JP2007183356A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存のデジタルカメラ等を使用し、高精細の静止画撮影や動画撮影に共に利用することが可能な防振装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1を着脱自在に装着する、姿勢角度が制御可能な電動式のジャイロスコープ部11Gを備えた第1の支持台11と、この第1の支持台11を回動自在に支持し、上記ジャイロスコープ部11Gと電気的に接続してその姿勢角度を操作する制御部、上記ジャイロスコープへの電力供給を行なう電源、及びユーザ用のグリップ部を備えた第2の支持台16とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、デジタルカメラを含む各種撮像装置に好適な防振装置に関する。
スチルカメラを手持ちで撮影する場合、焦点距離の長いレンズを使用する際やマクロ撮影を行なう際、あるいは被写体が暗くシャッタ速度が遅い際などでは、シャッタレリーズ時の手ブレや姿勢ブレ、あるいは被写体の動きに伴う動体ブレ等による像ブレが目立つことがある。
このような像ブレは、絞りを開けてその時点のF値を小さくする、撮影感度を上げる、あるいはシャッタ速度を速くする、等のカメラ側の対策と、撮影者のカメラの保持姿勢等による撮影の仕方によってある程度は防ぐことができるが、それも自ずと限界があった。
また、特に動画撮影を行なうビデオカメラでは、カメラワークやズームが多用される傾向にあり、カメラの移動や手ブレが激しいと、像ブレや画面の揺れにつながり、後に著しく鑑賞しにくいものとなるという不具合があるため、早くから手ブレ補正や像安定化装置が開発されてきた。
手ブレ補正には、撮像信号から像ブレ量を検出するか、あるいは各速度センサ等で手ブレの量と方向を検出し、検出したブレ量と方向に応じて画像信号が切出す枠位置を変化させる画像処理方式と、光学系のレンズや撮像素子自体を機械的に動かして補正する光学補正方式とがある。
このうち光学補正方式は、種々開発されているが、一般に画像処理方式に比べて画質劣化が少ないと言われている。
その反面、光学補正方式は、機構が複雑で大型化し易く、鏡筒が長くなるなど、それぞれの構成に一長一短があった。具体的には、頂角プリズム方式では、補正角度が大きいと色収差が生じて高精細の静止画撮影には不向きとなる。また、偏心シフトレンズ方式では、従来のレンズを流用することができず、偏心収差を生じる。さらに撮像素子シフト方式では、撮像素子のサイズが大きいとそれを駆動するためのアクチュエータも大型化し、衝撃に弱くなる。
このように、小型で、且つ高精細の静止画と動画のいずれにも利用しやすい光学補正方式の手ブレ補正を行なう装置は皆無であった。
また、これとは別に、カメラ本体に内蔵したブレ検出手段の出力に基づいて簡易的にブレを軽減するカメラにおいて、別体に構成された手ブレ防止グリップなど第2防振手段を設け、カメラ本体のブレ検出手段からの信号を受けてカメラ本体のブレを打ち消すようにした技術が考えられていた。(例えば、特許文献1)
特開平10−142646号公報
しかしながら、上記特許文献に記載された技術は、大がかりな機構を必要とせず、携帯して使用するコンパクトタイプのカメラにも適用できる一方で、手ブレを検出するセンサが予め内蔵されたカメラ以外では効果が薄く、適用可能なカメラの機種が限定されるという不具合がある。加えて、動画撮影ではブレの軽減が期待できても、静止画撮影ではカメラ本体のレリーズボタンを押圧操作することになるのでその際に生じるブレは軽減することができない。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、既存のデジタルカメラ等を使用しながら、高精細の静止画撮影や動画撮影に共に利用することが可能な防振装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、光学機器を着脱自在に装着する、姿勢角度が制御可能な電動式のジャイロスコープを備えた第1の支持台と、この第1の支持台を回動自在に支持し、上記ジャイロスコープと電気的に接続してその姿勢角度を操作するジャイロ操作部、上記ジャイロスコープへの電力供給を行なう電源部、及び把持部を備えた第2の支持台とを具備したことを特徴とする防振装置。
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記光学機器は、画像を撮影するカメラであり、上記第2の支持台は、上記カメラでの撮像を指示するレリーズ釦をさらに備え、上記第1の支持台は、上記レリーズ釦の操作信号を装着されたカメラに伝達するコネクタ部をさらに備えることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記ジャイロスコープは、回転体を支持するジンバルの固定及びその解除を切換える機構を備え、上記レリーズ釦の操作状態に対応して上記回転体の回転及び停止と当該ジンバルの固定及びその解除とをそれぞれ切換えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、光学機器を着脱自在に装着する、姿勢角度の変位量を検出するジャイロスコープによる検出機構を備えた第1の支持台と、この第1の支持台を回動自在に支持し、与えられる制御信号に基づいて上記第1の支持台の姿勢角度を可変設定する第1のアクチュエータを備えた第2の支持台と、この第2の支持台を回動自在に支持し、与えられる制御信号に基づいて上記第2の支持台の姿勢角度を可変設定する第2のアクチュエータ、上記検出信号で検出された姿勢角度から上記第1及び第2のアクチュエータに与える制御信号を生成する制御部、上記検出機構と第1及び第2のアクチュエータへの電力供給を行なう電源部、及び把持部を備えた第3の支持台とを具備したことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記制御部は、上記検出機構から時系列で送られてくる検出信号により予測値としての制御信号を生成することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記光学機器は、画像を撮影するカメラであり、上記第3の支持台は、上記カメラでの撮像を指示するレリーズ釦をさらに備え、上記第1の支持台は、上記レリーズ釦の操作信号を装着されたカメラに伝達するコネクタ部をさらに備えることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記第3の支持台は、上記カメラの撮影方向の可変を指示する操作釦をさらに備え、上記制御部は、上記撮影方向の可変を指示する操作釦での操作信号に対応して上記第1及び第2のアクチュエータに与える制御信号の内容を調整することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、光学機器を着脱自在に装着する第1の支持台と、この第1の支持台を弾性部材及び減衰部材を介して支持する、把持部を備えた第2の支持台とを具備したことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、上記請求項8記載の発明において、上記弾性部材及び減衰部材の少なくとも一方は、その特性を可変調整する調整機構を有することを特徴とする。
請求項10記載の発明は、光学機器を着脱自在に装着する第1の支持台と、この第1の支持台を弾性部材及び減衰部材を介して支持する、把持部を備えた第2の支持台と、上記第1及び第2の支持台の少なくとも一方に取付けられた動吸振器とを具備したことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、上記請求項10記載の発明において、上記動吸振器を機械的に駆動して動吸振器が取付けられる第1及び第2の支持台の少なくとも一方の振動を抑制するアクチュエータとを具備したことを特徴とする。
請求項12記載の発明は、光学機器を着脱自在に装着する第1の支持台と、この第1の支持台を弾性部材及び減衰部材を介して支持する、把持部を備えた第2の支持台と、上記第1及び第2の支持台の少なくとも一方に取付けられた、付加質量を有する副振動系部材と、上記付加質量を機械的に駆動してこの副振動系部材が取付けられる第1及び第2の支持台の少なくとも一方の振動を抑制するアクチュエータとを具備したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、既存のデジタルカメラ等の光学機器を第1の支持台に装着し、第2の支持台の把持部を把持しながら、ジャイロ操作部により第1の支持台ごとジャイロスコープの姿勢制御を行なうことで、手ブレ等の影響の多くを排除して安定した状態で該光学機器を使用することができる。
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第2の支持台に備えられたレリーズ釦等の操作により高精細の静止画撮影や動画撮影とそれに基づく各種撮影操作を実現できる。
請求項3記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、あえて不必要なジャイロスコープの駆動を一時的に停止し、任意に構図設定等をユーザに行なわせると共に、容量が制限された電源を有効に使用することができる。
請求項4記載の発明によれば、既存のデジタルカメラ等の光学機器を第1の支持台に装着し、第3の支持台の把持部を把持しながら、制御部により光学機器ごと第1の支持台の姿勢角度の変位量に応じて第1及び第2のアクチュエータによる動的な制振動作を行なわせることで、より広い範囲の光学機器に対応し、手ブレ等の影響を排除してきわめて安定した状態で該光学機器を使用することができる。
請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、ブレの発生を時系列に追従して予測制御を行なうことにより、検出結果に対する応答に遅れを生じることなく、きわめて正確にブレの発生を抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、第3の支持台に備えられたレリーズ釦等の操作により高精細の静止画撮影や動画撮影とそれに基づく各種撮影操作を実現できる。
請求項7記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、カメラの撮影方向を可変する操作釦の操作内容を加味して第1及び第2のアクチュエータによる角度姿勢を制御するものとしたので、撮像方向を上下左右に回動させるパン/チルト操作を併せて実現させることができ、ユーザにとっての使い勝手をより向上できる。
請求項8記載の発明によれば、弾性部材及び減衰部材により第2の支持台に対する第1の支持台をフローティング状態に支持し、ユーザが把持する第2の支持台側で生じる振動等が第1の支持台へ伝達され難い構造とすることで、比較的簡易な構成ながら、より広い範囲の光学機器に対応して手ブレ等の影響を排除し、きわめて安定した状態で該光学機器を使用することができる。
請求項9記載の発明によれば、上記請求項8記載の発明の効果に加えて、装着する光学機器の質量や使用環境等に応じて最適な防振状態に調整することができる。
請求項10記載の発明によれば、弾性部材及び減衰部材により第2の支持台に対する第1の支持台をフローティング状態に支持し、ユーザが把持する第2の支持台側で生じる振動等が第1の支持台へ伝達され難い構造とした上で、さらに第1及び第2の支持台の少なくとも一方を動吸振器により制振するものとしたので、比較的簡易な構成ながら、より広い範囲の光学機器に対応して手ブレ等の影響を効率的に排除し、きわめて安定した状態で該光学機器を使用することができる。
請求項11記載の発明によれば、上記請求項10記載の発明の効果に加えて、アクチュエータにより動吸振器を機械的に駆動してより積極的に振動を抑制するものとしたので、規模の大きな振動等にも対処しながら、短時間のうちに手ブレ等による振動を収束させることができる。
請求項12記載の発明によれば、アクチュエータにより副振動系部材を機械的に駆動してより積極的に振動を抑制するものとしたので、規模の大きな振動等にも対処しながら、短時間のうちに手ブレ等による振動を収束させることができる。
(第1の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラ用の防振装置に適用した場合を第1の実施の形態として図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る防振装置10の外観構成を示すもので、1は防振対象となるデジタルカメラ本体であり、ここではその背面側から見た状態を示す。このデジタルカメラ本体1自体は、後述する底面に設けられたコネクタを介して外部からのコントロールにより撮影等の指示を行なうことができる点を除き、きわめて一般的な構成を有するものとして、その構成及び動作に対は説明を省略する。
本図では、このデジタルカメラ本体1で女性を被写体として撮影を待機している状態を例示するものであり、背面側のバックライト付きカラー液晶パネルで構成される表示部2にはその時点で撮影素子に継続されている画像がそのままモニタ表示され、上部右端側に設けられるレリーズ釦3を操作することでデジタルカメラ本体1単体でも撮影を実行できることは勿論である。
このデジタルカメラ本体1はその底面側にある三脚孔により、底辺とその両端に接続した一対のアームよりなるコ字状フレームの第1の支持台11に取付け固定される。
具体的には、この第1の支持台11の底辺11Cと(デジタルカメラ本体1背面側から見て)右側アーム11Rが一体に構成されているのに対し、同左側アーム11Lは実際にはL字状の一辺が底辺11C左側に差し込まれて伸縮調整ビス12の回動操作により左右位置が伸縮自在に調整可能となり、取付けるデジタルカメラ本体1の横幅及び三脚孔の位置に対応することができる。
しかして、底辺11C下面の上記伸縮調整ビス12より内側にあるカメラ固定ビス13を回動操作することで、この底辺11Cを貫通してデジタルカメラ本体1の底面に設けられている三脚孔に螺合締結してデジタルカメラ本体1を第1の支持台11に取付けることができる。
この第1の支持台11の底辺11C下側にはジャイロスコープ部11Gが一体に吊設される。このジャイロスコープ部11Gは、ロータ(回転体)であるジャイロスピン14が回転ジンバル15に内包され、回転自在に取付けられる。
しかるに上記第1の支持台11は、その両アーム11L,11R上端の回動機構により、同じく底辺とその両端に接続した一対のアームよりなるコ字状フレームの第2の支持台16に揺動自在に支持される。
この第2の支持台16は、底辺16Cと(デジタルカメラ本体1背面側から見て)右側アーム16Rが一体に構成されているのに対し、同左側アーム16Lは実際にはL字状の一辺が底辺16C左側に差し込まれて伸縮調整ビス17の回動操作により左右位置が伸縮自在に調整可能となり、上記第1の支持台11の伸縮調整ビス12の回動操作と合わせて、取付けるデジタルカメラ本体1の横幅及び三脚孔の位置に対応することができる。
この第2の支持台16の右側アーム16Rは、図示する如く左側アーム16Lに比べて横方向及び奥行き(図の紙面に垂直な)方向の各寸法が大きく設定されてユーザの右手RHによる把持を前提としたグリップ部を形成する。
右側アーム16Rの上端面にはデジタルカメラ本体1の電源をオン/オフするための電源スイッチ18、デジタルカメラ本体1での撮影を指示するレリーズ釦19が設けられる。
また、第2の支持台16の背面側には、ズームキー20、カーソルキー21a、このカーソルキー21aの中心に位置するエンターキー21b、上記ジャイロスコープ部11Gのオン/オフスイッチ22、防振動作のオン/オフスイッチ23、これらオン/オフスイッチ22,23の各操作状態を示すインジケータランプ24,25が適宜配設される。
さらに、右側アーム16Rの下端面、すなわち底辺16Cの下面の右端側には電池交換蓋26が設けられ、この電池交換蓋26を開けることで防振装置10の動作電源である電池(図示せず)の着脱、交換を行なう。
なお、上記第2の支持台16とこの第2の支持台16に揺動自在に支持される第1の支持台11とは充分にコード長をとったカールコード27により電気的に接続され、且つ第2の支持台16に対する第1の支持台11の動作が阻害されないようになる。
図示する如くユーザは、左手LHにより第2の支持台16の左側アーム16L及び底辺16Cの結合部近辺を保持し、右手RHで右側アーム16Rを把持して、その親指で適宜上記ズームキー20、カーソルキー21a、エンターキー21b、オン/オフスイッチ22,23を操作しながら、人差し指で電源スイッチ18及びレリーズ釦19を操作することで、撮影動作を実行させる。
図2は、上記防振装置10の内部機構の一部を透視化して示すものである。上述した如く防振装置10では、第1の支持台11の左右各アーム11L,11Rの上端と第2の支持台16の左右各アーム16L,16Rの上端とが揺動自在に接続されるものとなっている。
具体的には、第2の支持台16の左右各アーム16L,16Rの上端にボールベアリングを使用した軸受け構造28L,28Rを埋設し、この軸受け構造28L,28Rに第1の支持台11の左右各アーム11L,11Rの上端から共に図中に一点鎖線で示す回転軸RAに沿って突出形成された軸部29L,29Rを貫装させることで第1の支持台11が第2の支持台16に対して揺動自在に取付けられるものとなる。
第1の支持台11の底辺11Cと左側アーム11Lは、ラック/ピニオン機構により連結されるもので、左側アーム11L側にラック歯車30が、底辺11Cの伸縮調整ビス12に一体にピニオン歯車31が組込まれてこれらが歯合し、装着するデジタルカメラ本体1の三脚孔の位置等に応じてユーザが伸縮調整ビス12を回動操作することで底辺11Cに対する左側アーム11Lの取付け位置、すなわち支持台11の横幅の長さを伸縮調整する。
同様に、第2の支持台16の底辺16Cと左側アーム16Lはラック/ピニオン機構により連結され、左側アーム16L側にラック歯車32が、底辺16Cの伸縮調整ビス17に一体にピニオン歯車33が組込まれてこれらが歯合し、装着するデジタルカメラ本体1の三脚孔の位置等に応じてユーザが伸縮調整ビス17を回動操作することで底辺16Cに対する左側アーム16Lの取付け位置、すなわち第2の支持台16の横幅の長さを伸縮調整する。
第1の支持台11の底辺11C上面には、上記カメラ固定ビス13の先端及びコネクタ34が突出しており、デジタルカメラ本体1の底面に形成された図示しないメス型のコネクタとこのオス型のコネクタ34とを接続し、且つ同デジタルカメラ本体1の底面に形成された三脚孔にカメラ固定ビス13を螺合するようデジタルカメラ本体1を底辺11C上に設置した状態で、カメラ固定ビス13をユーザが締め付けることでデジタルカメラ本体1が第1の支持台11に対して取付け固定される。
第2の支持台16の右側アーム16R内にはこの防振装置10の動作電源となる電池35が上記電池交換蓋26を介して装着されるもので、その供給電力は支持台制御部36に送られて、この支持台制御部36から他の各回路へ適宜必要な電力が分配される。
この支持台制御部36は、上記電源スイッチ18、レリーズ釦19を含む各種スイッチ、釦等の操作信号を受付けてこの防振装置10全体の制御動作を実行するものであり、上記カールコード27を介して第1の支持台11側のジャイロ制御部37とも電気的に接続され、各種制御情報等を送受する。
ジャイロ制御部37は、上記ジャイロスコープ部11Gを構成するジャイロ駆動モータ38に電力を供給し、また同じくトルカー39の動作を制御する。
ジャイロスコープ部11Gは、図中で上記左右両アーム11L,11Rと平行な回転軸に沿って上記回転ジンバル15が回転自在に取付けられ、その軸下部に上記トルカー39が、同軸上部に角度変位検出器40がそれぞれ埋設されるもので、角度変位検出器40による回転ジンバル15の角度変位量を示す検出信号は上記ジャイロ制御部37へ送られる。
回転ジンバル15内では、上記ジャイロ駆動モータ38の回転駆動が減速用輪列41を介して回転速度が調整された上で、上記回転ジンバル15の回転軸と直交し、且つ上記第1の支持台11の揺動方向と一致する回転軸を有した上記ジャイロスピン14に伝達され、これを回転駆動するものである。
なお、上記ジャイロスコープ部11Gは、第1の支持台11の揺動時の角速度を検出して空間的にその角度姿勢を保持するべく1軸乃至3軸のフリージャイロなど、機械式ジャイロスコープに連結して、回転ジンバル15等で第2の支持台16と相対的に第1の支持台11を回動できるように構成する。この構成により、第2の支持台16が手ブレ等で揺れを生じた場合でも、第1の支持台11及びデジタルカメラ本体1は空間的に角度姿勢が安定保持(スタビライズ)される。
上記図2に示した構成では、ピッチ(pitch:縦揺れ)方向の回転角速度を検出し、上下縦揺れ方向の回転の角度姿勢を保持する1軸のジャイロスピン14と回転ジンバル15によるジャイロスコープを内蔵し、第1の支持台11のピッチ方向の角度姿勢を保持する1軸回動式の支持台を構成するものとして説明したが、2,3軸など複数の回転軸で構成するものとしてもよい。
図3(A)は、機械式のフリージャイロスコープの構成例を簡略化して示すもので、図3(B)にそのピッチ方向の回転検出状態を、図3(C)にヨー(Yaw)方向の回転検出状態をそれぞれ示す。
