JP2007169333A - 記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画像の品位を向上させる。
【解決手段】対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを含ませて、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下に調整し、更に界面活性剤を含ませて、静的表面張力が下記数式1を満足するように調整する。
【数1】
Figure 2007169333

ここで、γdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
【選択図】なし

Description

本発明は、対象物に記録を行うために液滴の状態で対象物に付着される記録液、この記録液が収容された液体カートリッジ、この液体カートリッジに収容された記録液を吐出口より液滴の状態にして対象物に吐出する液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
液体吐出装置としては、例えば対象物となる記録紙に対して記録液のインクを吐出させて、画像や文字を印刷するインクジェット方式のプリンタ装置がある。このインクジェット方式のプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、画像や文字のカラー化が容易という利点がある。
インクを吐出するインクジェット方式としては、例えばディフレクション方式、キャビティ方式、サーモジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式、サーマルインクジェット方式、スリットジェット方式、スパークジェット方式等がある。これらのインクジェット方式は、インクを微小な液滴の状態で吐出させるインク吐出ヘッドの吐出口、いわゆるノズルよりインクを吐出させ、記録紙に着弾させ、画像や文字を印刷する。
インクジェット記録方式のプリンタ装置では、インクジェット記録専用紙のみならず、コピー用紙やレポート用紙などの普通紙に対しても印刷を行う場合がある。このため、インクジェット記録方式に用いるインクには、インクジェット記録専用紙のみならず、普通紙に対して印刷を行った場合でも、特に画像濃度が高く、画像や文字の滲み、具体的に異色間の境界滲みや混色ベタ斑等がなく、インクの裏抜けが少ない高品位な画像や文字の印刷を可能とすることが求められている。このような要求に応えるため、インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、例えば下記の特許文献1〜特許文献6に記載されているようなものがある。
特許文献1には、界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸を用いることにより乾燥性を改善することが記載されている。しかしながら、この特許文献1に記載されているインクでは、乾燥性を改善することが期待できる紙のpH領域が狭く、且つ経時での改善効果の低下や印画濃度が低くなってしまう。
また、特許文献2には、強塩基性物質をインクに添加することにより画像の滲みを抑制することが記載されている。しかしながら、この特許文献2に記載されているインクでは、酸性紙でのみ有効であり、中性紙タイプの普通紙では効果を発揮しにくい。
特許文献3及び特許文献4には、インクに湿潤剤、界面活性剤および2−エチル−1,3−ヘキサンジオールをそれぞれ特定量含有させることにより、画像滲み、特に重色部の画像滲みを改善させることが記載されている。しかしながら、この特許文献3及び特許文献4に記載されているインクでは、画像滲みを改善することができても、画像の裏抜けが大きく、さらに画像濃度が低く、十分満足した高品位な画像を得ることは困難である。
特許文献5には、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールをインクに含有させることにより、インクの裏抜けを抑制することが記載されている。しかしながら、特許文献5に記載されているインクでは、画像滲みを改善することができても、上記特許文献3及び特許文献4と同様に画像の裏抜けが大きく、さらに画像濃度が低く、十分満足した高品位な画像を得ることは困難である。
特許文献6には、プロピレングリコールモノプロピルエーテルを含有させることにより乾燥性、画像滲みを改善することが記載されている。しかしながら、特許文献6に記載されているインクでは、乾燥性や画像滲みの効果は低く、やはり十分満足した高品位な画像を得ることは困難である。
また、インクジェット記録方式のプリンタ装置では、例えば記録紙に対して高速で印刷を行うことが可能なプリンタ装置、即ち記録紙の幅と略同じ範囲をインクの吐出範囲としたライン型のプリンタ装置において、画像や文字の滲みやインクの裏抜け等が顕著に生じてしまう(例えば、特許文献7を参照。)。
ライン型のプリンタ装置は、インクを吐出するノズルが記録紙の幅と略同じ範囲に並設されたノズルライン毎にインクを吐出して、記録紙の幅方向に亘った一列分の印刷を一度に行うため、ノズルライン毎のインクの吐出周期が極めて短くなっている。このため、ライン型のプリンタ装置では、次々に吐出したインクの記録紙に対する染み込みが遅いと画像や文字に滲み等が生じてしまう。
そこで、ライン型のプリンタ装置では、記録紙へ対する浸透性が優れたインクを用いる必要がある。
しかしながら、ライン型のプリンタ装置では、浸透性の優れたインクを用いて普通紙等に印刷した場合、インクが普通紙の深さ方向、即ち厚み方向に染込み過ぎてしまい、印画濃度が低下する虞がある。
また、ライン型のプリンタ装置では、異なる色のインクを吐出して記録紙に印刷をする、いわゆるカラー印刷を行う場合に浸透性の優れたインクを用いた場合でも、ノズルライン毎のインクの吐出周期が極めて短いため、記録紙に着弾したインクが十分に紙の内部へ浸透しないうちに次の色のインクが次々と着弾されるようになる。このため、ライン型のプリンタ装置では、各色間に境界滲みや混色ベタ斑が発生する虞がある。
特公昭60−23793号公報 特開昭56−57862号公報 特開平6−157959号公報 特開2003−3100号公報 特開2003−253167号公報 特開平8−170041号公報 特開2002−36522号公報
本発明は、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、インクの裏抜けを防止することができ、高品位な画像や文字の印刷をすることができる記録液、この記録液が収容された液体カートリッジ、この液体カートリッジに収容された記録液を用いて高品位な印刷を行える液体吐出装置及び液体吐出方法を提供するものである。
本発明に係る記録液は、対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着され、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを含有することで、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤を含有することで、静的表面張力が下記数式1を満足していることを特徴とする。
Figure 2007169333
ここで、数式1におけるγdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
また、本発明に係る液体カートリッジは、上記記録液を収容したものである。
また、本発明に係る液体吐出装置は、装置本体と、上記記録液が収容された液体カートリッジと、該液体カートリッジと接続され、上記記録液を押圧する圧力発生素子と上記記録液を吐出させる吐出口とを備える液室に上記液体カートリッジに収容された上記記録液を供給する供給路を有する液体吐出ヘッドとを備えるものである。
また、本発明に係る液体吐出方法は、圧力発生素子を駆動して上記記録液を吐出口から液滴の状態にして吐出する方法である。
