JP2015105594A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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【課題】可動スクロールが転覆した場合でも、摺動部に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止する。【解決手段】固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との一方には、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との他方と摺接するスラスト摺動面(21c,22c)に開口して圧縮機構(20)の周方向に延びる給油溝(42,52)が形成されている。そして、潤滑油が通過可能な多数の微小通路が形成されると共に給油溝(42,52)に設けられ、給油溝(42,52)を、給油溝(42,52)の底面(42a,52a)側に位置して給油通路(40,50)に連通する第1給油空間(44,54)と、給油溝(42,52)の開口部(42b,52b)側に位置して微小通路を通過した潤滑油が流入する第2給油空間(45,55)とに仕切る絞り部材(43,53)を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に、可動スクロールが転覆した場合に潤滑不良を防止する構造に係るものである。
従来より、スクロール圧縮機において、可動スクロールと固定スクロールとの間の摺動部に潤滑油を供給することが知られている。例えば、特許文献1のスクロール圧縮機では、固定スクロールの摺動面に円弧状の給油溝が形成されており、この給油溝は溝用連通路を介してケーシング底部の貯留部に連通している。貯留部には高圧の潤滑油が貯留されている。高圧の潤滑油は、溝用連通路を通って給油溝に供給され、可動スクロールと固定スクロールとの間の摺動部を潤滑するために使用される。また、スクロール圧縮機は、可動スクロールの背面側の空間における背圧により、可動スクロールを固定スクロールに押し付けるように構成されている。
特開2012−215174号公報
一方、可動スクロールに作用する背圧が小さい場合等には、可動スクロールが固定スクロールに対して傾くいわゆる転覆が生じることがある。転覆は、可動スクロールと固定スクロールとの間に形成された圧縮室で圧縮された冷媒の内圧や、可動スクロールに連結された駆動軸から可動スクロールに作用する力等によって生じる。転覆が生じると、可動スクロールと固定スクロールとの間に隙間ができ、上記給油溝に供給された高圧の潤滑油がその隙間から漏れ出してしまう。
ここで、上記溝用連通路は、円弧状の給油溝に対して一箇所のみで繋がっており、給油溝にはその一箇所から高圧の潤滑油が流入するようになっている。転覆が生じていない場合、固定スクロールと可動スクロールとの間にはほとんど隙間がないので、給油溝に流入した潤滑油は給油溝全体に行き渡る。一方、転覆が生じた場合、固定スクロールと可動スクロールとの間に比較的大きな隙間ができるので、潤滑油は、給油溝に流入してすぐにその隙間を通って周囲の空間に漏れ出す。つまり、転覆が生じると、給油溝全体に潤滑油が行き渡らなくなる。これにより、固定スクロールと可動スクロールとの間の摺動部において潤滑不良が起こり、両スクロールが損傷するおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動スクロールが転覆した場合でも、摺動部に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することにある。
第1の発明は、固定スクロール(21)および可動スクロール(22)を有する圧縮機構(20)と、上記可動スクロール(22)に係合する駆動軸(32)とを備え、上記圧縮機構(20)は、上記可動スクロール(22)が上記固定スクロール(21)に押し付けられながら公転運動を行うように構成されているスクロール圧縮機(1)を対象とする。
そして、第1の発明は、上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との一方には、該固定スクロール(21)と該可動スクロール(22)との他方と摺接するスラスト摺動面(21c,22c)に開口して上記圧縮機構(20)の周方向に延びる給油溝(42,52)と、該給油溝(42,52)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40,50)とが形成され、潤滑油が通過可能な多数の微小通路が形成されると共に上記給油溝(42,52)に設けられ、該給油溝(42,52)を、該給油溝(42,52)の底面(42a,52a)側に位置して上記給油通路(40,50)に連通する第1給油空間(44,54)と、該給油溝(42,52)の開口部(42b,52b)側に位置して上記微小通路を通過した潤滑油が流入する第2給油空間(45,55)とに仕切る絞り部材(43,53)を備えていることを特徴とする。
第1の発明では、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との一方に給油通路(40,50)と給油溝(42,52)とが形成されると共に、この給油溝(42,52)に潤滑油が通過可能な多数の微小通路が形成された絞り部材(43,53)が設けられている。給油溝(42,52)は、絞り部材(43,53)により、底面(42a,52a)側の第1給油空間(44,54)と開口部(42b,52b)側の第2給油空間(45,55)とに仕切られている。
スクロール圧縮機(1)の作動において、可動スクロール(22)は固定スクロール(21)に押し付けられながら公転運動を行う。可動スクロール(22)のスラスト摺動面(22c)と固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c)との間にほとんど隙間がない場合、給油通路(40,50)を流れてきた高圧の潤滑油は給油溝(42,52)の全体に行き渡る。つまり、可動スクロール(22)が転覆していない場合、第1給油空間(44,54)および第2給油空間(45,55)が高圧の潤滑油で満たされる。これにより、可動スクロール(22)には固定スクロール(21)から離れようとする力(離反力)が加わり、両スクロール(21,22)のスラスト摺動面(21c,22c)同士が適度な力で押し付けられながら摺接するようになっている。
