JP2007177938A - スラスト受け機構 - Google Patents

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Tomoaki Kawamura
智明 川村
Kosuke Obayashi
光介 尾林
Moriji Kanbara
盛二 神原
Tomoaki Terada
智秋 寺田
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2360/00Engines or pumps
    • F16C2360/42Pumps with cylinders or pistons

Abstract

【課題】軌道輪および中間輪の耐摩耗性を向上させたスラスト受け機構を提供する。
【解決手段】スラスト受け機構は、相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持する。また、スラスト受け機構は、前記第一の部材に装着される第一の軌道輪と、その軌道面が前記第一の軌道輪の軌道面と対向するよう、前記第二の部材に装着される第二の軌道輪と、両面に軌道面を有し、前記第一の軌道輪および前記第二の軌道輪との間に配置される中間輪13とを含む。ここで、第一の軌道輪、第二の軌道輪および中間輪13の軌道面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.05μm以下であり、負荷長さ率(Tp)は、80%以上である。
【選択図】図1

Description

この発明は、スラスト受け機構に関し、特にスクロール圧縮機等に使用されるスラスト受け機構に関する。
スクロール型圧縮機等に使用され、スラスト荷重を受けるスラスト受け機構は、偏心回転運動によるスラスト荷重を受ける必要があるため、玉軸受が使用されていた。
しかし、玉軸受は点接触で荷重を受ける構造であるため、高荷重を受けるには不向きである。ここで、線接触で荷重を受けるころ軸受によりスラスト荷重を受けるスラスト受け機構が、特開2000−186680号公報(特許文献1)、特開2002−242927号公報(特許文献2)に開示されている。
特許文献1および特許文献2によると、ころ軸受の転動軸心を、互いに垂直な方向に向きを変えて上下に2列に配列し、偏心回転運動によるスラスト荷重を受けることにしている。図7は、この場合のスラスト受け機構の基本構造を示す分解斜視図である。また、図8は、この場合のスラスト受け機構の一部を示す断面図である。図7および図8を参照して、スラスト受け機構101は、2つの軌道輪102a、102bと、軌道輪102a、102bとの間に配置される中間輪103とを含む。軌道輪102aと中間輪103との間には、ころ104aが配置され、図7において縦方向(紙面上下方向)に転動軸心を有するように保持器105aによって保持されている。また、軌道輪102bと中間輪103との間には、ころ104bが配置され、図7において横方向(紙面左右方向)に転動軸心を有するように保持器105bによって保持されている。すなわち、ころ104aところ104bとの転動軸心は、互いに垂直な方向に配列されている。このように構成することにより、スラスト受け機構101は、偏心回転運動によるスラスト荷重を受けている。また、このようなスラスト受け機構101は、高荷重を受けることができる。
特開2000−186680号公報(段落番号0019〜0021、図3) 特開2002−242927号公報(段落番号0021〜0025、図1、図2)
上記したスラスト受け機構を、たとえば、高荷重が負荷される給湯機用スクロール圧縮機に用いた場合、軌道輪および中間輪の表面性状が悪いと、すなわち、軌道面が平滑ではなく、高荷重に耐えうる表面性状ではないと、軌道輪および中間輪が大きく摩耗してしまうおそれがある。また、冷却能力の向上に伴うオイル量の削減等により、希薄潤滑下で使用されることになると、スラスト受け機構に含まれる軌道輪等が油膜切れを引き起こし、潤滑不良となって、金属接触による異常摩耗を引き起こすおそれがある。
この発明は、軌道輪および中間輪の耐摩耗性を向上させたスラスト受け機構を提供することを目的とする。
