JP2007183278A - 熱交換器の水室に対して作業を行う装置及び方法 - Google Patents

熱交換器の水室に対して作業を行う装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱交換器の水室の内部で作業を行う為の装置及び方法の提案。
【解決手段】熱交換器(1)の水室(7)に対して作業を行う為の装置(10)に関し、熱交換器は実質的に半球形状の壁(6)を備え、熱交換器の上部部分は複数の垂直孔(4)を貫設された管板(5)によって画定されている。装置は、管板(5)の底面に取り付けるための部材を備えてなる少なくともひとつのレール(11)であってレールは少なくともひとつのトロリー(15)を支持しており、トロリーは前記レール(11)に沿って移動可能であって、振子状昇降手段(19)が取り付けられているような上記レールと、取付ベース(30)を備えたロボットアーム(20)であって、管板(5)の底面に結合するための部材(40)を備えると共に昇降手段(19)と相互作用して取付ベース(30)を管板(5)に対して引き上げる為の駆動手段を備えている上記ロボットアームとを具備する。本発明は特に、加圧水型の原子炉における蒸気発生器に適用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換器の水室に対して作業を行う装置及び方法に関し、特に、加圧水型の原子炉における蒸気発生器に作業を行う装置及び方法に関する。
加圧水型の原子炉は、原子炉の加圧冷却水が循環する一次回路を備え、一次回路は通常、蒸気発生器にそれぞれ配置された複数のループを備え、原子炉の加圧冷却水と給水との間にて熱交換を行って、給水を加熱及び蒸発させて、発電ステーションのタービンに送られる蒸気を発生させている。加圧水型の原子炉における蒸気発生器は、軸線を垂直に配置された略円筒形の形状であるバレルを備え、バレルの内部には熱交換管の管束が配置されると共に、管束を取り囲むバレルの下方には、蒸気発生器の下方部分を構成する実質的に半球状の形状である水室を備えている。
水平に配置された極めて厚い管板には、垂直方向に貫設された孔が配列状に配置されており、蒸気発生器の上部部分と水室との間を分割している。蒸気発生器の管束における管は、それらの端部において、密封されたやり方で、管板の孔に係合して取り付けられる。水室は、一方においては、蒸気発生器のバレルにおける下方部分を形成してなる半球状の壁によって画定され、他方においては、管束における管が通されて取り付けられる孔が出現してなる、管板の水平な下面によって画定されている。
管束におけるそれぞれの管は、その上部部分において曲げられて、2本の直線的な枝部を有しており、その端部は、水室を2つの区画室に分割している仕切板の両側において、管板を貫通している孔に係合していて、2つの区画室のそれぞれは配管を介して一次回路のダクトに結合され、原子炉における冷却水が水室の片方の区画室に流入して、管束におけるそれぞれの管に供給される。
管束における管の内部を循環する加圧冷却水は、水室における第2の区画室に回収され、かかる水室の第2の区画室に結合された一次回路のダクトによって集められる。
水室にアクセスすることができるように、この水室における半球状のバレルには、水室においてそれぞれひとつの区画室を画定している半球状のバレルにおけるそれぞれ2つの部分に、点検口ないしマンホールが貫設されている。
原子炉の運転中には、管板、仕切板、及び蒸気発生器の管束における熱交換管の壁は、機械的及び熱的な応力に曝される。同じことは、管板と仕切板との間の溶接領域にも当てはまる。
一定の運転時間の後には、これらの応力は、亀裂の出現又は亀裂の開始を引き起こすので、これらを検出して、給水が導入される蒸気発生器のバレルの内部容積に加圧冷却水が漏出することを防止し、亀裂が広がって加圧バレルの完全性を害さないようにしなければならない。
従って、定期的に、例えば、燃料集合体を原子炉容器に再装荷するための原子力発電所の予定されたシャットダウンに際して、蒸気発生器の管と、管板と仕切板との結合領域とについて、点検作業を実行することが必要である。
亀裂や亀裂の開始が検出されたならば、蒸気発生器の運転を再開する前に、漏出のリスクや圧力容器の完全性の劣化を防止するための作業を実行しなければならない。
点検及び作業は、蒸気発生器の水室の内部で働くオペレータによって実行される。
この技術の不都合は、オペレータが高度の放射性領域において働かなければならないことであって、かかる領域には、炉心の燃料集合体と接触して循環する原子炉の冷却水によって水室に持ち込まれた放射性物質が堆積している。このため、オペレータが受ける被爆線量は、たとえ蒸気発生器の水室の内部における各オペレータの滞在時間を非常に短くして、作業を極めて迅速に実行した場合であっても、相当に高くなる。
