JP2007177888A - 回転式着脱締結具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回転カバーを所定角度回転させるだけで雄ネジやリング状溝あるいはリング状凸部などから構成される雄側咬合部が形成された棒状体に対する咬合と咬合解除とを容易に切り換えることができ、強い締結状態を保持することができる回転式着脱締結具を提供する。
【解決手段】 挿通孔21を有する把持用フランジ部22、および案内溝24を有するガイド部23を備えたガイドベース2と、案内溝24と摺動する摺動面31、雄側咬合部b1と咬合する雌側咬合面32、および雌側咬合面32の背面側に設けられる被押動面33を備えた締結駒3と、締結駒3を挿通孔21から退避する方向に付勢する付勢部材4と、雌側咬合面32を挿通孔21内から退避させ挿通状態にする退避部52と、雌側咬合面32を挿通孔21内に進出させて咬合状態に保持する咬合保持部53とを周方向に備えた回転カバー5とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボルト等の棒状体に対する締結具の締め付け作業や取り外し作業を簡単かつ迅速に行える締結具に関し、特に、雄ネジやリング状溝あるいはリング状凸部などから構成される雄側咬合部が形成された棒状体に対する咬合と咬合解除とをワンタッチで切り換えられる回転式着脱締結具に関するものである。
従来より、ボルトに対する締結具の締め付け作業や取り外し作業を迅速に行うための締結具が提案されている。例えば、特許第3182678号公報に記載の簡易締結装置は、ボルトの挿入方向に向かって径が漸減した斜面を有するすり鉢状穴、およびこのすり鉢状穴と対面する半ドーナッツ形状部が形成されたベースと、すり鉢状穴に案内され軸方向の動きにつれて直径方向に拡縮するねじ駒と、ねじ駒を拡方向に付勢するばねと、ベースに対して移動可能に設けられ、ねじ駒の拡状態を保持すると共に、ベース方向への移動によってねじ駒を縮方向に移動させるキャップとを備えている(特許文献1)。
上記簡易締結装置は、通常状態では、ねじ駒がばねによって上方へ付勢されているとともに、ねじ駒のすり鉢形状部がキャップの半円錐形状部に嵌まり込み、拡がった状態で保持されている。このため、ねじ駒の雌ねじ部はボルトと噛み合わない状態に設定される。一方、ボルトに締結する場合、キャップをばねの付勢力に反して下方に押すことで、キャップの斜面にそってねじ駒がずり下がる。これにより、ねじ駒は縮方向に移動してボルトと噛み合う状態に設定されるようになっている。
特許第3182678号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、明細書にも記載されているとおり、ねじ駒の噛み込み力のみによってねじ駒とボルトとの締結がなされており、ねじ駒を保持する部材が存在しない。より具体的には、キャップを下方へ押し込んで回転することにより、ねじ駒とボルトを噛み合わせた後は前記キャップは上下方向にフリーな状態となり、ねじ駒を支持していない。ねじ駒の半円錐形状部はベースのガイド用の斜面に接しているが、支えられているものではない。このため、ねじ駒に軸線に沿って上方向の力や軸線に対して垂直方向の力に対する抗力が弱く、安全性な締結力を必要とする部材や大きな部材の締結には好ましくない。
また、螺合した後はキャップがフリーとなり、螺合力以外にばねの付勢力に対抗する力がないので、ねじ駒の噛み合い状態が緩みはじめると、ばねの付勢力によってねじ駒が拡方向に移動し易く、締結状態が簡単に解除されてしまうという問題もある。
また、特許文献1の簡易締結装置を使用する場合、ボルトに締め付ける際にキャップをばねの付勢力に対抗して押さえ付けながら六角形状のベースを回転方向に工具等を使って締め込まなければならず、決して作業効率がよいとはいえない。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、回転カバーを所定角度回転させるだけで雄ネジやリング状溝あるいはリング状凸部などから構成される雄側咬合部が形成された棒状体に対する咬合と咬合解除とを容易に切り換えることができ、強い締結状態を保持することができる回転式着脱締結具を提供することを目的としている。
