JP2006182800A - 記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ班、インクの裏抜けを防止することができ、高品位な画像の印刷を可能とすることができる記録液、この記録液が収容された液体カートリッジ、液体吐出装置および液体吐出方法を提供する。
【解決手段】 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液に、色素と、色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の上記対象物に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とを含有させる。
【選択図】なし
【解決手段】 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液に、色素と、色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の上記対象物に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とを含有させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、対象物に記録を行うために液滴の状態で対象物に付着される記録液、この記録液が収容される液体カートリッジ、この液体カートリッジに収容された記録液を吐出口より液滴の状態にして対象物に吐出する液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
液体吐出装置としては、例えば対象物となる記録紙に対して記録液のインクを吐出させて、画像や文字を記録するインクジェット方式のプリンタ装置がある。このインクジェット方式のプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点がある。
インクを吐出するインクジェット方式としては、例えばディフレクション方式、キャビティ方式、サーモジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式、サーマルインクジェット方式、スリットジェット方式、スパークジェット方式等がある。これらのインクジェット方式は、インクを微小な液滴の状態で吐出させるインク吐出ヘッドの吐出口、いわゆるノズルより吐出させて記録紙に着弾させ、画像や文字等の記録を行う。
インクジェット記録方式のプリンタ装置では、インクジェット記録専用紙のみならず、コピー用紙やレポート用紙などの普通紙に対しても印刷を行う場合がある。このため、インクジェット記録方式に用いるインクには、インクジェット記録専用紙のみならず、普通紙に対して印刷を行った場合でも、特に画像濃度が高く、画像や文字の滲み、具体的に異色間の境界滲みや混色ベタ斑等がなく、インクの裏抜けの少ない高品位な画像の印刷を可能とすることが求められている。このような要求に応えるため、インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、例えば下記の特許文献1〜特許文献6に記載されているようなものがある。
特許文献1には、界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸を用いることにより乾燥性を改善する記載されている。しかしながら、この特許文献1に記載されているインクでは、乾燥性を改善することが期待できるpH領域が狭く、且つ経時での改善効果の低下や印画濃度が低くなってしまう。
また、特許文献2には、強塩基性物質をインクに添加することにより画像の滲みを抑制することが記載されている。しかしながら、この特許文献2に記載されているインクでは、酸性紙でのみ有効であり、中性紙タイプの普通紙では効果を発揮しにくい。
特許文献3及び特許文献4には、インクに湿潤剤、界面活性剤および2−エチル−1,3−ヘキサンジオールをそれぞれ特定量含有させることにより、画像滲み、特に重色部の画像滲みを改善させることが記載されている。しかしながら、この特許文献3及び特許文献4に記載されているインクでは、画像滲みを改善することができても、画像の裏抜けが大きく、さらに画像濃度が低く、十分満足した高品位な画像を得ることは困難である。
特許文献5には、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールをインクに含有させることにより、インクの裏抜けを抑制することが記載されている。しかしながら、特許文献5に記載されているインクでは、画像滲みを改善することができても、上記特許文献3及び4同様に画像の裏抜けが大きく、さらに画像濃度が低く、十分満足した高品位な画像を得ることは困難である。
特許文献6には、プロピレングリコールモノプロピルエーテルを含有させることにより乾燥性、画像滲みを改善することが記載されている。しかしながら、特許文献6に記載されているインクでは、乾燥性や画像滲みの効果は低く、やはり十分満足した高品位な画像を得ることは困難である。
また、インクジェット記録方式のプリンタ装置では、例えば記録紙に対して高速で印刷を行うことが可能なプリンタ装置、即ち記録紙の幅と略同じ範囲をインクの吐出範囲としたライン型のプリンタ装置において、画像や文字の滲みやインクの裏抜け等が顕著に生じてしまう。(例えば、特許文献7〜特許文献9を参照。)。
具体的に、ライン型のプリンタ装置では、インクを吐出するノズルが記録紙の幅と略同じ範囲に並設されたノズルライン毎のインクの吐出周期が極めて短いものであるため、記録紙への浸透性に優れたインクを用いる必要がある。しかしながら、浸透性の優れたインクを普通紙等に印刷した場合には、インクが普通紙の深さ方向、即ち厚み方向に染込み過ぎることから印画濃度が低下する虞がある。また、ライン型のプリンタ装置では、異なる色のインクを吐出して記録紙に印刷をする、いわゆるカラー印刷を行う場合に浸透性の優れたインクを用いた場合でも、インクの吐出周期が極めて短いため、記録紙に着弾したインクが十分に紙の内部へ浸透しないうちに次の色のインクが次々と着弾されるようになることから各色間に境界滲みや混色ベタ斑が発生する虞がある。
本発明は、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、インクの裏抜けを防止することができ、高品位な画像の印刷を可能とすることができる記録液、この記録液が収容された液体カートリッジ、この液体カートリッジに収容された記録液を用いて高品位な印刷を行える液体吐出装置及び液体吐出方法を提供するものである。
本発明に係る記録液は、対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着され、色素と、色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とを含有することを特徴とする。
また、本発明に係る液体カートリッジは、記録液を液滴の状態で吐出し、対象物に付着させることで記録を行う液体吐出装置に設けられる液体吐出ヘッドに装着され、液体吐出ヘッドに対し、記録液の供給源となり、記録液には、色素と、色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とが含有されていることを特徴とする。
また、本発明に係る液体吐出装置は、装置本体と、装置本体に設けられ、記録液を貯留する液室と、液室に記録液を供給する供給部と、液室に1つ以上設けられ、液室に貯留された記録液を押圧する圧力発生素子と、圧力発生素子により押圧された記録液を各液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに接続され、供給部に対して記録液の供給源となる液体カートリッジとを備え、記録液には、色素と、色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とが含有されていることを特徴とする。
また、本発明に係る液体吐出方法は、装置本体と、装置本体に設けられ、記録液を貯留する液室と、液室に記録液を供給する供給部と、液室に1つ以上設けられ、液室に貯留された記録液を押圧する圧力発生素子と、圧力発生素子により押圧された記録液を各液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに接続され、供給部に対して記録液の供給源となる液体カートリッジとを備える液体吐出装置によるものであり、色素と、色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とが含有されている記録液を吐出することを特徴とする。
本発明によれば、記録液中に超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤を含有させることによって、対象物に対して記録液が均一に浸透するようになり、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けといった不具合を防止することができる。
以下、本発明が適用された記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法について、図面を参照して説明する。図1に示すインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置と記す。)1は、所定の方向に走行する記録紙Pに対してインク等を吐出して画像や文字を印刷するものである。また、このプリンタ装置1は、記録紙Pの印刷幅に合わせて、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)を略ライン状に並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。ここで、記録紙Pは、インクジェットプリンタ装置専用のインクジェット記録専用用紙、コピー用紙やレポート用紙等の普通紙である。
このプリンタ装置1は、図2及び図3に示すように、記録紙Pに対して画像や文字等を記録する記録液であるインク2を吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジと記す。)3と、このヘッドカートリッジ3を装着する装置本体4とを備える。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ3が装置本体4に対して着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ3に対してインク供給源となり、インク2を収容する液体カートリッジであるインクタンク5y,5m,5c,5kが着脱可能となっている。このプリンタ装置1では、装置本体4に対して着脱可能なヘッドカートリッジ3と、ヘッドカートリッジ3に対して着脱可能なインクタンク5y,5m,5c,5kとを消耗品として交換可能になっている。
