JP2005320382A - 記録液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定着性の向上と乾燥時間の短縮とを両立する。
【解決手段】 インク2に、水溶性有機樹脂化合物及び2価アルコール系溶剤を選定して含有させ、選定して含有させた化合物及び溶剤の含有量を最適化することで、記録紙Pに対する顔料の定着性を向上させつつ記録紙Pに着弾したインクの乾燥時間を短縮させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、対象物に記録を行うために当該対象物に付着される記録液に関する。
液体を吐出する装置として、対象物となる記録紙に対してインク吐出ヘッドより記録液、いわゆるインクを吐出させて、画像や文字を記録するインクジェット型のプリンタ装置がある。このインクジェット型のプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点がある。
そして、インク吐出ヘッドよりインクを吐出するインクジェット記録方式は、例えばディフレクション方式、キャビティ方式、サーモジェット方式、サーマルインクジェット方式、スリットジェット方式、スパークジェット方式等があり、これらに代表される種々の作動原理により、インクを微少な液滴にしてインク吐出ヘッドの吐出口、いわゆるノズルより吐出させて記録紙に着弾させ、画像や文字等の記録を行う。
ところで、このようなインクジェット記録方式に用いるインクにおいては、色素に水溶性染料を用いたものと顔料を用いたものとがある。一般的に、色素に水溶性染料を用いたインクは、長期保存安定性には優れるものの、耐水性、耐光性に問題があり、印刷された画像が劣化する虞がある。一方、色素として顔料を用いたインクは、耐水性、耐光性に優れ、さらには高濃度で滲みのない画質を得ることができることから、非常に有望であり、多くの提案がなされ、実用化されている。
具体的に、顔料系のインクにおいては、例えば特許文献1に、顔料、高分子分散剤および非イオン性界面活性剤を含有する水性媒体からなるものが提案され、特許文献2及び特許文献3に、ABあるいはBABブロックコポリマーを、顔料の分散剤として用いること等が提案され、特許文献4に、特定の顔料、水溶性有機樹脂、溶媒を用いること等が提案されている。
ところで、顔料系のインクにおいては、微粒子状態の顔料を記録紙に保持させることで印画が行われることから、画像を擦ったりすると顔料が欠落し、掠れ等が生じて画質が劣化することがある。また、顔料系のインクにおいては、画像を擦っても顔料が欠落しない状態になるまでの乾燥時間、換言すると顔料が定着するまでの時間が長く、印画した記録紙を重ねたりしたときに転写、脱落してしまうことがある。
そして、顔料系のインクにおいては、記録紙に対する定着性をさせるために一般的には樹脂添加が行われる。この樹脂は、定着性に向上させることはもちろん、インクへの溶解性、インク吐出性等が満足している必要である。
しかしながら、樹脂添加だけでは、顔料が記録紙に定着するまでの時間、いわゆる乾燥時間を短縮することは困難である。
すなわち、顔料系のインクでは、擦っても顔料の欠落がないように記録紙に対して顔料を強く定着させることと、顔料が記録紙に定着するまでの時間を短縮(乾燥時間の短縮)することとが最大の課題である。
特開昭56−147871号公報 米国特許第5085698号明細書 米国特許第5221334号明細書 米国特許第5172133号明細書
本発明は、対象物に対する顔料の定着性を向上させ、顔料の定着に要する時間が短い記録液を提供するものである。
上述した問題を解決するために、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、顔料の定着性を高めることが可能な水溶性樹化合物を選定し、且つ乾燥時間の短縮に対して重要因子となる溶剤を選定し、さらに、水溶性有機樹脂化合物と溶剤との含有量を最適化させることで、顔料の定着性と乾燥時間の短縮とを両立させることが可能であることを見出した。
すなわち、本発明に係る記録液は、対象物に付着させて記録を行い、少なくとも水を含む溶媒と、溶媒に分散される顔料と、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩のうち何れか一種又は複数種からなる水溶性有機樹脂化合物とを含有してなり、溶媒が、水の他に、エーテル結合を有さない2価アルコール系溶剤を5重量%〜20重量%の範囲で含有し、水溶性有機樹脂化合物が、顔料に対して重量比で0.3倍〜2倍の範囲で含有され、且つ液性がアルカリ性を示すことを特徴としている。
本発明によれば、顔料に対して所定の水溶性有機樹脂化合物を重量比で0.3倍〜2倍含有させることにより、顔料の定着性を高めることができ、対象物に付着させたインクを擦る等したときに起こる顔料の欠落を抑制できる。
また、本発明によれば、顔料及び所定の水溶性有機樹脂化合物を分散若しくは溶解させる溶媒として水の他に、所定の2価アルコール系溶剤を5重量%〜20重量%の範囲で含有させることにより、顔料が定着するまでの時間、いわゆる乾燥時間の短縮を図ることができる。
すなわち、本発明によれば、水溶性有機樹脂化合物及び2価アルコール系溶剤を選定し、これらの含有量を最適化することで、顔料の定着性と乾燥時間の短縮とを両立させることが可能な優れた記録液を得ることができる。
以下、本発明を適用した記録液、液体カートリッジ、液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置を、図1に示すインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置と記す。)1を参照にしながら詳細に説明する。
このプリンタ装置1は、図1及び図2に示すように、所定の方向に走行する記録紙Pに対してインク2等を吐出して画像や文字を印刷するものである。また、このプリンタ装置1は、記録紙Pの印刷幅に合わせて、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)を略ライン状に並設した、いわゆるライン型のインクジェットプリンタ装置である。そして、このプリンタ装置1は、対象物である記録紙Pに対し、液体としてインク2を吐出し、着弾させることによって、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置より入力された文字データや画像データ等に応じたインクドットからなる画像や文字等を記録、すなわち印刷するものである。
このプリンタ装置1は、液体吐出カートリッジであるプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)3と、このヘッドカートリッジ3が装着される装置本体であるプリンタ本体4とを備えている。
また、このプリンタ装置1では、ヘッドカートリッジ3が消耗品として取り扱われており、プリンタ本体4に対してヘッドカートリッジ3が着脱可能とされることにより、ヘッドカートリッジ3を容易に交換することが可能となっている。
