JP2000042755A - 耐熱Ni基合金の接合方法 - Google Patents

耐熱Ni基合金の接合方法

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JP2000042755A
JP2000042755A JP21573998A JP21573998A JP2000042755A JP 2000042755 A JP2000042755 A JP 2000042755A JP 21573998 A JP21573998 A JP 21573998A JP 21573998 A JP21573998 A JP 21573998A JP 2000042755 A JP2000042755 A JP 2000042755A
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based alloy
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JP21573998A
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English (en)
Inventor
Toshinobu Nishihata
敏伸 西畑
Kazuyuki Saida
一幸 才田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Al含有量の多いNi基合金を被接合材とし、クリ
ープ強度などの性能に優れた継手の得られる拡散接合方
法を提供する。 【解決手段】Al:1.5〜15重量%を含むNi基合金の接
合面同士を、重量%で、Cr:1〜18%、B:1〜5%、Ce:
0.01〜5%を含有するNi基合金のインサート材を介して
突き合わせ、真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下
で、突き合わせ方向に0.1〜2.0kgf/mm2 の圧力を加
え、その突き合わせ部分をインサート材の融点以上、被
接合材の融点以下に少なくとも120秒保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1000℃程度の
高温での強度と耐食性に優れた耐熱Ni基合金の接合方
法、なかでも石油化学プラントの耐熱耐圧配管の接合方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】石油化学関連プラントの耐熱耐圧配管に
は、従来から、高Cr含有率および高Ni含有率のいず
れか一方、または両方を満たすオーステナイト系ステン
レス鋼が使用されている。最近では、さらに過酷な使用
条件にも耐えられるように、Alの含有率を高め、高温
強度や耐食性の改善を図ったNi基合金が多数提案され
ている(例えば、特開平4−358037号公報、同5
−33090号公報、同5−33091号公報および同
5−33092号公報など)。
【0003】これらのAlを多量に含有した合金を構造
物として組み立てる場合、ガスタングステンアーク溶接
(GTAW(Gas Tungsten Arc Welding)法:いわゆる
TIG溶接法)などを適用すると、高温割れを生じた
り、溶接後熱処理時に再熱割れを起こすといった問題が
生じる。また、ろう付け法を適用すると、Al23皮膜
の形成により被接合面での十分なぬれ性が得られず接合
欠陥が発生する。このため、たとえ接合できたとして
も、接合層に脆弱な金属間化合物相が異相として形成さ
れるため、十分な高温強度が得られない。
【0004】また、固相拡散接合法を適用する場合に
は、被接合面上に形成されるAl23皮膜により接合面
同士の十分な接触が得られず接合欠陥が発生しやすい。
そのため、十分な高温強度が得られず実構造物への適用
が図れない。一方、液相拡散接合法は、接合部における
脆弱な金属間化合物相の生成を防止する方法として知ら
れている(例えば、特公平3−71950号公報)。し
かしながら、高Al合金ではろう付けと同様にAl23
皮膜が形成されているため、液相化したインサート材が
接合面上で均一にゆきわたらず健全な接合部が得られな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Al
含有率の高いNi基合金を被接合材とする接合部で、1
000℃程度の高温で母材並みのクリープ強度などを確
保し得る、拡散接合法による耐熱Ni基合金の接合方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するためにの手段】本発明者らは、Al含
有率の高いNi基耐熱合金の液相拡散接合技術を確立す
るため検討を行い、次の項目を確認することができた。
【0007】(a)インサート材の化学組成 インサート材は、高温での強度と耐食性を確保するため
に、下記のNi基合金とするのがよい。
【0008】Bは、インサート材の融点降下の作用が顕
