JP2013124616A - 流体機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流体機械10は、同軸に連結される第1シャフト110、第2シャフト210を有する2つの回転機構101,102と、第1シャフト110および第2シャフト210に駆動力を出力するモータ103と、潤滑油104が溜められる油貯留部105を有する密閉ハウジング108とを備えている。第1、第2シャフト110,210は、油貯留部105から潤滑油104を流体機械10の各摺動部に供給する給油路14の一部を構成する第1、第2油経路141,142を有している。ここで、油貯留部105から潤滑油104が供給される第1油経路141よりも、第1油経路141を介して潤滑油104が供給される第2油経路142の方が、軸心Sからの偏心量が大きい。
【選択図】図2
Description
また、2つのシャフトを常に軸受の内側で連結できるとは限らないので、連結部を軸受で覆って潤滑油の漏れを抑制する以外にも、給油の安定に寄与できる手段を確保したい。
出力軸は、第1出力軸と第2出力軸とを有して構成されている。
第1出力軸には、油貯留部から潤滑油が供給される第1油経路が形成されている。また、第2出力軸には、第1油経路に連通し、第1油経路を介して潤滑油が供給される第2油経路が形成さている。
そして本発明の流体機械は、第1油経路よりも第2油経路の方が、出力軸の軸心からの偏心量が大きいことを特徴としている。
しかも、単一の出力軸に互いに偏心した第1油経路および第2油経路を形成するのに比べて、第1出力軸に形成される第1油経路、および第2出力軸に形成される第2油経路は、いずれも直線状に加工すればよいので、出力軸の製作が容易となる。
潤滑油は、第1油経路(上流側)から第2油経路(下流側)に供給される過程で、必要な摺動部に供給される。したがって、潤滑油の流量は、上流側では多くする必要があるのに対して、下流側では少なくてよい。そこで、第1油経路の断面積を大きくすることにより、圧力損失を抑えながら、その第1油経路が担う給油分と、第2油経路が担う給油分とを合わせた流量を十分に確保する。一方、下流側に位置する第2油経路では、それ自身が担う給油分に応じた少ない流量で足りるので、断面積が小さくても圧力損失を抑えられる。
第1油経路に対して第2油経路が偏心しているためにその連結部での流路が狭くなると、圧力損失が生じる。そこで、油溜まりを設け、当該連結部での圧力損失を回避することで、第1油経路から第2油経路に向けて潤滑油をスムーズに流すことができる。
この発明によれば、潤滑油が第2油経路を流れる間、連続的に遠心ポンプ効果が得られるので、給油の安定化に寄与できる。
この発明によれば、容積型ポンプを備えることにより、上記遠心ポンプ効果によってのみ潤滑油が汲み上げられる場合よりも、より給油が安定し、各摺動部により確実に給油できる。容積型ポンプとしては、例えば、ギヤポンプ、ベーンポンプ、スクリューポンプ等を採用できる。
なお、以降の説明においては、既に説明した構成と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略または簡略する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、流体機械10は、密閉ハウジング108と、いずれも密閉ハウジング108内に収納される第1の回転機構としてのローリングピストン型圧縮機構101、第2の回転機構としてのスクロール型圧縮機構102、およびモータ103(電動機)を備えている。
また、密閉ハウジング108の底部は、圧縮機構101,102の各部や軸受に供給される潤滑油104が溜められる油貯留部105とされている。
また、第1油経路141が開口した第1シャフト110の下端部110bには、モータ103から出力される回転駆動力を動力源とする回転式の容積型ポンプ(図1に、ポンプの吸込み口17を示す)が設けられている。吸込み口17は、油貯留部105内の潤滑油104に浸漬されている。
給油路14のより具体的な内容は、2つの圧縮機構101,102の構成、およびこれら圧縮機構101,102による多段圧縮工程(低段圧縮・高段圧縮)を説明した後で述べる。
固定スクロール111は、端板112と、端板112に立設された渦巻状のラップ113と、ラップ113を取り囲むように端板112に立設されるとともに、密閉ハウジング108の内壁に固定されたフレーム120にボルト111b等によって固定される周壁114とを備えている。
旋回スクロール116は、端板117と、端板117に立設された渦巻状のラップ118とを備えている。端板117の背面(下面)の中央部には、筒状のボス部119が突設されている。また、端板117の背面は、フレーム120の水平な受面121にて摺動自在に支持されている。
