JP2007180526A - 発光素子、発光装置並びに電子機器 - Google Patents

発光素子、発光装置並びに電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2007180526A
JP2007180526A JP2006320684A JP2006320684A JP2007180526A JP 2007180526 A JP2007180526 A JP 2007180526A JP 2006320684 A JP2006320684 A JP 2006320684A JP 2006320684 A JP2006320684 A JP 2006320684A JP 2007180526 A JP2007180526 A JP 2007180526A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
layer
organic compound
electrode
metal oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006320684A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5078329B2 (ja
JP2007180526A5 (ja
Inventor
Yuji Iwaki
裕司 岩城
Toshio Ikeda
寿雄 池田
Junichiro Sakata
淳一郎 坂田
Tetsushi Seo
哲史 瀬尾
Tomoya Aoyama
智哉 青山
Takahiro Kawakami
貴洋 川上
Masahiko Hayakawa
昌彦 早川
Yumiko Noda
由美子 野田
Koichiro Kamata
康一郎 鎌田
Ryoji Nomura
亮二 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2006320684A priority Critical patent/JP5078329B2/ja
Publication of JP2007180526A publication Critical patent/JP2007180526A/ja
Publication of JP2007180526A5 publication Critical patent/JP2007180526A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5078329B2 publication Critical patent/JP5078329B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】消費電力の低減と欠陥の発生の抑制を同時に実現する、新規な発光素子を提供する。また、消費電力の低減と欠陥の発生の抑制を同時に実現する発光装置、電子機器を提供する。
【解決手段】有機化合物中の原子のp軌道から、金属酸化物の金属原子のd軌道に電荷が移動している複合体を用いた新規な発光素子、発光装置、及び電子機器を提供する。複合体は高い導電性を有しているため、厚いバッファー層として用いても駆動電圧を低減することができる。よって、発光素子の消費電力を低減でき、欠陥の発生を抑制することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、電流励起型の発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置、電子機器に関する。
近年、発光性の有機化合物を用いた発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子およびホールがそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子およびホール)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。
このような発光素子は、例えば0.1μm程度の有機薄膜で形成されるため、薄型軽量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時間は1μ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。これらの特性は、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。
また、これらの発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
しかし、発光素子の実用化に向けての課題として、消費電力の低減がある。消費電力を低減するためには、電流効率を向上させる方法、駆動電圧を低減する方法の二種類が挙げられる。駆動電圧を低減する方法としては、PIN構造を使用する方法が報告されている(非特許文献1参照)。
PIN素子はP−ドープされた層とN−ドープされた層により構成されており、多くの研究者が最適なドナーやアクセプターおよびホストの探索を行っている。
発光素子の実用化に向けてのもう一つの課題は、電極間ショートである。電極間ショートは基板上に残った微粒子等に起因する。発光素子の薄膜の膜厚は、通常0.1μm程度であるため、0.1μm程度の微粒子でさえ、簡単に電極間のショートを引き起こす。電極間ショートが生じた発光素子は発光することができないため、これらは暗点として認識される。このような欠陥は、例えば発光素子をフラットパネルディスプレイ素子として用いる場合、ディスプレイパネルの商品価値を大きく下げてしまい、結果としてパネルコストの増大を引き起こす。
これらの電極間ショートを防止する方法の一つは、バッファー層の厚膜化である。しかし、多くの有機化合物は導電性が低いため、厚膜化することにより発光素子の消費電力は増大してしまう。
Jan Birnstock , et al., "Fully Organic PIN OLEDs with High Power Efficiency, Life time, and Thermal Stability", EuroDisplay 2005, 195(2005)
そこで本発明では、消費電力の低減と欠陥の発生の抑制を同時に実現する、新規な発光素子を提供する。また、消費電力の低減と欠陥の発生の抑制を同時に実現する発光装置、電子機器を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、有機化合物と金属酸化物から形成される有機化合物と金属酸化物の複合体を用いることにより、課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の一は、有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有し、前記有機化合物中の原子のp軌道から、前記金属酸化物の金属原子のd軌道に電荷が移動していることを特徴とする発光素子である。
上記構成において、金属原子は、遷移金属であることが好ましい。また、元素周期表における4乃至8族に属する金属であることが好ましい。特に、モリブデンであることが好ましい。
また、上記構成において、有機化合物は、芳香族アミン化合物であることが好ましい。有機化合物が芳香族アミン化合物である場合、芳香族アミン化合物の窒素原子のp軌道から、電荷が移動している。
また、上記構成において、前記有機化合物は、芳香族炭化水素であることが好ましい。
本発明は、上述した発光素子を有する発光装置も範疇に含めるものである。
また、本発明の一は、有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を有し、85℃で660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置である。
また、本発明の一は、有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を有し、−40℃で660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置である。
また、本発明の一は、有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を有し、85℃で4時間駆動、−40℃で4時間駆動を繰り返し、660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置である。
また、本発明の一は、有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を有し、85℃で4時間駆動、−40℃で4時間駆動を繰り返し、60時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、表示面積1000mmあたり3個以下であることを特徴とする発光装置である。
また、本発明の一は、有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を含む層を有し、各画素の発光色に応じて、前記有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を含む層の膜厚が異なることを特徴とする発光装置である。
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含むものとする。また、発光素子にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体は高い導電性を有しているため、厚いバッファー層として用いても駆動電圧を低減することができる。よって、発光素子の消費電力を低減することができる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体を用いて厚いバッファー層を形成することにより、欠陥の発生を抑制することができる。
よって、消費電力が低減され、欠陥の発生が抑制された発光素子、発光装置、並びに電子機器を提供することができる。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体について説明する。なお、本明細書中において、複合とは、単に2つの材料を混合させるだけでなく、分子レベルで混合し、これによって材料間での電荷の授受が行われ得る状態になることを言う。
本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体は、有機化合物と金属酸化物から構成される。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、有機化合物と金属酸化物の複合体に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N―フェニル−N−(スピロフルオレン−2−イル)]ビフェニル(略称:BSPB)などを挙げることができる。
また、以下に示す有機化合物を用いることにより、450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない有機化合物と金属酸化物の複合体を得ることができる。
450nm〜800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない有機化合物と金属酸化物の複合体に含まれる芳香族アミンとしては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、2,3,5,6−トリフェニル−1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン等を用いることができる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(ナフタレン−1−イル)−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ジ(4−メチルナフタレン−1−イル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(ナフタレン−1−イル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(ナフタレン−1−イル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(ナフタレン−1−イル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ジ(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、有機化合物と金属酸化物の複合体に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体に用いる金属酸化物としては、遷移金属酸化物が好ましい。また元素周期表における4乃至8族に属する金属の酸化物であることが好ましい。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすく好ましい。
