JP5634073B2 - 水室内作業装置および水室内作業方法 - Google Patents

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Description

この発明は、水室内作業装置および水室内作業方法に関し、さらに詳しくは、蒸気発生器における水室内作業の作業性を向上できる水室内作業装置および水室内作業方法に関する。
水室内作業装置は、蒸気発生器の水室に搬入されて設置されて、遠隔操作により水室内作業を行う装置である。また、近年では、水室内作業用のツールを先端に取り付けたマニピュレータを備えた水室内作業装置が提案されている。かかる構成を採用する従来の水室内作業装置として、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2007−183278号公報
この発明は、蒸気発生器における水室内作業の作業性を向上できる水室内作業装置および水室内作業方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる水室内作業装置は、蒸気発生器の水室の管板面から吊り下げられると共に遠隔操作により駆動されて水室内作業を行う水室内作業装置であって、前記管板面にある伝熱管を保持して前記管板面に固定されるベースと、前記ベースに連結されると共に前記水室内に吊り下げられて配置されるマニピュレータとを備え、前記ベースが、マニピュレータに連結されるベース本体と、複数のウイングと、前記ウイングに配置されると共に前記伝熱管に挿入されて前記伝熱管をクランプ保持するクランパと、前記複数のウイングを前記ベース本体に対して相互に異なる方向に独立してスライド変位させて前記ベース本体から突出および前記ベース本体に収納するスライド機構とを有し、且つ、すべての前記ウイングが、前記ベース本体の側面から相互に独立して突出および収納可能に前記ベース本体に対して配置されることを特徴とする。
この水室内作業装置は、ベースがウイングを進退変位させてクランパの保持位置を移動させることにより、管板面に沿って移動できる。したがって、マニピュレータの起点となる位置を管板面にて移動させ得るので、水室内の異なる位置を起点として水室内作業を行い得る。これにより、水室内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
この水室内作業装置では、ベースが一対のウイングを交互に進退変位させることにより、水室を管板面に沿って任意の方向に移動できる。これにより、水室内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この水室内作業装置は、前記クランパが、テーパロッドおよびコッタから成るクランプ機構を備え、且つ、前記クランプ機構が、前記テーパロッドを前記コッタに嵌め合わせることにより前記コッタを拡径して前記伝熱管をクランプすると共に、前記テーパロッドを前記コッタから引き抜くことにより前記コッタを縮径して前記伝熱管のクランプを解除する。
また、この発明にかかる水室内作業装置は、前記ベースと前記マニピュレータとを連結する連結リンクを備え、且つ、前記マニピュレータが基本姿勢の基準軸を前記連結リンクの回転軸に対して所定の傾斜角にて傾斜させて連結される。
この水室内作業装置は、マニピュレータが、ベースを起点として吊り下げられた状態にて、その基本姿勢の基準軸を管板面の法線方向に対して傾斜させる。したがって、水室が管板面を天井とした1/4球状の室内形状を有するときに、マニピュレータの向きを水室の床面および壁面の双方に対して容易に変化させ得る。これにより、水室の隅々までツールを移動させ得るので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この発明にかかる水室内作業装置は、前記マニピュレータが分割構造を有する。
この水室内作業装置では、マニピュレータ4が分割構造を有する(図14および図15参照)。かかる構成では、マニピュレータの設置時にて、マニピュレータを分割してベースあるいは中間リンクに組み付け得る。したがって、重量のあるマニピュレータを組み付けるときに、伝熱管に対するベースのクランプ保持が外れる事態が抑制される。これにより、伝熱管をクランプ保持する方式のベースに対してマニピュレータを安全に設置できる利点がある。
また、この発明にかかる水室内作業方法は、マニピュレータを備える水室内作業装置を蒸気発生器の水室の管板面から吊り下げると共に遠隔操作により駆動して水室内作業を行う水室内作業方法であって、前記水室内作業装置が前記管板面にある伝熱管をクランプ保持するベースを備えると共に前記伝熱管に対するクランプ保持位置を移動させることにより前記管板面に沿って移動し、前記ベースが、前記マニピュレータに連結されるベース本体と、前記ベース本体に対して相互に異なる方向に独立して進退変位できる複数のウイングと、前記ウイングに配置されると共に前記伝熱管に挿入されて前記伝熱管をクランプ保持するクランパとを有すると共に、すべての前記ウイングが、前記ベース本体の側面から相互に独立して突出および収納可能に前記ベース本体に対して配置され、且つ、前記ベースが、すべての前記ウイングを閉じた状態で前記水室のマンホールから前記水室に搬入されることを特徴とする。
この水室内作業方法では、マニピュレータの起点となる位置を管板面にて移動させ得るので、水室内の異なる位置を起点として水室内作業を行い得る。これにより、水室内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この発明にかかる水室内作業方法は、前記ベースが相互に異なる方向に独立して進退変位できる少なくとも一対の前記ウイングを有し、且つ、水室内作業時にて、前記ベースが前記ウイングを開いた状態で前記伝熱管を保持する。
この水室内作業方法では、ベースに作用するモーメントを低減できるので、水室内作業時におけるベースのクランプ外れが防止される利点がある。
また、この発明にかかる水室内作業方法は、水室内作業装置が前記水室の管板面から吊り下がり前記伝熱管をクランプ保持して移動する時に、前記マニピュレータの重心が前記ベース本体に対して鉛直方向真下に配置される。