従って、オペレータが受ける被爆線量を制限するためには、作業を実行するために多数のオペレータが必要になる。
オペレータが水室に入らなければならない必要性に関連した不都合を防ぐために、水室の外部から遠隔制御される装置を使用して、点検作業を実行し、及び亀裂や亀裂の開始を修復するなど、その他のあらゆる作業を実行させることが知られている。
これらの遠隔作業装置によれば、オペレータが蒸気発生器の水室に滞在しなければならない時間を短縮することが可能になり、さらには、オペレータが水室の内部で作業する必要性を解消することさえ可能になる。
このために、点検口を通して水室の内部に挿入される、擬人的なタイプのロボットアームであって、点検口の付近において水室の壁に取り付けられる結合部分を備えてなるロボットアームが知られている。
また、蒸気発生器の水室の内部で作業を行う公知の装置としては、管板の下面の下方に装置を結合させる板と、板に対して垂直な軸線、つまり運転中の管板に対して垂直な垂直軸線を中心として結合板に回転可能に取り付けられたタレットとを備えた装置がある。
装置は、1又は複数の環状の領域を横切って掃引すべく、タレットの軸線を中心として回転可能なように、タレットに固定して取り付けられた、1又は2の入子式アームを備える。
これまでに使用されてきた作業装置は、概して言えば、かなりかさばると共に構造が極めて複雑であって、特に、装置を蒸気発生器の水室に挿入して配置するために、長時間の困難な作業を必要とする。
さらに、これらの装置は通常、特定の作業のためにデザインされていて、特に機械加工作業中の著しい力に耐えられることを意図していない。
さらに、作業の初期の段階において、水室の内部に装置を配置することは、複雑な作業であって、少なくとも一人のオペレータが水室の内部に入ることを必要としていた。
従って、本発明の目的は、上述した不都合を解消できる、熱交換器の水室の内部で作業を行うための装置及び方法を提案することである。
従って、本発明の主題は、熱交換器の水室に対して作業を行うための装置であって、熱交換器は、少なくともひとつの点検口を備えてなる実質的に半球形状の壁を備え、熱交換器の上部部分は、複数の垂直孔を貫設された管板によって画定され、この装置が、
− 管板の底面に取り付けるための部材を備えてなる少なくともひとつのレールであって、レールは少なくともひとつのトロリーを支持しており、トロリーは、前記レールに沿って移動可能であって、振子状昇降手段が取り付けられているような上記レールと、
− 取付ベースを備えたロボットアームであって、一方においては、前記レールの両側にて管板の底面に結合するための部材を備え、他方においては、昇降手段と相互作用して、取付ベースを管板に対して引き上げるための駆動手段を備えてなる上記ロボットアームと、を備えている。
本発明におけるその他の特徴について以下に列挙すれば、
− 前記少なくともひとつのレールは、第1のレールの延長上に配置された少なくともひとつの第2のレールと、レールに沿って動くことができるひとつの第2のトロリーを備え、装置は、ツールキャリアであって、取付ベースが、一方においては、前記レールの両側にて管板の底面に結合するための部材を備え、他方においては、昇降手段と相互作用して、取付ベースを管板に対して引き上げるための駆動手段を備えていること。
− 前記少なくともひとつのレールにおける前記取付部材は、管板の垂直孔に挿入すべく意図された、少なくとも2つの保持クランプによって形成されていること。
− 装置は、ロボットアームを挿入するための斜面を備え、斜面は、点検口の外周に取り付けるための要素と、ロボットアームを支持するための板であって、ロボットアームの取付ベースが点検口に対面して配置され、前記斜面上を動けるような上記板と、を備えていること。
− ロボットアームとツールキャリアとの取付ベースは、略平行六面体であるベアリング板から形成され、ベアリング板は、駆動手段のための中央のハウジングと、レールを位置決めするために両側に設けられた凹部とを備えていること。
− ベアリング板は、2つの側部のうちひとつに設けられた少なくともひとつの凹部に、管板の垂直孔に挿入すべく意図された、2つの割出支柱を備えていること。
− 各ベースのベアリング板における結合部材は、管板の垂直孔に挿入すべく意図された、少なくとも2つの液圧保持クランプを備えていること。
− 各ベースのベアリング板における結合部材は、管板の垂直孔に挿入すべく意図された、4つの液圧保持クランプを備えていて、前記クランプのそれぞれは、ベアリング板における角部に設けられていること。
