JP2007176769A - 三フッ化窒素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】FガスとNHガスとを反応させて、NFを直接フッ素化法により、工業的に安全かつ収率よく連続的に製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る三フッ化窒素の製造方法は、フッ素ガス、アンモニアガスおよび希釈ガスのうちの少なくとも1つのガスを冷却した状態で、該フッ素ガスと希釈ガスとの混合ガスA、および該アンモニアガスと希釈ガスとの混合ガスBをそれぞれ、開口部が管状反応器の断面中心向きに配設されたガス導入管から、冷却構造を有する管状反応器に供給して、前記フッ素ガスと前記アンモニアガスとを、温度60℃以下、ガス滞留時間20秒以下、希釈ガスの存在下、気相中、無触媒の条件で反応させて、主として三フッ化窒素からなるガス生成物と主としてフッ化アンモニウムおよび/または酸性フッ化アンモニウムからなる固形生成物とを生成させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素ガス(Fガス)とアンモニアガス(NHガス)とを、希釈ガスの存在下、気相中、無触媒条件で反応させて三フッ化窒素(NF)を効率的に製造する方法に関する。
NFは、例えば半導体デバイス製造プロセスにおけるドライエッチング用ガスやクリーニングガス等に使用される。その製造方法としては、一般に化学法と電解法とに大別される。化学法としては、例えば、(1)溶融酸性フッ化アンモニウム中にFガスとNHガスとを吹き込む方法(特公昭55−8926号公報(特許文献1)参照)、(2)FガスとNHガスとを直接反応させる方法(特開平2−255513号公報(特許文献2)、特開平5−105411号公報(特許文献3)参照)、等が知られている。
一方、電解法としては、例えば、溶融酸性フッ化アンモニウムを電解液として、(3)黒鉛(グラファイト)を陽極として電解する方法、(4)ニッケルを陽極として電解する方法、等が知られている。また、Ruffらは、FとNHを気相状で反応させ、6%以下の収率ではあるが化学法によりNFを合成し(Z.anorg.allg.chem.197,395(1931))、Morrowらも同様に気相でNFを収率24.3%で合成したことを報告している(J.Amer.Chem.Soc.82.5301(1960))。
従来のFガスとNHを反応させてNFを合成する直接フッ素化反応は、極めて反応性に富むFガスを用いるため、爆発や腐食の危険があり、またこれらの反応は反応熱が大きく、反応器内の温度が上昇し副反応や生成したNFの分解や副反応によりN、HF、N、NO、NHF(フッ化アンモニウム)やNHHF(酸性フッ化アンモニウム)等が生成して収率が低下したり、NHFやNHHFの固体分により反応器や配管が閉塞するという問題点があった。
これらの問題点のうち、反応器や配管の閉塞等については、特開平2−255511号公報(特許文献4)および特開平2−255512号公報(特許文献5)に、薄い直方体様の反応器で、その上方にアンモニアガス吹き込み管を、側面にフッ素ガス吹き込み管を持つ反応器を用いること、また反応器を80〜250℃に保たれた熱媒槽内に設置することで改善されることが示されている。しかし、収率はどちらの方法によっても17%(NH基準)程度と低い。また、特開平2−255513号公報(特許文献2)では、NHガスに対して3〜20倍のFガスを用いることにより収率59.5%(NH基準)まで向上することを示しているが、F基準での収率が悪く経済的ではない。
特開平5−105411号公報(特許文献3)には、反応器内部において原料ガスを反応器内壁に沿って螺旋状に流して原料ガスを混合、反応させることにより、反応器および配管の閉塞がなく、収率63%(NH基準)まで向上することを示している。しかしながら、高価なFガスを原料として用いるため、収率のさらなる向上が課題である。
特開2001−322806号公報(特許文献6)は、希釈ガスの存在下、80℃以下で反応を行なうことにより収率約76%(F基準)まで向上することを示しているが、反応器の閉塞や収率向上に対する課題がある。
特公昭55−8926号公報 特開平2−255513号公報 特開平5−105411号公報 特開平2−255511号公報 特開平2−255512号公報 特開2001−322806号公報 Z.anorg.allg.chem.197,395(1931) J.Amer.Chem.Soc.82.5301(1960)
