JP2009209820A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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顕治 永原
Yohei Nishide
洋平 西出
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Abstract

【課題】可動スクロールの転覆を防止する。
【解決手段】スクロール圧縮機(1)は、固定スクロール(24)と、可動スクロール(26)と、固定スクロール(24)と上記可動スクロール(26)との摺接面に形成されたスラスト軸受(28)と、スラスト軸受(28)に高圧の油を供給する高圧油供給機構(6)とを備える。高圧油供給機構(6)は、可動スクロール(26)に形成されて、上流端が油室(27)に開口する一方、下流端がスラスト軸受(28)に開口する油供給通路(60)と、油供給通路(60)内に挿入されて外周にスパイラル状通路(60a)を形成する流量制限部材(7)と、高圧油の圧力と吸入圧との差圧が所定値以上のときに油供給通路(60)を連通させる一方、該差圧が所定値未満のときに油供給通路(60)を遮断する弁機構(8)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関するものである。
従来より、ケーシング内に、互いに噛合する渦巻き状のラップが立設された固定スクロールと可動スクロールとを有するスクロール圧縮機が知られている。そして、可動スクロールが固定スクロールに対して自転することなく公転のみを行うことで、両ラップ間に形成される圧縮室の容積を減少させてその内部で冷媒を圧縮するように構成されている。
ところで、このようなスクロール圧縮機においては、冷媒の圧縮により、可動スクロールに軸方向の力であるスラスト荷重とそれとは直交する横方向の力であるラジアル荷重とが作用する。このうちのスラスト荷重は、可動スクロールを固定スクロールから離反させようとする。そこで、このスラスト荷重に対抗するように、例えば可動スクロールの背面側にシールリングで区画された高圧ガスが流通する高圧ガス空間と高圧の油が供給される高圧油空間(油室)とを設け、これら高圧ガス及び高圧油の圧力による背圧によって可動スクロールを固定スクロールに向かって押圧している。
しかしながら、背圧による押付力と圧縮による離反力との関係は、運転状態に応じて変化する。例えば、圧縮前と圧縮後との冷媒の圧力差が大きい高差圧運転時には、背圧による押付力が過剰となる場合がある。そこで、背圧による押付力が過剰とならないように、固定スクロール及び可動スクロール間のスラスト軸受に高圧油を導入して押付力を低減する構造が提案されている。尚、スラスト軸受に油を供給する構成であっても、該スラスト軸受には微小な隙間しか存在せず、そのことが高圧油の流動抵抗となっていて、大量の油が圧縮室内に流れ込むことはない。
ところが、圧縮前と圧縮後との冷媒の圧力差が小さい低差圧運転時等には背圧による押付力が小さく、かかる状況で可動スクロールに作用する力の合力のベクトルがスラスト軸受の外周の外側を通る場合、いわゆる転覆モーメントの作用で可動スクロールが傾斜(転覆)するという問題が生じる。その結果、冷媒が漏れて効率が低下することに加えて、スラスト軸受の油に対する流動抵抗がなくなって大量の油が圧縮室内に流れ込むことという問題がある。このような油の吸入により圧縮室が過熱されて圧縮機の性能が大幅に低下し、油の流量がさらに増えた場合には、圧縮室を区画するラップが破損するという問題が生じる。
そこで、通過する油の流量を常に適量に制限して、低差圧運転時の可動スクロールの転覆時でも圧縮室に大量の油が流れ込まないようにする構成が提案されている(特許文献1参照)。
詳しくは、特許文献1に係る発明では、可動スクロールを固定スクロールに押し付けるようにした圧縮機において、高圧の油を固定スクロールと可動スクロールとの間のスラスト軸受に供給する油供給通路内に、外周にスパイラル状通路を形成する流量制限部材を挿入している。こうすることで、低差圧運転時に可動スクロールが転覆してスラスト軸受での油に対する流動抵抗がなくなってしまうことがあっても、流量制限部材のスパイラル状通路によって十分な絞り効果が得られているため、一気に大量の油が圧縮室内に流れ込むことはない。よって、油が圧縮室に吸入されることによる過熱で圧縮機の性能が大幅に低下したり、圧縮室を構成するラップが破損したりするようなことはない。
特開2004−60532号公報
しかしながら、上記の構成は、転覆時の圧縮室への油の大量流入を防止することはできるが、転覆そのものの発生を解消するものではない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可動スクロールの転覆を防止することにある。
本発明は、スクロール圧縮機の低差圧運転時には、スラスト軸受への給油を停止するようにしたものである。
第1の発明は、固定スクロール(24)と、該固定スクロール(24)に噛合する可動スクロール(26)とを備え、該可動スクロール(26)の背面側に作用する背圧により該可動スクロール(26)を上記固定スクロール(24)に押し付けるようにしたスクロール圧縮機が対象である。そして、上記固定スクロール(24)と上記可動スクロール(26)との摺接面に形成されたスラスト軸受(28)と、上記スラスト軸受(28)に高圧の油を供給する高圧油供給機構(6)とをさらに備え、上記高圧油供給機構(6)は、上記可動スクロール(26)に形成されて、上流端が高圧油空間(27)に、下流端が上記スラスト軸受(28)にそれぞれ開口する油供給通路(60)と、該油供給通路(60)内に挿入されて外周にスパイラル状通路(60a)を形成する流量制限部材(7)と、高圧の油の圧力と上記スラスト軸受(28)における吸入圧との差圧が所定値以上のときに該油供給通路(60)を連通させる一方、該差圧が該所定値未満のときに該油供給通路(60)を遮断する弁機構(8)とを有するものとする。
上記の構成の場合、差圧が所定値以上のときには、上記弁機構(8)によって油供給通路(60)が連通状態とされ、上記固定スクロール(24)と可動スクロール(26)との間のスラスト軸受(28)に油が供給される。このとき、可動スクロール(26)には、圧縮室(40)の冷媒による離反力と、背圧による押付力と、スラスト軸受(28)に供給された油による押し返し力とが作用することになる。その結果、背圧による押付力が過剰になることを防止しつつ、可動スクロール(26)を固定スクロール(24)に押し付けることができる。
一方、差圧が所定値未満のときには、上記弁機構(8)によって油供給通路(60)が遮断される。このとき、可動スクロール(26)には、圧縮室(40)の冷媒による離反力と、背圧による押付力とが作用することになる。すなわち、スラスト軸受(28)に油が供給されず、可動スクロール(26)にはスラスト軸受(28)で発生する押し返し力が作用していない。その結果、可動スクロール(26)を固定スクロール(24)から引き離す力が過剰になることを防止することができ、押付力を十分に確保して、可動スクロール(26)の転覆を防止することができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記弁機構(8)は、上記油供給通路(60)内を移動可能なピストン(81)と該ピストン(81)を該油供給通路(60)を遮断する遮断位置へ付勢するバネ機構(82)とを有し、上記差圧で該ピストン(81)が作動することによって、該油供給通路(60)の連通及び遮断状態を切り換えており、上記油供給通路(60)において、上流側に流量制限部材(7)を、下流側に弁機構(8)を配設しているものとする。