両スクロール111,116は、ラップ113,118を噛み合わせるように組み付けられている。ラップ113,118間には、その上下を端板112,117で囲まれた三日月状の複数の密閉空間SAが形成されている。
また、旋回スクロール116の端板117に下側から対向する第2シャフト210の上端面210tには、第2シャフト210の軸心から偏心した偏心ピン123が固着されている。この偏心ピン123は、端板117のボス部119に摺動自在に嵌挿されている。また、偏心ピン123には、第2シャフト210の第2油経路142に連通する貫通孔123aが形成されている。
さらに、固定スクロール111の周壁114と旋回スクロール116の端板117との間には、旋回スクロール116の自転を阻止する図示しないオルダムリングが介装されている。
そして、圧縮機ロータ134の内周面は、第1シャフト110の外周面に設けられた偏心カム部135に固定されている。
このとき、ローリングピストン型圧縮機構101では、第1シャフト110の回転による偏心カム部135の偏心回転に伴って、圧縮機ロータ134がシリンダ室133内で偏心回転する。これにより、作動ガスが吸込管136およびシリンダ室133の吸入ポート(図示しない)を通してシリンダ室133内へ吸い込まれ、シリンダ室133で圧縮される。その後、作動ガスは、吐出ポートから一旦、ローリングピストン型圧縮機構101の外側(密閉ハウジング108内部)に吐出される。
ここでの圧縮工程によって、作動ガスが低圧から中間圧にまで圧縮される(低段圧縮)。
そして、圧縮された作動ガスは、順次、端板112に形成された吐出ポート115、逆流防止用の逆止弁128、端板112上に形成された吐出キャビティ127、および密閉ハウジング108の上部壁を貫通して外部に延出した吐出管129を介して、密閉ハウジング108の外部へ吐出される。
ここでの圧縮工程によって、作動ガスが中間圧から高圧にまで圧縮される(高段圧縮)。
第1シャフト110の第1油経路141は、図2に示すように。第1シャフト110と同軸上に形成されている。第2シャフト210の第2油経路142は、第1シャフト110の軸心(軸心S)に沿って形成されている。ただし、第2油経路142は、その開口中心が軸心Sから偏心している。第1油経路141と第2油経路142とは、第1シャフト110と第2シャフト210との連結部24において、互いに連通している。
第1、第2シャフト110,210は、上記の第1,第2油経路141,142のほかに、図示を省略するが、第1,第2油経路141,142からそれぞれ分岐する分岐路を有している。この経路から各摺動部に向けて、潤滑油104が供給される。
さらに、第1、第2シャフト110,210の連結部24を介して、第1油経路141から第2油経路142へと潤滑油104が流入すると、分岐路を通じてフレーム120の受面121や、軸受122に給油される。そして、第2油経路142の上端から偏心ピン123の貫通孔123aに流入した潤滑油104は、貫通孔123aの上端から溢れて偏心ピン123の外周面とボス部119の内周面との間に給油される。
その後、上記の各摺動部から滴下した潤滑油104は、油貯留部105に溜められる。
しかし、第1油経路141よりも第2油経路142の方が軸心Sからの偏心量が大きいために、第2油経路142の下端では第1油経路141の上端よりも遠心力が大きい。これに伴う軸心S近傍での圧力差によって、第1油経路141から第2油経路142に向けて潤滑油104が汲み上げられる遠心ポンプ効果が生じるため、潤滑油104の上向きの流れが促進される。したがって、本実施形態の流体機械10によれば、上方に配置された摺動部にも潤滑油104が不足することなく安定して供給される。
ここで、本実施形態が容積型ポンプを備えていなくても、上記遠心ポンプ効果により、油貯留部105内の潤滑油104を第1油経路141に汲み上げることができるので、容積型ポンプ17を備えることは必須ではない。但し、容積型ポンプ17を備えていれば、潤滑油104を汲み上げる能力が高まるので、潤滑油104の粘度や流体機械10の運転状態(回転数)に影響を受けることなく給油がより安定し、各摺動部により確実に給油できる。
これに対して、分割されていない単一のシャフト(素材)の場合には、一方端から所定の深さまで切削して第1油経路141を形成した後に、他方端から所定の深さまで切削して第2油経路142を形成する。その場合、第1油経路141を形成した後に第2油経路142を形成するのにシャフト素材の向きを変えることがあるのに加えて、切削深さを調整する必要がある。