この水室内作業方法では、ベースに作用するモーメントを低減できるので、水室内作業装置の移動時におけるベースのクランプ外れが防止される利点がある。
この発明にかかる水室内作業装置は、ベースがウイングを進退変位させてクランパの保持位置を移動させることにより、管板面に沿って移動できる。したがって、マニピュレータの起点となる位置を管板面にて移動させ得るので、水室内の異なる位置を起点として水室内作業を行い得る。これにより、水室内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる水室内作業装置の設置状態を示す斜視図である。 図2は、図1に記載した水室内作業装置を示す斜視図である。 図3は、図1に記載した水室内作業装置のベースおよび連結リンクの組立体を示す説明図である。 図4は、図1に記載した水室内作業装置の使用状態を示す説明図である。 図5は、図1に記載した水室内作業装置の使用状態を示す説明図である。 図6は、図1に記載した水室内作業装置の使用状態を示す説明図である。 図7は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示すフローチャートである。 図8は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図9は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図10は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図11は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図12は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図13は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図14は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図15は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図16は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図17は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示す説明図である。 図18は、図1に記載した水室内作業装置のベースの実施例を示す斜視図である。 図19は、図18に記載したベースを示す正面図である。 図20は、図18に記載したベースを示す平面図である。 図21は、図18に記載したベースを示す右側面図である。 図22は、図18に記載したベースを示す斜視図である。 図23は、図18に記載したベースを示す右側面図である。 図24は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図25は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図26は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図27は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図28は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図29は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図30は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図31は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図32は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図33は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。 図34は、一般的な原子力プラントを示す構成図である。 図35は、図34に記載した原子力プラントの蒸気発生器の水室を示す構成図である。 図36は、図35に記載した蒸気発生器の水室を示すA−A視断面図である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[原子力プラントの蒸気発生器]
原子力プラント100には、例えば、加圧水型軽水炉原子力発電設備がある(図34参照)。この原子力プラント100では、原子炉容器110、加圧器120、蒸気発生器130およびポンプ140が一次冷却材管150により順に連結されて、一次冷却材の循環経路(一次系循環経路)が構成される。また、蒸気発生器130とタービン(図示省略)との間に二次冷却材の循環経路(二次系循環経路)が構成される。
この原子力プラント100では、一次冷却材が原子炉容器110にて加熱されて高温・高圧となり、加圧器120にて加圧されて圧力を一定に維持されつつ、一次冷却材管150を介して蒸気発生器130に供給される。蒸気発生器130では、一次冷却材が入口側水室131に流入し、この入口側水室131からU字状かつ複数本の伝熱管132に供給される。そして、伝熱管132にて一次冷却材と二次冷却材との熱交換が行われることにより、二次冷却材が蒸発して蒸気となる。そして、この蒸気となった二次冷却材がタービンに供給されることにより、タービンが駆動されて動力が発生する。なお、伝熱管132を通過した一次冷却材は、出口側水室133から一次冷却材管150を介してポンプ140側に回収される。
ここで、蒸気発生器130では、入口側水室131に入口管台135が設けられ、この入口管台135に入口側の一次冷却材管150が溶接されて接続される(図35参照)。また、出口側水室133に出口管台136が設けられ、この出口管台136に出口側の一次冷却材管150が溶接されて接続される。また、入口側水室131と出口側水室133とが仕切板134を介して仕切られる。また、蒸気発生器130の内部には、管板137が設置される。この管板137は、伝熱管132の下端部を支持し、また、蒸気発生器130の上部と水室131、133とを区画して水室131、133の天井部を構成する。また、入口側水室131および出口側水室133には、作業員が水室131、133内に出入りするためのマンホール138が設けられる(図36参照)。
