以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1~図4を参照して説明する。本実施形態では、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置1に本開示の圧縮機10を適用した例について説明する。冷凍サイクル装置1は、例えば、ヒートポンプ式の給湯機や、室内を空調する空調装置に採用される。 図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機10、圧縮機10から吐出された冷媒を放熱させる放熱器2、放熱器2から流出した冷媒を減圧させる減圧機器3、減圧機器3で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器4を含んでいる。
冷凍サイクル装置1は、冷媒としてフロン系冷媒(例えば、R134a、R1234yf)が採用されている。冷媒には、圧縮機10の内部の各摺動部位を潤滑する潤滑油が混合されている。潤滑油の一部は、冷媒とともにサイクル内を循環する。なお、冷媒としては、フロン系冷媒に限らず、例えば、二酸化炭素等の自然冷媒が採用されていてもよい。 以下、図2を参照して圧縮機10の詳細について説明する。図2は、圧縮機10の駆動軸14の軸心CLに沿って切断した断面を示す軸方向断面図である。なお、図2に示す上下を示す矢印は、圧縮機10を冷凍サイクル装置1に搭載した状態における上下方向DRvを示している。
図2に示すように、圧縮機10は、外殻を構成する金属製のハウジング12の内部に、駆動軸14、電動機20、およびスクロール型の圧縮機構30が収容されている。圧縮機10は、電動機20を動力源として駆動軸14が回転し、当該駆動軸14の回転に伴って圧縮機構30が駆動される電動圧縮機である。圧縮機10は、駆動軸14の軸心CLが略水平方向に延びるとともに、圧縮機構30と電動機20とが略水平方向に並んで配置される横置タイプの圧縮機で構成されている。
ハウジング12は、有底筒状のメインハウジング部121、メインハウジング部121の開口を閉塞するサブハウジング部122を備えている。ハウジング12は、メインハウジング部121およびサブハウジング部122が図示しないボルト等の締結手段によって気密に締結される密閉容器構造を有している。なお、メインハウジング部121およびサブハウジング部122は、溶接等の接合手段によって気密に接合されていてもよい。
ハウジング12には、蒸発器4を通過した低圧冷媒を吸い込む吸込口123、および圧縮機構30で圧縮された高圧冷媒を吐出する吐出口124が形成されている。吸込口123には、蒸発器4に連なる図示しない吸入配管が接続されている。また、吐出口124には、後述する油分離部50の分離パイプ51が圧入等によって固定されている。なお、圧縮機構30で圧縮された高圧冷媒は、吐出口124に固定された油分離部50の分離パイプ51を介して放熱器2に向けて吐出される。
具体的には、吸込口123は、メインハウジング部121の筒状の胴部121aのうち底面部121bに近い位置に設けられている。また、吐出口124は、サブハウジング部122の筒状の胴部122aのうち底面部122bに近い位置に設けられている。メインハウジング部121の内側の空間は、低圧雰囲気となる。すなわち、メインハウジング部121の内側の空間は、吸込口123から蒸発器4を通過した低圧冷媒が流入するので、雰囲気圧力が蒸発器4を通過した低圧冷媒と同等の圧力となる。
電動機20は、後述するインバータ25からの給電により駆動される三相交流モータで構成されている。電動機20は、ステータ21の内側にロータ22が配置されるインナーロータモータとして構成されている。
ステータ21は、磁性材からなるステータコア211、ステータコア211に巻き付けられたコイル212を有する。ステータ21は、後述するインバータ25から電力が供給されると、ロータ22を回転させる回転磁界を発生させる。
ロータ22は、内側に駆動軸14が圧入等によって固定された円筒状の部材である。ロータ22の内部には、図示しない永久磁石が配置されている。また、ロータ22の側面には、駆動軸14の偏心回転を抑えるためのバランスウェイト221、222が取り付けられている。
インバータ25は、ステータ21に対して電力を供給する装置である。インバータ25は、ハウジング12の外側に対して取り付けられている。具体的には、インバータ25は、メインハウジング部121のうち吸込口123に近い底面部121bに対して取り付けられている。これにより、インバータ25は、吸込口123から吸い込まれる低温の低圧冷媒によって冷却される。
このように構成される電動機20は、インバータ25からステータ21に電力が供給されてステータ21の周囲に回転磁界が発生すると、ロータ22および駆動軸14が一体に回転する。
駆動軸14は、略円筒状の部材で構成されている。駆動軸14には、駆動軸14の摺動部位に潤滑油を供給するための油供給路140が形成されている。油供給路140は、軸方向DRaの一方側が閉塞され、軸方向DRaの他方側が開口している。油供給路140は、駆動軸14の他方側端部に形成された開口部144から駆動軸14の軸方向DRaに沿って延びるように形成されている。
油供給路140は、上流側油供給路140aおよび下流側油供給路140bにより構成されている。上流側油供給路140aおよび下流側油供給路140bは、それぞれ流路断面が円形状を成している。
上流側油供給路140aは、駆動軸14内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する。下流側油供給路140bは、駆動軸14内を軸方向に延びるように上流側油供給路140aからの潤滑油が流れる流路を形成する。
下流側油供給路140bは、上流側油供給路140aよりも軸方向DRaの一方側に形成され、上流側油供給路140aは、下流側油供給路140bよりも軸方向DRaの他方側に形成されている。駆動軸14の他方側端部に形成された開口部144から供給された潤滑油は、上流側油供給路140aから下流側油供給路140bへと流れるようになっている。
本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aの方が下流側油供給路140bよりも流路断面積が大きくなっている。具体的には、上流側油供給路140aの直径である内径d1は、下流側油供給路140bの直径である内径d2よりも大きくなっている。
第1副給油路143aは、上流側油供給路140aと、駆動軸14のうち後述する第1軸受部材18に支持される摺動部位14bとの間を連通している。第2副給油路143bは、下流側油供給路140bと、駆動軸14のうち後述する第2軸受部材16に支持される摺動部位14aとの間を連通している。
第1副給油路143aは、上流側油供給路140aから第1軸受部材18へ向けて駆動軸14の側壁を貫通して延びている。また、第2副給油路143bは、下流側油供給路140bから第2軸受部材16へ向けて駆動軸14の側壁を貫通して延びている。
本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aの軸心が駆動軸14の軸心CLと一致している。すなわち、上流側油供給路140aが駆動軸14と同軸に配置されている。
また、本実施形態の圧縮機10は、下流側油供給路140bが駆動軸14の軸心CLよりも第2副給油路143b側に偏心して配置されている。