図3(A)中、矩形枠状のケース51に対し、その内側に同じく矩形枠状の外部ジンバル52が回動自在に支持されるもので、その自由度は同軸部の一方に取付けられたトルカー53により制御可能であり、他方の軸部にその回動状態を検出する検出器としてのピックオフ54が取付けられる。
さらに、外部ジンバル52の内側に、同じく矩形枠状の内部ジンバル55が該外部ジンバル52の回動軸と直交する回動軸に沿って回動自在に支持されるものであり、この内部ジンバル55の回動軸にも一方にトルカー56が、他方にピックオフ57が取付けられる。
そして、この内部ジンバル55の内側に、スピン58が該内部ジンバル55の回動軸と直交する回転軸に沿って支持され、図中に矢印Aで示す如く高速回転する。このスピン58は、上記図2におけるジャイロスコープ部11Gのジャイロスピン14とジャイロ駆動モータ38、及び減速用輪列41を含む概念構成を有するものとして示す。
なお、上記トルカー53及びトルカー56に対してはケージング/アンケージング(C/UC)設定信号が与えられるもので、ケージング状態では外部ジンバル52及び内部ジンバル55がそれぞれ予め設定された回動位置に固定される。
一方、アンケージング状態で外部ジンバル52及び内部ジンバル55が自由に回動可能な状態にある際には、ピックオフ54及びピックオフ57からの出力により外部ジンバル52及び内部ジンバル55の各回動角度が検出可能となる。
図3(B)及び図3(C)は共に上記図3(A)のスピン58を中心とした一部を抜き出して示すもので、図3(B)はピッチ(Pitch)方向Bの回転検出を行なう場合、図3(C)はヨー(Yaw)方向Cの回転検出を行なう場合をそれぞれ示している。
ジャイロスコープは、1852年にフーコー(L.Foucalt)が発明したコマ式ジャイロスコープ以来、今日では航空機や船舶などの航行体の角速度や姿勢角の検出に広く用いられている。航行体等の分野では、レートジャイロスコープや光ジャイロスコープなど各種のジャイロスコープが用いられており、振動ジャイロスコープに比べると大型であるが、いずれも高精度でダイナミックレンジも広い。
本例では、角度姿勢センサや角速度センサとして用いるだけでなく、第1の支持台11を空間的にスタビライズして角度姿勢を保持するために、コマ(スピン)式ジャイロスコープやフリージャイロスコープ(FG)、ディレクショナルジャイロスコープ(DG)、バーチカルジャイロスコープ(VG)などの2〜3自由度の姿勢ジャイロスコープ、もしくは2〜3個の1自由度レートジャイロ等を用いるのが望ましい。
機械式ジャイロスコープでは、主に高速回転するコマの慣性とプリセッション運動を利用する。良く知られているように、コマ(スピン)やフライホイールなどの回転体が回転すると、回転面は同じ空間に止まろうとする性質があり、回転面に直交する回転軸は初期に設定された角度と同じ角度でまわり続けようとする。
3自由度のスピンでは、
(1)外部からのトルクを加えない限り、スピン軸は空間の一定方向を指し続ける(慣性の法則)。
(2)ジャイロスコープに外部からトルクを加えると、スピン軸は外力の方向と90°異なる方向に回転する(プリセッション運動)。
(3)スピンの角運動量と、スピン軸と直交する軸の慣性モーメントとの比で決まる周期で振動する(ニューテーション運動)。
などの特徴がある。
ジャイロスコープの運動特性は、次の角運動量LとトルクTから導かれる。
質量mの質点に働く力をF、適当な原点Oから図った位置ベクトルをrとすると、
Figure 2007183356
上記式(1)の右辺「r×F」は、力Fの点Oに関する力のモーメント(=トルク)であり、すなわち「dL/dt=r×F=T」となり、角運動量の時間微分はトルクと等しくなる。
これは、質点が質点系の場合にも同様に成立し、点Oに関する全運動量の時間微分は、外力の点Oに関するトルクの総和に等しい。特に外力が働かない場合には、T=0、L=一定となり、角運動量保存則に相当する。
これを剛体に適用して、角運動量を3次元座標値x,y,zで表すと、
L=Aωxi+Bωyj+Cωzk、
T=A{(dωx/dt)i+ωx(di/dt)}
+B{(dωy/dt)j+ωy(dj/dt)}
+C{(dωz/dt)k+ωz(dk/dt)}
…(2)
(但し、ωx,ωy,ωz:角速度のx,y,z成分、
A,B,C:x,y,z軸の慣性モーメント。)
となり、
Tx=A(dωx/dt)−(B−C)ωyωz、
Ty=B(dωx/dt)−(C−A)ωzωx、
Tz=C(dωx/dt)−(A−B)ωxωy …(3)
となる。
ジャイロスコープのスピンは高速回転し、また実際上はハウジング(スピンケース)の中に格納して実装されるので、高速回転するスピン固有の座標(x,y,z)から、静止座標で観察しやすいスピンケースの座標(x’,y’,z’)に変換するには次式を用いる。すなわち、
Tx’cosθ+Ty’sinθ=Tx、
−Tx’sinθ+Ty’cosθ=Ty、
ωx’cosθ+ωy’sinθ=ωz、
−ωx’sinθ+ωy’cosθ=ωy …(4)
(但し、ωx’:ωのx’方向成分、
T:Tのx’方向成分、
以下同様。)
スピンの慣性モーメントでは、一般にA=B≠Cであるので、上記式(4)を上記式(3)に代入して展開すると、
Figure 2007183356
上記式(6)で、各第1項は慣性力を、各第2項はジャイロ力を、「Lz=Cωz」はスピンの角運動量を表す。
上記式の微分方程式を、Tx’及びTy’が一定のトルクとして解くと、ジャイロスコープの特性解が求まる。すなわち、
ωx’=−Ty’/Lz、
ωy’=Tx’/Lz …(7)
ωx’=K1sin(Lz/A)t+K2cos(Lz/A)t、
ωy’=−K1cos(Lz/A)t+K2sin(Lz/A)t、
…(8)
上記式(7)中の2つの式は、ジャイロスコープに外力が加わると、スピン軸が力の方向と90°異なる方向になって回転するというプリセッション運動を表し、上記式(8)中の2つの式は、スピンの角運動量「Lz」とスピン軸と直交する軸の慣性モーメント「A」との比「Lz/A」で周期が決まり振動するという、ニューテーション運動を表す。
上述した如く、機械式ジャイロスコープのスピン軸を空間中で一定方向に向けると、その方向をいつまでも維持する(フリージャイロと呼ばれる)。この作用を利用して、デジタルカメラ本体1を支持する内側の第1の支持台11にジャイロスコープを固定、連結して、スピンやフライホイールをモーター等で回転させると、第1の支持台11及びデジタルカメラ本体1の角度姿勢を空間的に一定に保持することができるので、外側に位置する第2の支持台16が手ブレ等により揺れた場合でもデジタルカメラ本体1はその影響から免れることができる。
また、第2の支持台16のレリーズ釦19を押圧操作して撮影動作を実行した際には、所定時間後に再び上記ジャイロスコープの回転を含むスタビライズ動作を一時的に停止し、第1の支持台11を第2の支持台16に対してロックするケージング状態となるように制御する。
このようにして、静止画撮影を行なう場合にも、効果的に手ブレやシャッタブレを防止することができる一方で、被写体や構図の先端をしている際に、ジャイロスコープの姿勢保持動作によりカメラの照準の向きが合わせにくくなり、あるいは揺れ戻しを生じるようなことを確実に防止できる。
また、スピンを用いる機械式のジャイロスコープでは、回転軸が3つのジンバルで3次元に自由に方向を代えられるよう構成され、2自由度ジャイロスコープで2軸のジンバル回転軸周りに回転できるように構成されているが、このジンバル枠の数を減らしてジャイロスコープの回転軸の動きを拘束すると、逆に角速度を検出することができるもので、これをレートジャイロスコープと称する。
図4は、この1自由度で角速度を検出するジャイロスコープとして使用されるレートジャイロスコープの構造例を示す。同図で、ジャイロスピン61がジンバル62に支持されて高速回転する。このジンバル62は、図中のT−T’軸に沿って回動自在に支持される。
このジンバル62の回転軸が、ダンパー63を介して角度検出器64と接続されると共に、トーションバーあるいはコイルスプリング65とも接続され、その回動がある程度制限される。
すなわち、レートジャイロスコープでは、ジャイロスピン61のスピン軸にそれぞれ直交する、入力軸周りの角速度が加えられることで出力軸周りにプリセッショントルクを発生し、このトルクを上記トーションバーあるいはコイルスプリング65で拘束することにより、このレートジャイロスコープを封入したケースの回動に伴う角速度ωに比例した偏角を生じる。この偏角を角度検出器64で電気的に検出する。
レートジャイロスコープの構造は種々あるが、一般にジンバル内にジャイロモータが密封され、ジンバルはダンピング(粘性減衰)材ともなるオイルや気体がダンパー63として充填されたケース内でトーションバーあるいはコイルスプリング65等により支持される。
1自由度のレートジャイロスコープでは、後述するブロック線図もしくは次式の動作法意識の解θを求めることで、出力軸周りの変位角θを得ることができる。すなわち
J・dθ/dt+C・dθ/dt+kθ=HΩ
…(9)
(但し、θ:出力軸まわりの変位角、
J:出力軸まわりの慣性モーメント、
C:出力軸まわりの減衰係数、
k:バネ定数、
H:ジャイロスピンの角運動量、
Ω:入力加速度。)
また、レートジャイロスコープの出力電圧Eと入力加速度Ωの関係は次式で与えられる。すなわち、
E(s)/Ω(s)
=(K・H・ω /K)/(s+2ζ・ω・s+ω )
…(10)
この式(10)から次式を導くことができる。
E/Ω=K・ω ・I/K …(11)
(但し、K:角度変位検出器の感度、
:トーションバー等のねじり剛性、
ω:ジャイロスピンの回転角速度、
(=2πf
:ジャイロスピンの回転周波数、
I:ジャイロスピンの慣性モーメント、
H:ジャイロスピンの角運動量、
(=ω・I)、
c:減衰(ダンピング)係数、
ζ:減衰比(ダンピングレシオ)
(=c/2√(JK))
ω:固有振動数(=√(K/J)。)
図5(A)に、上述したジンバルマウント式のレートジャイロスコープを用いてデジタルカメラ本体1の手ブレ等を安定化させる本防振装置10のプロセス線図を示す。同図(A)は1軸式のジンバルを用いた場合を簡易化して示すものであるが、2〜3軸となる複数軸の場合も基本的には同様である。
Figure 2007183356
ここで、粘性抵抗や摩擦を省略して考えると、ブロック線図は図5(B)に示す如く簡素化することができ、その伝達関数は、
Figure 2007183356
(但し、ω=√(K/J)、
η={(K+K)/2}・√(K/JK)。)
上記式(14)は、プラットフォームである第1の支持台11の安定精度を表すもので、同角速度θが小さいほど、安定精度が向上する。すなわち、第1の支持台11の固有角振動数ωが小さいほど安定精度が良くなるもので、この固有角振動数ωを小さくするためには、第1の支持台11のの慣性モーメント「J」をできるだけ大きくし、トルク定数「K」を小さくするのが望ましいことが理解できる。
次に、上記防振装置10における静止画及び動画撮影時の制御動作について説明する。
図6及び図7は、第1の支持台11にデジタルカメラ本体1が取付けられ、撮影を実行することが可能な状態で、主として支持台制御部36が内部に記憶した動作プログラムにしたがって実行するものである。
一般にフリージャイロスコープでは、内外ジンバルの角度検出手段を設けて、まず内外ジンバルの角度が予め定めた0°位置となるようにスピンの軸の方向をロックするケージング動作を実施してから、ジャイロスコープ内部のスピンモータを駆動してスピンの回転を開始し、その後該ロックを解除するアンケージング動作を行なった時点から、姿勢計測乃至姿勢保持動作を開始できるように駆動するもので、こうした起動時の動作を自動化するべくプログラム制御を行なうことが望ましい。
したがって、その当初には電源スイッチ18の操作に伴う電源の起動を待機し(ステップA01)、電源が起動されたと判断した時点で、ジャイロスコープ部11Gのトルカー53,56により内部ジンバル55及び外部ジンバル52を予め設定された初期(0°)位置へロックしてスピン58(14)の軸角度を固定するケージング動作を設定してから(ステップA02)、デジタルカメラ本体1の重量や慣性モーメントなどに応じてジャイロスコープの特性設定を行なう(ステップA03)。
これは、例えば予めデジタルカメラ本体1内に記憶されているそのカメラの機種固有の各情報を上記コネクタ34を介して支持台制御部36が読み込むものとしてもよい。
その後、上記オン/オフスイッチ23の操作によりアンケージング動作に基づくオート防振モードの開始が指示されるか、あるいはオン/オフスイッチ22の操作によりジャイロスコープ部11Gの動作開始が指示されるのを待機する(ステップA04)。
これらのいずれかが指示されると上記ステップA04でこれを判断し、ジャイロスコープ部11Gのトルカー53,56によるケージング動作を解除して自由に外部ジンバル52及び内部ジンバル55が回動する状態とするアンケージング状態とすると同時にスピン58の高速回転を開始させる(ステップA05)。
その後、計時処理を実行しながら(ステップA06)、所定時間、例えば2[秒]が経過するのを判断する(ステップA07)という処理を繰返すことで該所定時間が経過するのを待機し、経過した時点でも次にデジタルカメラ本体1に対して電源を起動させるための信号を送信して、デジタルカメラ本体1を起動させ、撮影の実行が可能な状態とさせる(ステップA08)。
その後、デジタルカメラ本体1に対するズーム操作等のリモート操作をズームキー20、カーソルキー21a、エンターキー21b等のキー操作により行なったか否か判断する(ステップA09)。
ここで、当該操作を行なったと判断した場合のみ、そのリモート操作に係るキー操作信号を上記コネクタ34を介してデジタルカメラ本体1側へ送信する(ステップA10)。
次いで静止画撮影用のオート防振モードが上記オン/オフスイッチ23の操作により設定されているか否かを判断する(ステップA11)。
ここで同モードが設定されていると判断した場合、次に上記レリーズ釦19が半押し操作されたか否か、あるいはすでに半押し操作されているか否かを判断する(ステップA12)。
すなわち、レリーズ釦19はデジタルカメラ本体1のレリーズ釦3と同様、2段階の操作ストロークを有し、第1段階のストローク操作、所謂半押し操作状態でAF(自動合焦)処理及びAE(自動露出)処理を行なって合焦位置及び露出値をロックする。
しかして、上記ステップA12でレリーズ釦19が半押し操作されていないと判断した場合には、まだ静止画像の撮影には間があるものとして、ジャイロスコープ部11Gのスピン58の回転をロックし、防振動作を一時的に停止させた上で(ステップA19)、当該スピン58を停止するためのオン/オフスイッチ22の操作があったか否かを判断する(ステップA20)。
ここで該スイッチ22の操作がないと判断すると、上記ステップA09からの処理に戻る。
こうして、レリーズ釦19の半押し操作がない間は、上記ステップA09,(A10,)A11,A12,A19,A20の処理を繰返し実行し、レリーズ釦19の半押し操作等があるのを待機する。
この間、ジャイロスコープの動作を停止させるべくオン/オフスイッチ22の操作があった場合、ステップA20でこれを判断し、トルカー53,56により外部ジンバル52及び内部ジンバル55を予め設定された初期(0°)位置へロックしてスピン58(14)の軸角度を固定するケージング動作を設定してから(ステップA21)、スピン58を構成するジャイロ駆動モータ38への通電を一時的に停止した上で(ステップA22)、再び上記ステップA04からの処理に戻る。
また、レリーズ釦19の半押し操作があった場合、上記ステップA12でこれを判断し、その半押し操作中の信号をデジタルカメラ本体1側へ送信した上で(ステップA13)、ジャイロスコープ部11Gのスピン58の回転がロックされていた場合にはこれを解除して防振動作を開始あるいは継続するものとし(ステップA14)、今度はレリーズ釦19が撮影のためにフルストロークで操作される、所謂全押し操作されたか否かを判断する(ステップA15)。
ここでレリーズ釦19が全押し操作されておらず、且つ半押し操作も解除された場合には上記ステップA09からの処理に戻る。
一方で、上記ステップA15でレリーズ釦19が全押し操作されたと判断した場合には、その操作信号をデジタルカメラ本体1側へ送信してデジタルカメラ本体1側での撮影動作を実行させると共に(ステップA16)、計時処理を行なって(ステップA17)、上記デジタルカメラ本体1へ撮影のための操作信号を送信してから撮影が終了するのに充分な所定時間、例えば2[秒]が経過したか否かを判断する(ステップA18)、という処理を繰返し実行することで、デジタルカメラ本体1での撮影を行なっている間、防振動作を維持する。
しかして所定時間が経過し、デジタルカメラ本体1側での撮影が一旦終了した時点でステップA18によりこれを判断し、防振動作を一時的に停止するべく上記ステップA19に至る。
また、上記ステップA11で静止画撮影用のオート防振モードが設定されていないと判断した場合には、次に動画撮影用のオート防振モードが設定されているか否かを判断する(ステップA23)。
ここで動画撮影用のオート防振モードが設定されていないと判断した場合には、次にレリーズ釦19または他の撮影に関する操作があったか否かを判断する(ステップA32)。
ここで当該操作があったと判断した場合にのみ、その操作に対応した信号をデジタルカメラ本体1側へ送信する(ステップA33)。
次いで防振動作を開始するアンケージング動作のためのオン/オフスイッチ23の操作があったか否かを判断し(ステップA34)、該操作があったと判断した場合にのみ、その時点で自由な回動がロックされている筈の外部ジンバル52及び内部ジンバル55の回動をトルカー53,56により解除してスピン58が回転軸の姿勢角度が保てるようにする防振動作を開始させる(ステップA35)。
さらに、今度は防振動作を停止するケージング動作のためのオン/オフスイッチ23の操作があったか否かを判断し(ステップA36)、該操作があったと判断した場合にのみ、その時点で外部ジンバル52及び内部ジンバル55の回動をトルカー53,56によりロックしてスピン58の回転軸を一定の姿勢角度に止め、防振動作を一時的に停止させる(ステップA37)。
その後、上記ステップA37の処理の実行の有無に拘わらず、上記ステップA20からの処理に進む。
また、上記ステップA23で動画撮影用のオート防振モードが設定されていると判断した場合には、次に第1回目のレリーズ釦19による撮影の開始を指示する操作があったか否かを判断する(ステップA24)。
ここで当該操作があったと判断した場合にのみ、その操作に対応して動画の撮影開始を指示する信号をデジタルカメラ本体1側へ送信する一方で(ステップA25)、外部ジンバル52及び内部ジンバル55の回動がトルカー53,56によりロックして制限されている場合にはこれを解除してスピン58が回転軸の姿勢角度が保てるようにする防振動作を開始させる(ステップA26)。
その後、今度は第2回目のレリーズ釦19による撮影の停止を指示する操作があったか否かを判断する(ステップA27)。
ここで当該操作があったと判断した場合にのみ、その操作に対応して動画の撮影停止を指示する信号をデジタルカメラ本体1側へ送信する一方で(ステップA28)、計時処理を行なって(ステップA29)、上記デジタルカメラ本体1へ撮影停止のための操作信号を送信してから撮影が終了するのに充分な所定時間、例えば2[秒]が経過したか否かを判断する(ステップA30)、という処理を繰返し実行することで、デジタルカメラ本体1での動画の撮影を完全に停止するまでの間、防振動作を維持する。
しかして所定時間が経過し、デジタルカメラ本体1側での動画の撮影が完全に停止したと思われる時点でステップA30によりこれを判断し、外部ジンバル52及び内部ジンバル55の回動をトルカー53,56によりロックしてスピン58の回転軸を一定の姿勢角度に止め、防振動作を一時的に停止させる(ステップA31)。
その後、上記ステップA28〜A31の処理の実行の有無に拘わらず、上記ステップA20からの処理に進む。
以上に示した如く、デジタルカメラ本体1での撮影時にはまず、上記レリーズ釦19、ズームキー20、カーソルキー21a及びエンターキー21bを含む第2の支持台16側に設けられたキー等で操作し、デジタルカメラ本体1の電源や撮影に関する遠隔指示を行なうのに対応して、ジャイロスコープ部11Gのスピン58を一定の姿勢角度にロックするケージング動作を実行してからスピン58の回転動作を立ち上げ、ユーザが静止画撮影であればレリーズ釦19の半押し操作により、動画撮影であれば1回目のレリーズ釦19の操作により撮影の開始を指示した時点からスピン58の回転軸の姿勢角度のロックを解くアンケージング動作を実行するようにすれば、以降、デジタルカメラ本体1及びその撮影光軸がユーザの撮影意図通り、ジャイロスコープの防振動作により安定した状態で維持することができる。
このように本実施の形態では、デジタルカメラ本体1をその三脚孔等を利用して防振装置10に取付けて固定するものとしたので、デジタルカメラ本体1側には手ブレを検出するための手段及び検出した手ブレを補正するための手段を備えていない場合でも、手ブレによる影響を排除した撮影を実行することができる。
