JP2007177039A - 耐熱性と透明性に優れた脂肪族ポリエステルブロック共重合体、脂肪族ポリエステル樹脂組成物、およびそれらの成形品、シート。 - Google Patents
耐熱性と透明性に優れた脂肪族ポリエステルブロック共重合体、脂肪族ポリエステル樹脂組成物、およびそれらの成形品、シート。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィンセグメント(A)と脂肪族ポリエステルセグメント(B)とが共有結合を介してブロック状、グラフト状、ランダム状に結合し降温結晶化温度が100℃以上である脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)、脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)を1〜99重量部、脂肪族ポリエステル(D)を1〜99重量部(ただし両者の合計を100重量部とする)を含んでなる脂肪族ポリエステル樹脂組成物(E)、及びそれらから成形される成形品を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリオレフィンセグメント(A)と脂肪族ポリエステルセグメント(B)とが共有結合を介してブロック状、グラフト状、ランダム状に結合した共重合体であり、降温結晶化温度が100℃以上である脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)を提供する。
結晶化時間が5分以内である前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物も本発明の好ましい態様である。
本発明は前記脂肪族ポリエステルブロック共重合体を成形してなり、厚み0.2mmに換算したHAZEが10%以下であるシートも提供する。
本発明は前記脂肪族ポリエステル組成物を成形してなる成形品も提供する。
本発明は前記脂肪族ポリエステル組成物を成形してなり、厚み0.2mmに換算したHAZEが10%以下であるシートも提供する。
また、これらの脂肪族ポリエステルは、ジイソシアネートなどの結合剤によってポリマー 鎖が延長されたものであっても良い。また、少量のグリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多価アルコール類を共存させて共重合させたものでも良い。
脂肪族ポリエステルのなかでも、植物などの再生可能資源由来の乳酸を原料とした乳酸系樹脂が好ましい。本発明において乳酸系樹脂とは、ポリ乳酸単独、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルとのコポリマー、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルとのブレンドまたはポリマーアロイを含む。
なお、本発明において各種物性、評価は下記の方法で測定、評価した。
(1)透明性
後述する厚み0.2mmのシートをJIS K7105に準じて測定したHAZE値を以って透明性の指標とした。
(2)耐熱性
後述する厚み約0.2mmのシートをあらかじめ100℃に設定したオーブン中に吊り下げ、30分間保持した。得られたシートについて変形程度および白化の有無について目視で確認した。
(3)降温結晶化温度
後述する方法により得られた樹脂組成物をPerkin Elmer製DSC7にて温度200℃、時間5minの条件にて溶融した後、10℃/minの条件で冷却したさいの結晶化ピーク温度を降温結晶化温度とした。
(4)結晶化時間
脂肪族ポリエステルブロック共重合体ならびに脂肪族ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度はPerkin Elmer製DSC7にて、25℃の状態でサンプルをセットし、その後100℃/minの速度で200℃まで昇温し、5分間溶融した後、100℃/minの速度で100℃まで冷却し、その後結晶化のピーク位置を結晶化時間とした。結晶化時間が短いほど結晶化速度が速い。
(5)結晶化度
脂肪族ポリエステルならびに脂肪族ポリエステル樹脂組成物約5mgをPerkin Elmer製DSC7にセットし、30℃から10℃/minの速度で200℃まで昇温した。昇温した際の結晶化ピークの面積をΔHcとし、結晶融解ピークの面積をΔHmとして、結晶化度Xcは以下の式(i)を用いて算出した。
(i)Xc=(ΔHm−ΔHc)/93*100
