JP2007187013A - 内燃機関の筒内圧相関値推定装置 - Google Patents

内燃機関の筒内圧相関値推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の筒内圧相関値推定装置に関し、複数の気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関において、対象とする気筒の燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値を精度良く推定することを目的とする。
【解決手段】点火順序が#1→#8→#4→#3→#6→#5→#7→#2のV型8気筒機関の気筒を、グループA:#1→#4→#6→#7、グループB:#8→#3→#5→#2に分ける。グループBの気筒を休止させ(ステップ104)、その間に、グループAの各気筒について筒内ガス圧トルクを推定する(ステップ106)。次いで、グループAの気筒を休止させ(ステップ110)、その間に、グループBの各気筒について筒内ガス圧トルクを推定する(ステップ112)。
【選択図】図5

Description

本発明は、複数の気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関において、対象とする気筒の燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値を推定する内燃機関の筒内圧相関値推定装置に関する。
多気筒内燃機関においては、例えば燃料噴射量や筒内空気量、あるいは蒸発燃料をパージしたパージガスの分配率などに関して、気筒間に何らかのバラツキが生じることがある。燃料噴射量、筒内空気量、パージガス分配率などの違いは、燃焼ガスの圧力の違いとなって現れる。従って、各気筒の燃焼ガス圧力と相関を有する筒内圧相関値が分かれば、上記のような何らかの気筒間バラツキの傾向を把握することができ、そのバラツキを修正する上で有用である。
各気筒の燃焼ガスの圧力は、ピストンおよびコンロッドを介してクランク軸の回転に作用する。このため、クランク軸の角加速度には、その瞬間に燃焼行程を行っている気筒の燃焼ガス圧力の大きさが影響する。その一方で、各瞬間のクランク軸の角加速度には、各気筒のピストン等の往復運動に起因する慣性トルクの影響も重畳的に作用する。従って、各瞬間のクランク軸の角加速度から、各気筒の筒内圧相関値を単純に推定することはできない。
特開2004−92603号公報には、往復慣性質量による慣性トルクの平均値がほぼ0となるクランク角区間におけるクランク角加速度に基づいて燃焼状態を推定する装置が開示されている。多気筒内燃機関においては、720°/気筒数のクランク角区間(例えば4気筒機関の場合であれば180°CAの区間)においては、往復慣性質量の平均値が0となる。上記公報に開示された装置では、このことを利用して、720°/気筒数に相当するクランク角区間におけるクランク角加速度を基礎とすることにより、往復慣性質量による慣性トルクをキャンセルすることができる。このため、上記装置によれば、対象とする気筒の燃焼行程に合わせたクランク角区間における筒内ガス圧による平均トルクを、その気筒の筒内圧相関値として算出することができる。
特開2004−92603号公報 特開2005−155612号公報 特開2005−120886号公報
ところで、4気筒以下の内燃機関では、各気筒の爆発間隔が180°CA以上となるので、複数の気筒の燃焼行程(膨張行程)が重なり合う部分が生ずることはない。従って、上記公報に開示された装置を用いて、ある気筒を対象に、その気筒の燃焼行程に合わせて筒内圧相関値を算出する場合、算出の基礎となるクランク角加速度に他気筒の燃焼ガス圧力の影響が作用することはない。このため、対象とする気筒の筒内圧相関値を精度良く推定することができる。
しかしながら、5気筒以上の内燃機関では、複数気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる。例えば、8気筒機関では、90°CA間隔爆発であるので、ある気筒の燃焼行程は、その前後に爆発する気筒の燃焼行程と半分ずつ重なり合うこととなる。それゆえ、ある気筒を対象に筒内圧相関値を算出する場合、算出の基礎となるクランク角加速度には、その前後に爆発した気筒の燃焼ガス圧力の影響が重畳して作用しまう。このため、対象とする気筒の筒内圧相関値を精度良く抽出することが困難である。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数の気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関において、対象とする気筒の燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値を精度良く推定することのできる内燃機関の筒内圧相関値推定装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の筒内圧相関値推定装置であって、
複数の気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関のクランク角を検出するクランク角センサと、
前記クランク角センサの信号に基づいて、対象とする気筒の燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値を算出する筒内圧相関値算出手段と、
前記対象とする気筒と燃焼行程が重なり合う部分が生ずる気筒の燃焼を休止させる燃焼休止手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記筒内圧相関値は、筒内ガス圧によるトルクであることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記燃焼休止手段は、前記内燃機関の全気筒を、燃焼行程が重なり合わない気筒同士のグループに分け、前記対象とする気筒が属さないグループの気筒の燃焼を休止させることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1または2の発明において、