このようなプリンタ装置1では、記録紙Pを積層して収納するトレイ55aを装置本体4の前面底面側に設けられたトレイ装着部6に装着することにより、トレイ55aに収納されている記録紙Pがトレイ装着部6の給紙口55から装置本体4内に送り込まれ、装置本体4内を走行する。プリンタ装置1では、装置本体4内を走行する記録紙Pに対して、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置より入力された文字データや画像データに応じた文字や画像として印刷し、装置本体4の前面側の排紙口56に送り出す。
印刷するときの記録液となるインク2には、色素と、この色素を溶解又は分散させる溶媒と、記録紙Pに対する浸透を向上させる水溶性有機溶剤とが含有されている。
色素としては、従来公知の染料、顔料、着色ポリマー微粒子等を単独で、又は混合して用いることができるが、特に水溶性染料を用いることが好ましい。水溶性染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料のいずれを用いてもよいが、水への溶解度、発色性や堅牢性などの観点から適宜選択することが好ましい。
具体的に、イエロー系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドイエロー17、同23、同42、同44、同79、同142、C.I.フードイエロー3、同4、C.I.ダイレクトイエロー1、同12、同24、同26、同33、同44、同50、同86 、同120、同132、同142、同144、C.I.ダイレクトオレンジ26、同29、同62、同102、C.I.ベーシックイエロー1、同2、同11、同13、同14、同15、同19、同21、同23、同24、同25、同28、同29、同32、同36、同40、同41、同45、同49、同51、同53、同63、同64、同65、同67、同70、同73、同77、同87、同91、C.I.リアクティブイエロー1、同5、同11、同13、同14、同20、同21、同22、同25、同40、同47、同51、同55、同65、同67等を用いることができる。
マゼンダ系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドレッド1、同8、同13、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同42、同52、同82、同87、同89、同92、同97、同106、同111、同114、同115、同134、同186、同249、同254、同289、C.I.フードレッド7、同9、同14、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同9、同13、同17、同20、同28、同31、同39、同80、同81、同83、同89、同225、同227、C.I.ベーシックレッド2、同12、同13、同14、同15、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同35、同36、同38、同39、同46、同49、同51、同52、同54、同59、同68、同69、同70、同73、同78、同82、同102、同104、同109、同112、C.I.リアクティブレッド1、同14、同17、同25、同26、同32、同37、同44、同46、同55、同60、同66、同74、同79、同96、同97等を用いることができる。
シアン系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドブルー9、同29、同45、同92、同249、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同15、同22、同25、同71、同76、同79、同86、同87、同90、同98、同163、同165、同199、同202、C.I.ベーシックブルー1、同3、同5、同7、同9、同21、同22、同26、同35、同41、同45、同47、同54、同62、同65、同66、同67、同69、同75、同77、同78、同89、同92、同93、同105、同117、同120、同122、同124、同129、同137、同141、同147、同155、C.I.リアクティブブルー1、同2、同7、同14、同15、同23、同32、同35、同38、同41、同63、同80、同95等を用いることができる。
ブラック系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同94、C.I.フードブラック1、同2、C.I.ダイレクトブラック19、同22、同32、同38、同51、同56、同71、同74、同75、同77、同154、同168、同171、C.I.ベーシックブラック2、同8、C.I.リアクティブブラック3、同4、同7、同11、同12、同17等を用いることができる。
色素の含有量は、インク2全質量に対して1質量%〜10質量%の範囲であり、より好ましくは3質量%〜5質量%の範囲である。この色素の含有量は、インク2の粘度、乾燥性、吐出安定性、発色性や印画物の保存物性などを考慮して決定する。
上述した色素を溶解又は分散させる溶媒としては、水の他にインクに所望の物性を与え、色素の水への溶解性や分散性を改良し、且つインクの乾燥を防止する等の目的で、従来公知の有機溶媒を併用することができる。
具体的に、溶媒として使用可能な有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類や、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリルエーテル類や、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾイリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物や、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類や、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類等を挙げることができる。
上記のような有機溶剤の添加量は、インク2全質量に対して5質量%〜50質量%の範囲であり、より好ましくは10質量%〜35質量%の範囲であり、色素の場合と同様にインク2の粘度、乾燥性や吐出安定性などを考慮して決定される。
インク2には、上述した色素を溶解又は分散させる溶媒の他に、記録紙Pに対する浸透を向上させる水溶性有機溶剤が含有されている。
特定の水溶性有機溶剤とは、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定した記録紙Pに対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下の範囲内にある水溶性有機溶剤である。ここで、超音波透過式動的液体浸透性測定装置とは、例えば参考文献“Paper Wettability Measurements−An evaluation of Emtec PDA”:Examensaebete1998、Processingenjor Michael Sjogrenや特許文献DP195 35 954.2に記載されているものである。図4に示すように、超音波透過式動的液体浸透性測定装置90は、超音波発信器91と超音波受信器92の間に試験液を満たした容器内に試験紙93を固定・浸漬させる試料ホルダー94が設けてなる。具体的に、超音波透過式動的液体浸透性測定装置90としては、例えば動的液体浸透性測定装置PDA.C2(ドイツEmtec社製)やDPM(ドイツEmco社製)等を挙げることができる。
超音波透過式動的液体浸透性測定装置90では、超音波発信器91から超音波信号を発信し、この超音波信号が試験液に浸漬された試験紙93を介して超音波受信器92に受信される。これにより、超音波透過式動的液体浸透性測定装置90では、試験紙93に試験液が浸透する過程における超音波の透過強度、即ち超音波受信器92が受信した受信信号強度(%)を経時的に測定することができる。超音波透過式動的液体浸透性測定装置90では、試験紙93に試験液が浸透する過程における超音波受信機92の受信信号強度(%)を経時的に測定することによって、図5に示すような、試験紙93の試験液に対する浸漬時間と、超音波受信器92の受信信号強度(%)との関係を示す浸透特性曲線が得られ、この曲線から試験液の試験紙93に対する浸透性の特性をみることができる。
具体的に、この浸透特性曲線において、ピーク(P)が出現したピーク出現時間は、試験紙93を試験液に浸漬した直後から超音波受信強度が最大になるまでに要した時間である。ここで、超音波受信器92の受信信号強度(%)が最大になった時の状態とは、試験紙93中に添加されているサイズ剤の効果が低減し、試験液がセルロース繊維中へ浸透を開始している状態である。したがって、浸透特性曲線のピーク出現時間は、試験液がセルロース繊維中へ浸透を開始する時間である。
ここでは、試験液にインク2に含有させる水溶性有機溶剤を用い、次のような測定条件で試験紙93となる普通紙のセルロース繊維中への浸透を開始する時間を測定する。具体的な測定条件は、超音波透過式動的液体浸透性測定装置90にPDA.C2(Emtec社製)標準モジュールを用い、温度25℃、湿度60%RHの環境下で行う。普通紙は、温度25℃、湿度60%RHの環境状態において十分に調湿され、JIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2(例えば、三菱PPC用紙:三菱製紙製、Cobb30=21.6g/m2(表裏の平均値)などを挙げることができる。)のものを用いる。本発明者らが調査した結果、市販されている普通紙のCobb30値は高いもので60g/m2を超えるものから15g/m2程度を示すものまで幅広いが、概ね20〜24g/m2のCobbサイズを示すものが多く、且つ境界にじみや混色ベタ斑を生じやすいことが判明した。水溶性有機溶剤としては、2重量%濃度の水溶液とし25℃に調整したものを用いる(ここで、2重量%とする理由は、各水溶性有機溶剤が示す、異なる粘度の影響を除く目的で水希釈するものであり、概ね粘度は1.8cP程度となる。)。このような測定条件で測定することによって、測定結果から水溶性有機溶剤の普通紙に対する浸透性の特性をみることができる。