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)がグラフト反応した変性ポリプロピレン樹脂(HEMA−PP(1))の合成
メルトフローレイト(MFR;230℃、2160g)が0.02g/10分、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が10.5dl/gであるプロピレン単独重合体パウダー100重量部に対して、2−ヒドロキシメチルメタクリレート(HEMA)3重量部、およびt−ブチルペルオキシベンゾエート(PBZ;日本油脂(株)製)3重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、二軸混練機(テクノベル、ZSK−30)を用いて210℃で溶融変性し、変性ポリプロピレン樹脂(以下、HEMA―PP(1)という)ペレットを得た。この変性ポリプロピレン樹脂のGPC測定による数平均分子量(Mn)は、31000であった。MFRは450g/10分、[η]は0.80dl/g、未反応HEMAを精製除去した後NMRで測定したHEMAグラフト量は1.7重量%であった。また、降温結晶化温度は114℃であった。
(脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1)の合成)
製造例1で得られたHEMA−PP(1)6.0Kgと脱水した混合キシレン36.0KgとL−ラクチド30.0Kgを500LのSUS釜に装入し、攪拌下に減圧脱気(2Kpa/5分)窒素で戻す操作を3回行った。その後窒素を流しながら130℃でHEMA−PP(1)を溶解し、触媒のオクタン酸スズ0.005g(0.5wt%キシレン溶液を1.0g添加)を加えてから窒素雰囲気下、130℃で8時間反応を行った。反応終了後、脱水混合キシレン130Kgとエタノール29Kgを加え、均一になるまで撹拌した後放冷し、ポリマーを晶析させた。180Kgのメタノールを晶析マスに加え、よく撹拌した後吸引濾過を行った。再び200Kgのメタノール中に濾物を加えて撹拌した後吸引濾過を行った。更に200Kgのメタノール中に濾物を加えて撹拌した後吸引濾過を行った。その吸引濾過時に上からさらに200Kgのメタノールを数回に分けて注ぎ濾物をリンス洗浄した。濾物を回収後、80℃の減圧乾燥機中で72時間乾燥させてポリプロピレン換算の重量平均分子量30.0万のポリマー(以下脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1))を32.4Kg得た。脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1)は、HEMA−PP部がポリオレフィンセグメントを形成し、ラクチドの重縮合により形成されたポリ乳酸セグメントが脂肪族ポリエステルセグメント(B)を形成する。収率から計算したポリオレフィンセグメント(A)と脂肪族ポリエステルセグメント(B)の重量組成比は19/81であり、DSCにて測定した100℃での結晶化時間は2.5分だった。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)がグラフト反応した変性ポリプロピレン樹脂(HEMA−PP(2))の合成
メルトフローレイト(MFR;230℃、2160g)が2.4g/10分、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が2.6dl/gであるプロピレン単独重合体パウダー100重量部に対して、2−ヒドロキシメチルメタクリレート(HEMA)4.5重量部、およびt−ブチルペルオキシベンゾエート(PBZ;日本油脂(株)製)1.5重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、二軸混練機(テクノベル、ZSK−30)を用いて210℃で溶融変性し、変性ポリプロピレン樹脂(以下、HEMA−PP(2)という)ペレットを得た。この変性ポリプロピレン樹脂のGPC測定による数平均分子量(Mn)は、31000であった。MFRは150g/10分、[η]は0.90dl/g、未反応HEMAを精製除去した後NMRで測定したHEMAグラフト量1.9重量%であった。また、降温結晶化温度は116℃であった。
(脂肪族ポリエステルブロック共重合体(2)の合成)
製造例2で得られたHEMA−PP(2)を使用したほかは製造例3と同様な方法で重量平均分子量28.3万のポリマー(以下脂肪族ポリエステルブロック共重合体(2))を32.5Kg得た。収率から計算したポリオレフィンセグメント(A)と脂肪族ポリエステルセグメント(B)の重量組成比は24/76であった。DSCにて測定した100℃での結晶化時間は1.8分だった。
