JP2007168438A - タイヤの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩耗してもトレッド性能を維持できるタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ10の形成方法が、少なくとも1つの補強プライ16と、1対のサイドウォール20と、1対のビード部分18とを有するカーカス12を形成するステップと、ベルト構造をカーカス12上に配置するステップと、トレッド材を形成するステップと、トレッド材をベルト構造上に配置するステップと、タイヤ10の半径方向外側表面に溝32を形成するための少なくとも1つのリブを有する金型内で、タイヤ10を硬化させるステップとを含む。硬化したタイヤ10内に埋め込み溝34を作るチューブが、タイヤ10を硬化させる前に、トレッド材に隣接して、またはトレッド材内に配置される。タイヤ10のトレッド28の摩耗が所定のレベルになったら、トレッド28内の溝が増えるように、チューブが現れて開口する。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ10の形成方法が、少なくとも1つの補強プライ16と、1対のサイドウォール20と、1対のビード部分18とを有するカーカス12を形成するステップと、ベルト構造をカーカス12上に配置するステップと、トレッド材を形成するステップと、トレッド材をベルト構造上に配置するステップと、タイヤ10の半径方向外側表面に溝32を形成するための少なくとも1つのリブを有する金型内で、タイヤ10を硬化させるステップとを含む。硬化したタイヤ10内に埋め込み溝34を作るチューブが、タイヤ10を硬化させる前に、トレッド材に隣接して、またはトレッド材内に配置される。タイヤ10のトレッド28の摩耗が所定のレベルになったら、トレッド28内の溝が増えるように、チューブが現れて開口する。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤの形成方法に関し、特に、タイヤが摩耗した時に異なるトレッドパターンが生じるようにトレッドが構成されている空気入りタイヤの形成に関する。
タイヤトレッドパターンは、複数のリブや複数のブロックなどの多数の部材を備えており、これらの部材は、周方向および/または横方向の複数の溝によって分離されている。複数の溝は、水を排出する手段を形成するとともに、トレッド部材の、路面に食いつく縁部(biting edges)を形成している。
タイヤが新しい時に、トレッドは最大トレッド高さを有する。この初期高さは、タイヤの、意図された用途に応じて変えてもよく、冬用タイヤはオールシーズンタイヤに比べてトレッドが深い。初期のトレッド深さにかかわらず、タイヤが新しい時にはトレッド部材は初期の剛性を有している。トレッド部材の実際の剛性は、ブロックの大きさ、形状、サイプの有無、およびトレッド複合物によって決まる。トレッドが摩耗すると、ブロック高さが減少する一方、トレッド部材の剛性は高くなる。トレッド剛性が高くなるにつれて、濡れた路面でのスリップや濡れた路面でのハンドリングなどの、いくつかの望ましいタイヤの特性が低くなる。トレッドが摩耗すると、溝の容積が減少するためハイドロプレーニング特性も低くなる。そこで、タイヤが摩耗した時に、タイヤの性能特性をより良く維持することが望まれる。
特許文献1は、所望の溝の容積を維持するためのタイヤの製造方法を開示しており、タイヤは、トレッドが摩耗した時に現れる埋め込み溝を作る金型によって製造される。
米国特許明細書第6,408,910号
米国特許明細書第5,141,587号
米国特許明細書第5,3544,404号
米国特許明細書第5,554,242号
米国特許明細書第6,139,668号
しかし、このようなタイヤは、埋め込み溝を作る金型を取り除く必要があるため、製造が困難であり、この方法の使用は、トレッドの縁部につながっている、または溝内に開口している埋め込み溝の形成だけに限定される。
本明細書では空気入りタイヤの形成方法を開示している。タイヤは、変化可能なトレッドパターンを有するように構成されており、新しい時と摩耗した時の両方で、タイヤが同様のトレッド性能を達成するように、トレッドパターンが、摩耗につれて変化する。変化するトレッドパターンは、タイヤの、濡れた路面での性能特性を維持しようとして、摩耗したタイヤの性能を最適化する。