インク2では、上述した測定条件により測定した結果、ピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下の範囲内の水溶性有機溶剤を用いる。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば下記の化学式1に示す化合物がある。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば下記の化学式1に示す化合物がある。
具体的に、水溶性有機溶剤としては、以下の表1に示す化合物がある。なお、水溶性有機溶剤としては、表1に示すものに限定されず、上記の測定条件において、JIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対するピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下の範囲に入るものであればよい。
ここで、普通紙に印刷した際に見られる境界にじみや混色ベタ斑は、インク2がサイズ剤を避けながらセルロース繊維に沿ってのみ拡散浸透することに起因するものである。インク2では、この境界にじみや混色ベタ班が生じることを防止するため、サイズ剤表面に対して過度に濡れて浸透するようにすると、記録紙Pへの深さ方向への染み込みが大きすぎて印画濃度が低下し、且つ画像の裏抜けが生じてしまう。
そこで、インク2では、表1に示すようなJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対するピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下の有機水溶性溶媒を含有することにより、普通紙に添加され、耐水性を付与するサイズ剤の表面にも十分に濡れ、セルロース繊維中にも併せて均一に浸透するようになる。これにより、このインク2では、サイズ剤を避けながらセルロース繊維に沿ってのみ拡散浸透することなく、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができる。また、インク2では、普通紙に対して均一に浸透することから、高い印画濃度が得られる。
浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒よりも早い水溶性有機溶剤では、インク2の普通紙に対する浸透が高くなり過ぎ、裏抜けが生じやすくなる。ピーク出現時間が0.1秒よりも早い水溶性有機溶剤としては、例えば2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが0.036秒であり、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが0.036秒であり、イソプロピルアルコールが0.03秒である。
一方、浸透特性曲線のピーク出現時間が0.5秒よりも遅い場合には、インク2の普通紙への浸透が悪くなり、滲んでしまう。ピーク出現時間が0.5秒よりも遅い水溶性有機溶剤としては、例えば、2−メチル−2,4−ペンタンジオールが0.54秒であり、1,3−ブタンジオールが0.56秒であり、エチレングリコールが0.59秒であり、グリセリンが0.69秒であり、2−ピロリドンが0.62秒である。
また、浸透特性曲線のピーク出現時間が0.5秒よりも遅い水溶性有機溶剤には、特許第2894568号に記載されているような普通紙へのインクの浸透を高め印字品位を改善するために炭素数7のアルキレングリコール、例えば、1,7−ヘプタンジオールや3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオールがある。1,7−ヘプタンジオールは、ピーク出現時間が0.53秒であり、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオールは0.52秒である。このような水溶性有機溶剤もピーク出現時間が0.5秒より遅いため、境界滲みや混色ベタ斑、印画濃度、画像裏抜け等のすべての問題を十分に満足するように改善することはできない。したがって、インク2は、浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下の水溶性有機溶剤を含有することにより、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができる。
インク2中における水溶性有機溶剤の含有量は、0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%である。含有量が0.1質量%よりも少ない場合には、添加効果が得られなくなってしまう。一方、含有量が10質量%よりも多い場合には、粘度上昇や未溶解分を生じて間欠吐出性等に影響を及ぼす場合ある。
また、水溶性有機溶剤の含有量は、インク2の0秒動的表面張力を35mN/m以上、40mN/m以下の範囲にさせるような含有量とすることが最も好ましい。インク2では、0秒動的表面張力を35mN/m以上、40mN/m以下の範囲の範囲にすることによって、記録紙Pに対する浸透がさらに良好となり、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けをより防止することができる。具体的には、併用する他の溶媒などとの組み合わせにより決まり、例えば、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールおよび2−プロピル−1,4−ブタンジオールは0.1〜1%、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールは1〜3%、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールは2〜10%である。
ここで、0秒動的表面張力について説明する。数式1で示される界面活性剤を含有する液体の動的表面張力−時間変化の緩和関数式については、例えばHua X.Y,Rosen M.J:J.ColloidInterface Sci.124,652(1988)や、田村隆光:表面 Vol.38 No.10 22〜44(2000)に記載されている。
ここで、γmは30秒間の表面張力変化が1mN/m以下になった時の表面張力、γ0は溶媒の表面張力、t*はγtがγ0とγmの中間になった時間、nは定数を示す。
このRosenにより提唱された数式1に示す界面活性剤を含有する液体の動的表面張力−時間変化の緩和関数式をt=0として展開した場合について数式2示す。
数式2に示すように、0秒動的表面張力は、インク2から色素や、後述する防腐剤、防カビ剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤等といった界面活性能を有する成分を除いた、水及び有機溶剤からなる溶媒の静的表面張力を測定することで求めることができる。なお、インク2の溶媒の動的表面張力を、例えば最大泡圧力法により泡の発生する速度、いわゆる泡速度を変化させて連続測定した場合、具体的には泡速度を20泡/秒〜0.1泡/秒の範囲にして連続測定した場合、動的表面張力曲線はほぼ横一直線となり、泡速度が低下しても動的表面張力曲線が大きく下がることはない。
ここで、インク2の0秒動的表面張力が35mN/m未満である場合には、記録紙Pに着弾したインク2が記録紙Pの深さ方向、すなわち記録紙Pの厚み方向に染み込みすぎて印画濃度が低下したり、記録紙Pの裏側にまでインク2が染み出したりする虞がある。一方、インク2の0秒動的表面張力が40mN/mを超えた場合には、記録紙Pの厚み方向への染み込みが遅くフェザリング等が発生する虞がある。特に、0秒動的表面張力が45mN/m以上の場合には、フェザリングや裏抜けが著しくなる。
また、インク2には、色素、溶媒、水溶性有機溶剤の他に、更に界面活性剤として下記の化学式2に示す2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加体(以下、「EBPD−EO」とする。)を含有させ、静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下とすることにより、より一層高品位な印画を行うことができる。
EBPD−EOの添加量は、インク2全質量に対して各々0.05質量%〜5質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%〜2質量%の範囲である。ここで添加量が0.05質量%未満では添加効果が得られなくなってしまう。一方、5質量%を超えるような場合では、インク2の粘度を高め過ぎることがあり、逆に吐出安定性が損なわれ、記録紙Pへの浸透性を遅くすることがある。
また、インク2では、静的表面張力が34mN/m未満の場合、記録紙Pに着弾すると記録紙Pの深さ方向、すなわち記録紙Pの厚み方向に染み込みすぎて印画濃度が低下したり、記録紙Pの裏側にまでインク2が染み出したりする虞がある。静的表面張力が45mN/mよりを越えた場合では、記録紙Pの厚み方向への染み込みが遅くフェザリング等が発生する虞がある。表面張力の測定方法は、ウィルヘルミ(プレート)法による。
また、インク2には、上述した水溶性有機溶剤や界面活性剤等の作用効果を阻害しない範囲で、従来公知の界面活性剤を添加することもできる。具体的に、従来公知の界面活性剤としては、例えば多環フェノールエトキシレート等の特殊フェノール型非イオン界面活性剤や、グリセライトのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールオレート、ポリオキシアルキレンタロエート、ソルビタンラウリルエステル、ソルビタンオレイルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエステル等のエステル型非イオン界面活性剤や、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアマイド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド等のアマイド型非イオン界面活性剤や、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物や、アルコールサルフェートナトリウム塩、高級アルコールサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩等の陰イオン界面活性剤や、モノ長鎖アルキルカチオン、ジ長鎖アルキルカチオン、アルキルアミンオキサイド等の陽イオン界面活性剤や、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等を挙げることができ、これら従来公知の界面活性剤を単独或いは混合して用いることができる。