評価用の樹脂を、(a)キャピラリーレオメーター、(b)スリットダイス、(c)冷却ロール、エアーノズル、(d)引取ロール、からなる装置によってシートを成形した。
(a)キャピラリーレオメーターは溶融樹脂を押し出す役割を果たす。キャピラリーレオメーターは東洋精機製作所社製キャピラリーレオメーター:キャピログラフ1B(バレル系10mmφ)を用い、バレル温度200℃、ピストン速度50mm/分の条件で行った。なお、測定サンプルは1回の測定につき10−20g使用し、溶融時間は6分間とした。
(b)スリットダイスの上方向から眺めた図面を図1に、横方向から眺めた図面を図2に、A―B断面図を図3に示した。スリットダイスには、締め込みノズル(1)、ジョイント部(1)に接合したアダプターを介して、キャピラリーレオメーターのバレル下に固定され、プレートヒーターを用い200℃(図2の(3)は、熱電対挿入部)に加熱された。
(c)冷却ロール、エアーノズルの正面方向の図面を図4に、横方向の図面を図5に示した。冷却ロール(4)、エアーノズル(5)はスリットダイス下に設置され、スリットダイス下端と冷却ロール(4)上端との距離が10mmになるように固定された。エアーノズル長は26cmであり、5.5mm間隔で直径1mmのエアー吹き出し孔が空けられている。冷却エアーの流量は50l/分の条件で行った。測定サンプルのシートを上記装置により成形し、シート終端から1.75m〜1.95mのシートをサンプリングした。
上記耐熱性・透明性評価シートの製造方法に記載の方法で厚み0.2mmの脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1)のシートを作製し、HAZEを測定した。HAZEは2.0%であった。また、耐熱性の評価のため、100℃に保持したオーブン中で30分間熱処理をした結果、HAZEは7.2%で透明性を保ち、シートはわずかに変形していたが、実用上問題ないレベルだった。
上記耐熱性・透明性評価シートの製造方法に記載の方法で厚み0.2mmの脂肪族ポリエステルブロック共重合体(2)のシートを作製し、HAZEを測定した。HAZEは2.8%であった。また、耐熱性の評価のため、100℃に保持したオーブン中で30分間熱処理をした結果、HAZEは7.2%で透明性を保ち、シートはわずかに変形していたが、実用上問題ないレベルだった。
脂肪族ポリエステル(D)として三井化学株式会社製ポリ乳酸(グレードH100、D体量1.1%、ポリスチレン換算重量平均分子量16万、以下PLA(1))を70重量部、脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)として製造例2に記載の方法で得られた脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1)を30重量部もちい、東洋精機製作所株式会社製プラストミルにて温度200℃、回転数100rpm、時間5minの条件で混練して脂肪族ポリエステル樹脂組成物(1)を得た。上記耐熱性・透明性評価シートの製造方法に記載の方法で厚み0.2mmの脂肪族ポリエステル樹脂組成物(1)のシートを作製し、透明性・耐熱性を評価した。HAZEは0.1%であり、100℃、30分間オーブン中で熱処理したシートのHAZEは12%であり、シートはわずかに変形していたが、実用上問題ないレベルだった。
脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)として製造例2に記載の脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1)100重量部に対し、旭電化工業株式会社製核剤NA21を1重量部用い、東洋精機製作所株式会社製プラストミルにて温度200℃、回転数100rpm、時間5minの条件で混練した。得られた樹脂組成物を用いて上記耐熱性・透明性評価シートの製造方法に記載の方法で厚み0.2mmのシートを作製し、透明性・耐熱性を評価した。HAZEは5.5%であり、100℃、30分間オーブン中で熱処理したシートのHAZEは7.8%であり、シートはわずかに変形していたが、実用上問題ないレベルだった。
上記耐熱性・透明性評価シートの製造方法に記載の方法で厚み0.2mmのPLA(1)のシートを作製し、透明性・耐熱性を評価した。HAZEは2.0%であり、100℃、30分間オーブン中で熱処理したシートのHAZEは22%であり、白化して大きく変形し収縮していた。熱処理前のシートは透明性に優れるが、100℃での耐熱性がないことが分かる。