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、FガスとNHガスとを反応させて、NFを直接フッ素化法により、工業的に安全かつ収率よく連続的に製造することができる方法を提供することを解決課題とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、フッ素ガスとアンモニアガスとを、気相中、希釈ガスの存在下、無触媒条件で反応させてNFを製造する方法において、フッ素ガス、アンモニアガスおよび希釈ガスのうちの少なくとも1つのガスを冷却した状態で、該フッ素ガスと希釈ガスとの混合ガスA、および該アンモニアガスと希釈ガスとの混合ガスBをそれぞれ、開口部が管状反応器の断面中心向きに配設されたガス導入管から管状反応器に供給して、前記フッ素ガスと前記アンモニアガスとを、温度60℃以下、ガス滞留時間20秒以下の条件で反応させることにより、収率よく連続的にNFを製造することができることを見出した。
また、FとNHとの反応においてNH中の水素原子1個をフッ素原子1個に置換する場合、約−110Kcal/molの大きな反応熱が発生する。したがって、FガスとNHガスとを反応させる直接フッ素化反応によりNFを製造する場合、約−330Kcal/molの大きな反応熱が発生し、局部的に温度が高くなる。反応器内の温度が高くなると目的のNF生成反応〔下記式(1)〕以外に副反応〔下記式(2)〕が支配的に起こる。
4NH + 3F → NF + 3NHF (1)
2NH + 3F → N + 6HF (2)
本発明者らは、選択的に上記式(1)の反応を進行させるため鋭意検討を重ねた結果、反応温度と副反応が密接に関連し、また、反応温度を制御し、原料ガスの導入方法を改良することにより、収率よく連続的にNFを製造することができることをを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[11]に示されるNFの製造方法である。
[1]フッ素ガス、アンモニアガスおよび希釈ガスのうちの少なくとも1つのガスを冷却した状態で、該フッ素ガスと希釈ガスとの混合ガスA、および該アンモニアガスと希釈ガスとの混合ガスBをそれぞれ、開口部が管状反応器の断面中心向きに配設されたガス導入管から、冷却構造を有する管状反応器に供給して、前記フッ素ガスと前記アンモニアガスとを、温度60℃以下、ガス滞留時間20秒以下、希釈ガスの存在下、気相中、無触媒の条件で反応させて、主として三フッ化窒素からなるガス生成物と主としてフッ化アンモニウムおよび/または酸性フッ化アンモニウムからなる固形生成物とを生成させることを特徴とする三フッ化窒素の製造方法。
[2]前記ガスの冷却温度が5℃以下であることを特徴とする上記[1]に三フッ化窒素の製造方法。
[3]前記管状反応器を2つ以上使用し、かつ、これら2つ以上の管状反応器を切り替えながら上記反応を行うことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の三フッ化窒素の製造方法。
[4]前記管状反応器が、その長さ方向が鉛直方向となるように設置されていることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[5]フッ素ガスとアンモニアガスとを、モル比(フッ素ガス:アンモニアガス)が1:1〜1:2の範囲で供給することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[6]前記フッ素ガスの供給濃度が供給ガス全量に対して3モル%以下であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[7]前記アンモニアガスの供給濃度が供給ガス全量に対して6モル%以下であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[8]フッ素ガスとアンモニアガスとを0.05〜1.0MPaの圧力で反応させることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[9]前記希釈ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、六弗化硫黄、ヘキサフルオロエタン、オクタフルオロプロパンおよび三フッ化窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種のガスであることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[10]希釈ガスを循環使用することを特徴とする上記[1]〜[9]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
