JP4770169B2 - 燃料電池車両の補機搭載構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の補機をモータルーム内に搭載する燃料電池車両の補機搭載構造に関する。
従来、例えばガソリン車におけるエンジンルーム内の車両補機の搭載構造として、複数の車両補機をエンジンルーム内の側方部位に、車両前後方向に整列させて配置している(下記特許文献1参照)。
一方、燃料電池車両におけるモータルーム内の車両補機の搭載構造として、複数の車両補機をモータルーム内の車両前方位置に、車幅方向に沿って延びる補機フレーム上に配置している(下記特許文献2参照)。
特開平8−282305号公報 特開2004−243892号公報
ところで、燃料電池車両において、燃料電池を冷却する冷却水中に溶出するイオンを除去するイオンフィルタをモータルーム内に配置する場合には、イオンフィルタを、ラジエータに接続するリザーバタンクの車両後方に配置することが水流れ性能、フィルタ交換作業性から適している。
しかしながら、この部位のモータルーム内におけるイオンフィルタの車両後方には、ブレーキマスタシリンダが配置されていて、車両前面衝突時の性能悪化を考慮すると、イオンフィルタを、車両前方から見てブレーキマスタシリンダに重ならないように、車幅方向外側へずらし、サイドメンバやフードリッジ上に取り付ける必要が生じる。
ところが、イオンフィルタをサイドメンバやフードリッジ上に取り付ける場合には、イオンフィルタの大きさや質量から、取付構造が複雑になり、取付ブラケットの板厚・個数増などよる質量増や取付作業性の悪化を招く。
そこで、本発明は、冷却媒体を浄化する浄化装置を、車両前方から見てブレーキマスタシリンダに重なるように配置しても、車両前面衝突時の性能悪化を防止できるようにすることを目的としている。
本発明は、車両前部のモータルーム内で、冷却媒体を浄化する浄化装置を、前記モータルームの車両後端部に位置するダッシュパネルから車両前方に突出するブレーキマスタシリンダの車両前方に配置するとともに、燃料電池および燃料電池からの電力を受けて他の機器に供給する電力供給装置など、前記浄化装置より大きくかつ高強度な硬物ユニットの車幅方向側方に配置し、前記浄化装置の車両後端部と前記ブレーキマスタシリンダの車両前端部との間隔を、前記硬物ユニットの車両後端部と前記ダッシュパネルの車両前端部との間隔以上とし、前記浄化装置を、前記硬物ユニットを車体に取り付けるための取付部材に取り付けたことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、モータルーム内で、冷却媒体を浄化する浄化装置を、ブレーキマスタシリンダの車両前方に配置するとともに、硬物ユニットの車幅方向側方に配置し、かつ浄化装置とその車両後方のブレーキマスタシリンダとの間隔を、硬物ユニットとその車両後方のダッシュパネルとの間隔以上としたので、車両前面衝突時には、浄化装置がブレーキマスタシリンダに接触する前に、硬物ユニットがダッシュパネルに接触し、浄化装置がブレーキマスタシリンダを車両後方へ押し付けることによる車両前面衝突時の性能悪化を防止することができる。
また、このとき硬物ユニットおよび浄化装置を同一の取付部材に固定していることから、これら両部品の前面衝突時の挙動が同等となり、上記した前面衝突性能悪化を確実に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す燃料電池車両におけるモータルーム1内の車両右側部分の簡略化した平面図、図2は図1のA−A矢視断面図である。なお、図1,図2中において矢印FRで示す方向が車両前方である。
車両前部にはラジエータ3を設置し、ラジエータ3の車幅方向右側位置における車両後方には、ラジエータ3と水配管5で接続するリザーバタンク7を設置する。水配管5は、ラジエータ3およびリザーバタンク7の上端部付近に接続している。ラジエータ3からリザーバタンク7に向けて流れる冷却媒体としての冷却水は、例えば車両床下に配置した燃料電池を冷却し、冷却後の冷却水はラジエータ3に戻りここで放熱する。
リザーバタンク7の車両後方の車両右側位置には、リザーバタンク7と冷却媒体配管としての水配管9で接続するイオンフィルタ11を設置する。イオンフィルタ11は、冷却水が流れる水配管経路や各種部品から冷却水中に溶出するイオンを除去するもので、冷却水を浄化する浄化装置を構成している。上記した水配管9は、その一端をリザーバタンク7の上端部付近に、他端をイオンフィルタ11の上端部に、それぞれ接続している。
イオンフィルタ11のさらに車両後方側には、ブレーキマスタシリンダ13を設置している。ブレーキマスタシリンダ13は、モータルーム1と車室15とを仕切るダッシュパネル17に、車両前方側に突出するよう取り付けている。