先ず、記録紙Pに着弾させることで印刷が行われるインク2について説明する。インク2は、ヘッドカートリッジ3に対するインク2の供給源となり、ヘッドカートリッジ3に対して着脱可能に装着される後述するインクカートリッジ11に充填され、ヘッドカートリッジ3の後述するインク吐出ヘッド23に供給され、このインク吐出ヘッド23に複数備わる後述するヘッドチップ27のノズル32aより記録紙Pに吐出される。
そして、インク2は、色素となる各種顔料等といった色材と、この色材を分散させる溶媒と、水溶性有機樹脂化合物とを含有し、さらに詳しくは溶媒として、少なくとも水と、2価アルコール系溶剤とを含有している。
インク2に色材として含有される顔料は、有機顔料および無機顔料の何れをも用いることができる。ブラック系の顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。また、黒色の他に、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料や、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料や、無色または淡色の体質顔料や、プラスチックピグメント等も使用可能である。
具体的に、ブラック系の顔料としては、例えばコロンビアン・カーボン社製のRaven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRAII、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRAII、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060、キャボット社製のRegal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400、デクッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color BlackS170、Printex35、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V、Special Black6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4、三菱化学社製のNo.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100等を挙げることができ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
シアン系の顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等を挙げることができ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
マゼンタ系の顔料としては、例えばC.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202等を挙げることができ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
イエロー系の顔料としては、例えばC.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、 C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、 C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−138、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154、C.I.Pigment Yellow−202等を挙げることができ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
これらの顔料は、インク2全体量に対して0.5重量%〜10重量%の範囲で含有されていることが好ましく、1重量%〜5重量%の範囲で含有されることがより好ましい。顔料がインク2全体量に対して0.5重量%未満となると、十分な画像濃度が得られずに画質が劣化し、一方、顔料がインク2全体に対して10重量%を超えると、顔料の定着性が劣化する虞がある。
顔料は、その粒径が30nm〜200nmの範囲にされている。顔料の粒径が30nm未面であると、顔料が凝集して、インク2中で塊となり吐出特性を劣化させる虞がある。一方、顔料の粒径が200nmを超えると、一次粒子サイズが大きく印画後の画像の光沢感が低下する。
また、インク2では、多分散指数を0.3以下に調整させることが好ましく、多分散指数を0.1以下に調整することがより好ましい。ここでの多分散指数は、例えば大塚電子社製のレーザー光散乱方式粒度分布計で測定でき、インク2中における顔料の分散状態の目安とできる。そして、インク2においては、多分散指数が0.3を越えると、顔料の凝集が残留した状態であり、例えば顔料の凝集物がノズル32aに詰まって吐出特性が劣化したり、印画後の画像の光沢感を低下させたりする。
インク2は上述したように水を溶媒として使用するものである。具体的には、例えば純水、超純水、蒸留水、イオン交換水等を用いることができる。
そして、インク2においては、所望の物性を与え、顔料の溶媒への分散性を良好にし、特に乾燥時間を短縮させる目的で、水の他に、例えば2価アルコール系溶剤を含有している。なお、ここでの乾燥時間とは、印画により記録紙Pに画像を形成した後に、画像を所定の荷重を加えた状態で擦った時に色落ちが無くなるまで、すなわち転写が無くなるまでの時間である。乾燥時間が速いということは、印画後の画像の転写が無くなるまでの時間が短いということである。
具体的に、2価アルコール系溶剤としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を含有している。
そして、インク2においては、上述した2価アルコール系溶剤を、インク2全体に対して5重量%〜50重量%の範囲で含有させることが好ましく、インク2全体に対して5重量%〜20重量%の範囲で含有させることがさらに好ましい。
2価アルコール系溶剤の含有量がインク2全体に対して5重量%未満であると、インク2を長期間保存したときに顔料が沈殿する等、長期保存中にインク2が劣化することがある。一方、2価アルコール系溶剤の含有量がインク2全体に対して50重量%を越えると、インク2の粘度が高くなり吐出特性を劣化させたり、水より揮発性の低い2価アルコール系溶剤が過剰であることから乾燥時間の短縮化が困難になったりする虞がある。
インク2には、水、2価アルコール形容剤の他に、例えば従来公知の有機溶媒を併用することができる。