なお、インク2には、例えば粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、防錆剤、防かび剤等を添加させることも可能である。具体的に、粘度調整剤、pH調整剤等としては、例えばゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。また、防腐剤、防錆剤、防かび剤等としては、例えば安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。
以上のような構成のインク2を調製する際は、上述した色素と、溶媒と、JIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対するピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下である水溶性有機溶剤と、場合によっては更に界面活性剤として化学式2で示されるEBPD−EOとを所定の配合比で混合し、常温又は40℃〜80℃に加熱しながらスクリュー等で攪拌、分散させることで調製することができる。
以上のようなインク2は、図2及び図3に示すように、イエローインクがインクタンク5yに収容され、マゼンタインクがインクタンク5mに収容され、シアンインクがインクタンク5cに収容され、ブラックインクがインクタンク5kに収容される。
次に、上記したプリンタ装置1を構成する装置本体2に対して着脱可能なヘッドカートリッジ3と、このヘッドカートリッジ3に着脱可能にされたインクタンク5y,5m,5c,5kとについて図面を参照して説明する。
記録紙Pに印刷を行うヘッドカートリッジ3は、図1に示すように、装置本体4の上面側から、すなわち図1中矢印A方向から装着され、記録紙Pに対してインク2を吐出して印刷を行う。
ヘッドカートリッジ3は、上記したインク2を、例えば電気熱変換式又は電気機械変換式等を用いた圧力発生手段が発生した圧力により微細に粒子化して吐出し、記録紙Pの主面に液滴状態にしたインク2を吹き付ける。具体的に、ヘッドカートリッジ3は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体21を有し、このカートリッジ本体21にインク2が充填された容器であるインクタンク5y,5m,5c,5kが装着される。なお、以下では、インクタンク5y,5m,5c,5kを単にインクタンク5ともいう。
ヘッドカートリッジ3に着脱可能なインクタンク5は、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるタンク本体11を有している。このタンク本体11は、長手方向を使用する記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法となす略矩形状に形成されている。
具体的に、インクタンク5を構成するタンク本体11には、インク2を収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21にインク2を送出するインク供給部13とが設けられている。
インク収容部12には、上面中央部に外部の空気を取り込む際の孔となる外部連通孔14が設けられている。インク収容部12は、外部連通孔14から内部に向かって延長して設けられた空気導入管15を介して、内部に空気が取り込むことができる。インクタンク11では、インク収容部12内のインク2がインク供給部13からカートリッジ本体12へと送り出された際に、このインク収容部12内のインク2が減少した分に相当する空気が、外部連通孔14から空気導入管15を通してインク収容部12内に取り込まれることになる。
空気導入管15の中途部には、インク収容部12から逆流したインク2がいきなり外部連通孔14から外部に流出することがないように、インク2を一時的に貯留させる液体貯留部であるインク貯留部16が設けられている。これにより、インクタンク5では、インク収容部12から空気導入管15を通して逆流したインク2をインク貯留部16が一時的に貯留することによって、外部連通孔14から外部にインク2が漏れ出すことなく、再度インク2をインク収容部12側に戻すことができる。
インク供給部13は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部13は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ3の接続部27に嵌合されることにより、インクタンク5のタンク本体11とヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21を接続する。
インク供給部13には、インクタンク5の底面側にインク2をカートリッジ本体21側に供給する供給口が設けられている。インクタンク5の底面には、供給口を開放、閉塞する弁機構が設けられている。供給口は、インクタンク5がカートリッジ本体21に装着される前の段階において、弁が供給口を閉塞し、インクタンク5からインク2が漏れ出ることが防止されている。そして、インクタンク5がカートリッジ本体21に装着されると、弁が供給口から離れ、供給口を開放し、ヘッドカートリッジ3側にインク2を供給できる状態となる。
また、このインクタンク11には、後述するカートリッジ本体21の装着部22に固定するための固定手段である係止突部17及び係合段部18を有している。係止突部17は、インクタンク5の長辺方向の他端側の側面部から突出形成された突起部であり、後述する装着部22のラッチレバー25に係合される。係合段部17は、インクタンク5の長辺方向の一端側に形成された段差部であり、後述する装着部22の側面に形成された被係合部26に係合される。この係止突部17及び係合段部18により、インクタンク5はカートリッジ本体21に固定されて装着される。
以上のような構成のインクタンク5は、上記した構成の他に、例えばインク収容部12内のインク2の残量を検出するための残量検出部や、インクタンク5y,5m,5c,5kを識別するための識別部等を備えている。
次に、以上のように構成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク2を収納したインクタンク5y,5m,5c,5kが装着されるヘッドカートリッジ3について説明する。
ヘッドカートリッジ3は、図2及び図3に示すように、上記したインクタンク5とカートリッジ本体21とによって構成され、カートリッジ本体21には、インクタンク5が装着される装着部22y,22m,22c,22k(以下、全体を示すときには単に装着部22ともいう。)と、インク2を吐出するインク吐出ヘッド23と、インク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24とを有している。
インクタンク5が装着される装着部22は、略凹形状に形成され、4本のインクタンク5が記録紙Pの幅方向と略直交方向、すなわち記録紙Pの走行方向に並んで収納される。装着部22の底面は、図2に示すように、各色のインクタンク5y、5m、5c、5kを区画するための隔壁22aが各色のインクタンク5y、5m、5c、5kの間に設けられている。
装着部22には、インクタンク5が装着された際に、インクタンク5の係止突部17と対向する側面にはラッチレバー25が設けられ、このラッチレバー25に形成された係止孔25aに係止突部17が係止される。また、装着部22には、インクタンク5の係合段部18と対向する側面には被係合部26が設けられており、この被係合部26が係合段部18と係合される。装着部22は、インクタンク5の係止突部17とラッチレバー25の係止孔25aとが係止され、係合段部18と被係合部26とが係合されることにより、インクタンク2が固定され、装着される。
各装着部22y,22m,22c,22kの長手方向略中央には、インクタンク5y,5m,5c,5kが装着部22y,22m,22c,22kに装着されたとき、インクタンク5y,5m,5c,5kのインク供給部13が接続される接続部27が設けられている。この接続部27は、装着部22に装着されたインクタンク5のインク供給部13からカートリッジ本体21の底面に設けられたインク2を吐出するインク吐出ヘッド23にインク2を供給するインク供給路となる。
接続部27は、図6に示すように、インクタンク5から供給されるインク2を溜めるインク溜め部31と、接続部27に連結されるインク供給部13をシールするシール部材32と、インク2内の不純物を除去するフィルタ33と、インク吐出ヘッド23側への供給路を開閉する弁機構34とを有している。
インク溜め部31は、インク供給部13と接続されインクタンク5から供給されるインク2を溜める空間部である。シール部材32は、インク溜め部31の上端に設けられた部材であり、インクタンク5のインク供給部13が接続部27のインク溜め部31に接続されるとき、インク2が外部に漏れないようインク溜め部31とインク供給部13との間を密閉する。フィルタ33は、インクタンク5の着脱時等にインク2に混入してしまった塵や埃等のごみを取り除くものであり、インク溜め部31よりも下流に設けられている。
弁機構34は、後述するインク吐出ヘッド23のノズル42aからインク2が吐出された際に、インク吐出ヘッド23側に発生する負圧によって図示しない弁が開放されてインクタンク5のインク収容部12からインク吐出ヘッド23へとインク2を供給する。そして、弁機構34は、インクタンク5のインク収容部12からインク吐出ヘッド23へインク2が供給されて、インク吐出ヘッド23側の圧力が定常状態に戻ると、弁を閉塞してインクタンク11のインク収容部12からインク吐出ヘッド23へのインク2の供給を停止させる。