また、本実施形態の圧縮機10は、下流側油供給路140bが上流側油供給路140aの内径d2内に収まるように偏心配置されている。具体的には、駆動軸14の他方側端部に形成された開口部144側からドリルによる穴あけ加工により下流側油供給路140bおよび上流側油供給路140aが形成されている。
駆動軸14のうちロータ22とフランジ部142との間の部位は、ロータ22よりも軸方向DRaの他方側に突き出ている。駆動軸14のうち軸方向DRaの他方側に突き出た部位は、第1軸受部材18によって回転自在に支持されている。
第1軸受部材18は、ハウジング12の内側に収容されるミドルハウジング181を含んでいる。ミドルハウジング181は、軸方向DRaの一方側から他方側に向かって内径および外径が階段状に拡大する円筒形状を有している。ミドルハウジング181は、その最外周面がメインハウジング部121の胴部121aに当接した状態で固定されている。また、ミドルハウジング181のうち内径の最も小さい小径部位181aの内側が、駆動軸14のうちロータ22よりも軸方向DRaの他方側に突き出た部位を回転自在に支持している。
ミドルハウジング181のうち小径部位181aよりも内径が拡大された中間部位181bには、前述のフランジ部142およびバランスウェイト142aが収容されている。また、ミドルハウジング181のうち内径が最も拡大された大径部位181cには、圧縮機構30の旋回スクロール34が収容されている。
駆動軸14の軸方向DRaの一方側は、ロータ22よりも軸方向DRaの一方側に突き出ている。駆動軸14のうち軸方向DRaの一方側に突き出た部位は、第2軸受部材16によって回転自在に支持されている。
第2軸受部材16は、介在部材17を介してメインハウジング部121の胴部121aに固定されている。介在部材17は、上下方向DRvに拡がる環状の板部171、板部171の外周部から屈曲して軸方向DRaの一方側に延びる筒部172を有している。介在部材17は、例えば、筒部172がメインハウジング部121の胴部121aに当接した状態で固定されている。なお、介在部材17には、吸込口123から導入された冷媒を電動機20側に流すための貫通穴173が形成されている。
第2軸受部材16は、滑り軸受を構成する筒状部161、および筒状部161の端部から上下方向DRvに拡がる連結部162を含んで構成されている。連結部162は、介在部材17の板部171に対してボルトB1によって締結固定されている。
駆動軸14の軸方向DRaの他方側は、ロータ22よりも軸方向DRaの他方側に突き出ている。駆動軸14のうち軸方向DRaの他方側に突き出た部位には、軸方向DRaの他方側の端部に駆動軸14の回転中心から偏心した偏心軸部141が設けられている。偏心軸部141は、後述する圧縮機構30の旋回スクロール34のボス部342に形成される偏心軸受部342aによって摺動可能に支持されている。
また、駆動軸14のうち軸方向DRaの他方側に突き出た部位には、上下方向DRvに拡がるフランジ部142が形成されている。フランジ部142には、駆動軸14の偏心回転を抑えるためのバランスウェイト142aが設けられている。
圧縮機構30は、駆動軸14の回転に伴って吸込口123から吸い込まれた低圧冷媒を圧縮するものである。圧縮機構30は、ハウジング12に対して固定された固定スクロール32、軸方向DRaに固定スクロール32と並ぶように配置された旋回スクロール34を含んで構成されている。圧縮機構30は、駆動軸14の回転に伴って旋回スクロール34が公転する際に固定スクロール32と噛み合うことで冷媒を圧縮する。
旋回スクロール34および固定スクロール32は、旋回スクロール34が軸方向DRaの一方側に配置され、固定スクロール32が軸方向DRaの他方側に配置されている。旋回スクロール34は、円盤状に形成された旋回基板部341を有する。旋回基板部341は、その略中心部に駆動軸14の偏心軸部141が摺動可能に挿入される円筒状のボス部342が形成されている。ボス部342は、その内側の部位が、偏心軸部141を摺動可能に支持する偏心軸受部342aを構成している。
旋回スクロール34には、偏心軸部141の周りを自転することを防止する自転防止機構を構成するオルダムリング36が連結されている。これにより、旋回スクロール34は、駆動軸14が回転すると、偏心軸部141の周りを自転することなく、駆動軸14の軸心CLを公転中心として公転する。換言すれば、旋回スクロール34は、駆動軸14が回転すると、駆動軸14の軸心CLを中心として旋回する。
旋回スクロール34とミドルハウジング181との間には、円環状に構成された2枚のスラストプレート184、343が配置されている。2枚のスラストプレート184、343のうちミドルハウジング181側のスラストプレート184は、ミドルハウジング181に対して固定されている。また、旋回スクロール34側のスラストプレート343は、旋回スクロール34と一体的に回転するように旋回スクロール34に対して固定されている。
旋回スクロール34には、旋回基板部341から固定スクロール32側に向かって突き出る渦巻き状の旋回歯部344が形成されている。図示しないが、旋回歯部344には、固定スクロール32側の先端部にチップシールが装着されている。
一方、固定スクロール32は、円盤状に形成された固定基板部321を有する。固定スクロール32には、固定基板部321から旋回スクロール34側に向かって突き出る渦巻き状の固定歯部322が形成されている。具体的には、固定基板部321には、渦巻き状の溝部が形成されており、当該渦巻き状の溝部の側壁が固定歯部322を構成している。図示しないが、固定歯部322には、旋回スクロール34側の先端部にチップシールが装着されている。
固定スクロール32および旋回スクロール34は、固定歯部322と旋回歯部344とが噛み合って複数箇所で接触することによって、三日月状の作動室31が複数箇所形成される。なお、図2では、図示の都合上、複数個の作動室31のうち1つの作動室にだけ符号を付している。
作動室31は、旋回スクロール34が公転することによって外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。図示しないが、作動室31には、ミドルハウジング181等に形成された冷媒供給通路を通じて、吸込口123からハウジング12内に吸い込まれた冷媒が供給されるようになっている。作動室31内の冷媒は、作動室31の容積が減少することによって圧縮される。
固定基板部321の中心部には、作動室31で圧縮された冷媒を吐出する吐出穴323が形成されている。固定基板部321には、作動室31への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなす図示しないリード弁と、リード弁の最大開度を規制するストッパ324が設けられている。なお、リード弁およびストッパ324は、固定基板部321に対してボルトB2によって締結固定されている。
ここで、旋回スクロール34は、圧縮機構30の作動時に、作動室31で圧縮された高圧冷媒の圧力によって、固定スクロール32の固定基板部321から離れる方向に変位するように配置されている。旋回スクロール34の旋回基板部341は、圧縮機構30の作動時に、スラストプレート184、343を介してミドルハウジング181に摺動可能に支持される。