上記の構成の場合、上流側に流量制限部材(7)を、下流側に弁機構(8)を配設することによって、弁機構(8)のピストン(81)には、流量制限部材(7)によって形成されたスパイラル状通路(60a)を通過した後の油が作用することになり、該ピストン(81)を安定的に作動させることができる。
つまり、弁機構(8)を流量制限部材(7)の上流側に配設すると、整流される前の油が弁機構(8)のピストン(81)に作用することになり、いわゆるチャタリングが発生する虞がある。それに対し、弁機構(8)を流量制限部材(7)の下流側に配設することによって、整流された後の油がピストン(81)に作用するため、ピストン(81)のチャタリングを防止して、弁機構(8)を安定的に作動させることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記弁機構(8)は、上記流量制限部材(7)に取り付けられているものとする。
上記の構成の場合、弁機構(8)を流量制限部材(7)に取り付けることによって、油供給通路(60)内に配設する際の作業性を向上させることができ、組立性を向上させることができる。
第4の発明は、第2の発明において、上記可動スクロール(26)は、鏡板(26a)と該鏡板(26a)に立設された螺旋状のラップ(26b)とを有し、上記油供給通路(60)は、該可動スクロール(26)の鏡板(26a)内に形成され、上記鏡板(26a)の外周面には、上記油供給通路(60)と連通する挿入孔(65)が開口されており、上記流量制限部材(7)は、外周にスパイラル状通路(60a)が形成された本体(71)と、上記挿入孔(65)を閉塞する栓部(73)と、該本体(71)と栓部(73)とを連結する連結部(72)とを有しており、上記ピストン(81)は、上記連結部(72)に係合すると共に、該連結部(72)に沿って上記油供給通路(60)内を移動するものとする。
上記の構成の場合、流量制限部材(7)は、本体(71)と栓部(73)と連結部(72)とが一体的に構成されている。すなわち、可動スクロール(26)の鏡板(26a)に開口した挿入孔(65)から流量制限部材(7)を油供給通路(60)内に挿入して該流量制限部材(7)の栓部(73)で挿入孔(65)を閉塞することによって、挿入孔(65)を閉じて油供給通路(60)を形成することできると共に、流量制限部材(7)の本体(71)を油供給通路(60)内に配設することができる。このとき、ピストン(81)は流量制限部材(7)の連結部(72)に係合しているため、本体(71)と共に油供給通路(60)内に配設することができる。つまり、連結部(72)によって本体(71)と栓部(73)とを一体化することができることに加えて、該連結部(72)を利用してピストン(81)を流量制限部材(7)と一体的に構成することができ、さらには、該連結部(72)によって油供給通路(60)内でのピストン(81)の移動をガイドすることができる。
第5の発明は、第2の発明において、上記ピストン(281)は、上記流量制限部材(7)に連結されており、上記ピストン(281)と上記流量制限部材(7)とは、一体となって上記油供給通路(60)内を移動するものとする。
上記の構成の場合、ピストン(281)を流量制限部材(7)に対して固定的に連結し、ピストン(281)と共に流量制限部材(7)も油供給通路(60)内で移動可能に構成することによって、ピストン(281)と流量制限部材(7)との一体構造を簡易にすることができる。
本発明によれば、高圧の油の圧力と上記スラスト軸受(28)における吸入圧との差圧が所定値以上のときに上記油供給通路(60)を連通させる一方、該差圧が該所定値未満のときに該油供給通路(60)を遮断する弁機構(8)を設けることによって、可動スクロール(26)に作用する背圧による押付力が相対的に小さい低差圧運転時には、スラスト軸受(28)に高圧の油を供給することを停止して、可動スクロール(26)の転覆が生じることを防止することができる一方、可動スクロール(26)に作用する背圧による押付力が相対的に大きい高差圧運転時には、スラスト軸受(28)に高圧の油を供給することで押し返し力を発生させて、スラスト軸受(28)における機械損失を抑制することができる。
第2の発明によれば、油供給通路(60)において、上流側に流量制限部材(7)を、下流側に弁機構(8)を配設することによって、弁機構(8)のチャタリングを抑えて、弁機構(8)を安定して作動させることができる。
第3の発明によれば、弁機構(8)を流量制限部材(7)に取り付けることによって、組立性を向上させることができる。
第4の発明によれば、ピストン(81)を、流量制限部材(7)の連結部(72)に係合させると共に、該連結部(72)に沿って油供給通路(60)内を移動可能に構成することによって、流量制限部材(7)の構成を利用して、弁機構(8)の構成を簡易にすることができる。
第5の発明によれば、ピストン(281)を流量制限部材(7)に連結して、該ピストン(281)と流量制限部材(7)とが一体となって油供給通路(60)内を移動可能に構成することによって、ユニット化された弁機構(208)と流量制限部材(7)の構成を簡易にすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。図3は本実施形態1に係るスクロール圧縮機(1)を示し、この圧縮機(1)は、冷媒が循環して冷凍サイクル運転動作を行う図外の冷媒回路に接続され、冷媒を圧縮するものである。この圧縮機(1)は縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング(10)を有する。このケーシング(10)は、上下方向に延びる軸線を有する円筒状の胴部であるケーシング本体(11)と、その上端部に気密状に溶接されて一体接合され、上方に突出した凸面を有する椀状の上壁部(12)と、ケーシング本体(11)の下端部に気密状に溶接されて一体接合され、下方に突出した凸面を有する椀状の底壁部(13)とで圧力容器に構成されており、その内部は空洞とされている。
上記ケーシング(10)の内部には、冷媒を圧縮するスクロール圧縮機構(15)と、このスクロール圧縮機構(15)の下方に配置される駆動モータ(16)とが収容されている。このスクロール圧縮機構(15)と駆動モータ(16)とは、ケーシング(10)内を上下方向に延びるように配置される駆動軸(17)によって連結されている。そして、スクロール圧縮機構(15)と駆動モータ(16)との間には間隙空間(18)が形成されている。
上記スクロール圧縮機構(15)は、上側に開放された略有底円筒状の収納部材であるハウジング(23)と、該ハウジング(23)の上面に密着して配置される固定スクロール(24)と、これら固定スクロール(24)及びハウジング(23)間に配置され、固定スクロール(24)に噛合する可動スクロール(26)とを備えている。ハウジング(23)はその外周面において周方向の全体に亘ってケーシング本体(11)に圧入固定されている。つまり、ケーシング本体(11)とハウジング(23)とは全周に亘って気密状に密着されている。そして、本実施形態1では、ケーシング(10)内がハウジング(23)下方の高圧空間(30)とハウジング(23)上方の低圧空間(29)とに区画されていて、圧縮機(1)はいわゆる高低圧ドーム型のものとされている。