一方、可動スクロール(22)が転覆した場合、可動スクロール(22)のスラスト摺動面(22c)と固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c)との間に比較的大きな隙間が生じて、この隙間から第2給油空間(45,55)内の潤滑油が漏れ出す。これにより、第2給油空間(45,55)内の圧力は低下し、第1給油空間(44,54)内と第2給油空間(45,55)内との間に圧力差が生じる。このとき、給油通路(40.50)と連通する第1給油空間(44,54)は、全体に高圧の潤滑油が行き渡った状態に保持される。第1給油空間(44,54)の全体に行き渡った潤滑油は、絞り部材(43,53)の全長に亘って微小通路を通過して第2給油空間(45,55)に流入する。このように、潤滑油は、可動スクロール(22)が転覆した場合でも、給油溝(42,52)のうち給油通路(40.50)と繋がる部分のみではなく、絞り部材(43,53)が設けられた範囲の全体からスラスト摺動面(21c,22c)に供給される。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記絞り部材(43,53)は、上記給油溝(42,52)の全長に亘って設けられていることを特徴とする。
第2の発明では、可動スクロール(22)が転覆した場合でも、潤滑油が給油溝(42,52)の全体からスラスト摺動面(21c,22c)に供給される。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記給油溝(42,52)は、上記圧縮機構(20)の周方向に複数並べて形成され、複数の上記給油溝(42,52)のそれぞれに、上記絞り部材(43,53)が設けられていることを特徴とする。
第3の発明では、可動スクロール(22)が転覆した場合、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れた部分の近くにある給油溝(42,52)から多くの潤滑油が漏れ出す。一方、それ以外の給油溝(42,52)からは潤滑油はあまり漏れ出さない。つまり、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れた部分に近い給油溝(42,52)内の圧力(可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から離そうとする離反力として働く)は低下する一方、それ以外の給油溝(42,52)内はほぼ高圧状態に保たれる。このように、特に可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れた部分において、離反力が、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける力に比べて相対的に小さくなる。従って、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に戻りやすい。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記絞り部材(43,53)は、該絞り部材(43,53)の前面(43a,53a)が、上記給油溝(42,52)の形成されていない上記固定スクロール(21)または上記可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)と摺接するように配置され、上記絞り部材(43,53)の前面(43a,53a)には、該絞り部材(43,53)の長さ方向に延びる凹溝(43b,53b)が形成され、上記絞り部材(43,53)の凹溝(43b,53b)が、上記第2給油空間(45,55)を構成していることを特徴とする。
第4の発明では、絞り部材(43,53)の前面(43a,53a)が、給油溝(42,52)の形成されていない固定スクロール(21)または可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)と摺接する。また、絞り部材(43,53)の前面(43a,53a)に形成された凹溝(43b,53b)が、第2給油空間(45,55)を構成しており、この凹溝(43b,53b)内に絞り部材(43,53)の微小通路を通過した潤滑油が流入する。
第5の発明は、上記第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、上記絞り部材(43,53)は、多孔質体で構成されていることを特徴とする。
第5の発明では、絞り部材(43,53)は、多孔質体で構成されている。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記多孔質体は、金属焼結体であることを特徴とする。
第6の発明では、絞り部材(43,53)は、金属焼結体で構成されている。
第7の発明は、上記第5の発明において、上記多孔質体は、セラミックスであることを特徴とする。
第7の発明では、絞り部材(43,53)は、セラミックスで構成されている。
本発明によれば、可動スクロール(22)が転覆した場合に、給油溝(42,52)のうち給油通路(40,50)と繋がる部分のみではなく、絞り部材(43,53)が設けられた範囲の全体からスラスト摺動面(21c,22c)に潤滑油が供給される。従って、可動スクロール(22)が転覆した場合でも、スラスト摺動面(21c,22c)に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することができる。また、絞り部材(43,53)には可動部分が無いので、スクロール圧縮機(1)の信頼性を向上させることができる。
また、上記第2の発明によれば、可動スクロール(22)が転覆した場合でも、潤滑油が給油溝(42,52)の全体からスラスト摺動面(21c,22c)に供給されるので、より確実に潤滑不良を防止することができる。
また、上記第3の発明によれば、特に転覆によって可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れた部分において、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける力に比べて離反力が相対的に小さくなる。従って、可動スクロール(22)を転覆状態から元の状態に速やかに戻すことができる。
