JP6749183B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
スクロール圧縮機構は、固定スクロール及び固定スクロールと組になって圧縮室を形成する可動スクロールを有する。そして、スクロール圧縮機は、第1空間から吸入した冷媒を圧縮室で圧縮して第2空間に吐出する。ハウジングは、第1空間内部に取り付けられ、可動スクロールを支持するために用いられる。フローティング部材は、第1空間内でハウジングと可動スクロールとの間に設けられ、可動スクロールに接触して支持するものである。押付構造は、圧縮室で圧縮されている途中の中間冷媒及び圧縮室から吐出される圧縮冷媒のいずれか一方又は両方を用いてフローティング部材を可動スクロールに押し付けることで、可動スクロールを固定スクロールに押し付けるものである。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機10を、図面を参照しながら説明する。なお、下記の実施形態に係るスクロール圧縮機10は、本発明の圧縮機の一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
図1は本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機10が使用される空気調和装置1の概要を示す模式図である。ここでは、冷房運転専用の空気調和装置を示しているが、スクロール圧縮機10が使用される空気調和装置は、暖房運転専用であってもよいし、冷房運転および暖房運転の両方が実施可能なものであってもよい。
図2は本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機10の縦断面の構成を示す模式図である。図3はスクロール圧縮機構60の縦断面の構成の一部を模式的に示す一部拡大図である。図4,5は、それぞれ図3に示すハウジング61及びフローティング部材65を抜き出して示した図である。なお、各図面においては、特徴部分を明確にするために、ハッチング等を適宜省略している。
スクロール圧縮機10は、縦長円筒状のケーシング20を有する。ケーシング20は、上下が開口した略円筒状の円筒部材(胴体部)21と、円筒部材21の上端および下端にそれぞれ設けられた上蓋22aおよび下蓋22bとを有する。円筒部材21と、上蓋22a及び下蓋22bとは、気密を保つように溶接により固定される。
スクロール圧縮機構60は、吐出口32aを有する固定スクロール30と、固定スクロール30と組になって圧縮室Scを形成する可動スクロール40とを有する。そして、スクロール圧縮機構60は、第1空間S1から吸入した冷媒を圧縮室Scで圧縮して第2空間S2に吐出する。
固定スクロール30は、図2,3に示されるように、平板状の固定側鏡板32と、固定側鏡板32の前面(図2,3における下面)から突出する渦巻状の固定側ラップ33と、固定側ラップ33を囲む外縁部34とを有する。固定側ラップ33は、後述する吐出口32aから外縁部34に亘って渦巻き状に延びて形成されるものである(図2,3を参照)。また、固定スクロール30の外縁部34には吸入口(図示せず)が設けられる。この吸入口を介して、吸入管23から流入する冷媒がスクロール圧縮機構60の圧縮室Scに導入される。
可動スクロール40は、図2,3に示されるように、平板状の可動側鏡板41と、可動側鏡板41の前面(図2,3における上面)から突出する渦巻状の可動側ラップ42と、可動側鏡板41の背面(図2,3における下面)から突出する円筒状のボス部43とを有する。
ハウジング61は、円筒部材21に圧入され、仕切部材28の下方に固定される部材である。具体的には、ハウジング61は、図3,4に示すように、上方から、第1ハウジング部61aと、第2ハウジング部61bとを有する。第1ハウジング部61a及び第2ハウジング部61bは、それぞれ略円又は略円弧の形状の断面を有する筒状部を有する部材であり、両者は連続して一体的に形成される。第1ハウジング部61aの内周は第2ハウジング部61bの内周よりも大きい。したがって、ハウジング61は、第1ハウジング部61aから第2ハウジング部61bが延出した形状となる。そして、第2ハウジング部61bの第1ハウジング部61aから延出した延出部分の上面が、後述するフローティング部材65の下面に接することで、フローティング部材65が支持される。なお、この際、第2ハウジング部61bの延出部分の上面とフローティング部材65の下面との間には第1背圧室101の第1径空間101b及び第2背圧室102の第2径空間102bが形成される。詳細については後述する。
フローティング部材65は、第1空間S1内でハウジング61と可動スクロール40との間に設けられ、可動スクロール40に接触して支持する部材である。詳しくは、フローティング部材65は、図3,5に示すように、上面中央部が凹むように形成される第1フローティング部65aと、第1フローティング部65aの下方に形成される第2フローティング部65bと、第1フローティング部65aと第2フローティング部65bとを連結する第3フローティング部65cとを有する。第1フローティング部65aは、可動スクロール40のボス部43が配置される偏心部空間Shの側面を囲むように形成される。一方、第1フローティング部65aは、第1ハウジング部61aに側面が囲まれるように形成される。第2フローティング部65bは、円筒状に形成され、クランクシャフト80の主軸82を軸支する軸受66が設けられる。軸受66に主軸82が挿入されて、主軸82が回転自在に支持される。第3フローティング部65cは、筒状の部材であり、第1フローティング部65aの内側と第2フローティング部65bの外側とを連結する。また、第3フローティング部65cは、第2ハウジング部61bに側面が囲まれるように形成される。
