JP2007181762A - フィルタエレメントの取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンルームの内部に流入される外気に混入された凍結防止剤を除去するためのフィルタエレメントを車両に容易に設けることができる取付構造を提供する。
【解決手段】上下方向に延びるレール30,60が形成され、ラジエータ12の前面左右辺縁部に支持されてラジエータグリル11とラジエータ12の間に位置して設けられる左右一対のガイド部材3,6と、これらガイド部材3,6のそれぞれの上端部に設けられる左右一対の固定保持部材4,7とから構成され、フィルタエレメント8を、矩形平板状の濾材81を有して構成し、上下の辺縁の長さをレール30,60の対向間隔Xと略等しく成形するとともに左右の辺縁の長さをレール30,60の上下幅Zと略等しく成形し、左右の辺縁をレール30,60に沿わせて上下方向にスライドさせることによりラジエータグリル11とラジエータ12との間に位置して着脱自在に装着させる。
【選択図】図1
【解決手段】上下方向に延びるレール30,60が形成され、ラジエータ12の前面左右辺縁部に支持されてラジエータグリル11とラジエータ12の間に位置して設けられる左右一対のガイド部材3,6と、これらガイド部材3,6のそれぞれの上端部に設けられる左右一対の固定保持部材4,7とから構成され、フィルタエレメント8を、矩形平板状の濾材81を有して構成し、上下の辺縁の長さをレール30,60の対向間隔Xと略等しく成形するとともに左右の辺縁の長さをレール30,60の上下幅Zと略等しく成形し、左右の辺縁をレール30,60に沿わせて上下方向にスライドさせることによりラジエータグリル11とラジエータ12との間に位置して着脱自在に装着させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンルームにラジエータグリルおよびラジエータを備えた車両に設けられるフィルタエレメントの取付構造に関する。
一般に車両には、エンジンルームの内部に設けられてエンジン冷却系を構成するラジエータに冷却風を供給するため、例えば格子状に成形されて通気窓を備えたラジエータグリルがエンジンルームの内部に前方に向いて設けられており、エンジンルームの内外がラジエータグリルを介して連通されている。ラジエータは、ラジエータグリルの後方に所定間隔をおいて設けられ、ラジエータグリルを介してエンジンルームの内部に流入した外気(走行風)が吹き付けられる。
ところで、路上に積もった雪を取り除くための作業車である除雪車には、凍結防止剤を路上に散布しながら走行可能に構成されたものがある。凍結防止剤は、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを主成分としており、路上に散布されることにより、氷や雪などの路上水分の凝固点が降下して路面の凍結防止が図られる。
このような除雪車により除雪された路上を走行しているときは、ラジエータグリルを介してエンジンルームの内部に流入する外気に凍結防止剤が混入されるおそれがある。特に、除雪車においては、自身が凍結防止剤を散布しているときに、そのおそれが高くなる。塩化ナトリウム等を主成分とする凍結防止剤がエンジンルームの内部に導かれると、エンジンルームの内部に設けられた各種の機器類や配管に錆等が発生し、これら機器類等の腐食や劣化の原因になるおそれがあった。
このような問題に鑑み、本発明は、エンジンルームの内部に流入する外気に混入された凍結防止剤を除去するフィルタエレメントを車両に容易に設けることができるフィルタエレメントの取付構造を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明に係るフィルタエレメントの取付構造は、エンジンルームの内部に前方に向いて設けられてエンジンルームの内外を連通するラジエータグリルと、エンジンルームの内部にラジエータグリルの後方に所定間隔をおいて設けられる平板状のラジエータとを備えた車両に設けられるフィルタエレメントの取付構造であって、それぞれ上下方向に延びるレールが形成され、ラジエータの前面左右辺縁部に支持されて、ラジエータグリルとラジエータの間に位置して設けられる左右一対のガイド部材と、これらガイド部材のそれぞれの上端部に設けられる左右一対の固定保持部材とから構成される。