その場合、既存のデジタルカメラ本体1を防振装置10の第1の支持台11に装着し、第2の支持台16の右側アーム16Rをグリップとして把持しながら、第1の支持台11ごとジャイロスコープの姿勢制御を行なうことで、各種のブレ等の影響を排除してきわめて安定した状態でデジタルカメラ本体1を使用することができる。
特に、デジタルカメラ本体1での撮影を指示するためのレリーズ釦19を第2の支持台16の右側アーム16R上端に備え、その操作信号をカールコード27、第1の支持台11のコネクタ34を介してデジタルカメラ本体1へ伝達可能としたので、第2の支持台16に備えられたレリーズ釦19の操作により高精細の静止画撮影や動画撮影を実現できる。
加えて、ジンバルの一時的な固定及びその解除を切換えるケージング/アンケージング動作をレリーズ釦19の操作状態に対応して制御するものとしたので、撮影を行なう前に構図を決めたい場合などには、あえて不必要なジャイロスコープの駆動を一時的に停止し、任意に構図設定等をユーザに行なわせると共に、容量が制限された電源を有効に使用することができる。
上記手ブレ等の補正は、従来の光学式の手ブレ補正方式のように、色収差や偏心収差などが変動し、あるいは劣化することがなく、静止画像と動画のいずれの撮影にも利用できる。
そのため、既存のカメラの光学系や交換レンズ等をそのまま利用することができるばかりか、カメラに限らず、その他の光学機器、例えば双眼鏡等の手ブレ防止装置、安定化装置としても利用できる。
また、機種や性能の異なる複数のカメラで1台の防振装置10を共用できるために経済的であるばかりか、異なる機種でも同一の手ブレ補正性能を利用して同じような操作形態で撮影を行なうことができ、ユーザ側の使い勝手がより向上する。
なお、ジャイロスコープによる空間安定化の技術として、上述したようなフリージャイロスコープ方式の他に、セミ・ストラップダウン方式やストラップダウン方式などがあるので、これら他の方法で構成するものとしてもよい。
フリージャイロスコープ方式では、高速回転体自体の空間安定性を利用しており、空間安定化の制御が不要であるため、低価格の安定化装置に多用されるが、構造自体は複雑で大型化し易く、高速回転する回転体であるスピンのアンバランスや軸受け部の摩擦等から受ける影響を制御系で保証することができないため、ジンバルの回転軸受けなど精密な加工技術を必要とし、安定精度を高めることが難しいのが短所となる。
これに対してセミ・ストラップダウン方式では、目標の一情報を用いることにより高精度な空間安定性能を要求される誘導装置等に適するが、ジンバル機構部分に高精度な制御が必要なジンバル・プラットフォーム方式であることを前提とするため、製造コストが割高になる。
また、ストラップダウン方式では、検出範囲が広いレートジャイロスコープ等をそれぞれ直交する3軸に配して、その角速度などを解析的に計算することによって姿勢を求めるもので、回転ジンバルなどの機構を必要とせず、計測の基準となるプラットフォームは計算上で仮想的に構築するので、光ジャイロスコープや振動ジャイロスコープなどの回転ジャイロスコープ以外のジャイロスコープを利用することが可能となるが、反面、姿勢制御に用いるためには、トルカーないしはアクチュエータ等の姿勢駆動部をジャイロスコープ部と別に設ける必要がある。
なお、上記実施の形態の構成に代えて、レートジャイロスコープを角速度センサとして用いることで、ストラップダウン方式と同様に、検出された角速度に応じてマイコンなど制御回路によりアクチュエータやモータを駆動して支持台の姿勢を制御するように構成することもできる。この場合には、レートジャイロスコープに代えて、小型の圧電式振動ジャイロスコープやMEMS(Micro−Electro−Mechanical System)ジャイロスコープなどを用いることもできる。
(第2の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラ用の防振装置に適用した場合を第2の実施の形態として図面を参照して説明する。
なお、制御対象となるデジタルカメラの姿勢は、互いに直交する3本の回転軸周りの回転角と、同じ3軸に平行な方向の位置の計6自由度で決定される。以下、デジタルカメラをその撮影レンズ光軸を略水平となるように位置させた場合に、デジタルカメラの左右側面を貫く略水平や軸をX軸、同上下面を縦に貫く略鉛直な軸をY軸、撮影レンズ光軸に沿った前後方向を貫く略水平や軸をZ軸とし、撮影レンズの被写体さえ方向を航空機等の機首方向に見立てて、X軸周りの上下方向の縦回転(縦揺れ)をピッチ(Pitching)、Y軸周りの左右方向の横回転(偏揺、かた揺れ)をヨー(Yawing)、Z軸周りの左廻りまたは右廻りの傾斜(横揺れ)をロール(Rolling)として説明する。
ブレの検出では、例えばX軸周りの縦方向のピッチ回転(縦揺れ)と、Y軸周りの横方向のヨー回転(偏揺)の2軸方向の角速度を、上述したレートジャイロスコープや圧電振動ジャイロスコープなどの角度センサを用いて検出するものとする。
図8は、本実施の形態に係る防振装置70の外観構成を示すもので、1は防振対象となるデジタルカメラ本体であり、ここではその背面側から見た状態を示す。このデジタルカメラ本体1自体は、後述する底面に設けられたコネクタを介して外部からのコントロールにより撮影等の指示を行なうことができる点を除き、きわめて一般的な構成を有するものとして、その構成及び動作に対は説明を省略する。
本図では、このデジタルカメラ本体1で女性を被写体として撮影を待機している状態を例示するものであり、背面側のバックライト付きカラー液晶パネルで構成される表示部2にはその時点で撮影素子に継続されている画像がそのままモニタ表示され、上部右端側に設けられるレリーズ釦3を操作することでデジタルカメラ本体1単体でも撮影を実行できることは勿論である。
このデジタルカメラ本体1はその底面側にある三脚孔により、底辺とその両端に接続した一対のアームよりなるコ字状フレームの第1の支持台71に取付け固定される。
具体的には、この第1の支持台71の底辺71Cと(デジタルカメラ本体1背面側から見て)右側アーム71Rが一体に構成されているのに対し、同左側アーム71Lは実際にはL字状の一辺が底辺71C左側に差し込まれて伸縮調整ビス72の回動操作により左右位置が伸縮自在に調整可能となり、取付けるデジタルカメラ本体1の横幅及び三脚孔の位置に対応することができる。
しかして、底辺71C下面の上記伸縮調整ビス72より内側にあるカメラ固定ビス73を回動操作することで、この底辺71Cを貫通してデジタルカメラ本体1の底面に設けられている三脚孔に螺合締結してデジタルカメラ本体1を第1の支持台71に取付けることができる。
この第1の支持台71の底辺71C下側の右端内には1対の振動型の角速度センサ71A,71Bが埋設される。これら角速度センサ71A,71Bは、一方が後述するピッチ方向の振動の角速度を、他方が同ヨー方向の振動の角速度をそれぞれ検出する。
しかるに上記第1の支持台71は、その両アーム71L,71R上端の回動機構により、同じく底辺とその両端に接続した一対のアームよりなるコ字状フレームの第2の支持台74に揺動自在に支持される。
この第2の支持台74は、底辺74Cと(デジタルカメラ本体1背面側から見て)右側アーム74Rが一体に構成されているのに対し、同左側アーム74Lは実際にはL字状の一辺が底辺74C左側に差し込まれて伸縮調整ビス75の回動操作により左右位置が伸縮自在に調整可能となり、上記第1の支持台71の伸縮調整ビス72の回動操作と合わせて、取付けるデジタルカメラ本体1の横幅及び三脚孔の位置に対応することができる。
この第2の支持台74の右側アーム74Rは、内部にピッチモータ76を埋設し、第2の支持台74に対する第1の支持台71の角度位置を任意に制御することができる。
さらに、この第2の支持台74の底辺74Cの略中央下面側に、底辺とその右端側に接続した1本のアームよりなるL字状フレームの第3の支持台77に回動自在に支持される。
この第3の支持台77の底辺77Cには、図中の上下方向を軸として上記第2の支持台74を回動させるヨーモータ78が埋設されるものであり、同右側アーム77Rがユーザの右手RHによる把持を前提としたグリップ部を形成する。
右側アーム77Rの上端面にはデジタルカメラ本体1の電源をオン/オフするための電源スイッチ79、デジタルカメラ本体1での撮影を指示するレリーズ釦80が設けられる。
また、第3の支持台77の右側アーム77Rの背面側には、ズームキー81、カーソルキー82a、このカーソルキー82aの中心に位置するエンターキー82b、設定データ等の内容を確認するためのLCD表示部83、この防振装置70の電源スイッチ84、各種設定を行なうための設定スイッチ85、防振動作のオン/オフスイッチ86が適宜配設される。
なお、後述する動作においては、設定スイッチ85との併用によって、上記カーソルキー82aの左右各方向への「←」「→」操作によりデジタルカメラ本体1を左右各方向に回動して撮影方向を横方向に移動させるパン動作、及び上下各方向への「↑」「↓」操作によりデジタルカメラ本体1を上下各方向に回動して撮影方向を縦方向に移動させるチルト動作を行なわせることができるものとする。
さらに、右側アーム77Rの下端面、すなわち底辺77Cの下面の右端側には電池交換蓋87が設けられ、この電池交換蓋87を開けることで防振装置70の動作電源である電池(図示せず)の着脱、交換を行なう。
なお、上記第3の支持台77と第2の支持台74、第2の支持台74と第1の支持台71はそれぞれ回動基部に近い位置で、充分にコード長をとったカールコード88,89により電気的に接続され、且つ第3の支持台77に対する第2の支持台74の回動動作、及び第2の支持台74に対する第1の支持台71の回動動作が阻害されないようになる。
図示する如くユーザは、左手LHにより第3の支持台77の底辺77C左端部近辺を保持し、右手RHで右側アーム77Rを把持して、その親指で適宜上記ズームキー81、カーソルキー82a、エンターキー82b、上記電源スイッチ84、設定スイッチ85、及びオン/オフスイッチ86を操作しながら、人差し指で電源スイッチ79及びレリーズ釦80を操作することで、撮影動作を実行させる。
図9は、上記防振装置70の内部機構の一部を透視化して示すものである。上述した如く防振装置70では、第1の支持台71の左右各アーム71L,71Rの上端と第2の支持台74の左右各アーム74L,74Rの上端とが揺動自在に接続されるものとなっている。
具体的には、第2の支持台74の左右各アーム74L,74Rの上端にボールベアリングを使用した軸受け構造90L,90Rを埋設し、この軸受け構造90L,90Rに第1の支持台71の左右各アーム71L,71Rの上端から共に図中に一点鎖線で示す回転軸Xに沿って突出形成された軸部91L,91Rを貫装させることで第1の支持台71が第2の支持台74に対して揺動自在に取付けられるものとなる。
加えて、右側アーム74R内には上述した如くピッチモータ76が設けられるもので、このピッチモータ76による回動駆動が複数の歯車からなる減速用輪列92を介して上記軸部91Rと連結され、第2の支持台74に対する第1の支持台71の回動角度を制御可能となっている。
この第1の支持台71の底辺71Cには上述した如く2つの角速度センサ71A,71Bが埋設されている。
これら角速度センサ71A,71Bは、例えば上記図4に示した構造のレートジャイロで構成され、角速度センサ71Aが上記回転軸Xを中心とした回動方向の、振動に伴う角速度を検出する。
一方の角速度センサ71Bは、上記回動軸Cと直交する、図中の上下方向に延在する回動軸Yを中心とした可動方向の、振動に伴う角速度を検出する。
これら角速度センサ71A,71Bでの検出信号はいずれもカールコード89,88を介して第3の支持台77の右側アーム77R内に設けられる、後述する支持台制御部93へ送られる。
また、第1の支持台71の底辺71Cと左側アーム71Lは、例えばスライドレール中に摺動自在に設けられたナットをこのナットに螺合された上記伸縮調整ビス72を締付けて固定することで底辺11Cに対する左側アーム71Lの取付け位置、すなわち第1の支持台71の横幅の長さを伸縮調整する。
同様に、第2の支持台74の底辺74Cと左側アーム74Lは、例えばスライドレール中に摺動自在に設けられたナットをこのナットに螺合された上記伸縮調整ビス75を締め付けて固定することで底辺74Cに対する左側アーム74Lの取付け位置、すなわち第2の支持台74の横幅の長さを伸縮調整する。
第1の支持台71の底辺71C上面には、上記カメラ固定ビス73の先端及びコネクタ94が突出しており、デジタルカメラ本体1の底面に形成された図示しないメス型のコネクタとこのオス型のコネクタ94とを接続し、且つ同デジタルカメラ本体1の底面に形成された三脚孔にカメラ固定ビス73を螺合するようデジタルカメラ本体1を底辺71C上に設置した状態で、カメラ固定ビス73をユーザが締め付けることでデジタルカメラ本体1が第1の支持台71に対して取付け固定される。
また、上述した如く第2の支持台74の底辺74Cが第3の支持台77の底辺77Cに対して回動自在に接続されるものとなっている。
具体的には、第3の支持台77の底辺77Cにボールベアリングを使用した軸受け構造95を埋設し、この軸受け構造95に第2の支持台74の底辺74Cから図中に一点鎖線で示す回転軸Yに沿って突出形成された軸部96を貫装させることで第2の支持台74が第3の支持台77に対して回動自在に取付けられるものとなる。
加えて、底辺77C内には上述した如くヨーモータ78が設けられるもので、このヨーモータ78による回動駆動が複数の歯車からなる減速用輪列97を介して上記軸部96と連結され、第3の支持台77に対する第2の支持台74の回動角度を制御可能となっている。
第3の支持台77の右側アーム77R内にはこの防振装置70の動作電源となる電池98が上記電池交換蓋87を介して装着されるもので、その供給電力は支持台制御部93に送られて、この支持台制御部93から他の各回路へ適宜必要な電力が分配される。
この支持台制御部93は、上記電源スイッチ79、レリーズ釦80を含む各種スイッチ、釦等の操作信号を受付けてこの防振装置70全体の制御動作を実行するものであり、上記ヨーモータ78のみならず、上記カールコード88,89を介して第1の支持台71の角速度センサ71A,71B、第2の支持台74のピッチモータ76とも電気的に接続され、各種制御情報等を送受する。
次に上記角速度センサ71A,71Bを構成する具体的なセンサ構造について説明する。
角速度センサ71A,71Bとしては、上記図4で説明したレートジャイロスコープ、あるいは図10、図11に示すような圧電素子や圧電セラミック振動子などによる振動型角速度センサ(振動ジャイロスコープ)を用いる。
図10は、正三角柱の音片ジャイロスコープ100の構成と検出回路の構成とを示すものである。
図10(A)及び図10(B)はその構成を示す。音片ジャイロスコープ100は、正三角柱状のエリンバ材等よりなる恒弾性金属101の各側面に、矩形平板状の圧電セラミクスよりなる圧電素子102L,102R,102FBを貼着し、各素子からピックアップ兼ドライブ端子102L,102R,102FBを導出することで構成される。
このうち、恒弾性金属101の2つの圧電素子102L,102Rを設けた面に挟まれる頂辺をトリミング部104とし、該頂辺に隣り合わない、対向する面に貼着された圧電素子102FBに接続されたピックアップ兼ドライブ端子102FBをフィードバック端子として使用する。
図10(B)は、圧電素子102Rを貼着した面のある右方向に音片ジャイロスコープ100を回転させた場合の出力波形を例示するものであり、変位方向により得られる出力波形に相違を生じることを示している。
図10(C)はこの音片ジャイロスコープ100の検出回路の構成と各部での信号波形とを簡略化して示すものであり、各ピックアップ兼ドライブ端子102L,102R,102FBに対して発振回路105、位相補正回路106、差動増幅器107、動機検波回路108、及び直流増幅器109を接続し、変位方向とその大きさに対応した電圧信号を検出出力として得る。
図11は、セラミックバイモルフ振動子を用い圧電式の振動ジャイロスコープ110の構成と検出回路の構成とを示すものである。
図11(A)及び図11(B)はその構成を示す。振動ジャイロスコープ110は、図中に矢印Dで示す中心分極方向が相対向するように接合した2枚の平板状の圧電セラミック111a,111bに対し、上面側に溝によって2分された電極113a,113bを形成する一方で、下面側全面に電極113cを形成する。その上面側に、リードを兼ねる支持ピン112a,112bを取付ける。
このように構成された振動ジャイロスコープ110を用いた検出回路の構成を図11(C)に示す。この振動ジャイロスコープ110に定電圧を印加し、その出力をHPF114、差動増幅器115、及びLPF116等により電圧信号化して得るものとなる。
上記図4等に示した機械式のジャイロスコープでは、主に高速回転するコマ(スピン)の慣性(角運動量の保持)とプリセッション運動を利用し、光ファイバジャイロスコープやリングレーザージャイロスコープ等の光ジャイロスコープでは「サニャック効果」(左回りと右回りの光路差)を利用するのに対して、上記図10及び図11で示した振動ジャイロスコープでは「コリオリの力」を利用する。
音叉型振動ジャイロスコープや圧電振動ジャイロスコープでは、励振している振動子の中心軸(Z軸)に回転角速度ωが加わると、振動方向(X軸)に対して直角方向(Y軸)にωに比例したコリオリの力AFが外向きに働き、その大きさは次式で表される。すなわち、
F=2mvω …(15)
(但し、m:振動子の質量、
v:振動速度、
ω:中心軸周りの回転角速度。)
コリオリの力はY軸に発生するので、
ωT=√(K0/I0) …(16)
(但し、K0:ねじりステフネス、
0:極慣性モーメント。)
で表される捩り振動ωTが発生し、これを圧電素子やひずみゲージを用いて検出する。
振動子の速度vは振幅に比例し、振幅は駆動電圧と振動子の共振時のQ値に比例するので、高感度で検出するためには励振と検出の共振周波数を一致させたQ値の高い振動ジャイロスコープを使うことが望ましい。
例えば、四角柱状の圧電音片型共振ジャイロスコープでは、高感度であるが、振動片と検出片の振動姿勢を崩さずに共振周波数をうまく調整することが難しく、両者のずれによる特性変化が著しく、高Q値であるために応答特性も悪い、等の難点があったが上記図10に示したような、三角柱状の音片型振動ジャイロスコープ100では、共振型の高感度の利点を生かしながら、振動方向の稜線のトリミングにより振動姿勢や他辺に影響を与えずに共振周波数を調整できる。
三角柱の振動子には、上述した如くエリンバー等の恒弾性金属が用いられるもので、1辺がa、長さl、質量m、ヤング率Y、密度ρの振動子の共振周波数fは、
=(ma/4πl)√(Y/6ρ) …(17)
等の式で求めることができる。
図11は、セラミックバイモルフ振動子を用いた圧電式の振動ジャイロスコープであり、他にも圧電セラミックスを用いた圧電振動ジャイロスコープ等が多数製品化されているので、上記レートジャイロスコープや図10、図11で示したジャイロスコープに代えて、それら振動ジャイロスコープを用いてブレの検出手段としても良い。
振動ジャイロスコープでは、上記図10(C)あるいは図11(C)で示したような検出回路によって、回転によって生じるコリオリの力を圧電素子により電圧信号に変換し、角速度に比例した直流電圧の形で検出することができる。
手ブレ検出では、ユーザが動かずに地面に立って撮影する場合にその周波数成分が3〜10[Hz]である場合が多いが、ユーザが歩きながら動画等を撮影する場合には、やや高い10〜18[Hz]となり、列車や車輌に乗って撮影する場合には20[Hz]程度のブレも発生するので、余裕を持って0.5〜25[Hz]の周波数成分に対処可能とすることが望ましい。
そのため、応答性:50[Hz]、検出範囲:±360[deg./秒]程度の超小型センサが利用できる。
また、上記図11(C)でも示した如く、周囲温度の変化による静止時出力の温度ドリフトを除去するために、センサ出力にカットオフ周波数fc=0.3〜0.5[Hz]程度のHPF(ハイパスフィルタ)(114)を接続してDC(直流)成分を除去する。
また、上記図11(C)でも示した如く、センサ内部の20〜25[kHz]付近等の振動ノイズを除去するために、応答周波数以上の高周波成分を除去するカットオフ周波数fc=1〜4[kHz]程度のLPF(ローパスフィルタ)(116)を接続する。
このように、手ブレによる振動をジャイロスコープにより角速度信号として検出し、マイコンで構成される上記支持台制御部93で積分演算して角度変位に変換し、角速度及び角度変位に基づいて手ブレ補正量を決定することができる。
続いて図12により、この防振装置70における手ブレ量の検出とサーボ制御によるブレ補正を行なう回路構成について示す。
レートジャイロスコープあるいは上記図10、図11で示した圧電振動センサで構成される角速度センサ71Aの出力が、X軸方向の角速度検出信号として与えられる。
この信号は、増幅器121で増幅され、HPF122及びLPF123を介して静止時出力の温度ドリフトと振動ノイズとが除去された後にA/D変換器124でデジタル化され、積分器125で積分されて角度変位量に変換された後に減算器126へ与えられる。
この減算器126にはまた、制御対象となる上記ヨーモータ78の回転角度を検出する検出部127の出力がA/D変換器128でデジタル化されて減数として与えられており、その差出力がサーボ回路129へ出力される。