前記燃焼休止手段は、前記対象とする気筒と燃焼行程が重なり合う部分を有する気筒のみの燃焼を休止させることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記燃焼休止手段は、燃焼を休止させる気筒の吸排気弁の駆動を停止させる気筒休止手段を含むことを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記筒内圧相関値算出手段は、前記燃焼休止手段により燃焼が休止された気筒で発生するポンピングロスを推定するポンピングロス推定手段を含み、前記ポンピングロスの影響を織り込んで前記筒内圧相関値を算出することを特徴とする。
第1の発明によれば、燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値をある気筒を対象として算出する際に、対象気筒と燃焼行程が重なり合う部分が生ずる気筒の燃焼を休止させることができる。このため、筒内圧相関値を算出する基礎となるクランク角区間におけるクランク角センサの信号に、他の気筒の燃焼ガス圧力の影響が重畳して作用するのを防止することができる。よって、第1の発明によれば、対象気筒の筒内圧相関値を精度良く推定することができる。
第2の発明によれば、筒内圧相関値として、筒内ガス圧によるトルクを精度良く推定することができる。
第3の発明によれば、筒内圧相関値を算出する際に、内燃機関の全気筒を、燃焼行程が重なり合わない気筒同士のグループに分け、対象気筒が属さないグループの気筒の燃焼を休止させることができる。これにより、燃焼を休止させる気筒を切り替える回数を少なくすることができるので、各気筒の筒内圧相関値を迅速に算出することができる。
第4の発明によれば、筒内圧相関値を算出する際に、対象気筒と燃焼行程が重なり合う部分を有する気筒のみの燃焼を休止させることができる。これにより、燃焼を休止させる気筒の数を最小限にすることができるので、振動が大きくなるのを回避することができる。また、高出力が要求される運転領域で筒内圧相関値を推定することも可能となる。
第5の発明によれば、燃焼休止気筒の吸排気弁の駆動を停止させることができる。これにより、燃焼休止気筒では、吸排気弁が閉じた状態に維持されるため、筒内に閉じ込められた空気が圧縮される気筒で生ずる負トルクと、筒内に閉じ込められた空気が膨張する気筒で生ずる正トルクとを相殺することができる。このため、燃焼休止気筒全体としての筒内ガス圧によるトルクをほぼ0とすることができる。よって、第5の発明によれば、対象気筒の筒内圧相関値をより高い精度で推定することができる。
第6の発明によれば、燃焼休止気筒で発生するポンピングロスの影響を織り込んで筒内圧相関値を算出することができる。このため、気筒休止機構を備えない内燃機関においても、対象気筒の筒内圧相関値を高い精度で推定することができる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、車両に動力源として搭載される内燃機関10を備えている。内燃機関10は、複数気筒の燃焼行程(膨張行程)が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関であり、具体的には5気筒以上の内燃機関である。図1は、内燃機関10の一つの気筒の断面を表している。本実施形態では、内燃機関10は、1番〜8番の気筒を有するV型8気筒機関であるものとし、各気筒の番号を#1〜#8と表記する。
各気筒の燃焼室には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。また、排気通路14には排気浄化触媒32が配置されている。
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24が配置されている。スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。また、吸気通路12のスロットルバルブ22により下流側には、吸気管圧力を検出する吸気圧センサ29が設置されている。
内燃機関10は、燃料噴射弁30、ピストン34、点火プラグ18、吸気弁26、および排気弁44を気筒毎に備えている。図示の構成では、燃料噴射弁30は、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁であるが、これに代えて気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁が設けられていてもよい。また、ポート噴射弁と筒内噴射弁を併用するシステムであってもよい。
ピストン34は、コンロッドを介してクランク軸36に連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸36の回転トルクによって駆動される。クランク軸36の近傍には、クランク軸36の回転角を検出するためのクランク角センサ38が取り付けられている。また、エンジン10のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ42が取り付けられている。
本実施形態の内燃機関10の各気筒には、更に、吸気弁26および排気弁44の駆動を休止させて閉弁状態に保持することが可能な気筒休止機構46および48が設けられている。内燃機関10は、任意の気筒の吸気弁26および排気弁44の駆動を気筒休止機構46、48によって休止させることにより、減筒運転(休筒運転)を行うことができる。この場合、吸気弁26および排気弁44の駆動を休止する気筒では、燃料噴射も停止される。