図1は、本発明の実施形態1に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図2は、図1のスクロール圧縮機のうち圧縮機構を拡大して示す拡大断面図である。 図3は、実施形態1の給油溝とその周辺を拡大して示す拡大図である。 図4は、実施形態1の固定スクロールを下方から見た場合の図である。 図5は、実施形態2の給油溝とその周辺を拡大して示す拡大図である。 図6は、実施形態2の固定スクロールを下方から見た場合の図である。 図7は、実施形態3の給油溝とその周辺を拡大して示す拡大図である。 図8は、実施形態3の固定スクロールを下方から見た場合の図である。 図9は、本発明の実施形態4に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図10は、実施形態4の給油溝とその周辺を拡大して示す拡大図である。 図11は、実施形態4の可動スクロールを上方から見た場合の図である。 図12は、実施形態4の変形例1の給油溝とその周辺を拡大して示す拡大図である。 図13は、実施形態4の変形例2の給油溝とその周辺を拡大して示す拡大図である。 図14は、その他の実施形態の第1変形例の可動スクロールを上方から見た場合の図である。 図15は、その他の実施形態の第2変形例の固定スクロールを下方から見た場合の図である。 図16は、その他の実施形態の第2変形例の可動スクロールを上方から見た場合の図である。 図17は、その他の実施形態の第3変形例の固定スクロールを下方から見た場合の図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係るスクロール圧縮機(1)は、例えば、空気調和装置の蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられ、冷媒を圧縮するものである。
図1に示すように、スクロール圧縮機(1)は、ケーシング(10)を備えている。このケーシング(10)内には、冷媒を圧縮する圧縮機構(20)と、この圧縮機構(20)を駆動する電動機(31)とが収納されている。この電動機(31)は、圧縮機構(20)の下方に配置され、駆動軸(32)を介して圧縮機構(20)に連結されている。
ケーシング(10)は、上下方向に延びる円筒状部材の両端を塞いだものである。これにより、ケーシング(10)は密閉ドーム型の圧力容器を構成している。
圧縮機構(20)は、固定スクロール(21)と、この固定スクロール(21)に噛み合う可動スクロール(22)とを備えると共に、固定スクロール(21)との間に可動スクロール(22)を配置するための空間を形成するハウジング(23)を備えている。
ハウジング(23)は、その全周に亘ってケーシング(10)の上部内面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング(10)内は、ハウジング(23)上方の低圧空間(S1,S3)と、ハウジング(23)下方の高圧空間(S2)とに区画されている。すなわち、本実施形態のスクロール圧縮機(1)は、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とを備えた、いわゆる高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
ハウジング(23)は、ハウジング凹部(24)と軸受部(25)とを備えている。ハウジング凹部(24)は、ハウジング(23)の上面に上面視で概ねリング状に設けられた第1凹陥部(24a)と、この第1凹陥部(24a)の内側に設けられた第2凹陥部(24b)とにより構成されている。一方、軸受部(25)は、ハウジング(23)中央部の下面側が下方に向かって膨出するように形成されたものである。図2にも示すように、この軸受部(25)には、貫通孔(25a)が形成されていて、この貫通孔(25a)の内周面に設けられた軸受(25b)によって駆動軸(32)を回転可能に支持するように構成されている。
固定スクロール(21)は、概ね円板状の鏡板(21a)と、この鏡板(21a)の下面に立設された渦巻き状の固定側ラップ(21b)とを備えている。
一方、可動スクロール(22)は、概ね円板状の鏡板(22a)と、この鏡板(22a)の上面に立設された渦巻き状の可動側ラップ(22b)とを備えている。鏡板(22a)の下面には、下方に延設された概ね円筒状のボス(22e)が形成されている。可動側ラップ(22b)は、固定スクロール(21)の固定側ラップ(21b)に噛み合うように構成されている。ボス(22e)には、駆動軸(32)の上端部に形成された偏心部(32a)が滑り軸受(22d)を介して挿入され、これにより、可動スクロール(22)と駆動軸(32)とが連結されている。つまり、駆動軸(32)は可動スクロール(22)に係合している。
可動スクロール(22)の鏡板(22a)は、ハウジング(23)の第2凹陥部(24b)の上方を覆いつつ、その外周端部が第1凹陥部(24a)内に位置している。一方、ボス(22e)は、第2凹陥部(24b)内に位置している。なお、ハウジング(23)の第1凹陥部(24a)と第2凹陥部(24b)との間には、この第2凹陥部(24b)の外周を囲むように上面視でリング状の溝(23a)が形成されており、この溝(23a)内には、シールリング(27)が配設されている。
可動スクロール(22)の鏡板(22a)と第1凹陥部(24a)の底面との間には、可動スクロール(22)の自転を阻止するためのオルダム継手(26)が配設されている。
図1に示すように、ケーシング(10)は、冷媒回路の冷媒を圧縮機構(20)に導くための吸入管(14)と、ケーシング(10)内の冷媒をケーシング(10)外に吐出するための吐出管(15)とを備えている。吸入管(14)は、低圧空間(S1)に連通し、吐出管(15)は、高圧空間(S2)に連通するように設けられている。このように、吸入管(14)を低圧空間(S1)に連通させることで、吸入管(14)から吸入された冷媒は、一旦、低圧空間(S1)内に入り、その後、圧縮機構(20)へ流れることになる。
