JPWO2006114867A1 - 記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有するインク(2)をノズル(42a)よりインク液滴iにして記録紙Pに印刷することから、インク(2)中に微小な泡が発生することが抑制されて不吐出や吐出曲がりといった吐出不良を防止でき、画像にカスレや白抜けが生じることのない高品位な画像を印刷できる。

Description

本発明は、対象物に記録を行うために液滴の状態で対象物に付着される記録液、この記録液が収容される液体カートリッジ、この液体カートリッジに収容された記録液を吐出口より液滴の状態にして対象物に吐出する液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
液体を吐出する装置として、対象物となる記録紙に対してインク吐出ヘッドより記録液、いわゆるインクを吐出させて、画像や文字を記録するインクジェット方式のプリンタ装置がある。このインクジェット方式を用いたプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点がある。
そして、インク吐出ヘッドよりインクを吐出するインクジェット記録方式は、例えばディフレクション方式、キャビティ方式、サーモジェット方式、バブルジェット方式(登録商標)、サーマルインクジェット方式、スリットジェット方式、スパークジェット方式等があり、これらに代表される種々の作動原理により、インクを微小な液滴にしてインク吐出ヘッドの吐出口、いわゆるノズルより吐出させて記録紙に着弾させ、画像や文字等の記録を行なう。
ところで、このようなインクジェット記録方式に用いる記録液に対しては、ノズルが目詰まりを起こさないことが求められている。そして、例えばインク中に生ずる微小な泡等がノズルの目詰まりを生じさせる要因の一つとして考えられている。
インクにおいては、空気等の気体が所定量溶解するが、温度上昇に伴い気体の溶解度が低下したときに、液中の溶解しきれない気体が分離し、それが液中で微小な泡となる。具体的には、インクをインク吐出ヘッド等に供給するインクタンクやインク流路やインク出ヘッド内に存在するインクの温度が上昇すると、液中に溶存していた気体が放出され、微小な泡が形成される。
このような微少な泡がインク吐出ヘッド内に存在すると、ノズルよりインクが吐出されない不吐出や、ノズルより吐出されたインクの吐出方向がずれる吐出曲がり等といった吐出不良が生じ、印刷された画像にカスレや白抜けが生じ、印刷画像の品質を著しく低下させる虞がある。
特に、熱エネルギーを作用させてインクを微小な液滴にしてノズルより吐出させる記録方式、すなわちサーマル方式及びバブルジェット方式のインクジェット記録方式の場合、インクをヒーターで急熱し、インクの膜沸騰で生成する気泡の圧力で液滴を吐出するため、ヒーター近傍に熱が蓄積され、インク流路内にあるインクの温度が非常に上昇し易くなっており、上述した不吐出や吐出曲がり等の吐出不良が顕著に生じる虞がある。
このような問題を改善するために、例えば特許文献1及び特許文献2等には、水性顔料インクに低級アルコールのプロピレンオキサイド付加重合体を配合することが提案されている。しかしながら、これらの提案では、微少な泡の発生を十分に抑制することは困難であり、さらなる改良が求められている。
また、特許文献3には、例えばインクに高級第2アルコールアルコキシレートのエチレンオキサイド付加物を含有させることも提案されている。この特許文献3に提案されたインクは、高周波数駆動時の吐出安定性、記録紙への浸透性および乾燥性に優れているとされている。しかしながら、特許文献3に提案されたインクでは、高級第2アルコールアルコキシレートにエチレンオキサイドのみを付加させた化合物を含有させても、微小な泡によるノズルの目詰まりを改良することはできなかった。具体的には、エチレンオキサイドだけを7モル以上付加させたような化合物を含有したインクは泡立ちが激しく、ノズルの目詰まりが著しいものになる。
また、インクジェット記録方式に用いるインクにおいては、ノズルの目詰まりを起こさないといった要求の他に、コピー用紙やレポート用紙などの普通紙、いわゆる上質紙に対して印刷を行った場合でも、光学濃度が低下、境界にじみ、混色ベタ斑等が発生しないようにするということも要求されている。
このような要求に対しては、例えば特許文献4等に、水不溶性色材をスルホン酸(塩)基を有する高分子および/またはリン酸(塩)基を有する高分子で処理したものを色材として使用し、さらにインクにカルボン酸(塩)基を有する高分子を添加することが提案されている。また、特許文献5には、インクに、D−マンヌロン酸とL−グルロン酸の比が0.5〜1.2の範囲にあるアルギン酸を配合することが提案されている。さらに、特許文献6には、インクにフッ素系またはシリコン系から選ばれる少なくとも1種以上の界面活性剤とアルギン酸塩とを配合することが提案されている。しかしながら、いずれも、上述した要求を十分に満足させる結果を得ることは困難であり、さらなる改良が求められている。
また、上述した微少な泡による問題は、記録紙に対して高速印刷を行うことが可能なプリンタ装置、すなわち記録紙の幅と略同じ範囲をインクの吐出範囲としたライン型のプリンタ装置において、より顕著に発生する(例えば、特許文献7〜特許文献9を参照。)。
具体的に、記録紙の送り方向の略直交方向、すなわち記録紙の幅方向に1列以上ノズルを並設させたライン型のプリンタ装置では、記録紙の送り方向と略直交方向にインク吐出ヘッドを走査しながら印刷を行うシリアル型のプリンタ装置等と異なり、例えば記録紙の送り方向を横切るようにインクタンクよりインクを導くインク流路を形成し、インク流路の両側もしくは片側にノズルを有するインク吐出ヘッドが複数配置された構造になることから、ノズルが多くなる分インクの発熱箇所も多くなって微少な泡が発生し易く、且つインクタンクからインク吐出ヘッドまでの距離が長くて構造が複雑で発生した微少な泡を取り除き難くなっており、微少な泡による不具合が顕著に発生する。
ライン型のプリンタ装置においては、ノズルライン毎の液滴の吐出周期が極めて短いため、記録紙への浸透性に優れたインクを用いる必要がある。このようなインクを普通紙等に用いた場合、インクが普通紙の深さ方向、すなわち厚み方向に染込み過ぎることから光学濃度が低下する虞がある。
また、各ノズルライン毎の液滴の吐出周期が短いライン型のプリンタ装置においては、例えば異なる色のインクを吐出して記録紙に印刷する、いわゆるカラー印刷を行う場合、記録紙に着弾した液滴が十分に紙の内部へ浸透しないうちに次色の液滴が次々と着弾されることから各色間に境界にじみや混色ベタ斑が発生する虞がある。
特開2001−2964号公報 特開平10−46075号公報 特開平7−70491号公報 特開2000−154342号公報 特開平8−290656号公報 特開平8−193177号公報 特開2002−36522号公報 特開2001−315385号公報 特開2001−301199号公報
本発明の目的は、上述したような従来の技術が有する問題点を解消することができる記録液を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、泡立ちが少なく、吐出安定性に優れ、対象物となる普通紙に文字や画像などを多色印刷しても光学濃度が高く、境界にじみや混色ベタ斑の無い、高品位印刷が可能な記録液及び記録液が収容された液体カートリッジ、この液体カートリッジに収容された記録液を用いて高品位な印刷を行える液体吐出装置及び液体吐出方法を提供することにある。
本発明に係る記録液は、対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液であって、色素と、色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有している。
本発明に係る液体カートリッジは、液体容器に収容された記録液を液滴の状態で吐出し、対象物に付着させることで記録を行う液体吐出装置に備わる液体供給装置に装着され、液体供給装置に対し、記録液の供給源となる液体カートリッジであって、記録液が、色素と、色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有している。
本発明に係る液体吐出装置は、記録液を貯留する液室と、液室に記録液を供給する供給部と、液室に1つ以上設けられ、液室に貯留された記録液を押圧する圧力発生素子と、圧力発生素子により押圧された記録液を液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する吐出手段と、吐出手段に接続され、供給部に対する記録液の供給源となる液体カートリッジとを備え、記録液が、色素と、色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有している。
本発明に係る液体吐出方法は、記録液を貯留する液室と、液室に記録液を供給する供給部と、液室に1つ以上設けられ、液室に貯留された記録液を押圧する圧力発生素子と、圧力発生素子により押圧された記録液を液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する吐出手段と、吐出手段に接続され、供給部に対する記録液の供給源となる液体カートリッジとを備える液体吐出装置による液体吐出方法であって、記録液が、色素と、色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有している。
以上のように、本発明では、記録液に、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物を含有させることで、記録液中に微少な泡が生じることを抑え、吐出口から記録液が吐出される際の不吐出や吐出曲がり等といった吐出不良吐出不良を防止できる。したがって、本発明によれば、記録液中に生じた微少な泡による吐出不良を防止でき、カスレや白抜けがなく、対象物に対する記録液の塗れ性も良好にできることから光学濃度が高く、境界にじみや混色ベタ斑のない、高品位な記録ができる。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
図1は、本発明が適用されたプリンタ装置を示す斜視図である。 図2は、同プリンタ装置に備わるヘッドカートリッジを示す斜視図である。 図3は、同ヘッドカートリッジを示す断面図である。 図4は、化学式4のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図5は、化学式5のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図6は、化学式6のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図7は、化学式11のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図8は、化学式13のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図9は、化学式15のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図10は、化学式16のI/Oの算出方法を説明する説明図である。 図11は、同ヘッドカートリッジにインクタンクが装着されたときのインク供給部を示しており、同図(A)は供給口が閉塞された状態を示す模式図であり、同図(B)は供給口が開口された状態を示す模式図である。 図12は、同ヘッドカートリッジにおけるインクタンクとインク吐出ヘッドとの関係を示す模式図である。 図13は、同インクタンクの接続部における弁機構を示しており、同図(A)は弁が閉じた状態を示す断面図であり、同図(B)は弁が開いた状態を示す断面図である。 図14は、同インク吐出ヘッドの構造を示す断面図である。 図15は、同インク吐出ヘッドを示しており、同図(A)は発熱抵抗体に気泡が発生した状態を模式的に示す断面図であり、同図(B)はノズルよりインク液滴を吐出した状態を模式的に示す断面図である。 図16は、同プリンタ装置の一部を透視して示す側面図である。 図17は、同プリンタ装置の制御回路を模式的に示すブロック図である。 図18は、同プリンタ装置の印刷動作を説明するフローチャートである。 図19は、同プリンタ装置において、ヘッドキャップが開いている状態を一部透視して示す側面図である。
以下、本発明が適用された記録液、液体カートリッジ、液体吐出装置及び液体吐出方法について、図面を参照して説明する。図1に示すインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置と記す。)1は、所定の方向に走行する記録紙Pに対してインク等を吐出して画像や文字を印刷するものである。また、このプリンタ装置1は、記録紙Pの印刷幅に合わせて、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)を略ライン状に並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。
このプリンタ装置1は、図2及び図3に示すように、記録紙Pに対して画像や文字等を記録する記録液であるインク2を吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジと記す。)3と、このヘッドカートリッジ3を装着するプリンタ本体4とを備える。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ3がプリンタ本体4に対して着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ3に対してインク供給源となり、インク2を収容する液体カートリッジであるインクタンク11y,11m,11c,11kが着脱可能となっている。このプリンタ装置1では、イエローのインクタンク11y、マゼンタのインクタンク11m、シアンのインクタンク11c、ブラックのインクタンク11kが使用可能となっており、また、プリンタ本体4に対して着脱可能なヘッドカートリッジ3と、ヘッドカートリッジ3に対して着脱可能なインクタンク11y,11m,11c,11kとを消耗品として交換可能になっている。
このようなプリンタ装置1は、記録紙Pを積層して収納するトレイ55aをプリンタ本体4の前面底面側に設けられたトレイ装着部5に装着することにより、トレイ55aに収納されている記録紙Pをプリンタ本体4内に給紙できる。トレイ55aは、プリンタ本体4の前面のトレイ装着部5に装着されると、給排紙機構54により記録紙Pが給紙口55からプリンタ本体4の背面側に給紙される。プリンタ本体4の背面側に送られた記録紙Pは、後述する反転ローラ83により走行方向が反転され、往路の上側をプリンタ本体4の背面側から前面側に送られる。プリンタ本体4の背面側から前面側に送られる記録紙Pは、プリンタ本体4の前面に設けられた排紙口56より排紙されるまでに、パーソナルコンピュータ等の後述する情報処理装置69より入力された文字データや画像データに応じた印刷データが文字や画像として印刷される。
印刷するときに記録液となるインク2は、例えば色素となる水溶性染料や各種顔料等といった色材と、この色材を分散させる溶媒と、液中に微少な泡が生じることを抑える界面活性剤として炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(以下、I/Oと記す。)が1〜1.37の範囲にある2価アルコールのエチレンオキサイド(以下、EOと記す。)付加物とを含有している。
色材としては、従来公知の染料、顔料、着色ポリマー微粒子などを単独で、あるいは混合して用いることができるが、特に水溶性染料を用いることが好ましい。ここで水溶性染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料のいずれでも良いが、水への溶解度、発色性や堅牢性などの観点から適宜選択することが好ましい。
具体的に、イエロー系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドイエロー17、同23、同42、同44、同79、同142、C.I.フードイエロー3、同4、C.I.ダイレクトイエロー1、同12、同24、同26、同33、同44、同50、同86、同120、同132、同142、同144、C.I.ダイレクトオレンジ26、同29、同62、同102、C.I.ベーシックイエロー1、同2、同11、同13、同14、同15、同19、同21、同23、同24、同25、同28、同29、同32、同36、同40、同41、同45、同49、同51、同53、同63、同64、同65、同67、同70、同73、同77、同87、同91、C.I.リアクティブイエロー1、同5、同11、同13、同14、同20、同21、同22、同25、同40、同47、同51、同55、同65、同67等を挙げることができる。
マゼンダ系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドレッド1、同8、同13、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同42、同52、同82、同87、同89、同92、同97、同106、同111、同114、同115、同134、同186、同249、同254、同289、C.I.フードレッド7、同9、同14、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同9、同13、同17、同20、同28、同31、同39、同80、同81、同83、同89、同225、同227、C.I.ベーシックレッド2、同12、同13、同14、同15、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同35、同36、同38、同39、同46、同49、同51、同52、同54、同59、同68、同69、同70、同73、同78、同82、同102、同104、同109、同112、C.I.リアクティブレッド1、同14、同17、同25、同26、同32、同37、同44、同46、同55、同60、同66、同74、同79、同96、同97等を挙げることができる。
シアン系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドブルー9、同29、同45、同92、同249、C.I.ダイレクトブルー1、同2、同6、同15、同22、同25、同71、同76、同79、同86、同87、同90、同98、同163、同165、同199、同202、C.I.ベーシックブルー1、同3、同5、同7、同9、同21、同22、同26、同35、同41、同45、同47、同54、同62、同65、同66、同67、同69、同75、同77、同78、同89、同92、同93、同105、同117、同120、同122、同124、同129、同137、同141、同147、同155、C.I.リアクティブブルー1、同2、同7、同14、同15、同23、同32、同35、同38、同41、同63、同80、同95等を挙げることができる。
ブラック系の水溶性染料としては、例えばC.I.アシッドブラック1、同2、同7、同24、同26、同94、C.I.フードブラック1、同2、C.I.ダイレクトブラック19、同22、同32、同38、同51、同56、同71、同74、同75、同77、同154、同168、同171、C.I.ベーシックブラック2、同8、C.I.リアクティブブラック3、同4、同7、同11、同12、同17等を挙げることができる。
インク2に対する上述した色材の添加量は、例えばインク2全質量に対して1質量%〜10質量%の範囲、より好ましくは3質量%〜5質量%の範囲であり、インク2の粘度、乾燥性、吐出安定性、発色性や印画物の保存安定性などを考慮して決定される。
インク2は水を溶媒として使用するものであるが、インク2に所望の物性を与え、色材の水への溶解性や分散性を改良し、且つインク2の乾燥を防止するなどの目的で公知の有機溶剤を単独或いは混合して用いることができる。
具体的に、溶媒として使用可能な有機溶剤としては、例えばエタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類や、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類や、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリルエーテル類や、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾイリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物や、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類や、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類等を挙げることができる。
インク2における上述した有機溶剤の添加量は、インク2全質量に対して5質量%〜50質量%の範囲、より好ましくは10質量%〜35質量%の範囲であり、色材の場合と同様にインク2の粘度、乾燥性や吐出安定性などを考慮して決定される。
炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率I/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物としては、例えば化学式4〜化学式8に示す有機化合物が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。