[水室内作業装置]
図1は、この発明の実施の形態にかかる水室内作業装置の設置状態を示す斜視図である。図2は、図1に記載した水室内作業装置を示す斜視図である。図3は、図1に記載した水室内作業装置のベースおよび連結リンクの組立体を示す説明図である。
この水室内作業装置1は、蒸気発生器130の水室131、133に搬入されて設置され、遠隔操作されて水室内作業を行う装置である(図1参照)。水室内作業装置1は、ベース2と、連結リンク3と、マニピュレータ4と、ツール5とを備える(図2参照)。
ベース2は、水室内作業装置1を水室131、133の管板面137aから吊り下げるための部品であり、ベース本体21と、一対のウイング22a、22bと、複数のクランパ23a、23bとを有する。ベース本体21は、枠型形状のケーシングである。一対のウイング22a、22bは、ベース本体21に挿入されて設置される。これらのウイング22a、22bは、伸縮式のはしご機構により駆動されて、ベース本体21の設置位置に対してスライド変位できる(図3参照)。また、一対のウイング22a、22bは、相互に異なる方向にスライド変位できる。また、一対のウイング22a、22bは、相互に独立して駆動される。クランパ23a、23bは、伝熱管132をクランプするクランプ機構を有する。このクランプ機構には、例えば、爪状の先端部を伝熱管に挿入して爪先を拡幅させることにより先端部を伝熱管の内周面に摩擦接触させて伝熱管をクランプする構成が採用され得る。
例えば、この実施の形態では、ベース本体21が略立方形状の枠状部材から成り、このベース本体21に伸縮機構を有する一対のウイング22a、22bがそれぞれ挿入されて設置されている(図2および図3参照)。また、各ウイング22a、22bが、その伸縮機構を駆動させることにより、その端部をベース本体21の幅方向(設置状態にて管板面137aの平面方向)にスライド変位させ得る。また、一対のウイング22a、22bが、相互に直交する方向にスライド変位できるように配置されている。また、ウイング22a(22b)の端部には、複数を一組としたクランパ23a(23b)が伝熱管132の設置間隔に合わせて一列に揃えられて配置されている。また、この一組のクランパ23a(23b)がウイング22a(22b)の前後にそれぞれ配置されている。これにより、ベース2が管板面137aに設置された状態にて、ベース2の前後左右にそれぞれクランパ23a(23b)が配置され、また、ウイング22a(22b)が伸縮して端部をスライド変位させることにより、これらのクランパ23a(23b)が管板面137aの平面方向にスライド変位できる。
連結リンク3は、ベース2とマニピュレータ4とを連結するための部品である。この連結リンク3は、ベース2のベース本体21に対してベース2の高さ方向を回転軸lとして回転可能に連結される。また、連結リンク3は、その回転軸lに対して傾斜する取付面31を有する。そして、この取付面31には、マニピュレータ4が連結される。
マニピュレータ4は、多軸マニピュレータである。このマニピュレータ4は、その基本姿勢(直立状態)の基準軸mを連結リンク3の回転軸lに対して所定の傾斜角θにて傾斜させて、連結リンク3に連結される。また、マニピュレータ4は、前段部41および後段部42に分割できる構造を有する。例えば、この実施の形態では、7軸マニピュレータが採用されており、マニピュレータ4の先端側の4軸と後段側の3軸とが前段部41および後段部42として分割可能に構成されている(図14および図15参照)。また、前段部41と後段部42とが差込式のクランプ機構によりワンタッチで着脱できる接続構造を有している。具体的には、前段部41のロッドが後段部42の連結孔に挿入され、エアシリンダ(図示要略)により前段部41が爪を開いて後段部42にクランプする。これにより、前段部41と後段部42との連結を、遠隔操作により簡易に行い得る。
ツール5は、所定の水室内作業に対応したツールであり、マニピュレータ4の先端部に取り付けられる。このツール5は、例えば、水室内の保全作業に用いられる保全作業ツールであり、検査ツール、切削ツール、溶接ツールなどにより構成される。具体的には、入口管台135や出口管台136、伝熱管132、仕切板134と管板137との溶接部、仕切板134と水室鏡部との溶接部などを検査あるいは補修するためのツール5が用意されている。なお、この実施の形態では、多様な水室内作業に対応して複数種類のツール5が準備されている。そして、これらのツール5を交換できるように、ツール5がマニピュレータ4に対して着脱可能な構造を有している。
[水室内作業装置による水室内作業]
水室内作業時には、水室内作業装置1が水室131、133内にて管板面137aから懸垂状態で吊り下げられて設置される(図1参照)。この設置状態では、ベース2のクランパ23a、23bが伝熱管132をクランプ保持することにより、ベース2が管板面137aに固定される。また、マニピュレータ4がベース2に対して連結リンク3を介して連結される。したがって、設置状態では、マニピュレータ4が水室131、133の天井(管板面137a)から吊り下げられて保持される。そして、このマニピュレータ4の先端部に、水室内作業に対応したツール5が取り付けられる。なお、水室内作業装置1の設置工程については、後述する。
ここで、水室内作業は、水室131、133外部の安全領域から作業員が水室内作業装置1を遠隔操作することにより行われる。これにより、水室131、133内に作業員が立ち入ることなく水室内作業が行われる。