本発明によれば、記録液中に1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを含有し、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下に調整され、且つ界面活性剤を含有し、静的表面張力が上記数式1を満足するように調整されているため、対象物に対して記録液が均一に浸透するようになり、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けといった不具合を防止することができる。
以下、本発明が適用されたインク、インクカートリッジ、インクジェットプリンタ装置及びこのインクジェットプリンタ装置によるインクの吐出方法について、図面を参照して説明する。
本発明が適用されたインクは、例えば図1に示すインクジェットプリンタ装置1(以下、プリンタ装置1と記す。)に用いられる。このプリンタ装置1は、インクを吐出するノズルが記録紙Pの幅方向、図1中矢印W方向に亘って設けられたライン型のプリンタ装置である。このプリンタ装置1は、インクを吐出するノズルが記録紙Pの幅と略同じ範囲に略ライン状に並設されたノズルライン毎にインクを吐出して、記録紙Pの幅方向に亘った一列分の印刷を行うことができるため、ノズルライン毎のインクの吐出周期が極めて短いものである。このため、プリンタ装置1では、次色のインクが次々に吐出される。本発明を適用したインクは、次色のインクが次々に吐出されても、記録紙への浸透性に優れ、色間の境界にじみや混色ベタ班がなく、高い印画濃度を有する画像や文字を印刷することができる。なお、記録紙としては、インクジェット記録専用用紙に限らず、コピー用紙等の普通紙等も用いることができる。先ず、本発明を適用したインクについて説明する。
インクは、色素と、この色素を溶解又は分散させる溶媒と、記録紙Pに対する浸透を向上させる水溶性有機溶剤及び界面活性剤とを含有する。
色素としては、従来公知の染料、顔料、着色ポリマー微粒子等を単独又は混合して用いることができるが、特に水溶性染料を用いることが好ましい。水溶性染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料のいずれを用いてもよいが、水への溶解度、発色性や堅牢性などの観点から適宜選択することが好ましい。
具体的に、イエロー系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドイエロー17、同23、同42、同44、同79、同142、C.I.フードイエロー3、同4、C.I.ダイレクトイエロー1、同12、同24、同26、同33、同44、同50、同86 、同120、同132、同142、同144、C.I.ダイレクトオレンジ26、同29、同62、同102、C.I.ベーシックイエロー1、同2、同11、同13、同14、同15、同19、同21、同23、同24、同25、同28、同29、同32、同36、同40、同41、同45、同49、同51、同53、同63、同64、同65、同67、同70、同73、同77、同87、同91、C.I.リアクティブイエロー1、同5、同11、同13、同14、同20、同21、同22、同25、同40、同47、同51、同55、同65、同67等を用いることができる。
マゼンダ系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドレッド1、同8、同13、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同42、同52、同82、同87、同89、同92、同97、同106、同111、同114、同115、同134、同186、同249、同254、同289、C.I.フードレッド7、同9、同14、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同9、同13、同17、同20、同28、同31、同39、同80、同81、同83、同89、同225、同227、C.I.ベーシックレッド2、同12、同13、同14、同15、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同35、同36、同38、同39、同46、同49、同51、同52、同54、同59、同68、同69、同70、同73、同78、同82、同102、同104、同109、同112、C.I.リアクティブレッド1、同14、同17、同25、同26、同32、同37、同44、同46、同55、同60、同66、同74、同79、同96、同97等を用いることができる。
シアン系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドブルー9、同29、同45、同92、同249、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同15、同22、同25、同71、同76、同79、同86、同87、同90、同98、同163、同165、同199、同202、C.I.ベーシックブルー1、同3、同5、同7、同9、同21、同22、同26、同35、同41、同45、同47、同54、同62、同65、同66、同67、同69、同75、同77、同78、同89、同92、同93、同105、同117、同120、同122、同124、同129、同137、同141、同147、同155、C.I.リアクティブブルー1、同2、同7、同14、同15、同23、同32、同35、同38、同41、同63、同80、同95等を用いることができる。
ブラック系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同94、C.I.フードブラック1、同2、C.I.ダイレクトブラック19、同22、同32、同38、同51、同56、同71、同74、同75、同77、同154、同168、同171、C.I.ベーシックブラック2、同8、C.I.リアクティブブラック3、同4、同7、同11、同12、同17等を用いることができる。
色素の含有量は、インク全質量に対して1質量%〜10質量%の範囲であり、より好ましくは3質量%〜5質量%の範囲である。この色素の含有量は、インクの粘度、乾燥性、吐出安定性、発色性や印刷物の保存物性などを考慮して決定する。
上述した色素を溶解又は分散させる溶媒としては、水の他にインクに所望の物性を与え、色素の水への溶解性や分散性を改良し、且つインクの乾燥を防止する等の目的で、従来公知の有機溶媒を併用することができる。
具体的に、溶媒として使用可能な有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類や、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリルエーテル類や、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾイリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物や、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類や、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類等を挙げることができる。
上記のような有機溶剤の添加量は、インク全質量に対して5質量%〜50質量%の範囲であり、より好ましくは10質量%〜35質量%の範囲であり、色素の場合と同様にインクの粘度、乾燥性や吐出安定性などを考慮して決定する。
インクには、上述したような色素を溶解又は分散させる溶媒の他に、記録紙Pに対する浸透を向上させ、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けといった不具合を防止することを目的に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを0秒動的表面張力(γdst0)が35mN/m以上、40mN/m以下となるように添加する。
アルキレングリコールの添加量は、インクの溶媒として併用する他の有機溶剤の種類や添加量によって異なるため一概には言えないが、概ね1,2−ペンタンジオールは6質量%〜10質量%、1,2−ヘキサンジオールは2.5質量%〜4.5質量%、1,3−ヘキサンジオールは5.5質量%〜10質量%である。