そして、フィルタエレメントを、矩形平板状の濾材を有して構成し、上下の辺縁の長さをレールの対向間隔と略等しく成形するとともに左右の辺縁の長さをレールの上下幅と略等しく成形し、左右の辺縁のそれぞれを左右一対のガイド部材のレールに沿わせて上下方向にスライドさせることによりラジエータグリルとラジエータとの間に位置して左右一対のガイド部材に着脱自在に装着させ、このようにして装着させたときに固定保持部材により固定保持させるように構成している。
また、固定保持部材を、ガイド部材の上端部にレールに対して前方に延びて設けられるブラケットと、ブラケットに固着されたナットと、ナットに螺合されて回転操作に応じて上下方向に移動可能なボルトと、ボルトに挿入されてブラケットよりも上方に位置し、ボルトの軸直交方向に突出する平板状の舌片部が形成され、ボルトに沿って上下方向に移動可能であり、少なくとも舌片部をレールの前方に位置させた退避位置と、平面視において舌片部をレール上に位置させた固定位置との間でボルトの軸を中心に揺動可能なストッパと、ボルトに挿入されてストッパとボルトの頭頂部との間に位置する弾性部材とから構成するとともに、レールの下端部にフィルタエレメントの下辺縁を支持する支持面を形成し、固定保持部材を、フィルタエレメントが装着されたときに、ストッパを上記固定位置に揺動させて舌片部をフィルタエレメントの上辺縁に上方から当接させてボルトを下方に移動させることにより弾性部材からストッパに下方に付勢力を発揮させ、舌片部を支持面とともにフィルタエレメントを上下方向に支持させるように構成してもよい。
なお、濾紙部を有して構成され、上下の辺縁の長さが前記レールの対向間隔と略等しく成形されるとともに左右の辺縁の長さがレールの上下幅よりも短く成形された複数のフィルタアセンブリを上下に積み重ねてフィルタエレメントを構成することが好ましい。
このように構成される本発明に係るフィルタエレメントの取付構造においては、ラジエータの前面左右辺縁に取り付けられてラジエータグリルとラジエータとの間に位置するガイド部材に上下に延びるレールが形成されており、このレールに沿って案内されることにより外形輪郭が矩形平板状のフィルタエレメントが着脱自在に装着される。レールに挿入されたフィルタエレメントは、左右一対のガイド部材により、エンジンルームの内部にラジエータグリルとラジエータの間に位置して保持される。このとき、フィルタエレメントは、固定保持部材により支持されるとともに、上下の辺縁の長さがレールの対向間隔とほぼ等しいことから、レールにより左右方向の移動が規制される。このように、左右一対のガイド部材をラジエータグリルとラジエータとの間にフィルタエレメントの装着を案内するレールが形成された部材を取り付けるだけで、ラジエータグリルからエンジンルームの内部に流入した外気に混入される凍結防止剤を捕捉するフィルタエレメントを簡単に装着できるとともに安定して保持することができ、エンジンルームの内部に配設される各種の機器類や配管の発錆が抑えられる。
また、固定保持部材を、回転操作に応じて上下方向に移動するボルトと、ボルトの軸直交方向に平板状に突出した舌片部を有してボルトの軸を中心に揺動可能なストッパと、ストッパの上方に位置する弾性部材とから構成すると、ガイド部材に装着された状態のフィルタエレメントの上辺縁に対して上方から舌片部を当接させるようにストッパを揺動させ、ボルトを下方に移動させることにより、弾性部材からストッパに下向きの付勢力を作用させることができる。これにより、レールの下端部に形成されてフィルタエレメントの下辺縁を支持する支持面と、下向きに付勢されるストッパの舌片部とによりフィルタエレメントを上下方向に挟持でき、フィルタエレメントを安定して固定できる。また、このように安定して固定させる作業を、ストッパの揺動操作とボルトの回転操作だけで行わせることができる。フィルタエレメントを取り外すときについても同様に、ボルトを上方に移動させる回転操作とストッパを退避位置に揺動させる操作だけで簡単にフィルタエレメントが上下方向に挟持されている状態を解除できる。