[11]前記反応後、未反応のフッ素ガスをアルカリ水溶液および/またはアルミナで処理することを特徴とする上記[1]〜[10]のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
本発明によれば、従来、FガスとNHガスとを反応させるNF製造方法において、FガスとNHガスとを直接反応させる直接フッ素化反応を採用すると、大きな反応熱が発生し、局所的に温度が高くなったり、供給ガスの乱流や偏流により温度が上昇したりする等の課題、問題に対して、原料ガスおよび/または希釈ガスを管状反応器に供給する前に十分に冷却し、フッ素ガスと希釈ガスとの混合ガス、およびアンモニアガスと希釈ガスとの混合ガスをそれぞれ、開口部が管状反応器の断面中心向きに配設されたガス導入管から供給して、フッ素ガスとアンモニアガスとを、温度60℃以下、ガス滞留時間20秒以下の条件で反応させることにより、連続的かつ収率よく経済的にNFを製造できる方法を提供できる。
以下、本発明の好ましい態様について詳しく説明する。
まず、本発明の三フッ化窒素の製造方法に用いる反応器および装置等について説明する。反応器は、冷却構造を有することが好ましく、たとえば、ジャケット型管状反応器が挙げられる。また、反応器は、内壁に付着した固体生成物を容易に除去できるように、その長さ方向が鉛直方向になるように設置されていることが好ましい。さらに、反応器には、
特に反応器内壁に付着した固形生成物を除去するための装置が装着されていることが好ましい。このような装置としては、振動発生装置および掻き取り機が挙げられる。振動発生装置および掻き取り機は、いずれか一方を使用してもよいが、併用することが好ましい。
上記振動発生装置としては、エアーノッカーとエア式ピストンバイブレ−タが挙げられる。エアーノッカーは、反応器外部に1個以上、好ましくは2個以上具備され、反応器内壁に付着した固形生成物にタイマー等により周期的に衝撃を与えて固形生成物を払い落し、反応器の閉塞を防止する装置である。エア式ピストンバイブレ−タは、例えば、マフラ−、ウェカバ−、Oリング、ピストン、シリンダ−、テーパ−スプリング等から構成され、ピストンの縦振動を応用した振動技術により固形物を取り除き、反応器の閉塞防止やすべり促進等の作用効果がある。すなわち、エア式ピストンバイブレ−タ装置は、反応器外部に1個以上、好ましくは2個以上具備され、反応器内壁に付着した固形生成物に衝撃を与えて固形生成物を払い落し、反応器の閉塞を防止する装置である。
上記掻き取り機は、反応器の断面と同形状であり、ガスの通過を妨げないような構造であれば特に限定されないが、リング状薄板に支持棒が具備されたものが好ましく用いられる。また、管状反応器をその長さ方向が鉛直方向となるように設置した場合、上記掻き取り機は、反応器内部を鉛直上下方向に自在に駆動できること、および/または、反応器の半径方向断面の中心を通る鉛直軸を中心軸としてこの反応器内部を自在に回転できることが好ましい。
また、本発明に用いられる製造装置は、上記反応器から除去された固形生成物を貯留する手段および固形生成物とガス成分とを分離する手段を有することが好ましい。具体的には、上記反応器の下部に、固形分を分離、排出する装置(以下、「固体分離排出装置」という)が設置されていることが好ましい。前記固体分離排出装置は、その断面が反応器の断面より大きいことが好ましい。より具体的には、定期的に交換可能な固体貯溜槽が好ましく、槽を直列に2つを設けてロ−タリーバルブで2槽間を切り離すことができる構造や槽を2基設けて切り替えることができる構造を有することが好ましい。また、前記固体分離排出装置は、上部に目的物のNFおよび希釈ガスを次工程へと導くガス排出ラインがフィルターを介して具備されていることが好ましい。このフィルターによりガスと共に同伴される微量の固形分を除去することができる。さらに、ガス排出ラインを例えば2ライン設けて、ガス流れを定期的に切り替え、連続的に稼働させることがより好ましい。
また、本発明に用いられる製造装置は、上記反応器を2つ以上有することが好ましく、これら2つ以上の反応器を定期的に切り替えて使用することが好ましい。具体的には、たとえば、2つの反応器A、Bを使用する場合、反応器Aで一定時間NFを製造した後、反応器Bに原料ガスを供給して反応を開始する。次いで、反応器Aへの原料ガス供給を停止し、反応器BでのみNFを製造する。この間、反応器Aの下部に設置されていた固体分離排出装置から固体生成物を除去し、また、反応器A、配管、フィルター、固体分離排出装置等に残存した固体生成物を、不活性ガスの存在下でこれらの装置を加熱処理により除去することが好ましい。反応器Bで一定時間NFを製造した後、上記と同様にして反応器を切り替え、再度、反応器AでNFを製造する。この一連の操作を繰り返すことにより、製造ラインを停止させることなく、高収率で安定してNFを製造することができる。