有機化合物と金属酸化物の複合体を形成する方法としては、湿式法、乾式法を問わず、どのような手法を用いても良い。例えば、上述した有機化合物と金属酸化物とを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を作製することができる。また、上述した有機化合物と金属アルコキシドを含む溶液を塗布し、焼成することによって、有機化合物と金属酸化物の複合体を作製することができる。なお、有機化合物と金属酸化物の複合体を共蒸着法により形成する場合、酸化モリブデンは真空中で蒸発しやすいため、作製プロセスの面から好ましい。
本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体は高い導電性を示すことを確かめるため、抵抗率を測定した。
NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜を形成し、その抵抗率について測定した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の膜厚は200nmとし、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜に含まれるNPBと酸化モリブデンとの比率は、重量比でNPB:酸化モリブデン=1:0.25となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
NPBと酸化モリブデンとを用いた有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の抵抗率は、3×10Ω・cmであった。つまり、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の抵抗率は、他の有機層に比べて非常に小さい。この特徴が素子の厚膜化を可能にし、素子のショートを防止できる。また干渉等を利用した光学設計をする際にも適した膜厚を得ることが容易である。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体として、NPBと酸化モリブデンを混合させた有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜を用いた素子1を作製し、素子1の電圧−電流密度特性を測定した。図12に素子1の電圧―電流密度特性を示す。比較としてNPB膜を用いた比較素子2及び酸化モリブデン膜を用いた比較素子3のI−V特性も測定した。
素子1は、以下の方法で作製した。ガラス基板上に、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)を成膜し、ITO上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜を成膜した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚は200nmとし、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜に含まれるNPBと酸化モリブデンとの比率は、重量比では、NPB:酸化モリブデン=1:0.375となるように調節した。そして、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜上に、アルミニウム(Al)を成膜し、素子1を作製した。
比較素子2は、素子1の有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の代わりにNPB膜を200nmの膜厚で形成した。
比較素子3は、素子1の有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の代わりに酸化モリブデン膜を70nmの膜厚で形成した。
素子1および比較素子2、比較素子3の電圧−電流密度特性を図12に示す。NPB膜を用いた比較素子2と有機化合物と金属酸化物の複合体を用いた素子1を比べると、酸化モリブデンを混入することで極めて低抵抗になっているのがわかる。10mA/cm時で抵抗が約100分の1になった。
また、図12からわかるように、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜ではほぼオーミックな電極コンタクトが可能である。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜は順バイアス及び逆バイアスでも特性が変わらないことがわかった。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜はNPB膜だけでなく酸化モリブデン膜と比べても低抵抗化していた。
また、図13に、NPBと酸化モリブデンを混合させた有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜、およびNPB膜、酸化モリブデン膜の吸収スペクトルを示す。
NPBと酸化モリブデンを用いた複合体を含む膜は、以下の方法で作製した。石英基板上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜を成膜した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜に含まれるNPBと酸化モリブデンとの比率は、重量比では、NPB:酸化モリブデン=1:1となるように調節した。
比較素子5は、有機化合物と金属酸化物の複合体の膜の代わりにNPB膜を形成した。
比較素子6は、有機化合物と金属酸化物の複合体の膜の代わりに酸化モリブデン膜を形成した。
図13に示すように、NPBと酸化モリブデンから構成される有機化合物と金属酸化物の複合体の吸収スペクトルでは、500nm近辺、および1300nm近辺に吸収が観測される。これらの吸収は個々の材料には見られない吸収である。このことは、NPBから酸化モリブデンへの電荷の移動が起こっていることを示唆している。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体のESRスペクトルを図30に示す。
石英基板上に、共蒸着法により、芳香族アミン化合物である4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)と酸化モリブデンとを含む層を200nmの膜厚となるように形成した。この時、DNTPDと酸化モリブデンの比率が重量比で1:0.5となるように共蒸着した。このDNTPDと酸化モリブデンとを含む層のESR(Electron Spin Resonance:電子スピン共鳴)測定を行った。ESR測定とは、不対電子を有する試料に強い磁場をかけて、不対電子のエネルギー準位がゼーマン分裂を起こし、その準位間のエネルギー差であるマイクロ波の共鳴吸収遷移を利用した測定方法である。このESR測定では、吸収が起きるときの周波数、および磁場の強さを測定することで、不対電子の有無、スピン状態がわかる。さらに、吸収強度から、電子スピンの濃度を求めることもできる。今回の測定は、電子スピン共鳴分析装置、JES−TE200(日本電子製)を使用し、共振周波数9.3GHz、変調周波数100kHz、変調幅0.63mT、増幅度50、時定数0.1sec、マイクロ波入力1mW、掃引時間4min、測定温度は室温、の条件で行った。なお、磁場校正用試料として、酸化マグネシウムに担持されたマンガンを用いた。そのESR測定結果を図30に示す。また、比較例として、DNTPD単膜(膜厚200nm)、酸化モリブデン単膜(膜厚200nm)についてもESR測定を行った。DNTPD単膜のESR測定結果を図31に、酸化モリブデン単膜のESR測定結果を図32に示す。
図30〜図32より、DNTPD単膜および酸化モリブデン単膜ではESRシグナルが検出されなかったが、DNTPDと酸化モリブデンとを含む層ではESRシグナルが検出された。このことから、DNTPDと酸化モリブデンとを含む層は、不対電子を有することがわかった。つまり、DNTPDと酸化モリブデンとを含む層は、DNTPD単膜および酸化モリブデン単膜とは異なる電子状態にあるということがわかった。なお、図30より、DNTPDと酸化モリブデンとを含む層のg値は2.0025と求まり、自由電子のg値である2.0023と非常に近い値であることがわかった。一方、線幅は0.77mTと非常に狭いことがわかった。
図30から分かるように、有機化合物と金属酸化物の複合体はESRシグナルが観測されている。従って、これらの現象は、上記電荷移動の証拠となる。つまり、NPBと酸化モリブデンは電荷移動錯体を形成していると考えられる。電荷移動錯体が形成すると膜中のキャリア濃度が高まり低抵抗になる。そのため、有機化合物と金属酸化物の複合体は優れた導電性を与えると考えられる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体を用いた素子3の順バイアスと逆バイアスで電流―電圧特性が同じであることも、キャリア密度濃度が高くなったことで説明できる。上記の素子構造では順方向と逆方向では陽極がITOとAlで異なる。ITOよりAlの仕事関数の方が小さいので、NPB膜では順バイアスで電流が流れても逆バイアスでは電流が流れなかった。しかしながら有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の場合はキャリア密度濃度が高いために、陽極と有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の間でキャリアの移動が起こり、陽極をAlとした場合でも注入障壁が小さくなる。そのために効率よくホールを注入できる。すなわち、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の場合は陽極の仕事関数依存性が小さいために多種の材料が陽極として採用できる。つまり、仕事関数に依存せずに電極材料を選択することが可能となり、電極材料の選択肢の幅が広がる。
有機化合物と金属酸化物の複合体の電荷移動の詳細を解明することを目的として、スーパーコンピュータを用いた計算を行った。初期モデルとして、NPB分子3つと、Mo15の組成からなるMoクラスター二つを採用し、これをTight−Binding Quantum Chemical Molecular Dynamics Calculationによって最適化を行った。各ステップの時間は0.05fs(フェムト秒)であり、一定温度、一定圧力のもと、合計50000ステップの計算を行った。図14に、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の最適化した構造を示す。NPB分子とモリブデンクラスターが互いに凝集していることが分かる。このことが、スムースな電子移動に寄与していると考えられる。
同様の計算を単一のNPB分子、および単一のクラスターについても行った。図15に計算結果を示す。図15は、モリブデン(Mo)のs−軌道、p−軌道、d−軌道、および酸素(O)のp−軌道の状態密度(The Density of States:DOS)を示している。
電子のアクセプターレベルはフェルミ準位に最も近く、かつフェルミ準位よりも高いエネルギー軌道である必要がある。モリブデンのs、p、d軌道、ならびに、酸素のp軌道がこの要求を満足することが図15から分かる。しかし、図15に示すように、モリブデンのd軌道が最も状態密度が大きいことが分かる。
また、NPB分子の原子電荷を計算した。半経験的分子軌道計算プログラムMOPAC2000を用い、EF PM5 PRECISE ESPをキーワードとし、分子表面の静電ポテンシャルより原子電荷を計算した。その結果を図24に示す。NPB分子中、窒素原子が最もマイナスの電荷が大きいことがわかった、具体的には、二つの窒素原子はそれぞれ−0.6584、−0.6323という原子電荷を有することがわかった。
これらの結果は、NPBの窒素原子からモリブデンのd軌道に電荷が移動することを意味している。つまり、有機化合物中の原子のp軌道から、金属酸化物の金属原子のd軌道に電荷が移動していることを意味している。この電荷移動の結果、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜中のキャリア数が増大し、その結果高い導電性を実現していると考えられる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態2)
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリア(担体)の再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質を含む層を組み合わせて積層されたものである。
本発明の発光素子の一態様について図1(a)を用いて以下に説明する。
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