なお、フィルタエレメントを着脱するときにおいては、レールに案内されていない部分を退避させるためのスペースをレールの上方に確保する必要があるとともに、フィルタエレメントをレールの上端部まで持ち上げる必要がある。本発明では、フィルタエレメントが、左右の辺縁の長さをレールの上下幅よりも短く成形した複数のフィルタアセンブリから構成され、これら複数のフィルタアセンブリが上下に積み重ねられてレールに案内される。したがって、それぞれのフィルタアセンブリを着脱するときにおいて、レールの上方に確保する必要のあるスペースを小さくでき、フィルタエレメントの着脱性を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、各図に示す矢印Uの方向を上方、矢印Rの方向を右方、矢印Fの方向を前方とする。この方向は、本発明に係る取付構造を設けた車両の方向に対応している。
本実施例の取付構造1は、除雪車に設けられており、図1,図2に示すように、除雪車のラジエータグリル11とラジエータ12の間に位置して設けられる左右一対のガイド部材3,6と、両ガイド部材3,6のそれぞれの上端部に設けられた左右一対の固定保持部材4,7とから構成され、両ガイド部材3,6に形成されるガイドレール30,60に沿って上下にスライドさせることにより着脱自在に装着されるフィルタエレメント8を備える。
除雪車は、走行しながら路上の雪を取り除くための除雪装置を備えるとともに、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを主成分とする凍結防止剤を路上に散布するための散布装置を備えて構成される作業車両であり、車両前部にエンジンルーム10が形成され、このエンジンルーム10の内部にエンジンを始めとして各種の機器類や配管等が収容される。エンジンルーム10には、格子状に成形されたラジエータグリル11が前方に向けて設けられており、このラジエータグリル11によりエンジンルーム10の内部と外部とが前後方向に連通される。エンジンルーム10の内部には、ラジエータグリル11の後方に所定間隔dをおいて、エンジン冷却系を構成するラジエータ12が設けられている。除雪車が走行すると、外気(走行風)がラジエータグリル11を介してエンジンルーム10の内部に流入してラジエータ12に吹き付けられ、ラジエータ12に供給されるクーラントが冷却される。
ラジエータ12は、矩形平板状のコアの周囲に、クーラントを蓄えるタンクとクーラントを給排するための配管を取り付ける配管接続部とが一体成形された枠が取り付けられ、さらに補強のために前面に囲い板13が取り付けられて構成される。この囲い板13は、ラジエータ12との当て面から前方に向けて折り曲げ成形されるとともに、さらに、左右に延びるように折り曲げ成形されている。また、囲い板13の左右辺縁部のそれぞれには、上下にネジ孔が設けられており、これらネジ孔を介して囲い板13の補強メンバであるクロスバー14,14がボルトを用いて固定される。
図1〜図4に示すように、左部ガイド部材3および左部固定保持部材4は、一体の左部取付部材2を構成している。また、右部ガイド部材6および右部固定保持部材7についても、同様に一体の右部取付部材5を構成している。
両ガイド部材3,6は、同一の構成要素で構成されており、左右対称の関係になっている。両ガイド部材3,6はそれぞれ、上下左右に延びる矩形平板状に成形された基板31,61と、上下左右に延びる矩形平板状の平板部32a,62aおよび左右内側辺縁部を直角に折り曲げて成形された折曲部32b,62bからなる当て板32,62と、平面視L字状に形成されて上下に延びるアングル33,63とから構成される。各部品31〜33,61〜63は、アルミニウム等の金属材から成形され、上下の長さが所定長さZに成形される。
