JP2007176883A - グリセリルエーテルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リサイクル水を使用した、高品質なグリセリルエーテルの効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(I):
Figure 2007176883

(式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
で示されるグリシジルエーテルと水を反応器に供給し、水が亜臨界状態又は超臨界状態となる条件下で該グリシジルエーテルの加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であって、加水分解反応後の反応混合物から回収した水を逆浸透膜により濾過処理し、得られた処理水をリサイクル水として前記反応器に供給する工程を有する、グリセリルエーテルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶剤、乳化剤、分散剤、洗浄剤、増泡剤等に用いられるグリセリルエーテルの製造方法に関する。
一般に有機物の加水分解反応は、触媒を介して行われる。グリセリルエーテルはグリシジルエーテルを加水分解して得られるが、その反応も触媒を介して行われることが多い。一方で、無触媒で、効率よく反応を行う他の方法も提案されている。
特許文献1には、亜臨界状態の水でグリシジルエーテルを加水分解する方法が開示されている。
特開2002−88000号公報
亜臨界状態の水でグリシジルエーテルの加水分解を行う場合、反応選択率を高く維持するために多量の水を使用する。その際、グリセリルエーテル等を含む反応混合物から水を回収し、かかる水をさらなる加水分解反応にリサイクルすることで、水の使用量を減少することができる。しかし、リサイクル水を用いた反応を続けると、反応時に副生するグリセリルエーテル以外の副生物が経時的に増加して回収した過剰水に含まれるため、その結果、得られるグリセリルエーテルの色相品質が低下する問題が生じる。
本発明の課題は、リサイクル水を使用した、高品質なグリセリルエーテルの効率的な製造方法を提供することにある。
本発明は、一般式(I):
Figure 2007176883
(式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
で示されるグリシジルエーテルと水を反応器に供給し、水が亜臨界状態又は超臨界状態となる条件下で該グリシジルエーテルの加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であって、加水分解反応後の反応混合物から回収した水を逆浸透膜により濾過処理し、得られた処理水をリサイクル水として前記反応器に供給する工程を有する、グリセリルエーテルの製造方法に関する。
本発明により、リサイクル水を使用しても、高品質なグリセリルエーテルを効率よく得ることができる。
本発明は、グリシジルエーテルと水を反応器に供給し、水が亜臨界状態又は超臨界状態となる条件下で該グリシジルエーテルの加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であり、加水分解反応後の反応混合物から回収した水を逆浸透膜により濾過処理し、得られた処理水をリサイクル水として前記加水分解反応に用いる点に1つの特徴を有する。反応混合物から回収した水を逆浸透膜により濾過処理することにより、理由は不明なるも、リサイクル水を使用してグリシジルエーテルの加水分解反応を繰り返しても、リサイクル水の着色が低減され、高品質なグリセリルエーテルが得られることが判明した。これにより、グリシジルエーテルの加水分解反応に使用されなかった未反応の過剰水を反応混合物から回収した後、過剰水を処理して得られた水の少なくとも一部を反応器に供給(リサイクル)することができるため、使用する水の損失が抑制される。
逆浸透膜の材質としては、酢酸セルロース系、芳香族ポリアミド系、ポリベンツイミダゾロン系、ポリアクリロニトリル系、ポリスルホン系、及びこれらの複合膜等が挙げられる。近年これらの素材表面を親水化処理した低汚染膜も開発されており、本発明においても好適に使用することができる。
逆浸透膜の形状としては、スパイラル型、チューブラー型、キャピラリー型、中空糸型、平膜型等が実用化されており、本発明には何れのものでも使用することができる。
逆浸透膜としては、東レ(株)、日東電工(株)等から販売されている市販品を使用することができ、塩素イオンの除去を指標とした場合、阻止率50%以上のものが好ましく、90%以上のものがより好ましく、99%以上のものがさらに好ましい。
逆浸透濾過を行なう操作圧力は、0.1MPa以上の場合、液の透過速度が早いため、処理時間を短縮し、膜面積をコンパクトにすることができる観点から、0.1MPa以上が好ましく、装置の耐圧性が要求されず、維持管理及び保守が容易である観点から10MPa以下が好ましい。これらの観点から、逆浸透濾過を行なう操作圧力は0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜5MPaがより好ましい。