基板101上は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−シリコン(Al−Si)、アルミニウム−チタン(Al−Ti)、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)または金属材料の窒化物(TiN)等、を用いることができるが、第1の電極を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)などで形成されていることが好ましい。
なお、本発明の発光素子において、第1の電極102は仕事関数の大きい材料に限定されず、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。
第1の層103は、バッファー層である。すなわち、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層である。
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物等が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。つまり、実施の形態1で示した、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質を含む層が二層以上積層したものであってもよい。
第3の層105は、発光性の高い物質を含む層である。種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質と、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)等のキャリア輸送性が高く膜質がよい(つまり結晶化しにくい)物質とを自由に組み合わせて構成される。発光性の高い物質としては、具体的には、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)や3−(2−ベンソチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン(略称:クマリン6)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、9,10−ジフェニルアントラセン、5,12−ジフェニルテトラセン(略称:DPT)、クマリン6、ペリレン、ルブレンなどの一重項発光材料(蛍光材料)や、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C’)(アセチルアセトナト)イリジウム(略称:Ir(btp)(acac))などの三重項発光材料(燐光材料)などを用いることができる。但し、AlqやDNAは発光性も高い物質であるため、これらの物質を単独で用いた構成とし、第3の層105としても構わない。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を第4の層106として用いても構わない。また、第4の層106は、単層のものだけでなく、上記物質を含む層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と発光層との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、上記のような蒸着法以外の方法でもよい。例えばインクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。但し、第3の層105の全てが発光領域として機能する必要はなく、例えば、第3の層105のうち第2の層104側または第4の層106側にのみ発光領域が形成されるようなものであってもよい。
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(a)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(b)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(c)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
なお、第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する領域を設けた構成であり、且つ、実施の形態1で示した複合材料を含む層を有するものであれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層を、本発明の複合材料を含む層と自由に組み合わせて構成すればよい。また、第1の電極102上には、酸化珪素膜等からなる層を設けることによってキャリアの再結合部位を制御したものであってもよい。
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質を含む第1の層303、発光性の高い物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質を含む第3の層305、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTアレイ基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。
本発明の発光素子は、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を有する。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は、キャリアが内在的に発生していることにより導電性が高く、そのため発光素子の低電圧駆動を実現することができる。
また、本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は厚く形成しても駆動電圧や消費電力の上昇が伴わないため、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を調整することによってマイクロキャビティ効果や干渉効果を利用した光学設計を行うことができる。よって、色純度が良く、見る角度に依存する色の変化などが小さい表示品質の良い発光素子を作製することが出来るようになる。
また、本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は、キャリア密度が高いため、電極とオーム接触することが可能である。つまり、電極との接触抵抗が小さい。そのため、仕事関数等を考慮することなく、電極材料を選ぶことができ電極材料の選択肢が広がる。
また、本発明を適用することにより、従来はャリア注入層として使用できなかった有機化合物でも金属酸化物と混合し、有機化合物と金属酸化物の複合体にすることで注入性の高いキャリア注入層として利用できる。つまり、有機化合物の選択の幅も広がる。例えば、ガラス転移点(Tg)が高いが導電性が低い材料も発光素子に使用することができるようになり、耐熱性の高い素子も作製が可能になる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を厚膜化することにより、微小な異物や衝撃等によるショートを防止することができるため、信頼性の高い発光素子を得ることができる。例えば、通常の発光素子の電極間の膜厚が100nm〜150nmであるのに対し、複合材料を含む層を用いた発光素子の電極間の膜厚は、100〜500nm、好ましくは、200〜500nmとすることができる。
また、本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は、真空蒸着で形成することができるため、発光物質を含む層を真空蒸着で形成する場合は、いずれの層も同一の真空装置内で成膜することが可能であり、発光素子を真空一貫で形成することができる。よって、製造工程における微小な異物の付着を防ぐことができ、歩止まりを向上させることができる。
また、本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は、有機化合物と金属酸化物とを含んでいるため、電極と、発光物質を含む層との間に生じる応力を緩和させることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図5および図6を用いて説明する。本実施の形態で示す構成では、陰極として機能する電極に接するように有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を設けることができる。
図5(a)に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極401と、第2の電極402との間に、第1の層411、第2の層412、第3の層413が積層された構成となっている。本実施の形態では、第1の電極401が陽極として機能し、第2の電極402が陰極として機能する場合について説明する。
第1の電極401、第2の電極402は、実施の形態2と同じ構成を適用することができる。また、第1の層411は発光性の高い物質を含む層である。第2の層412は電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第3の層413は実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層である。第2の層412に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびそれらの酸化物や塩であることが好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
このような構成とすることにより、図5(a)に示した通り、電圧を印加することにより第2の層412および第3の層413の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第2の層412は電子を第1の層411に輸送すると同時に、第3の層413は正孔を第2の電極402に輸送する。すなわち、第2の層412と第3の層413とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。また、第3の層413は、正孔を第2の電極402に輸送する機能を担っていると言える。
また、第3の層413は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。そのため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。また、第3の層413を厚膜化した場合、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
また、第3の層413を厚膜化しても、駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第3の層413の膜厚の自由に設定でき、第1の層411からの発光の取り出し効率を向上させることができる。また、第1の層411からの発光の色純度が向上するように、第3の層413の膜厚を設定することも可能である。
また、図5(a)を例に取ると、第2の電極402をスパッタリングにより成膜する場合などは、発光性の物質が存在する第1の層411へのダメージを低減することもできる。
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極401や第2の電極402の材料を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図5(b)、図5(c)および図6に示す。なお、図5(b)、図5(c)および図6では、図5(a)の符号を引用する。また、400は、本発明の発光素子を担持する基板である。
図5は、基板400側から第1の層411、第2の層412、第3の層413の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極401を光透過性とし、第2の電極402を遮光性(特に反射性)とすることで、図5(a)のように基板400側から光を射出する構成となる。また、第1の電極401を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極402を光透過性とすることで、図5(b)のように基板400の逆側から光を射出する構成となる。さらに、第1の電極401、第2の電極402の両方を光透過性とすることで、図5(c)に示すように、基板400側と基板400の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
図6は、基板400側から第3の層413、第2の層412、第1の層411の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極401を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極402を光透過性とすることで、図6(a)のように基板400側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極401を光透過性とし、第2の電極402を遮光性(特に反射性)とすることで、図6(b)のように基板400と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極401、第2の電極402の両方を光透過性とすることで、図6(c)に示すように、基板400側と基板400の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、湿式法、乾式法を問わず、種々の方法を用いることができる。