インク中に含有させる1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールは、インクの0秒動的表面張力(γdst0)を低下させることができる。具体的に、図2に示すように、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールが含有されている本発明を適用したインクの表面張力の時間変化を示す曲線は、図中曲線Aで示すようになり、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールが含有されていないインクの表面張力の時間変化を示す曲線は、図中曲線Bに示すようになる。図2に示すように、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールが含有されているインクは、含有されていないインクよりも0秒動的表面張力(γdst0)が大幅に低下していることが分かる。
ここで、0秒動的表面張力(γdst0)について説明する。数式2で示される界面活性剤を含有する液体の動的表面張力−時間変化の緩和関数式については、例えばHua X.Y,Rosen M.J:J.ColloidInterface Sci.124,652(1988)や、田村隆光:表面 Vol.38 No.10 22〜44(2000)に記載されている。
Figure 2007169333
ここで、γmは30秒間の表面張力変化が1mN/m以下になった時の表面張力、γは溶媒の表面張力、t*はγがγとγの中間になった時間、nは定数を示す。
このRosenにより提唱された数式2に示す界面活性剤を含有する液体の動的表面張力−時間変化の緩和関数式をt=0として展開した場合について数式3に示す。
Figure 2007169333
数式3に示すように、0秒動的表面張力(γdst0)は、インクから色素や、後述する防腐剤、防カビ剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤等といった界面活性能を有する成分を除いた、水及び有機溶剤からなる溶媒の静的表面張力を測定することで求めることができる。なお、インクの溶媒の動的表面張力を、例えば最大泡圧力法により泡の発生する速度、いわゆる泡速度を変化させて連続測定した場合、具体的には泡速度を20泡/秒〜0.1泡/秒の範囲にして連続測定した場合、動的表面張力曲線はほぼ横一直線となり、泡速度が低下しても動的表面張力曲線が大きく下がることはない。
インクの0秒動的表面張力(γdst0)が35mN/m未満である場合には、記録紙Pに着弾したインクが記録紙Pの深さ方向、すなわち記録紙Pの厚み方向に染み込みすぎて印画濃度が低下したり、記録紙Pの裏側にまでインクが染み出したりする虞がある。一方、インクの0秒動的表面張力(γdst0)が40mN/mを超えた場合には、記録紙Pの厚み方向への染み込みが遅くなり、フェザリング・境界にじみ(ブリーディング)等が発生する虞がある。特に、0秒動的表面張力(γdst0)が45mN/m以上の場合には、フェザリングや境界にじみが著しくなる。したがって、インクでは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを含有し、0秒動的表面張力(γdst0)を35mN/m以上、40mN/m以下とすることによって、記録紙Pに対して厚み方向に染み込み過ぎたり、染み込みが遅くなったりせず、厚み方向及び面方向への染み込み具合が均一になり、印画濃度の低下や裏抜け、境界滲み、混色ベタ斑が発生することを防止できる。
なお、0秒動的表面張力(γdst0)を35mN/m以上、40mN/m以下に調整するには、上記したようなアルキレングリコール以外の化合物、例えば、炭素数7〜10のアルキレンモノアルコール類やアルキレングリコール類等でも可能である。しかしながら、炭素数7〜10のアルキレンモノアルコール類やアルキレングリコール類を用いた場合には、上記した炭素数が5や6の1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールを用いた場合と比較して、概ね表面張力低下能に優れており、記録紙Pに浸透し過ぎたり、疎水性が高過ぎることから、印画濃度が低下したり、画像の裏抜けが大きくなるため好ましくない。また、場合によっては、多くの部材を接着、溶着、融着などして製造される後述するヘッドカートリッジ2やインクが収容される後述するインクカートリッジ11、ヘッドカートリッジ2とインクカートリッジ11とを接続する流路等を腐食し、インクが漏れたり、ヘッドカートリッジ2やインクカートリッジ11を構成するプラスチックやプラスチック/金属ハイブリッド素材などへ徐々にインクが浸透して、部材同士の接着力を低下させたり、膨潤させて変形を招くなどの不具合が生じることがあり好ましくない。
上述した1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールは、親水性と疎水性のバランスが良く、記録紙Pへの浸透性とヘッドカートリッジ2やインクカートリッジ11、流路への影響とを考慮すると、インク中に含有させることは好ましい。
また、インク中にアルキレングリコールを含有させたものとしては、例えば、特開平3−255177号公報に記載された、0.1〜10重量%の水溶性染料、70〜95重量%の水と4〜29重量%の炭素数6の直鎖アルキレングリコールを含有するインクジェット用インクがある。この公報に記載されている炭素数6の直鎖アルキレングリコールは、1,6−ヘキサンジオールや1,5−ヘキサンジオールである。1,6−ヘキサンジオールや1,5−ヘキサンジオールは、0秒動的表面張力(γdst0)を最適なものにすることは困難である。したがって、炭素数6の直鎖アルキレングリコールであれば、いずれの異性体であっても、0秒動的表面張力(γdst0)を下げて、最適にできるというわけではない。
また、特開平7−157698号公報には、炭素数5〜9の1,2−アルキルジオールを0.1重量%〜12.5重量%含有するインクが提案されている。この公報は、炭素数5〜9の1,2−アルキルジオールでインクの0秒動的表面張力(γdst0)を最適化するといった思想や界面活性剤を併用し最適な静的表面張力をインクに付与する記載はない。
更に、インクは、静的表面張力(γsst)が下記の数式1を満たすように、上述したアルキレングリコールの他に、界面活性剤を含有する。
Figure 2007169333
ここで、数式1におけるγdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
インクの静的表面張力(γsst)が数式1を満たすということは、インクの0秒動的表面張力(γdst0)と静的表面張力(γsst)との差が小さくなっているということである。これは、図2に示す本発明を適用したインクの表面張力曲線Aからも分かるように、0秒動的表面張力(γdst0)と、静的表面張力(γsst)との差が小さくなっている。
インクでは、静的表面張力(γsst)が数式1を満すことによって、記録紙P上に着弾してからしばらくした後の記録紙Pに対する浸透性、即ち経時浸透性が高くなり過ぎたりせず、裏抜けの発生を防止しでき、また記録紙Pを構成する表面・内添サイズ剤表面に対する濡れ性がよくなり、濃淡斑の発生を防止することができる。
インクの静的表面張力(γsst)の値が0秒動的表面張力値(γdst0)−3(mN/m)よりも小さい場合には、記録紙P上に着弾してから、しばらくした後の記録紙Pに対して浸透性、即ち記録紙Pへの経時浸透性が高すぎて、徐々に画像裏抜けが酷くなるなどするため好ましくない。
