JP2007177038A - 耐熱性と成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性と成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性及び耐熱性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物及びそれからなる成形物の提供。
【解決手段】降温結晶化温度が90℃以上であるポリオレフィン1〜99重量部とポリ乳酸系樹脂1〜99重量部(ただし両者の合計を100重量部とする)を含んでなるポリ乳酸系樹脂組成物を製造し、成形する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂と特定の降温結晶化温度を有するポリオレフィンを含むポリ乳酸系樹脂組成物に関するものである。
近年、原油に代表される化石原料の枯渇が問題視され、化石原料に代わるプラスチックの原料として、植物が注目されている。ポリ乳酸はとうもろこし等の穀物資源から発酵により得られる乳酸を原料とし、しかも成形性・剛性に優れるために特に注目されている。しかしながら、ポリ乳酸のガラス転移点(Tg)は60℃程度であり、非晶状態では耐熱性が60℃以下であるため、日常の使用環境下において、白化、変形等を生じやすいという問題点が指摘されている。ポリ乳酸は結晶性を有し、結晶化することによって耐熱性は60℃を上回って大きく向上するが、結晶化速度が遅いために結晶化工程に非常に長い時間が必要であり、従来の材料に比べ生産性が低下するという欠点を有する。
一般に、結晶化速度の改善には核剤の添加が有効である。ポリ乳酸においても、核剤の開発による結晶化速度およびひいては耐熱性の改良は、従来より種々行われている。
ポリ乳酸用核剤としてはタルクが有効であることが良く知られている。また、ポリ乳酸ステレオコンプレックスの形成速度は通常のポリ乳酸の結晶化速度よりも速いことが知られており、特許文献1には特定の分子量を有するポリL乳酸とポリD乳酸との樹脂組成物がポリ乳酸ステレオコンプレックスの形成に有効であることが述べられている。
特許文献2には80〜300℃の融点又は軟化点を有し、かつ、10〜100cal/K/molの溶融エントロピーを有する有機化合物がポリ乳酸の核剤に有用であることが述べられている。しかしながらこの核剤を用いても、ポリ乳酸の結晶化速度は満足するものではなかった。
ポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂とのブレンドも従来から試みられている。特許文献3にはポリ乳酸系樹脂とシンジオタクティックポリプロピレンとが混合されてなる樹脂組成物が開示されている。また、特許文献4にはポリ乳酸とゴム成分としてエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含む熱可塑性エラストマ−とが混合されてなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらの樹脂組成物に用いられたポリオレフィンの結晶化温度はいずれも低いものであり、ポリ乳酸系樹脂の結晶化への影響は低いものだった。
特開2003−96285号公報 特開平11−5849号公報 特開平10−251498号公報 特開平2002−37987号公報
本発明の課題は結晶化速度が向上し、耐熱性と成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物およびその成形体の提供である。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定の降温結晶化温度を有するポリオレフィンを使用することによってポリ乳酸系樹脂の結晶化速度が増大し、耐熱性と成形性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、ポリオレフィン(A)1〜99重量部とポリ乳酸系樹脂(B)1〜99重量部(ただし(A)と(B)の合計を100重量部とする)を含んでなるポリ乳酸系樹脂組成物であって、ポリオレフィン(A)の降温結晶化温度が90℃以上であるポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。
ポリオレフィン(A)がポリブテン、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種であるポリ乳酸系樹脂組成物は本発明の好ましい態様である。
本発明は、前記ポリ乳酸系樹脂組成物を成形してなる成形品も提供する。
本発明に係るポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂とからなるポリ乳酸系樹脂組成物により、ポリ乳酸系樹脂の結晶化速度が向上し、耐熱性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物が提供される。該樹脂組成物より形成される成形品は、従来のポリ乳酸では耐熱性が不十分であった分野に適用することができる。また該ポリ乳酸系樹脂組成物は、従来のポリ乳酸と比べて、成形性に優れる。