また、水室内作業装置1の設置状態では、マニピュレータ4が水室131、133の天井から吊り下げられた状態にある(図1参照)。したがって、マニピュレータ4を旋回させてその姿勢を変化させることにより、ベース2を起点とした広範囲での水室内作業が実現される(図4および図5参照)。具体的には、水室内作業装置1がベース2を起点として管板面137aから吊り下げられて設置される。そして、遠隔操作により連結リンク3が駆動されると、マニピュレータ4が連結リンク3の回転軸l周りに旋回して、その向きを水室131、133の周方向に変化させ得る。さらに、マニピュレータ4自身が姿勢を変化させることにより先端部のツール5を水室131、133の任意の位置まで移動させ得る。これにより、水室131、133内の隅々までツール5を移動させ得るので、多様な水室内作業に柔軟に対応できる。例えば、図4は、仕切板134と管板137との溶接部の点検作業の様子を示しており、図5は、伝熱管132の点検作業の様子を示している。これらの図に示すように、ベース2が定位置に固定されている場合であっても、マニピュレータ4を旋回させて屈曲変形させることにより、水室131、133の隅々までツール5を移動させ得ることが分かる。
また、蒸気発生器130では、水室131、133の床面が半球状を有するので、この床面上に水室内作業装置を設置することは、容易でない。この点において、この水室内作業装置1は、水室131、133の天井(管板面137a)から吊り下げられて設置されるので(図1参照)、床面での設置作業が不要な点で好ましい。例えば、マニピュレータが支柱状の旋回支持部に支持されて水室内に設置される構成(特許文献1参照)では、作業員が水室内に立ち入って旋回支持部を設置する必要があるため、好ましくない。
また、この水室内作業装置1では、その設置状態にて、連結リンク3がその回転軸lを管板面137aから下方に向けてベース2に連結される(図2および図3参照)。このため、マニピュレータ4が、ベース2を起点として吊り下げられた状態にて、管板面137aの法線方向を回転軸lとして旋回できる(図4および図5参照)。したがって、水室131、133が管板面137aを天井とした1/4球状の室内形状を有するときに、マニピュレータ4の向きを水室131、133の周方向に旋回させ得る。これにより、水室131、133の隅々までツール5を移動させ得るので、水室内作業の作業性が向上する。なお、この実施の形態では、連結リンク3がその回転軸lを管板面137aの法線方向に向けて設置されている(図2および図3参照)。しかし、これに限らず、連結リンク3は、その回転軸lを管板面137aの法線方向から下方に向けていればよく、例えば、回転軸lを管板面137aの法線方向に対して所定角度で傾斜させて配置されても良い。
また、この水室内作業装置1では、その設置状態にて、マニピュレータ4が基本姿勢の基準軸mを連結リンク3の回転軸lに対して所定の傾斜角θにて傾斜させて連結リンク3に連結される(図2および図3参照)。かかる構成では、マニピュレータ4が、ベース2を起点として吊り下げられた状態にて、その基本姿勢の基準軸mを管板面137aの法線方向に対して傾斜させる。したがって、水室131、133が管板面137aを天井とした1/4球状の室内形状を有するときに、マニピュレータ4の向きを水室131、133の床面および壁面の双方に対して容易に変化させ得る。これにより、水室131、133の隅々までツール5を移動させ得るので、水室内作業の作業性が向上する。
また、この水室内作業装置1は、ベース2が管板面137a上を移動することにより、水室131、133内を所定の範囲内で移動できる(図6参照)。具体的には、ベース2が伝熱管132に対するクランプ位置を移動させて管板面137a上を移動することにより、マニピュレータ4の起点となる位置(ベース2の固定位置)を管板面137aにて移動させ得る。これにより、水室131、133内の異なる位置を起点として水室内作業を行い得るので、水室内作業の作業領域が拡大されて水室内作業の作業性が向上する。
特に、蒸気発生器130では、水室131、133の床面が半球状を有するので、この床面上にて水室内作業装置を移動させることは、容易でない。この点において、この水室内作業装置1は、水室131、133の管板面137aから吊り下げられることにより、平坦な管板面137a上に設置される。これにより、水室131、133内における水室内作業装置1の移動が容易となる。
なお、水室内作業装置1(ベース2)の移動は、例えば、次のように行われる。水室内作業時には、ベース2が双方のクランパ23a、23bの先端部を伝熱管132に挿入して伝熱管132をクランプ保持することにより定位置に固定されている。そして、水室内作業装置1の移動時には、まず、一方のクランパ23a(23b)が伝熱管132をクランプ保持しつつ、他方のクランパ23b(23a)が伝熱管132から引き抜かれて伝熱管132に対するクランプ保持を解除する。次に、ウイング22b(22a)が伸びて(あるいは縮んで)先端をスライド変位させることにより、この他方のクランパ23b(23a)が管板面137aに沿って移動する。次に、この他方のクランパ23b(23a)が先端部を再び伝熱管132に挿入して伝熱管132をクランプ保持する。これにより、他方のクランパ23b(23a)のクランプ位置が移動する。次に、この他方のクランパ23b(23a)が伝熱管132をクランプ保持した状態のまま、一方のクランパ23a(23b)が同様にしてクランプ位置を移動させる。そして、双方のクランパ23a、23bが交互にクランプ位置を移動させることにより、ベース2が管板面137a上を歩行して移動できる。
また、ツール5を交換するときは、水室内作業装置1が水室131、133内に設置された状態のまま、マニピュレータ4が遠隔操作されて先端部を水室131、133のマンホール138から水室131、133の外部に突出させる(図1参照)。そして、この状態にて、マニピュレータ4の先端部に取り付けられたツール5が交換される。したがって、水室131、133内に水室内作業装置1を設置したまま、水室131、133外にてツール5の交換作業を行い得る。これにより、ツール5の交換作業が容易化される。
[水室内作業装置の設置工程]
図7〜図17は、図1に記載した水室内作業装置の設置工程を示すフローチャート(図7)および説明図(図8〜図17)である。水室内作業装置の設置工程では、以下のように、水室内作業装置1が水室131、133内に搬入されて設置される。ここでは、水室内作業装置1が入口側水室131に設置される場合について説明する。
