偏心部61とを有する。
偏心部61は、前述のように可動スクロール32のボス部32cに連結される。
主軸62は、ハウジング33の軸受部33cおよび後述する下部軸受部70により、回転自在に支持される。また、主軸62は、軸受部33cと下部軸受部70との間で、駆動モータ50のロータ52と連結される。
クランク軸60の内部には、スクロール圧縮機構30等に潤滑油を供給するための給油経路63が形成されている。主軸62の下端には、給油ポンプ64が設けられている。給油ポンプ64の下端は、ケーシング20の下部に形成された油溜まり空間26に位置する。油溜まり空間26の油Lは、給油経路63を通じてスクロール圧縮機構30等に供給される。
(2−6)下部軸受部
下部軸受部70は、駆動モータ50の下方に配置される。下部軸受部70は、円筒部材21と固定されている。下部軸受部70は、クランク軸60の下端側の軸受を構成し、クランク軸60の主軸62を回転自在に支持する。
(3)スクロール圧縮機の動作説明
スクロール圧縮機10の動作について図1および図11を参照して説明する。
(3−1)スクロール圧縮機構による冷媒の圧縮動作
まず、スクロール圧縮機構30による冷媒の圧縮について説明する。
駆動モータ50が駆動されると、クランク軸60が回転し、可動スクロール32が公転する。そして、低圧のガス冷媒が、吸入管23を通ってケーシング20内に吸引される。より具体的には、低圧のガス冷媒が、吸入管23から圧縮室35に、圧縮室35の周縁側から吸引される。可動スクロール32が公転すると、圧縮室35の容積は減少する。一方で圧縮室35の圧力は上昇し、最終的に高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、固定側鏡板31aの中心付近に位置する吐出口31eから吐出される。その後、固定スクロール31に形成された冷媒通路31fおよびハウジング33に形成された冷媒通路33dを通過して、高圧空間Shへ流入する。高圧のガス冷媒は、最終的に吐出管24から吐出される。
(3−2)外側背圧室と圧縮途中の圧縮室との連通について
可動スクロール32が公転すると、可動側鏡板32aに形成された貫通穴32acは、固定スクロール31の連通部31cbに対して、図10のように円形の回転軌跡Rに沿って移動する。貫通穴32acと連通部31cbとが重なると、定常運転時および非定常運転時に、それぞれ第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2と圧縮室35とは連通し、第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2の圧力と圧縮室35の圧力とが等しくなろうとする。つまり、圧縮途中の圧縮室35と第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2とが連通することで、第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2に吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力が導入される。
(4)特徴
(4−1)
本実施形態のスクロール圧縮機10は、固定スクロール31と、可動スクロール32と、ハウジング33と、第1シールリング100と、第2シールリング110と、を備える。固定スクロール31と可動スクロール32との間に圧縮室35が形成される。可動スクロール32は、可動側鏡板32aを有する。ハウジング33は、可動側鏡板32aの背面32abと対向する。第1および第2シールリング100,110は、環状に形成され、内側から外側又は外側から内側への、いずれかの流体の流れのみをシールする。第1および第2シールリング100,110は、可動側鏡板32aの背面32abとハウジング33との間に配される。第2シールリング110は、第1シールリング100を囲むように外側に配される。定常運転時には、可動側鏡板32aの背面32ab側であって、第1シールリング100の内側に第1内側背圧室Sbi1が、第1シールリング100の外側に第1外側背圧室Sbo1が、形成される。定常運転時には、第1シールリング100は、第1内側背圧室Sbi1から第1外側背圧室Sbo1への流体の流れをシールする。非定常運転時には、可動側鏡板32aの背面32ab側であって、第2シールリング110の内側に第2内側背圧室Sbi2が、第2シールリングの外側に第2外側背圧室Sbo2が、形成される。非定常運転時には、第2シールリング110は、第2外側背圧室Sbo2から第2内側背圧室Sbi2への流体の流れをシールする。