− 振子状昇降手段は、チェーン又はケーブルによって形成されていること。
− 駆動手段は、減速歯車で回転するホイールによって形成され、昇降手段に係合する部材を備えていること。
− ホイールはギアホイールであること。
本発明のさらに別の主題は、熱交換器の水室に対して作業を行うための方法であって、
熱交換器は、少なくともひとつの点検口を備えてなる実質的に半球形状の壁を備え、熱交換器の上部部分は、複数の垂直孔を貫設された管板によって画定され、この方法が、
− 少なくともひとつのレールは、前記レールに沿って移動可能な少なくともひとつのトロリーを支持し、レールに取り付けられた振子状昇降手段は点検口を通して水室へ挿入され、
− 前記レールは管板の底面に取り付けられ、
− 水室の外部において、取付ベースを備えたロボットアームであって、一方においては、前記レールの両側にて管板の底面に結合するための部材を備え、他方においては、昇降手段と相互作用するための、駆動手段を備えてなる上記ロボットアームを配置し、
− ロボットアームの取付ベースを点検口に対面させて配置し、
− 駆動手段と相互作用する昇降手段によって、ロボットアームを水室の内部へ巻き上げ、
− ロボットアームにおける取付ベースを、垂直孔に結合するための手段によって、管板の底面における所定の位置に取り付け、
− 水室の外部からロボットアームを遠隔制御して、水室の内部において様々な作業を実行させる、
ことを特徴とする。
本発明におけるその他の特徴について以下に列挙すれば、
− 一方においては、昇降手段と相互作用する駆動手段の動作によって、他方においては、トロリーによって、ロボットアームは、水室の内部において、新たな一連の作業を実行するための新たな所定の位置へと移動すること。
− 前記方法において、ロボットアームの取付ベースを管板の底面に取り付け終えた後に、
− 点検口に対面させて、ツールキャリアの取付ベースに、前記レールの両側にて管板の底面に結合するための部材を備えると共に、昇降手段と相互作用するための駆動手段を備え、
− 駆動手段と相互作用する昇降手段によって、ツールキャリアを水室の内部へ巻き上げ、
− ツールキャリアにおける取付ベースを、垂直孔に結合するための手段によって、管板の底面における所定の位置に取り付け、
− 水室の外部からロボットアームを遠隔制御して、一方において、水室の内部において様々な作業を実行させ、他方において、ロボットアームの端部をツールキャリア上にて待機しているツールと相互作用させて、作業を完了するのに必要なツール・チェンジを行う、
ことを特徴とする。
以下、添付図面を参照しつつ、例示として与えられた本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、例えば原子力発電所の蒸気発生器などの熱交換器の下部部分を、符号1にて示している。この蒸気発生器1は、略円筒形の形状である外側バレル2を備え、その内部には管3の組からなる熱交換の管束が配置されている。
蒸気発生器の熱交換管束におけるそれぞれの管3は、従来のやり方に従って、U字形になっていて、曲げられた上部部分と、2つの直線状の枝部分とを有し、その底端部は管板5に設けた垂直孔4に係合して取り付けられていて、管板5は、管3の束を取り囲んでいる蒸気発生器1の上部部分を、蒸気発生器1の水室7を形成している実質的に半球状である壁6によって画定された下方部分に対して隔てている。
水室7は、その上部部分が、管板5の底面によって画定されている。
水室7は、管板5の直径上にあって対称面を形成している平面に配置された、垂直な仕切板8によって、2つの区画室に分割されており、蒸気発生器1の管3の束におけるそれぞれの直線状の枝部分の端部は、2つの区画室にまたがるように、取り付けられている。
仕切板8は、水室7を第1の区画室と第2の区画室とに分割しており、これらの区画室には、加圧水型原子炉における冷却水の入口ダクトと出口ダクトと(図示せず)がそれぞれ結合されていて、仕切板8によって分割された入口区画室と出口区画室との間において、管3の内部を冷却水が循環する。この仕切板8は、管板5と仕切板8との間の接触部分の全長に沿って延びた連続溶接の継ぎ目によって、管板5の底面に取り付けられた仕切板を形成している。
図1の破断面は、仕切板8に対して平行な平面になっているので、図1には、水室7の2つの区画室のうち片方だけが見えている。
水室7における壁6には点検口9ないしマンホールが貫設されており、例えば、点検や、修理、保守、又は機械加工などの作業を行うために、この水室7の区画室の内部にアクセスすることを可能にしている。
特に、点検口9(図1)は、参照符号10にて示した本発明による作業装置を、蒸気発生器の水室7の中へ導入するために使用され、かかる装置は、例えば、点検や、修理、機械加工、又は保守などのあらゆる作業を実行するために使用される。