したがって、シャフト100を第1、第2シャフト110,210に分割して構成する本実施形態によれば、単一のシャフト素材に互いに偏心した第1、第2油経路141,142を形成するのに比べて、第1、第2油経路141,142を容易に形成できる。
ここで、シャフト100全長の1/2程度の位置で第1シャフト110と第2シャフト210とを連結すれば、油経路を切削する孔加工に際して、シャフト1つあたりの加工長を短く抑えることができるので(ドリル長さを短くできる)、加工が容易となり、油経路の寸法精度も出し易い。
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。
第1シャフト110の上端部110aには、その端面110sから下側に向けて窪む円筒状の油貯まり28が形成されている。
油貯まり28は、その下側が第1油経路141の開口端に連続するとともに、その上側が第2油経路142の開口端に対向している。つまり、油貯まり28を介して、第1油経路141と第2油経路142とが連通している。この油貯まり28は、第1油経路141と第2油経路142とを平面方向において包含する大きさの開口を有している。
(1)油貯まり28は、上述のように、第1、第2油経路141,142の両者に連通し、かつ、第1、第2油経路141,142の両者を包含する大きさの開口径を有している。この油溜まり28により、第1、第2油経路141,142の境界部分で生ずる圧力損失を解消できる。
(2)第1、第2油経路141,142を油貯まり28を介することなく直接連通させる場合、その加工精度により、第1、第2油経路141,142が位置ずれを起こすことがある。そうすると、第1、第2油経路141,142の境界部の絞りの開口径にばらつきが生ずる。しかし、油貯まり28を介在させれば、このばらつきが解消されるので、第1油経路141から第2油経路142に潤滑油104を安定して供給できる。
(3)第1油経路141に対する第2油経路142の偏心量を大きくすると、両者が平面方向で重ならなくなるので、第1、第2油経路141,142を直接連通させることができないことがある。しかし、油貯まり28を設けることで、このような場合でも、第1油経路141から第2油経路142に向けて潤滑油104を供給することができる。
なお、油貯まり28の容積を大きくし過ぎると、そこに貯まる潤滑油104の量が多くなるために、下流への潤滑油104の供給が迅速に行えなくなるおそれがある。したがって、油貯まり28の寸法および形状を設定するにはこの点をも考慮することが望まれる。適切に設定すれば、油貯まり28を含めた給油路14の上流から下流にかけて潤滑油104で満たされる時間が短くなるので、給油路14を通じた各摺動部への給油が迅速に行われる。これによって、圧縮機10の起動直後から、圧縮機ロータ134や、ロータ103b、および旋回スクロール116を円滑に駆動させることができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図4を参照して説明する。
本実施形態では、第1油経路141の開口径D1と、第2油経路142の開口径D2とを比べると、D1の方が大きく、D2の方が小さい。換言すれば、第1油経路141の断面積の方が大きく、第2油経路142の断面積の方が小さい。
潤滑油104は、上流から下流に流れる過程で、必要な摺動部分に供給される。したがって、潤滑油104の流量は、上流側ほど多く確保する必要があるのに対して、下流側では少なくてよい。第3実施形態は、上流、下流における潤滑油104の供給量の相違に基づいて、開口径D1と開口径D2とを定めることを主旨としている。
一方、第1油経路141に続く第2油経路142では、第2油経路142が担う摺動部への給油に足りる流量でよいので、その流量に見合う小さい断面積とされる。流量が少ないため、断面積が小さくても圧力損失が抑えられる。また、第2油経路142の断面積が小さくされると、そこを流れる潤滑油104の流速を上げることができる。このため、給油路14の下流まで潤滑油104が迅速に満たされるので、起動直後から流体機械10を円滑に駆動させることができる。
以上から、第1油経路141の断面積を相対的に大きく、第2油経路142の断面積を相対的に小さくすることにより、第1、第2油経路143,142のいずれにおいても、圧力損失とのバランスをとりながら、必要な流量を十分に確保しつつ、起動直後から流体機械10を円滑に駆動させることができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図5を参照して説明する。