まず、竿状の治具10がマンホール138から水室131内に挿入され、この治具10が用いられて、管板面137aにベース搬入取付治具11が設置される(ステップST1)(図8参照)。このベース搬入取付治具11は、ベース2を管板面137aに取り付けるための治具であり、伝熱管132に挿入されて管板面137aに固定される。このベース搬入取付治具11には、ベース2を吊り上げるためのワイヤ12が係留される(図9参照)。
次に、ベース2および連結リンク3が水室131内に搬入されて管板面137aに設置される(ベース設置ステップST2)(図10参照)。このとき、ベース2および連結リンク3があらかじめ連結されて水室131内に搬入される。また、ベース2が、ウインチ24を搭載しており(図11参照)、このウインチ24でワイヤ12を巻き取ることによりマンホール138から水室131内の管板面137aまで吊り上げられる。これにより、重量のあるベース2を水室131の管板面137aまで容易に引き上げ得る。そして、ベース2が、クランパ23a、23bの先端部を伝熱管132に挿入して伝熱管132をクランプ保持することにより、管板面137aに固定される(図3参照)。このとき、作業員が竿状の治具10を用いてベース2を下方から押し上げ、あるいは、他のロープ(図示省略)を用いて引き上げることにより、ベース2が管板面137aまで上手く吊り上げられるように操作する。
次に、ベース2の下部に取付治具13が設置される(ステップST3)(図12参照)。この取付治具13は、円弧状に湾曲した長尺な板状部材から成り、マニピュレータ4を連結リンク3に連結するための治具として用いられる。取付治具13は、上端部にてベース2の下部に取り付けられ、下端部にてマンホール138の入口に固定される。これにより、取付治具13がベース2の下部からマンホール138の入口に渡されて、滑り台状のガイドが形成される。
次に、マニピュレータ4の後段部42が連結リンク3に連結される(ステップST4)(図13参照)。このとき、竿状の治具14が後段部42に差し込まれて取り付けられる。そして、後段部42が取付治具13に乗せられてガイドされながら治具14で押し上げられて連結リンク3に連結される。これにより、重量のある後段部42をマンホール138から管板面137a上のベース2まで容易に搬送できる。また、滑り台状の取付治具13により、後段部42を水室131内の連結リンク3まで容易にガイドできる。なお、治具14は、後段部42と連結リンク3との連結後に、後段部42から取り外される(図14参照)。
次に、マニピュレータ4の前段部41がマニピュレータ4の後段部42に連結され、この前段部41にツール5が取り付けられる(ステップST5)(図15参照)。このとき、前段部41が取付治具13に乗せられてガイドされながら押し上げられて後段部42に連結される。これにより、重量のある前段部41をマンホール138から後段部42まで容易に搬送できる。また、滑り台状の取付治具13により、前段部41の上端部を後段部42の下端部まで容易にガイドできる。なお、この作業は、作業員が水室131の外部からマンホール138越しに行う。
その後に、取付治具13が連結リンク3から取り外されて撤去される(ステップST6)(図1参照)。これにより、水室内作業装置の設置工程が終了する。
なお、この実施の形態では、ベース2がウインチ24を搭載し、ベース搬入取付治具11が管板面137aに設置され(ステップST1)、このベース搬入取付治具11に取り付けられたワイヤ12をウインチ24が巻き取ることにより、ベース2が水室131内の管板面137aまで吊り上げられて設置される(ステップST2)(図8〜図11)。しかし、これに限らず、例えば、マンホール138に固定できる小型のクレーン装置16が用いられてベース2が管板面137aに設置されても良い(図16および図17参照)。
また、この実施の形態では、ベース2を水室131に搬入するとき(ステップST2)に用いられるウインチ24が、ベース2に搭載されている(図11参照)。しかし、これに限らず、ウインチ24が、管板面137a側に設置されるベース搬入取付治具11に搭載されても良い(図示省略)。
また、この実施の形態では、竿状の治具10が用いられてベース搬入取付治具11が管板面137aに設置されている(ステップST1)(図8および図9参照)。しかし、これに限らず、例えば、マンホール138に固定できる小型のクレーン装置16(図16および図17参照)が用いられてベース搬入取付治具11が管板面137aに設置されても良い。
[ベースの具体例]
図18は、図1に記載した水室内作業装置のベースの実施例を示す斜視図である。同図は、ベース2および中間リンク3の組立体を示しており、また、ベース2がウイング22a、22bを開いた状態を示している。図19〜図21は、図18に記載したベースを示す正面図(図19)、平面図(図20)および右側面図(図21)である。これらの図は、ベース2が管板面137aにて伝熱管132をクランプしている状態を示している。図22および図23は、図18に記載したベースを示す斜視図(図22)および右側面図(図23)である。同図は、ベース2がウイング22a、22bを閉じた状態を示している。
この実施例では、ベース本体21が略立方形状の枠状部材により構成されている(図18〜図23参照)。また、ベース2が、一対のウイング22a、22a;22b、22bを一組として、二組のウイング22a、22a、22b、22bを有している。また、これらのウイング22a、22bがベース本体21の四方の側面からそれぞれ挿入されて配置されている。また、これらのウイング22a、22bが、ベース本体21の側面から相互に独立して突出および収納できるように、ベース本体21に対してスライド可能(進退可能)に配置されている。また、ウイング22a、22bが、ベース本体21に収納されたアクチュエータにより相互に独立して駆動される。かかる構成では、ベース2がウイング22a、22bを開くときには、ウイング22a、22bがベース本体21の側面からスライド変位して突出する。また、ベース2がウイング22a、22bを閉じるときには、ウイング22a、22bがベース本体21に収納される。