また、図5に示すように、第1の電極401を形成した後、第1の層411、第2の層412、第3の層413を順次積層し、第2の電極402を形成してもよいし、図6に示すように、第2の電極402を形成した後、第3の層413、第2の層412、第1の層411を順次積層し、第1の電極401を形成してもよい。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図3および図4を用いて説明する。本実施の形態で示す構成は、発光素子の2つの電極に接するように有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を設けることができる。
図3(a)に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極201と、第2の電極202との間に、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214が積層された構成となっている。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極202が陰極として機能する場合について説明する。
第1の電極201、第2の電極202は、実施の形態2と同じ構成を適用することができる。また、第1の層211は実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層であり、第2の層212は発光性の高い物質を含む層である。第3の層213は電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第4の層214は実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層である。第3の層213に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびそれらの酸化物や塩であることが好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
このような構成とすることにより、図3(a)に示した通り、電圧を印加することにより第3の層213および第4の層214の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層213は電子を第2の層212に輸送すると同時に、第4の層214は正孔を第2の電極202に輸送する。すなわち、第3の層213と第4の層214とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。また、第4の層214は、正孔を第2の電極202に輸送する機能を担っていると言える。なお、第4の層214と第2の電極202との間に、さらに第2の層および第3の層を再び積層することで、タンデム型の発光素子とすることも可能である。
また、第1の層211や第4の層214は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。そのため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
また、第1の層211や第4の層214を厚膜化した場合、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
また、第1の層211や第4の層214を厚膜化しても、発光素子の駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第1の層211や第4の層214の膜厚の自由に設定でき、第2の層212からの発光の取り出し効率を向上させることができる。また、第2の層212からの発光の色純度が向上するように、第1の層211や第4の層214の膜厚を設定することも可能である。
また、本実施の形態の発光素子は、発光機能を担う第2の層の陽極側および陰極側を非常に厚くすることが可能となり、さらに発光素子のショートを効果的に防止できる。また、図3(a)を例に取ると、第2の電極202をスパッタリングにより成膜する場合などは、発光性の物質が存在する第2の層212へのダメージを低減することもできる。さらに、第1の層211と第4の層214を同じ材料で構成することにより、発光機能を担う層を挟んで両側に同じ材料で構成された層を設けることができるため、応力歪みを抑制する効果もある。
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極201や第2の電極202の材料を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図3(b)、図3(c)および図4に示す。なお、図3(b)、図3(c)および図4では、図3(a)の符号を引用する。また、200は、本発明の発光素子を担持する基板である。
図3は、基板200側から第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図3(a)のように基板200側から光を射出する構成となる。また、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図3(b)のように基板200の逆側から光を射出する構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図3(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
図4は、基板200側から第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図4(a)のように基板200側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図4(b)のように基板200と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図4(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
なお、図23に示すように、第1の層711が、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含み、第2の層712が発光性の物質を含み、第3の層713が実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層であり、第4の層714が、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む構成にすることも可能である。
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、湿式法、乾式法を問わず、種々の方法を用いることができる。
また、図3に示すように、第1の電極201を形成した後、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214を順次積層し、第2の電極202を形成してもよいし、図4に図示するように、第2の電極202を形成した後、第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211を順次積層し、第1の電極を形成してもよい。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態4に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について説明する。本実施の形態で示す構成は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子の電荷発生層として、本発明の複合材料を適用した構成である。
本実施の形態では、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)について説明する。つまり、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。図11に2つの発光ユニットを積層した積層型素子を示す。
図11において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には、電荷発生層513が形成されている。
第1の電極501と第2の電極502は、種々の材料を用いることができる。
第1の発光ユニット511および第2の発光ユニット512は、それぞれ種々の構成を用いることができる。
電荷発生層513には、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体が含まれている。有機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合体と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、実施の形態3で示したように、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、実施の形1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を適用することが可能である。例えば、3つの発光ユニットを積層した発光素子は、第1の発光ユニット、第1の電荷発生層、第2の発光ユニット、第2の電荷発生層、第3の発光ユニット、の順に積層されるが、有機化合物と金属酸化物の複合体は、いずれか一つの電荷発生層のみに含まれていてもよいし、全ての電荷発生層に含まれていてもよい。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、発光素子の光学設計について説明する。
実施の形態2〜実施の形態5に示した発光素子において、各発光色を発する発光素子ごとに、少なくとも第1の電極及び第2の電極を除く各層のいずれか一つの膜厚を異ならせることにより、発光色毎の光の取り出し効率を高めることができる。
例えば、図10に示すように、赤系色(R)、緑系色(G)、青系色(B)を発光する発光素子は、反射電極である第1の電極1101、及び透光性を有する第2の電極1102を共有しており、それぞれ第1の層1111R、1111G、1111B、第2の層1112R、1112G、1112B、第3の層1113R、1113G、1113B、第4の層1114R、1114G、1114Bを有する。そして、第1の層1111R、1111G、1111Bを発光色毎に異ならせる。
なお、図10に示す発光素子において、第2の電極1102の電位よりも第1の電極1101の電位が高くなるように電圧を印加すると、第1の層1111から第2の層1112へ正孔が注入される。第3の層1113および第4の層1114の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層1113は電子を第2の層1112に輸送すると同時に、第4の層1114は正孔を第2の電極1102に輸送する。正孔と、電子とが、第2の層1112において再結合し、発光物質を励起状態にする。そして、励起状態の発光物質は、基底状態に戻るときに発光する。
図10に示すように、第1の層1111R、1111G、1111Bを発光色毎に異ならせることにより、直接第2の電極を介して認識する場合と、第1の電極で反射して第2の電極を介して認識する場合とで光路が異なることによる、光の取り出し効率の低下を防止することができる。
具体的には、第1の電極に光が入射した場合、反射光には位相の反転が生じ、これによって生じる光の干渉効果が生じる。その結果、発光領域と反射電極との光学距離、つまり屈折率×距離が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)、即ち、m=1/4、3/4、5/4・・・倍の時には、発光の外部取り出し効率が高くなる。一方、m/2倍(mは任意の正の整数)即ち、m=1/2、1、3/2・・・倍の時には発光の外部取り出し効率が低くなってしまう。
したがって、本発明の発光素子において、発光領域と反射電極との光学距離、つまり屈折率×距離が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)となるように、第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を各発光素子で異ならせる。
特に、第1の層から第4の層において、電子と正孔が再結合する層から反射電極との間の層の膜厚を異ならせるとよいが、電子と正孔が再結合する層から透光性を有する電極との間の膜厚を異ならせてもよい。さらに両者の膜厚を異ならせても構わない。その結果、発光を効率よく外部に取り出すことができる。