駆動モータ70は、円筒部材21の内壁面に固定された環状のステータ71と、ステータ71の内側に、僅かな隙間(エアギャップ通路)を空けて回転自在に収容されたロータ72とを有する。
クランクシャフト80(駆動軸)は、円筒部材21内に配置され、スクロール圧縮機構60を駆動するものである。具体的には、クランクシャフト80は、駆動モータ70の駆動力を可動スクロール40に伝達する。クランクシャフト80は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置され、駆動モータ70のロータ72と、スクロール圧縮機構60の可動スクロール40とを連結する。
下部ハウジング90は、円筒部材21内の下部に設けられ、クランクシャフト80を軸支するものである。具体的には、下部ハウジング90は、クランクシャフト80の下端側に下部軸受91を有する。これにより、クランクシャフト80の主軸82が回転自在に支持される。なお、下部ハウジング90には、クランクシャフト80の給油経路83に連通するオイルピックアップが固定される。
(3−1)冷媒の圧縮
上述したスクロール圧縮機10の動作について説明する。
上述したスクロール圧縮機10においては、高圧のガス冷媒が、圧縮室Scから吐出室36に吐出される。この際、吐出室36には第1固定スクロール連通孔37aの流入口36aが設けられているので、圧縮室Scで圧縮された圧縮冷媒の一部は、第1固定スクロール連通孔37a及び第1ハウジング連通孔62aを介して第1背圧室101に導出される。これにより、フローティング部材65に対して上方に圧力が加えられる。そして、このフローティング部材65が可動スクロール40に対して上方に圧力を加える。これにより、可動スクロール40が固定スクロール30に押し付けられることになる。
(4−1)
以上説明したように、本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、ケーシング20と、スクロール圧縮機構60と、ハウジング61と、フローティング部材65と、第1背圧室101及び第2背圧室102とを備える。ケーシング20の内部は、第1空間S1及び第2空間S2に仕切られる。スクロール圧縮機構60は、固定スクロール30及び固定スクロール30と組になって圧縮室Scを形成する可動スクロール40を有する。そして、スクロール圧縮機10は、第1空間S1から吸入した冷媒を圧縮室Scで圧縮して第2空間S2に吐出する。ハウジング61は、第1空間S1内部に取り付けられ、可動スクロール40を支持するために用いられる。フローティング部材65は、第1空間S1内でハウジング61と可動スクロール40との間に設けられ、可動スクロール40に接触して支持するものである。第1背圧室101及び第2背圧室102は、圧縮室Scで圧縮されている途中の中間冷媒及び圧縮室Scから吐出される圧縮冷媒のいずれか一方又は両方を用いてフローティング部材65を可動スクロール40に押し付けることで、可動スクロール40を固定スクロール30に押し付けるものである。
また、本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、吸入圧力と吐出圧力との間の中間圧力を有する冷媒を圧縮室Scに導入するためのインジェクション配管25(インジェクション機構)を第1空間S1に備える。このような構成により、いわゆる中間インジェクションを実行することができ、さらに高効率のスクロール圧縮機10を提供できる。また、インジェクション配管25が第1空間S1に設けられるので、インジェクション配管25の過熱が抑制される。
また、本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、仕切部材28を備えているので、ケーシング20内部を、圧力の異なる第1空間S1及び第2空間S2に容易に仕切ることができる。
また、本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、第1背圧室101が、軸方向に形成される第1軸空間101a及び、この第1軸空間101aに連続し、径方向に形成される第1径空間101bを有している。上述した図2,3に示す形態では、第1ハウジング連通孔62aが、第1軸空間101aに連通するように形成されるので、第1ハウジング連通孔62aを容易に加工できる。一方、第1ハウジング連通孔62aの形態はこれに限らず、図6に示すように途中で孔を曲げて、第1径空間101bに連通するようにしてもよい。第1径空間101bに連通する形態では、第2ハウジング部61bと第3フローティング部65cとの間に形成されるOリング64a等を設置するための空間に第1ハウジング連通孔62aが干渉しないので、第2ハウジング部61bの厚さを薄くすることが可能となる。