当て板32,62の平板部32a,62aは、基板31,61に重ね合わせられて所定の接合手段により基板31,61に接合され、基板31,61および当て板32,62の平板部32a,62aを貫通して上下に並んで複数のネジ孔3a〜3d,6a〜6dが設けられている。基板31,61および当て板32,62が接合された状態では、基板31,61の左右内側辺縁部が当て板32,62の折曲部32b,62bに対して左右内側に突出しており、基板31,61には、折曲部32b,62bに対して左右内側に突出する突出壁31a,61aが形成される。アングル33,63は、前後壁33a,63aが折曲部32b,62bの左右内側の面に接合され、左右壁33b,63bが基板31,61の突出壁31a,61aと平行に対向される。両ガイド部材3,6には、基板31,61の突出壁31a,61aと、アングル33,63の前後壁33a,63aと、左右壁33b,63bとにより囲まれ、左右内側に開放面を有した平断面視コ字状の左部ガイドレール30および右部ガイドレール60が形成される。基板31,61の突出壁31a,61aとアングル33,63の左右壁33b,63bとの対向間隔は、所定長さYに設定されている。また、図3に示すように、両ガイドレール30,60の下端部には、底板34,64が取り付けられており、この底板34,64により両ガイドレール30,60には後述する支持面30a,60aが形成される。なお、基板31,61の突出壁31a,61aの上端部には切り欠きが形成されており、この切り欠きに平面視矩形状のステー35,65が設けられている。
図2,図4に示すように、両固定保持部材4,7は、それぞれ同一の構成要素から構成されており、左右対称の関係になっている。左部固定保持部材4はステー35を介して左部ガイド部材3に接合され、右部固定保持部材7はステー65を介して右部ガイド部材6に接合される。両固定保持部材4,7はそれぞれ、ガイド部材3,6のステー35,65に固着されたナット41,71と、ナット41,71に螺合される蝶ボルト42,72と、蝶ボルト42,72に挿入されてステー35,65の上方に位置するストッパ43,73と、蝶ボルト42,72に挿入されて蝶ボルト42,72の頭頂部42a,72aおよびストッパ43,73の間に位置するスプリング44,74とから構成される。
以下では図4を参照して右部固定保持部材7について説明するが、左部固定保持部材4は右部固定保持部材7と左右対称の関係で同様にして構成されている。スプリング74は、内径が蝶ボルト72に挿入されたときに蝶ボルト72の頭頂部72aの下面に当接可能に設定されている。ストッパ73は、金属材で成形された矩形平板が断面コ字状に折り曲げられてなり、互いに平行な上壁73aおよび下壁73bと、上壁73aおよび下壁73bを繋ぐ側壁73cとからなる。ストッパ73の上壁73aおよび下壁73bには、蝶ボルト72の径よりも僅かに大きな円孔が同軸上に形成されており、これら円孔にスプリング74が既に挿入された状態の蝶ボルト72が挿入される。また、上壁73aは側壁73cから先端部までの長さが下壁73bよりも長く、上壁73aには下壁73bに対して蝶ボルト72の軸直交方向に突出する舌片部73dが形成される。ステー65には、蝶ボルト72の径よりも大きな円孔が貫通して形成されている。ナット71は、ステー65の下面に固着されており、ステー65に形成された円孔と同軸上に設けられる。スプリング74およびストッパ73が挿入された蝶ボルト72が上方からステー65の円孔に挿入されてナット71に螺合され、右部固定保持部材7が組み付けられる。ストッパ73は、蝶ボルト72の軸方向に自由に移動可能になっているとともに、少なくとも舌片部73dを左方に向けた退避位置と、舌片部73dを後方に向けた固定位置との間で、蝶ボルト72の軸を中心に揺動可能になっている。