また、これらのウイング22a、22bには、3つを一組とするクランパ23a;23bが伝熱管132の設置間隔に合わせて一列に揃えられて配置されている(図18〜図23参照)。また、クランパ23a、23bが、クランプ機構231と、グリップシリンダ機構232と、メインシリンダ機構233とを有している(図示省略。図24〜図33参照。)。クランプ機構231は、クランパ23a、23bの先端部に配置され、伝熱管132に挿入されて拡径および縮径することにより、伝熱管132をクランプする機構である。具体的には、クランプ機構231がテーパロッドおよびコッタから成る。そして、テーパロッドがコッタに嵌め合わされてコッタが開くことにより、クランプ機構231が拡径して伝熱管132をクランプする(クランプ状態ON)。また、テーパロッドがコッタから引き抜かれることにより、クランプ機構231が縮径して伝熱管132のクランプを解除する(クランプ状態OFF)。グリップシリンダ機構232は、クランプ機構231のテーパロッドを駆動してクランプ機構231のクランプ状態のON/OFF(拡径および縮径)を切り替える機構である。具体的には、グリップシリンダ機構232が、クランプ機構231のテーパロッドをピストンとするシリンダから成る。そして、クランプ機構231が伝熱管132に挿入された状態にて、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側から引き込むと、クランプ機構231がクランプ状態ONとなる。また、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側に押し込むと、クランプ機構231がクランプ状態OFFとなる。メインシリンダ機構233は、グリップシリンダ機構232を進退変位させてクランプ機構231を伝熱管132に挿入退出させる機構である。具体的には、ベース2が管板面137aに設置された状態にて、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を押し上げることにより、グリップシリンダ機構232が管板面137aに当接して、クランプ機構231が伝熱管132に挿入される。また、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を引き下げることにより、グリップシリンダ機構232が管板面137aから離隔して、クランプ機構231が伝熱管132から引き抜かれる。
[ベースの歩行ロジック]
図24〜図33は、ベースの歩行ロジックを示す説明図である。これらの図は、ベース2が管板面137aを歩行するときのウイング22a、22bおよびクランパ23a、23bの基本動作の実施例を示している。なお、ベース2の歩行ロジックは、この実施例に限定されない。
この実施例では、ベース2は、相互に直交するウイング22a、22bを交互にスライド変位させつつ、伝熱管132に対するクランパ23a、23bのクランプ位置を順次移動させることにより、管板面137aに沿って移動する。また、対向する一対のウイング22a、22a;22b、22bが同時に駆動される。ここでは、ベース2が図中の左方向から右方向に移動する場合について説明する(図24〜図33参照)。
ベース2の停止状態では、ベース2がすべてのクランパ23a、23bの先端部を伝熱管132に挿入して伝熱管132をクランプしている(図19、図21および図23参照)。このとき、各クランパ23a、23bでは、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を押し上げ、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側から引き込むことにより、クランプ機構231のクランプ状態がONとなっている(図24参照)。この状態では、ベース2が管板面137aにしっかりと固定された状態にある。
ベース2の移動時には、まず、ベース2の移動方向にスライド変位できるウイング22bのクランパ23bにて、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側に押し込む(図25参照)。すると、クランプ機構231のクランプ状態がOFFとなる。次に、このクランパ23bにて、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を引き下げる(図26参照)。この状態では、ベース本体21が残りのウイング22a(図示省略)のクランパ23a(クランプ状態ON)により支持されている。そして、このクランプ状態OFFとなったクランパ23bを有するウイング22bがベース2の移動方向にスライド変位する(図27参照)。
次に、この移動したクランパ23bにて、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を押し上げて管板面137aに当接させる(図28参照)。そして、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側から引き込むことにより、クランプ機構231のクランプ状態がONとなる。これにより、すべてのクランパ23a、23bのクランプ状態がONとなる。
次に、ベース2の移動方向に直交する方向のウイング22a(図示省略)のクランパ23aにて、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側に押し込む(図29参照)。すると、クランプ機構231のクランプ状態がOFFとなる。次に、このクランパ23aにて、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を引き下げる(図30参照)。この状態では、ベース本体21が移動方向のウイング22bのクランパ23bにより支持されている。
次に、ベース本体21とクランプ状態OFFとなったウイング22a(図示省略)とが、ベース2の移動方向にスライド変位する(図31参照)。具体的には、クランプ状態ONのウイング22bが駆動されてベース2の移動方向の逆側に向かってスライド変位することにより、ベース本体21とウイング22a(図示省略)とがクランプ状態ONのウイング22bに対して相対的に変位する。これにより、ベース2が管板面137aに対して移動する(図32参照)。