本明細書ではタイヤを製造する方法を開示している。このタイヤは、カーカスとベルト構造とトレッドとを有している。トレッドは変化するトレッド構造を有し、トレッド構造はトレッドの様々な深さの位置で異なっている。このタイヤの製造方法は、a)少なくとも1つのカーカス補強プライと、互いに対向する1対のサイドウォールと、互いに対向する1対のビード部分とを有するカーカスを形成するステップと、b)ベルト構造をカーカスの半径方向外側表面に配置するステップと、c)長手方向に平行で互いに対向する2つの表面を有するトレッド材を形成するステップと、d)トレッド材をベルト構造の半径方向外側面に配置するステップと、e)タイヤの半径方向外側表面に溝を形成するための少なくとも1つのリブを有する金型内で、タイヤを硬化させるステップとを含む。本発明によると、硬化したタイヤ内に埋め込み溝を作るチューブが、タイヤを硬化させる前に、トレッド材に隣接して、またはトレッド材内に配置される。タイヤのトレッドの摩耗が所定のレベルになり、タイヤがいくらか摩耗した後でトレッド内の溝が増えるように、さらに摩耗する間にチューブが現れて開口する。
開示された方法の一実施態様では、トレッド材は押し出し成形によって形成され、チューブが内部に配置される少なくとも1つの溝が、トレッド材内に形成される。形成された溝は、トレッド材の長手方向に沿って延びていてもよく、または、トレッド材の長手方向を横切っていてもよい。形成された溝は、連続していてもよく、または、不連続で長さが短い溝であってもよく、すなわち長さが短い一連の溝の組であってもよい。このような溝が形成された、押し出し成形されたトレッド材の場合、硬化前にトレッド材内に形成された溝が、硬化したタイヤの半径方向外側表面上に形成されたいずれの溝とも一致しないことが好ましい。
本発明の他の実施態様では、トレッド内に、またはトレッドに隣接して配置されたチューブが、タイヤの加硫中に破壊されない材料から形成される。チューブは、タイヤの全周にわたって延びている連続したリング状のチューブ、予め形成され、端部が開口している任意の長さのチューブ、または、任意の長さの、少なくとも1つの可撓性の円筒であってもよい。チューブは0.10mmから5mmの範囲内の厚さを有していることが好ましい。チューブは、ビニル共重合体または熱可塑性材料で形成されていてもよい。チューブには、トレッドの摩耗中にチューブ材が摩耗して無くなったときに解放される充填材料が供給されていてもよい。
本発明の他の態様では、チューブは予め形成された形状を有していてもよい。このような、予め形成された形状は、円形、長円形、2次元の曲線形状、正方形、長方形、台形、四角形、五角形、六角形、および多角形からなるグループから選択されていてもよい。
本発明の他の態様では、タイヤの硬化中に、チューブは、トレッド金型の表面から延びている複数のニードル、トレッド金型の表面から延びている複数の金型リブ、または、トレッド金型の表面から延びている複数のサイプブレードによって、所望の位置に保持されている。
本発明の他の態様では、トレッド材をベルト構造の半径方向外側表面上に配置する前に、クッションゴムをベルト構造上に配置する追加のステップが行われてもよい。
本明細書では、開示された製造方法によって作られたタイヤとその変形例も開示されている。
開示されているタイヤは、カーカスとベルト構造とトレッドとを有している。トレッドは、周方向の少なくとも1つの表面溝、または横方向の少なくとも1つの表面溝と、変化するトレッド構造とを有し、トレッド構造はトレッドの様々な深さの位置で異なっている。トレッドは埋め込み溝を有し、埋め込み溝は表面溝のいずれとも連通していない。トレッドは、タイヤの残りの部分と同じ金型内で、残りの部分と同時に全て硬化する、少なくとも1つのゴム基体で形成されている。
[定義]
開示されている発明は、以下の定義によって規定される。
開示されている発明は、以下の定義によって規定される。
「環状の」は、リング状に形成されていることを意味する。
「変化するトレッド構造」は、トレッドの様々な深さ位置で、すなわち様々な摩耗レベルで異なっているトレッド構造を意味する。
「インナー」はタイヤの内側に向かうことを意味し、「アウター」はタイヤの外側に向かうことを意味する。
「横方向」は軸線方向を意味する。
「ノンスキッド」は、タイヤトレッドの溝の深さを意味する。
「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸線に対して半径方向に向かう、または離れる方向を意味する。
以下、本発明の実施の形態について、添付された図面を参照して説明する。
以下の説明は、本発明を実施する、現在考え得る最良の1つまたは複数の形態に関するものである。本説明は、本発明の一般原理を説明するためのものであり、限定的な意味に捉えられるべきではない。本発明の範囲は、添付されている特許請求の範囲を参照することによって最もよく理解されるであろう。