第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を異ならせるためには、層を厚膜化する必要がある。本発明の発光素子は、厚膜化する層に、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を用いることを特徴とする。
一般に、発光素子の層を膜厚化すると、駆動電圧が増加してしまうため、好ましくなかった。しかし、厚膜化する層に、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を用いると、駆動電圧を低くでき、厚膜化することによる駆動電圧の上昇を抑制することができる。
なお、図10では、赤系色(R)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の1/4倍、緑系色(G)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の3/4倍、青系色(B)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の5/4倍のものを示した。なお、本発明はこの値に限られず、適宜mの値を設定することが可能である。また、図10に示すように、発光波長の(2m−1)/4倍のmの値は各発光素子で異なっていてもよい。
また、第1の層から第4の層のいずれかを厚膜化することにより、第1の電極と第2の電極とがショートすることを防止でき、歩留まりを高めることもでき、非常に好ましい。
このように本発明の発光素子は、少なくとも第1の層から第4の層の膜厚を、各発光色で異ならせることができる。このとき、電子と正孔が再結合する層から反射電極との間となる層の膜厚を、各発光色で異ならせることが好ましい。さらに厚膜化する必要のある層には、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層とすると、駆動電圧が高くならず好ましい。
なお、本実施の形態では、実施の形態4に示した構成の発光素子を用いて説明したが、他の実施の形態と適宜組み合わせることも可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図7を用いて説明する。なお、図7(A)は、発光装置を示す上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図7(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物金属、化合物、合金を用いることができる。第1の電極を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)などで形成されていることが好ましい。例えば、珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を有している。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子系材料であっても良い。また、発光物質を含む層に用いる材料としては、有機化合物だけでなく、無機化合物を用いてもよい。
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)等が挙げられる。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等)との積層を用いることも可能である。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置は、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を有する。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は、キャリアが内在的に発生していることにより導電性が高く、そのため発光素子の低電圧駆動を実現することができる。よって、発光装置の消費電力を低減することができる。
また、本発明の発光装置に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層は厚く形成しても駆動電圧や消費電力の上昇が伴わないため、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を調整することによってマイクロキャビティ効果や干渉効果を利用した光学設計を行うことができる。よって、色純度が良く、見る角度に依存する色の変化などが小さい表示品質の良い発光装置を作製することが出来るようになる。
また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を厚膜化することにより、微小な異物や衝撃等によるショートを防止することができるため、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図8には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図8において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を含み、低消費電力の表示部を有する。また、実施の形態1で示した有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を厚膜化することにより、微小な異物や外部からの衝撃等によるショートが抑制された信頼性の高い表示部を有する電子機器を提供することも可能である。
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図9に示す。
図9(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、微小な異物や外部からの衝撃等によるショートを防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
図9(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、微小な異物や外部からの衝撃等によるショートを防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運ぶときの外部からの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
図9(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、微小な異物や外部からの衝撃等によるショートを防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
図9(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、微小な異物や外部からの衝撃等によるショートを防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の発光装置を用いることにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
本発明の発光素子に用いる有機化合物と金属酸化物の複合体は、厚膜化しても駆動電圧の上昇を抑制することができる。図16に有機化合物と金属酸化物の複合体を用いた発光素子の構造を示す。
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層2103を形成した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚は60nm、90nm、120nm、150nmと変化させた。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層に含まれるNPBと酸化モリブデン(VI)の比率は、体積比で酸化モリブデン(VI)が10%となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にAlqを30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2107を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成し、本発明の発光素子を作製した。
図17に本発明の発光素子の電圧―電流密度特性を示す。また、図25に本発明の発光素子の電流密度―輝度特性を示す。有機化合物と金属酸化物の複合体と発光層を直接接合させると、酸化モリブデンがクエンチャーとなり発光効率が減少してしまう。そのため有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と発光層の間にNPBを導入した。図17および図25に示すように、本発明の発光素子において、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を変化させても駆動電圧と電流効率がほぼ変わらなかった。具体的には、1000cd/mにおける駆動電圧が、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層が50nmの時は5.5Vであるが、150nmにおいても5.5Vであった。これは、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の抵抗率が他の有機層に比べて非常に小さいためである。この特徴が素子の厚膜化を可能にし、素子のショートを防止できる。また干渉等を利用した光学設計をする際にも適した膜厚を得ることが容易である。
本発明の発光素子について図18を用いて説明する。
まず、ガラス基板2201上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2202を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2202上に、4,4’−ビス[N―フェニル−N−(スピロフルオレン−2−イル)]ビフェニル(略称:BSPB)と酸化モリブデン(VI)とルブレンとを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層2203を形成した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚は120nmとした。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層に含まれるBSPB、酸化モリブデン(VI)、ルブレンの比率は、重量比でBSPB:酸化モリブデン:ルブレン=2:0.75:0.04となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2204を形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層2204上に37.5nmの膜厚の発光層2205を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2205上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2206を形成した。
さらに、電子輸送層2206上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2207を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2207上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2208を形成し、本発明の発光素子1を作製した。
(比較例1)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、BSPBを50nmの膜厚となるように成膜した。
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、BSPB上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子1を作製した。
発光素子1および比較発光素子1の電圧―輝度特性を図19に示す。比較発光素子1は、発光素子の駆動電圧が非常に高くなってしまい実用的ではないが、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を用いた本発明の発光素子1は、駆動電圧が低減されていることがわかる。つまり、BSPBを酸化モリブデンと混合させ、有機化合物と金属酸化物の複合体とすることで低電圧化している。
また、図20に発光素子1および比較発光素子1の初期輝度3000cd/mにおける定電流駆動試験の結果を示す。発光素子1は、比較発光素子1に比べ、長寿命であり、信頼性が向上していることがわかる。
以上の結果から、有機化合物と金属酸化物の複合体を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、信頼性が向上することがわかった。
すなわち、酸化モリブデンと混合し、有機化合物と金属酸化物の複合体にすることで、多種の陽極が使えるようになるだけではなく、有機化合物の選択の幅も広がる。例えば、BSPBの様にガラス転移点(Tg)が高いが導電性が低い材料も発光素子に使用することができるようになり、耐熱性の高い素子も作製が可能になる。