このサーボ回路129の出力は、加減算器130へ送出され、この加減算器130でユーザ操作による電動パン操作信号に応じた適宜加減算が実行された上でその演算結果がドライバ131に与えられる。このドライバ131が、制御対象であるヨーモータ78を回動駆動して、手ブレ量のX座標成分の補正動作を実行させる。
一方、上記角速度センサ71Bの出力が、Y軸方向の角速度検出信号として与えられるもので、この信号は、増幅器132で増幅され、HPF133及びLPF134を介して静止時出力の温度ドリフトと振動ノイズとが除去された後にA/D変換器135でデジタル化され、積分器136で積分されて角度変位量に変換された後に減算器137へ与えられる。
この減算器137にはまた、制御対象となる上記ピッチモータ76の回転角度を検出する検出部138の出力がA/D変換器139でデジタル化されて減数として与えられており、その差出力がサーボ回路140へ出力される。
このサーボ回路140の出力は、加減算器141へ送出され、この加減算器141でユーザ操作による電動チルト操作信号に応じた適宜加減算が実行された上でその演算結果がドライバ142に与えられる。このドライバ142が、制御対象であるピッチモータ76を回動駆動して、手ブレ量のY座標成分の補正動作を実行させる。
なお、上記パン/チルト操作による信号は、例えば設定スイッチ85とカーソルキー82a、エンターキー82bとの組合せによりメニュー設定画面からデジタルカメラ本体1の撮影方向のパン/チルトを行なうことを選択設定することで、以後カーソルキー82aの操作により随時出力される。
このように、角速度センサ71A,71Bの検出信号だけでなく、パン/チルトの操作信号にも対応した分だけ加減算によりピッチモータ76またはヨーモータ78を駆動するものとしたので、ユーザの撮影意図に応じた電動のパン/チルト操作に応じて、手ブレのみならず、電動のパン/チルト動作によるブレの影響も排除して安定した状態で撮影を続行することができる。
なお、上述した如く図8、図9及び図12では、ピッチモータ76とヨーモータ78による2軸のブレ補正を行なう場合について説明したが、さらに横回転(Roll:横揺れ)方向を加えて3軸のブレ補正を行なうものとしてもよい。
また、上記実施の形態では、補正駆動を行なうアクチュエータとして図8、図9でピッチモータ76、ヨーモータ78等の回転運動を行なう電動モータを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、以下に示すボイスコイルモータ(VCM)、バイモルフ型のピエゾラミック・アクチュエータ、あるいは積層型の圧電アクチュエータを代わって用いるものとしてもよい。
図13(A)は、ボイスコイルモータ150の基本構成を示すものである。同図(A)中、永久磁石151を内包したヨーク(継鉄)部152の磁界中に、コイル153を埋設したコイルボビン154を配する。
フレミングの左手の法則により磁界方向及び電流方向と垂直な方向に次式の電磁力Fが発生し、コイルボビン154を図中の矢印V方向に沿って直線的に駆動できる。すなわち、
F=2πr・N・i・B …(18)
となるもので、コイル153に流す電流の方向と大きさにより、コイルボビン154の移動方向と駆動加速度、変位量などを制御して、このコイルボビン154に連結された支持台やジンバル等を直接往復運動させ。あるいはリンク機構を介して回動動作させることができる。
その場合の精度や応答性は圧電アクチュエータよりやや劣るものの、直流モータやステッピングモータに比して応答性や駆動力に優れ、変位量も数[mm]以上と比較的大きく設定できる。
図13(B)は、上記ボイスコイルモータ150の変形でリニア駆動を行なうボイスコイルリニアモータ160の基本構成を示すものである。同図(A)中、161が永久磁石、162が永久磁石161を内包したヨーク及び鉄からなるステータ部であり、このステータ部162に対して、コイル163と非磁性のミラー駆動材を配したムーバー164を設けるもので、このムーバー164は図中の矢印Lに示す方向に駆動される。
また、図13(C)は、バイモルフ・パラレル型のピエゾセラミックアクチュエータ170の構成を示すものである。このアクチュエータ170は、2枚の圧電セラミック171,172の間に、燐青銅やCFRP、ステンレスなどのシム材173を挟み込み、各圧電セラミック171,172の端部とシム材173との間に電圧を印加することで、圧電セラミック171,172を撓むように曲げて図中に方向Dで示す如く変位させることができるものである。
図13(D)は、このアクチュエータ170で両圧電セラミック171,172の分極方向Pを逆とするバイモルフ型であり、図13(E)は同じく分極方向Pが同一のバイモルフパラレル型である。共に変位方向を矢印Dで示す。
例えば、バイモルフパラレル型のピエゾセラミックアクチュエータ170では、その変位量をX、発生力をF、共振周波数をfrとするともその関係は次式で表される。すなわち、
X=3Vd31(l/t)2(1+t/t)α[m] …(19)
F=(w/4)(t/l)XY11D[N] …(20)
fr=0.162(t/L)√(Y11E/ρ)[Hz] …(21)
(但し、V:電圧、
l:長さ、
w:幅、
t:総厚、
:シムの厚さ
31:等価圧電係数、
11D:開回路のヤング率、
11E:閉回路のヤング率、
α:非線形補正係数(≒2)、
ρ:密度。)
図14(A)は、積層型の圧電アクチュエータ180を例示するもので、181がその素子である。同図(B)はその圧電アクチュエータ素子181の積層状態と変位方向とを示すもので、変位量は単層型で数[μm]、積層型でも0.05[mm]程度と小さいという難点があるが、一方で駆動力が大きく、数十[μm]までの変位量を0.01[μm]の高精度で制御することができ、応答性も10[μ秒]レベルと非常に優れており、且つ容量型なので消費電力も少ない。
図14(C)は、上記積層型の圧電アクチュエータ180を用い、テコ作用を利用した拡大機構を設けて、その微小な変位量を数倍に拡大するようにした構成例を示すものである。同図(C)で、圧電アクチュエータ素子181の一端が基部182の先端に取付けられており、同基部182にはまたアーム183が回動自在に取付けられる。
このアーム183の途中に上記圧電アクチュエータ素子181の他端が当接され、同アーム183の先端が駆動部183aとなる。
圧電アクチュエータ素子181自体の微小変位SDは、アーム183の基部182に取付けられた回動軸部183bを支点として圧電アクチュエータ素子181までの距離と、同回動軸部183bから駆動部183aまでの距離との比に応じて拡大されて、図中に示す拡大変位LDとなる。
なお、圧電セラミックスとしては、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)系など、発生ひずみが電場に略比例する圧電材料が用いられるが、大きな駆動電圧では強誘電体的分極のヒステリシスなどで電圧に比例しなくなる難点があり、より大きな駆動利欲を要する場合には、発生ひずみが電場の2乗に比例し、ヒステリシスもないPMN(マグネシウムニオブ酸鉛)系などの電歪材料や電歪アクチュエータ等を用いても良い。
次に、上記防振装置70における静止画及び動画撮影時の制御動作について説明する。
図15及び図16は、第1の支持台71にデジタルカメラ本体1が取付けられ、撮影を実行することが可能な状態で、主として支持台制御部93が内部に記憶した動作プログラムにしたがって実行するものである。
その当初には電源スイッチ18の操作に伴う電源の起動を待機し(ステップB01)、電源が起動されたと判断した時点で、デジタルカメラ本体1の重量や慣性モーメントなどに応じてジャイロスコープの特性設定を行なう(ステップB02)。
これは、例えば予めデジタルカメラ本体1内に記憶されているそのカメラの機種固有の各情報を上記コネクタ94を介して支持台制御部93が読み込むものとしてもよい。
その後、角速度センサ71A,71Bで構成される振動検出部を起動し、その検出動作を開始させる(ステップB03)。
続いて、計時処理を実行しながら(ステップB04)、所定時間、例えば2[秒]が経過するのを判断する(ステップB05)という処理を繰返すことで該所定時間が経過するのを待機し、経過した時点でも次にデジタルカメラ本体1に対して電源を起動させるための信号を送信して、デジタルカメラ本体1を起動させ、撮影の実行が可能な状態とさせる(ステップB06)。
次いで静止画撮影用のオート防振モードが上記オン/オフスイッチ86の操作により設定されているか否かを判断する(ステップB07)。
ここで同モードが設定されていると判断した場合、次に上記レリーズ釦80が半押し操作されたか否か、あるいはすでに半押し操作されているか否かを判断する(ステップB08)。
すなわち、レリーズ釦80はデジタルカメラ本体1のレリーズ釦3と同様、2段階の操作ストロークを有し、第1段階のストローク操作、所謂半押し操作状態でAF(自動合焦)処理及びAE(自動露出)処理を行なって合焦位置及び露出値をロックする。
しかして、上記ステップB08でレリーズ釦80が半押し操作されていないと判断した場合には、まだ静止画像の撮影には間があるものとして、次にデジタルカメラ本体1に対するズーム操作等のリモート操作をズームキー81、カーソルキー82a、エンターキー82b等のキー操作により行なったか否か判断する(ステップB20)。
ここで、当該操作を行なったと判断した場合のみ、そのリモート操作に係るキー操作信号を上記コネクタ94を介してデジタルカメラ本体1側へ送信した後(ステップB21)、上記ステップB07からの処理に戻る。
こうして、レリーズ釦80の半押し操作がない間は、上記ステップB07,B08,B19(,B20)の処理を繰返し実行し、レリーズ釦80の半押し操作等があるのを待機する。
そして、レリーズ釦80の半押し操作があった場合、上記ステップB08でこれを判断し、その半押し操作中の信号をデジタルカメラ本体1側へ送信した上で(ステップB09)、上記角速度センサ71A,71Bからの検出信号を順次時系列的に取込み、この支持台制御部93内部のメモリに一旦記憶する(ステップB10)。
次いで、この記憶した各角速度センサ71A,71Bの検出結果の履歴に応じて積分演算他によりアクチュエータであるヨーモータ78とピッチモータ76の駆動量を算出し(ステップB11)、算出した駆動量にしたがってヨーモータ78及びピッチモータ76を駆動制御して防振動作を実行する(ステップB12)。
このヨーモータ78及びピッチモータ76の駆動に関しては、検出された回転角速度に対して単にそれを打ち消すように駆動量を定めると遅れを生じるため、検出時の角速度と前回検出時の角速度の差分をとって角加速度を算出し、2周期分以上の角加速度の履歴情報を用いて化減速の程度を判断し、次回検出時の予測角速度を算出する予測制御を行なうが、この予測制御の詳細は後述する図17及び図18において説明する。
しかして、上記防振動作を実行後、今度はレリーズ釦80が撮影のためにフルストロークで操作される、所謂全押し操作されたか否かを判断する(ステップB13)。
ここでレリーズ釦80が全押し操作されておらず、且つ半押し操作も解除された場合には上記ステップB08からの処理に戻る。
一方で、上記ステップB13でレリーズ釦80が全押し操作されたと判断した場合には、その操作信号をデジタルカメラ本体1側へ送信してデジタルカメラ本体1側での撮影動作を実行させると共に(ステップB14)、本撮影に備えてデジタルカメラ本体1での振動を抑えるべく、上記角速度センサ71A,71Bからの検出信号を順次時系列的に取込み、この支持台制御部93内部のメモリに一旦記憶する(ステップB15)。
次いで、この記憶した各角速度センサ71A,71Bの検出結果の履歴に応じて積分演算他によりアクチュエータであるヨーモータ78とピッチモータ76の駆動量を算出し(ステップB16)、算出した駆動量にしたがってヨーモータ78及びピッチモータ76を駆動制御して防振動作を実行する(ステップB17)。
その後、支持台制御部93内部のタイマーによる計時処理を行なって(ステップB18)、上記デジタルカメラ本体1へ撮影のための操作信号を送信してから撮影が終了するのに充分な所定時間、例えば2[秒]が経過したか否かを判断し(ステップB19)、経過していなければ上記ステップB15からの処理に戻る、という処理を繰返し実行することで、ステップB15〜B19での処理により防振動作を続行しながら、撮影動作が終了す
しかして所定時間が経過し、デジタルカメラ本体1側での撮影が一旦終了した時点でステップB19によりこれを判断し、次にデジタルカメラ本体1に対するズーム操作等のリモート操作をズームキー81、カーソルキー82a、エンターキー82b等のキー操作により行なったか否か判断する(ステップB20)。
ここで、当該操作を行なったと判断した場合のみ、そのリモート操作に係るキー操作信号を上記コネクタ94を介してデジタルカメラ本体1側へ送信した後(ステップB21)、上記ステップB07からの処理に戻る。
また、上記ステップB07で静止画撮影用のオート防振モードが設定されていないと判断した場合には、次に動画撮影用のオート防振モードが設定されているか否かを判断する(ステップB22)。
ここで動画撮影用のオート防振モードが設定されていると判断した場合には、次に動画撮影中であることを示す支持台制御部93内部のフラグレジスタ(FLAG)がオン設定されているか否かにより、動作撮影の途中であるか否かを判断する(ステップB23)。
ここでフラグレジスタがオン設定されておらず、動画撮影途中ではないと判断した場合には、上記角速度センサ71A,71Bからの検出信号を順次時系列的に取込み、この支持台制御部93内部のメモリに一旦記憶する(ステップB31)。
次いで、この記憶した各角速度センサ71A,71Bからの検出結果の振動量に関係なく、アクチュエータであるヨーモータ78及びピッチモータ76の駆動量を「0(ゼロ)」として一時的に防振動作を無効化する(ステップB32)。
その後、第3の支持台77に対するデジタルカメラ本体1の撮影方向を可変するために設定スイッチ85とカーソルキー82aによるパン操作あるいはチルト操作がなされたか否かを判断し(ステップB33)、なされたと判断した場合にのみ、上記ステップB32で決定した駆動量「0」に代わるものとして、その操作内容に応じてヨーモータ78またはピッチモータ76に必要な駆動量を算出する(ステップB34)。
その後、算出された駆動量に応じてヨーモータ78及びピッチモータ76を駆動した上で(ステップB35)、第1回目のレリーズ釦80による撮影の開始を指示する操作があったか否かを判断する(ステップB36)。
ここで当該操作があったと判断した場合にのみ、その操作に対応して動画の撮影開始を指示する信号をデジタルカメラ本体1側へ送信するとともに、動画の撮影途中であることを示す支持台制御部93内部のフラグレジスタをオン設定する(ステップB37)。
その後、上記ステップB37の処理の実行の有無に拘わらず、上記ステップB20からの処理に進む。
また、上記ステップB23でフラグレジスタがオン設定されており、動画撮影途中であると判断した場合には、上記角速度センサ71A,71Bからの検出信号を順次時系列的に取込み、この支持台制御部93内部のメモリに一旦記憶する(ステップB24)。
次いで、この記憶した各角速度センサ71A,71Bの検出結果の履歴に応じて積分演算他によりアクチュエータであるヨーモータ78とピッチモータ76の駆動量を算出する(ステップB25)。
その後、撮影途中から第3の支持台77に対するデジタルカメラ本体1の撮影方向を可変するために設定スイッチ85とカーソルキー82aによるパン操作あるいはチルト操作がなされたか否かを判断し(ステップB26)、なされたと判断した場合にのみ、その操作内容に応じて上記図12中で加減算器126,137への信号により示した如く、ヨーモータ78またはピッチモータ76に必要な駆動量を、振動量に対する駆動量から加減算させる(ステップB27)。
そして、必要により加減算したヨーモータ78及びピッチモータ76の駆動量に基づいてこれらを駆動制御して防振動作を実行する(ステップB28)。
その後、今度は第2回目のレリーズ釦80による撮影の停止を指示する操作があったか否かを判断する(ステップB28)。
ここで当該操作があったと判断した場合にのみ、その操作に対応して動画の撮影停止を指示する信号をデジタルカメラ本体1側へ送信すると共に、動画の撮影途中であることを示す支持台制御部93内部のフラグレジスタをオフ設定する(ステップB30)。
その後、上記ステップB30の処理の実行の有無に拘わらず、上記ステップB20からの処理に進む。
また、上記ステップB22で動画撮影用のオート防振モードが設定されていないと判断した場合には、上記ステップB20からの処理に進み、デジタルカメラ本体1に対するズーム操作等のリモート操作の有無に対処する。
次に上記図15及び図16の動作中でも実行されていた、ブレ補正量の予測制御のサブルーチンの処理内容の詳細について図17及び図18を用いて説明する。
その当初には、サンプリング周期にしたがった所定時間Tsの経過を待機した後に(ステップC01)、上記角速度センサ71A,71Bからの検出出力によりX,Y2軸それぞれのブレ角速度「ωi」(=ωxi,ωyi)及びブレ角度変位「θi」(=θxi,θyi)を読込む(ステップC02)。
読込んだブレ角速度「ωi」及びブレ角度変位「θi」と所定時間Ts前にすでに読込んである前回の同値「ωi−1」及びブレ角度変位「θi−1」とから角加速度「ai」を算出する(ステップC03)。
直前のステップC02で読込んだブレ角速度「ωi」及びブレ角度変位「θi」を次回の演算のために支持台制御部93内部のメモリに順次書込んだ後(ステップC04)、その時点がブレ補正動作をオン設定した起動直後か否かを判断する(ステップC05)。
ここで、ブレ補正動作をオン設定した直後であり、まだ動作が安定していない状態であると判断すると、その過渡変動期を計時するタイマを支持台制御部93内に設定した上で(ステップC06)、同内部の3つの状態フラグ、すなわち過渡変動期フラグに「1」を初期追従中フラグに「0」を、初期追従済フラグに「0」をそれぞれセットする(ステップC07)。
その後、上記設定したタイマによる計時を実行し(ステップC08)、設定した過渡変動期を経過したか否か判断する(ステップC09)。
ここで計時値がまだ設定した過渡変動期に達していないと判断すると、過渡変動期待ちであるものとしてこのサブルーチンを一旦終了してメインルーチンにリターンと共に(ステップC10)、その他の処理も同時に実行し(ステップC11)、上記ステップC01からの処理に戻る。
しかして、以後の上記過渡変動期にあっては、上記ステップC01〜C04を介してステップC05でブレ補正動作をオン設定した直後ではないと判断すると、次いで過渡変動期中であるか否かを上記過渡変動期フラグが「1」であるか否かにより判断する(ステップC13)。
この場合には同フラグが「1」であり、過渡変動期中であると判断すると、上記と同様にステップC08に進んで、この過渡変動期が終了するのを待機する。
その後、上記ステップC01〜C05,C13,C08,C09〜C11の処理を繰返し実行する過程で過渡変動期が終了し、タイマの計時値が設定した値に達すると、ステップC09でこれを判断し、過渡変動期フラグにあらためて「0」をセットした上で(ステップC12)、上記ステップC10からの処理に移行する。
図19における時間「0(ゼロ)」からTまでの期間が上記過渡変動期待ちIに相当するするもので、図中に実線で示すのが第1の支持台71で生じている検出ブレ角度であり、これに対して破線で示すのが補正ブレ角度である。この過渡変動期待ちIの状態では検出したブレに対する補正がまったく行なわれていないことがわかる。
続くステップC01からの処理過程では、ステップC05でブレ補正動作をオン設定した直後ではないと判断し、続くステップC13で過渡変動期フラグが「0」であると判断すると、次に初期追従動作中であるか否かを初期追従済みフラグが「0」であるか否かにより判断する(ステップC14)。
ここで初期追従動作中であり、同フラグの内容が「0」であると判断すると、次いで初期追従動作中であるか否かを上記初期追従中フラグが「0」であるか否かにより判断する(ステップC15)。
初期追従動作中であり、同フラグが「0」であると判断すると、初期追従目標の設定を行なうべく、まず現時点を輝点Tとして設定に要する追従目標時間Tを設定する(ステップC17)。
次いで、直前の上記ステップC02〜C04で得た今回のブレ角度変位θ、ブレ角速度ω、角加速度a、前回の角加速度a0−1、現在のブレ補正角θ'を支持台制御部93内のメモリから読出す(ステップC17)。
これら読出した内容により、時間T経過後の角速度ωpを次式により予測算出する(ステップC18)。
ωp=ω+(a/a0−1)・a×T …(22)
こうして得た角速度ωpにより、時間T経過後の角度θpを次式
θp=θ+ωp×T …(23)
により算出し(ステップC19)、得た角度θpを用い、補正角度量の増分Δθを次式
Δθ=θp−θ' …(24)
により算出する(ステップC20)。
ここから初期追従角速度ω
ω=Δθ/T …(25)
なる式にて算出するもので(ステップC21)、このようにして得た補正角度量Δθと追従角速度ωに応じて、補正駆動量をブレ補正手段であるヨーモータ78及びピッチモータ76のためのドライバ131,142に出力する(ステップC22)。