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インク2においては、以上のような2価アルコールEO付加物を含有することにより、その理由は定かではないが、液中の微小な泡が生じることが抑制されて後述するノズル42aの微少な泡による目詰まりが防止されることから、ノズル42aより吐出されない不吐出や、ノズル42aより吐出されたときに吐出方向がずれる吐出曲がり等といった吐出不良を防止して優れた吐出安定性が得られる。また、インク2においては、以上のような2価アルコールEO付加物を含有することにより、理由は定かではないが、記録紙Pに着弾されて画像や文字等を記録したとき、すなわち印刷したときに得られた画像の光学濃度が高くなり、境界にじみや混色ベタ斑の発生を抑制でき、高品位に印刷された画像を得ることができる。
さらに、インク2においては、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物として例えば化学式9〜化学式16に示すiso分岐若しくはtert分岐している炭化水素基を有する2価アルコールのEO付加物が含有されることで、これら2価アルコールのEO付加物の立体的な化学構造が障害となって微小な泡の発生をさらに抑制することから、さらに優れた吐出安定性を得ることができ、より高品位に印刷された画像を得ることができる。特に、インク2においては、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物として化学式11〜化学式16に示す化合物を含有させることが好ましく、これらの化合物を単独或いは混合して含有させることでより顕著な作用効果を得ることができる。