本発明の発光素子について図18を用いて説明する。
まず、ガラス基板2201上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2202を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2202上に、t−BuDNAと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層2203を形成した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚は120nmとした。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層に含まれるt−BuDNAと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比でt−BuDNA:酸化モリブデン=1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2204を形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層2204上に37.5nmの膜厚の発光層2205を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2205上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2206を形成した。
さらに、電子輸送層2206上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2207を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2207上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2208を形成し、本発明の発光素子2を作製した。
(比較例2)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、t−BuDNAを50nmの膜厚となるように成膜した。
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、t−BuDNA上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子2を作製した。
発光素子2および比較発光素子2の電圧―輝度特性を図21に示す。比較発光素子2は、発光素子の駆動電圧が非常に高くなってしまい実用的ではないが、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を用いた本発明の発光素子2は、駆動電圧が低減されていることがわかる。つまり、t−BuDNAを酸化モリブデンと混合させ、有機化合物と金属酸化物の複合体とすることで低電圧化している。
また、図22に発光素子2および比較発光素子2の初期輝度3000cd/mにおける定電流駆動試験の結果を示す。発光素子2は、比較発光素子2に比べ、長寿命であり、信頼性が向上していることがわかる。
以上の結果から、有機化合物と金属酸化物の複合体を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、信頼性が向上することがわかった。
すなわち、酸化モリブデンと混合し、有機化合物と金属酸化物の複合体にすることで、多種の陽極が使えるようになるだけではなく、有機化合物の選択の幅も広がる。例えば、t−BuDNAの様にガラス転移点(Tg)が高いが導電性が低い材料も発光素子に使用することができるようになり、耐熱性の高い素子も作製が可能になる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図18を用いて説明する。
まず、ガラス基板2201上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2202を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2202上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とルブレンとを共蒸着することにより、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層2203を形成した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚は120nmとした。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層に含まれるNPB、酸化モリブデン(VI)、ルブレンの比率は、重量比でNPB:酸化モリブデン:ルブレン=1:0.25:0.02となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2204を形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層2204上に37.5nmの膜厚の発光層2205を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2205上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2206を形成した。
さらに、電子輸送層2206上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2207を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2207上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2208を形成し、本発明の発光素子3を作製した。
(比較例3)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、銅フタロシアニン(略称:CuPc)を20nmの膜厚となるように成膜した。
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、CuPc上に、NPBを40nmの膜厚で形成した。
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子3を作製した。
発光素子3および比較発光素子3の電圧―輝度特性を図23に示す。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を用いた発光素子3は、比較発光素子3に比べ、駆動電圧が低い。
以上の結果から、有機化合物と金属酸化物の複合体を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。
本実施例では、有機化合物と金属酸化物の複合体を用いた発光装置について説明する。
表1に本実施例で作製したアクティブマトリクスディスプレイの基本仕様を、表2にその素子構造を示す。なお本実施例で用いているディスプレイはRGB塗り分けによるカラー表示が可能なものであるが、塗り分け時の影響による点欠陥の発生を排除するため、全面緑単色にて蒸着を行っている。表2には、有機化合物と金属酸化物の複合体の代わりに銅フタロシアニン(CuPc)を用いた比較ディスプレイの構造も記載した。
NPBと酸化モリブデンとを用いた有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を変化させた場合の輝度及び電流効率を図26に示す。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚により、光取り出し効率が影響を受けるため、パネルの輝度は周期的に変化する。しかし、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を30nmから150nmと厚くした程度では、輝度の低下は1割程度に抑えることができる。
図27に増加型点欠陥の有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚依存性を示す。なお、測定に用いたパネルは、室温で1時間駆動させた後、温度サイクル動作を行った。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚が40nmの場合は、温度サイクル動作を60時間行った後に1パネルあたり20コ近い点欠陥の増加が見られた。しかし、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を75nm以上に厚くすることで、同じ温度サイクル動作を行った後でも、点欠陥が約2個以下にまで低減された。図27の測定に用いたパネルの表示領域は36mm×48mmであり、開口率は39%である。よって、表示面積36m×48mm×0.39=673.92mmあたり点欠陥の増加数を2個以下(1000mmあたり3個以下)に低減することができた。よって、増加型暗点抑制効果が十分に発揮されると共に、光取りだし効率が比較的良好な有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚:150nmをこの後の環境動作試験における有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の標準条件として採用することとした。
図28に各種環境動作試験における増加型点欠陥数を示す。各動作試験の条件を表3に示す。
有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層による厚膜化を行わない場合、低温動作や温度サイクル動作では、試験開始から60時間後で数十〜数百個の増加型暗点が発生している。本パネルでは、表1の仕様の画素部に加え、一定電流が流れるモニター素子を有している。画素部における発光素子の駆動電圧は、モニター素子の電圧を反映させたものとなっており、温度や経時変化に対して輝度が一定となるように補正されている(Hiroyuki Miyake et al., SID’05 Digest of Technical Papers, Vol. XXXVI, p240−243参照)。よって、高温動作時よりも低温動作時の方が、陰極−陽極間に高電圧が印加されるため、欠陥を促進したと考えられる。さらに、温度サイクル時は、温度変化によって微小パーティクルに対する発光物質を含む層のカバレッジの弱い部分に応力が集中することなどが原因で、陰極−陽極間ショートが促進されると考えられる。しかし、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層により発光物質を含む層の厚膜化を行ったディスプレイの場合は、これらの過酷な環境動作試験においても増加型暗点は1パネルあたり2個程度以下と大幅に低減される。本実施例で使用しているパネルは画素数が240×RGB×320=230400であるQVGAパネルである。よって、230400画素に対して増加型暗点は2個以下(0.087%以下)とすることができる。
図29に点欠陥要因である代表的な微小パーティクル部分の断面TEM写真を示す。CuPcのように薄い正孔注入層を用いた場合には、良好なカバレッジを得ることは困難であることが分かる。発光素子の薄膜の膜厚は、非常に小さいため、良好なカバレッジを得ることができないと、簡単に電極間のショートに結びつく。特に(a),(b)の様な球状のパーティクルが存在する場合、パーティクル下側が逆テーパー形状となるため、有機化合物と金属酸化物の複合体を用い厚膜化することにより、比較的良好なカバレッジを得ることができる。
つまり、高い導電性を示す有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を用いてアクティブマトリクスディスプレイを作製したところ、特性を大きく損なうことなく発光物質を含む層の厚膜化が可能であることが確認できた。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を厚膜化することにより、微小パーティクル起因の点欠陥の抑制に効果があった。特に温度サイクル動作ストレスの様な過酷な環境下で発生しやすい増加型の点欠陥に対し、大幅な抑制効果を示すことが分かった。
有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層を用いて6.5−inch、WQVGA アクティブマトリクスパネルを作製した。有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層、有機層の膜厚を調整することによってNTSC比83%を得ることができた。またこのパネルは電極間のショートによる暗点が非常に少なかった。
以下では、構造式(1)で表されるN,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)の合成方法について説明する。