ここでは、第2シールリング110を備えることで、非定常運転時に第2シールリング110の内側の第2内側背圧室Sbi2と、第2シールリングの外側の第2外側背圧室Sbo2とが連通することが無く、両空間の圧力が均一化することがない。そのため、容易に定常運転に復帰できる。つまり、スクロール圧縮機10を常に安定して運転することができる。
(4−2)
さらに、本実施形態のスクロール圧縮機10では、第1シールリング100は、第2シールリング110の内側に配される。
内側から外側への流体の流れを防止する第1シールリング100を第2シールリング110よりも内側に配置することで、第1シールリング100を第2シールリング110よりも外側に配置した場合に比べ、高圧の第1内側背圧室Sbi1の面積を小さくすることができる。その結果、定常運転時に、可動スクロール32を固定スクロール31に押し付ける力が不要に大きくなりすぎることを防止できる。
以上のように、第1シールリング100は、第2シールリング110よりも内側に配される(第2シールリング110は、第1シールリング100を囲むように、第1シールリング100の外側に配される)ことが望ましいが、これに限定されるものではなく、第2シールリング110が、第1シールリング100の内側に配されるものであってもよい。言い換えれば、第1シールリング100は、第2シールリング110を囲むように、第2シールリング110の外側に配されてもよい。
(4−3)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、第1外側背圧室Sbo1と圧縮途中の圧縮室35とが連通する。
ここでは、第1外側背圧室Sbo1と圧縮途中の圧縮室35とが連通するため、条件によってスクロール圧縮機10が、非定常運転状態で運転される可能性がある。しかし、第1シールリング100とは逆方向への流体の流れをシールする第2シールリング110を備えるため、容易に非定常運転から定常運転に復帰することができ、常にスクロール圧縮機10を安定して運転できる。
(4−4)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、ハウジング33は、可動側鏡板32aの背面32abと対向する壁部33bの上面33baを有する。上面33baには、第1および第2シールリング100,110の嵌まる第1および第2シールリング溝37,38が、ハウジング側凹部として形成される。
ここでは、第1および第2シールリング溝37,38に収容された第1および第2シールリング100,110により、内側から外側、および、外側から内側への流体の流れがそれぞれシールされる。その結果、スクロール圧縮機10が安定して運転される。
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(5−1)変形例A
上記実施形態のスクロール圧縮機10は、縦型のスクロール圧縮機10であるがこれに限定されるものではなく、横型のスクロール圧縮機であってもよい。
(5−2)変形例B
上記実施形態のスクロール圧縮機10では、定常運転時に、第1内側背圧室Sbi1および第1外側背圧室Sbo1の2つが形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、3つ以上の圧力が異なる背圧室が形成されてもよい。この場合にも、背圧室の間にシール方向が逆の2本のシールリングを設けることで、背圧室の気密性を維持できる。その結果、可動スクロールを固定スクロールに常に密着させ、スクロール圧縮機10を安定して運転できる。
(5−3)変形例C
上記実施形態のスクロール圧縮機10では、壁部33bの上面33baに第1および第2シールリング溝37,38が形成されるが、これに限定されるものではない。いずれか一方、又は、両方のシールリング溝を、壁部33bの上面33baと対向する、可動側鏡板32aの背面32abに形成してもよい。
第3シールリング溝39を、壁部33bの上面33baに対向する、可動スクロール32の可動側鏡板32aの背面32abに形成した例を図12に示す。第3シールリング溝39に収容される第3シールリング130は、非定常運転時に、図12のように、第3シールリング溝39の内側の側面と、ハウジング33の壁部33bの上面33baとに押し付けられる。第3シールリング130の第3凸部131および第3凹部133は内側下方に配置される。
(5−4)変形例D
上記実施形態のスクロール圧縮機10では、円環状の第1および第2シールリング100,110がシール部材として使用されるが、これに限定されるものではない。
例えば、一方向(内側から外側、又は、外側から内側)のみ流体の流れをシールする、楕円環状、矩形環状等のシール部材が使用されるものであってもよい。また、第1および第2シールリング溝37,38の形状も、円環状である必要はなく、シール部材に対応した形状であればよい。
(5−5)変形例E