著であり、必須の元素である。
【0009】Crは、高温での強度と耐食性を確保する
のに必須である。Crは、インサート材の融点、接合欠
陥率にはほとんど影響を及ぼさない。
【0010】Ceは、被接合面と融解したインサート材
との濡れ性を改善して接合欠陥率を低下させる作用があ
り、必要な元素である。
【0011】Zr、Hf、Ta、Nbは、インサート材
の融点を上昇させるが、被接合面と融解したインサート
材との濡れ性を改善して接合欠陥率を低下させるので、
必要に応じて添加するのがよい。
【0012】上記事項を踏まえ、Cr:1〜18%、
B:1〜5%、Ce:0.01〜5%を含有し、さらに
Zr:0〜11%、Hf:0〜22%、Nb:0〜11
%、Ta:0〜22%を含有するNi基合金からなるイ
ンサート材を選定した。
【0013】(b)接合条件 接合時の雰囲気、接合時間および接合加圧力を調
査した結果、接合欠陥のない十分な性能を有する接合部
を得るためには、後述の接合条件を採用する必要があ
る。
【0014】(c)後熱処理条件 上記(a)、(b)を満足する条件で得られた接合部
(以下、継手または継手部ともいう)に後熱処理を施す
と、高温でのクリープ強度をさらに向上させることがで
きる。
【0015】本発明は、上記の事項をもとに、多くの継
手の現場試作を経て完成されたもので、その要旨は下記
(1)および(2)の耐熱Ni基合金の接合方法にあ
る。
【0016】(1)Al:1.5〜15重量%を含む高
温強度と耐食性に優れるNi基合金を被接合材とする接
合方法であって、当該被接合材の接合面同士を、重量%
で、Cr:1〜18%、B:1〜5%、Ce:0.01
〜5%を含有し、さらにZr:0〜11%、Hf:0〜
22%、Nb:0〜11%、Ta:0〜22%を含有す
るNi基合金のインサート材を介して突き合わせ、8×
10-1torr以下の真空雰囲気下または0〜5vol
%のH2 を含む不活性ガスによるシールド雰囲気下で、
かつ突き合わせ方向に0.1〜2.0kgf/mm2
圧力を加えた状態で、その突き合わせ部分をインサート
材の融点以上、被接合材の融点以下に少なくとも120
秒保持して拡散接合する耐熱Ni基合金の接合方法。
【0017】(2)拡散接合した後の継手部に、110
0〜1350℃の範囲内の特定の温度T(℃)で、(T
+273)×(log(t/3600)+20)×10
-3≦33を満足する時間t(s)だけ保持する後熱処理
を施す上記(1)に記載の耐熱Ni基合金の接合方法。
【0018】上記(1)および(2)の本発明において
は、被接合材はAlを1.5〜15重量%含むNi基合
金であればよいが、望ましくは、重量%で、C:0.1
%以下、Si:5%以下、Mn:0.2%以下、Cr:
1〜18%、Al:1.5〜15%、Fe:0〜5%、
B:0〜0.05%、Zr:0〜0.5%、Hf:0〜
1%、Ti:0〜1%、Mg:0〜0.05%、Mo:
0〜6%、W:0〜12%、V:0〜3.5%、Nb:
0〜5.5%、Ta:0〜11%、Y:0〜0.25
%、La:0〜0.25%およびCe:0〜0.25%
を含むNi基合金であることが好ましい。
【0019】被接合材のNi基合金は、配管、厚板、薄
板、鍛造品などが該当する。また、インサート材は、厚
さ5〜500μm程度の薄帯でよい。配管を接合する場
合には、配管を付き合わせる横断面の接合部分の周囲を
カバーし、そのカバーには不要な部分を少なくするよう
に同心環の形状とするのがよい。不活性ガスは、Ar、
2 などの主として酸化反応を起こしにくい気体が該当
する。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の接合方法を上記の
ように限定した理由について説明する。以後の説明で合
金元素についての「%」は「重量%」を表す。
【0021】《インサート材》インサート材は、市販さ
れているもの(商品名「Glassmet」)を用いることがで
きる。また、組成の調整を行った溶湯(Ni基合金)を
双ロール法や単ロール法による回転ロール表面に滴下す
ることにより製造することができる。化学組成は、下記
の範囲とする。
【0022】Cr:1〜18% Crは、高温での強度と耐食性の向上に有効な元素であ
り、1%以上が必要である。しかし、18%を超える
と、組織安定性および高温クリープ強度を劣化させる。
このため、Cr含有量は1〜18%とする。望ましい範
囲は、2〜16%である。この場合、より良好な耐食性
と強度を確保することができる。
【0023】B:1〜5% Bは、インサート材の融点降下に有効な元素であり、1
%以上が必要である。しかし、5%を超えると、接合層
内で硼化物の生成を助長し接合部の延性を低下させる。
このため、B含有量は1〜5%とする。望ましい範囲
は、1.5〜4.5%である。
【0024】Ce:0.01〜5% Ceは、O(酸素)との親和力が強く、Al23皮膜を
破壊する。このため、濡れ性を改善して、接合欠陥率の
低下に有効な元素であり、この効果を得るためには0.
