JP2015105593A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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健一 佐多
Kenichi Sata
健一 佐多
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Abstract

【課題】転覆が生じた場合に、給油溝からの潤滑油の漏れを十分に抑制すると共に、可動スクロールを転覆状態から元の状態に速やかに復帰させる。【解決手段】固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との一方に、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との他方と摺接するスラスト摺動面(21c,22c)に開口して潤滑油が流入する給油溝(46,56)と、給油溝(46)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40,50)とを形成する。給油通路(40,50)の出口に、弁体(42,52)を有する開閉弁(41,51)を設ける。開閉弁(41,51)は、弁体(42,52)が固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)に当接すると開く一方、弁体(42,52)が固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)から離れると閉じる。【選択図】図2

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に、可動スクロールの転覆を抑制するための構造に係るものである。
従来より、スクロール圧縮機において、可動スクロールと固定スクロールとの間の摺動部に潤滑油を供給することが知られている。例えば、特許文献1のスクロール圧縮機では、固定スクロールの摺動面に円弧状の給油溝が形成されており、この給油溝は供給路、弁室、油溜まり、および給油路を介してケーシング底部の貯留部に連通している。貯留部には潤滑油が貯留されている。この潤滑油は、給油路、油溜まり、弁室、および供給路を通って給油溝に供給され、可動スクロールと固定スクロールとの間の摺動部を潤滑するために使用される。
また、スクロール圧縮機は、可動スクロールの背面側の空間における背圧により、可動スクロールを固定スクロールに押し付けるように構成されている。一方、この背圧が小さい場合等には、可動スクロールが固定スクロールに対して傾くいわゆる転覆が生じることがある。転覆は、可動スクロールと固定スクロールとの間に形成された圧縮室で圧縮された冷媒の内圧や、可動スクロールに連結された駆動軸から可動スクロールに作用する力等によって生じる。転覆が生じると、可動スクロールと固定スクロールとの間に隙間ができ、上記給油溝に供給された潤滑油がその隙間から漏れ出してしまう。
この問題に対して、特許文献1のスクロール圧縮機では、上記給油溝内の圧力を調整するための圧力調整弁が設けられている。この圧力調整弁は、概ね円錐台状の弁室内において、球状の弁体をばねによって弾性支持したものである。圧力調整弁では、弁室の上方に形成された油溜まりと、弁室の下方に形成された給油溝との差圧によって弁体が移動することにより、給油溝への潤滑油の供給量が調整される。例えば、転覆が生じて給油溝内の潤滑油が漏れ出して給油溝内の圧力が低下したときには、弁体が給油溝側に移動することで弁室における流路断面積が減少し、給油溝への潤滑油の供給が抑制される。これにより、給油溝内の圧力を積極的に下げて、上記背圧が作用する可動スクロールを転覆状態から元の状態に復帰させることができる。
特開2008−038616号公報
しかしながら、特許文献1のスクロール圧縮機では、転覆の発生から圧力調整弁の作動までにある程度の遅れが存在する。すなわち、転覆が発生すると、まず給油溝内の潤滑油が漏れ出して、これにより給油溝内の圧力が低下する。潤滑油が漏れ出すのにはある程度の時間を要するので、転覆が発生してから給油溝内の圧力が低下するまでにはある程度の時間が掛かる。よって、給油溝内の圧力が低下して初めて作動する圧力調整弁は、転覆の発生からある程度遅れて作動する。この遅れにより、可動スクロールを転覆状態から元の状態に復帰させるのが遅くなるおそれがある。また、圧力調整弁が作動するまでの間は、給油溝から潤滑油が漏れ続けるので、潤滑油の漏れを十分に抑制できないおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、転覆が生じた場合に、給油溝からの潤滑油の漏れを十分に抑制すると共に、可動スクロールを転覆状態から元の状態に速やかに復帰させることにある。
第1の発明は、固定スクロール(21)および可動スクロール(22)を有する圧縮機構(20)と、上記可動スクロール(22)に係合する駆動軸(32)と、上記圧縮機構(20)および上記駆動軸(32)を収容するケーシング(10)とを備え、上記可動スクロール(22)が上記固定スクロール(21)に押し付けられるように構成されているスクロール圧縮機(1)を対象とする。
そして、第1の発明は、上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との一方には、該固定スクロール(21)と該可動スクロール(22)との他方と摺接するスラスト摺動面(21c,22c)に開口して潤滑油が流入する給油溝(46,56)と、該給油溝(46,56)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40,50)とが形成され、上記給油通路(40,50)の出口には、弁体(42,52)を有する開閉弁(41,51)が設けられ、上記開閉弁(41,51)は、上記弁体(42,52)が上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)に当接すると開く一方、上記弁体(42,52)が上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)から離れると閉じるように構成されていることを特徴とする。
第1の発明では、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との一方に給油溝(46,56)と給油通路(40,50)とが形成されると共に、この給油通路(40,50)の出口に弁体(42,52)を有する開閉弁(41,51)が設けられている。