この発明に係るスラスト受け機構は、相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持する。また、スラスト受け機構は、第一の部材に装着される第一の軌道輪と、その軌道面が第一の軌道輪の軌道面と対向するよう、第二の部材に装着される第二の軌道輪と、両面に軌道面を有し、第一の軌道輪および第二の軌道輪との間に配置される中間輪と、第一の軌道輪と中間輪との間に配置され、転動軸心方向が揃えられた複数の第一のころと、第二の軌道輪と中間輪との間に配置され、第一のころの転動軸心方向と垂直な方向に転動軸心方向が揃えられた複数の第二のころと、第一のころを保持する複数のポケットを含む第一の保持器と、第二のころを保持する複数のポケットを含む第二の保持器と、第一の部材から第一の軌道輪および第一の保持器を貫通して中間輪まで延在する第一のガイドピンと、第二の部材から第二の軌道輪および第二の保持器を貫通して中間輪まで延在する第二のガイドピンとを備え、第一の保持器および中間輪は、それら自身の許容範囲内で、第一のころの転動軸心方向と垂直な方向に移動可能であり、第二の保持器および中間輪は、それら自身の許容範囲内で、第二のころの転動軸心方向と垂直な方向に移動可能である。ここで、軌道輪および中間輪の軌道面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.05μm以下であり、負荷長さ率(Tp)は、80%以上である。
軌道面の負荷長さ率(Tp)とは、評価長さに対する切断レベルにおける輪郭曲線要素の負荷長さの比をいい(JISB0601)、ここでいう負荷長さ率(Tp)は、初期摩耗比率を5%とし、切断レベルを0.10μmとしている。また、中心線平均粗さ(Ra)は、JISB0601に規定されている。
軌道輪および中間輪の軌道面のうち、中心線平均粗さ(Ra)および軌道面の負荷長さ率(Tp)をこのように規定することにより、軌道輪および中間輪の軌道面の平滑性を保ちながら、高荷重を受ける際に良好な表面性状とすることができ、摩耗を低減させることができる。したがって、軌道輪および中間輪の耐摩耗性を向上させることができる。
好ましくは、軌道輪および中間輪の軌道面の表面粗さパラメータ(Rsk)は、−1〜0である。表面粗さパラメータ(Rsk)とは、粗さ曲線の歪み度(スキューネス)を指し(ISO4287:1997)、凹凸分布の非対称性を知る目安の統計量であり、ガウス分布のような対称な分布では、表面粗さパラメータ(Rsk)は0に近くなり、凹凸の凸部を削除した場合は負、逆の場合は正の値をとることになる。さらに、表面粗さパラメータ(Rsk)をこのように規定することにより、潤滑油による被膜を形成するための潤滑油溜りを適度に確保し、ころと軌道面との間に、潤滑油による被膜を適切に形成することができ、希薄潤滑下においても、油膜切れを引き起こすことはない。
より好ましくは、ころの転動方向における軌道輪および中間輪の軌道面の中心線平均粗さ(Rax)と、ころの転動方向と垂直な方向における軌道輪および中間輪の軌道面の中心線平均粗さ(Ray)との比である中心線平均粗さ比(Rax/Ray)は、1±0.2の範囲である。
ころの転動方向における中心線平均粗さ(Rax)とこの方向に垂直な方向における中心線平均粗さ(Ray)との比を所定の範囲内に規定することにより、軌道輪および中間輪を取り付ける際の方向性を気にすることなく、スラスト受け機構を製造することができる。そうすると、加工工数、組み立て工数を削減することができる。
この発明によれば、軌道輪および中間輪の軌道面のうち、中心線平均粗さ(Ra)を0.05μm以下とし、負荷長さ率(Tp)を80%以上とすることにより、軌道輪および中間輪の軌道面の平滑性を保ちながら、高荷重を受ける際に良好な表面性状とすることができるため、摩耗を低減することができる。
その結果、軌道輪および中間輪の耐摩耗性を向上させたスラスト受け機構を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は、この発明の一実施形態に係るスラスト受け機構を示す分解斜視図である。図3は、スラスト受け機構11に含まれる第一の保持器15aを、軸に沿う方向からみた図である。また、図4は、第一の保持器15aに、第一のころ14aを保持させた状態を表す図である。
図2、図3および図4を参照して、スラスト受け機構11は、第一の部材であるハウジング20aと、ハウジング20aに対して偏心回転運動を行う第二の部材として回転部材20bとの間に介在して、ハウジング20aと回転部材20bとの間に発生するスラスト荷重を支持する。