上記実施形態のスクロール圧縮機10では、第1および第2シールリング溝37,38は同心円状に配され、第1および第2シールリング溝37,38に嵌められる第1および第2シールリング100,110も同心円状に配されるが、これに限定されるものではない。つまり、第1および第2シールリング溝37,38と、第1および第2シールリング100,110とは、同心状に配置されなくてもよい。
(5−6)変形例F
上記実施形態のスクロール圧縮機10では、第1および第2シールリング溝37,38に第1および第2シールリング100,110が直接嵌められているが、図13のように、第1および第2シールリング溝37,38の底面と、第1および第2シールリング100との間に金属製のスプリング105,115を設けることがさらに望ましい。
金属製のスプリング105,115を設けることで、第1又は第2シールリング100,110から、他方の第2又は第1シールリング110,100に使用されるシールリングが切り替わるときに、確実かつ迅速に切り替えが行われる。
(5−7)変形例G
上記実施形態のスクロール圧縮機10では、第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2は、圧縮途中の圧縮室35と間欠的に連通するが、これに限定されるものではなく、第1および第2外側背圧室Sbo1,Sbo2は圧縮途中の圧縮室35と常に連通するものであってもよい。
本発明は、可動スクロールの背面側に、圧力の異なる背圧室を複数設けたスクロール圧縮機において適用することが可能である。
10 スクロール圧縮機
31 固定スクロール
32 可動スクロール
32a 可動側鏡板
32ab 背面(可動側鏡板の背面)
33 ハウジング
33ba 上面(壁部の上面、第1面)
35 圧縮室
37 第1シールリング溝(ハウジング側凹部)
38 第2シールリング溝(ハウジング側凹部)
39 第3シールリング溝(可動スクロール側凹部)
100 第1シールリング(第1シール部材)
110 第2シールリング(第2シール部材)
Sbi1 第1内側背圧室
Sbi2 第2内側背圧室
Sbo1 第1外側背圧室
Sbo2 第2外側背圧室
特開2012−67712号公報

Claims (5)

  1. 固定スクロール(31)と、
    可動側鏡板(32a)を有する可動スクロール(32)と、
    前記可動側鏡板の背面(32ab)と対向するハウジング(33)と、
    環状に形成され、内側から外側又は外側から内側へのいずれかの流体の流れのみをシールし、前記可動側鏡板の前記背面と前記ハウジングとの間に配される、第1および第2シール部材(100,110)と、
    を備え、
    前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に圧縮室(35)が形成される
    スクロール圧縮機(10)であって、
    前記第2シール部材は、前記第1シール部材の内側に、又は、前記第1シール部材を囲むように外側に配され、
    定常運転時には、
    前記可動側鏡板の前記背面側であって、前記第1シール部材の内側に第1内側背圧室(Sbi1)が、前記第1シール部材の外側に第1外側背圧室(Sbo1)が、それぞれ形成され、
    前記第1シール部材は、前記第1内側背圧室から前記第1外側背圧室への流体の流れをシールし、
    非定常運転時には、
    前記可動側鏡板の前記背面側であって、前記第2シール部材の内側に第2内側背圧室(Sbi2)が、前記第2シール部材の外側に第2外側背圧室(Sbo2)が、それぞれ形成され、
    前記第2シール部材は、前記第2外側背圧室から前記第2内側背圧室への流体の流れをシールする、
    スクロール圧縮機。
  2. 前記第1シール部材は、前記第2シール部材の内側に配される、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記第1外側背圧室は、圧縮途中の前記圧縮室と連通する、
    請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記ハウジングは、前記可動側鏡板の前記背面と対向する第1面(33ba)を有し、
    前記第1面には、前記第1および第2シール部材の少なくとも一方が嵌まるハウジング側凹部(37,38)が形成される、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記可動側鏡板の前記背面に、前記第1および第2シール部材の少なくとも一方が嵌まる可動スクロール側凹部(39)が形成される、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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