一方、インクの静的表面張力(γsst)の値が0秒動的表面張力値(γdst0)−1(mN/m)よりも大きい場合には、記録紙Pを構成する表面・内添サイズ剤表面への濡れ性が不足する場合があり、結果的に濃淡の斑、即ちベタ斑を招くことがあるため好ましくない。このベタ班は、インク中の1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールが示す、セルロース繊維表面、セルロース繊維同士の絡み合いが形成する空隙及び無機填料表面などへの濡れ広がりと、疎水性を示す表面・内添サイズ剤表面における濡れ広がりに差があり、この濡れ広がりの時間差に起因して生じるものである。インクに界面活性剤を含有させ、インクの静的表面張力(γsst)が0秒動的表面張力値(γdst0)−1(mN/m)以下となるようにすることによって、インクの表面・内添サイズ剤表面に対する濡れ性が良くなる。これにより、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールのセルロース繊維表面、セルロース繊維同士の絡み合いが形成する空隙及び無機填料表面などへの濡れ広がりと、表面・内添サイズ剤表面における濡れ広がりとの時間差を小さくでき、ベタ印刷部に生じやすい濃淡の斑を抑制することができる。このため、インクの静的表面張力(γsst)の値が0秒動的表面張力値(γdst0)−1(mN/m)より大きくなってしまうような界面活性剤の添加量では、記録紙Pを形成する表面・内添サイズ剤表面への濡れ性が不足し、セルロール繊維表面やセルロース繊維同士の絡み合いが形成する空隙及び無機填料表面などへの濡れ広がりと、表面・サイズ剤表面に対する濡れ広がりとの時間差を小さくすることができないため、ベタ斑を満足に抑制することは困難である。
このようにインクの静的表面張力(γsst)を調整する界面活性剤としては、例えば2−エチルヘキシルモノアルコール等のエチレンオキサイド付加物を用いることができる。また、界面活性剤としては、炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物が好ましく、記録紙Pに含まれる特に表面・内添サイズ剤への馴染みが良好であり、上記したようなベタ斑を効率良く改善することができる。エチレンオキサイド付加モル数に影響を受けるため一概には言えないが、炭素数7未満では界面活性能が低下してしまう。一方、炭素数9を越える場合には、疎水性が高すぎてインクの調整に用いることが容易でなく、エチレンオキサイド付加モル数を増加させることにより疎水性を打ち消すことが可能ではあるが、そうすると分子量が大きくなり、インクの増粘を招くため好ましくない。
炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物としては、例えば、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−エチルー2−n−プロピルー1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−n−ペンタンー1,3−プロパンジオール、2−エチルエキシルモノアルコールなどのエチレンオキサイド付加物を用いる。エチレンオキサイド付加モル数としては、炭素数やアルキルの分岐状態などに影響を受けるため一概に言えないが、平均総付加モル数として、概ね2〜10モルである。
このような炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物の中でも特に下記の化学式1に示す2−エチル−2−nーブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物を用いることにより、一層高品位な印刷を行うことができる。
Figure 2007169333
界面活性剤の添加量は、インクの溶剤組成や界面活性剤の種類により異なるため一概には言えないが、概ねインク全質量に対して0.1質量%〜3質量%の範囲、より好ましくは0.2質量%〜2質量%の範囲とする。インクでは、界面活性剤の添加量をこの範囲とすることによって、静的表面張力(γsst)が数式1を満たすようになる。界面活性剤の添加量が0.01質量%未満では、界面活性剤を添加することによる添加効果を得ることが困難である。一方、界面活性剤の添加量が5質量%を超えるような場合では、インクの粘度を高くなり過ぎることがあり、吐出安定性が損なわれ、記録紙Pへの浸透性を遅くする場合があるため好ましくない。
また、インクでは、静的表面張力(γsst)を33mN/m以上、39mN/m以下とする。静的表面張力(γsst)が33mN/m未満の場合、記録紙Pに着弾すると記録紙Pの深さ方向、すなわち記録紙Pの厚み方向に染み込みすぎて印画濃度が低下したり、記録紙Pの裏側にまでインクが染み出したりする虞がある。一方、静的表面張力(γsst)が39mN/mより越えた場合では、記録紙Pの厚み方向への染み込みが遅く、フェザリング等が発生する虞がある。したがって、インクでは、静的表面張力(γsst)を33mN/m以上、39mN/m以下とすることによって、記録紙Pに着弾したときに厚み方向に染み込み過ぎたり、染み込みが遅くなったりせず、印画濃度が低下したり、裏抜けやフェザリング等を防止できる。表面張力の測定方法は、ウィルヘルミ(プレート)法などにより測定することができる。
また、インクには、上述した水溶性有機溶剤や界面活性剤等の作用効果を阻害しない範囲で、従来公知の界面活性剤を添加することもできる。具体的に、従来公知の界面活性剤としては、例えば多環フェノールエトキシレート等の特殊フェノール型非イオン界面活性剤や、グリセライトのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールオレート、ポリオキシアルキレンタロエート、ソルビタンラウリルエステル、ソルビタンオレイルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエステル等のエステル型非イオン界面活性剤や、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアマイド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド等のアマイド型非イオン界面活性剤や、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物や、アルコールサルフェートナトリウム塩、高級アルコールサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩等の陰イオン界面活性剤や、モノ長鎖アルキルカチオン、ジ長鎖アルキルカチオン、アルキルアミンオキサイド等の陽イオン界面活性剤や、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等を挙げることができる。これら従来公知の界面活性剤は、単独又は混合して用いることができる。
また、インクには、例えば粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、防錆剤、防かび剤等を添加させることも可能である。具体的に、粘度調整剤、pH調整剤等としては、例えばゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。また、防腐剤、防錆剤、防かび剤等としては、例えば安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。
インクは、上述した色素、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオール等の溶媒、及びアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤などを所定の配合比で混合し、常温又は40℃〜80℃に加熱しながらスクリュー等で攪拌、分散・ろ過させることで調製することができる。
以上のような構成からなるインクは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを含むことによって、0秒動的表面張力(γdst0)が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤を含むことによって、静的表面張力(γsst)が上記数式1を満足するようになっていることによって、記録紙Pの厚み方向に染み込み過ぎたりせず、また染み込みが遅くなったりしないため、記録紙Pに均一に浸透するようになり、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けの発生を防止することができる。
また、このインクでは、上述した構成とすることによって、インクジェット記録専用用紙に限らず、普通紙であって均一に浸透し、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができ、高品位な画像を形成することができる。