上記構成装置および部品のうち、フィルター以外の装置および部品の材質はSUS316が好ましい。
次に、本発明の三フッ化窒素の製造方法について説明する。原料であるFガスおよびNHガスをそれぞれ希釈ガスで希釈して混合ガスA(Fガスと希釈ガス)、B(NHガスと希釈ガス)を調製し、Fガス、NHガスおよび希釈ガスのうちの少なくとも
1つが冷却した状態で、上記混合ガスを反応器に供給する。このとき、Fガス、NHガスおよび希釈ガスのうちの少なくとも1つを、例えば、冷却機等により十分冷却した後、混合ガスを調製してもよいし、混合ガスを調製した後、この混合ガスを、例えば、冷却機等により十分冷却してもよい。冷却温度は、5℃以下が好ましく、−40〜−5℃の範囲の温度がより好ましい。Fガスおよび/またはNHガスは希釈ガスで希釈した後、冷却することが好ましい。また、FガスおよびNHガスは、高純度のものが好ましい。
上記混合ガスAとBは、それぞれ異なるガス導入管で反応器内に供給し、反応器内で初めて接触、混合する必要がある。混合ガスAとBとを反応器入口で混合して反応器に供給すると混合部で反応が進行し、固形分が生成して配管が閉塞するため好ましくない。また、上記混合ガスAとBはそれぞれ、開口部が反応器の断面中心向きに配設された、異なるガス導入管から反応器内に供給する必要がある。ガス導入管の開口部の距離は20〜1500mmが好ましい。このように配設されたガス導入管からFガスとNHガスとを反応器に供給すると、原料ガスの接触・混合が効率よく起こり、ガス滞留時間を短くできるため、反応器を小さく設計することができる等、経済的に有利である。
ガスを用いる直接フッ素化反応では極めて反応性に富むFガスを用いるため、水素を含有するNHをFと高濃度で反応させることは、燃焼や爆発の危険が生じ、さらに大きな反応熱により温度が上昇して目的物であるNFの収率が低下するなどのため、好ましくない。このため、FガスおよびNHガスは希釈して低濃度領域で反応させる必要がある。Fガスは希釈ガスで希釈して供給ガス全量の3モル%以下で供給することが好ましく、NHガスは希釈ガスで希釈して供給ガス全量の6モル%以下で供給することが好ましい。つまり、原料ガス(NHガスおよびFガス)が合計9モル%以下で希釈ガスが91モル%以上であることが好ましい。NHガス濃度が6モル%を超え、フッ素ガスが3モル%を超えると、反応熱が大きくなるなど温度の急激な上昇、燃焼や爆発等の危険が生じるため好ましくない。前記希釈ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、六弗化イオウ、ヘキサフルオロエタン、オクタフルオロプロパンおよび三フッ化窒素などの不活性ガスが挙げられる。これらの希釈ガスは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、これらの希釈ガスのうち、希釈ガスの比熱、蒸留工程での分離・精製等を考慮すると、六弗化硫黄、ヘキサフルオロエタンおよびオクタフルオロプロパンが好ましい。さらに、高純度のガスが好ましく、特に99.999%以上の六弗化硫黄が好ましい。
また、FガスとNHガスは、モル比(Fガス:NHガス)が1:1〜1:2の範囲で反応器に供給されることが好ましい。Fガスを過剰に供給すると反応熱が大きくなるなど温度の急激な上昇、燃焼や爆発等の危険が生じるため好ましくない。また、Fガスに対してNHガスを2倍モルを超えて供給するとNHに対するNFの収率が低下するため好ましくない。
このように、希釈されたFガスとNHガスとを反応器に供給し、反応器内で混合、接触させ、気相中、無触媒条件下で反応させる。反応温度は60℃以下であり、好ましくは−20〜60℃、より好ましくは−20〜50℃である。反応温度を制御する方法としては、例えば、ジャケット型反応器による熱媒循環外部冷却方式により反応器内の温度を制御する方法や、原料および/または希釈ガスを予め反応器に導入する前に冷却して供給する方法等が好ましい。また、反応圧力は0.05〜1.0MPaの範囲が好ましい。1.0MPaを超えると装置の耐圧を高める必要があるなど経済的に好ましくない。
反応器内のガス滞留時間は20秒以下、好ましくは10秒以下である。ガス滞留時間が長すぎると大きな反応器が必要となり、経済的に好ましくない。また、反応器内部のガス
は、鉛直下向きに流れていることが好ましい。