具体的に、溶媒として使用可能な有機溶剤としては、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を含有させることが可能である。
さらに、インク2には、上述した顔料、溶媒の他に、記録紙Pに対する顔料の定着性を高めることが可能な水溶性有機樹脂化合物を含有している。
具体的に、水溶性有機樹脂化合物としては、例えばスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩のうち何れか一種又は複数種が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を含有している。特に、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩やスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩としては、記録紙Pに対する顔料の定着性を適切に高めることが可能なカリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
また、水溶性有機樹脂化合物においては、上述した共重合体に、例えばポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマー等を適宜共重合させることも可能である。さらに、これら共重合体には、酸性官能基を表面に有する顔料との親和性を高め、インク2中での顔料の分散性を良好にさせるため、例えばカチオン性の官能基を有するモノマー等、具体的にはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール等を適宜共重合させることも可能である。
上述した水溶性有機樹脂化合物においては、顔料に対して重量比で0.3倍〜2倍の範囲で含有させることが好ましく、顔料に対して重量比で0.5倍〜1.2倍の範囲で含有させることがさらに好ましい。
水溶性有機樹脂化合物の含有量が顔料に対して重量比で0.3倍未満であると、記録紙Pに対する顔料の定着性を高めることが困難になる。一方、水溶性有機樹脂化合物の含有量が顔料に対して重量比で2倍を越えると、顔料の記録紙Pに対する定着性を高めるといった作用効果が飽和することの他に、インク2の粘度を高くなって吐出特性を劣化させる虞がある。このように、水溶性有機樹脂化合物の含有量を顔料に対して重量比で所定の倍数にしており、記録紙Pに付着する顔料の量に応じて含有される水溶性有機樹脂化合物の量が決定されることから、水溶性有機樹脂化合物を顔料に適切に作用させることが可能となって記録紙Pに対する顔料の定着性を適切に高めることができる。
また、上述した水溶性有機樹脂化合物は、重量平均分子量が2000〜10000のものが好ましく、重量平均分子量が3000〜8000のものがさらに好ましい。水溶性有機樹脂化合物においては、重量平均分子量が2000未満であったり、10000を超えたりする場合、インク2の乾燥時間の短縮化を図ることが困難になる。
さらに、水溶性有機樹脂化合物においては、上述した共重合体の酸価に対して50%以上中和されていることがより好ましく、上述した共重合体の酸価に対して80%以上中和されていることがさらに好ましい。さらにまた、水溶性有機樹脂化合物においては、疎水性部分と親水性部分の構造および組成比率が、顔料および溶媒との組み合わせの中から好ましいものを用いることができる。さらにまた、水溶性有機樹脂化合物においては、インク2への溶解性と印画後の耐水性を確保するバランスを良好にさせるために、樹脂酸価は100〜250の範囲にさせる。
また、インク2においては、上述した色素、溶媒、水溶性有機樹脂化合物の他に、2価アルコール系溶剤及び水溶性有機樹脂化合物による作用効果を阻害しない範囲で、記録紙Pに対する濡れ性の向上や消泡効果等を期待できる従来公知の界面活性剤等を添加することが可能である。
そして、添加することが可能な界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等を挙げられ、これらのうちの一種以上を用いることが可能である。
具体的に、アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種と混合して用いることが可能である。特に、アニオン性界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等を使用することが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えばテトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種を混合して用いることが可能である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種を混合して用いることが可能である。
両性界面活性剤としては、例えばアラニン系、イミダゾニウムベタイン系、アミドプロピルべダイン系、アミノジプロピオン酸塩等が挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種を混合して用いることが可能である。
界面活性剤としては、上述したアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の他に、例えばポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤や、スピクリスポール酸や、ラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用可能である。
そして、上述した界面活性剤の中でも、特にポリプロピレングリコール・エチレンオキサイド付加物、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を界面活性効果(表面張力低減)が得られるといった理由で用いることが好ましい。
インク2において、界面活性剤の含有量は、インク2全体量に対して10重量%未満であることが好ましく、さらには0.01重量%〜5重量%の範囲にされていることがより好ましい。界面活性剤の量が、10重量%以上添加しても効果は得られない。
界面活性剤が含まれてなかったり、その含有量が0.01重量%未満であったりすると、濡れ性の向上や消泡等といった界面活性剤の作用効果を得ることが困難になる。一方、界面活性剤をインク2の含有量が10重量%を越えると、界面活性剤の作用効果が飽和する。
さらに、インク2には、導電率、pHを調整する目的で、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を添加することが可能である。
さらにまた、インク2には、物性を安定させたり、吐出特性を安定させたりする目的で、上述した材料の他に、例えばポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を添加することも可能である。
