JP5254735B2 - 二フッ化カルボニルの製造方法 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、半導体用エッチングや半導体用クリ−ニングガス等として注目されている二フッ化カルボニルの工業的に有利な製造方法に関する。
ガス等として注目される重要な化合物である。従来、一酸化炭素とフッ素ガスとを原料とする二フッ化カルボニルの製造方法としては、以下の特許文献等に記載されている方法が知られている。
(1)非特許文献1には、火炎反応により一酸化炭素とフッ素とを直接反応させて二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(2)特許文献1には、一酸化炭素とフッ素とを直接反応させ、連続的に二フッ化カルボニルを製造する方法において、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンから選ばれる第三成分ガスを少なくとも1種類以上添加して、動的状態かつ減圧下で、一酸化炭素とフッ素とを反応させて二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(3)特許文献2には、一酸化炭素とフッ素ガスとを、希釈ガスとしてフッ化水素あるいは二フッ化カルボニルとともに、反応容器内に連続的に供給し、一酸化炭素とフッ素ガスとを、反応させて二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(4)特許文献3には、一酸化炭素と金属フッ化物(MFX:Mは、例えばCo(x=2
)、Ce(x=4)等を示す。)との反応による二フッ化カルボニルを製造する方法において、同一反応容器内で、一酸化炭素と金属フッ化物とを反応させる工程と、金属フッ化物とフッ素とを反応させる工程とを、交互に繰り返すことを特徴とする二フッ化カルボニルの製造方法が記載されている。
(1)の方法は、二フッ化カルボニルが生成するのと同時に、副生成物として四フッ化炭素(CF4)も生成するために、反応の制御や副生成物の分離が困難である。
(3)の方法は、激しい発熱反応を制御するために、多量の希釈ガスが必要であるために、希釈ガスの分離や再利用に、多大なエネルギーやコスト等を要する。
Ce(x=4)等を示す。)との反応によって、金属フッ化物が再フッ素化するため、設備費等の増大や再フッ素化時のフッ素ロス等に問題があり、経済的な課題を有している。
Handbook of Preparative Inorganic Chemistry, vol.1,second Ed.,p.206−207, Georg Brauer ed., Academic Press, New York、London (1963)
る。
ガスの分離や再利用に大量のエネルギーやコストを必要とする従来の製造方法に比べて、大量のエネルギーやコストを消費することなく(エネルギー効率よく)得ることができる、工業的に有利な製造方法を提供することを目的とする。
[1]二フッ化カルボニルガスを循環型反応容器内で循環させ、循環している二フッ化カルボニルガスに、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを供給し、一酸化炭素ガスとフッ素ガス
とを反応させて二フッ化カルボニルを生成させるとともに、二フッ化カルボニルガスを取り出す工程を有することを特徴とする二フッ化カルボニルの製造方法。
[2]前記循環型反応容器が環状の循環型反応容器であることを特徴とする[1]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[3]前記循環型反応容器に、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを、連続的に供給することを特徴とする[1]または[2]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[4]前記循環型反応容器から、連続的に二フッ化カルボニルガスを取り出すことを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[5]前記循環型反応容器から取り出された二フッ化カルボニルガスに含まれる未反応のフッ素ガスを除去する工程をさらに含むことを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[6]前記一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を、触媒を用いずに行うことを特徴とする[1]〜[5]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[7]前記循環型反応容器に単位時間当たりに供給されるフッ素ガス1モルに対する一酸化炭素ガスのモル比が0.8〜3.0であることを特徴とする[1]〜[6]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[8]前記一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を、50〜350℃の温度下で行うことを特徴とする[1]〜[7]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
[9]前記一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を、0.01〜0.9MPaの圧力下で行うことを特徴とする[1]〜[8]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