また、本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、第1背圧室101に圧縮冷媒が導入され、第2背圧室102に中間冷媒が導出される。ここで、第1背圧室101は第2背圧室102より内側に形成されているので、スクロール圧縮機10の運転中においては、背圧室全体の圧力分布は径方向の中心に向かって高くなるように構成される。一方、スクロール圧縮機10の運転中は、圧縮室Sc内の圧力は、径方向の中心向かって高まっていく。したがって、本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、運転中の圧縮室Scの圧力分布に応じて、背圧室の圧力が高くなるように構成されている。このような構成により、最適な押付力で可動スクロール40を固定スクロール30に押し付けることが可能となる。
(5−1)変形例A
上記の説明では、第1空間S1と第2空間62とは仕切部材28により仕切られるとしたが、本実施形態に係るスクロール圧縮機10の構成は、これに限るものではない。例えば、固定スクロール30の構成部材の一部をケーシング20の内壁に沿って気密に嵌め込むことにより、第1空間S1及び第2空間S2を形成してもよい。
上記の説明では、圧縮冷媒が導入される第1背圧室101と中間冷媒が導入される第2背圧室102とを有する構成としたが、本実施形態に係るスクロール圧縮機10の構成は、これに限るものではない。例えば第1背圧室101には中間冷媒が導入され、第2背圧室102には圧縮冷媒が導入される構成であってもよい。また、背圧室の個数は2つでなくてもよい。例えば、単一の背圧室を有し、この背圧室に圧縮冷媒と中間冷媒が導入される構成を採用することも可能である。
上記の説明では、固定スクロール30の吐出口32aに逆止弁として機能する吐出弁35が設けられ、また固定スクロール30に流入口36aが形成される構成としたが、本実施形態に係るスクロール圧縮機10の構成は、これに限るものではない。
20 ケーシング
24 吐出管
24a 逆止弁(逆流阻止機構)
25 インジェクション配管(インジェクション機構)
28 仕切部材
30 固定スクロール
32a 吐出口
34a 流入口
35 吐出弁(逆流阻止機構)
36a 流入口
37a 第1固定スクロール連通孔(導出通路)
37b 第2固定スクロール連通孔(導出通路)
40 可動スクロール
60 スクロール圧縮機構
61 ハウジング
61a 第1ハウジング部
61b 第2ハウジング部
62a 第1ハウジング連通孔(導出通路)
62b 第2ハウジング連通孔(導出通路)
65 フローティング部材
65a 第1フローティング部
65b 第2フローティング部
65c 第3フローティング部
101 第1背圧室(押付構造)
101a 第1軸空間
101b 第1径空間
102 第2背圧室(押付構造)
102a 第2軸空間
102b 第2径空間
S1 第1空間
S2 第2空間
Sc 圧縮室
Claims (5)
- 第1空間(S1)及び第2空間(S2)に内部が仕切られるケーシング(20)と、
固定スクロール(30)及び前記固定スクロールと組になって圧縮室(Sc)を形成する可動スクロール(40)を有し、前記第1空間から吸入した冷媒を前記圧縮室で圧縮して前記第2空間に吐出するスクロール圧縮機構(60)と、
前記ケーシング内の前記第1空間に上下方向に延びるように配置され、前記スクロール圧縮機構を駆動するためのクランクシャフト(80)と、
前記第1空間内部において前記ケーシングに取り付けられるハウジング(61)と、
前記第1空間内で前記ハウジングと前記可動スクロールとの間に設けられ、前記可動スクロールに接触して支持するフローティング部材(65)と、
前記圧縮室で圧縮されている途中の中間冷媒及び前記圧縮室から吐出される圧縮冷媒の両方を用いて前記フローティング部材を前記可動スクロールに押し付けることで、前記可動スクロールを前記固定スクロールに押し付ける押付構造と、
を備え、
前記押付構造は、前記ハウジングと前記フローティング部材との間に形成される背圧室(101,102)を有し、
前記中間冷媒及び前記圧縮冷媒の両方を前記背圧室に導出する導出通路(37a,37b,62a,62b)をさらに備える、
スクロール圧縮機(10)。 - 前記背圧室は、第1背圧室(101)と第2背圧室(102)とを有し、
前記導出通路は、前記圧縮冷媒を前記第1背圧室に導出する第1導出通路(37a,62a)と、前記中間冷媒を前記第2背圧室に導出する第2導出通路(37b,62b)とを有する、
請求項1に記載のスクロール圧縮機。 - 前記ハウジングは、前記固定スクロールの一部に接触して支持する支持面(61s)を有し、
前記導出通路は、前記固定スクロール及び前記ハウジングに前記支持面で連続するように設けられる、
請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。 - 前記第1空間に、吸入圧力と吐出圧力との間の中間圧力を有する冷媒を前記圧縮室に導入するためのインジェクション機構(25)をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。 - 前記ケーシング内部を、圧力の異なる第1空間及び第2空間に仕切ることが可能な仕切部材(28)をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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