さらにまた、インク2には、例えばpH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤、さらには水溶性染料、分散染料、油溶性染料等を添加することも可能である。
このインク2は、従来公知のインク調製方法によって調製される。具体的に、インク2は、例えば高分子分散剤が所定量入った水溶液に所定量の顔料を添加し、十分撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除去し、さらに所定の溶媒、水溶性有機樹脂化合物、界面活性剤等を加えて撹拌、混合、濾過を行うことにより調製される。また、顔料を分散する分散工程の前に顔料の粒子を細かく粉砕する粉砕工程を設けてもよい。或いは、所定の溶媒、水溶性有機樹脂化合物等を混合後、顔料を添加して、分散機を用いて分散させてもよい。分散機としては、例えばコロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボールミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられ、これらを単独で用いても良いし、複数組み合せて用いてもよい。また、インク2中に無機不純物が混入することを防ぐために、分散媒体としてアルミナボール等を用いるボールミル等よりも分散媒体を使用しないマイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等によって分散工程を行うことが好ましい。
以上のようにして調製可能なインク2においては、例えば上述したpH調製剤等を添加することで液性がアルカリ性を示す、具体的にはpHが7〜11の範囲になるようにされている。インク2のpHが7未満であると、水溶性有機樹脂化合物をインク2中に溶解させることが困難になり、水溶性有機樹脂化合物が液中に沈殿したりして吐出特性を劣化させる虞がある。一方、インク2のpHが11を越えると、インク2が強アルカリになり過ぎてインク2の物性が安定しなかったり、例えばニッケルめっき等といった金属薄膜で形成された後述するノズルシート32等を腐食させたりするといった不具合を引き起こす虞がある。
以上で説明したインク2では、顔料に対して所定の水溶性有機樹脂化合物を重量比で0.3倍〜2倍含有させることにより、記録紙Pに対する顔料の定着性を高めることができ、記録紙Pに付着した顔料を擦る等したときに起こる顔料の欠落を抑制できる。
また、このインク2では、顔料及び水溶性有機樹脂化合物を分散させる溶媒として水の他に、所定の2価アルコール系溶剤を5重量%〜20重量%の範囲で含有させることにより乾燥時間の短縮を図ることができる。
すなわち、このインク2では、水溶性有機樹脂化合物及び2価アルコール系溶剤を選定し、これらの含有量を最適化することで、記録紙Pに対する顔料の定着性と乾燥時間の短縮とを両立することが可能である。
そして、以上で説明したインク2は、図1に示すように、イエローを呈するものがインクカートリッジ11yに収容され、マゼンタを呈するものがインクカートリッジ11mに収容され、シアンを呈するものがインクカートリッジ11cに収容され、ブラックを呈するものがインクカートリッジ11kに収容される。
次に、ヘッドカートリッジ3について説明する。このヘッドカートリッジ3は、インク2を吐出する吐出口であるノズル32aを記録紙Pの幅に対応する長さで略直線状に複数並べて配置した、いわゆるライン型のプリンタヘッドである。
このヘッドカートリッジ3は、図1及び図2に示すように、インクを収容するインクカートリッジ11が装着されるカートリッジ本体12を備え、このカートリッジ本体12には、カラー印刷に対応して、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの4色からなるインクカートリッジ11y,11m,11c,11kが着脱可能となっている。
これら4つのインクカートリッジ11y,11m,11c,11kは、例えば樹脂材料等を射出成形することで、全体略直方体状に形成された容器であり、その内部に各色に対応したインク2を収容している。
また、これら4つのインクカートリッジ11y,11m,11c,11kは、なるべく多くのインク2を収容するために、カートリッジ本体12の長辺方向に対応した長尺形状とされている。そして、各インクカートリッジ11y,11m,11c,11kは、カートリッジ本体12の短辺方向に並んで配置される。
これら4つのインクカートリッジ11y,11m,11c,11kは、インクの消費量が最も多いブラックのインクカートリッジ11kが、他のインクカートリッジ11y、11m、11cより容量が大きく、他に比べて厚みを有する以外は同じ構造を有している。したがって、これらインクカートリッジ11y,11m,11c,11kの構成を、以下まとめてインクカートリッジ11として説明する。なお、インクカートリッジ11は、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形される。
ヘッドカートリッジ3は、図2に示すように、上述したインクカートリッジ11とカートリッジ本体12とによって構成され、カートリッジ本体12は、インクカートリッジ11が装着されるタンク装着部21と、インクカートリッジ11と接続されてインク2が供給される接続部22と、インク2を吐出するインク吐出ヘッド23と、インク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24とを有している。
インクカートリッジ11が装着されるカートリッジ装着部21は、インクカートリッジ11が装着されるように上面をインクカートリッジ11の挿脱口として略凹形状に形成され、ここでは4本のインクカートリッジ11が記録紙Pの幅方向と略直交方向、すなわち記録紙Pの走行方向に並んで収納されている。そして、カートリッジ装着部21は、インクカートリッジ11が収納されることから、インクカートリッジ11と同様に印刷幅の方向に長く設けられている。
カートリッジ装着部21には、図1に示すように、インクカートリッジ11が装着される部分であり、プリンタ装置1の前面側からブラック用のインクカートリッジ11y、マゼンダ用のインクカートリッジ11m、シアン用のインクカートリッジ11c、イエロー用のインクカートリッジ11yが順番に装着される。なお、上述したようにブラックのインクカートリッジ11kは、一般的に使用量が多いことから、インク2の内容量が大きくなるように厚く形成されているため、幅が他のインクカートリッジ11y,11m,11cよりも大きくなっている。このため、カートリッジ装着部21は、インクカートリッジ11kが装着される部分が他のインクカートリッジ11y,11m,11cが装着される部分よりも広くなっている。
各カートリッジ装着部21の長手方向略中央には、インクカートリッジ11がカートリッジ装着部21に装着されたとき、インクカートリッジ11が接続される接続部22が設けられている。
