JP2007185712A - ろう付け用合金組成物 - Google Patents

Abstract

【課題】 ガスタービン内のｈｏｔ−ｇａｓ−ｐａｔｈエーロフォイルなど極端な環境で使用される超合金基材を劣化させずに高温でのろう付けを可能にして、ろう付け工程中に形成されるホウ化物または金属間化合物の脆性を低減させ、ろう付け結合部の機械的特性（たとえば延性など）を向上させるろう付け用合金組成物の提供。
【解決手段】９〜２５重量％のクロムと、５〜４５重量％のハフニウムと、０．０５〜６重量％のホウ素とを含む、ろう付け用ニッケル基合金組成物及び９〜２５重量％のクロムと、５〜５６重量％のハフニウムと、０．０５〜６重量％のホウ素とを含む、ろう付け用コバルト基合金組成物。ろう付け用合金は、複雑な形状を有する超合金物品の接合／修復を可能にすることができ、高温用途で使用することができる。
【選択図】図１

Description

本発明は、一般にろう付け用合金組成物に関する。より具体的には、本発明は、ニッケル基合金組成物およびコバルト基合金組成物に関する。

高温環境で有効に機能するために、通常、超合金を強化するために、重合金成分が添加される。これによって、ガスタービン内のｈｏｔ−ｇａｓ−ｐａｔｈエーロフォイルなど極端な環境で使用される超合金組成物の、溶接接合／修復が困難になることがある。ろう付けは、コストおよびサイクル時間がより少ないため、超合金成分の接合／修復のためのより好ましい選択肢となってきている。ただし、ろう付け結合部／修復部に、超合金基材材料の特性に近い特定の特性、特に延性をもたせることが難しくなる可能性がある。一般に、主な障害は、ろう付け結合部における脆性相の形成となる可能性がある。

ホウ素は、ろう付け用合金において広く使用されてきたが、脆性のホウ化物によって、通常、機械的特性の低いろう付け結合部がもたらされる。ろう付け結合／修復領域の機械的結着性を向上させるための工程は、一般に、より長い拡散サイクルの使用を必要とする。この手法では、基材超合金または粉末ろう混合物との均質化によって、脆性のホウ化物相の量を低減することができる。ただしこの工程は、より長いサイクル時間、より高いコスト、および、基材超合金を熱劣化にさらすことを必要とすることがある。

ろう付け用合金組成物、および関連する工程および物品は、Ｓｍｉｔｈらの米国特許第４，４１４，１７８号、Ｂｕｄｉｎｇｅｒらの米国特許第５，２４０，４９１号、Ｄｒａｇｈｉらの米国特許第５，７３５，４４８号、Ｂｉｏｎｄｏらの米国特許第５，７８３，３１８号、Ｐｉｅｔｒｕｓｋａらの米国特許第６，５０３，３４９号、Ｍｉｇｌｉｅｔｔｉの米国特許第６，５２０，４０１号、Ｃｏｈｅｎらの米国特許第６，５３０，９７１号、Ｒａｂｉｎｋｉｎの米国特許第６，１６５，２９０号、Ｈｕａｎｇらの米国特許出願公開第２００５−００６７０６１号に記載されている。ここでハフニウムは、低い重量パーセントを示し、一般に、ろう付け用合金組成物の溶融点低下物質としてではなく、粒界強化物質として作用する。
米国特許第４，４１４，１７８号公報 米国特許第５，２４０，４９１号公報 米国特許第５，７３５，４４８号公報 米国特許第５，７８３，３１８号公報 米国特許第６，５０３，３４９号公報 米国特許第６，５２０，４０１号公報 米国特許第６，５３０，９７１号公報 米国特許第６，１６５，２９０号公報 米国特許出願公開第２００５−００６７０６１号公報

本発明の範囲内には、概して、ろう付け用合金組成物の２つの例示的な実施形態がある。１つの例示的な実施形態は、クロム（Ｃｒ）、ハフニウム（Ｈｆ）、およびホウ素（Ｂ）を含む、高温ろう付け用のニッケル基合金組成物に関する。別の例示的な実施形態は、Ｃｒ、Ｈｆ、およびＢを含む、高温ろう付け用のコバルト基合金組成物に関する。