ポリオレフィンとして株式会社プライムポリマー製ホモポリプロピレン(グレードF122)を製造例3と同様な方法でシート状に成形し、透明性・耐熱性を評価した。HAZEは7.6%であり、100℃、30分間オーブン中で熱処理したシートのHAZEは8.1%、変形が見られなかった。100℃での耐熱性は有するものの、透明性に劣ることが分かる。
脂肪族ポリエステルとしてPLA(1)を80重量部、ポリオレフィンとして株式会社プライムポリマー製ホモポリプロピレン(グレードF122)を20重量部、製造例4と同様な方法で混練した。得られた樹脂組成物を製造例3と同様な方法で製造例3と同様な方法でシート状に成形し、透明性・耐熱性を評価した。HAZEは36.6%であり、100℃、30分間オーブン中で熱処理したシートのHAZEは36.7%であり、大きく変形し収縮していた。透明性が劣り、また100℃での耐熱性も有していないことが分かる。
製造例2で得られた脂肪族ポリエステルブロック共重合体(1)を温度200℃、時間5min、圧力10MPaの条件でプレス成形した後、温度30℃、時間5min、圧力10MPaの条件で急冷することにより、厚み450μmプレスシートを作製した。さらに得られたプレスシートを100℃に保持したプレス機で再度20秒間熱処理した。得られた熱処理シートのHAZEを測定したところ、19%だった。0.2mm換算では8%である。また結晶化度を評価した結果、53%だった。熱処理したプレスシートを100℃に設定したオーブン中で30分間加熱したが、大きな変形は見られなかった。
実施例2と同様な方法で得られた脂肪族ポリエステル樹脂組成物(1)について、実施例5と同様な方法でプレスシートを作製した。さらに得られたプレスシートを100℃に保持したプレス機で再度20秒間熱処理した。得られた熱処理シートのHAZEを測定したところ、21%だった。0.2mm換算では9%である。結晶化度を評価した結果、45%だった。熱処理したプレスシートを100℃に設定したオーブン中で30分間加熱したが、大きな変形は見られなかった。
PLA(1)についてについて、実施例3と同様な方法でプレスシートを作製し、熱処理を行った。得られたプレスシートを100℃に保持したプレス機で再度20秒間熱処理した。得られた熱処理シートのHAZEを測定したところ、3.1%だった。0.2mm換算では1.4%である。結晶化度を評価した結果、0%だった。熱処理したプレスシートを100℃に設定したオーブン中で30分間加熱したが、大きく変形していた。透明性は有するものの耐熱性がないことが分かる。
Claims (9)
- ポリオレフィンセグメント(A)と脂肪族ポリエステルセグメント(B)とが共有結合を介してブロック状、グラフト状、ランダム状に結合した共重合体であり、降温結晶化温度が100℃以上であることを特徴とする脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)。
- 結晶化時間が5分以内であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)。
- ポリオレフィンセグメント(A)がポリブテン、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルブロック共重合体。
- 請求項1乃至3に記載の脂肪族ポリエステルブロック共重合体(C)を1〜99重量部及び脂肪族ポリエステル(D)を1〜99重量部(ただし両者の合計を100重量部とする)を含んでなることを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物(E)。
- 結晶化時間が5分以内であることを特徴とする請求項4に記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物(E)。
- 請求項1乃至3に記載の脂肪族ポリエステルブロック共重合体を成形してなる成形品。
- 請求項1乃至3に記載の脂肪族ポリエステルブロック共重合体を成形してなり、厚み0.2mmに換算したHAZEが10%以下であるシート。
- 請求項4乃至5に記載の脂肪族ポリエステル組成物を成形してなる成形品。
- 請求項4乃至5に記載の脂肪族ポリエステル組成物を成形してなり、厚み0.2mmに換算したHAZEが10%以下であるシート。
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