本発明に係る回転式着脱締結具の特徴は、雄ネジやリング状溝あるいはリング状凸部などから構成される雄側咬合部が形成された棒状体を挿通させる挿通孔が形成された把持用フランジ部、およびこの把持用フランジ部から立設され前記挿通孔の軸線に対して垂直な径方向に沿って前記挿通孔に通ずる案内溝が形成されたガイド部を備えたガイドベースと、前記案内溝と摺動する摺動面、前記棒状体の雄側咬合部と咬合する雌ネジや円弧状凸部あるいは円弧状溝などから構成される雌側咬合面、およびこの雌側咬合面の背面側に設けられる被押動面を備えた締結駒と、この締結駒を前記挿通孔から退避する方向に付勢する付勢部材と、前記ガイドベースの外側で回転可能に配置されているとともに、前記締結駒の雌側咬合面を前記挿通孔内から軸線垂直方向に退避させ前記棒状体が挿通できる挿通状態にする退避部と、前記付勢部材に対抗して前記締結駒の被押動面を押動し前記雌側咬合面を前記挿通孔内に軸線垂直方向に進出させて前記雄側咬合部に咬合できる咬合状態に保持する咬合保持部とを周方向に備えた回転カバーとを有する点にある。
また、本発明において、前記付勢部材は板バネから構成されており、この板バネの中央部を締結駒の背面に固定するとともに、その両端部を所定の付勢力を生ずるように湾曲または屈曲させて前記ガイドベースにおけるガイド部の外壁面に形成した板バネガイド溝に摺動可能に配置されていることが好ましい。
さらに、本発明において、前記回転カバーの咬合保持部には、前記締結駒の被押動面との摺接開始位置になだらかな傾斜面が形成されていることが好ましい。
また、本発明において、前記回転カバーの退避部は、前記締結駒が退出可能な大きさに開口された退避開口部として形成されていることが好ましい。
本発明によれば、回転カバーを所定角度回転させるだけで雄ネジやリング状溝あるいはリング状凸部などから構成される雄側咬合部が形成された棒状体に対する咬合と咬合解除とを容易に切り換えることができ、強い締結状態を保持することができる。
以下、本発明に係る回転式着脱締結具の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1から図6は、それぞれ本第1実施形態の回転式着脱締結具1Aを示す斜視図、正面図、背面図、平面図、底面図および左側面図であり、図7から図9は、それぞれ図2における7A−7A線断面図、図6における8A−8A線および9A−9A線断面図である。
本第1実施形態の回転式着脱締結具1Aは、主として、棒状体B1を挿通させる挿通孔21を有するガイドベース2と、このガイドベース2にスライド自在に設けられる一対の締結駒3,3と、これら締結駒3,3を挿通孔21から退避する方向に付勢する付勢部材4と、各締結駒3,3を挿通孔21内に進退させる回転カバー5とから構成されている。なお、本第1実施形態の回転式着脱締結具1Aは、ボルト等のように、雄ネジとして構成される雄側咬合部b1が形成された棒状体B1に対し、咬合および咬合解除が可能に構成されている。
以下、各構成部についてより詳細に説明する。図1から図9に示すように、ガイドベース2は、挿通孔21が形成された把持用フランジ部22と、この把持用フランジ部22から立設されたガイド部23とを有している。把持用フランジ部22は、その外形がスパナ等の工具によって把持されて締め付けられ易いように六角形に形成されており、その中心部に棒状体B1よりもわずかに大径の挿通孔21が形成されている。もちろん六角形に限定されるものではなく、工具に合わせて形成されればよい。また、把持用フランジ部22の上面には、ガイド部23の外周に沿って回転カバー5を回転可能に嵌合させるための環状溝22aが形成されている。
また、ガイドベース2のガイド部23は、挿通孔21の軸線に対して垂直な径方向(以下、「軸線垂直方向」という)に沿って案内溝24が形成されている。この案内溝24は、挿通孔21に通ずるように設けられており、締結駒3,3を挿通孔21へと案内するようになっている。本第1実施形態では、図9に示すように、2つの凹状の案内溝24が挿通孔21を中心にして対向位置に形成されており、1対の締結駒3,3を軸線垂直方向に沿って挿通孔21に進退させるように案内する。また、案内溝24は把持用フランジ部22上のガイド部23にのみ形成してもよいが、本第1実施形態では前記把持用フランジ部22の上面を削って形成されている。これは、工具で把持される把持用フランジ部22を厚く形成しつつもガイド部23の高さを低く抑える工夫である。
また、ガイド部23の外壁面は、回転カバー5の内周面を摺動させられるように円弧状に形成されており、前記回転カバー5を円周方向に安定的に案内することができる。ただし、これは必須の形状ではなく、回転カバー5は環状溝22aに沿って回転できるのであるからこの回転を阻害しない形状であればよい。