この接続部22は、カートリッジ装着部21に装着されたインクカートリッジ11からカートリッジ本体12の底面に設けられたインク2を吐出するインク吐出ヘッド23にインク2を供給するインク供給路となる。
インク吐出ヘッド23は、カートリッジ本体12の底面に沿って配設されており、接続部22から供給されるインク2をインク液滴iにして吐出するインク吐出口である後述するノズル32aが各色毎に記録紙Pの幅方向、すなわち図2中矢印W方向に略ライン状をなすように設けられている。
インク吐出ヘッド23は、吐出面23aよりも上方に位置して、上述したインク供給部14からインク2が供給されるインク供給口25と、このインク供給口25から供給されたインク2を各ノズル32aへと導くインク流路26とを有している。
インク供給口25は、インク流路26の上面中央部に設けられ、上述した接続部22と連通されている。インク流路26は、後述する各色ノズル32aにインク2が供給されるように記録紙の幅に相当する長さに亘って略ライン状を成すように設けられている。
さらに、インク吐出ヘッド23には、後述するノズル32aを所定数で一組とするヘッドチップ27が、色毎に千鳥状に配置されている。すなわち、このヘッドチップ27は、図3に示すように、色毎にインク流路26を挟んで記録紙Pの幅方向に互い違いに並ぶように配置されている。
ヘッドチップ27は、図4に示すように、ベースとなる回路基板31と、複数のノズル32aが形成されたノズルシート32と、回路基板31とノズルシート32との間をノズル32a毎に区画するフィルム33と、インク流路26を通して供給されたインク2を加圧するインク液室34と、インク液室34に供給されたインク2を加熱する発熱抵抗体35とを有している。
回路基板31は、例えばシリコンウエハ、ガラス基板等といったケイ素含有材料等からなる基板上に、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路が形成されると共に、インク液室34の上面部や、インク流路26の一部等を形成している。すなわち、回路基板31は、半導体回路基板である。
ノズルシート32は、吐出面23aに向かって縮径されたノズル32aが穿設されると共に、回路基板31とフィルム33を挟んで対向配置されることで、インク液室34の下面部を形成している。また、ノズルシート32は、例えばニッケルめっき等といった金属薄膜により形成されている。
フィルム33は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、上述したインク流路26と連通される部分を除いて各ノズル32aの周囲を囲むように形成されている。また、このフィルム33は、回路基板31とノズルシート32との間に介在されることによって、インク液室34の側面部を形成している。
インク液室34は、上述した回路基板31、ノズルシート32及びフィルム33により囲まれることで、ノズル32a毎にインク流路26から供給されたインク2を加圧する加圧空間を形成している。
発熱抵抗体35は、インク液室34に臨む回路基板31上に配置されると共に、この回路基板31の制御回路と電気的に接続されている。そして、この発熱抵抗体35は、制御回路により制御されることでインク液室34内のインク2を加熱する。
このような構成のヘッドチップ27では、回路基板31の制御回路が発熱抵抗体35を制御し、選択された発熱抵抗体35に対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間だけパルス電流を供給する。
これにより、発熱抵抗体35が急速に加熱される。すると、発熱抵抗体35と接するインク液室34内のインク2に気泡が発生する。そして、このイン加圧室47内において、気泡が膨張しながらインク2を加圧し、押し退けられたインク2がインク液滴iとなってノズル32aより吐出される。また、インク2の液滴が吐出された後は、インク液室34にインク流路26を通してインク2が供給されることによって、再び吐出前の状態へと戻る。
なお、上述したヘッドチップ27は、母材となるダミー基板の主面上に金属薄膜からなるノズルシート32を成膜し、このノズルシート32上にノズル32aと対向する位置にインク液室34が形成されるようにフォトリソグラフィ技術を用いてフィルム33を積層成形した後に、発熱抵抗体35がノズル32aと対向するように回路基板31をフィルム33条に積層し、最後にダミー基板を除去することで形成される。
また、上述したヘッドチップ27は、発熱抵抗体35によってインク2を加熱しながら吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えば圧電素子等の電気機械変換素子によってインク2の液滴を電気機械的に吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
このように、ヘッドカートリッジ3は、各色に対応するインク吐出ヘッド23が一体化されて連続した吐出面23aを形成する、いわゆるマルチラインヘッドを有している。そして、このインク吐出ヘッド23には、色毎に、ノズル32aを100個〜5000個程度備え、全体では吐出面23aに400個〜20000個程度のノズル32aが設けられている。また、このインク吐出ヘッド23においては、各ノズル32aより約7000分の1秒程度の間隔でインク液滴iを吐出する、いわゆる高速吐出を行うことが可能になっている。
ヘッドキャップ24は、図1に示すように、インク吐出ヘッド23を保護するために設けられたカバーであり、印刷動作するときにはインク吐出ヘッド23より退避する。
このような構成のヘッドカートリッジ3においては、ノズル32aよりインク2と吐出するときに、インク2がアルカリ性を呈している、具体的にはpH7〜pH11の範囲にされていることから、金属薄膜で形成されたノズルシート32等がインク2によって腐食されることを抑えることができる。
次に、以上で説明したヘッドカートリッジ3が装着されるプリンタ装置1を構成するプリンタ本体4について図面を参照して説明する。
プリンタ本体4は、図1及び図5に示すように、ヘッドカートリッジ3が装着されるヘッドカートリッジ装着部41と、ヘッドカートリッジ3をヘッドカートリッジ装着部41に保持、固定するためのヘッドカートリッジ保持機構42と、ヘッドキャップを開閉するヘッドキャップ開閉機構43と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構44と、給排紙機構44に記録紙Pを供給する給紙口45と、給排紙機構44から記録紙Pが出力される排紙口46とを有する。
ヘッドカートリッジ装着部41は、ヘッドカートリッジ3が装着される凹部であり、走行する記録紙Pにデータ通り印刷を行うために、インク吐出ヘッド23の吐出面23aと走行する記録紙Pの紙面とが互いに略平行となるようにヘッドカートリッジ3が装着される。