このように構成されるガイド部材と固定保持部材とが一体化された左部取付部材2および右部取付部材5を車両側に取り付けるときには、予め囲い板13に取り付けられているクロスバー14,14を固定するための取り付けるボルトを取り外し、当て板31,61をラジエータ12の囲い板13に突き当て、基板31,61および当て板32,62を貫通して設けたネジ孔35,65に基板31,61側からボルトが挿入されて囲い板13に螺合される。なお、このとき、クロスバー14,14を固定するために用いられていたボルトは、両ガイド部材3,6の上下に設けられたネジ孔3a,3d,6a,6bに再び挿入される。これにより、両取付部材2,5は囲い板13を介してラジエータ12の前面の左右辺縁部に固定される。このように両取付部材2,5がラジエータ12に固定された状態において、左部ガイド部材3のアングル33の前後壁33aと、右部ガイド部材6のアングル63の前後壁63aとの対向間隔は、所定長さXに設定されている。
フィルタエレメント8は、同一の構成でそれぞれ別体の3組のフィルタアセンブリ80a〜80cから構成される。図5に示すように、各フィルタアセンブリ80は、矩形平板状に形成された濾紙部81と、アルミニウム等の金属材により外郭が濾紙部81と同じサイズの矩形状に成形されて濾紙部81の前後を挟持する金網82,83と、アルミニウム等の金属材により矩形枠状に成形されて濾紙部81および金網82,83を保持する保持枠84とから構成され、全体が矩形平板状に成形される。フィルタアセンブリ80は、左右幅(上下の辺縁の長さ)xが両ガイドレール30,60の左右幅Xとほぼ等しく(僅かに短く)成形され、前後幅(上下の辺縁の厚さ)yが両ガイドレール30,60の前後幅Yとほぼ等しく(僅かに短く)成形され、上下幅(左右の辺縁の長さ)zが両ガイドレール30,60の上下幅Zのおよそ三分の一に成形される。
濾紙部81には、PET等で製作された不織布が用いられている。不織布の目地の粗さは、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを主成分とする凍結防止剤を捕捉可能である一方、外気を通過させる前と通過させた後とで圧力損失がなるべく小さくなるように設定されている。金網82,83には、エキスパンドメタルが用いられており、その網目は、上記圧力損失に影響を及ぼすことがない程度に十分に大きく成形されている。保持枠84は、それぞれ矩形枠体の辺を形成する4個のフレーム部材84a〜84dから構成される。各フレーム部材84a〜84dは断面コ字状に形成されており、各フレーム部材84a〜84dの凹部84eに、金網82,83により挟持された濾紙部81の辺縁部が金網82,83の辺縁部とともに収容される。4個のフレーム部材84a〜84dの凹部84eに濾紙部81および金網82,83の辺縁部が収容されると、フレーム部材84a〜84dの突き合わせ部分が所定の接合手段で接合されたり、各フレーム部材84a〜84dが金網82,83にかしめられたりして、保持枠84の内部に濾紙部81および金網82,83が保持される。濾紙部81は、金網82,83に挟持された状態で保持枠84の内部にしっかりと保持される。
このように構成されるフィルタアセンブリ80は、ストッパ43,73を退避位置に揺動させたのち、1組ずつ両ガイドレール30,60に沿わせて下方にスライドさせながら挿入される。最初に挿入されたフィルタアセンブリ80cの下辺縁を形成するフレーム部材84bは、支持面30a,60aにより支持される。なお、フィルタアセンブリ80が全て挿入されると、図1に示すように、3組のフィルタアセンブリ80a〜80cが上下に積み重ねられた状態になる。上下に積み重ねられた3組のフィルタアセンブリ80a〜80c全体の上下幅は、ガイド3,6の上下幅Zとほぼ等しくなる。なお、図4(b)に示すように、最上位に位置するフィルタアセンブリ80aの上辺縁を形成するフレーム部材84aは、固定保持部材4,7のスプリング44,74を自然長にしたままでスプリング44,74の上端面を蝶ボルト42,72の頭頂部42a,72aの下面に当接させるとともにスプリング44,74の下端面をストッパ43,73の上壁43a,73aに当接させた状態におけるストッパ43,73の上壁43a,73aの下面よりも、上方に位置している。