ハウジング12の内部には、固定基板部321よりも軸方向DRaの他方側に、固定基板部321とサブハウジング部122との間に形成される空間を2つの空間に仕切るセパレータ125が配置されている。セパレータ125は、固定基板部321の上方側部位および吐出穴323を覆うカップ状の形状を有している。
ハウジング12の内部には、セパレータ125と固定基板部321との間に、吐出穴323と連通する吐出室126が形成されている。具体的には、吐出室126は、固定基板部321とセパレータ125の凹部によって区画形成されている。
また、ハウジング12の内部には、セパレータ125よりも軸方向DRaの他方側に油分離部50が収容される収容空間127、および収容空間127に連通する高圧貯油空間128が形成されている。本実施形態の高圧貯油空間128および吐出室126は、セパレータ125によって仕切られている。
具体的には、収容空間127は、セパレータ125とサブハウジング部122とで区画形成されている。収容空間127は、円柱状の空間で構成されている。収容空間127は、セパレータ125の上方側の部位に形成された連通路125aを介して吐出室126に連通している。
油分離部50は、吐出室126から収容空間127に流入した高圧冷媒から潤滑油を分離するオイル分離器である。油分離部50は、二重円筒構造を有する遠心分離型のオイル分離器で構成されている。
具体的には、油分離部50は、吐出口124に固定された分離パイプ51を含んで構成されている。分離パイプ51は、上方側に位置して吐出口124に固定される固定部511、および固定部511よりも下方側に位置して収容空間127に露出するパイプ部512を備えている。パイプ部512は、その側面が収容空間127において連通路125aと対向するように収容空間127に位置付けられている。また、パイプ部512は、収容空間127の内壁から離間するように固定部511よりも小径に構成されている。
これにより、連通路125aを介して収容空間127に流入した高圧冷媒は、パイプ部512の周囲を旋回する。この際、高圧冷媒に含まれる冷媒と潤滑油が分離される。パイプ部512で分離された高圧冷媒は、分離パイプ51の内側の吐出路513を介して外部に吐出される。一方、パイプ部512で分離された潤滑油は、自重によって下方に落下し、収容空間127の下方の高圧貯油空間128に貯留される。
高圧貯油空間128は、固定スクロール32の下方側部位とサブハウジング部122とで区画形成されている。高圧貯油空間128は、収容空間127の下方側に形成され、油分離部50で分離された潤滑油を貯留する空間である。この高圧貯油空間128は、連通路125aおよび収容空間127を介して吐出室126に連通しているので、雰囲気圧力が高圧冷媒と圧力と同等となる。高圧貯油空間128に貯留された潤滑油は、圧縮機構30に設けられた導入路60等を介して、ハウジング12の内部の摺動部位14a~14c、184、343に導入される。
圧縮機構30には、油分離部50で分離された潤滑油をハウジング12の内部の摺動部位14a~14c、184、343に導入するための導入路60が形成されている。導入路60は、固定スクロール32に形成された固定側導入路61、旋回スクロール34に形成された旋回側導入路62を含んで構成されている。
ここで、ハウジング12の内部の主な摺動部位14a~14cは、高圧冷媒よりも低い圧力となる低圧冷媒の雰囲気圧力となる空間に位置する。このため、高圧貯油空間128に貯留された潤滑油は、高圧貯油空間128と主な摺動部位14a~14cが配置される空間との圧力差によって導入路60を介して供給される。
固定側導入路61は、固定基板部321における高圧貯油空間128を形成する面に開口する固定側連通路611と、固定側連通路611に連通するとともに旋回スクロール34に相対する面に開口する固定側絞り流路612により構成されている。
旋回側導入路62は、旋回基板部341における固定スクロール32に相対する面に開口する旋回側絞り流路621と、旋回側絞り流路621に連通するとともに、ボス部342の内側に開口する旋回側連通路622により構成されている。
そして、駆動軸14の回転に伴って旋回スクロール34が、駆動軸14の軸心CLを中心として旋回する際に、固定側導入路61と旋回側導入路62とが間欠的に連通する。このように、固定側導入路61と旋回側導入路62とが間欠的に連通した際に、高圧貯油空間128に貯留された潤滑油がハウジング12の内部の摺動部位14a~14c、184、343に供給される。
次に、圧縮機10の作動について図4を参照して説明する。圧縮機10は、インバータ25から電動機20のステータ21に電力が供給されると、ロータ22および駆動軸14が回転するとともに旋回スクロール34が駆動軸14に対して公転運動する。
これにより、旋回歯部344と固定歯部322との間に形成された三日月状の作動室31が外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。このとき、吸込口123から作動室31に対して冷媒が供給される。作動室31に供給された冷媒は、作動室31の容積の減少に伴って圧縮される。作動室31内の圧力がリード弁の開弁圧に達すると、作動室31で圧縮された冷媒が固定スクロール32の吐出穴323から吐出室126に吐出される。
吐出室126に吐出された冷媒は、連通路125aを介して収容空間127に流入し、油分離部50にて冷媒から潤滑油が分離される。潤滑油が分離された冷媒は、油分離部50の吐出路513から圧縮機10の吐出冷媒として吐出される。
一方、冷媒から分離された潤滑油は、図4の矢印F1に示すように、自重によって落下して高圧貯油空間128に貯められる。高圧貯油空間128に貯められた潤滑油は、圧縮機構30の導入路60を介してハウジング12の内部の各摺動部位14a、14b、14cに供給される。
具体的には、高圧貯油空間128に貯留された潤滑油は、図4の矢印F2に示すように、固定側導入路61に流入する。固定側導入路61に流入した潤滑油は、固定側絞り流路612を通過する際に中間圧Pmとなるまで減圧される。
そして、固定側絞り流路612にて減圧された潤滑油は、図4の矢印F3に示すように、旋回側導入路62に流入し、旋回側絞り流路621によってさらに減圧される。旋回側導入路62に流入した潤滑油は、旋回側絞り流路621によって減圧された後、旋回側連通路622を介してボス部342の内側に流入する。
ボス部342の内側に流入した潤滑油は、図4の矢印F4に示すように、駆動軸14に形成された油供給路140を介して各摺動部位14a~14cに供給される。
ここで、高温、高圧の潤滑油は、固定側絞り流路612および旋回側絞り流路621にて減圧される、この際、潤滑油に溶けていた冷媒が減圧発泡され、油供給路140には、冷媒と潤滑油が気液二相状態となって流入する。
駆動軸14が回転する際には、遠心力の作用で潤滑油が油供給路140の内壁に沿って流れる。ここで、例えば、油供給路140のうち、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bの各内径が等しくなっており、かつ、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bが駆動軸14に対して偏心配置されている場合、駆動軸14が高回転になると、潤滑油の多くが下流側油供給路140b側に流入し、上流側油供給路140aへは潤滑油が十分に供給されず、第1軸受部材18が給油不足になってしまう懸念がある。