気筒休止機構46、48は、機械的な機構、電磁的な機構の何れであってもよい。気筒休止機構46、48の構成は、公知であり、かつ、本発明の主要部ではないため、ここでは、その詳細な説明は省略する。
図1に示すように、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を更に備えている。ECU50には、上述した各種のセンサおよびアクチュエータが接続されている。
次に、図1のシステムにより内燃機関10の各気筒の筒内圧相関値を推定する方法を具体的に説明する。最初に、筒内圧相関値の推定に用いる数式について説明する。本実施形態では、以下の(1)式、(2)式を用いて筒内圧相関値を推定する。
Figure 2007187013
(1)式、(2)式において、図示トルクTは、各気筒での燃焼によってクランク軸36に発生するトルクである。ここで、(2)式の右辺は図示トルクTを発生させるトルクを示しており、(1)式の右辺は図示トルクTを消費するトルクを示している。
(1)式の右辺において、Jは混合気の燃焼等によって駆動される駆動部材の慣性モーメント、dω/dtはクランク軸36の角加速度、Tは駆動部のフリクショントルク、Tは走行時に路面から受ける負荷トルク、をそれぞれ示している。ここで、J×(dω/dt)はクランク軸36の角加速度に起因する動的な損失トルク(=Tac)である。フリクショントルクTは、ピストン34とシリンダ内壁の摩擦など各嵌合部の機械的な摩擦によるトルクであって、補機類の機械的な摩擦によるトルクを含むものである。負荷トルクTは、走行時の路面状態などの外乱によるトルクである。本実施形態では、変速機がニュートラル状態で、かつ内燃機関10がアイドリング状態のときに筒内圧相関値を推定することとする。このため、以下の説明では、T=0とする。
また、(2)式の右辺において、Tgasはシリンダの筒内ガス圧によるトルク、Tinertiaはピストン34などの往復慣性質量による慣性トルクを示している。筒内ガス圧によるトルク(以下、「筒内ガス圧トルク」と称する)Tgasは、シリンダ内の混合気の燃焼によって発生するトルクである。
(1)式に示されるように、図示トルクTは、角加速度に起因する動的な損失トルクJ×(dω/dt)、フリクショントルクT、及び負荷トルクTの和として求めることができる。後述するように、これらのうち、動的損失トルクJ×(dω/dt)は、クランク角センサ38の信号に基づいて算出することができ、フリクショントルクTは、機関回転数Neおよび冷却水温thwに基づいて推定することができる。そして、負荷トルクTは、本実施形態では0とされる。このように、図示トルクTは、各種センサで検出された信号に基づいて推定することが可能である。
一方、(2)式に示されるように、図示トルクTは、筒内ガス圧トルクTgasと、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaとの和として表される。そして、後述するように、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaは、適当なクランク角区間を選ぶことにより、その平均値が0となるので、キャンセルさせることが可能である。Tinertiaをキャンセルさせることができれば、筒内ガス圧トルクTgasは図示トルクTに等しいと考えることができる。本実施形態では、このような考えに基づき、各種センサで検出された信号から、筒内ガス圧トルクTgasを推定することが可能である。
この筒内ガス圧トルクTgasは、任意の気筒が燃焼行程を行うタイミングに合わせて算出することが可能である。ある気筒の燃焼行程に合わせて算出された筒内ガス圧トルクTgasは、その気筒の燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値であると考えることができる。従って、各気筒の筒内ガス圧トルクTgasを算出することにより、各気筒の燃焼ガス圧力の大小を知ることができる。
ところで、4気筒以下の内燃機関の場合には、各気筒の燃焼行程が相互に重なっておらず、独立している。このため、対象とする気筒の燃焼行程に合わせて筒内ガス圧トルクTgasを算出することにより、その気筒の燃焼ガス圧力に関する情報を精度良く抽出することが可能である。
しかしながら、本実施形態の内燃機関10のようなV型8気筒機関は、90°CA間隔爆発であるので、ある一つの気筒の燃焼行程は、その前後に爆発する気筒の燃焼行程と半分ずつ重なっている。このため、対象とする気筒の燃焼行程に合わせて筒内ガス圧トルクTgasを算出しても、その算出値は、対象とする気筒の燃焼ガス圧力情報のみを反映したものではなく、その前や後に爆発する気筒の燃焼ガス圧力情報を重畳的に反映したものとなってしまう。このようなことから、対象とする気筒の燃焼行程に合わせて単純に筒内ガス圧トルクTgasを算出しても、十分な推定精度を得ることはできない。
そこで、本実施形態では、筒内ガス圧トルクTgasを算出する際、その算出対象とする気筒と燃焼行程が重なり合う部分を有する気筒を、気筒休止機構46,48によって休止させることとした。以下、より具体的に説明する。
本実施形態の内燃機関10では、通常運転状態において、点火順序は#1→#8→#4→#3→#6→#5→#7→#2とされ、その間隔は前述したように90°CAである。また、内燃機関10は、下記のグループA、Bの何れか一方のグループの気筒を休止させて、残りの4気筒の燃焼による減筒運転を行うことが可能とされている。
グループA:#1→#4→#6→#7
グループB:#8→#3→#5→#2
この減筒運転を行う場合、休止していないグループの気筒は、上記の順番で点火され、その間隔は180°CA間隔となる。本実施形態では、このような減筒運転中において、休止していないグループに属する各気筒を対象として、筒内ガス圧トルクTgasを順次算出することとした。