逆浸透膜の実効の指標として、反応混合物から回収した水の酸イオン濃度に対するリサイクル水中の酸イオン濃度の比(リサイクル水中の酸イオン濃度/回収した水の酸イオン濃度)、即ち酸イオンの阻止率は1/2以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。
逆浸透膜による濾過処理において、濾過性能は濾過処理に供する水のpHに影響される。一般に、亜臨界水や超臨界水を用いた化学反応は酸性化する傾向がある。よって、本発明では、反応混合物から回収した水中の酸性物質を除去する観点から、濾過処理の前に回収した水のpH調整を行ってもよい。また装置の腐食を防止する観点から、濾過処理の前又は後に反応混合物から回収した水のpH調整を行ってもよい。調整する水のpHは、5〜10が好ましく、7〜9がより好ましい。
水のpH調整は、たとえばpH調整剤を用いて行なう。pH調整剤としては、無機塩基、有機塩基、無機系イオン吸着剤、イオン交換樹脂等のイオン吸着剤等が挙げられる。
無機塩基としては、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム等の金属燐酸塩等が挙げられる。有機塩基としては、アンモニア、アニリン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
無機系イオン吸着剤としては、たとえば、金属複合酸化物や、金属酸化物、活性炭、活性白土等が挙げられる。イオン交換樹脂としては、たとえば、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂、陰イオン交換膜、陰イオン交換繊維等が挙げられる。
pHの調整方法としては、たとえば、連続式、回分式、半回分式等のいずれで行っても何ら問題なく、連続式では分離回収した水を直列的に処理してもよく、一旦貯槽等を介して循環的に処理してもよい。また、たとえば、上記のような中和剤を、分離回収された水に添加し、所望のpHに調整する方法が挙げられる。pHの調整は、これらいずれかの方法により行なってもこれらの方法を組み合わせて行ってもよい。
なお、本発明において、水のpHは、20℃、常圧下にて計測された値を示す。本pHの測定方法は特に限定されないが、例えば指示薬法、水素電極、アンチモン電極等の金属電極法、ガラス電極法が挙げられる。
本発明においては、前記の逆浸透膜により濾過処理して得られた水の少なくとも一部をリサイクル水として反応器に供給してグリシジルエーテルの加水分解反応を行う。
原料として用いられるグリシジルエーテルは、一般式(I):
Figure 2007176883
(式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
で表される。
上記式中、Rで示される一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、たとえば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。
当該炭化水素基として具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2-プロピル基、2-ブチル基、2-メチル-2-プロピル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-オクチル基、2-エチルヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。また、炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されたものとしては、たとえば、ナノフルオロヘキシル基、ヘキサフルオロヘキシル基、トリデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基等のパーフルオロアルキル基等、前記例示する炭化水素基の水素原子がフッ素原子に、置換度及び置換位置は特に限定されず任意に置換されたものが挙げられる。
OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、その具体例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等のアルキレンオキサイドが挙げられる。
なお、Rとして示される炭化水素基の炭素数としては、反応選択率を向上させる観点から、好ましくは1〜12である。また、pは0〜20の数を示し、好ましくは0〜6、より好ましくは0である。