このインクを用いるインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置という。)1について具体的に説明する。プリンタ装置1は、図1に示すように、対象物となる例えば記録紙Pに対して上述したインクを吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)2と、このヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3とを備える。このプリンタ装置1は、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にノズルが略ライン状に1列以上並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ2が装置本体3に対して着脱可能である。
先ず、プリンタ装置1を構成するヘッドカートリッジ2について説明する。ヘッドカートリッジ2は、例えば圧力発生素子として電気熱変換式を用いた発熱抵抗体を用いて上述したインクを吐出し、記録紙Pの主面にインクを着弾させる。ヘッドカートリッジ2には、図3及び図4に示すように、インクが収容されたインクカートリッジ11が装着される。インクカートリッジ11は、色毎に、イエローインクのインクカートリッジ11y、マゼンタインクのインクカートリッジ11m、シアンインクのインクカートリッジ11c、ブラックインクのインクカートリッジ11kを備える。インクカートリッジ11は、記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法をなす略矩形状に形成されている。インクカートリッジ11には、図3及び図4に示すように、ヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21にインクを供給するためのインク供給部12を備える。
インク供給部12は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部12は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ2の接続部25に嵌合されることにより、インクカートリッジ11とヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21とを接続する。インク供給部12は、弁機構を備え、この弁機構でカートリッジ本体21へのインクの供給を調整している。
インクカートリッジ11が装着されるヘッドカートリッジ2は、図3及び図4に示すように、カートリッジ本体21を有する。カートリッジ本体21には、インクカートリッジ11が装着される装着部22と、インクを吐出するインク吐出ヘッド23と、インク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24とを備える。
装着部22の長手方向略中央には、装着部22に装着されたインクカートリッジ11のインク供給部12と接続される接続部25が設けられている。この接続部25は、装着部22に装着されたインクカートリッジ11のインク供給部12からカートリッジ本体21の底面に設けられたインクを吐出するインク吐出ヘッド23にインクを供給するインク供給路となる。接続部25は、インクカートリッジ11からインク吐出ヘッド23へのインクの供給を弁機構で調整している。
接続部25からインクが供給されるインク吐出ヘッド23は、カートリッジ本体21の底面に配設されている。インク吐出ヘッド23は、接続部25から供給されるインクを吐出する吐出口である後述するノズル27aが記録紙Pの幅方向、すなわち図3中矢印W方向に略ライン状に並設されている。インク吐出ヘッド23は、インクを吐出する際に、記録紙Pの幅方向に移動することなく、ノズルライン毎にインクを吐出する。
インク吐出ヘッド23には、図5に示すように、電気熱変化式の発熱抵抗体26aが設けられた回路基板26と、ノズル27aが形成され、ニッケルめっき等の金属薄膜で形成されたノズルシート27と、回路基板26とノズルシート27との間に設けられたフィルム28とによって、接続部25から供給されたインクを各ノズル27aに供給するインク流路29が形成されている。このインク流路29は、ノズル27aが並設されている方向、即ち図3中矢印W方向に長く形成されている。また、インク吐出ヘッド23には、回路基板26と、ノズルシート27と、フィルム28とによって囲まれ、発熱抵抗体26aがインクを加圧するインク液室30が形成されている。
インク吐出ヘッド23では、インクカートリッジ11からヘッドカートリッジ2の接続部25を介してインクがインク流路29に流れ込み、インク流路29からインク液室30に流れ込み、各ノズル27aにインクが供給されるようになる。
このインク吐出ヘッド23は、回路基板26上に例えば露光硬化型のフィルムレジストからなるフィルム28を形成し、このフィルム28上に別工程で製造した金属薄膜で形成したノズルシート27を貼り合わせて形成される。インク吐出ヘッド23では、上述したようにインクの0秒動的表面張力(γdst0)を調整するために1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールを用いているため、炭素数7〜10の他のアルキレンモノアルコール類やアルキレングリコール類を用いた場合と異なり、フィルム28にインクが浸透せず、フィルム28と回路基板26やノズルシート37との接着力が低下したり、変形することを防止できる。
以上のような構成からなるインク吐出ヘッド23では、印刷データに基づいて選択された発熱抵抗体26aに対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間パルス電流が供給される。これにより、インク吐出ヘッド23では、発熱抵抗体26aが駆動し、急速に加熱される。インク吐出ヘッド23では、発熱抵抗体26aを加熱すると、図5(A)に示すように、発熱抵抗体26aと接するインクに気泡bが発生する。そして、インク吐出ヘッド23では、図5(B)に示すように、気泡bが膨張しながらインクを加圧し、押し退けられたインクが液滴の状態となってノズル27aより吐出される。また、インク吐出ヘッド23では、インクの液滴を吐出した後、インク流路29を通してインクをインク液室30に供給することによって、再び吐出前の状態へに戻る。インク吐出ヘッド23では、印刷データに基づいて、上述した動作を繰り返して、記録紙P上にインクを吐出する。
インクを吐出するインク吐出ヘッド23の吐出面23aを保護するためのヘッドキャップ24は、図2に示すように、インクを吐出せず、印刷をしない間、インク吐出ヘッド23の吐出面23aを閉塞し、ノズル27aを乾燥等から保護している。印刷を行う際には、ヘッドキャップ24は、図3及び図6に示すように、ヘッドカーリッジ2の底面から移動し、インク吐出ヘッド23の吐出面23aを外部に露出させる。このヘッドキャップ24には、吐出面23aに付着している余分なインクを拭き取るクリーニングローラ24aが設けられている。ヘッドキャップ24は、吐出面23aを開放する際に、クリーニングローラ24aで吐出面23aをクリーニングすることで、吐出面23aに付着している余分なインクを除去し、インクが適切に吐出されるようにする。
ヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3には、図1に示すように、ヘッドカートリッジ装着部41にヘッドカートリッジ2が装着される。また、装置本体3には、前面下側に設けられた給紙口42に印刷される前の記録紙Pが積層して収納された給紙トレイ43が取り付けられ、前面上側に設けられた排紙口44に印刷後の記録紙Pを収納する排紙トイレ45が取り付けられている。
装置本体3には、図6に示すように、記録紙Pを搬送する給排紙機構46及びヘッドカートリッジ23の吐出面23aに設けられたヘッドキャップ24を開閉するキャップ開閉機構47が設けられている。
以上のような構成からプリンタ装置1は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき、給排紙機構46、ヘッドキャップ開閉機構47及びインク吐出ヘッド23に供給する電流の供給を制御する制御回路が制御部によって制御される。