作業装置10は、いくつかの独立した要素からなり、水室7の内部に作業部材を導入することを可能にすると共に、これらの作業部材を前記水室7の内部において動かすことができる。
図1乃至図3に示すように、作業装置は、管板5の下側に取り付けるための部材18を備えてなる、少なくともひとつのレール11を具備している。
図2及び図3に示すように、レール11は、管板5の底面に適用されることを意図してなる基礎板12と、基礎板12によって支えられた走行路13とから形成されていて、走行路13の上を少なくともひとつのトロリー15が移動する。走行路13は、レール11の基礎板12の全長にわたって延在し、その長手方向の縁部のそれぞれがV字形の輪郭に形成されていて、トロリー15によって支持された走行ローラー16と相互作用するようになっていて、ローラーは、走行路13の長手方向の縁部と合致する形状になっている。
図2及び図3に示した例示的な実施形態においては、ローラー16のそれぞれは二重車輪の形状を有している。
好ましくは、レール11は、点検口9を通して水室7の内部に導入するのを容易にするため、2つの部分のレールから形成されており、それぞれのレール11は、管板5の下側に取り付けるための部材を備えている。
これらの取付部材は好ましくは、一時的に保持するクランプ17と、3つの保持クランプ18とを備え、3つの保持クランプは、図2に示すように、レール11の基礎板12の全長に沿って分配されている。また、一時的な保持クランプ17は、トロリー15をレール11上にロックすることも可能にするが、この一時的な保持クランプ17と保持クランプ18とは、在来のタイプのものであって、半径方向に拡張可能な管状のケーシングを備え、それぞれの公称外径は、垂直孔4の内径に比べてわずかに小さくなっている。クランプ17の管状ケーシングを拡張させることは、好ましくは手作業によって制御され、クランプ18を拡張させることは、適切な公知のタイプの操作部材によって、水室7の外部から操作可能になっている。
一時的な保持クランプ17によって、レール11を管板5の底面に保持することが可能になって、この間に、保持クランプ18によってレール11を結合させる。
レール11は、後述するように、2つの異なる要素を支持して移動させるために、複数のトロリー15を備える。
図2に示すように、トロリー15は、チェーン若しくはケーブル又はその他の公知の適切な部材から形成された、振子状昇降手段19を備える。
また、作業装置は、全体を参照符号20にて示した、ロボットアームを備える。この産業用タイプのロボットアーム20は、複数のアーム要素21を互いに関節状に備え、自由端22は、空間内における360゜の動きをカバーする。ロボットアーム20の自由端22は、水室7の内部で作業するツールを取り付ける手段を備え、または、適切に作業を実行するための視認又は点検部材を備える。
ロボットアーム20は、管板5の下側に取り付けるためのベース30を備え、図5に示す如く、この取付ベース30は、略平行六面体の形状であるベアリング板31から形成されている。管板5の下側に取り付けるためのベース30のベアリング板31は、中央のハウジング32を備え、ハウジングの中には、ベース30を前記管板に対して引き上げるべく、昇降手段19と相互作用する駆動手段33が配置されている。駆動手段33は、箱34の内部に配置された不図示のホイールによって形成されており、ホイールを支持している軸35は、不図示のトルクリミッタで保護された減速歯車36によって回転する。このホイールは、昇降手段19に係合するように合致した部材を備え、この昇降手段19がチェーンである場合には、ホイールはギアホイールである。この目的のために、箱34は、チェーン19が入るための開口部34aと、チェーン19が出るための開口部34bとを備えている。
さらに、ベアリング板31は、2つの両側部分に、レール11が通るための凹部37を備えている。凹部37の少なくとも一方には、2本の割出支柱38が設けられる。これらの割出支柱38は公知のタイプのものであって、それぞれ不図示のバネを備え、走行路13の両側において、管板5の所定の孔4に対応して設けられた孔12aを有する基礎板12の底面に対して押圧される。また、ベアリング板31は、公知のタイプの少なくとも2つの液圧式の保持クランプ40を備え、それぞれ管板5の垂直孔4に貫通するように意図されていて、好ましくは、図5に示すように、ベアリング板31は4つの液圧式の保持クランプ40をこのベアリング板31のそれぞれの角部に配置されて備えている。これらの保持クランプ40は公知のタイプのものであって、半径方向に拡張可能な管状ケーシングを備えており、それぞれが垂直孔4の内部に取り付けられて、ベース30及びロボットアームを水室7の内部において管板5の下側に保持する。
