JP2016017485A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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健一 佐多
Kenichi Sata
健一 佐多
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Abstract

【課題】可動スクロールが転覆した場合でも、摺動面に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止する。
【解決手段】給油溝(51)にシール部材(60)が嵌め込まれることで、給油通路(50)を通過した潤滑油を給油溝(51)の底面側に保持するための保持空間(52)が区画される。シール部材(60)は、給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで、幅方向の略中央位置に設けられた接触部(62)が可動側摺動面(25a)に接触される。接触部(62)には、給油孔(61)が形成されており、保持空間(52)に保持された潤滑油は、給油孔(61)から可動側摺動面(25a)に給油される。
【選択図】図4

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関するものである。
従来より、スクロール圧縮機において、可動スクロールと固定スクロールとの間の摺動面に潤滑油を供給することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のスクロール圧縮機では、固定スクロールの摺動面に円弧状の給油溝が形成されており、この給油溝は、溝用連通路を介してケーシング底部の貯留部に連通している。貯留部には高圧の潤滑油が貯留されている。高圧の潤滑油は、溝用連通路を通って給油溝に供給され、可動スクロールと固定スクロールとの間の摺動面を潤滑するために使用される。また、スクロール圧縮機は、可動スクロールの背面側の空間における背圧により、可動スクロールを固定スクロールに押し付けるように構成されている。
特開2012−215174号公報
ところで、可動スクロールに作用する背圧が小さい場合等には、可動スクロールが固定スクロールに対して傾くいわゆる転覆が生じることがある。転覆は、可動スクロールと固定スクロールとの間に形成された圧縮室で圧縮された冷媒の内圧や、可動スクロールに連結された駆動軸から可動スクロールに作用する力等によって生じる。転覆が生じると、可動スクロールと固定スクロールとの間に隙間ができ、給油溝に供給された高圧の潤滑油がその隙間から漏れ出してしまう。
ここで、溝用連通路は、円弧状の給油溝に対して一箇所のみで繋がっており、給油溝にはその箇所から高圧の潤滑油が流入するようになっている。転覆が生じていない場合には、固定スクロールと可動スクロールとの間にはほとんど隙間がないので、給油溝に流入した潤滑油は給油溝全体に行き渡ることとなる。
一方、転覆が生じた場合には、固定スクロールと可動スクロールとの間に比較的大きな隙間ができるので、潤滑油は、給油溝に流入してすぐにその隙間を通って周囲の空間に漏れ出してしまう。つまり、転覆が生じると、給油溝全体に潤滑油が行き渡らなくなる。これにより、固定スクロールと可動スクロールとの間の摺動面において潤滑不良が起こり、両スクロールが損傷するおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動スクロールが転覆した場合でも、摺動面に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することにある。
本発明は、固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛み合わされた可動スクロール(25)と、該可動スクロール(25)の背面側に連結された駆動軸(45)とを備え、該可動スクロール(25)の背面側に高圧が作用し且つ該駆動軸(45)が回転することで、該可動スクロール(25)が該固定スクロール(21)側に押し付けられながら回転駆動するように構成されたスクロール圧縮機を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、前記固定スクロール(21)には、前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)側に開口して周方向に延びる給油溝(51)と、該給油溝(51)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(50)とが形成され、
前記給油溝(51)には、前記給油通路(50)を通過した潤滑油を該給油溝(51)の底面側に保持するための保持空間(52)を区画するように、幅方向の両端部が該給油溝(51)の溝壁に対して摺動自在に嵌め込まれたシール部材(60)が設けられ、