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インク2に含有される2価アルコールのEO付加物においては、炭素数が9を超えるような有機化合物になると、インク2の粘度を高くさせてしまい、インク2への含有量にもよるが、インク2の記録紙Pに対する浸透性を劣化させる虞がある。なお、2価アルコールのEO付加物において、炭素数は、I/Oの値によって自ずと決定される。
この炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物は、インク2全質量に対して0.1質量%〜5質量%の範囲、より好ましくは0.5質量%〜3質量%の範囲で含有されることが好ましい。インク2に対する2価アルコールのEO付加物の含有量が0.1質量%より少なくなると、上述した作用効果を得ることが困難になる。一方、インク2に対する2価アルコールのEO付加物の含有量が5質量%より多くなると、インク2の粘度が高くなってインク2の記録紙Pに対する浸透性を劣化させる虞がある。
上述した2価アルコールのEO付加物のI/Oを算出するための無機性値(IV)及び有機性値(OV)は、例えば「有機概念図−基礎と応用−」甲田善生著 三共出版(1984)、「系統的有機定性分析(混合物編)」藤田・赤塚著 風間書房(1974)、「染料理論化学」黒木宣彦著 槙書店(1966)、「ファインケミカルズ」飛田・内田著 丸善(1982)、「有機化合物分離法」井上・上原・南著 裳華房(1990)等に記載されている有機概念図論より求めることができる。
有機概念図論とは、有機化合物の物理的化学的物性について、電気的親和力による物性の程度を「無機性」と呼び、VanDerWaals力による物性の程度を「有機性」と呼び、これらの組み合わせで有機化合物の物理的特性を捕らえる手法である。
すなわち、I/Oにおいては、ある化合物の無機性値(IV)が大きくなると、分極し易くなって水への溶解性が高まり、ある化合物の有機性値(OV)が大きくなると、親油性が高まり、水への溶解性が低下して有機溶剤への溶解性が高まる。
したがって、インク2に含有される2価アルコールのEO付加物においては、I/Oが1未満である場合、親水性に乏しくなってインク2中で分離し、油滴となってノズル42aを目詰まりさせる等、吐出安定性を劣化させる虞がある。一方、I/Oが1.37を超えると疎水性に乏しくなってインク2中に微小な泡を発生しやすくなり、やはり吐出安定性を劣化させる虞がある。
上述した2価アルコールのEO付加物のI/Oは、上述した「有機概念図−基礎と応用−」甲田善生著の13ページ、表1.1に基づいて算出する。「有機概念図−基礎と応用−」甲田善生著の13ページに記載されている表1.1を以下の表1及び表2に示す。表1及び表2では示されていないが、上述した「有機概念図−基礎と応用−」甲田善生著では、炭素原子の有機性値を20としている。また、表1及び表2では、iso分枝及びtert分枝について、このiso分枝及びtert分枝が末端部分にある場合に適用することが記載されているが、ここでは末端部分の他に、C連鎖の場合にも適用した。
2価アルコールのEO付加物のI/O値を算出する際には、表1及び表2よりこの2価アルコールのEO付加物中に含まれるすべての無機性基の無機性値を加算することで、2価アルコールのEO付加物の無機性値(IV)を求めることができる。2価アルコールのEO付加物の有機性値(OV)は、炭素原子の有機性値から求めることができる。2価アルコールのEO付加物が有機性を有する有機性兼無機性基を有する場合には、表1及び表2に示す有機性兼無機性基の無機性値を無機性基より求めた無機性値に加算し、有機性兼無機性基の有機性値(OV)を炭素原子の有機性値(OV)に加算する。得られた無機性値(IV)を有機性値(OV)で除することによって2価アルコールのEO付加物のI/Oを求めることができる。このように表1及び表2に基づいて、上述した化学式4〜化学式16の2価アルコールのEO付加物のI/Oを算出すると、以下の表3のようになる。
表1
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表2
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表3
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上記表3のうち、化学式4〜化学式16の具体的なI/Oの算出方法を説明する。
化学式4は、図4に示すように、無機性基である−OHを2個、−O−を2個有し、有機性基であるCを12個有している。上記表1及び表2より、無機性基であるOHの無機性値(IV)が100であり、OのIVが20であることから、化学式4の無機性値(IV)は、IV=100×2(OHの個数)+20×2(Oの個数)=240となる。また、有機性基であるCの有機性値(OV)は、20であることから、化学式4の有機性値(OV)は、OV=20×12(Cの個数)=240となる。したがって、化学式4のI/O=240/240=1.00となる。
化学式5は、図5に示すように、無機性基である−OHを2個、−O−を2個有し、有機性兼無機性基である(−O−CH−CH−)(以下、「EO」とする)を2個有し、有機性基であるCを12個有している。EOの個数については、主鎖から1つ目のエーテル結合部分を除き、2つ目のエーテル結合部分からEOとして数える。表1及び表2より、EOのIVは60であり、OVは30である。これにより、化学式5のIV=100×2(OHの個数)+20×2(Oの個数)+60×2(EOの個数)=360となる。化学式5のOV=20×12(Cの個数)+30×2(EOの個数)=300となる。したがって、化学式5のI/O=360/300=1.2となる。
化学式6は、図6に示すように、化学式5よりも有機性兼無機性基であるEOを2個多く有し、EOを4個有すること以外は化学式5と同様であるため、具体的なI/Oの算出方法を省略する。化学式6のIVは、IV=480となる。化学式6のOVは、OV=360となる。したがって、化学式6のI/O=480/360=1.33となる。
化学式7ついては、化学式4よりも有機性基であるCが2個少なく、Cを10個有すること以外は、化学式4と同様であることから、具体的なI/Oの算出方法の説明は省略する。化学式7のIVは、IV=240となり、OVは、OV=200となる。したがって、化学式7のI/Oは、I/O=240/200=1.20となる。
化学式8についても、化学式4よりも有機性基であるCが2個少なく、Cを10個有し、有機性兼無機性基のEOを1個有すること以外は化学式4と同様であるため、具体的なI/Oの算出方法の説明は省略する。化学式8のIVは、IV=300となり、OVは、OV=230となる。したがって、IO=300/230=1.30となる。
化学式9及び化学式10については、以下に示す化学式15と有機性基であるCの数や有機性兼無機性基であるEOの数が異なるだけであるため、化学式15のI/Oの算出方法を説明した後に説明する。
化学式11は、図7に示すように、無機性基である−OHを2個、−O−を2個有し、有機性基であるCを13個有し、iso分枝を2個有している。上記表1及び表2より、iso分枝のOVが−10である。これにより、化学式11のIVは、IV=100×2(OHの個数)+20×2(Oの個数)=240となる。化学式11のOVは、OV=20×13(Cの個数)+(−10)×2(Iso分枝の個数)=240となる。したがって、化学式11のI/Oは、IO=240/240=1.00となる。
化学式12は、化学式11よりも有機性兼無機性基であるEOを4個多く、EOを4個有すること以外は化学式11と同様であるため、具体的なI/Oの算出は省略する。化学式12のIVは、IV=480となる。化学式12のOVは、OV=360となる。したがって、化学式12のI/Oは、I/O=480/360=1.33となる。
化学式13は、図8に示すように、無機性基である−OHを2つ、−O−を2個有し、有機性基であるCを12個有し、iso分枝を1つ有している。これにより、化学式13のIVは、IV=100×2(OHの個数)+20×2(Oの個数)=240となる。化学式13のOVは、OV=20×12(Cの個数)+(−10)×1(iso分枝の個数)=230となる。したがって、化学式13のI/Oは、I/O=240/230=1.04となる。
化学式14は、化学式13よりも有機性兼無機性基であるEOを3個多く、EOを3個有すること以外は化学式13と同様であるため、具体的なI/Oの算出方法を省略する。化学式14のIVは、IV=420となる。化学式14のOVは、OV=320となる。したがって、化学式14のI/Oは、I/O=420/320=1.31となる。
化学式15は、図9に示すように、無機性基である−OHを2個、−O−を2個有し、有機性基であるCを13個有し、tert分枝を1つ有している。上記表1及び表2より、tert分枝のOVが−20である。これにより、化学式15のIVは、IV=100×2(OHの個数)+20×2(Oの個数)=240となる。化学式15のOVは、OV=20×13(Cの個数)+(−20)×1(tert分枝の個数)=240となる。したがって、化学式15のI/Oは、I/O=240/240=1.00となる。
化学式16は、図10に示すように、化学式15よりも有機性兼無機性基であるEOを4個多く、EOを4個有すること以外は化学式15と同様であるため、具体的なI/Oの算出方法を省略する。化学式16のIVは、IV=480となる。化学式16のOVは、OV=360となる。したがって、化学式16のI/Oは、I/O=480/360=1.33となる。
また、化学式9は、化学式15よりも有機性基であるCが2個少なく、Cを11個有すること以外は化学式15と同様であるため、具体的なI/Oの算出方法の説明は省略する。化学式9のIVは、IV=240となり、OVは、OV=200となる。したがって、化学式9のI/O=240/200=1.20となる。
化学式10は、化学式15よりも有機性基であるCが2個少なく、Cを11個有し、有機性兼無機性であるEOを1個有すること以外は化学式15と同様であるため、具体的なI/Oの算出方法を省略する。化学式10のIV=300となり、OVは、OV=230となる。したがって、化学式9のI/O=300/230=1.3となる。
上述した算出方法により求めたI/Oから、化学式4〜化学式16に示す2価アルコールのEO付加物においては、I/Oが1以上、1.37以下の範囲であり、インク2に含有されることでインク2中に油滴や微少な泡が発生することを抑制することから、不吐出や吐出曲がり等といった吐出不良を防止することが可能になる。
なお、ここでは、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物として、具体的に化学式4〜化学式16に示す有機化合物を示しているが、これらの有機化合物に限定されることはなく、I/Oが1以上、1.37以下の範囲にあり、且つ炭素数が9以下の炭化水素基を有する2価アルコールのEO付加物であればインク2の界面活性剤として使用可能であり、化学式4〜化学式16の化合物と同様の作用効果を得られる。
以上のような構成のインク2は、25℃雰囲気中において、20Hzでの動的表面張力(γ20)、すなわち50msec毎に気泡を発生させたときの動的表面張力が30mN/m以上にされ、1Hzでの動的表面張力(γ)、すなわち1sec毎に気泡を発生させたときの動的表面張力が38mN/m以下にされている。このような動的表面張力を有するインク2では、光学濃度がさらに高くなり、境界にじみおよび混色ベタ斑をさらに抑制することができる。これは、上述した炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物をインク2に含有させたことの作用効果と相まって、さらにインク2の記録紙Pへの浸透速度、換言すると記録紙Pにおけるパルプ繊維に沿った記録紙Pの面方向および厚み方向へのインク2の着弾位置からの広がりが均一になるからである。
なお、動的表面張力の測定は、例えば特開昭63−31237号公報に記載されているような従来公知の動的表面張力の測定原理に基づき作製された動的表面張力計等により測定できる。具体的には、例えば最大泡圧力法で動的表面張を測定可能なKruss社製のバブルプレッシャー動的表面張力計(商品名:BP−2)や、LAUDA社製の動的表面張測定装置(商品名:MPT2)等を挙げることができる。
また、インク2において、動的表面張力の調整は、基本的に、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物の種類や、インク2に含有させる量を調節することによって適切に行うことができる。しかしながら、満足な動的表面張力の調整が困難な場合、上述した炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物による作用効果を阻害しない範囲で、従来公知の界面活性剤を添加することができる。具体的に、従来公知の界面活性剤としては、例えば多環フェノールエトキシレート等の特殊フェノール型非イオン界面活性剤や、グリセライトのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールオレート、ポリオキシアルキレンタロエート、ソルビタンラウリルエステル、ソルビタンオレイルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエステル等のエステル型非イオン界面活性剤や、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアマイド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド等のアマイド型非イオン界面活性剤や、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物や、アルコールサルフェートナトリウム塩、高級アルコールサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩等の陰イオン界面活性剤や、モノ長鎖アルキルカチオン、ジ長鎖アルキルカチオン、アルキルアミンオキサイド等の陽イオン界面活性剤や、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等を挙げることができ、これら従来公知の界面活性剤を単独或いは混合して用いることができる。
上述した従来公知の界面活性剤は、インク2中に含有された炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物全体に対して30質量%以下、より好ましくは20質量%以下で添加させる。従来公知の界面活性剤が、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物に対して30質量%を超えて添加されると、光学濃度が低下し、境界にじみや混色ベタ斑が生じる虞がある。
なお、インク2には、上述した色材、溶媒、界面活性剤となる炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物、従来公知の界面活性剤等の他に、例えば粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、防錆剤、防かび剤等を添加させることも可能である。具体的に、粘度調整剤、pH調整剤等としては、例えばゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。また、防腐剤、防錆剤、防かび剤等としては、例えば安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられ、これらを単独或いは混合して用いることができる。
以上のような構成のインク2を調製する際は、上述した色材と、溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物とを所定の配合比で混合し、常温或いは40℃〜80℃程度に加熱ながらスクリュー等で攪拌、分散させることで調製できる。