なお、循環型反応容器で二フッ化カルボニルガスが循環される前に、二フッ化カルボニルガスが循環型反応容器内部に充填されているが、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを反応させて二フッ化カルボニルを生成させている間にも、新たに二フッ化カルボニルガスを循環型反応容器内部に供給してもよい。
うに構成された反応容器である。
循環型反応容器としては、例えば、橋本健治著の「反応工学」(培風館、2003年、91〜99頁)に記載されているような「リサイクル反応容器」が挙げられる。
い。
下記式(1)で定義される循環比(F1/F2)は、循環型反応容器内で、二フッ化カルボニルガスおよび一酸化炭素ガスおよびフッ素ガスが循環する途上に設置されたガスブロワーなどの循環手段により、二フッ化カルボニルガス、一酸化炭素ガスおよびフッ素ガスの流量を調節することで、任意の値に設定できる。
F1:循環型反応容器内で循環しているガス(二フッ化カルボニルガス、一酸化炭素ガスおよびフッ素ガス、さらに副成ガスが含まれることもある。)の流量(ml/分)
F2:循環型反応容器外に取出されるガスの流量(抜出ガス流量)(ml/分)
この循環比が大きいと、反応系の均一性が高まるので、一酸化炭素ガス、フッ素ガスおよび二フッ化カルボニルガスが均一に混合され、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応によって生じる熱を効率的に除くことができる。そして、循環型反応容器全体の温度分布が小さくなるために、循環型反応容器内での反応温度を均一に維持できるとともに、副反応を抑制することができる。このような点を考慮すると、循環比は、通常4以上、100以下であることが好ましく、7〜50であることがより好ましい。循環比が上記範囲よりも小さすぎると、循環型反応容器内の反応温度が不均一となる。一方、循環比が上記範囲よりも大きすぎると、生産効率が低下する。
二フッ化カルボニルの生成反応の反応速度はきわめて速いため、滞留時間(τ)は、30〜120秒程度で十分である。
い。
(1)一定温度に保たれた別の循環型反応容器に接続して、さらに二フッ化カルボニルに含まれる未反応のフッ素ガスと一酸化炭素と反応させることによって、未反応のフッ素ガスを除去する方法
(2)未反応のフッ素ガスを含む二フッ化カルボニルをアルミナ等と接触させて除去する方法、が挙げられる。例えば、循環型反応容器の排出口にアルミナ等の金属化合物を含むフィルターを設置し、循環型反応容器から取り出された二フッ化カルボニルをこのフィルターに通過させて、未反応のフッ素ガスを除去してもよい。
[実施例1]
(循環型反応容器)
SUS316管(長さ:120cm、内径:1/2インチ)の端部同士を連結して環状の循環型反応容器を作成した。この循環反応容器内に送風機(ガスブロワ−)を取り付け、管内でガスが循環できるようにし、該容器内の循環速度を測定するためのフローメーターを設置した。また、この循環型反応容器に3箇所のノズルを取り付けた。これらのノズルのうち、2箇所のノズルは、導入口であり、原料の一酸化炭素ガス(CO)およびフッ素ガス(F2)を、該導入口に設置されたマスフロー装置によって定量的に供給できるよ
うになっている。他の1箇所は、排出口であり、二フッ化カルボニルガスを、該排出口に設置されたマスフロー装置によって定量的に取り出せるようになっている。また、この循環型反応容器の一部分(120cmのうち50cm)を外套管(ジャケット式)で覆い、この外套管に冷却水を流すことによって、循環型反応容器内を冷却して温度を制御できるようにした。
(フッ素化反応)
循環型反応容器内の2箇所の導入口のうち1箇所の導入口から、二フッ化カルボニルを、該反応容器内の圧力が0.1MPaとなるまで、充填し、ガスブロワ−で3L/min
の循環速度で循環型反応容器内を循環させた。
方の導入口から一酸化炭素ガス(CO)を、300 ml/minの導入量で連続的に導入し、循環型反応容器内のガスを、上記ガスブロワーにより、3L/minの循環速度で、循環させながら、フッ素ガスと一酸化炭素ガスとを反応させた。また、排出ノズル(排出口)から約300ml/minの抜出し量で、ガスを取り出した。この時の反応容器内の温度は135℃、反応容器内の圧力は0.1MPaに維持されていた。さらに、この温度条件および圧力条件で、フッ素ガスと一酸化炭素ガスとの反応を継続し、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを循環型反応容器内に導入し始めてから約1時間経過後、排出口から抜き出されたガスを評価のために採取した。
(評価)
評価のために採取したガスを、ガスクロマトグラフィーを用いて、分析したところ、二フッ化カルボニル(COF2)が82体積%(標準状態、以下同様)、COが16体積%
、テトラフルオロメタン(CF4)が0.3体積%、その他の成分が1.7体積%であっ
た。
収率=二フッ化カルボニルの実収量(体積%)/二フッ化カルボニルの理論収量(体積%
)×100 (2)
(ここで、「二フッ化カルボニルの理論収量」は、以下の式によって得られた数値である。「二フッ化カルボニルの理論収量」=[化学量論上生成し得る二フッ化カルボニル量(体積)]/[化学量論上生成し得る二フッ化カルボニル量(体積)+化学量論上反応しないCOまたはF2量(体積)]×100)
この条件では、「二フッ化カルボニルの理論収量」は、250(ml/min)×導入時間/[250(ml/min)×導入時間+(300−250)(ml/min)×導入時間]=8
3.3体積%である。
[実施例2]
(循環型反応容器)