グループA、Bの何れか一方を休止した減筒運転が行われている場合には、上述したように爆発間隔が180°CAとなるので、複数気筒の燃焼行程が重なり合う部分は消滅する。このため、減筒運転中に筒内ガス圧トルクTgasを算出することにより、算出対象とする気筒以外の気筒の燃焼ガス圧力がクランク軸36の回転に影響するのを防止することができる。このため、気筒別の筒内ガス圧トルクTgasを精度良く算出することができる。
以下、筒内ガス圧トルクTgasを算出する手法について、より具体的に説明する。図2は、グループA、Bの何れか一方を休止した減筒運転状態における筒内ガス圧トルクTgasおよび往復慣性質量による慣性トルクTinertiaと、クランク角との関係を示す図である。図2において、縦軸は各トルクの大きさを、横軸はクランク角を示している。また、図2中の実線は筒内ガス圧トルクTgasを、破線は往復慣性質量による慣性トルクTinertiaをそれぞれ示している。そして、図2中のTDCおよびBDCは、燃焼行程を行っている気筒の圧縮上死点および燃焼下死点を示している。
図2中の実線に示すように、筒内ガス圧トルクTgasは、TDCからBDCの間で急激に増加し、減少する。ここで、Tgasの急激な増加は、燃焼行程にある気筒の燃焼ガスがする仕事によるものである。爆発後、Tgasは減少し、他の圧縮行程あるいは排気行程にある気筒の影響により、負の値を取る。そのクランク角がBDCに達するとシリンダの容積変化が0となり、これによってTgasは0の値を取る。
減筒運転状態においては、図2中のBDCは、次に点火される気筒の圧縮上死点ともなっている。このため、図2中のBDC以後、筒内ガス圧トルクTgasは、次の気筒が燃焼行程において行う仕事により、再び急激に増加し、減少する。このように、減筒運転状態では、各気筒の燃焼行程中の筒内ガス圧トルクTgasの山が重なり合うことがない。よって、各気筒の燃焼ガス圧力が順次個別に筒内ガス圧トルクTgasに反映されることとなる。このため、筒内ガス圧トルクTgasは、気筒毎の燃焼ガス圧力を精度良く反映するものとなる。
一方、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaは、前述したように、ピストン34など往復運動する部材の慣性質量によって発生する慣性トルクである。往復運動する部材は加減速を繰り返しているため、Tinertiaはクランク軸36が回転していれば角速度一定の場合であっても常に発生する。すなわち、往復運動部材が減速されるときには正の慣性トルクTinertiaが発生し、加速されるときには負の慣性トルクTinertiaが発生する。
V型8気筒の内燃機関10では、8個のピストン34が90°CA間隔で上死点、下死点に順次到達する。このため、図2に示すように、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaは、90°CA周期で正負に変動する。よって、TDCからBDCまでのクランク角180°の区間に着目すると、この区間での往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値は0となる。従って、(1)式および(2)式の各トルクをTDCからBDCまでの平均値として算出すると、往復慣性質量による慣性トルクTinertia=0として計算することができる。これにより、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの影響を排除することができ、図示トルクTの平均値と筒内ガス圧トルクTgasの平均値とが等しいとおくことができる。
次に、(1)式の右辺の各トルクを算出する方法を説明する。最初に、角加速度に起因する動的な損失トルクTac=J×(dω/dt)の算出方法を説明する。図3は、クランク軸36の角加速度を求める方法を示す模式図である。図3に示すように、本実施形態では、クランク軸36が10°回転する毎にクランク角センサ38からクランク角信号が検出されるものとする。
本実施形態では、角加速度に起因する動的な損失トルクTacをTDCからBDCまでの平均値として算出する。このために、本実施形態の装置は、TDCとBDCの2ヶ所のクランク角位置で角速度ω(k),ω(k+1)をそれぞれ求め、同時にクランク軸36がTDCからBDCまで回転する時間Δt(k)を求める。
角速度ω(k)を求める際には、例えば図3に示すように、クランク角がTDCの位置から前後10°ずつ回転している間の時間Δt(k),Δt10(k)をクランク角センサ38から検出する。そして、時間Δt(k)+Δt10(k)の間にクランク軸36が20°回転しているため、ω(k)=(20/(Δt(k)+Δt10(k)))×(π/180)を演算することによってω(k)[rad/s]を算出できる。同様に、ω(k+1)を算出する際は、クランク角がBDCの位置から前後10°ずつ回転している間の時間Δt(k+1),Δt10(k+1)を検出する。そして、ω(k+1)=(20/(Δt(k+1)+Δt10(k+1)))×(π/180)を演算することによってω(k+1)[rad/s]を算出できる。
角速度ω(k),ω(k+1)を求めた後は、(ω(k+1)−ω(k))/Δt(k)を演算し、TDCからBDCまでクランク軸36が回転する間の角加速度の平均値を算出する。
そして、角加速度の平均値を求めた後は、(1)式の右辺に従って、角加速度の平均値と慣性モーメントJを乗算する。これにより、クランク軸36がTDCからBDCまで回転する間の動的な損失トルクJ×(dω/dt)の平均値を算出できる。なお、駆動部の慣性モーメントJは、駆動部品の慣性質量から予め求めておく。