しかしながら、本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aの軸心が駆動軸14の軸心CLと一致しており、かつ、下流側油供給路140bが駆動軸14の軸心CLよりも第2副給油路143b側に偏心して配置されている。さらに、本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きくなっている。
これにより、駆動軸14が高回転で回転するときも、駆動軸14の遠心力により上流側油供給路140aの内壁に沿って流れる潤滑油の一部は、駆動軸14の遠心力により上流側油供給路140aの内壁から下流側油供給路140bのうち第2副給油路143bが開口している側の壁面に沿って流れ、第2副給油路143bに到達する。
したがって、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の供給をより安定的に実施することができる。そして、第2副給油路143bに到達した潤滑油が第2軸受部材16へ供給される。
また、第3摺動部位14cに供給された潤滑油は、その一部が重力によってミドルハウジング181の内壁に沿って流下し、2枚のスラストプレート184、343の摺動部位に供給される。これらにより、駆動軸14における各摺動部位14a~14c、およびスラストプレート184、343同士の摺動部位の潤滑性を良好に維持することができる。
また、本実施形態の圧縮機10は、下流側油供給路140bが上流側油供給路140aの内径d2内に収まるように偏心配置されている。具体的には、駆動軸14の他方側端部に形成された開口部144側からドリルによる穴あけ加工により下流側油供給路140bを形成した後、上流側油供給路140aを形成している。
したがって、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bとの境界部にバリを生じさせにくくすることができ、生産性および品質を向上することできる。
以上、説明したように、本圧縮機10は、流体を圧縮する圧縮機構30と、回転駆動されて圧縮機構30を回転駆動する駆動軸14と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材18と、駆動軸14を回転可能に支持する第2軸受部材16と、を備えている。さらに、圧縮機構30、駆動軸14、第1軸受部材18および第2軸受部材16を収納するハウジング12を備えている。
また、駆動軸14には、該駆動軸14内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路140aと、駆動軸14内を軸方向に延びるように上流側油供給路140aからの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路140bと、が形成されている。
また、駆動軸14には、上流側油供給路140aから第1軸受部材18へ向けて駆動軸14の側壁を貫通して延びる第1副給油路143aと、下流側油供給路140bから第2軸受部材16へ向けて駆動軸14の側壁を貫通して延びる第2副給油路143bと、が形成されている。
また、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きくなっており、第2副給油路143bは、駆動軸14の軸心を中心とする周方向において第1副給油路143aと異なる方向に形成されている。
そして、上流側油供給路140aは、該上流側油供給路140aの軸心CLaが駆動軸の軸心CLと一致するように配置され、下流側油供給路140bは、駆動軸14の軸心CLに対して第2副給油路143b側に偏心して配置されている。
上記した構成によれば、第1軸受部材18には、駆動軸14の軸心CLと一致するように配置され、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きな内径を有する上流側油供給路140aに形成された第1副給油路143aから潤滑油が供給される。
したがって、例えば、駆動軸14が高回転になっても、第1軸受部材18に十分な潤滑油を供給することができる。また、第2軸受部材16には、上流側油供給路140aの内径d1よりも小さな内径を有し、駆動軸14の軸心CLに対して第2副給油路143b側に偏心して配置された下流側油供給路140bに形成された第2副給油路143bから潤滑油が供給される。したがって、例えば、駆動軸14が低回転の場合でも、遠心力の作用により、第2軸受部材16に十分な潤滑油を供給することができる。すなわち、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の分配比の変動を抑制することができる。
また、下流側油供給路140bにおける駆動軸14の軸心CL方向と直交する断面は、上流側油供給路140aにおける駆動軸14の軸心CL方向と直交する断面の径方向外側にはみ出さないように配置されている。
このため、駆動軸14の一端側から下流側油供給路140bを加工した後、さらに、駆動軸14の一端側から上流側油供給路140aを加工することが可能である。したがって、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bの境界部にバリを生じさせにくくでき、生産性を向上することができる。
また、上流側油供給路140aの駆動軸14の軸心CL方向の長さは、下流側油供給路140bにおける駆動軸14の軸心CL方向の長さよりも短くなっている。
したがって、上流側油供給路140aの駆動軸14の軸心CL方向の長さを、下流側油供給路140bにおける駆動軸14の軸心CL方向の長さよりも長くした場合と比較して、駆動軸14の剛性を高くすることができる。
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例について、図5を参照して説明する。上記第1実施形態の圧縮機10は、下流側油供給路140bが上流側油供給路140aの内径d2内に収まるように偏心配置されている。これに対し、本実施形態の圧縮機10は、油供給路140のうち、下流側油供給路140bの一部が上流側油供給路140aの径方向外側に配置されている。具体的には、駆動軸14の一方側端部からドリルによる穴あけ加工により下流側油供給路140bを形成した後、駆動軸14の他方側端部に形成された開口部144側からドリルによる穴あけ加工により上流側油供給路140aを形成している。なお、下流側油供給路140bは、駆動軸14の軸心CLよりも第2副給油路143b側に偏心して配置されている。
本実施形態の圧縮機10は、油供給路140のうち、下流側油供給路140bの一部が上流側油供給路140aの径方向外側に偏心配置されているので、上流側油供給路140a側から下流側油供給路140b側に流入した潤滑油が上流側油供給路140a側へ戻ることがなく、上流側油供給路140a側から下流側油供給路140b側に確実に潤滑油を供給することができる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図6を参照して説明する。本実施形態の圧縮機10は、油供給路140のうち、上流側油供給路140aは、駆動軸14の軸心CLよりも第1副給油路143aと対向する壁面側に偏心して配置されている。また、下流側油供給路140bは、駆動軸14と同軸に配置されている。また、第1実施形態と同様に、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きくなっている。