そして、ヘッドカートリッジ3は、インク吐出ヘッド23内のインク詰まり等で交換する必要が生じる場合等があり、インクカートリッジ11程の頻度はないが消耗品であるため、ヘッドカートリッジ装着部41に対して着脱可能にヘッドカートリッジ保持機構42によって保持される。
ヘッドカートリッジ保持機構42は、ヘッドカートリッジ装着部41にヘッドカートリッジ3を着脱可能に保持するための機構であり、ヘッドカートリッジ3に設けられたつまみ42aをプリンタ本体4の係止孔42b内に設けられた図示しないバネ等の付勢部材に係止することによってプリンタ本体4に設けられた基準面4aに圧着するようにしてヘッドカートリッジ3を位置決めして保持、固定できるようにする。
ヘッドキャップ開閉機構43は、ヘッドカートリッジ3のヘッドキャップ24を開閉する駆動部を有しており、印刷を行うときにヘッドキャップ24を開放してインク吐出ヘッド23の吐出面23aが記録紙Pに対して露出するようにし、印刷が終了したときにヘッドキャップ24を閉塞してインク吐出ヘッド23を保護する。
給排紙機構44は、図5中矢印A方向に記録紙Pを搬送する駆動部を有しており、給紙口45から供給される記録紙Pをヘッドカートリッジ3のインク吐出ヘッド23まで搬送し、ノズル32aより吐出されたインク液滴iが着弾し、印刷された記録紙Pを排紙口46に搬送して装置外部へ排出する。
給紙口45は、給排紙機構44に記録紙Pを供給する開口部であり、トレイ45a等に複数枚の記録紙Pを積層してストックすることができる。排紙口46は、インク液滴iが着弾し、印刷された記録紙Pを排出する開口部である。
次に、以上のように構成されるプリンタ装置1の印刷動作について説明する。なお、本動作は、例えば装置内に備わる図示しないROM(Read Only Memory)等といった記憶手段に格納された処理プログラム等に基づいて図示しないCPU(Central Processing Unit)の演算処理等により実行されるものである。
先ず、ユーザが、印刷動作をプリンタ装置1が実行するように、プリンタ本体4の前面側に設けられている操作ボタン等を操作して命令する。
そして、印刷動作を行う際は、各駆動機構53,54を駆動させて記録紙Pを印刷可能な位置まで移動させる。具体的には、図6に示すように、ヘッドキャップ開閉機構43を構成する駆動モータ等を駆動させてヘッドキャップ24をヘッドカートリッジ3に対してプリンタ装置1の前面側、すなわちトレイ45a側に移動させ、インク吐出ヘッド23の吐出面23aを露出させる。また、給排紙機構44では、図示しない駆動モータ等を駆動させ、記録紙Pをインク2が着弾される吐出面23aと対向する位置まで搬送させる。
次に、印刷位置まで搬送された記録紙Pには、ヘッドチップ27の発熱抵抗体35に所定の間隔でパルス電流が供給されることでインク吐出ヘッド23の各ノズル32aより所定の間隔で吐出されたインク液滴iが着弾され、インクドットからなる画像や文字等が記録される。
このとき、記録紙Pに記録された画像や文字は、記録紙Pに着弾したインク2には最適化された量の所定の水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されており、記録紙Pに対する顔料の定着性と乾燥時間の短縮とが両立されることから、耐水性、耐光性に優れ、さらには高濃度で滲みのない画質となる。
このようにして、給排紙機構44によって走行している記録紙Pには、インク液滴iが適切に吐出、着弾され、印刷データに応じた画像や文字が優れた画質で印刷されることになる。そして、印刷が終了した記録紙Pは、給排紙機構44によって排紙口46まで搬送され、排出される。
以上では、インク2をライン型のプリンタ装置1の記録液として用いた場合を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、インク2は、例えばインクヘッドが記録紙Pの走行方向と略直交する方向に移動するシリアル型の液体吐出装置の記録液としても適用可能である。
以下、上述した本発明を実証するための実施例、及び実施例に対して比較するための比較例について説明する。
〈実施例1〉
実施例1では、色材として平均粒径が100nmのC.I.Pigment Red−122を4重量部と、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が10000のスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を1.2重量部と、界面活性剤としてエアプロダクツ社製のオルフィンE1010を1重量部と、溶媒として2価アルコール系溶剤であるエチレングリコールを20重量部と、液性がアルカリ性になるようにpH調整剤としてトリエタノールアミンを適量と、さらに全体量が100重量部になるように溶媒として水を所定量とを混合、攪拌し、ポアサイズ1μmの濾過フィルターにて濾過し、水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例2〉
実施例2では、水溶性有機樹脂化合物であるスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を8重量部にしてこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例3〉
実施例3では、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が10000のスチレン−アクリル酸共重合体のカリウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例4〉
実施例4では、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が10000のスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例5〉
実施例5では、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が2000のスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例6〉
実施例6では、2価アルコール系溶剤であるエチレングリコールを5重量部にしたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例7〉
実施例7では、2価アルコール系溶剤として1,2−プロパンジール(プロピレングリコール)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール形溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例8〉
実施例8では、2価アルコール系溶剤として1,3−ブタンジオールを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例9〉