その後、初期追従中であるために初期追従中フラグに「1」をセットした後(ステップC23)、目標角度「θp」または目標時間「T」に達したか否かを判断する(ステップC24)。
ここで、これらのいずれにも達していないと判断した場合には、まだ初期追従中であるため、上記ステップC10からの処理に移行する。
以後、この初期追従中にあっては、ステップC01〜C05,C13,C14を介してステップC15で初期追従中フラグが「0」ではなく「1」であるものとして上記ステップC24で目標に達したか否か判断し、達していないためにステップC10からの処理に進む、という過程を繰返し実行する。
この初期追従動作中にあっては、図19中に時間「T」から時間「T+T」までの期間が上記初期追従動作中IIに相当するするもので、実際に生じている検出ブレ角度に対し、補正ブレ角度が急激に追従して両者が近接していることがわかる。
しかして、目標角度「θp」または目標時間「T」に達すると、上記ステップC24でこれを判断し、初期追従済みであるものとして初期追従中フラグに「0」を、初期追従済フラグに「1」をそれぞれセットした後(ステップC25)、上記ステップC10からの処理に進む。
以後、連続追従動作に移行するもので、この連続追従動作においては、上記ステップC01〜C05,C13を介してステップC14で初期追従済フラグが「0」ではなく「1」であると判断した後、ブレ角度「θ」、角速度「ω」、角加速度「a」「ai−1」及びその時点でのブレ補正角「θ'」を読込む(ステップC26)。
そして、前回の角加速度「a」と前々回の角加速度「ai−1」とから、次回の予測角速度「ωp」を次式
ωp=ω+(a/ai−1)a×T …(26)
により算出する(ステップC27)。
次いで、今回のブレ角度「θ」と、算出した次回の予測角速度「ωp」とから、次回の予測ブレ角度「θpi+1」を次式
θpi+1=θ+ωp×T …(27)
により算出する(ステップC28)。
次に上記算出した結果から、補正角度量の増分「Δθi+1」を次式
Δθi+1=θpi+1−θ' …(28)
を用いて算出し(ステップC29)、これら算出した補正角度量の増分「Δθi+1」、次回の予測角速度「ωp」に応じて、補正駆動量をブレ補正手段であるヨーモータ78及びピッチモータ76のためのドライバ131,142に出力し(ステップC30)、その後に上記ステップC10からの処理に移行する。
以後、この連続追従動作中にあっては、ステップC01〜C05,C13,C14を介してステップC26〜C30で追従動作を実行し、その後にステップC10からの処理に進む、という過程を繰返し実行する。
この連続追従動作中にあっては、図19中に時間「T+T」以後の期間で示す連続追従動作中IIIに相当するもので、実際に生じている検出ブレ角度に対し、補正ブレ角度がきわめて近接した値で与えられ、結果としてデジタルカメラ本体1を取り付けた第1の支持台71ではブレの要素がほとんど影響を与えない状態で撮影を実行できることがわかる。
なお、上記図17及び図18で説明した制振動作制御の内容に代えて、補正駆動時のブレ補正角を記憶する手段、ないしはフォトカプラ等により補正系の補正角度(θ'xi,θ'yi)を検出する補正角度検出の手段を設けて、検出されたブレ補正角度を所定のサンプリングタイミングごとに入力し、ブレ補正角の制御信号もしくはブレ補正角の検出情報を順次記憶して、今回ブレ補正角と前回ブレ補正角とから次回の所要補正角を予測演算し、順次ブレ補正角を設定して駆動するような予測制御を行なうものとしてもよい。
さらに、上述した各種制御に対して、ブレ補正角が補正可能な限度範囲に近づくと、補正可能な範囲内もしくは中点位置に徐々に戻すセンタリング処理や復帰処理を行なう制御を付加するものとしてもよい。
このように、既存のデジタルカメラ本体1を第1の支持台71に装着し、第3の支持台77の右側アーム77Rをグリップとして把持しながら、支持台制御部93によりデジタルカメラ本体1ごと第1の支持台71の姿勢角度の変位量に応じてアクチュエータであるヨーモータ78及びピッチモータ76による動的な制振動作を行なわせる。そのため、ジャイロスコープ自体の慣性モーメント等に頼ることなく、質量等の点でより広い範囲のデジタルカメラに対応し、手ブレ等の影響を排除してきわめて安定した状態でデジタルカメラ本体1による撮影を行なうことができる。
また、上記制振制御としては、ブレの発生に対してその時系列に追従して予測制御を行なうものとしたので、検出結果に対する応答に遅れを生じることなく、きわめて正確にブレの発生を抑制することができる。
さらに、撮影を指示するレリーズ釦80の操作だけでなく、カメラの撮影方向を可変するパン/チルトの操作内容を加味してアクチュエータであるヨーモータ78及びピッチモータ76による角度姿勢の制御に反映させるものとしたので、撮像方向を上下左右に回動させるパン/チルト操作を併せて実現させることができ、ユーザにとっての使い勝手をより向上できる。
なお、上記実施の形態において、ブレの検出では、X軸周りの縦方向のピッチ回転(縦揺れ)と、Y軸周りの横方向のヨー回転(偏揺)の2軸方向の角速度を、上述したレートジャイロスコープや圧電振動ジャイロスコープなどの角度センサを用いて検出するものとしたが、さらにZ軸周りのロール回転(横揺れ)をも含めた3軸方向の角速度センサを用いても良い。
また、X軸に沿った平行移動(Swaying/左右揺れ)、Y軸方向に沿った平行移動(Heaving/上下揺れ)、Z軸に沿った平行移動(Surging/前後揺れ)などの変位速度や加速度を検出する加速度センサ等を設けて、回転角速度だけでなく、各軸に沿った平行方向の移動変位や加速度をも検出できるようにしても良い。
あるいは、検出された振動変位や加速度などに応じて、その逆方向に移動駆動するのに代えて、第3の支持台77の振動が第1の支持台71では軽減されるように逆位相の振動を加えるアクティブ制振動作に振動を抑えたり、動的吸振器の設定を可変制御するなど、第1の支持台71の振動自体を動的に軽減あるいは抑制するものとしてもよい。
(第3の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラ用の防振装置に適用した場合を第3の実施の形態として図面を参照して説明する。
図20は、本実施の形態に係る防振装置200の構成を一部透視化して示すもので、1は防振対象となるデジタルカメラ本体であり、ここではその背面側から見た状態を示す。このデジタルカメラ本体1自体は、後述する底面に設けられたコネクタを介して外部からのコントロールにより撮影等の指示を行なうことができる点を除き、きわめて一般的な構成を有するものとして、その構成及び動作については説明を省略する。
本図では、このデジタルカメラ本体1で女性を被写体として撮影を待機している状態を例示するものであり、背面側のバックライト付きカラー液晶パネルで構成される表示部2にはその時点で撮影素子に継続されている画像がそのままモニタ表示され、上部右端側に設けられるレリーズ釦3を操作することでデジタルカメラ本体1単体でも撮影を実行できることは勿論である。
このデジタルカメラ本体1はその底面側にある三脚孔(図示せず)により、底辺とその右端に一体接続したアームよりなるL字状フレームの第1の支持台201に取付け固定される。
具体的には、この第1の支持台201の底辺201Cと(デジタルカメラ本体1背面側から見て)右側アーム201Rが一体に構成されており、該底辺201C下面のカメラ固定ビス202を回動操作することで、この底辺201Cを貫通してデジタルカメラ本体1の底面に設けられている三脚孔に螺合締結してデジタルカメラ本体1を底辺201Cに取付けることができる。
加えて、底辺201Cの上面にはコネクタ203が上方に向けて突出形成されるもので、デジタルカメラ本体1の底面に形成された図示しないメス型のコネクタとこのオス型のコネクタ203とを接続し、且つ同デジタルカメラ本体1の底面に形成された三脚孔にカメラ固定ビス202を螺合するようデジタルカメラ本体1を底辺201C上に設置した状態で、カメラ固定ビス202をユーザが締め付けることでデジタルカメラ本体1が第1の支持台201に対して取付け固定される。
この第1の支持台201の底辺201C下側が、コイルスプリング204,205及びオイルダンパー206により第1の支持台201と同様にL字状フレームの第2の支持台207の底辺207C上面に接続される。
また、第1の支持台201の右側アーム201Rの右側面も、コイルスプリング208,209及びオイルダンパー210により第2の支持台207の右側アーム207Rの左側面に接続される。
すなわち、デジタルカメラ本体1を装着した第1の支持台201を第2の支持台207に対してフローティング状態で支持するものとなる。
第2の支持台207の右側アーム207Rは、図示する如く第1の支持台201のそれに比べて横方向及び奥行き(図の紙面に垂直な)方向の各寸法が大きく設定されてユーザの右手による把持を前提としたグリップ部を形成する。
右側アーム207Rの上端面にはデジタルカメラ本体1の電源をオン/オフするための電源スイッチ211、デジタルカメラ本体1での撮影を指示するレリーズ釦212が設けられる。
また、右側アーム207Rの背面側には、ズームキー213その他デジタルカメラ本体1での撮影に最低限必要な各種スイッチ、釦、インジケータランプ等が適宜配設されるが、ここではそれらの記載を省略するものとする。
さらに、ここでは図示しない右側アーム207Rの下端面からこの防振装置200の動作電源となる電池214が着脱可能となるもので、この電池214の供給する電力は右側アーム207R内に設けられる支持台制御部215に送られて、この支持台制御部215から他の各回路へ適宜必要な電力が分配される。
また、第2の支持台207と第1の支持台201とが充分にコード長をとったカールコード216により電気的に接続され、上記支持台制御部215からの制御信号がこのカールコード216、上記コネクタ203を介してデジタルカメラ本体1まで伝送される。
図21は、上記防振装置200のデジタルカメラ本体1を装着した第1の支持台201とこれを支持する第2の支持台207との構成を簡略化して示すものである。
同図(A)では、第1の支持台201の底辺201Cと第2の支持台207の底辺207Cとを接続するコイルスプリング204,205を弾性体K1、オイルダンパー206を減衰器C1として表している。
同様に、第1の支持台201の右側アーム201Rと第2の支持台207の右側アーム207Rとを接続するコイルスプリング208,209を弾性体K2、オイルダンパー210を減衰器C2として表している。
図21(B)は、同図(A)の支持構造をより簡略化したモデルを示すものであり、第2の支持台207でなる基台B上に、デジタルカメラ本体1及び第1の支持台201でなる質量mの支持物Sが弾性体Kと減衰器Cにより支持された状態を示す。
ここで弾性体Kは、上記コイルスプリング204,205とコイルスプリング208,209をそれぞれの支持方向等を勘案して合成した総合体としての値である。同じく減衰器Cも、オイルダンパー206とオイルダンパー210をそれぞれの支持方向等を勘案して合成した総合体としての値である。
なお、上記図20では弾性体としてコイルスプリングを用いる場合を例示したが、本発明ではこれに限ることなく、他に積層ゴム、空気バネ、防振ゴム等を用いるものとしてもよい。
さらに減衰器としても、オイル(油圧式)ダンパーなど油や液体の粘弾性やスクイズ効果、剪断ロス等を利用したものに限らず、エアダンパー等の空気や気体のスクイズ効果や圧縮・膨張効果を利用したもの、さらにはゴムや「αGEL(アルファゲル)(登録商標)(シリコンを主原料とする柔らかいゲル状素材)」等の緩衝材、内部摩擦を利用した防振ゴムや制振ゴム等、もしくは固体の摩擦抵抗や材料のヒステリシスを利用したもの、磁気による渦電流損失を利用した非接触式のものなど、各種の減衰機構を考えることができる。
上記のような弾性体Kと減衰器Cとの組合せにより、ユーザの手ブレ等による振動が制振対象であるデジタルカメラ本体1及びこれを取り付けた第1の支持台201にでき得る限り伝達しないようにする。
具体的にこの防振装置200では、
1a)第1の支持台201の質量(慣性要素)もしくは弾性体K及び減衰器Cの値を適宜値に設定することにより、手ブレ等による第2の支持台207の約2〜20[Hz]帯の振動がデジタルカメラ本体1及び第1の支持台201の共振点を避けて振動するようにする。
1b)第2の支持台207と第1の支持台201との間に、弾性体K及び減衰器Cを設けて、過渡振動や定常振動の振幅が小さくなり、且つ振動伝達度も小さくなるようにする。
という2つの要素を実現させるものとする。
しかるに、カメラの支持台に振動伝達経路を遮断あるいは絶縁する除振装置を設ける場合には、
2a)機器に手ブレや周囲環境からの振動が伝わらないように、ダンパーやゴムなどの減衰要素を増加させる、などして、振動伝達率及びコンプライアンス特性(周波数応答特性)などが所望の振動数領域で極力小さくなるようにする。
2b)第2の支持台207から第1の支持台201への伝達経路で、手ブレによる振動が遮断されるように、手ブレの振動数領域での振動絶縁性を考慮した設計をする。
以下に、振動高額理論における防振技術、制振技術を用いて、カメラの手ブレによる振動自体を軽減もしくは抑える方法について概略を説明する。
「ユーザの手・腕と第2の支持台207」からなる基台と、それに載置され、あるいはぶら下がっている制振対象の「第1の支持台201とデジタルカメラ本体1」とを考え、基台側で手ブレによる振動などの外力が加わり、制振対象に伝わって振動すると考えると、1自由度系の強制振動として簡略化したモデルとして考えることができる。
このとき、第2の支持台207が振動した場合でも、第1の支持台201及びデジタルカメラ本体1の振動が軽減もしくは減衰させる、もしくは振動の伝達を絶縁する、よれが大きくならない構造にする、等ができれば、デジタルカメラ本体1の振動や揺れを軽減し、もしくは抑えることができる。
振動系が外力を受けないで行なう振動(自由振動)は、振動系の特性のみに依存しているが、外力の影響下にある振動(強制振動)は、振動系の特性と外力の双方に依存する。
振動系に減衰が作用しないか、あるいは作用しても微小である場合には、減衰要素c=0として、質量(慣性要素)mと弾性要素kとからなる振動系でモデル化することができ、系は一定の振幅と固有の振動数で持続的に振動する(固有振動)。
このときも質量mが下方にxだけ変位するとき、運動方程式は
mx¨+kx=0 …(29)
となり、この式(29)の両辺をmで割ると、
x¨+ω x=0 …(30)
(但し、ω:固有角振動数(=√(k/m)[rad./秒])、
k:バネ定数[N/m]、
m:質量[kg]。)
上記式(30)の解は、振幅Aのとき、
x(t)=A・cos(ωt−φ) …(31)
の形の調和振動波形となるもので、このときの固有振動数は
=ω/2π=(1/2π)√(k/m)[Hz] …(32)
となる。
一方、振動系が質量mやバネ定数kと共に、流体の粘性抵抗によるダンパー(減衰器)などの減衰要素を設けると、時間超過につれて減衰する調和振動となる。
Figure 2007183356
(但し、ζ:減衰比(=c/2√(mk)=c/c)、
:臨界減衰係数(=2√(mk))、
c:限界係数、
ω:固有角振動数(=√(k/m)[rad./秒])。
上記式(33)の解を「x=est」と置くと、
+2ζωs+ω =0 …(36)
で表される特性方程式となり、その特性根は
,s=−ζω±√(ζ−1)・ω、 …(37)
ζ>1(過減衰)の場合は、s,sは共に負、
ζ=1(臨界減衰)の場合は、s=s(重根)、
0<ζ<1の場合は、s,sは複素数となり、
,s=−ζω±j・ω
(但し、ω=√(1−ζ)・ω。)
また、一般解は、
x(t)=e−ζωnt(c'・ejωdt+c'・e−jωdt)
…(38)
となり、オイラーの公式
「ejθ=cosθ+j・sinθ」を用いると、
x(t)=e−ζωnt(C・cosωt+C・sinωt)
=X・e−ζωnt・cos(ωt−φ) …(39)
となり、粘性減衰を有する自由振動は、時間と共に振幅が指数関数的に減少する調和は系(減衰調和波形)となる。
上記の特性根s,sを複素平面上で表すと、図22に示すようになるもので、互いに複素共役の根sとsは、実軸Re(x)に関して上下対称の位置になる。(出所:清水信行他著「機械工学」共立出版、1988より)
固有角振動数ωが一定の曲線は半径が一定の円となり、振動数が大きいほど半径の大きな円となる。また、減衰比ζが一定の曲線は、原点から発する放射状の直線となり、減衰比ζが大きいほど左に傾斜する直線となる。
i) 右半平面上に特性根があるときは、負の減衰(−1<ζ<0)を有する不安定な系となり、振動は時間と共に増大する。このため、振動を抑えるには、少なくとも特性根が左半平面上にある必要がある。
ii) 特性根が虚軸Im(y)上にあるとき(実数部=0)、系の振動は調和振動波形となる。
iii) 特性根が左半平面で、虚軸Im(y)から左に傾斜する直線上にあるとき(0<ζ<1)は、減衰振動波形となる。
iv) 特性根が左半平面で、実軸Re(x)上にあるとき(虚数部=0)、振動は単調な減衰波形となる。
図23(A)は、上記図21(B)でも示したモデルであり、その運動方程式を
Figure 2007183356
に示す。種々の防振材料の伝達特性を同図(B)に示す。
上記1自由度振動系の質量に外力「f(t)=Fsinωt」が作用する場合、運動方程式は
Figure 2007183356
となる。
この解は、自由振動の一般解と外力に対する定常振動の特解x(t)との和となり、
x(t)
=exp{−ζωt}(C・cosωt+C・sinωt)
+x(t) …(45)
であって、上記式(45)右辺の第1項は自由振動の減衰振動、同第2項は強制振動の調和振動で、自由振動と強制振動とが共存する過渡振動波形となる。
外力が調和入力の場合には、定常振動を表す特解x(t)は同じ振動数の調和応答となり、
(t)=A・sin(ωt−φ) …(46)
の形となる。このとき、振幅A及び位相φはそれぞれ次式
A=F/m√{(ω −ω)+(2ζωω)}
=(F/k)/√{(1−λ)+(2ζλ)} …(47)
φ=tan−1{2ζωω/(ω −ω)}
=tan−1{2ζλ/(1−λ) …(48)
(但し、ω:外力の角振動数、
ω:固有角振動数(=√(k/m)[rad./秒]、
λ:振動数比、
ζ:減衰比(=c/2√(mk))。)
図24(A)に、上記減衰比ζをパラメータにして、振動数比λ(=ω/ω)を横軸に、振幅A/xstを縦軸にとった共振曲線を示す。また、図24(B)に横軸は上記図2上(A)と同様で、縦軸に位相差φをとった位相曲線を示す。
これらの特性図により、振動数比λ=1に近く、入力の振動数が系の固有角振動数ωの近くでは振幅Aが大きくなり、減衰比ζが√2/2=約0.707よりも小さい場合には、曲線は共振点でピークを持つ共振現象を示すことがわかる。
また位相差φは、入力振動数が小さいときに0に近く、λ=1、すなわちω=ωのときに90度となり、入力振動数が共振振動数より大きい場合には180度近くの位相差となることがわかる。
上記式(47)で示した振動系の定常振動の振幅Aを、振動数比λ=ω/ωで微分して、極大値をとる共振角振動数ωを求めると、
変位応答の共振角振動数は
ω=√(1−2ζ)・ω …(49)
同じく、速度応答の共振点はω=ω …(50)
また、加速度応答の共振点はω=ω/√(1−2ζ)
…(51)
となる。時間軸に対する変位応答の共振曲線の例を図25に示す。
すなわち図25(A)が、横軸に確信同数ω、縦軸に変位をとって示す共振曲線を例示するものであり、同曲線中のB〜Eの各位置における時間に対する変位量の特性を図25(B)〜(E)に示す。
上記定常振動の振幅Aは、共振点に近いω≒ω(λ=ω/ω≒1)のとき、近似的に
A=(F/k)/2ζ=F/cω …(52)
となる。つまり、共振点近くの振動の大きさは減衰係数cによって決まり、cを2倍にすると振幅Aのピークは1/2になる。
したがって、共振振動数に近い振動数の振幅を下げるためには、上記図24で示した共振曲線、あるいは大きな粘性減衰を付加するほど制振効果が大きい。手ブレなど外部からの加振力の振動数が共振振動数に高い振動数を含む場合には、減衰係数cがある程度大きな減衰要素を付加しておくことで、手ブレによる揺れを大きく軽減できる。
ここで、具体的に弾性要素とそれに付加する減衰要素の構成を図26乃至図28に示す。
図26(A)は、弾性材の構成例を示すもので、ここでは上記図21、図23と同様に弾性材としてのバネを電気回路記号の「抵抗」及び「可変抵抗」に模してモデル化している。
図26(B)乃至(D)はいずれも具体的な金属バネを用いた構成例である。図26(B)はコイルスプリングによる圧縮バネ221を示すものであり、本実施の形態では上記図20でもこの種の圧縮バネ221を用いた場合を場合を例示している。
また、図26(C)はコイルスプリングによる引っ張りバネ222を示すものであり、上記図20に示したように弾性体のみを直接第1の支持台201と第2の支持台207間に直接取付けるような本実施の形態ではそのまま使用することは考えられないが、後述するリンク機構等を用いることで実用化できる。