スラスト受け機構11は、平板状の環状部材であって片面に軌道面を有し、軌道面と反対側の面がハウジング20aに取り付けられる第一の軌道輪12aと、平板状の環状部材であって片面に軌道面を有し、軌道面と反対側の面が回転部材20bに取り付けられる第二の軌道輪12bと、平板状の環状部材であってその両面に軌道面を有する中間輪13とを備える。第一の軌道輪12aと第二の軌道輪12bとは、軌道面が対向するように配置される。中間輪13は、双方の軌道面が、第一の軌道輪12aの軌道面および第二の軌道輪12bの軌道面と対向するように、第一の軌道輪12aと第二の軌道輪12bとの間に配置される。
スラスト受け機構11は、第一の軌道輪12aと中間輪13との間に配置され、第一の軌道輪12aおよび中間輪13の軌道面と接する複数の第一のころ14aと、第二の軌道輪12bと中間輪13との間に配置され、第二の軌道輪12bおよび中間輪13の軌道面と接する複数の第二のころ14bとを備える。第一のころ14aは、上下方向に配置される第一の軌道輪12aの軌道面および中間輪13の軌道面を転動する。第二のころ14bは、上下方向に配置される第二の軌道輪12bの軌道面および中間輪13の軌道面を転動する。
スラスト受け機構11は、平板状の環状部材であって複数の第一のころ14aを保持する第一の保持器15aと、平板状の環状部材であって複数の第二のころ14bを保持する第二の保持器15bとを備える。複数の第一のころ14aは、その転動軸心が矢印Xの方向に整列して向くように、第一の保持器15aに設けられた各ポケット21aによって保持されている。同様に、第二のころ14bは、その転動軸心が矢印Xの方向と直交する矢印Yの方向に整列して向くように、第二の保持器15bに設けられた各ポケットによって保持されている。
第一の軌道輪12aには、180度間隔で相互に対向する位置に一対の丸孔17aが設けられており、中間輪13および第一の保持器15aには、180度間隔で相互に対向し、長手方向が揃うように、一対の長孔18a、19aが設けられている。一対の長孔18a、19aは、半径方向に延びており、第一のころ14aの転動軸心方向(矢印Xの方向)と垂直な方向へのそれら自身の移動を許容し、その寸法関係は19a<18aとなっている。
スラスト受け機構11は、ハウジング20aから第一の軌道輪12aおよび第一の保持器15aを貫通して中間輪13まで延在するよう、一対の第一のガイドピン16aを備える。一対の第一のガイドピン16aを、丸孔17a、長孔18a、19aに挿通することにより、各部材の周方向が位置決めされるとともに、第一の軌道輪12aはハウジング20aに固定される。また、中間輪13および第一の保持器15aは、長孔18a、19aの許容範囲内で、第一のころ14aの転動軸心方向と垂直な方向、すなわち、矢印Yの方向またはその逆の方向に移動可能である。
同様に、第二の軌道輪12bには、180度間隔で相互に対向する位置に一対の丸孔17bが設けられており、中間輪13および第二の保持器15bには、180度間隔で相互に対向し、長手方向が揃うように、一対の長孔18b、19bが設けられている。なお、中間輪13に設けられた一対の長孔18a、18bは、相互に90度間隔で設けられている。一対の長孔18b、19bは、半径方向に延びており、第二のころ14bの転動軸心方向(矢印Yの方向)と垂直な方向へのそれら自身の移動を許容し、その寸法関係は19b<18bとなっている。
スラスト受け機構11は、回転部材20bから第二の軌道輪12bおよび第二の保持器15bを貫通して中間輪13まで延在するよう、一対の第二のガイドピン16bを備える。一対の第二のガイドピン16bを、丸孔17b、長孔18b、19bに挿通することにより、各部材の周方向が位置決めされるとともに、第二の軌道輪12bは回転部材20bに固定され、中間輪13および第二の保持器15bは、長孔18b、19bの許容範囲内で、第二のころ14bの転動軸心方向と垂直な方向、すなわち、矢印Xの方向またはその逆の方向に移動可能である。
このような構成により、ハウジング20aが固定された状態で、回転部材20bが偏心回転運動を行っても、第一の保持器15a、第二の保持器15bおよび中間輪13は、矢印X、Yの方向またはその逆の方向への移動が許容され、第一のころ14aおよび第二のころ14bが転動することにより、スラスト受け機構11は、回転部材20bと、ハウジング20aとの間の偏心スラスト荷重を支持することができる。