上記ハウジング(23)には、その上面中央を凹陥してなるハウジング凹部(31)と、下面中央から下方に延びるラジアル軸受部(32)とが形成されている。そして、ハウジング(23)には、このラジアル軸受部(32)の下端面とハウジング凹部(31)の底面との間を貫通するラジアル軸受孔(33)が設けられていて、このラジアル軸受孔(33)に上記駆動軸(17)の上端部がラジアル軸受(34)を介して回転可能に嵌入支持されている。
上記ケーシング(10)の上壁部(12)には、冷媒回路の冷媒をスクロール圧縮機構(15)に導く吸入管(19)が気密状に貫通固定されている。また、ケーシング本体(11)には、ケーシング(10)内の冷媒をケーシング(10)外に吐出させる吐出管(20)が気密状に貫通固定されている。上記吸入管(19)は上記低圧空間(29)を上下方向に延び、その内端部はスクロール圧縮機構(15)の固定スクロール(24)を貫通して、後述する圧縮室(40)の吸入ポート(図示省略)に連通しており、この吸入管(19)により圧縮室(40)内に冷媒が吸入されるようになっている。
上記駆動モータ(16)は、ケーシング(10)内壁面に固定された環状のステータ(51)と、このステータ(51)の内側に回転自在に構成されたロータ(52)とを備えたモータで構成され、上記ロータ(52)には、上記駆動軸(17)を介してスクロール圧縮機構(15)の可動スクロール(26)が駆動連結されている。
上記駆動モータ(16)下方の下部空間は高圧に保たれており、その下端部に相当する底壁部(13)の内底部には油が貯留されている。上記駆動軸(17)内には、給油路(55)が形成され、この給油路(55)は後述する可動スクロール(26)背面の油室(27)に連通しており、上記下部空間内のガス圧力により油の油面を加圧して高圧の油を生成し、この高圧の油を後述する第1空間(S1)との差圧を利用して油室(27)へ汲み上げるように構成されている。この差圧により汲み上げられた油は、給油路(55)を通して後述するスクロール圧縮機構(15)の各摺動部分及び油室(27)へ供給される。この油室(27)が高圧油空間を構成する。
上記固定スクロール(24)は、鏡板(24a)と、この鏡板(24a)の下面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ(24b)とで構成されている。一方、上記可動スクロール(26)は、鏡板(26a)と、この鏡板(26a)の上面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ(26b)とで構成されている。そして、上記固定スクロール(24)のラップ(24b)と可動スクロール(26)のラップ(26b)とは互いに噛合しており、このことにより固定スクロール(24)と可動スクロール(26)との間において、両ラップ(24b,26b)の接触部間に圧縮室(40)が形成されている。
上記可動スクロール(26)は、その鏡板(26a)下面の中心部に有底円筒状のボス部(26c)が突設されている。一方、上記駆動軸(17)の上端には偏心軸部(17a)が設けられ、この偏心軸部(17a)は上記可動スクロール(26)のボス部(26c)に回転可能に嵌入されている。さらに、駆動軸(17)における上記ハウジング(23)のラジアル軸受部(32)下側の部分には、可動スクロール(26)や偏心軸部(17a)等と動的バランスを取るためのカウンタウェイト部(17b)が設けられている。このカウンタウェイト部(17b)により重さのバランスを取りながら駆動軸(17)が回転することで、可動スクロール(26)をハウジング(23)内で公転させるようになっている。このとき、可動スクロール(26)は、オルダムリング(39)を介してハウジング(23)に支持されており、自転が防止されている。そして、この可動スクロール(26)の公転に伴い、上記圧縮室(40)は、両ラップ(24b,26b)間の容積が中心に向かって収縮することで上記吸入管(19)より吸入された冷媒を圧縮するように構成されている。
また、上記スクロール圧縮機構(15)には、固定スクロール(24)とハウジング(23)とに亘って、ガス通路(図示せず)が上記圧縮室(40)と間隙空間(18)とを接続するように形成されており、このガス通路により、圧縮室(40)で圧縮された冷媒を間隙空間(18)に流出させるようになっている。
上記可動スクロール(26)の鏡板(26a)の背面側(下面側)には、上記可動スクロール(26)のボス部(26c)と上記駆動軸(17)の偏心軸部(17a)との間に、油室(27)が区画されており、この油室(27)に上記給油路(55)からの高圧油が供給されるようになっている。
そして、上記ハウジング(23)のハウジング凹部(31)には、差圧によって可動スクロール(26)の鏡板(26a)の背面(下面)に圧接するシール部材(43)が設けられている。このシール部材(43)によって、ハウジング凹部(31)はシール部材(43)の外径側の第1空間(S1)と内径側の第2空間(S2)とに区画されている。
上記第2空間(S2)には図示しない通路により高圧ガスが導入されて高圧に保たれており、この高圧ガスの圧力と上記油室(27)の高圧油の圧力との背圧により可動スクロール(26)を固定スクロール(24)に向かって押圧する軸方向の押付力を生じさせる。従って、この第2空間(S2)が可動スクロール(26)の鏡板(26a)の背面(下面)に押付力を作用させる高圧空間を構成する一方、第1空間(S1)は低圧空間を構成している。
また、上記固定スクロール(24)及び可動スクロール(26)の鏡板(24a,26a)同士は各ラップ(24b,26b)の外側部分で互いに対向状態で摺接可能となっており、これらの摺接面間でスラスト軸受(28)が構成されている。
そして、可動スクロール(26)には、このスラスト軸受(28)に高圧油を供給する高圧油供給機構(6)が設けられている。この高圧油供給機構(6)は、上記可動スクロール(26)の鏡板(26a)に形成された油溝(41)と、鏡板(26a)内部に形成され、上流端が油室(27)に開口する一方、下流端が油溝(41)に開口する高圧油供給通路(60)と、該高圧油供給通路(60)内に設けられた流量制限部材(7)と、該高圧油供給通路(60)の連通/遮断状態を切り換える弁機構(8)とを有している。この高圧油供給機構(6)は、給油路(55)からの油を油溝(41)に供給し、この油溝(41)からスラスト軸受(28)への油の流出により可動スクロール(26)を固定スクロール(24)に向けて上記第2空間(S2)の高圧ガスの圧力と油室(27)の高圧油の圧力との背圧による押付力よりも小さい力で押し返すことで、スラスト軸受(28)にかかる軸方向力を抑えて、スラスト軸受(28)における機械損失を低減するようになっている。
油溝(41)は、可動スクロール(26)のスラスト軸受(28)をなす摺接面においてラップ(26b)を取り囲むように環状に形成されている。
高圧油供給通路(60)は、鏡板(26a)内において径方向に延びて形成され、一端がボス部(26c)内方に開口する径方向通路(61)と、該径方向通路(61)と油溝(41)とを連通させる連通路(62)とで構成されている。