スクロール圧縮機(1)が駆動するとき、通常、弁体(42,52)は固定スクロール(21)または可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)に当接しており、このため開閉弁(41,51)は開いた状態にある。開閉弁(41,51)が開いていると、給油通路(40,50)を流れてきた高圧の潤滑油が給油溝(46,56)に供給される。給油溝(46,56)内の高圧の潤滑油は、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から離反させる力を生じる。一方、スクロール圧縮機(1)では、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に押し付けられる。これらの離反力と押し付け力とのバランスにより、両スクロール(21,22)のスラスト摺動面(21c,22c)同士は、適度な力で押し付けられながら摺接するように構成されている。
ここで、スクロール圧縮機(1)が駆動するとき、可動スクロール(22)には、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との間で圧縮された流体による内圧や、駆動軸(32)からの径方向の力等が作用する。これらの力は可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から離反させる力として働き、これにより、可動スクロール(22)が転覆することがある。可動スクロール(22)が転覆すると、給油溝(46,56)に供給された潤滑油が漏れ出してしまう。
これに対し、本発明に係るスクロール圧縮機(1)では、転覆が生じたとき、すなわち可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れたときに、給油通路(40,50)の出口に設けられた開閉弁(41,51)の弁体(42,52)が、可動スクロール(22)または固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c,22c)から離れる。これにより、転覆が生じた直後に開閉弁(41,51)が閉じた状態になって、それ以上潤滑油が給油溝(46,56)に供給されなくなる。そして、高圧の潤滑油が供給されなくなった給油溝(46,56)内の圧力が低下する。これにより、上述した離反力と押し上げ力とのバランスにおいて、押し上げ力が相対的に大きくなるので、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に復帰する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記開閉弁(41,51)は、上記弁体(42,52)よりも上記給油溝(46,56)寄りに設けられた弁座(43,53)と、該弁座(43,53)に上記弁体(42,52)を押し付ける弾性部材(44,54)とを備え、上記弁体(42,52)は、上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)に当接すると上記弾性部材(44,54)の押付け力に抗して上記弁座(43,53)から離れる一方、上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)から離れると上記弾性部材(44,54)の押し付け力により上記弁座(43,53)に密着するように構成されていることを特徴とする。
第2の発明では、開閉弁(41,51)は、弁体(42,52)と、弁座(43,53)と、弾性部材(44,54)とを備えている。開閉弁(41,51)は、弁体(42,52)が弁座(43,53)から離れると開く一方、弁体(42,52)が弁座(43,53)に密着すると閉じる。弾性部材(44,54)は、弁体(42,52)を弁座(43,53)に押し付けるように構成されていて、常に開閉弁(41,51)を閉じようとする押し付け力を生じる。
可動スクロール(22)が転覆していない間は、可動スクロール(22)または固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c,22c)により、弾性部材(44,54)の押し付け力に抗して弁体(42,52)が押される。これにより、弁体(42,52)が弁座(43,53)から離れて開閉弁(41,51)が開いた状態となる。一方、可動スクロール(22)が転覆している間は、可動スクロール(22)または固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c,22c)と弁体(42,52)とが離れる。これにより、弁体(42,52)が弾性部材(44,54)の押し付け力により弁座(43,53)に密着し、開閉弁(41,51)が閉じた状態となる。なお、転覆が生じた場合、弾性部材(44,54)の押し付け力が強いほど開閉弁(41,51)が早く閉じられる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記弁体(42,52)は、上記弁座(43,53)に密着した状態で、上記給油通路(40,50)が形成された上記固定スクロール(21)または上記可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)から一部分(42a,52a)が突出することを特徴とする。
第3の発明では、開閉弁(41,51)が閉じられた状態、すなわち転覆が生じている状態において、給油通路(40,50)が形成された固定スクロール(21)または可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)から、弁体(42,52)の一部分(42a,52a)が突出する。可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に戻るとき、給油通路(40,50)が形成されていない可動スクロール(22)または固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c,22c)は、上記一部分(42a,52a)に当接する。
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、上記弁体(42,52)は、球状に形成され、上記弁座(43,53)には、上記給油通路(40,50)の出口へ向かって縮径して上記弁体(42,52)が嵌まり込む貫通孔(43a,53a)が形成されていることを特徴とする。
第4の発明では、弁体(42,52)が弁座(43,53)の貫通孔(43a,53a)に嵌まり込むことで開閉弁(41,51)が閉じる。貫通孔(43a,53a)は、給油通路(40,50)の出口へ向かって縮径している。つまり、貫通孔(43a,53a)のうち弁体(42,52)寄りの部分は比較的大径である。よって、弁体(42,52)は、貫通孔(43a,53a)の軸心からずれた位置にあったとしても、この貫通孔(43a,53a)に容易に嵌まり込む。また、開閉弁(41,51)が開いた状態では、球状に形成された弁体(42,52)はスラスト摺動面(21c,22c)に当接している。そして、弁体(42,52)は、スラスト摺動面(21c,22c)の動きに伴って転動する。この弁体(42,52)の転動により、弁体(42,52)と弁座(43,53)との間の間隙を潤滑油が滑らかに流れる。