SUS316管(長さ:250cm、内径:1/2インチ)の端部同士を連結して環状の循環型反応容器を作成し、循環型反応容器の一部分(250cmのうち100cm)を外套管(ジャケット式)で覆って、この外套管に冷却水を流した以外は、実施例1の場合と同様の循環型反応容器を使用し、同一の反応条件で、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を実施した。
(フッ素化反応)
循環型反応容器内の温度を175℃に維持し、循環型反応容器内のガスの循環速度を6L/minとし、一酸化炭素ガスの導入量を500ml/min、フッ素ガスの導入量を600ml/min、排出口の抜出し量を約595ml/minとした以外は、実施例1と同様の条件で反応を実施した。
(評価)
評価のために得たガスを実施例1と同様に、分析したところ、COF2が81.9体積
%(標準状態、以下同様)、COが0.02体積%、F2が15.9体積%、CF4が0.9体積%、その他の成分が1.3体積%であった。
[実施例3]
(循環型反応容器)
実施例2で使用した循環型反応容器と同様の循環型反応容器2基用意し、一方を第一循環型反応容器、もう一方を第二循環型反応容器とした。この第一循環型反応容器の排出口と第二循環型反応容器の導入口とを接続して、第一循環型反応容器の排出口からの抜出ガスが、第二循環型反応容器の導入口から第二循環型反応容器内に導入されるような構造とした。
(フッ素化反応)
第一循環型反応容器において、実施例2と同様の条件でフッ素化反応を実施した。
この第二循環型反応容器の導入口に、第一循環型反応容器の排出口から、第一循環型反応容器からの抜出ガスを約590ml/minの導入量で連続的に導入した。次いで、第二循環型反応容器の別の導入口から一酸化炭素ガスを95ml/minの導入量で連続的に導入し、該反応容器内で、導入された抜出ガスと一酸化炭素ガスとを、ガスブロワ−により2L/minの循環速度で循環させた。この時、排出ノズル(排出口)から約595ml/minの抜出し量で、該反応容器からガスを連続的に抜き出すことによって、第二循環型反応容器内の圧力を0.08MPaに、外套管への冷却水の供給量を調節することによって、この循環型反応容器内の温度を135℃に、それぞれ維持しつつ、循環している一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを反応させた。
(評価)
評価のために得たガスを実施例1と同様に、分析したところ、COF2が97.7体積
%(標準状態、以下同様)、COが0.1体積%、CF4が0.9体積%、その他の成分
が1.3体積%であった。また、得られたガス中に含まれるフッ素ガス量は約1,200
体積ppmであった。
(フッ素ガスの除去)
上述の排出口より抜き出されたガス中に含まれるフッ素ガスを除去するために、内容積100mlの円筒形SUS容器(長さ:約15cm)にアルミナ約70mlを充填し、アルミナを充填した容器に、室温条件下で、第二循環型反応容器から得られた抜出ガスを、約95ml/minの導入量で導入し、約15分間、ガスをアルミナに接触させた。
12a:導入口
12b:排出口
14a:供給ガス;一酸化炭素ガスおよびフッ素ガス、または二フッ化カルボニルガス
14b:循環ガス(F1);反応容器内に供給されたガス、反応で生成したガスおよび未反応ガス
14c:抜出ガス(F2)
Claims (9)
- 二フッ化カルボニルガスを環状の循環型反応容器内で循環させ、循環している二フッ化カルボニルガスに、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを供給し、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを反応させて二フッ化カルボニルを生成させるとともに、二フッ化カルボニルガスを取り出す工程を有することを特徴とする二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記循環型反応容器に、一酸化炭素ガスとフッ素ガスとを、連続的に供給することを特徴とする請求項1に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記循環型反応容器から、連続的に二フッ化カルボニルガスを取り出すことを特徴とする請求項1または2に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記循環型反応容器から取り出された二フッ化カルボニルガスに含まれる未反応のフッ素ガスを除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を、触媒を用いずに行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記循環型反応容器に単位時間当たりに供給されるフッ素ガス1モルに対する一酸化炭素ガスのモル比が0.8〜3.0であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を、50〜350℃の温度下で行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 前記一酸化炭素ガスとフッ素ガスとの反応を、0.01〜0.9MPaの圧力下で行うことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
- 下記式(1)で定義される循環比が4以上、100以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
循環比=F1/F2 (1)
F1:循環型反応容器内で循環しているガスの流量(ml/分)
F2:循環型反応容器外に取出されるガスの流量(抜出ガス流量)(ml/分)
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