01%以上が必要である。しかし、5%を超えると、母
材のAlと反応し、Al−Ce金属間化合物を生成して
接合部の延性、強度を低下させるだけでなく、インサー
ト材自体の製造が困難になる。このため、Ce含有量は
0.01〜5%とする。望ましい範囲は、0.1〜4%
である。
【0025】Zr:0〜11% Zrは含まなくてもよい。添加すれば、ZrはO(酸
素)との親和力が強く、Al23皮膜を破壊して濡れ性
を改善し、接合欠陥率の低下に有効な元素である。その
効果を得るためには、0.01%以上の添加が必要であ
る。しかし、11%を超えると、母材のAlと反応し、
Al−Zr金属間化合物を生成して接合継手の延性、強
度を低下させるだけでなく、インサート材自体の製造が
困難になる。このため、添加する場合のZr含有量は、
0.01〜11%とするのが望ましい。
【0026】Hf:0〜22% Hfは含まなくてもよい。添加すれば、HfはO(酸
素)との親和力が強く、Al23皮膜を破壊して濡れ性
を改善し、接合欠陥率の低下に有効な元素である。その
効果を得るためには、0.01%以上の添加が必要であ
る。しかし、22%を超えると、母材のAlと反応しA
l−Hf金属間化合物を生成して接合継手の延性、強度
を低下させるだけでなく、インサート材自体の製造が困
難になる。このため、添加する場合のHf含有量は、
0.01〜22%とするのが望ましい。
【0027】Nb:0〜11% Nbは含まなくてもよい。添加すれば、NbはO(酸
素)との親和力が強く、Al23皮膜を破壊して濡れ性
を改善し、接合欠陥率の低下に有効な元素である。その
効果を得るためには、0.01%以上の添加が必要であ
る。しかし、11%を超えると母材のAlと反応し、A
l−Nb金属間化合物を生成して接合継手の延性、強度
を低下させるだけでなく、インサート材自体の製造が困
難になる。このため、添加する場合のNb含有量は、
0.01〜11%とするのが望ましい。
【0028】Ta:0〜22% Taは含まなくてもよい。添加すれば、TaはO(酸
素)との親和力が強く、Al23皮膜を破壊して濡れ性
を改善し、接合欠陥率の低下に有効な元素である。その
効果を得るためには、0.01%以上の添加が必要であ
る。しかし、22%を超えると、母材のAlと反応しA
l−Ta金属間化合物を生成して接合継手の延性、強度
を低下させるだけでなく、インサート材自体の製造が困
難になる。このため、添加する場合のTa含有量は、
0.01〜22%とするのが望ましい。
【0029】その他に、高温で強度や耐食性を劣化させ
ず、通常使用される合金元素を含むNi基合金も本発明
の範囲に含まれる。不可避的不純物も通常の範囲内であ
るかぎり含んでいても差し支えない。
【0030】《被接合材の化学組成》発明1において、
高温強度および耐食性に優れるNi基合金を被接合材と
するのは、高温環境にさらされる化学プラントなどに使
用されることを前提にする。Ni基合金とするのは、N
i含有率が高い合金は、高温強度および高温耐食性に優
れるからである。
【0031】Al:1.5〜15% Alは、高温で耐浸炭性や耐コーキング性の向上に必要
である。このため、本発明が対象とするNi基合金は、
Alを1.5%以上含む必要がある。しかし、15%を
超えると、室温および高温での延性および靭性が劣化す
る。このため、Al含有量は1.5〜15%とする。望
ましい範囲は、4〜13%である。
【0032】他の合金元素は、下記の含有量とするのが
望ましい。
【0033】C:0.1%以下 Cは、微量の添加で常温および高温での強度を確保する
のに有効な元素であるが、0.1%を超えると、延性お
よび靭性が低下する。このため、その上限は0.1%と
する。なお、強度確保の点からは、0.003%以上と
するのが望ましく、通常、C含有量が0.003%未満
になることはない。
【0034】Si:5%以下 Siは、脱酸元素として、また、耐酸化性や耐浸炭性の
向上にも有効な場合がある。しかし、5%を超えると、
延性および靭性が著しく劣化する。このため、その上限
は5%とする。脱酸効果を発揮させるためのSiの下限
の目安は、0.05%前後である。
【0035】Mn:0.2%以下 Mnは、脱酸作用を有するが、耐コーキング性を劣化さ
せるスピネル型酸化皮膜の形成を促進する。このため、
その上限は0.2%とする。望ましい上限は、0.1%
である。
【0036】Cr:1〜18% Crは、耐酸化性や耐コーキング性の確保のために、1