そして、以上のようにして調製されたインク2は、図2及び図3に示すように、イエローを呈するものがインクタンク11yに収容され、マゼンタを呈するものがインクタンク11mに収容され、シアンを呈するものがインクタンク11cに収容され、ブラックを呈するものがインクタンク11kに収容される。
次に、上述したプリンタ装置1を構成するプリンタ本体2に対して着脱可能なヘッドカートリッジ3と、このヘッドカートリッジ3に着脱可能にされたインクタンク11y,11m,11c,11kとについて図面を参照して説明する。
記録紙Pに印刷を行うヘッドカートリッジ3は、図1に示すように、プリンタ本体4の上面側から、すなわち図1中矢印A方向から装着され、給排紙機構54により走行する記録紙Pに対してインク2を吐出して印刷を行う。
ヘッドカートリッジ3は、上述したインク2を、例えば電気熱変換式又は電気機械変換式等を用いた圧力発生手段が発生した圧力により微細に粒子化して吐出し、記録紙P等といった対象物の主面に液滴状態にしたインク2を吹き付ける。具体的に、ヘッドカートリッジ3は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体21を有し、このカートリッジ本体21にインク2が充填された容器であるインクタンク11y,11m,11c,11kが装着される。なお、以下では、インクタンク11y,11m,11c,11kを単にインクタンク11ともいう。
ヘッドカートリッジ3に着脱可能なインクタンク11は、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるタンク容器12を有している。このタンク容器12は、長手方向を使用する記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法となす略矩形状に形成され、内部に貯留するインク容量を最大限に増やす構成となっている。
具体的に、インクタンク11を構成するタンク容器12には、インク2を収容するインク収容部13と、インク収容部13からヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21にインク2を供給するインク供給部14と、外部よりインク収容部13内に空気を取り込む外部連通孔15と、外部連通孔15より取り込まれた空気をインク収容部13内に導入する空気導入路16と、外部連通孔15と空気導入路16との間でインク2を一時的に貯留する貯留部17と、インクタンク11をカートリッジ本体21に係止するための係止突部18及び係合段部19とが設けられている。
インク収容部13は、気密性の高い材料によりインク2を収容するための空間を形成している。インク収容部13は、略矩形に形成され、長手方向の寸法が使用する記録紙Pの幅方向、すなわち図3中矢印W方向で略同じ寸法となるように形成されている。
インク供給部14は、インク収容部13の下側略中央部に設けられている。このインク供給部14は、インク収容部13と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ3の接続部26に嵌合されることにより、インクタンク2のタンク容器12とヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21を接続する。
インク供給部14は、図11(A)及び図11(B)に示すように、インクタンク11の底面14aにインク2を供給する供給口14bが設けられ、この底面14aに、供給口14bを開閉する弁14cと、弁14cを供給口14bの閉塞する方向に付勢するコイルバネ14dと、弁14cを開閉する開閉ピン14eとを備えている。ヘッドカートリッジ3の接続部26に接続されるインク2を供給する供給口14bは、図11(A)に示すように、インクタンク11がヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21に装着される前の段階において、付勢部材であるコイルバネ14dの付勢力により弁14cが供給口14bを閉じる方向に付勢され閉塞されている。そして、インクタンク11がカートリッジ本体21に装着されると、図11(B)に示すように、開閉ピン14eがヘッドカートリッジ3を構成するカートリッジ本体21の接続部26の上部によりコイルバネ14dの付勢方向とは反対の方向に押し上げられる。これにより、押し上げられた開閉ピン14eは、コイルバネ14dの付勢力に抗して弁14cを押し上げて供給口14bを開放する。このようにして、インクタンク11のインク供給部14は、ヘッドカートリッジ3の接続部26に接続され、インク収容部13とインク溜め部31とを連通し、インク溜め部31へのインク2の供給が可能な状態となる。
また、インクタンク11をヘッドカートリッジ3側の接続部26から引き抜くとき、すなわちインクタンク11をヘッドカートリッジ3の装着部22より取り外すときは、弁14cの開閉ピン14eによる押し上げ状態が解除され、弁14cがコイルバネ14dの付勢方向に移動して供給口14bを閉塞する。これにより、インクタンク11をカートリッジ本体21に装着する直前にインク供給部14の先端部が下方を向いている状態であってもインク収容部13内のインク2が漏れることを防止することができる。また、インクタンク11をカートリッジ本体21から引き抜いたときには、直ちに弁14cが供給口14bを閉塞するので、インク供給部14の先端からインク2が漏れることを防止できる。
外部連通孔15は、図3に示すように、インクタンク11外部からインク収容部13に空気を取り込む通気口であり、ヘッドカートリッジ3の装着部22に装着されたときも、外部に臨み外気を取り込むことができるように、装着部22への装着時に外部に臨む位置であるタンク容器12の上面の所定の位置に、ここでは上面略中央に設けられている。外部連通孔15は、インクタンク11がカートリッジ本体21に装着されてインク収容部13からカートリッジ本体21側にインク2が流下した際に、インク収容部13内のインク2が減少した分に相当する分の空気を外部よりインクタンク11内に取り込む。
空気導入路16は、インク収容部13と外部連通孔15とを連通し、外部連通孔15より取り込まれた空気をインク収容部13内に導入する。これにより、このインクタンク11がカートリッジ本体21に装着された際に、ヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21にインク2が供給されてインク収容部13内のインク2が減少し内部が減圧状態となっても、インク収容部13には、空気導入路16によりインク収容部13に空気が導入されることから、内部の圧力が平衡状態に保たれてインク2をカートリッジ本体21に適切に供給することができる。
貯留部17は、外部連通孔15と空気導入路16との間に設けられ、インク収容部13に連通する空気導入路16よりインク2が漏れ出た際に、いきなり外部に流出することがないようにインク2を一時的に貯留する。この貯留部17は、長い方の対角線をインク収容部13の長手方向とした略菱形に形成され、インク収容部13の最も下側に位置する頂部に、すなわち短い方の対角線上の下側に空気導入路16を設けるようにし、インク収容部13より進入したインク2を再度インク収容部13に戻すことができるようにされている。また、貯留部17は、短い方の対角線上の最も下側の頂部に外部連通孔15を設けるようにし、インク収容部13より進入したインク2が外部連通孔15より外部に漏れにくくする。
係止突部18は、インクタンク11の短辺の一方の側面に設けられた突部であり、ヘッドカートリッジ3のカートリッジ本体21のラッチレバー24に形成された係合孔24aと係合する。この係止突部18は、上面がインク収容部13の側面に対して略直交するような平面で形成されると共に、下面は側面から上面に向かって傾斜するように形成されている。
係合段部19は、インクタンク11の係止突部18が設けられた側面の反対側の側面の上部に設けられている。係合段部19は、タンク容器12の上面と一端を接する傾斜面19aと、この傾斜面19aの他端と他方の側面と連続し、上面と略平行な平面19bとからなる。インクタンク11は、係合段部19が設けられていることで、平面19bが設けられた側面の高さがタンク容器12の上面より1段低くなるように形成され、この段部でカートリッジ本体21の係合片23と係合する。係合段部19は、ヘッドカートリッジ3の装着部22に挿入されるとき、挿入端側の側面に設けられ、ヘッドカートリッジ3の装着部22側の係合片23に係合することで、インクタンク11を装着部22に装着する際の回動支点部となる。
以上のような構成のインクタンク11は、上述した構成の他に、例えばインク収容部13内のインク2の残量を検出するための残量検出部や、インクタンク11y,11m,11c,11kを識別するための識別部等を備えている。
次に、以上のように構成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク2を収納したインクタンク11y,11m,11c,11kが装着されるヘッドカートリッジ3について説明する。
ヘッドカートリッジ3は、図2及び図3に示すように、上述したインクタンク11とカートリッジ本体21とによって構成され、カートリッジ本体21には、インクタンク11が装着される装着部22y,22m,22c,22k(以下、全体を示すときには単に装着部22ともいう。)と、インクタンク11を固定する係合片23及びラッチレバー24と、インクタンク11を取り出し方向に付勢する付勢部材25と、インク供給部14と接続されてインク2が供給される接続部26と、インク2を吐出するインク吐出ヘッド27と、インク吐出ヘッド27を保護するヘッドキャップ28とを有している。
インクタンク11が装着される装着部22は、インクタンク11が装着されるように上面をインクタンク11の挿脱口として略凹形状に形成され、ここでは4本のインクタンク11が記録紙Pの幅方向と略直交方向、すなわち記録紙Pの走行方向に並んで収納されている。装着部22は、インクタンク11が収納されることから、インクタンク11と同様に印刷幅の方向に長く設けられている。カートリッジ本体21には、インクタンク11が収納装着される。
装着部22は、図2に示すように、インクタンク11が装着される部分であり、イエロー用のインクタンク11yが装着される部分を装着部22yとし、マゼンタ用のインクタンク11mが装着される部分を装着部22mとし、シアン用のインクタンク11cが装着される部分を装着部22cとし、ブラック用のインクタンク11kが装着される部分を装着部22kとし、各装着部22y,22m,22c,22kは、隔壁22aによりそれぞれ区画されている。なお、上述したようにブラックのインクタンク11kは、一般的に使用量が多いことから、インク2の内容量が大きくなるように厚く形成されているため、幅が他のインクタンク11y,11m,11cよりも大きくなっている。このため、装着部22kは、インクタンク11kの厚みに合わせて他の装着部22y,22m,22cよりも広くなっている。
また、インクタンク11が装着される装着部22の開口端には、図3に示すように、係合片23が設けられている。この係合片23は、装着部22の長手方向の一端縁に設けられており、インクタンク11の係合段部19と係合する。インクタンク11は、インクタンク11の係合段部19側を挿入端として斜めに装着部22内に挿入し、係合段部19と係合片23との係合位置を回動支点として、インクタンク11の係合段部19が設けられていない側を装着部22側に回動させるようにして装着部22に装着することができる。これによって、インクタンク11は、装着部22に容易に装着することができる。
ラッチレバー24は、板バネを折曲して形成されるものであり、装着部22の係合片23に対して反対側の側面、すなわち長手方向の他端の側面に設けられている。ラッチレバー24は、基端部が装着部22を構成する長手方向の他端の側面の底面側に一体的に設けられ、先端側がこの側面に対して近接離間する方向に弾性変位するように形成され、先端側に係合孔24aが形成されている。ラッチレバー24は、インクタンク11が装着部22に装着されると同時に、弾性変位し、係合孔24aがインクタンク11の係止突部18と係合し、装着部22に装着されたインクタンク11が装着部22より脱落しないようにする。
付勢部材25は、インクタンク11の係合段部19に対応する側面側の底面上にインクタンク11を取り外す方向に付勢する板バネを折曲して設けられる。付勢部材25は、折曲することにより形成された頂部を有し、底面に対して近接離間する方向に弾性変位し、頂部でインクタンク11の底面を押圧し、装着部22に装着されているインクタンク11を装着部22より取り外す方向に付勢するイジェクト部材である。付勢部材25は、ラッチレバー24の係合孔24aと係止突部18との係合状態が解除されたとき、装着部23よりインクタンク11を排出する。
各装着部22y,22m,22c,22kの長手方向略中央には、インクタンク11y,11m,11c,11kが装着部22y,22m,22c,22kに装着されたとき、インクタンク11y,11m,11c,11kのインク供給部14が接続される接続部26が設けられている。この接続部26は、装着部22に装着されたインクタンク11のインク供給部14からカートリッジ本体21の底面に設けられたインク2を吐出するインク吐出ヘッド27にインク2を供給するインク供給路となる。
具体的に、接続部26は、図12に示すように、インクタンク11から供給されるインク2を溜めるインク溜め部31と、接続部26に連結されるインク供給部14をシールするシール部材32と、インク2内の不純物を除去するフィルタ33と、インク吐出ヘッド27側への供給路を開閉する弁機構34とを有している。
インク溜め部31は、インク供給部14と接続されインクタンク11から供給されるインク2を溜める空間部である。シール部材32は、インク溜め部31の上端に設けられた部材であり、インクタンク11のインク供給部14が接続部26のインク溜め部31に接続されるとき、インク2が外部に漏れないようインク溜め部31とインク供給部14との間を密閉する。フィルタ33は、インクタンク11の着脱時等にインク2に混入してしまった塵や埃等のごみを取り除くものであり、インク溜め部31よりも下流に設けられている。
弁機構34は、図13(A)及び図13(B)に示すように、インク溜め部31からインク2が供給されるインク流入路34aと、インク流入路34aからインク2が流入するインク室34bと、インク室34bからインク2を流出するインク流出路34cと、インク室34bをインク流入路34a側とインク流出路34c側との間に設けられた開口部34dと、開口部34dを開閉する弁34eと、弁34eを開口部34dの閉塞する方向に付勢する付勢部材34fと、付勢部材34fの強さを調節する負圧調整ネジ34gと、弁34eと接続される弁シャフト34hと、弁シャフト34hと接続されるダイアフラム34iとを有する。
インク流入路34aは、インク溜め部31を介してインクタンク11のインク収容部13内のインク2をインク吐出ヘッド27に供給可能にインク収容部13と連結する供給路である。インク流入路34aは、インク溜め部31の底面側からインク室34bまで設けられている。インク室34bは、インク流入路34a、インク流出路34c及び開口部34dと一体となって形成された略直方体をなす空間部であり、インク流入路34aからインク2が流入し、開口部34dを介してインク流出路34cからインク2を流出する。インク流出路34cは、インク室34bから開口部34dを介してインク2が供給されて、更にインク吐出ヘッド27と連結された供給路である。インク流出路34cは、インク室34bの底面側からインク吐出ヘッド27まで延在されている。
弁34eは、開口部34dを閉塞してインク流入路34a側とインク流出路34c側とを分割する弁であり、インク室34b内に配設される。弁34eは、付勢部材34fの付勢力と、弁シャフト34hを介して接続されたダイアフラム34iの復元力と、インク流出路34c側のインク2の負圧によって上下に移動する。弁34eは、下端に位置するとき、インク室34bをインク流入路34a側とインク流出路34c側とを分離するように開口部34dを閉塞し、インク流出路34cに対するインク2の供給を遮断する。弁34eは、付勢部材34fの付勢力に抗して上端に位置するとき、インク室34bをインク流入路34a側とインク流出路34c側とを遮断せずに、インク吐出ヘッド27へインク2の供給を可能とする。なお、弁34eを構成する材質は、その種類を問わないが、高い閉塞性を確保するため例えばゴム弾性体、いわゆるエラストマー等により形成される。