第5の発明は、上記第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、上記圧縮機構(20)に対して流体を吸入するための吸入管(14)を備え、上記固定スクロール(21)の外縁部には、上記吸入管(14)を該固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との間に形成される圧縮室(C)に連通させる吸入ポート(Pi)が形成され、上記給油通路(40,50)の出口は、上記圧縮機構(20)の周方向において、上記吸入ポート(Pi)と90°以上隔てて配置されていることを特徴とする。
第5の発明では、給油通路(40,50)の出口は、圧縮機構(20)の周方向において、吸入ポート(Pi)と90°以上隔てて配置されている。圧縮機構(20)では、吸入管(14)から吸入ポート(Pi)を介して流入した流体が、圧縮室(C)で圧縮される。ここで、圧縮室(C)のうち吸入ポート(Pi)付近の部分には、比較的低圧の流体が存在する。よって、圧縮された流体の内圧により可動スクロール(22)が転覆する場合には、圧縮機構(20)のうち周方向において吸入ポート(Pi)と反対側の部分で、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れやすい。給油通路(40,50)の出口に設けられた開閉弁(41,51)は、その付近で可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れたときに効果を発揮するところ、本発明では、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れやすい位置に給油通路(40,50)の出口を配置している。従って、開閉弁(41,51)により効果的に転覆が抑制される。
本発明によれば、給油溝(46,56)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40,50)の出口に設けられた開閉弁(41,51)が、転覆が生じていない時には開く一方、転覆が生じた時にはその直後に閉じるように構成されている。開閉弁(41,51)が閉じると、それ以上潤滑油が給油溝(46,56)に供給されなくなる。また、給油溝(46,56)内の圧力が低下して、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に復帰する。従って、転覆が生じた場合に、給油溝(46,56)からの潤滑油の漏れを十分に抑制することができると共に、可動スクロール(22)を転覆状態から元の状態に速やかに復帰させることができる。
また、上記第2の発明によれば、転覆が生じた場合には、弾性部材(44,54)の押し付け力によって弁体(42,52)が弁座(43,53)に密着し、その結果、開閉弁(41,51)が閉じた状態となる。従って、転覆が生じた場合に、開閉弁(41,51)を確実に閉じることができる。また、弾性部材(44,54)の押し付け力を調節することよって、開閉弁(41,51)の応答性能を容易に調節することができる。
また、上記第3の発明によれば、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に戻るとき、給油通路(40,50)が形成されていない可動スクロール(22)または固定スクロール(21)のスラスト摺動面(21c,22c)は、弁体(42,52)の一部分(42a,52a)に当接し、その結果、開閉弁(41,51)が開いた状態となる。従って、転覆が生じていない間は、開閉弁(41,51)を確実に開いた状態にして、給油溝(46,56)に潤滑油を供給することができる。
また、上記第4の発明では、弁座(43,53)に、給油通路(40,50)の出口へ向かって縮径して弁体(42,52)が嵌まり込む貫通孔(43a,53a)を形成した。これにより、弁体(42,52)は、貫通孔(43a,53a)の軸心からずれた位置にあったとしても、この貫通孔(43a,53a)に容易に嵌まり込むので、転覆が生じた場合に、開閉弁(41,51)を確実に閉じることができる。また、開閉弁(41,51)が開いた状態では、球状に形成された弁体(42,52)がスラスト摺動面(21c,22c)の動きに伴って転動する。これにより、弁体(42,52)と弁座(43,53)との間の間隙を潤滑油が滑らかに流れる。従って、転覆が生じていない間、潤滑油を給油溝(46,56)に十分に供給することができる。
また、上記第5の発明によれば、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れやすい位置に給油通路(40,50)の出口を配置したことにより、開閉弁(41,51)によって効果的に転覆を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図2は、図1のスクロール圧縮機のうち圧縮機構を拡大して示す拡大断面図である。 図3は、固定スクロールを図1における下方から見た場合の図である。 図4は、実施形態1の開閉弁を拡大して示す図であって、(A)は開閉弁が開いた状態を示し、(B)は開閉弁が閉じた状態を示している。 図5は、本発明の実施形態2に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図6は、実施形態2の開閉弁とその周辺を拡大して示す拡大断面図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係るスクロール圧縮機(1)は、例えば、空気調和装置の蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられ、冷媒を圧縮するものである。
図1に示すように、スクロール圧縮機(1)は、ケーシング(10)を備えている。このケーシング(10)内には、冷媒を圧縮する圧縮機構(20)と、この圧縮機構(20)を駆動する電動機(31)とが収納されている。この電動機(31)は、圧縮機構(20)の下方に配置され、駆動軸(32)を介して圧縮機構(20)に連結されている。
ケーシング(10)は、上下方向に延びる円筒状部材の両端を塞いだものである。これにより、ケーシング(10)は密閉ドーム型の圧力容器を構成している。
圧縮機構(20)は、固定スクロール(21)と、この固定スクロール(21)に噛み合う可動スクロール(22)とを備えると共に、固定スクロール(21)との間に可動スクロール(22)を配置するための空間を形成するハウジング(23)を備えている。
ハウジング(23)は、その全周に亘ってケーシング(10)の上部内面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング(10)内は、ハウジング(23)上方の低圧な空間(S1,S3)と、ハウジング(23)下方の高圧空間(S2)とに区画されている。すなわち、本実施形態のスクロール圧縮機(1)は、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とを備えた、いわゆる高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
ハウジング(23)は、ハウジング凹部(24)と軸受部(25)とを備えている。ハウジング凹部(24)は、ハウジング(23)の上面に上面視で概ねリング状に設けられた第1凹陥部(24a)と、この第1凹陥部(24a)の内側に設けられた第2凹陥部(24b)とにより構成されている。一方、軸受部(25)は、ハウジング(23)中央部の下面側が下方に向かって膨出するように形成されたものである。図2にも示すように、この軸受部(25)には、貫通孔(25a)が形成されていて、この貫通孔(25a)の内周面に設けられた軸受(25b)によって駆動軸(32)を回転可能に支持するように構成されている。
固定スクロール(21)は、概ね円板状の鏡板(21a)と、この鏡板(21a)の下面に立設された渦巻き状の固定側ラップ(21b)とを備えている。
一方、可動スクロール(22)は、概ね円板状の鏡板(22a)と、この鏡板(22a)の上面に立設された渦巻き状の可動側ラップ(22b)とを備えている。鏡板(22a)の下面には、下方に延設された概ね円筒状のボス(22e)が形成されている。可動側ラップ(22b)は、固定スクロール(21)の固定側ラップ(21b)に噛み合うように構成されている。ボス(22e)には、駆動軸(32)の上端部に形成された偏心部(32a)が滑り軸受(22d)を介して挿入され、これにより、可動スクロール(22)と駆動軸(32)とが連結されている。つまり、駆動軸(32)は可動スクロール(22)に係合している。
可動スクロール(22)の鏡板(22a)は、ハウジング(23)の第2凹陥部(24b)の上方を覆いつつ、その外周端部が第1凹陥部(24a)内に位置している。一方、ボス(22e)は、第2凹陥部(24b)内に位置している。なお、ハウジング(23)の第1凹陥部(24a)と第2凹陥部(24b)との間には、この第2凹陥部(24b)の外周を囲むように上面視でリング状の溝(23a)が形成されており、この溝(23a)内には、シールリング(27)が配設されている。
可動スクロール(22)の鏡板(22a)と第1凹陥部(24a)の底面との間には、可動スクロール(22)の自転を阻止するためのオルダム継手(26)が配設されている。
図1に示すように、ケーシング(10)は、冷媒回路の冷媒を圧縮機構(20)に導くための吸入管(14)と、ケーシング(10)内の冷媒をケーシング(10)外に吐出するための吐出管(15)とを備えている。吸入管(14)は、低圧空間(S1)に連通し、吐出管(15)は、高圧空間(S2)に連通するように設けられている。このように、吸入管(14)を低圧空間(S1)に連通させることで、吸入管(14)から吸入された冷媒は、一旦、低圧空間(S1)内に入り、その後、圧縮機構(20)へ流れることになる。
図3にも示すように、圧縮機構(20)において、固定スクロール(21)の外縁部には吸入ポート(Pi)が、固定スクロール(21)の中央部には吐出ポート(Po)が、それぞれ形成されている。そして、固定スクロール(21)の固定側ラップ(21b)と可動スクロール(22)の可動側ラップ(22b)との接触部同士の間隙には、圧縮室(C)が区画形成されている。ここで、特に図示しないが、吸入ポート(Pi)は、圧縮室(C)の外周端から低圧空間(S1)に連通している。つまり、吸入ポート(Pi)は、低圧空間(S1)を介して吸入管(14)を圧縮室(C)に連通させている。一方、吐出ポート(Po)は、圧縮室(C)の内周端から吐出凹部(28)および連通路(図示せず)を介して高圧空間(S2)に連通している。
圧縮機構(20)では、可動スクロール(22)の公転運動により、低圧空間(S1)の冷媒が吸入ポート(Pi)を通じて圧縮室(C)内に吸入され、この圧縮室(C)内で圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出ポート(Po)から吐出され、吐出凹部(28)および連通路(図示せず)を通じて高圧空間(S2)へ流れる。このように、圧縮室(C)では、吸入された冷媒が圧縮されるため、圧縮室(C)を構成する固定スクロール(21)および可動スクロール(22)には、圧縮室(C)の内圧が作用して、互いに離反するような力(離反力)が加わることになる。
電動機(31)は、高圧空間(S2)内に配設されている。この電動機(31)は、ステータ(33)とロータ(34)とを備えており、概ね円筒状のロータ(34)内には駆動軸(32)が挿入された状態で固定されている。
ケーシング(10)内の底部には、潤滑油が貯留される貯留部(17)が形成されている。駆動軸(32)は、その下端部が貯留部(17)に浸漬された状態で配設されている。駆動軸(32)には、その内部を軸方向に貫通する給油孔(32b)が形成されている。そして、ケーシング(10)内においてハウジング(23)よりも下方に位置し、高圧になっている貯留部(17)では、その圧力によって、給油孔(32b)内を潤滑油が上昇する。給油孔(32b)内を上昇した潤滑油は、駆動軸(32)内部の分岐(図示せず)から駆動軸(32)の各軸受(22d,25b)に供給される。
ハウジング(23)の第2凹陥部(24b)内は、高圧空間(S2)に連通していて、高圧状態になっている。そのため、第2凹陥部(24b)を覆う可動スクロール(22)は、その背面から固定スクロール(21)側へ押し付けられている。ここで、可動スクロール(22)背面の高圧部分は、可動スクロール(22)の背面に配設されるシールリング(27)によって区画されているため、このシールリング(27)の大きさ(径方向寸法)によって上記押し付け力の大きさが決まる。
また、貯留部(17)内の潤滑油は、上記両スクロール(21,22)の鏡板(21a,22a)に位置する摺動面(以下、固定スクロール(21)の摺動面を固定側スラスト摺動面(21c)、可動スクロール(22)の摺動面を可動側スラスト摺動面(22c)という)の間にも供給される。具体的に、潤滑油は、ハウジング(23)および固定スクロール(21)に亘って形成された給油通路(40)を通って、固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(46)に供給される。