実施例9では、2価アルコール系溶剤として1,5−ペンタンジオールを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈実施例10〉
実施例10では、2価アルコール系溶剤としてエチレングリコールと1,2−プロパンジールとの等容量混合溶剤を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例1〉
比較例1では、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が11000のスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例2〉
比較例2では、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が1900のスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例3〉
比較例3では、水溶性有機樹脂化合物として平均重量分子量が10000のスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例4〉
比較例4では、水溶性有機樹脂化合物であるスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を1.1重量部にしたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例5〉
比較例5では、水溶性有機樹脂化合物であるスチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩を9重量部にしたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例6〉
比較例6では、スチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩の代わりに平均重量分子量が10000のポリアクリル酸のナトリウム塩を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてインクを調製した。
〈比較例7〉
比較例7では、スチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩の代わりに平均重量分子量が10000のヒドロキシエチルセルロースを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてインクを調製した。
〈比較例8〉
比較例8では、スチレン−アクリル酸共重合体のナトリウム塩の代わりに平均重量分子量が10000のポリビニルアセタールを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてインクを調製した。
〈比較例9〉
比較例9では、溶媒として2価アルコール系溶剤であるエチレングリコールを4重量部にしたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例10〉
比較例10では、溶媒として2価アルコール系溶剤であるエチレングリコールを21重量部にしたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール系溶剤とが含有されたインクを調製した。
〈比較例11〉
比較例11では、2価アルコール系溶剤の代わりにトリエチレングリコールを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてインクを調製した。
〈比較例12〉
比較例12では、2価アルコール系溶剤の代わりに1,6−ヘキサンジオールを用いたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてインクを調製した。
〈比較例13〉
比較例13では、トリエタノールアミンの代わりに酢酸を用いてpH調整し、液性が酸性を示すようにしたこと以外は、上述した実施例1と同様にして水溶性有機樹脂化合物と2価アルコール形溶剤とが含有されたインクを調製した。
次に、以上のようにして得られた各実施例及び各比較例のインクをインクカートリッジに充填してヘッドカートリッジに装着したライン型のインクジェットプリンタ装置にてインクを吐出し、エプソン社製のインクジェット用光沢紙(写真用紙(光沢))に600dpiの解像度で所定の範囲を塗りつぶす、いわゆるベタ印刷を行った。
そして、各実施例及び各比較例を用いてベタ印刷した画像について、印画10分後の擦過性、印画60分後の擦過性、耐水性を評価した。また、プリンタ装置のノズル面におけるノズル内のインクの乾燥状態を評価した。
具体的に、擦過性は次のように評価した。印画後、所定時間経過した画像の濃度をMacbeth社製の濃度計(型式:TR924)にて測定した後に、印刷された画像を大栄科学製作所製の染色物摩擦堅牢試験機(型式:RT−200)を用い、小津産業社製のセルロール不織布(商品名:ベンコットM−3)で100g/cmの荷重を加えながら30往復/分の速度で5往復擦り、色落ちの程度を再び濃度計で測定した。そして、擦過性は、初期の濃度に対する色の残り具合、すなわち残存率が80%以上のものを○印で示し、80%未満のものを×印で示した。
耐水性は次のように評価した。印画後、24時間経過した画像の濃度を濃度計で測定した後に、印刷された画像を純水中に紙ごと10分間浸漬し、水中より取り出した後にセルロース不織布で水分を拭き取った後に、色落ちの程度を再び濃度計で測定した。そして、耐水性は、残存率が80%以上のものを○印で示し、80%未満のものを×印で示した。
ノズル内のインク乾燥は次のように評価した。ノズル面を大気中に120秒曝した後に、印画を行い、問題なく印刷できた場合を○印で示し、インク着弾位置のばらつきや、インク不吐出等といった吐出特性の劣化があった場合を×印で示した。
以下、表1に、各実施例及び各比較例における印画10後の擦過性、印画60分後の擦過性、耐水性、ノズル内のインク乾燥について評価した結果を示す。
Figure 2005320382
表1に示す評価結果から、平均重量分子量が2000及び10000の水溶性有機樹脂化合物を含有する各実施例は、平均重量分子量が11000の水溶性有機樹脂化合物を含有する比較例1及び平均重量分子量が1900の水溶性有機樹脂化合物を含有する比較例2に比べ、10分後の擦過性が優れていることがわかる。
このことから、インクに重量平均分子量が2000未満であったり、10000を超えたりする水溶性有機樹脂化合物を含有させた場合、インクの乾燥時間の短縮化を図ることが困難であることがわかる。
また、表1に示す評価結果から、ナトリウム塩若しくはカリウム塩からなる水溶性有機樹脂化合物を含有する各実施例は、アンモニウム塩からなる水溶性有機樹脂化合物を含有する比較例3に比べ、ノズル内のインクが乾燥しにくく、ノズルが大気に曝された後の吐出特性が優れていることがわかる。