径方向通路(61)は、鏡板(26a)の外周面から径方向内方に穿孔された大径の弁収容通路(63)と、弁収容通路(63)の径方向内側端面からさらに径方向内方へボス部(26c)内方まで穿孔されたスクリュー収容通路(64)とで構成されている。スクリュー収容通路(64)は、弁収容通路(63)よりも小径に形成されている。弁収容通路(63)は、鏡板(26a)の外周面に開口しており、この開口が流量制限部材(7)及び弁機構(8)を径方向通路(61)内に挿入するための挿入孔(65)となっている。換言すれば、鏡板(26a)には挿入孔(65)が上記高圧油供給通路(60)の径方向通路(61)を鏡板(26a)の径方向外方に延長するように連続して形成され、この挿入孔(65)の一端は径方向通路(61)と連通し、他端は鏡板(26a)の外周面に開口している。この挿入孔(65)には雌ネジが形成されている。また、上記連通路(62)は、弁収容通路(63)に開口している。
上記流量制限部材(7)は、図2に示すように、外周面に螺旋状に連続する断面台形状のスパイラル溝(71a)が設けられた本体としてのスクリュー部材(71)と、上記挿入孔(65)の雌ネジに螺合する栓部(73)と、スクリュー部材(71)と栓部(73)とを連結する円柱状の連結部(72)と、挿入孔(65)よりも大径の大径部(74)とからなる。連結部(72)は、スクリュー部材(71)よりも小径に形成されている。また、大径部(74)は円板状をしており、その外面には工具を係合するための工具係合部(74a)が設けられている。栓部(73)の外周面には、挿入孔(65)の雌ネジに螺合する雄ネジが形成されている。
また、連結部(72)には、弁機構(8)が配設されている。この弁機構(8)は、連結部(72)に摺動自在に挿通された円盤状のピストン(81)と、該ピストン(81)と栓部(73)との間において連結部(72)に挿通された弦巻バネ(82)とを有している。
ピストン(81)は、連結部(72)に対して摺動可能な程度に嵌め合わされている。また、ピストン(81)の断面積は、弁収容通路(63)の断面積よりも小さく、スクリュー収容通路(64)の断面積よりも大きく設定されている。
弦巻バネ(82)は、圧縮した状態で連結部(72)に挿通されていて、ピストン(81)をスクリュー部材(71)に押し付けている。この弦巻バネ(82)がバネ機構を構成する。
そして、図1に示すように、この流量制限部材(7)は、挿入孔(65)から径方向通路(61)内に挿入された後、上記工具係合部(74a)へ工具を係合させて回転させることによって挿入孔(65)の雌ネジに栓部(73)を螺合させる。こうすることで、流量制限部材(7)が鏡板(26a)に締結固定される。
このとき、大径部(74)の裏面と、挿入孔(65)の開口縁部の鏡板(26a)外周面との間には、流量制限部材(7)を挿通する中心孔を有する円板状の面シール(75)が介設されており、この面シール(75)により流量制限部材(7)が挿入孔(65)に対し液密状にシールされている。こうして、径方向通路(61)の外方側端部が閉塞され、高圧油供給通路(60)が形成される。
尚、面シール(75)の代わりに、栓部(73)外周面に接着剤等よりなるシール材を巻きかけて構成しもてよい。かかる場合、栓部(73)を挿入孔(65)の雌ネジに螺合することで流量制限部材(7)の外周面と挿入孔(65)内周面との間がシールされる。
また、流量制限部材(7)の栓部(73)をPTネジ(管用テーパネジ)として、このPTネジを挿入孔(65)に螺合することでシールしてもよい。このPTネジはネジ部分がテーパ面を有しているため、耐密性が高く、高圧油が可動スクロール(26)の鏡板(26a)の外に漏れ出すことはない。
スクリュー部材(71)は、流量制限部材(7)が径方向通路(61)内に挿入状態において、スクリュー収容通路(64)内に位置し、弁収容通路(63)内にはみ出していない。その結果、径方向通路(61)内への挿入前には、弦巻バネ(82)によってスクリュー部材(71)に押し付けられていたピストン(81)は、スクリュー部材(71)から離れて、弁収容通路(63)の内側端面に押し付けられることになる。つまり、ピストン(81)は、弦巻バネ(82)の付勢力によって、スクリュー収容通路(64)と弁収容通路(63)とを遮断している。
次に、この高低圧ドーム型圧縮機(1)の運転動作について説明する。駆動モータ(16)を駆動すると、ステータ(51)に対してロータ(52)が回転し、それによって駆動軸(17)が回転する。駆動軸(17)が回転すると、スクロール圧縮機構(15)の可動スクロール(26)が固定スクロール(24)に対して自転せずに公転のみ行う。このことにより、低圧の冷媒が吸入管(19)を通して圧縮室(40)の周縁側の吸入ポートから圧縮室(40)に吸引され、この冷媒は圧縮室(40)の容積変化に伴って圧縮される。そして、この圧縮された冷媒は、高圧となって圧縮室(40)から吐出され、ガス通路を通して間隙空間(18)へと流出する。
そして、間隙空間(18)の冷媒は、吐出管(20)に流入してケーシング(10)外に吐出され、ケーシング(10)外に吐出された冷媒は、冷媒回路を循環した後、再度吸入管(19)を通して圧縮機(1)に吸入されて圧縮され、このような冷媒の循環が繰り返される。
一方、油の流れについて説明すると、ケーシング(10)における底壁部(13)の内底部に貯留された油が下部空間内のガス圧により加圧され、この高圧となった油は、低圧空間である第1空間(S1)との差圧により給油路(55)を通してスクロール圧縮機構(15)の各摺動部分及び油室(27)へ供給される。
このとき、第2空間(S2)に導かれた高圧ガスの圧力と油室(27)での高圧油の圧力との背圧により可動スクロール(26)が固定スクロール(24)に向かって所定の押付力で押圧される。この押付力が圧縮室(40)での冷媒の圧縮により可動スクロール(26)に発生した軸方向の力であるスラスト荷重に対抗するものとなる。こうすることで、可動スクロール(26)がスラスト荷重により傾斜(転覆)しないように構成している。
ただし、スクロール圧縮機では、容積比が一定であるため、運転条件が変化することで高圧や低圧が変動しても、冷媒の圧縮による離反力は大幅に変化しないのに対し、背圧による押付力は大幅に変化する。そのため、可動スクロール(26)に作用する背圧を、低差圧運転時において適切な値(即ち、転覆が生じないような値)に設定すると、高差圧運転時に過剰な押付力となってスラスト軸受(28)における機械損失を増大させてしまう。
そこで、この機械損失の増大を解消すべく、高圧油供給機構(6)によりスラスト軸受(28)に高圧油を供給して、押し返し力を発生させることで、機械損失を低減している。詳しくは、油室(27)の高圧油の圧力とスラスト軸受(28)に作用している低圧空間(S1)の圧力(吸入圧)との差圧が所定値(具体的には、ピストン(81)を弁収容通路(63)の内側端面に押し付けている弦巻バネ(82)のバネ力によってピストン(81)に作用している圧力)以上のときには、ピストン(81)が弁収容通路(63)を該内側端面から離れるように移動して、弁収容通路(63)とスクリュー収容通路(64)とを連通させる(即ち、高圧油供給通路(60)を連通させる)。すると、油室(27)の高圧油が高圧油供給通路(60)を介して可動スクロール(26)の鏡板(26a)表面の油溝(41)に供給され、この油溝(41)からスラスト軸受(28)に高圧油が供給される。スラスト軸受(28)に高圧油が供給されると、スラスト軸受(28)には、可動スクロール(26)を固定スクロール(24)から引き離す方向へ押し返し力が発生する。こうして、可動スクロール(26)には、背圧による押付力が固定スクロール(24)に押し付ける方向へ作用する一方、圧縮された冷媒による離反力とスラスト軸受(28)に供給された高圧油による押し返し力とが固定スクロール(24)から引き離す方向へ作用する。
