JP2007169176A - サイトカイン病態治療医薬製剤 - Google Patents

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雅樹 広瀬
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西川  学
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、毒性が少なく、治療及び予防効果が早期に現われる薬剤を提供し、さらに、肝炎(劇症肝炎)、肝硬変、肝細胞癌、肝不全、エンドトキシンショック、骨粗鬆症、骨転移癌等の治療や予防に有効な薬剤を提供しようとするものである。
【解決手段】 単糖類結合型ビスホスホネート誘導体を投与することにより、肝炎、エンドトキシンショック病態等を軽減し、さらに、骨粗鬆症、骨転移癌の増殖を抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、肝炎およびエンドトキシンショックといったサイトカイン病態に卓越した効能を有する新規化合物に関するものであり、当該化合物及びその塩及びこれらの物質を有効成分として含有する医薬製剤とに関する。
骨髄から生じる白血球の特定の細胞株でありそして事実上生物の全ての組織に存在する樹状細胞(dendritic cell)は、免疫応答の制御において重要な役割を果たす。これらの細胞は、実際に、インビボで天然および成熟Tリンパ球へ抗原を提示し、そしてこれらTリンパ球の活性化を介してヘルパーTタイプの免疫応答を誘発し得る唯一のものである。
Tリンパ球の樹状細胞による活性化は、後者による抗原の前認識およびインターナリゼーションを含む。ここで、樹状細胞による抗原のインターナリゼーションは、マクロピノサイトーシスによって、ならびにメディエーターとして炭水化物の特異的レセプターを有し、そしてマンノースレセプター と呼ばれるエンドサイトーシス機構を介して行われることが示されている。
マンノースレセプター は、炭水化物と非共有結合を形成するカルシウム依存糖蛋白のグループを示すC−レクチンのファミリーに属する。その名前が示唆するように、マンノースレセプター は優先的にD−マンノースに結合することが明らかになっている(非特許文献1)。したがって、薬剤等にD−マンノースを結合させることにより、ターゲットとなる疾病箇所に効果的に薬剤を運搬できる可能性が考えられる。
一方、ビスホスホネート類は、骨再吸収が増加した種々の良性および悪性の疾患の両方における破骨細胞活性の阻害に広く使用されている。例えば、非特許文献2によると、ビスホスホネート類の中でもアレンドロネートが骨粗鬆症の治療に有効であることが明らかにされており、また、がん細胞に対しても効果があることが示唆されている(非特許文献3)。
Pontow SE, Kery V, Stahl PD著、「Mannose receptor」、Int Rev Cytol.、 137B、P221-244、1992 Selby著、「Alendronate treatment for osteoporosis: a review of the clinical evidence」、Osteoporos Int.、 6(6)、P2419-426、1996 Van der Pluijim G, Vloedgrave H, van Beek E, vander Wee-Pals L, Lowik C, Papapoulos S.著、「Bisphosphonates inhibit the adhesion of breast cancer cells to bone matrices in vitro.」、J Clin Invest. 、 1;98(3)、P698-705、1996
本発明の目的は、毒性が少なく、治療及び予防効果が早期に現われる薬剤を提供し、さらに、肝炎(劇症肝炎)、肝硬変、肝細胞癌、肝不全、エンドトキシンショック、骨粗鬆症、骨転移癌等の治療や予防に有効な薬剤を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、一般式(I)に記載する単糖類結合型ビスホスホネート誘導体が、予想外にも優れた肝炎およびエンドトキシンショック病態軽減作用を有し、更に安定性等の医薬品としての物性においても優れた性質を有しており、哺乳動物の肝炎およびエンドトキシンショック病態または疾患の予防・治療薬 として安全でかつ有用な医薬となることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。即ち、本発明は、単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩であって、具体的には肝炎病態軽減、および/またはエンドトキシンショック病態を予防する治療用医薬製剤である。また、具体的には骨粗鬆症予防、および/または骨転移癌の増殖を抑制する治療用医薬製剤に関する。
本発明の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体により、肝炎病態及びエンドトキシンショック病態を軽減することができ、さらに骨粗鬆症及び骨転移癌の増殖を抑制することができる。
以下、本発明にかかる単糖類結合型ビスホスホネート誘導体について説明することとする。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明による単糖類結合型ビスホスホネート誘導体とは、一般式(I)ALN-S-MAN