前記シール部材(60)には、前記保持空間(52)の潤滑油を前記可動側摺動面(25a)に給油するための複数の給油孔(61)が形成されるとともに、該シール部材(60)が該給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで該可動側摺動面(25a)に接触している接触部(62)が幅方向の少なくとも一部に設けられていることを特徴とするものである。
第1の発明では、給油溝(51)にシール部材(60)が嵌め込まれることで、給油通路(50)を通過した潤滑油を給油溝(51)の底面側に保持するための保持空間(52)が区画される。保持空間(52)に保持された潤滑油は、シール部材(60)の給油孔(61)から可動側摺動面(25a)に給油される。シール部材(60)は、給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで、幅方向の少なくとも一部に設けられた接触部(62)が可動側摺動面(25a)に接触される。
このような構成とすれば、可動スクロール(25)が転覆した場合でも、可動側摺動面(25a)に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することができる。具体的に、可動スクロール(25)が転覆して可動側摺動面(25a)の隙間が大きくなったとしても、シール部材(60)が給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで、幅方向の少なくとも一部に設けられた接触部(62)が可動側摺動面(25a)に接触したままとなる。そのため、保持空間(52)内の潤滑油がこの隙間から漏れ出すのを抑えることができ、給油溝(51)内の圧力が低下したり、潤滑油の給油量が極端に増減することがない。そして、保持空間(52)内の潤滑油は、シール部材(60)が設けられた範囲の全体から複数の給油孔(61)を通って可動側摺動面(25a)に十分に供給されるので、潤滑不良を防止することができる。
第2の発明は、第1の発明において、
前記接触部(62)は、幅方向の略中央位置に設けられ、
前記給油孔(61)は、前記接触部(62)を貫通するように形成され、
前記接触部(62)よりも幅方向の両外側には、前記シール部材(60)の表面、前記給油溝(51)の溝壁、及び前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画された外側空間(53)が設けられていることを特徴とするものである。
第2の発明では、接触部(62)が幅方向の略中央位置に設けられる。接触部(62)には給油孔(61)が形成される。接触部(62)よりも幅方向の両外側に外側空間(53)が設けられる。そして、可動スクロール(25)が転覆した場合に、保持空間(52)内の潤滑油はシール部材(60)によって保持される一方、外側空間(53)内の潤滑油は、転覆によって大きくなった可動側摺動面(25a)の隙間から排出される。これにより、外側空間(53)が低圧となるので、可動スクロール(25)の背圧との差圧によって、可動スクロール(25)が固定スクロール(21)側に再び押し付けられることとなり、転覆による隙間を解消することができる。
第3の発明は、第1の発明において、
前記接触部(62)は、幅方向に互いに間隔をあけて2つ設けられ、
前記給油孔(61)は、前記2つの接触部(62)の間を貫通するように形成され、
前記2つの接触部(62)の間には、前記シール部材(60)の表面及び前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画され、前記給油孔(61)を通過した潤滑油が流入する流入空間(54)が設けられ、
前記接触部(62)よりも幅方向の両外側には、前記シール部材(60)の表面、前記給油溝(51)の溝壁、及び前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画された外側空間(53)が設けられていることを特徴とするものである。
第3の発明では、接触部(62)が幅方向に互いに間隔をあけて2つ設けられる。2つの接触部(62)の間を貫通するように給油孔(61)が形成され、給油孔(61)を通った潤滑油は、2つの接触部(62)の間に設けられた流入空間(54)に流入される。接触部(62)よりも幅方向の両外側に外側空間(53)が設けられる。そして、可動スクロール(25)が転覆した場合に、保持空間(52)内の潤滑油はシール部材(60)によって保持される一方、外側空間(53)内の潤滑油は、転覆によって大きくなった可動側摺動面(25a)の隙間から排出される。これにより、外側空間(53)が低圧となるので、可動スクロール(25)の背圧との差圧によって、可動スクロール(25)が固定スクロール(21)側に再び押し付けられることとなり、転覆による隙間を解消することができる。
また、流入空間(54)には、高圧の潤滑油が保持されているので、流入空間(54)の容量を適宜設定することで、可動スクロール(25)の押し付け力を調整することができる。
本発明によれば、可動スクロール(25)が転覆した場合でも、可動側摺動面(25a)に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することができる。
本発明の実施形態1に係るスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図である。 圧縮機構の構成を拡大して示す縦断面図である。 固定スクロールを下方から見たときの平面図である。 シール部材の構成を示す側面断面図である。 可動スクロールが転覆したときのシール部材の位置を示す側面断面図である。 本実施形態2のシール部材の構成を示す側面断面図である。 可動スクロールが転覆したときのシール部材の位置を示す側面断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
本実施形態に係るスクロール圧縮機(10)は、例えば、空気調和装置の蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられ、冷媒を圧縮するものである。
図1及び図2に示すように、スクロール圧縮機(10)は、ケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)内には、冷媒を圧縮する圧縮機構(20)と、圧縮機構(20)を駆動する電動機(40)とが収容されている。電動機(40)は、圧縮機構(20)の下方に配置され、駆動軸(45)を介して圧縮機構(20)に連結されている。
ケーシング(11)は、上下方向に延びる円筒状部材の両端を塞いだものであり、密閉ドーム型の圧力容器を構成している。
圧縮機構(20)は、固定スクロール(21)と、固定スクロール(21)に噛み合う可動スクロール(25)と、固定スクロール(21)との間に可動スクロール(25)を配置するための空間を形成するハウジング(30)とを備えている。
ハウジング(30)は、その全周に亘ってケーシング(11)の上部内面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング(11)内は、ハウジング(30)上方の低圧空間(S1)と、ハウジング(30)下方の高圧空間(S2)とに区画されている。すなわち、本実施形態のスクロール圧縮機(10)は、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とを備えた、いわゆる高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
ハウジング(30)には、ハウジング(30)の上面に平面視でリング状に形成された外側凹陥部(31)と、外側凹陥部(31)の内側に形成された内側凹陥部(32)と、ハウジング(30)中央部の下面側が下方に向かって膨出することで形成された軸受部(33)とが設けられている。軸受部(33)には、貫通孔(33a)が形成されていて、貫通孔(33a)の内周面に設けられた上部軸受(47)によって駆動軸(45)を回転可能に支持する。
固定スクロール(21)は、円板状の固定側鏡板(22)と、固定側鏡板(22)の下面に立設された渦巻き状の固定側ラップ(23)とを備えている。
可動スクロール(25)は、円板状の可動側鏡板(26)と、可動側鏡板(26)の上面に立設された渦巻き状の可動側ラップ(27)とを備えている。可動側鏡板(26)の下面には、下方に延設された円筒状のボス(28)が設けられている。
可動側ラップ(27)は、固定スクロール(21)の固定側ラップ(23)に噛み合うように構成されている。ボス(28)には、駆動軸(45)の上端部に形成された偏心部(45a)が偏心軸受(46)を介して挿入され、これにより、可動スクロール(25)と駆動軸(45)とが連結されている。つまり、駆動軸(45)は可動スクロール(25)に係合している。
可動スクロール(25)の可動側鏡板(26)は、ハウジング(30)の内側凹陥部(32)の上方を覆いつつ、その外周端部が外側凹陥部(31)内に位置している。一方、ボス(28)は、内側凹陥部(32)内に位置している。なお、ハウジング(30)の外側凹陥部(31)と内側凹陥部(32)との間には、この内側凹陥部(32)の外周を囲むように平面視でリング状のシール溝(34)が形成されており、シール溝(34)内には、シールリング(35)が配設されている。
可動スクロール(25)の可動側鏡板(26)と外側凹陥部(31)の底面との間には、可動スクロール(25)の自転を阻止するためのオルダム継手(36)が配設されている。
ケーシング(11)には、冷媒回路の冷媒を圧縮機構(20)に導くための吸入管(14)と、ケーシング(11)内の冷媒をケーシング(11)外に吐出するための吐出管(15)とが接続されている。吸入管(14)は、低圧空間(S1)に連通し、吐出管(15)は、高圧空間(S2)に連通するように設けられている。このように、吸入管(14)を低圧空間(S1)に連通させることで、吸入管(14)から吸入された冷媒は、一旦、低圧空間(S1)内に入り、その後、圧縮機構(20)へ流れることになる。
圧縮機構(20)において、固定スクロール(21)の外縁部には吸入ポート(Pi)が、固定スクロール(21)の中央部には吐出ポート(Po)が、それぞれ形成されている。そして、固定スクロール(21)の固定側ラップ(23)と可動スクロール(25)の可動側ラップ(27)との接触部同士の間隙には、圧縮室(C)が区画形成されている。ここで、特に図示しないが、吸入ポート(Pi)は、圧縮室(C)の外周端から低圧空間(S1)に連通している。一方、吐出ポート(Po)は、圧縮室(C)の内周端から図示しない連通路を介して高圧空間(S2)に連通している。
圧縮機構(20)では、可動スクロール(25)の公転運動により、低圧空間(S1)の冷媒が吸入ポート(Pi)を通じて圧縮室(C)内に吸入され、圧縮室(C)内で圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出ポート(Po)から吐出され、図示しない連通路を通じて高圧空間(S2)へ流れる。このように、圧縮室(C)では、吸入された冷媒が圧縮されるため、圧縮室(C)を構成する固定スクロール(21)及び可動スクロール(25)には、圧縮室(C)の内圧が作用して、互いに離反するような力(離反力)が加わることになる。
電動機(40)は、高圧空間(S2)内に配設されている。電動機(40)は、ステータ(41)と、ロータ(42)とを備えており、円筒状のロータ(42)内には、駆動軸(45)が挿入された状態で固定されている。駆動軸(45)におけるロータ(42)よりも下側部分は、ケーシング(11)の下部内面に接合されたフレーム(49)の下部軸受(48)に回転可能に支持されている。
ケーシング(11)内の底部には、潤滑油が貯留される貯留部(17)が形成されている。駆動軸(45)は、その下端部が貯留部(17)に浸漬された状態で配設されている。駆動軸(45)には、その内部を軸方向に貫通する軸孔(45b)が形成されている。そして、ケーシング(11)内においてハウジング(30)よりも下方に位置し、高圧になっている貯留部(17)では、その圧力によって、軸孔(45b)内を潤滑油が上昇する。軸孔(45b)内を上昇した潤滑油は、駆動軸(45)内部の分岐孔(図示せず)及び上端開口部を通って、駆動軸(45)を支持している偏心軸受(46)、上部軸受(47)、及び下部軸受(48)に供給される。
ハウジング(30)の内側凹陥部(32)内は、高圧空間(S2)に連通していて、高圧状態になっている。そのため、内側凹陥部(32)を覆う可動スクロール(25)は、その背面から固定スクロール(21)側へ押し付けられている。ここで、可動スクロール(25)背面の高圧部分は、可動スクロール(25)の背面に配設されるシールリング(35)によって区画されているため、シールリング(35)の大きさ(径方向寸法)によって押し付け力の大きさが決まる。
また、貯留部(17)内の潤滑油は、固定スクロール(21)の固定側鏡板(22)及び可動スクロール(25)の可動側鏡板(26)の間に位置する摺動面(以下、固定スクロール(21)の摺動面を固定側摺動面(21a)、可動スクロール(25)の摺動面を可動側摺動面(25a)という)の間にも供給される。具体的に、潤滑油は、ハウジング(30)及び固定スクロール(21)に亘って形成された給油通路(50)を通って、固定側摺動面(21a)に形成された給油溝(51)に供給される。
図2に示すように、給油通路(50)は、内側凹陥部(32)の底部に連通してハウジング(30)内を径方向外側に延びる第1通路(50a)と、第1通路(50a)に連通してハウジング(30)から固定スクロール(21)に亘って上方に延びる第2通路(50b)と、第2通路(50b)に連通して固定スクロール(21)内を径方向内側に延びる第3通路(50c)と、第3通路(50c)に連通して固定スクロール(21)内を下方に延びる第4通路(50d)とから構成されている。給油通路(50)の下流端は、給油溝(51)に連通している。
給油溝(51)は、固定スクロール(21)の固定側摺動面(21a)に開口するように形成されていて、平面視で円弧状となっている。図3に示すように、給油溝(51)は、固定側ラップ(23)を囲むように、固定スクロール(21)の全周の約4分の3に亘って形成されている。ここで、給油溝(51)は、固定側ラップ(23)の外端部の付近には形成されていない。給油溝(51)には、給油通路(50)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。なお、給油溝(51)は、固定スクロール(21)の全周のうち任意の範囲(例えば、約3分の2)に亘って形成されていてもよい。
ここで、上述したように、可動スクロール(25)には、圧縮室(C)の内圧によって固定スクロール(21)から離れようとする離反力が加わる。一方、可動スクロール(25)は、その背面に位置するハウジング(30)の内側凹陥部(32)内が高圧状態であるため、固定スクロール(21)側へ押し付けられる。この押し付け力が大きすぎると、可動側摺動面(25a)と固定側摺動面(21a)との間における摩擦損失が大きくなる。このため、上述のように、固定側摺動面(21a)に給油溝(51)を設け、高圧の潤滑油を供給して押し付け力を緩和することで、離反力と押し付け力とのバランスを図るようにしている。
可動スクロール(25)に対して作用する離反力と押し付け力とは、ケーシング(11)内の高圧空間(S2)が十分に高圧の状態になっていれば、互いに適度なバランス状態となる。これにより、圧縮室(C)の気密性を確保しながら、固定側摺動面(21a)と可動側摺動面(25a)との間での摩擦損失を適切なものにすることができる。しかしながら、高圧空間(S2)内が十分に高圧の状態になっていない場合には、可動スクロール(25)の押し付け力が不足する。すると、可動スクロール(25)が傾いて固定スクロール(21)から部分的に離反する(いわゆる転覆)等、可動スクロール(25)が不安定な挙動を示す場合がある。
例えば、可動スクロール(25)が不安定な挙動を示すのは、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)との圧力差が小さいために押し付け力が不足する場合や、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)との圧力差がやや小さく、且つ可動スクロール(25)の回転速度が低いために、吐出ポート(Po)や内側の圧縮室(C)から外側の圧縮室(C)内に向かって高圧の冷媒ガスが多く漏れ込んで、圧縮室(C)の内圧が上昇し、これにより離反力が増大して、相対的に可動スクロール(25)に対する押し付け力が不足する場合である。このときには、可動スクロール(25)が固定スクロール(21)に対して傾く(転覆する)ので、固定側摺動面(21a)に形成された給油溝(51)に供給された高圧の潤滑油が背圧空間内に漏れることになる。
そこで、本実施形態では、可動スクロール(25)が転覆した場合でも、固定側摺動面(21a)及び可動側摺動面(25a)に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することができるように、給油溝(51)にシール部材(60)を設けるようにした。
具体的に、図3に示すように、給油溝(51)には、シール部材(60)が嵌め込まれている。シール部材(60)は、平面視でC字状の給油溝(51)に対応して、平面視でC字状に延びる部材で構成されている。シール部材(60)は、半径と長さが給油溝(51)と等しい。従って、シール部材(60)は、給油溝(51)の全長に亘って設けられている。シール部材(60)には、シール部材(60)の厚さ方向へ潤滑油が通過可能な複数の給油孔(61)が周方向に間隔をあけて形成されている。
図4に示すように、シール部材(60)は、上方が開口するC字状に形成されている。シール部材(60)の幅は、給油溝(51)の幅と実質的に等しい。そのため、シール部材(60)が給油溝(51)に嵌め込まれると、シール部材(60)の幅方向の両端部が給油溝(51)の溝壁に対して摺動自在に接触する。そして、シール部材(60)と給油溝(51)の底面との間には、給油通路(50)を通過した潤滑油を給油溝(51)の底面側に保持するための保持空間(52)が区画される。
ここで、シール部材(60)は、上方が開口するC字状に形成されているので、幅方向の略中央位置が最も下方に膨出している。つまり、この膨出部分が、シール部材(60)が給油溝(51)の溝壁に沿って下方に摺動したときに、可動側摺動面(25a)に接触する接触部(62)を構成している。給油孔(61)は、接触部(62)を貫通するように形成されている。
そして、接触部(62)よりも幅方向の両外側には、シール部材(60)の表面、給油溝(51)の溝壁、及び可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画された外側空間(53)が設けられている。
このように、給油溝(51)は、シール部材(60)によって、給油溝(51)の底面側に位置して給油通路(50)と連通する保持空間(52)と、給油溝(51)の開口側に位置して給油溝(51)を通過した潤滑油が流入する外側空間(53)とに区画されている。
−運転動作−
次に、本実施形態に係るスクロール圧縮機(10)の運転動作について説明する。まず、電動機(40)を駆動させると、駆動軸(45)が回転し、可動スクロール(25)が固定スクロール(21)に対して公転運動を行う。その際、オルダム継手(36)により、可動スクロール(25)の自転運動が防止される。従って、可動スクロール(25)は、駆動軸(45)の偏心部(45a)の所定偏心量を公転半径とする公転運動を行う。
可動スクロール(25)の公転運動に伴って、圧縮室(C)の容積は周期的に増減を繰り返す。圧縮室(C)の容積が増大すると、冷媒回路の冷媒が吸入管(14)から低圧空間(S1)に吸入される。低圧空間(S1)内に吸入された冷媒は、固定スクロール(21)の吸入ポート(Pi)から圧縮室(C)に吸入される。圧縮室(C)に吸入された冷媒は、圧縮室(C)の容積が減少することにより、圧縮され、吐出ポート(Po)から吐出される。その後、圧縮された冷媒は、連通路を介して高圧空間(S2)へ流入して、吐出管(15)から冷媒回路に戻る。
ハウジング(30)の内側凹陥部(32)内は、高圧空間(S2)に連通しているため高圧状態であり、内側凹陥部(32)に面する可動スクロール(25)は、その背面側から固定スクロール(21)に押し付けられる。この押し付け力は、圧縮室(C)の内圧による離反力とは逆向きの力である。
一方、ケーシング(11)下部に位置する貯留部(17)内の潤滑油は、貯留部(17)が高圧空間(S2)内にあることから、その圧力によって駆動軸(45)の軸孔(45b)内を上方へ押し上げられて、駆動軸(45)内部の分岐孔(図示せず)及び上端開口部を通って、駆動軸(45)を支持している偏心軸受(46)、上部軸受(47)、及び下部軸受(48)に供給される。
そして、偏心軸受(46)の潤滑に利用された潤滑油の一部は、内側凹陥部(32)を通過して給油通路(50)に流入する。給油通路(50)に流入した潤滑油は、固定スクロール(21)の固定側摺動面(21a)に形成された給油溝(51)に供給される。このとき、可動スクロール(25)が転覆していなければ、潤滑油は、保持空間(52)及び外側空間(53)の全体に行き渡る。給油溝(51)内に供給された潤滑油は高圧状態であることから、可動スクロール(25)の押し付け力を緩和して、固定スクロール(21)及び可動スクロール(25)間の摩擦損失の増大を防止することができる。
一方、図5に示すように、可動スクロール(25)が転覆すると、固定側摺動面(21a)と可動側摺動面(25a)との間隔が部分的に大きくなる。これにより、外側空間(53)と背圧空間とが連通して外側空間(53)の潤滑油が排出され、外側空間(53)内の圧力が低下する。つまり、保持空間(52)と外側空間(53)との間の圧力差が大きくなる。
ここで、シール部材(60)が給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで、接触部(62)が可動側摺動面(25a)に接触したままとなっている。そのため、保持空間(52)内の潤滑油がこの隙間から漏れ出すのを抑えることができ、給油溝(51)内の圧力が低下したり、潤滑油の給油量が極端に増減することがない。
一方、保持空間(52)は、全体に潤滑油が行き渡った状態に保持される。保持空間(52)内の潤滑油は、給油溝(51)の全体に亘って、シール部材(60)の給油孔(61)を通って固定側摺動面(21a)及び可動側摺動面(25a)の間に供給される。従って、可動スクロール(25)が転覆した場合でも、給油溝(51)の全体に亘って、可動側摺動面(25a)と固定側摺動面(21a)との間に潤滑油が供給される。これにより、潤滑不良を防止して、固定スクロール(21)及び可動スクロール(25)間の摩擦損失の増加や、固定スクロール(21)及び可動スクロール(25)の損傷を防止することができる。
また、外側空間(53)の潤滑油が排出されて低圧となっているので、可動スクロール(25)の背圧との差圧によって、可動スクロール(25)が固定スクロール(21)側に再び押し付けられることとなり、転覆による隙間を解消することができる。
《実施形態2》
図6は、本実施形態2に係るシール部材の構成を示す側面断面図である。以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
図6に示すように、シール部材(60)は、上方が開口する凹状に形成されている。シール部材(60)の幅は、給油溝(51)の幅と実質的に等しい。そのため、シール部材(60)が給油溝(51)に嵌め込まれると、シール部材(60)の幅方向の両端部が給油溝(51)の溝壁に対して摺動自在に接触する。そして、シール部材(60)と給油溝(51)の底面との間には、給油通路(50)を通過した潤滑油を給油溝(51)の底面側に保持するための保持空間(52)が区画される。
ここで、シール部材(60)における可動側摺動面(25a)側には、幅方向に互いに間隔をあけて2つの接触部(62)が設けられている。接触部(62)は、シール部材(60)が給油溝(51)の溝壁に沿って下方に摺動したときに、可動側摺動面(25a)に接触する。給油孔(61)は、2つの接触部(62)の間を貫通するように形成されている。
そして、接触部(62)よりも幅方向の両外側には、シール部材(60)の表面、給油溝(51)の溝壁、及び可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画された外側空間(53)が設けられている。
また、2つの接触部(62)の間には、シール部材(60)の表面及び可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画され、給油孔(61)を通過した潤滑油が流入する流入空間(54)が設けられている。
このように、給油溝(51)は、シール部材(60)によって、給油溝(51)の底面側に位置して給油通路(50)と連通する保持空間(52)と、給油溝(51)の開口側の両外側部に位置して給油溝(51)を通過した潤滑油が流入する外側空間(53)と、給油溝(51)の開口側の略中央部に位置して給油溝(51)を通過した潤滑油が流入する流入空間(54)とに区画されている。
図7に示すように、可動スクロール(25)が転覆すると、固定側摺動面(21a)と可動側摺動面(25a)との間隔が部分的に大きくなる。これにより、外側空間(53)の潤滑油が排出され、外側空間(53)内の圧力が低下する。つまり、保持空間(52)と外側空間(53)との間の圧力差が大きくなる。
ここで、シール部材(60)が給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで、接触部(62)が可動側摺動面(25a)に接触したままとなっている。そのため、保持空間(52)内の潤滑油がこの隙間から漏れ出すのを抑えることができ、給油溝(51)内の圧力が低下したり、潤滑油の給油量が極端に増減することがない。
そして、外側空間(53)の潤滑油が排出されて低圧となっているので、可動スクロール(25)の背圧との差圧によって、可動スクロール(25)が固定スクロール(21)側に再び押し付けられることとなり、転覆による隙間を解消することができる。
また、流入空間(54)には、高圧の潤滑油が保持されているので、流入空間(54)の容量を適宜設定することで、可動スクロール(25)の押し付け力を調整することができる。
以上説明したように、本発明は、可動スクロールが転覆した場合でも、摺動面に潤滑油を十分に供給して潤滑不良を防止することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
10 スクロール圧縮機
21 固定スクロール
25 可動スクロール
25a 可動側摺動面
45 駆動軸
50 給油通路
51 給油溝
52 保持空間
53 外側空間
54 流入空間
60 シール部材
61 給油孔
62 接触部

Claims (3)

  1. 固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛み合わされた可動スクロール(25)と、該可動スクロール(25)の背面側に連結された駆動軸(45)とを備え、該可動スクロール(25)の背面側に高圧が作用し且つ該駆動軸(45)が回転することで、該可動スクロール(25)が該固定スクロール(21)側に押し付けられながら回転駆動するように構成されたスクロール圧縮機であって、
    前記固定スクロール(21)には、前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)側に開口して周方向に延びる給油溝(51)と、該給油溝(51)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(50)とが形成され、
    前記給油溝(51)には、前記給油通路(50)を通過した潤滑油を該給油溝(51)の底面側に保持するための保持空間(52)を区画するように、幅方向の両端部が該給油溝(51)の溝壁に対して摺動自在に嵌め込まれたシール部材(60)が設けられ、
    前記シール部材(60)には、前記保持空間(52)の潤滑油を前記可動側摺動面(25a)に給油するための複数の給油孔(61)が形成されるとともに、該シール部材(60)が該給油溝(51)の溝壁に沿って摺動することで該可動側摺動面(25a)に接触している接触部(62)が幅方向の少なくとも一部に設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    前記接触部(62)は、幅方向の略中央位置に設けられ、
    前記給油孔(61)は、前記接触部(62)を貫通するように形成され、
    前記接触部(62)よりも幅方向の両外側には、前記シール部材(60)の表面、前記給油溝(51)の溝壁、及び前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画された外側空間(53)が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1において、
    前記接触部(62)は、幅方向に互いに間隔をあけて2つ設けられ、
    前記給油孔(61)は、前記2つの接触部(62)の間を貫通するように形成され、
    前記2つの接触部(62)の間には、前記シール部材(60)の表面及び前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画され、前記給油孔(61)を通過した潤滑油が流入する流入空間(54)が設けられ、
    前記接触部(62)よりも幅方向の両外側には、前記シール部材(60)の表面、前記給油溝(51)の溝壁、及び前記可動スクロール(25)の可動側摺動面(25a)によって区画された外側空間(53)が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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