これにより、駆動軸14の回転によって生じる遠心力により、潤滑油は上流側油供給路140aのうち第1副給油路143aが開口している側の内壁と対向する壁面に偏るため、第1副給油路143aへの潤滑油の供給が抑制される。また、第1副給油路143aへの潤滑油の流入が抑制された分だけ、下流側油供給路140bから第2副給油路143bに潤滑油が多く流入する。
上記したように、本実施形態の圧縮機は、上流側油供給路140aの内径d1が、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きくなっている。また、第2副給油路143bは、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと異なる方向に形成されている。そして、上流側油供給路140aは、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第2副給油路143b側に偏心して配置され、下流側油供給路140bは、該下流側油供給路140bの軸心CLbが駆動軸14の軸心CLと一致するように配置されている。
上記した構成によれば、第1軸受部材18には、下流側油供給路の内径d2よりも大きな内径を有し、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第2副給油路143b側に偏心して配置された上流側油供給路140aに形成された第1副給油路143aから潤滑油が供給される。
したがって、例えば、駆動軸14が高回転になっても、第1軸受部材18への潤滑油の供給を抑制することができる。また、第2軸受部材16には、第1軸受部材18への潤滑油の供給が抑制された分だけ、下流側油供給路140bから第2副給油路143bに多くの潤滑油が流入する。すなわち、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の分配比の変動を抑制することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態の圧縮機10は、油供給路140のうち、上流側油供給路140aは、駆動軸14と同軸に配置されている。また、下流側油供給路140bは、駆動軸14の軸心CLよりも第2副給油路143b側に偏心して配置されている。また、本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aの内径d1が、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さくなっている。また、上流側油供給路140aは、下流側油供給路140bよりもの駆動軸14の軸心CL方向の長さが長くなっている。
上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さくなっており、さらに、上流側油供給路140aは、該上流側油供給路140aの軸心CLaが駆動軸14の軸心CLと一致するように配置されている。
したがって、上流側油供給路140aでは、駆動軸14の回転によって生じる遠心力の影響が比較的少なく、第1副給油路143aから第1軸受部材18に十分な潤滑油を供給することができる。
一方、下流側油供給路140bの内径d2は、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きくなっており、さらに、下流側油供給路140bは、駆動軸14の軸心CLよりも第2副給油路143b側に偏心して配置されている。したがって、駆動軸14の回転によって生じる遠心力の影響が比較的大きく、第2副給油路143bから第2軸受部材16に多くの潤滑油が流入する。
また、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さくなっており、下流側油供給路140bへ流入した潤滑油は、上流側油供給路140a側に戻りにくくなっているので、下流側油供給路140bへ流入した潤滑油を確実に第2副給油路143bへ供給することができる。
上記したように、本実施形態の圧縮機は、下流側油供給路140bの内径d2が、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きくなっており、第2副給油路143bは、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと異なる方向に形成されており、上流側油供給路140aは、該上流側油供給路140aの軸心CLaが駆動軸14の軸心CLと一致するように配置され、下流側油供給路140bは、駆動軸14の軸心CLに対して第2副給油路143b側に偏心して配置されている。
上記した構成によれば、第1軸受部材18には、駆動軸14の軸心CLと一致するように配置され、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さな内径を有する上流側油供給路140aに形成された第1副給油路143aから潤滑油が供給される。
したがって、例えば、駆動軸14が高回転になっても、第1軸受部材18に十分な潤滑油を供給することができる。
また、第2軸受部材16には、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きな内径を有し、駆動軸14の軸心CLに対して第2副給油路143b側に偏心して配置された下流側油供給路140bに形成された第2副給油路143bから潤滑油が供給される。したがって、下流側油供給路140bに流入した潤滑油の上流側油供給路140a側への移動が抑制され、例えば、駆動軸14が低回転の場合でも、第2軸受部材16に十分な潤滑油を供給することができる。すなわち、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の分配比の変動を抑制することができる。
また、第1軸受部材18よりも第2軸受部材16の方が上下方向上側に持ち上がって圧縮機10が傾斜した場合でも、下流側油供給路140bに流入した潤滑油の上流側油供給路140a側への移動が抑制され、下流側油供給路140b側に確実に潤滑油を供給することができる。
また、上流側油供給路140aにおける駆動軸14の軸心CL方向と直交する断面は、下流側油供給路140bにおける駆動軸14の軸心CL方向と直交する断面の径方向外側にはみ出さないように配置されている。具体的には、駆動軸14の一方側端部に形成された開口部側からドリルによる穴あけ加工により上流側油供給路140aを形成した後、下流側油供給路140bを形成している。
したがって、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bとの境界部にバリを生じさせにくくすることができ、生産性および品質を向上することできる。
また、上流側油供給路140aにおける駆動軸14における軸心CL方向の長さは、下流側油供給路140bにおける駆動軸14における軸心CL方向の長さよりも長くなっている。