付勢部材34fは、例えば圧縮コイルバネ等であり、弁34eの上面とインク室34bの上面との間で負圧調整ネジ34gと弁34eとを接続し、付勢力により弁34eを開口部34dの閉塞する方向に付勢する。負圧調整ネジ34gは、付勢部材34fの付勢力を調整するネジであり、負圧調整ネジ34gを調整することで付勢部材34fの付勢力を調整することができるようにしている。これにより、負圧調整ネジ34gは、詳細は後述するが開口部34dを開閉する弁34eを動作させるインク2の負圧を調整することができる。
弁シャフト34hは、一端に接続された弁34eと、他端に接続されたダイアフラム34iとを連結して運動するように設けられたシャフトである。ダイアフラム34iは、弁シャフト34hの他端に接続された薄い弾性板である。このダイアフラム34iは、インク室34bのインク流出路34c側の一主面と、外気と接する他主面とからなり、大気圧とインク2の負圧により外気側とインク流出路34c側とに弾性変位する。
以上のような弁機構34では、図13(A)に示すように、弁34eが付勢部材34fの付勢力とダイアフラム34iの付勢力とによってインク室34bの開口部34dを閉塞するように押圧されている。そして、インク吐出ヘッド27からインク2が吐出された際には、開口部34dで分割されたインク流出路34c側のインク室34bのインク2の負圧が高まると、図13(B)に示すように、インク2の負圧によりダイアフラム34iが大気圧により押し上げられて、弁シャフト34hと共に弁34eを付勢部材34fの付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室34bのインク流入路34a側とインク流出路34c側と間の開口部34dが開放され、インク2がインク流入路34a側からインク流出路34c側に供給される。そして、インク2の負圧が低下してダイアフラム34iが復元力により元の形状に戻り、付勢部材34fの付勢力により弁シャフト34hと共に弁34eをインク室34bが閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構34では、インク2を吐出する度にインク2の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
また、この接続部26では、インク収容部13内のインク2がインク室34bに供給されると、インク収容部13内のインク2が減少するが、このとき、空気導入路16から外気がインクタンク11内に入り込む。インクタンク11内に入り込んだ空気は、インクタンク11の上方に送られる。これにより、インク液滴iが後述するノズル42aから吐出される前の状態に戻り、平衡状態となる。このとき、空気導入路16内にインク2がほとんどない状態で平衡状態となる。
この接続部26では、上述したように複雑な構造になっており、この複雑な構造内をインク2が移動するが、インク2に炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有されていることから、例えば弁の34eの開閉動作やインク2の流路移動等でインク2中に微少な泡が生じることが抑制され、泡の混入のないインク2をインク吐出ヘッド27に供給できる。
インク吐出ヘッド27は、図12に示すように、カートリッジ本体21の底面に沿って配設されており、接続部26から供給されるインク液滴iを吐出するインク吐出口である後述するノズル42aが各色毎、記録紙Pの幅方向、すなわち図12中矢印W方向に略ライン状をなすようにされている。
ヘッドキャップ28は、図2に示すように、インク吐出ヘッド27を保護するために設けられたカバーであり、印刷動作するときにはインク吐出ヘッド27より退避する。
ヘッドキャップ28は、図2中矢印W方向の両端に開閉方向に設けられた一対の係合突部28aと、長手方向に設けられインク吐出ヘッド27の吐出面27aに付着した余分なインク2を吸い取るクリーニングローラ28bとを有している。ヘッドキャップ28は、係合突部28aが吐出ヘッド27の吐出面27aに図2中矢印W方向とは略直交方向に亘って設けられたに一対の係合溝27bに係合され、この一対の係合溝27bに沿ってインクタンク11の短手方向、すなわち図2中矢印W方向とは略直交方向に開閉するようにされている。そして、ヘッドキャップ28においては、開閉動作時に、クリーニングローラ28bがインク吐出ヘッド27の吐出面27aに当接しながら回転することで、余分なインク2を吸い取り、インク吐出ヘッド27の吐出面27aをクリーニングする。このクリーニングローラ28bには、例えば吸湿性の高い部材、具体的にはスポンジ、不織布、織布等が用いられる。また、ヘッドキャップ28は、印刷動作しないときにはインク吐出ヘッド27内のインク2が乾燥しないように吐出面27aを閉塞する。
以上のような構成のヘッドカートリッジ3は、上述した構成の他に、例えばインクタンク11内におけるインク残量を検出する残量検出部や、接続部26にインク供給部14が接続されたときにインク2の有無を検出するインク有無検出部等を備えている。
インク吐出ヘッド27は、図14に示すように、ベースとなる回路基板41と、複数のノズル42aが形成されたノズルシート42と、回路基板41とノズルシート42との間をノズル42a毎に区画するフィルム43と、インク流路43を通して供給されたインク2を加圧するインク液室44と、インク液室44に供給されたインク2を加熱する発熱抵抗体45と、インク液室44にインク2を供給するインク流路46とを有している。
回路基板41は、シリコン等からなる半導体ウェハ上に、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路を構成すると共に、インク液室44の上面部を形成している。
ノズルシート42は、厚みが10μm〜15μm程度のシート状部材であり、吐出面41に向かって縮径され、且つ吐出面41側の口径が20μm程度のノズル42aが穿設されると共に、回路基板41とフィルム43を挟んで対向配置されることで、インク液室44の下面部を形成している。
フィルム43は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、上述したインク流路43と連通される部分を除いて各ノズル42aの周囲を囲むように形成されている。また、このフィルム43は、回路基板41とノズルシート42との間に介在されることによって、インク液室44の側面部を形成している。
インク液室44は、上述した回路基板41、ノズルシート42及びフィルム43により囲まれることで、ノズル42a毎にインク流路43から供給されたインク2を加圧する加圧空間を形成している。
発熱抵抗体45は、インク液室44に臨む回路基板41に配置されると共に、この回路基板41に設けられた制御回路等と電気的に接続されている。そして、この発熱抵抗体45は、制御回路等により制御されることで発熱し、インク液室44内のインク2を加熱する。
インク流路46は、接続部26のインク流出路34cと接続されており、接続部26に接続されたインクタンク11からインク2が供給され、このインク流路46に連通する各インク液室44にインク2を送り込む流路である。すなわち、インク流路46と接続部26とが連通されている。これにより、インクタンク11から供給されるインク2がインク流路46に流れ込み、インク液室44内に充填される。
上述した1個のインク吐出ヘッド27には、インク液室44毎に発熱抵抗体45が設けられ、発熱抵抗体45が設けられたインク液室44を各色インクタンク11毎に100個〜5000個程度備えている。そして、インク吐出ヘッド27においては、プリンタ装置1の後述する制御部68からの命令によって各インク液室44の発熱抵抗体45それぞれを適宜選択して発熱させ、発熱した発熱抵抗体45に対応するインク液室44内のインク2を、インク液室44に対応するノズル42aからインク液滴iにして吐出させる。
具体的に、このインク吐出ヘッド27では、回路基板41の制御回路が発熱抵抗体45を駆動制御し、選択された発熱抵抗体45に対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間だけパルス電流を供給する。これにより、インク吐出ヘッド27では、発熱抵抗体45が急速に加熱される。すると、インク吐出ヘッド27では、図15(A)に示すように、発熱抵抗体45と接するインク液室44内のインク2に気泡bが発生する。そして、インク吐出ヘッド27では、図15(B)に示すように、このインク液室44内において、気泡bが膨張しながらインク2を加圧し、押し退けられたインク2がインク液滴iとなってノズル42aより吐出される。また、インク吐出ヘッド27においては、インク液滴iが吐出された後は、インク流路43を通してインク2がインク液室44に供給されることによって、再び吐出前の状態へと戻る。
なお、上述したインク吐出ヘッド27は、回路基板41の一主面上にフィルム43を全面に亘って形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフィルム43をインク液室44に対応した形状に成形した後に、この上にノズルシート42を積層することで形成される。
以上のような構成のインク吐出ヘッド27では、上述したように複数備わる発熱抵抗体45の分インク2の発熱箇所も多くなって微少な泡が発生し易くなっているが、インク2に炭素数が9以下の炭化水素基を有し、I/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有されていることから、例えはインク液室44内のインク2に微少な泡が発生することを抑制でき、インク液滴iの不吐出や吐出曲がり等といった吐出不良を防止できる。
次に、以上のように構成されたヘッドカートリッジ3が装着されるプリンタ装置1を構成するプリンタ本体4について図面を参照して説明する。
プリンタ本体4は、図1及び図16に示すように、ヘッドカートリッジ3が装着されるヘッドカートリッジ装着部51と、ヘッドカートリッジ3をヘッドカートリッジ装着部51に保持、固定するためのヘッドカートリッジ保持機構52と、ヘッドキャップを開閉するヘッドキャップ開閉機構53と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構54と、給排紙機構54に記録紙Pを供給する給紙口55と、給排紙機構54から記録紙Pが出力される排紙口56とを有する。
ヘッドカートリッジ装着部51は、ヘッドカートリッジ3が装着される凹部であり、走行する記録紙にデータ通り印刷を行うため、インク吐出ヘッド27の吐出面27aと走行する記録紙Pの紙面とが互いに略平行となるようにヘッドカートリッジ3が装着される。ヘッドカートリッジ3は、インク吐出ヘッド27内のインク詰まり等で交換する必要が生じる場合等があり、インクタンク11程の頻度はないが消耗品であるため、ヘッドカートリッジ装着部51に対して着脱可能にヘッドカートリッジ保持機構52によって保持される。
ヘッドカートリッジ保持機構52は、ヘッドカートリッジ装着部51にヘッドカートリッジ3を着脱可能に保持するための機構であり、ヘッドカートリッジ3に設けられたつまみ52aをプリンタ本体4の係止孔52b内に設けられた図示しないバネ等の付勢部材に係止することによってプリンタ本体4に設けられた基準面4aに圧着するようにしてヘッドカートリッジ3を位置決めして保持、固定できるようにする。
ヘッドキャップ開閉機構53は、ヘッドカートリッジ3のヘッドキャップ28を開閉する駆動部を有しており、印刷を行うときにヘッドキャップ28を開放してインク吐出ヘッド27が記録紙Pに対して露出するようにし、印刷が終了したときにヘッドキャップ28を閉塞してインク吐出ヘッド27を保護する。
給排紙機構54は、記録紙Pを搬送する駆動部を有しており、給紙口55から供給される記録紙Pをヘッドカートリッジ3のインク吐出ヘッド27まで搬送し、ノズル42aより吐出されたインク液滴iが着弾し、印刷された記録紙Pを排紙口56に搬送して装置外部へ排出する。給紙口55は、給排紙機構54に記録紙Pを供給する開口部であり、トレイ55a等に複数枚の記録紙Pを積層してストックすることができる。排紙口56は、インク液滴iが着弾し、印刷された記録紙Pを排出する開口部である。
次に、以上のように構成されたプリンタ装置1による印刷を制御する図17に示す制御回路61について図面を参照して説明する。
制御回路61は、上述したプリンタ本体3のヘッドキャップ開閉機構53、給排紙機構54の駆動を制御するプリンタ制御部62と、各色のインクiに対応するインク吐出ヘッド27に供給される電流等を制御する吐出制御部63と、各色のインクiの残量を警告する警告部64と、外部装置と信号の入出力を行う入出力端子65と、制御プログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)66と、読み出された制御プログラム等を一旦格納し、必要に応じて読み出されるRAM(Random Access Memory)67と、各部の制御を行う制御部68とを有している。
プリンタ駆動部62は、制御部68からの制御信号に基づき、ヘッドキャップ開閉機構53を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ28を開閉動作するように、ヘッドキャップ開閉機構を制御する。また、プリンタ駆動部62は、制御部68からの制御信号に基づき、給排紙機構54を構成する駆動モータを駆動させてプリンタ本体4の給紙口55から記録紙Pを給紙し、印刷後に排紙口56から記録紙Pを排出するように給排紙機構54を制御する。
吐出制御部63は、インク吐出ヘッド27に備わる発熱抵抗体45にパルス電流を供給する外部電源との電気的な接続をオン/オフするスイッチング素子や、発熱抵抗体45に供給されるパルス電流値を調整する抵抗体や、スイッチング素子等のオン/オフの切り替えを制御する制御回路部等を有する電気回路である。そして、吐出制御部63は、制御部68からの制御信号に基づき、インク吐出ヘッド27に備わる発熱抵抗体45に供給されるパルス電流等を調整し、ノズル42aよりインクiを吐出するインク吐出ヘッド27を制御する。
警告部64は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段であり、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を表示する。また、警告部64は、例えばスピーカ等の音声出力手段であってもよく、この場合は、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を音声で出力する。なお、警告部64は、表示手段及び音声出力手段をともに有するように構成してもよい。また、この警告は、情報処理装置69のモニタやスピーカ等で行うようにしてもよい。
入出力端子65は、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報をインタフェースを介して外部の情報処理装置69等に送信する。また、入出力端子65は、外部の情報処理装置69等から、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を出力する制御信号や、印刷データ等が入力される。ここで、上述した情報処理装置69は、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。