%以上が必要である。しかし、本発明が対象とする被接
合材のように高Al含有率のNi基合金などには、高濃
度に含ませる必要なはなく、18%を超えると、高温で
の組織の安定性を劣化させるだけでなく、炭化物が不均
一に析出し靭性を劣化させる。このため、Cr含有量は
1〜18%とする。望ましい範囲は、3〜15%であ
る。
【0037】Fe:0〜5% Feは含まなくてよい。添加すれば、Feは高価なNi
の一部を代替するものであり、Niに置き代わって性能
を向上させる作用はないが、劣化させる要素もない。し
かし、5%を超えると耐熱性が劣化する。このため、添
加する場合のFe含有量の上限は、5%とするのが望ま
しい。
【0038】B:0〜0.05% Bは含まなくてもよい。添加すれば、Bは結晶粒界を強
化してクリープ強度を向上させる。この効果は、0.0
01%以上で顕著になるが、0.05%を超えるとかえ
ってクリープ強度が低下する。このため、添加する場合
のB含有量は、0.001〜0.05%とするのが望ま
しい。
【0039】Zr:0〜0.5% Zrは含まなくてもよい。添加すれば、Zrは結晶粒界
を強化してクリープ強度を向上させる。この効果は、
0.01%以上で顕著になるが、0.5%を超えると粗
大炭化物を生成し、かえってクリープ強度が低下する。
このため、添加する場合のZr含有量は、0.01〜
0.05%とするのが望ましい。
【0040】Hf:0〜1% Hfは含まなくてもよい。添加すれば、Hfは結晶粒界
を強化してクリープ強度を向上させる。この効果は、
0.05%以上で顕著になるが、1%を超えると粗大な
炭化物を生成し、クリープ強度の劣化を招く。このた
め、添加する場合のHf含有量は、0.05〜1%とす
るのが望ましい。
【0041】Mg:0〜0.05% Mgは含まなくてもよい。添加すれば、Mgは上記の
B、ZrおよびHfと同様に、微量で結晶粒界を強化
し、クリープ強度の向上に寄与する。この効果は、0.
001%以上で顕著になるが、0.05%を超えると清
浄度が劣化し延性および靭性が劣化する。このため、添
加する場合のMg含有量は、0.001〜0.05%と
するのが望ましい。
【0042】Mo:0〜6%、W:0〜12% MoとWは含まなくてもよい。添加すれば、MoとWは
主としてオーステナイト相に固溶してオーステナイト相
を強化し、クリープ強度を向上させる。この効果は、M
oの場合には0.2%以上、Wの場合には0.5%以上
で顕著になる。しかし、6%を超えるMoと12%を超
えるWは、靭性を劣化させる金属間化合物の生成を招
く。このため、添加する場合のMo含有量とW含有量
は、それぞれ0.2〜6%、0.5〜12%とするのが
望ましい。
【0043】V:0〜3.5% Vは含まなくてもよい。添加すれば、Vはオーステナイ
ト相やCr炭化物中に固溶しクリープ強度を向上させ
る。この効果は、0.1%以上で顕著になるが、3.5
%を超えると靭性が劣化する。このため、添加する場合
V含有量は、0.1〜3.5%とするのが望ましい。
【0044】Nb:0〜5.5% Nbは含まなくてもよい。添加すれば、Nbは微量でク
リープ強度を向上させる。その効果は、0.3%以上で
顕著になるが、5.5%を超えると延性および靭性が劣
化する。このため、添加する場合Nb含有量は、0.3
〜5.5%とするのが望ましい。
【0045】Ta:0〜11% Taは含まなくてもよい。添加すれば、Taは微量でク
リープ強度を向上させる。その効果は、0.5%以上で
顕著になるが、5.5%を超えると延性および靭性が劣
化する。このため、添加する場合Ta含有量は、0.5
〜5.5%とするのが望ましい。
【0046】Y:0〜0.25%、La:0〜0.25
%、Ce:0〜0.25% Y、LaおよびCeは含まなくてもよい。添加すれば、
これらの元素は主として化学プラントの運転停止、運転
開始の熱サイクル条件下でのSiO2 やAl23の皮膜
の密着性を向上させ、温度変動下での使用においても優
れた耐浸炭性および耐コーキング性が維持される。この
効果は、いずれの元素も0.01%以上で顕著になる
が、いずれの元素も0.25%を超えると清浄度が劣化
し、加工性が低下して製品にならない場合がある。この
ため、添加する場合のこれらの元素の含有量は、いずれ
も、0.01〜0.25%とするのが望ましい。
【0047】《接合雰囲気》接合中に酸化皮膜生成を抑
制するため、H2 を0%〜5%添加した不活性ガス雰囲
気中または8×10-1torr以下の真空雰囲気中で接