こうすることで、高差圧運転時において可動スクロール(26)に作用する合力を、固定スクロール(24)側に押し付ける方向へ適度な大きさになるように調節して、機械損失が増大することを防止することができる。ただし、スラスト軸受(28)に発生する押し返し力が大きすぎると、可動スクロール(26)が転覆し易くなってしまう。そのため、高圧油供給通路(60)内に流量制限部材(70)を設けることによって、スラスト軸受(28)に供給する高圧油の流量を絞って、適度な押し返し力が生じるように構成している。
しかしながら、このように押し返し力を小さな値に設定したとしても、低差圧運転時においては、背圧による押付力が小さいため、可動スクロール(26)に作用する合力が、可動スクロール(26)の転覆を抑制するのに十分な値よりも小さくなる虞がある。つまり、スラスト軸受(28)に高圧油を供給することが、可動スクロール(26)の転覆を助長する虞がある。
そこで、本実施形態では、上述の如く、高圧油供給通路(60)内に弁機構(8)を設けることによって、低差圧運転時には、スラスト軸受(28)に高圧油を供給しないようにしている。詳しくは、油室(27)の高圧油の圧力とスラスト軸受(28)に作用している低圧空間(S1)の圧力(吸入圧)との差圧が所定値(具体的には、ピストン(81)を弁収容通路(63)の内側端面に押し付けている弦巻バネ(82)のバネ力によってピストン(81)に作用している圧力)未満のときには、ピストン(81)は、弦巻バネ(82)によって弁収容通路(63)の内側端面に押し付けられたままであって、該弁収容通路(63)とスクリュー収容通路(64)とを遮断している(即ち、高圧油供給通路(60)を遮断している)。つまり、スラスト軸受(28)には高圧油が供給されず、上記押し返し力が発生しない。その結果、可動スクロール(26)には、背圧による押付力が固定スクロール(24)に押し付ける方向へ作用する一方、圧縮された冷媒による離反力が固定スクロール(24)から引き離す方向へ作用する。
こうすることで、低差圧運転時において可動スクロール(26)に作用する合力を、固定スクロール(24)側に押し付ける方向に作用させ且つ適度な大きさになるように調節して、可動スクロール(26)の転覆を防止することができる。
したがって、高圧油の圧力と吸入圧との差圧が小さいときには、背圧による押付力が小さくなるため、弁機構(8)で高圧油供給通路(60)を遮断してスラスト軸受(28)に高圧油による押し返し力を発生させないようにすることによって、背圧による押し付け力と圧縮された冷媒による離反力とをバランスさせて、転覆を防止することができる。尚、背圧による押付力は比較的小さいため、スラスト軸受(28)での機械損失は大きくない。
一方、高圧油の圧力と吸入圧との差圧が大きいときには、背圧による押付力が大きくなるため、弁機構(8)により高圧油供給通路(60)を連通させてスラスト軸受(28)に高圧油による押し返し力を発生させることによって、可動スクロール(26)を固定スクロール(24)へ押圧する力を緩和することができ、その結果、スラスト軸受(28)での機械損失を低減することができる。尚、背圧による押付力が比較的大きいため、高圧油による押し返し力を背圧による押付力から差し引いたとしても、可動スクロール(26)に作用する力の合力は可動スクロール(26)の転覆を抑制するのに十分な値となっている。
こうして、高圧油供給通路(60)内に弁機構(8)を設け、低差圧時には該弁機構(8)により高圧油供給通路(60)を遮断させる一方、高差圧時には該弁機構(8)により高圧油供給通路(60)を連通させることによって、低差圧運転時から高差圧運転時までの広い運転領域において、可動スクロール(26)の転覆を抑制しつつ、スラスト軸受(28)における機械損失の増大を防止することができる。
また、高圧油供給通路(60)内に、流量制限部材(7)と弁機構(8)とを配設する構成において、流量制限部材(7)を上流側に、弁機構(8)を下流側に配設することによって、弁機構(8)のピストン(81)には、流量制限部材(7)により整流された高圧油の圧力が作用するため、ピストン(81)が振動してチャタリングが発生することを防止し、ピストン(81)の安定した作動を実現することができる。
また、高圧油供給通路(60)内に弁機構(8)を設ける構成において、弁機構(8)を同じく高圧油供給通路(60)に設けられる流量制限部材(7)とユニット化することによって、流量制限部材(7)及び弁機構(8)を高圧油供給通路(60)内に容易に配設することができ、作業性を向上させることができる。
さらに、弁機構(8)と流量制限部材(7)をユニット化する構成において、径方向通路(61)の径方向内方に位置するスクリュー部材(71)と該径方向通路(61)の径方向外方に位置する栓部(73)とを小径の連結部(72)で連結しているという構成を利用して、弁機構(8)を設けることによって、弁機構(8)の部品点数を増やすことなく、弁機構(8)の構成を簡易にすることができる。
詳しくは、弁機構(8)のピストン(81)を中央に貫通孔が形成された円盤状に形成して、連結部(72)に摺動自在に嵌め合わせることによって、ピストン(81)を連結部(72)に沿って径方向通路(61)内を安定的に移動させることができる。
また、ピストン(81)を連結部(72)に嵌め合わせることによって、ピストン(81)と連結部(72)との間を液密状にシールすることができ、ピストン(81)を弁収容通路(63)の内側端面に押し付けている際に、ピストン(81)と連結部(72)との隙間を介してスクリュー収容通路(64)から弁収容通路(63)へ高圧油が漏出することを抑制することができる。
さらに、弁機構(8)の弦巻バネ(82)を、ピストン(81)と栓部(73)との間において連結部(72)に挿通させることによって、弦巻バネ(82)が抜け落ちることを防止することができると共に、ピストン(81)が移動して弦巻バネ(82)を圧縮させるときに栓部(73)によって弦巻バネ(82)の一端を固定することができる。
さらにまた、連結部(72)はスクリュー部材(71)及び栓部(73)よりも小径であるため、ピストン(81)の貫通孔を連結部(72)に嵌め合う程度に設定し且つ、弦巻バネ(82)の内径を連結部(72)の外径よりも大きく栓部(73)の外径よりも小さく設定することによって、弦巻バネ(82)を圧縮させた状態で、即ち、ピストン(81)をスクリュー部材(71)側に付勢した状態で、該ピストン(81)及び弦巻バネ(82)を流量制限部材(7)に取り付けることができる。
また、流量制御部材(7)を径方向通路(61)内に配設したときに、スクリュー部材(71)の連結部(72)側の端部がスクリュー収容通路(64)内に位置するように構成することによって、径方向通路(61)内に配設前は、スクリュー部材(71)の連結部(72)側端部に押圧されていたピストン(81)が弁収容通路(63)の内側端面に押し付けられることになる。つまり、流量制御部材(7)を径方向通路(61)内に配設するだけで、ピストン(81)を、スクリュー収容通路(64)と弁収容通路(63)とを遮断する遮断位置に配設することができる。
さらに、弦巻バネ(82)のバネ定数の異なったものを用いることで、仕様の変更に容易に対処することができ、スラスト軸受(28)への給油が行われる差圧を適宜に設定することができる。