次に、このベース本体21と共に移動したクランパ23aにて、メインシリンダ機構233がグリップシリンダ機構232を押し上げて管板面137aに当接させる(図33参照)。そして、グリップシリンダ機構232がクランプ機構231のテーパロッドを伝熱管132側から引き込むことにより、クランプ機構231のクランプ状態がONとなる(図24に戻り参照)。これにより、すべてのクランパ23a、23bのクランプ状態がONとなり、ベース2が最初の停止状態に戻る。
そして、ベース2が、上記の動作を繰り返し行うことにより、管板面137aに沿って任意の距離を移動できる。また、ベース2が、相互に直交するウイング22a、22bを用いることにより、管板面137a上を任意の方向に移動できる(図3参照)。
[水室内作業装置の搬入工程の具体例]
水室内作業装置1の搬入工程(図7参照)では、ベース設置ステップST2(図7および図10〜図12参照)にて、ベース2(ベース2および中間リンク3の組立体)がすべてのウイング22a、22bを閉じた状態(図22参照)で水室134に搬入されることが好ましい。すると、ベース2がウイング22a、22bを開いた状態(図18参照)で搬入される構成と比較して、組立体2、3がコンパクト化されるので、水室134への搬入作業および管板面137aへの設置作業が容易化される。
また、マニピュレータ4の後段部42、前段部41およびツール5の取付作業時(ステップST4、ST5)(図7、図14および図15参照)では、ベース2がすべてのウイング22a、22bを開いて管板面137aに設置された状態(図19〜図21参照)とすることが好ましい。特に、マニピュレータ4の前段部41およびツール5の取付作業時には、マニピュレータ4の重量がベース2のクランパ23a、23bに作用する。したがって、この取付作業時にて、ベース2がすべてのウイング22a、22bを開いた状態とすることにより、ベース2に作用するモーメントを低減できる。これにより、マニピュレータ4の取付作業時におけるベース2のクランプ外れが防止される。
同様に、ツール5の交換作業時にも、ベース2がすべてのウイング22a、22bを開いて管板面137aに設置された状態(図19〜図21参照)とすることが好ましい。これにより、ベース2に作用するモーメントを低減できるので、ツール5の交換作業時におけるベース2のクランプ外れが防止される。
さらに、ツール5の取付作業時(ステップST5)および交換作業時には、マニピュレータ4の通電を解除した状態とすることが好ましい。すなわち、マニピュレータ4の間接部を外力に対してフリーにした状態で、ツール5の取付作業および交換作業が行われることが好ましい。これにより、ベース2に作用するモーメントを低減できるので、ツール5の取付作業時および交換作業時におけるベース2のクランプ外れが防止される。
また、水室内作業時(図5参照)には、ベース2がすべてのウイング22a、22bを開いて管板面137aに設置された状態(図19〜図21参照)とすることが好ましい。これにより、ベース2に作用するモーメントを低減できるので、水室内作業時におけるベース2のクランプ外れが防止される。
さらに、水室内作業装置1の移動時(図6参照)には、ベース2のクランプ状態が一方向のウイング22a;22bにてOFFとなる(例えば、図26および図27参照)。このとき、マニピュレータ4の重心がベース本体21に対して鉛直方向真下にあることが好ましい(図示省略)。例えば、水室内作業装置1の移動時には、まず、ベース2がすべてのウイング22a、22bを開いて管板面137aに設置された状態(図19〜図21参照)にて、マニピュレータ4の重心がベース本体21に対して鉛直方向真下となるように、マニピュレータ4が前段部41を折り畳む(図示省略)。そして、この状態にて、ベース2が管板面137aを移動する(図24〜図33参照)。これにより、ベース2に作用するモーメントを低減できるので、水室内作業装置1の移動時におけるベース2のクランプ外れが防止される。
[効果]
以上説明したように、この水室内作業装置1は、管板面137aにある伝熱管132を保持して管板面137aに固定されるベース2と、このベース2に連結されると共に水室130内に吊り下げられて配置されるマニピュレータ4とを備える(図1参照)。そして、ベース2が、マニピュレータ4に連結されるベース本体21と、このベース本体21に対して進退変位できるウイング22a、22bと、このウイング22に配置されると共に伝熱管132に挿入されて伝熱管132をクランプ保持するクランパ23a、23bとを有する(図3および図18〜図23参照)。かかる構成では、ベース2がウイング22a、22bを進退変位させてクランパ23a、23bの保持位置を移動させることにより、管板面137aに沿って移動できる(図6および図24〜図33参照)。したがって、マニピュレータ4の起点となる位置(ベース2の固定位置)を管板面137aにて移動させ得るので、水室131、133内の異なる位置を起点として水室内作業を行い得る。これにより、水室130内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この水室内作業装置1では、ベース2が相互に異なる方向に独立して進退変位できる少なくとも一対のウイング22a、22bを有する(図3および図18〜図23参照)。かかる構成では、ベース2が一対のウイング22a、22bを交互に進退変位させることにより、水室130を管板面137aに沿って任意の方向に移動できる。これにより、水室130内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この水室内作業装置1は、ベース2とマニピュレータ4とを連結する連結リンク3を備える(図2および図3参照)。そして、マニピュレータ4が基本姿勢の基準軸mを連結リンク3の回転軸lに対して所定の傾斜角θにて傾斜させて連結リンク3に連結される。かかる構成では、マニピュレータ4が、ベース2を起点として吊り下げられた状態にて、その基本姿勢の基準軸mを管板面137aの法線方向に対して傾斜させる。したがって、水室131、133が管板面137aを天井とした1/4球状の室内形状を有するときに、マニピュレータ4の向きを水室131、133の床面および壁面の双方に対して容易に変化させ得る。これにより、水室131、133の隅々までツール5を移動させ得るので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この水室内作業装置1では、マニピュレータ4が分割構造を有する(図14および図15参照)。かかる構成では、マニピュレータ4の設置時にて、マニピュレータ4を分割してベース2あるいは中間リンク3に組み付け得る。したがって、重量のあるマニピュレータ4を組み付けるときに、伝熱管132に対するベース2のクランプ保持が外れる事態が抑制される。これにより、伝熱管132をクランプ保持する方式のベース2に対してマニピュレータ4を安全に設置できる利点がある。