ロボットアーム20を水室7の中へ挿入するのを容易にするため、装置は、かかるロボットアーム20を支持して挿入するための斜面50(図1及び図4)を備えている。この斜面50は、可動であって、点検口9の外周に取り付けるための要素51が設けられ、ベース30が点検口9に向けられたロボットアーム20を支持するための板52を備えている。このトロリー52は、斜面50の上を移動する。
装置はまた、少なくともひとつの第2のトロリー15を備え、第2のトロリーはレール11上を動くことができ、第1のトロリー15と同一のものである。
図6に示すように、装置はツールキャリア60を備え、ツールキャリアは、ロボットアーム20の取付ベース30と同一である取付ベース30を備えている。この取付ベースは、2つの割出支柱38と、レール11の両側において管板5の下側に結合するための部材40と、ツールキャリア60の取付ベース30を管板5に対して引き上げるための昇降手段19を備えた駆動手段33とを備えている。従来のやり方と同じく、ツールキャリア60は、ロボットアームによって作業を行うのに適したそれぞれのツール61を受け入れるように意図されたスロットを備えている。このツールは、例えば、点検のための部材や、視認のための部材、又は水室7の内側部分を機械加工するための部材などである。
作業装置10は、以下のやり方によって、水室7の内部に配置される。
最初に、この水室7の内部に居るオペレータが、点検口9を通して、第1のレール11を受け取るが、このレール上には一時的なクランプ17によってトロリー15がロックされている。オペレータは、このクランプ17の助けを用いて、レール11を管板5の下面に保持し、レール11の両端にある保持クランプ18を垂直孔4に挿入して所定のトルクに締め付ける。次に、オペレータは、一時的なクランプ17を取り外して、トロリー15を解放し、レール11の実質的に中央に位置している保持クランプ18をロックする。それから、オペレータが、第2のレール11についても同じ作業を行うと、レール11は連続的な走行路を形成することになる。従って、レール11は、2つのトロリー15を備え、それぞれのトロリーから水室7の内部にはチェーン19が吊下される。
次に、オペレータは、水室の外に出て、取付要素51を用いて、点検口9の外周に斜面50をクランプする。図4に示すように、斜面50のトロリー52は、ロボットアーム20を支持していて、このロボットアームの取付ベース30は、点検口9に対面するように配置される。
オペレータは、チェーン19の自由端を、ロボットアーム20のベース30に支持された駆動手段33における開口部34aに挿入して、このチェーン19を駆動手段33のギアホイールに係合させる。チェーンの端部は、出口開口部34bを通って出て来る。駆動手段33のギアホイールは、減速歯車36によって駆動される。
トロリー52は、不図示のウインチによって斜面50を昇り、ロボットアーム20の第1の関節部分は、水室7の内部に挿入される。次に、ロボットアーム20は、ロボットアームの水室7への挿入を容易にするために折り畳まれる。トロリー15は、レール11の走行路13上を自由に並進することができ、このトロリー15が、前記水室7の内部において、ロボットアームの軸と同一レベルになると、ロボットアーム20が水室7の壁に衝突するのを防ぐためにロボットアームは折り畳まれて、取付ベース30の上面が管板5に対して平行になるように、平衡点を見つけて位置決めされる。
次に、ロボットアーム20をチェーン19と駆動手段33のギアホイールとによって上昇させ、2つのバネ式の割出支柱38を、走行路13の両側にて、基礎板12の底面に対して押圧させ、横方向の位置決めを得る。オペレータは水室7の外部から、ポールを用いてロボットアーム20をレール11上にて移動させ、割出支柱38を基礎板12に設けた孔12aに配置させる。チェーン19と駆動手段33のギアホイールとを用いてロボットアームを再び巻き上げて、取付ベース30の板31におけるベアリング面を管板5の底面に接触させる。保持クランプ40はそれぞれ、自ら管板5の垂直孔4の内部に位置決めされ、割出支柱38も同様に位置決めされる。取付ベース30が正確に平らになるように、不図示の2つの動きセンサによって制御される。この取付ベース30が管板5の底面に対して平坦に押圧されると、ロボットアーム20は、液圧式の保持クランプ40によって、前記管板5にロックされる。
従って、ロボットアーム20は、管板5の下側の所定位置に取り付けられる。
オペレータは、同一の作業を実行して、ツールキャリア60をその取付ベース30によって管板5の下側に取り付ける。