本発明で使用する「ポリオレフィン(A)」なる言葉は、炭素原子数が2〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位からなる重合体を意味するものであり、具体的には炭素原子数が2〜20のオレフィンから選ばれるオレフィンの単独重合体、共重合体である。2種類以上のポリオレフィン単独重合体、共重合体の混合物も含む。ポリオレフィンが立体規則性を有する場合は、アイソタクティックポリオレフィン、シンジオタクティックポリオレフィンのいずれであってもよい。
炭素原子数が2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ジエンなどが挙げられる。直鎖状または分岐状のα-オレフィンとして具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10のものが挙げられる。
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数が3〜20、好ましくは5〜15のものが挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、およびα-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m−エチルスチレン、p-エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエンなどの炭素原子数が4〜20、好ましくは4〜10のものが挙げられる。非共役ジエンとしては、例えば1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
ポリオレフィンの立体規則性が高いほどポリオレフィンの降温結晶化温度が高くなり、より好ましい。本発明で示す降温結晶化温度とはDSCで5分間溶融した後、10℃/minの速度で30℃まで降温した際の結晶化ピーク温度である。DSCによる熱分析でポリマーの溶融状態(180−250℃)から30℃まで10℃/minの降温速度で測定したときのポリオレフィンの降温結晶化温度は90℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃、特に好ましくは110℃以上である。一般に降温結晶化温度が高くなるほど結晶化開始温度が高まるために、結晶性が増大する。このようなポリオレフィンとしては、ポリブテン、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる群から一つ以上選ばれるものが好ましい。ここでポリエチレンとはエチレン成分を80モル%以上含むポリオレフィンであり、好ましくはエチレン成分を90モル%以上、より好ましくは95モル%以上含有する。ポリプロピレンとはプロピレン成分を80モル%以上含むポリオレフィンであり、好ましくはプロピレン成分を90モル%以上、より好ましくは95モル%以上含有する。ポリブテンとは1−ブテン成分を80モル%以上含むポリオレフィンであり、好ましくは1−ブテン成分を90モル%以上、より好ましくは95モル%以上含有する。これらの群から選ばれる中でもポリプロピレンが特に好ましい。これらはホモポリマー、コポリマーならびにこれらの混合物であってもよい。
ポリオレフィンの重量平均分子量は5万以上100万以下であることが好ましく、6万以上70万以下であることがさらに好ましく、7万以上50万以下であることが特に好ましい。ただし、ここでいう重量平均分子量とはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した値である。ポリオレフィンがポリプロピレンの場合には、装置としてWaters社製GPC150CVを用い、カラムにポリマーラボラトリーズ社製PLカラム(Mixed−B,350 mm×2)を用い、測定温度135℃、測定溶媒オルトジクロロベンゼンの条件で測定した値である。
ポリオレフィンにはジベンジリデンソルビトール、パラ-t-ブチル安息香酸のアルミニウム塩、アルキルフェノールリン酸エステルの金属塩、タルクなどの一般的な結晶核剤を添加することができる。結晶核剤を添加することにより、ポリオレフィンの降温結晶化温度が向上する。
本発明で使用する「ポリ乳酸系樹脂(B)」なる言葉は、乳酸成分を少なくとも50モル%以上含有し、好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上を含有する重合体、およびそれを主成分とする重合体を意味するものであり、乳酸の重縮合や乳酸の環状二量体であるラクチドの開環重合によって合成される。乳酸類としては、L-乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はそれら混合物を使用することができる。乳酸と共重合可能な他のモノマーが共重合されたものでもよい。ポリ乳酸ホモポリマー、乳酸と他のモノマーとの共重合体ならびにこれらの混合物であってもよい。
ポリ乳酸系樹脂としては、乳酸成分が100%であるポリ乳酸がより好ましい。