以上のような構成からなる接続部27は、後述するインク吐出ヘッド23のノズル42aからインク2を吐出する度に、弁機構34によるインク2の供給動作を繰り返す。一方、インクタンク5では、上述した弁機構34によるインク2の供給動作に連動して、インク収容部12内のインク2が弁機構34側に供給されると、インク収容部12内のインク2が減少すると共に、この減少したインク2に相当する空気が外部連通孔14から空気導入管15を通してインク収容部12内に導入される。これにより、インク収容部12内の圧力を平衡状態に保ちながら、インク吐出ヘッド23側にインク2を適切に供給することができる。
インク吐出ヘッド23は、図6に示すように、カートリッジ本体21の底面に沿って配設されており、接続部27から供給されるインク液滴iを吐出するインク吐出口である後述するノズル42aが各色毎、記録紙Pの幅方向、すなわち図6中矢印W方向に略ライン状をなすようにされている。
ヘッドキャップ24は、図2に示すように、インク吐出ヘッド23を保護するために設けられたカバーであり、印刷動作するときにはインク吐出ヘッド23より退避する。ヘッドキャップ24は、図2中矢印W方向の両端に開閉方向に設けられた一対の係合突部24aと、長手方向に設けられインク吐出ヘッド23の吐出面23aに付着した余分なインク2を吸い取るクリーニングローラ24bとを有している。ヘッドキャップ24は、係合突部24aがインク吐出ヘッド23の吐出面23aに図2中矢印W方向とは略直交方向に亘って設けられた一対の係合溝23bに係合され、この一対の係合溝23bに沿ってインクタンク5の短手方向、すなわち図2中矢印W方向とは略直交方向に開閉するようにされている。そして、ヘッドキャップ24においては、開閉動作時に、クリーニングローラ24bがインク吐出ヘッド23の吐出面23aに当接しながら回転することで、余分なインク2を吸い取り、インク吐出ヘッド23の吐出面23aをクリーニングする。このクリーニングローラ24bには、例えば吸湿性の高い部材、具体的にはスポンジ、不織布、織布等が用いられる。また、ヘッドキャップ24は、印刷動作しないときにはインク吐出ヘッド23内のインク2が乾燥しないように吐出面23aを閉塞する。
インク吐出ヘッド23は、図7に示すように、ベースとなる回路基板41と、複数のノズル42aが形成されたノズルシート42と、回路基板41とノズルシート42との間をノズル42a毎に区画するフィルム43と、供給されたインク2を加圧するインク液室44と、インク液室44に供給されたインク2を加熱する圧力発生素子となる発熱抵抗体45と、インク液室44にインク2を供給するインク流路46とを有している。
回路基板41は、シリコン等からなる半導体ウェハ上に、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路を構成すると共に、インク液室44の上面部を形成している。
ノズルシート42は、厚みが10μm〜15μm程度のシート状部材であり、吐出面23aに向かって縮径され、且つ吐出面23a側の口径が20μm程度の吐出口となるノズル42aが穿設されると共に、回路基板41とフィルム43を挟んで対向配置されることで、インク液室44の下面部を形成している。
フィルム43は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、上記した接続部27と連通される部分を除いて各ノズル42aの周囲を囲むように形成されている。また、このフィルム43は、回路基板41とノズルシート42との間に介在されることによって、インク液室44の側面部を形成している。
インク液室44は、上記した回路基板41、ノズルシート42及びフィルム43により囲まれることで、ノズル42a毎に供給されたインク2を加圧する加圧空間を形成している。
発熱抵抗体45は、インク液室44に臨む回路基板41に配置されると共に、この回路基板41に設けられた制御回路等と電気的に接続されている。そして、この発熱抵抗体45は、制御回路等により制御されることで発熱し、インク液室44内のインク2を加熱する。
インク流路46は、接続部27と接続されており、接続部27に接続されたインクタンク5からインク2をインク液室44に供給する供給部である。即ち、インク流路46と接続部27とが連通されている。これにより、インクタンク5から供給されるインク2がインク流路46に流れ込み、インク液室44内に充填される。
上記した1個のインク吐出ヘッド23には、インク液室44毎に発熱抵抗体45が設けられ、発熱抵抗体45が設けられたインク液室44を各色インクタンク5毎に100個〜5000個程度備えている。そして、インク吐出ヘッド23においては、プリンタ装置1の後述する制御部からの命令によって各インク液室44の発熱抵抗体45それぞれを適宜選択して発熱させ、発熱した発熱抵抗体45に対応するインク液室44内のインク2を、インク液室44に対応するノズル42aからインク液滴iにして吐出させる。インク吐出ヘッド23がインク液滴iを記録紙Pに吐出することにより、記録紙Pにインク液滴iが着弾し、画像が形成される。
具体的に、このインク吐出ヘッド23では、回路基板41の制御回路が発熱抵抗体45を駆動制御し、選択された発熱抵抗体45に対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間パルス電流を供給する。これにより、インク吐出ヘッド23では、発熱抵抗体45が急速に加熱される。すると、インク吐出ヘッド23では、図8(A)に示すように、発熱抵抗体45と接するインク液室44内のインク2に気泡bが発生する。そして、インク吐出ヘッド23では、図8(B)に示すように、このインク液室44内において、気泡bが膨張しながらインク2を加圧し、押し退けられたインク2がインク液滴iとなってノズル42aより吐出される。また、インク吐出ヘッド23においては、インク液滴iが吐出された後は、接続部27を通してインク2がインク液室44に供給されることによって、再び吐出前の状態へと戻る。
次に、以上のように構成されたヘッドカートリッジ3が装着されるプリンタ装置1を構成する装置本体4について図面を参照して説明する。
装置本体4は、図1及び図9に示すように、ヘッドカートリッジ3が装着されるヘッドカートリッジ装着部51と、ヘッドカートリッジ3をヘッドカートリッジ装着部51に保持、固定するためのヘッドカートリッジ保持機構52と、ヘッドキャップを開閉するヘッドキャップ開閉機構53と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構54と、給排紙機構54に記録紙Pを供給する給紙口55と、給排紙機構54から記録紙Pが出力される排紙口56とを有する。
ヘッドカートリッジ装着部51は、ヘッドカートリッジ3が装着される凹部であり、走行する記録紙にデータ通り印刷を行うため、インク吐出ヘッド23の吐出面23aと走行する記録紙Pの紙面とが互いに略平行となるようにヘッドカートリッジ3が装着される。そして、ヘッドカートリッジ3は、インク吐出ヘッド23内のインク詰まり等で交換する必要が生じる場合等があり、インクタンク5のような交換頻度はないが消耗品であるため、ヘッドカートリッジ装着部51に対して着脱可能にヘッドカートリッジ保持機構52によって保持される。
ヘッドカートリッジ保持機構52は、ヘッドカートリッジ装着部51にヘッドカートリッジ3を着脱可能に保持するための機構であり、ヘッドカートリッジ3に設けられたつまみ52aを装置本体4の係止孔52b内に設けられた図示しないバネ等の付勢部材に係止することによって装置本体4に設けられた基準面4aに圧着するようにしてヘッドカートリッジ3を位置決めして保持、固定できるようにする。
ヘッドキャップ開閉機構53は、ヘッドカートリッジ3のヘッドキャップ24を開閉する駆動部を有しており、印刷を行うときにヘッドキャップ24を開放してインク吐出ヘッド23が記録紙Pに対して露出するようにし、印刷が終了したときにヘッドキャップ24を閉塞してインク吐出ヘッド23を保護する。
給排紙機構54は、記録紙Pを搬送する駆動部を有しており、給紙口55から供給される記録紙Pをヘッドカートリッジ3のインク吐出ヘッド23まで搬送し、ノズル42aより吐出されたインク液滴iが着弾し、印刷された記録紙Pを排紙口56に搬送して装置外部へ排出する。具体的に、給排紙機構54は、トレイ55aから給紙ローラ71によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ72a,72bによって引き出された記録紙Pの一枚を反転ローラ73に搬送して搬送方向を反転させた後に搬送ベルト74に記録紙Pを搬送し、搬送ベルト74で記録紙Pをインク吐出ヘッド23と対向する位置まで搬送する。給紙口55は、給排紙機構54に記録紙Pを供給する開口部であり、トレイ55a等に複数枚の記録紙Pを積層しておくことができる。排紙口56は、インク液滴iが着弾し、印刷された記録紙Pを排出する開口部である。
以上のような構成からなるプリンタ装置1は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき印刷を制御する詳細を図示しない制御回路により印刷が制御される。具体的に、プリンタ装置1は、制御回路に設けられた上述した装置本体4のヘッドキャップ開閉機構53、給排紙機構54、搬送ベルト74を昇降させるベルト昇降機構の駆動、インク吐出ヘッド23に供給する電流の供給をそれぞれ制御する制御部により制御される。プリンタ装置1は、印刷を行う際、制御部により以下のように動作し印刷を行う。
先ず、ユーザが、印刷動作をプリンタ装置1に実行させるため、プリンタ本体3に設けられている操作ボタン3aを操作して制御部に印刷開始を命令する。プリンタ装置1では、制御部に印刷開始の命令がされると、制御部からの制御信号によりヘッドキャップ開閉機構53、給排紙機構54、ベルト昇降機構等が駆動して、図10に示すように、印刷が可能な状態となる。
ヘッドキャップ開閉機構53は、駆動部を駆動し、ヘッドキャップ24をヘッドカートリッジ3に対してトレイ55a側に移動させる。これにより、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23のノズル42aが外部に露出する。
給排紙機構54は、駆動部を駆動し、記録紙Pを走行させる。具体的に、給排紙機構54は、トレイ55aから給紙ローラ71によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ72a,72bによって引き出された記録紙Pを反転ローラ73に搬送して搬送方向を反転させた後に搬送ベルト74に記録紙Pを搬送し、搬送ベルト74に搬送された記録紙Pを吐出面23aと対向する位置に搬送する。
ベルト昇降機構は、搬送ベルト74をインク吐出ヘッド23の吐出面23aと略平行となるように、搬送ベルト74を上昇させる。
次に、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23に設けられた発熱抵抗体55に供給する電流が制御部により外部の情報処理装置から入力された印刷データに基づいて制御される。これにより、プリンタ装置1では、情報処理装置から入力された印刷データに基づいて、発熱抵抗体55が加熱され、印刷位置に搬送された記録紙Pに対してノズル42aよりインク液滴iを吐出、着弾させてインクドットからなる画像や文字等を印刷する。
そして、プリンタ装置1では、インク液滴iがノズル42aより吐出されると、インク液滴iを吐出した量と同量のインク2がインクタンク5から接続部27を介してインク液室44内に補充される。インク吐出ヘッド23では、インク液滴iを吐出する度にインク2がインクタンク5からインク液室44内に補充される。
次に、プリンタ装置1では、制御部により給排紙機構54の搬送ベルト74が駆動され、印刷が終了した記録紙Pを排紙口56より排出する。
以上のようにプリンタ装置1では、インク2を吐出するノズル42aが色毎に記録紙Pの幅方向に並設されており、印刷する際には記録紙Pの幅に並設されたノズル42aの一列毎にインク2を吐出するため、シリアル型のプリンタ装置のようにヘッドを記録紙Pの幅方向に移動させることがない。これにより、プリンタ装置1では、各列のインク2の吐出間隔が短くなり、記録紙P一枚あたりの印刷時間がシリアル型のプリンタ装置と比べて短くなる。
このようなプリンタ装置1では、用いるインク2中にJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある有機水溶性溶媒を含有させる。これにより、プリンタ装置1では、インク2の吐出周期を極めて短くして次々にインク2を吐出させても、記録紙Pに着弾したインク2が記録紙Pのセルロール等の繊維及び添加されているサイズ剤の表面に均一に浸透するため、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができる。また、このプリンタ装置1では、インク2が記録紙Pに均一に浸透することから、高い印画濃度が得られる。
また、プリンタ装置1では、インク2中に上述した有機水溶性溶媒が含有されていることにより、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができる。したがって、このプリンタ装置1では、インクジェット記録専用用紙であってもインク2が均一に浸透し、印画濃度が高く、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができ、高品位な画像を形成することができる。
また、プリンタ装置1では、上述した有機水溶性溶媒の添加量を調整し、インク2の0秒動的表面張力を35mN/m以上、40mN/m以下の範囲となっていることから、印画濃度が高く、より境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けが防止された画像を形成することができる。
更に、プリンタ装置1では、インク2に水溶性有機溶剤の他に、界面活性剤としてEBPD−EOが含有され、静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下となっていることから、より一層高品位な印画を行うことができる。
以上は、本発明をプリンタ装置に適用した例について説明したが、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、液体を吐出する他の液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−253200号公報)、プリンタ配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出したりする液体吐出装置等にも適用可能である。
以上では、1つの発熱抵抗体45がインク2を加熱して吐出するインク吐出ヘッド23を例に挙げて説明したが、このような構造に限定されることはなく、複数の圧力発生素子を備え、各圧力発生素子に異なるエネルギー又は異なるタイミングでエネルギーを供給することで吐出方向を制御することが可能な吐出手段を備える液体吐出装置にも適用可能である。
以上では、1つの発熱抵抗体45によってインク2を加熱しながらノズル42aから吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子といった圧電素子等の電気機械変換素子等によってインクを電気機械的にノズルより吐出させる電気機械変換方式(特開昭55−65559号公報、特開昭62−160243号公報、特開平2−270561号公報)を採用したものであってもよい。
以上では、ライン型のプリンタ装置1を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、例えばインクヘッドが記録紙Pの走行方向と略直交する方向に移動するシリアル型の液体吐出装置にも適用可能である。
以下、本発明を適用したインクを実際に調製した実施例および比較例について説明する。
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、イエロー系のインクを調製した。イエロー系のインクを調製する際は、色素となるアシッドイエロー142を3質量部と、溶媒として水78質量部と、その他の溶媒としてグリセリン10質量部と、2−ピロリドン8質量部と、P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対するピーク出現時間(以下、単に「浸透特性曲線のピーク出現時間」という。)が0.11秒の水溶性有機溶剤の2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中a)を1質量部とを混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、イエロー系のインクを調製した。
サンプル1では、先ず、イエロー系のインクを調製した。イエロー系のインクを調製する際は、色素となるアシッドイエロー142を3質量部と、溶媒として水78質量部と、その他の溶媒としてグリセリン10質量部と、2−ピロリドン8質量部と、P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対するピーク出現時間(以下、単に「浸透特性曲線のピーク出現時間」という。)が0.11秒の水溶性有機溶剤の2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中a)を1質量部とを混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、イエロー系のインクを調製した。
次に、ブラック系のインクを調製した。ブラック系のインクを調製する際は、色素となるフードブラック2を4質量部と、溶媒として水77質量部と、その他の溶媒としてグリセリン10質量部と、2−ピロリドン8質量部と、浸透特性曲線のピーク出現時間が0.11秒の2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中a)を1質量部とを混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、ブラック系のインクを調製した。
〈サンプル2〉
サンプル2では、水溶性有機溶剤に浸透特性曲線のピーク出現時間が0.13秒の2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(表1中b)を用いたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル2では、水溶性有機溶剤に浸透特性曲線のピーク出現時間が0.13秒の2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(表1中b)を用いたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル3〉
サンプル3では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.24秒の2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中c)3質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル3では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.24秒の2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中c)3質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル4〉
サンプル4では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.40秒の2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(表1中d)4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル4では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.40秒の2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(表1中d)4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル5〉
サンプル5では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.50秒の2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(表1中e)4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル5では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.50秒の2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(表1中e)4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル6〉