図26(D)は、上記図26(B)で示した圧縮バネ221と、調整ねじ223aにより内容積(圧力)を可変できる空気バネ223とを同軸的に組合わせてその弾性を調整可能とした構成を示すものであり、圧縮バネ221と意図的にバネ係数kの異なる空気バネ223を用いることにより、圧縮バネ221だけでは吸収できない振動等に対処することができる。
図27(A)は、減衰要素と組み合わされる弾性材の構成例を示すもので、ここでは上記図21、図23と同様に減衰器としてのオイルダンパーをシリンダとピストンを簡略化した記号でモデル化している。
図27(B)は、一般的なオイルダンパー230の構成を示すもので、オイル231を封入したシリンダ232に対し、一体に構成されたピストン233及びピストンロッド234が取付けられている。
ピストンにはオリフィス235,235と称される複数のオイル231の通路が形成され、且つその通路の各開口にオイル231の通過方向を規制するリーフバルブ236,236,‥‥が設けられる。
しかして、オイル231自体の粘性と上記オリフィス235,235の開口面積及び上記リーフバルブ236,236,‥‥の柔軟性等によって、シリンダー232に対するピストン233及びピストンロッド234の伸び側、及び縮み側の減衰特性を設定することができる。
また、図27(C)は、上記図27(B)の構成に、調整ねじ237の突出量で流動量を調整可能なバイパス路238を形成したものである。上記オリフィス235,235での流動抵抗に比してバイパス路238の同抵抗が非常に小さいものとなるため、調整ねじ237の操作でバイパス路238の流動量を任意調整することにより、オイルダンパー230全体としての減衰量係数を可変設定できる。
続く図28は、弾性要素と減衰要素とを組み合わせた構成例を示すもので、図28(A)は上記図26(A)及び図27(A)で示した記号を並列接続したモデル図として示している。
図28(B)は、上記図26(C)の引っ張りバネ222と上記オイルダンパー230
とをひし形板パンタグラフ状のリンク機構240の横方向に装架した場合を示す。
同リンク機構240の上端及び下端が上記第1の支持台201及び第2の支持台207への取付け部241,241,…と回動自在に連結される。
第1の支持台201及びデジタルカメラ本体1による加重でその上下の間隔が圧縮されるように力がかかることで、リンク機構240によって引っ張りバネ222の両端を引っ張る力がかかるもので、このリンク機構240の伸縮に伴う振動をオイルダンパー230が減衰させる。
図28(C)は、上記圧縮バネ221とオイルダンパー230とを同軸的に組込んで一対の各有底筒状のケーシング251,252内に納めた状態を例示するものである。
圧縮バネ221が外部に露出しないために、外観を損ねることがなく、またユーザの袖口など衣類の端部等が挟み込まれてしまうのを未然に防ぐこともできる。
以上に具体構成を例示した弾性要素及び減衰要素に関しては、装着するデジタルカメラ本体1の質量や慣性モーメントなどに応じて、バネ定数k及び減衰係数cを適正な値とするべく適宜選定することが必要とされるものであり、上記図26(D)及び図27(C)に示すようにそれらの特性値を任意に調整、可変する機構を有したものとすることが望ましい。
次いで、上記図24(A)で示した確振動数比に対する振幅の特性に関し、共振点をずらす場合について説明する。
図29(A)は、角振動数に対する変位量から共振曲線を示すもので、質量m=1[kg]、減衰係数c=20[kg/s]、バネ定数(弾性係数)k=10[kN/m]、F=10[N]における変位量を図中に実線で示す。これに対し、他の条件は同じで減衰係数c=40[kg/s]とした場合の同変位量を図中に破線で示す。
また、上記図29(A)では減衰係数cを変化させた場合について例示したが、図29(B)では上記図29(A)の実線で示した条件から、バネ定数k=20[kN/m]とした場合の同変位量を破線で、k=5[kN/m]とした場合の同変位量を一点鎖線でそれぞれ示す。
このように、外力の振動数が振動系の固有振動数に比して小さい領域では、バネ定数kの影響が大きく、バネ定数kを大きく(バネを堅く)すると振動振幅を小さくすることができるが、固有振動数に比して振動数が大きい外力に対してはバネ定数の効果は小さいか、または逆効果になる。
また、バネ定数kを大きくすると、振動系の固有振動数、共振振動数共にピーク値を高い方へ、反対にバネ定数kを小さくすると、振動系の固有振動数、共振振動数共にピーク値を低い方へそれぞれシフトさせることができる。
図29(C)では、上記図29(A)の実線で示した条件から質量m=2[kg]とした場合の同変位量を破線で示す。
外力の振動数が振動系の固有振動数に比して大きい領域では、質量mの影響が大きく、質量mを大きく(重く)すると振動振幅を軽減することができるが、逆に振動数が小さい外力に対しては質量増加による振動軽減の効果は少ない。また、質量mを大きくすると振動系の固有振動数、共振振動数共にピーク値を低い方へ、反対に質量mを小さくすると、振動系の固有振動数、共振振動数共にピーク値を高い方へそれぞれシフトさせることができる。
このように、減衰係数c、バネ定数k、及び質量を適切に付加、もしくは調整することにより、手ブレ等による外力の振動数に対して振動系の共振点をずらし、外力の振動による影響を軽減することができる。
スチル(静止画)撮影における手ブレでは、振動周波数f=3〜10[Hz]、角振動数ω=2πf=18〜63[rad./s]程度、また特にユーザが歩きながら、あるいは乗り物上での動画撮影では上記f=10〜20[Hz]、ω=63〜126[rad./s]程度のブレが多いので、系の固有角振動数ωもしくは共振角振動数ωが約15[rad./s]より低いか、あるいは約130[rad./s]より高くなるように共振周波数を調整すればよい。
次に図30により振動の伝達率を積極的に下げる設定について説明する。
同図(A)は、振動系のモデルを示すものである。一部を図示する如く、
制振対象の質量:m、
バネ定数:k、
減衰係数:c、
絶対変位応答:x、
地動変位外乱:x0
相対変位応答:y=x−x0
目標位置:r、
直動外乱力:f、
固有振動比:λ=ω/ω
減衰比:ζ=c/c
とするときの、図30(B)に振動伝達関数を、図30(C)にコンプライアンス(周波数応答特性)関数を、そして図30(D)に位置決めゲイン関数をそれぞれ示す。
振動伝達関数x/tは次式
x/t={jxω+k}/{−mω+jcω+k}
={1+j2ζλ}/{1−λ+j2ζλ} …(53)
となり、図30(B)中に破線で示すように減衰cの値を増加することでピーク値を抑えると共により高い周波数側での特性を改善することができる。
コンプライアンス関数x/fは次式
x/f=1/{−mω+jcω+k}
=1/{1−λ+j2ζλ} …(54)
となり、図30(C)中に破線で示すように減衰cの値を増加することでピーク値を抑えることができる。
位置決めケイン関数y/rは次式
y/r={jcω+k}/{−mω+jcω+k}
={1+j2ζλ}/{1−λ+j2ζλ} …(55)
となり、図30(D)中に破線で示すように位置決めゲインを増加することで特性値をより高い周波数側にシフトすることができる。
一般に振動の伝達経路の構成を変更することで、振動伝達率を下げ、あるいは振動エネルギーの流入を遮断/絶縁すると、振動を低減することができる。
装置に調和的な外力「f(t)=Fsinωt」が加わる場合の1自由度系の指示部である基礎への振動の伝達を考えると、運動方程式は、
Figure 2007183356
となる。このとき、基礎の振幅Uに対する定常応答x(t)の振幅Xの比である変位の伝達率「Td(=X/U)」は、
|T|=
√{1+(2ζλ)}/√{(1−λ)+(2ζλ)}
…(64)
となり、上述した装置から基礎への力の力の伝達率Tは、基礎から装置への変位の伝達率Tに等しく、振動伝達率TはT=|T|=|T|となるので、上記式(64)で表される。
図31に、減衰比ζをパラメータにして横軸を振動数比λ、縦軸を振動伝達率Tにとった特性を示す。同図より、
振動数比λの値が√2以上の値では、振動伝達率は1以下となり、振動が絶縁される。この絶縁効果は、振動数比λが大きいほど顕著になる。外力による加振振動数よりも振動系の振動数をできるだけ下げるのが望ましい。すなわち、外力による手ブレの振動数が3〜10[Hz]、ω=2πf=18〜63[rad./s]のとき、第1の支持台201とデジタルカメラ本体1との固有振動数ω
「ω≦ω/√2=13〜44[rad./s]」
となるように調整すればよい。
振動数比λの値が√2以上の範囲では、上述した共振点付近とは異なり、減衰比ζの値が小さいほど、絶縁効果が大きくなる。
特に、防振ゴムなどのように減衰が小さく、ζ=0(不減衰)と見なせる場合には、
|T|=|1/(1−λ)| …(65)
と見なせるので、式中の振動数比「1−λ」を極力大きく、すなわち振動系の固有振動数ωを外力のωからできる限り離す(低くする)ことで振動を絶縁できる。
また、上述の減衰作用のない振動系では、振幅の最大変位xと静的たわみxst(=F/k)との比で表されるので、振動伝達率x/xst
x/xst=x/(F/k)=kx/F …(66)
となり「バネの力/外部加振力」となる。
この振動伝達率を0、もしくは小さくできれば、振動が伝わらないものとすることができる。また、外力の振動数ωが√2ωより小さい領域では振動伝達率は1より大きくなり、バネは振動を下げる効果を奏さないので、振動系の振動数ωを、外部加振力の振動数ωに比較して非常に低く設定する必要がある。 つまり、
ω=√(k/m)<<ω/√2 …(67)
となるのが望ましく、そのためにはバネ定数kと減衰係数cを共に小さくすればよい。
しかし、減衰係数cをあまり小さくしすぎると、過渡振動時の安定性が悪化するので、絶縁性と過渡特性のバランスを考慮する必要がある。例えば、共振点での減衰も考慮し、減衰係数ζ=c/2√(mk)=0.5としたとき、振動伝達率を1/2以下にするためには、
=√(1+λ)/√{(1−λ)+λ}≦1/2
より、「λ−5λ−3≧0」となって、これを満足するλは
λ≧√{(5+√37)/2}=2.35
となり、
λ=ω/ω=ω/√(k/m)≧2.35
k≦m(ω/2.35)
を満足する用にバネ定数kを小さく設定すれば良い。
また、このときζ=c/2√(mk)=0.5としたので、減衰係数c=√(mk)に設定すればよい。
例えば、小型カメラの本体質量150[g]、第1の支持台201の質量が50[g]として、m=200[g]、外力による手ブレの振動周波数f=3〜10[Hz]とした場合に、減衰係数ζ=0.5、且つ振動伝達率Tを1/2以下とするためには、
ω=2πf=18.8〜62.8[rad./s]
k≦m(ω/2.35)=0.2×(18.8/23.5)
=12.8[kN/m]
c=√(mk)=√(0.2×12.8)=1.6[kg/s]
となるように設計すればよい。
このように上記実施の形態では、第1の支持台201の質量もしくは弾性部材であるバネ、減衰部材であるダンパー等を調整して、手ブレによる第2の支持台207の振動が、デジタルカメラ本体1及び第1の支持台201の共振点を避けて振動するようにするか、もしくは第2の支持台207と第1の支持台201との間に防振部材を設けて、過渡振動や定常振動の振幅が小さくなるようにし、第2の支持台207から第1の支持台201への振動伝達率を下げるか、振動を遮断するような構造としたので、比較的に簡易な構成で、既存のカメラ等を着脱可能に装着できる携帯型の防振装置を実現できる。
また、従来の手ブレ等による像ブレを補正する構造に比して、カメラ本体の揺れ自体を軽減し、あるいは手ブレがカメラ本体に伝達するのを抑制するので、色収差等の不具合が発生することもない。
さらに、弾性部材のバネ定数や減衰部材の減数係数を上記図26、図27等のように調整可能な機構を設けることで、装着するカメラの質量や、例えば静止画像を撮影するのか動画を撮影するのか、等といった撮影環境にも対応し、ユーザが任意に最適な防振状態に調整することができる。
(第4の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラ用の防振装置に適用した場合を第4の実施の形態として図面を参照して説明する。
図32は、本実施の形態に係る防振装置270の構成を一部透視化して示すもので、ここで防振対象となる既存のデジタルカメラ本体については特にその図示を行なわない。
すなわち、本図は装着するデジタルカメラ本体の背面側から見た防振装置270の構成を示すもので、デジタルカメラ本体は、外部からのコントロールにより撮影等の指示を行なうことができる点を除き、きわめて一般的な構成を有するものとして、その図示と構成及び動作についての説明を省略するものである。
しかるにも図示しないデジタルカメラ本体に対し、その底面側にある三脚孔により、底辺とその右端に一体接続したアームよりなるL字状フレームの第1の支持台271に取付け固定される。
具体的には、この第1の支持台271の底辺271Cと(デジタルカメラ本体背面側から見て)右側アーム271Rが一体に構成されており、該底辺271C下面のカメラ固定ビス272を回動操作することで、この底辺271Cを貫通してデジタルカメラ本体の底面に設けられている三脚孔に螺合締結してデジタルカメラ本体を第1の支持台271に取付けることができる。
加えて、底辺271Cの上面にはコネクタ273が上方に向けて突出形成されるもので、デジタルカメラ本体の底面に形成された図示しないメス型のコネクタとこのオス型のコネクタ273とを接続し、且つ同デジタルカメラ本体の底面に形成された三脚孔にカメラ固定ビス272を螺合するようデジタルカメラ本体を底辺271C上に設置した状態で、カメラ固定ビス272をユーザが締め付けることでデジタルカメラ本体が第1の支持台271に対して取付け固定される。
この第1の支持台271の底辺271C下側が、コイルスプリング274,275及びダンパー276により第1の支持台271と同様にL字状フレームの第2の支持台277の底辺277C上面に接続される。
加えて底辺271C下面には、ダイナミックダンパー278が懸装される。このダイナミックダンパー278は、一対のコイルスプリング278a,278b及びダッシュポット(粘性減衰器)278cによりウェイト278dをつり下げた形で装備する。
また、第1の支持台271の右側アーム271Rの右側面も、コイルスプリング279,280及びダンパー281により第2の支持台277の右側アーム277Rの左側面に接続される。
すなわち、デジタルカメラ本体を装着するための第1の支持台271を第2の支持台277に対してフローティング状態で支持するものとなる。
第2の支持台277の右側アーム277Rは、図示する如く第1の支持台271のそれに比べて横方向及び奥行き(図の紙面に垂直な)方向の各寸法が大きく設定されてユーザの右手による把持を前提としたグリップ部を形成する。
右側アーム277Rの上端面には装着するデジタルカメラ本体の電源をオン/オフするための電源スイッチ282、デジタルカメラ本体での撮影を指示するレリーズ釦283が設けられる。
また、右側アーム277Rの背面側には、ズームキー284その他デジタルカメラ本体での撮影に最低限必要な各種スイッチ、釦、インジケータランプ等が適宜配設されるが、ここではそれらの記載を省略するものとする。
さらに、右側アーム277Rの下端面からこの防振装置270の動作電源となる電池285が着脱可能となるもので、この電池285の供給する電力は右側アーム277R内に設けられる支持台制御部286に送られて、この支持台制御部286から他の各回路へ適宜必要な電力が分配される。
また、第2の支持台207と第1の支持台201とが充分にコード長をとったカールコード287により電気的に接続され、上記支持台制御部286からの制御信号がこのカールコード287、上記コネクタ273を介して、第1の支持台271に装着されるデジタルカメラ本体まで伝送される。
なお、上記第1の支持台271を支持する第2の支持台277との接続構成は、上記図中に破線で示すカバーCVにより第2の支持台277側からその大部分が被覆され、外観上は隠されるものとなる。
図33は、上記防振装置270のデジタルカメラ本体1を装着した第1の支持台271とこれを支持する第2の支持台277との構成を簡略化して示すものである。
同図(A)では、第1の支持台271の底辺271Cと第2の支持台277の底辺277Cとを接続するコイルスプリング274,275を弾性体K1、ダンパー276を減衰器C1として表している。
加えて、ダイナミックダンパー278を構成するコイルスプリング278a,278bを弾性体k、ダッシュポット278cを減衰器C1、ウェイト278dを重りmとして表す。
同様に、第1の支持台271の右側アーム271Rと第2の支持台277の右側アーム277Rとを接続するコイルスプリング279,280を弾性体K2、ダンパー281を減衰器C2として表している。
図33(B)は、同図(A)の支持構造をより簡略化したモデルを示すものであり、第2の支持台277でなる基台B上に、デジタルカメラ本体1及び第1の支持台271でなる質量Mの支持物Sが弾性体Kと減衰器Cにより支持された状態を示す。
ここで弾性体Kは、上記コイルスプリング274,275とコイルスプリング279,280をそれぞれの支持方向等を勘案して合成した総合体としての値である。同じく減衰器Cも、ダンパー276とダンパー281をそれぞれの支持方向等を勘案して合成した総合体としての値である。
加えて該支持物Sは、上記ダイナミックダンパー278に該当するものとして、弾性体kと減衰器cにより質量mを懸吊している。
なお、上記図32では弾性体としてコイルスプリングを用いる場合を例示したが、本発明ではこれに限ることなく、他に積層ゴム、空気バネ、防振ゴム等を用いるものとしてもよい。
さらに減衰器としても、オイル(油圧式)ダンパーなど油や液体の粘弾性やスクイズ効果、剪断ロス等を利用したものに限らず、エアダンパー等の空気や気体のスクイズ効果や圧縮・膨張効果を利用したもの、さらにはゴムや「αGEL(アルファゲル)(登録商標)(シリコンを主原料とする柔らかいゲル状素材)」等の緩衝材、内部摩擦を利用した防振ゴムや制振ゴム等、もしくは固体の摩擦抵抗や材料のヒステリシスを利用したもの、磁気による渦電流損失を利用した非接触式のものなど、各種の減衰機構を考えることができる。
上記のような構成にあって、質量M、バネ定数Kの1自由度系の装置に調和外力が作用する場合、外力の確信同数ωこの振動系の固有振動数Ω=√(K/M)に近づくと共振状態となり、振動振幅が増大する。
この振動を緩和するために、本防振装置270では小質量mとバネ定数k、減衰係数cからなるダイナミックダンパー(動吸振器)278を副振動系として第1の支持台201に懸吊し、2自由度の振動系を構成するようにしたものである。
すなわち、この2自由度の振動系において、加振振動数と副振動系の固有振動数を一致させたとき、元の主振動系の振動を副振動系が動的に吸収して、主振動系はほとんど揺れないようにすることができるので、振動を効果的に軽減できる。
手ブレなど、外部からの加振振動数の範囲が予めわかっている場合には、これに応じた固有振動数の副振動系を取付ければよい。ダイナミックダンパー278のような動吸振器は振動の振幅や揺れの大きい位置に取付けるのが望ましい。
動吸振器では、主振動系と副振動系の固有値が連成して、同相モードの固有振動数は低下し、逆相モードは高くなり、共振領域から固有振動数を外す働きをする。動吸振器を設けると、主振動系の質点と副振動系のダンパーの質点との相対変位モード値が大きくとれ、その間に減衰部材を設けることで減衰が有効に働く。主振動系の質量とダンパーの質量との比μ=m/Mが決まれば、与えることのできる減衰比の最大値が決まる。
主振動系の質量Mと副振動系の質量mの変位をそれぞれx,xとすると、この運動系は、
Figure 2007183356
(但し、
主系の固有角振動数Ω=√(K/M)、
副系の固有角振動数ω=√(k/m)、
主系の静的変位Xst=F/K、
主系と副系の質量比μ=m/M、
主系と副系の固有角振動数の比ν=ω
振動数比λ=ω/Ω。)
上記式(70)のX/Xstを振動数比λに対して描くと図34(A)、図34(B)に示す如く、減衰比ζの値によらず、質量比μ、固有振動数比νで決まる2点P,Qを通ることが知られており、2つの定点P,Qは、減衰比ζ=0の応答曲線とζ=∞の応答曲線の交点から容易に求まる。
外力の振動数が一定または狭い範囲の場合には、上記副振動系である動吸振器(ダイナミックダンパー278)の固有角振動数ω=√(k/m)=ωとなるように、動吸振器の質量m、及びバネ定数kを調整すれば、主振動系の振動応答を抑えることができる。
外力の振動数がある帝都の範囲内で変動する場合には、主系の振幅が極力小さくなるように、振幅X/xstの最大値が最小となる最適条件を見つければよい。最適条件となる振動比νと減衰比ζの最適値は、近似的には次式で求められることが知られている。すなわち、
νopt=1/(1+μ) …(72)
ζopt≒√{3μ/8(1+μ)} …(73)
また、このときの最適調整時の最大振幅の倍率は次式で表される。すなわち
(X/xst)opt=√{1+(2/μ)} …(74)
上記の動吸振器(ダイナミックダンパー278)を構成する重りの質量mやダンパーの減衰係数c、バネのバネ定数kは、装着するデジタルカメラ本体1の重さ、あるいは外部加振力の振動数帯域、所望の吸振特性等に応じて、予め設定しておくか、可変調整できるように構成するのが望ましい。