次に、図2(b)に示すように、ストッパ43,73をスプリング44,74の付勢力に抗して上方に押し上げるとともに固定位置まで揺動させ、ストッパ43,73の舌片部43d,73dを上記フレーム部材84aに対して上方から当接させる。このような当接状態では、ストッパ43,73にはスプリング44,74からの下方への付勢力が作用し、フレーム部材84aには舌片部43d,73dからの押し付け力が作用する。
さらに、蝶ボルト42,72の頭頂部42a,72aを摘んで蝶ボルト42,72を締める方向に回転操作する。これにより、蝶ボルト42,72は、ナット41,71がステー44,64に固着されていることから、回転操作量に応じて下方に移動する一方、ストッパ43,73は、最初に挿入されたフィルタアセンブリ80cの下辺縁が支持面30a,60aにより支持されていることから、下方への移動が規制される。このため、スプリング44,74がさらに圧縮されて下方への付勢力が大きくなり、ストッパ43,73からフレーム部材84aに作用する押し付け力がさらに大きくなる。蝶ボルト42,72を適当なところまで締め付けると、3組のフィルタアセンブリ80a〜80cは、支持面30a,60aとストッパ43,73により上下方向に挟持されるとともに、互いの左右幅および前後幅がほぼ等しい両ガイドレール30,60により左右方向および前後方向への移動を規制されて固定保持される。このようにして左右一対のガイド部材3,6に対して装着されたフィルタエレメント8は、エンジンルーム10の内部において、ラジエータグリル11とラジエータ12の間に配置される。
一方、固定保持されたフィルタエレメント8を外部に取り出すときは、蝶ボルト42,72を緩める方向に回転操作し、蝶ボルト42,72を上方に移動させる。これにより、スプリング44,74の長さが次第に長くなってストッパ43,73を下方に付勢する力が次第に小さくなる。蝶ボルト42,72を適当なところまで緩め、ストッパ43,73を退避位置まで揺動させ、1組ずつフィルタアセンブリ80を上方に引き上げる。なお、ストッパ43,73を退避位置に揺動させて舌片部43d,73dがフレーム部材84aに係止された状態を解除するとストッパ43,73およびスプリング44,74は下方に落下するが、ストッパ43,73の下壁43b,73bがステー35,65に当接する。ステー35,65は、このようにストッパ43,73およびスプリング44,74の抜け止めとしても機能する。
なお、フィルタアセンブリ80を取り出すときには、完全に引き上げられる直前まで左右のフレーム部材84c,84dが両ガイドレール30,60に案内された状態になっているため、既に両ガイドレール30,60の案内を外れた部分を上方に退避させておくためのスペースを確保する必要がある。装着するときにも同様に、両ガイドレール30,60にまだ案内されていない部分を上方に退避させておくためのスペースを確保する必要がある。
このようにラジエータグリル11とラジエータ12との間にフィルタエレメント8が装着されていると、路面に凍結防止剤が散布されていてラジエータグリル11を介してエンジンルーム10の内部に流入する外気に凍結防止剤が混入されることがあっても、この外気がフィルタエレメント8を通過する過程で濾紙部81により凍結防止剤が捕捉される。したがって、フィルタエレメント8を通過した後には、凍結防止剤が混入されていない新鮮な外気がエンジンルーム10の内部に導かれるため、エンジンルーム10の内部の各種の機器類や配管の発錆を防止できる。なお、濾紙部81の目地の粗さが外気の通過前と通過後とでの圧力損失がなるべく小さくなるように設定されているため、ラジエータ12の冷却性能が著しく損なわれることがない。
また、予めクロスバー14,14が装着されているときには、そのクロスバー14,14を固定するためのボルトを用いて左右の取付部材2,5が固定される。このような取付部品の共用化により、左右の取付部材2,5をエンジンルーム10の内部に設けるにあたって新たに用意する必要がある部品の点数を削減できる。