図2に示すように、リザーバタンク7の下端部には、水配管19を接続し、その車両後方側は車両の床下に配索して図示しない燃料電池に接続する。また、イオンフィルタ11の車両後端部の上部には水配管21を接続し、その下流側は、燃料電池に供給する水素ガスや空気を加湿するための図示しない加湿器に接続する。これにより、燃料電池には、イオンを除去した純水により加湿した水素ガスおよび空気を供給でき、燃料電池の性能悪化を防止することができる。なお、図1では、水配管19,21は省略している。
図3は、上記したイオンフィルタ11の車体への取付構造を示す斜視図、図4はその要部を拡大した斜視図で、前記図1,図2に示したリザーバタンク7や水配管類は省略している。図3に示すように、車幅方向両側には、サイドメンバ23を車両前後方向に延長して設けてあり、この各サイドメンバ23相互間を、取付部材としての部品搭載メンバ25により連結している。
部品搭載メンバ25は、車両前後に一対のクロスロッド27,29を備え、これら各クロスロッド27,29相互を車両前後方向に延びる連結ロッド31,33で連結している。部品搭載メンバ25上の一対の連結ロッド31,33相互間に対応する位置には、硬物ユニットである電力供給装置としての電力分配装置35を取り付けている。
電力分配装置35は、モータルーム1内に収容する図示しない車両駆動用のモータや、燃料電池に供給する空気を圧縮する図示しないコンプレッサに、燃料電池から供給を受けた電力を分配する。硬物ユニットとしては、電力分配装置35に限らず、燃料電池(スタック)や、燃料電池からの電力を変換して電力分配装置35に供給する電力変換装置であってもよく、浄化装置であるイオンフィルタ11より大型でかつ高強度であればよい。
上記した電力分配装置35の車両右側に隣接する位置の部品搭載メンバ25上に、イオンフィルタ11を取り付けている。イオンフィルタ11は、部品搭載メンバ25における車両前方側のクロスロッド27側に位置しており、このクロスロッド27および連結ロッド31上に下部ブラケット37を取り付け、下部ブラケット37上にイオンフィルタ11を載置している。イオンフィルタ11の上部には、ほぼL字状に屈曲した上部ブラケット39を被せている。
下部ブラケット37は、イオンフィルタ11に対し車両前後方向に突出して上方に屈曲するフランジ部37a,37bをそれぞれ備え、この各フランジ部37a,37bに取付孔37c,37dをそれぞれ設ける。一方上部ブラケット39は、イオンフィルタ11に対し車両前後方向に突出する取付部39a,39bをそれぞれ備えている。
そして、締結ロッド41,43下部の屈曲部41a,43aを、下部ブラケット37の取付孔37c,37dに挿入して引っ掛け、締結ロッド41,43の上部に形成した雄ねじ部を、取付部39a,39bの貫通孔に挿入して、この雄ねじ部にナット45,47をそれぞれ締結する。これにより、イオンフィルタ11を、部品搭載メンバ25に取り付けている下部ブラケット37と上部ブラケット39との間で挟持固定する。すなわち、上記した締結ロッド41,43とナット45,47とで締結具を構成している。
このようにして、部品搭載メンバ25に取り付けたイオンフィルタ11の車両後端部は、図1に示すように、電力分配装置35の同後端部より車両前方に位置しており、イオンフィルタ11の車両後端部とブレーキマスタシリンダ13の車両前端部との間隔Lは、電力分配装置35の車両後端部とダッシュパネル17の車両前端部との間隔M以上となっている。また、イオンフィルタ11の車両前端部は、電力分配装置35の同前端部より車両後方に位置している。
次に作用を説明する。
図1に示すように、イオンフィルタ11とブレーキマスタシリンダ13との間隔Lを、電力分配装置35とダッシュパネル17との間隔M以上とすることで、車両の前面衝突時には、イオンフィルタ11がブレーキマスタシリンダ13に接触する前に、電力供給装置37がダッシュパネル17に接触する。これにより、イオンフィルタ11がブレーキマスタシリンダ13を車両後方に押し付け車室15側へ移動させることによる前面衝突性能悪化を防止することができる。
また、このとき電力分配装置35およびイオンフィルタ11を同一の部品搭載メンバ25に固定していることから、これら両部品の前面衝突時の挙動が同等となり、上記した前面衝突性能悪化を確実に防止することができる。
この際イオンフィルタ11を、車両前方から見てブレーキマスタシリンダ13に重ならないように車幅方向に移動させて配置する必要がなく、これにより、リザーバタンク7からイオンフィルタ11に繋がる水配管経路を、ほぼ直線状に設定できて屈曲する部位を減少させることができ、水配管の長さも短縮でき、冷却水の流れ抵抗減による流れ性能の向上および水配管全体の軽量化が達成できる。
また、イオンフィルタ11は高さ方向寸法を確保することで、フィルタ性能が向上するが、本実施形態では、イオンフィルタ11をブレーキマスタシリンダ13の車両前方に配置しているので、ブレーキマスタシリンダ13に車両前後方向で重ならないようにするために、例えばフードリッジ上に設置した場合に比較して、高さ方向の制限を受けにくく、高さ寸法を大きく確保することができ、フィルタ性能が向上する。