ケース1)
例えば、小型カメラの質量150[g]、第1の支持台271の質量50[g]として、主振動系の質量M=200[g]、副振動系(動吸振器)の質量m=10[g]とした場合、質量比μ=m/M=0.05となるので、このとき、最適条件となる振動数比νopt、最適条件となる減衰比ζopt、及び最適調整時の最大振幅の倍率(X/xst)optは次式で表される。すなわち、
νopt=1/(1+0.05)=0.925、
ζopt≒√{3×0.05/8(1+0.05)}
≒0.127、
(X/xst)opt=√{1+(2/0.05)}=6.4
となる。
ケース2)
同様に、主振動系の質量M=200[g]、副振動系(動吸振器)の質量m=80[g]とした場合には、質量比μ=m/M=0.4となり、
νopt=1/(1+0.4)=0.714、
ζopt≒√{3×0.4/8(1+0.4)}
≒0.055、
(X/xst)opt=√{1+(2/0.4)}=2.45
となる。
図35は、最適振幅倍率曲線と振動波形の例を示すものであり、図35(A)では質量比μ=0〜0.4に変化させた場合の同曲線を示す。
これに対応して図35(B)〜図35(E)に上記質量比μ=0(動吸振器なし)の場合、0.05の場合、0.2の場合、及び0.4の場合においての、振動の減衰過程を示す。図35(E)に示すμ=0.4の場合が上記ケース2でも詳述した如く最も制振効果が高いことがわかる。
また、上記で求めた振動数比νoptと主振動系の固有角振動数Ω=√(K/M)とに応じて、副振動系の固有角振動数ω=νopt×Ωを決め、副振動系の固有角振動数ω=√(k/m)に基づいて、副振動系のバネ定数k=mω などを設計すれば良い。
このように上記実施の形態によれば、摩擦抵抗や粘性液体などによるダンパーやオリフィスなどの、振動系を揺れにくい構造とした上で、さらに制振対象に動吸振器としてのダイナミックダンパー278などの付加的質量減衰要素を設け、第1の支持台271及びデジタルカメラ本体1がより揺れにくい構造にしたので、比較的簡易な構成ながら、より広い範囲の既存のデジタルカメラ等に対応して手ブレ等の影響を効率的に排除し、きわめて安定した状態で使用することができる。
加えて、従来の光学式の手ブレ補正装置とは異なり、カメラ本体の揺れ自体を軽減し、あるいは手ブレがカメラ本体に伝達するのを抑制するので、色収差等の不具合が発生することもない。
特に、振動数が予めわかっているか、狭い範囲で変動する、手ブレなどの外部的加振力によるカメラ本体の揺れを効果的に軽減し、減衰させることができる。
なお、上記第4の実施の形態では、第1の支持台271に動吸振器であるダイナミックダンパー278を副振動系として取付ける場合について例示したが、本発明はこれに限るものではなく、二重振り子などその他の構成の動吸振器、マスダンパー、あるいは副振動系と称されるものを取付けることとしても良い。
また、動吸振器や副振動系は、カメラ本体を装着する第1の支持台271に取付けるように構成したが、ユーザが把持する第2の支持台277側に取り付けて、第2の支持台277での振動を抑えるものとして構成しても良い。
(第5の実施の形態)
以下本発明をアクティブ方式のデジタルカメラ用の防振装置に適用した場合を第5の実施の形態として図面を参照して説明する。
図36は、本実施の形態の第1の構成例に係る防振装置300の構成を一部透視化して示すもので、ここで防振対象となる既存のデジタルカメラ本体については特にその図示を行なわない。
すなわち、本図は装着するデジタルカメラ本体の背面側から見た防振装置300の構成を示すもので、デジタルカメラ本体は、外部からのコントロールにより撮影等の指示を行なうことができる点を除き、きわめて一般的な構成を有するものとして、その図示と構成及び動作についての説明を省略するものである。
しかるにも図示しないデジタルカメラ本体に対し、その底面側にある三脚孔により、底辺とその右端に一体接続したアームよりなるL字状フレームの第1の支持台301に取付け固定される。
具体的には、この第1の支持台301の底辺301Cと(デジタルカメラ本体背面側から見て)右側アーム301Rが一体に構成されており、該底辺301C下面のカメラ固定ビス302を回動操作することで、この底辺301Cを貫通してデジタルカメラ本体の底面に設けられている三脚孔に螺合締結してデジタルカメラ本体を第1の支持台301に取付けることができる。
加えて、底辺301Cの上面にはコネクタ303が上方に向けて突出形成されるもので、デジタルカメラ本体の底面に形成された図示しないメス型のコネクタとこのオス型のコネクタ303とを接続し、且つ同デジタルカメラ本体の底面に形成された三脚孔にカメラ固定ビス302を螺合するようデジタルカメラ本体を底辺301C上に設置した状態で、カメラ固定ビス302をユーザが締め付けることでデジタルカメラ本体が第1の支持台301に対して取付け固定される。
この第1の支持台301の底辺301C下側が、コイルスプリング304,305及びダンパー306により第1の支持台301と同様にL字状フレームの第2の支持台307の底辺307C上面に接続される。
加えて底辺301C下面には、ダイナミックダンパー308が懸装される。このダイナミックダンパー308は、一対のコイルスプリング308a,308b及びダッシュポット(粘性減衰器)308cによりウェイト308dをつり下げた形で装備する。
さらにこのウェイト308dの下部にボイスコイルモータ(VCM)309の一部を構成する円筒状の可動子309aが一体に連結され、且つこの可動子309aの周壁面内にボイスコイル309bを埋設形成するもので、同ボイスコイルモータ309の一方の固定子309cが上記第2の支持台307の底辺307Cの上面側に埋設固定される。
また、第1の支持台301の右側アーム301Rの右側面も、コイルスプリング310,311及びダンパー312により第2の支持台307の右側アーム307Rの左側面に接続される。
すなわち、デジタルカメラ本体を装着するための第1の支持台301を第2の支持台307に対してフローティング状態で支持するものとなる。
第2の支持台307の右側アーム307Rは、図示する如く第1の支持台301のそれに比べて横方向及び奥行き(図の紙面に垂直な)方向の各寸法が大きく設定されてユーザの右手による把持を前提としたグリップ部を形成する。
右側アーム307Rの上端面には装着するデジタルカメラ本体の電源をオン/オフするための電源スイッチ313、デジタルカメラ本体での撮影を指示するレリーズ釦314が設けられる。
また、右側アーム307Rの背面側には、ズームキー315その他デジタルカメラ本体での撮影に最低限必要な各種スイッチ、釦、インジケータランプ等が適宜配設されるが、ここではそれらの記載を省略するものとする。
さらに、右側アーム277Rの下端面からこの防振装置300の動作電源となる電池316が着脱可能となるもので、この電池316の供給する電力は右側アーム307R内に設けられる支持台制御部317に送られて、この支持台制御部317からダイナミックダンパー308内の上記ボイスコイル309bを駆動するVCドライバ321を含む他の各回路へ適宜必要な電力が分配される。
また、第2の支持台307と第1の支持台301とが充分にコード長をとったカールコード318により電気的に接続され、上記支持台制御部317からの制御信号がこのカールコード318、上記コネクタ303を介して、第1の支持台301に装着されるデジタルカメラ本体まで伝送される。
さらに、第1の支持台301には、互いに直交する2軸方向の変位の加速度を検知する加速度センサ319,320が内蔵されるもので、この加速度センサ319,320での検知信号は上記カールコード318を介して第2の支持台307側の支持台制御部317へ送られる。
なお、上記第1の支持台301を支持する第2の支持台307との接続構成は、上記図中に破線で示すカバーCVにより第2の支持台307側からその大部分が被覆され、外観上は隠されるものとなる。
図37は、上記防振装置300のデジタルカメラ本体を装着した第1の支持台301とこれを支持する第2の支持台307との構成をモデル化して示すものである。
同図では、第1の支持台301とこれに装着されるデジタルカメラを合わせて質量Mで表し、第1の支持台301と第2の支持台307を接続するコイルスプリング304,305,310,311を1つの弾性体K、ダンパー306,312を減衰器Cとして表している。
加えて、ダイナミックダンパー308を構成するコイルスプリング308a,308bを弾性体k、ダッシュポット308cを減衰器c、ウェイト308dを質量mとして表す。
該質量mの下部には、上記ボイスコイルモータ309で構成されるアクチュエータAが配され、このアクチュエータAが第2の支持台307でなるベース部Bとも接続されており、上記加速度センサ319,320でなるセンサの出力から信号Faが作成され、この信号によりアクチュエータAが駆動されることで、フィードバック制御により質量Mの振動をよりアクティブに減衰させるものとなる。
次いで図38により本実施の形態の第2の構成例に係る防振装置330の構成を一部透視化して示すもので、1は防振対象となるデジタルカメラ本体であり、ここではその背面側から見た状態を示す。このデジタルカメラ本体1自体は、後述する底面に設けられたコネクタを介して外部からのコントロールにより撮影等の指示を行なうことができる点を除き、きわめて一般的な構成を有するものとして、その構成及び動作については説明を省略する。
本図では、このデジタルカメラ本体1で女性を被写体として撮影を待機している状態を例示するものであり、背面側のバックライト付きカラー液晶パネルで構成される表示部2にはその時点で撮影素子に継続されている画像がそのままモニタ表示され、上部右端側に設けられるレリーズ釦3を操作することでデジタルカメラ本体1単体でも撮影を実行できることは勿論である。
このデジタルカメラ本体1はその底面側にある三脚孔(図示せず)により、底辺331Cとその両端から下側に一体接続した半円弧状のヨーク(継鉄)331Yを主構成要素とする第1の第1の支持台331に取付け固定される。
より詳細には、この第1の支持台331の半円弧状のヨーク331Yの中央下端部にデジタルカメラ本体1の質量に釣り合うように調整されたカウンタウェイト331Wを取付ける一方で、該ヨーク331Yに沿ってその内側には永久磁石で形成された同じく半円弧状のガイドレール331Gが配され、このガイドレール331Gに第1の支持台331の曲率に沿った円柱状の重錘331Pが遊貫されている。
この重錘331Pは、上記底辺331Cの中央部に回動自在に取付けられたアーム331Aの先端に取付けられ、このアーム331A内部の配線を介してボイスコイルが埋設されるもので、このアーム331Aと重錘331Pにより振り子型のボイスコイルモータによるアクチュエータを形成する。
上記底辺331C下面のカメラ固定ビス332を回動操作することで、この底辺331Cを貫通してデジタルカメラ本体1の底面に設けられている三脚孔に螺合締結してデジタルカメラ本体1を底辺331Cに取付けることができる。
加えて、底辺331Cの上面にはここでは図示しないコネクタが上方に向けて突出形成されるもので、デジタルカメラ本体1の底面に形成された図示しないメス型のコネクタとこのオス型のコネクタとを接続し、且つ同デジタルカメラ本体1の底面に形成された三脚孔にカメラ固定ビス332を螺合するようデジタルカメラ本体1を底辺331C上に設置した状態で、カメラ固定ビス332をユーザが締め付けることでデジタルカメラ本体1が第1の支持台331に対して取付け固定される。
また、上記第1の支持台331の底辺331Cには傾斜角センサ331Sが設けられ、この第1の支持台331のその時点での水平方向に対する傾斜角を検知する。
このような第1の支持台331に対し、半円盤状の中央部333Cとその左右両端に一体に形成された左右各グリップ部333L,333Rとからなる第2の支持台333が取付けられる。
具体的には、第2の支持台333の中央部333Cの中心点位置が上記第1の支持台331のアーム331Aの回動中心位置と同じく回動自在にして取付けられることで、結果的に第2の支持台333に対して第1の支持台331が上記カウンタウェイト331Wによりデジタルカメラ本体1を上にして揺動自在な状態に取付けられるものである。
第2の支持台333の右グリップ部333Rには、第1の支持台331に装着されたデジタルカメラ本体1の電源をオン/オフするための電源スイッチ334、デジタルカメラ本体1での撮影を指示するレリーズ釦335が設けられる。
また、同右グリップ部333Rの背面側には、ズームキー336、カーソルキー337、及びエンターキー338等が適宜配設されるが、ここではそれらの記載を省略するものとする。
図39(A)及び図39(B)はこのデジタルカメラ本体1を装着した防振装置300での制振状態を例示するものである。
図39(A)では、ユーザが略水平に把持している第2の支持台333に対して、第1の支持台331に装着したデジタルカメラ本体1が図中に矢印A1で示すように左側に大きく揺れ傾いた状態を示す。
このとき、この第1の支持台331の傾斜角を傾斜角センサ331Sで検知することにより、その検出信号に応じて上記ボイスコイルモータでなるアクチュエータを動作させ、重錘331P及びアーム331Aを図中に矢印B1で示すように適宜角度分だけ上記デジタルカメラ本体1と反対の回転方向、すなわち左側に揺動駆動させることにより、その運動モーメントによって速やかにデジタルカメラ本体1及び第1の支持台331に生じた傾きを抑えることができる。
同様に、図39(B)では、第1の支持台331に装着したデジタルカメラ本体1が図中に矢印A2で示すように右側に大きく揺れ傾いた状態を示す。
このとき、この第1の支持台331の傾斜角を傾斜角センサ331Sで検知することにより、その検出信号に応じて上記ボイスコイルモータでなるアクチュエータを動作させ、重錘331P及びアーム331Aを図中に矢印B2で示すように適宜角度分だけ上記デジタルカメラ本体1と反対の回転方向、すなわち右側に揺動駆動させることにより、その運動モーメントによって速やかにデジタルカメラ本体1及び第1の支持台331に生じた傾きを抑えることができる。
なお、上記図36の第1の構成例では、第1の支持台301に生じる振動等を加速度センサ319,320により、図38の第2の構成例では、第1の支持台331に生じる傾きを傾斜角センサ331Sにより、それぞれ検知するものとして説明したが、本発明はこれらに限らず、振動ジャイロ型振動センサや速度センサなど、振動の変位や速度、加速度等を検知することができるものであればよい。
同様に、第1の支持台301(331)の振動を抑制するためのアクティブ制振技術として用いるアクチュエータも、ボイスコイルモータに限らず、モータや圧電型アクチュエータなど、他のアクチュエータを用いるものとしてもよい。
次いで上記アクティブ方式の制振技術について説明する。
図40は、アクティブ方式の制振技術をアクチュエータ等を用いないパッシブ方式の同技術と比較して示す。
図40(A)−1がパッシブ方式の基本的な制御モデルを示す図、図40(A)−2は同モデルでの振動伝達関数を例示する図である。
質量Mの第1の支持台をバネK及び減衰部材Cによって第2の支持台でなる基台B上に支持する構成をとっており、構成が簡易で、予め予想した外力や外部振動数の特性には有効であるが、予測した特性範囲外の外力が加わった場合には対応できないという不具合があった。
図40(B)−1は、上記図36でも具体的な構成を例示した直動形のアクティブ制御系のモデルを示すもので、図40(B)−2は同モデルでの振動伝達関数を例示する図である。
上記パッシブ方式の制御モデルに加えて、制振対象の第1の支持台にセンサを設けてその振動状態を検知し、第1の支持台と第2の支持台間に上記バネK及び減衰部材Cと並列的に設けたアクチュエータAにフィードバック制御(Fa)をかけることで、発生している振動とは逆相に駆動するように積極的に制振を行なうもので、センサの検知範囲とアクチュエータの駆動範囲を超えない範囲内であれば、予め想定した振動より大きな振動を生じたとしてもこれを速やかに抑制することができる。
図40(C)−1は、上記図38でも具体的な構成を例示した付加質量形のアクティブ制御系のモデルを示すもので、図40(C)−2は同モデルでの振動伝達関数を例示する図である。
制振対象となる質量Mの第1の支持台に対し、付加質量mをアクチュエータAを介して設け、質量Mの振動状態をセンサで検知して、その検出結果からアクチュエータAにフィードバック制御(Fa)をかけることで、アクチュエータAの負担を軽減しながら発生している振動とは逆相に駆動するように積極的に制振を行なうもので、アクチュエータAの負担を軽減することができ、したがってより大きな変動にも対処できるものとなる。
ここでアクティブ制振の原理について説明する。
n次元の質量マトリックスをm、減衰マトリックスをc、弾性マトリックスをkとして、外力をP(t)と置いた場合の運動方程式は、
Figure 2007183356
ここで、上記式(82)の右辺の第2項、第3項に係る行列をB,Dとおくと、
dZ/dt=AZ+BU+DP …(83)
また、制御力ベクトルUが、変位xと速度xの関係で、状態変数ベクトルZと次式の関係であるとすると
Figure 2007183356
運動方程式は、
dZ/dt=AZ+B(−G)Z+DP
=(A−BG)Z+DP …(85)
となり、上記式(85)は、制御力f(x,x)=[F]Uによって、元の推移行列Aが、(A−BG)に代わったことを表している。
ちなみにA−BGを計算すると、
Figure 2007183356
となり、
=F11+F21
=F12+F22
と置くと、上記式(76)の運動方程式は、結局
mx+(c+H)x+(k+H)x=P(t) …(87)
という形で表すことができ、制御力f(x,x)により、制御力が働く前の振動系の上記式(75)におけるバネ定数kが(k+H)に、減衰係数cが(c+H)にそれぞれ変化したことと等価となる。
このように、検出された変位xや速度xに応じて、制御力f(x,x)を動的に制御して、振動系を直接駆動、あるいは付加質量や振り子などを駆動させることにより、振動系を任意の振動特性に変換することができ、これによって振動の軽減、抑制ができることになる。
例えば、上記式(87)で
=F11+F21>0
とすると固有振動数は高くなり、逆にH<0とすると低くなる。
次に図41によりアクティブ方式の制振を行なう場合のフィードバック制御について説明する。
なお、アクティブ方式の制振を行なう場合、一般には上記には上記第2の実施の形態で示した防振装置70と同様にフィードバック制御を行なう。しかしながら、該防振装置70のように、手ブレによる角度変位を補正するように第1の支持台71を逆方向に動かして補正を行なうのではなく、振動エネルギーや逆位相の振動波形を加え、あるいは質点や振り子、吸振器などを動的に制御して、振動や揺れ自体の軽減を行なう点が異なる。
マイクロコンピュータ等の制御回路などによりソフトウェア処理で制御する場合の制御内容は概略上記第2の実施の形態の図15、図16に示した内容と、パン及びチルトの操作に対する処理部分を除いて同様であるので、その説明については省略するものとする。
本実施の形態における第1の支持台331を1自由度の振動系と考え、ラプラス変換子sを用いてラプラス変換上で考えると、
MsX+CsX+KX=p …(88)
(但し、X:変位、
s:ラプラス変換子、
M:質量、
C:減衰係数、
K:弾性定数、
p:外力。)
となる。
フィードバック帰還系を持つ装置に作用する力pは、入力U、出力Zと以下の関係を持つ。すなわち、
p=B(s)U−B(s)・G(s)・Z …(89)
(但し、U:入力、
Z:出力、
B(s):制御部の伝達関数、
G(s):帰還部の伝達関数。)
フィードバック制御では、上記の振動の変位位置Xや速度X、加速度Xのいずれかをセンサで計測し、その計測値Zを状態変数として、入力Uに帰還回路G(s)でフィードバックして、振動出力が0もしくは微小になるように制御部B(s)で算出された駆動信号に応じてアクチュエータを駆動する。
図41(A)は基本的なフィードバック制御回路のブロック線図であり、フィードバックする計測値Zとして、変位Xを用いる位置帰還型、速度Xを用いる速度帰還型、加速度Xを用いる加速度帰還型などを考えることができる。
しかし、現実のセンサやアクチュエータはいずれも応答性が有限であり、一次遅れや二次遅れを生じる。
例えば位置帰還系フィードバックの場合に一次遅れや二次遅れを生じると、減衰作用がなく自励作用のみとなるので、減衰作用を設けるには位相進み要素や微分要素が必要になる。微分要素を設けても、不完全な場合に自励作用をもつ周波数領域ができて、ハンチングなど固有振動数が不安定になる。このため、速度帰還系や加速度帰還系で構成するのが望ましい。
図41(B)は状態フィードバック制御回路のブロック線図である。
上記式(82)または式(83)は、以下のように一般の制御系モデルと同様に扱うことができる。すなわち、
=AZ+BU+DP=(A−BG)Z+DP …(90)
これに対して状態フィードバックでは、次式に示すように、状態変数ベクトルZ=[x,x]から入力にフィードバックする。すなわち、
U=GZ …(91)
この式(91)中で状態変数Zは、各質点における変位及び速度を意味するが、すべての状態変数を観測することができない場合には、次式で表されるような観測可能な出力Yを変わりに使ってフィードバックする方法をとればよい。すなわち、
