JP2007186388A - セメント組成物、それを用いた注入材、及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セメント、籾殻灰、及びアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンを含有してなるセメント組成物、さらに、硬化促進剤を含有してなるセメント組成物、該セメント組成物を用いてなる注入材、セメント、籾殻灰、及び水を含有してなる混合物をA液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合してなるセメント組成物の使用方法であり、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物をC液とし、使用直前に、A液、C液、及びB液の順に混合してなるセメント組成物の使用方法、並びに、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、硬化促進剤、及び水を含有してなる混合物をD液とし、使用直前に、A液とD液を混合してなるセメント組成物の使用方法を構成とする。
【選択図】 なし
Description
この空洞をそのまま放置すると、(1)空洞部への地山の崩落に伴い、地表面が沈下する、(2)地山崩落が激しい場合には、覆工コンクリートの変形や破壊、特に、トンネルの崩落が発生する、(3)空洞への地下水の流入により、覆工コンクリートが劣化する、及び(4)それに伴う劣化コンクリート片の走行車線への落下や、クラック部からの漏水により、冬季に走行車線が凍結するなどの課題があった。
この裏込め注入工法は、空洞部へ注入材を充填し、トンネルの安定化を図るもので、ここで使用される注入材を裏込め材という。
従来、この裏込め材として、通常、セメントとベントナイトを主材とするセメント−ベントナイト系が用いられてきたが、流動性が大きすぎ、裏込め材が遠方まで不必要に逸流したり、湧水があると裏込め材が流出したり、希釈されて物性が低下したりするなどの課題があった。
しかしながら、未だ利用状況としては充分でなく、そのまま埋立廃棄処分されることが多く、処分に多大な費用を要するため、さらなる利用方法の確立が望まれていた。
なお、本発明でいう部は特に規定のない限り質量基準である。
焼却条件により異なるが、籾殻灰の密度は2.1〜2.3g/cm3、BET比表面積(以下、BETという)は1〜200m2/g、平均粒径は1〜20μm、ガラス化率80〜98%程度のものが多い。
籾殻灰の使用量は、籾殻灰の品質により変わるため一義的に規定することはできないが、一般的には、セメント100部に対して、30〜500部が好ましく、50〜300部がより好ましい。30部未満では粘度が上昇しない場合や、流動性が大きくなったり、水中不分離性が小さくなったりする場合があり、500部を超えると粘性が高くなりすぎ、セメント組成物の練混ぜが困難になる場合がある。
本発明において、籾殻灰の平均粒径は、3〜10μmが好ましく、5〜8μmがより好ましい。3μm未満では、セメント、籾殻灰、及び水を含有してなるA液の粘性が高くなり、ポンプによる圧送がしにくくなる場合があり、10μmを超えると、粘度が上昇せず、流動性が大きくなり、水中不分離性が小さくなる場合がある。
不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等により共重合する方法等が挙げられる。
本発明で使用する硬化促進剤は、セメント組成物の硬化を促進してブリーディングを低減し、空隙の生成を抑制するとともに、強度発現性に寄与する。
アルミン酸カルシウム(以下、CAという)は、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等を混合して、キルンでの焼成や電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3を主成分とする化合物を総称するものであり、具体例としては、CaO・2Al2O3、CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2、3CaO・Al2O3、及び3CaO・3Al2O3・CaSO4などで表される結晶性のカルシウムアルミネート類や、CaOとAl2O3を主成分とする非晶質の化合物が挙げられ、いずれも使用可能である。これらの中では、強度発現性の面で非晶質の12CaO・7Al2O3組成のものがより好ましい。
CAの粉末度は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が小さい場合がある。
硫酸カルシウムとしては、無水石膏、半水石膏、又は二水石膏等が挙げられ、これらの中では、硬化促進と強度発現性の面で、無水石膏が好ましい。
硫酸塩の粉末度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が小さい場合がある。
その混合方法は特に限定されるものではないが、セメント、籾殻灰、及び水を含有してなる混合物をA液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合する方法、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物をC液とし、使用直前に、A液、B液、及びC液を混合する方法、特に、使用直前に、A液、C液、及びB液の順に混合する方法、さらに、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、硬化促進剤、及び水を含有してなる混合物をD液とし、使用直前に、A液とD液を混合する方法により、粘度を急激に上昇させることが好ましい。
この場合の水の使用量は特に限定されるものではないが、本エマルジョンをあらかじめ水と混合する場合は、本エマルジョンの固形分の5〜20倍の水で希釈することが好ましく、硬化促進剤をあらかじめ水と混合する場合は、その1〜3倍の水で希釈することが好ましい。水の量がこれより少なくなると、粘度が高くなって混合性が小さくなる場合があり、水の量が多くなると、流動性が大きくなって水中不分離性が小さくなる場合がある。
、本エマルジョン液のB液、硬化促進剤液のC液の三種類の液を別々に圧送し、ノズル先端で合流混合させて使用する方法がより好ましい。
遅延剤としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、及びリンゴ酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム塩やカリウム塩等の金属塩、ホウ酸、トリポリリン酸塩、並びにピロリン酸塩等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することが可能である。これらの中では遅延効果が大きい面で、オキシカルボン酸及び/又はオキシカルボン酸塩が好ましく、クエン酸及び/又はクエン酸ナトリウムがより好ましい。