具体的に、プリンタ装置1では、先ず、装置本体3に設けられた操作ボタン3aの操作により制御部に印刷開始の命令がされると、制御部からの制御信号により給排紙機構46、ヘッドキャップ開閉機構47が駆動して、図6に示すように、印刷が可能な状態となる。
プリンタ装置1では、ヘッドキャップ開閉機構47を駆動し、ヘッドキャップ24をヘッドカートリッジ2の底面から、給紙トレイ43及び排紙トレイ44が設けられている前面側に移動させる。これにより、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23の吐出面23aに設けられたノズル27aが外部に露出し、インクが吐出できるようになる。
また、プリンタ装置1では、給排紙機構46を駆動し、給紙トレイ43から給紙ローラ51で記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ52a,52bによって1枚だけ記録紙Pを引き出す。そして、プリンタ装置1では、引き出した記録紙Pを装置本体3の背面側に設けられた反転ローラ53に搬送し、反転ローラ53で装置本体3の前面側に記録紙Pを反転させ、インク吐出ヘッド23の吐出面23aと対向する位置に設けた搬送ベルト54に記録紙Pを搬送する。プリンタ装置1では、搬送ベルト54に搬送させた記録紙Pをプラテン板55で所定の位置に支持することによって、記録紙Pが吐出面23aと対向する。
次に、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23に設けられた複数の発熱抵抗体26aに印刷データの制御信号に基づいて、駆動電流を供給し、発熱抵抗体26aを加熱する。プリンタ装置1は、発熱抵抗体26aを加熱することによって、図5に示すように、吐出面23aと対向する位置に搬送された記録紙Pに対してノズルライン毎に上述したインクを液滴の状態にして吐出し、記録紙Pの幅方向に亘った一列分の印刷を記録紙Pの長さ方向に続けて行い、画像や文字等を記録紙Pに印刷する。
そして、プリンタ装置1では、インクの液滴をノズル27aから吐出すると、インクを吐出した量と同量のインクをインクカートリッジ11から接続部25を介してインク吐出ヘッド23に供給する。
次に、プリンタ装置1では、画像や文字の印刷が終わった記録紙Pを排紙口44方向に回転する搬送ベルト54と、搬送ベルト54と対向し、吐出面23aよりも排紙口44側に設けられた排紙ローラ56とによって記録紙Pを排紙口44に送り出し、排紙トレイ45に印刷後の記録紙Pを排紙する。このようにして、プリンタ装置1では、記録紙Pに印刷を行う。
以上のようにプリンタ装置1では、色毎に設けられ、記録紙Pの幅方向に略ライン状にノズル27aが並設されたノズルライン毎に各色のインクを順々に吐出して、記録紙Pの幅方向に亘った一列分の印刷を一度に行う。このため、プリンタ装置1では、各ノズルラインのインクの吐出間隔が短くなる。
このようなプリンタ装置1では、インク中に上述したように、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールが含有され、0秒動的表面張力(γdst0)が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤が含有され、インクの静的表面張力(γsst)が上記数式1を満足するようになっていることによって、記録紙Pの厚み方向に染み込み過ぎたり、染み込みが遅くなったりしないため、記録紙Pにインクが均一に浸透するようになる。これにより、プリンタ装置では、各ノズル列のインクの吐出間隔が短く、次色のインクが次々に吐出されても、記録紙Pにインクが均一に浸透するため、印画濃度が高く、色間の境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けがない高品位な画像や文字を印刷することができる。
また、プリンタ装置1では、インクの0秒動的表面張力(γdst0)や静的表面張力(γsst)が上述したように調整されていることによって、記録紙Pにインクジェット記録専用用紙を用いた場合に限らず、普通紙に印刷した場合であっても、普通紙にインクが均一に浸透するため、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができ、高品位な画像を形成することができる。
なお、インクは、上述したようなライン型のプリンタ装置1に用いることに限定されず、インク吐出ヘッドを記録紙Pの幅方向に移動させて1列分の印刷を行うシリアル型のプリンタ装置にも用いることができる。本発明を適用したインクをシリアル型のプリンタ装置に用いた場合にも、インクが記録紙Pの厚み方向に染み込み過ぎたりせず、また染み込みが遅くなったりしないため、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けがない高品位な画像や文字を印刷することができる。
また、上述したインクは、プリンタ装置1のようなインクジェットプリンタ装置に限定されるものではなく、液体を吐出する他の液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、同様に高品位な画像や文字を形成することができる。
また、上述したプリンタ装置1では、1つの発熱抵抗体45がインクを加熱して吐出するインク吐出ヘッド23を例に挙げて説明したが、このような構造に限定されることはなく、複数の圧力発生素子を備えていてもよい。
また、プリンタ装置1では、1つの発熱抵抗体45によってインクを加熱しながらノズル42aから吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子といった圧電素子等の電気機械変換素子等によってインクを電気機械的にノズルより吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
以下、本発明を適用したインクを実際に調製した実施例および比較例について説明する。
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、イエロー系のインクを調製した。イエロー系のインクを調製する際は、色素となるアシッドイエロー142を3質量部と、溶媒として水77.5質量部と、その他の溶媒としてグリセリン8質量部と、2−ピロリドン8質量部と、1,2−ヘキサンジオール3質量部と、界面活性剤として2−エチルヘキシルモノアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数:4)0.5質量部とを混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、イエロー系のインクを調製した。
得られたイエロー系のインク中には、1,2−ヘキサンジオールが3質量%含有され、2−エチルヘキシルモノアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数:4)が0.5質量%含有されている。
次に、ブラック系のインクを調製した。ブラック系のインクを調製する際は、色素となるフードブラック2を4質量部と、溶媒として水73.5質量部と、その他の溶媒としてグリセリン8質量部と、2−ピロリドン8質量部と、1,2−ペンタンジオール6質量部と、界面活性剤として2−エチルヘキシルモノアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数:4)0.5質量部とを混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、ブラック系のインクを調製した。
得られたブラック系のインク中には、1,2−ペンタンジオールが6質量%含有され、2−エチルヘキシルモノアルコールのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数:4)が0.5質量%含有されている。
〈サンプル2〜12〉
サンプル2〜12では、下記の表1に示すように、アルキレングリコール及び界面活性剤の種類、その添加量を適宜変更し、且つ各原材料の合計が100質量部となるように水の添加量を適宜調整したこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル13〉