本発明において、特に高い耐熱性を有するポリ乳酸系樹脂組成物を得るためには、ポリ乳酸系樹脂として乳酸成分の光学純度が高いものを用いることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることが特に好ましく、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることが更に好ましい。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、乳酸 からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
ポリ乳酸系樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の融点は通常、乳酸成分の光学純度を高くすることにより高くなり、融点120℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることにより、また融点150℃以上のポリ乳酸樹脂は、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることにより得ることができる。
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂(B)は、実用的な機械特性および成形加工上の流動特性を満足させるため、重量平均分子量が5万以上40万以下であることが好ましく、さらに好ましくは8万以上30万以下、10万以上25万以下であることがより好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の分子量をいう。
本発明にかかるポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリオレフィン(A)1〜99重量部とポリ乳酸系樹脂(B)1〜99重量部(ただし(A)と(B)の合計を100重量部とする)を含んでなる樹脂組成物であって、ポリオレフィン(A)とポリ乳酸形樹脂(B)との好ましい重量組成は1/99〜90/10であり、より好ましくは1/99〜80/20であり、さらに好ましくは1/99〜51/49である。ポリ乳酸系樹脂の量が多いほど植物由来である再生可能資源を使用した樹脂の使用量が多くなるために好ましい。
ポリ乳酸系樹脂組成物における降温結晶化温度は80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。ただし、二つ以上の降温結晶化ピークが現れる際には、より低いほうのピークを用いる。ポリオレフィンの場合と同様に、一般に降温結晶化温度が高くなるほど結晶化開始温度が高まるために、ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶性が増大する。ポリ乳酸系樹脂組成物における冷結晶化温度は110℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは100℃以下であり、より好ましくは冷結晶化のピークが現れない。本発明において冷結晶化温度とは、DSCにて溶融温度(180℃〜250℃)で5min溶融し、10℃/minの速度で30℃まで冷却し、その後10℃/minの速度で昇温したときに生じる、結晶化のピーク温度である。
このポリ乳酸系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤、加工助剤、密着性付与剤、無機充填剤、有機フィラー、結晶核剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。また、架橋、発泡などの2次変性をしてもよい。また、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン以外の樹脂を添加してもよい。
本発明にかかるポリ乳酸系樹脂組成物には、ポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂に加えて両者の相溶性を向上させる相容化剤が添加されていても良い。相容化剤が含有されることにより、ポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂との相溶性が向上し、両者がよく分散した樹脂組成物となる。相溶性、分散性の向上は、たとえば該樹脂組成物の断面を電子顕微鏡等で観察することにより確認できる。相溶化剤を添加することにより、ポリオレフィンかポリ乳酸系樹脂のいずれかの相が20μm以下の大きさ(直径、厚み等)になることが確認できる。好適な場合には10μm以下になる。相溶化剤の添加によって、例えば衝撃強度の向上が期待される。また、ポリオレフィンもしくはポリ乳酸系樹脂の分散性が向上することにより、ポリオレフィンの結晶化促進効果が有効に働く。ポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂との相容化剤としては、公知公用のものを用いることができる、例えば、ポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂とがブロック状、グラフト状、ブロック状に連結したもの、ポリオレフィンとアクリル樹脂とがブロック状、グラフト状、ブロック状に連結したもの、ポリオレフィンにポリ乳酸系樹脂と反応性を有する基をグラフトさせた変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