遅延剤の使用量は、セメント100部に対して、0.01〜10部が好ましく、0.05〜5部がより好ましい。0.01部未満では遅延効果が小さい場合があり、10部を超えると強度発現性が小さくなる場合がある。
また、セメント組成物をより均一に混合するため、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサーをセットし、さらにセメント組成物を混合する方法も挙げられる。
セメント100部に対して、表1に示す量の籾殻灰と水をミキサーで練混ぜてA液を調製し、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部のエマルジョンαと水5部を混合してB液を調製し、セメント100部に対して、硬化促進剤a5部と水10部を混合してC液を調製した。
調製したA液、C液、及びB液をミキサーに続けて投入して5秒間練混ぜた後、フロー値、水中不分離性、及び圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
籾殻灰 :籾殻焼却品、SiO2 91.4%、Al2O3 0.7%、Fe2O3 0.2%、CaO 0.2%、密度2.14g/cm3、BET32.4m2/g、平均粒径6.9μm
エマルジョンα:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート:メタクリル酸=45:55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン
硬化促進剤a:12CaO・7Al2O3組成、ガラス化率95%、ブレーン値6,000cm2/gのCAであるアルミン酸塩と、ブレーン値5,400cm2/gの無水石膏である硫酸塩の等量混合物
平均粒径 :レーザー回折式粒度分布計により測定
フロー値 :練混ぜ後、内径80mm×高さ80mmのシリンダーに入れ、シリンダーを引き抜いた後の広がりを2分後に測定
水中不分離性:土木学会の水中不分離コンクリート設計施工指針付属書の水中分離度試験に準じて実施、水の濁りが全くない場合を優、水の濁りがわずかにある場合を良、水の濁りはあるが、実用可能の場合を可、材料が分離し、水の濁りが大の場合を不可とした。
圧縮強度 :JIS R 5201に準じて測定
セメント100部、表2に示す平均粒径の籾殻灰200部、及び水200部をミキサーで練混ぜてA液を調製し、A液の粘度を測定したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
粘度 :B型回転粘度計により測定
セメント100部、籾殻灰200部、及び水200部をミキサーで練混ぜてA液を調製し、セメント100部に対して、表3に示すエマルジョンと、エマルジョンの10倍量の水とを混合してB液を調製し、硬化促進剤a5部と水10部を混合してC液を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。
なお、比較のため、本エマルジョンの代わりにアルカリ増粘性を有さない非本エマルジョンを用いて同様に行った。
また、B液を用いない場合は、A液、C液の順にミキサーに続けて投入して5秒間練混ぜた。結果を表3に併記する。
エマルジョンβ:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート:メタクリル酸=45:55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン70部と、エチレン:酢酸ビニル=18:82のエチレン/酢酸ビニル共重合ポリマーエマルジョン30部の混合物
エマルジョンγ:非本エマルジョン、固形分濃度30%、スチレン:2−エチルヘキシルアクリレート=45:55のスチレン/2−エチルヘキシルアクリレート共重合ポリマーエマルジョン
セメント100部、籾殻灰200部、及び水200部をミキサーで練混ぜてA液を調製し、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部のエマルジョンαと水5部を混合してB液を調製し、セメント100部に対して表4に示す硬化促進剤と、その2倍量の水、及び遅延剤0.1部を混合してC液を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。
なお、C液を用いない場合は、A液、B液の順にミキサーに続けて投入して5秒間練混ぜた。結果を表4に併記する。
硬化促進剤b:硫酸塩、硫酸アルミニウム、市販品
硬化促進剤c:炭酸塩、炭酸ナトリウム、市販品
硬化促進剤d:水酸化物、水酸化カルシウム、市販品
硬化促進剤e:アルミン酸塩、アルミン酸ナトリウム、市販品
硬化促進剤f:コロイド、シリカゾル、市販品
遅延剤 :クエン酸、市販品
Claims (10)
- セメント、籾殻灰、及びアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンを含有してなるセメント組成物。
- セメント、籾殻灰、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、及び硬化促進剤を含有してなるセメント組成物。
- 籾殻灰が、セメント100部に対して、30〜500部である請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
- アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合により得られるポリマーエマルジョンである請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載のセメント組成物。
- 硬化促進剤が、アルミン酸塩及び/又は硫酸塩を含有してなる請求項2〜請求項4のうちのいずれか一項に記載のセメント組成物。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のセメント組成物を用いてなる注入材。
- セメント、籾殻灰、及び水を含有してなる混合物をA液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合してなるセメント組成物の使用方法。
- セメント、籾殻灰、及び水を含有してなる混合物をA液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をB液とし、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物をC液とし、使用直前に、A液、B液、及びC液を混合してなるセメント組成物の使用方法。
- 使用直前に、A液、C液、及びB液の順に混合してなる請求項8に記載のセメント組成物の使用方法。
- セメント、籾殻灰、及び水を含有してなる混合物をA液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、硬化促進剤、及び水を含有してなる混合物をD液とし、使用直前に、A液とD液を混合してなるセメント組成物の使用方法。
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