サンプル13では、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールのアルキレングリコールを含有させず、各原材料の合計が100質量部となるように水の添加量を適宜調整したこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル14〉
サンプル14では、界面活性剤を含有させず、各原材料の合計が100質量部となるように水の添加量を適宜調整したこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル15〜サンプル20〉
サンプル15〜20では、下記の表1に示すように、アルキレングリコール及び界面活性剤の種類、その添加量を適宜変更し、且つ各原材料の合計が100質量部となるように水の添加量を適宜調整した以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
下記の表1に、各サンプルのインクの組成、0秒動的表面張力及び静的表面張力を示す。各サンプルの0秒動的表面張力及び静的表面張力は、協和界面科学社製の表面張力計(CBVP−Z)を用い、25℃における0秒動的表面張力及び静的表面張力を測定した。全てのサンプルにおいて0秒動的表面張力の値は、色素、界面活性剤を除いた溶媒の測定値である。静的表面張力の値は、ブラックおよびイエローインク調整後の測定値である。
Figure 2007169333
各サンプルについて、印画濃度、境界滲み、混色ベタ斑、画像の裏抜けの評価を行った。評価結果を下記の表2に示す。
Figure 2007169333
印画濃度は、次のようにして評価した。各サンプルのブラックインクを上述したインクカートリッジに充填してヘッドカートリッジに装着し、ライン型のインクジェットプリンタ装置にて記録紙として普通紙の富士ゼロックスのコピー用紙(商品名:Pペーパー)を用い、この記録紙に黒ベタの印刷を行い、得られた画像についてマクベス社製の光学濃度計(TR924)により反射プリント濃度を測定した。
境界滲みについては、次のようにして評価した。各サンプルのイエローインク、ブラックインクを上述したインクカートリッジにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着したライン型のインクジェットプリンタ装置にて記録紙として普通紙の富士ゼロックスのコピー用紙(商品名:Pペーパー)を用い、この記録紙に各色を隣接させたベタ印刷を行い、印刷した画像における各色の境界部の滲み具合を目視により観察した。
境界滲みの評価では、境界部に各色の滲みが全くないものを◎印で示し、画質には問題がないが境界部に各色の滲みが少量あるものを○印で示し、境界部に画質を劣化させる各色の滲みがあるものを△印で示し、境界部全体に各色の滲みがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示す。
混色ベタ斑については、次のようにして評価した。各サンプルのイエローインク、ブラックインクを上述したインクカートリッジにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着したライン型のインクジェットプリンタ装置にて記録紙として普通紙の富士ゼロックスのコピー用紙(商品名:Pペーパー)を用い、この記録紙に各色を重ね合わせるようにして80%濃度のベタ印刷を行い、印刷した画像における色濃度の均一性、すなわち色むらの有無を目視により観察した。
混色ベタ斑の評価では、ベタ塗りされた画像に色むらが全くないものを◎印で示し、画質には問題がないが画像に僅かな色むらがあるものを○で示し、画質を劣化させる色むらがあるものを△画像全体に色むらがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示す。
画像の裏抜けについては、次のようにして評価した。上述した境界滲みの評価で作製した印刷画像を印刷面の裏側から目視観察し、画像の抜け具合やインクの滲み出しを評価した。
画像の裏抜けの評価では、画像の裏抜けが少ないものを◎印で示し、裏抜けは見られるものの品位に問題がないものを○印で示し、部分的な裏抜け、例えばスポット状にインクが抜けてにじんでいるようなものを△印で示し、画像全体が裏抜けしているものを×印で示す。
表2に示す結果から、サンプル1〜12のイエロー及びブラックのインクでは、サンプル13〜20のイエロー及びブラックのインクと比べ、印画濃度、境界滲み、混色ベタ斑、画像の裏抜け、すべての評価において良好であった。
サンプル1〜サンプル12では、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールのアルキレングリコールが含有され、0秒動的表面張力(γdst0)が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤が含有されていることによって、静的表面張力(γsst)が下記の数式1を満たしている。
Figure 2007169333
表1中では、上記数式1を次のような数式4で表して静的表面張力(γsst)を評価した。
Figure 2007169333
サンプル1〜サンプル12では、0秒動的表面張力(γdst0)が35mN/m以上、40mN/m以下であり、静的表面張力(γsst)が数式4、即ち数式1を満たしているため、記録紙の厚み方向に染み込み過ぎたり、染み込みが遅くなったりしないため、記録紙にインクが均一に浸透するようになる。これにより、サンプル1〜サンプル12では、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができ、すべての評価が良好であった。
特に、サンプル1〜サンプル12の中でも、サンプル9及びサンプル10では、界面活性剤の種類を炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物にしたことにより、アルキレングリコールではなく、2−エチルヘキシルモノアルコールを用いたサンプル1〜サンプル8と比べて、境界にじみと画像の裏抜けの両方の評価がともに一層優れたものとなった。
更に、サンプル11及びサンプル12では、上記化学式1に示した、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物を用いたため、サンプル1〜サンプル10と比べて、印画濃度、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けのすべての評価がより一層優れたものとなった。
これらのサンプル1〜サンプル12に対して、サンプル13では、1,2−ペンタンジオールや1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオールのアルキレングリコールが含有されていないため、イエロー系のインク及びブラック系のインクともに0秒動的表面張力を低くすることができず、境界にじみや混色ベタ斑が生じ、印画濃度が低くなった。
また、サンプル14では、界面活性剤が含有されていないため、静的表面張力(γsst)の値が0秒動的表面張力(γdst0)−1よりも大きくなり、記録紙中の表面・内添サイズ剤表面に対する濡れ広がりと、セルロール繊維表面やセルロース繊維同士の絡み合いが形成する空隙及び無機填料表面などへの濡れ広がりとの時間差が大きくなり、混色ベタ班や境界にじみが生じた。
サンプル15及びサンプル16は、アルキレングリコールに1,6−ヘキサンジオールや2−メチル−2,4−ペンタンジオールのアルキレングリコールが含有されており、アルキレングリコールの種類が適当でないことから、0秒動的表面張力が高く、印画濃度が低くなり、境界にじみと混色ベタ斑が生じた。
サンプル17は、1,2−ヘキサンジオールの添加量が2.5質量%よりも少ないため、0秒動的表面張力が高くなり、記録紙の厚み方向への染み込みが遅くなり、境界にじみ及び混色ベタ斑が生じ、印画濃度も低下した。
サンプル18は、1,2−ヘキサンジオールの添加量が4.5質量%よりも多いため、0秒動的表面張力が低下し過ぎ、記録紙の厚み方向へ染み込み過ぎ、印画濃度が低下し、画像の裏抜けが生じた。