このようなポリ乳酸系樹脂組成物の調製方法としては、公知の任意の方法が採用でき、例えば、ポリオレフィン、ポリ乳酸系樹脂、必要に応じて上記添加剤を押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
本発明にかかるポリ乳酸系樹脂組成物は公知公用の成形法により、種々の成形体とすることができる。
本発明に係る成形物の成形方法は、特に限定されないが、例えばカレンダー成形、押出し成形、射出成形、ブロー成形、プレス成形、スタンピングモールド成形などの方法により製造することができる。成形温度は好ましくは180℃以上250℃以下である。
押出成形する際には、従来公知の押出装置および成形条件を採用することができ、例えば単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用いて、溶融したポリ乳酸系樹脂組成物をTダイなどから押出すことによりシートまたはフィルム(未延伸)などに成形することができる。
延伸フィルムは、上記のような押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法により延伸することにより得られる。
フィラメントは、例えば溶融した組成物を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。また、メルトブローン法で調製してもよい。射出成形物は、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、種々の形状に射出成形することにより製造することができる。ブロー成形物は、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して、製造することができる。
また、射出ブロー成形では、ポリ乳酸系樹脂組成物を樹脂温度180℃〜250℃でパリソン金型に射出してパリソンを成形し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形物を製造することができる。プレス成形物としてはモールドスタンピング成形物が挙げられる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明において各種物性、評価は下記の方法で測定、評価した。
(1)熱分析(降温結晶化温度、冷結晶化温度)
降温結晶化温度、冷結晶化温度の測定にはDSCとしてPERKIN ELMER社製DSC7を用い、200℃で5分間溶融した後、10℃/minの速度で30℃まで降温した際の結晶化ピーク温度を降温結晶化温度として、さらにその後、10℃/minの速度で200℃まで昇温した際の結晶化ピーク温度をポリ乳酸樹脂組成物中のポリ乳酸系樹脂の冷結晶化温度として測定した。なお、降温結晶化ピークが二つ以上検出された場合には、高温側のピークからそれぞれ降温結晶化温度1、降温結晶化温度2、以下同様にして、それぞれのピーク温度を記載した。ピークが観測されない場合には、降温結晶化温度を記載しなかった。
(2)耐熱性
結晶化の進行による耐熱性の指標として、金型温度100℃で冷却時間90秒の条件で一辺13cm、厚み2mmの射出成形片の離型性を用いた。射出成形片の突き出しの際の変形程度、金型への張り付き程度によって離型性を判断した。結晶化が進行していれば、射出成形片の弾性率が向上し、離型性が向上する。金型への張り付きが認められ離型が困難なものを×、離型はできるものの突き出しの際に著しく変形するものを△、突き出し時の変形の程度が小さいものを○として評価をした。
[製造例1]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)がグラフト反応した変性ポリプロピレン樹脂(HEMA−PP(1))の合成
メルトフローレイト(MFR;230℃、2160g)が0.02g/10分、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が10.5dl/gであるプロピレン単独重合体パウダー100重量部に対して、2−ヒドロキシメチルメタクリレート(HEMA)3重量部、およびt−ブチルペルオキシベンゾエート(PBZ;日本油脂(株)製)3重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、二軸混練機(テクノベル、ZSK−30)を用いて210℃で溶融変性し、変性ポリプロピレン樹脂(以下、HEMA―PP(1)という)ペレットを得た。この変性ポリプロピレン樹脂のGPC測定による数平均分子量(Mn)は、31000であった。MFRは450g/10分、[η]は0.80dl/g、未反応HEMAを精製除去した後NMRで測定したHEMAグラフト量は1.7重量%であった。
[製造例2]
(ポリ乳酸ブロック共重合体(1)の合成)