[ステップ1]
まず、2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンの合成法について説明する。2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンの合成スキーム(j−1)を以下に示す。
100mLの三口フラスコに、マグネシウム1.26g(0.052mol)を入れ、系内を真空下にし、30分加熱撹拌し、活性化した。室温にさましてから系内を窒素気流下にし、ジエチルエーテル5mL、ジブロモエタン数滴を加え、ジエチルエーテル15mL中に溶かした2−ブロモビフェニル11.65g(0.050mol)をゆっくり滴下し、滴下終了後3時間還流してグリニヤール試薬とした。200mL三口フラスコに2−ブロモフルオレノン11.7g(0.045mol)、ジエチルエーテル40mLを入れた。この反応溶液に合成したグリニヤール試薬をゆっくり滴下し、滴下終了後2時間還流し、さらに室温で約12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニア水溶液で2回洗浄し、水層を酢酸エチルで2回抽出し、有機層とあわせて飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムにより乾燥後、吸引濾過、濃縮し、固体状の9−(2−ビフェニリル)−2−ブロモ−9−フルオレノールを18.76g、収率90%で得た。
次に、200mLの三口フラスコに、合成した9−(2−ビフェニリル)−2−ブロモ−9−フルオレノールを18.76g(0.045mol)、氷酢酸を100mL入れ、濃塩酸数滴を加え2時間還流した。反応終了後、吸引濾過により析出物を回収し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で濾過洗浄した。得られた褐色固体をエタノールで再結晶したところ淡褐色粉末状固体を10.24g、収率57%で得た。プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)によって、この淡褐色粉末状固体が2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンであることを確認した。
この化合物のH−NMRを次に示す。H−NMR(300MHz,CDCl)δ=7.86−7.79(m,3H),7.70(d,1H,J=8.4Hz),7.47−7.50(m,1H),7.41−7.34(m,3H),7.12(t,3H,J=7.7Hz),6.85(d,1H,J=2.1Hz),6.74−6.70(m,3H)。
[ステップ2]
次に、N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)の合成法について説明する。BSPBの合成スキーム(j−2)を以下に示す。
100mLの三口フラスコに、N,N’−ジフェニルベンジジンを1.00g 0.0030mol)、ステップ1で合成した2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンを2.49g(0.0062mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を170mg(0.30mmol)、tert−ブトキシナトリウムを1.08g(0.011mol)入れ、系内を窒素気流下にした後、脱水トルエン20mLと、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10wt%ヘキサン溶液0.6mLを加え、80℃で6時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷ましてから水を加え、析出した固体を吸引ろ過により回収し、ジクロロメタンで洗浄した。得られた白色固体をアルミナカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、ジクロロメタンで再結晶したところ、白色粉末状固体を2.66g、収率93%で得た。
得られた白色粉末状固体をプロトン核磁気共鳴法(H−NMR)によって分析したところ、次のような結果が得られ、構造式(1)で表されるN,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)であることが確認できた。また、H−NMRのチャートを図33に示す。H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ=7.93−7.89(m,8H),7.39−7.33(m,10H),7.19−7.14(m,8H),7.09−6.96(m,6H),6.89−6.84(m,8H),6.69(d,4H,J=7.5Hz),6.54(d,2H,J=7.8Hz),6.25(d,2H,J=2.4Hz)。
なお、得られた化合物4.74gを14Pa、350℃の条件で24時間昇華精製したところ、3.49gを回収でき、回収率は74%であった。
また、得られた化合物のガラス転移温度、結晶化温度、融点について、示差走査熱量分析装置(DSC:DifferenciAl Scanning CAlorimetry、パーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。ここでDSCによる測定は、次のような手順で行った。先ず、40℃/分の昇温速度で450℃まで試料(得られた化合物)を加熱した後、40℃/分の昇温速度で試料を冷却して試料をガラス状態にした。そして、ガラス状態になった試料を、10℃/分の昇温速度で加熱し、図34に示すような測定結果を得た。図34において、横軸は温度(℃)、縦軸は熱流(上向が吸熱)(mW)を表す。測定結果から、得られた化合物のガラス転移温度は172℃、結晶化温度は268℃であることが分かった。また、312℃における接線と、327℃〜328℃における接線との交点から、融点は323℃〜324℃であることが分かった。すなわち、本実施例のように合成したBSPBは、ガラス転移温度が150℃以上、好ましくは160℃〜300℃の範囲を満たし、融点が180℃〜400℃の範囲にあることがわかる。
このように、得られた化合物は、172℃という高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、図34において、得られた化合物の結晶化を表すピークはブロードなものであり、得られた化合物は結晶化し難い物質であることがわかった。
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を用いた電子機器を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の電圧―電流密度特性を示す図。 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の吸収スペクトルを示す図。 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の計算結果を示す図。 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む膜の計算結果を示す図。 本発明の発光素子を説明する図。 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚を変化させた発光素子の電圧―電流密度特性を示す図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 本発明の発光素子の規格化輝度時間変化を示す図。 本発明の発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 本発明の発光素子の規格化輝度時間変化を示す図。 本発明の発光素子を説明する図。 NPB分子の原子電荷の計算結果を示す図。 本発明の発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 本発明のパネルの輝度及び電流効率を示す図。 本発明のパネルの増加型点欠陥の有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層の膜厚依存性を示す図。 本発明のパネルの各種環境動作試験における増加型点欠陥数を示す図。 点欠陥部分の断面TEM写真を示す図。 DNTPDと酸化モリブデンとを含む有機化合物と金属酸化物の複合体のESR測定結果を示す図。 DNTPD単膜のESR測定結果を示す図。 酸化モリブデン単膜のESR測定結果を示す図。 N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジンのH−NMRチャートを示す図。 N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジンのDSCチャートを示す図。
符号の説明
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
200 基板
201 第1の電極
202 第2の電極
211 第1の層
212 第2の層
213 第3の層
214 第4の層
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
400 基板
401 第1の電極
402 第2の電極
411 第1の層
412 第2の層
413 第3の層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
711 第1の層
712 第2の層
713 第3の層
714 第4の層
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
1101 第1の電極
1102 第2の電極
1111 第1の層
1112 第2の層
1113 第3の層
1114 第4の層
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2103 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層
2104 正孔輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
2201 ガラス基板
2202 第1の電極
2203 有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層
2204 正孔輸送層
2205 発光層
2206 電子輸送層
2207 電子注入層
2208 第2の電極
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

Claims (14)

  1. 有機化合物と金属酸化物の複合体を有し、前記有機化合物中の原子のp軌道から前記金属酸化物の金属原子のd軌道に電荷が移動していることを特徴とする発光素子。
  2. 請求項1において、前記金属原子は、遷移金属であることを特徴とする発光素子。
  3. 請求項1または請求項2において、前記金属原子は、モリブデンであることを特徴とする発光素子。
  4. 請求項1乃至請求項3において、前記有機化合物は、芳香族アミン化合物であることを特徴とする発光素子。
  5. 請求項4において、前記芳香族アミン化合物の窒素原子のp軌道から、電荷が移動していることを特徴とする発光素子。
  6. 請求項1乃至請求項3において、前記有機化合物は、芳香族炭化水素であることを特徴とする発光素子。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光素子を有する発光装置。
  8. 有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を複数有し、
    660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置。
  9. 有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を複数有し、
    85℃で660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置。
  10. 有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を複数有し、
    −40℃で660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置。
  11. 有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を複数有し、
    85℃で4時間駆動、−40℃で4時間駆動を繰り返し、660時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、総画素数の0.087%以下であることを特徴とする発光装置。
  12. 有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を有する画素を有し、