(式中、ALNはビスホスホネート誘導体を、Sはスペーサー分子 を、MANは単糖類)で表される単糖類結合型ビスホスホネート誘導体であって、式中ALNがアレンドロネート 、クロドロネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロネート、オルパドロネート、レジドロネート及びネリドロネートのいずれであってもよいが、好ましくはアレンドロネートである。また前記一般式(I)において、式中MANがグルコース、ガラクトース、キシロース、D−マンノース及びグルクロン酸のいずれであってもよいが、好ましくはD−マンノースである。さらに、また前記一般式(1)において、式中Sがジチオビスサクシニミヂルプロピオネート(Dithiobis(succinimidylpropionate)、DSP)又は3,3’チオビス(サルフォスクシニミジルプロピオネート)(3,3’-Dithiobis(sulfosuccinimidylpropionate、DTSSP)であってもよいが、好ましくはジチオビスサクシニミヂルプロピオネート(Dithiobis(succinimidylpropionate)、DSP)である。
本発明でいう「肝炎」とは、肝臓のびまん性の炎症性疾患であり、その重症度や病期によって急性肝炎、劇症肝炎、亜急性肝炎、持続性肝炎、慢性肝炎などに分類される。また、肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎、飲酒によるアルコール性肝炎、薬物による薬物性肝炎、重金属による重金属中毒肝炎、自己免疫機序による自己免疫性肝炎を含む病態である。
また、本発明でいう「エンドトキシンショック」とは、敗血症などの重篤な細菌感染症などが原因となって感染菌によって産生されるエンドトキシン(リポ多糖;以下、LPSともいう)の作用によって引き起こされるショック病態である。
また、本発明における治療用医薬製剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)に対して投与するものである。
本発明の化合物の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、例えばトリフルオロ酢酸、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ホスホン酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、硫酸等の酸との酸付加塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン等の有機塩等が挙げられる。
本発明の化合物またはその塩はそのままあるいは薬理学的に許容される担体を配合し、経口的又は非経口的に投与することができる。化合物またはその塩を含有する本発明の製剤は、経口投与する場合の剤形としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられ、また、非経口投与する場合の剤形としては、例えば注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤等が挙げられる。また、適当な基剤(例、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル等)と組み合わせて徐放性製剤とすることも有効である。本発明製剤中の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して0.001重量%ないし85重量%、好ましくは0.1重量%ないし70重量%である。
化合物またはその塩を上記の剤形に製する方法としては、当該分野で一般的に用いられている公知の製造方法を適用することができる。また、上記の剤形に製する場合には、必要に応じて、その剤形に製する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を適宜、適量含有させて製造することができる。
例えば、化合物またはその塩を錠剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含有させて製造することができ、丸剤及び顆粒剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有させて製造することができる。また、散剤及びカプセル剤に製する場合には賦形剤等を、シロップ剤に製する場合には甘味剤等を、乳剤又は懸濁剤に製する場合には懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を含有させて製造することができる。
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、ショ糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤の例としては、5ないし10重量%デンプンのり液、10ないし20重量%アラビアゴム液又はゼラチン液、1ないし5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリン等が挙げられる。
崩壊剤の例としては、でんぷん、炭酸カルシウム等が挙げられる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルク等が挙げられる。
甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイト等が挙げられる。
乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80等が挙げられる。
更に、化合物またはその塩を上記の剤形に製する場合には、所望により、精製分野において通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を適量添加することができる。
化合物またはその塩を含有する本発明の製剤は、安定かつ低毒性で安全に使用することができる。その1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、肝炎などの患者に経口投与する場合には、成人(体重約60kg)1日当りの投与量は有効成分(化合物またはその塩)として約1ないし1000mg、好ましくは約3ないし300mg、さらに好ましくは約10ないし200mgであり、これらを1回または2ないし3回に分けて投与することができる。
本発明の化合物またはその塩を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例えば注射剤)の形で投与する。その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば注射剤の形にして、通常体重1kgあたり約0.01mg〜約100mg、好ましくは約0.01〜約50mg、より好ましくは約0.01〜20mgを静脈注射により投与するのが好都合である。注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などが含まれ、また持続性製剤としては、イオントフォレシス経皮剤などが含まれる。かかる注射剤は自体公知の方法、すなわち、本発明の化合物またはその塩を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製される。注射用の水性液としては生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80、HCO-50)などと併用してもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、アンプルに充填される。
本発明の化合物と他の薬剤を併用する場合、本発明の化合物と併用薬剤の投与形態は特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬剤とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物→併用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01ないし100重量部用いればよい。
本発明はさらに下記の実施例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
(実施例1)
(化合物1、D−マンノース結合型アレンドロネートの調整)
図1に示すように、DSP/10 % volume (PIERCE社製、Dithiobis [succinimidylpropionate]、200 mg, 0.49 mmol)DMSO溶液を作製し、そこへD-Mannosamine /50 mM(CALBIOCHEM社製、D-Mannosamine, Hydrochloride、 100 mg, 0.46 mmol)トリエタノールアミン(pH 8.0)をゆっくりと滴下し氷上で反応させた。3時間の反応後、そこへAlendronate sodium (万有製薬社製、150 mg, 0.46 mmol)/50 mM トリエタノールアミン(pH 8.0)をゆっくりと滴下し、さらに3時間反応させた。その後、0.1 mMグリシン、0.1 mM EDTA 溶液(pH 8.0)を加え、12時間4℃にて静置した。12時間後、反応溶液は同様量のヘキサンと2回分液し、不純物を取り除いた。さらに、Micro Bio-spin(BIO-RAD社製)により脱塩を行い、溶離液を濃縮することによりD−マンノース結合型アレンドロネート(以下、MAN-ALNという。図2)を得た。
(実施例2)
(MAN-ALNによるクッパー細胞数低減効果)
(方法)
10〜12週齢のC57BL/6マウス(各群n=5)に実施例1で調整したMAN-ALN(MAN-ALN群)およびアレンドロネート(ALN群)をそれぞれ0、0.01、0.1、1μmol/mouse投与した。12時間後、マウスを解剖し、肝臓中のクッパー細胞数を測定した。
(結果)
結果を図3に示す。肝臓における単位面積当たりのクッパー細胞数において、MAN-ALN群はALN群に比して低値を示した。クッパー細胞は、肝臓の類洞内皮に常在する貪食性の細胞で、肝疾患発生に重要な役割を果たすことが知られている。実施例2の結果より、MAN-ALNは個体レベルで肝臓のクッパー細胞を短時間にかつ強力かつ特異的に細胞自殺に導くことが明らかとなった。
(実施例3)
(マンノース投与に対するMAN-ALNのクッパー細胞数低減効果)
(方法)
10〜12週齢のC57BL/6マウス(各群n=5)にD-マンノース(和光純薬工業)を1 μmol/mouse投与し、3時間後、MAN-ALNを1 μmol/momse投与した(MAN-ALN+mannose群)。また、対照として、同様のマウスに、D-マンノースを投与せずにMAN-ALNを1 μmol/mouse投与した(MAN-ALN群)12時間後、マウスを解剖し、肝臓中のクッパー細胞数を測定した。
(結果)