図4にも示すように、圧縮機構(20)において、固定スクロール(21)の外縁部には吸入ポート(Pi)が、固定スクロール(21)の中央部には吐出ポート(Po)が、それぞれ形成されている。そして、固定スクロール(21)の固定側ラップ(21b)と可動スクロール(22)の可動側ラップ(22b)との接触部同士の間隙には、圧縮室(C)が区画形成されている。ここで、特に図示しないが、吸入ポート(Pi)は、圧縮室(C)の外周端から低圧空間(S1)に連通している。一方、吐出ポート(Po)は、圧縮室(C)の内周端から吐出凹部(28)および連通路(図示せず)を介して高圧空間(S2)に連通している。
圧縮機構(20)では、可動スクロール(22)の公転運動により、低圧空間(S1)の冷媒が吸入ポート(Pi)を通じて圧縮室(C)内に吸入され、この圧縮室(C)内で圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出ポート(Po)から吐出され、吐出凹部(28)および連通路(図示せず)を通じて高圧空間(S2)へ流れる。このように、圧縮室(C)では、吸入された冷媒が圧縮されるため、圧縮室(C)を構成する固定スクロール(21)および可動スクロール(22)には、圧縮室(C)の内圧が作用して、互いに離反するような力(離反力)が加わることになる。
電動機(31)は、高圧空間(S2)内に配設されている。この電動機(31)は、ステータ(33)とロータ(34)とを備えており、概ね円筒状のロータ(34)内には駆動軸(32)が挿入された状態で固定されている。
ケーシング(10)内の底部には、潤滑油が貯留される貯留部(17)が形成されている。駆動軸(32)は、その下端部が貯留部(17)に浸漬された状態で配設されている。駆動軸(32)には、その内部を軸方向に貫通する給油孔(32b)が形成されている。そして、ケーシング(10)内においてハウジング(23)よりも下方に位置し、高圧になっている貯留部(17)では、その圧力によって、給油孔(32b)内を潤滑油が上昇する。給油孔(32b)内を上昇した潤滑油は、駆動軸(32)内部の分岐(図示せず)から駆動軸(32)の各軸受(22d,25b)に供給される。
ハウジング(23)の第2凹陥部(24b)内は、高圧空間(S2)に連通していて、高圧状態になっている。そのため、第2凹陥部(24b)を覆う可動スクロール(22)は、その背面から固定スクロール(21)側へ押し付けられている。ここで、可動スクロール(22)背面の高圧部分は、可動スクロール(22)の背面に配設されるシールリング(27)によって区画されているため、このシールリング(27)の大きさ(径方向寸法)によって上記押し付け力の大きさが決まる。
また、貯留部(17)内の潤滑油は、上記両スクロール(21,22)の鏡板(21a,22a)に位置する摺動面(以下、固定スクロール(21)の摺動面を固定側スラスト摺動面(21c)、可動スクロール(22)の摺動面を可動側スラスト摺動面(22c)という)の間にも供給される。具体的に、潤滑油は、ハウジング(23)および固定スクロール(21)に亘って形成された給油通路(40)を通って、固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(42)に供給される。
図2に示すように、給油通路(40)は、第2凹陥部(24b)の底部に連通してハウジング(23)内を径方向外側に延びる第1通路(40a)と、この第1通路(40a)に連通してハウジング(23)から固定スクロール(21)に亘って上方に延びる第2通路(40b)と、この第2通路(40b)に連通して固定スクロール(21)内を径方向内側に延びる第3通路(40c)と、この第3通路(40c)に連通して固定スクロール(21)内を下方に延びる第4通路(40d)とから構成されている。第4通路(40d)の下端は、給油溝(42)に連通している。また、第3通路(40c)は、固定スクロール(21)の鏡板(21a)に外側から穴を開けるように形成されていて、端部を封止部材(41)で封止されている。
図4に示すように、給油溝(42)は、固定スクロール(21)の固定側スラスト摺動面(21c)に開口するように形成されていて、平面視で概ね円弧状となっている。この例では、給油溝(42)は、固定側ラップ(21b)を囲むように、固定スクロール(21)の全周の約4分の3に亘って形成されている。ここで、給油溝(42)は、固定側ラップ(21b)の外端部の付近には形成されていない。給油溝(42)には、給油通路(40)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。なお、給油溝(42)は、固定スクロール(21)の全周のうち任意の範囲(例えば、約3分の2)に亘って形成されていてもよい。
ここで、上述したとおり、可動スクロール(22)には、圧縮室(C)の内圧によって固定スクロール(21)から離れようとする離反力が加わる。一方、可動スクロール(22)は、その背面に位置するハウジング(23)の第2凹陥部(24b)内が高圧状態であるため、固定スクロール(21)側へ押し付けられる。この押し付け力が大きすぎると、可動側スラスト摺動面(22c)と固定側スラスト摺動面(21c)との間における摩擦損失が大きくなる。このため、上述のように固定側スラスト摺動面(21c)に給油溝(42)を設け、高圧の潤滑油を供給して押し付け力を緩和することで、離反力と押し付け力とのバランスを図るようにしている。
可動スクロール(22)に対して作用する離反力と押し付け力とは、ケーシング(10)内の高圧空間(S2)が十分に高圧の状態になっていれば、互いに適度なバランス状態となる。これにより、圧縮室(C)の気密性を確保しながら、固定側スラスト摺動面(21c)と可動側スラスト摺動面(22c)との間での摩擦損失を適切なものにすることができる。しかしながら、高圧空間(S2)内が十分に高圧の状態になっていない場合には、可動スクロール(22)の押し付け力が不足する。すると、可動スクロール(22)が傾いて固定スクロール(21)から部分的に離反する(いわゆる転覆)等、可動スクロール(22)が不安定な挙動を示す場合がある。