上記した第一の軌道輪12a、第二の軌道輪12bおよび中間輪13の軌道面は、表面仕上げとして研削加工処理が施されている。研削加工処理において、研削方向や研削速度等の研削条件を変更することにより、第一の軌道輪12a、第二の軌道輪12bおよび中間輪13の軌道面のうち、後述する負荷長さ率(Tp)等を、規定の範囲内とすることができる。
ここで、研削加工処理がなされた第一の軌道輪12a、第二の軌道輪12bおよび中間輪13のうち、中間輪13の一方の軌道面の中心線平均粗さ(Ra)等の測定について説明する。図1は、中間輪13を、図2における回転部材20bの側からみた図であり、この場合、第二のころ14bの軸線方向は、矢印Yの方向となる。なお、理解の容易のため、一対の長孔18aのうち、一方の長孔を長孔18a1、他方の長孔を長孔18a2とよび、一対の長孔18bのうち、一方の長孔を長孔18b1、他方の長孔を長孔18b2とよぶことにする。
図1および図2を参照して、矢印Xの方向、すなわち、第二のころ14bが転動する方向に関しては、中間輪13の軌道面のうち、周方向において、長孔18a1と長孔18b1との間で、第二のころ14bが転動する部分の矢印Xの方向に長い任意の測定部30aの母線形状を測定する。また、矢印Yの方向、すなわち、第二のころ14bが転動する方向に垂直な方向に関しては、中間輪13の軌道面のうち、周方向において、長孔18a2と長孔18b1との間で、第二のころ14bが転動する部分の矢印Yの方向に長い任意の測定部30bの母線形状を測定する。
測定された軌道面の測定部30a、30bの母線形状から、ころの転動方向における中間輪13の軌道面の中心線平均粗さ(Rax)、ころの転動方向と垂直な方向における軌道輪の軌道面の中心線平均粗さ(Ray)、表面粗さパラメータ(Rsk)、負荷長さ率(Tp)等を得る。ここでは、中心線平均粗さ(Rx)として、ころの転動方向における中間輪13の軌道面の中心線平均粗さ(Rax)、ころの転動方向と垂直な方向における軌道輪の軌道面の中心線平均粗さ(Ray)のうち、いずれかの値を用いる。
なお、中間輪13の他方の軌道面、第一の軌道輪12aおよび第二の軌道輪12bの軌道面についても、上記と同様に、軌道面の母線形状を測定し、負荷長さ率(Tp)等を得る。
表1は、実施例1として、研削条件を変更して研削処理を行った軌道輪、比較例1として、従来の研削処理を行った軌道輪の軌道面の負荷長さ率(Tp)等を示した表である。
Figure 2007177938
ここで、実施例1、比較例1に示される軌道輪を含むスラスト受け機構を使用して、軌道輪の摩耗量を測定する試験を行った。図5は、摩耗量を測定する際に使用したスラスト摩耗試験機22の概略図である。図5を参照して、ハウジングとしての固定輪24と、旋回輪25との間に取り付けられたスラスト受け機構23は、回転軸26の中心軸線27から寸法Cだけ離れた位置に、矢印Aで示す方向からスラスト荷重が加えられる。また、スラスト受け機構23の中心軸線28と、回転軸26の中心軸線27とは、寸法Bだけ偏心している。
なお、寸法B、寸法Cを含む具体的な試験条件は以下の通りである。
スラスト荷重 :1000N(荷重位置:中心軸線から12.5mmの位置)
回転速度 :1500r/min(公転半径2.5mm)
潤滑剤 :PAG+白灯油
図5に示すスラスト摩耗試験機を使用し、軌道輪の摩耗量を測定した結果を、表2および図6(A)〜図6(D)に示す。表2は、上記した実施例1および比較例1で示した軌道輪の摩耗量の最大値を表した表である。また、図6(A)〜図6(D)は、軌道輪の断面曲線、すなわち、軌道面の母線形状を表した図であり、実施例1の軌道輪を用いた場合(X方向:図6(A)、Y方向:図6(B))、比較例1の軌道輪を用いた場合(X方向:図6(C)、Y方向:図6(D))を示す。なお、図6(A)〜図6(D)中の太い実線29で示す部分は、摩耗部以外の母線に対応する部分を示す。
Figure 2007177938
表2および図6(A)〜図6(D)を参照して、比較例1については、摩耗部に対応する母線形状は、実線29で示す部分に対応する母線形状から大きく下方向に凹み、軌道輪の摩耗量は、8μm、11μmに達している。一方、実施例1については、摩耗部に対応する母線形状は、実線29で示す部分に対応する母線形状から下方向に凹んでいるが、その凹みは比較例1よりも小さく、軌道輪の摩耗量は3μm、4μm程度であり、比較例1と比較して、1/2〜1/3程度である。