図1は、本発明によって形成された空気入りタイヤ10の断面図である。タイヤ10は、インナーライナー14と、互いに対向する1対のビード部分18の間を延びている少なくとも1つの補強プライ16と、互いに対向する1対のサイドウォール20とを含むカーカス構造12を有している。カーカス12の半径方向外側にはベルトパッケージ22がある。ベルトパッケージ22は、通常、交差する複数の補強コードの少なくとも2つのプライ24を有している。交差する複数のコードプライ24とベルトパッケージ22の一部の半径方向外側には、タイヤ10の周方向に実質的に平行に傾いている複数のコードの被覆プライ26が存在してもよい。
タイヤ10の半径方向外側表面上に位置しているタイヤトレッド28は、ブロックおよび/またはリブの形態の複数のトレッド部材30によって形成されていることを特徴とする。このような複数のトレッド部材30は、周方向に延びているおよび/または横断方向に延びている複数の溝32によって形成されている。トレッド表面の内部には、少なくとも1つの埋め込み溝(buried groove)34が位置している。埋め込み溝34は、少なくとも部分的に周方向に延びていることが好ましい。さらに、埋め込み溝34は、トレッド4が摩耗していない段階では、タイヤトレッド28のあらゆる表面溝32と連通していないこと、すなわち、タイヤトレッド28のトレッド部材30の中で独立していることが好ましい。なお、表面溝32は、タイヤ10が摩耗していない段階でトレッド表面36に存在する溝と定義される。
図2のトレッドでは、摩耗していない段階では、トレッドを5列のトレッド部材に分割している、周方向に延びている4つの溝によって、トレッドが形成されている。トレッド中心線CL上に位置しているトレッド部材の列40は、2つの周方向溝42,44によって範囲が定められたリブである。中央のトレッド部材の列40の境界を定めている2つのトレッド部材の列46,48は、周方向の列42,44,52,54と横方向溝56によって形成されている複数のブロック50である。
外側の周方向列52,54の軸線方向外側には、軸線方向に最も外側のトレッド部材の列58,60が存在している。これらの列58,60は、複数のブロック62を有している。複数のブロック62は、周方向の溝52,54と、斜めになっている横方向溝64とによって形成されているが、複数のブロック62は、接続部材66によって軸線方向内側縁部で接続されている。複数のブロック50、62と接続部材66には、トレッド内の、食いつく縁部(biting edges)の数を増加させるサイプ68も設けられている。
図3のトレッドは、図2のトレッドの、約30パーセント摩耗した後の状態である。摩耗したトレッドは、中央のトレッド部材の列40を、2つの狭幅の列70,72に分割する追加の周方向溝34を有している。ある摩耗期間後に露出する溝34が存在することによって、タイヤ10の、濡れた路面における性能が向上する。トレッドは変化するトレッド構造を有しており、このトレッド構造は、トレッドの様々な深さの位置で、すなわち様々な摩耗のレベルで、異なっている。後で露出するような溝34を有しているトレッドは、以下のようにして形成することができる。
2段階のタイヤ成形工程において、タイヤカーカス12は、第1段階のタイヤ組立ドラム上で組み立てられる。グリーンカーカス(green carcass)12は、ベルトパッケージ22とトレッド4とを除く、タイヤの全ての構成部材を有している。ベルト−トレッド・パッケージは、第2段階のタイヤ組立機上で別個に形成される。ベルトパッケージ材料のプライ24,26は第2段階のドラム上に配置され、それから、トレッド4を形成するグリーンゴム(green rubber)の連続したストリップが、トレッドの原材料(tread stock material)として供給される。連続したストリップは、ベルトパッケージ22を覆う閉じた円を形成するように切断端部を他の切断端部に継ぎ合わせるために、好ましくは所定の角度で、必要な長さに切断される。組み立てられたベルト−トレッド・パッケージは、第1段階のタイヤ組立機で既に組み立てられたグリーンタイヤカーカス12に貼り付けられる。それから、タイヤカーカス12は、ベルト−トレッド・パッケージ内で円環形状に「膨らまされ」、金型に搬送されて、組立体全体が硬化させられて最終的なタイヤとされる。この工程の例は、特許文献2〜5に開示されている。
図4は、本発明で有用な図2と3のトレッド構造のトレッド材(tread stock)74の断面図を示している。トレッド材74は、両端部が、図示されているよりも先細になっていてもよいが、主に長方形状である。トレッド材74は、定められた外側面76と定められた内側面78を有している。外側面76は、グリーンタイヤのベルトパッケージ22およびタイヤカーカス12の外側に配置されて、硬化したタイヤのトレッド構造を構成する。内側面78は、トレッド材74の、ベルトパッケージ22またはトレッドベースの原材料80の上に直接配置される側である。本発明の実施形態によると、変化するトレッド構造内の、摩耗によって露出する溝34を形成するために、少なくとも1つの溝82がトレッド材74の一方の側面76または78に予め形成されている。図4のトレッド材74では、溝82が材料の内側面78に形成されている。