情報処理装置69等と接続される入出力端子65は、インタフェースとして例えばシリアルインタフェースやパラレルインタフェース等を用いることができ、具体的にUSB(Universal Serial Bus)、RS(Recommended Standard)232C、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等の規格に準拠したものである。また、入出力端子65は、情報処理装置69との間で有線通信又は無線通信の何れ形式でデータ通信を行うようにしてもよい。なお、この無線通信規格としては、IEEE802.11a,802.11b,802.11g等がある。
入出力端子65と情報処理装置69との間には、例えばインターネット等のネットワークが介在していてもよく、この場合、入出力端子65は、例えばLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、xDSL(Digital Subscriber Line)、FTHP(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、BS(Broadcasting Satellite)等のネットワーク網に接続され、データ通信は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の各種プロトコルにより行われる。
ROM66は、例えばEP−ROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)等のメモリであり、制御部68が行う各処理のプログラムが格納されている。この格納されているプログラムは、制御部68によりRAM67にロードされる。RAM67は、制御部68によりROM66から読み出されたプログラムや、プリンタ装置1の各種状態を記憶する。
制御部68は、入出力端子65から入力された印刷データ、ヘッドカートリッジ3から入力されたインク2の残量データ等に基づき、各部を制御する。制御部68は、入力された制御信号等に基づいて各部を制御する処理プログラムをROM66から読み出してRAM67に記憶し、この処理プログラムに基づき各部の制御や処理を行う。
なお、以上のように構成された制御回路61においては、ROM66に処理プログラムを格納するようにしたが、処理プログラムを格納する媒体としては、ROM66に限定されるものでなく、例えば処理プログラムが記録された光ディスクや、磁気ディスク、光磁気ディスク、ICカード等の各種記録媒体を用いることができる。この場合に制御回路61は、各種記録媒体を駆動するドライブと直接又は情報処理装置69を介して接続されてこれら記録媒体から処理プログラムを読み出すように構成する。
ここで、以上のように構成されるプリンタ装置1の印刷動作について図18に示すフローチャートを参照にして説明する。なお、本動作はROM66等の記憶手段に格納された処理プログラムに基づいて制御部68内の図示しないCPU(Central Processing Unit)の演算処理等により実行されるものである。
先ず、ユーザが、印刷動作をプリンタ装置1が実行するように、プリンタ本体4に設けられている操作パネル等を操作して命令する。次に、制御部68は、ステップS1において、各装着部22に所定の色のインクタンク11が装着されているかどうかを判断する。そして、制御部68は、全ての装着部22に所定の色のインクタンク11が適切に装着されているときはステップS2に進み、装着部22においてインクタンク11が適切に装着されていないときはステップS4に進み、印刷動作を禁止する。
制御部68は、ステップS2において、インクタンク11内のインク2が所定量以下、すなわちインク無し状態であるか否かを判断し、インク無し状態であると判断されたときは、警告部64でその旨を警告し、ステップS4において、印刷動作を禁止する。一方、制御部68は、インクタンク11内のインク2が所定量以上であるとき、すなわちインク2が満たされているとき、ステップS3において、印刷動作を許可する。
印刷動作を行う際は、制御部68がプリンタ制御部62によって各駆動機構53,54を駆動制御して記録紙Pを印刷可能な位置まで移動させる。具体的に、制御部68は、図19に示すように、ヘッドキャップ開閉機構53を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ28をヘッドカートリッジ3に対してトレイ55a側に移動させ、インク吐出ヘッド27のノズル42aを露出させる。そして、制御部68は、給排紙機構54を構成する駆動モータを駆動させて記録紙Pを走行させる。具体的に、制御部68は、トレイ55aから給紙ローラ81によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ82a,82bによって引き出された記録紙Pの一枚を反転ローラ83に搬送して搬送方向を反転させた後に搬送ベルト84に記録紙Pを搬送し、搬送ベルト84に搬送された記録紙Pを押さえ手段85が所定の位置で保持させることでインク2が着弾される位置が決定されるように給排紙機構54を制御する。
次に、制御部68は、吐出制御部63によってインク吐出ヘッド27を制御し、この印刷位置に搬送された記録紙Pに対してノズル42aよりインク液滴iを吐出、着弾させてインクドットからなる画像や文字等を記録させる。
このとき、インク吐出ヘッド27では、インク2に界面活性剤として炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有されていることから、インク液室44内に充填されているインク2に微少な泡が発生することを抑制でき、インク液滴iの不吐出や吐出曲がり等といった吐出不良を防止できる。また、印刷された画像や文字は、着弾したインク液滴iに炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有されていることから、光学濃度が高くなり、且つ境界にじみや混色ベタ斑の発生が抑制された高品位な画質になる。
そして、インク液滴iがノズル42a吐出されると、インク液滴iを吐出した量と同量のインク2がインク流路46から直ちにインク液室44内に補充され、図13(A)に示すように、元の状態に戻る。インク吐出ヘッド27からインク液滴iが吐出されると、付勢部材34fの付勢力とダイアフラム34iの付勢力とによってインク室34bの開口部34dを閉塞している弁34eは、図13(B)に示すように、インク吐出ヘッド27からインク液滴iが吐出された際に、開口部34dに分割されたインク流出路34c側のインク室34b内のインク2の負圧が高まると、インク2の負圧によりダイアフラム34iが大気圧により押し上げられて、弁シャフト34hと共に弁34eを付勢部材34fの付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室34bのインク流入路34a側とインク流出路34c側との間の開口部34dが開放され、インク2がインク流入路34a側からインク流出路34c側に供給され、インク吐出ヘッド27のインク流路46にインク2が補充される。そして、インク2の負圧が低下してダイアフラム34iが復元力により元の形状に戻り、付勢部材34fの付勢力により弁シャフト34hと共に弁34eをインク室34bが閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構34では、インク液滴iを吐出する度にインク2の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
インク吐出ヘッド27においては、以上のようにしてインク2の供給が繰り返し行われるとき、すなわち複雑な構造の流路を通ってインク2が繰り返し供給されるときでも、インク2に炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有されていることから、流路内を移動するインク2に微少な泡が発生することがなく、微少な泡が発生していないインク2がインク吐出ヘッド27に供給され、不吐出や吐出曲がりといった吐出不良を防止できる。
このようにして、給排紙機構54によって走行している記録紙Pには、順に印刷データに応じた文字や画像が優れた画質で印刷されることになる。そして、印刷が終了した記録紙Pは、給排紙機構54によって排紙口56より排出される。
以上で説明したプリンタ装置1では、インクタンク11内に、界面活性剤として炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物が含有するインク2が収容され、このインク2をノズル42aよりインク液滴iにして記録紙Pに吐出しており、インク2中に微小な泡が発生することが抑制されて吐出不良を防止できることから、画像にカスレや白抜けが生じることがなく、高品位な画質の画像や文字を印刷できる。
また、このプリンタ装置1では、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有するインク2を記録紙Pに着弾させて印刷と行うことから、光学濃度が高く、境界にじみや混色ベタ斑の発生が抑制された高品位な画像の印刷を行うことができる。
なお、上述したヘッドカートリッジ2では、カートリッジ本体12に対してインクタンク11が着脱可能となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。すなわち、このヘッドカートリッジ2自体が消耗品として取り扱われており、プリンタ本体3に対して着脱可能なことから、このカートリッジ本体12にインクタンク11が一体に設けられた構成とすることも可能である。
以上は、本発明をプリンタ装置に適用した例について説明したが、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、液体を吐出する他の液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−34560号公報)、プリンタ配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出したりする液体吐出装置等にも適用可能である。
以上では、1つの発熱抵抗体45がインク2を加熱して吐出するインク吐出ヘッド27を例に挙げて説明したが、このような構造に限定されることはなく、複数の圧力発生素子を備え、各圧力発生素子に異なるエネルギー又は異なるタイミングでエネルギーを供給することで吐出方向を制御することが可能な吐出手段を備える液体吐出装置にも適用可能である。
以上では、1つの発熱抵抗体45によってインク2を加熱しながらノズル42aから吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子といった圧電素子等の電気機械変換素子等によってインクを電気機械的にノズルより吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
以上では、ライン型のプリンタ装置1を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、例えばインクヘッドが記録紙Pの走行方向と略直交する方向に移動するシリアル型の液体吐出装置にも適用可能である。
以下、本発明を適用した記録液としてインクを実際に調製したサンプルについて説明する。
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、マゼンダ系のインクを調製した。マゼンダ系のインクを調製する際は、色材となるC.I.アシッドレッド52を3質量%と、溶媒として水75.5質量%と、その他の溶媒としてグリセリン10質量%と、1,3−ブタンジオール5質量%と、ネオペンチルグリコール5質量%と、界面活性剤として上述した化学式4に示す化合物1.5質量%となるように混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、マゼンダ系のインクを調製した。
次に、シアン系のインクを調製した。シアン系のインクを調製する際は、色材となるC.I.ダイレクトブルー199を2.5質量%と、溶媒として水76質量%と、その他の溶媒としてグリセリン10質量%と、1,3−ブタンジオール5質量%と、ネオペンチルグリコール5質量%と、界面活性剤として上述した化学式4に示す化合物1.5質量%となるように混合し、ミリポア社製のポアサイズ0.22μmのメインブランフィルター(商品名:Millex−0.22)にて濾過し、シアン系のインクを調製した。
このようにして、サンプル1では、界面活性剤として上述した化学式4に示す炭化水素基の炭素数が8であり、且つI/Oが1.00である2価アルコールのEO付加物を含有するマゼンダ系のインクとシアン系のインクとを調製した。
〈サンプル2〉
サンプル2では、界面活性剤となる化学式4に示す2価アルコールのEO付加物の添加量を1質量%となるようにしたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル3〉
サンプル3では、界面活性剤となる化学式4に示す2価アルコールのEO付加物の添加量を0.5質量%となるようににしたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル4〉
サンプル4では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式5に示す炭化水素基の炭素数が8であり、且つI/Oが1.20である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル5〉
サンプル5では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式6に示す炭化水素基の炭素数が8であり、且つI/Oが1.33である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル6〉
サンプル6では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式7に示す炭化水素基の炭素数が6であり、且つI/Oが1.20である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル7〉
サンプル7では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式9に示す炭化水素基の炭素数が7であり、且つI/Oが1.20である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル8〉
サンプル8では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式11に示す炭化水素基の炭素数が9であり、且つI/Oが1.00である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル9〉
サンプル9では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式13に示す炭化水素基の炭素数が8であり、且つI/Oが1.04である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル10〉
サンプル10では、界面活性剤として化学式4に示す有機化合物の代わりに上述した化学式15に示す炭化水素基の炭素数が9であり、且つI/Oが1.00である2価アルコールのEO付加物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル11〉
サンプル11では、2価アルコールのEO付加物を含有させなかったこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
〈サンプル12〉
サンプル12では、化学式4に示す有機化合物の代わりに化学式17に示す2価アルコールのEO付加物を含有させたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。
Figure 2006114867
〈サンプル13〉
サンプル13では、化学式4に示す有機化合物の代わりに化学式18に示す2価アルコールのEO付加物を含有させたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。