上記反応により、主として三フッ化窒素からなるガス生成物が生成する。また、上記反応が進行するにつれて、主としてフッ化アンモニウムおよび/または酸性フッ化アンモニウムからなる固形生成物が生成し、これが反応器の内壁に付着する。付着した固形生成物は、例えば、冷却効率の低下による温度上昇やガス流の乱れ、線速度の上昇等により目的物であるNFの収率、選択率の低下を引き起こすため、定期的または連続的に除去する必要がある。このため、上記固形生成物を反応器の内壁から、反応器に装着された上記振動発生装置を用いて払い落としたり、反応器内部に装着された上記掻き取り機を用いて掻き取って除去する。この払い落としおよび掻き取りは併用することが好ましい。
除去された固形生成物は、反応器下部に設置された前記固体分離排出装置に回収される。この回収を容易にするため、上述したように反応器はその長さ方向が鉛直方向になるように設置されていることが好ましい。
固体分離排出装置に回収された固形生成物をさらに分離精製することにより、得られたフッ化アンモニウムおよび酸性フッ化アンモニウムは他の用途に使用することができる。
一方、ガス生成物は、目的物のNFと希釈ガスの他に、微量の未反応のFガス等を含有する。このため、前記固体分離排出装置の上部に設けられたフィルタ−を通過したガス生成物から、未反応のFガスを除去することが好ましい。未反応のFガスを除去する方法としては、たとえば、アルミナ(酸化アルミニウム)を用いて反応させて除去する乾式除去方法、またはアルカリ水溶液と接触させて除去する湿式除去方法が好ましく適用され、場合によっては両方法を併用してもよい。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好ましい。
未反応のFガスを除去したNFと希釈ガスとの混合ガス中には水分が含まれるため、モレキュラーシーブ等を用いて脱水することが好ましい。モレキュラーシーブとしては3A、4A、5Aが好ましい。これらのモレキュラーシーブは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
脱水処理後のガスは蒸留・分離工程でNFと希釈ガスとに分離され、NFは回収して製品となり、希釈ガスは原料や反応系の希釈ガスとして再利用することができる。
上記製造方法のうち、原料ガスを冷却する手段、管型反応器、固形生成物を除去するための装置、固体分離排出装置を具備する三フッ化窒素製造装置を少なくとも2つ使用し、少なくとも一方で三フッ化窒素生成反応を行ない、他方では反応を停止して反応装置内に付着した固体生成物を除去、好ましくは、固体生成物の少なくとも一部を不活性ガスの存在下で加熱処理して除去する方法が望ましい。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
図1に示す装置を用いた。図1に示すように、内径54.9mm、長さ400mmのSUS316L製管状反応器(ジャケット4付き、冷媒循環冷却式)1は、その開口部が反応器の断面中心向きに配設された2本の原料ガス供給ラインを具備し、その内部に、外径53.9mm、内径53.1mmのリング状薄板にシャフト(棒)およびハンドルを装着した自動上下駆動式の掻き取り機2を具備し、その外部に、エアーノッカー3((株)セイシン企業製、エアーノッカーSK・30タイプ)を具備している。また、管状反応器1の下部には、内径109.8mm、長さ350mmのSUS316L製固体貯溜槽5が装
着され、この固体貯溜槽5の上部には、フィルター6を介してガス排出ライン7が接続されている。また、2本の原料ガス供給ラインには冷却機10が具備されている。
ガス7.6NL/hrとオクタフルオロプロパン180NL/hrとの混合ガス、およびNHガス10.11NL/hrとオクタフルオロプロパン182.30NL/hrとの混合ガスをそれぞれ、冷却機10で冷却温度−20℃で冷却し、それぞれ異なる原料ガス供給ラインから管状反応器1内に供給し、反応器1内でFガスとNHガスとを混合し、ガス滞留時間9秒で反応させた。反応中、掻き取り機2をタイマーで30分ごとに反応器1内を上下2往復させた。また、エアーノッカー3をタイマーによりノッカー打撃間隔30分間で作動させた。さらに、反応器1を冷媒により冷却しながら反応を行なった。反応開始から5時間後、反応器1内のピーク温度は17.8℃であった。
ガス排出ライン7から回収したガスをヨウ化カリウム水溶液で処理することにより未反応フッ素ガスと生成フッ化水素とを除去した後、ガス成分をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を以下に示す。
NF収率:98.6%(F基準)