一般式(I)で表されるグリシジルエーテルとしては、具体的には、たとえば、n-ブチルグリシジルエーテル、2-メチル-プロピルグリシジルエーテル、n-ペンチルグリシジルエーテル、2-メチル-ブチルグリシジルエーテル、n-ヘキシルグリシジルエーテル、2-メチル-ペンチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、n-オクチルグリシジルエーテル、2-エチル-ヘキシルグリシジルエーテル、n-ステアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り、それぞれ単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、グリシジルエーテル(原料)の加水分解反応は、反応器内の水が亜臨界状態又は超臨界状態となる条件にて、反応器内の内部流体の温度(反応温度)及び反応器内の圧力(反応圧力)を制御して行なう。これにより、加水分解反応が無触媒下においても高い反応選択率で進行し、また、反応産物からの触媒の除去操作を省略することができ、高品質なグリセリルエーテルを効率的に製造することが出来る。なお、水が亜臨界状態となる条件とは、水の超臨界温度(374℃)未満、かつ200℃以上の高温な状態で、飽和蒸気圧以上の圧力を有する条件をさし、超臨界状態となる条件とは、水の超臨界温度(374℃)以上、超臨界圧(22MPa)以上の圧力を有する条件をさす。
加水分解反応を行なう際には原料及び水は個別に又は予め混合して反応器内に供給される。予め混合せずに反応器内に供給する場合は、反応器内において混合する。混合は、原料の化学構造によっては反応系が不均一であるため、剪断力の強い攪拌手段を用いて行なうのが好ましい。当該攪拌手段としては、回分式では、たとえば、プロペラミキサー、アジホモミキサー、ホモミキサーや、剪断性の高いディスクタービン型攪拌翼、傾斜パドル型攪拌翼、パドル型攪拌翼等が好適に使用され、連続式では、たとえば、パイプラインミキサー、ラインホモミキサー、スタティックミキサー、I.S.G.ミキサー、超音波ミキサー、高圧ホモジナイザー、剪断性の高い渦巻きポンプ等のポンプ類、ディスパー等が好適に使用される。また、加水分解反応もそれらの攪拌手段による混合条件下に進行させるのが好ましい。
加水分解反応時における原料に対する水の量は、特に限定されないがモル換算で、その化学量論量の好ましくは10〜1000倍であり、より好ましくは20〜500倍である。かかる範囲内において、原料としてのグリシジルエーテルと生成したグリセリルエーテルとの二量化等の副反応の進行が抑制されてグリセリルエーテルの反応選択率が高まる。また、本反応系特有の事象から、連続式の反応操作における効率的な生産性の観点からは、40〜200倍の条件範囲がさらに好ましい。ここで、水の量とは、リサイクル水と外部から新規に反応器に供給される水(外部供給水)の総量を言う。外部供給水としては、イオン交換水、蒸留水等が挙げられ、本発明の本質を損なわない範囲で、水道水のような塩類等を含有するものを使用しても差し支えない。
リサイクル水の使用量としては、特に限定されないが、外部供給水の量に対するモル比(リサイクル水/外部供給水)として、好ましくは1以上、より好ましくは10以上である。この比は水の損失の減少の指標であるといえ、その値が高い程、概して製造工程における水の損失が少ないと言える。なお、原料の加水分解反応に使用される水の全部がリサイクル水であってもよい。
リサイクル水を反応器に供給する態様としては特に限定されるものではなく、直接反応器に供給してもよく、原料及び/又は外部供給水と混合して反応器に供給してもよい。
本発明の反応形式は特に限定されないが、回分式、連続式、半回分式等のいずれも適用することができる。本発明の方法を回分式にて実施する場合には、加水分解反応時における原料に対する水の量が前記範囲内となるように原料と水を仕込むのが好ましく、一方、連続式にて実施する場合には、反応の定常状態(すなわち、反応に関与する成分が一定となった状態)において原料に対する水の量が前記範囲内となるようにするのが好ましい。
本発明は、比較的に高速に進行する反応を速やかに時間処理できる観点から、連続式で行うことが好ましい。連続式では、管型反応器、塔型反応器、連続式撹拌槽型反応器(CSTR)等を用いることができる。この中でも、管型反応器が操作性や高圧反応時の耐圧性の面で好ましい。
本発明に用いる反応器の材質は特に限定されず、一般的に化学反応に利用される素材を任意に使用することができる。具体例としては、純鉄、炭素鋼、鋳鉄、ニッケル鋼等の鋼材、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、Fe-Cr-Ni合金、銅合金、アルミニウム合金、Ni-Cr-Fe合金、Ni-Cu合金、Ni-Mo-Fe-Cr合金、コバルト合金、純チタンを含むチタン合金、ジルコニウムを含むジルコニウム合金、モリブデン、クロム等の金属材料;硬質ガラス、石英ガラス、磁器、グラスライニング、合成樹脂、セラミック材料等が挙げられる。これらの中でも、材質腐食が懸案される水が亜臨界状態又は超臨界状態の温度条件で反応を行なう場合には、オーステナイト系ステンレス鋼、Ni-Cr-Fe合金、Ni-Mo-Fe-Cr合金のような金属材料の利用が好ましく、Ni-Cr-Fe合金、Ni-Mo-Fe-Cr合金がより好ましい。なお、本発明では原料中に含まれる、又は反応により副生する酸等の腐食物質を逆浸透膜で濾過処理することにより、反応系内への蓄積を低減することができ、上記材質への腐食を低減することができる。