また、この水室内作業方法では、水室内作業装置1が、管板面137aにある伝熱管132をクランプ保持するベース2を備えると共に、この伝熱管132に対するクランプ保持位置を移動させることにより管板面137aに沿って移動する(図6および図24〜図33参照)。したがって、マニピュレータ4の起点となる位置(ベース2の固定位置)を管板面137aにて移動させ得るので、水室131、133内の異なる位置を起点として水室内作業を行い得る。これにより、水室130内における作業領域が拡大されるので、水室内作業の作業性が向上する利点がある。
また、この水室内作業方法では、水室内作業時あるいは水室内搬入時にて、ベース2がウイング22a、22Bを開いた状態で伝熱管132を保持する(図19〜図21参照)。これにより、ベース2に作用するモーメントを低減できるので、水室内作業時におけるベース2のクランプ外れが防止される利点がある。
また、この水室内作業方法では、水室内作業装置1の移動時にて、マニピュレータ4の重心がベース本体21に対して鉛直方向真下に配置される(図示省略)。かかる構成では、ベース2に作用するモーメントを低減できるので、水室内作業装置1の移動時におけるベース2のクランプ外れが防止される利点がある。
以上のように、この発明にかかる水室内作業装置および水室内作業方法は、蒸気発生器における水室内作業の作業性を向上できる点で有用である。
1 水室内作業装置
2 ベース
21 ベース本体
22a、22b ウイング
23a、23b クランパ
231 クランプ機構
232 グリップシリンダ機構
233 メインシリンダ機構
24 ウインチ
3 連結リンク
31 取付面
4 マニピュレータ
41 前段部
42 後段部
5 ツール
10 治具
11 ベース搬入取付治具
12 ワイヤ
13 取付治具
14 治具
16 クレーン装置
100 原子力プラント
110 原子炉容器
120 加圧器
130 蒸気発生器
131 入口側水室
132 伝熱管
133 出口側水室
134 仕切板
135 入口管台
136 出口管台
137 管板
137a 管板面
138 マンホール
140 ポンプ
150 一次冷却材管

Claims (7)

  1. 蒸気発生器の水室の管板面から吊り下げられると共に遠隔操作により駆動されて水室内作業を行う水室内作業装置であって、
    前記管板面にある伝熱管を保持して前記管板面に固定されるベースと、前記ベースに連結されると共に前記水室内に吊り下げられて配置されるマニピュレータとを備え、
    前記ベースが、マニピュレータに連結されるベース本体と、複数のウイングと、前記ウイングに配置されると共に前記伝熱管に挿入されて前記伝熱管をクランプ保持するクランパと、前記複数のウイングを前記ベース本体に対して相互に異なる方向に独立してスライド変位させて前記ベース本体から突出および前記ベース本体に収納するスライド機構とを有し、且つ、
    すべての前記ウイングが、前記ベース本体の側面から相互に独立して突出および収納可能に前記ベース本体に対して配置されることを特徴とする水室内作業装置。
  2. 前記クランパが、テーパロッドおよびコッタから成るクランプ機構を備え、且つ、
    前記クランプ機構が、前記テーパロッドを前記コッタに嵌め合わせることにより前記コッタを拡径して前記伝熱管をクランプすると共に、前記テーパロッドを前記コッタから引き抜くことにより前記コッタを縮径して前記伝熱管のクランプを解除する請求項1に記載の水室内作業装置。
  3. 前記ベースと前記マニピュレータとを連結する連結リンクを備え、且つ、前記マニピュレータが基本姿勢の基準軸を前記連結リンクの回転軸に対して所定の傾斜角にて傾斜させて連結される請求項1または2に記載の水室内作業装置。
  4. 前記マニピュレータが分割構造を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の水室内作業装置。
  5. マニピュレータを備える水室内作業装置を蒸気発生器の水室の管板面から吊り下げると共に遠隔操作により駆動して水室内作業を行う水室内作業方法であって、
    前記水室内作業装置が前記管板面にある伝熱管をクランプ保持するベースを備えると共に前記伝熱管に対するクランプ保持位置を移動させることにより前記管板面に沿って移動し、
    前記ベースが、前記マニピュレータに連結されるベース本体と、前記ベース本体に対して相互に異なる方向に独立して進退変位できる複数のウイングと、前記ウイングに配置されると共に前記伝熱管に挿入されて前記伝熱管をクランプ保持するクランパとを有すると共に、すべての前記ウイングが、前記ベース本体の側面から相互に独立して突出および収納可能に前記ベース本体に対して配置され、且つ、
    前記ベースが、すべての前記ウイングを閉じた状態で前記水室のマンホールから前記水室に搬入されることを特徴とする水室内作業方法。
  6. 前記ベースが相互に異なる方向に独立して進退変位できる少なくとも一対の前記ウイングを有し、且つ、水室内作業時にて、前記ベースが前記ウイングを開いた状態で前記伝熱管を保持する請求項5に記載の水室内作業方法。
  7. 水室内作業装置が前記水室の管板面から吊り下がり前記伝熱管をクランプ保持して移動する時に、前記マニピュレータの重心が前記ベース本体に対して鉛直方向真下に配置される請求項5または6に記載の水室内作業方法。
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