次にフリクショントルクTの算出方法を説明する。図4はフリクショントルクTと内燃機関10の機関回転数(Ne)、冷却水温(thw)との関係を表したマップである。図4において、フリクショントルクT、機関回転数(Ne)、冷却水温(thw)は、TDCからBDCまでクランク軸36が回転した場合の平均値である。また、冷却水温は、thw1→thw2→thw3の順に高温になる。図4に示すように、フリクショントルクTは機関回転数(Ne)が増えると増加し、また冷却水温(thw)が低くなると増加する傾向にある。図4のマップは、機関回転数(Ne)、冷却水温(thw)をパラメータとして可変し、TDCからBDCまでクランク軸36を回転させた際に発生するフリクショントルクTを測定し、その平均値を算出することで予め作成しておく。そして、筒内ガス圧トルクTgasを推定する際には、TDCからBDCまでの区間における冷却水温の平均値、機関回転数の平均値を図4のマップに当てはめて、フリクショントルクTの平均値を求める。この際、冷却水温は水温センサ42から、機関回転数はクランク角センサ38からそれぞれ検出する。
クランク角の変動に伴うフリクショントルクTの挙動は非常に複雑であり、バラツキも大きい。しかし、フリクショントルクTの挙動は主としてピストン34の速度に依存しているため、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間毎のフリクショントルクTの平均値はほぼ一定している。従って、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間(TDC→BDC)毎にフリクショントルクTの平均値を求めることで、複雑な瞬時挙動を示すフリクショントルクTを精度良く求めることができる。また、フリクショントルクTをこの区間毎の平均値とすることで、図4に示すマップを正確に作成することができる。
また、上述したようにフリクショントルクTには補機類の摩擦によるトルクが含まれる。ここで、補機類の摩擦によるトルクは、補機類が動作しているか否かによって値が異なる。例えば、補機の1つであるエアコンのコンプレッサには、エンジンの回転がベルト等によって伝達されており、エアコンが実際に動作していない状態であっても摩擦によるトルクが発生している。
一方、補機類を動作させた場合、例えばエアコンのスイッチをオン(ON)した場合は、エアコンを動作させていない状態に比べてコンプレッサで消費されるトルクは大きくなる。このため、補機類の摩擦によるトルクが大きくなり、フリクショントルクTの値も増大する。従って、フリクショントルクTを正確に求めるためには、補機類の動作状態を検出し、補機類のスイッチがオン(ON)している場合には、図4のマップから求めたフリクショントルクTの値を補正することが望ましい。
なお、極冷間始動時などにおいては、実際にフリクショントルクTが発生している部位の温度と冷却水温との差を考慮して、フリクショントルクTを補正することがより好適である。この場合、冷間始動後の機関始動時間、筒内流入燃料量等を考慮して補正を行うことが望ましい。
[実施の形態1における具体的処理]
図5および図6は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図5に示すルーチンは、所定時間毎に実行されるものとする。
図5に示すルーチンによれば、まず、筒内ガス圧トルクTgasを推定するための運転条件が成立しているか否かが判別される(ステップ100)。本実施形態では、内燃機関10がアイドリング状態のときに筒内ガス圧トルクTgasを推定することとしているので、ここではアイドリング状態であるか否かが判断される。
内燃機関10がアイドリング状態であった場合には、次に、グループAの気筒について筒内ガス圧トルクTgasの情報が既に取得されているか否かが判別される(ステップ102)。そして、グループAの気筒について筒内ガス圧トルクTgasの情報が未だ取得されていない場合には、グループBの気筒の吸排気弁駆動および燃料噴射が休止され、グループAの気筒の運転による減筒運転が実施される(ステップ104)。この減筒運転が行われている間に、グループAの各気筒について、筒内ガス圧トルクTgasを推定する(ステップ106)。このステップ106では、以下に説明するように、図6に示すサブルーチンの処理が実行される。
図6に示すルーチンによれば、まず、クランク角位置がトルク算出タイミングであるか否かが判定される(ステップ200)。具体的には、クランク角がTDC+10°以降、BDC+10°以降のいずれの状態にあるか否かを判定する。トルク算出タイミングである場合はステップ202へ進み、トルク算出タイミングでない場合は終了する(END)。
次のステップ202では、トルク算出に必要なパラメータを取得する。具体的には、機関回転数(Ne(k)),冷却水温(thw(k)),角速度(ω(k),ω(k+1))、時間(Δt)などの各パラメータを取得する。
次のステップ204では、フリクショントルクT(k)を算出する。上述のように、フリクショントルクT(k)は機関回転数(Ne(k))と冷却水温(thw(k))の関数であり、図4のマップからTDCからBDCまでの区間における平均値を求める。
次の、ステップ206では、補機類のスイッチがオン(ON)しているか否かを判定する。スイッチがオン(ON)している場合はステップ208へ進み、ステップ204で求めたフリクショントルクT(k)を補正する。具体的には、T(k)に所定の補正係数を乗算したり、T(k)に所定の補正値を加算するなどの方法で補正を行う。ステップ206でスイッチがオフ(OFF)の場合はステップ210へ進む。
ステップ210では、角加速度に起因する動的な損失トルクTac(k)を算出する。ここでは、Tac(k)=J×((ω(k+1)−ω(k))/Δt)を演算して、TDCからBDCまでの区間における動的な損失トルクの平均値Tac(k)を算出する。
次のステップ212では、筒内ガス圧トルクTgas(k)を算出する。前述したように、TDCからBDCまでの区間では、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0であるため、筒内ガス圧トルクTgas(k)は図示トルクT(k)に等しい。よって、Tgas(k)=T(k)=Tac(k)+T(k)なる関係に基づき、筒内ガス圧トルクTgas(k)を算出することができる。なお、ステップ208でT(k)を補正している場合は、補正後のT(k)を用いて演算を行う。ここで得られた筒内ガス圧トルクTgas(k)は、TDCからBDCまでの区間の平均値である。