また、高圧油供給通路(60)に流量制限部材(7)が挿入され、この流量制限部材(7)の外周面のスパイラル溝(71a)と高圧油供給通路(60)の弁収容通路(63)内周面との間にスパイラル状通路(60a)が形成されているので、このスパイラル状通路(60a)は小さい断面積であって、高圧油供給通路(60)の小さなスペース内でも十分な通路長さに保たれる。このため、スパイラル状通路(60a)の断面積を従来のオリフィスに比べて大きくしても十分な絞り効果が得られることとなり、高圧油の中にゴミが混入するような場合でも、通路が目詰まりするようなことはない。
また、流量制限部材(7)のスパイラル状通路(60a)によって十分な絞り効果が得られているため、スクロール圧縮機構(15)による冷媒の圧縮前と圧縮後との圧力差が小さい圧縮機(1)の低差圧運転時に可動スクロール(26)が転覆してスラスト軸受(28)での油に対する流動抵抗がなくなってしまうことがあっても、油室(27)から大量の油が圧縮室(40)内に流れ込むことはない。
従って、油が圧縮室(40)に吸入されることによる過熱で圧縮機(1)の性能が大幅に低下したり、圧縮室(40)を構成するラップ(24b,26b)が破損したりするようなこともない。
また、流量制限部材(7)は鏡板(26a)の外周面に開口する挿入孔(65)から高圧油供給通路(60)に挿入されて固定されているため、上記油の流量を制御する構造が低コストで得られる。
さらに、流量制限部材(7)の基端部には大径部(74)が設けられ、この大径部(74)と挿入孔(65)の開口周縁の鏡板(24a,24b)外周面との間に介在された面シール(75)により、流量制限部材(7)がシールされているため、高圧油の漏れを防止することができる。
さらに、流量制限部材(7)としてスパイラル状通路(60a)のピッチの異なったものを用いることで、流動抵抗の仕様の変更に容易に対処することができ、スラスト軸受(28)における機械損失を低減する適度な力で可動スクロール(26)を固定スクロール(24)から引き離す方向に押し返すことができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係るスクロール圧縮機(201)について説明する。
実施形態2に係るスクロール圧縮機(201)は、高圧油供給機構(206)における流量制限部材(207)及び弁機構(208)の構成が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
実施形態2においては、流量制限部材(207)と弁機構(208)のピストン(281)とが一体に構成されている。
詳しくは、流量制限部材(207)のスクリュー部材(271)と弁機構(208)のピストン(281)とが結合されている。
ピストン(281)は、弁収容通路(63)と同じ断面をしている。ピストン(281)は、その外周面が弁収容通路(63)の内周面と接触した状態で、弁収容通路(63)内を摺動するように構成されている。つまり、ピストン(281)は、その外周面と弁収容通路(63)の内周面との間をシールした状態で、弁収容通路(63)内を移動する。
また、ピストン(281)における、スクリュー部材(271)が結合された端部とは反対側の端部には、弦巻バネ(282)の一端が結合されている。そして、弦巻バネ(282)の他端には、栓部(273)の先端が結合されている。つまり、流量制限部材(207)のスクリュー部材(271)と、弁機構(208)のピストン(281)及び弦巻バネ(282)と、ネジ部(273)とがユニット化されて、一体に形成されている。尚、弦巻バネ(282)は、ピストン(281)やネジ部(273)と結合されていなくてもよい。
ここで、可動スクロール(226)の鏡板(226a)表面側には、スラスト軸受(28)よりも径方向外方の最外周部において、固定スクロール(24)の鏡板(24a)との間に隙間を形成するように削られた段差部(226d)が形成されている。この段差部(226d)は低圧空間(S1)に連通している。そして、鏡板(226a)には、一端がこの段差部(226d)に開口する一方、他端が連通路(62)よりも径方向外方において径方向通路(61)に開口するガス抜き通路(265)が形成されている。
ユニット化された流量制限部材(207)及び弁機構(208)は、スクリュー部材(271)から順に、径方向通路(61)内に挿入して、ネジ部(273)を挿入孔(65)の雌ネジに螺合させることによって、径方向通路(61)内に配設される。この状態において、弦巻バネ(282)はピストン(281)とネジ部(273)との間において圧縮状態にあり、ピストン(281)は、弁収容通路(63)の内側端面に押し付けられている。このとき、ピストン(281)の外周面は、連通路(62)の弁収容通路(63)への開口を塞いでいる。つまり、ピストン(281)は、スクリュー収容通路(64)と連通路(62)とを遮断している。
すなわち、実施形態1のように、油室(27)の高圧油の圧力とスラスト軸受(28)に作用している低圧空間(S1)の圧力(吸入圧)との差圧が所定値(具体的には、ピストン(281)を弁収容通路(63)の内側端面に押し付けている弦巻バネ(282)のバネ力によってピストン(281)に作用している圧力)未満のときには、ピストン(281)は、弦巻バネ(282)によって弁収容通路(63)の内側端面に押し付けられたままであって、該弁収容通路(63)とスクリュー収容通路(64)とを遮断している(即ち、高圧油供給通路(60)を遮断している)。
そして、該差圧が大きくなると、ピストン(281)及びスクリュー部材(271)が弦巻バネ(282)を圧縮変形させながら、径方向通路(61)を径方向外方へ移動する。この移動量が小さい間は、連通路(62)の弁収容通路(63)への開口はピストン(281)の外周面でシールされているため、高圧油供給通路(60)は遮断状態のままである。
このとき、ピストン(281)とネジ部(273)との間の空間のガスは、ガス抜き通路(265)から低圧空間(S1)へ抜けていく。つまり、ピストン(281)は、概ね、弦巻バネ(282)のバネ力にのみ抗して、径方向外方へ移動する。
やがて、ピストン(281)の径方向外方への移動量が大きくなり、ピストン(281)のスクリュー部材(271)側端部が連通路(62)よりも径方向外方に移動すると、連通路(62)が弁収容通路(63)と連通し、高圧油供給通路(60)が連通状態となる。すなわち、ピストン(281)を連通路(62)よりも径方向外方に移動させたときの差圧が、高圧油供給通路(60)の連通及び遮断状態を切り換えるための所定値となる。
尚、こうしてピストン(281)が連通路(62)よりも径方向外方に位置する場合においても、スクリュー部材(271)がスクリュー収容通路(64)内に位置するように、スクリュー部材(271)の長さ及び連通路(62)の位置等が設定されている。こうすることで、スクリュー部材(271)のスパイラル溝(71a)とスクリュー収容通路(64)とでスパイラル状通路(60a)が形成されたままとなり、十分な絞り効果を維持することができる。
したがって、実施形態2によれば、実施形態1のような、ピストン(281)と連結部(72)との嵌め合い構造が不要であるため、流量制限部材(207)及び弁機構(208)の構成を簡易にすることができる。
また、ピストン(281)の外周面によって連通路(62)の弁収容通路(63)への開口を塞いでいるため、高圧油供給通路(60)を遮断しているときのシール性を向上させることができる。
さらに、ガス抜き通路(265)を形成することによって、ピストン(281)を高圧油と吸入圧との差圧に対して線形的に移動させることができ、高圧油供給通路(60)を連通させる該差圧の閾値を容易に調節することができる。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