トレッド材74の溝82は、押し出し成形によって、または溝82を形成するように原材料を除去することによって形成することができる。溝82の形成においては、溝82を、硬化した最終的な埋め込み溝34の所望の断面積よりも広い断面積を備えるように形成してもよい。硬化中のトレッド材74の流れが制限されて、結果的に、硬化した最終的な埋め込み溝34の断面積が狭くなるような場合には、より広い幅またはより深い深さを有しより広い断面積を備えている溝82を形成することによって、それを補うことができる。あるいは、溝82を、硬化した埋め込み溝34とほぼ同じ寸法に形成してもよい。
あるいは、トレッド複合物74または選択されたトレッド構造のいずれかが原因で、トレッド複合物74が、タイヤの硬化中に大流量にさらされる場合、図5Aと5Bに示しているように、硬化中に破壊されず、すなわち硬化完了時に無傷の状態に維持される部材84を溝82内に挿入することによって、溝82を維持してもよい。
前述したように、溝82を、トレッドの原材料74の内側面78または外側面76に形成してもよい。図示されているように、溝82が内側面78に形成され、チューブなどの挿入部材84を用いることによって、タイヤの成形中に溝の形状が維持される場合、トレッドの原材料74は挿入部材84の周りを流れ、挿入部材84の相対位置は、成形中に影響を受けない。硬化中のゴムの流れが挿入部材84を、硬化したタイヤ内の最終的な所望の位置から移動させる可能性がある場合、挿入部材84を所望の位置に保持するために金型手段を用いることができる。このような金型手段は、トレッド金型から延びている複数のニードル、または、金型から延びている複数の溝リブ(groove ribs)またはサイプブレード(sipe blades)を有している。複数のニードルを用いる場合、複数のニードルは、必要とされる挿入部材84の保持を実現するような寸法であるが、最終的なトレッド構造を変えることがないように十分小さい。挿入部材84の保持のために複数のニードルだけを用いる場合、挿入部材84の両側にあり、必要に応じて挿入部材84の長手方向に沿って位置する、1組のニードルを採用することが好ましい。このような保持手段が、挿入部材84を上方および/または側方から位置決めする一方、硬化中のタイヤの拡張が挿入部材84を下側から保持する。
溝82および挿入部材84が、埋め込み溝34を形成するためにトレッド材74の外側面76に位置している場合、トレッドゴムは、挿入部材84を完全に包囲するように挿入部材84の周囲を流れなければならない。このような実施形態では、埋め込み溝34が、トレッドの摩耗の比較的早期の状態、例えばトレッドの20%または25%の摩耗状態で現れるように、硬化した最終的なタイヤで、埋め込み溝34はトレッド表面36の比較的近くにある。
挿入部材84は、タイヤトレッド28の周方向長さに等しい、または周方向長さよりも小さい、または周方向長さよりも長い、任意の長さのチューブであることが好ましい。チューブは、連続した輪として形成されてもよく、また、所定の長さを有してもよい。チューブの断面形状は変更可能であり、埋め込み溝34の所望の断面形状によって決まることが多い。考えられるチューブの断面形状は、円形、長円形、またはその他の2次元の曲線構成、正方形、長方形、台形、またはその他の四角形、五角形、六角形、またはその他の多角形を含むが、これらに限定されない。チューブは、トレッド材74の押し出し成形の後に溝82内に配置されてもよく、または、トレッド材74が、図5Aに示されているような形態になるように、チューブの上に押し出されてもよい。あるいは、図5Bに示されているように、チューブを、押し出された材料の1対の層74,80の間に配置してもよく、内側のトレッド材80が、タイヤ10の成形中にチューブを所定の位置に保持するのを助けるクッションゴムであってもよい。このような、トレッド材の2重構造の場合、クッションゴム80を、タイヤ組立中にまずベルトパッケージ22の上に配置してもよく、その後に、チューブと外側のトレッド材74を配置してもよい。
本発明の一実施形態では、チューブは、グリーンタイヤの硬化中に破壊されない材料、すなわち硬化したタイヤの性能を損なわない材料から形成される。チューブ材の厚さは、前記した2つの目的のバランスをとるように選択されており、採用されている材料の種類に基づいている。考えられる他の材料としては、でんぷんからなる堅い共重合体やエチレン/ビニルアルコールなどのビニル共重合体、または、高分子量ポリエチレンなどの熱可塑性材料が含まれるが、これらに限定されない。