Figure 2006114867
〈サンプル14〉
サンプル14では、化学式4に示す有機化合物の代わりに化学式19に示す2価アルコールのEO付加物を含有させたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。

Figure 2006114867
〈サンプル15〉
サンプル15では、化学式4に示す有機化合物の代わりに化学式20に示す2価アルコールのEO付加物を含有させたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。

Figure 2006114867
〈サンプル16〉
サンプル16では、化学式4に示す有機化合物の代わりに化学式21に示す2価アルコールのEO付加物を含有させたこと以外は、サンプル1と同様にしてマゼンダ系及びシアン系のインクをそれぞれ調製した。

Figure 2006114867
以下、表4に上述した化学式17〜化学式21に示す2価アルコールのEO付加物について無機性値(IV)、有機性値(IO)、I/Oを示す。化学式17〜化学式21のI/Oの算出においても、上述した化学式4〜化学式16と同様に、無機性値及び有機性値を表1及び表2に基づいて算出した。但し、上述したように、C連鎖の場合にも表1及び表2中のiso分枝およびtert分枝を適用し、炭素原子の有機性値は有機概念図−基礎と応用−」甲田善生著より20とした。また、EOの個数についても、化学式4〜化学式16のI/Oを算出する場合と同様に、主鎖から1つ目のエーテル結合部分を除き、2つ目のエーテル結合部分からEOとして数えた。
表4
Figure 2006114867
表4に示すように、化学式17〜化学式20に示す2価アルコールのEO付加物は、I/Oが1〜1.37の範囲から外れている。したがって、I/Oが1未満である化学式17に示す2価アルコールのEO付加物では、インクに含有されると、親水性に乏しくなってインク中で分離し、油滴となってノズルを目詰まりさせ、吐出安定性を劣化させる虞がある。一方、I/Oが1.37を超える化学式18〜化学式20に示す2価アルコールのEO付加物では、インクに含有されると、疎水性に乏しくなってインク中に微小な泡を発生しやすくさせてしまい吐出安定性を劣化させる虞がある。また、化学式21は、I/Oは1.29であるが、炭素数が12であり、炭素数が9よりも多い。
次に、各サンプルのマゼンダ系及びシアン系のインクについて、吐出安定性、間欠吐出安定性、光学濃度、境界にじみ、混色ベタ斑の評価を行った。
なお、吐出安定性は、次のようにして評価した。各サンプルのインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着、ライン型のインクジェットプリンタ装置にて各インクを吐出した後に、一旦、インクジェットプリンタ装置からヘッドカートリッジを取り外し、このヘッドカートリッジを温度10℃、湿度50%の雰囲気中で5日間、さらに温度40℃、湿度50%の雰囲気中に5日間保存し、温度20℃、湿度50%の環境下に曝した。そして、再び、ヘッドカートリッジをライン型のインクジェットプリンタ装置に取り付けてリコー社製のコピー用紙(商品名:マイペーパー)に各色について所定の領域の塗り潰した印刷、いわゆるベタ印刷を行った後に、ヘッドカートリッジからインクタンクを取り外してインク吐出ヘッド内に微少な泡が発生していないかどうかを目視により観察した。また、印刷した画像も目視により観察した。
間欠吐出安定性は、次のようにして評価した。各サンプルのインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着、ライン型のインクジェットプリンタ装置にて各インクを吐出した後に、一旦、インクジェットプリンタ装置からヘッドカートリッジを取り外し、このヘッドカートリッジの吐出面を外部に露出した状態で温度30℃、湿度10%の雰囲気中で7分間静置した。そして、再び、ヘッドカートリッジをライン型のインクジェットプリンタ装置に取り付けてリコー社製のコピー用紙(商品名:マイペーパー)に各色それぞれのベタ印刷を行い、印刷した画像を目視により観察した。
光学濃度は、次のようにして測定した。各サンプルのインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着、ライン型のインクジェットプリンタ装置にてリコー社製のコピー用紙(商品名:マイペーパー)に各色それぞれのベタ印刷を行い、得られた画像についてマクベス社製の光学濃度計(TR924)により反射光学濃度を測定した。
境界にじみは、次のようにして評価した。各サンプルのインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着、ライン型のインクジェットプリンタ装置にてリコー社製のコピー用紙(商品名:マイペーパー)に各色を隣接させたベタ印刷を行い、印刷した画像における各色の境界部のにじみ具合を目視により観察した。
混色ベタ斑は、次のようにして評価した。各サンプルのインクをインクタンクにそれぞれ充填してヘッドカートリッジに装着、ライン型のインクジェットプリンタ装置にてリコー社製のコピー用紙(商品名:マイペーパー)に各色を重ね合わせるようにして青色のベタ印刷を行い、印刷した画像における青色濃度の均一性、すなわち色むらの有無を目視により観察した。
以下、表5に以上のようにして評価した各サンプルの吐出安定性、間欠吐出安定性、光学濃度、境界にじみ、混色ベタ斑の評価結果を示す。
表5
Figure 2006114867
表5における吐出安定性では、画像全体に白抜けがなく、且つインク吐出ヘッド内のインクに微少な泡の発生がないものを◎印で示し、画質には問題がないが画像に僅かな白抜けがあり、且つインク吐出ヘッド内のインクに微少な泡が極少量発生したものを○印で示し、画質を劣化させる白抜けがあり、且つインク吐出ヘッド内のインクに微少な泡が極少量発生したものを△印で示し、画質を劣化させる白抜けがあり、且つインク吐出ヘッド内のインクに微少な泡が多量発生したものを×印で示している。表5における間欠吐出安定性では、画像が鮮明で、掠れがないものを○印で示し、画像に少しの掠れがあるものを△印で示し、画像全体に掠れがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示している。表5における境界にじみでは、境界部に各色のにじみが全くないものを◎印で示し、画質には問題がないが境界部に各色のにじみが少量あるものを○印で示し、境界部に画質を劣化させる各色のにじみがあるものを△印で示し、境界部全体に各色のにじみがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示している。表5における混色ベタ斑では、青色にベタ塗りされた画像に色ムラが全くないものを◎印で示し、画質には問題がないが画像に僅かな色ムラがあるものを○印で示し、画質を劣化させる色ムラがあるものを△印で示し、画像全体に色ムラがあり、画質が著しく劣化しているものを×印で示している。
表5に示す評価結果から、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有するサンプル1〜サンプル10では、2価アルコールのEO付加物を含有しないサンプル11や、I/Oが1〜1.37の範囲より外れるサンプル12〜サンプル15や、炭素数が12の炭化水素基を有する2価アルコールのEO付加物を含有するサンプル16に比べ、吐出安定性、間欠吐出安定性、境界にじみ、混色ベタ斑の評価で画質に問題がなく、光学濃度が高くなっていることがわかる。
サンプル11〜サンプル16では、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有していないことから、インク吐出ヘッド内で微少な気泡が発生することを抑えることが困難となり、不吐出や吐出曲がり等といった吐出不良が生じ、白抜けや掠れが発生して画質が劣化してしまう。また、サンプル11〜サンプル16では、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有していないことから、画像の光学濃度を高くすることや、境界にじみや混色ベタ斑の発生を抑制することが困難になって高品位な画像を得ることができなくなる。
これらのサンプルに対し、サンプル1〜サンプル10では、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有していることから、インク吐出ヘッド内で微少な気泡が発生することを抑制でき、微少な泡によるノズルの目詰まりが防止されて吐出不良を防ぐことができることから、白抜けや掠れのない高品位な画像を印刷できる。また、サンプル1〜サンプル10では、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有することから、画像の光学濃度が高くでき、且つ境界にじみや混色ベタ斑の発生が抑制された高品位な画像を印刷できる。
以上のことから、インクを調製する際に、インクに炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物を含有させることは、吐出安定性、間欠吐出安定性に優れ、且つ光学濃度が高く、境界にじみや混色ベタ斑が抑制された高品位な画像を印刷できるインクを得る上で大変重要であることがわかる。
また、表5に示す評価結果から、サンプル7〜サンプル10では、吐出安定性がさらに優れた結果になっていることがわかる。これは、サンプル7〜サンプル10に用いた化学式9、化学式11、化学式13、化学式15に示す2価アルコールのEO付加物が分岐した炭化水素基を有しており、これら2価アルコールのEO付加物の立体的な化学構造が障害となってインク内に微小な泡が発生することをさらに抑制するからである。これにより、サンプル7〜サンプル10では、さらに優れた吐出安定性を得ることができる。
このことから、インクを調製する際に、インクに含有させる炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つI/Oが1〜1.37の範囲にある2価アルコールのEO付加物として、分岐した炭化水素基を有する2価アルコールのEO付加物を用いることは、さらに優れた吐出安定性が得られるインクを調製する上で大変重要であることがわかる。
次に、各サンプルのインクについて動的表面張力を測定した。以下、表6にサンプル1〜サンプル16の動的表面張力を測定した評価結果を示す。
表6
Figure 2006114867
なお、ここでは、Kruss社製のバブルプレッシャー動的表面張力測計(BP−2)を用い、25度雰囲気、キャピラリー径0.215mmといった測定条件で20Hzでの動的表面張力(γ20)と1Hzでの動的表面張力(γ)とを測定した。
表6に示す測定結果から、さらに光学濃度が高く、境界にじみ及び混色ベタ斑が抑制されてさらに優れた画質の印刷が可能なサンプル2及びサンプル10では、マゼンダ系及びシアン系インクそれぞれの動的表面張力(γ20)が30mN/m以上であり、且つ動的表面張力(γ)が38mN/m以下になっていることがわかる。
このことから、インクを調製する際に、インクの20Hzでの動的表面張力(γ20)を30mN/m以上にし、且つ1Hzでの動的表面張力(γ)を38mN/m以下にさせることは、さらに光学濃度が高く、さらに境界にじみ及び混色ベタ斑が抑制された高品位な印刷を可能にするインクを調製する上で大変重要であることがわかる。
本発明は、泡立ちが少なく、吐出安定性に優れ、対象物となる普通紙に文字や画像などを多色印刷しても光学濃度が高く、境界にじみや混色ベタ斑が無いため、高品位な印刷に用いられる。