    85℃で4時間駆動、−40℃で4時間駆動を繰り返し、60時間駆動した後の画素欠陥の増加数が、表示面積1000mmあたり3個以下であることを特徴とする発光装置。
  13. 有機化合物と金属酸化物を用いた複合体を含む層を有し、
    各画素の発光色に応じて、前記有機化合物と前記金属酸化物を用いた複合体を含む層の膜厚が異なることを特徴とする発光装置。
  14. 請求項7乃至請求項13のいずれか一項に記載の発光装置を有する電子機器。
JP2006320684A 2005-11-30 2006-11-28 発光素子、発光装置並びに電子機器 Expired - Fee Related JP5078329B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006320684A JP5078329B2 (ja) 2005-11-30 2006-11-28 発光素子、発光装置並びに電子機器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005346705 2005-11-30
JP2005346705 2005-11-30
JP2006320684A JP5078329B2 (ja) 2005-11-30 2006-11-28 発光素子、発光装置並びに電子機器

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007180526A true JP2007180526A (ja) 2007-07-12
JP2007180526A5 JP2007180526A5 (ja) 2010-01-21
JP5078329B2 JP5078329B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=38305343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006320684A Expired - Fee Related JP5078329B2 (ja) 2005-11-30 2006-11-28 発光素子、発光装置並びに電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5078329B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010147205A1 (ja) * 2009-06-19 2010-12-23 大日本印刷株式会社 有機電子デバイス及びその製造方法
JP2011134895A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Dainippon Printing Co Ltd デバイス、及びその製造方法
JP2012043727A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Canon Inc 有機el表示装置
JP2013012467A (ja) * 2011-05-13 2013-01-17 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光素子、発光装置
JP2013058562A (ja) * 2011-09-07 2013-03-28 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 光電変換装置
JP2014112717A (ja) * 2007-12-31 2014-06-19 Gracel Display Inc 有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する発光ダイオード
JP2018006772A (ja) * 2010-10-04 2018-01-11 株式会社半導体エネルギー研究所 複合材料、発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10270172A (ja) * 1997-01-27 1998-10-09 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子
JPH11162647A (ja) * 1997-09-29 1999-06-18 Minolta Co Ltd 有機エレクトロルミネセンス素子
JP2001244079A (ja) * 2000-02-29 2001-09-07 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子、有機エレクトロルミネッセント素子群及びその発光スペクトルの制御方法
JP2003272860A (ja) * 2002-03-26 2003-09-26 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子
WO2005031798A2 (en) * 2003-09-26 2005-04-07 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device and method for manufacturing the same
JP2005123095A (ja) * 2003-10-17 2005-05-12 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10270172A (ja) * 1997-01-27 1998-10-09 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子
JPH11162647A (ja) * 1997-09-29 1999-06-18 Minolta Co Ltd 有機エレクトロルミネセンス素子
JP2001244079A (ja) * 2000-02-29 2001-09-07 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子、有機エレクトロルミネッセント素子群及びその発光スペクトルの制御方法
JP2003272860A (ja) * 2002-03-26 2003-09-26 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子
WO2005031798A2 (en) * 2003-09-26 2005-04-07 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting device and method for manufacturing the same
JP2005123095A (ja) * 2003-10-17 2005-05-12 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセント素子

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014116639A (ja) * 2007-12-31 2014-06-26 Gracel Display Inc 有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する発光ダイオード
JP2014131064A (ja) * 2007-12-31 2014-07-10 Gracel Display Inc 有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する発光ダイオード
JP2014112717A (ja) * 2007-12-31 2014-06-19 Gracel Display Inc 有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを使用する発光ダイオード
JP2011023711A (ja) * 2009-06-19 2011-02-03 Dainippon Printing Co Ltd 有機電子デバイス及びその製造方法
WO2010147205A1 (ja) * 2009-06-19 2010-12-23 大日本印刷株式会社 有機電子デバイス及びその製造方法
CN102460765A (zh) * 2009-06-19 2012-05-16 大日本印刷株式会社 有机电子器件及其制造方法
US9252381B2 (en) 2009-06-19 2016-02-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Organic electronic device and method for producing the same
JP2011134895A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Dainippon Printing Co Ltd デバイス、及びその製造方法
JP2012043727A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Canon Inc 有機el表示装置
JP2018006772A (ja) * 2010-10-04 2018-01-11 株式会社半導体エネルギー研究所 複合材料、発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置
JP2013012467A (ja) * 2011-05-13 2013-01-17 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光素子、発光装置
US9647228B2 (en) 2011-05-13 2017-05-09 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting element and light-emitting device
JP2013058562A (ja) * 2011-09-07 2013-03-28 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 光電変換装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5078329B2 (ja) 2012-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6935468B2 (ja) 発光素子、発光モジュール、照明装置、及び電子機器
JP6874183B2 (ja) カルバゾール誘導体、発光素子、発光装置、電子機器、照明装置
JP5355962B2 (ja) 発光素子、発光装置および電子機器
KR101084100B1 (ko) 발광소자
JP5820516B2 (ja) 発光素子、発光装置、照明装置および電子機器
US20090174321A1 (en) Anthracene derivative, and light-emitting material, light-emitting element, light-emitting device, and electronic device using the same
US8741449B2 (en) Anthracene derivative, light-emitting material, material for light-emitting element, composition for coating, light-emitting element, light-emitting device, and electronic device
US20080091012A1 (en) Quinoxaline Derivative, And Light-Emitting Element And Light-Emitting Device Using Quinoxaline Derivative
JP5078329B2 (ja) 発光素子、発光装置並びに電子機器
JP2010254679A (ja) トリアゾール誘導体、トリアゾール誘導体を用いた発光素子、発光装置、照明装置及び電子機器
KR101338875B1 (ko) 발광 소자, 발광 장치 및 전자 기기
JP4954623B2 (ja) 発光装置
JP2008010410A (ja) 発光素子、発光装置並びに電子機器
JP2007073932A (ja) 発光素子、発光装置並びに電子機器
JP2008088083A (ja) カルバゾール誘導体、およびカルバゾール誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
WO2007064009A1 (ja) 発光素子、発光装置並びに電子機器
JP4827683B2 (ja) 発光素子、発光装置並びに電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120828

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5078329

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees