JP2007169553A - 金属コロイド含有インク組成物およびコーティング膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温乾燥によって、基材と剥がれ難く、金属光沢を持つコーティング膜を形成する、金属コロイド含有インク組成物を提供する。
【解決手段】ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の存在下で、金属化合物を還元して得られる金属コロイド粒子を含有するインク組成物であって、上記インク組成物中の金属の量が10〜20質量%であり、かつ、水の量が60質量%以上であることを特徴とする、金属コロイド含有インク組成物。
【解決手段】ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の存在下で、金属化合物を還元して得られる金属コロイド粒子を含有するインク組成物であって、上記インク組成物中の金属の量が10〜20質量%であり、かつ、水の量が60質量%以上であることを特徴とする、金属コロイド含有インク組成物。
Description
本発明は、金属コロイド含有インク組成物及びこれを用いたインク組成物のコーティング膜形成方法に関する。
数nm〜数十nm程度の粒径を有する、いわゆるナノ粒子と呼ばれる金属コロイド粒子は、プラズモン吸収と呼ばれる発色機構により、独特の色合いを示すことが知られている。この金属コロイド粒子を含む溶液をインクジェットなどで基材に直接コーティングし、導電性回路を形成することが知られている(例えば、特許文献1)。一方、上記コーティング膜は金属光沢を有していることから、意匠性材料としての利用が考えられるが、常温で乾燥させた金属コロイドのコーティング膜は基材との付着性が弱く、剥がれ易いという問題点があった。
特開2004−207558号公報
本発明の目的は、常温乾燥によって、基材と剥がれ難く、金属光沢を持つコーティング膜を形成する、金属コロイド含有インク組成物を提供することにある。
本発明の金属コロイド含有インク組成物は、ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の存在下で、金属化合物を還元して得られる金属コロイド粒子を含有し、上記インク組成物中の金属の量が10〜20質量%であり、かつ、水の量が60質量%以上であることを特徴としている。また、上記金属コロイドの金属は、金、銀および銅からなる群から選ばれるものであってよく、上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の量が0.5〜5質量%であってよい。さらに上記インク組成物は炭素数1〜4のアルコールを5〜15質量%含んでいてもよい。
本発明の上記インク組成物のコーティング膜の形成方法は、上記金属コロイド含有インク組成物を基材上に塗布することを特徴としている。
本発明の金属コロイド含有インク組成物を塗布し、常温で乾燥することによって、金属光沢を有するコーティング膜が得られる。このコーティング膜は、基材との付着性が優れており、剥がれ難い。この機能の発現理由は明らかではないが、金属コロイド含有インク組成物中の水の量を60質量%以上にすることで付着性の向上が見られることから、以下のように考えられる。すなわち、溶媒である水の量が少ない状態では、高分子顔料分散剤が有するポリエチレンオキサイド鎖は、金属コロイド粒子の周りに多く存在していると考えられる。ところが、水の量が増加して希釈が進むと、金属コロイド粒子単体での安定性が増すため、ポリエチレンオキシド鎖の自由度が増加し、その結果、ポリエチレンオキシド鎖がほぐれやすくなると考えられる。このようなほぐれた状態が形成されることによって、基材が有する官能基とポリエチレンオキシド鎖の酸素原子との水素結合が起こりやすくなるため、乾燥により水分子がなくなった後に、ポリエチレンオキサイド鎖が基材表面上を広く覆うことができ、その結果、付着性が向上したものと考えられる。
本発明の金属コロイド含有インク組成物から得られるコーティング膜は、金属光沢を有していることから、このような意匠が必要とされる種々の物品に適用することができる。
本発明の金属コロイド含有インク組成物は、金属コロイド粒子を含有している。上記金属コロイド粒子の金属は、コーティング膜が金属光沢を有するものであればよいが、金、銀および銅からなる群から選ばれるものであることが好ましい。特に、金または銀が好ましい。
上記金属コロイド粒子は、ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の存在下で、金属化合物を還元して得られるものである。上記金属化合物は、溶媒に溶解することにより金属イオンを生じる。上記金属化合物は、金属単体として金属光沢を有するものであればよく、金、銀および銅からなる群から選ばれるものを含むものが好ましい。例えば、テトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、亜硫酸金、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)などを挙げることができる。これらの中で金または銀を含むものが特に好ましい。上記金属化合物から生じる金属イオンを還元されることによって、金属コロイド粒子が得られる。
上記還元は、ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の存在下で行われる。上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤は、高分子量を有する重合体で、顔料表面に対する親和性の高い官能基としてポリエチレンオキシド鎖が導入されている。
上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤は通常、顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものであり、一般的な数平均分子量は1000〜100万である。数平均分子量が1000未満であると、金属コロイド粒子が得られないおそれがあり、100万を超えると、分散剤の粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。一般的に数平均分子量のより好ましい値は2000〜50万であり、さらに好ましくは4000〜50万である。上記高分子顔料分散剤においては、重合度が10〜100程度のポリエチレンオキシド鎖をペンダント部分として30〜70質量%有しているものを用いることが好ましい。
上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤としては、上述の特数値を有するものであれば特に限定されない。市販品としては、例えば、ディスパービック190やディスパービック191(ビックケミー社製)などを挙げることができる。上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤は2種以上を併用してもよい。
上記還元を行う際の上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の使用量は、上記金属化合物中の金属とポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤との合計量に対して10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると、固形分中の金属濃度が低くなるおそれがある。より好ましくは、8質量%以下であり、さらに好ましくは、7質量%以下である。
上記還元は、還元性化合物を用いて行うことができる。上記還元性化合物としては、一般的に還元剤として知られたものに加えて、アミン化合物が挙げられる。アミン化合物そのもの自体は還元性を有するものではないが、この系においては、還元作用があるので、還元性化合物に含める。アミン化合物は、他の一般的な還元性化合物に比べて温和な条件で還元ができるので、アミン化合物を使用することが好ましい。
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示されているものを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミン化合物として、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、ジメチルアミノエタノールがより好ましい。
一方、還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することができる。入手容易なことから、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸が好ましい。これらは、単独または上記アミン化合物と組み合わせて使用することが可能であるが、アミン化合物とクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸とを組み合わせる場合、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、還元性の向上を図ることができる。
上記還元性化合物の添加量は、上記金属化合物中の金属を還元するのに必要な量以上であることが好ましい。この量未満であると、還元が不十分となるおそれがある。また、上限は特に規定されないが、上記金属化合物中の金属を還元するのに必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。また、上記還元は、これらの還元性化合物の添加により化学的に還元する方法以外に、高圧水銀灯を用いて光照射する方法も使用することも可能である。
上記還元は、例えば、まず溶媒に上記分散剤を溶解させ、さらに、上記還元性化合物または金属化合物のいずれかを溶解させて得られる溶液に、還元性化合物または金属化合物の残った方を加えることで、還元を進行させることができる。上記以外に、先にポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤と上記還元性化合物とを混合しておき、この混合物を金属化合物の溶液に加える形態をとってもよい。上記還元により、金属コロイド粒子を含む溶液が得られる。
上記還元に用いられる溶媒は、上記金属化合物および高分子顔料分散剤を溶解するものであればよく、一般的には水が使用され、必要に応じて、水に混和しうる有機溶媒を加えてもよい。
上記還元を行って得られる金属コロイド粒子溶液は、原料に由来する塩化物イオン等の雑イオン、還元で生じた塩やアミン化合物などの不純物を含んでいる。これらの不純物は、金属コロイド溶液の安定性に悪影響を及ぼすおそれがあるので除去しておくことが望ましい。この除去手段としては電気透析、遠心分離、限外濾過などがあるが、限外濾過は、上記不純物の除去と同時に、ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の一部を除去することによる濃縮も実施でき、金属濃度が高まる。
上記限外濾過処理前の、金属コロイド溶液に含まれる金属コロイド粒子およびポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤からなる固形分は、質量基準で0.05〜50%であることが好ましい。この固形分量が0.05%未満であると、金属モル濃度が低すぎて効率的な限外濾過ができず、50%を超えると不純物の除去が困難となる場合がある。
上記限外濾過は、通常分離対象となる物質の径が1nm〜5μmである。上記径を対象とすることにより、上記不純物とともに、上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の一部を除去し、得られる金属コロイド粒子の金属濃度が高まる。上記径が1nm未満であると、上記不純物等の不要な成分が濾過膜を通過せず排除できないことがあり、5μmを超えると、上記金属コロイド粒子の多くが濾過膜を通過し、高濃度の金属コロイド粒子が得られない場合がある。
上記限外濾過の濾過膜としては特に限定されないが、通常、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製のものが用いられる。これらの内、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォンが好ましく、ポリアクリロニトリルがより好ましい。上記限外濾過の濾過膜は、また、上記限外濾過終了後に通常行われる濾過膜の洗浄を効率よく行う点から、逆洗浄が可能な濾過膜を用いることが好ましい。
上記限外濾過の濾過膜としては、分画分子量が3000〜80000のものが好ましい。分画分子量が3000未満であると。不要な高分子顔料分散剤などが十分に除去されにくく、80000を超えると、濾過膜を通過しやすくなるため、目的とする金属コロイド粒子が得られない場合がある。分画分子量のより好ましい値は、10000〜60000である。上記分画分子量とは、一般的に、高分子溶液を限外濾過膜に通す場合に限外濾過膜の孔内を通過して外に排除される高分子の分子量を意味し、濾過膜の孔径を評価するために用いられる。上記分画分子量が大きな値を示す程、濾過膜の孔径は大きい。
上記限外濾過の濾過モジュールの形態としては特に限定されず、例えば、濾過膜の形態によって中空糸型モジュール(キャピラリーモジュールとも呼ばれる)、スパイラルモジュール、チューブラーモジュール、プレート型モジュール等が挙げられ、いずれも本発明に好適に用いられる。この内、効率の点から、濾過面積は大きく形態はコンパクトな点から中空糸モジュールが好ましい。なお、処理を行う金属コロイド粒子溶液の量が多い場合には、使用する限外濾過膜本数が多いものを使うことが好ましい。
上記限外濾過の方法としては特に限定されず、従来公知の方法により、上記金属化合物を還元して得られた金属コロイド粒子溶液を限外濾過膜に通す。これにより上述の不純物やポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤を含む濾液が排除される。なお、限外濾過は、通常、濾液の上記雑イオンが所望の濃度以下に除去されるまで繰り返し行う。その際、処理する金属コロイド粒子溶液の濃度を一定にするために排除された濾液の量と同じ量の溶剤を加えることが好ましい。このとき加える溶剤として、還元時に用いていたものと異なる種類のものを用いることで、金属コロイド粒子溶液の溶剤を置換することが可能である。
上記限外濾過は、通常の操作、例えば、いわゆるバッチ式で行うことができる。このバッチ方式は、限外濾過が進んだ分、処理対象である金属コロイド粒子溶液を加えて行く方法である。なお、上記限外濾過は、上記雑イオンが所望の濃度以下に除去された後で、固形分濃度を高めるためにさらに行うことも可能である。
このようにして、本発明の金属コロイド含有インク組成物に含有される金属コロイド粒子を溶液の形で得ることができる。上記溶液中の金属モル濃度は0.01mol/l以上であることが好ましい。0.01mol/l未満であると、得られる金属コロイド粒子溶液の金属モル濃度が低すぎて効率的でない。より好ましくは0.05mol/l以上、特に好ましくは0.1mol/l以上である。
上記金属コロイド粒子の平均粒子径は約5〜100nmである。5nmを大きく下回る粒子径のものは製造することが困難であり、100nmを越えるものは、安定性に問題があるおそれがある。また、上記金属コロイド粒子中の金属濃度は最終的に得られるコーティング膜が金属光沢を有していればよく、例えば、10質量%以上であればよい。なお、上記金属濃度とは、金属コロイド粒子溶液の固形分中に占める金属の質量%を意味し、原料の配合量から計算して求めることができる。
本発明の金属コロイド含有インク組成物中における、上記金属コロイド粒子の量は、10〜20質量%である。10質量%未満だと、乾燥して得られるコーティング膜に十分な金属光沢が生じないおそれがある。また、20質量%を越えると、金属の粒子が相互に凝集して、コーティング膜が基材から剥がれ易くなるおそれがある。
なお、上記金属コロイド粒子は、上記還元の際に用いたポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤と共存しているので、本発明の金属コロイド含有インク組成物は、上記ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤を含有することになる。
本発明の金属コロイド含有インク組成物中における、上記ポリエチレンオキシド鎖を有す高分子顔料分散剤の量は、0.5〜5重量%であることが好ましい。0.5重量%未満だと、インク組成物における金属粒子の分散性が低く、金属の粒子が相互に凝集しやすくなっているため、コーティング膜が基材から剥がれ易くなるおそれがある。また、5重量%を越えると、金属粒子表面を覆った分散剤層が厚くなり基材との結合力が低下するため、コーティング膜が基材から剥がれ易くなるおそれがある。