尚、ピストン(281)の断面を弁収容通路(63)の断面と一致させたまま、実施形態1のように、連結部(72)を設け、ピストン(281)及び弦巻バネ(282)を該連結部(72)に挿通させるように構成してもよい。かかる場合でも、高圧油供給通路(60)を遮断しているときのシール性を向上させることができる。
また、径方向通路(61)は、互いに内径が異なる弁収容通路(63)とスクリュー収容通路(64)とで構成されているが、内径が同じ弁収容通路(63)とスクリュー収容通路(64)とで構成してもよい。この場合、ピストン(281)及びスクリュー部材(271)の外径を径方向通路(61)の内径と略一致させ、ピストン(281)及びスクリュー部材(271)が径方向通路(61)内を摺動するように構成すればよい。こうすることで、高圧油供給通路(60)を遮断しているときのシール性を向上させることができると共に、ピストン(281)及びスクリュー部材(271)が移動しても、スクリュー部材(271)のスパイラル溝(71a)とスクリュー収容通路(64)との間にスパイラル状通路(60a)を形成することができる。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係るスクロール圧縮機(301)について説明する。
実施形態3に係るスクロール圧縮機(301)は、高圧油供給機構(306)における弁機構(308)のバネ機構が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
実施形態3に係るピストン(381)は、実施形態1と同様に、流量制限部材(7)の連結部(72)に摺動自在に嵌め合わされている。ただし、実施形態1のような弦巻バネ(82)は設けられていない。
ここで、ピストン(381)の断面は、実施形態2と同様に、弁収容通路(63)の断面と一致している。つまり、ピストン(381)の外周面は、弁収容通路(63)の内周面と摺接する。
このように構成された弁機構(308)及び流量制限部材(7)は、ピストン(381)を流量制限部材(7)のスクリュー部材(71)に当接させた状態で、径方向通路(61)内に挿入して、栓部(73)を挿入孔(65)の雌ネジに螺合させることによって、径方向通路(61)内に配設される。
このとき、ピストン(381)の外周面は、連通路(62)の弁収容通路(63)への開口を塞いでいる。つまり、ピストン(381)は、スクリュー収容通路(64)と連通路(62)とを遮断している。そして、弁収容通路(63)において、ピストン(381)と栓部(73)との間には空気等のガスで満たされた閉空間が形成される。すなわち、弁収容通路(63)、ピストン(381)及び栓部(73)とで空気バネ(383)を構成している。この空気バネ(383)がバネ機構を構成する。
つまり、油室(27)の高圧油の圧力とスラスト軸受(28)に作用している低圧空間(S1)の圧力(吸入圧)との差圧が、空気バネ(383)から該ピストン(381)に作用する圧力に抗して、ピストン(381)を連通路(62)が弁収容通路(63)に連通する位置まで該弁収容通路(63)の径方向外方へ移動させたときに、高圧油供給通路(60)が連通状態となる。一方、該差圧が、ピストン(381)を連通路(62)が弁収容通路(63)に連通する位置まで移動させるときの空気バネ(383)からの圧力よりも小さいときには、高圧油供給通路(60)は遮断状態となっている。
したがって、実施形態3によれば、実施形態1のような弦巻バネを設ける必要がなく、弁機構(308)の構成を簡易にすることができる。
また、ピストン(381)の外周面によって連通路(62)の弁収容通路(63)への開口を塞いでいるため、高圧油供給通路(60)を遮断しているときのシール性を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
尚、実施形態2のように、連結部(72)が無い構成でもよい。ただし、連結部(72)がある方が、流量制限部材(307)及び弁機構(308)を径方向通路(361)内から取り出し易いため好ましい。
《発明の実施形態4》
次に、本発明の実施形態4に係るスクロール圧縮機(401)について説明する。
実施形態4に係るスクロール圧縮機(401)は、高圧油供給機構(406)における流量制限部材(407)及び弁機構(408)の構成が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
実施形態4においては、高圧油供給通路(460)内において、上流側に弁機構(408)が、下流側に流量制限部材(407)が設けられている。
詳しくは、流量制限部材(407)は、スクリュー部材(471)と、栓部(473)と、スクリュー部材(471)と栓部(473)とを連結する連結部(472)と、さらに、スクリュー部材(471)の先端から延びるガイド棒(476)とを有している。
弁機構(408)は、ガイド棒(476)に摺動自在に挿通された円盤状のピストン(81)と、該ピストン(81)とスクリュー部材(471)との間においてガイド棒(476)に挿通された弦巻バネ(82)とを有している。ピストン(81)は、ガイド棒(476)に対して摺動可能な程度に嵌め合わされている。
高圧油供給通路(460)は、鏡板(26a)内において径方向に延びて形成され、一端がボス部(26c)内方に開口する径方向通路(461)と、該径方向通路(461)と油溝(41)とを連通させる連通路(462)とで構成されている。
径方向通路(461)は、鏡板(26a)の外周面から径方向内方に穿孔されたスクリュー収容通路(464)と、スクリュー収容通路(464)の径方向内側端面からさらに径方向内方へボス部(26c)内方まで穿孔された連通路(465)とで構成されている。連通路(465)は、スクリュー収容通路(464)よりも小径に形成されている。スクリュー収容通路(464)は、鏡板(26a)の外周面に開口しており、この開口が流量制限部材(407)及び弁機構(408)を径方向通路(461)内に挿入するための挿入孔(465)となっている。
そして、これら流量制限部材(407)及び弁機構(408)は、挿入孔(465)から径方向通路(461)内に挿入された後、上記工具係合部(474a)へ工具を係合させて回転させることによって挿入孔(465)の雌ネジに栓部(473)を螺合させる。こうすることで、流量制限部材(407)が鏡板(26a)に締結固定される。
このとき、スクリュー部材(471)は、スクリュー収容通路(464)内において連通路(462)よりも上流側に位置している。また、ピストン(81)は、スクリュー収容通路(464)の径方向内側端面に当接して、弦巻バネ(82)を圧縮変形させた状態となっている。こうして、ピストン(481)は、連通路(465)を塞いで、高圧油供給通路(460)を遮断状態としている。
すなわち、実施形態1のように、油室(27)の高圧油の圧力とスラスト軸受(28)に作用している低圧空間(S1)の圧力(吸入圧)との差圧が所定値(具体的には、ピストン(81)をスクリュー収容通路(464)の内側端面に押し付けている弦巻バネ(82)のバネ力によってピストン(81)に作用している圧力)未満のときには、ピストン(81)は、弦巻バネ(82)によってスクリュー収容通路(464)の内側端面に押し付けられたままであって、該連通路(465)とスクリュー収容通路(464)とを遮断している(即ち、高圧油供給通路(460)を遮断している)。