なお、両ガイド部材3,6やフィルタアセンブリ80を構成する金網82,83および保持枠84をアルミニウムで成形することにより、小型軽量化が図られ、車両の重量増加量を低減できる。アルミニウムで成形することにより、各部品3,6,82,83,84は、凍結防止剤により腐食するおそれがあるが、フィルタアセンブリ80は簡単に着脱可能であり、簡単に新品と交換可能になっている。また、両ガイド部材3,6についても、ボルトを緩めることでラジエータ12から簡単に取り外すことができ、容易に新品と交換可能になっている。
また、本実施例の固定保持部材4,7は、ストッパ43,73の揺動操作と、蝶ボルト42,72の回転操作を行うだけで、スプリング44,74による付勢力を利用してフィルタエレメント8を舌片部43d,73dと支持部12dとにより上下方向に挟持でき、フィルタエレメント8のガイドレール30,60からの脱落を防止できる。また、このような固定保持部材4,7により、フィルタエレメント8を固定保持させるための作業を簡単な操作で行うことができる。なお、スプリング44,74の付勢力を変化させるための部材に蝶ボルト42,72を用いているため、人の手により簡単に操作できるようになっている。
また、本発明に係る取付構造においては、フィルタエレメント8の着脱時にフィルタエレメント8を上方に退避させることができるだけのスペースを確保する必要がある。ここで、本実施例では、フィルタエレメント8を、それぞれの上下幅zが、フィルタエレメント8として必要となる高さに相当する両ガイドレール30,60の上下幅Zのおよそ三分の一に設定された3組のフィルタアセンブリ80a〜80cを上下に積み重ねて構成している。したがって、上方に確保する必要のあるスペースもおよそ三分の一に小さくすることができ、フィルタエレメント8の着脱性の向上が図られる。
これまで本発明に係るフィルタエレメントの取付構造の実施例を説明したが、必ずしも上記実施例の構成に限られない。例えば、フィルタアセンブリ80の濾紙部81を挟持する金網82,83にエキスパンドメタルを用いたが、保持枠84との組み付けが可能で、外気の圧力損失に影響を与えることがないように成形されていれば、例えば織金網やパンチングメタルなど、他の網目状に成形されたものを用いても同様に実施できる。なお、エキスパンドメタルの場合、前後幅が一定に成形されるため、保持枠84との組付性や左右のガイド部材3,6に対する装着性において有利になる。
また、固定保持部材4,7のスプリング44,74が、蝶ボルト42,72およびストッパ43,73に対して自由になっているが、ストッパ43,73の揺動を妨げない限りにおいて、スプリング44,74の上端部を蝶ボルト52,72の頭頂部42a,72aの下面に固定したり、スプリング44,74の下端面をストッパ43,73の上壁43a,73aの上面に固定したりしてもよい。
また、フィルタエレメント8を、3組のフィルタアセンブリ80a〜80cを上下に積み重ねる形態としたが、フィルタアセンブリをより多くの組数に分割してもよい。ただし、あまりに分割数を多くすると、フィルタアセンブリの着脱作業に時間を要するおそれもあり、上記実施例のように3組程度であれば、上方に確保するスペースの省スペース化と着脱作業の容易化との両立を図る上で有利になる。
また、上記実施例では、本発明に係るフィルタエレメントの取付構造を、エンジンルームの内部に凍結防止剤が導かれるおそれの高い除雪車に設けるとしたが、ラジエータグリルを介してエンジンルームの内部に外気を流入させるように構成された車両であれば、同様に実施できる。このとき、この取付構造を設ける車両に応じて、ラジエータグリルおよびラジエータのサイズ、ラジエータグリルとラジエータとの対向間隔、クロスバーのサイズなどとの関係から適切にフィルタエレメントを装着できるように、両ガイドレール30,60やフィルタエレメント8の左右幅、前後幅および上下幅や、ガイド部材30,60のネジ孔3a〜3d,6a〜6dの配設位置は、適宜設定を変更できる。
1 取付構造
3 左部ガイド部材
4 左部固定保持部材
6 右部ガイド部材
7 右部固定保持部材
8 フィルタエレメント
10 エンジンルーム
11 ラジエータグリル
12 ラジエータ
30,60 ガイドレール