図7は、算出された筒内ガス圧トルクTgas(k)と各気筒の各行程との関係を示す模式図である。グループBの気筒を休止した減筒運転を行っているときには、図7に示すように、クランク軸36が180°回転する毎に、#1→#4→#6→#7の順で燃焼行程が行われる。#1のTDCからクランク角180°毎に図6のルーチンを繰り返し実行して筒内ガス圧トルクTgasを順次算出した場合には、図7に示すように、筒内ガス圧トルクTgas(k)は#1の気筒の燃焼に対応する。そして、筒内ガス圧トルクTgas(k+1)は#4の気筒の燃焼に、筒内ガス圧トルクTgas(k+2)は#6の気筒の燃焼に、筒内ガス圧トルクTgas(k+3)は#7の気筒の燃焼に、それぞれ対応する。
ここで、筒内ガス圧トルクTgas(k)が発生した行程に着目すると、#1は燃焼行程、#4は圧縮行程、#6は吸気行程、#7は排気行程となっている。ここで、圧縮、吸気、排気行程のトルクは、燃焼行程で発生する筒内ガス圧によるトルクに比べて非常に小さい。
また、休止されているグループBの気筒では、吸気弁26および排気弁44が共に閉じられているため、筒内に閉じ込められた空気がピストン34の上昇によって圧縮される気筒で生ずる負トルクと、筒内に閉じ込められた空気がピストン34の下降によって膨張する気筒で生ずる正トルクとを相殺することができる。このため、休止しているグループB全体としての筒内ガス圧によるトルクをほぼ0とすることができる。
このようなことから、筒内ガス圧トルクTgas(k)は、#1(1番気筒)の燃焼ガス圧力と精度良く相関する筒内ガス圧トルクTgasとみなすことができる。同様にして、Tgas(k+1)、Tgas(k+2)、Tgas(k+3)は、それぞれ、#4、#6、#7の気筒の燃焼ガス圧力と精度良く相関する筒内ガス圧トルクTgasとみなすことができる。従って、筒内ガス圧トルクTgasを180°CA毎に順次算出することで、#1、#4、#6、#7の順に、各々の気筒の燃焼ガス圧力と精度良く相関する筒内ガス圧トルクTgasを算出することができる。
図5のステップ106においては、上述したようにして、図6に示すルーチンを繰り返し実行することにより、グループAに属する各気筒について、TDCからBDCまでの平均の筒内ガス圧トルクTgasを精度良く算出することができる。本実施形態では、燃焼変動等の影響を排除して更に精度を高めるため、各気筒毎に、nサイクル分(nは所定の自然数)の筒内ガス圧トルクTgasを算出し、そのnサイクルの平均をとることで、最終的な筒内ガス圧トルクTgasを算出する。
このようにしてグループAの気筒について筒内ガス圧トルクTgasが算出されたら、図5に示すルーチンの処理を一旦終了する。同ルーチンが次回に実行されたとき、ステップ100および102の判断が肯定された場合には、グループBの気筒について筒内ガス圧トルクTgasの情報が既に取得されているか否かが判別される(ステップ108)。そして、グループBの気筒について筒内ガス圧トルクTgasの情報が未だ取得されていない場合には、グループAの気筒が休止され、グループBの気筒の運転による減筒運転が実施される(ステップ110)。この減筒運転が行われている間に、グループBの各気筒について、筒内ガス圧トルクTgasを推定する(ステップ112)。このステップ112では、前述したのと同様にして図6に示すサブルーチンの処理を繰り返し実行することにより、グループBの各気筒について、筒内ガス圧トルクTgasが算出される。
以上の処理により、#1〜#8の各気筒について、TDCからBDCまでの平均の筒内ガス圧トルクTgasが取得されたこととなる。各気筒の筒内ガス圧トルクTgasのバラツキは、各気筒の燃焼ガス圧力のバラツキに対応している。気筒間に生じている燃焼ガス圧力のバラツキは、燃料噴射量等の何らかの物理量が気筒間でばらついていることが原因であると考えることができる。そこで、本実施形態では、算出された各気筒の筒内ガス圧トルクTgasの情報を利用して、燃焼ガス圧力の気筒間バラツキに関連する所定の補正処理を実施することができる(ステップ114)。
ステップ114での補正処理としては、次のような処理を行うことができる。例えば、気筒間に生じている燃焼ガス圧力のバラツキが各気筒の燃料噴射量のバラツキに起因するものと考えられる場合には、気筒毎の燃料噴射量を補正する処理を実行することができる。また、蒸発燃料処理装置(図示せず)により、蒸発燃料をパージしたパージガスを気筒別に導入している場合には、気筒間に生じている燃焼ガス圧力のバラツキはパージガスの分配率のバラツキに起因するものであると考えられる場合もある。そのような場合には、ステップ114において、パージガス分配率の気筒間バラツキを推定し、それを相殺するための燃料噴射量補正処理を実行することができる。
ところで、上述した実施形態では、内燃機関10がアイドリング状態のときに筒内圧相関値(筒内ガス圧トルクTgas)を推定することとしているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明では、車両走行時の負荷トルクTを車速等から推定し、その推定値を用いて車両の走行中に筒内圧相関値を推定することとしてもよい。その場合には、負荷トルクTの変動が少なくなる定常走行状態で筒内圧相関値の推定を行うのが好ましい。
なお、上述した実施の形態1においては、ECU50が、図6に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「筒内圧相関値算出手段」が、上記ステップ104および110の処理を実行することにより、前記第1の発明における「燃焼休止手段」が、それぞれ実現されている。また、気筒休止機構46,48が前記第5の発明における「気筒休止手段」に相当している。
実施の形態2.