合を行う。前者の不活性ガス雰囲気中で接合する場合、
酸化皮膜を還元し、接合性を一層高めるためには、H2
を少なくとも0.5%以上含ませることが望ましい。不
活性ガスとしては、上記したようにAr、N2 ガスなど
を用いるのがよい。
【0048】《接合時間》接合保持時間は、時間が短す
ぎると接合部と母材との均質化が十分に行われず、十分
な高温強度を有する接合継手が得られない。したがっ
て、少なくとも120秒以上保持することが必要であ
る。さらに望ましくは240秒以上とする。上限はとく
に限定しないが、施工能率などを考慮すると1800秒
程度が目安となる。
【0049】《加圧力》加圧力が0.1kgf/mm2
未満では、被接合面のAl23酸化皮膜の破壊が進まず
十分な濡れ性が得られない。逆に、2.0kgf/mm
2 超では接合時に変形が生じやすくなる。したがって、
接合時の加圧力は、付き合わせる方向に垂直な面での圧
力で0.1〜2.0kgf/mm2 とする。より望まし
い範囲は、0.3〜1.5kgf/mm2 である。
【0050】《後熱処理条件》本発明においては、前述
のインサート材を使用し、前述の接合条件を満たすこと
により、十分な高温強度を有する継手が得られるので、
後熱処理は必ずしも施す必要はない。しかし、前述した
ように、接合後の継手部に後熱処理を施す場合には、高
温強度をさらに向上させることができので、後熱処理を
施すことが望ましい。
【0051】ただし、その後熱処理は、温度T(℃)が
1100〜1350℃の範囲内であり、温度Tと保持時
間t(s)とに基づいて下式により求められるパラメー
タP値が33以下になる条件のもとに施す必要がある。
これは、温度Tが1100℃未満では、保持時間tが長
くなって能率が低下する。また、温度Tが1350℃超
またはパラメータP値が33超になると、Ni−Al系
の金属間化合物が多量に析出するなどし、高温強度(ク
リープ強度)がかえって著しく低下するだけでなく、靭
性が低下するためである。
【0052】なお、パラメータP値の下限はとくに定め
る必要はないが、P値が25未満になると組織の均質化
が十分には行われず、高温強度(クリープ強度)の十分
な向上効果が得られないので、P値の下限は25以上と
するのが好ましい。
【0053】P=(T+273)×(log(t/36
00)+20)×10-3 ここで、logは10を底とする対数を意味する。
【0054】
【実施例】実施例により本発明の効果を説明する。
【0055】表1に、使用した被接合材(高Al含有N
i基合金)の化学組成を示す。
【0056】
【表1】
【0057】表2は、これらの被接合材の1000℃に
おける10000hrのクリープ破断強度を示す。合金
No. 、およびのクリープ破断強度は、それぞれ
1.3、1.4または1.5kgf/mm2 である。
【0058】
【表2】
【0059】表3に、本発明例10種類、比較例6種類
のインサート材の化学組成を示す。
【0060】
【表3】
【0061】上記の被接合材およびインサート材を使用
して種々の接合条件で接合を行い、継手性能を評価し
た。
【0062】表4〜表7は、各試験番号の接合条件を示
す一覧表である。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】継手性能の評価は、接合継手の接合部の横
断面を現出し、接合欠陥(ボイド)率を測定した。接合
欠陥(ボイド)率は、{(ボイドの占有長さ)/(接合
部長さ)}×100%として定義される値である。接合
欠陥率が0%の継手のみ合格と判定した。
【0068】図1は、クリープ試験片の形状と各部の寸
法を示す図である。上記の条件で接合した継手から図1
に示す形状の試験片を採取し、温度1000℃、応力
1.5kgf/mm2 の条件でクリープ破断試験を実施
した。母材のクリープ破断時間の80%以上に達した継
手を合格と判定した。なお、母材のクリープ破断時間
は、温度1000℃、応力1.5kgf/mm2 の条件
で104hr以上であったので、104hrを判定の基
準とし、8000hr以上の破断時間が得られれば合格
とした。
【0069】試験結果を、表4〜表7に併せて示した。
【0070】表4に示すように、インサート材および接
合条件が本発明で規定する範囲内の試番AJ1〜AJ2
5では、接合欠陥がなく、しかも母材の80%以上のク
リープ破断強度を有する継手が得られた。特に、本発明
で規定する条件で後熱処理を施した試番AJ22〜AJ