オペレータは、水室7の外部から、ロボットアーム20を遠隔制御して、ツールキャリア60が保持しているツール61を用いた様々な作業、例えば点検作業や、視認作業、又は機械加工作業などを実行する。
いったん、ロボットアーム20が水室7の所定の領域について、これらの作業を実行したならば、ロボットアーム20を、管板5から係脱させて、駆動手段33のギアホイールと相互作用するチェーン19によって下降させ、水室7の内部において新たな一連の作業を実行すべく、トロリー15によって新たな所定位置へと移動させる。
これらの作業を実行するためには、いつなりとも、蒸気発生器の水室の中にオペレータが滞在する必要はない。
特に、水室の内部へのロボットアーム及びツールキャリアの挿入、配置、及び取り付けについては、完全に、水室の外部から実行することができる。
図1は、本発明による手段によって作業が行われる水室を備えてなる、蒸気発生器の下部部分を示した模式的な一部破断斜視図である。 図2は、作業装置におけるロボットアームを挿入するための斜面を示した模式的な斜視図である。 図3は、ロボットアームを支持して移動させるためのレール及びトロリーを示した模式的な斜視図である。 図4は、図3のレール及びトロリーを示した模式的な横断面図である。 図5は、ロボットアームを管板に取り付けるためのベースを示した模式的な斜視図である。 図6は、ロボットアームのためのツールキャリアの一例を示した模式的な斜視図である。 図7は、本発明による作業装置が取り付けられた、蒸気発生器の水室を示した模式的な部分斜視図である。

Claims (14)

  1. 熱交換器(1)の水室(7)に対して作業を行うための装置であって、熱交換器は、少なくともひとつの点検口(9)を備えてなる実質的に半球形状の壁(6)を備え、熱交換器の上部部分は、複数の垂直孔(4)を貫設された管板(5)によって画定され、この装置が、
    − 管板(5)の底面に取り付けるための部材(18)を備えてなる少なくともひとつのレール(11)であって、レールは少なくともひとつのトロリー(15)を支持しており、トロリーは、前記レール(11)に沿って移動可能であって、振子状昇降手段(19)が取り付けられているような上記レールと、
    − 取付ベース(30)を備えたロボットアーム(20)であって、一方においては、前記レール(11)の両側にて管板(5)の底面に結合するための部材(40)を備え、他方においては、昇降手段(19)と相互作用して、取付ベース(30)を管板(5)に対して引き上げるための駆動手段(33)を備えてなる上記ロボットアームと、
    を備えていることを特徴とする装置。
  2. 前記少なくともひとつのレール(11)は、第1のレールの延長上に配置された少なくともひとつの第2のレールと、レール(11)に沿って動くことができるひとつの第2のトロリー(15)を備え、装置は、ツールキャリア(60)であって、取付ベース(30)が、一方においては、前記レール(11)の両側にて管板(5)の底面に結合するための部材(40)を備え、他方においては、昇降手段(19)と相互作用して、取付ベース(30)を管板(5)に対して引き上げるための駆動手段(33)を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記少なくともひとつのレール(11)における前記取付部材は、管板(5)の垂直孔(4)に挿入すべく意図された、少なくとも2つの保持クランプ(18)によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 装置は、ロボットアーム(20)を挿入するための可動斜面(50)を備え、可動斜面は、点検口(9)の外周に取り付けるための要素(51)と、ロボットアーム(20)を支持するための板(52)であって、ロボットアームの取付ベース(30)が点検口(9)に対面して配置され、前記斜面(50)上を動けるような上記板と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
  5. ロボットアーム(20)とツールキャリア(60)との取付ベース(30)は、略平行六面体であるベアリング板(31)から形成され、ベアリング板は、駆動手段(33)のための中央のハウジング(32)と、レール(11)を位置決めするために両側に設けられた凹部(37)とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