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態は、図1に示すシステム構成を用いて、ECU50に、図5に示すルーチンに代えて図8に示すルーチンを実行させることにより、実現することができる。
[実施の形態2の特徴]
前述した実施の形態1では、筒内ガス圧トルクTgasを推定する際、4気筒ずつ気筒休止することとしている。これに対し、本実施形態では、筒内ガス圧トルクTgasを推定する対象とする気筒と燃焼行程が重なり合う気筒のみを休止させることとした。以下、より具体的に説明する。
前述したように、内燃機関10の通常運転状態では、点火順序は#1→#8→#4→#3→#6→#5→#7→#2であり、その間隔は90°CAである。このような内燃機関10では、対象となる気筒の前後に点火される気筒を休止させれば、対象気筒と燃焼行程が重なり合う気筒をなくすことができる。例えば、#1の筒内ガス圧トルクTgasを推定する場合には、#2および#8を休止させればよいこととなる。そこで、本実施形態では、筒内ガス圧トルクTgasを推定する対象とする気筒に応じて、その気筒の前後に点火される気筒のみを休止させることとした。
[実施の形態2における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、図8において、図5に示すステップと同一のステップには、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図8に示すルーチンによれば、まず、筒内ガス圧トルクTgasを推定するための運転条件が成立しているか否かが判別される(ステップ100)。このステップ100の処理は実施の形態1と同様である。
所定の運転条件が成立している場合には、次に、筒内ガス圧トルクTgasを推定する対象気筒が選定される(ステップ116)。本実施形態では、通常運転状態の点火順序と同じ順序で対象気筒を選択するものとし、始めは#1が選定される。
次に、ステップ116で選定された対象気筒の前後に点火される気筒の吸排気弁駆動および燃料噴射が休止される(ステップ118)。例えば、#1が対象気筒である場合には、#2および#8が休止され、#4が対象気筒である場合には、#1および#3が休止される。
次いで、対象気筒について、筒内ガス圧トルクTgasを推定する(ステップ120)。このステップ120では、前述した図6に示すサブルーチンを実行することにより、対象気筒の筒内ガス圧トルクTgasが推定される。
続いて、全気筒について筒内ガス圧トルクTgasの推定が完了したか否かが判別される(ステップ122)。未だ推定がなされていない気筒がある場合には、上記ステップ100以下の処理が再度行われ、未推定の気筒について筒内ガス圧トルクTgasが算出される。
上記ステップ122において、全気筒の筒内ガス圧トルクTgasの推定が完了したと判別された場合には、次に、所定の補正処理が実施される(ステップ114)。このステップ114の処理は、実施の形態1と同様である。
以上説明したように、本実施形態によれば、筒内圧相関値(筒内ガス圧トルクTgas)を推定する際にも、6気筒で燃焼を継続することができる。このため、内燃機関10の振動が減筒運転の影響で大きくなるのを回避することができる。また、高出力が要求される運転領域で筒内ガス圧トルクTgasを推定することもできる。また、全気筒について筒内圧相関値を推定するのではなく、特定の気筒についてのみ推定を行う場合にも、有用である。
実施の形態3.
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。
本実施形態のハードウェア構成は、気筒休止機構46および48を備えないこと以外は図3に示すハードウェア構成と同様であるものとし、その図示は省略する。そして、本実施形態のシステムは、そのようなハードウェア構成において、ECU50に、後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態3の特徴]
前述した実施形態では、筒内ガス圧トルク(筒内圧相関値)を推定する際に燃焼を休止させる気筒において、気筒休止機構46、48により吸気弁26および排気弁44の駆動を休止させることとした。これに対し、本実施形態では、燃焼を休止させる気筒において、吸気弁26および排気弁44の駆動を休止させることはせず、燃焼の停止(燃料カット)のみを行うこととした。このため、本実施形態によれば、気筒休止機構46および48を備えない内燃機関にも本発明を適用することが可能となる。
燃焼休止気筒において吸気弁26および排気弁44の駆動を休止させた場合には、筒内に閉じ込められた空気が膨張するときと圧縮されるときとで仕事が相殺されるので、ポンピングロスはほとんど生じない。このため、前述した実施の形態1および2では、燃焼休止気筒のポンピングロスの影響を排除することができるので、対象気筒の筒内ガス圧トルクを精度良く推定することができる。
これに対し、本実施形態では、燃焼休止気筒の吸気弁26および排気弁44の駆動を休止させないので、燃料休止気筒においてポンピングロスが発生する。このため、実施の形態1および2と同様の方法で筒内ガス圧トルクを算出すると、その算出値は、燃焼休止気筒のポンピングロスの分だけ小さくなってしまう。
そこで、本実施形態では、燃焼休止気筒のポンピングロスを推定し、その推定結果に基づいて筒内ガス圧トルクの算出値を補正することとした。これにより、実施の形態1および2と同様に高い精度で、筒内ガス圧トルクを推定することができる。
図9は、対象気筒と、ポンピングロスが発生する燃焼休止気筒との関係を説明するための図である。本実施形態では、実施の形態1と同様に、グループA:#1,#4,#6,#7と、グループB:#8,#3,#5,#2とに分けて、燃焼休止(燃料カット)を行うものとする。以下では、#1を対象気筒とする場合について説明する。#1が対象気筒の場合には、グループB:#8,#3,#5,#2の気筒で燃焼が停止される。そして、この場合には、#1の膨張行程(燃焼行程)に対応するクランク角区間(以下「算出区間」と称する)のクランク角信号に基づいて、筒内ガス圧トルクが算出される。
ポンピングロスは、吸気行程および排気行程において発生する。このため、燃焼が停止された#8,#3,#5,#2の吸気行程および排気行程のうち、算出区間である#1の膨張行程と重なる部分が、#1の筒内ガス圧トルクに影響する。よって、#1を対象気筒とする場合には、図9中のハッチングを付した部分のポンピングロスによる損失トルクTipl(k)を推定して、筒内ガス圧トルクを補正すればよいことになる。
図10は、燃料カット気筒(燃焼休止気筒)のポンピングロスを推定する方法を説明するためのP−V線図である。図10に示すように、ポンピングロスは、排気行程中の気筒の筒内圧Pと、吸気行程中の気筒の筒内圧Pとの差で表される。通常の内燃機関10の場合、燃料カットされたグループBの気筒のうち、排気行程中の気筒の筒内圧Pは大気圧Patmにほぼ等しく、吸気行程中の気筒の筒内圧Pは吸気管圧Pにほぼ等しい。よって、燃料カット気筒のポンピングロスは、算出区間における平均吸気管圧P(k)の関数として扱えば、十分な精度で算出することができる。