25では、母材の90%以上のクリープ破断強度を有す
る継手が得られた。
【0071】これに対し、表5に示すように、比較例の
試番BJ1またはBJ4では、インサート材がそれぞれ
Zr、Hf、Nb、Ta、Ceを全く含まないか、また
はCeが過剰であるために、接合欠陥率が40%以上と
なり、クリープ破断強度は母材の10%程度であった。
比較例の試番BJ2またはBJ3では、インサート材の
B含有量がそれぞれ高すぎ、または低すぎたために、接
合欠陥率、クリープ破断強度ともに悪かった。比較例の
試番BJ5またはBJ6では、インサート材のCr含有
量がそれぞれ高すぎ、または低すぎたために、上記の2
特性とも悪かった。比較例の試番BJ7またはBJ8で
は、接合時間がともに短かったために、上記の2特性と
も悪かった。比較例の試番BJ9では、加圧力なしで接
合したために、クリープ破断強度が極めて悪かった。比
較例の試番BJ10では、加圧力が高すぎて接合継手が
得られず、クリープ試験を行うことができなかった。
【0072】また、表6に示すように、本発明例の試番
AJ26およびAJ27では、上記の2特性は満足すべ
き良好な結果が得られた。これに対し、比較例の試番B
J11では空気圧1torr中、また試番BJ12では
大気中で接合したために、クリープ破断強度が低下し、
接合欠陥率が高くなった。
【0073】さらに、表7に示すように、比較例の試番
BJ13およびBJ14では、接合欠陥は発生しなかっ
たが、前者はパラメータP値が34、後者は温度Tが1
400℃で、いずれも後熱処理の条件が本発明で規定す
る範囲を外れているために、クリープ破断強度が著しく
低下した。
【0074】
【発明の効果】本発明により、Al含有率の高い耐熱N
i基合金をクリープ強度などの特性を劣化させることな
く接合することができ、安全性の高い石油化学プラント
などを安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のクリープ試験に用いたクリープ試験片
の形状と各部の寸法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 19/05 C22C 19/05 B G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Al:1.5〜15重量%を含む高温強度
    と耐食性に優れるNi基合金を被接合材とする接合方法
    であって、当該被接合材の接合面同士を、重量%で、C
    r:1〜18%、B:1〜5%、Ce:0.01〜5%
    を含有し、さらにZr:0〜11%、Hf:0〜22
    %、Nb:0〜11%、Ta:0〜22%を含有するN
    i基合金のインサート材を介して突き合わせ、8×10
    -1torr以下の真空雰囲気下または0〜5vol%の
    2 を含む不活性ガスによるシールド雰囲気下で、かつ
    突き合わせ方向に0.1〜2.0kgf/mm2 の圧力
    を加えた状態で、その突き合わせ部分をインサート材の
    融点以上、被接合材の融点以下に少なくとも120秒保
    持して拡散接合することを特徴とする耐熱Ni基合金の
    接合方法。
  2. 【請求項2】拡散接合した後の継手部に、1100〜1
    350℃の範囲内の特定の温度T(℃)で、(T+27
    3)×(log(t/3600)+20)×10-3≦3
    3を満足する時間t(s)だけ保持する後熱処理を施す
    ことを特徴とする請求項1に記載の耐熱Ni基合金の接
    合方法。
  3. 【請求項3】被接合材が、重量%で、C:0.1%以
    下、Si:5%以下、Mn:0.2%以下、Cr:1〜
    18%、Al:1.5〜15%、Fe:0〜5%、B:
    0〜0.05%、Zr:0〜0.5%、Hf:0〜1
    %、Ti:0〜1%、Mg:0〜0.05%、Mo:0
    〜6%、W:0〜12%、V:0〜3.5%、Nb:0
    〜5.5%、Ta:0〜11%、Y:0〜0.25%、
    La:0〜0.25%およびCe:0〜0.25%を含
    むNi基合金であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の耐熱Ni基合金の接合方法。
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