さらに、ガイド部23の外壁面には、円弧方向に沿って断面凹状の板バネガイド溝25が帯状に形成されており、後述する付勢部材4である板バネ4の両端部が配置され、案内し得るようになっている。
また、ガイド部23の内壁面の上縁には、回転カバー5と係合するストッパー板部26が延出されている。このストッパー板部26の上縁を外側に折り曲げることにより回転カバー5の上面に当接させられるようにし、当該回転カバー5が上方に抜けないように構成されている。
つぎに、締結駒3は、ガイドベース2上において軸線垂直方向に沿ってスライドし、挿通孔21に対して進退可能に配置されるものである。締結駒3は、図9に示すように、案内溝24内で摺動可能な大きさに形成されており、その両側面は案内溝24の両溝側面と摺動する摺動面31として構成されている。また、挿通孔21に対面される前面には、雄ネジから構成される雄側咬合部b1と螺合する雌ネジから構成される雌側咬合面32が形成されており、この雌側咬合面32の背面には、締結駒3を挿通孔21内に進出させる際に押される被押動面33が形成されている。被押動面33は、略円弧状に形成されており、回転カバー5の湾曲された内壁によって円滑に押動されるようになっている。
つぎに、付勢部材4は、板バネ4から構成されており、図1や図9に示すように、その中央部が締結駒3の背面に固定されている。そして、その両端部が摺動面31側に折り曲げられており、各ガイド部23の外壁面に摺動するように形成されている。本第1実施形態では、ガイド部23の外壁面に形成された板バネガイド溝25内に板バネ4の両端部が配置されており、その帯状の板バネガイド溝25に沿って板バネ4がたわみながら案内されるようになっている。
また、板バネ4の折り曲げ角度は、所定の付勢力が得られるように湾曲または屈曲されている。具体的には、締結駒3を挿通孔21方向に押動すると、板バネ4が板バネガイド溝25に沿って拡開し復元力を発生する。そして、この復元力により、締結駒3は挿通孔21から退避する方向に付勢されるようになっている。このため、本第1実施形態では、締結駒3の雌側咬合面32を挿通孔21内から退避させる程度の付勢力が得られるように、板バネ4の折り曲げ角度が設定される。なお、本第1実施形態では、締結駒3の背面に板バネ4を嵌める溝が形成されており、この溝に板バネ4を嵌合させて、図1〜3に示すように、ポンチ加工によって締結駒3の背面縁部を延出させて固定している。なお、板バネ4を接着剤や溶接等によって固定してもよい。
つぎに、回転カバー5は、ガイド部23を覆う大きさで下底が開口された円筒冠状に形成されており、上面には棒状体B1を挿通させる円形開口部51が形成されている。また、回転カバー5の側壁には、締結駒3が退出可能な大きさに開口された退避開口部52と、締結駒3を押動して保持するための咬合保持部53が、周方向において約90度間隔で形成されている。
回転カバー5の退避開口部52は、締結駒3を退避させる役割を果たすものであり、図6および図9に示すように、締結駒3に対応させて2箇所に設けられている。なお、本第1実施形態では、回転式着脱締結具1Aの外径寸法を小さくする目的で、回転カバー5の退避開口部52を開口させているが、これに限られるものではなく、後述するように、回転カバー5の内壁面に締結駒3が退避させられるくぼみを形成して薄肉状の退避部として構成してもよい。
また、回転カバー5の咬合保持部53は、周方向において各退避開口部52の間に設けられており、締結駒3を所定量押動し得る程度の肉厚に形成されている。この咬合保持部53の肉厚は、雌側咬合面32を雄側咬合部b1と咬合し得るように挿通孔21内に進出させるとともに、ガイド部23の外周面と摺動し得る程度に形成される。なお、咬合保持部53は、締結駒3の被押動面33と摺接を開始する位置に、なだらかな傾斜面54が設けられており、締結駒の3の押動開始をスムーズにし、軽い力で押動できるようになっている。
したがって、回転カバー5を回転し、周方向において退避開口部52を締結駒3に一致させると、板バネ4によって付勢された締結駒3が退避開口部52内にスライド移動する。これにより、雌側咬合面32が挿通孔21内から軸線垂直方向に退避して棒状体B1が挿通できる挿通状態になる。一方、この挿通状態から約90度回転カバー5を回転させると、咬合保持部53によって押動された締結駒3が、板バネ4の付勢力に対抗して挿通孔21側にスライド移動する。これにより、雌側咬合面32が挿通孔21内へ軸線垂直方向に進出し棒状体B1に咬合できる咬合状態(本第1実施形態では螺合状態ともいえる)に切り換えられる。