あるいは、チューブは、完全に、または部分的に予め硬化しているエラストマのチューブから構成されていてもよい。チューブを形成しているゴム重合体の基体は、隣接するトレッド部材と同じゴム重合体の基体であるが、隣接するゴムよりも剛性の高いチューブを実現するために、(例えばカーボンブラックやシリカなどの)補強材料のゴムに対して大きな百分率を有することが理想的である。例えば、チューブは、補強材料の荷重がゴムの80パーセントから130パーセントの範囲内、好ましくはゴムの100パーセントから120パーセントの範囲内である材料で形成されている。
チューブの厚さは、予めどの程度硬化しているかにかかわらず、0.10mmから5.0mmの範囲内である。好ましくは、チューブの厚さは0.50mmから3mmの範囲内である。チューブが厚いことは、中型トラック用ラジアルタイヤまたはオフロードタイヤに使用されるような非常に大きいトレッドの構成に適している。旅客用乗物の場合、チューブの厚さは0.5mmから2mmの範囲内である。
前記したあらゆる変形例で、形状を維持するために溝82内に挿入される部材84は、タイヤトレッド28の周方向の長さよりも短い長さを有する、複数の、閉じた短い円筒であってもよい。この代替実施形態は、複数の不連続な溝をトレッド材の下側に形成するときに最も有用である。
他の実施形態では、複数の埋め込み溝34内に、生分解性材料、または可溶性の連結部分を備えた非汚染性材料(たとえば可溶性の糊でくっつけられた砂)を充填することが望ましいことがある。生分解性材料の例は、「空気入りタイヤ(Pneumatic Tire)」という名称で2005年10月5日に出願された共有の米国特許出願第60/723,756号に開示されている。充填材料は、チューブが部分的に硬化したときに用いてもよく、タイヤ10の硬化中にチューブ状または円筒状の形状を維持し、チューブ材が埋め込み溝34内に流れて塞ぐことを防ぐために、生分解性材料を部分的に採用してもよい。充填材料は、充填されたチューブのすぐ上のトレッドゴムが摩耗して低くなっているがトレッドが完全になくなるまでは摩耗していないときに、トレッドの剛性を高めるという利点も有する。
トレッド材74上に形成された複数の溝82は、図3の実施形態のトレッドに示唆されているように連続していてもよいが、溝82は、図6〜8に示されているように任意の形状であってよい。図6に示されているように、複数の溝82がトレッド材74の長手方向Lに形成されていてもよく、図7に示されているように、複数の溝86がトレッド材74の長手方向Lを横切るように形成されていてもよく、または、図8に示されているように、複数の溝が、長手方向の溝82と横方向の溝86の組み合わせであってもよい。複数の溝は、図9に示されているようにトレッド材74の内側面78の上に形成された不連続な一連の溝88であってもよい。
タイヤ10の他の製造方法では、第2段階のタイヤ組立機に供給されたトレッド材74が、内部に、予め形成された溝82,86,88を全く有していない。組み立てられたベルト−トレッド・パッケージは、グリーンタイヤカーカス上に組み立てられ、リング状のチューブがグリーンタイヤ組立体の外表面76に取り付けられる。チューブリングの位置は、その直径のために、グリーンタイヤ上で維持されている。タイヤ10の成形中に、トレッド材74の内側面78に位置している溝82および挿入部材84と同様に、ゴムがチューブリングの周りを流れて、硬化したタイヤ内に埋め込み溝34を形成する。この製造方法は、従来のグリーンタイヤの構成部材を一切変更する必要がない。前記したチューブに関する全ての特徴は、この製造方法で用いられるチューブリングにも当てはまり、有用である。
10 タイヤ
12 カーカス
14 インナーライナー
16,24,26 プライ
18 ビード部分
20 サイドウォール
22 ベルトパッケージ
28 トレッド
30 トレッド部材
32 表面溝
34 埋め込み溝
36 トレッド表面
40,46,48,58,60 トレッド部材の列
42,44,52,54,56,64 溝
50,62 ブロック
66 接続部材
68 サイプ
70,72 狭幅の列
74 トレッド材
76 外側面
78 内側面
80 クッションゴム
82,86,88 溝
84 挿入部材
CL トレッド中心線
12 カーカス
14 インナーライナー
16,24,26 プライ
18 ビード部分
20 サイドウォール
22 ベルトパッケージ
28 トレッド
30 トレッド部材
32 表面溝
34 埋め込み溝
36 トレッド表面