例えば、可動スクロール(22)が不安定な挙動を示すのは、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)との圧力差が小さいために押し付け力が不足する場合や、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)との圧力差がやや小さく、かつ可動スクロール(22)の回転速度が低いために、吐出ポート(Po)や内側の圧縮室(C)から外側の圧縮室(C)内に向かって高圧の冷媒ガスが多く漏れ込んで、圧縮室(C)の内圧が上昇し、これにより離反力が増大して、相対的に可動スクロール(22)に対する押し付け力が不足する場合である。このときには、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して傾く(転覆する)ので、固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(42)に供給された高圧の潤滑油が背圧空間(S3)内に漏れることになる。
給油溝(42)には、絞り部材(43)が設けられている。この絞り部材(43)は、C字状の部材であって、多孔質体である金属焼結体で構成されている。絞り部材(43)には、この絞り部材(43)の厚さ方向へ潤滑油が通過可能な微小通路が多数形成されている。
図4に示すように、絞り部材(43)は、給油溝(42)に嵌め込まれている。絞り部材(43)は、半径と長さが給油溝(42)と等しい。従って、絞り部材(43)は、給油溝(42)の全長に亘って設けられている。図3に示すように、絞り部材(43)の幅は、給油溝(42)の幅と実質的に等しい。また、絞り部材(43)は、給油溝(42)の深さ方向の中間部分に設けられている。すなわち、絞り部材(43)の背面(上側面)と給油溝(42)の底面(42a)とは互いに離れ、かつ、絞り部材(43)の前面(下側面)と可動側スラスト摺動面(22c)とは互いに離れている。絞り部材(43)と給油溝(42)の底面(42a)との間の空間は、給油通路(40)と連通する第1給油空間(44)を構成している。この第1給油空間(44)には、給油通路(40)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。一方、絞り部材(43)と可動側スラスト摺動面(22c)との間の空間は、第2給油空間(45)を構成している。この第2給油空間(45)には、絞り部材(43)の微小通路を通過した潤滑油が流入する。
このように、給油溝(42)は、絞り部材(43)によって、給油溝(42)の底面(42a)側に位置して給油通路(40)と連通する第1給油空間(44)と、給油溝(42)の開口部(42b)側に位置して微小通路を通過した潤滑油が流入する第2給油空間(45)とに仕切られている。
−運転動作−
次に、本実施形態に係るスクロール圧縮機(1)の運転動作について説明する。
まず、電動機(31)を駆動させると、駆動軸(32)が回転し、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して公転運動を行う。その際、オルダム継手(26)により、可動スクロール(22)の自転運動が防止される。従って、可動スクロール(22)は、駆動軸(32)の偏心部(32a)の所定偏心量を公転半径とする公転運動を行う。
可動スクロール(22)の公転運動に伴って、圧縮室(C)の容積は周期的に増減を繰り返す。圧縮室(C)の容積が増大すると、冷媒回路の冷媒が吸入管(14)から低圧空間(S1)に吸入される。この低圧空間(S1)内に吸入された冷媒は、固定スクロール(21)の吸入ポート(Pi)から圧縮室(C)に吸入される。次に、圧縮室(C)に吸入された冷媒は、圧縮室(C)の容積が減少することにより、圧縮され、吐出ポート(Po)から吐出される。その後、圧縮された冷媒は、連通路を介して高圧空間(S2)へ流入して、吐出管(15)から冷媒回路に戻る。なお、スクロール圧縮機(1)における冷媒の圧縮動作は従来公知のものと同様であるため、詳しい説明については省略する。
ハウジング(23)の第2凹陥部(24b)内は、高圧空間(S2)に連通しているため高圧状態であり、この第2凹陥部(24b)に面する可動スクロール(22)は、その背面側から固定スクロール(21)に押し付けられる。この押し付け力は、圧縮室(C)の内圧による離反力とは逆向きの力である。
一方、ケーシング(10)下部に位置する貯留部(17)内の潤滑油は、この貯留部(17)が高圧空間(S2)内にあることから、その圧力によって駆動軸(32)の給油孔(32b)内を上方へ押し上げられて、駆動軸(32)内部の分岐(図示せず)から駆動軸(32)の各滑り軸受(22d,25b)に供給される。
そして、滑り軸受(22d)の潤滑に利用された潤滑油の一部は、第2凹陥部(24b)を通過して給油通路(40)に流入する。給油通路(40)に流入した潤滑油は、第1〜第4通路(40a〜40d)を流れて、固定スクロール(21)の固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(42)に供給される。このとき、可動スクロール(22)が転覆していなければ、潤滑油は、第1給油空間(44)から第2給油空間(45)の全体に行き渡る。給油溝(42)内に供給された潤滑油は高圧状態であることから、可動スクロール(22)の押し付け力を緩和して、両スクロール(21,22)間の摩擦損失の増大を防止することができる。
そして、可動スクロール(22)が転覆すると、固定側スラスト摺動面(21c)と可動側スラスト摺動面(22c)との間隔が部分的に大きくなる。そして、第2給油空間(45)と低圧である背圧空間(S3)とが連通することにより、この第2給油空間(45)の潤滑油が漏れ出して、第2給油空間(45)内の圧力が低下する。つまり、第1給油空間(44)と第2給油空間(45)との間の圧力差が大きくなる。しかし、潤滑油が絞り部材(43)を通過する際には微小通路による抵抗が作用するので、第1給油空間(44)から第2給油空間(45)に潤滑油が急激に流れ込むことは抑制される。一方、第1給油空間(44)は、全体に潤滑油が行き渡った状態に保持される。第1給油空間(44)内の潤滑油は、給油溝(42)の全体に亘って、絞り部材(43)の微小通路を通って第2給油空間(45)に流入し、その後、両スラスト摺動面(21c,22c)の間に供給される。従って、可動スクロール(22)が転覆した場合でも、給油溝(42)の全体に亘って、可動側スラスト摺動面(22c)と固定側スラスト摺動面(21c)との間に潤滑油が供給される。これにより、潤滑不良を防止して、両スクロール(21,22)間の摩擦損失の増加、および両スクロール(21,22)の損傷を防止することができる。