また、図1、図4および図8に示すように、回転カバー5はガイドベース2の環状溝22aに回転可能に嵌合されている。そして、ガイドベース2のストッパー板部26が回転カバー5の円形開口部51から延出し、外側に折り曲げられて当接できるようになっている。これにより、回転カバー5が上方向に抜けるのを防止する。一方、円形開口部51の内周縁部には、内方に突出する2つの位置決め用突起55,55が形成されている。各位置決め用突起55,55の位置や大きさは、各ストッパー板部26,26の一端側に当接したときに挿通状態となるように設定され、各位置決め用突起55,55が各ストッパー板部26,26の他端側に当接したときに咬合状態となるように設定されている。
また、本第1実施形態では、回転カバー5の上面および外周面に回転方向およびその回転量を指し示すための印字がなされている。具体的には、図1から図4および図6に示すように、挿通状態に設定するための回転方向には、「In/Out」の文字とともに矢印が記載され、咬合状態に設定するためのスライド方向には、「Fix」の文字とともに矢印が記載されている。そして、本第1実施形態では、挿通状態と咬合状態を切り換えるための回転角度として「90°」の文字が記載されている。
なお、回転カバー5の外周には回転させる際に把持しやすいようにローレット等を形成してもよいし、外形形状を多角形状などにしてもよい。
つぎに、以上のような構成を備えた本第1実施形態における回転式着脱締結具1Aの作用につき、図面を参照しつつ説明する。
まず、本第1実施形態の回転式着脱締結具1Aによって、締結体Xに被締結物Yを締結する場合、図10(a)に示すように、締結体Xおよび被締結物Yを連通する下穴Hにボルト等の棒状体B1を挿通する。一方、回転式着脱締結具1Aについては、回転カバー5を回転させて挿通状態に設定する。具体的には、「In/Out」の印字で示された方向に従って回転カバー5を約90度回転させて、各位置決め用突起55,55が各ストッパー板部26,26の一端側に当接する。これにより、周方向において各退避開口部52,52が各締結駒3,3の被押動面33に一致し、板バネ4によって付勢された各締結駒3,3が案内溝24に沿って各退避開口部52,52内にスライドする。このため、図9に示すように、各雌側咬合面32,32が挿通孔21内から軸線垂直方向に退避して棒状体B1が挿通できる挿通状態になる。
つづいて、挿通状態に設定された回転式着脱締結具1Aを棒状体B1に挿通させる。このとき、回転式着脱締結具1Aは、各雌側咬合面32,32が挿通孔21内から退避しているため、棒状体B1の雄側咬合部b1に咬合することなく無回転で挿通される。そして、図10(b)に示すように、回転式着脱締結具1Aを被締結物Yの近傍まで一気に挿通させた後、回転カバー5を回転させて咬合状態に設定する。
具体的には、「Fix」の印字で示された方向に従って回転カバー5を約90度回転させると、各位置決め用突起55,55が各ストッパー板部26,26の他端側に当接する。これにより、周方向において、各咬合保持部53,53が各締結駒3,3の被押動面33に一致し、各咬合保持部53,53は板バネ4の付勢力に対抗して各締結駒3,3を案内溝24に沿って挿通孔21側にスライドさせる。このとき、咬合保持部53に形成された傾斜面54によって締結駒3の被押動面33の押動を開始するため、締結駒3の縁部に引っ掛かることなく速やかにスライドできる。これにより、図11および図12に示すように、各雌側咬合面32,32が案内溝24に沿って挿通孔21内に進出し棒状体B1に咬合できる咬合状態となる。また、咬合保持部53は、回転カバー5を逆方向に回転させない限り、締結駒3の被押動面33を押圧し続けるため咬合状態を保持することができる。
つづいて、図10(c)に示すように、回転式着脱締結具1Aの把持用フランジ部22を工具によって締め付け方向にわずかに増し締めするだけで、各雌側咬合面32,32を介して棒状体B1に螺着でき、被締結物Yを締結体Xに強固に締め付けられる。
一方、上記のように締め付けた本第1実施形態の回転式着脱締結具1Aを取り外す場合は、単に、回転カバー5を挿通状態にする方向に回転させる。これにより、板バネ4の付勢力によって各雌側咬合面32,32が挿通孔21内から退避するため、棒状体B1との咬合が解除される。したがって、回転式着脱締結具1Aを軽く持ち上げるだけで、棒状体B1に対して無回転で一気に取り外される。
以上のような本第1実施形態によれば、
1.回転カバー5を所定角度回転させるだけで棒状体B1との咬合および咬合解除を素早く切り替えることができ、締め付け作業や取り外し作業を簡単かつ迅速に行える。