本実施形態の第2シャフト230は、その軸心Sから偏心した第2油経路144を有している。この第2油経路144は、下端144bから図示しない上端に向かうにつれて、次第に軸心Sからの偏心量が大きくなる。つまり、第2油経路144は、鉛直方向に対して傾いている。第2油経路144の下端144bは第1油経路141の孔位置に一致しているが、第2油経路144の図示しない上端は、例えば、第1実施形態(図2)の第2油経路142と同様の偏心量で、軸心Sから偏心している。
さらに、本実施形態では、連結部24において、開口径の等しい第1油経路141と第2油経路144との位置が一致するため、連結部24の前後で開口径が一定である。したがって、第4実施形態では連結部24の絞りに起因する圧力損失が生じないため、第1実施形態よりも、給油の安定性に優れる。
次に、本発明の第5実施形態について、図6を参照して説明する。
図6(a)に示すように、第1シャフト110の上端部110aと第2シャフト210の下端部210bとの間には、第1油経路141および第2油経路142を囲むように、環状のOリング31が設けられている。
このOリング31は、上端部110aの先端面(凸部35の頂部)に形成された環状の溝110gに保持されるとともに、第2シャフト210の下端部210bとの間に、その弾性により圧縮された状態で設けられている。
また、図6(b)に示すように、Oリング31に代えて、金属製等のガスケット32を設けることもできる。このようにしても同様の効果が得られる。
なお、Oリング31やガスケット32を設ける位置は、その機能を発揮できる限り任意であり、例えば、凸部35の基部33と、第2シャフト210の凹部36の側壁先端部34との間に設けることもできる。
14 給油路
24 連結部
28 凹部
31 Oリング(シール部材)
32 ガスケット(シール部材)
33 基部
34 側壁先端部
35 凸部
36 凹部
100 シャフト
101 ローリングピストン型圧縮機構(第1の回転機構)
102 スクロール型圧縮機構(第2の回転機構)
103 モータ
103a ステータ
103b ロータ
104 潤滑油
105 油貯留部
108 密閉ハウジング
110 第1シャフト
110a 上端部
110b 下端部
110g 溝
110s 端面
111 固定スクロール
111b ボルト
112 端板
113 ラップ
114 周壁
116 旋回スクロール
117 端板
118 ラップ
119 ボス部
120 フレーム
120a 貫通孔
121 受面
122 軸受
123 偏心ピン
123a 貫通孔
127 吐出キャビティ
128 逆止弁
129 吐出管
130 シリンダ
131 主軸受体
132 副軸受体
133 シリンダ室
134 圧縮機ロータ
135 偏心カム部
136 吸込管
137 通路
141,143 第1油経路
142,144 第2油経路
144b 下端
210,230 第2シャフト
211 外周面
210b 下端部
210s 端面
210t 上端面
S 軸心
SA 密閉空間
Claims (6)
- 回転駆動力を出力するモータと、
前記モータの前記出力により駆動される第1の回転機構と、
前記モータの前記出力により駆動される第2の回転機構と、
前記第1の回転機構および第2の回転機構に前記モータの前記出力を伝達するとともに、内部に潤滑油が通る油経路が形成される出力軸と、
前記潤滑油が溜められる油貯留部と、
を備える流体機械であって、
前記出力軸は、
前記油貯留部から前記潤滑油が供給される第1油経路が形成された第1出力軸と、
前記第1油経路に連通し、前記第1油経路を介して前記潤滑油が供給される第2油経路が形成された第2出力軸と、を有して構成され、
前記第1油経路よりも前記第2油経路の方が、前記出力軸の軸心からの偏心量が大きい、ことを特徴とする流体機械。 - 前記第1油経路は、前記第2油経路よりも断面積が大きい、
請求項1に記載の流体機械。 - 互いに連通する前記第1油経路と前記第2油経路との間に、前記潤滑油を通過させる油溜まりが形成されている、
請求項1または2に記載の流体機械。 - 前記第2油経路は、前記第1油経路から離間するにつれて次第に前記軸心からの偏心量が大きくなる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の流体機械。 - 前記第1出力軸と前記第2出力軸との間を密閉するシール部材が設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の流体機械。 - 前記油貯留部内の前記潤滑油を前記油経路に汲み上げる容積型ポンプを備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体機械。
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