また、燃料電池冷却系の水配管は、モータルーム1内で、ラジエータ3,リザーバタンク7,イオンフィルタ11の3部品を順次つなぎ、床下に配置している燃料電池などのユニットにつながるのであるが、本実施形態では、リザーバタンク7の後方にイオンフィルタ11を配置することで、車両後方に向けて上記した3部品を一列に並べることができ、車幅方向への水配管の屈曲部位が減少し、これにより冷却媒体の流れ抵抗減による流れ性能の向上および水配管全体の軽量化が達成できる。
また、イオンフィルタ11を、冷却系部品の中では車両上下方向でリザーバタンク7の次に高い位置に配置し、かつモータルーム1内の他の部品の中でも高い位置に配置することにより、床下に配置する燃料電池への水配管経路が、車両上下方向で上から下へスムーズになることから、冷却媒体の流れ抵抗減による流れ性能が向上する。
ところで、電力分配装置35などの大型の硬物ユニットは、質量が大きいことから車体への取付けには、強度・剛性を考慮し、車体の構造部材であるサイドメンバ23の左右間を結ぶ前記した部品搭載メンバ25に締結し搭載している。
このような部品搭載専用の部品搭載メンバ25に、前記したイオンフィルタ11を固定することにより、例えばフードリッジ上にイオンフィルタ11を搭載する際の搭載用ブラケットを使用する場合に比較して、構造の複雑化や、ブラケットの板厚・個数増大による重量増しを回避することが可能となる。
また、イオンフィルタ11を、下部ブラケットと37と上部ブラケット39との間に配置し、前記各ブラケット37,39相互を車両上方からナット45,47を締結することで固定するようにしているので、イオンフィルタ11の取り付けおよび取り外し作業を簡潔に行うことができ、例えば工場での取付作業性や、イオンフィルタ11が交換部品であることから交換作業性が向上する。
また、ナット45,47の締結を車両上方から実施可能であるため、車両前後や左右から締結する場合に必要となる工具スペース確保が不要となり、モータルーム1内のスペース効率が向上する。
なお、冷却媒体の浄化装置として、イオンフィルタ11に代えて、例えば異物を除去する異物除去フィルタや、純水を除菌あるいは減菌する除菌フィルタを使用してもよい。
本発明の一実施形態を示す燃料電池車両におけるモータルーム内の車両右側部分の簡略化した平面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 イオンフィルタおよび電力供給装置の車体への取付構造を示す斜視図である。 図3の要部を拡大した斜視図である。
符号の説明
1 モータルーム
7 リザーバタンク
9 水配管(冷却媒体配管)
11 イオンフィルタ(浄化装置)
13 ブレーキマスタシリンダ
17 ダッシュパネル
25 部品搭載メンバ(取付部材)
35 電力分配装置(硬物ユニット)
37 下部ブラケット
39 上部ブラケット
41,43 締結ロッド(締結具)
45,47 ナット(締結具)

Claims (4)

  1. 車両前部のモータルーム内で、冷却媒体を浄化する浄化装置を、前記モータルームの車両後端部に位置するダッシュパネルから車両前方に突出するブレーキマスタシリンダの車両前方に配置するとともに、燃料電池および燃料電池からの電力を受けて他の機器に供給する電力供給装置など、前記浄化装置より大きくかつ高強度な硬物ユニットの車幅方向側方に配置し、前記浄化装置の車両後端部と前記ブレーキマスタシリンダの車両前端部との間隔を、前記硬物ユニットの車両後端部と前記ダッシュパネルの車両前端部との間隔以上とし、前記浄化装置を、前記硬物ユニットを車体に取り付けるための取付部材に取り付けたことを特徴とする燃料電池車両の補機搭載構造。
  2. 前記浄化装置を、冷却媒体を収容するリザーバタンクに対し、車両後方に配置して冷却媒体配管により接続することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の補機搭載構造。
  3. 前記浄化装置を、冷却系部品の中では車両上下方向で前記リザーバタンクの次に高い位置に配置したことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の補機搭載構造。
  4. 前記浄化装置を、前記取付部材上に取り付けた下部ブラケットと浄化装置の上部に設けた上部ブラケットとの間に配置し、前記各ブラケット相互間を、車両上方から締結可能な締結具によって締結固定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料電池車両の補機搭載構造。
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