したがって、上流側油供給路140aの駆動軸14の軸心CL方向の長さを、下流側油供給路140bにおける駆動軸14の軸心CL方向の長さよりも短くした場合と比較して、駆動軸14の剛性を高くすることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態の圧縮機10は、油供給路140のうち、上流側油供給路140aは、駆動軸14の軸心CLよりも第1副給油路143a側と反対側に偏心して配置されている。また、下流側油供給路140bは、駆動軸14と同軸に配置されている。また、本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aの内径d1が、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さくなっている。また、下流側油供給路140bは、上流側油供給路140aよりもの駆動軸14の軸心CL方向の長さが長くなっている。
上流側油供給路140aは、駆動軸14の軸心CLよりも第1副給油路143a側と反対側に偏心して配置されている。したがって、駆動軸14の回転によって生じる遠心力の作用により、液相の潤滑油は上流側油供給路140aのうち第1副給油路143aが開口している側の内壁と反対側の内壁側に偏り、その一部は、下流側油供給路140bへ流入する。下流側油供給路140bの内径d2は、上流側油供給路140aの内径d1より大きいため、下流側油供給路140bに流入した潤滑油は上流側油供給路140a側へ戻りにくく、下流側油供給路140bへ流入した潤滑油を確実に第2副給油路143bへ供給することができる。
上記したように、本実施形態の圧縮機は、下流側油供給路140bの内径d2が、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きくなっている。また、第2副給油路143bは、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと異なる方向に形成されている。
また、上流側油供給路140aは、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと対向する内壁面側に偏心して配置され、下流側油供給路140bは、該下流側油供給路140bの軸心CLbが駆動軸14の軸心CLと一致するように配置されている。
上記した構成によれば、第1軸受部材18には、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さな内径を有し、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと対向する内壁面側に偏心して配置された上流側油供給路140aに形成された第1副給油路143aから潤滑油が供給される。
したがって、駆動軸14が高回転になっても、第1軸受部材18への潤滑油の供給を抑制することができ、第1軸受部材18への潤滑油の供給が抑制された分だけ、下流側油供給路140bから第2副給油路143bに多くの潤滑油を流入させることができる。
また、第2軸受部材16には、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きな内径を有する下流側油供給路140bに形成された第2副給油路143bから潤滑油が供給される。
したがって、下流側油供給路140bに流入した潤滑油の上流側油供給路140a側への移動が抑制され、例えば、駆動軸14が低回転の場合でも、第2軸受部材16に十分な潤滑油を供給することができる。すなわち、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の分配比の変動を抑制することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態の圧縮機10は、油供給路140のうち、上流側油供給路140aは、駆動軸14と同軸に配置されている。また、下流側油供給路140bは、駆動軸14の軸心CLに対して傾斜するように配置されている。また、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きくなっている。
下流側油供給路140bと上流側油供給路140aの境界部140cでは、下流側油供給路140bの中心と上流側油供給路140aの中心が一致している。また、下流側油供給路140bは、下流側油供給路140bの駆動軸14の一方側端部が、駆動軸14の軸心CLから第2副給油路143b側に離れるように傾斜して配置されている。
上記したように、下流側油供給路140bが駆動軸14の軸心CLに対して傾斜し、かつ、駆動軸14の軸心CLに対して偏心して配置されているので、下流側油供給路140bから第2副給油路143bに確実に潤滑油を供給することができる。
また、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きくなっているので、下流側油供給路140bへ流入した潤滑油を確実に第2副給油路143bへ供給することもできる。
上記したように、本実施形態の圧縮機は、下流側油供給路140bの内径d2が、上流側油供給路140aの内径d1よりも小さくなっている。また、第2副給油路143bは、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと異なる方向に形成されている。また、上流側油供給路140aは、該上流側油供給路140aの軸心CLaが駆動軸14の軸心CLと一致するように配置されている。また、下流側油供給路140bは、下流側油供給路140bの軸心CLbが、上流側油供給路140aから離れるにつれて駆動軸14の軸心CLから離れるように傾斜して配置されている。
上記した構成によれば、第1軸受部材18には、駆動軸14の軸心CLと一致するように配置され、下流側油供給路140bの内径d2よりも大きな内径を有する上流側油供給路140aに形成された第1副給油路143aから潤滑油が供給される。したがって、例えば、駆動軸14が高回転になっても、第1軸受部材18に十分な潤滑油を供給することができる。
また、第2軸受部材16には、上流側油供給路140aの内径d1よりも小さな内径を有し、下流側油供給路140bの軸心が、上流側油供給路140aから離れるにつれて駆動軸14の軸心CLから離れるように傾斜して配置された下流側油供給路140bに形成された第2副給油路143bから潤滑油が供給される。したがって、例えば、駆動軸14が高回転になっても、遠心力の作用により、第2軸受部材16に十分な潤滑油を供給することができる。すなわち、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の分配比の変動を抑制することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態について、図10を参照して説明する。本実施形態の圧縮機10は、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bとが、駆動軸14と同軸に配置されている。また、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さくなっている。さらに、上流側油供給路140aに、油分配部材43が配置されている。
油分配部材43は、上流側油供給路140aの内部を流れる潤滑油を、第1副給油路143aと、第2副給油路143bとに分岐する。
油分配部材43は、筒状を成しており、潤滑油を流入する流入口43aと、流入口43aから流入した潤滑油を流出する流出口43bと、を有している。油分配部材43の流出口43bより流出した潤滑油は、第1副給油路143aと、第2副給油路143bとに向かって分岐して流れる。