〈実施形態1の効果〉
本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、可動スクロール(22)が転覆した場合に、給油溝(42)のうち給油通路(40)と繋がる部分のみではなく、絞り部材(43)が設けられた範囲、つまり給油溝(42)の全体からスラスト摺動面(21c,22c)に潤滑油が供給される。従って、可動スクロール(22)が転覆した場合でも、スラスト摺動面(21c,22c)に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することができる。また、絞り部材(43)には可動部分が無いので、スクロール圧縮機(1)の信頼性を向上させることができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2について説明する。実施形態2のスクロール圧縮機(1)は、実施形態1のスクロール圧縮機(1)において給油溝(42)および絞り部材(43)の形状を変更したものである。ここでは、図5および図6を参照しながら、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と異なる部分について説明する。
図5および図6に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(42)は、開口側に他の部分よりも幅の大きい拡幅部(46)が形成されている。この拡幅部(46)の深さは、給油溝(42)全体の深さの約半分である。
拡幅部(46)には、潤滑油が通過可能な多数の微小通路を有する絞り部材(43)が設けられている。絞り部材(43)の幅は、拡幅部(46)の幅と実質的に等しい。絞り部材(43)は、その前面(下側面)が可動側スラスト摺動面(22c)と摺接するように配置されている。また、絞り部材(43)の背面(上側面)は平坦である一方、絞り部材(43)の前面は幅方向の中央部が凹んだ形状となっている。つまり、絞り部材(43)の前面には、絞り部材(43)の長さ方向に延びる凹溝(43b)が形成されている。この凹溝(43b)は、絞り部材(43)の全長に亘って形成されている。
絞り部材(43)の背面と給油溝(42)の底面(42a)との間には、給油通路(40)と連通する第1給油空間(44)が形成されている。絞り部材(43)の前面の凹溝(43b)と可動側スラスト摺動面(22c)との間には、第2給油空間(45)が形成されている。つまり、凹溝(43b)は、第2給油空間(45)を構成している。その他の構成は実施形態1のスクロール圧縮機(1)と同様である。
《発明の実施形態3》
実施形態3について説明する。実施形態3のスクロール圧縮機(1)は、実施形態1のスクロール圧縮機(1)において給油溝(42)および絞り部材(43)の形状を変更したものである。ここでは、図7および図8を参照しながら、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と異なる部分について説明する。
図7および図8に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、給油溝(42)の深さ方向の中央部に、その他の部分よりも幅の狭い狭幅部(47)が形成されている。この狭幅部(47)には、潤滑油が通過可能な多数の微小通路を有する絞り部材(43)が設けられている。絞り部材(43)の幅は、狭幅部(47)の対向する面同士の間隔と実質的に等しく、絞り部材(43)の厚みは、狭幅部(47)の厚みと実質的に等しい。絞り部材(43)の背面(上側面)および狭幅部(47)の上面と給油溝(42)の底面(42a)との間には、給油通路(40)と連通する第1給油空間(44)が形成されている。絞り部材(43)の前面(下側面)および狭幅部(47)の下面と可動側スラスト摺動面(22c)との間には、第2給油空間(45)が形成されている。その他の構成は実施形態1のスクロール圧縮機(1)と同様である。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4について説明する。実施形態4のスクロール圧縮機(1)では、給油通路(50)および給油溝(52)が固定スクロール(21)ではなく可動スクロール(22)に設けられている。ここでは、図9〜11を参照しながら、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と異なる部分について説明する。
図9および図10に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、給油通路(50)は、可動スクロール(22)の鏡板(22a)に形成されている。この給油通路(50)は、ボス(22e)内の底部に連通して上方に延びる第1通路(50a)と、この第1通路(50a)に連通して鏡板(22a)内を径方向外側に延びる第2通路(50b)と、この第2通路(50b)に連通して鏡板(22a)内を上方に延びる第3通路(50c)とから構成されている。第3通路(50c)の上端は、給油溝(52)に連通している。また、第2通路(50b)は、可動スクロール(22)の鏡板(22a)に外側から穴を開けるように形成されていて、端部を封止部材(51)で封止されている。
給油溝(52)は、可動スクロール(22)の可動側スラスト摺動面(22c)に形成されている。給油溝(52)は、可動側スラスト摺動面(22c)に開口するように形成されていて、平面視で概ね円弧状となっている(図11を参照)。給油溝(52)は、可動側ラップ(22b)を囲むように、可動スクロール(22)の全周の約4分の3に亘って形成されている。ここで、給油溝(52)は、可動側ラップ(22b)の外端部の付近には形成されていない。給油溝(52)には、給油通路(50)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。なお、給油溝(52)は、可動スクロール(22)の全周のうち任意の範囲(例えば、約3分の2)に亘って形成されていてもよい。