結果を図4に示す。肝臓における単位面積当たりのクッパー細胞数において、MAN-ALN群はMAN-ALN+mannose群に比して低値を示した。MAN-ALNを投与する前にD-マンノースを投与することによりMAN-ALNのクッパー細胞枯渇作用が抑制されたことから、クッパー細胞に存在するマンノースレセプターにあらかじめ投与したマンノースが結合し、MAN-ALNとマンノースレセプターの結合が阻害されたと考えられる。
(実施例4)
(TNF-αおよびIL-1βの測定)
(方法)
10〜12週齢のC57BL/6マウス(各群n=5)にアレンドロネート、MAN-ALN を1 μmol/mouse、投与し、その12時間後、LPS(1.0 mg/kg、DIFCO社製)を投与した。1時間後、マウスを解剖し、抹消血におけるTNF-αおよびIL-1βを市販の測定キット(TNF-α:ELISA法、Mouse TNF-α Immunoassay、TECHNE社製、 IL-1β:ELISA法、Mouse IL-1β ELISA Kit、PIERCE社製)を用いて測定した。
(結果)
結果を図5に示す。MAN-ALN群は、LPS刺激によるクッパー細胞由来のTNF-α分泌量において、LPS群およびアレンドロネート群に比して低値を示した。またIL-1β分泌量において、MAN-ALN群は、LPS群およびアレンドロネート群に比して低値を示した。これにより、MAN-ALNが肝炎病態やエンドトキシンショック病態といったサイトカイン病態を軽減する作用を有することが明らかになった。
(実施例5)
(MAN-ALNによる生存率改善)
(方法)
実施例4で作成した条件のマウスに、クッパー細胞枯渇後、致死量のLPS(1.5mg/mouse)を投与し、マウスの生存率を比較した。なお、クッパー細胞の枯渇は、マクロファージを認識するF4/80(Serotec社製) 抗体で免疫染色を行い、F4/80-positive細胞が無いことにより確認した。
(結果)
結果を図6に示す。コントロールマウスにおいて、LPSの投与24時間後は生存率が0%であり、MAN-ALN群においてLPS投与24時間後は生存率が100%であった。一方、ALN群において、LPS投与24時間後は生存率が40%であった。
以上のように、本発明にかかる医薬製剤は、強力かつ特異的にサイトカイン病態を軽減することから、肝炎、エンドトキシンショック病態を治療する医薬製剤に利用できる。よって、本発明は、サイトカインが関連する疾病抑制等の広範な分野に利用が可能である。
化合物MAN-ALNの調整方法である。 化合物MAN-ALNの構造式である。 本発明にかかる実施例2におけるMAN-ALNによるクッパー細胞数低減効果の評価結果である。 本発明にかかる実施例3におけるマンノース投与に対するMAN-ALNのクッパー細胞数低減効果の評価結果である。 本発明にかかる実施例4におけるTNF-αおよびIL-1βの測定結果である。 本発明にかかる実施例5におけるマウス生存率の評価結果である。

Claims (9)

  1. 一般式(1)ALN-S-MAN(式中、ALNはビスホスホネート誘導体を、Sはスペーサー分子 を、MANは単糖類を示す)で表される化合物であって、単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩。
  2. 前記ビスホスホネート誘導体が、アレンドロネート 、クロドロネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロネート、オルパドロネート、レジドロネート及びネリドロネートからなる群より選ばれる請求項1記載の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩。
  3. 前記ビスホスホネート誘導体が、アレンドロネートである請求項1記載の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩。
  4. 前記単糖類がグルコース、ガラクトース、キシロース、D−マンノース及びグルクロン酸からなる群より選ばれる請求項1記載の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩。
  5. 前記単糖類がD−マンノースである請求項1記載の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩。
  6. 前記スペーサー分子がジチオビスサクシニミジルプロピオネート(Dithiobis(succinimidylpropionate)、DSP)である請求項1記載の単糖類結合型ビスホスホネート誘導体またはその塩。
  7. 一般式(I)により表される請求項1記載の化合物を有効成分として含有することを特徴とする肝炎およびエンドトキシンショックの治療用医薬製剤。
  8. 一般式(I)により表される請求項1記載の化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨粗鬆症治療用医薬製剤および骨転移癌の増殖抑制用医薬製剤。
  9. 薬剤学的に許容される賦形剤、補助剤、希釈剤、等張化剤、保存剤、滑沢剤及び/又は溶解補助剤をさらに含み、薬剤学的に許容される方法により、薬剤学的に許容される製剤形態で製剤化した、請求項7ないし8記載の医薬製剤。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017126700A1 (ja) * 2016-01-20 2017-07-27 芳則 森山 小胞型ヌクレオチドトランスポーター活性阻害剤

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