ここで、軌道輪の摩耗量を低減させるには、軌道輪の軌道面の表面性状を良好にする、すなわち、軌道面をできるだけ平滑にするとともに、高荷重に耐えうる表面性状にする必要がある。したがって、中心線平均粗さ(Ra)はできるだけ小さく、かつ、負荷長さ率(Tp)はできるだけ大きい方が好ましい。
表1を参照して、実施例1に示す軌道輪は、中心線平均粗さ(Ra)が0.027μm、0.032μmと小さく、軌道面は比較的、平滑である。また、負荷長さ率(Tp)は、89.9%、84.3%と大きく、高荷重を受けるには良好な表面性状である。一方、比較例1に示す軌道輪は、中心線平均粗さ(Ra)が、0.077μm、0.172μmと大きく、実施例1に比べて凹凸状である。また、負荷長さ率(Tp)も30.2%、19.6%と小さく、高荷重に耐えうる表面性状ではない。したがって、中心線平均粗さ(Ra)を少なくとも、実施例1における最大値である0.032μmと比較例1における最小値である0.077μmとのほぼ中間の値である0.05μm以下とし、負荷長さ率(Tp)を少なくとも80%以上とすることにより、摩耗を低減させることができ、軌道輪の耐摩耗性を向上させることができる。
また、軌道輪の耐摩耗性を向上させるには、ころと軌道面との間の潤滑油の被膜を適切に形成する必要がある。ここで、実施例1に示す軌道輪の表面粗さパラメータ(Rsk)は、−0.044、−0.685であり、0よりも若干小さい値である。このような表面粗さパラメータ(Rsk)を有する軌道輪は、軌道面に潤滑油溜りを適度に確保することができる。一方、比較例1の表面粗さパラメータ(Rsk)は、−1.255、−2.038であり、マイナス方向に大きくなっている。このような軌道輪は、潤滑油溜りが多く、偏摩耗等を引き起こすおそれがある。したがって、表面粗さパラメータ(Rsk)を、少なくとも実施例1における最小値である−0.685と比較例1における最大値である−1.255とのほぼ中間の値である−1よりも大きくし、0よりも小さくする、すなわち、−1〜0の範囲とすることにより、ころと軌道面との間に、潤滑油による被膜を適切に形成することができ、希薄潤滑下においても、油膜切れを引き起こすことはない。したがって、軌道輪の耐摩耗性をさらに向上させることができる。
なお、ころの転動方向の中心線平均粗さ(Rax)およびこれに垂直な方向の中心線平均粗さ(Ray)の値が大きく異なる場合、軌道輪の取付け方向によって軌道輪の摩耗度合いが異なるため、取付け方向を規定する必要がある。しかし、ころの転動方向の中心線平均粗さ(Rax)と、これに垂直な方向の中心線平均粗さ(Ray)との比である中心線平均粗さ比(Rax/Ray)を所定の範囲内に規定することにより、軌道輪の取付けの方向性を気にせずに、スラスト受け機構を組み立てることができる。
上記した表1における実施例1においては、中心線平均粗さ比(Rax/Ray)は、0.843であり、比較例1における0.448よりも、1に近い値である。このような軌道輪については、取り付けの際に方向性を気にすることはない。したがって、少なくとも中心線平均粗さ比(Rax/Ray)を、1±0.2とすることにより、スラスト受け機構の組み立ての際に、軌道輪のX方向およびY方向への方向性を気にせずに、スラスト受け機構を組み立てることができる。そうすると、加工工数、組み立て工数を削減することができる。なお、ここでは、ころの転動方向をX方向とし、これに垂直な方向をY方向として、中心線平均粗さ比(Rax/Ray)を規定したが、これに限らず、ころの転動方向の中心線平均粗さ(Rax)と、これに垂直な方向の中心線平均粗さ(Ray)との比を、中心線平均粗さ比(Ray/Rax)と規定し、この比を1±0.2としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、研削加工による軌道面の表面仕上げ処理を行ったが、これに限らず、バレル処理、ショット、または液体ホーニング処理等の表面仕上げ処理により、中心線平均粗さ(Ra)や負荷長さ率(Tp)等を上記した範囲内の値にしてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係るスラスト受け機構は、軌道輪および中間輪の耐摩耗性を向上させることができるため、長寿命等が要求されるスラスト受け機構に、有効に利用される。