給油溝(52)には、絞り部材(53)が設けられている。この絞り部材(53)は、C字状の部材であって、多孔質体である金属焼結体で構成されている。絞り部材(53)には、この絞り部材(53)の厚さ方向へ潤滑油が通過可能な微小通路が多数形成されている。
図11に示すように、絞り部材(53)は、給油溝(52)に嵌め込まれている。絞り部材(53)は、半径と長さが給油溝(52)と等しい。従って、絞り部材(53)は、給油溝(52)の全長に亘って設けられている。絞り部材(53)の幅は、給油溝(52)の幅と実質的に等しい。また、絞り部材(53)は、給油溝(52)の深さ方向の中間部分に設けられている。すなわち、絞り部材(53)の背面(下側面)と給油溝(52)の底面(52a)とは互いに離れ、かつ、絞り部材(53)の前面(上側面)と固定側スラスト摺動面(21c)とは互いに離れている。絞り部材(53)と給油溝(52)の底面(52a)との間の空間は、給油通路(50)と連通する第1給油空間(54)を構成している。この第1給油空間(54)には、給油通路(50)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。一方、絞り部材(53)と固定側スラスト摺動面(21c)との間の空間は、第2給油空間(55)を構成している。この第2給油空間(55)には、絞り部材(53)の微小通路を通過した潤滑油が流入する。
このように、給油溝(52)は、絞り部材(53)によって、給油通路(50)と連通して高圧の潤滑油が流入する第1給油空間(54)と、絞り部材(53)の微小通路を通過した潤滑油が流入する第2給油空間(55)とに仕切られている。
その他の構成は、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と同様である。また、運転動作についても、潤滑油が可動スクロール(22)に形成された給油通路(50)を通ってスラスト摺動面(21c,22c)に供給されることを除いて、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と同様である。
−実施形態4の変形例1−
実施形態4の変形例1について説明する。本変形例のスクロール圧縮機(1)では、可動側スラスト摺動面(22c)に形成された給油溝(52)は、その開口部(52b)側に拡幅部(56)が形成されている。
図12に示すように、拡幅部(56)には、この拡幅部(56)と幅および厚みが実質的に等しく、かつ前面に凹溝(53b)が形成された絞り部材(53)が設けられている。この凹溝(53b)は、絞り部材(53)の全長に亘って形成されている。絞り部材(53)の前面は、固定側スラスト摺動面(21c)と摺接している。絞り部材(53)の背面(下側面)と給油溝(52)の底面(52a)との間には、給油通路(50)と連通する第1給油空間(54)が形成されている。絞り部材(53)の前面(上側面)の凹溝(53b)と固定側スラスト摺動面(21c)との間には、第2給油空間(55)が形成されている。つまり、凹溝(53b)は、第2給油空間(55)を構成している。
−実施形態4の変形例2−
実施形態4の変形例2について説明する。本変形例のスクロール圧縮機(1)では、可動側スラスト摺動面(22c)に形成された給油溝(52)は、その深さ方向の中間部に狭幅部(57)が形成されている。
図13に示すように、狭幅部(57)には、この狭幅部(57)と厚みが実質的に等しく、かつ狭幅部(57)の対向する面同士の間隔と幅が実質的に等しい絞り部材(53)が設けられている。絞り部材(53)の背面(下側面)および狭幅部(57)の下面と給油溝(52)の底面(52a)との間には、給油通路(50)と連通する第1給油空間(54)が形成されている。絞り部材(53)の前面(上側面)および狭幅部(57)の上面と固定側スラスト摺動面(21c)との間には、第2給油空間(55)が形成されている。
《その他の実施形態》
実施形態1〜4のスクロール圧縮機(1)の変形例について説明する。
−第1変形例−
実施形態1〜4のスクロール圧縮機(1)では、給油溝(42,52)が、固定スクロール(21)または可動スクロール(22)の全周に亘って形成されていてもよい。
図14は、実施形態4のスクロール圧縮機(1)の可動スクロール(22)に本変形例を適用したものを示す。可動側スラスト摺動面(22c)には、可動側ラップ(22b)を囲むように、平面視で円形状の給油溝(52)が形成されている。この給油溝(52)は、給油通路(50)と連通している。
給油溝(42,52)が固定スクロール(21)または可動スクロール(22)の全周に亘って形成されている場合は、可動側スラスト摺動面(22c)と固定側スラスト摺動面(21c)との間に十分に潤滑油を供給することが容易となる。
−第2変形例−
実施形態1〜4のスクロール圧縮機(1)では、給油溝(42,52)が、圧縮機構(20)の周方向に複数並べて設けられていてもよい。
図15は、実施形態1のスクロール圧縮機(1)の固定スクロール(21)に本変形例を適用したものを示す。固定側スラスト摺動面(21c)には、固定側ラップ(21b)を囲むように、平面視で円弧状の給油溝(42)が3つ並べて形成されている。また、3つの給油溝(42)は、それぞれ給油通路(40)に連通している。これにより、3つの給油溝(42)の全てに高圧の潤滑油が供給されるようになっている。
図16は、実施形態4のスクロール圧縮機(1)の可動スクロール(22)に本変形例を適用したものを示す。可動側スラスト摺動面(22c)には、可動側ラップ(22b)を囲むように、平面視で円弧状の給油溝(52)が3つ並べて形成されている。また、3つの給油溝(52)は、それぞれ給油通路(50)に連通している。これにより、3つの給油溝(52)の全てに高圧の潤滑油が供給されるようになっている。
給油溝(42,52)が圧縮機構(20)の周方向に複数並べて設けられている場合は、可動スクロール(22)を転覆状態から元の状態に速やかに戻すことができる。以下、この点について詳しく説明する。