本発明の金属コロイド含有インク組成物は、溶剤としての水を60質量%以上含んでいる。60質量%未満だと、コーティング膜が基材から剥がれ易くなるおそれがある。上限値は、他成分の含有割合によって左右され、例えば、約85質量%である。
本発明の金属コロイド含有インク組成物は、各種物性の調整のために、炭素数1〜4のアルコールを5〜15質量%含んでいてもよい。炭素数が5以上になると蒸発しにくくなり乾燥性に劣るおそれがある。また、上記炭素数1〜4のアルコールの量が、上記範囲外では、コーティング膜が基材から剥がれ易くなるおそれがある。上記炭素数1〜4のアルコールの具体例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ブタンジオールなどが挙げられる。
本発明の金属コロイド含有インク組成物は、上述の成分以外に、マルチトール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性樹脂、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、結合剤、表面張力調整剤、可塑剤などを含んでいてもよい。さらに、必要に応じて、防カビ剤、防腐剤、保湿剤、蒸発促進剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定剤、劣化防止剤、酸素吸収剤、防錆剤などを含むこともできる。これらは塗布する基材および方法に応じて、適宜選択される。
本発明の金属コロイド含有インク組成物は、先の金属コロイド粒子溶液に所定量の水を加えることによって得られる。その際、必要に応じて、炭素数1〜4のアルコールやそれ以外の上述の成分を所定量混合することができる。
本発明のコーティング膜の形成方法は、先の金属コロイド含有インク組成物を基材上に塗布することによって行われる。上記基材としては、紙、鉄などの金属、プラスチックや木材などの有機素材、石材などの無機素材が挙げられる。これらは、ドアや壁などの建築物を構成するもの、および、自動車の内装や家具、家電製品、携帯電話などの物品の表面であってよい。上記塗布方法として、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、浸漬塗り、流し塗りなど公知慣用の種々の塗装方法、また、インクジェット方式、スクリーン方式、オフセット方式など公知慣用の種々の印刷方法によっておこなうことができる。なお、インクジェット方式により塗布を行う場合には、基材表面にインクジェットインク用受容層が形成されたものを使用することが好ましい。
上記塗布後は、そのまま常温で放置することによりコーティング膜が得られる。必要に応じて、加熱を行うことも可能である。上記コーティング膜の膜厚は特に限定されないが、微小な粒子径の金属コロイド粒子を含有するものであることから、0.01〜1μm程度とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。以下の記述において、特に断りのない限り、「%」は質量%を意味する。
金属コロイド粒子溶液の製造
2リットルのコルベンにポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤(「ディスパービック190」ビックケミー社製)12g、および、イオン交換水420.5gを入れ、ウォーターバスに浸漬して、上記高分子顔料分散剤が溶解するまで50℃で攪拌した。次に、イオン交換水420.5gに溶解させた硝酸銀100gを上記コルベン中に攪拌しながら加えて70℃で10分間攪拌した。次いで、ジメチルアミノエタノール262gを加えたところ、液が一瞬で黒変し、液温が76℃まで上昇した。この液を攪拌し、液温が70℃まで下がったところで、この温度を保ちながら2時間攪拌を続け、黒黄色を呈する銀コロイド粒子の水溶液を得た。
2リットルのコルベンにポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤(「ディスパービック190」ビックケミー社製)12g、および、イオン交換水420.5gを入れ、ウォーターバスに浸漬して、上記高分子顔料分散剤が溶解するまで50℃で攪拌した。次に、イオン交換水420.5gに溶解させた硝酸銀100gを上記コルベン中に攪拌しながら加えて70℃で10分間攪拌した。次いで、ジメチルアミノエタノール262gを加えたところ、液が一瞬で黒変し、液温が76℃まで上昇した。この液を攪拌し、液温が70℃まで下がったところで、この温度を保ちながら2時間攪拌を続け、黒黄色を呈する銀コロイド粒子の水溶液を得た。
上記方法によって得られた水溶液を1リットルのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数400本)、マグネットポンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないで、限外濾過装置とした。先の60℃の恒温室で18時間静置した水溶液をステンレスカップに入れて、さらに2リットルのイオン交換水を加えてから、ポンプを稼働させて限外濾過を行った。約40分後にモジュールからの濾液が2リットルになった時点で、ステンレスカップに2リットルの脱イオン水を加えた。その後、濾液の伝導度が300μS/cm以下になったことを確認し、母液の量が500mlになるまで濃縮を行った。