一実施形態では、ろう付け用ニッケル基合金組成物は、９〜２５重量％およびその間の全ての部分範囲のクロム、５〜４５重量％およびその間の全ての部分範囲のハフニウム、ならびに０．０５〜６重量％のおよびその間の全ての部分範囲のホウ素を含む。

別の実施形態では、ろう付け用コバルト基合金組成物は、９〜２５重量％およびその間の全ての部分範囲のクロム、５〜５６重量％およびその間の全ての部分範囲のハフニウム、ならびに０．０５〜６重量％およびその間の全ての部分範囲のホウ素を含む。

ろう付け用合金組成物は、単一の均質なろう付けとして使用することができる。あるいは、ろう付け用合金組成物は、たとえば、溶融点がより高いまたは低い超合金および／またはろう付粉体が使用される、ワイドギャップろう付け用混合物中の一成分として使用することができる。こうしたろう付け用合金組成物によって、たとえば、複雑な形状および高温用途の超合金物品を接合または修復することが可能になる。さらに、ろう付け用合金組成物は、より高い延性をもたらすことができる。

概括的に言えば、ホウ素およびハフニウムは、固相温度を抑えるために結合され、クロム、ハフニウム、およびホウ素は、液相温度を抑えるために結合される。さらに、加えられたクロムによって、たとえば、ろう付け用合金の耐酸化性および耐腐食性をもたらすことができる。ホウ素、クロム、およびハフニウムを含有する金属間化合物は、クロム、タングステン、およびニッケルを含有するホウ化物よりも、高い延性を有することができる。

本明細書で開示され特許請求されるろう付け用合金組成物は、超合金基材を劣化させずに高温でのろう付けを可能にすることができ、ろう付け工程中に形成されるホウ化物または金属間化合物の脆性を低減させることができ、ろう付け結合部の機械的特性（たとえば延性など）を向上させることができる。

本発明の例示的な一実施形態によれば、ろう付け用ニッケル基合金組成物は、９〜２５重量％およびその間の全ての部分範囲のクロム、５〜４５重量％およびその間の全ての部分範囲のハフニウム、ならびに０．０５〜６重量％およびその間の全ての部分範囲のホウ素を含む。

本発明の例示的な一実施形態によれば、クロムは、好ましくは９〜１５重量％である。より好ましくは、クロムは１３重量％である。好ましくは、ハフニウムは、１０〜３０重量％である。より好ましくは、ハフニウムは、１５〜２５重量％である。さらにより好ましくは、ハフニウムは、１５重量％、２０重量％、または２５重量％である。好ましくは、ホウ素は、０．０５〜３．６重量％である。より好ましくは、ホウ素は１重量％である。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用ニッケル基合金組成物中の残りのニッケルの一部は、たとえばアルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、コバルト、鉄、ジルコニウム、ニオビウム、レニウム、炭素、およびケイ素など、超合金中に一般に見られる少なくとも１つの元素で置換される。好ましくは、残りのニッケルの最大６０％が、超合金中に一般に見られる少なくとも１つの元素で置換される。より好ましくは、残りのニッケルの最大５０％が、超合金中に一般に見られる少なくとも１つの元素で置換される。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用ニッケル基合金組成物は、２１７５°Ｆ未満の固相温度を有する。より好ましくは、ろう付け用ニッケル基合金組成物は、２１００°Ｆ未満の固相温度を有する。さらにより好ましくは、ニッケル基合金組成物は、２０２５°Ｆ未満の固相温度を有する。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用ニッケル基合金組成物は、基本的に、９〜２５重量％のクロム、５〜４５重量％のハフニウム、０．０５〜６重量％のホウ素、およびニッケルを含む。より好ましくは、ろう付け用ニッケル基合金組成物は、基本的に、９〜２５重量％のクロム、１０〜３０重量％のハフニウム、０．０５〜３．６重量％のホウ素、およびニッケルを含む。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用コバルト基合金組成物は、９〜２５重量％およびその間の全ての部分範囲のクロム、５〜５６重量％およびその間の全ての部分範囲のハフニウム、ならびに０．０５〜６重量％およびその間の全ての部分範囲のホウ素を含む。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、クロムは、１５〜２５重量％である。より好ましくは、クロムは、２０重量％である。好ましくは、ハフニウムは、１０〜３０重量％である。より好ましくは、ハフニウムは、１０〜２６重量％である。さらにより好ましくは、ハフニウムは、１５重量％、２０重量％、または２５重量％である。好ましくは、ホウ素は、０．０５〜４重量％である。より好ましくは、ホウ素は、１重量％である。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用コバルト基合金組成物は、１１９１℃（２１７５°Ｆ）未満の固相温度を有する。より好ましくは、ろう付け用コバルト基合金組成物は、１１４９℃（２１００°Ｆ）未満の固相温度を有する。さらにより好ましくは、ろう付け用コバルト基合金組成物は、１１０７℃（２０２５°Ｆ）未満の固相温度を有する。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用コバルト基合金組成物は、基本的に、９〜２５重量％のクロム、５〜５６重量％のハフニウム、０．０５〜６重量％のホウ素、およびコバルトを含む。より好ましくは、ろう付け用コバルト基合金組成物は、基本的に、９〜２５重量％のクロム、１０〜２６重量％のハフニウム、０．０５〜４重量％のホウ素、およびコバルトを含む。