可動スクロール(22)が転覆すると、この可動スクロール(22)と固定スクロール(21)との間に比較的大きな隙間が生じる。ここで、給油溝(42,52)は圧縮機構(20)の周方向に複数並べて形成されており、転覆によって各給油溝(42,52)の周囲に生じる隙間の大きさは互いに異なる。そして、周囲に大きな隙間が生じた給油溝(42,52)からは多くの潤滑油が漏れ出す一方、周囲に小さな隙間しか生じなかった給油溝(42,52)からは潤滑油はあまり漏れ出さない。このため、可動スクロール(22)と固定スクロール(21)との間に大きな隙間が生じた部分の近くにある給油溝(42,52)内の圧力は低下する一方、その他の給油溝(42,52)内の圧力はほぼ高圧に保たれる。つまり、特に転覆により大きな隙間が生じた部分において、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から離そうとする離反力が小さくなる。従って、可動スクロール(22)の背面に作用する押し付け力により、転覆により生じた隙間が速やかに小さくなり、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に戻る。
−第3変形例−
実施形態1〜4、ならびに、第1および第2変形例のスクロール圧縮機(1)では、絞り部材(43,53)は、給油溝(42,52)の全長に亘って設けられていなくてもよい。具体的に、絞り部材(43,53)は、給油溝(42,52)のうち、給油通路(40,50)と繋がる部分を含みかつ給油溝(42,52)の長さ方向に延びる範囲であれば、その他の任意の範囲に設けられていてもよい。
図17は、実施形態1のスクロール圧縮機(1)に本変形例を適用したものを示す。絞り部材(43)は、給油溝(42)の両端部を除く範囲に設けられている。この場合、特に図示しないが、給油溝(42)は、絞り部材(43)が設けられている部分の方が、それ以外の部分よりも深くなるように形成されている。そして、絞り部材(43)は、給油溝(42)のうち深まった部分に嵌まり込むように設けられている。これにより、第1給油空間(44)と第2給油空間(45)とが、絞り部材(43)を介さずに直接連通することがない。
−第4変形例−
実施形態1〜4、および第1〜第3変形例のスクロール圧縮機(1)では、絞り部材(43,53)はセラミックスで構成されていてもよい。セラミックス製の絞り部材(43,53)には、この絞り部材(43,53)の厚さ方向へ潤滑油が通過可能な微小通路が多数形成されている。
以上説明したように、本発明は、スクロール圧縮機について有用である。
1 スクロール圧縮機
20 圧縮機構
21 固定スクロール
21c 固定側スラスト摺動面(スラスト摺動面)
22 可動スクロール
22c 可動側スラスト摺動面(スラスト摺動面)
32 駆動軸
40 給油通路
42 給油溝
42a 底面
42b 開口部
43 絞り部材
43a 前面
43b 凹溝
44 第1給油空間
45 第2給油空間
50 給油通路
52 給油溝
52a 底面
52b 開口部
53 絞り部材
53a 前面
53b 凹溝
54 第1給油空間
55 第2給油空間

Claims (7)

  1. 固定スクロール(21)および可動スクロール(22)を有する圧縮機構(20)と、上記可動スクロール(22)に係合する駆動軸(32)とを備え、
    上記圧縮機構(20)は、上記可動スクロール(22)が上記固定スクロール(21)に押し付けられながら公転運動を行うように構成されているスクロール圧縮機(1)であって、
    上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との一方には、該固定スクロール(21)と該可動スクロール(22)との他方と摺接するスラスト摺動面(21c,22c)に開口して上記圧縮機構(20)の周方向に延びる給油溝(42,52)と、該給油溝(42,52)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40,50)とが形成され、
    潤滑油が通過可能な多数の微小通路が形成されると共に上記給油溝(42,52)に設けられ、該給油溝(42,52)を、該給油溝(42,52)の底面(42a,52a)側に位置して上記給油通路(40,50)に連通する第1給油空間(44,54)と、該給油溝(42,52)の開口部(42b,52b)側に位置して上記微小通路を通過した潤滑油が流入する第2給油空間(45,55)とに仕切る絞り部材(43,53)を備えている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記絞り部材(43,53)は、上記給油溝(42,52)の全長に亘って設けられている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1または2において、
    上記給油溝(42,52)は、上記圧縮機構(20)の周方向に複数並べて形成され、
    複数の上記給油溝(42,52)のそれぞれに、上記絞り部材(43,53)が設けられている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    上記絞り部材(43,53)は、該絞り部材(43,53)の前面(43a,53a)が、上記給油溝(42,52)の形成されていない上記固定スクロール(21)または上記可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)と摺接するように配置され、
    上記絞り部材(43,53)の前面(43a,53a)には、該絞り部材(43,53)の長さ方向に延びる凹溝(43b,53b)が形成され、
    上記絞り部材(43,53)の凹溝(43b,53b)が、上記第2給油空間(45,55)を構成している
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    上記絞り部材(43,53)は、多孔質体で構成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項5において、
    上記多孔質体は、金属焼結体である
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項5において、
    上記多孔質体は、セラミックスである
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111140495A (zh) * 2018-11-06 2020-05-12 艾默生环境优化技术(苏州)有限公司 涡旋压缩机

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