この発明の一実施形態に係るスラスト受け機構に備えられる中間輪を示す図である。 この発明の一実施形態に係るスラスト受け機構を示す分解斜視図である。 スラスト受け機構に含まれる第一の保持器を軸方向からみた図である。 図3に示す第一の保持器のポケットに第一のころが収容された状態を示す図である。 スラスト摩耗試験機を表す概略図である。 スラスト摩耗試験を行った後の軌道輪の断面曲線を表す図であり、(A)および(B)は、実施例1における軌道輪の断面曲線、(C)および(D)は、比較例1における軌道輪の断面曲線を示す。 従来におけるスラスト受け機構を表す分解斜視図である。 従来におけるスラスト受け機構の一部を示す断面図である。
符号の説明
11,23 スラスト受け機構、12a 第一の軌道輪、12b 第二の軌道輪、13 中間輪、14a 第一のころ、14b 第二のころ、15a 第一の保持器、15b 第二の保持器、16a 第一のガイドピン、16b 第二のガイドピン、17a,17b 丸孔、18a,18a1,18a2,18b,18b1,18b2,19a,19b 長孔、20a ハウジング、20b 回転部材、21a ポケット、22 スラスト摩耗試験機、24 固定輪、25 旋回輪、26 回転軸、27,28 中心軸線、29 実線、30a,30b 測定部。

Claims (3)

  1. 相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持するスラスト受け機構であって、
    前記第一の部材に装着される第一の軌道輪と、
    その軌道面が前記第一の軌道輪の軌道面と対向するよう、前記第二の部材に装着される第二の軌道輪と、
    両面に軌道面を有し、前記第一の軌道輪および前記第二の軌道輪との間に配置される中間輪と、
    前記第一の軌道輪と前記中間輪との間に配置され、転動軸心方向が揃えられた複数の第一のころと、
    前記第二の軌道輪と前記中間輪との間に配置され、前記第一のころの転動軸心方向と垂直な方向に転動軸心方向が揃えられた複数の第二のころと、
    前記第一のころを保持する複数のポケットを含む第一の保持器と、
    前記第二のころを保持する複数のポケットを含む第二の保持器と、
    前記第一の部材から前記第一の軌道輪および第一の保持器を貫通して前記中間輪まで延在する第一のガイドピンと、
    前記第二の部材から前記第二の軌道輪および第二の保持器を貫通して前記中間輪まで延在する第二のガイドピンとを備え、
    前記第一の保持器および前記中間輪は、それら自身の許容範囲内で、前記第一のころの転動軸心方向と垂直な方向に移動可能であり、
    前記第二の保持器および前記中間輪は、それら自身の許容範囲内で、前記第二のころの転動軸心方向と垂直な方向に移動可能であり、
    前記軌道輪および前記中間輪の軌道面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.05μm以下であり、負荷長さ率(Tp)は、80%以上である、スラスト受け機構。
  2. 前記軌道輪および前記中間輪の軌道面の表面粗さパラメータ(Rsk)は、−1〜0である、請求項1に記載のスラスト受け機構。
  3. 前記ころの転動方向における前記軌道輪および前記中間輪の軌道面の中心線平均粗さ(Rax)と、前記ころの転動方向と垂直な方向における前記軌道輪および前記中間輪の軌道面の中心線平均粗さ(Ray)との比である中心線平均粗さ比(Rax/Ray)は、1±0.2の範囲である、請求項1または2に記載のスラスト受け機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009185943A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Ntn Corp スラストころ軸受
JP2010009026A (ja) * 2008-05-28 2010-01-14 Konica Minolta Business Technologies Inc 画像形成方法
JP2010169182A (ja) * 2009-01-22 2010-08-05 Nsk Ltd ころ軸受

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