図2および図3に示すように、給油溝(46)は、固定スクロール(21)の固定側スラスト摺動面(21c)に開口するように形成されていて、平面視で概ね円弧状となっている。この例では、給油溝(46)は、固定側ラップ(21b)を囲むように、固定スクロール(21)の全周の約4分の3に亘って形成されている。なお、給油溝(46)は、固定スクロール(21)の全周に亘って形成されていてもよいし、その他の任意の範囲に亘って形成されていてもよい。給油溝(46)には、給油通路(40)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。
給油通路(40)は、ハウジング(23)から固定スクロール(21)に亘って形成されている。この給油通路(40)は、第2凹陥部(24b)の底部に連通してハウジング(23)内を径方向外側に延びる第1通路(40a)と、この第1通路(40a)に連通してハウジング(23)から固定スクロール(21)に亘って上方に延びる第2通路(40b)と、この第2通路(40b)に連通して固定スクロール(21)内を径方向内側に延びる第3通路(40c)と、この第3通路(40c)に連通して固定スクロール(21)内を下方に延びる第4通路(40d)とから構成されている。第4通路(40d)の下端は、給油溝(46)に連通している。また、第2通路(40b)および第4通路(40d)は、固定スクロール(21)の鏡板(21a)を上下に貫通するように形成されていて、それぞれ上端部をプラグ(47,48)で封止されている。なお、第4通路(40d)の上端部を封止するプラグ(48)は、この第4通路(40d)内を延びる延長部(48a)を有している。延長部(48a)の外径は第4通路(40d)の内径よりも小さく、このため、延長部(48a)の周囲には潤滑油が流れる流路が形成されている。
図3に示すように、第4通路(40d)の出口(すなわち、給油通路(40)の出口)は、固定スクロール(21)の中央部を基準として、吸入ポート(Pi)の反対側に配置されている。つまり、第4通路(40d)の出口は、吸入ポート(Pi)から圧縮機構(20)の周方向へ約180°離れた位置に設けられている。
ここで、上述したとおり、可動スクロール(22)には、圧縮室(C)の内圧によって固定スクロール(21)から離れようとする離反力が加わる。一方、可動スクロール(22)は、その背面に位置するハウジング(23)の第2凹陥部(24b)内が高圧状態であるため、固定スクロール(21)側へ押し付けられる。この押し付け力が大きすぎると、可動側スラスト摺動面(22c)と固定側スラスト摺動面(21c)との間における摩擦損失が大きくなる。このため、上述のように固定側スラスト摺動面(21c)に給油溝(46)を設け、高圧の潤滑油を供給して押し付け力を緩和することで、離反力と押し付け力とのバランスを図るようにしている。
可動スクロール(22)に対して作用する離反力と押し付け力とは、ケーシング(10)内の高圧空間(S2)が十分に高圧の状態になっていれば、互いに適度なバランス状態となる。これにより、圧縮室(C)の気密性を確保しながら、固定側スラスト摺動面(21c)と可動側スラスト摺動面(22c)との間での摩擦損失を適切なものにすることができる。しかしながら、高圧空間(S2)内が十分に高圧の状態になっていない場合には、可動スクロール(22)の押し付け力が不足する。すると、可動スクロール(22)が傾いて固定スクロール(21)から部分的に離反する(いわゆる転覆)等、可動スクロール(22)が不安定な挙動を示す場合がある。
例えば、可動スクロール(22)が不安定な挙動を示すのは、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)との差圧が小さいために押し付け力が不足する場合や、高圧空間(S2)と低圧空間(S1)との差圧がやや小さく、かつ可動スクロール(22)の回転速度が低いために、吐出ポート(Po)や内側の圧縮室(C)から外側の圧縮室(C)内に向かって高圧の冷媒ガスが多く漏れ込んで、圧縮室(C)の内圧が上昇し、これにより離反力が増大して、相対的に可動スクロール(22)に対する押し付け力が不足する場合である。このときには、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して傾く(転覆する)ので、固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(46)に供給された高圧の潤滑油が背圧空間(S3)内に漏れることになる。
そして、可動スクロール(22)が転覆して潤滑油が給油溝(46)から漏れ出すと、その漏れた部分では可動スクロール(22)を支えるための圧力が低下し、固定側スラスト摺動面(21c)と可動側スラスト摺動面(22c)との間での摩擦損失が増大することになる。その上、可動スクロール(22)の転覆によって圧縮室(C)から漏れ出すガスの量が増えると共に、漏れた潤滑油により圧縮室(C)へ吸入されるガスが加熱されるため、効率が低下する。
これに対し、本願発明では、第4通路(40d)の出口(すなわち、給油通路(40)の出口)に、開閉弁(41)を設けた。この開閉弁(41)は、弁体(42)と、弁座(43)と、弾性部材としてのコイルばね(44)とから構成されている。
弁体(42)は、第4通路(40d)の内径よりも外径が小さい球状に形成されている。
弁座(43)は、弁体(42)よりも給油溝(46)寄り(下側)に設けられていて、第4通路(40d)の内周面から径方向内側に突出するように形成されている。弁座(43)には、第4通路(40d)の出口に向かって内径が小さくなる貫通孔(43a)が形成されている。つまり、貫通孔(43a)は、下方に向かって縮径している。貫通孔(43a)の下端の内径は、弁体(42)の外径よりも小さく、このため、貫通孔(43a)は弁体(42)が嵌まり込むように形成されている。弁座(43)の下面は、給油溝(46)に臨んでいる。
コイルばね(44)は、上下方向に延びる姿勢で第4通路(40d)内に配設されている。コイルばね(44)は、上端がプラグ(48)の延長部(48a)の下端部に固定され、下端が弁体(42)に当接している。コイルばね(44)の外径は弁体(42)の外径よりも小さく、弁体(42)はコイルばね(44)の下端に転動可能に嵌まっている(図4を参照)。コイルばね(44)は、プラグ(48)の延長部(48a)と弁体(42)との間に自然長よりも短くなった状態(つまり、圧縮された状態)で配設されていて、弁座(43)に弁体(42)を押し付けている。
ここで、可動スクロール(22)が転覆していない場合、弁体(42)は、可動スクロール(22)の可動側スラスト摺動面(22c)に当接する。このとき、弁体(42)は、可動スクロール(22)に押されることにより、コイルばね(44)の押し付け力に抗して弁座(43)から離れる(図4(A)を参照)。このとき、弁体(42)と弁座(43)との間の間隙は、給油通路(40)を流れてきた潤滑油を給油溝(46)に供給するための流路を構成している。つまり、可動スクロール(22)が転覆していない間(すなわち、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)とが密着している間)は、開閉弁(41)は開いた状態となっており、潤滑油が給油溝(46)に供給される。
一方、可動スクロール(22)が転覆して、第4通路(40d)の出口付近で可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れている場合、弁体(42)は、可動スクロール(22)の可動側スラスト摺動面(22c)から離れる。これにより、弁体(42)は、コイルばね(44)の押し付け力により弁座(43)に密着する(図4(B)を参照)。このとき、弁体(42)が弁座(43)の貫通孔(43a)に嵌まり込んで、弁体(42)と弁座(43)との間は封止される。つまり、可動スクロール(22)が転覆して、第4通路(40d)の出口付近で可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れている間は、開閉弁(41)は閉じた状態となっており、潤滑油が給油溝(46)に供給されることはない。なお、弁体(42)が弁座(43)に密着した状態(すなわち、開閉弁(41)が閉じている状態)において、弁体(42)の一部分(42a)は、固定側スラスト摺動面(21c)から突出する。
−運転動作−
次に、本実施形態に係るスクロール圧縮機(1)の運転動作について説明する。
まず、電動機(31)を駆動させると、駆動軸(32)が回転し、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して公転運動を行う。その際、オルダム継手(26)により、可動スクロール(22)の自転運動が防止される。従って、可動スクロール(22)は、駆動軸(32)の偏心部(32a)の所定偏心量を公転半径とする公転運動を行う。
可動スクロール(22)の公転運動に伴って、圧縮室(C)の容積は周期的に増減を繰り返す。圧縮室(C)の容積が増大すると、冷媒回路の冷媒が吸入管(14)から低圧空間(S1)に吸入される。この低圧空間(S1)内に吸入された冷媒は、固定スクロール(21)の吸入ポート(Pi)から圧縮室(C)に吸入される。次に、圧縮室(C)に吸入された冷媒は、圧縮室(C)の容積が減少することにより、圧縮され、吐出ポート(Po)から吐出される。その後、圧縮された冷媒は、連通路を介して高圧空間(S2)へ流入して、吐出管(15)から冷媒回路に戻る。なお、スクロール圧縮機(1)における冷媒の圧縮動作は従来公知のものと同様であるため、詳しい説明については省略する。
ハウジング(23)の第2凹陥部(24b)内は、高圧空間(S2)に連通しているため高圧状態であり、この第2凹陥部(24b)に面する可動スクロール(22)は、その背面側から固定スクロール(21)に押し付けられる。この押し付け力は、圧縮室(C)の内圧による離反力とは逆向きの力である。
一方、ケーシング(10)下部に位置する貯留部(17)内の潤滑油は、この貯留部(17)が高圧空間(S2)内にあることから、その圧力によって駆動軸(32)の給油孔(32b)内を上方へ押し上げられて、駆動軸(32)内部の分岐(図示せず)から駆動軸(32)の各滑り軸受(22d,25b)に供給される。
そして、滑り軸受(22d)の潤滑に利用された潤滑油の一部は、第2凹陥部(24b)を通過して給油通路(40)に流入する。給油通路(40)に流入した潤滑油は、第1〜第4通路(40a〜40d)を流れて、開いた状態にある開閉弁(41)(図4(A)を参照)を通り、固定スクロール(21)の固定側スラスト摺動面(21c)に形成された給油溝(46)に供給される。このとき、球状に形成された弁体(42)は、可動側スラスト摺動面(22c)の動きに伴って転動するので、潤滑油はスムーズに給油溝(46)に供給される。給油溝(46)内に供給された潤滑油は高圧状態であることから、可動スクロール(22)の押し付け力を緩和して、両スクロール(21,22)間の摩擦損失の増大を防止することができる。
そして、可動スクロール(22)が転覆して、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れると、両者間の隙間が部分的に大きくなるため、給油溝(46)から潤滑油が漏れ出す。ここで、圧縮室(C)内の内圧は、吸入ポート(Pi)と反対側の方がより高圧となっており、その結果、可動スクロール(22)は吸入ポート(Pi)と反対側において固定スクロール(21)から離れやすい。つまり、可動スクロール(22)は、第4通路(40d)の出口付近において固定スクロール(21)から離れやすい。
しかし、第4通路(40d)の出口付近において可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れると、その直後に、弁体(42)がコイルばね(44)に押されて弁座(43)に密着し、開閉弁(41)が閉じた状態となる(図4(B)を参照)。開閉弁(41)が閉じた状態になると、それ以上潤滑油が給油溝(46)に供給されなくなるので、潤滑油が給油溝(46)からさらに漏れ出すことがない。
一方、給油溝(46)内の圧力は、高圧の潤滑油が給油溝(46)に供給されなくなることにより低下する。すると、可動スクロール(22)には押し付け力としての背圧が作用しているため、固定スクロール(21)に強く押し付けられることになり、可動スクロール(22)と固定スクロール(21)との間隔が狭くなって、可動スクロール(22)を転覆状態から転覆前の元の状態に戻すことができる。このとき、開閉弁(41)の弁体(42)は、固定側スラスト摺動面(21c)から突出した一部分(42a)が可動スクロール(22)に押されることにより、コイルばね(44)の押し付け力に抗して弁座(43)から離れる。よって、開閉弁(41)が再び開いた状態となり、給油通路(40)を流れてきた潤滑油が給油溝(46)に供給されるようになる。
上述のように、開閉弁(41)は、可動スクロール(22)が転覆した直後に閉じた状態となるので、潤滑油の供給の停止および給油溝(46)内の圧力の低下は、転覆が生じた後速やかに起こる。よって、給油溝(46)からの潤滑油の漏れを十分に抑制すると共に、可動スクロール(22)を転覆状態から元の状態に速やかに復帰させることができる。
−実施形態1の効果−
本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、給油溝(46)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40)の出口に設けられた開閉弁(41)が、転覆が生じていない時には開く一方、転覆が生じた時にはその直後に閉じるように構成されている。開閉弁(41)が閉じると、それ以上潤滑油が給油溝(46)に供給されなくなる。また、給油溝(46)内の圧力が低下して、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に復帰する。従って、転覆が生じた場合に、給油溝(46)からの潤滑油の漏れを十分に抑制することができると共に、可動スクロール(22)を転覆状態から元の状態に速やかに復帰させることができる。
また、可動スクロール(22)が転覆した場合、コイルばね(44)の押し付け力によって弁体(42)が弁座(43)に密着し、その結果、開閉弁(41)が閉じる。従って、転覆が生じた場合に、開閉弁(41)を確実に閉じた状態とすることができる。また、コイルばね(44)の押し付け力を調節することによって、開閉弁(41)の応答性能を容易に調節することができる。
また、可動スクロール(22)が転覆状態から元の状態に戻るとき、弁体(42)のうち固定側スラスト摺動面から突出した一部分(42a)が、可動スクロール(22)に押される。その結果、弁体(42)が弁座(43)から離れて、開閉弁(41)が開いた状態となる。従って、転覆が生じていない間は、開閉弁(41)を確実に開いた状態にして、給油溝(46)に高圧の潤滑油を供給することができる。
また、弁座(43)に、第4通路(40d)の出口に向かって内径が小さくなる貫通孔(43a)を形成した。これにより、弁体(42)は、貫通孔(43a)の軸心からずれた位置にあったとしても、貫通孔(43a)に容易に嵌まり込むので、転覆が生じた場合に、開閉弁(41)を確実に閉じることができる。また、開閉弁(41)が開いた状態において、球状に形成された弁体(42)が可動側スラスト摺動面(22c)の動きに伴って転動するので、潤滑油を給油溝(46)に十分に供給することができる。
また、給油通路(40)の出口を、圧縮機構(20)の周方向において、吸入ポート(Pi)から約180°隔てて配置した。つまり、開閉弁(41)を、転覆が生じる際に可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れやすい位置に配置した。これにより、開閉弁(41)によって効果的に転覆を抑制することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。実施形態2のスクロール圧縮機(1)では、給油通路(50)、給油溝(56)、および開閉弁(51)が固定スクロール(21)ではなく可動スクロール(22)に設けられている。ここでは、図5および図6を参照しながら、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と異なる部分について説明する。
図6に示すように、本実施形態のスクロール圧縮機(1)では、可動スクロール(22)の可動側スラスト摺動面(22c)に給油溝(56)が形成されている。図示は省略するが、給油溝(56)は、可動側スラスト摺動面(22c)に開口するように形成されていて、平面視で概ね円弧状となっている。給油溝(56)には、給油通路(50)を流れてきた高圧の潤滑油が流入する。
図5および図6に示すように、給油通路(50)は、可動スクロール(22)の鏡板(22a)に形成されている。この給油通路(50)は、ボス(22e)内の底部に連通して上方に延びる第1通路(50a)と、この第1通路(50a)に連通して鏡板(22a)内を径方向外側に延びる第2通路(50b)と、この第2通路(50b)に連通して鏡板(22a)内を上方に延びる第3通路(50c)とから構成されている。第3通路(50c)の上端は、給油溝(56)に連通している。また、第2通路(50b)および第3通路(50c)は、可動スクロール(22)の鏡板(22a)に外側から穴を開けるように形成されていて、それぞれ端部を封止部材(57,58)で封止されている。なお、第3通路(50c)の下端部を封止する封止部材(58)は、上方に突出する凸部(58a)を有している。凸部(58a)の外径は第3通路(50c)の内径よりも小さく、このため、凸部(58a)の周囲には潤滑油が流れる流路が形成されている。
図示を省略するが、第3通路(50c)の出口(すなわち、給油通路(50)の出口)は、圧縮機構(20)の中央部を基準として、吸入ポート(Pi)の反対側に配置されている。つまり、第3通路(50c)の出口は、圧縮機構(20)の周方向において、吸入ポート(Pi)と約180°隔てて配置されている。
第3通路(50c)の出口(すなわち、給油通路(50)の出口)には、開閉弁(51)が設けられている。この開閉弁(51)は、弁体(52)と、弁座(53)と、弾性部材としての板ばね(54)とから構成されている。
弁体(52)は、第3通路(50c)の内径よりも外径が小さい球状に形成されている。
弁座(53)は、弁体(52)よりも給油溝(56)寄り(上側)に設けられていて、第3通路(50c)の内周面から径方向内側に突出するように形成されている。弁座(53)には、第3通路(50c)の出口に向かって内径が小さくなる貫通孔(53a)が形成されている。つまり、貫通孔(53a)は、上方に向かって縮径している。貫通孔(53a)の上端の内径は、弁体(52)の内径よりも小さく、このため、貫通孔(53a)は弁体(52)が嵌まり込むように形成されている。弁座(53)の上面は、給油溝(56)に臨んでいる。
板ばね(54)は、板状部材を概ねV字状に折り曲げた形状となっていて、第3通路(50c)内に配設されている。板ばね(54)は、一端が封止部材(58)の凸部(58a)の上面に固定され、他端が弁体(52)に当接している。板ばね(52)は、封止部材(58)の凸部(58a)と弁体(52)との間に自然状態よりも押し縮められた状態で配設されていて、弁座(53)に弁体(52)を押し付けている。
ここで、可動スクロール(22)が転覆していない場合、弁体(52)は、固定スクロール(21)の固定側スラスト摺動面(21c)に当接する。このとき、弁体(52)は、固定スクロール(21)に押されることにより、板ばね(54)の押し付け力に抗して弁座(53)から離れる。このとき、弁体(52)と弁座(53)との間の間隙は、給油通路(50)を流れてきた潤滑油を給油溝(56)に供給するための流路を構成している。つまり、可動スクロール(22)が転覆していない間(すなわち、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)とが密着している間)は、開閉弁(51)は開いた状態となっており、潤滑油が給油溝(56)に供給される。