さらに、表1に示す評価結果から、インク中に含有されている水溶性有機樹脂化合物が1.2重量%〜8重量%の範囲にある、すなわち顔料に対して重量比で0.3倍〜2倍の範囲にある各実施例は、インク中に水溶性有機樹脂化合物を1.1重量%含有、すなわち顔料に対して重量比で0.275倍含有させた比較例4に比べ、擦過性に優れていることがわかる。また、各実施例は、水溶性有機樹脂化合物を9重量%含有、すなわち顔料に対して重量比で2.25倍含有させた比較例5に比べ、ノズルが大気に曝された後の吐出特性が優れていることがわかる。
比較例4は、水溶性有機樹脂化合物の含有量が顔料に対して重量比で0.3倍未満であり、水溶性有機樹脂化合物の含有量が少なすぎて水溶性樹脂化合物による作用効果を得ることが困難なことから、紙に対する顔料の定着性を高めることができず、印刷された画像を擦ると顔料が大量に欠落してしまう。
比較例5は、水溶性有機樹脂化合物の含有量が顔料に対して重量比で2倍を越えており、紙に対する定着性を高めるといった作用効果が飽和することの他に、インクの粘度を高くさせて吐出特性を劣化させる虞がある。すなわち、比較例5は、ノズルが大気に曝されたことによりインクが乾燥して増粘したことの他に、過剰に含有された水溶性有機樹脂化合物によりインクが増粘して吐出特性を劣化させてしまう。
これらのことから、各実施例のように、水溶性有機樹脂化合物の含有量を顔料に対して重量比で0.3倍〜2倍の範囲にすることは、擦過性及び吐出特性に優れるインクを得る上で大変重要であることがわかる。
さらにまた、表1に示す評価結果から、水溶性有機樹脂化合物としてスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩を含有させた各実施例は、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩の代わりにこれら以外の化合物を含有させた比較例6〜比較例8に比べ、擦過性及び耐水性に優れていることがわかる。
比較例6〜比較例8では、紙に対する顔料の定着性を高めることが可能な水溶性有機樹脂化合物が含有されていないことから、印画から10分後に画像を擦ったり、水に浸漬したりすると顔料が大量に欠落してしまう。
これらに対し、各実施例では、水溶性有機樹脂化合物としてスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩が含有されており、紙に対する顔料の定着性が高められていることから、擦過性に優れたインクとなる。
さらにまた、表1に示す評価結果から、2価アルコール系溶剤の含有量が5重量%〜20重量%の範囲にされて各実施例は、2価アルコール系溶剤の含有量が4重量%の比較例9に比べ、ノズルが大気に曝された後の吐出特性が優れていることがわかる。また、各実施例は、2価アルコール系溶剤の含有量が21重量%の比較例10に比べ、10分後の擦過性が優れていることがわかる。さらに、溶媒として2価アルコール系溶剤を含有する各実施例は、2価アルコール系溶剤の代わりにトリエチレングリコールを含有させた比較例11及び1,6−ヘキサンジオールを含有させた比較例12に比べ、10分後の擦過性が優れていることがわかる。
比較例9は、2価アルコール系溶剤の含有量がインク全体に対して4重量%と少なく、顔料等が沈殿する等といった物性劣化が起こり、吐出特性が劣化する。すなわち、比較例9は、ノズルが大気に曝されたことによりインクが乾燥して増粘したことの他に、インクに物性劣化が起こって吐出特性を劣化させてしまう。
比較例10は、2価アルコール系溶剤の含有量がインク全体に対して21重量%と過剰であり、2価アルコール系溶剤が水よりも揮発性が低いことから、乾燥時間の短縮化が困難になる。
比較例11及び比較例12は、乾燥時間の短縮化が可能な2価アルコール系溶剤が含有されていないことから、乾燥時間の短縮化が困難になる。
これらの比較例に対し、各実施例は、乾燥時間の短縮化が可能な2価アルコール系溶剤が5重量%〜20重量%と適量含有されていることから、インクに物性劣化が起こることや、乾燥時間が長くなるといった不具合を抑えることができ、擦過性や吐出特性に優れたインクとなる。
そして、比較例13は、液性が酸性にされたことで含有させた水溶性有機樹脂化合物がインク中に析出して沈殿し、ノズルよりインクを吐出することが困難な状態になることから、各評価を行うことができなかった。
以上ことから、インクを調製するに際して、水溶性有機樹脂化合物及び2価アルコール系溶剤を選定し、これらの含有量を最適化することは、紙に対する顔料の定着性と乾燥時間の短縮とを両立させることが可能な優れたインクを調整する上で大変重要であることがわかる。
本発明が適用されたインクジェットプリンタ装置を示す分解斜視図である。 同インクジェットプリンタ装置に備わるプリンタヘッドカートリッジを模式的に示す図である。 同プリンタヘッドカートリッジの吐出面を一部透視して示す平面図である。 同プリンタヘッドカートリッジに備わるヘッドチップを示す断面図である。 同インクジェットプリンタ装置の構成を示す透視側面図である。 同インクジェットプリンタ装置の駆動機構の構成を一部透視して示す側面
符号の説明
1 インクジェットプリンタ装置(液体吐出装置)、2 インク、3 プリンタヘッドカートリッジ、4 プリンタ本体、11 インクカートリッジ、12 カートリッジ本体、22 接続部、23 インク吐出ヘッド、23a 吐出面、27 ヘッドチップ、32a ノズル

Claims (4)

  1. 対象物に付着させて記録を行うための記録液において、
    少なくとも水を含む溶媒と、
    上記溶媒に分散される顔料と、
    スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩のうち何れか一種又は複数種からなる水溶性有機樹脂化合物とを含有してなり、
    上記溶媒は、水の他に、エーテル結合を有さない2価アルコール系溶剤を5重量%〜20重量%の範囲で含有し、上記水溶性有機樹脂化合物は、上記顔料に対して重量比で0.3倍〜2倍の範囲で含有され、且つ液性がアルカリ性を示すことを特徴とする記録液。
  2. 上記アルカリ金属塩は、カリウム塩若しくはナトリウム塩であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
  3. 上記水溶性有機樹脂化合物は、重量平均分子量が2000〜10000の範囲であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
  4. 上記溶媒は、エチレングリコール、1,2−プロパンジール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオールのうち何れか一種又は複数種からなる2価アルコール系溶剤を含有していることを特徴とする請求項1記載の記録液。
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