サンプル6では、更に、界面活性剤として化学式2に示す2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加体(以下、「EBPD−EO」とする。)(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル6では、更に、界面活性剤として化学式2に示す2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加体(以下、「EBPD−EO」とする。)(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル7〉
サンプル7では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.24秒の2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中c)3質量部とし、更に、界面活性剤として化学式2に示すEBPD−EO(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル7では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.24秒の2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(表1中c)3質量部とし、更に、界面活性剤として化学式2に示すEBPD−EO(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル8〉
サンプル8では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.40秒の2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(表1中d)4質量部とし、更に、界面活性剤として化学式2に示すEBPD−EO(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル8では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.40秒の2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(表1中d)4質量部とし、更に、界面活性剤として化学式2に示すEBPD−EO(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル9〉
サンプル9では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.44秒の2−プロピル−1,4−ブタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル9では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.44秒の2−プロピル−1,4−ブタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル10〉
サンプル10では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.036秒の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール1質量部としたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル10では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.036秒の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール1質量部としたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル11〉
サンプル11では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.047秒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール3質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル11では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.047秒の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール3質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル12〉
サンプル12では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.54秒の2−メチル−2,4−ペンタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル12では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.54秒の2−メチル−2,4−ペンタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル13〉
サンプル13では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.53秒の1,7−ヘプタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル13では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.53秒の1,7−ヘプタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル14〉
サンプル14では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.52秒の3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル14では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.52秒の3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール4質量部とし、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル15〉
サンプル15では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.53秒の1,7−ヘプタンジオール4質量部とし、更に、界面活性剤として化学式2に示すEBPD−EO(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
サンプル15では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.53秒の1,7−ヘプタンジオール4質量部とし、更に、界面活性剤として化学式2に示すEBPD−EO(m+n=2)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部となるようしたこと以外はサンプル1と同様にイエロー系のインク及びブラック系のインクをそれぞれ調整した。
〈サンプル16〉
サンプル16では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.53秒の1,7−ヘプタンジオール4質量部とし、更に、界面活性剤としてオルフィンE1010(アセチレングリコール系非イオン界面活性剤、日信化学工業製)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部とした以外は、サンプル1と同様にしてイエロー系及びブラック系のインクをそれぞれ調製した。
サンプル16では、水溶性有機溶剤を浸透特性曲線のピーク出現時間が0.53秒の1,7−ヘプタンジオール4質量部とし、更に、界面活性剤としてオルフィンE1010(アセチレングリコール系非イオン界面活性剤、日信化学工業製)を0.5質量部加え、水を減量して総計100質量部とした以外は、サンプル1と同様にしてイエロー系及びブラック系のインクをそれぞれ調製した。
各サンプルのインクについて、印画濃度、境界滲み、混色ベタ斑、画像の裏抜けの評価を行った。評価結果を下記の表2に示す。
なお、印画濃度は、次のようにして評価した。各サンプルのブラックインクをインクタンクに充填してヘッドカートリッジに装着し、ライン型のインクジェットプリンタ装置にて記録紙として普通紙の三菱製紙製のコピー用紙(商品名:三菱PPC用紙)を用い、この記録紙に黒ベタの印刷を行い、得られた画像についてマクベス社製の光学濃度計(TR924)により反射プリント濃度を測定した。
境界滲みについては、次のようにして評価した。各サンプルのイエローインク、ブラックインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着したライン型のインクジェットプリンタ装置にて記録紙として普通紙の三菱製紙社製のコピー用紙(商品名:三菱PPC用紙)を用い、この記録紙に各色を隣接させたベタプリントを行い、印刷した画像における各色の境界部の滲み具合を目視により観察した。
混色ベタ斑については、次のようにして評価した。各サンプルのイエローインク、ブラックインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着したライン型のインクジェットプリンタ装置にて記録紙として普通紙の三菱製紙社製のコピー用紙(商品名:三菱PPC用紙)を用い、この記録紙に各色を重ね合わせるようにして80%濃度のベタプリントを行い、印刷した画像における色濃度の均一性、すなわち色むらの有無を目視により観察した。
画像の裏抜けについては、次のようにして評価した。上述した境界滲みの評価で作製した印刷画像を印刷面の裏側から目視観察し、画像の抜け具合やインクの滲み出しを評価した。