続いて上記母液を入れた500mlステンレスカップ、限外濾過モジュールAHP0013(旭化成社製;分画分子量50000、使用膜本数100本)、チューブポンプ、および、アスピレーターからなる限外濾過装置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液を入れ、固形分濃度を高めるために濃縮を行った。母液が約100mlになった時点でポンプを停止して、濃縮を終了することにより、固形分30%の銀コロイド溶液が得られた。この溶液中の銀コロイド粒子の平均粒子径は、27nmであった。また、TG−DTA(セイコーインスツルメント社製)を用いて、固形分中の銀の含有率を計測したところ、仕込みの93質量%に対して、96質量%であった。
金属コロイド含有インク組成物の調整
上記銀コロイド溶液52gにエタノール8g、1,3−ブタンジオール16g、イオン交換水24gを配合して攪拌し、銀コロイド含有インク組成物を得た。このインク組成物に含まれる金属の量は15質量%、水の量は60質量%、ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の量は1質量%、炭素数1〜4のアルコールの量は24質量%であった。また、各成分の量が表1に示す割合になるよう、配合を変更して、合計3種類の銀コロイド含有インク組成物を得た。
上記銀コロイド溶液52gにエタノール8g、1,3−ブタンジオール16g、イオン交換水24gを配合して攪拌し、銀コロイド含有インク組成物を得た。このインク組成物に含まれる金属の量は15質量%、水の量は60質量%、ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の量は1質量%、炭素数1〜4のアルコールの量は24質量%であった。また、各成分の量が表1に示す割合になるよう、配合を変更して、合計3種類の銀コロイド含有インク組成物を得た。
コーティング膜の形成
このようにして調整した実施例1および2、ならびに比較例1の銀コロイドインク組成物を市販のインクジェット用フォト専用紙(キャノン社製:スーパーフォトペーパーSP−101)に流し塗りして室温で乾燥させ、コーティング膜を得た。得られた3種のコーティング膜は金属光沢を有していた。
このようにして調整した実施例1および2、ならびに比較例1の銀コロイドインク組成物を市販のインクジェット用フォト専用紙(キャノン社製:スーパーフォトペーパーSP−101)に流し塗りして室温で乾燥させ、コーティング膜を得た。得られた3種のコーティング膜は金属光沢を有していた。
コーティング膜の付着性評価
上記3種のコーティング膜の基材に対する付着性試験をJIS K5600−5−6のクロスカット法に従っておこなった。テープ剥離による付着性の評価でカットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない、または、カットの交差点における塗膜の小さな剥がれが全体の5%以下である場合を合格とし、それ以外を不合格とした。
上記3種のコーティング膜の基材に対する付着性試験をJIS K5600−5−6のクロスカット法に従っておこなった。テープ剥離による付着性の評価でカットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない、または、カットの交差点における塗膜の小さな剥がれが全体の5%以下である場合を合格とし、それ以外を不合格とした。
本発明の銀コロイド含有インク組成物である実施例1および2は合格であり、比較例1は不合格であった。
本発明の金属コロイド含有インク組成物はコーティングにより金属光沢を有する膜を形成することができるため、特別な意匠性を必要とする分野に適用することができる。
Claims (5)
- ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の存在下で、金属化合物を還元して得られる金属コロイド粒子を含有するインク組成物であって、前記インク組成物中の金属の量が10〜20質量%であり、かつ、水の量が60質量%以上であることを特徴とする、金属コロイド含有インク組成物。
- 前記インク組成物中の金属コロイド粒子化合物の金属は金、銀および銅からなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の金属コロイド含有インク組成物。
- 前記インク組成物中のポリエチレンオキシド鎖を有する高分子顔料分散剤の量が0.5〜5質量%である、請求項1または2に記載の金属コロイド含有インク組成物。
- 前記インク組成物は炭素数1〜4のアルコールを5〜15質量%含む、請求項1から3のいずれかに記載の金属コロイド含有インク組成物。
- 請求項1から4のいずれかに記載の金属コロイド含有インク組成物を基材上に塗布する、コーティング膜の形成方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019017035A1 (ja) * | 2017-07-20 | 2019-01-24 | コニカミノルタ株式会社 | インクセット、水系インクおよび画像形成方法 |
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2005
- 2005-12-26 JP JP2005372265A patent/JP2007169553A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019017035A1 (ja) * | 2017-07-20 | 2019-01-24 | コニカミノルタ株式会社 | インクセット、水系インクおよび画像形成方法 |
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