Claims (19)

  1. 1.対象物に記録を行うために液滴の状態で当該対象物に付着される記録液において、
    色素と、
    上記色素を分散させる溶媒と、
    炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲にある2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有していることを特徴とする記録液。
  2. 2.上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物は、少なくとも分岐した炭化水素基を有していることを特徴とする請求の範囲第1記載の記録液。
  3. 3.上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物は、化学式1〜化学式3に示す有機化合物のうちの何れか一種又は複数種からなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の記録液。

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867
  4. 4.20Hzでの動的表面張力(γ20)が30mN/m以上であり、1Hzでの動的表面張力(γ)が38mN/m以下であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の記録液。
  5. 5.液体容器に収容された記録液を液滴の状態で吐出し、対象物に付着させることで記録を行う液体吐出装置に備わる液体供給装置に装着され、上記液体供給装置に対し、上記記録液の供給源となる液体カートリッジにおいて、
    上記記録液は、色素と、上記色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲にある2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有していることを特徴とする液体カートリッジ。
  6. 6.上記記録液は、上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物が少なくとも分岐した炭化水素基を有していることを特徴とする請求の範囲第5項記載の液体カートリッジ。
  7. 7.上記記録液は、上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物が化学式1〜化学式3に示す有機化合物のうちの何れか一種又は複数種からなることを特徴とする請求の範囲第5項記載の液体カートリッジ。

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867
  8. 8.上記記録液は、20Hzでの動的表面張力(γ20)が30mN/m以上であり、1Hzでの動的表面張力(γ)が38mN/m以下であることを特徴とする請求の範囲第5項記載の液体カートリッジ。
  9. 9.上記液体容器は、上記記録液を収容する液体収容部と、上記液体供給装置に装着されたときに、上記液体収容部に収容された上記記録液を上記液体供給装置に供給可能に上記液体供給装置に連結させる連結部と、上記液体供給装置に装着されたときに、上記液体収容部から上記液体供給装置に上記記録液が供給されて上記液体収容部内の上記記録液が減少した分に相当する分の空気を外部より取り込むための外部連通孔と、上記液体収容部と上記外部連通孔とを連通させ、上記外部連通孔より取り込まれた空気を上記液体収容部内に導入する空気導入管と、上記外部連通孔と上記空気導入管との間に位置し、上記液体収容部より流出した上記記録液を貯留する貯留部とを備えていることを特徴とする請求の範囲第5項記載の液体カートリッジ。
  10. 10.記録液を貯留する液室と、上記液室に上記記録液を供給する供給部と、上記液室に1つ以上設けられ、上記液室に貯留された上記記録液を押圧する圧力発生素子と、上記圧力発生素子により押圧された上記記録液を上記液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する吐出手段と、
    上記吐出手段に接続され、上記供給部に対する上記記録液の供給源となる液体カートリッジとを備え、
    上記記録液は、色素と、上記色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有している液体吐出装置。
  11. 11.上記記録液は、上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物が少なくとも分岐した炭化水素基を有している請求の範囲第10項記載の液体吐出装置。
  12. 12.上記記録液は、上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物が化学式1〜化学式3に示す有機化合物のうちの何れか一種又は複数種からなる請求の範囲第10項載の液体吐出装置。
    Figure 2006114867

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867
  13. 13.上記記録液は、20Hzでの動的表面張力(γ20)が30mN/m以上であり、1Hzでの動的表面張力(γ)が38mN/m以下である請求項10項記載の液体吐出装置。
  14. 14.上記吐出手段は、上記吐出口が略ライン状に並設されている請求の範囲第10項記載の液体吐出装置。
  15. 15.記録液を貯留する液室と、上記液室に上記記録液を供給する供給部と、上記液室に1つ以上設けられ、上記液室に貯留された上記記録液を押圧する圧力発生素子と、上記圧力発生素子により押圧された上記記録液を上記液室から液滴の状態で対象物の主面に向かって吐出させる吐出口とを有する吐出手段と、上記吐出手段に接続され、上記供給部に対する上記記録液の供給源となる液体カートリッジとを備える液体吐出装置による液体吐出方法であって、
    上記記録液は、色素と、上記色素を分散させる溶媒と、炭素数が9以下の炭化水素基を有し、且つ有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比率(I/O)が1以上、1.37以下の範囲である2価アルコールのエチレンオキサイド付加物とを含有していることを特徴とする液体吐出方法。
  16. 16.上記記録液に、少なくとも分岐した炭化水素基を有する上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物を含有させることを特徴とする請求の範囲第15項記載の液体吐出方法。
  17. 17.上記記録液における上記2価アルコールのエチレンオキサイド付加物として、化学式1〜化学式3に示す有機化合物のうちの何れか一種又は複数種を用いることを特徴とする請求の範囲第15項載の液体吐出方法。

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867

    Figure 2006114867
  18. 18.上記記録液は、20Hzでの動的表面張力(γ20)が30mN/m以上であり、1Hzでの動的表面張力(γ)が38mN/m以下であることを特徴とする請求の範囲第15項記載の液体吐出方法。
  19. 19.上記吐出手段の吐出口を略ライン状に並設させることを特徴とする請求の範囲第15項記載の液体吐出方法。
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