2.回転カバー5によって締結駒3の咬合状態を保持しているため、咬合状態が解除されにくく締結力を高めることができる。
3.回転カバー5を所定角度回転させるだけで咬合状態と咬合解除状態とを完全に切り換えることができるため、切り換え作業が簡単であり、作業効率を向上することができる等の効果を奏する。
つぎに、本発明に係る回転式着脱締結具の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の構成のうち上述した第1実施形態の構成と同等または相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
本第2実施形態の回転式着脱締結具1Bを図13乃至図18に示す。本第2実施形態の特徴は、締結駒3を退避させる構成として、第1実施形態では開口した退避開口部52を形成していたが、本第2実施形態では、回転カバー5の側壁肉厚を薄くした薄肉状の退避部56によって実現している。このような回転式着脱締結具1Bによれば、第1実施形態に比べると、回転カバー5が大きくなってしまうが、回転カバー6内にゴミ等が入り込むおそれがないというメリットを奏する。
さらに、本発明に係る第3実施形態として図19に示すような回転式着脱締結具1Cを提案することができる。上述した各実施形態では、対向する2つの案内溝24を形成し、対となる2つの締結駒3を配置しているが、本第3実施形態では、3つの案内溝24を円周方向に等間隔で形成し、これら各案内溝24に締結駒3を配置している。そして、回転カバー5を正逆方向に回転させることにより、締結駒3を軸線垂直方向である放射状に進退させる。
このような本第3実施形態の回転式着脱締結具1Cによれば、上述した実施形態の効果に加えて、所定の締結強度を保持しつつ、各雌側咬合面32の円弧長さを短くすることができる。このため、各雌側咬合面32の端部を挿通孔21内から退避させるのに必要なスライド量を短くすることができ、よって回転式着脱締結具1Cの外径寸法を小さくすることができる。また、回転カバー7の咬合保持部53と退避部56との切り換え間隔を小さくできるため、小さな回転量で咬合状態と挿通状態とを切り換えることができる。
つぎに、本発明に係る回転式着脱締結具の第4実施形態および第5実施形態について説明する。なお、本第4実施形態および本第5実施形態の構成のうち、上述した各実施形態の構成と同等または相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
本第4実施形態の回転式着脱締結具1Dの特徴は、図20に示すように、リング状の溝から構成される雄側咬合部b2が形成された棒状体B2に対し、咬合および咬合解除が可能に構成されている点にある。具体的には、締結駒3Dの雌側咬合面32Dには、雄側咬合部b2の溝に合致するように円弧状に突出された円弧状凸部32D1が形成されている。したがって、回転カバー5を正逆方向に回転させると、締結駒3Dが軸線垂直方向に進退し、円弧状凸部32D1が雄側咬合部b2と咬合および咬合解除するようになっている。
また、本第5実施形態の回転式着脱締結具1Eの特徴は、図21に示すように、リング状の凸部から構成される雄側咬合部b3が形成された棒状体B3に対し、咬合および咬合解除が可能に構成されている点にある。具体的には、締結駒3Eの雌側咬合面32Eには、雄側咬合部b3のリング状凸形状と咬合する円弧状溝32E1が形成されている。したがって、回転カバー5を正逆方向に回転させると、締結駒3Eが軸線垂直方向に進退し、円弧状溝32E1が雄側咬合部b3と咬合および咬合解除するようになっている。
以上のような本第4実施形態および本第5実施形態によれば、回転カバー5を回転させて締結駒3D,3Eと棒状体B2,B3との咬合状態を解除しない限り、回転式着脱締結具1D,1Eが棒状体B2,B3から離脱することがない。また、ネジによる螺合ではないため、増し締め作業が不要となり、締結作業を簡易化して迅速化することができる。このとき、増し締めする代わりに締結体との間にワッシャを挟めばよい。
なお、本発明に係る回転式着脱締結具は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。たとえば、締結駒3,3D,3Eの数は2つまたは3つに限定される必要はなく、1つあるいは4つ以上であってもよい。また、付勢部材4についても板バネ4が好ましいがこれに限定する必要はなく、締結駒3,3D,3Eを退避させられる付勢力を付与できるものであれば変更可能である。