製造例1で得られたHEMA−PP(1)6.0Kgと脱水した混合キシレン36.0KgとL−ラクチド30.0Kgを500LのSUS釜に装入し、攪拌下に減圧脱気(2Kpa/5分)窒素で戻す操作を3回行った。その後窒素を流しながら130℃でHEMA−PP(1)を溶解し、触媒のオクタン酸スズ0.005g(0.5wt%キシレン溶液を1.0g添加)を加えてから窒素雰囲気下、130℃で8時間反応を行った。反応終了後、脱水混合キシレン130Kgとエタノール29Kgを加え、均一になるまで撹拌した後放冷し、ポリマーを晶析させた。180Kgのメタノールを晶析マスに加え、よく撹拌した後吸引濾過を行った。再び200Kgのメタノール中に濾物を加えて撹拌した後吸引濾過を行った。更に200Kgのメタノール中に濾物を加えて撹拌した後吸引濾過を行った。その吸引濾過時に上からさらに200Kgのメタノールを数回に分けて注ぎ濾物をリンス洗浄した。濾物を回収後、80℃の減圧乾燥機中で72時間乾燥させてポリプロピレン換算の重量平均分子量30.0万のポリマー(以下ポリ乳酸ブロック共重合体(1))を32.4Kg得た。収率から計算したポリオレフィンセグメントとポリ乳酸セグメントの重量組成比は19/81であった。ポリ乳酸ブロック共重合体は、ポリ乳酸系樹脂組成物においてポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂との相容化剤として働く。
(実施例1)
ポリオレフィンとして株式会社プライムポリマー製ポリエチレン(降温結晶化温度113℃、重量平均分子量8.8万、(以下、PO(1)という))20重量部、ポリ乳酸系樹脂として三井化学株式会社製ポリ乳酸(商品名レイシア、グレードH100:重量平均分子量16万、L体の含有量98.9重量%(以下、PLA(1)という))80重量部をプラスチック工業所株式会社製PLABOR(径30mmφ、異方向回転二軸押出機、L/D=45)にて温度180℃、回転数200rpmの条件で混練し、ポリ乳酸系樹脂組成物(1)のペレットを得た。得られたペレット5mgについて測定した降温結晶化温度は112℃および92℃であり、冷結晶化温度は95℃であった。得られたポリ乳酸系樹脂組成物(1)を東芝機械株式会社製IS−55射出成形機にて、シリンダー温度200℃、射出+保圧の時間10sの条件で耐熱性を評価した結果、型からの離形成は問題なく離型性の評価は○であった。
(実施例2〜10)
実施例1と同様な方法で各種ポリオレフィン20重量部とPLA(1)を80重量部(ただし両者の合計を100重量部とする)とを混合した。さらに実施例5および8では核剤として旭電化株式会社製NA11を、実施例6では相容化剤として製造例2に示したPP−g−PLA(1)をそれぞれのポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対して所定の重量部を混合した。使用したポリオレフィンを表1に、核剤および相容化剤の添加量を表1に示した。さらに得られた各ポリ乳酸系樹脂組成物を実施例1と同様に、DSCにて降温結晶化温度、冷結晶化温度を測定した。また、耐熱性を評価した。測定結果および評価結果を表1に示した。
(比較例1)
ポリ乳酸系樹脂としてPLA(1)を東洋精機製作所株式会社製プラストミルにて温度200℃、時間5分、ローターの回転速度100rpmの条件で溶融した。得られた溶融物5mgについてDSCにて実施例1と同様の方法で測定した結果、降温結晶化温度および冷結晶化温度は観測できなかった。耐熱性を評価した結果、離型時に型への張り付き、突き出し時に成形角板の変形が見られ、離型性の評価は×だった。
(比較例2)
ポリ乳酸系樹脂としてPLA(1)100重量部に対し旭電化工業株式会社製NA11を1重量部を東洋精機製作所株式会社製プラストミルにて温度200℃、時間5分、ローターの回転速度100rpmの条件で溶融した。得られた溶融物5mgについてDSCにて実施例1と同様の方法で測定した結果、降温結晶化温度は103℃および冷結晶化温度109℃だった。耐熱性を評価した結果、離型時に型への張り付き、突き出し時に成形角板の変形が見られ、離型性の評価は×だった。
(比較例3〜6)
実施例1と同様な方法で表1に示した組成でポリ乳酸系樹脂と各種樹脂とを混合した。さらに得られた組成物を実施例1と同様に、DSCにて降温結晶化温度、ポリ乳酸系樹脂の降温結晶化温度、冷結晶化温度を測定した。また、耐熱性を評価した。測定結果および評価結果を表1に示した。
Figure 2007177038
本発明にかかる、ポリオレフィンとポリ乳酸系樹脂とからなるポリ乳酸系樹脂組成物は結晶化速度が速く、従来のポリ乳酸系樹脂よりも成形加工が容易で耐熱性に優れる。したがって、電子・電気・通信機器の筐体、容器、医用材料、自動車材料、各種シート、その他各種産業資材として使用できる。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン(A)1〜99重量部とポリ乳酸系樹脂(B)1〜99重量部(ただし(A)と(B)の合計を100重量部とする)を含んでなるポリ乳酸系樹脂組成物であって、ポリオレフィン(A)の降温結晶化温度が90℃以上であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. ポリオレフィン(A)がポリブテン、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物を成形してなる成形品。
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