そして、該差圧が大きくなると、ピストン(81)が弦巻バネ(82)を圧縮変形させながら、スクリュー収容通路(464)を径方向外方へ移動する。すると、ピストン(81)がスクリュー収容通路(464)の内側端面から離れ、連通路(465)がスクリュー収容通路(464)と連通し、高圧油供給通路(460)が連通状態となる。
連通路(465)からスクリュー収容通路(464)へ流入した油は、スクリュー部材(471)で形成されたスパイラル状通路(60a)を通り、連通路(462)を介して油溝(41)へ供給される。そして、油溝(41)からスラスト軸受(28)に高圧油が供給される。
したがって、実施形態4によれば、高圧油供給通路(460)内において、弁機構(408)を上流側に、流量制限部材(407)を下流側に配設する構成であっても、実施形態1と同様に、低差圧時には該弁機構(408)により高圧油供給通路(460)を遮断させる一方、高差圧時には該弁機構(408)により高圧油供給通路(460)を連通させることによって、低差圧運転時から高差圧運転時までの広い運転領域において、可動スクロール(26)の転覆を抑制しつつ、スラスト軸受(28)における機械損失の増大を防止することができる。
また、弁機構(408)を上流側に配設することによって、ガイド棒(476)に対して先端側から弦巻バネ(82)及びピストン(81)の順に挿通すればガイド棒(476)へのセットが完了するため、弁機構(408)の組立性を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
尚、上記各実施形態では、ケーシング(10)内がハウジング(23)下方の高圧空間(30)とハウジング(23)上方の低圧空間(29)とに区画されている高低圧ドーム型の圧縮機(1)としたが、ハウジング(23)上方に一度圧縮室(40)で圧縮された冷媒を放出するようする高圧ドーム型の圧縮機でも本発明の効果が発揮される。
また、上記各実施形態では、高圧油供給手段として差圧を利用して油を供給しているが、遠心ポンプ、容積式ポンプ等を用いても本発明の効果が発揮される。
また、上記各実施形態では、油溝(41)を可動スクロール(26)の鏡板(26a)に設けたが、この油溝を固定スクロールの鏡板に設けてもよい。
さらに、上記各実施形態では、可動スクロール(26)の鏡板(26a)内部に、油室(27)からスラスト軸受(28)に連通する高圧油供給通路(60)を設けたが、これに代えて、固定スクロール(24)の鏡板(24a)又は可動スクロール(26)の鏡板(26a)においてスラスト軸受(28)の摺動面に油溝を形成し、ハウジング(23)内をそのラジアル軸受部(32)から固定スクロール(24)の鏡板(24a)下面においてスラスト軸受(28)外側に当接する上面まで延びた後、固定スクロール(24)の鏡板(24a)内を、上記ハウジング(23)上面に当接する下面からスラスト軸受(28)の摺接面に開口する油溝まで延びる高圧油供給通路を設けてもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、可動スクロールを背圧により固定スクロールに押し付けるスクロール圧縮機について有用である。
本発明の実施形態1に係るスクロール圧縮機の高圧油供給通路の周辺部を拡大して示す断面図である。 流量制限部材及び弁機構を示す正面図である。 スクロール圧縮機の縦断面図である。 実施形態2に係るスクロール圧縮機の高圧油供給通路の周辺部を拡大して示す断面図であって、(A)は高圧油供給通路が遮断状態の場合、(B)は高圧油供給通路が連通状態の場合を示す。 実施形態3に係るスクロール圧縮機の高圧油供給通路の周辺部を拡大して示す断面図であって、(A)は高圧油供給通路が遮断状態の場合、(B)は高圧油供給通路が連通状態の場合を示す。 実施形態4に係るスクロール圧縮機の高圧油供給通路の周辺部を拡大して示
符号の説明
1,201,301,401 スクロール圧縮機
24 固定スクロール
26,226 可動スクロール
26a,226a 鏡板
26b ラップ
27 油室(高圧油空間)
28 スラスト軸受
6,206,306,406 高圧油供給機構
60,460 高圧油供給通路(油供給通路)
60a スパイラル状通路
65 挿入孔
8,208,308,408 弁機構
81,281,381 ピストン
82,282 弦巻バネ(バネ機構)
383 空気バネ(バネ機構)

Claims (5)

  1. 固定スクロール(24)と、該固定スクロール(24)に噛合する可動スクロール(26)とを備え、該可動スクロール(26)の背面側に作用する背圧により該可動スクロール(26)を上記固定スクロール(24)に押し付けるようにしたスクロール圧縮機であって、
    上記固定スクロール(24)と上記可動スクロール(26)との摺接面に形成されたスラスト軸受(28)と、
    上記スラスト軸受(28)に高圧の油を供給する高圧油供給機構(6)とをさらに備え、
    上記高圧油供給機構(6)は、上記可動スクロール(26)に形成されて、上流端が高圧油空間(27)に、下流端が上記スラスト軸受(28)にそれぞれ開口する油供給通路(60)と、該油供給通路(60)内に挿入されて外周にスパイラル状通路(60a)を形成する流量制限部材(7)と、高圧の油の圧力と上記スラスト軸受(28)における吸入圧との差圧が所定値以上のときに該油供給通路(60)を連通させる一方、該差圧が該所定値未満のときに該油供給通路(60)を遮断する弁機構(8)とを有することを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記弁機構(8)は、上記油供給通路(60)内を移動可能なピストン(81)と該ピストン(81)を該油供給通路(60)を遮断する遮断位置へ付勢するバネ機構(82)とを有し、上記差圧で該ピストン(81)が作動することによって、該油供給通路(60)の連通及び遮断状態を切り換えており、
    上記油供給通路(60)において、上流側に流量制限部材(7)を、下流側に弁機構(8)を配設していることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、
    上記弁機構(8)は、上記流量制限部材(7)に取り付けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項2において、
    上記可動スクロール(26)は、鏡板(26a)と該鏡板(26a)に立設された螺旋状のラップ(26b)とを有し、
    上記油供給通路(60)は、該可動スクロール(26)の鏡板(26a)内に形成され、
    上記鏡板(26a)の外周面には、上記油供給通路(60)と連通する挿入孔(65)が開口されており、
    上記流量制限部材(7)は、外周にスパイラル状通路(60a)が形成された本体(71)と、上記挿入孔(65)を閉塞する栓部(73)と、該本体(71)と栓部(73)とを連結する連結部(72)とを有しており、
    上記ピストン(81)は、上記連結部(72)に係合すると共に、該連結部(72)に沿って上記油供給通路(60)内を移動することを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項2において、
    上記ピストン(281)は、上記流量制限部材(7)に連結されており、
    上記ピストン(281)と上記流量制限部材(7)とは、一体となって上記油供給通路(60)内を移動することを特徴とするスクロール圧縮機。
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