また、上述した第4実施形態および第5実施形態では、雄側咬合部b2,b3が1つのリング状溝あるいはリング状凸部から構成される棒状体B2,B3について説明したが、これに限られるものではなく、2つ以上のリング状溝あるいはリング状凸部を有する棒状体B2,B3に咬合および咬合解除させるようにしてもよい。この場合、リング状溝あるいはリング状凸部の数に合わせて、締結駒3D,3Eの雌側咬合面32D,32Eに、円弧状凸部あるいは円弧状溝を形成すればよい。これにより、締結力を向上させることができる。
本発明に係る回転式着脱締結具の第1実施形態を示す斜視図である。 本第1実施形態の回転式着脱締結具を示す正面図である。 図2の背面図である。 図2の平面図である。 図2の底面図である。 図2の左側面図である。 図2における7A−7A線断面図である。 図6における8A−8A線断面図である。 図6における9A−9A線断面図である。 本第1実施形態の回転式着脱締結具を締結する際の使用方法を示す説明図である。 本第1実施形態の回転式着脱締結具が咬合状態に設定されたときの図2における7A−7A線断面図である。 本第1実施形態の回転式着脱締結具が咬合状態に設定されたときの図6における9A−9A線断面図である。 本発明に係る回転式着脱締結具の第2実施形態を示す斜視図である。 本第2実施形態の回転式着脱締結具を示す正面図である。 図14の左側面図である。 図14における16A−16A線断面図である。 図15における17A−17A線断面図である。 図15における18A−18A線断面図である。 本発明に係る回転式着脱締結具の第3実施形態を示す平面断面図である。 本発明に係る回転式着脱締結具の第4実施形態を示す側面断面図である。 本発明に係る回転式着脱締結具の第5実施形態を示す側面断面図である。
符号の説明
1A,1B,1C,1D,1E 回転式着脱締結具
2 ガイドベース
3,3D,3E 締結駒
4 付勢部材(板バネ)
5,6,7 回転カバー
21 挿通孔
22 把持用フランジ部
22a 環状溝
23 ガイド部
24 案内溝
25 板バネガイド溝
26 ストッパー板部
31 摺動面
32,32D,32E 雌側咬合面
32D1 円弧状凸部
32E1 円弧状溝
33 被押動面
51 円形開口部
52 退避開口部
53 咬合保持部
54 傾斜面
55 位置決め用突起
56 退避部
B1,B2,B3 棒状体
b1 雄側咬合部(雄ネジ)
b2 雄側咬合部(リング状溝)
b3 雄側咬合部(リング状凸部)
H 下穴
X 締結体
Y 被締結物

Claims (4)

  1. 雄ネジやリング状溝あるいはリング状凸部などから構成される雄側咬合部が形成された棒状体を挿通させる挿通孔が形成された把持用フランジ部、およびこの把持用フランジ部から立設され前記挿通孔の軸線に対して垂直な径方向に沿って前記挿通孔に通ずる案内溝が形成されたガイド部を備えたガイドベースと、
    前記案内溝と摺動する摺動面、前記棒状体の雄側咬合部と咬合する雌ネジや円弧状凸部あるいは円弧状溝などから構成される雌側咬合面、およびこの雌側咬合面の背面側に設けられる被押動面を備えた締結駒と、
    この締結駒を前記挿通孔から退避する方向に付勢する付勢部材と、
    前記ガイドベースの外側で回転可能に配置されているとともに、前記締結駒の雌側咬合面を前記挿通孔内から軸線垂直方向に退避させ前記棒状体が挿通できる挿通状態にする退避部と、前記付勢部材に対抗して前記締結駒の被押動面を押動し前記雌側咬合面を前記挿通孔内に軸線垂直方向に進出させて前記雄側咬合部に咬合できる咬合状態に保持する咬合保持部とを周方向に備えた回転カバーと
    を有することを特徴とする回転式着脱締結具。
  2. 請求項1において、前記付勢部材は板バネから構成されており、この板バネの中央部を締結駒の背面に固定するとともに、その両端部を所定の付勢力を生ずるように湾曲または屈曲させて前記ガイドベースにおけるガイド部の外壁面に形成した板バネガイド溝に摺動可能に配置されていることを特徴とする回転式着脱締結具。
  3. 請求項1または請求項2において、前記回転カバーの咬合保持部には、前記締結駒の被押動面との摺接開始位置になだらかな傾斜面が形成されていることを特徴とする回転式着脱締結具。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、前記回転カバーの退避部は、前記締結駒が退出可能な大きさに開口された退避開口部として形成されていることを特徴とする回転式着脱締結具。
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