30a,60a 支持面
41,71 ナット
42,52 蝶ボルト(ボルト)
43,73 ストッパ
43d,73d 舌片部
44,74 スプリング(弾性部材)
80(80a〜80c) フィルタアセンブリ
81 濾紙部
3 左部ガイド部材
4 左部固定保持部材
6 右部ガイド部材
7 右部固定保持部材
8 フィルタエレメント
10 エンジンルーム
11 ラジエータグリル
12 ラジエータ
30,60 ガイドレール
30a,60a 支持面
41,71 ナット
42,52 蝶ボルト(ボルト)
43,73 ストッパ
43d,73d 舌片部
44,74 スプリング(弾性部材)
80(80a〜80c) フィルタアセンブリ
81 濾紙部
Claims (3)
- エンジンルームの内部に前方に向いて設けられて前記エンジンルームの内部と外部とを連通するラジエータグリルと、前記エンジンルームの内部に前記ラジエータグリルの後方に所定間隔をおいて設けられる平板状のラジエータとを備えた車両に設けられるフィルタエレメントの取付構造であって、
それぞれ上下方向に延びるレールが形成され、前記ラジエータの前面左右辺縁部に支持されて取り付けられ、前記ラジエータグリルと前記ラジエータとの間に位置して設けられる左右一対のガイド部材と、
前記ガイド部材のそれぞれの上端部に設けられる左右一対の固定保持部材とから構成され、
前記フィルタエレメントは、矩形平板状の濾材を有して構成され、上下の辺縁の長さが前記レールの対向間隔と略等しく成形されるとともに左右の辺縁の長さが前記レールの上下幅と略等しく成形され、前記左右の辺縁のそれぞれを前記左右一対のガイド部材の前記レールに沿わせて上下方向にスライドさせることにより前記ラジエータグリルと前記ラジエータとの間に位置して前記左右一対のガイド部材に着脱自在に装着され、装着されたときに前記固定保持部材により固定保持されることを特徴とするフィルタエレメントの取付構造。 - 前記固定保持部材は、
前記ガイド部材の上端部に前記レールに対して前方に延びて設けられるブラケットと、
前記ブラケットに固着されたナットと、
前記ナットに螺合されて回転操作に応じて上下方向に移動可能なボルトと、
前記ボルトに挿入されて前記ブラケットよりも上方に位置し、前記ボルトの軸直交方向に突出する平板状の舌片部が形成され、前記ボルトに沿って上下方向に移動可能であり、少なくとも前記舌片部を前記レールの前方に位置させた退避位置と、平面視において前記舌片部を前記レール上に位置させた固定位置との間で前記ボルトの軸を中心に揺動可能なストッパと、
前記ボルトに挿入されて前記ストッパと前記ボルトの頭頂部との間に位置する弾性部材とから構成され、
前記レールの下端部に、前記フィルタエレメントの下辺縁を支持する支持面が形成されており、
前記固定保持部材は、前記フィルタエレメントが装着されたときに、前記ストッパを前記固定位置に揺動させて前記舌片部を前記フィルタエレメントの上辺縁に上方から当接させて前記ボルトを下方に移動させることにより弾性部材から前記ストッパに下方に付勢力を発揮させ、前記舌片部が前記支持面とともに前記フィルタエレメントを上下方向に支持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメントの取付構造。 - 前記フィルタエレメントは、前記濾紙部を有して構成され、上下の辺縁の長さが前記レールの対向間隔と略等しく成形されるとともに、左右の辺縁の長さが前記レールの上下幅よりも短く成形された複数のフィルタアセンブリを上下に積み重ねて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタエレメントの取付構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006001098A JP2007181762A (ja) | 2006-01-06 | 2006-01-06 | フィルタエレメントの取付構造 |
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