本発明においては、加水分解反応を水が亜臨界状態又は超臨界状態となる条件下に行なうため、無触媒下でも反応が進行するが、酸やアルカリの触媒を添加することも可能である。本発明において使用される触媒としては特に限定されるものではないが、例えば、一般に加水分解反応において使用される、酸、塩基、酸と塩基の併用系などを挙げることができる。
反応時間は、反応温度や用いる原料の種類等により異なり一概には決められないが、回分式の場合、原料等の仕込み終了から、一方、連続式の場合、反応の定常状態に達してから、概ね1分〜10時間の範囲で選択される。たとえば、200℃で反応を行なう場合、反応時間としては好ましくは10分間程度である。なお、連続式の反応器における反応時間とは、かかる反応器に反応液が滞留している時間を意味し、反応器の容積を反応器に供給される単位時間あたりの原料流量で除した値を示す。
以上のようにして原料の加水分解反応が行われる。加水分解反応後の反応混合物からの水の回収は、たとえば、以下のような分離回収手段を使用して行なうのが好適である。
本発明に使用される分離回収手段とは、加水分解反応後の反応混合物から水以外の成分と水の回収とを行ない得る手段をいう。水以外の成分の回収と水の回収は、それらを一体として行ってもよく、各々独立して行ってもよい。
本発明において加水分解反応後の反応混合物は、原料の化学構造によっては水以外の成分(反応物を含む)と水とに分層する性状を有する。それゆえ、水以外の成分と水の回収を行ない得る分離回収手段としては、たとえば、比重差分離、膜分離等が挙げられる。比重差分離としては、API式オイルセパレーター、CPIオイルセパレーター、PPIオイルセパレーター等の静置分離、シャープレス型、ドラバル型等の遠心分離、湿式サイクロン等が挙げられる。膜分離としては、精密濾過膜、限外濾過膜、ルーズRO膜(ルーズ逆浸透膜)、逆浸透膜等が挙げられる。これらの中でも静置分離は、反応混合物を供給して静置するだけで、反応混合物は水以外の成分(上層)と水(下層)とに分層するので好ましい。
一方、水以外の成分と水の回収を行なう他の分離回収手段としては、たとえば、蒸発と凝縮とを組み合わせる手段が挙げられる。蒸発器に反応混合物を供給した後、水の沸点以上で加熱すると水が蒸発し、蒸発器には水以外の成分が残り回収される。蒸発した水は凝縮器で冷却され水として回収される。また、蒸発操作の代わりに精留等の蒸留操作を用いて分離回収しても良い。
なお、水は、反応混合物から、その全部が回収される必要はない。回収する水量は適宜決定すればよく、反応混合物中の少なくとも一部の水が回収されればよい。
反応物は、前記水以外の成分として得られる。水以外の成分は、通常、そのまま反応物として使用可能であるが、たとえば、触媒を用いたような場合には、さらに、たとえば、公知の方法に従って蒸発、蒸留、抽出、精密濾過、吸着等により、反応物を精製するのが好ましい。
以上により色相が良好なグリセリルエーテルを効率よく得ることができる。なお、色相としては、化粧品、香粧品、家庭用品等の用途により明瞭な指標は置き得ないものの、着色の観点として、ガードナー色相(JIS規格、K0071−2:1998 化学製品の色試験方法―第2部:ガードナー色数)にてG3以下程度が好ましい。
実施例1及び2
図1に示す反応装置を用いた。図1に示す装置は、管型反応器1、分離回収部2、貯槽3、逆浸透濾過器4及び貯槽5を備えている。
グリセリルエーテルの製造を開始するに際し、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(純度99.8%以上)を0.108kg/min、イオン交換水を1.075kg/minで管型反応器1に連続的に供給し、270℃にて連続的に反応させた。管型反応器1内の圧力(反応圧力)は8.0MPaとなるようにした。管型反応器1では、かかる温度・圧力条件下、すなわち、水が亜臨界状態となる条件下にて原料の加水分解反応が行われた。なお、反応の定常状態において原料に対する水の量は、モル換算で、その化学量論量の100倍であった。加水分解反応後、反応混合物は冷却部(70℃)により冷却された後、分離回収部2に至った。分離回収部2では静置分離により反応混合物が分層し、上層の油相から反応生成物(グリセリルエーテル)を単離した。一方、下層の水相を1.054kg/minで貯槽3に回収し、実施例1はそのまま、実施例2はpH9.0に調整した後に、逆浸透濾過器4(日東電工(株)製、LF10-D2、芳香族ポリアミド系親水化処理逆浸透膜、1.8m2、2インチスパイラル型、塩素イオン阻止率99.5%)に圧力2.0MPa、流量5.0L/minで供給し、1.000kg/minの透過速度で逆浸透膜により濾過処理された処理水を連続的に貯槽5に回収した。この際の塩素イオン濃度は、透過前の水が1.15mmol/kg、透過後の処理水が0.001mmol/kgで阻止率は99.9%であった。逆浸透膜を透過しなかった濃縮水を再び貯槽3に戻し、液面が一定となるよう排出により貯槽3を制御した。貯槽5に回収した処理水はリサイクル水として使用し、イオン交換水の供給量を0.075kg/minに制御する代わりにリサイクル水1.000kg/minを補足的に管型反応器1に連続的に供給した。