Y=EZ …(92)
あるいは、図41(C)に示すようにオブザーバ(予測シミュレータ)等を用いるフィードバック制御の方法も考えられる。同図(C)中のオブザーバOBは、入力Uと出力Yとから系の状態量を予測する予測器もしくはシミュレータのことで、観測できない状態変数Zの代わりに、予測されたオブザーバOBの状態変数Zを入力にフィードバックするものとなる。
次いで、第2の支持台307(333)を把持する撮影者の身体もまた、質点とバネ、減衰器などで構成された一種の振動系と考えられるので、その点について述べる。
従前、振動の人体への影響を調べるために、人体を質点とバネと減衰器で組み立てた「人体の振動モデル」が各種提案されている。図42(A)は、これをカメラを支持する姿勢の人体に置き換えた場合を示す。
このように、撮影者の身体や腕なども含めたカメラの支持台の振動系モデル、もしくは多軸で多関節のマルチリンク機構の力学モデルなどを作成して、その振動特性を考慮したアクティブ方式の制振制御を行なうものとしてもよく、さらには撮影者の身体の振動量もセンサ等で検出してフィードバック制御に利用するものとしてもよい。
図42(B)は、人体を加振試験台の上に載せて振動を加えた場合の人体各部の振動特性を示すもので、横軸が振動周波数、縦軸が加速度の振幅比である。
同図に示す如く、立った姿勢では3〜7Hzのときに最も振動が増幅されて知覚間隔が高くなる一方で、膝を曲げた姿勢では膝で振動を吸収してしまうためにほとんど振動が伝わらない、というように撮影者の姿勢によっても振動の伝わり方が大きく異なることがわかる。
また、撮影時にリアルタイムで撮影者の身体に発生している振動を検知するのではなく、撮影者の身体の加振力に対する応答などを上記のようにオフラインで予め計測しておき、その応答特性から、撮影者の振動特性を例えばパーソナルコンピュータにインストールしたソフトウェアなどでモデル化、あるいは解析して、撮影者の身体の振動特性や各種定数を求めておき、その振動特性や定数等のデータを上述した防振装置300(または330)内に入力しておくことにより、撮影者の振動特性別に制振制御へのフィードバック特性を自動設定できる用に構成しても良い。
なお、上記アクティブ方式の制振制御に用いる、センサとしては、渦電流式、レーザ(光検出)式、超音波式、静電容量式などによる変位センサや、あるいは動電式、誘導電流式、レーザドップラ式などによる速度センサ、あるいはサーボ式、ピエゾ式、歪みゲージ式などの加速度センサ等を用いることができる。
また、上記第2の構成例で示した防振装置330のように、傾斜角や回転角速度を検出するに際しては、図10や図11で示したような振動ジャイロスコープや角速度センサ等を用いることができる。
これらの振動状態を検出するセンサは、振動系の特性に応じて適切な応答範囲や応答特性を有するものを選択する必要がある。また、検出された加速度や速度、あるいは角速度を積分して速度や変位、変位角度などを求めるには、ドリフトなどに留意した設計を行なう必要がある。
以下、図43乃至図45を用いて振動状態の検出に加速度センサを用いる場合について説明する。
図43は、振動型加速度センサ340の構成例を示すものである。図中、一対の水晶振動子341a,341bがそれぞれ振り子342a,342bに対して検出対象の加速度方向aに沿って結合されるものであり、この振動型加速度センサ340に加速度がかかって振り子342a,342bが振れることで、水晶振動子341aはその軸方向に沿って伸びる力が、水晶振動子には縮む力が加えられることになる。
これら水晶振動子341a,341bは発振回路344a,344bと電気的に接続され、水晶振動子341a,341bに加速度がかかると変化する振動周波数及び容量を発振回路344a,344bにより周波数出力f1,f2の変化として検出できるようにする。
図44(A)−1,2、は半導体型加速度センサ350の構成を示す図である。シリコンなどの半導体基板351上にダイアフラム状の振り子352を形成し、その下面に重錘353を取付ける。加速度が加わると振り子352が変位し、ダイヤフラムに歪みが生じるため、この歪みを歪みゲージやピエゾ抵抗素子534,354の抵抗変化として検出するものである。
図44(B)はこの半導体型加速度センサ350の検出回路を例示するもので、ピエゾ抵抗素子534,354はブリッジ回路中の可変抵抗で表されるように、その抵抗変化を容易に検出できる。
なお、ピエゾ抵抗素子に代えて、CMOSインバータ等を形成し、加速度が加わったときに生じるダイヤフラムの歪みをCMOSインバータのしきい値電圧の変化として検出するなどの方法も考えられている。
図45は、MEMS(Micro−Electro−Mechanical System)型の半導体加速度センサ360の構成例を示す図である。
図45(A)はその検出加速度の方向を示すもので、矩形薄板状のMEMS型半導体型加速度センサ350に対し、その平面に沿った2軸X,Y方向のみならず、該平面に直交するZ方向の計3次元に対応してすべての方向に対する加速度を検出することができる。
図45(B)、図45(C)は具体的な素子構成を示すものである。MEMS技術やマイクロマシニング技術により、1〜2[mm]の薄いシリコンのビーム(梁)構造361,361‥‥を形成し、これらビーム構造361,361‥‥に四方から支えられた中央板362の裏面に重錘363を貼付したもので、重錘363が加速度によって変位し、角ビーム構造361,361‥‥に歪みが生じるのを、これらビーム構造361,361‥‥上にそれぞれ形成したピエゾ抵抗素子364,364,‥‥の抵抗変化としてアルミパッドでなる端子電極365,365,‥‥で導出する。
このように半導体加速度センサ360は、互いに直交する3軸(X,Y,Z)方向の加速度を高感度で検出できるものであり、重力加速度を勘案することで加速度だけでなく、合わせて傾斜角度や振動の測定も行なうことができる。
CMOS回路で構成する場合には、MEMS型半導体加速度センサ360だけではなく、その検出信号の増幅回路やA/D変換器、温度補正回路、信号処理回路などを同じ基板上のセンサ部の周辺に共に集積化して構成するものとしてもよい。
以上に示した如く本実施の形態にあっては、アクチュエータにより動吸振器や副振動系を機械的に駆動して、過渡振動や定常振動などをより積極的に抑制するものとしたので、規模の大きな振動にも対処しながら、短時間のうちに手ブレ等による振動を収束させることができる。
なお、上記実施の形態では、第1の支持台301,331をデジタルカメラ本体1の単一の支持台であるものとして説明したが、本発明はこれに限らず、複数の異なる軸方向にそれぞれ移動変位する複数多重の支持台、あるいは第2の実施の形態の図8及び図9で示したような複数の回動軸周りに揺動する複数のジンバルや支持台として構成して、複数の角方向の振動の変位や速度、加速度、角度変位、角速度等のうちのいずれかを検出するセンサ機構と、その検出された振動量に応じて各支持台に設けたアクチュエータをそれぞれ駆動して制振制御するように構成するものとしてもよい。
また、上記実施の形態では、第1の支持台301,333に対して動吸振器や副振動系を構成する重錘331P、アーム331A、ガイドレール331G、ヨーク331Y等を構成し、この第1の支持台301,331側で生じる振動に関してこれをアクチュエータでの加振により抑制する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、第2の支持台307,333の側にも同様に動吸振器または副振動系とアクチュエータとを設けるものとしてもよく、さらには動吸振器または副振動系を設けずにアクチュエータが支持台に作用するようにして振動を抑制するものとしてもよい。
また、上記第1乃至第5の実施の形態は、すべてデジタルカメラを装着する防振装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、双眼鏡やフィールドスコープ、天体望遠鏡、光学距離計などの各種光学機器を装着する装置にも同様に適用することができる。
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラ用防振装置の外観構成を示す図。 同実施の形態に係る防振装置の内蔵機構の一部を示す図。 同実施の形態に係る図1のジャイロスコープ部の構成と動作を説明する図。 同実施の形態に係る図1のジャイロスコープ部の他の構成と動作を説明する図。 同実施の形態に係るレートジャイロスコープによる制振モデルのブロック線図。 同実施の形態に係る撮影時に制御部が実行する制御内容の一部を示すフローチャート。 同実施の形態に係る撮影時に制御部が実行する制御内容の一部を示すフローチャート。 本発明の第2の実施の形態に係るデジタルカメラ用防振装置の外観構成を示す図。 同実施の形態に係る防振装置の内蔵機構の一部を示す図。 同実施の形態に係る他のジャイロスコープの構成とその検出回路の構成とを示す図。 同実施の形態に係る他のジャイロスコープの構成とその検出回路の構成とを示す図。 同実施の形態に係る防振装置の制御回路構成を示すブロック図。 同実施の形態に係るアクチュエータの一例としてのボイスコイルモータ及びバイモルフ型ピエゾセラミックアクチュエータを説明する図。 同実施の形態に係るアクチュエータの一例としての積層型圧電アクチュエータを説明する図。 同実施の形態に係る撮影時に制御部が実行する制御内容の一部を示すフローチャート。 同実施の形態に係る撮影時に制御部が実行する制御内容の一部を示すフローチャート。 同実施の形態に係るブレ補正量の予測制御のサブルーチンの処理内容を示すフローチャート。 同実施の形態に係るブレ補正量の予測制御のサブルーチンの処理内容を示すフローチャート。 同実施の形態に係るブレ補正量の予測制御の追従特性を例示する図。 本発明の第3の実施の形態に係るデジタルカメラ用防振装置の構成を示す図。 同実施の形態に係る防振装置のデジタルカメラ本体を装着した第1及び第2の支持台の構成を簡略化して示す図。 同実施の形態に係る複素平面の特性根と波動波形とを示す図。 同実施の形態に係る防振技術と防振材料の伝達特性とを示す図。 同実施の形態に係る振動曲線と位相曲線とを示す図。 同実施の形態に係る共振特性と各周波数での振動の様子を示す図。 同実施の形態に係る弾性部材の構成例を示す図。 同実施の形態に係る減衰部材の構成例を示す図。 同実施の形態に係る弾性部材と減衰部材との組合せの構成例を示す図。 同実施の形態に係る共振点の移動及び共振振動の低減に係る特性例を示す図。 同実施の形態に係る除振技術を説明する図。 同実施の形態に係る振動の伝達率を例示する図。 本発明の第4の実施の形態に係る防振装置の構成を示す図。 同実施の形態に係る第1及び第2の支持台の構成を簡略化して示す図。 同実施の形態に係る動吸振器の振動曲線と最適比の特性を例示する図。 同実施の形態に係る最適振幅倍率曲線と振動波形を例示する図。 本発明の第5の実施の形態の第1の構成例に係る防振装置の構成を示す図。 同実施の形態に係る図36の防振装置の構成をモデル化して示す図。 同実施の形態の第2の構成例に係る防振装置の構成を示す図。 同実施の形態に係る図38の防振装置の制振状態を例示する図。 同実施の形態に係るアクティブ方式の制振技術をアクチュエータ等を用いないパッシブ方式の同技術と比較して示す図。 同実施の形態に係るフィードバック制御回路のブロック線図。 同実施の形態に係る人体の振動モデルと各部の振動特性を示す図。 同実施の形態に係る振動型佳作度センサの構成例を示す図。 同実施の形態に係る半導体型加速度センサの構成例を示す図。 同実施の形態に係るMEMS型の半導体加速度センサの構成例を示す図。
符号の説明
1…デジタルカメラ本体、2…表示部、3…レリーズ釦、10…防振装置、11…第1の支持台、11C…底辺、11G…ジャイロスコープ部、11L…左側アーム、11R…右側アーム、12…伸縮調整ビス、13…カメラ固定ビス、14…ジャイロスピン、15…回転ジンバル、16…第2の支持台、16C…底辺、16G…ジャイロスコープ部、16L…左側アーム、16R…右側アーム、17…伸縮調整ビス、18…(カメラ用)電源スイッチ、19…レリーズ釦、22…(ジャイロスコープ部)オン/オフスイッチ、23…(防振動作)オン/オフスイッチ、24,25…インジケータランプ、26…電池交換蓋、27…カールコード、28L,28R…軸受け構造、29L,29R…、30,32…ラック歯車、31,33…ピニオン歯車、34…コネクタ、37…ジャイロ制御部、38…ジャイロ駆動モータ、39…トルカー、40…角度変位検出器、41…減速用輪列、51…ケース、52…外部ジンバル、53…トルカー、54…ピックオフ、55…内部ジンバル、56…トルカー、57…ピックオフ、58…スピン、61…ジャイロスピン、62…ジンバル、63…ダンパー、64…角度検出器、65…トーションバーあるいはコイルスプリング、70…防振装置、71…第1の支持台、71A,71B…角速度センサ、71C…底辺、71L…左側アーム、71R…右側アーム、72…伸縮調整ビス、73…カメラ固定ビス、74…第2の支持台、74C…底辺、74L…左側アーム、74R…右側アーム、75…伸縮調整ビス、76…ピッチモータ、77…第3の支持台、78…ヨーモータ、79…電源スイッチ、80…レリーズ釦、83…LCD表示部、84…電源スイッチ、85…設定スイッチ、86…(防振動作)オン/オフスイッチ、87…電池交換蓋、88,89…カールコード、90L,90R…軸受け構造、91L,91R…軸部、92…減速用輪列、93…支持台制御部、94…コネクタ、95…軸受け構造、96…軸部、97…減速用輪列、121…増幅器、122…HPF、123…LPF、124…A/D変換器、125…積分器、126…減算器、127…補正位置(X)検出部、128…A/D変換器、129…サーボ回路、130…加減算器、131…ドライバ、132…増幅器、133…HPF、134…LPF、135…A/D変換器、136…積分器、137…減算器、138…補正位置(Y)検出部、139…A/D変換器、140…サーボ回路、141…加減算器、142…ドライバ、150…ボイスコイルモータ、160…ボイスコイルリニアモータ、170…バイモルフ型ピエゾセラミックアクチュエータ、180…積層型圧電アクチュエータ、200…防振装置、201…第1の支持台201、201C…底辺、201R…右側アーム、202…カメラ固定ビス、203…コネクタ、204,205…コイルスプリング、206…オイルダンパー、207…第2の支持台、207C…底辺207、207R…右側アーム、208,209…コイルスプリング、210…オイルダンパー、211…電源スイッチ、212…レリーズ釦、214…電池、215…支持台制御部、216…カールコード、221…圧縮バネ、222…引っ張りバネ、223…空気バネ、223a…調整ねじ、230…オイルダンパー、237…調整ねじ、238…バイパス路、240…リンク機構、241…取付け部、251,252…ケーシング、270…防振装置、271…第1の支持台、271C…底辺、271R…右側アーム、272…カメラ固定ビス、273…コネクタ、274,275…コイルスプリング、276…ダンパー、277…第2の支持台、277C…底辺、277R…右側アーム、278…ダイナミックダンパー、278a,278b…コイルスプリング、278c…、ダッシュポット、278d…ウェイト、279,280…コイルスプリング、281…ダンパー、282…電源スイッチ、283…レリーズ釦、284…ズームキー、285…電池、286…支持台制御部、287…カールコード、300…防振装置、301…第1の支持台、301C…底辺、301R…右側アーム、302…カメラ固定ビス、303…コネクタ、304,305…コイルスプリング、306…ダンパー、307…第2の支持台、307C…底辺、307R…右側アーム、308…ダイナミックダンパー、308a,308b…コイルスプリング、308c…ダッシュポット、308d…ウェイト、309…ボイスコイルモータ(VCM)、309a…可動子、309b…ボイスコイル、309c…固定子、310,311…コイルスプリング、312…ダンパー、313…電源スイッチ、314…レリーズ釦、316…電池、317…支持台制御部、318…カールコード、319,320…加速度センサ、321…VCドライバ、330…防振装置、331…第1の支持台、331A…アーム、331C…底辺、331G…ガイドレール、331P…重錘、331S…傾斜角センサ、331W…カウンタウェイト、331Y…ヨーク、332…カメラ固定ビス、333…第2の支持台、333C…中央部、333L…左グリップ部、333R…右グリップ部、334…電源スイッチ、335…レリーズ釦、340…振動型加速度センサ、341a,341b…水晶振動子、342a,342b…振り子、344a,344b…発振回路、350…半導体型加速度センサ、351…半導体基板、352…振り子、353…重錘、354…ピエゾ抵抗素子、360…MEMS型半導体加速度センサ、361…ビーム構造、362…中央板、363…重錘、364…ピエゾ抵抗素子、365…端子電極、CV…カバー、LH…(ユーザの)左手、OB…オブザーバ、RH…(ユーザの)右手。

Claims (12)

  1. 光学機器を着脱自在に装着する、姿勢角度が制御可能な電動式のジャイロスコープを備えた第1の支持台と、
    この第1の支持台を回動自在に支持し、上記ジャイロスコープと電気的に接続してその姿勢角度を操作するジャイロ操作部、上記ジャイロスコープへの電力供給を行なう電源部、及び把持部を備えた第2の支持台と
    を具備したことを特徴とする防振装置。
  2. 上記光学機器は、画像を撮影するカメラであり、
    上記第2の支持台は、上記カメラでの撮像を指示するレリーズ釦をさらに備え、
    上記第1の支持台は、上記レリーズ釦の操作信号を装着されたカメラに伝達するコネクタ部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
  3. 上記ジャイロスコープは、回転体を支持するジンバルの固定及びその解除を切換える機構を備え、
    上記レリーズ釦の操作状態に対応して上記回転体の回転及び停止と当該ジンバルの固定及びその解除をそれぞれ切換える
    ことを特徴とする請求項2記載の防振装置。
  4. 光学機器を着脱自在に装着する、姿勢角度の変位量を検出するジャイロスコープによる検出機構を備えた第1の支持台と、
    この第1の支持台を回動自在に支持し、与えられる制御信号に基づいて上記第1の支持台の姿勢角度を可変設定する第1のアクチュエータを備えた第2の支持台と、
    この第2の支持台を回動自在に支持し、与えられる制御信号に基づいて上記第2の支持台の姿勢角度を可変設定する第2のアクチュエータ、上記検出機構からの検出信号で検出された姿勢角度から上記第1及び第2のアクチュエータに与える制御信号を生成する制御部、上記検出機構と第1及び第2のアクチュエータへの電力供給を行なう電源部、及び把持部を備えた第3の支持台と
    を具備したことを特徴とする防振装置。
  5. 上記制御部は、上記検出機構から時系列で送られてくる検出信号により予測値としての制御信号を生成することを特徴とする請求項4記載の防振装置。
  6. 上記光学機器は、画像を撮影するカメラであり、
    上記第3の支持台は、上記カメラでの撮像を指示するレリーズ釦をさらに備え、
    上記第1の支持台は、上記レリーズ釦の操作信号を装着されたカメラに伝達するコネクタ部をさらに備える
    ことを特徴とする請求項4記載の防振装置。
  7. 上記第3の支持台は、上記カメラの撮影方向の可変を指示する操作釦をさらに備え、
    上記制御部は、上記撮影方向の可変を指示する操作釦での操作信号に対応して上記第1及び第2のアクチュエータに与える制御信号の内容を調整する
    ことを特徴とする請求項4記載の防振装置。
  8. 光学機器を着脱自在に装着する第1の支持台と、
    この第1の支持台を弾性部材及び減衰部材を介して支持する、把持部を備えた第2の支持台と
    を具備したことを特徴とする防振装置。
  9. 上記弾性部材及び減衰部材の少なくとも一方は、その特性を可変調整する調整機構を有することを特徴とする請求項8記載の防振装置。
  10. 光学機器を着脱自在に装着する第1の支持台と、
    この第1の支持台を弾性部材及び減衰部材を介して支持する、把持部を備えた第2の支持台と、
    上記第1及び第2の支持台の少なくとも一方に取付けられた動吸振器と
    を具備したことを特徴とする防振装置。
  11. 上記動吸振器を機械的に駆動して動吸振器が取付けられる第1及び第2の支持台の少なくとも一方の振動を抑制するアクチュエータとを具備したことを特徴とする請求項10記載の防振装置。
  12. 光学機器を着脱自在に装着する第1の支持台と、
    この第1の支持台を弾性部材及び減衰部材を介して支持する、把持部を備えた第2の支持台と、
    上記第1及び第2の支持台の少なくとも一方に取付けられた、付加質量を有する副振動系部材と、
    上記付加質量を機械的に駆動してこの副振動系部材が取付けられる第1及び第2の支持台の少なくとも一方の振動を抑制するアクチュエータと
    を具備したことを特徴とする防振装置。
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