  6. ベアリング板(31)は、2つの側部のうちひとつに設けられた少なくともひとつの凹部(37)に、管板(5)の垂直孔(4)に対応して基礎板(12)の孔に挿入すべく意図された、2つの割出支柱(38)を備えていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
  7. ベアリング板(31)における結合部材は、管板(5)の垂直孔(4)に挿入すべく意図された、少なくとも2つの液圧保持クランプ(40)を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
  8. ベアリング板(31)における結合部材は、管板(5)の垂直孔(4)に挿入すべく意図された、4つの液圧保持クランプ(40)を備えていて、前記クランプ(40)のそれぞれは、ベアリング板(31)における角部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
  9. 振子状昇降手段(19)は、チェーン又はケーブルによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 駆動手段(33)は、減速歯車(36)で回転するホイールによって形成され、昇降手段(19)に係合する部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
  11. ホイールはギアホイールであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  12. 熱交換器(1)の水室(7)に対して作業を行うための方法であって、熱交換器は、少なくともひとつの点検口(9)を備えてなる実質的に半球形状の壁(6)を備え、熱交換器の上部部分は、複数の垂直孔(4)を貫設された管板(5)によって画定され、この方法が、
    − 少なくともひとつのレール(11)は、前記レール(11)に沿って移動可能な少なくともひとつのトロリー(15)を支持し、レールに取り付けられた振子状昇降手段(19)は点検口(9)を通して水室(7)へ挿入され、
    − 前記レール(11)は管板(5)の底面に取り付けられ、
    − 水室(7)の外部において、取付ベース(30)を備えたロボットアーム(20)であって、一方においては、前記レール(11)の両側にて管板(5)の底面に結合するための部材(40)を備え、他方においては、昇降手段(19)と相互作用するための、駆動手段(33)を備えてなる上記ロボットアームを配置し、
    − ロボットアーム(20)の取付ベース(30)を点検口(9)に対面させて配置し、
    − 駆動手段(33)と相互作用する昇降手段(19)によって、ロボットアームを水室(7)の内部へ巻き上げ、
    − ロボットアーム(20)における取付ベース(30)を、垂直孔(4)に結合するための手段(40)によって、管板(5)の底面における所定の位置に取り付け、
    − 水室(7)の外部からロボットアーム(20)を遠隔制御して、水室(7)の内部において様々な作業を実行させる、
    ことを特徴とする方法。
  13. 一方においては、昇降手段(19)と相互作用する駆動手段(33)の動作によって、他方においては、トロリー(15)によって、ロボットアーム(20)は、水室(7)の内部において、新たな一連の作業を実行するための新たな所定の位置へと移動することを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記方法において、ロボットアーム(20)の取付ベース(30)を管板(5)の底面に取り付け終えた後に、
    − 点検口(9)に対面させて、ツールキャリア(60)の取付ベース(30)に、前記レール(11)の両側にて管板(5)の底面に結合するための部材(40)を備えると共に、昇降手段(19)と相互作用するための駆動手段(33)を備え、
    − 駆動手段(33)と相互作用する昇降手段(19)によって、ツールキャリア(60)を水室(7)の内部へ巻き上げ、
    − ツールキャリア(60)における取付ベース(30)を、垂直孔(4)に結合するための手段(40)によって、管板(5)の底面における所定の位置に取り付け、
    − 水室(7)の外部からロボットアーム(20)を遠隔制御して、一方において、水室(7)の内部において様々な作業を実行させ、他方において、ロボットアーム(20)の端部をツールキャリア(60)上にて待機しているツールと相互作用させて、作業を完了するのに必要なツール・チェンジを行う、
    ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
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