そこで、本実施形態では、燃料カット気筒のポンピングロスによる損失トルクTipl(k)を下記(3)式に基づいて算出することとした。
ipl(k)=C・(P(k)−Patm)+D ・・・(3)
ここで、平均吸気管圧P(k)は吸気圧センサ29の信号から算出することができる。また、大気圧Patmは既知の値である。そして、上記CおよびDは、所定の定数として、あるいは運転状態(例えば、算出区間での平均機関回転数、平均吸気管圧)に応じて変化する変数として、予め定めておくことができる。本実施形態では、損失トルクTipl(k)を正の値として扱うため、Cは負の値をとるものとする。
燃料カット気筒のポンピングロスを考慮しない、補正前の筒内ガス圧トルクTi#1_tmp(k)は、実施の形態1における図6中のステップ210および212と同様にして、下記(4)式により算出することができる。
i#1_tmp(k)=J・dω/dt+T ・・・(4)
上記(4)式により算出されたTi#1_tmp(k)に、上記(3)式により算出された損失トルクTipl(k)を加算することにより、燃料カット気筒のポンピングロスを考慮した補正後の筒内ガス圧トルクTi#1(k)を算出することができる。すなわち、Ti#1(k)は、下記(5)式により算出することができる。
i#1(k)=Ti#1_tmp(k)+Tipl(k) ・・・(5)
以上のようにして、燃料カット気筒のポンピングロスの影響を織り込んで、対象気筒の筒内ガス圧トルクTi#1(k)を算出することができる。このため、本実施形態によれば、燃料カット気筒のポンピングロスによる誤差を確実に排除することができるので、気筒休止機構46および48を備えない内燃機関であっても、対象気筒の筒内ガス圧トルク(筒内圧相関値)を高い精度で算出することができる
なお、実施の形態3の具体的処理は、上述した点以外は実施の形態1と同様であるので、ここではこれ以上の説明を省略する。
また、上述した実施の形態3では、実施の形態1と同様にして#1〜#8の気筒をグループAとグループBとに分けて燃焼を停止させる場合について説明したが、実施の形態2と同様にして対象気筒と膨張行程が重なり合う気筒のみの燃焼を停止させるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態3においては、ECU50が上記(3)式の演算を実行することにより前記第6の発明における「ポンピングロス推定手段」が実現されている。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、筒内圧相関値として筒内ガス圧トルクを算出しているが、筒内ガス圧トルクに代えて平均筒内圧を算出することとしてもよい。
また、上述した実施形態では、V型8気筒機関の場合について説明したが、本発明は、複数気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関であれば、気筒数にかかわらず適用することができ、例えばV型6気筒機関にも適用することができる。
V型6気筒機関においては、点火順序は例えば#1→#2→#3→#4→#5→#6とされる。この場合において、実施の形態1と同様にグループA、Bに分けて減筒運転を行う場合には、グループA:#1→#3→#5、グループB:#2→#4→#6とグループ分けをすればよい。このような減筒運転を行った場合には、3気筒運転になるので、筒内圧相関値を推定する基礎となるクランク角区間の幅は、720°/3=240°とすればよい。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 減筒運転状態における筒内ガス圧トルクTgasおよび往復慣性質量による慣性トルクTinertiaと、クランク角との関係を示す図である。 クランク軸の角加速度を求める方法を示す模式図である。 フリクショントルクTと内燃機関の機関回転数Ne、冷却水温thwとの関係を表したマップである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 算出された筒内ガス圧トルクTgas(k)と各気筒の各行程との関係を示す模式図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 対象気筒と、ポンピングロスが発生する燃焼休止気筒との関係を説明するための図である。 燃料カット気筒のポンピングロスを推定する方法を説明するためのP−V線図である。
符号の説明
10 内燃機関
29 吸気圧センサ
30 燃料噴射弁
34 ピストン
36 クランク軸
38 クランク角センサ
42 水温センサ
46,48 気筒休止機構
50 ECU

Claims (6)

  1. 複数の気筒の燃焼行程が重なり合う期間が生ずる多気筒内燃機関のクランク角を検出するクランク角センサと、
    前記クランク角センサの信号に基づいて、対象とする気筒の燃焼ガスの圧力と相関を有する筒内圧相関値を算出する筒内圧相関値算出手段と、
    前記対象とする気筒と燃焼行程が重なり合う部分が生ずる気筒の燃焼を休止させる燃焼休止手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の筒内圧相関値推定装置。
  2. 前記筒内圧相関値は、筒内ガス圧によるトルクであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の筒内圧相関値推定装置。
  3. 前記燃焼休止手段は、前記内燃機関の全気筒を、燃焼行程が重なり合わない気筒同士のグループに分け、前記対象とする気筒が属さないグループの気筒の燃焼を休止させることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の筒内圧相関値推定装置。
  4. 前記燃焼休止手段は、前記対象とする気筒と燃焼行程が重なり合う部分を有する気筒のみの燃焼を休止させることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の筒内圧相関値推定装置。
  5. 前記燃焼休止手段は、燃焼を休止させる気筒の吸排気弁の駆動を停止させる気筒休止手段を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の筒内圧相関値推定装置。
  6. 前記筒内圧相関値算出手段は、前記燃焼休止手段により燃焼が休止された気筒で発生するポンピングロスを推定するポンピングロス推定手段を含み、前記ポンピングロスの影響を織り込んで前記筒内圧相関値を算出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の筒内圧相関値推定装置。
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