サンプル19では、界面活性剤の添加量が多過ぎて、0秒動的表面張力値から静的表面張力が下がり過ぎ、画像の裏抜けが悪化した。
サンプル20では、界面活性剤の添加量が少な過ぎて、0秒動的表面張力値と静的表面張力の差が小さくなり過ぎ、混色ベタ斑を満足に改善しなかった。
サンプル13〜サンプル20に対して、サンプル1〜サンプル12ではすべての評価が良好であったことから、1,6−ヘキサンジオールや2−メチル−2,4−ペンタンジオール以下のアルキレングリコールを用いて0秒動的表面張力を35mN/m以上、40mN/m以下とし、更に界面活性剤により静的表面張力が数式1を満足するようにインクを調整することは、特に記録紙として普通紙を用いた場合に高い印画濃度が得られ、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができることがわかる。
本発明を適用したプリンタ装置を示す斜視図である。 本発明を適用したインクの表面張力曲線を示す図である。 プリンタ装置に備わるヘッドカートリッジを示す斜視図である。 同ヘッドカートリッジを示す断面図である。 同インク吐出ヘッドを示しており、同図(A)は発熱抵抗体に気泡が発生した状態を模式的に示す断面図であり、同図(B)はノズルよりインク液滴を吐出した状態を模式的に示す断面図である。 同プリンタ装置の一部を透視して示す側面図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ装置、2 ヘッドカートリッジ、3 装置本体、11 インクカートリッジ、21 カートリッジ本体、22 装着部、23 インク吐出ヘッド、24 ヘッドキャップ、25 接続部、26 回路基板、26 発熱抵抗体、27 ノズルシート、27a ノズル

Claims (12)

  1. 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液において、
    1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールを含有することで、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、
    界面活性剤を含有することで、静的表面張力が下記数式1を満足していることを特徴とする記録液。
    Figure 2007169333
    ここで、数式1におけるγdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
  2. 上記界面活性剤は、炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
  3. 上記界面活性剤は、下記の化学式1に示すアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項2記載の記録液。
    Figure 2007169333
    ここで、化学式1におけるm及びnは、各々0〜10の整数であり、且つ1≦m+n≦10を満足する。
  4. 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液が収容された液体カートリッジにおいて、
    上記記録液には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールが含有され、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤が含有され、静的表面張力が下記数式1を満足していることを特徴とする液体カートリッジ。
    Figure 2007169333
    ここで、数式1におけるγdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
  5. 上記界面活性剤は、炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項4記載の液体カートリッジ。
  6. 上記界面活性剤は、下記の化学式1に示すアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項5記載の液体カートリッジ。
    Figure 2007169333
    ここで、化学式1におけるm及びnは、各々0〜10の整数であり、且つ1≦m+n≦10を満足する。
  7. 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に対して記録液を吐出する液体吐出装置において、
    装置本体と、
    上記記録液が収容された液体カートリッジと、
    該液体カートリッジと接続され、上記記録液を押圧する圧力発生素子と上記記録液を吐出させる吐出口とを備える液室に上記液体カートリッジに収容された上記記録液を供給する供給路を有する液体吐出ヘッドとを備え、
    上記記録液には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールが含有され、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤が含有され、静的表面張力が下記数式1を満足していることを特徴とする液体吐出装置。
    Figure 2007169333
    ここで、数式1におけるγdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
  8. 上記記録液中の上記界面活性剤は、炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項7記載の液体吐出装置。
  9. 上記記録液中の上記界面活性剤は、下記の化学式1に示すアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項8記載の液体吐出装置。
    Figure 2007169333
    ここで、化学式1におけるm及びnは、各々0〜10の整数であり、且つ1≦m+n≦10を満足する。
  10. 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に対して記録液を吐出する液体吐出装置による液体吐出方法において、
    上記液体吐出装置は、装置本体と、上記記録液が収容された液体カートリッジと、該液体カートリッジと接続され、上記記録液を押圧する圧力発生素子と上記記録液を吐出させる吐出口とを備える液室に上記液体カートリッジに収容された上記記録液を供給する供給路を有する液体吐出ヘッドとを備え、
    上記記録液には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,3−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種類のアルキレングリコールが含有され、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下となっており、界面活性剤が含有され、静的表面張力が下記数式1を満足しており、
    上記記録液を上記圧力発生素子を駆動して上記吐出口から液滴の状態にして吐出することを特徴とする液体吐出方法。
    Figure 2007169333
    ここで、数式1におけるγdst0[mN/m]は0秒動的表面張力、γsst[mN/m]は静的表面張力である。
  11. 上記記録液中の上記界面活性剤は、炭素数8又は9のアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項10記載の液体吐出方法。
  12. 上記記録液中の上記界面活性剤は、下記の化学式1に示すアルキレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項11記載の液体吐出方法。
    Figure 2007169333
    ここで、化学式1におけるm及びnは、各々0〜10の整数であり、且つ1≦m+n≦10を満足する。
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