40,46,48,58,60 トレッド部材の列
42,44,52,54,56,64 溝
50,62 ブロック
66 接続部材
68 サイプ
70,72 狭幅の列
74 トレッド材
76 外側面
78 内側面
80 クッションゴム
82,86,88 溝
84 挿入部材
CL トレッド中心線
Claims (17)
- カーカスとベルト構造とトレッドとを有し、前記トレッドは変化するトレッド構造を有し、前記トレッド構造は前記トレッドの様々な深さの位置で異なっている、タイヤの製造方法であって、
a)少なくとも1つのカーカス補強プライと、互いに対向する1対のサイドウォールと、互いに対向する1対のビード部分とを有する前記カーカスを形成するステップと、
b)前記ベルト構造を前記カーカスの半径方向外側表面上に配置するステップと、
c)長手方向に平行で互いに対向する2つの表面を有するトレッド材を形成するステップと、
d)前記トレッド材を前記ベルト構造の半径方向外側面上に配置するステップと、
e)前記タイヤの半径方向外側表面に溝を形成するための少なくとも1つのリブを有する金型内で、前記タイヤを硬化させるステップと、
を含み、
硬化した前記タイヤ内に埋め込み溝を作るチューブを、前記タイヤを硬化させる前に、前記トレッド材に隣接して、または前記トレッド材内に配置する
ことを特徴とするタイヤの製造方法。 - 前記トレッド材は押し出し成形によって形成され、前記チューブが内部に配置される少なくとも1つの溝が、前記トレッド材内に形成される、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブは、前記タイヤの加硫中に破壊されない材料で形成されている、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブは、リング状のチューブ、予め成形された、開いた端部を有するチューブ、または少なくとも1つの可撓性の円筒である、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブの厚さは0.10mmから5mmの範囲内である、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブには充填材料が供給されている、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブはビニル共重合体または熱可塑性材料で形成されている、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブは予め形成された形状を有している、請求項1に記載の方法。
- 前記チューブは、円形、長円形、2次元の曲線形状、正方形、長方形、台形、四角形、五角形、六角形、および多角形からなるグループから選択された断面形状を有している、請求項1に記載の方法。
- 硬化した前記タイヤにて、硬化前に前記トレッド材内に形成された前記少なくとも1つの溝が、硬化した前記タイヤの前記半径方向外側表面に形成された溝に一致しない、請求項2に記載の方法。
- トレッドストリップの少なくとも1つの溝が、前記トレッド材の長手方向に沿って形成されている、請求項2に記載の方法。
- トレッドストリップの少なくとも1つの溝が、前記トレッド材の長手方向を横切るように形成されている、請求項2に記載の方法。
- 少なくとも1つのトレッドストリップの溝は不連続な溝である、請求項2に記載の方法。
- 前記タイヤの硬化中に、前記チューブは、トレッド金型の表面から延びている複数のニードル、前記トレッド金型の表面から延びている複数の金型リブ、または、前記トレッド金型の表面から延びている複数のサイプブレードによって、所望の位置に保持されている、請求項1に記載の方法。
- 前記トレッド材を前記ベルト構造の前記半径方向外側表面上に配置する前に、クッションゴムを前記ベルト構造上に配置する追加のステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法によって形成されたタイヤ。
- カーカスとベルト構造とトレッドとを有するタイヤであって、
前記トレッドは、周方向の少なくとも1つの表面溝、または横方向の少なくとも1つの表面溝と、変化するトレッド構造とを有し、
前記トレッド構造は前記トレッドの様々な深さの位置で異なっており、
前記トレッドは埋め込み溝を有し、
前記埋め込み溝は前記表面溝のいずれとも連通しておらず、
前記トレッドは、前記タイヤの残りの部分と同じ金型内で、該残りの部分と同時に全て硬化させられる、少なくとも1つのゴム基体で形成されている、タイヤ。
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