油分配部材43の流出口43bは、駆動軸14の軸心CL方向における第1副給油路143aと第2副給油路143bとの間に配置されている。
また、油分配部材43の流出口43bは、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bの境界部140cよりも第1副給油路143a側に配置されている。
上記した構成において、図10に示すように、高圧貯油空間128に貯留された潤滑油は、固定側絞り流路612および旋回側絞り流路621にて減圧される。この際、潤滑油に溶けていた冷媒が減圧発泡され、油供給路140には、冷媒と潤滑油が気液二相状態となって流入する。
駆動軸14が高回転で回転するときは、遠心力の作用で潤滑油が油供給路140の内壁に沿って流れる。ここで、例えば、第2副給油路143bが第1副給油路143aよりも上下方向上側に持ち上がって圧縮機10が傾斜すると、上流側油供給路140aから第1副給油路143aへは比較的容易に液相の潤滑油が供給されるが、下流側油供給路140bへは、液相の潤滑油が十分に供給されず、第2軸受部材16が給油不足になってしまう懸念がある。
しかし、上記したように、上流側油供給路140aの内径d1は、下流側油供給路140bの内径d2よりも小さくなっており、かつ、油分配部材43の流出口43bは、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bの境界部140cよりも第1副給油路143a側に配置されている。したがって、第2副給油路143bが第1副給油路143aよりも上下方向上側に持ち上がって圧縮機10が傾斜したとしても、下流側油供給路140bへ流入した潤滑油が上流側油供給路140a側に戻りにくく、確実に第2副給油路143bへ供給することができる。
上記したように、本実施形態の圧縮機は、下流側油供給路140bの内径d2が、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きくなっている。また、上流側油供給路140aには、該上流側油供給路140aを流れる潤滑油を第1副給油路143aと第2副給油路143bとに向けて分岐して流出する流出口43bを有する油分配部材43が配置されえいる。また、流出口43bは、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bの境界部140cよりも第1副給油路143a側に配置されている。
上記した構成によれば、上流側油供給路140aと下流側油供給路140bの境界部140cよりも第1副給油路143a側に配置された油分配部材43の流出口43bから第1副給油路143aと第2副給油路143bに潤滑油が供給される。
そして、下流側油供給路140bの内径d2は、上流側油供給路140aの内径d1よりも大きくなっているので、下流側油供給路140bに流入した潤滑油の上流側油供給路140a側への移動が抑制される。
したがって、例えば、下流側油供給路140bが上流側油供給路140aよりも上下方向上側に持ち上がった場合でも、第1軸受部材18への潤滑油の供給不足を防止することができる。すなわち、第1副給油路143aと第2副給油路143bへの潤滑油の分配比の変動を抑制することができる。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと反対方向に第2副給油路143bが配置されているが、反対方向の位置に限定されるものではなく、駆動軸14の軸心CLを中心とする周方向において第1副給油路143aと異なる方向に第2副給油路143bを配置することもできる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、本圧縮機は、流体を圧縮する圧縮機構と、回転駆動されて圧縮機構を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材と、駆動軸を回転可能に支持する第2軸受部材と、を備えている。さらに、圧縮機構、駆動軸、第1軸受部材および第2軸受部材を収納するハウジングを備えている。
また、駆動軸には、該駆動軸内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路と、駆動軸内を軸方向に延びるように上流側油供給路からの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路と、が形成されている。
また、駆動軸には、上流側油供給路から第1軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第1副給油路と、下流側油供給路から第2軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第2副給油路と、が形成されている。
また、上流側油供給路の内径は、下流側油供給路の内径よりも大きくなっており、第2副給油路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第1副給油路と異なる方向に形成されている。
そして、上流側油供給路は、該上流側油供給路の軸心が駆動軸の軸心と一致するように配置され、下流側油供給路は、駆動軸の軸心に対して第2副給油路側に偏心して配置されている。
また、第2の観点によれば、本圧縮機は、流体を圧縮する圧縮機構と、回転駆動されて圧縮機構を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材と、駆動軸を回転可能に支持する第2軸受部材と、を備えている。さらに、圧縮機構、駆動軸、第1軸受部材および第2軸受部材を収納するハウジングを備えている。
また、駆動軸には、該駆動軸内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路と、駆動軸内を軸方向に延びるように上流側油供給路からの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路と、が形成されている。
また、駆動軸には、上流側油供給路から第1軸受部材向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第1副給油路と、下流側油供給路から第2軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第2副給油路と、が形成されている。
上流側油供給路の内径が、下流側油供給路の内径よりも大きくなっている。また、第2副給油路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第1副給油路と異なる方向に形成されている。そして、上流側油供給路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第2副給油路側に偏心して配置され、下流側油供給路は、該下流側油供給路の軸心が駆動軸の軸心と一致するように配置されている。
また、第3の観点によれば、下流側油供給路における駆動軸の軸心方向と直交する断面は、上流側油供給路における駆動軸の軸心方向と直交する断面の径方向外側にはみ出さないように配置されている。
このため、駆動軸の一端側から下流側油供給路を加工した後、さらに、駆動軸の一端側から上流側油供給路を加工することが可能である。したがって、上流側油供給路と下流側油供給路の境界部にバリを生じさせにくくでき、生産性を向上することができる。