この結果から明らかなように、冷却した原料ガスおよび希釈ガスを用い、低濃度かつ特定の混合状態となるように原料ガスを供給し、反応器内の温度を制御することにより、ガス滞留時間が10秒以下の条件で、NFを連続的に高収率(98%以上)で得ることができた。
さらに反応器1での反応を継続したところ、反応開始から24時間後の反応器1内のピーク温度は17.6であった。ガス排出ラインから回収したガスを上記と同様にして分析した。結果を以下に示す。
NF収率:98.2%(F基準)
さらに反応器1での反応を継続したところ、反応開始から48時間後の反応器1内のピーク温度は17.9であった。ガス排出ラインから回収したガスを上記と同様にして分析した。結果を以下に示す。
NF収率:97.9%(F基準)
本発明の三フッ化窒素の製造方法は、FガスとNHとを、希釈ガスの存在下、気相中、無触媒条件で反応させる直接フッ素化反応を利用したものであり、この方法を用いることにより、従来の課題や問題を克服し、工業的に安全、連続的かつ高収率で経済的にNFを製造することができる。
図1は、本発明の三フッ化窒素の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 管状反応器
2 掻き取り機
3 エアーノッカー
4 ジャケット(冷媒またはスチーム循環式)
5 固体貯溜槽
6 フィルター
7 ガス排出ライン
8 排出ガス(主として、NFおよび希釈ガス)
9 冷媒
10 冷却機
11 熱電対挿入管

Claims (11)

  1. フッ素ガス、アンモニアガスおよび希釈ガスのうちの少なくとも1つのガスを冷却した状態で、該フッ素ガスと希釈ガスとの混合ガスA、および該アンモニアガスと希釈ガスとの混合ガスBをそれぞれ、開口部が管状反応器の断面中心向きに配設されたガス導入管から、冷却構造を有する管状反応器に供給して、
    前記フッ素ガスと前記アンモニアガスとを、温度60℃以下、ガス滞留時間20秒以下、希釈ガスの存在下、気相中、無触媒の条件で反応させて、
    主として三フッ化窒素からなるガス生成物と主としてフッ化アンモニウムおよび/または酸性フッ化アンモニウムからなる固形生成物とを生成させることを特徴とする三フッ化窒素の製造方法。
  2. 前記ガスの冷却温度が5℃以下であることを特徴とする請求項1に三フッ化窒素の製造方法。
  3. 前記管状反応器を2つ以上使用し、かつ、これら2つ以上の管状反応器を切り替えながら上記反応を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の三フッ化窒素の製造方法。
  4. 前記管状反応器が、その長さ方向が鉛直方向となるように設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  5. フッ素ガスとアンモニアガスとを、モル比(フッ素ガス:アンモニアガス)が1:1〜1:2の範囲で供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  6. 前記フッ素ガスの供給濃度が供給ガス全量に対して3モル%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  7. 前記アンモニアガスの供給濃度が供給ガス全量に対して6モル%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  8. フッ素ガスとアンモニアガスとを0.05〜1.0MPaの圧力で反応させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  9. 前記希釈ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、六弗化硫黄、ヘキサフルオロエタン、オクタフルオロプロパンおよび三フッ化窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種のガスであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  10. 希釈ガスを循環使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
  11. 前記反応後、未反応のフッ素ガスをアルカリ水溶液および/またはアルミナで処理することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の三フッ化窒素の製造方法。
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