一方、可動スクロール(22)が転覆して、第3通路(50c)の出口付近で可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れている場合、弁体(52)は、固定スクロール(21)の固定側スラスト摺動面(21c)から離れる。これにより、弁体(52)は、板ばね(54)の押し付け力により弁座(53)に密着する。このとき、弁体(52)が弁座(53)の貫通孔(53a)に嵌まり込んで、弁体(52)と弁座(53)との間は封止される。つまり、可動スクロール(22)が転覆して、第3通路(50c)の出口付近で可動スクロール(22)が固定スクロール(21)から離れている間は、開閉弁(51)は閉じた状態となっており、潤滑油が給油溝(56)に供給されることはない。なお、弁体(52)が弁座(53)に密着した状態(すなわち、開閉弁(51)が閉じている状態)において、弁体(52)の一部分(52a)は、可動側スラスト摺動面(22c)から突出する。
その他の構成および運転動作については、実施形態1のスクロール圧縮機(1)と同様である。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、給油通路(40,50)は、駆動軸(32)に形成された給油孔(32b)と連通しているが、これに限らず、給油通路(40,50)が駆動軸(32)に形成された給油孔(32b)と連通していなくてもよい。この場合、例えば、貯留部(17)を給油溝(46,56)に直接連通させるような給油経路を形成することが考えられる。
また、上記各実施形態では、給油通路(40,50)の出口は、圧縮機構(20)の周方向において、吸入ポート(Pi)と約180°隔てて配置されているが、これに限らず、給油溝(46,56)に潤滑油を供給できるのであれば、その他の任意の位置に配置されていてもよい。なお、給油通路(40,50)の出口を、吸入ポート(Pi)から圧縮機構(20)の周方向へ90°以上離れた位置に設けた場合、開閉弁(41,51)により効果的に転覆を抑制することができる。
また、上記各実施形態では、給油溝(46,56)は、固定スクロール(21)または可動スクロール(22)に一つのみ形成されているが、これに限らず、例えば、二つ以上の給油溝(46,56)が周方向に並ぶように形成されていてもよい。
また、上記各実施形態では、給油通路(40,50)および開閉弁(41,51)はそれぞれ一つずつ設けられているが、これに限らず、給油通路(40,50)および開閉弁(41,51)をそれぞれ二つ以上設けてもよい。
以上説明したように、本発明は、スクロール圧縮機について有用である。
1 スクロール圧縮機
10 ケーシング
14 吸入管
20 圧縮機構
21 固定スクロール
21c 固定側スラスト摺動面(スラスト摺動面)
22 可動スクロール
22c 可動側スラスト摺動面(スラスト摺動面)
32 駆動軸
40 給油通路
41 開閉弁
42 弁体
42a 一部分
43 弁座
43a 貫通孔
44 コイルばね(弾性部材)
46 給油溝
50 給油通路
51 開閉弁
52 弁体
52a 一部分
53 弁座
53a 貫通孔
54 板ばね(弾性部材)
56 給油溝
C 圧縮室
Pi 吸入ポート

Claims (5)

  1. 固定スクロール(21)および可動スクロール(22)を有する圧縮機構(20)と、上記可動スクロール(22)に係合する駆動軸(32)と、上記圧縮機構(20)および上記駆動軸(32)を収容するケーシング(10)とを備え、
    上記可動スクロール(22)が上記固定スクロール(21)に押し付けられるように構成されているスクロール圧縮機(1)であって、
    上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との一方には、該固定スクロール(21)と該可動スクロール(22)との他方と摺接するスラスト摺動面(21c,22c)に開口して潤滑油が流入する給油溝(46,56)と、該給油溝(46,56)に高圧の潤滑油を供給するための給油通路(40,50)とが形成され、
    上記給油通路(40,50)の出口には、弁体(42,52)を有する開閉弁(41,51)が設けられ、
    上記開閉弁(41,51)は、上記弁体(42,52)が上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)に当接すると開く一方、上記弁体(42,52)が上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)から離れると閉じるように構成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記開閉弁(41,51)は、上記弁体(42,52)よりも上記給油溝(46,56)寄りに設けられた弁座(43,53)と、該弁座(43,53)に上記弁体(42,52)を押し付ける弾性部材(44,54)とを備え、
    上記弁体(42,52)は、上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)に当接すると上記弾性部材(44,54)の押付け力に抗して上記弁座(43,53)から離れる一方、上記固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との他方のスラスト摺動面(21c,22c)から離れると上記弾性部材(44,54)の押し付け力により上記弁座(43,53)に密着するように構成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記弁体(42,52)は、上記弁座(43,53)に密着した状態で、上記給油通路(40,50)が形成された上記固定スクロール(21)または上記可動スクロール(22)のスラスト摺動面(21c,22c)から一部分(42a,52a)が突出する
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項2または3において、
    上記弁体(42,52)は、球状に形成され、
    上記弁座(43,53)には、上記給油通路(40,50)の出口へ向かって縮径して上記弁体(42,52)が嵌まり込む貫通孔(43a,53a)が形成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    上記圧縮機構(20)に対して流体を吸入するための吸入管(14)を備え、
    上記固定スクロール(21)の外縁部には、上記吸入管(14)を該固定スクロール(21)と上記可動スクロール(22)との間に形成される圧縮室(C)に連通させる吸入ポート(Pi)が形成され、
    上記給油通路(40,50)の出口は、上記圧縮機構(20)の周方向において、上記吸入ポート(Pi)と90°以上隔てて配置されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
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