以上の操作により連続的にグリセリルエーテルを製造した。グリシジルエーテルを供給し加水分解反応を開始してから9時間後のリサイクル水のpHは、実施例1では4.2であった。また、リサイクル水中の酸イオン濃度(塩酸及びギ酸の総濃度)は実施例1では0.25mmol/kg、実施例2では0.02mmol/kgであった。さらに、反応生成物のガードナー色相をJIS規格(K0071−2:1998 化学製品の色試験方法―第2部:ガードナー色数)により測定した。結果を表1に示す。
比較例1
図2に示す反応装置を用いた。図2に示す装置は、管型反応器1、分離回収部2及び貯槽3を備えている。
実施例1と同様に原料を反応させ、得られた反応物を分離回収部2において静置分離によりグリセリルエーテルを含む油相と水相に分離した。水相を貯槽3に回収しリサイクル水として使用し、イオン交換水の供給量を0.075kg/minに制御する代わりにリサイクル水1.000kg/minを補足的に管型反応器1に供給し、貯槽3の液面が一定となるよう排出により制御した。
グリシジルエーテルを供給し加水分解反応を開始してから9時間後のリサイクル水のpHは3.3であり、リサイクル水中の酸イオン濃度は2.72mmol/kgであった。反応生成物のガードナー色相の結果を表1に示す。
比較例2
図1の逆浸透濾過器4をイオン交換器で代替した反応装置を用いた。イオン交換器には強塩基性イオン交換樹脂(商品名:ピュロライトPFA400((株)ピュロライト・インターナショナル製))480mLを用いた。
実施例1と同様に原料を反応させ、得られた反応物を分離回収部2において静置分離によりグリセリルエーテルを含む油相と水相に分離した。水相を貯槽3に回収し、イオン交換器に流量1.0L/minで供給し、1.000kg/minの処理速度で得られた処理水を貯槽5に回収した。貯槽5に回収した処理水はリサイクル水として使用し、イオン交換水の供給量を0.075kg/minに制御する代わりにリサイクル水1.000kg/minを補足的に管型反応器1に供給した。
グリシジルエーテルを供給し加水分解反応を開始してから9時間後のリサイクル水中の酸イオン濃度は0.20mmol/kgであった。反応生成物のガードナー色相の結果を表1に示す。
Figure 2007176883
以上の結果より、反応生成物は、実施例1及び2では1の色相を維持し変化を認めなかった。一方、逆浸透膜濾過処理をしない比較例1及び逆浸透膜の代替としてイオン交換樹脂による濾過処理をした比較例2ではそれぞれ、12、11の褐色へ変化しており、逆浸透膜による濾過処理により、良好な色相のグリセリルエーテルを効率よく得られることが分かる。なお、実施例1、2及び比較例1、2におけるグリセリルエーテルの収率及び純度は同程度であり、各々収率は99%、純度は97%であった。
本発明により得られるグリセリルエーテルは、溶剤、乳化剤、分散剤、洗浄剤、増泡剤等として使用することができる。
実施例1、2及び比較例2に使用された装置の概略図である。 比較例1に使用された装置の該略図である。
符号の説明
1 管型反応器
2 分離回収部
3 貯槽
4 逆浸透濾過器又はイオン交換器
5 貯槽

Claims (4)

  1. 一般式(I):
    Figure 2007176883
    (式中、Rは一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、OAは同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、pは0〜20の数を示す。)
    で示されるグリシジルエーテルと水を反応器に供給し、水が亜臨界状態又は超臨界状態となる条件下で該グリシジルエーテルの加水分解反応を行うグリセリルエーテルの製造方法であって、加水分解反応後の反応混合物から回収した水を逆浸透膜により濾過処理し、得られた処理水をリサイクル水として前記反応器に供給する工程を有する、グリセリルエーテルの製造方法。
  2. リサイクル水中の酸イオン濃度を加水分解反応後の反応混合物から回収した水の酸イオン濃度の1/2以下にする、請求項1記載の製造方法。
  3. 加水分解反応後の反応混合物を静置分離することにより水を回収する請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 水を逆浸透膜により濾過処理する前又は後にpH調整する請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
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