また、第4の観点によれば、上流側油供給路の駆動軸の軸心方向の長さは、下流側油供給路における駆動軸の軸心方向の長さよりも短くなっている。
したがって、上流側油供給路の駆動軸の軸心方向の長さを、下流側油供給路における駆動軸の軸心方向の長さよりも長くした場合と比較して、駆動軸の剛性を高くすることができる。
また、第5の観点によれば、本圧縮機は、流体を圧縮する圧縮機構と、回転駆動されて圧縮機構を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材と、駆動軸を回転可能に支持する第2軸受部材と、を備えている。さらに、圧縮機構、駆動軸、第1軸受部材および第2軸受部材を収納するハウジングを備えている。
また、駆動軸には、該駆動軸内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路と、駆動軸内を軸方向に延びるように上流側油供給路からの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路と、が形成されている。
また、駆動軸には、上流側油供給路から第1軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第1副給油路と、下流側油供給路から第2軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第2副給油路と、が形成されている。
また、下流側油供給路の内径が、上流側油供給路の内径よりも大きくなっており、第2副給油路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第1副給油路と異なる方向に形成されている。また、上流側油供給路は、該上流側油供給路の軸心が駆動軸の軸心と一致するように配置され、下流側油供給路は、駆動軸の軸心に対して第2副給油路側に偏心して配置されている。
また、第6の観点によれば、本圧縮機は、流体を圧縮する圧縮機構と、回転駆動されて圧縮機構を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材と、駆動軸を回転可能に支持する第2軸受部材と、を備えている。さらに、圧縮機構、駆動軸、第1軸受部材および第2軸受部材を収納するハウジングを備えている。
また、駆動軸には、該駆動軸内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路と、駆動軸内を軸方向に延びるように上流側油供給路からの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路と、が形成されている。
また、駆動軸には、上流側油供給路から第1軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第1副給油路と、下流側油供給路から第2軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第2副給油路と、が形成されている。
また、下流側油供給路の内径が、上流側油供給路の内径よりも大きくなっており、第2副給油路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第1副給油路と異なる方向に形成されている。
また、上流側油供給路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第1副給油路と対向する内壁面側に偏心して配置され、下流側油供給路は、該下流側油供給路の軸心が駆動軸の軸心と一致するように配置されている。
また、第7の観点によれば、上流側油供給路における駆動軸の軸心方向と直交する断面は、下流側油供給路における駆動軸の軸心方向と直交する断面の径方向外側にはみ出さないように配置されている。
このため、駆動軸の他端側から上流側油供給路を加工した後、さらに、駆動軸の他端側から下流側油供給路を加工することが可能である。したがって、上流側油供給路と下流側油供給路の境界部にバリを生じさせにくくでき、生産性を向上することができる。
また、第8の観点によれば、上流側油供給路における駆動軸における軸心方向の長さは、下流側油供給路における駆動軸における軸心方向の長さよりも長くなっている。
したがって、上流側油供給路の駆動軸の軸心方向の長さを、下流側油供給路における駆動軸の軸心方向の長さよりも短くした場合と比較して、駆動軸の剛性を高くすることができる。
また、第9の観点によれば、本圧縮機は、流体を圧縮する圧縮機構と、回転駆動されて圧縮機構を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材と、駆動軸を回転可能に支持する第2軸受部材と、を備えている。さらに、圧縮機構、駆動軸、第1軸受部材および第2軸受部材を収納するハウジングを備えている。
また、駆動軸には、該駆動軸内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路と、駆動軸内を軸方向に延びるように上流側油供給路からの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路と、が形成されている。
また、駆動軸には、上流側油供給路から第1軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第1副給油路と、下流側油供給路から第2軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第2副給油路と、が形成されている。
また、下流側油供給路の内径が、上流側油供給路の内径よりも小さくなっている。また、第2副給油路は、駆動軸の軸心を中心とする周方向において第1副給油路と異なる方向に形成されている。
また、上流側油供給路は、該上流側油供給路の軸心が駆動軸の軸心と一致するように配置されている。また、下流側油供給路は、下流側油供給路の軸心が、上流側油供給路から離れるにつれて駆動軸の軸心から離れるように傾斜して配置されている。
また、第10の観点によれば、圧縮機であって、流体を圧縮する圧縮機構と、回転駆動されて圧縮機構を回転駆動する駆動軸と、駆動軸を回転可能に支持する第1軸受部材と、を備えている。また、駆動軸を回転可能に支持する第2軸受部材と、圧縮機構、駆動軸、第1軸受部材および第2軸受部材を収納するハウジングと、を備えている。
また、駆動軸には、該駆動軸内を軸方向に延びるように潤滑油が流れる流路を形成する上流側油供給路と、駆動軸内を軸方向に延びるように上流側油供給路からの潤滑油が流れる流路を形成する下流側油供給路と、が形成されている。
また、上流側油供給路から第1軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第1副給油路と、下流側油供給路から第2軸受部材へ向けて駆動軸の側壁を貫通して延びる第2副給油路と、が形成されている。
そして、下流側油供給路の内径は、上流側油供給路の内径よりも大きくなっている。また、上流側油供給路には、該上流側油供給路を流れる潤滑油を第1副給油路と第2副給油路とに向けて分岐して流出する流出口を有する油分配部材が配置されている。また、流出口は、上流側油供給路と下流側油供給路の境界部よりも第1副給油路側に配置されている。