また、各サンプルのインクについて、協和界面科学社製の表面張力計(CBVP−Z)を用い、25℃における0秒動的表面張力及び静的表面張力を測定した。全てのサンプルにおいて0秒動的表面張力の値は、色素、界面活性剤を除いた溶媒の測定値である。静的表面張力の値は、ブラックおよびイエローインク調整後の測定値である。
表2において、境界滲みでは、境界部に各色の滲みが全くないものを◎印で示し、画質には問題がないが境界部に各色の滲みが少量あるものを○印で示し、境界部に画質を劣化させる各色の滲みがあるものを△印で示し、境界部全体に各色の滲みがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示している。
また、表2において、混色ベタ斑では、ベタ塗りされた画像に色むらが全くないものを◎印で示し、画質には問題がないが画像に僅かな色むらがあるものを○印で示し、画質を劣化させる色むらがあるものを△印で示し、画像全体に色むらがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示している。
また、表2における画像の裏抜けでは、画像の裏抜けが少ないものを◎印で示し、裏抜けは見られるものの品位に問題がないものを○印で示し、部分的な裏抜け、例えばスポット状にインクが抜けてにじんでいるようなものを△印で示し、画像全体が裏抜けしているものを×印で示している。
表2に示す結果から、サンプル1〜サンプル9のイエロー及びブラックのインクでは、サンプル10〜サンプル16のイエロー及びブラックのインクと比べて、印画濃度、境界滲み、混色ベタ斑、画像の裏抜け、すべての評価において良好であった。
サンプル10及びサンプル11では、インク中に含有されている水溶性有機溶剤の浸透特性曲線のピーク出現時間が0.036秒、0.047秒であり、0.1秒よりも早いため、普通紙である記録紙に印刷を行うと、インクの記録紙に対する浸透が高くなり過ぎ、画像全体が裏抜けした。また、サンプル10及びサンプル11では、インクの記録紙に対する浸透が高いため、印画濃度が低下した。
また、サンプル12〜サンプル16では、インク中に含有されている水溶性有機溶剤の浸透特性曲線のピーク出現時間が0.5秒よりも遅いため、インクの記録紙に対する浸透が悪くなり、画質を劣化させるような境界滲みや色むらが生じた。また、サンプル12〜サンプル16では、インクの記録紙に対する浸透が悪くなり、スポット状にインクが記録紙の裏面側に裏抜けした。
これらのサンプル10〜サンプル16に対して、サンプル1〜サンプル9では、インク中に含有されている水溶性有機溶剤の浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下であるため、記録紙の繊維及びサイズ剤の表面に均一にインクが浸透し、繊維に沿ってのみ拡散浸透することを防止することができる。サンプル1〜サンプル9では、境界部における各色の滲みや色むらがなく、裏抜けが少なく、境界滲み、混色ベタ斑、裏抜けを防止することができた。また、サンプル1〜サンプル9では、記録紙にインクが均一に浸透することから、印画濃度が良好となった。
また、サンプル3、サンプル4、サンプル7及びサンプル8では、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下であり、更にサンプル3は、静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下の範囲であり、サンプル7及びサンプル8は、界面活性剤としてEBPD−EOが含有され、静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下の範囲であることから、印画濃度が高く、より境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けが防止された。これにより、サンプル3、サンプル7及びサンプル8では、印画濃度、境界滲み、混色ベタ斑、画像の裏抜け、全ての評価において良好であった。
以上のことから、インクを調製する際に、浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下の水溶性有機溶剤を含有させ、0秒動的表面張力を35mN/m以上、40mN/m以下とし、更に界面活性剤としてEBPD−EO含有させ、静的表面張力を34mN/m以上、39mN/m以下とすることは、特に記録紙として普通紙を用いる場合に高い印画濃度が得られ、境界滲みや混色ベタ斑、裏抜けを防止することができるインクを調製する上で大変重要であることがわかる。
1 インクジェットプリンタ装置、2 インク、3 インクジェットプリンタヘッドカートリッジ、4 装置本体、5 インクタンク、21 カートリッジ本体、23 インク吐出ヘッド、23a 吐出面、42a ノズル、55 発熱抵抗体
Claims (26)
- 対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液において、
色素と、
上記色素を溶解又は分散させる溶媒と、
超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とを有することを特徴とする記録液。 - 0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下にあることを特徴とする請求項1記載の記録液。
- 上記水溶性有機溶剤は、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,4−ブタンジオールのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項3記載の記録液。
- 更に界面活性剤を有し、且つ静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
- 記録液を液滴の状態で吐出し、対象物に付着させることで記録を行う液体吐出装置に設けられる液体吐出ヘッドに装着され、上記液体吐出ヘッドに対し、上記記録液の供給源となる液体カートリッジにおいて、
上記記録液には、色素と、上記色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とが含有されていることを特徴とする液体カートリッジ。 - 上記記録液は、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下であることを特徴とする請求項7記載の液体カートリッジ。
- 上記水溶性有機溶剤は、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,4−ブタンジオールのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項9記載の液体カートリッジ。
- 上記記録液は、更に界面活性剤を有し、且つ静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下であることを特徴とする請求項7記載の液体カートリッジ。
- 装置本体と、
上記装置本体に設けられ、記録液を貯留する液室と、上記液室に上記記録液を供給する供給部と、上記液室に1つ以上設けられ、上記液室に貯留された上記記録液を押圧する圧力発生素子と、上記圧力発生素子により押圧された上記記録液を上記各液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する液体吐出ヘッドと、
上記液体吐出ヘッドに接続され、上記供給部に対して上記記録液の供給源となる液体カートリッジとを備える液体吐出装置において、
上記記録液には、色素と、上記色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とが含有されていることを特徴とする液体吐出装置。 - 上記記録液は、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下であることを特徴とする請求項13記載の液体吐出装置。
- 上記水溶性有機溶剤は、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,4−ブタンジオールのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項15記載の液体吐出装置。
- 上記記録液は、更に界面活性剤を有し、且つ静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下であることを特徴とする請求項13記載の液体吐出装置。
- 上記液体吐出ヘッドは、上記吐出口が略ライン状に並設されていることを特徴とする請求項13記載の液体吐出装置。
- 装置本体と、上記装置本体に設けられ、記録液を貯留する液室と、上記液室に上記記録液を供給する供給部と、上記液室に1つ以上設けられ、上記液室に貯留された上記記録液を押圧する圧力発生素子と、上記圧力発生素子により押圧された上記記録液を上記各液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する液体吐出ヘッドと、上記液体吐出ヘッドに接続され、上記供給部に対して上記記録液の供給源となる液体カートリッジとを備える液体吐出装置による液体吐出方法であって、
色素と、上記色素を溶解又は分散させる溶媒と、超音波透過式動的液体浸透性測定装置にて測定したJIS P8140:1998に規定されるCobb30値が22±2g/m2の普通紙に対する浸透特性曲線のピーク出現時間が0.1秒以上、0.5秒以下にある水溶性有機溶剤とが含有されている記録液を吐出することを特徴とする液体吐出方法。 - 上記記録液は、0秒動的表面張力が35mN/m以上、40mN/m以下であることを特徴とする請求項20記載の液体吐出方法。
- 上記水溶性有機溶剤は、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,4−ブタンジオールのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項22記載の液体吐出方法。
- 上記記録液は、更に界面活性剤を有し、且つ静的表面張力が34mN/m以上、39mN/m以下であることを特徴とする請求項20記載の液体吐出方法。
- 上記液体吐出ヘッドは、上記吐出口が略ライン状に並設されていることを特徴とする請求項20記載の液体吐出方法。
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