本発明の別の例示的な実施形態によれば、ろう付け用コバルト基合金組成物中の残りのコバルトの一部は、たとえばアルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、鉄、ジルコニウム、ニオビウム、レニウム、炭素、およびケイ素など、超合金中に一般に見られる少なくとも１つの元素で置換される。好ましくは、残りのコバルトの最大６０％が、超合金中に一般に見られる少なくとも１つの元素で置換される。より好ましくは、残りのコバルトの最大５０％が、超合金中に一般に見られる少なくとも１つの元素で置換される。

開示され特許請求されるすべてのパーセンテージは概算であることを、当業者は理解し認識するべきである。

図１は、４つのろう付け用ニッケル基合金組成物を表す。図２は、４つのろう付け用コバルト基合金組成物を表す。

以下の表（表１）は、いくつかのろう付け用合金組成物における様々な相の硬度測定値を示す。

表１は、ホウ素が通常、ハフニウムを有する化合物よりも硬いことを例示する。

以下の表（表２）は、いくつかのろう付け用合金組成物の溶融点温度測定値を示す。

表２の温度は、示差走査熱分析（ＤＳＣ）加熱曲線分析に基づく。表２は、ホウ素を有するろう付け用ハフニウム含有合金が有益な特性を有することができることを例示する。

本発明を、現在最も実用的であり好ましい実施形態であると考えられるものに関連づけて説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に包含される様々な修正形態および同等の構成を網羅することが意図されることを理解されたい。

ろう付け用ニッケル基合金の典型的な微細構造を示す図である。 ろう付け用コバルト基合金の典型的な微細構造を示す図である。

Claims (10)

1. ９〜２５重量％のクロムと、
   ５〜４５重量％のハフニウムと、
   ０．０５〜６重量％のホウ素とを含む、ろう付け用ニッケル基合金組成物。
2. ９〜１５重量％のクロムを含む、請求項１記載のろう付け用ニッケル基合金組成物。
3. １０〜３０重量％のハフニウムを含む、請求項１記載のろう付け用ニッケル基合金組成物。
4. ０．０５〜３．６重量％のホウ素を含む、請求項１記載のろう付け用ニッケル基合金組成物。
5. 残りのニッケル含有量の最大６０％が、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、コバルト、鉄、ジルコニウム、ニオビウム、レニウム、炭素、およびケイ素からなる群から選択される少なくとも１つの元素によって置換される、請求項１記載のろう付け用ニッケル基合金組成物。
6. ９〜２５重量％のクロムと、
   ５〜５６重量％のハフニウムと、
   ０．０５〜６重量％のホウ素とを含む、ろう付け用コバルト基合金組成物。
7. １５〜２５重量％のクロムを含む、請求項６記載のろう付け用コバルト基合金組成物。
8. １０〜２６重量％のハフニウムを含む、請求項６記載のろう付け用コバルト基合金組成物。
9. ０．０５〜４重量％のホウ素を含む、請求項６記載のろう付け用コバルト基合金組成物。
10. 残りのコバルト含有量の最大６０％が、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、鉄、ジルコニウム、ニオビウム、レニウム、炭素、およびケイ素からなる群から選択される少なくとも１つの元素によって置換される、請求項６記載のろう付け用コバルト基合金組成物。